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JP2009200258A - 半導体モジュール - Google Patents

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JP2009200258A
JP2009200258A JP2008040446A JP2008040446A JP2009200258A JP 2009200258 A JP2009200258 A JP 2009200258A JP 2008040446 A JP2008040446 A JP 2008040446A JP 2008040446 A JP2008040446 A JP 2008040446A JP 2009200258 A JP2009200258 A JP 2009200258A
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和広 五十嵐
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】金属配線層のクラックを抑制し,高放熱性を確保する半導体モジュールを提供すること。
【解決手段】半導体モジュール100は,絶縁基板20の一方の面を応力緩和層40と接合し,他方の面上に半導体素子10を搭載する。半導体モジュール100は,次の2つの条件を満たしている。すなわち,条件(1)が「応力緩和層40の降伏応力>絶縁基板20の金属配線層22の降伏応力」であり,条件(2)が「金属配線層22の線膨張率>絶縁材23の線膨張率」である。また,半導体モジュール100では,金属配線層22の外周部が弾性樹脂の樹脂モールド50によってモールドされている。すなわち,樹脂モールド50は,応力緩和層40と絶縁基板20の絶縁材23との隙間を充填し,両者を接合している。
【選択図】 図1

Description

本発明は,金属配線層が積層された絶縁基板と,その金属配線層と接合する金属ブロックが組み付けられた半導体モジュールに関する。
ハイブリッド自動車や電気自動車等に車載される高耐圧・大電流用のパワーモジュールは,半導体素子の動作時の自己発熱量が大きい。そのため,車載用パワーモジュールは,高放熱性を有する冷却構造を具備する必要がある。
図7は,冷却構造を具備するパワーモジュールの一例を示している。パワーモジュール90は,半導体素子10と,半導体素子10を実装する絶縁基板20と,内部に冷媒流路を備えた冷却器30とを有している。絶縁基板20は,基板となる絶縁材23と,絶縁材23の両面に積層された金属配線層21,22とからなり,半導体素子10と金属配線層21とは半田15によって接合されている。パワーモジュール90は,半導体素子10から発せられる熱を冷却器30によって放熱する。
このような構造のパワーモジュール90では,線膨張率差に起因する応力集中が懸念される。つまり,絶縁基板20の絶縁材23線膨張率は3〜5ppm/℃と小さい。一方,冷却器30の素材となるアルミの線膨張率は23ppm/℃と比較的大きい。そこで,この線膨張率差を吸収するため,絶縁基板20と冷却器30との間には,高熱伝導性を有し,かつ冷却器30と線膨張率が近い軟金属ブロック(純度が90%以上の純アルミ等)からなる応力緩和層40が設けられる。この応力緩和層40には,多数の貫通穴が設けられており,それら貫通穴が絶縁基板20と冷却器30との線膨張歪を吸収する。絶縁基板20,応力緩和層40および冷却器30は,ロウ付けによって一体化される。
また,熱膨張量・熱収縮量の差によって生じる剪断応力を緩和するための技術として,例えば特許文献1に,放熱台板とモールド樹脂との境界部分に低弾性樹脂を備えた半導体装置が開示されている。特許文献1では,低弾性樹脂が放熱台板の輪郭に沿ったクラックの発生を防止するとしている。
特開2006−86342号公報
しかしながら,前記した従来の半導体モジュールには,次のような問題があった。すなわち,絶縁基板20の金属配線層21上には半導体素子10が半田付けされている。半導体素子10の線膨張率は3〜5ppm/℃であり,半田接合の信頼性を向上させるには,絶縁基板20として線膨張率を小さくすることが望まれる。そのため,金属配線層21,22の材料として,降伏応力が小さい(σy=5〜20MPa)軟金属(例えば,高純度アルミ)が選択される。
また,絶縁材23と冷却器30との線膨張率差を緩和するためには,両者の間に位置する金属配線層22および応力緩和層40の降伏応力は小さい方が好ましい。金属の降伏応力は,純度が高いほど小さい傾向にあるが,一方で純度が高いほど高価になる。そのため,金属配線層22としては,降伏応力が小さく高価な金属が選択され,応力緩和層40としては,金属配線層22と比較して降伏応力が大きく,金属配線層22と比較して安価な金属が選択されることが多い。
前記のように,金属配線層22の降伏応力が応力緩和剤40の降伏応力よりも小さい場合,温度差が大きい熱負荷を繰り返し受けることで,線膨張率差に起因する大きな剪断応力が金属配線層22に集中する。その結果,金属配線層22の外周部(図7中の点線枠220)にクラックが発生し,放熱性の悪化を招く。
本発明は,前記した従来の半導体モジュールが有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,金属配線層のクラックを抑制し,高放熱性を確保する半導体モジュールを提供することにある。
この課題の解決を目的としてなされた半導体モジュールは,絶縁材に金属配線層を積層し,金属配線層の線膨張率が絶縁材の線膨張率より大きい絶縁基板と,絶縁基板の金属配線層と接合し,降伏応力が金属配線層の降伏応力よりも大きい金属ブロックと,絶縁材と金属ブロックとを接合し,金属配線層の外周部を弾性樹脂でモールドする樹脂モールド部とを備えることを特徴としている。
本発明の半導体モジュールは,絶縁基板の一方の面を金属ブロックと接合し,他方の面に半導体素子等を搭載するものである。本発明の半導体モジュールは,次の2つの条件を満たしている。すなわち,条件(1)が「金属ブロックの降伏応力>金属配線層の降伏応力」であり,条件(2)が「金属配線層の線膨張率>絶縁材の線膨張率」である。金属ブロックとしては,例えば,放熱板や冷却器等の冷却部材,あるいは冷却部材と絶縁基板との線膨張率差に起因する応力歪を緩和するための軟金属ブロックがある。
さらに,本発明の半導体モジュールでは,金属ブロックと接合する金属配線層の外周部が弾性樹脂の樹脂モールド部によってモールドされている。すなわち,本発明の半導体モジュールでは,樹脂モールド部が金属ブロックと絶縁基板の絶縁材との隙間を充填し,絶縁材と金属ブロックとを接合している。樹脂モールド部としては,ヤング率が15GPaから30GPaの範囲内の弾性樹脂であることが好ましく,例えばエポキシ系の熱硬化性樹脂が適用可能である。
樹脂モールド部は,ヤング率が小さいものの,弾性材料であるために降伏し難い。そのため,樹脂モールド部は,降伏応力が小さい金属配線層よりも剛性が高く,剪断応力をより多く負担することになる。その結果,剪断歪分布は,接合端である樹脂モールド部に集中する。これにより,樹脂モールド部の内側に位置する金属配線層が負担する剪断応力が緩和され,金属配線層のクラックが抑制される。
また,本発明の半導体モジュールの樹脂モールド部は,絶縁材の領域の端部から金属配線層の領域の端部までの領域をモールドするとよりよい。すなわち,当該領域のみをモールドすることで,極少量の樹脂で効果を発揮することができる。
また,本発明の半導体モジュールは,金属ブロックの,金属配線層と接合する側の面に,底面の面積が絶縁材の投影領域の面積よりも大きく,深さが金属配線層の厚み以上となる凹部が設けられ,金属配線層は,凹部に収容され,樹脂モールド部は,金属配線層の端部と凹部の側壁との隙間を充填するとよりよい。このような構成にすることで,樹脂ディスペンサによる樹脂の塗布が容易になる。
また,本発明の半導体モジュールは,冷却部材を備え,金属ブロックは,金属配線層と接合する面の反対側の面が冷却部材と接合し,伝熱機能と応力緩和機能とを兼ねるとよりよい。本発明は,このような構成の半導体モジュールに好適である。
本発明によれば,金属配線層のクラックを抑制し,高放熱性を確保する半導体モジュールが実現されている。
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお,以下の形態では,ハイブリッド自動車用のインテリジェントパワーモジュールとして本発明を適用する。
[パワーモジュールの構成]
本形態のパワーモジュール100は,図1に示すように,発熱体である半導体素子10と,半導体素子10を実装するセラミック基板20と,内部に冷媒流路を備えた冷却器30と,セラミック基板20と冷却器30との間に介在し,両者の線膨張率差による応力歪を緩和する応力緩和機能を有する応力緩和層40とを備えている。パワーモジュール100は,半導体素子10からの熱をセラミック基板20および応力緩和層40を介して冷却器30に放熱する。
また,セラミック基板20は,セラミックからなる絶縁材23と,絶縁材23の両面に位置する金属配線層21,22とからなり,半導体素子10と金属配線層21とは半田15によって接合されている。セラミック基板20の詳細は後述する。また,パワーモジュール100には,金属配線層22の外周部を弾性樹脂でモールドする樹脂モールド50が設けられている。樹脂モールド50の詳細についても後述する。なお,以下の説明では,半導体素子10側の金属配線層21を「上側金属配線層21」とし,応力緩和層40側の金属配線層22を「下側金属配線層22」とする。
半導体素子10は,インバータ回路を構成する電子部品(IGBTやダイオード等)である。半導体素子10は,セラミック基板20上に複数実装され,半田付けによって固定される。なお,車載用のパワーモジュールには,多くの半導体素子が搭載されるが,本明細書では説明を簡略化するためにその一部のみを概略図示している。
セラミック基板20の絶縁材23は,必要とされる絶縁特性,熱伝導率および機械的強度を満たしていれば,どのようなセラミックから形成されていてもよい。例えば,酸化アルミニウムや窒化アルミニウムが適用可能である。本形態では,絶縁材23として窒化アルミニウム(AlN)を用いる。なお,絶縁材23の線膨張率は,3〜5ppm/℃の範囲内である。
絶縁材23の上面には,パターンが形成された上側金属配線層21が設けられている。上側金属配線層21は,半田15の接合信頼性を確保するため,降伏応力が小さい(σy=5〜20MPa)軟金属が選択される。また,上側金属配線層21には,電気伝導率が高く,はんだとの濡れ性に優れた金属が好適である。一方,絶縁材23の下面には,下側金属配線層22が設けられている。下側金属配線層22は,応力緩和機能を兼ねるため,降伏応力が小さい軟金属が選択される。また,下側金属配線層22には,熱伝導率が高く,ロウ材との濡れ性に優れた金属が好適である。本形態では,上側金属配線層21および下側金属配線層22ともに,純度が99.99%以上の高純度アルミを適用する。
なお,上側金属配線層21および下側金属配線層22の線膨張率は,15〜25ppm/℃の範囲内である。すなわち,セラミック基板20の下側金属配線層22と絶縁材23とは,次の関係(1)を満たす。
下側金属配線層22の線膨張率>絶縁材23の線膨張率 (1)
応力緩和層40には,アルミ製の冷却器30とセラミック基板20との線膨張率差による応力歪を吸収する応力吸収空間である貫通穴が設けられている。本形態の応力緩和層40は,純度が90%以上の純アルミ板である。応力緩和層40の線膨張率は,アルミニウムの固有値と等しい23.5ppm/℃である。純アルミは,ヤング率が70.3GPaと比較的軟らかい材料であり,応力に対する変形が大きい。そのため,冷却器30とセラミック基板20との間の応力歪を緩和できる。
また,応力緩和層40の材料である高純度アルミは,高熱伝導性を有する。そのため,応力緩和層40は,半導体素子10からの熱を応力緩和層40の面方向に散熱するとともに冷却器30に伝熱する機能を有している。つまり,応力緩和層40は,応力緩和機能とともに伝熱機能を兼ねている。
なお,応力緩和層40の降伏応力は,σy=25〜30MPaの範囲内である。すなわち,応力緩和層40(純アルミ)と下側金属配線層22(高純度アルミ)とは,次の関係(2)を満たす。
応力緩和層40の降伏応力>下側金属配線層22の降伏応力 (2)
冷却器30は,その内部に列状に等間隔配置された冷却フィン31を有し,隣り合う冷却フィン31,31間に冷媒流路35を形成する。冷却器30を構成する各部材には,高熱伝導性を有し軽量であるアルミが適用可能である。冷媒としては,液体および気体のいずれを用いてもよい。
セラミック基板20と応力緩和層40とは,半導体素子11からの熱を効率よく冷却器30に伝達させるため,ロウ付けによって冷却器30上に直接接合される。ロウ材としては,Al−Si系合金,Al−Si−Mg系合金等のアルミニウムロウ材が適用可能である。本形態では,Al−Si系合金を用い,600℃弱の温度でロウ付けを行う。なお,冷却器30と応力緩和材40等との接合は,冷却器30の形成と同時に行ってもよい。
続いて,セラミック基板20の応力緩和層40側の下側金属配線層22の外周をモールドする樹脂モールド50について,図1から図3に示す概略構成図を参照しつつ説明する。なお,図2は,図1中の半田15より上を省略した状態のパワーモジュール100の構成を示している。図3は,図1中の絶縁材23より上を省略した状態のパワーモジュール100の構成を示している。
樹脂モールド50は,図1に示したように,下側金属配線層22の端部と接合し,さらにセラミック基板20の絶縁材23と応力緩和層40とを接合している。また,樹脂モールド50は,図1および図2に示したように,絶縁材23の厚さ方向(図1の上下方向)から見て,下側金属配線層22の端部から絶縁材23の端部までの領域(図1の幅Xの領域)をモールドしている。また,樹脂モールド50は,図3に示したように,下側金属配線層22の外周全域を囲っている。
樹脂モールド50の材料物性としては,弾性材であり,ヤング率が15GPaから30GPaの範囲内であればよい。また,線膨張率は5〜20ppm/℃の範囲内が望ましい。本形態の樹脂モールド50は,エポキシ系の熱硬化性樹脂である。
樹脂モールド50は,樹脂ディスペンサによって絶縁材23と応力緩和層40との隙間から充填される。なお,樹脂モールド50の形成は,セラミック基板20と応力緩和層40とのロウ付け前に行われる。
本形態のパワーモジュール100では,絶縁材23と冷却器30との線膨張率差が大きい。そのため,温度差による熱負荷を繰り返し受けることにより,降伏応力が応力緩和層40より小さい下側金属配線層22に大きな剪断応力が発生する。ここで,2つの異種材料の部材間に接合層(パワーモジュール100では下側金属配線層22)を挟んだ構造における接合層の剪断歪については,剪断遅れの理論により,接合層の剛性が小さい場合には剪断歪が直線分布となり,接合層の剛性が大きい場合には剪断歪が接合端近傍に集中することがわかっている。
樹脂モールド50は,ヤング率が15〜30GPaと比較的小さいが,弾性材であり降伏し難い。そのため,剪断応力が大きい領域(20MPa以上)においては,下側金属配線層22よりも剛性が高くなる。本形態のパワーモジュール100では,下側金属配線層22の周辺を剛性が高い樹脂モールド50で囲むことで,剪断歪分布は接合端である樹脂モールド50に集中することになる。そのため,樹脂モールド50の内部側に位置する下側金属配線層22が負担する剪断応力が緩和される。よって,下側金属配線層22のクラックが抑制される。
また,樹脂モールド50は,絶縁材23の端部までの領域をモールドしており,セラミック基板20全体をモールドするものと比較して,極少量の樹脂で効果を発揮することができる。また,樹脂モールド50は,下側金属配線層22の外周全域を囲っており,一部を囲むものと比較して応力集中の発生が抑えられる。
[FEM解析]
続いて,FEM解析によるシミュレーション結果について説明する。被検体の構造は,アルミ冷却器に,純アルミの応力緩和層(軟金属ブロック)を介して,絶縁基板(窒化アルミの絶縁材の両面上に高純度アルミの金属配線層を積層)をロウ付けした構造とする。そして,絶縁基板の下側金属配線層の周囲を樹脂モールドで囲むもの(本形態)と,囲まないもの(従来例)とを被検体とした。また,樹脂モールドの材料として,(1)ヤング率E=15GPa,線膨張率α=20ppm/℃のものと,(2)ヤング率E=30GPa,線膨張率α=5ppm/℃のものとの2種類を設定した。
また,各部材の寸法としては,次の通りである。
絶縁材:約20mm×35mm×0.5mm
上側金属配線層:約20mm×35mm×0.5mm
下側金属配線層:約20mm×35mm×0.5mm
軟金属ブロック:約20mm×35mm×1.0mm
冷却器全体:約70mm×55mm×8.0mm
樹脂モールド:幅:約1.5mm,厚さ:0.5mm
上記の被検体について,均一温度分布で,30分間隔で,温度−40℃と105℃とが繰り返されるものとした。図4に,シミュレーション結果を示す。図4に示すように,樹脂モールドがない従来の形態と比較して,材料(1)を使用した樹脂モールドの形態では,下側金属配線層の塑性歪振幅の割合が73%減少することがわかる。また,材料(2)を使用した樹脂モールドの形態では,下側金属配線層の塑性歪振幅の割合が75%減少することがわかる。
[応用例]
続いて,実施の形態のパワーモジュール100の応用例について説明する。応用例のパワーモジュール110は,図5に示すように,応力緩和層45に,凹部41が設けられ,下側金属配線層22が凹部41に収容されている。この点,下側金属配線層22が平面の応力緩和層40上に接合される実施の形態とは異なる。
具体的に,応力緩和層45の凹部41は,底面の面積が絶縁材23の投影領域の面積よりも大きく,深さが下側金属配線層22の厚みよりも大きい。そして,凹部41の底面が,下側金属配線層22の下面と接している。
さらに,凹部41に生じる隙間,すなわち下側金属配線層22の端部と凹部41の側壁との間の領域を樹脂モールド51で充填している。樹脂モールド51の材料としては,実施の形態の樹脂モールド50と同じである。凹部41の深さが下側金属配線層22の厚みよりも大きいことから,樹脂モールド51は,絶縁材23の下側の面とも接合している。すなわち,モールド樹脂51は,下側金属配線板22の外周部を囲み,応力緩和層45と絶縁材23とを接合している。これにより,実施の形態と同様に,下側金属配線層22のクラックの抑制が期待できる。
また,凹部41の底面の面積が絶縁材23の投影領域の面積よりも大きいことから,上下方向から見て,絶縁材23の端部と凹部41の壁面との間にはスペースが存在する。そのため,応用例のパワーモジュール110では,図6に示すように,上下方向からモールド樹脂を塗布することができ,樹脂ディスペンサ60によるモールド樹脂の塗布が容易である。
以上詳細に説明したように本実施の形態の半導体モジュール100では,応力緩和層40と接合する下側金属配線層22の外周部が弾性樹脂の樹脂モールド50によってモールドされている。すなわち,樹脂モールド50が,応力緩和層40と絶縁材23との隙間を充填し,両者を接合している。樹脂モールド50は,ヤング率が小さいものの,弾性材料であるために降伏に難い。そのため,樹脂モールド50は,降伏応力が小さい下側金属配線層22よりも剛性が高く,剪断応力をより多く負担することになる。その結果,剪断歪分布は,接合端である樹脂モールド50に集中する。これにより,樹脂モールド50の内側に位置する下側金属配線層22が負担する剪断応力が緩和され,下側金属配線層22のクラックが抑制される。従って,金属配線層のクラックを抑制し,高放熱性を確保する半導体モジュールが実現している。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本実施の形態では,セラミック基板20の絶縁材23の外周サイズの範囲内で樹脂モールド50を形成しているが,セラミック基板20全体を囲むように樹脂モールドを構成したとしても剪断歪抑制の効果を発揮することができる。
また,半導体素子からの熱を放熱する部材は,冷媒流路を有する冷却器に限るものではない。例えば,安価で高熱伝導性を有する材料(アルミや銅等)からなる金属板を用いた放熱板であってもよい。
実施の形態にかかるパワーモジュールの構成を示す概略断面図である。 実施の形態にかかるパワーモジュールの構成(図1中の半田より上は不図示)を示す概略斜視図である。 実施の形態にかかるパワーモジュールの構成(図1中の絶縁材より上は不図示)を示す概略斜視図である。 シミュレーション結果を示すグラフである。 応用例にかかるパワーモジュールの構成を示す概略断面図である。 モールド樹脂の塗布例を示す概略断面図である。 従来の形態にかかるパワーモジュールの構成を示す概略断面図である。
符号の説明
10 半導体素子
20 セラミック基板(絶縁基板)
21 上側金属配線層
22 下側金属配線層(金属配線層)
30 冷却器(冷却部材)
40,45 応力緩和層(金属ブロック)
41 凹部
50 樹脂モールド
100 パワーモジュール(半導体モジュール)

Claims (5)

  1. 絶縁材に金属配線層を積層し,前記金属配線層の線膨張率が前記絶縁材の線膨張率より大きい絶縁基板と,
    前記絶縁基板の金属配線層と接合し,降伏応力が前記金属配線層の降伏応力よりも大きい金属ブロックと,
    前記絶縁材と前記金属ブロックとを接合し,前記金属配線層の外周部を弾性樹脂でモールドする樹脂モールド部とを備えることを特徴とする半導体モジュール。
  2. 請求項1に記載する半導体モジュールにおいて,
    前記樹脂モールド部は,前記絶縁材の領域の端部から前記金属配線層の領域の端部までの領域をモールドすることを特徴とする半導体モジュール。
  3. 請求項1または請求項2に記載する半導体モジュールにおいて,
    前記金属ブロックには,前記金属配線層と接合する側の面に,底面の面積が前記絶縁材の投影領域の面積よりも大きく,深さが前記金属配線層の厚み以上となる凹部が設けられ,
    前記金属配線層は,前記凹部に収容され,
    前記樹脂モールド部は,前記金属配線層の端部と前記凹部の側壁との隙間を充填することを特徴とする半導体モジュール。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載する半導体モジュールにおいて,
    前記樹脂モールド部の弾性樹脂のヤング率は,15GPaから30GPaの範囲内であることを特徴とする半導体モジュール。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する半導体モジュールにおいて,
    冷却部材を備え,
    前記金属ブロックは,前記金属配線層と接合する面の反対側の面が前記冷却部材と接合し,伝熱機能と応力緩和機能とを兼ねることを特徴とする半導体モジュール。
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