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JP2009222583A - 撮像装置、生体高分子分析チップ及び分析方法 - Google Patents

撮像装置、生体高分子分析チップ及び分析方法 Download PDF

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JP2009222583A JP2008067961A JP2008067961A JP2009222583A JP 2009222583 A JP2009222583 A JP 2009222583A JP 2008067961 A JP2008067961 A JP 2008067961A JP 2008067961 A JP2008067961 A JP 2008067961A JP 2009222583 A JP2009222583 A JP 2009222583A
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Naofumi Tateishi
直文 立石
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Abstract

【課題】より簡便な操作で複数種類の生体高分子サンプルの比較を行うことができる撮像装置及び生体高分子分析チップを提供する。
【解決手段】受光面を上方向に向けて設けられた複数の光電変換素子20と、光電変換素子20の受光面側にそれぞれ設けられた格子状の光学フィルター24とを備え、格子状の光学フィルター24は異なる波長の光を透過させる2種類のバンドパスフィルター24a,24bからなり、隣接する他の光電変換素子20の受光面側に異なる種類のバンドパスフィルター24a,24bが配置されている撮像装置10である。
【選択図】図2

Description

本発明は、撮像装置、生体高分子分析チップ及び分析方法に関する。
様々な生物種の遺伝子の発現解析を行うためにDNAチップや抗体チップ等の生体高分子分析チップやその読取装置が開発されている。生体高分子分析チップは、プローブとなる既知の塩基配列のcDNAや抗体をスライドガラス等の固体担体上にマトリックス状に整列固定させたものである(例えば特許文献1参照)。例えば、DNAチップ及びその読取装置を用いた遺伝子の発現解析は次のようにして行う。
まず、既知の塩基配列を有した複数種類のcDNA(以下、プローブDNAという)をスライドガラス等の固体担体に整列固定させたDNAチップを準備する。次に、検体からmRNAを抽出し、逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、標識物質で標識したものを用意する(以下、標識DNAという)。ここで、標識物質には蛍光物質や化学発光基質、あるいは化学発光基質を発光させる酵素等を用いることができる。
次に、標識DNAをDNAチップ上に添加すると、標識DNAが相補的なプローブDNAとハイブリダイズすることによりDNAチップ上に固定される。
次いで、DNAチップを読取装置にセッティングし、読取装置にて分析する。読取装置は、DNAチップに対して二次元的に移動する集光レンズ及びフォトマルチプライヤーによってDNAチップを走査する標識物質により発した光を集光レンズで集光させ、光強度をフォトマルチプライヤーで計測することで、DNAチップの面内の光強度分布を計測し、これにより、DNAチップ上の光強度分布が二次元の画像として出力される。出力された画像内で光強度が大きい部分には、プローブDNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有した標識DNAが含まれていることを表している。従って、二次元画像中のどの部分の蛍光強度が大きいかによって検体で発現しているmRNAを同定することができる。
また、複数の光電変換素子を二次元アレイ状に配列してなる固体撮像デバイスの受光面にDNAや抗体等のプローブ分子をスポットした生体高分子分析チップが開発されている。このような生体高分子分析チップでは、スポットに付着した標識DNA等の生体高分子を標識する標識物質により発生する光を各光電変換素子により計測する。固体撮像デバイスの受光面にスポットが点在しており、受光面に付着された生体高分子と光電変換素子との間の距離が近いために標識物質から発した光の減衰を抑えることができるために、僅かな光量でも計測が可能であるという利点がある。
ところで、遺伝子の発現解析においては、異なる細胞由来のcDNAを異なる蛍光物質で標識し、同一のDNAチップ上に標識DNA上に添加することで、発現している遺伝子の違いを検出することが行われる。例えば、A細胞由来の蛍光画像とB細胞由来の蛍光画像とを重ねると、シグナルが重なるスポットはA,Bどちらの細胞でも発現している遺伝子であり、シグナルがどちらも見えないスポットはA,Bどちらの細胞でも発現していない遺伝子であることがわかる。
特開2000−131237号公報
しかし、従来の方法では、A,Bどちらの細胞で発現している遺伝子であるかを特定するためには、同一の配列でプローブ分子をスポットした2枚の生体高分子分析チップを用意し、2種類のサンプルについてそれぞれ別の生体高分子分析チップを用いて蛍光画像を取得し、画像処理を行わねばならず、操作が煩雑であった。
本発明は、上記の問題を解決し、より簡便な操作で2種類の生体高分子サンプルの比較を行うことができる撮像装置、生体高分子分析チップ及び分析方法を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、撮像装置であって、
受光面からの光を光電変換する複数の光電変換素子と、
前記受光面側における第一領域に配置された、第一波長域の光を選択的に透過する第一バンドパスフィルターと、
前記受光面側における、前記第一領域と異なる第二領域に配置された、前記第一波長域と異なる第二波長域の光を選択的に透過する第二バンドパスフィルターと、
を備えていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置であって、前記受光面を囲む隔壁がさらに設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、生体高分子分析チップであって、請求項1または2に記載の撮像装置と、前記撮像装置の受光面に固定され、特定の生体高分子と結合するプローブを備えることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の生体高分子分析チップであって、前記プローブは既知の塩基配列を有する一本鎖DNAであり、前記特定の生体高分子は前記いずれかのバンドパスフィルターを透過する蛍光を放射する蛍光体により標識された一本鎖DNAであることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、第一波長域の光を選択的に透過する第一バンドパスフィルターに対応して配置された第一光電変換素子の受光面側に設けられた、特定の生体高分子と結合する第一プローブ、及び前記第一波長域と異なる第二波長域の光を選択的に透過する第二バンドパスフィルターに対応して配置された第二光電変換素子の受光面側に設けられた、特定の生体高分子と結合する第二プローブに、第一蛍光体が標識化された第一生体高分子、及び前記第一蛍光体の蛍光の波長域と異なる波長域の蛍光を発する第二蛍光体が標識化された第二生体高分子を供給する供給工程と、
前記第一プローブ及び前記第二プローブに、前記第一蛍光体及び前記第一蛍光体を励起する励起光を照射する照射工程と、
を有することを特徴とする。
本発明によれば、より簡便な操作で複数種類の生体高分子サンプルの比較を行うことができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
[第1実施形態]
〔1〕生体高分子分析チップの全体構成
図1は、本発明の実施形態に係る生体高分子分析チップ1の概略平面図である。この生体高分子分析チップ1は、DNAを検出するDNAチップであり、固体撮像デバイス10の撮像面に、複数のスポット60が形成されている。なお、図1では直径0.5mmのスポット60が縦10行×横12列形成されている。
また、固体撮像デバイス10の撮像面の外周部には、隔壁51が設けられている。隔壁51により固体撮像デバイス10の受光面に後述する蛍光標識DNA溶液が貯留されるウェル52が形成される。
図2は、図1における1つのスポット60を拡大した図である。固体撮像デバイス10には、光電変換素子として複数のダブルゲート型磁界効果トランジスタ(以下、ダブルゲートトランジスタという。)20が縦横に配列されている。なお、図2では、縦横50μmピッチでダブルゲートトランジスタ20が配列されている。
ここで、図2〜図4を用いて固体撮像デバイス10について説明する。図3は1つのダブルゲートトランジスタ20を示す平面図であり、図4は図3のIV−IV矢視断面図である。
〔2〕固体撮像デバイス
図4に示すように、固体撮像デバイス10は、透明基板11と、ボトムゲート絶縁膜13と、トップゲート絶縁膜21と、保護絶縁膜23と、格子状フィルター24と、スポット固定層25とを積層してなる。これらの層間に、複数のボトムゲートライン12a、ソースライン18a、ドレインライン19a、トップゲートライン22a、及び、ダブルゲートトランジスタ20を形成するボトムゲート電極12、半導体膜14、チャネル保護膜15、不純物半導体膜16,17、ソース電極18、ドレイン電極19、トップゲート電極22、が設けられている。
透明基板11は、後述する蛍光体が発する光を透過する性質(以下、光透過性という。)を有するとともに絶縁性を有し、例えば、石英ガラス等といったガラス基板、ポリカーボネート、PMMA等といったプラスチック基板等である。
この固体撮像デバイス10においては、光電変換素子としてダブルゲートトランジスタ20が利用され、複数のダブルゲートトランジスタ20,20,…が透明基板11上において二次元アレイ状に特にマトリクス状に配列され、これらダブルゲートトランジスタ20,20,…が窒化シリコン(SiN)等の保護絶縁膜23によってまとめて被覆されている。
なお、図2では10行×10列の100個のダブルゲートトランジスタ20,20,…が示されている。
図3、図4に示すように、ダブルゲートトランジスタ20,20,…は何れも、受光部である半導体膜14と、半導体膜14上に形成されたチャネル保護膜15と、ボトムゲート絶縁膜13を挟んで半導体膜14の下に形成されたボトムゲート電極12と、トップゲート絶縁膜21を挟んで半導体膜14の上に形成されたトップゲート電極22と、半導体膜14の一部に重なるよう形成された不純物半導体膜16と、半導体膜14の別の部分に重なるよう形成された不純物半導体膜17と、不純物半導体膜16に重なったソース電極18と、不純物半導体膜17に重なったドレイン電極19と、を備え、半導体膜14において受光した光量に従ったレベルの電気信号を出力するものである。
ボトムゲート電極12は、ダブルゲートトランジスタ20ごとに透明基板11上に形成されている。また、透明基板11上には横方向に延在する複数本のボトムゲートライン12a,12aが形成されており、横方向に配列された同一の行のダブルゲートトランジスタ20,20,…のそれぞれのボトムゲート電極12が共通のボトムゲートライン12aと一体となって形成されている。ボトムゲート電極12及びボトムゲートライン12aは、導電性及び遮光性を有し、例えばクロム、クロム合金、アルミ若しくはアルミ合金又はこれらの合金からなる。
ダブルゲートトランジスタ20,20,…のボトムゲート電極12及びボトムゲートライン12a,12a,…はボトムゲート絶縁膜13によってまとめて被覆されている。すなわち、ボトムゲート絶縁膜13は全てのダブルゲートトランジスタ20,20,…に共通して形成された膜である。ボトムゲート絶縁膜13は、絶縁性及び光透過性を有し、例えば窒化シリコン(SiN)又は酸化シリコン(SiO2)からなる。
ボトムゲート絶縁膜13上には、複数の半導体膜14がマトリクス状に配列するよう形成されている。半導体膜14は、ダブルゲートトランジスタ20ごとに独立して形成されており、それぞれのダブルゲートトランジスタ20においてボトムゲート電極12に対して対向配置され、ボトムゲート電極12との間にボトムゲート絶縁膜13を挟んでいる。半導体膜14は、平面視して略矩形状を呈しており、受光した蛍光の光量に応じた量の電子−正孔対を生成するアモルファスシリコンで形成された層である。
半導体膜14上には、チャネル保護膜15が形成されている。チャネル保護膜15は、ダブルゲートトランジスタ20ごとに独立してパターニングされており、それぞれのダブルゲートトランジスタ20において半導体膜14の中央部上に形成されている。チャネル保護膜15は、絶縁性及び光透過性を有し、例えば窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。チャネル保護膜15は、パターニングに用いられるエッチャントから半導体膜14の界面を保護するものである。半導体膜14に光が入射すると、入射した光量に従った量の電子−正孔対がチャネル保護膜15と半導体膜14との界面付近を中心に発生するようになっている。
半導体膜14の一端部上には、不純物半導体膜16が一部、チャネル保護膜15に重なるようにして形成されており、半導体膜14の他端部上には、不純物半導体膜17が一部、チャネル保護膜15に重なるようにして形成されている。不純物半導体膜16,17は、ダブルゲートトランジスタ20ごとに独立してパターニングされている。不純物半導体膜16,17は、n型のホスフィン等の不純物を含むアモルファスシリコン(n+シリコン)からなる。
不純物半導体膜16上には、ソース電極18が形成され、不純物半導体膜17上には、ドレイン電極19が形成されている。ソース電極18及びドレイン電極19はダブルゲートトランジスタ20ごとに形成されている。縦方向に延在する複数本のソースライン18a,18a,…及びドレインライン19a,19a,…がボトムゲート絶縁膜13上に形成されている。縦方向に配列された同一の列のダブルゲートトランジスタ20,20,…のソース電極18は共通のソースライン18aと一体に形成されており、縦方向に配列された同一の列のダブルゲートトランジスタ20,20,…のドレイン電極19は共通のドレインライン19aと一体に形成されている。ソース電極18、ドレイン電極19、ソースライン18a及びドレインライン19aは、導電性及び遮光性を有しており、例えばクロム、クロム合金、アルミ若しくはアルミ合金又はこれらの合金からなる。
ダブルゲートトランジスタ20,20,…のソース電極18及びドレイン電極19並びにソースライン18a,18a及びドレインライン19a,19aは、トップゲート絶縁膜21によってまとめて被覆されている。トップゲート絶縁膜21は全てのダブルゲートトランジスタ20,20,…に共通して形成された膜である。トップゲート絶縁膜21は、絶縁性及び光透過性を有し、例えば窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。
トップゲート絶縁膜21上には、複数のトップゲート電極22がダブルゲートトランジスタ20ごとに形成されている。トップゲート電極22は、それぞれのダブルゲートトランジスタ20において半導体膜14に対して対向配置され、半導体膜14との間にトップゲート絶縁膜21及びチャネル保護膜15を挟んでいる。また、トップゲート絶縁膜21上には横方向に延在する複数本のトップゲートライン22a,22aが形成されており、横方向に配列された同一の行のダブルゲートトランジスタ20,20のトップゲート電極22が共通のトップゲートライン22aと一体に形成されている。トップゲート電極22及びトップゲートライン22aは、導電性及び光透過性を有し、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物(例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム)で形成されている。
ダブルゲートトランジスタ20,20,…のトップゲート電極22及びトップゲートライン22a,22aは保護絶縁膜23によってまとめて被覆され、保護絶縁膜23は全てのダブルゲートトランジスタ20,20,…に共通して形成された膜である。保護絶縁膜23は、絶縁性及び光透過性を有し、窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。
保護絶縁膜23の上面には、格子状フィルター24が設けられている。格子状フィルター24は市松模様状に交互に配置された2種類の光学フィルター24a,24bからなる。
光学フィルター24aは、バンドパスフィルターであり、後述する2種類の蛍光体から放射される互いに異なる波長域の蛍光の一方のみを透過させる。光学フィルター24bは、バンドパスフィルターであり、後述する2種類の蛍光体から放射される互いに異なる波長域の蛍光の他方のみを透過させる。バンドパスフィルターの透過波長は、蛍光体の種類によって任意に選択される。例えば、2種類の蛍光体として、Cy2(吸収波長491nm、蛍光波長509nm)、Cy3(吸収波長553nm、蛍光波長569nm)及びCy5(吸収波長645nm、蛍光波長664nm)のうちいずれか2種類を用いるのであれば、それぞれの蛍光波長を透過させるバンドパスフィルターを用いることができる。例えば、透過中心波長510nmのバンドパスフィルター(株式会社オプトライン社製FF01-510/10-25)、透過中心波長572nmのバンドパスフィルター(株式会社オプトライン社製FF01-572/28-25)、及び透過中心波長660nmのバンドパスフィルター(株式会社オプトライン社製FF01-660/13-25)のいずれかを用いることができる。
このようなバンドパスフィルターは、例えば、スパッタ法等の気相堆積法により保護絶縁膜23の表面に誘電体多層膜を市松模様状にパターニングすることで作成することができる。
格子状フィルター24の表面には、スポット固定層25が設けられている。スポット固定層25は、スポット60となる後述するプローブとシランカップリング剤等によって共有結合することで、スポット60を固定する。
以上のように構成された固体撮像デバイス10は、スポット固定層25の表面を受光面としており、ダブルゲートトランジスタ20の半導体膜14において受光した光量を電気信号に変換するように設けられている。
〔3〕スポット
図1、図2に示すように、固体撮像デバイス10の撮像面にはスポット60が形成されている。各スポット60は、プローブとなる既知の塩基配列のcDNA(プローブDNA61)や抗体等の溶液をウェル42内に滴下し、乾燥して形成される。以下ではプローブとして既知の塩基配列のcDNAを用いた場合について説明する。
図5は図2のV−V矢視断面図である。1つのスポット60では同じ塩基配列の一本鎖のプローブDNA61が多数集まった群集が固定化され、スポット60ごとにプローブDNA61は異なる塩基配列となっている。プローブDNA61としては、既知のmRNAの塩基配列、またはその一部と同一の、あるいは相補的な塩基配列のDNAが用いられる。具体的には、例えば、後述する蛍光標識DNAで用いるのと同じ細胞検体から作成したcDNAライブラリを用いることができる。光学フィルター24aに対応するダブルゲートトランジスタ20(以下、ダブルゲートトランジスタ20A)及び光学フィルター24bに対応するダブルゲートトランジスタ20(以下、ダブルゲートトランジスタ20B)は、いずれも構造及び光電変換特性は同じであるが、光学フィルター24a及び光学フィルター24bの光透過特性に応じて変調するように設計されていても良い。
図2に示すように、1つのスポット60は複数のダブルゲートトランジスタ20上に重なるように形成されている。
〔4〕分析装置
生体高分子分析チップ1を分析装置70にセッティングして生体高分子分析チップ1を用いるので、分析装置70について図6を用いて説明する。図6は分析装置70の構成を示すブロック図である。
分析装置70は、分析装置70全体を制御するコンピュータ71と、記憶装置72と、コンピュータ71により制御される励起光照射装置73と、生体高分子分析チップ1に接続され、固体撮像デバイス10を駆動するトップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ75、ドレインドライバ76と、コンピュータ71から出力された信号により出力(プリント)を行う出力装置77と、コンピュータ71から出力された信号により表示を行う表示装置78と、を備える。コンピュータ71は、ダブルゲートトランジスタ20A及びダブルゲートトランジスタ20Bのアドレスを予め登録されているので、ドレインライン19a,19a,…から取り込まれた光電変換信号がダブルゲートトランジスタ20A及びダブルゲートトランジスタ20Bのいずれによるものか特定できる。
トップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ75及びドレインドライバ76は、協同して固体撮像デバイス10を駆動するものである。固体撮像デバイス10のトップゲートライン22a,22a,…がトップゲートドライバ74の端子に、ボトムゲートライン12a,12a,…がボトムゲートドライバ75の端子に、ドレインライン19a,19a,…がドレインドライバ76の端子に、それぞれ接続されるようになっている。また、固体撮像デバイス10のソースライン18a,18a,…が一定電圧源に接続され、この例ではソースライン18a,18a,…が接地されるようになっている。
コンピュータ71は、トップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ75及びドレインドライバ76に制御信号を出力することによって、トップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ75及びドレインドライバ76に固体撮像デバイス10の駆動動作を行わせる機能を有する。
また、コンピュータ71は入力した二次元の画像データに従った画像を出力装置77に出力させる機能を有する。出力装置77は、例えばプロッタ、プリンタ又はディスプレイである。表示装置78は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置である。
また、コンピュータ71はドレインドライバ76から入力した電気信号をA/D変換することで、固体撮像デバイス10の受光面に沿った光強度分布を二次元の画像データとして記憶装置72に取得する機能を有する。
記憶装置72には、ドレインドライバ76からコンピュータ71に入力され、A/D変換された固体撮像デバイス10の受光面に沿った光強度分布が二次元の画像データとして記憶される。
励起光照射装置73は、蛍光体を励起する励起光を生体高分子分析チップ1に照射する。例えば、蛍光体としてCy2、Cy3、Cy5を用いる場合には、これらの吸収波長(Cy2:491nm、Cy3:553nm、Cy5:645nm)を含む励起光を生体高分子分析チップ1に照射する。
〔5〕蛍光標識DNAの作成
上記生体高分子分析チップ1で分析する試料としては、DNAを用いることができる。試料となるDNAとしては、任意の細胞検体内で発現しているmRNAを抽出し、逆転写酵素を用いるRT−PCR反応により得られたcDNAを用いることができる。cDNAは蛍光体で標識する。蛍光体は、分析装置の励起光照射装置から出射される励起光で励起されるものであってその励起光によって蛍光を発するものを選択するが、蛍光体としては、例えばGEヘルスケア バイオサイエンス株式会社製のCy2(吸収波長491nm、蛍光波長509nm)、Cy3(吸収波長553nm、蛍光波長569nm)、Cy5(吸収波長645nm、蛍光波長664nm)等を用いることができる。
cDNAを蛍光体で標識するには、例えば、蛍光体で標識されたオリゴdTプライマや、標識されたdNTPミックスを用いてRT−PCR反応を実施すればよい。以下では、この標識されたcDNAを蛍光標識DNAという。
本実施の形態では、2種類の細胞検体より得られるcDNAを異なる蛍光体で染色した蛍光標識DNAを作成し、サンプルの検出を行う。ここで、2種類の細胞検体としては、例えばある病気に対する患者の組織の細胞と、健康な人の同一組織の細胞、あるいは、同一人物の正常な細胞と癌細胞、等の組み合わせが挙げられる。以下、2種類の細胞検体をA検体及びB検体という。
〔6〕ハイブリダイゼーション
以下、蛍光標識DNAをプローブDNA61とハイブリダイゼーションさせる方法について図7〜図10を用いて説明する。図7は生体高分子分析チップ1に蛍光標識DNA62及び蛍光標識DNA63を含有した溶液(以下、蛍光標識DNA溶液という)を滴下した状態を示す模式図である。ここで、第1の蛍光体64で標識した蛍光標識DNA62はA検体由来であり、第2の蛍光体65で標識した蛍光標識DNA63はB検体由来であるものとする。第1の蛍光体64は例えばCy2であり、第2の蛍光体65は例えばCy3である。また、光学フィルター24aは蛍光体64から放射される蛍光を透過し、蛍光体65から放射される蛍光を透過しないバンドパスフィルターであり、光学フィルター24bは蛍光体65から放射される蛍光を透過し、蛍光体64から放射される蛍光を透過しないバンドパスフィルターであるものとする。
まず、図7に示すように、作業者が、蛍光標識DNA溶液をウェル52内に滴下する。なお、蛍光標識DNA溶液を各スポット60,60,…に順次又は同時に滴下してもよい。このとき、DNAが一本鎖となるように蛍光標識DNA溶液は加熱されている。
次いで、生体高分子分析チップ1をDNAが二本鎖を形成する所定の温度に冷却する。すると、ウェル52内に注入された蛍光標識DNA溶液内の蛍光標識DNAのうち、スポット60のプローブDNA61と相補的な蛍光標識DNAは、プローブDNA61とハイブリダイズする。一方、プローブDNA61と相補的ではない蛍光標識DNAは、このスポット60には結合しない。
〔6−1〕
蛍光標識DNA62、63のいずれもがプローブDNA61と相補的である場合は、図8に示すように、蛍光標識DNA62、63のいずれもプローブDNA61とハイブリダイズする。
〔6−2〕
蛍光標識DNA62はプローブDNA61と相補的であるが、蛍光標識DNA63はプローブDNA61と相補的でない場合は、図9に示すように、蛍光標識DNA62のみがプローブDNA61とハイブリダイズする。
〔6−3〕
蛍光標識DNA62はプローブDNA61と相補的でないが、蛍光標識DNA63はプローブDNA61と相補的である場合は、図10に示すように、蛍光標識DNA63のみがプローブDNA61とハイブリダイズする。
〔6−4〕
蛍光標識DNA62,63のいずれもがプローブDNA61と相補的でない場合は、蛍光標識DNA62、63のいずれもプローブDNA61とハイブリダイズしない。
その後、ウェル52内あの蛍光標識DNA溶液を洗浄用バッファー溶液で洗い流し、蛍光標識DNAのうちハイブリダイズしなかったものを生体高分子分析チップ1上から除去する。
〔7〕サンプルの検出
次に、蛍光標識DNA62の検出方法について図11、図12を用いて説明する。
上記処理を行った後、生体高分子分析チップ1を、分析装置70にセッティングし、トップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ75及びドレインドライバ76をそれぞれトップゲートライン22a,22a,…、ボトムゲートライン12a,12a,…、ドレインライン19a,19a,…に接続する。また、ソースライン18a,18a,…を一定電圧源に接続する。その後、コンピュータ71を起動する。
次に、コンピュータ71により励起光照射装置73を制御し、生体高分子分析チップ1に励起光Lを照射する。励起光Lには、蛍光体64の励起波長及び蛍光体65の励起波長の励起光が含まれる。なお、励起光照射装置73は生体高分子分析チップ1の上面から励起光Lを照射してもよいし、下面から励起光Lを照射してもよい。
蛍光標識DNA62がプローブDNA61に結合したスポット60からは、励起光により励起された蛍光体64が励起状態から基底状態に遷移するときに蛍光F1(主に可視光波長域)が放出される。一方、蛍光標識DNA63がプローブDNA61に結合したスポット60からは、励起光により励起された蛍光体65が励起状態から基底状態に遷移するときに蛍光F2(主に可視光波長域)が放出される。ダブルゲートトランジスタ20,20,…は、蛍光F1及び蛍光F2のいずれも光電変換できる。
図11に示すように、放出された蛍光F1は光学フィルター24aを透過して光学フィルター24aに対応するダブルゲートトランジスタ20Aに入射する。一方、蛍光F2は光学フィルター24aを透過しないので、光学フィルター24aに対応するダブルゲートトランジスタ20Aには入射しない。したがって、ダブルゲートトランジスタ20Aで光が検知されれば、蛍光標識DNA62がプローブDNA61と相補的な塩基配列であると認定できる。逆にダブルゲートトランジスタ20Aで光が検知されなければ、蛍光標識DNA62がプローブDNA61と相補的な塩基配列でないと認定できる。
同様に、図12に示すように、放出された蛍光F2は光学フィルター24bを透過してダブルゲートトランジスタ20Bに入射する。一方、蛍光F1は光学フィルター24bを透過しないので、ダブルゲートトランジスタ20Bには入射しない。したがって、ダブルゲートトランジスタ20Bで光が検知されれば、蛍光標識DNA63がプローブDNA61と相補的な塩基配列であると認定できる。逆にダブルゲートトランジスタ20Bで光が検知されなければ、蛍光標識DNA63がプローブDNA61と相補的な塩基配列でないと認定できる。
蛍光が入射したダブルゲートトランジスタ20では電子−正孔対が発生する。なお、励起光Lは励起光吸収層33により吸収されるため、ダブルゲートトランジスタ20に励起光Lが入射して電子−正孔対を発生させることはなく、励起光Lによるノイズを低減することができる。
次に、コンピュータ71は、上述の撮像動作を行い、各ダブルゲートトランジスタ20,20,…のそれぞれの光量データを取得する。その後、コンピュータ71は、取得した光量データを、ダブルゲートトランジスタ20A,20Bの波長による感受性や蛍光体64,65の蛍光強度差に応じて調整した後、記憶装置72に記憶する。
ここで、ダブルゲートトランジスタ20Aの光量データとダブルゲートトランジスタ20Bの光量データとを、異なる配色のデータとして保存する。例えば、光学フィルター24aに対応するダブルゲートトランジスタ20Aの光量データを緑色、光学フィルター24bに対応するダブルゲートトランジスタ20Bの光量データを赤色として保存する。
コンピュータ71は、作業者の操作に応じて記憶装置72に記憶された各ダブルゲートトランジスタ20,20,…のそれぞれの光量データを表示装置78に表示させる。このとき、表示装置78の表示画面のうち、ダブルゲートトランジスタ20Aと対応する画素を緑色光、ダブルゲートトランジスタ20Bと対応する画素を赤色光で表示する。
蛍光標識DNA62,63のいずれもがプローブDNA61とハイブリダイズしたスポット60と対応する部分が画面上で黄色に表示される。一方、蛍光標識DNA62のみがプローブDNA61とハイブリダイズしたスポット60と対応する部分は画面上で緑色に表示され、蛍光標識DNA63のみがプローブDNA61とハイブリダイズしたスポット60と対応する部分は画面上で赤色に表示される。蛍光標識DNA62,63のいずれもがプローブDNA61とハイブリダイズしなかったスポット60と対応する部分は画面上で暗色に表示される。
このように、各スポット60,60,…の色を見ることで、A検体及びB検体のいずれでも発現している遺伝子、A検体またはB検体のみで発現している遺伝子、A検体及びB検体のいずれでも発現していない遺伝子に分類することができる。
なお、表示装置78に表示された画像データを画像出力装置77により出力し、これを見ることで各スポット60,60,…におけるハイブリダイゼーションの有無を確認してもよい。
上記実施形態では、2種類の第1の蛍光体64、第2の蛍光体65、2種類の蛍光標識DNA62,63並びに2種の2種類のバンドパスフィルター24a,24bを用いたが、これに限らず互いに異なる蛍光波長域の3種類以上の蛍光体、これら蛍光体によって選択的に標識化された3種類以上の蛍光標識DNA、並びにこれら蛍光体の蛍光を選択的に透過する3種類以上のバンドパスフィルターを用いても良い。
本発明の実施形態に係る生体高分子分析チップ1の概略平面図である。 図1における1つのスポット60を拡大した図である。 1つのダブルゲートトランジスタ20を示す平面図である。 図3のIV−IV矢視断面図である。 図2のV−V矢視断面図である。 分析装置70の構成を示すブロック図である。 蛍光標識DNA溶液を生体高分子分析チップ1上に滴下した状態を示す模式図である。 蛍光標識DNA62、63のいずれもがプローブDNA61とハイブリダイズした状態を示す模式図である。 蛍光標識DNA62のみがプローブDNA61とハイブリダイズした状態を示す模式図である。 蛍光標識DNA63のみがプローブDNA61とハイブリダイズした状態を示す模式図である。 蛍光標識DNA62の検出方法を示す模式図である。 蛍光標識DNA63の検出方法を示す模式図である。
符号の説明
1 生体高分子分析チップ
10 固体撮像デバイス(撮像装置)
20 ダブルゲートトランジスタ(光電変換素子)
60 スポット
61 プローブDNA(プローブ)
62,63 蛍光標識DNA
64,65 蛍光体

Claims (5)

  1. 受光面からの光を光電変換する複数の光電変換素子と、
    前記受光面側における第一領域に配置された、第一波長域の光を選択的に透過する第一バンドパスフィルターと、
    前記受光面側における、前記第一領域と異なる第二領域に配置された、前記第一波長域と異なる第二波長域の光を選択的に透過する第二バンドパスフィルターと、
    を備えていることを特徴とする撮像装置。
  2. 前記受光面を囲む隔壁がさらに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  3. 請求項1または2に記載の撮像装置と、
    前記撮像装置の受光面に固定され、特定の生体高分子と結合するプローブを備えることを特徴とする生体高分子分析チップ。
  4. 前記プローブは既知の塩基配列を有する一本鎖DNAであり、前記特定の生体高分子は前記いずれかのバンドパスフィルターを透過する蛍光を放射する蛍光体により標識された一本鎖DNAであることを特徴とする請求項3に記載の生体高分子分析チップ。
  5. 第一波長域の光を選択的に透過する第一バンドパスフィルターに対応して配置された第一光電変換素子の受光面側に設けられた、特定の生体高分子と結合する第一プローブ、及び前記第一波長域と異なる第二波長域の光を選択的に透過する第二バンドパスフィルターに対応して配置された第二光電変換素子の受光面側に設けられた、特定の生体高分子と結合する第二プローブに、第一蛍光体が標識化された第一生体高分子、及び前記第一蛍光体の蛍光の波長域と異なる波長域の蛍光を発する第二蛍光体が標識化された第二生体高分子を供給する供給工程と、
    前記第一プローブ及び前記第二プローブに、前記第一蛍光体及び前記第一蛍光体を励起する励起光を照射する照射工程と、
    を有することを特徴とする分析方法。
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