JP2009227029A - ラックリテーナ及びこれを用いたラックピニオン式ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】円滑な移動を確保し得るラックリテーナ及びこれを用いたラックピニオン式ステアリング装置を提供する。
【解決手段】ラックリテーナ12を構成するリテーナ本体16の外周部の所定範囲に一連の嵌合溝を形成して、該嵌合溝にリテーナ本体16を組成する材料よりも摩擦抵抗の小さなフッ素樹脂材等の低摩擦材からなる円筒状の摩擦低減部材17を嵌合させることにより、ラックリテーナ12が収容されるリテーナ収容部11内での当該ラックリテーナ12の軸方向移動時の摩擦抵抗を低減することとした。
【選択図】図1
【解決手段】ラックリテーナ12を構成するリテーナ本体16の外周部の所定範囲に一連の嵌合溝を形成して、該嵌合溝にリテーナ本体16を組成する材料よりも摩擦抵抗の小さなフッ素樹脂材等の低摩擦材からなる円筒状の摩擦低減部材17を嵌合させることにより、ラックリテーナ12が収容されるリテーナ収容部11内での当該ラックリテーナ12の軸方向移動時の摩擦抵抗を低減することとした。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、車両のラックピニオン式ステアリング装置に用いるラックリテーナ等の改良に関するものである。
従来のラックピニオン式ステアリング装置としては、例えば、以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
概略を説明すれば、このラックピニオン式ステアリング装置は、ハウジング内に、ステアリングホイールに連係されるピニオン軸と、該ピニオン軸に噛合してこのピニオン軸の回転に伴い軸方向へ移動可能に設けられ、両端が車輪に連係されるラック軸と、このラック軸の背面に対峙するように配置され、該ラック軸の背面側を支持するラックリテーナと、このラックリテーナを介して前記ラック軸を前記ピニオン軸側へ付勢する付勢部材と、を備えており、前記ラックリテーナは、ハウジングに設けられたほぼ円筒状のリテーナ収容部内に所定の径方向隙間をもって軸方向移動可能に収容されている。
かかる構成においては、前記径方向隙間を設けることでラックリテーナの軸方向移動時において少なからず径方向への倒れやがたつきを発生させてしまうことになるため、前記ステアリング装置にあっては、該ラックリテーナの外周部に前記径方向隙間よりも大きな線径を有するOリングを嵌着させることにより、ラックリテーナの軸方向移動時における前記がたつき等を抑制することとしている。これにより、ラックリテーナがハウジング(リテーナ収容部の内周面)に当接することによって生じる当接音を防止することが可能となっている。
特開昭48−44928号公報
しかしながら、前記ラックピニオン式ステアリング装置の場合、前記リテーナ収容部内において、当該リテーナ収容部の内周面にOリングを弾接させた状態でラックリテーナを移動させる構成となっているため、当該ラックリテーナが移動する際の摺動抵抗の増大を余儀なくされてしまう。これにより、ラックリテーナの円滑な移動が阻害されてしまうとった技術的課題を招来している。
本発明は、このような技術的課題に着目して案出されたものであって、円滑な移動を確保し得るラックリテーナ及びこれを用いたラックピニオン式ステアリング装置を提供するものである。
本発明は、リテーナ本体の外周部に、当該リテーナ本体を形成する材料よりも摩擦抵抗の小さい低摩擦材からなる摩擦低減部を設けたことを特徴としている。
以下、本発明に係るラックリテーナ及びこれを用いたラックピニオン式ステアリング装置の各実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施の形態では、本発明に係るラックリテーナ等を従来と同様に車両のラックピニオン式ステアリング装置に適用したものを示している。
図1〜図6は本発明に係るラックリテーナを用いたラックピニオン式ステアリング装置の第1の実施の形態を示し、このラックピニオン式ステアリング装置は、図6に示すように、ステアリングホイール1に連係された入力軸2と、該入力軸2に図外のトーションバーを介して同軸上に相対回転可能に連結されて、先端側にピニオンギヤ3aを有する出力軸としてのピニオン軸3と、該ピニオン軸3の前記ピニオンギヤ3aと噛合するラックギヤ4aを前面側の軸方向所定の範囲に有するラック軸5と、を備え、前記ラック軸5の両端が車両の左右輪WL,WRに連係されている。
そして、周知のように、ステアリングホイール1を回転させることで、入力軸2が回転して前記トーションバーが捩られることとなり、このトーションバーの捩れ変形に基づいて生ずる当該トーションバーの弾性力により、入力軸2に追従してピニオン軸3が回転する。そして、前記ピニオン軸3とラック軸4からなるラックピニオン機構をもってピニオン軸3の回転運動がラック軸4の直線運動に変換されることとなり、このラック軸4が左右方向へ移動することによって両車輪WL,WRが操舵されるようになっている。
また、前記ステアリング装置においては、前記入力軸2とピニオン軸3の連係部外周側に配設されたトルクセンサ5によって前記両軸2,3の相対回転変位量から運転者の操舵トルクが検出されて、この検出結果に基づいて制御される電動モータ6から減速機構7を介して前記ピニオン軸3に補助トルクが付与されることとなり、これよって運転者の操舵力がアシストされるようになっている。
そして、前記ラックピニオン機構を構成するピニオン軸3及びラック軸4は、本装置の下部側に配置されるハウジング8内に収容されており、該ハウジング8は、図1に示すように、ラック軸4を軸方向へ移動可能に収容するラック収容部10と、ラック軸4の前面側に臨むようにして前記ラック収容部10と交差するように配置されて、ピニオン軸3を回転自在に収容するピニオン収容部9と、を備えている。
さらに、前記ハウジング8には、ラック軸4の背面側に臨むように前記ラック収容部10からラック軸4の背面側に延設されたリテーナ収容部11が設けられており、該リテーナ収容部11には、ラック軸4の背面側に配置されて、このラック軸4の背面を支持する半円凹状に形成されたサポート面19aを有するラックリテーナ12と、前記ピニオンギヤ3aに対してラックギヤ4aが噛み合う方向へラックリテーナ12を介してラック軸4を付勢する付勢部材であるコイルばね14と、が収容されている。
また、前記リテーナ収容部3の開口状に形成された外側端部には、前記コイルばね14の一端側が着座する有底円筒状のキャップ15が軸方向からねじ締め固定されていて、該キャップ15を進退移動させることで前記コイルばね14の付勢力の調整が可能となっている。さらに、前記キャップ15の先端面とラックリテーナ12の軸方向一端面との間には、ばね部材である皿ばね22が介装されており、ラックリテーナ12のがたつきを防止すると共に、前記ばね部材14がいわゆる底付きした際のラックリテーナ12のキャップ15への衝突を抑制している。
前記ラックリテーナ12は、図1及び図2に示すように、軸方向一端面に前記コイルばね14の他端部が嵌合する環状の凹溝18aを有し、他端部に前記サポート面19aを有するリテーナ本体16と、該リテーナ本体16の外周部の所定範囲に設けられて本発明の摩擦低減部を構成する摩擦低減部材17と、を備えている。なお、リテーナ本体16のサポート面19aには、前記摩擦低減部材17を組成する材質と同様の材質(材質については後述する。)からなる低摩擦シート13が貼り付けられていて、ラック軸4の軸方向移動時における摩擦抵抗を低減するようになっている。
前記リテーナ本体16は、アルミニウム合金材又は鉄系の焼結材からなり、図4に示すように、ほぼ円柱状に形成される軸方向一端側の柱状部18と、該柱状部18からラック軸4と対向する軸方向他端側へ向かって突出形成されて、内周側に前記サポート面19aを構成する一対の突出部19,19と、を有している。そして、このリテーナ本体16の外周部には、前記摩擦低減部材17が配設される範囲に一連の凹部である嵌合溝20が切欠形成されていて、該嵌合溝20に前記摩擦低減部材17が嵌合固定されるようになっている。
前記嵌合溝20は、前記柱状部18の端部外周に周方向に沿って形成された環状溝20aと、該環状溝20aから所定の溝幅をもって前記各突出部19,19の外周部中央を通るように軸方向に沿って延設された軸方向溝20b,20bと、から構成されている。そして、前記環状溝20aは、前記柱状部18の軸方向ほぼ中間位置から当該柱状部18の外端面へと抜けるように切欠形成されていると共に、前記各軸方向溝20b、20bは、前記環状溝20aの内端壁から前記各突出部19,19の先端面に抜けるように貫通形成されている。
一方、前記摩擦低減部材17は、前記低摩擦材であるフッ素樹脂材(例えば4フッ化エチレン樹脂材)によって前記嵌合溝20に対応する形状に一体に形成されていて、図5に示すように、前記環状溝20aに嵌合する環状部17aと、該環状部17aの一端から軸方向に沿って前記各突出部19,19の先端まで及ぶように延設されて前記各軸方向溝20b,20bに嵌合する一対の延設部17b,17bと、を有し、その内径はリテーナ本体16の嵌合溝20部分の外径とほぼ同じに設定されている。
すなわち、前記摩擦低減部材17は、リテーナ本体16に対して軸方向から軽圧入状態に嵌挿固定するように構成されており、具体的には、リテーナ本体16の前記各軸方向溝20b,20bに対して前記各延設部17b,17bの位相を合わせた状態で、該各延設部17b,17bを前記各軸方向溝20b,20bに嵌合させつつ前記環状部17aを前記環状溝20aに嵌合させるように軸方向へスライドさせることによってリテーナ本体16に組み付けられる。
また、前記摩擦低減部材17は、外径がリテーナ本体16の外径よりも僅かに大きく設定されていて、ラックリテーナ12がリテーナ収容部11内に収容された状態において当該摩擦低減部材17の外周面とリテーナ収容部の内周面との間に従来よりも小さく設定された所定の径方向隙間Cが形成されるようになっている。
以下、本発明に係るラックリテーナ等の特徴的な作用効果について、図1に基づいて説明する。
まず、前記ラックリテーナ12の周知の作用について簡単に説明すれば、該ラックリテーナ12は、コイルばね14の付勢力に基づきピニオン軸3ラック軸4との間に生じる噛み合い反力を吸収しつつラック軸4を前記両軸3,4が噛み合う方向へ付勢することによって前記両軸3,4間に適切な噛み合い力を付与することに供されている。
かかる作用を発揮する際、ラックリテーナ12は、コイルばね14の伸縮に追従してリテーナ収容部11内を軸方向移動することになるが、本実施の形態では、前記径方向隙間Cを最小限に設定することによってリテーナ収容部11内においてラックリテーナ12を軸方向へ摺動させるようにしたことから、該ラックリテーナ12の軸方向移動時における径方向への倒れやがたつきを防止することが可能となっている。これにより、ラックリテーナ12がリテーナ収容部11の周壁に当接する際に生じる当接音の発生が防止される。
そして、このようにリテーナ収容部11内においてラックリテーナ12を摺動させる構造を採用するにあたって、リテーナ収容部11の内周面と摺接するラックリテーナ12の外周面の主要範囲を前記摩擦低減部(摩擦低減部材17)として構成したことから、該ラックリテーナ12の摺動に伴う摩擦抵抗を極力低減させることができる。この結果、ラックリテーナ12の円滑な軸方向移動が確保されることとなっている。
また、かかる特徴的な作用効果については、ラックリテーナ12をリテーナ収容部11内に挿入する際にも有効である。すなわち、ラックリテーナ12はリテーナ収容部11内に外端側開口から挿入することによって組み付けられるが、この場合でも、前記摩擦低減部材17による摩擦抵抗の低減効果により、ラックリテーナ12をリテーナ収容部11内に容易に挿入させることができる。これにより、リテーナ収容部11にラックリテーナ12を組み付ける際の組付作業性の向上も図れる。
以上のことから、この実施の形態によれば、前記リテーナ本体16の外周部に前記摩擦低減部材17を設けてラックリテーナ12のリテーナ収容部11内周面との摺接面に摩擦低減部を構成したことから、該ラックリテーナ12の軸方向移動時の摩擦抵抗を増大させることなく前記径方向隙間Cを最小限に設定することが可能となり、かかる有機的な関連構成によってラックリテーナ12の軸方向移動の円滑化と当該軸方向移動時におけるラックリテーナ12の倒れやがたつきの抑制との両立が図れる。
しかも、前記摩擦低減部について所定の厚さ幅を有する摩擦低減部材17として構成したことから、コーティング等による表面処理や被膜と比べて、当該摩擦低減部を厚肉にかつ容易に設定することが可能となる。これにより、摩擦低減部の耐久性の向上が図れ、前記ラックリテーナ12の円滑な軸方向移動を長きにわたって維持することができる。
そして、前記摩擦低減部は、ラックリテーナ12の前記各突出部19,19の先端にまで及ぶように構成されていることから、当該ラックリテーナ12の先端部の摺動性が良好となり、特に前記径方向隙間Cを小さく設定した場合に生じ易いラックリテーナ12の進出移動時やラックリテーナ12をリテーナ収容部11に挿入する際の当該ラックリテーナ12の先端部のいわゆるかじりの発生防止に供される。
さらに、前記摩擦低減部材17を一体に形成して一部品として構成したことから、リテーナ本体17に対する組付作業性の向上や部品点数の増大化の抑制にも供される。これにより、製造コストの低廉化に寄与することができる。
そして、前記摩擦低減部材17をフッ素樹脂材によって形成することとしたため、ラックリテーナ12の軸方向移動時の摩擦抵抗を効果的に低減することができる。しかも、樹脂材を用いることで、金属製のリテーナ本体16に対する摩擦低減部材17の馴染みが良く、該リテーナ本体16に対し摩擦低減部材17を密着状態に取り付けることができる。これにより、ラックリテーナ12としての一体性を確保することができ、寸法管理も容易となる。
さらには、前記フッ素樹脂材としてエチレン系の樹脂材を用いたことにより、摩擦低減部材17を射出成形によって形成することが可能となるため、生産性の向上が図れると共に、量産に際して有効となる。
また、前記摩擦低減部材17の外径をリテーナ本体16の外径よりも大きく設定したことから、前記径方向隙間Cを摩擦低減部材17の外径をもって設定することが可能となり、該摩擦低減部材17は射出成形によって造られるので、リテーナ本体16の加工精度を高めることなく、ラックリテーナ12としての仕上がり時の寸法精度を高めることができる。換言すれば、リテーナ本体16の加工精度を抑えることが可能となり、製造コストの低廉化に寄与することができる。
さらに、前記摩擦低減部材17をリテーナ本体16に対し圧入固定することとしたため、別途固定手段を設けることなく当該摩擦低減部材17をリテーナ本体16に容易に組み付けることができ、良好な生産性が得られる。しかも、かかる圧入固定によれば、ラックリテーナ12の温度変化に伴いリテーナ本体16と摩擦低減部材17との間に熱膨張差が生じた場合でも、この熱膨張差を前記圧入の締め代によって吸収することもできる。
なお、前記摩擦低減部材17の固定方法については、かかる圧入固定以外に、リテーナ本体16に直接モールド成型することも可能である。この場合には、前記圧入固定の場合と比べて、リテーナ本体16に対して摩擦低減部材17をより強固にかつ容易に固定することができると共に、仕上がり時の寸法精度を高めることができる。さらには、摩擦低減部材17をリテーナ本体16に組み付ける作業を省略することができるため、生産性の向上も図れる。
図7〜図10は本発明に係るラックリテーナ等の第2実施の形態を示し、前記第1の実施の形態の構成を基本として、図7及び図8に示すように、前記摩擦低減部材17を、リテーナ本体16に対して係止固定したものである。
すなわち、前記摩擦低減部材17には、図10に示すように、前記各延設部17b,17bの先端部に、該各先端部からそれぞれ径方向内側に向かって突出する係止部である係止突部17c,17cが突設されている一方、前記リテーナ本体16には、図9に示すように、前記各軸方向溝20b,20bの外端縁に、前記各係止突部17c,17cが係止する係止溝20c,20cが前記各突出部19,19の幅方向に沿って切欠形成されており、かかる係止構造に基づいて前記摩擦低減部材17は、圧入ではなくリテーナ本体16に係止固定されている。
なお、前記摩擦低減部材17の組み付け方法については、この実施の形態の場合も前記第1の実施の形態と同様であって、前記両延設部17b,17bの先端側を径方向外側に撓ませて摩擦低減部材17をリテーナ本体16に前記柱状部18側から挿入するのみである。これによって、前記各係止突部17c,17cは、前記各延設部17b,17bの先端が前記各軸方向溝20b,20bの外端に到達したところで前記各係止溝20c,20cに自動的に係止することとなる。
したがって、この実施の形態によれば、前記圧入固定の場合と異なり、前記摩擦低減部材17をリテーナ本体16に対していわゆるワンタッチで組み付けることができる可能となっている。これにより、摩擦低減部材17の組付作業性のより一層の向上が図れる。
図11及び図12は本発明に係るラックリテーナ等の第3の実施の形態を示し、前記第1の実施の形態の構成を基本として、前記摩擦低減部材17の前記環状部17aの外端に、前記皿ばね22を保持するための環状のばね保持部17dを一体に設けたものである。このばね保持部17dは、皿ばね22の外側面に沿うようなテーパ状に形成されていて、該皿ばね22を自然状態で保持するようになっている。
この実施の形態によれば、前記摩擦低減部材17を介してリテーナ本体16と皿ばね22、つまりラックリテーナ12と皿ばね22をサブアッセンブリすることが可能となるため、ラックリテーナ12をリテーナ収容部11に組み付ける際の作業が短縮されることとなり、当該組付作業性の向上が図れる。
図13及び図14は本発明に係るラックリテーナ等の第4の実施の形態を示し、前記第1の実施の形態の構成を基本として、前記摩擦低減部材17の前記両延設部17b,17bの延出量を前記第1の実施の形態と比べて短縮して、該両延設部17b,17bが前記リテーナ本体16の前記各突出部19,19の途中までしか及ばないように構成したものである。
すなわち、前記リテーナ本体16には、前記各軸方向溝20b,20bが前記環状溝20aの内端から前記各突出部19,19の軸方向ほぼ中間位置までのみ切欠形成されていて、前記摩擦低減部材17の前記各延設部17b,17bの延出量はこれに対応する長さに設定されている。換言すれば、この実施の形態に係るラックリテーナ12の場合、前記各突出部19,19の先端側外周部には前記摩擦低減部を構成しないこととしている。
この実施の形態によれば、ラックリテーナ12の軸方向移動時において当該ラックリテーナ12に倒れが生じた場合に、前記第1の実施の形態と異なり、リテーナ収容部11の周壁に対して、樹脂材からなる剛性の低い摩擦低減部材17ではなく従来通りの金属からなる前記各突出部19,19の外周部が当接することとなるため、摩擦低減部材17の破損を防止することができる。
図15及び図16は本発明に係るラックリテーナ等の第5の実施の形態を示し、前記第4の実施の形態の構成を基本として、前記リテーナ本体16に対し前記摩擦低減部材17を径方向に係止させるように構成したものである。
すなわち、本実施の形態においては、前記嵌合溝20の側壁が、深さ方向に向かって該嵌合溝20の溝幅が漸次拡大するようなテーパ状に形成されている一方、前記摩擦低減部材17の側壁はこれに対応する形状に形成されていて、該摩擦低減部材17が前記嵌合溝20に係合するように構成されている。これによって、摩擦低減部材17は、前記嵌合溝20内において軸方向の移動のみが許容されている。
この実施の形態によれば、前記摩擦低減部材17がリテーナ本体16の前記嵌合溝20に単に嵌合させるのではなく該嵌合溝20に係合させるようにして、リテーナ本体16に対して当該摩擦低減部材17を径方向に係止固定させる構成としたことから、摩擦低減部材17の嵌合溝20からの脱落を防止することができ、当該摩擦低減部材17の取り付け状態の安定化が図れる。また、前記係合構造により、摩擦低減部材17を嵌挿する際の該摩擦低減部材17のがたつきを規制することができるため、リテーナ本体16に対する摩擦低減部材17の組付性の向上も図れる。
図17〜図19は本発明に係るラックリテーナ等の第6の実施の形態を示し、前記第1〜第5の実施の形態に係る摩擦低減部材17の外周部に軸方向に沿うセレーション21を形成したものである。換言すれば、摩擦低減部材17の外周部には、ラックリテーナ12が軸方向移動する際にリテーナ収容部11の内周面と当接(摺接)する凸部21aと、前記リテーナ収容部11の内周面との当接を回避する逃げ溝である凹部21bと、が周方向に交互に形成されている。
この実施の形態によれば、前記セレーション構造によって前記凸部21aが弾性変形して凹部21bに逃げることが可能となっているため、摩擦低減部材17の加工精度が低くても、ラックリテーナ12をリテーナ収容部11に容易かつ適正に組み付けることができる。さらに、前記セレーション21を設けたことによってリテーナ収容部11の内周面に接触する摩擦低減部材17の接触面積を低減することが可能となるため、リテーナ収容部11にラックリテーナ12を挿入する際の挿入性が良好になると共に、リテーナ収容部11内におけるラックリテーナ12の軸方向移動時の摩擦抵抗をより一層低減することができる。
図20〜図22は本発明に係るラックリテーナ等の第7の実施の形態を示し、前記第6の実施の形態に係る摩擦低減部材17について、前記セレーション21を構成する逃げ溝である前記凹部21bを摩擦低減部材17の外周部の周方向所定の範囲に集中して設けたもの、つまり当該セレーション21を摩擦低減部材17の外周部の周方向所定の範囲にのみ部分的に設けたである。
具体的には、本実施の形態においては、前記セレーション21が、前記両突出部19,19の外周部に相当する周方向範囲を含むように摩擦低減部材17の周方向に90°の間隔をもって所定の範囲に形成されている。
この実施の形態によれば、摩擦低減部材17について、リテーナ収容部11の内周面に対して面接触させる必要がある部分と線接触させるほうが良い部分とを区分して最適化することができる。これによって、摩擦低減部材17の軸方向移動時における摩擦抵抗の低減と倒れ等の防止とを効果的に両立することができる。
図23及び図24は本発明に係るラックリテーナ等の第8の実施の形態を示し、基本的な構成は前記第1の実施の形態と同様であり、異なるところは、前記低摩擦シート13及びリテーナ本体16の前記嵌合溝20を廃止して、当該リテーナ本体16の一端面を除いた外面全体に前記摩擦低減部を構成したもの、つまりリテーナ本体16の一端面を除いた外面全体を前記摩擦低減部材17によって覆うように構成したものである。換言すれば、前記低摩擦シート13を摩擦低減部材17と一体化したものである。
なお、かかる構成から、この実施の形態においては、摩擦低減部材17は、前記各実施の形態とは異なり、前記各突出部19,19側からリテーナ本体16に嵌挿されることとなっている。
この実施の形態によれば、前記低摩擦シート13を摩擦低減部材17と一体化することで、ラックリテーナ12の部品点数を削減することができ、ラックリテーナ12を組み立てる際の作業工数の低減化が図れる。これにより、製造コストの低廉化にも寄与することができる。
また、本実施の形態では、リテーナ本体16にコーティングを施した場合と同様の構成となっているものの、摩擦低減部材17を採用することでコーティングよりも厚肉に形成することができるため、摩擦低減部としての耐久性を向上させることができる。この結果、ラックリテーナ12の軸方向移動時の摩擦低減効果をより長く維持することができる。
なお、本実施の形態では、前記摩擦低減部を摩擦低減部材17によって構成することとしているが、当該摩擦低減部をコーティングによって構成することも可能である。かかるコーティングによる場合には、前述の摩擦低減部材17を設ける場合と比べて前記摩擦低減部としての耐久性は劣ることになるものの、施工の自由度が高いため、マスキングすることによって部分的に施工することができる。これによって、設計上必要な部分にだけ前記摩擦低減部を構成することが可能となり、製造コストのより一層の低廉化が図れる。
本発明は、前記各実施の形態の構成に限定されるものではなく、例えば前記摩擦低減部を設ける範囲については、前記ステアリング装置を適用する自動車の仕様や大きさなどによって自由に変更することができる。
また、前記摩擦低減部材17を組成するフッ素樹脂材に用いる樹脂材としては、前記第1の実施の形態で開示したエチレン樹脂だけでなく、例えばナイロン系、プラスチック系、ポリアセタール系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリフェニレン系、フェノール樹脂系、又は炭素繊維系複合樹脂等を用いることも可能である。かかる樹脂材を用いる場合であっても、前記各実施の形態と同様に、射出成形によって摩擦低減部材17を容易に形成することができ、生産性の向上が図れる。
4…ラック軸
11…リテーナ収容部
12…ラックリテーナ
16…リテーナ本体
17…摩擦低減部材
11…リテーナ収容部
12…ラックリテーナ
16…リテーナ本体
17…摩擦低減部材
Claims (19)
- ラックピニオン式ステアリング装置のラック軸の背面側を支持するラックリテーナであって、
軸方向一端側に形成される柱状部と、該柱状部から前記ラック軸と対向する軸方向他端側へ向かって突出形成され、内周側に前記ラック軸の背面側を支持する凹状のサポート面を構成する一対の突出部と、を有するリテーナ本体の外周部に、該リテーナ本体を組成する材料よりも摩擦抵抗の小さい低摩擦材からなる摩擦低減部を設けたことを特徴とするラックリテーナ。 - 前記摩擦低減部は、前記低摩擦材により形成された摩擦低減部材を前記リテーナ本体の外周部に形成された凹部に嵌め込むことによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載のラックリテーナ。
- 前記摩擦低減部材は、前記柱状部の外周部に設けられる環状部と、該環状部の一端から軸線方向に沿って延設されて、前記両突出部の外周部にそれぞれ設けられる一対の延設部と、を有し、前記環状部と前記両延設部とが一体に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のラックリテーナ。
- 前記各延設部は、前記各突出部の先端まで及ぶように形成されていることを特徴とする請求項3に記載のラックリテーナ。
- 前記各延設部は、前記各突出部の先端部に係止する係止部を有することを特徴とする請求項4に記載のラックリテーナ。
- 前記各延設部は、前記各突出部の途中まで及ぶように形成されていることを特徴とする請求項3に記載のラックリテーナ。
- 前記摩擦低減部材は、前記凹部に対して、前記リテーナ本体の径方向において係止状態に嵌め込まれていることを特徴とする請求項6に記載のラックリテーナ。
- 前記摩擦低減部材は、前記環状部の端部に、前記柱状部の端面に隣接して配置されるばね部材を保持するためのばね保持部を有することを特徴とする請求項3に記載のラックピニオン式ステアリング装置。
- 前記摩擦低減部材は、前記柱状部の端面を除く面全体を覆うように設けられていることを特徴とする請求項2に記載のラックリテーナ。
- 前記摩擦低減部材の外径は、前記リテーナ本体の外径よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項2〜8のいずれか一項に記載のラックリテーナ。
- 前記リテーナ本体はアルミ合金材又は鉄系の焼結材によって形成され、前記摩擦低減部材はフッ素樹脂によって形成されることを特徴とする請求項2〜10のいずれか一項に記載のラックリテーナ。
- 前記摩擦低減部材は、外周部にセレーションを有することを特徴とする請求項11に記載のラックリテーナ。
- 前記セレーションは、前記摩擦低減部材の外周部において、周方向の複数箇所に部分的に形成されていることを特徴とする請求項12に記載のラックリテーナ。
- 前記環状部は、前記柱状部の外周部に形成された前記凹部の一部を構成する環状溝に圧入されることを特徴とする請求項3に記載のラックリテーナ。
- 前記摩擦低減部材の外周部には、前記リテーナ本体を収容するほぼ円筒状のリテーナ収容部の内周面との当接を回避する凹状の逃げ溝が形成されていることを特徴とする請求項11に記載のラックリテーナ。
- 前記逃げ溝は、前記摩擦低減部材の外周部において所定範囲に集中して設けられていることを特徴とする請求項15に記載のラックリテーナ。
- 前記摩擦低減部材は、前記凹部にモールド成形することで前記リテーナ本体と一体化されていることを特徴とする請求項11に記載のラックリテーナ。
- 前記リテーナ本体はアルミ合金材又は鉄系の焼結材によって形成され、前記摩擦低減部はフッ素樹脂材により組成されるコーティングによって形成されることを特徴とする請求項1に記載のラックリテーナ。
- ステアリングホイールに連係されたピニオン軸と、
該ピニオン軸に噛合するラック歯を前面側に有するラック軸と、
該ラック軸の背面側を支持するラックリテーナと、
前記ピニオン軸と前記ラック軸とが噛み合う方向へ前記ラックリテーナを付勢する付勢部材と、を備え、
前記ラックリテーナの外周部に、該ラックリテーナのリテーナ本体を組成する材料よりも摩擦抵抗の小さい低摩擦材からなる摩擦低減部を設けたことを特徴とするラックピニオン式ステアリング装置。
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JP2008073338A JP2009227029A (ja) | 2008-03-21 | 2008-03-21 | ラックリテーナ及びこれを用いたラックピニオン式ステアリング装置 |
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JP2008073338A JP2009227029A (ja) | 2008-03-21 | 2008-03-21 | ラックリテーナ及びこれを用いたラックピニオン式ステアリング装置 |
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JP2009227029A true JP2009227029A (ja) | 2009-10-08 |
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Family Applications (1)
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JP2008073338A Pending JP2009227029A (ja) | 2008-03-21 | 2008-03-21 | ラックリテーナ及びこれを用いたラックピニオン式ステアリング装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2009227029A (ja) |
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2008
- 2008-03-21 JP JP2008073338A patent/JP2009227029A/ja active Pending
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