JP2009292976A - プレス成形用プリプレグ及び成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エポキシ樹脂(X)と、質量平均分子量が10,000〜60,000のポリエーテルスルホン樹脂(Y)と、エポキシ硬化剤(Z)とを含み、100〜150℃における最低粘度が2〜20Pa・s、30℃における粘度が10,000〜100,000Pa・sのエポキシ樹脂組成物が、繊維補強材に含浸されたプレス成形用プリプレグ。また、該プレス成形用プリプレグを用いた成形品の製造方法。
【選択図】なし
Description
ハイサイクルプレス成形では、通常、100〜150℃、1〜15MPaの高温高圧条件が用いられる。これは、速硬化による硬化時間の短縮と、金型内においてプリプレグが適度に流動することによる該金型内からのガスの排出のためである。
一方、金型内における樹脂の流動を調整する方法としては、高粘度のエポキシ樹脂を用いたり、エポキシ樹脂に熱可塑性樹脂を添加したりする方法が示されている(例えば、特許文献1、2)。
また、本発明では、前記プレス成形用プリプレグを用いた高い生産性の成形品の製造方法を提供する。
また、本発明の製造方法によれば、高温高圧による硬化により高い生産性で成形品を得ることができる。
本発明のプレス成形用プリプレグは、エポキシ樹脂(X)、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂(Y)、及びエポキシ硬化剤(Z)を含むエポキシ樹脂組成物を、繊維補強材に含浸したプリプレグである。本発明のプレス成形用プリプレグは、特に、高温高圧下に短時間で硬化させて成形品を得るハイサイクルプレス成形に好適に用いることができる。
(エポキシ樹脂(X))
エポキシ樹脂(X)としては、2官能性エポキシ樹脂、3官能以上の多官能性エポキシ樹脂が挙げられる。
2官能性エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート828(jER828))、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、あるいはこれらを変性したエポキシ樹脂等が挙げられる。
3官能以上の多官能性エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシメタン)のようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、あるいはこれらを変性したエポキシ樹脂やこれらのエポキシ樹脂をブロム化したブロム化エポキシ樹脂が挙げられる。
これらエポキシ樹脂は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
PES樹脂(Y)は、エポキシ樹脂組成物の流動性を調整する役割を果たす樹脂である。
PES樹脂(Y)は、質量平均分子量が10,000〜60,000の樹脂であり、20,000〜50,000の樹脂であることが好ましい。
質量平均分子量が10,000以上であれば、エポキシ樹脂組成物の粘度が低くなりすぎることを防ぐことができ、適正な配合量でエポキシ樹脂組成物の粘度を本発明で規定する適正な粘度域とすることができる。質量平均分子量が60,000以下であれば、エポキシ樹脂への溶解が困難になり、極少量の配合でもエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎることを防ぐことができ、エポキシ樹脂組成物の粘度を本発明で規定する適正な粘度域とすることができる。
PES樹脂(Y)の使用量を5質量部以上とすることにより、高温高圧成形時においてエポキシ樹脂組成物が流動しすぎることによる金型からの流出を抑制でき、樹脂枯れ等の表面欠陥がない成形品を得ることができる。また、PES樹脂(Y)の使用量を15質量部以下とすることにより、エポキシ樹脂への溶解が容易で、またエポキシ樹脂組成物のTgの低下、硬化速度の低下を抑制することができる。
エポキシ硬化剤(Z)は、エポキシ樹脂組成物の架橋密度や硬化速度を適切な範囲に保つ役割を果たす。
エポキシ硬化剤(Z)としては、エポキシ樹脂用の硬化剤として通常用いられているものを使用することができる。エポキシ硬化剤(Z)は、硬化性、硬化後の物性に優れる点から、アミド系の硬化剤であるジシアンジアミド(DICY)が好ましい。
具体例としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のjERキュアーDICY15等が挙げられる。
ウレア系の硬化剤としては、例えば、フェニルジメチルウレア(PDMU)、トルエンビスジメチルウレア(TBDMU)等が挙げられる。
エポキシ硬化剤(Z)として、DICY及びウレア系硬化剤(PDMU、TBDMU等)を併用する場合、それらの使用量は、エポキシ樹脂(X)100質量部に対して、DICYが2〜15質量部、ウレア系硬化剤が1〜10質量部(ただし、DICYとウレア系硬化剤の合計量が5〜20質量部である。)であることが好ましい。
また、本発明におけるエポキシ樹脂組成物には、エポキシ樹脂組成物の100〜150℃における最低粘度、30℃における粘度、Tg、硬化速度等に悪影響を及ぼさない範囲内で、前記エポキシ樹脂(X)、PES樹脂(Y)、エポキシ硬化剤(Z)以外のその他の成分が含有されていてもよい。
その他の成分としては、例えば、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等のジアミノジフェニルスルホン(DDS)、及びこれらの変性物等が挙げられる。具体例としては、和歌山精化(株)製のセイカキュアS等が挙げられる。
DDSを用いることで、優れた機械的強度及び耐熱性が得られるだけでなく、樹脂組成物の調製に使用するエポキシ樹脂の粘度を調整したり、硬化を早めたりすることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、100〜150℃における最低粘度が2〜20Pa・sである。100〜150℃における最低粘度とは、エポキシ樹脂組成物を加熱した場合に100℃から150℃までの温度範囲内における粘度(昇温粘度)の最低値を意味する。昇温粘度は、例えば、レオメトリック社製DSR−200又は同等の性能を有する装置を用いて、周波数1Hz、パラレルプレート(25mmφ、ギャップ0.5mm)で測定することができる。
100〜150℃における最低粘度を2Pa・s以上とすることにより、樹脂(エポキシ樹脂組成物)が適度な流動性を示し、高温高圧における成形時に金型内で過剰に流動することを抑えることができ、高品質な成形品が得られるとともに、金型のシアエッジ部から樹脂が流出して成形品に外観不良が生じたり、繊維蛇行が生じたりすることを抑制することができる。また、金型内のエジェクターピンやエアー弁等に樹脂が流入して金型の動作不良が生じることを防止できる。また、100〜150℃における最低粘度を20Pa・s以下とすることにより、成形時の粘度が高すぎるために、樹脂の流動が不十分になり、成形品からガスが抜け難くなって欠陥になったり、成形品に未充填部分が残ったりすることを防止できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の100〜150℃における最低粘度は、2〜20Pa・sであることが好ましく、3〜18Pa・sであることがより好ましい。
粘度は、前記昇温粘度と同様に、例えば、レオメトリック社製DSR−200又は同等の性能を有する装置を用いて、周波数1Hz、パラレルプレート(25mmφ、ギャップ0.5mm)で測定することができる。
エポキシ樹脂組成物の100〜150℃における最低粘度、及び30℃における粘度は、エポキシ樹脂(X)の種類、並びにPES樹脂(Y)、エポキシ硬化剤(Z)の種類及び使用量により調節することができる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化温度100〜150℃、成形圧力1〜15MPaの条件で加熱加圧した際に1〜20分間で硬化するものであることが好ましい。
本発明におけるエポキシ樹脂組成物の製造方法としては、例えば、前述のエポキシ樹脂(X)、PES樹脂(Y)、エポキシ硬化剤(Z)、及び必要に応じて添加するその他の成分を適量ずつ添加して混合する方法が挙げられる。
また、その他の成分としてDDSを用いる場合には、DDSとエポキシ樹脂(X)とを予め所定粘度まで予備反応させた後に、PES樹脂(Y)及びエポキシ硬化剤(Z)と混合することもできる。所定粘度としては、例えば、90℃における粘度が4〜13Pa・sが挙げられる。
また、エポキシ硬化剤(Z)が固体である場合には、液状のエポキシ樹脂(X)に予め均一混合した後に、残りの成分と混合してもよい。
本発明における繊維補強材としては、FRPの補強材として通常用いられる繊維を用いることができ、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、鉱物繊維(例えば、バサルト繊維等)等が挙げられる。なかでも、軽量かつ高強度で高弾性率を有し、耐熱性、耐薬品性にも優れる点から、炭素繊維が好ましい。
炭素繊維としては、ピッチ系、ポリアクリロニトリル(PAN系)、レーヨン系等の種類が挙げられ、いずれの炭素繊維を用いてもよいが、炭素繊維の生産性の面から、PAN系炭素繊維の使用がより好ましい。
繊維補強材の形態としては、ミルドファイバー状、チョップドファイバー状、連続繊維、各種織物等の形態が挙げられる。
本発明のプレス成形用プリプレグは、これらの繊維補強材に前述のエポキシ樹脂組成物が含浸されたプリプレグである。
プレス成形用プリプレグの製造方法は、繊維補強材にエポキシ樹脂組成物を含浸させることができる方法であればよく、例えば、離型紙上に薄く塗布したエポキシ樹脂組成物と各種形態の繊維強化材とを接触させて含浸させるプリプレグ法が挙げられる。
本発明の成形品の製造方法は、前述のプレス成形用プリプレグを用いた成形材料を、金型により高温高圧で硬化させて成形することにより成形品を得る方法である。本発明の製造方法は、特に、自動車部材等の用途の成形品(FRP)のハイサイクルプレス成形に好適に用いることができる。
本発明の製造方法における金型としては、成形材料を高温高圧下で硬化させることのできる金型であればよく、金型を閉じた時に該金型の内部を気密に保つことのできる構造を有する金型を用いることが好ましい。ここで、気密とは、金型を満たすのに十分な量の成形材料を金型内に入れ、加圧した際にも成形材料を構成するエポキシ樹脂組成物が金型から実質的に漏れ出さないことをいう。
内部を気密に保つ金型としては、金型を締めた時に上型・下型(雄型・雌型)が接触する部分にシアエッジ構造(図1参照)やゴムシール構造を採用した金型が挙げられる。また、金型の内部を気密に保つものであれば公知のいかなる構造を採用した金型であってもよい。
金型1は、上型2(雌型)と下型3(雄型)とを有する。上型2には雌型シアエッジ部4が設けられており、下型3には雄型シアエッジ部5が設けられている。そして、シアエッジ構造(雌型シアエッジ部4及び雄型シアエッジ部5)により、上型2と下型3を閉じた際に金型1の内部が気密に保たれる。
以下、本発明の成形品の製造方法の実施形態の一例として、図1に例示した金型1を用いた方法について説明する。
まず、金型1をエポキシ樹脂組成物の硬化温度以上まで調温した後、下型3上に成形材料6(必要に応じてプレス成形用プリプレグ切断し、積層したもの)を配置する(図1(A))。ついで、上型2及び下型3を閉じ、加圧して成形する(図1(B))。樹脂(エポキシ樹脂組成物)は金型1の外へはほとんど流出することはなく、成形材料6は加圧されて金型1の内部の全てを満たすこととなる。
S1/S2が0.8以上であれば、金型1の内部における樹脂の流動を抑えやすいため、繊維蛇行が生じ難くなる。また、S1/S2が1以下であれば、成形材料の周縁部が金型1からはみ出して金型1を閉じる際に障害や成形品内の成形材料不足が生じたりすることを抑制しやすい。また、金型1内で成形材料が折り畳まれて繊維配向の乱れが生じることを防止しやすい。
金型1の内部に入れる成形材料6の体積が得られる成形品の体積の100%未満であると、成形材料6に十分な圧力がかかり難くなる。一方、金型1の内部に入れる成形材料6の体積が得られる成形品の体積の120%を超えると、金型1を閉める際に金型1の気密性が得られる以前に成形材料6が流出しやすくなる。
また、成形材料6の厚みが得られる成形品の厚みの100%未満の場合、及び150%を超える場合には、成形材料6の全面を均等に加圧することが難しくなる。ここで、成形材料6の厚み及び得られる成形品の厚みとは、それぞれ成形材料及び得られる成形品の厚みを平均した厚みである。
また、本発明の製造方法における硬化時間は1〜20分間である。これにより高い生産性で優れた品質の成形品を製造することができる。
なお、本発明の製造方法は、図1に例示した金型1を用いる方法には限定されない。前述の高温高圧下において短時間で硬化させることができる金型であれば、金型1以外の金型を用いる方法であってもよい。
<エポキシ樹脂組成物>
[各種測定方法]
本実施例における、100〜150℃における最低粘度、30℃における粘度、エポキシ樹脂組成物の硬化物Tgは以下に示す方法で測定した。
装置:レオメトリックス(株)製DSR−200
測定モード:パラレルプレート(25mmφ、ギャップ0.5mm)
周波数:1Hz
温度設定:30℃から2℃/分で120℃にまで昇温しながら粘度を測定した。
最低粘度については、100℃付近で最低の粘度が確認され、それ以降粘度が上昇したため、120℃までの測定とした。
エポキシ樹脂組成物の硬化物TgはTA Instrument社製ARS−DMA動的粘弾性測定装置を用いてASTM D4065に従って測定を行い、図4に示すように温度に対して貯蔵弾性率(G’)の対数値をプロットし、得られたG’曲線のガラス弾性領域と転移領域の各接線の交点での温度をガラス転移温度(Tg)とした。
装置:日合商事(株)製 キュラストメーター IIF−HT
測定モード:P.P.(ピーク測定モード)
振動数:6 CPM
振幅角度:±3°
測定温度:140℃
90%キュアー時間は日合商事(株)製キュラストメーター IIF−HTを使用し、ダイ温度140℃でのトルク値(kgf・cm)の変化を測定し、図5に示すような時間−トルク曲線を得る。ついで、該曲線からトルクが変化しなくなる最大トルク値(Tmax)を求め、測定開始からTmaxの90%のトルク値(T90)が得られる迄の経過時間(分)を90%キュアー時間(t90)とした。
エポキシ樹脂組成物の製造に用いた原料を以下に示す。
(エポキシ樹脂(X))
EP828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:jER828、ジャパンエポキシレジン(株)製)
(PES樹脂(Y))
E2020P:ポリエーテルスルホン(商品名ウルトラゾーンE2020P、BASF製、質量平均分子量32,000)
(エポキシ硬化剤(Z))
DICY:ジシアンジアミド(商品名:jERキュアーDICY15、ジャパンエポキシレジン(株)製)
PDMU:フェニルジメチルウレア(商品名:オミキュア94、PTIジャパン(株)製)
(その他の成分)
DDS:4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(商品名:セイカキュアS、和歌山精化(株)製)
YP50S:フェノキシ樹脂(商品名フェノトートYP50S、東都化成(株)製、質量平均分子量50,000〜70,000)
EP828とDDSとをEP828/DDS=100/9(単位:質量部)で混合し、150℃で加熱することにより、90℃における粘度が9Pa・sとなるように予備反応を行い、樹脂組成物(I)を得た。
また、EP828にDICY及びPDMUを添加して混合し、三本ロールミルを用いて均一に分散させてEP828/DICY/PDMU=11.38/6.07/4.55(単位:質量部)のペースト状の樹脂組成物(II)を得た。
更にEP828/E2020P=7/3(単位:質量部)にて混合し180℃にて均一に溶解させて樹脂組成物(III)を得た。
ついで、樹脂組成物(I)78.10質量部、樹脂組成物(II)19.75質量部、及び樹脂組成物(III)16.70質量部を混合してエポキシ樹脂組成物(A)を得た。
得られたエポキシ樹脂組成物(A)におけるPES樹脂(Y)の質量割合は、エポキシ樹脂組成物(A)中の全エポキシ樹脂(樹脂組成物(I)+樹脂組成物(II)及び(III)中のエポキシ樹脂(X))100質量部に対して5質量部であった。また、エポキシ樹脂組成物(A)におけるエポキシ硬化剤(Z)の質量割合は、エポキシ樹脂組成物(A)中の全エポキシ樹脂(樹脂組成物(I)+樹脂組成物(II)及び(III)中のエポキシ樹脂(X))100質量部に対して、9.54質量部であった。
また、得られたエポキシ樹脂組成物(A)を140℃、5分で硬化させた硬化物のTgは137℃であった。
エポキシ樹脂組成物(A)中の全エポキシ樹脂(樹脂組成物(I)+樹脂組成物(II)及び(III)中のエポキシ樹脂(X))100質量部に対するPES樹脂(Y)の質量割合を10質量部とした以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂組成物(B)を得た。
また、得られたエポキシ樹脂組成物(B)を140℃、5分で硬化させた硬化物のTgは139℃であった。
PES樹脂(Y)を用いなかった以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂組成物(C)を得た。
また、得られたエポキシ樹脂組成物(C)を140℃、5分で硬化させた硬化物のTgは139℃であった。
EP828にフェノキシ樹脂YP50Sを2/1(質量部)の割合で配合し、160℃にて均一に溶解させて樹脂組成物(IV)を得た。樹脂組成物(I)71.61質量部、樹脂組成物(II)19.71質量部、及び樹脂組成物(IV)27.26質量部を55℃にて混合してエポキシ樹脂組成物(D)を得た。
得られたエポキシ樹脂組成物(D)におけるフェノキシ樹脂の質量割合は、エポキシ樹脂組成物(D)中の全エポキシ樹脂(樹脂組成物(I)+樹脂組成物(II)及び(III)中のエポキシ樹脂(X))100質量部に対して9.1質量部であった。また、エポキシ樹脂組成物(D)におけるエポキシ硬化剤(Z)の質量割合は、エポキシ樹脂組成物(D)中の全エポキシ樹脂100質量部に対して、9.49質量部であった。また、得られたエポキシ樹脂組成物(D)を140℃、10分で硬化させた硬化物のTgは131℃であった。
製造例1〜4で得られたエポキシ樹脂組成物(A)〜(D)について、100〜150℃における最低粘度と30℃における粘度を測定した結果を図1及び図2に示す。
また、PES樹脂(Y)を用いずにフェノキシ樹脂を用いた製造例4も、30℃における粘度が10,000〜100,000Pa・sの範囲内であり、かつ100℃〜150℃における最低粘度が2〜20Pa・sの範囲内であった。
一方、PES樹脂(Y)を用いなかった製造例3では、30℃における粘度は10,000〜100,000Pa・sの範囲内であるものの、100℃〜150℃における最低粘度が2Pa・s未満であった。
[実施例1]
製造例1で得られたエポキシ樹脂組成物(A)を簡易型ロールコーターで離型紙上に樹脂目付133g/m2で均一に塗布して樹脂層を形成した。ついで、前記樹脂層に三菱レイヨン(株)製3K平織り炭素繊維クロスTR3110Mを貼り付けた後、ローラーで100℃、線圧0.1MPaで加熱及び加圧してエポキシ樹脂組成物を炭素繊維に含浸させ、繊維目付が200g/m2、樹脂含有率が40質量%のプレス成形用プリプレグを作製した。
ついで、前記プレス成形用プリプレグを縦298mm×298mmに切断し、繊維の配向方向が0°と90°が交互になるように10枚(厚さ22mm、層体積195.4cm3、片面表面積S1(下面の表面積)888.0cm2)積層したプリフォームを用意した。
金型1の上型2及び下型3を予め140℃に加熱し、下型3上に前記プリフォームを配置し、すぐに上型2を降ろして金型1を閉め、10MPaの圧力をかけて10分間加熱加圧して硬化させ、硬化後に金型1から取り出して成形品を得た。
製造例2で得られたエポキシ樹脂組成物(B)を用いた以外は実施例1と同様の方法で成形品を得た。
製造例3で得られたエポキシ樹脂組成物(C)を用いた以外は実施例1と同様の方法で成形品を得た。
製造例4で得られたエポキシ樹脂組成物(D)を用いた以外は実施例1と同様の方法で成形品を得た。
実施例1〜2及び比較例1〜2における評価は、成形品の外観(樹脂枯れ)、金型シアエッジからの樹脂流出量、エポキシ樹脂組成物の硬化物Tg、及びキュラストメーターによる90%キュアー時間を評価することにより行った。
(成形品の樹脂枯れ)
○:全く無し
△:1〜2ヵ所
×:多数発生
(金型シアエッジからの樹脂流出量(%))
W1;成形前のプリフォームの重量(g)
W2;成形後の成形品(バリ除去後)の重量(g)
樹脂流出量(%)=(W2−W1)/W1×100
実施例1〜2及び比較例1〜2についての評価結果を表1に示す。
一方、PES樹脂(Y)を用いなかった比較例1では、金型のシアエッジからの樹脂流出量が多く、樹脂枯れが多数見られ、実施例に比べて外観が劣っていた。
また、PES樹脂(Y)を用いずにフェノキシ樹脂を用いた比較例2では、金型のシアエッジからの樹脂流出量が抑えられており、樹脂枯れが全く生じなかったものの、エポキシ樹脂組成物の硬化物Tg及び90%キュアー時間が実施例に比べて劣っていた。
Claims (2)
- エポキシ樹脂(X)100質量部と、質量平均分子量が10,000〜60,000のポリエーテルスルホン樹脂(Y)5〜15質量部と、エポキシ硬化剤(Z)5〜20質量部とを含み、100〜150℃における最低粘度が2〜20Pa・sであり、30℃における粘度が10,000〜100,000Pa・sのエポキシ樹脂組成物が、繊維補強材に含浸されたプレス成形用プリプレグ。
- 請求項1に記載のプレス成形用プリプレグを用いた成形材料を金型内で、100〜150℃、1〜15MPaの条件下で1〜20分間加熱加圧して硬化させる成形品の製造方法。
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