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JP2009203422A - ポリアミドの連続製造方法 - Google Patents

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JP2009203422A JP2008049677A JP2008049677A JP2009203422A JP 2009203422 A JP2009203422 A JP 2009203422A JP 2008049677 A JP2008049677 A JP 2008049677A JP 2008049677 A JP2008049677 A JP 2008049677A JP 2009203422 A JP2009203422 A JP 2009203422A
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英夫 松岡
Tsutomu Mukai
努 向井
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Abstract

【課題】ポリアミドの連続製造方法において、工程が簡素化され、短時間処理でエネルギー使用量が少なく、均質なポリアミドを長期間連続して、効率的かつ安定的に製造する方法を提供することにある。
【解決手段】ジカルボン酸成分と、脂環族ジアミン成分を、重合反応器に連続供給してポリアミドプレポリマーを連続重合し、次いで該ポリアミドプレポリマーを二軸押出機に連続供給して高重合度化することを特徴とするポリアミドの連続製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭素数6〜22のジカルボン酸成分と脂環族ジアミン成分からポリアミドを連続的に製造する方法に関する。さらに詳しくは、炭素数6〜22のジカルボン酸成分と脂環族ジアミン成分を重合反応器に供給してポリアミドプレポリマーを連続重合し、次いで該ポリアミドプレポリマーを二軸押出機で連続高重合度化する、効率的かつ経済的に優れたポリアミドの連続製造方法に関するものである。
ポリアミド樹脂は機械的性質、耐熱性、耐油性、ガスバリヤー性などに優れており、繊維、フィルム、自動車部品や電気・電子部品など各種用途に使用されている。用途分野の拡大に伴い、繊維、フィルムや各種機器のカバー類の用途で、ポリアミド樹脂の特性を有し、かつ、透明性や成形品の形状保持性に優れたものが求められている。
従来、ポリアミド樹脂の結晶性を抑え、透明でアモルファス(非晶)性のポリアミド樹脂を得る方法に関し、種々の提案が行われている。例えば、特許文献1、2、3には、非晶性のポリアミド樹脂をバッチ式の高圧重合釜を用いジカルボン酸とジアミンとを溶融反応させて重合物を製造する方法が開示されている。しかし、非晶性ポリアミド樹脂は、分子量の割に溶融粘度が高く、低分子量の段階で重合釜から吐出させないとならないなどの問題があった。
また、何段階かの製造行程に分けて高分子量のポリアミド樹脂を得るために、いくつかの製造方法が提案されている。例えば特許文献4には、ジカルボン酸とジアミンとを溶融反応させ低次縮合物を調製し、これを固相重合させてポリアミド前躯体を調製した後、前躯体をさらに溶融重合させてポリアミドを製造する方法が提案されている。しかし、製造するには3段階の工程が必要となり、製造コストが増大し経済的でないことから好ましくない。また、第2工程の固相重合では重合速度が遅く製造に時間がかかるため、処理能力の大きい装置が必要となる。さらには、低温で固相重合したポリアミド前躯体を溶融重合するために、熱を与えて再溶融させるため、熱エネルギー的に不利である。
一方、2段階で重合する方法として、例えば特許文献5には、ジカルボン酸とジアミンを等モルになるよう混合後、水の存在下で均一溶融重合させ低次重合物を得た後、溶融混練重合してポリアミド共重合体を製造する方法が提案されている。しかし、バッチ式の重合釜を用いた低次重合物の重合では、原料を塩または/およびモノマーの水溶液として重合釜に仕込み、低次重合物の凝固点降下により重合中の固化防止を図る必要があるため、高い重合圧力を保持できる重合釜が必要となるだけでなく、重合段階で水を除去するための余分なエネルギーが必要となり、好ましくない。
原料として水溶液を使用しない連続的な製造方法として、例えば特許文献6には、本質的に乾燥しているジカルボン酸およびジアミンを融解して等モル量混合し、融解した反応混合物を生成させ、通気しない反応容器でポリアミドおよび重合水を含む第1生成物流を形成し、通気された容器を通って重合水が除去され、ポリアミドを含む第2生成物流を生成させる。ここで、第2生成物流の一部は通気された容器へ再循環される。第2生成物流は最終製品のポリマー分子量とするために、第2反応器に供給してさらに重合するというポリアミドの製造方法が提案されている。しかし、第2生成物流の一部を再循環するため、反応器内での滞留時間にムラができたり、最終製品に重合する第2反応器はセルフクリーニング性が劣るため、反応器内でゲルが生成しやすいという問題があり、好ましくない。
また、ナイロン66の連続製造方法として、例えば特許文献7には、原料モノマー,塩の水溶液,塩の水溶液濃縮物および塩の一種以上を加圧重合釜へ連続供給し、撹拌条件下150〜320℃で加熱し、相対粘度(ηr)1.01〜2.5の一次縮合物を連続重合し、次いで溶融機で連続高重合度化するナイロン66の連続製造方法が提案されている。しかし、特許文献5の場合と同様に、水溶液では重合段階で水を除去するための余分なエネルギーが必要となり好ましくない。さらに重合温度が320℃と高温のため、一次縮合物が熱劣化しやすい問題があり、好ましくない。
特開平8−269194号公報 特開2000−1544号公報 特開2004−83858号公報 特開平8−311198号公報 特開平7−138366号公報 特表2002−516366号公報 特開平5−230208号公報
そこで本発明は、ポリアミドの連続製造方法における上記した従来技術の問題点を解決すべく、工程が簡素化され、短時間処理でエネルギー使用量が少なく、均質なポリアミドを長期間連続して、効率的かつ安定的に製造する方法を提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明は以下のとおりである。
1.炭素数6〜22のジカルボン酸成分と、下記構造式(1)で表される脂環族ジアミン成分を、直接重合反応器に連続供給してポリアミドプレポリマーを連続重合し、次いで該ポリアミドプレポリマーを直接二軸押出機に連続供給して高重合度化することを特徴とするポリアミドの連続製造方法。
Figure 2009203422
(ここで、RはC2n(n=1〜3)で表される炭化水素、R、Rは同一であっても異なっていても良く、HまたはC2n+1(n=1〜3)で表される炭化水素である。)
2.温度230〜320℃、圧力0〜4MPaの条件下で10〜40分連続重合してポリアミドプレポリマーを連続重合することを特徴とする1記載のポリアミドの連続製造方法。
3.二軸押出機に連続供給するポリアミドプレポリマーの相対粘度(ηr)が1.2〜2.5の範囲にあることを特徴とする1または2記載のポリアミドの連続製造方法。
4.二軸押出機で連続高重合度化をする際の温度が、ポリアミドが結晶性の場合は融点+5〜+50℃、非晶性の場合はガラス転移温度+50〜+200℃の温度であり、重縮合により発生する水を除去しながら連続高重合度化することを特徴とする1〜3のいずれか記載のポリアミドの連続製造方法。
5.炭素数6〜22のジカルボン酸成分と前記構造式(1)で表される脂環族ジアミン成分を溶融状態またはスラリー状態にして、重合反応器に連続供給することを特徴とする1〜4のいずれか記載のポリアミドの連続製造方法。
6.前記構造式(1)で表される脂環族ジアミン成分が4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、または4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタンであることを特徴とする1〜5のいずれか記載のポリアミドの連続製造方法。
本発明の方法によって、工程が簡素化され、短時間処理でエネルギー使用量が少なく、均質で比較的高分子量なポリアミドを長期間連続して、効率的かつ安定的に製造することが可能となる。
以下に、本発明のポリアミドの連続製造方法を詳細に説明する。
本発明によれば、ジカルボン酸成分と、脂環族ジアミン成分を、重合反応器に連続供給してポリアミドプレポリマーを連続重合し、次いで該ポリアミドプレポリマーを二軸押出機に連続供給して高重合度化することが重要である。ここで、原料に使用するジカルボン酸成分と脂環族ジアミン成分に含まれる水は、重合段階で除去する必要があり、そのための余分なエネルギーが必要となることから、低水分ほど好ましい。
本発明において、原料に使用されるジカルボン酸成分および脂環族ジアミン成分は、ポリアミドを構成する芳香族アミド単位、脂肪族アミド単位を形成するものであればよく、具体的には、次のようなものが挙げられる。芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などがあり、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく用いられる。
脂肪族ジカルボン酸成分としては、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸などの炭素数2〜18の脂肪族ジカルボン酸があり、ドデカン二酸が好ましく用いられる。
本発明の脂環族ジアミン成分としては、下記構造式(1)で表される脂環族ジアミンである。
Figure 2009203422
(ここで、RはC2n(n=1〜3)で表される炭化水素、R、Rは同一であっても異なっていても良く、HまたはC2n+1(n=1〜3)で表される炭化水素である。)脂環族ジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン,4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタンおよび4,4’−ジアミノジシクロヘキシルプロパン等が挙げられる。これらは単独でも使用できるし、2種以上を適宜組合せて使用しても良い。
本発明では、更に脂肪族アミノカルボン酸またはラクタムを用いることができる。脂肪族アミノカルボン酸は炭素数4〜12のω−アミノカルボン酸、ラクタムは炭素数4〜12の環状アミド化合物(三員環以上のラクタム)である。脂肪族アミノカルボン酸の具体例としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクチル酸、9−アミノノナン酸、10−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などがある。ラクタムの具体例としては、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ウンデカンラクタム、ω−ドデカラクタムなどが挙げられる。このうち、本発明では12−アミノドデカン酸およびω−ドデカラクタムが好ましく、使用される。
原料であるジカルボン酸成分と脂環族ジアミン成分および必要に応じて脂肪族アミノカルボン酸は、溶融状態またはスラリー状態にして、事前混合させずに直接重合反応器に供給することが好ましく、具体的には、原料を融点以上の温度で加熱し、溶融させて液体の状態にして供給する。溶融しない原料については、溶融した原料や水でスラリーの状態にして供給することが好ましい。ここで、固体の原料を溶融する際には、融点以上の高温に加熱するため、酸素による着色および劣化を防止する目的で、加熱前に原料または原料タンクなどから酸素を除去することが好ましい。酸素を除去する方法については、特に制限はなく、バッチ式で真空にして窒素などの不活性ガスで置換する方法や窒素などの不活性ガスをブローする方法など、公知の方法で酸素を除去すればよい。また、原料の溶融方法についても、特に制限がなく、溶解缶や押出機などを使用して溶解すればよいが、酸による腐食を考慮した材質の選定が必要である。
本発明において、溶融もしくはスラリー状のジカルボン酸成分と溶融させた脂環族ジアミン成分は、定量供給可能なポンプを用いてそれぞれ重合反応器に連続供給され、重合反応器内上部でジカルボン酸成分と脂環族ジアミン成分とが混合され、好ましくは、温度230〜320℃、圧力0〜4MPaの条件下で10〜40分連続重合してポリアミドプレポリマーを製造することができる。ここで、ポリアミドプレポリマーとは、ジカルボン酸成分と脂環族ジアミン成分との加熱処理により得られる組成物であり、オリゴマー、未反応モノマー、重縮合によって生成する水を含む混合物を言う。
本発明のポリアミドプレポリマーを製造するときの反応温度は、通常230〜320℃であり、好ましくは240〜310℃、より好ましくは250〜300℃である。反応時間が長くなることから、反応温度は230℃以上が好ましい。また、熱分解やゲル化物の生成を防止するため、反応温度は320℃以下が好ましい。
本発明のポリアミドプレポリマーを製造するときの圧力は、通常0〜4MPa、好ましくは0〜3MPa、より好ましくは0〜2MPaに保つように操作される。原料の供給精度や設備費用の点から、圧力は低い方が好ましい。
本発明のポリアミドプレポリマーを製造するときの反応時間は、通常10〜40分であり、好ましくは15〜35分、より好ましくは20〜30分である。得られるポリアミドプレポリマーの粘度が低いと、次工程で重縮合する際に組成比がずれたり、粘度が上がりにくいことから、反応時間は10分以上が好ましい。また、熱分解やゲル化物の生成、異常滞留を防止するために、反応時間は40分以下が好ましい。
本発明において、重合反応器については特に制限はないが、不必要な対流が起きないよう、縦型円筒状で内部を多孔板などで仕切られた反応器が好ましく用いられる。また、重合反応器内上部には、供給されたジカルボン酸成分と脂環族ジアミン成分が混合しやすいように、静的ライン混合器や撹拌機など公知のものを使用することができる。その他、重合反応器には圧力調整時に水とともに脂環族ジアミン成分が流出して組成比がずれないよう、重合反応器上部に精留塔などを設置し、脂環族ジアミン成分の流出を防止することができる。
ここで得られるポリアミドプレポリマーの相対粘度(ηr)は通常1.2〜2.5であり、好ましくは1.2〜2.2、より好ましくは1.2〜2.0の範囲である。次工程において高重合度化する際に、組成比のずれを防止したり、高重合度化しやすいように、相対粘度は1.2以上が好ましい。また、溶融粘度が高く、異常滞留による重合反応器内でのゲル化物の生成を防止するため、相対粘度は2.5以下が好ましい。ここで、相対粘度(ηr)は、JIS K6810に従って、試料を98%硫酸に0.01g/ml濃度で溶解し、25℃でオストワルド式粘度計を用いて測定した値である。
本発明のポリアミドプレポリマーの製造においては、重合度調節を容易にするため、重合度調節剤の添加が有効であり、原料であるジカルボン酸成分または脂環族ジアミン成分と一緒に重合反応器に供給することができる。重合度調節剤としては、有機酸および/または有機塩基を使用する。有機酸としては、好ましくは安息香酸、酢酸、ステアリン酸であり、より好ましくは安息香酸が用いられる。また、有機塩基は炭素数4〜14の脂肪族ジアミンが用いられ、ヘキサメチレンジアミンが好ましく用いられる。重合度調節剤の添加量は、原料であるジカルボン酸成分および脂環族ジアミン成分のトータルモル数に対して0〜0.1倍モル、好ましくは0.0001〜0.05倍モル用いられる。
本発明のポリアミドプレポリマーの製造においては、リン酸触媒も用いることができる。リン系触媒は、重合反応の触媒機能を有するものであり、具体的には、リン酸、リン酸塩、次亜リン酸塩、酸性リン酸エステル、リン酸エステル、亜リン酸エステルである。次亜リン酸塩を例示すると、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸バナジウム、次亜リン酸マンガン、次亜リン酸ニッケル、次亜リン酸コバルトなどが挙げられる。酸性リン酸エステルを例示すると、モノメチルリン酸エステル、ジメチルリン酸エステル、モノエチルリン酸エステル、ジエチルリン酸エステル、プロピルリン酸エステル、イソプロピルリン酸エステル、ジプロピルリン酸エステル、ジイソプロピルリン酸エステル、ブチルリン酸エステル、イソブチルリン酸エステル、ジブチルリン酸エステル、ジイソブチルリン酸エステル、モノフェニルリン酸エステル、ジフェニルリン酸エステルなどが挙げられる。リン酸エステルを例示すると、トリメチルリン酸、トリエチルリン酸、トリ−n−プロピルリン酸、トリ−i−プロピルリン酸、トリ−n−ブチルリン酸、トリ−i−ブチルリン酸、トリフェニルリン酸、トリ−n−ヘキシルリン酸、トリ−n−オクチルリン酸、トリ(2−エチルヘキシル)リン酸、トリデシルリン酸などが挙げられる。これらの中で好ましいのは次亜リン酸塩であり、特に好ましいのは次亜リン酸ナトリウムである。リン系触媒を添加する場合、その添加量としては、ポリアミドプレポリマー100重量部に対して0.001〜5重量部が用いられ、0.01〜1重量部が好ましい。また、添加方法は原料であるジカルボン酸成分または脂環族ジアミン成分と一緒に重合反応器に供給すればよく、次工程の二軸押出機に追添加することもできる。
本発明において、重合反応器から連続して安定的かつ定量的にポリアミドプレポリマーを吐出するには、ギヤポンプ、ボールバルブなどの排出装置を使用し、直結した二軸押出機に連続供給するのが好ましい。
本発明において、二軸押出機に供給されたポリアミドプレポリマーは、最終的に得られるポリアミドが結晶性の場合は、融点+5〜+50℃、好ましくは融点+10〜+40℃、非晶性の場合は、ガラス転移温度+50〜+200℃、好ましくはガラス転移温度+80〜+150℃の範囲で溶融混練し、重縮合による高重合度化を経てポリアミドを得る。重合反応速度が遅く、粘度が上がりにくいことから、温度は結晶性の場合、融点+5℃、非晶性の場合は、ガラス転移温度+50℃以上が好ましい。また、熱分解やゲル化物の生成を防止するため、温度は結晶性の場合、融点+50℃、非晶性の場合は、ガラス転移温度+200℃以下が好ましい。
ここで、二軸押出機にはポリアミドプレポリマーと水分が同時に連続供給されるため、水分は二軸押出機の供給口付近に設置されたリヤベントまたは第1ベントから連続的に除去することにより、より安定した重縮合により高重合度化したポリアミドの製造が可能となり、好ましく用いられる。また、上記以外にも少なくとも1つ以上のベント口を設置し、ポリアミドプレポリマーの重縮合により発生する水と、ごく少量の未反応モノマーなどを系外に排出することにより、重縮合反応を進め高重合度化されたポリアミドを製造する。なお、ベントでの排気は、通常ナッシュポンプなど公知の減圧・真空装置を用いて、減圧下で行なわれることが好ましいが、特に圧力に制限はなく、常圧下でも行なうことができる。
本発明において、二軸押出機内での滞留時間は特に定めないが、ポリアミドとして充分な粘度まで上がり、かつ長時間滞留による熱劣化や熱分解が生じないよう設定され、1〜10分、好ましくは2〜5分である。
本発明において、ポリアミドプレポリマー製造工程、二軸押出機によるポリアミド製造工程またはコンパウンド工程などで、必要に応じて触媒、耐熱安定剤、耐候性安定剤、酸化防止剤、可塑剤、離型剤、滑剤、結晶核剤、顔料、染料、他の重合体などを添加することもできる。添加剤をコンパウンドする場合は、生産性の点から、二軸押出機での重縮合と同時あるいは連続で行なうのがより好ましい。ポリアミドの色調改善には、酸化防止剤の添加が有効であり、特に次亜リン酸ナトリウムおよびヒンダードフェノール系酸化防止剤の添加が好ましい。
本発明の製造方法によって得られたポリアミドは、従来のポリアミドと同様に、通常の成形方法によって成形品とすることができる。成形方法に関しては特に制限はなく、射出成形、押出成形、吹き込み成形、プレス成形など公知の成形方法が利用できる。ここでいう成形品とは射出成形などによる成形品の他、繊維、フィルム、シート、チューブ、モノフィラメント等の賦形物も含む。
以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明する。なお、特許請求の範囲、明細書本文および実施例、比較例に記した特性値の定義および測定方法は以下のとおりである。
(1)相対粘度(ηr):JIS K6810に従って、試料を98%硫酸に、0.01g/ml濃度で溶解し、25℃でオストワルド式粘度計を用いて測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm):DSC(PERKIN−ELMER製)を用い、試料8〜10mgを昇温速度20℃/分で測定して、得られた融解曲線の屈曲点および最大値を示す温度をから求めた。
実施例1
ドデカン二酸(DDS)10kgを容量30Lの溶解缶に投入し、窒素置換を行なった後、170℃の温度でDDSを溶解した。また、ポリ容器入りの4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン(MACM)10kgを室温60℃に設定された温調室で溶融状態にしたものを原料タンクに投入し、窒素置換を行なった後、タンクを60℃で保温した。なお、重合触媒として、次亜リン酸ナトリウムを重合後に得られるポリアミドプレポリマー100重量部に対して0.05wt%になるようにDDS溶液中に混合して添加した。準備した原料はそれぞれプランジャーポンプを用いて、DDS溶液を3.45kg/hr(14.98mol/hr)、MACM溶液を3.62kg/hr(15.18mol/hr)の供給速度で、3Lの縦型円筒状の重合反応器に連続供給し、表1記載の条件でポリアミドプレポリマーを連続重合した。重合反応器は反応器上部に精留塔を、反応器内部に多孔板を有した装置を用いた。重合反応器に直結したφ30mm二軸押出機(L/D=42)に供給される直前でサンプリングし、得られたポリアミドプレポリマーの相対粘度は1.78であった。この連続重合したポリアミドプレポリマーを、重合反応器から二軸押出機に供給し、リヤベントからフラッシュした水分を除去するとともに、表1記載の条件で高重合度化を行った。得られたポリアミドの相対粘度は2.45、ガラス転移温度153℃であり、問題なく製造することができた。
実施例2
ドデカン二酸(DDS)10kgを容量30Lの溶解缶に投入し、窒素置換を行なった後、170℃の温度でDDSを溶解した。また、ポリ容器入りの4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM)10kgを室温60℃に設定された温調室で溶融状態にしたものを原料タンクに投入し、窒素置換を行なった後、タンクを60℃で保温した。なお、重合触媒として、次亜リン酸ナトリウムを重合後に得られるポリアミドプレポリマー100重量部に対して0.05wt%になるようにDDS溶液中に混合して添加した。準備した原料はそれぞれプランジャーポンプを用いて、DDS溶液を3.45kg/hr(14.98mol/hr)、PACM溶液を3.19kg/hr(15.16mol/hr)の供給速度で、3Lの縦型円筒状の重合反応器に連続供給し、表1記載の条件でポリアミドプレポリマーを連続重合した。重合反応器は反応器上部に精留塔を、反応器内部に多孔板を有した装置を用いた。重合反応器に直結したφ30mm二軸押出機(L/D=42)に供給される直前でサンプリングし、得られたポリアミドプレポリマーの相対粘度は1.82であった。この連続重合したポリアミドプレポリマーを、重合反応器から二軸押出機に供給し、リヤベントからフラッシュした水分を除去するとともに、表1記載の条件で高重合度化を行った。得られたポリアミドの相対粘度は2.51、融点250℃であり、問題なく製造することができた。
実施例3
イソフタル酸(IPA)2.49kg、12−アミノドデカン酸(ADA)6.46kgとイオン交換水8.95kgを容量30Lのスラリー缶に投入し、窒素置換を行なった後、80℃の温度でスラリー缶に設置された撹拌機で内部の撹拌を開始し、均一なジカルボン酸スラリーを作製した。また、ポリ容器入りの4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン(MACM)10kgを室温60℃に設定された温調室で溶融状態にしたものを原料タンクに投入し、窒素置換を行なった後、タンクを60℃で保温した。なお、重合触媒として、次亜リン酸ナトリウムを重合後に得られるポリアミドプレポリマー100重量部に対して0.05wt%になるようにジカルボン酸スラリー中に混合して添加した。準備した原料はそれぞれプランジャーポンプを用いて、ジカルボン酸スラリーを8.34kg/hr(IPA:6.98mol/hr、ADA:13.98mol/hr)、MACM溶液を1.67kg/hr(7.00mol/hr)の供給速度で、3Lの縦型円筒状の重合反応器に連続供給し、表1記載の条件でポリアミドプレポリマーを連続重合した。次いで二軸押出機で表1記載の条件で高重合度化を行った。得られたポリアミドの相対粘度は2.38、ガラス転移温度158℃であり、問題なく製造することができた。
実施例4
ドデカン二酸(DDS)5.76kgと、テレフタル酸(TPA)4.15kgを容量20Lの溶解缶に投入し、窒素置換を行なった後、170℃の温度でDDSを溶解した。DDS溶解後に溶解缶に設置された撹拌機で内部の撹拌を開始し、均一なジカルボン酸スラリーを作製した。また、ポリ容器入りの4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン(MACM)10kgを室温60℃に設定された温調室で溶融状態にしたものを原料タンクに投入し、窒素置換を行なった後、タンクを60℃で保温した。なお、重合触媒として、次亜リン酸ナトリウムを重合後に得られるポリアミドプレポリマー100重量部に対して0.05wt%になるようにジカルボン酸スラリー中に混合して添加した。準備した原料はそれぞれプランジャーポンプを用いて、ジカルボン酸スラリーを2.97kg/hr(DDS、TPA各7.49mol/hr)、MACM溶液を3.62kg/hr(15.18mol/hr)の供給速度で、3Lの縦型円筒状の重合反応器に連続供給し、表1記載の条件でポリアミドプレポリマーを連続重合した。次いで二軸押出機で表1記載の条件で高重合度化を行った。得られたポリアミドの相対粘度は2.27、ガラス転移温度211℃であり、問題なく製造することができた。
比較例1
撹拌機、温度計、圧力計、窒素導入口、放圧口及び重合物吐出口を備えた3lの圧力容器に、ドデカン二酸(DDS)460g(2mol)、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン(MACM)477g(2mol)、次亜リン酸ナトリウム0.4g(ポリアミドプレポリマー100重量部に対して0.05wt%)とイオン交換水600gを仕込んだ。次いで、圧力容器内を十分窒素置換した後、撹拌下密閉状態で昇温し、圧力は1.8MPaGに保ちながら圧力容器内の温度を280℃まで120分かけて昇温した。その後、圧力容器内の圧力を60分かけて徐々に放圧し、常圧にしてから、300℃、−160mmHgで30分減圧重合を行った。その後、撹拌を止め、圧力容器内を窒素で加圧しながら生成したポリアミド樹脂を圧力容器底部の重合物吐出口からガット状にして取り出した。得られたポリアミドの相対粘度は1.98、ガラス転移温度154℃であった。
比較例2
撹拌機、温度計、圧力計、窒素導入口、放圧口及び重合物吐出口を備えた3lの圧力容器に、ドデカン二酸(DDS)460g(2mol)、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン(MACM)477g(2mol)、次亜リン酸ナトリウム0.4g(ポリアミドプレポリマー100重量部に対して0.05wt%)とイオン交換水600gを仕込んだ。次いで、圧力容器内を十分窒素置換した後、撹拌下密閉状態で昇温し、圧力は1.8MPaGに保ちながら圧力容器内の温度を280℃まで120分かけて昇温した。その後、圧力容器内の圧力を60分かけて徐々に放圧し、常圧にしてから、300℃、−160mmHgで120分減圧重合を行った。その後、撹拌を止め、圧力容器内を窒素で加圧しながら生成したポリアミド樹脂を圧力容器底部の重合物吐出口からガット状にして取り出したところ溶融粘度が高く、圧力容器内に残存ポリマーとして残ってしまい比較例1の半分以下の収率であった。得られたポリアミドの相対粘度は2.48、ガラス転移温度153℃であった。
比較例3
比較例1で得られたポリアミドを次いで、二軸押出機にて実施例1と同じ条件で高重合度化した。しかし、得られたポリアミドの相対粘度2.23は、ガラス転移温度153℃であり、あまり高粘度化できていなかった。
比較例4
実施例1同様の方法で重合したポリアミドプレポリマーを、二軸押出機ではなく回転翼を備えた薄膜蒸発機で高重合度化した。運転初期は正常な運転が可能であったが、約1日後にはゲル化物が発生した。薄膜蒸発機を解体点検した結果、回転翼の軸部にポリマーが付着しており、セルフクリーニング性がないため、熱劣化してゲル化物が生成し、製品中に混入し、連続運転できなかった。
実施例1〜4,比較例1〜4の製造条件、得られたポリアミドの物性を表1,表2に示す。
Figure 2009203422
Figure 2009203422
表1、表2から明らかなように、実施例の方法では、いずれも安定して所望の粘度、ガラス転移温度(融点)を示す比較的高分子量(高相対粘度)なポリアミドが効率よく得られており、ゲル化物の発生も見られなかった。
本発明の方法によって、ポリアミド連続製造方法において、工程が簡素化され、短時間処理でエネルギー使用量が少なく、均質で比較的高分子量なポリアミドを長期間連続して、効率的かつ安定的に製造することができる。

Claims (6)

  1. 炭素数6〜22のジカルボン酸成分と、下記構造式(1)で表される脂環族ジアミン成分を、直接重合反応器に連続供給してポリアミドプレポリマーを連続重合し、次いで該ポリアミドプレポリマーを直接二軸押出機に連続供給して高重合度化することを特徴とするポリアミドの連続製造方法。
    Figure 2009203422
    (ここで、R1はC2n(n=1〜3)で表される炭化水素、R、Rは同一であっても異なっていても良く、HまたはC2n+1(n=1〜3)で表される炭化水素である。)
  2. 温度230〜320℃、圧力0〜4MPaの条件下で10〜40分連続重合してポリアミドプレポリマーを連続重合することを特徴とする請求項1記載のポリアミドの連続製造方法。
  3. 二軸押出機に連続供給するポリアミドプレポリマーの相対粘度(ηr)が1.2〜2.5の範囲にあることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミドの連続製造方法。
  4. 二軸押出機で連続高重合度化をする際の温度が、ポリアミドが結晶性の場合は融点+5〜+50℃、非晶性の場合はガラス転移温度+50〜+200℃の温度であり、重縮合により発生する水を除去しながら連続高重合度化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のポリアミドの連続製造方法。
  5. 炭素数6〜22のジカルボン酸成分と前記構造式(1)で表される脂環族ジアミン成分を溶融状態またはスラリー状態にして、重合反応器に連続供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のポリアミドの連続製造方法。
  6. 前記構造式(1)で表される脂環族ジアミン成分が4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、または4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のポリアミドの連続製造方法。
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