JP2009233024A - 迷走神経刺激システム - Google Patents
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Abstract
【課題】迷走神経を刺激するタイミングや刺激の強度を調節することにより、迷走神経に刺激電極を巻きつけることなく、患者に違和感を与えないで迷走神経の刺激ができるようにする。
【解決手段】横隔神経の近傍に位置する迷走神経に対して、刺激電極(体表電極又は皮下電極)により、皮膚または神経鞘を介して間接的に電気的刺激を与えるようにする。この刺激電極に供給される神経刺激信号は、呼吸と関係する第一の期間(吸気期間)に供給され、第二の期間(呼気期間)には、刺激電極に神経刺激信号が供給されないように制御される。神経刺激信号の刺激強度は、神経刺激信号パラメータによって決定される。
【選択図】図1
【解決手段】横隔神経の近傍に位置する迷走神経に対して、刺激電極(体表電極又は皮下電極)により、皮膚または神経鞘を介して間接的に電気的刺激を与えるようにする。この刺激電極に供給される神経刺激信号は、呼吸と関係する第一の期間(吸気期間)に供給され、第二の期間(呼気期間)には、刺激電極に神経刺激信号が供給されないように制御される。神経刺激信号の刺激強度は、神経刺激信号パラメータによって決定される。
【選択図】図1
Description
本発明は、迷走神経への電気刺激療法を実施するための迷走神経刺激システムに関し、特に、皮下あるいは体表から間接的に迷走神経を刺激することが可能な迷走神経刺激システムに関する。
近年、心臓の疾病として、心筋梗塞等の原因となる致死的不整脈が重要な問題となっているが、この致死的不整脈を予防するために、迷走神経に電気的刺激を与えることが有効であることが知られている。
つまり、迷走神経への電気的刺激を行うと心拍数が低下するため、この心拍数低下に伴い、心筋酸素消費量を減少させて、心筋の酸欠状態を予防あるいは改善しようとするものである。これにより、心筋虚血やこれに伴う致死的不整脈の発生が防止されるので、心不全の治療や予防に効果があるとされている。
つまり、迷走神経への電気的刺激を行うと心拍数が低下するため、この心拍数低下に伴い、心筋酸素消費量を減少させて、心筋の酸欠状態を予防あるいは改善しようとするものである。これにより、心筋虚血やこれに伴う致死的不整脈の発生が防止されるので、心不全の治療や予防に効果があるとされている。
この迷走神経への電気的刺激が心臓疾患の治療に効果があることに鑑み、本発明者は、迷走神経の電気的刺激を行うことにより致死的不整脈の発生を防止する心臓治療装置を提案した(特許文献1を参照)。この提案は、心拍数の許容変動範囲を定め、心拍数がこの許容変動範囲を超過した場合に迷走神経の刺激を行い、心拍数がこの許容変動範囲を下回った場合には、迷走神経の刺激を行うのではなく、心臓刺激を行うことによって心拍数の安定化をはかろうとするものである。
しかしながら、特許文献1に記載の心臓治療装置では、頸部の迷走神経に神経電極を直接巻きつけて装着するものであるが、この迷走神経への神経電極の装着には高度な技術が必要となる。このため、神経電極を取り付ける術中操作において迷走神経を損傷させたり、あるいは神経電極の装着後でも神経電極が迷走神経を機械的に圧迫して、迷走神経を損傷させたりするおそれがあった。更に、頸部にはさまざまな神経が通っているため、例えば、迷走神経と略平行に走っている横隔神経(横隔膜の上下動を制御する神経)等にも損傷を与えてしまうという問題もあった。
また、断線などの電極リードに起因したトラブルや、予期しない感染などによって神経電極を交換しなければならない場合がある。そのような場合に、迷走神経に巻きつけた神経電極を取り外して交換することは、相当困難な作業を強いられるという問題があった。例えば、迷走神経に巻きつけた電極が周辺組織と強固に癒着し、交換が非常に困難な場合などである。
そこで、迷走神経に神経電極を巻きつけるといった面倒な作業を必要としないで、迷走神経を刺激する方法が求められており、一案として体表面あるいは皮下部分から間接的に迷走神経に刺激を与えることが考えられる。しかし、一方において、迷走神経には併走している多くの神経があるので、それらの神経に影響を与えないで、迷走神経のみに必要な刺激を与えることは、極めて困難である。
ところで、特許文献1の技術では、神経電極を頚部の迷走神経に巻きつけているのであるが、この迷走神経は、頚動脈鞘内の内頚静脈と総頚動脈の間を垂直に下方へ走行している神経である。また、上述したように、この頚動脈鞘の直ぐ外側を横隔膜の運動を支配する横隔神経が併走している。したがって、神経電極を皮下や体表面に置いて迷走神経の刺激を行った場合には迷走神経だけではなく、横隔神経を刺激する可能性が大きい。
このように、迷走神経を刺激する際に、横隔神経に対して、突発的に強い刺激が入ったり、持続的な刺激が入ったりすると、しゃっくりや奇異的な横隔膜運動に伴う呼吸の乱れが発生する。この呼吸の乱れが患者に違和感や不快感を与えることは言うまでもない。この不快感をなくすには、仮に迷走神経刺激の際に横隔神経が刺激されても、しゃっくりや奇異的な横隔膜運動に伴う呼吸の乱れが生じないように、迷走神経刺激信号が調整できればよい。つまり、迷走神経への刺激のタイミングを考慮して、仮に迷走神経だけでなく横隔神経が刺激されても、通常の呼吸と同様な横隔膜の運動が行われるようにすればよい。このため、迷走神経に対する刺激を間欠的でその強度をなめらかに制御することが必要となる。
本発明は、上記問題点を解決するためのなされたものであり、上述したような、電極リードに起因したトラブルや感染などがあった場合でも、神経刺激電極の抜去を容易にするとともに、迷走神経以外の他の神経への影響、特に横隔神経への影響を極力少なくした迷走神経刺激システムを提供することを目的としている。このため、本発明では、仮に迷走神経への刺激が横隔神経に及んだ場合の横隔膜の動きを踏まえて、迷走神経を刺激するタイミングや刺激の強度を調節することにより、迷走神経に電極を巻きつけるといった神経電極と迷走神経との直接的な接触を避けても、迷走神経の刺激ができるようにしている。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明は、横隔神経の近傍に位置する迷走神経に対して、間接的に電気的刺激を与える電極と、この電極に接続して迷走神経を刺激するための神経刺激信号を発生する刺激装置とからなる迷走神経刺激システムである。この迷走神経刺激システムは、神経刺激信号を電極に供給する第一の期間と神経刺激信号を電極に供給しない第二の期間とが設定され、第一の期間において、神経刺激信号の少なくとも一部の刺激強度が時間とともに漸増及び/または漸減することを特徴としている。ここで”間接的に電気的刺激を与える”とは、迷走神経に直接電極を巻きつけることなく、頚動脈鞘よりも外側に電極を置いて迷走神経を刺激することを指す。なお、電極配置の例として、皮膚上に電極を置く、皮膚と広頚筋の間に電極を置く、広頚筋と胸鎖乳突筋の間に電極を置く、頚動脈鞘に直接電極を装着するなどがある。
また、本発明の好ましい形態として、迷走神経刺激に用いられる電極は、体表面に装着される体表面電極の場合と、皮下に植え込まれる皮下電極が考えられる。そして、刺激装置としては、上記体表面電極か皮下電極かにより、体外に設けられる体外型刺激装置とする場合と、体内に埋め込まれる植込型刺激装置とする場合に分けられる。
また、本発明の好ましい形態として、神経刺激電極に供給される神経刺激信号は、複数の電気的パルスから構成されることを特徴としており、この神経刺激信号の漸増及び/または漸減は、この電気的パルスのパラメータを調節することによってなされるようになっている。
そして、この電気的パルスのパラメータとしては、パルス間周期、パルス幅、パルス数、パルス電流、パルス電圧の少なくとも1つ、もしくはこれらの中から選ばれる複数の組み合わせが考えられている。そして、パラメータの調節のいくつかのパターンとして、パルス電流またはパルス電圧の振幅値を変化させる方法や、パルス間隔(周波数でも同じ)を変化させる方法が挙げられる。
また、本発明の好ましい形態では、電極に加えられる刺激強度の漸増の部分は、第一の期間の開始後の所定期間になされ、第一の期間に電極に加えられる刺激強度の漸減の部分は、第一の期間の終了前の所定期間になされるようになっている。
更に、本発明の好ましい形態では、運動を検出するセンサを備え、このセンサ出力に基づいて、第一の期間と前記第二の期間の少なくとも一方の期間を調整するようにしている。ここで、運動を検出するセンサとしては、加速度センサまたは体動センサが用いられる。
本発明の好ましい形態では、これらのセンサが運動を検出した場合には、第二の期間を短縮させる制御を行うことに加え、必要に応じて、更に第一の期間を短縮させるように制御する。
また、本発明の好ましい形態としては、呼吸を検出する手段を備え、呼吸を検出した場合には、第一の期間の開始を遅らせるようにしている。ここで、呼吸の検出は、胸部のインピーダンスの計測に基づいて行われる。
また、本発明の好ましい形態としては、更に、神経刺激信号の発生開始後、もしくは神経刺激信号の発生に先だって、迷走神経の刺激が行われたこと、もしくは近未来に迷走神経の刺激が行われることを知らせる報知手段を備えている。この報知手段としては、可聴音を発するアラーム(ブザー)のようなものとするか、患者が目で確認することができる可視的なインジケータとされる。
また、本発明の好ましい形態としては、更に、神経刺激信号の発生開始後、もしくは神経刺激信号の発生に先だって、迷走神経の刺激が行われたこと、もしくは近未来に迷走神経の刺激が行われることを知らせる報知手段を備えている。この報知手段としては、可聴音を発するアラーム(ブザー)のようなものとするか、患者が目で確認することができる可視的なインジケータとされる。
更に、本発明の好ましい形態としては、心拍数を計測する心拍数計測手段(心拍間隔を計測する心拍間隔計測手段でも良い。)を備え、この心拍数計測手段の出力が所定値を下回った場合(心拍間隔の場合は所定値を上回る場合)に、神経刺激信号の発生を停止させるように制御する。この心拍数(または心拍間隔)の計測は、神経刺激信号が供給される電極の近傍に配置される脈波センサの出力に基づいて行われる。この脈波センサとしても、通常は圧力センサが用いられる。通常は、後述するように、迷走神経を刺激する刺激電極と脈動を検出する脈波センサとが一体になった状態で、体表面に貼り付けられるか(体表面電極の場合)、皮下組織に取り付けられる(皮下電極の場合)。なお、上述の脈波センサのかわりに、心電図情報を用いて心拍数情報を得ることもできる。
本発明によれば、迷走神経を刺激する際に、迷走神経を刺激するタイミングや刺激の強度を、患者の呼吸運動への影響が小さくなるように調節しているので、迷走神経への刺激が横隔神経に及んでも、奇異的な横隔膜の動き(「しゃっくり」などの発生)を極力抑えることができ、患者に与える不快感や違和感を取り除くことができる。したがって、従来のように神経刺激電極を迷走神経に巻きつけるといった面倒な作業を避けることができ、刺激電極を体表面または皮下に取り付けるだけで、迷走神経の刺激を行うことができる。
以下、図1〜図9に基づいて本発明の実施の形態例を説明する。図1は、本発明の第一の実施形態例の全体構成を示したブロック図である。
本実施形態例は、迷走神経刺激装置100と、脈波センサ201を内蔵する体表電極(または皮下電極)200で構成される。この脈波センサ201は、通常、圧力センサであり、頚動脈の内圧の変動(脈動)を検出するものである。
本実施形態例は、迷走神経刺激装置100と、脈波センサ201を内蔵する体表電極(または皮下電極)200で構成される。この脈波センサ201は、通常、圧力センサであり、頚動脈の内圧の変動(脈動)を検出するものである。
迷走神経刺激装置100には、脈波センサ201からの脈動を検出する脈波検出手段10と、身体が運動している状態であるかどうかを検出する運動センサ20からの信号を検出する運動レベル検出手段21が設けられている。運動センサ20は、患者の体に取り付けられて患者の運動状態を検出するセンサであり、例えばペースメーカなどに用いられている加速度センサや振動センサと同じものである。
脈波検出手段10は、脈動から心拍数を計測する心拍数計測手段11に接続されており、心拍数計測手段11は、心拍数限界値比較手段13の一方の入力端子に接続されている。なお、心拍数限界値比較手段13の他方の入力端子には、心拍数限界値記憶手段12が接続されている。
また、運動レベル検出手段21は、第一期間選択手段22と第二期間選択手段23に接続されている。ここで、第一期間は、神経刺激信号が体表電極(または皮下電極)200に供給される期間であり、第二期間は、神経刺激信号が供給されない期間である。第一期間選択手段22は、運動レベル検出手段21が検出した患者の運動レベルに基づいて第一期間を決める(選択する)手段であり、第二期間選択手段23は同様に検出した患者の運動レベルに基づいて第二期間を決める(選択する)手段である。
第一期間選択手段22は、第一期間タイマ24に接続され、第二期間選択手段23は第二期間タイマ25に接続されている。そして、第一期間選択手段22で選択された第一期間が第一期間タイマ24にロードされ、同様に第二期間選択手段23で選択された第二期間が第二期間タイマ25にロードされる。また、第二期間タイマ25は第一期間タイマ24に接続され、第二期間タイマ25からの信号により、第一期間タイマ24のカウントのリセット及びスタートが決定されるようになっている。一方、第一期間タイマ24の出力は、第二期間タイマ25に送られるように構成されており、第一期間タイマ24の出力で、第二期間タイマ25のカウントがリセット及びスタートされる。
また、運動レベル検出手段21は、神経刺激信号パラメータ調節手段27に接続されている。この神経刺激信号パラメータ調節手段27は、運動レベル検出手段21が検出する患者の運動レベルに応じて、後述する神経刺激信号のパラメータの種類や強度の調節を行う手段である。神経刺激信号パラメータ調節手段27は、神経刺激信号発生手段26に接続されている。この神経刺激信号発生手段26は、上述した第一期間タイマ24及び心拍数限界値比較手段13と接続されている。そして、第一期間タイマ24から、動作の開始と停止を制御するスタート/ストップ信号が神経刺激信号発生手段26に供給されている。また、心拍値限界値比較手段13より、神経刺激信号発生手段26に動作状態に入るかどうかを決定するオン/オフ信号が供給されるようになっている。
そして、神経刺激信号発生手段26は、心拍数限界値比較手段13からの信号があるときのみ、つまり、計測した心拍数が限界値より大きいときに動作状態となり、それ以外(計測した心拍数が限界値より小さいとき)は不作動状態となるように制御される。そして、神経刺激信号発生手段26が動作状態の時であって、第一期間タイマ24がカウントしている期間のみ、神経刺激信号が体表電極(または皮下電極)に供給されるようになっている。なお、神経刺激信号の刺激強度については、神経刺激信号パラメータ調節手段27から神経刺激信号発生手段26に供給される信号に基づいて、そのときの患者の状態に最適な刺激強度となるように制御される。
また、本実施形態例の迷走神経刺激装置100では、神経刺激信号発生手段26にインジケータ28が接続されている。このインジケータ28は、ブザー等のアラームを発するものであってもよいし、発光ダイオードの点滅のような視覚により報知するものであってもよい。いずれにしても、迷走神経を刺激するための神経刺激信号が、体表電極(または皮下電極)に供給されたこと、あるいは、まもなく供給されるであろうこと、あるいは、神経刺激信号の供給があとどのくらいの時間で終了するのかを患者に対して報知するためのものである。
図2は、迷走神経202を刺激するための体表電極(または皮下電極)200の構造を示したものである。上述したように迷走神経202は、頚動脈鞘内の内頚静脈と総頚動脈の間を垂直に下方へ走行している神経である。この頚動脈鞘の直ぐ外側には、横隔膜の運動を支配する横隔神経が併走していることも既に説明した。この体表電極200は、図2に示すように、皮膚を介して頚動脈鞘4の上部に一対の刺激電極2a、2bが配置され、その一対の電極間に頚動脈の脈動を検出するための脈波センサ3が配置される構造になっている。上述のように、この脈波センサは一種の圧力センサである。この実施形態例では、脈波センサ3と刺激電極2a、2bが固定部材5に一体に形成されている。そして、体表電極の場合は、刺激電極2a、2bの表面に皮膚との導電性を上げるための粘着ゲルが塗られ、この固定部材5が体の表面に接着剤や両面テープなどにより、貼り付けられるようになっている。また、刺激電極2を植え込み型の皮下電極とする場合であれば、皮下の部分で頚動脈鞘に近接する部分に図示しない糸などを用いて縛り付けることにより固定される構造とされる。
図3は、体表電極(または皮下電極)に供給される神経刺激信号の様子を示したもので、横軸は時間で、上述したように第一期間にパルス状の神経刺激信号が発せられ、第二期間には神経刺激信号は発せられない。図4(a)、(b)は、上記第一期間に発せられる神経刺激信号パルスの刺激強度を制御する例を示した図である。一例として、図4(a)に示すように、第一期間の開始時からしばらくの間は刺激信号パルスの振幅を漸増させ、その後刺激信号パルスの振幅を一定に保つ時間を経て、第一期間の終了に近くなってから刺激信号パルスの振幅が漸減するように制御する。
図4(b)は、上記第一期間に発せられる神経刺激信号パルスの周波数を制御して刺激強度の漸増及び漸減を行う様子を示した例である。図4(b)に示すように、第一期間の開始時からしばらくの間は刺激信号パルスの周波数を暫時高くしていき、第一期間の中央付近では高い周波数のまま所定の期間経過させて、その後暫時周波数を低い状態にしている。
図4(a)の振幅制御でも、あるいは図4(b)の周波数制御にしても、急激に迷走神経に強い強度の刺激信号を加えないで、最初は弱い刺激信号とし、徐々に強い刺激信号とした後に、次第に元の弱い刺激信号にして、第一期間の終わりに刺激信号を停止する構成としている。
図4(a)の振幅制御でも、あるいは図4(b)の周波数制御にしても、急激に迷走神経に強い強度の刺激信号を加えないで、最初は弱い刺激信号とし、徐々に強い刺激信号とした後に、次第に元の弱い刺激信号にして、第一期間の終わりに刺激信号を停止する構成としている。
このように神経刺激信号の刺激強度を制御することにより、仮にこの神経刺激信号が横隔神経に及んだとしても、第一期間初期の刺激強度を漸増させた部分では横隔膜がゆっくりと収縮し、その結果として吸気が行われ、刺激強度を保った部分では横隔膜がその収縮を維持し、第一期間終期の刺激強度を漸減させた部分では横隔膜のゆっくりとした弛緩による呼気が行われて、滑らかな横隔膜の運動による呼吸が行われることになる。また、上述したように、運動レベルの検出に応じた第一期間と第二期間の選択や、神経刺激信号のパラメータの種類や強度の調節も行われるので、運動時にも患者は違和感の少ない迷走神経刺激治療を行うことができる。更に、インジケータにより、神経刺激信号が供給されたこと、あるいは、まもなく供給されるであろうこと、あるいは、神経刺激信号の供給があとどのくらいの時間で終了するのか知ることができるので、患者はこのインジケータに合わせて呼吸を行うことによって、より違和感のない迷走神経刺激治療を行うことができる。
次に、図5のフローチャートに基づいて、本発明の実施形態例の動作を説明する。
処理が開始されると、まず、図1に示す神経刺激信号パラメータ調節手段27において、神経刺激信号のパラメータの初期化が行われる(ステップS1)。初期設定値としては、安静時に供給される神経刺激信号のパラメータが選択される。ここで、神経刺激信号のパラメータとしては、神経刺激信号パルスのパルス間周期(又は周波数)、パルス幅、パルス数、パルス電流、パルス電圧などが考えられる。ステップS1では、これらのパラメータの中で、具体的にどのパラメータを使うのか、あるいはどの二つ(あるいは複数)のパラメータを使って迷走神経の刺激制御を行うのか等について決定される。例えば、いくつかのパターンとして、パルス電流またはパルス電圧の振幅値を変化させる方法(図4(a)の方法)や、パルス間隔(周波数でも同じ)を変化させる方法(図4(b)の方法)等が挙げられる。
処理が開始されると、まず、図1に示す神経刺激信号パラメータ調節手段27において、神経刺激信号のパラメータの初期化が行われる(ステップS1)。初期設定値としては、安静時に供給される神経刺激信号のパラメータが選択される。ここで、神経刺激信号のパラメータとしては、神経刺激信号パルスのパルス間周期(又は周波数)、パルス幅、パルス数、パルス電流、パルス電圧などが考えられる。ステップS1では、これらのパラメータの中で、具体的にどのパラメータを使うのか、あるいはどの二つ(あるいは複数)のパラメータを使って迷走神経の刺激制御を行うのか等について決定される。例えば、いくつかのパターンとして、パルス電流またはパルス電圧の振幅値を変化させる方法(図4(a)の方法)や、パルス間隔(周波数でも同じ)を変化させる方法(図4(b)の方法)等が挙げられる。
次に、第一期間選択手段22により、第一期間の初期値を第一期間タイマ24にロードする(ステップS2)。上述したように、この第一期間は迷走神経に神経刺激信号を供給する期間であり、仮にこの神経刺激信号が横隔神経に及んだ場合には1回の呼吸時間に相当する。通常、この第一期間の初期値設定としては、運動をしていない安静時の呼吸時間に設定される。例えば、安静時に、1分間に10回の呼吸をする患者が装着対象者である場合、1回の呼吸時間は6秒である。したがって、この6秒が第一期間タイマ24の初期値としてロードされる。
続いて、第二期間選択手段23により、第二期間の初期値を第二期間タイマ25にロードする(ステップS3)。この第二期間は迷走神経に神経刺激信号を供給しない期間で、第一期間として設定された時間の整数倍に設定すると、患者はこの期間に自発的に呼吸を行うことができて違和感が少ない。第二期間を長く設定すると迷走神経刺激治療の効果が小さくなり、また短かすぎると患者の呼吸を乱すことも考えられるので、第一期間の数倍程度に設定するのが望ましい。
ステップS2,S3で、初期の第一期間と第二期間が設定されると、その期間が、報知手段である図1に示すインジケータ28に通知される(ステップS4)。ここで、重要なのは迷走神経に神経刺激信号を供給する第一期間であり、この期間が始まる直前か開始直後の時間にインジケータ28による報知が行なわれる。なお、インジケータ28としては、LEDなどの発光手段により光の点滅等がなされる視覚によるインジケータや、スピーカなどの発音手段によりブザー音が発せられる音によるインジケータを用いることができる。
次に、第一期間タイマ24は第一期間のカウントを開始するとともに、神経刺激信号発生手段26にスタート信号が供給され、神経刺激信号発生手段26は、神経刺激信号パラメータ調節手段27で調節された神経刺激信号のパラメータに基づいて、刺激電極に対して、神経刺激信号を発生する(ステップS6)。なお、この神経刺激信号を発する場合は、心拍数限界値比較手段13から神経刺激信号発生手段26に対して、迷走神経の刺激を許可するオン信号が供給されている場合に限られる。これについては、次のステップS7以降で説明される。
上述のように、ステップS6の神経刺激信号の発生には、心拍数計測手段11による心拍数の計測結果が影響している。以下のステップでは心拍数の計測に関わる処理について説明する。
まず、体表電極(または皮下電極)200内に設けられた脈波センサ201からの脈動信号に基づいて、心拍数計測手段11で心拍数の計測が行われる(ステップS7)。続いて、心拍数限界値比較手段13において、計測した心拍数が心拍数限界値記憶手段12に記憶された下限値と比較される(ステップS8)。ここで下限値として記憶されている心拍数は、医師が患者の身体状況から判断して設定されるものであるが、通常は、安静時の心拍数よりも若干小さい値の毎分40〜50回程度に設定される。迷走神経の刺激は心拍数を低下させるが、この下限値の心拍数よりも心拍数が下がると患者はめまい等を起こす危険性があるので、あらかじめ迷走神経を刺激する際の心拍数の下限値を決めておき、この下限値の心拍数よりも心拍数が小さくなった場合は、迷走神経を刺激しないように制御している。
まず、体表電極(または皮下電極)200内に設けられた脈波センサ201からの脈動信号に基づいて、心拍数計測手段11で心拍数の計測が行われる(ステップS7)。続いて、心拍数限界値比較手段13において、計測した心拍数が心拍数限界値記憶手段12に記憶された下限値と比較される(ステップS8)。ここで下限値として記憶されている心拍数は、医師が患者の身体状況から判断して設定されるものであるが、通常は、安静時の心拍数よりも若干小さい値の毎分40〜50回程度に設定される。迷走神経の刺激は心拍数を低下させるが、この下限値の心拍数よりも心拍数が下がると患者はめまい等を起こす危険性があるので、あらかじめ迷走神経を刺激する際の心拍数の下限値を決めておき、この下限値の心拍数よりも心拍数が小さくなった場合は、迷走神経を刺激しないように制御している。
ステップS8で、計測した心拍数が心拍数限界値記憶手段12に記憶された下限値よりも大きいと判断された場合、すなわち、迷走神経の刺激を行ってもよいと判断された場合には、続いて、第一期間タイマ24がタイムアウトしているかどうかが判断される(ステップS9)。つまり、第一期間タイマ24がステップS2で設定した第一期間(吸気期間)をカウント中であるか否かが判断される。第一期間中であれば、第一期間タイマ24はタイムアウトしていないため、ステップS8に戻り、第一期間タイマ24がタイムアウトしたと判断された場合は、神経刺激信号の発生を停止させる(ステップS10)。なお、ステップS10では、神経刺激信号の発生を停止するとしているが、神経刺激信号の刺激強度を弱くするように制御してもよい。
また、ステップS8で、心拍数が下限値より小さいと判断された場合(ステップS8のNO)は、心拍数限界値比較手段13は、神経刺激信号発生手段26に対して、その動作を停止させるためのオフ信号を供給する。そして、神経刺激信号発生手段26は、このオフ信号を受け取ると、神経刺激信号の発生を停止し(ステップS11)、第一期間タイマ24がタイムアウトするのを待つ(ステップS12)。ステップS10の神経刺激信号の停止後、あるいはステップS12の第一期間タイマ24のタイムアウト後に、第二期間タイマ25がカウントを開始する(ステップS13)。そして、第二期間タイマ25がカウントを終了する(タイムアウトする)のを待つ(ステップS14)。第二期間タイマ25がタイムアウトすると、次のステップ(A)(図6参照)に移行する。
次に、図6に基づいて、運動センサ20と運動レベル検出手段21の動作説明を行う。まず、運動センサ20と運動レベル検出手段21により、患者の運動レベルが検出される(ステップS15)。患者が運動すると、その呼吸時間は短くなり、横隔膜の収縮も強くなる。運動時に、仮に安静時を想定した第一期間、第二期間、神経刺激信号パラメータによる神経刺激信号が横隔神経に及んだとすると、この神経刺激信号に起因した安静時の呼吸運動と運動時の自発呼吸の運動が混在して、横隔膜の不規則な運動が起こり、患者は強い不快感を感じることになる。したがって、運動時には、仮に神経刺激信号が横隔神経に及んだ場合にも患者に不快感を感じさせないように、呼吸時間が短く、横隔膜の収縮が強くなるような第一期間、第二期間、神経刺激信号パラメータを調節する必要が生じることになる。
まず、第一期間選択手段22により、検出した運動レベルに対応した第一期間が選択され、これが第一期間タイマ24にロードされる(ステップS16)。また、神経刺激信号パラメータ調節手段27は、運動レベル検出手段21からの信号を受け取り、上述した神経刺激信号パルスのパルス電流、パルス電圧等の神経刺激信号パラメータを運動レベルに対応したパラメータに調節して、神経刺激信号発生手段26に供給する(ステップS17)。続いて、第二期間選択手段23により運動レベルに対応した第二期間が選択され、これが第二期間タイマ25にロードされ(ステップS18)、ステップS4(図5の(B)参照)に戻る。そして、新しく設定された運動レベルに応じた第一期間、第二期間及び神経刺激信号パラメータに基づいて、図5及び図6に示したステップS4〜ステップS18までのループ処理が繰り返される。
図7は、本発明の迷走神経刺激システムの第二の実施形態例を示したブロック図である。
図1に示した第一の実施形態例と同じブロックは、同一符号を記し、説明は省略する。
図1に示した第一の実施形態例と異なるところは、心拍数を計測する手段として、心電図/胸部インピーダンス計測電極30からの心電図の信号を用いている点である。すなわち、図1の第一の実施形態例では、体表電極(または皮下電極)200内に設けた脈波センサ201により、頚動脈の脈動を検出して心拍数を計測していたが、この第二の実施形態例では、R波検出手段33を用いて心電図からR波を検出し心拍数を導出している。
図1に示した第一の実施形態例と同じブロックは、同一符号を記し、説明は省略する。
図1に示した第一の実施形態例と異なるところは、心拍数を計測する手段として、心電図/胸部インピーダンス計測電極30からの心電図の信号を用いている点である。すなわち、図1の第一の実施形態例では、体表電極(または皮下電極)200内に設けた脈波センサ201により、頚動脈の脈動を検出して心拍数を計測していたが、この第二の実施形態例では、R波検出手段33を用いて心電図からR波を検出し心拍数を導出している。
ここで、R波とは、心拍一回ごとに心電図に現れる波形の中で、最も大きい振幅を有する波形である。通常、心拍一回ごとに心電図に現れる波形は、大きくP、Q、R、S、T波という5つの波で構成されており、その中でもっとも目立つのがR波(QRS波とも言われる)で、心室が収縮したときに現れるものである。
加えて、心電図を測定する際に用いられる心電図/胸部インピーダンス計測電極30から、胸部インピーダンスを計測し、この計測した胸部インピーダンスから、呼吸の有無を検出している。ここで、胸部インピーダンスとインピーダンス計測手段31及び呼吸検出手段32の動作について説明する。
まず、胸部インピーダンスであるが、これは、心電図/胸部インピーダンス計測電極30を通して、胸部に微弱な電流を流すことによって測定されるインピーダンスである。この胸部インピーダンスは、肺への空気の出入りにより、変化することが知られており、息を吐ききった状態での胸部インピーダンスをベースラインとすると、吸気時には胸部インピーダンスはベースラインから減少していき、呼気時には胸部インピーダンスは反転して増加し再びベースラインに戻る。
まず、胸部インピーダンスであるが、これは、心電図/胸部インピーダンス計測電極30を通して、胸部に微弱な電流を流すことによって測定されるインピーダンスである。この胸部インピーダンスは、肺への空気の出入りにより、変化することが知られており、息を吐ききった状態での胸部インピーダンスをベースラインとすると、吸気時には胸部インピーダンスはベースラインから減少していき、呼気時には胸部インピーダンスは反転して増加し再びベースラインに戻る。
このため、インピーダンス計測手段31によって胸部インピーダンスを測定することにより、呼吸検出手段32は呼吸の有無を検出することが可能で、胸部インピーダンスのベースラインよりも若干小さい値の閾値を予め設定し、測定した胸部インピーダンスがこの閾値よりも小さいときは呼吸が行われていると判断し、閾値よりも大きいときは呼吸が終了したと判断する。この呼吸検出手段32は、第一期間タイマ24に接続されており、呼吸検出手段32の出力によって、第一期間タイマ24のスタートとリセットが制御され、また、呼吸検出手段32は第二期間タイマ25とも接続されており、第二期間タイマ25の出力が呼吸検出手段32に供給されるようになっている。
そして、呼吸検出手段32での呼吸検出と第二期間タイマ25の出力の関係により第一期間タイマ24のスタートとリセットを制御して、第一期間の開始を遅らせる(ディレイ)ことができる。すなわち、迷走神経の刺激を行わない第二期間後(第二期間タイマ25のタイムアウト後)に、呼吸検出手段32により呼吸が行われていると判断された場合には、この呼吸が終了するのを待って第一期間(神経刺激)を開始するようにする。これにより、自発呼吸が終了するのを待って神経刺激信号を供給することになるので、仮に神経刺激信号が横隔神経に及んでも自発呼吸に干渉することがなくなる。
なお、上記以外のブロック構成及び動作は、図1の第一実施形態例と同じであるので、説明は割愛する。
なお、上記以外のブロック構成及び動作は、図1の第一実施形態例と同じであるので、説明は割愛する。
次に、図8と図9に基づいて、図7に示した本発明の第二の実施形態例の動作について説明する。ただし、図8のステップS1からステップS13までの動作は、図5に示した第一の実施形態例の動作説明で用いたステップS1からステップS13の動作と略同じなので、同一符号を付けて説明を省略する。
第一の実施形態例(図1〜6に基づいて説明)と第二の実施形態例の異なる動作は、心拍数の検出動作(図5のステップS7)と、胸部インピーダンスを用いた呼吸検出手段32にかかる部分である。心拍数の検出動作については、既に説明したように、脈波センサ201に代えて心電図からのR波検出手段を用いただけなので、ここで改めて説明する必要はない。以下、呼吸検出について、図9に示したフローチャートに基づいて説明する。
まず、図8のステップS13の第二期間タイマ25のカウントが開始されると、次のステップとして図9の(A)に移行する。そして、第二期間タイマ25がタイムアウトしたかどうかが判定される(ステップS14)。第二期間のカウントが終了した(タイムアウト)後に、図7の呼吸検出手段32によって、呼吸の検出が行われたかどうかが判断される(ステップS20)。
ステップS20で呼吸が検出された場合、すなわち測定した胸部インピーダンスが閾値より小さいときには、続いて、検出した呼吸が終了したか否かが判断される(ステップS21)。ここで、呼吸が終了したとは、測定した胸部インピーダンスが閾値を上回ることである。この呼吸が終了したことを確認した場合のみ、神経刺激を行う第一期間をスタートさせるようにする。図9のステップS15〜S18は、図6で説明した流れと同じなので、ここでの説明は省略する。
以上説明したように、本発明の第一実施形態例及び第二の実施形態例は、いずれも心拍数を安静状態の心拍数よりも若干小さい値の下限値と比較して、心拍数が下限値を下回ったときは、迷走神経の刺激を停止している。また、運動センサ20から得られる運動レベルに応じて、神経刺激を行う第一期間と神経刺激を行わない第二期間を設定すると共に、神経刺激信号パラメータを調節している。
特に、本発明の第二実施形態例では、心拍数の計測を心電図情報に基づいて行っているので、心電図情報を取るときに用いる心電図/胸部インピーダンス計測電極30より、胸部インピーダンスの変化から呼吸の有無を検出し、この呼吸に状態に応じて神経刺激のタイミングを調節している。
特に、本発明の第二実施形態例では、心拍数の計測を心電図情報に基づいて行っているので、心電図情報を取るときに用いる心電図/胸部インピーダンス計測電極30より、胸部インピーダンスの変化から呼吸の有無を検出し、この呼吸に状態に応じて神経刺激のタイミングを調節している。
このように、本発明の実施形態例では、迷走神経を刺激する際に、迷走神経を刺激するタイミングや刺激の強度を患者の運動レベルや呼吸に合わせて調節しているため、仮に、迷走神経への刺激が近傍を通っている横隔神経に及んでも、奇異的な横隔膜の動き(「しゃっくり」などの発生)を極力抑えることができ、また、運動中も自発呼吸を妨げることなく、違和感の少ない迷走神経刺激治療を行うことができる。
したがって、従来のように、横隔神経に影響を与えないで迷走神経を刺激するための面倒な作業である、神経刺激電極を直接迷走神経に巻きつけるといった作業をする必要がない。
なお、本発明の迷走神経刺激システムは、致死性不整脈や心不全の予防や治療に利用できるだけでなく、頚部迷走神経の刺激を伴う、他の複数の治療(てんかん、うつ、不安症、アルツハイマー病、片頭痛)に利用することが可能である。
したがって、従来のように、横隔神経に影響を与えないで迷走神経を刺激するための面倒な作業である、神経刺激電極を直接迷走神経に巻きつけるといった作業をする必要がない。
なお、本発明の迷走神経刺激システムは、致死性不整脈や心不全の予防や治療に利用できるだけでなく、頚部迷走神経の刺激を伴う、他の複数の治療(てんかん、うつ、不安症、アルツハイマー病、片頭痛)に利用することが可能である。
以上、本発明の迷走神経刺激システムを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限り、他の応用例、変形例にも及ぶものであることは言うまでもない。
100・・・迷走神経刺激装置、2a、2b、200・・・体表電極(刺激電極)、3、201・・・脈波センサ、10・・・脈波検出手段、11・・・心拍数計測手段、12・・・心拍数限界値記憶手段、13・・・心拍数限界値比較手段、20・・・運動センサ、21・・・運動レベル検出手段、22・・・第一期間選択手段、23・・・第二期間選択手段、24・・・第一期間タイマ、25・・・第二期間タイマ、26・・・神経刺激信号発生手段、27・・・神経刺激信号パラメータ調節手段、28・・・インジケータ、30・・・心電図/胸部インピーダンス計測電極、31・・・インピーダンス検出手段、32・・・呼吸検出手段
Claims (18)
- 横隔神経の近傍に位置する迷走神経に対して、間接的に電気的刺激を与える電極と、
前記電極に接続して迷走神経を刺激するための神経刺激信号を発生する刺激装置とからなる迷走神経刺激システムであって、
前記神経刺激信号を前記電極に供給する第一の期間と前記神経刺激信号を前記電極に供給しない第二の期間とが設定され、
前記第一の期間において、前記神経刺激信号の少なくとも一部の刺激強度が時間とともに漸増及び/または漸減することを特徴とする迷走神経刺激システム。 - 前記電極は、体表面に装着される体表面電極であり、前記刺激装置は、前記体外に設けられる体外型刺激装置であることを特徴とする請求項1に記載の迷走神経刺激システム。
- 前記電極は、皮下に植え込まれる皮下電極であり、前記刺激装置は、体内に埋め込まれる植込型刺激装置であることを特徴とする請求項1に記載の迷走神経刺激システム。
- 前記神経刺激信号は、複数の電気的パルスから構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の迷走神経刺激システム。
- 前記神経刺激信号の漸増及び/または漸減は、前記電気的パルスの種々のパラメータを調節することによってなされることを特徴とする請求項4に記載の迷走神経刺激システム。
- 前記パラメータは、前記電気的パルスのパルス間周期又は周波数、パルス幅、パルス数、パルス電流、パルス電圧の少なくとも1つ、もしくはこれらの中から選ばれる複数の組み合わせであることを特徴とする請求項5に記載の迷走神経刺激システム。
- 前記パラメータの調節は、前記パルス電流またはパルス電圧の振幅値を変化させることによって行われることを特徴とする請求項5に記載の迷走神経刺激システム。
- 前記パラメータの調節は、前記パルス間隔又は周波数を変化させることによって行われることを特徴とする請求項5に記載の迷走神経刺激システム。
- 前記第一の期間において前記電極に加えられる前記神経刺激信号の刺激強度の漸増の部分は、前記第一の期間の開始後の所定期間になされ、前記第一の期間において前記電極に加えられる前記神経刺激信号の刺激強度の漸減の部分は、前記第一の期間の終了前の所定期間になされることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の迷走神経刺激システム。
- 更に、運動を検出するセンサを備え、該センサ出力に基づいて、前記第一の期間と前記第二の期間の少なくとも一方の期間を調整することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の迷走神経刺激システム。
- 前記センサが運動を検出した場合に、前記第二の期間を短縮することを特徴とする請求項10に記載の迷走神経刺激システム。
- 前記センサが運動を検出した場合に、更に前記第一の期間を短縮することを特徴とする請求項11に記載の迷走神経刺激システム。
- 更に、呼吸を検出する呼吸検出手段を備え、該呼吸検出手段が呼吸を検出した場合に、前記第一期間の開始を遅らせることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の迷走神経刺激システム。
- 前記呼吸検出手段は、胸部インピーダンスの計測によってなされることを特徴とする請求項13に記載の迷走神経刺激システム。
- 更に、前記神経刺激信号の発生開始後、もしくは前記神経刺激信号の発生に先だって、前記迷走神経の刺激が行われたこと、もしくは行われることを知らせる報知手段を備えることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の迷走神経刺激システム。
- 更に、心拍数を計測する心拍数計測手段を備え、該心拍数計測手段で計測した心拍数が所定値を下回った場合に、前記神経刺激信号の発生を停止することを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の迷走神経刺激システム。
- 前記心拍数計測手段による心拍数の計測は、前記神経刺激信号が供給される電極の近傍に配置される脈波センサの出力に基づいてなされるものであることを特徴とする請求項16に記載の迷走神経刺激システム。
- 前記心拍数計測手段による心拍数の計測は、心電図情報に基づいてなされることを特徴とする請求項16に記載の迷走神経刺激システム。
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