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JP2009508483A - snRNA遺伝子様転写単位及びその使用 - Google Patents

snRNA遺伝子様転写単位及びその使用 Download PDF

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JP2009508483A
JP2009508483A JP2008530759A JP2008530759A JP2009508483A JP 2009508483 A JP2009508483 A JP 2009508483A JP 2008530759 A JP2008530759 A JP 2008530759A JP 2008530759 A JP2008530759 A JP 2008530759A JP 2009508483 A JP2009508483 A JP 2009508483A
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Abstract

核内低分子RNA(snRNA)遺伝子に特徴的な上流プロモーターエレメント(DSE、PSE)についてのコンピューター検索によって、本発明者らは、その予測される産物がタンパク質をコードする遺伝子と相同性を有する新規な非コードRNAである、これまで未確認であった多数の推定上の転写単位を同定した。それらのうちの1つの機能を解明することによって、本発明者らは、Pol IIIトランスクリプトームがそのPol II同等物を制御し得る場所であるセンス/アンチセンスに基づく遺伝子制御ネットワークの存在についての証拠を提供する。

Description

本発明は、RNAポリメラーゼIIIタイプIIIによって転写される配列、並びに医薬、農学、バイオテクノロジーのためのそれらの使用に関する。
本発明者らは、RNA Pol IIIタイプIIIプロモーターまたは非常に類似したエレメントによって合成される、コードされない且つポリアデニル化されないゲノムエレメントの未知の転写を同定した。それらの同定及び分子的特徴づけの他に、前記の新規な転写単位を機能的に分析し、且つそれらの調節特性を同定した。各転写単位は、特定のRNA Pol II転写産物に機能的に関連しており、特異的センス/アンチセンス配列分子を生じる。
哺乳類ゲノム研究における最近の進歩は、タンパク質コードゲノム発現の制御に向けられた非コード(nc)領域の広範囲な転写の存在を明らかにしつつある[1-4]。これらの転写産物の作用メカニズムは、それらのすべてが細胞表現型の決定に関わる基本的遺伝経路の制御に向けられてはいるが、多様であり、異なる性質を有している。種々のRNA:RNAまたはRNA:DNA複合体を標的とする非コード制御性転写産物及びタンパク質の付随的進化は、核酸の相互作用によって仲介される制御過程を研究することの重要性を強調している。現在では、真核生物においてだけでなく原核生物においても、種々のncRNAがシスで機能し、且つ他の非コード転写産物によってトランスで同時に制御され得るということが明らかになっている。シス及びトランス制御エレメントの同時存在は、種々の非コードRNAの共存が他の標的遺伝子発現の制御に重要な役割を果たしているこのネットワークの複雑性を明らかにしている[5]。この関連において、主要な役割は、タンパク質コード遺伝子の翻訳を阻害することによって転写後レベルで作用するマイクロRNA(miRNA)の拡大するファミリーによって担われている[6]。タンパク質コードmRNAのような既知のmiRNAは、RNAポリメラーゼII転写機構によってポリアデニル化前駆体分子として合成される[7]。分子生物学において使用される大部分がオリゴdT RT-PCRによって得られた(従って、ポリアデニル化RNAポリメラーゼII産物のみを含む)転写産物コレクションに基づいていることを考慮すれば、ヒトトランスクリプトームへの非ポリアデニル化転写産物の幅広い関与が示されている[8]。しかし、Pol IIトランスクリプトーム発現制御におけるそのような転写産物の役割は、ほとんど明らかになっていない。
非コードエレメントのうち、最も詳細に調べられているものの一つは、全ヒトゲノムの約1/10を占める反復配列のAluクラスである。特有のAlu法則を識別することはまだできないが、これらの短い転写産物はいくつかの生体内過程、例えばRNA編集(ここで、AluはAからIへのRNA編集の優先的部位であり、ゆえに哺乳類ゲノムの進化においてだけでなく、遺伝子発現制御において深い意味を有する)[9]、選択的スプライシング(Alu配列を含む内部エキソンは、ほとんどの場合、選択的スプライシングを受ける)[10]、染色体組換え(Aluエレメント間の組換えは、多くのヒト遺伝性疾患に関連した多くのゲノム欠失の根底にある)[11]、遺伝子発現の制御(天然に存在するアンチセンスRNAとして作用する)[12]、細胞のストレス応答(例えば、ヒートショック応答及び/または翻訳阻害等)[13]、及び推定上のmiRNA標的として[14]等に関与していることが報告されている。しかし、Alu及び他の7SL由来の転写産物の生理学的役割はさらに詳細に研究される必要があるが、それらの転写がRNAポリメラーゼ(Pol)III依存的であるという事実は、詳細に調べられる必要があるであろうこの酵素の遺伝子発現制御におけるこれまで予期されなかった役割を明らかにしている。
Reis EM, Nakaya HI, Louro R, Canavez FC, Flatschart AV et al.(2004)Antisense intronic non-coding RNA levels correlate to the degree of the tumor differentiation in prostate cancer. Oncogene 23(39):6684-92 Yelin R, Dahary D, Sorek R, Levanon EY, Goldstein O et al.(2003)Widespread occurrence of antisense transcription in the human genome. Nat Biotechnol. 21(4):379-86 Dahary D, Elroy-Stein O, Sorek R(2005)Naturally occurring antisense: transcriptional leakage or real overlap? Genome Res. 15(3):364-8
本研究において、本発明者らは、それらの推定上の機能に基づく理論仮説を根拠とする非コードRNAの特定のクラスに焦点を当てる。実際、RNAポリメラーゼ(Pol)IIIが非コードncRNA遺伝子の転写に特化しているという観察結果を根拠として、本発明者らは、ゲノムにおける、多数のPol III(またはPol III様)転写単位の、それぞれ特異的に制御する1つ(または1つ以上の)特異的Pol II遺伝子の存在、ゆえに機能的「共遺伝子(co-gene)」/遺伝子ペアを構成していることを前提とした。
従って、本発明の目的は、
−RNAポリメラーゼIIIによって転写され;
−いかなるポリアデニル化末端付加を受けず(Pol IIによって転写される遺伝子に関して);且つ
−1つ以上の特異的RNAポリメラーゼIIによって転写される標的遺伝子の発現を調節することができる;
を特徴とするヌクレオチド配列を含む核酸分子である。
好ましくは、前記ヌクレオチド配列は、特異的RNAポリメラーゼIIによって転写される標的遺伝子の鎖のうちの1つの断片と少なくとも70%同一である少なくとも50ヌクレオチドの配列を含む。
より好ましくは、少なくとも50ヌクレオチドの前記配列は、特異的RNAポリメラーゼIIによって転写される標的遺伝子の鎖のうちの1つの断片に関して、センスまたはアンチセンスの構造をとる。
特定の態様において、本発明の核酸は、配列番号51〜配列番号84の配列のうちの1つに含まれ、好ましくは、特異的RNAポリメラーゼIIによって転写される標的遺伝子の鎖のうちの1つの断片と少なくとも70%同一である少なくとも50ヌクレオチドの配列は、配列番号51〜配列番号84の配列の下線を引かれた断片のうちの1つに含まれる。
本発明の別の目的は、本発明による核酸を含む発現ベクターである。
本発明の別の目的は、本発明による核酸のレパートリーを含む、特定の核酸配列の検出用アレイである。
本発明の別の目的は、RNAポリメラーゼIIによって転写される遺伝子の発現を調節するための、本発明による核酸の使用である。
本発明の別の目的は、分子病変、好ましくはアルツハイマー病を含む年齢関連性病変の治療及び/または予防のための標的配列を同定するための、本発明による核酸の使用である。あるいは、前記病変は細胞増殖の変化によって引き起こされ、好ましくは、前記病変は腫瘍関連性病変である
本発明の別の目的は、前述のようなRNAポリメラーゼIIIによって仲介される核酸の発現を調節し得る少なくとも1つの配列を含む核酸であり、好ましくは、前述のようなRNAポリメラーゼIIIによって仲介される核酸の発現を調節し得る前記配列は、プロモーター配列である。
特定の態様において、前述のようなRNAポリメラーゼIIIによって仲介される核酸の発現を調節し得る配列は、配列番号51〜配列番号84の配列のうちの1つに含まれる。好ましくは、RNAポリメラーゼIIIによって仲介される請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸の発現を調節し得る配列は、配列番号51〜配列番号84の配列の太字領域に含まれる。
本発明の別の目的は、1つ以上の特異的RNAポリメラーゼIIによって転写される標的遺伝子の発現を調節するための、前述のようなRNAポリメラーゼIIIによって仲介される核酸の発現を調節し得る配列を含む核酸の使用である。
本発明の別の目的は、分子病変(好ましくは、前記病変はアルツハイマー病を含む年齢関連性病変である)の治療及び/または予防のための標的配列を同定するための、前述のようなRNAポリメラーゼIIIによって仲介される核酸の発現を調節し得る配列を含む核酸の使用である。あるいは、前記病変は細胞増殖の変化によって引き起こされ、好ましくは、前記病変は腫瘍関連性病変である。
本発明の別の目的は、RNAポリメラーゼによって転写される特定のヌクレオチド配列の発現またはサイレンシングを得るための、前述のようなRNAポリメラーゼIIIによって仲介される核酸の発現を調節し得る配列を含む核酸を含むベクターである。
本発明は、以下の非制限的な実施例において、図を参照することによって説明されるであろう。
[材料及び方法]
<データベース及び検索>
すべての配列検索及びアラインメントは、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)(www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)を利用することによって実施された。クエリーとして用いられた配列は、1塩基のミスマッチの有無にかかわらず、以下のとおりであった。H1 PSE-nCACCATAAAnGTGAAAn(配列番号1)またはnTTTCACnTTTATGGTGn(配列番号2)、U6 PSE(登録番号:M14486)CTTACCGTAACTTGAAAGT((配列番号3)、7SL PSE(PMID:2011518で報告されている)TTGACC-TAAGTG(配列番号4)、DSE(Oct1コンセンサス配列)-ATTTGCAT(配列番号5)またはATGCAAAT(配列番号6)。
<細胞培養、トランスフェクション、及びルシフェラーゼアッセイ>
一過性トランスフェクションのために、トランスフェクション前にマルチウェルペトリ皿中でHeLa細胞(10% FCSを補充したDMEM中で増殖させた)を16時間増殖させた。pTopoベクター(Invitrogen)内にクローニングされた対象の領域を含有する発現構築物[21A、21A(1)、21A(2)、21A(3)]を、メーカーの指示に従ってFugene 6トランスフェクション試薬を用いて細胞内に導入した。トランスフェクション効率のコントロールとして、ルシフェラーゼを発現するプラスミドを用いた(これに対して、すべての結果を標準化した)。トランスフェクションの24、48、及び72時間後に細胞を回収し、ホタルルシフェラーゼ活性を、メーカーのプロトコールに従ってデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステム(Promega)を用いて測定した。RNAポリメラーゼIII及び/またはRNAポリメラーゼIIを特異的に阻害するために、ルシフェラーゼ活性の検出前に、細胞透過性のクロロベンゼンスルホンアミド(ML-60218)(Calbiochem, California, USA)及び/またはα−アマニチン(Roche Diagnostics GmbH, Germany)を培地中にそれぞれ20μM及び10μg/mLの濃度で25時間(ML-60218)及び12時間(α−アマニチン)用いた。
<RNAiサイレンシングアッセイ>
新規な転写単位のプロモーター活性を調べるために、本発明者らは、ホタルルシフェラーゼサイレンシングヘアピン(Gregory Hannonの研究室−Cold Spring Harbor Laboratoriesによって得られた)を発現する6つのプラスミド構築物(それぞれ11A、14A、21A、29A、38A、51Aプロモーターによって転写が駆動されている)を調製した。ヘアピン配列[共トランスフェクションされた発現プラスミドからのホタルルシフェラーゼmRNAを標的とする(Promega)]は、
5’-GGAUUCCAUUCAGCGGAGCCACCUGAUGAAGCUUGAUCGGGUCUCGCUGAGUUGGAAUCCAUU-3’である。
Not I/HinD III制限酵素部位内に新規なPol IIIタイプIIIプロモーターをサブクローニングするために用いられたオリゴは、以下のとおり(大文字で)であった。
11AFprom Not I: 5’-atgcGCGGCCGCatttgcatgtcgctatgtg-3’(配列番号7)
11ARprom HinD III: 5’-gatcAAGCTTcatcaggtggctcccgctgaattggaatccacgcactcagctcgtg-3’(配列番号8)
14AFprom Not I: 5’-atgcGCGGCCGCaactgatgtatgattatatctt-3’(配列番号9)
14ARprom HinD III: 5’-gatcAAGCTTcatcaggtggctcccgctgaattggaatccattattatctcctttgttctgt-3’(配列番号10)
21AFprom Not I: 5’-atgcGCGGCCGCacagctgtagcagatgct-3’(配列番号11)
21ARprom HinD III: 5’-gatcAAGCTTcatcaggtggctcccgctgaattggaatccaccacacttggtcaactat-3’(配列番号12)
29AFprom Not I: 5’-atgcGCGGCCGCttctcacctaaaggagtc-3’(配列番号13)
29ARprom HinD III: 5’-gatcAAGCTTcatcaggtggctcccgctgaattggaatccttctaatcctcctaagatca-3’(配列番号14)
38AFprom Not I: 5’-atgcGCGGCCGCttcactaagatccagtgc-37(配列番号15)
38ARprom HinD III: 5’-gatcAAGCTTcatcaggtggctcccgctgaattggaatccgattcatgaacacagaatatt-3’(配列番号16)
51AFprom Not I: 5’-atgcGCGGCCGCgttgaacatttaactctgtat-3’(配列番号17)
51ARprom HinD III: 5’-gatcAAGCTTcatcaggtggctcccgctgaattggaatccctcatggcacttggagat-3’(配列番号18)
この分析において、前記構築物を、サイレンスされるべき標的としてのホタル(ffl)ルシフェラーゼを発現するpGL3プラスミド(Promega)と、及びそれに対してすべての測定結果を標準化するためのレニラルシフェラーゼを発現するpRLプラスミド(Promega)とともに共トランスフェクションした。トランスフェクションの24、48、及び72時間後に細胞を回収し、ホタル/レニラルシフェラーゼ活性を、メーカーのプロトコールに従ってデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステム(Promega)を用いて測定した。
<プラスミド構築物の作製及び配列決定>
プラスミド構築物p21A、p21A(1)、p21A(2)、p21A(3)を、ゲノムDNA調製物から対象の領域を増幅することによって作製し、次いでPCR産物をメーカーのプロトコールに従ってpTOPOベクター(Invitrogen)内にサブクローニングした。p21A PCR断片を作製するために用いられたオリゴは、以下のとおりであった。
21A正方向: 5’-GGAAATCTTACCTTCCTGCC-3’(配列番号19)
21A逆方向: 5’-TGGCTAGGTCATGTGACCAT-3’(配列番号20)
21A(1)正方向: 5’-GGAAATCTTACCTTCCTGCC-3’(配列番号21)
21A(1)逆方向: 5’-TTCATTCATTCATTCATTGATTCAC-3’(配列番号22)
21A(2)正方向: 5’-CAGCTGCAGCAGATGCTAGCAGGGC-3’(配列番号23)
21A(2)逆方向: 5’-TGGCTAGGTCATGTGACCATTC-3’(配列番号24)
21A(3)正方向: 5’-CAATCCTCAGAAATTTTCAACTGCC-3’(配列番号25)
21A(3)逆方向: 5’-TGGCTAGGTCATGTGACCATTC-3’(配列番号26)
以下のオリゴを用いてp21Aプラスミドから転写された領域を増幅することによって、プラスミド構築物pAnti-21Aを作製した。
Anti-21Aターミネーター含有・正方向:5’-CTGAAAAAGTAGTCCCAGCACTTTG-3’(配列番号27)
Anti-21A Bam HI含有・逆方向:5’-ATGCGGATCCGAGACAGGGTCTTGCTC-3’(配列番号28)
それによって転写される領域をアンチセンス構造で作製した。以下のオリゴを用いてp21Aプロモーターを増幅することによって、pAnti-21Aプロモーターを得た。
21A・正方向:5’-GGAAATCTTACCTTCCTGCC-3’(配列番号19)
21A Bam HI含有・逆方向:5’-ATGCGGATCCGAGCCACCACACTTGGTC-3’(配列番号28)
PCR産物を制限酵素Bam HIで消化し、ゲル電気泳動によって精製し、T4リガーゼ(Invitrogen)によってライゲーションした。次いで、メーカーのプロトコールに従って、得られたインサートをpTOPOベクター内にサブクローニングした。トランスフェクション前に、メーカーのプロトコールに従ってDNAシークエンシングキット(Applied Biosystems)を用いて、すべてのプラスミドを配列決定した。
<RT-PCR反応>
部分的21A cDNAを単離及び配列決定するために、本発明者らは、種々のRT-PCR反応を実施した。約5μgの全RNAから始まり、オリゴ(dT)12-18プライマーまたはランダムヘキサマー混合物、及びRT-PCR用のSuperscript一本鎖合成システム(Invitrogen)を用いてcDNAを合成した。cDNAを10-50倍希釈し、次いで、PCR反応にかけた。21A RT-PCR産物を単離するために用いられたオリゴは、以下の:
オリゴ正方向21AF: 5’-gctcacgtagtcccagcacttt-3’(配列番号29);及び
オリゴ逆方向21AR: 5’-actatgttgcccaagctggtct-3’(配列番号30)であった。
PCR産物を1.5-2%アガロースゲルで分離した。DNAバンドを切り出し、DNAゲル抽出キット(Millipore)によって精製し、配列決定した。
<リアルタイム定量的RT-PCR>
PE ABI PRISM@7700シークエンス検出システム(Perkin Elmer)及びSybrグリーン法を用いたリアルタイム定量的RT-PCRを用いることによって、21Aに対するRNAを測定した。Primer Express 1.5ソフトウェアによって設計された21A正方向及び逆方向プライマーの配列は:
5’-GCTGAGGCAGGAGGATCACT-3’(配列番号31);及び
5’-GCACTACCACACCCAGCTAATTTT-3’(配列番号32)であった。
CENP-F正方向及び逆方向プライマーは:
5’-CTGCAGAAAGAACTCTCTCAACTTC-3’(配列番号33);及び
5’-TCAACAATTAAGTACCTGGAACCA-3’(配列番号34)であった。
内部コントロールのために、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)遺伝子の発現を調べた。ヒトGAPDHプライマー用の配列は:
5’-GAAGGTGAAGGTCGGAGTC-3’(配列番号35);及び
5’-GAAGATGGTGATGGGATTTC-3’(配列番号36)であった。
ストックcDNA希釈物から作成された相対的標準曲線から、相対的転写レベルを決定し、メーカーの指示に従って、キャリブレーターの標的量で割った。
<Anti-21A siRNA合成>
サイレンシング効果がPol III制御性RNAに特異的であり、且つCENP-F mRNA安定性を妨げないように、CENP-Fと相同性を有さない21A転写産物の領域に対して、Anti-21A siRNAを合成した。メーカーのプロトコールに従って、siRNAコンストラクションキット(Ambion, USA)を利用してsiRNA合成を行った。用いられたセンス/アンチセンスオリゴは:
5’-aaGTGTGGTGGCTCACcctgtctc-3’(配列番号39);及び
5’-aaGTGAGCCACCACACcctgtctc-3’(配列番号40)であった。
<増殖アッセイ>
本発明者らは、丸底96ウェルプレート中に1ウェルあたり5×105細胞を播種し、トランスフェクション後に24/48/72時間インキュベーションし、最後の18時間を3Hチミジン(1ウェルあたり1.0μCi/10μL)でパルス標識することによって、21A、21A-1、21A-2、21A-3、Anti-21A構築物でトランスフェクションされたHeLa細胞の増殖を調べた。本発明者らは、細胞を回収し、チミジンの取込みをカウントすることによって細胞の増殖を評価した。本発明者らは、1分間あたりのカウントとして測定された平均増殖率、及び各サンプルの3つのウェルに対する標準偏差(SD)を算出した。
<RNAの単離及びノーザンブロット分析>
単一工程の酸−フェノール・グアニジン法に基づき、メーカーのプロトコールに従って、TRIzol試薬(Invitrogen)を用いることによって全RNAを抽出した。HeLa細胞からの全RNAをホルムアルデヒドの存在下で1.5%アガロースゲル中で電気泳動し、Hybond Nメンブレン(Amersham)上にブロットした。転写産物の内部領域に及び、且つCenPF mRNAの一部と相補的(96%)である21Aレポート配列(表1を参照)のヌクレオチド1194〜ヌクレオチド1278の領域を含む85bp長のプローブと、前記ブロットをハイブリダイズさせた。前記プローブは、以下のオリゴを用いたPCR(鋳型として21A構築物を用いた)によって得られた。
21AF 5’-GCTCACGTAGTCCCAGCACTTT-3’(配列番号41)
21AR 5’-AGACCAGCTTGGGCAACATAGT-3’(配列番号42)
333mM NaH2PO4 pH 7.2、6.66%ドデシル硫酸ナトリウム、及び250mg/mL変性サケ精子DNA中で、65℃にて2時間、ブロット・プレハイブリダイゼーションを行った。106cpm/mLの変性及び標識されたプローブを含む同じ溶液中で、65℃にて18時間、ブロット・ハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション後、前記ブロットを、0.2%ドデシル硫酸ナトリウム、2×SSPE中で65℃にて30分間、2回洗浄し、さらに0.2%ドデシル硫酸ナトリウム、0.2×SSPE中で65℃にて30分間、1回洗浄した。メンブレンをオートラジオグラフィー膜に24/48時間露光し、次いで現像した。
<リアルタイム定量的RT-PCR>
種々のCENP-F(セントロメアタンパク質F)(登録番号:NM016343)サンプルからの全RNA調製物を、メーカーの指示に従って、SuperScript II一本鎖合成キット(Invitrogen)による逆転写にかけた。PE ABI PRISM@7700シークエンス検出システム(Perkin Elmer)を用いたリアルタイム定量的RT-PCRを用いることによって、得られたcDNAを測定した。Primer Express 1.5ソフトウェアによって設計された正方向及び逆方向プライマーの配列は:
5’-CTGCAGAAAGAACTCTCTCAACTTC-3’(配列番号43);及び
5’-AGTTGTTAATTCATCGACCTTGGT-3’(配列番号44)であった。
用いられたTaqMan(登録商標)蛍光性プローブは、
5’-FAM-AGTACCTGTTTTCTGCTTCTCCTGTGCAGC-TAMRA-3’(配列番号45)であった。
2つのエキソン間の接点にプローブを置いた。PCR増幅の間、Taqポリメラーゼの5’核酸分解活性により、5’レポーター蛍光色素を3’消光色素から分離しているプローブが切断される。標的mRNAレベルに反比例して相関する閾値サイクルCTを、レポーターの蛍光発光が閾値レベルよりも増大するサイクル数として測定した。内部コントロールのために、前述の定量的RT-PCRを用いることによって、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(G3PDH)遺伝子の発現を調べた。ヒトGAPDHプライマー及びプローブ用の配列は:
5’-GAAGGTGAAGGTCGGAGTC-3’(配列番号46);
5’-GAAGATGGTGATGGGATTTC-3’(配列番号47);及び
5’-TET-CAAGCTTCCCGTTCTCAGCC-TAMRA-3’(配列番号48)
であった。
ストックcDNA希釈物から作成された相対的標準曲線から、相対的転写レベルを決定し、メーカーの指示に従って、キャリブレーターの標的量で割った。
<ウエスタンブロット分析>
各サンプルから等量のタンパク質(10μg/サンプル)を、スタンダード4-12% NU-PAGEグラジェントゲル(Invitrogen S.r.l., Milano, Italy)にロードした。Protranニトロセルロースメンブレン(Schleicher&Schuell, Dassel, Germany)へのブロットを、メーカーの指示に従って、X-Cell Sure Lock TM電気泳動細胞システム(Invitrogen S.r.l.)で行った。TTBSバッファー(500nM NaCl、20mM Tris/Cl, pH 7.5、0.05% Tween-20)中、3%無脂肪ミルク中に前記メンブレンを一晩浸透させ、ヒト抗ミトシン(Mitosin)/CenPF ab90(ABCAM, Cambridge, UK)及び/または抗α−チューブリン(Sigma, Missouri, USA)マウスモノクローナル抗体とともに室温にて4時間インキュベーションした。抗ミトシン抗体は、見かけ上非常に高分子量(350-400kDa)で弱いシグナルを認識し、一方、抗α−チューブリンは、45kDaで明瞭なシグナルを示した。アルカリホスファターゼ接合アフィニティー精製モノクローナル抗ウサギマウスIgG(Sigma-Aldrich Inc.)及びECL検出システム(Amersham, UK)(図1Cに示された実験で)またはアルカリホスファターゼ基質BCIP/NBT(ICN Biomedicals, Aurora, OH, USA)(図1Eに示された実験で)によって、免疫反応性のバンドを可視化した。
<Anti-21A siRNA合成>
サイレンシング効果がPol III制御性RNAに特異的であり、且つCENP-F mRNA安定性を妨げないように、CENP-Fと相同性を有さない21A転写産物の領域に対して、Anti-21A siRNAを合成した。メーカーのプロトコールに従って、siRNAコンストラクションキット(Ambion, USA)を利用してsiRNA合成を行った。用いられたセンス/アンチセンスオリゴは:
5’-aaGTGTGGTGGCTCACcctgtctc-3’(配列番号49);及び
5’-aaGTGAGCCACCACACcctgtctc-3’(配列番号50)であった。
[結果]
<ヒトゲノムにおける新規なsnRNA遺伝子様転写単位セットのコンピューター内での(in silico)同定>
本発明者らの仮説を検証するために、本発明者らは、転写領域の上流に位置するPol IIIタイプIII遺伝子外(extragenic)プロモーターに焦点を当てた。本発明者らは、Pol IIIタイプIIIプロモーターに特徴的なコンセンサス配列:近位配列エレメント(Proximal Sequence Element:PSE)及び遠位配列エレメント(Distal Sequence Element:DSE)[15, 16]を含む領域についてヒトゲノムをスクリーニングした。まず、本発明者らは、生物情報ツールとしてBLAST(配列タグの基本的な部分的アラインメント:Basic Local Alighment of Sequence Tags)アルゴリズムを用いることによって(http://www.bcbi.nlm.gov/BLASTの「短いほぼ正確な一致(Short Nearly Exact Matches)」オプション、「ヒト(Homo sapiens)」生物データベースで入手可能)(クエリーとして用いられた配列については、[材料及び方法]を参照)、3つのよく特徴づけされているPol IIIタイプIII非コード(nc)RNA(U6、H1、7SL)のPSE配列を、ヒトゲノムにおける多数の類似した(同等でない場合には)エレメントを同定するそれらの能力について調べた。興味深いことに、U6及び7SKとの第一の検索では、ゲノム中に散在している相当数の相同領域は同定されなかったが、H1コンセンサスエレメントは、60個の新規な推定上のコンセンサス配列との高い相同性を共有していた。これらの中で、本発明者らは、(BLAST分析によって)、PSEの上流1000塩基対の任意に定義された距離内にDSEコンセンサス配列を含むものを選択した。結果は、33個の推定上の新規なPSE/DSE依存的プロモーターを証明した。定義されたゲノム距離内のPSE及びDSEコンセンサスエレメントの存在間の機能的相関関係を調べるために、本発明者らは、新規なプロモーターの全プール中のDSEコンセンサスエレメントの存在頻度対PSE-DSE距離を調べた。結果は、DSEの存在及びPSEとのその距離の間の逆相関を示した。DSEエレメントの非常に高い頻度は、PSEへ約800塩基対の位置において有意に減少するPSEからのヌクレオソーム(約200bp)の距離に関連していた[17]。推定上のDSEエレメントの制限された数により、適切な統計分析は可能でないが、DSE頻度とDSE-PSE距離との間の逆相関は、これらの新規なプロモーターにおけるそれらの機能的相関関係についての予備的な指標とされた(図7)。
しかし、Pol IIIタイプIIIプロモーターは、本発明者らの検索の根底にあるため、それらの構造的特徴のいくつかは、i)PSEコンセンサス配列の存在が、自ら最小のPol IIIタイプIIIプロモーターを構成するのではなく、すなわちそれどころか、PSEとA/Tリッチエレメント(TATAボックス)の適切な距離に同時に存在する結果であると見なされる必要があった。実際、下流のA/Tリッチエレメントを欠いたPSEコンセンサスの存在により、snRNA U2の場合等において、プロモーターをRNA Pol IIによって読み取ることが可能になることがはっきりと示されている[16]。この関連において、転写開始部位は、アフリカツメガエルでは必須の重要なものであると考えられるが、少なくともヒトにおいては、RNAポリメラーゼの選択に関係しない[18]。従って、本発明者らの検索によって同定された推定上の転写単位は、Pol IIまたはPol IIIのいずれかによって転写され得、PSEの下流の機能的A/Tリッチ領域の存在に依存する。新規なエレメントコレクションの大部分におけるPSE下流のTATAボックス様コンセンサス配列のさらなる存在は、それらのPol III依存性に向けられた標準的なPol IIIタイプIII構造をさらに支持する。これらの知見全体は、そのプロモーター機構がPol III転写に適合している33個の新規な推定上の転写単位を明らかにした(表1)。
表1
i)予測されるTATAボックス、PSE及びDSEコンセンサス配列(センス並びにアンチセンス構造をとる)を太字で示す。
ii)推定上の転写領域は下線を引いて示され、予測されるTATAボックスから開始して21番目のヌクレオチドから開始すると任意に予測される。「読み飛ばし」という現象が起こる可能性があり文献で立証されているが、4×Tのリピートを終結と見なした。
iii)CenPF mRNAに対するアンチセンス構造における21A領域を斜体で示す。
iv)推定可能な一本鎖配列、相補鎖。
ヒトゲノムマップ14q11.2(784bp配列)(配列番号51)
11A
ヒトゲノムマップ2p24.3(3000bp配列)(配列番号52)
12A
ヒトゲノムマップ3p12(1921bp配列)(配列番号53)
14A
ヒトゲノムマップ9q22-9q31(2521bp配列)(配列番号54)
17A
ヒトゲノムマップ3p12.3-12.2(2641bp配列)(配列番号55)
19A
ヒトゲノムマップ14q22.1(2341bp配列)(配列番号56)
20A
ヒトゲノムマップ8q24.13(2100bp配列)(配列番号57)
21A
ヒトゲノムマップ6q16-q21(2100bp配列)(配列番号58)
22A
ヒトゲノムマップXq21.3(2160bp配列)(配列番号59)
23A
ヒトゲノムマップ12q21(2219bp配列)(配列番号60)
24A
ヒトゲノムマップ7q22(2160bp配列)(配列番号61)
27A
ヒトゲノムマップ11p15(2160bp配列)(配列番号62)
29A
ヒトゲノムマップXp21(2040bp配列)(配列番号63)
30A
ヒトゲノムマップ12q21(2100bp配列)(配列番号64)
31A
ヒトゲノムマップ17q21(2100bp配列)(配列番号65)
32A
ヒトゲノムマップ1q32.2(2100bp配列)(配列番号66)
33A
ヒトゲノムマップ5q15(2040bp配列)(配列番号67)
34A
ヒトゲノムマップ8p11.2(2100bp配列)(配列番号68)
35A
ヒトゲノムマップ3p12(2040bp配列)(配列番号69)
36A
ヒトゲノムマップ14q13(2100bp配列)(配列番号70)
37A
ヒトゲノムマップ4p15.31(2100bp配列)(配列番号71)
38A
ヒトゲノムマップXp11.3(2100bp配列)(配列番号72)
39A
ヒトゲノムマップ11p15(2100bp配列)(配列番号73)
40A
ヒトゲノムマップ2q31(2100bp配列)(配列番号74)
41A
ヒトゲノムマップ3p12.3(2040bp配列)(配列番号75)
42A
ヒトゲノムマップ4q13.3(2040bp配列)(配列番号76)
43A
ヒトゲノムマップ4q13.3(2160bp配列)(配列番号77)
44A
ヒトゲノムマップ4p14(2100bp配列)(配列番号78)
45A
ヒトゲノムマップ2q22.1(2040bp配列)(配列番号79)
47A
ヒトゲノムマップ11q24.2(2100bp配列)(配列番号80)
48A
ヒトゲノムマップ21q21(2103bp配列)(配列番号81)
49A
ヒトゲノムマップ21q21(2100bp配列)(配列番号82)
50A
ヒトゲノムマップ11q23.2-q24.2(2040bp配列)(配列番号83)
51A
ヒトゲノムマップ8p11.2(2100bp配列)(配列番号84)
52A
しかし、in silico検索はH1 PSEコンセンサスに基づいているため、さらにそれが、標的において最初と最後の塩基のみを異なるものにすることを可能にするクエリーとして用いられたことを考慮すると、それは、構造がH1のもの(クエリーとして用いられた配列については、[材料及び方法]を参照)に非常に類似しているプロモーターのみを同定していると合理的に推測することができる。このことは、H1以外でこれまでに既知の他のPol IIIタイプIIIプロモーターのいずれも、本発明者らのPSEベースのコレクション中に見出されなかったという事実によってさらに支持される。従って、この知見は、U6、7SK、及びH1のPSEコンセンサス配列の中の大きな配列分岐の観察結果とともに、クエリーとしての変性(degenerated)PSEコンセンサス(いくつかの既知のPol IIIタイプIIIプロモーターコンセンサスエレメントのバイオインフォマティクス分析から得られる可能性が高い)の使用が、ゲノム規模でのこの効果の起こりそうな影響をより明確にするであろうヒトゲノムにおいて、大幅に多くの数の新規なPSE依存的転写単位を明らかにするであろうことを示唆している。
新規な転写単位をin silicoでさらに特徴づけするため、本発明者らは、予測されるTATAボックスの21番目のヌクレオチド下流から開始する配列伸長を転写するものとして任意に仮定した。さらに、「読み飛ばし」という現象が起こる可能性があり、配列前後の特徴によって影響を受ける可能性が高いが、4×TリピートをPol III転写終結シグナルと見なした[19、20]。このコレクションの各エレメントの転写領域は、それらのin silicoの特徴づけに基づいて、個別に実験的に決定される必要があることが強調されるべきであるが(おそらくは、その標的制御遺伝子の関連において)、本発明者らは、さらなる分析にかけるべき33個の新規な転写産物を選択した。
共通の二次構造が新規な分子の特徴であるかどうかを調べるために、それらの二次構造についてのin silico分析をmfoldアルゴリズムによって行った(http://www.bioinfo.rpi.edu/applications/mfold/rna/form1.cgi)[21]。結果は、短い幹部(5-7塩基対)を有するヘアピンは高頻度であるが、頻発する共通した二次構造はなく、特有の分子機構がこの非コード分子セットの共通した特徴ではないことを示している。興味深いことに、それらの平均自由エネルギー(δG)は極めて多様であり(-42.7±41.2)、4つの転写産物(11A、20A、21A、及び29A)は他のいずれよりも有意に低いδG値を示した(δG<-100)。そのようなδGの相違についての統計分析が行われ、そのδG値が予測されるもの(スチューデントt検定、自由度33、0.0001のP値に相当するα有意レベル=0.1)よりも有意に低く、それによって、それらの生理学的な機能的分子機構と適合している転写産物(11A、20A、21A、及び29A)の群が明らかになった(図8)。
転写単位のプールがレトロポゾン等のリピートによって優勢的に構成されているかどうかを調べるために、本発明者らは、i)34個のうちの2つのみ(5.9%)は、短い散在ヌクレオチドエレメント(Short Interspersed Nucleotide Elements:SINE)、例えばAluJbエレメントとして表記される21A及び29A等であること、ii)それらのうちの3つ(8.8%)は、長い散在ヌクレオチドエレメント(LINE)、例えば24A、37A、及び38A等の一部であること、iii)2つ(5.9%)は、MIR(17A及び40A)を含むこと、並びにiiii)3つは、種々のタイプの長い終結リピート(30A、32A、及び44A)を含むこと、を証明するRepeatMaskerアルゴリズム[22]によって、すべての転写産物を分析した(表2)。
表2:RepeatMaskerウェブサーバー(http://www.repeatmasker.org/cgi-bin/WEBRepeatMaskerで入手可能)による配列分析
結果を、適切な状況(Alu、LINE、及びMIRは、それぞれヒトゲノム約15%、30%、及び1-5%を構成していることを考慮する等)に当てはめると、この新規な配列のプールにおけるより高頻度のリピートを予期すべきであろう。さらに、本発明者らは、わずか3つのリピート含有エレメントが、同じクラスの分子のものであることを観察した。これらの観察結果は、新規なPSE依存的転写産物は、ヒトゲノム中に散在する反復配列の特定のクラスには関係しないが、その代わりに、それらは新規なタイプIIIプロモーター駆動エレメントの異種のセットを構成することを証明している。
これらの非コード配列を用いてヒトゲノムデータベース(BLAST分析)を試みた場合、結果は、7個は既知のまたは予測されるタンパク質コード遺伝子の内部にあり、4個はアンチセンス、及び3個はセンスの構造にあった。興味深いことに、コード領域に位置しない新規な配列エレメントのほとんどは、異なる遺伝子座に位置するPol II転写産物/ESTと高い配列相同性(〜80%)を共有していた(表3)。推定上の転写産物が考慮される場合、前記相同性はより高い値(しばしば約90%)に達した。実際、本発明の転写単位の1つを完全に含有するESTは見出されず、それによって、センス/アンチセンスに基づく制御が生じる場合、それはncRNA配列の一部に関連し、一方、他の部分はこの制御作用を促進する構造特性(おそらく、特異的構造タンパク質に結合する)を有し得る。これらの観察結果に基づき、遺伝子発現の新規な制御メカニズムは、Pol III(またはPol III様)エレメントがそれらのホモログタンパク質をコードするRNAのトランスに位置するアンチセンスとして作用する場所で想定されるであろう。このモデルにおいて、1つ(または複数の)特定の標的遺伝子に対してアンチセンス構造をとるPol III共遺伝子(co-gene)は、そのmRNAの成熟を妨害することによって(相同領域がイントロン内部にある場合には)またはタンパク質の翻訳を阻害することによって(相同性がエキソンに関連する場合には)、その発現を制御し得る。
表3
<共遺伝子(co-gene)実験モデルとしての21A>
本発明者らの仮説を検証するために、本発明者らは、8q24.13に位置する新規な転写単位(本明細書では21Aと称される)の1つを選択した。ヒトゲノムと整列させた場合、それはいくつかの相同性ヒットを示し、そのうちの相同性の最も高いものは、セントロメアタンパク質F(CENP-F;1q32-q41)(登録番号:NM016343)[23]の複数のイントロン領域に関連し、従って、その推定上の天然トランス染色体アンチセンスを構成している(図1A、B、C)。すべての7SL/Alu由来のエレメント21Aは霊長類特異的であると予測されているが[24]、その配列をマウスの予測されるCENP-F遺伝子と整列させることによって、進化的保存分析を行った。有意な類似性は見出されず、もしあるとすれば、げっ歯類において推定上のCENP-Fアンチセンスの制御的役割は、種々のクラスの非コードエレメントに関連しているであろう。興味深いことに、他のヒトAluとのその高い配列類似性にも関わらず、21Aは、そのPol III転写を促進するのに必要とされるAlu特異的な遺伝子内コンセンサスエレメント、例えばブロックA及びBを欠いている[25]。このことは、遺伝子外タイプIIIプロモーターによって駆動される21A転写に向けられたさらなる手掛りであった。
培養細胞における21A発現を調べるために、本発明者らは、全HeLa細胞RNAについて21A dsDNAプローブを用いてノーザンブロット分析を行った。2つのポジティブなバンドが検出され、一方は、期待される21A転写産物のサイズ(〜300 nt)に相当し、もう一方は、高分子量転写産物(CENP-F mRNAに対して期待される)に相当した(図2A)。しかし、21A二本鎖cDNAプローブは複数の遺伝子座由来の21Aに類似したAluの転写を検出するであろうことを考慮して、本発明者らはさらに、皮膚線維芽細胞及び4つの腫瘍細胞株(293T、LAN5、HCT、HeLa)から抽出された全RNAサンプル由来の21A特異的cDNAをランダムヘキサマーベースのRT-PCRによって増幅し、21A特異的転写産物をより良好に同定した(図2B)。次いで、得られたDNAバンドを精製して配列決定し、その増幅産物が期待された21Aであることを立証した。さらに、21A転写をより良好に調べるために、本発明者らは、ルシフェラーゼサイレンサーにそのプロモーターを融合させ、この構築物を、ルシフェラーゼを発現するプラスミドとともに共トランスフェクションした。結果は、トランスフェクションの48時間後の、半減したルシフェラーゼ活性を示し、それにより、21Aプロモーターによって方向づけられた効率的な転写を証明している。同じ実験において、本発明者らのコレクションからの5個の新規なプロモーターのセットが検証され、それらのうちの4個によって促進されるヘアピンの活性のある転写が証明された(図2C)。これらのデータは、新規な推定上の転写単位の大部分が活性のある遺伝子外タイプIIIプロモーターの制御下にあるという結論を支持している。
<新規な転写単位のPol III依存性>
RNAポリメラーゼに対して広域スペクトル阻害活性を示す細胞透過性インダゾロ(indazolo)-スルホンアミド化合物ML-60218[26]を用いた細胞処理の24時間後に、前述と同じ実験を繰り返した。結果は、Pol III阻害剤の非存在下での効率的なルシフェラーゼサイレンシング活性を示し(減少したルシフェラーゼ発酵によって示される)、一方、ML-60218を用いた処理後にルシフェラーゼシグナルは増大した(図2D)。
まとめると、これらの結果は、それらの転写のPol III依存性による、低下したPol III活性の結果としての新規な転写単位のヘアピン合成の減少を証明している。
<21Aは、転写後レベルでその発現を調節するCENP-F制御性の共遺伝子として作用する>
21A転写産物が、CENP-F発現のアンチセンス阻害剤として作用するかどうかを調べるために、本発明者らは、i)DSE及びPSEエレメントの両方を含む21A領域全体(p21A)、ii)その上流部分であって、DSE及びMIRエレメントを含む部分(p21A-1)、iii)新規なPol IIIタイプ3転写領域(Alu Jb部分を含む)(p21A-2)、並びにiiii)Mockコントロールとしての空ベクター(pMock)を有する4個の異なる21A構築物で一過性にトランスフェクションされたHeLa細胞におけるCENP-Fタンパク質レベルをウエスタン分析によって測定した。21A領域全体のトランスフェクションから24時間の時点から、CENP-F蓄積の阻害(その後、急速な分解)が観察された。そのような阻害は、21A RNAを発現する構築物(p21A、p21A-2)に特異的に関連し、一方、当該断片の上流部分におけるMIRエレメント(p21A-1構築物)は、効果を有さなかった(図3A−D)。この関連において、21Aによって測定されたCENP-Fの即時の減少と比較した場合、21A-2阻害作用のわずかな遅延が観察され、21Aプロモーターのより詳細な変異分析により、さらなるタイプIIIプロモーターの制御領域が明らかになるであろうことを示唆していることに留意する必要がある。トランスフェクションされた細胞における21A転写の存在を測定するために、本発明者らは、すべてのサンプルにおけるそのRNAレベルをリアルタイム定量的RT-PCRによって分析した。期待されたとおり、p21A及びp21A-2をトランスフェクションされた細胞において非常に多量の21A転写産物が検出され(トランスフェクションから48時間の時点で、それぞれ210及び480倍)、一方、pMockコントロールプラスミド及び/または転写領域を欠いているプロモーターを含む構築物(p21A-1構築物)でトランスフェクションされたサンプルの21A RNA量は基本的に安定であり、トランスフェクションされていないHeLa細胞における21A発現の非常に低い基底レベルを示した(図3E−H)。すべてのPCR産物をそれらの解離曲線において分析し、p21A/p21A-2をトランスフェクションされたサンプルにおいて単一の特徴的なピーク(78/79℃において)がpMOCK/p21A-1では有意に低下していたことを示した。それどころか、2つのコントロールプラスミド(pMock/p21A-1)でトランスフェクションされた細胞は、異種の分子集団の解離パターンの特徴を示した(図3O)。これらの結果は、転写領域を欠いているサンプル(pMOCK/p21A-1)における非常に低い内在的基底レベルまで強力に低下したp21A/p21A-2をトランスフェクションされたサンプルにおける外因的21A ncRNA転写産物の活性のある合成を再度裏づけた。21Aの非常に活性な転写の結果として、CENP-F mRNAのレベルは、p21A/p21A-2をトランスフェクションされた細胞において有意に減少し、一方、pMOCK/p21A-1をトランスフェクションされた細胞では主なCENPF mRNA変異は観察されなかった(図3A−D)。これらの結果をまとめると、21A転写とCENPF発現との間の逆相関が証明された。従って、21A転写産物と3つのCENPF hnRNAイントロン部分との間の高い相同レベルを考慮し、さらに前記結果(タンパク質レベル並びにRNAレベルのいずれかで得られた)に照らして、本発明者らは、21A転写産物によるCENP-F mRNAのアンチセンス阻害のメカニズムを示唆する。
<21A過剰発現は、ヒトにおける細胞増殖を特異的に阻害する>
有糸分裂におけるCENP Fの中心的役割を前提として、本発明者らは、細胞増殖における異所性21A発現の効果を検証した。[3H]−チミジンの取込みを測定することによって、本発明者らは、21Aをトランスフェクションされた細胞において48時間後の細胞増殖の劇的な停止を証明した。再び、当該効果は、下流の21A転写領域(p21A/p21A-2構築物)に特異的に関連しており、一方、MIRを含有する上流部分(p21A-1構築物)のトランスフェクションは、細胞増殖を変化させなかった(図4A)。現時点において、本発明者らは、この作用への他の遺伝子座由来のAluによる寄与を排除できないが、この実験は、本明細書において示されているCENP-F合成の阻害に一致した21A転写と細胞増殖の逆相関を証明している。
21Aのアンチセンスの役割をさらに支持するために、本発明者らは、アンチセンス構造をとる転写産物を発現し、それによって、内在性21A分子の活性を抑える構築物(本明細書ではpAnti-21Aと称される)を用いてHeLa細胞をトランスフェクションした。結果は、トランスフェクションの24/48時間後の増大した細胞増殖を示した。21A特異的siRNA発現構築物をHeLa細胞にトランスフェクションした場合に同様の結果が得られ、一方、ネガティブコントロールサンプル(非関連のニワトリ特異的siRNAでトランスフェクションされた細胞)は、pMockをトランスフェクションされた細胞のものと同様の細胞増殖率を維持した(図4B)。両方の実験において、Anti/si21Aをトランスフェクションされた細胞において、付随する21A-RNAの減少とともに、リアルタイムRT-PCRによって証明されるように、増加したCENP-F合成を検出した(図4C、D)。これらの実験において示されているように、前の実験におけるような0、24、48、及び72時間においてよりむしろ、トランスフェクションの0、24、48時間後のみにおいて、CENPF調節及び21A RNA減少を分析した。実際、21Aの下方制御に続く増殖の増大により、細胞はあらかじめ過剰コンフルエントの状態になり、本発明者らが測定するトランスフェクション後72時間におけるCENPF合成への効果はこの技術的制限によって強くバイアスを受けるようになる。
これらのデータは、そのsiRNA介在性サイレンシング並びにアンチセンス技術によるその抑制の結果として生じる21A転写産物量の減少が、CENP-F合成を特異的に増大させ、ゆえに、CENP-F制御性共遺伝子としての21Aの提唱されている役割に適合していることを示唆している。さらに、本明細書で観察された増大した増殖率は、転写後レベルでいくつかの標的遺伝子の発現を制御し得る21Aの広範な制御作用が、miRNAに対して提唱されているもの[27]に類似しているという考えを支持することを考慮する必要がある。
<21A制御作用は、ヒト特異的である>
21Aによって誘導される細胞増殖は、霊長類特異的である(Alu配列は他の哺乳類系列では見出されていない)と予測されることを考慮して、本発明者らは、マウスにおけるその最終的存在について検証した。実際、このことは、特異的な多座(multilocus)21A制御作用よりむしろ、より一般的な生体内作用、例えば、おそらくインターフェロン応答(すべての哺乳動物によって共有されている抗ウイルス細胞反応)等の活性化による細胞増殖への21Aの非特異的作用と適合する。期待されたとおり、結果は、p21A、p21A-1、p21A-2、及びpMockのトランスフェクション後に、マウス線維芽細胞NIH 3T3細胞が[3H]−チミジンの取込みによって評価されるように、いずれの増殖の減少も示さなかった(図5)。従って、21Aの種特異的作用は、マウスにおいて増殖妨害をもたらす非特異的細胞反応を引き起こし得ないその能力とともに、21Aの特異的(おそらく多座の)制御性の役割をさらに強める。
<21Aは、細胞増殖制御の重要な因子である>
トランスフェクション実験によって示されるように、21Aの過剰発現は細胞増殖と逆相関する。この知見に従って、その発現は、十分に増殖しているHeLa細胞において非常に低い。従って、内在性21A発現と細胞増殖との間の逆相関をさらに証明するために、本発明者らは、種々の増殖能を有する種々の細胞タイプにおけるその転写レベルを、定量的リアルタイムRT-PCRによって分析した。結果は、本明細書で分析された3つの不死化された/十分に増殖した細胞株(子宮頸部腺癌としてのHeLa、腎上皮アデノウイルス形質転換細胞としての293T、神経芽細胞腫としてのLAN5)において、276倍増大した21A転写が証明されている非増殖/静止PBL細胞(例えば、末梢血リンパ球)と比較した場合、21A転写レベルは非常に低いことを示した。同じ実験において、内在性21A転写と細胞増殖率との間の逆相関に従って、初代皮膚線維芽細胞(その増殖率は、本明細書で分析された腫瘍細胞株のものよりも有意に低い)における21A RNAレベルは、293T細胞と比較した場合、23倍増加しており、静止/非増殖PBLと比較した場合、非常に低い発現レベルを示した(図6)。おそらく他の非常に類似した転写産物の交差増殖によるわずかな肩(shoulder)が、検出可能な内在性Alu転写のバックグラウンドを示したが、再び、21A増幅産物の解離曲線分析により、PBLにおいて、78-79℃で、21A/21A-2をトランスフェクションされた細胞(ここでは、21A転写産物量が非常に増大している)で得られたものに類似した、単一の特異的分子種に特徴的なピークが示された(図6)。これらの結果全体は、細胞増殖制御の新規な重要な因子としての21Aという考えをさらに強める、PBL/静止細胞における非常に活性のある21A転写を証明している。
非増殖細胞における内在性21Aの過剰発現は、21A特異的活性化よりもむしろ広範に増大したRNAポリメラーゼIII活性に関係しているかどうかを調べるために、本発明者らは、同じサンプルにおける5s rRNA発現レベルをリアルタイムRT-PCRによって測定した。結果は、5s rRNA発現と細胞増殖率変化との間の直接的関係は示さず、静止細胞における21Aの過剰発現は、より広範な非特異的Pol III活性の増加よりもむしろ21A特異的転写の活性化の結果であることを示した(図6)。これらの結果全体は、詳細に検証される必要がある21Aプロモーターの予期しない特異的発現制御(細胞増殖状態に関係する)を示唆している。
[結論]
本発明者らは、本明細書において、ヒトゲノムの非コード部分が、DSE及びPSEプロモーターエレメントによって制御される期待されているよりもより多数のncRNA遺伝子を含んでいることを提唱する。それらのプロモーター構造により、これらの遺伝子の多くは、Pol IIIによって転写される可能性が高い。それらは、タンパク質をコードするPol II遺伝子と特異的に共作用し得るため、本発明者らは、それらを共遺伝子と称する。Pol III及びPol II転写ペア間の非常に高い配列相同性を考慮し、さらに21A転写単位の制御活性を検討するにあたって本発明者らが得た結果に照らして、本発明者らは、これらのいくつか(Pol II標的遺伝子との相同性がセンス構造をとるもの)は、異なるメカニズムを有する遺伝子発現制御において役割を担うであろうが、これらの新規なエレメントの大部分が、タンパク質翻訳及び/またはmRNA成熟のアンチセンス阻害剤として作用し得ることを提唱する。これらの知見全体は、PSE/DSE含有プロモーターに関連するncRNA遺伝子セット(その産物がタンパク質をコードする標的の対応するセットと共作用する)の存在の証拠を提供している。
結論として、この研究は、i)Pol II標的遺伝子に対するそれらの可能性のある制御作用について検証されるべき新規な非コード転写産物コレクション、ii)このタイプのプロモーターに特異的な共通の制御領域の同定に有用なPSE依存的プロモーターの新規な供給源、iii)RNA遺伝子発現の制御メカニズムに関与する新規な分子クラス、iiii)腫瘍細胞の増殖制御におけるその興味深い役割は癌研究の関連において詳細に検証される必要があるであろう新規な転写産物(21A)を提供する。
(参考文献)
a:GI:89161185(212843155-212904537領域)に由来するヒトCENP-F遺伝子構造。b:報告されている21Aアンチセンスの相同領域の位置とそれらの同一性パーセンテージ。c:21A/CENP-F相同領域の配列アラインメント。 A:ヒト皮膚線維芽細胞及びHeLa細胞のノーザンブロット分析。結果は、2つのバンドを示し、その1つは(約300 ntに検出される)は21A内在性産物であり、もう1つは(非常に高分子量のもの)はCenPF mRNAを示す。B:21A特異的RT-RCR増幅。非ポリアデニル化転写産物に関して予期されたように、ランダムヘキサマーをプライマーとして用いた反応においてのみ効率的な増幅産物が得られた。C:プロモーター活性トランスフェクションアッセイ。特異的ルシフェラーゼサイレンシングヘアピンは、6つの新規なPSE/DSE依存的プロモーターエレメント(11A、14A、21A、29A、38A、51A)によって転写される。pGL3+pRL:ネガティブコントロール、pSHAG-U6:標準的Pol IIIプロモーター、プロモーターなし:PSE/DSE依存的プロモーターなしのヘアピン、ゆえに転写不活性を生じる。ヘアピンヌクレオチド配列を含むサイレンシング構築物の概略図を含む。D、E:20μM ML-60218細胞透過性Pol III阻害剤または10μg/mL α-アマニチンPol II特異的阻害剤の存在/非存在下における、プロモーター活性トランスフェクションアッセイ。結果を、処理サンプル対非処理サンプルのルシフェラーゼ発光として報告する。 A−D:構築物の構造。p21A:転写単位全体、p21A-1:プロモーター領域、p21A-2:転写領域、pMock:空ベクター、p:PSEエレメント、d:DSEエレメント、t:TATAボックス。E−H:構築物のトランスフェクション0、24、48、及び72時間後のCENP-Fタンパク質の発現レベル。l:抗チューブリン抗体(等量のタンパク質がのせられたことを示す)。横縞カラム:ウエスタンブロット分析によって測定されたCENP-F発現調節の定量的測定結果。塗りつぶしたカラム:リアルタイムRT-PCR分析によって測定されたCENP-F mRNA発現調節の定量的測定結果。I−N:外因性21A発現がCENP-Fタンパク質発現に反比例して相関することを示す、トランスフェクションサンプルにおける21A RNAレベル。O:21A増幅産物の解離曲線。A:21AをトランスフェクションされたHeLa細胞。B:非常に低い21A転写の基底レベルを示すトランスフェクションされていないHeLa細胞。 A:21A構築物のトランスフェクション48時間後のHeLa細胞の増殖阻害。結果は、増殖阻害剤としてのAlu Jb含有領域の特異性を強調する。B:pAnti-21A及びsi21Aトランスフェクション48時間後のHeLa細胞の増殖増加。siEx-FABP:無関係のニワトリ特異的siRNA(ネガティブコントロール)。C、D:Anti-A21構築物の構造。転写領域が反転しており、21Aプロモーターとその終結部位を維持している。si21A:siRNA 21A特異的。構築物のトランスフェクション0、24、及び48時間後のCENP-F発現レベル。l:抗チューブリン抗体(等量のタンパク質がのせられたことを示す)。横縞カラム:ウエスタンブロット分析によって測定されたCENP-F発現増加の定量的測定結果。塗りつぶしたカラム:リアルタイムRT-PCR分析によって測定されたCENP-F mRNA発現調節の定量的測定結果。 21A構築物のトランスフェクション後のマウスNIH-3T3細胞の増殖率。増殖の低下は観察されなかった。 種々の細胞タイプにおける21A内在性RNAのリアルタイムRT-PCR分析。横縞カラム:21A RNA。塗りつぶしたカラム:5s rRNA。PBLにおける21A増殖産物の解離曲線を報告する。 すべての推定上プロモーター配列におけるDSEコンセンサス配列の総数(Y軸)対隣接するPSEエレメント(50bp長の配列クラスに分類される)からの距離(X軸)のグラフ表示。予想どおり、高頻度のDSEコンセンサスが、PSEから約200塩基対の距離に関連している。傾向線(多項式)によって示されるように、DSE頻度はPSEの約800塩基対上流で有意に低下しており、このことは、これらの推定上プロモーターにおいてPSE/DSEの機能的相互関係をおおよそ示唆している。 4つの転写産物(11A、20A、21A、及び29A)の二次構造についてのin silico分析。
(配列表)

Claims (22)

  1. −RNAポリメラーゼIIIによって転写され;
    −いかなるポリアデニル化末端付加を受けず(Pol IIによって転写される遺伝子に関して);且つ
    −1つ以上の特異的RNAポリメラーゼIIによって転写される標的遺伝子の発現を調節することができる;
    を特徴とするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
  2. 前記ヌクレオチド配列が、特異的RNAポリメラーゼIIによって転写される標的遺伝子の鎖のうちの1つの断片と少なくとも70%同一である少なくとも50ヌクレオチドの配列を含む、請求項1に記載の核酸。
  3. 少なくとも50ヌクレオチドの前記配列が、特異的RNAポリメラーゼIIによって転写される標的遺伝子の鎖のうちの1つの断片に関して、センスまたはアンチセンスの構造をとる、請求項2に記載の核酸。
  4. 配列番号51〜配列番号84の配列のうちの1つに含まれる、請求項1に記載の核酸。
  5. 特異的RNAポリメラーゼIIによって転写される標的遺伝子の鎖のうちの1つの断片と少なくとも70%同一である少なくとも50ヌクレオチドの配列が、配列番号51〜配列番号84の配列の下線を引かれた断片のうちの1つに含まれる、請求項4に記載の核酸。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸を含む発現ベクター。
  7. 請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸のレパートリーを含む、特定の核酸配列の検出用アレイ。
  8. RNAポリメラーゼIIによって転写される遺伝子の発現を調節するための、請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸の使用。
  9. 分子病変の治療及び/または予防のための標的配列を同定するための、請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸の使用。
  10. 病変がアルツハイマー病を含む年齢関連性病変である、請求項9に記載の核酸の使用。
  11. 病変が細胞増殖の変化によって引き起こされる、請求項9に記載の核酸の使用。
  12. 病変が腫瘍関連性病変である、請求項11に記載の核酸の使用。
  13. RNAポリメラーゼIIIによって仲介される請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸の発現を調節し得る少なくとも1つの配列を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸。
  14. RNAポリメラーゼIIIによって仲介される請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸の発現を調節し得る配列がプロモーター配列である、請求項13に記載の核酸。
  15. RNAポリメラーゼIIIによって仲介される請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸の発現を調節し得る配列が配列番号51〜配列番号84の配列のうちの1つに含まれる、請求項13または14に記載の核酸。
  16. RNAポリメラーゼIIIによって仲介される請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸の発現を調節し得る配列が配列番号51〜配列番号84の配列の太字領域に含まれる、請求項15に記載の核酸。
  17. 1つ以上の特異的RNAポリメラーゼIIによって転写される標的遺伝子の発現を調節するための、請求項13から16のいずれか一項に記載の核酸の使用。
  18. 分子病変の治療及び/または予防のための標的配列を同定するための、請求項13から16のいずれか一項に記載の核酸の使用。
  19. 病変がアルツハイマー病を含む年齢関連性病変である、請求項18に記載の核酸の使用。
  20. 病変が細胞増殖の変化によって引き起こされる、請求項18に記載の核酸の使用。
  21. 病変が腫瘍関連性病変である、請求項20に記載の核酸の使用。
  22. RNAポリメラーゼIIによって転写される特定のヌクレオチド配列の発現またはサイレンシングを得るための、請求項13から16のいずれか一項に記載の核酸を含むベクター。
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