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JP2009289842A - 光デバイス - Google Patents

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JP2009289842A JP2008138846A JP2008138846A JP2009289842A JP 2009289842 A JP2009289842 A JP 2009289842A JP 2008138846 A JP2008138846 A JP 2008138846A JP 2008138846 A JP2008138846 A JP 2008138846A JP 2009289842 A JP2009289842 A JP 2009289842A
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克彦 箱守
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Abstract

【課題】正常動作温度範囲が異なるレーザダイオード素子でも同じ構造の光デバイスに組み込んで使用することができる光デバイスを提供することを課題とする。
【解決手段】レーザダイオード素子10を含む光学部品が筐体11内に組み込まれる。レーザダイオード素子10の近傍にバイモルフ型圧電素子12が配置される。バイモルフ型圧電素子12の自由端は、レーザダイオード素子10に接触する。バイモルフ型圧電素子12は制御回路13,14,15により駆動制御される。
【選択図】図3

Description

本発明は光デバイスに係り、特にレーザダイオード(LD)素子などの温度変化に敏感な特性を有する素子が組み込まれた光デバイスに関する。
同期光伝送網や同期デジタルハイアラキーシステムなどの光通信システムでは、同期した1波長の単一光信号を光ファイバ一本を用いて伝送する。そのようなシステムに用いられる光中間中継局や光端局には、発光用のレーザダイオード(LD)素子と受光用のフォトダイオード(PD)素子が組み込まれた光モジュールが用いられる。
直接変調タイプの送信光モジュールに用いられるLD素子は、一般的にチップ単品では用いられない。例えば、LD素子は光ファイバに結合可能な構造を有する光デバイスに組み込まれた状態で用いられる。そのような光デバイスとしてTOSA(Transmitter Optical Sub Assembly)と称される発光デバイス、及びROSAと称される受光デバイスがある。TOSAは、一般的に、LD素子と、LD素子を光ファイバに接続するための光学結合部と、モニタダイオードとを含む。一方、ROSAは、一般的に、フォトダイオード(PD)素子と、PD素子により変換された信号を処理するためのLSIとを有する。
図1は上述のTOSAとROSAとが一つのケースに組み込まれて形成された光デバイスの分解斜視図である。図2は図1に示す光デバイスの正面図である。TOSAに含まれるLD素子1に接続された光コネクタ部1a、及びROSAに含まれるPD素子2に接続された光コネクタ部2aは、光デバイスのケース3内に設けられたホルダ4の溝部に嵌め込まれる。ケース3に蓋5が取り付けられると、LD素子1とPD素子2は、ケース3の底面に貼り付けられた伝熱シート6と蓋5との間に挟み込まれて固定される。
ケース3内には、電子部品が搭載された回路基板7も収納される。回路基板7に搭載される電子部品は、LD素子1を駆動するためのLD駆動回路を形成するLSI、PD素子2を動作させるためのPD動作回路を形成するLSIなどである。
ケース3内に収容されたLD素子1、PD素子2、及びLSIは発熱部品であり、これらの素子及びLSIからの熱は、金属製のケース3を介して周囲に放出される。LD素子1及びPD素子2はケース3の内面に取り付けられた伝熱シート6に押し付けられているので、LD素子1及びPD素子2の内部で発生した熱は、主に伝熱シート6を介してケース3に伝達され、ケース3から周囲に放出される。すなわち、伝熱シート6及びケース3は、LD素子1及びPD素子2のヒートシンク(冷却手段)として機能する。
回路基板7に搭載されたLD駆動回路用LSIやPD動作回路用LSIも発熱するが、これらLSIからの熱は回路基板7を介してケース3に伝達され、また、ケース3内の空気を介してケース3に伝達され、最終的にケース3から周囲に放出される。
上述のようにLD素子1は、伝熱シート6及びケース3を介して放熱されるものであり、LD素子1とケース3の雰囲気との間の熱抵抗は一定である。すなわち、LD素子1からの放熱量は、LD素子1とケース3の雰囲気との間の温度差に比例して一定の値となる。
ここで、光デバイスが設置される環境温度範囲は、例えば通常温度範囲が0〜60℃であるが、広温度範囲仕様のものでは例えば−40℃〜+85℃の温度範囲が要求される。すなわち、LD素子は、−40℃〜+85℃の環境温度範囲内で正常に動作して発光することが要求される。
ところが、LD素子の発光スペクトルにおける中心発光波長は、LD素子の温度により大きく変化する。量産したLD素子には、適切に動作可能な正常動作温度範囲にばらつきがあるため、現状では使用環境に適合するようなLD素子を選別して使用している。すなわち、量産したLD素子を駆動し、例えば−40℃〜+85℃の温度範囲内で正常に動作するもののみを選別する。このため、LD素子の歩留まりが悪く、結果としてLD素子のコストが高くなってしまう。LD素子では、特に低温時のしきい値電流(バイアス電流)が小さくなるため、低温時の動作電流の制御が難しいという問題がある。
ここで、LD素子の温度を測定し、動作時の温度が一定の範囲となるように温度制御することで、発光波長変動を抑制し、正常動作温度範囲のばらつきを吸収することができる。そのような温度制御を行なうためには、LD素子の温度を精度よく測定する必要がある。ところが、例えばサーミスタを用いてLD素子の温度を測定する際に、サーミスタの搭載位置とLD素子との間に温度差があり、サーミスタでの検出温度がLD素子の実際の温度と一致しないという問題がある。
このような問題を解決するために、LD素子の極近傍とサーミスタとの間に金属ワイヤなどの熱抵抗低減手段を設け、LD素子とサーミスタとの間の温度差を極力小さくして、温度測定誤差を軽減することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、LD素子を内蔵した半導体モジュールを、第1及び第2の支持ユニットで支持し、第2の支持ユニットと半導体モジュールとの接触面に温度センサと熱遮断手段を設け、半導体モジュールの温度測定誤差を軽減することが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2004−79989号公報 特開2003−31884号公報
光デバイス内のLD素子の実際の温度を測定して温度制御を行い、LD素子の特性を安定化する方法では、温度測定手段と温度制御手段を光デバイスに設けなければならず、光デバイスの製造コストが非常に高くなってしまい、実用的ではない。
そこで、センサによる温度測定を行なわずにLD素子の温度を制御することにより、正常動作温度範囲が異なるLD素子でも同じ構造の光デバイスに組み込んで使用することができるような光デバイスの開発が望まれている。
上述の目的を達成するために、レーザダイオード素子を含む光学部品と、該光学部品を収容する筐体と、該レーザダイオード素子の近傍に配置され、自由端が、前記レーザダイオード素子または前記レーザダイオード素子を支持する支持部材に接触可能な圧電素子と、該圧電素子の自由端の前記レーザダイオード素子または前記レーザダイオード素子を支持する支持部材への接触または非接触状態を制御する制御回路とを有する光デバイスが提供される。
前記バイモルフ型圧電素子の固定端は前記ケースに固定され、前記自由端は前記バイモルフ型圧電素子の作動時に前記レーザダイオード素子又は前記レーザダイオード素子を支持する支持部材に接触することが好ましい。
上述の光デバイスによれば、周囲温度が低いときには正常に動作しないレーザダイオード素子であっても、レーザダイオード素子が自己発熱により温度が上昇するか、あるいは近傍の発熱体から熱を受けて温度が上昇する。このため、周囲温度が低いときでもレーザダイオード素子自体の温度が上昇し、正常に動作することができるようになる。すなわち、低温では正常に動作しないレーザダイオード素子であっても光デバイスに使用することができるようになる。したがって、レーザダイオード素子の選別の必要がなくなるか、選別のための温度範囲を広げることができ、レーザダイオード素子の歩留まりが向上する。したがって、レーザダイオード素子の製造コストを低減することができ、結果として、光デバイスの製造コストを低減することができる。
次に、実施形態について図面を参照しながら説明する。
まず、LD素子の温度制御機構について説明する。図3はLD素子の温度制御機構の動作を説明するための図である。図3に示す温度制御機構は、特に低温でLD素子が作動する際に、LD素子の自己発熱により温度をLD素子自体の温度を上昇させる。これにより、周囲温度が非常に低くてもLD素子の温度を正常に動作可能な温度まで上昇させることができる。したがって、特に低温側の正常動作可能温度が高いLD素子であっても、低温時にのみLD素子の温度を上昇させることで、正常に動作させることができる。
図3に示すように、LD素子10は放熱部として機能するケース11の内壁近傍に配置されているものとする。ケース11の内壁にバイモルフ型圧電素子12が取り付けられる。バイモルフ型圧電素子12は電圧を印加すると一方向に変形する(曲がる)という特性を有している(以下、バイモルフ型圧電素子12を単に圧電素子12と称することもある)。圧電素子12の一端側がケース11に取り付けられ、反対端側は自由になっている。圧電素子12に電圧を印加すると圧電素子12は変形し、図3(a)に示すように自由端がLD素子10に接触する。一方、圧電素子12に電圧を印加しないと、圧電素子12はもとの形状にもどり、図3(b)に示すように自由端はLD素子10から離れる。
圧電素子12への駆動電圧の印加、停止は、スイッチ13により切替えられる。スイッチ13の動作は、比較回路14からの信号により制御される。比較回路14は、温度センサ15により検出した圧電素子12の温度と予め設定された切替温度とを比較して、比較結果に基づいてON信号をスイッチ13に供給する。すなわち、LD素子10の温度が切替温度以上の場合は、比較回路14はスイッチ13をONとするON信号を出力する。これにより、スイッチ13は、圧電素子12に駆動電圧を印加する側に切替えられる(図3(a))。一方、圧電素子12の温度が切替温度より低い場合は、比較回路14はスイッチ13をONとする信号を出力しないので、スイッチ13は、圧電素子12に駆動電圧を印加しない側に切替えられる(図3(b))。
以上のような温度制御機構によれば、圧電素子12の温度が所定の温度である切替温度より高い状態(常温状態)では、圧電素子12がLD素子10に接触し(図3(a))、LD素子10の熱は圧電素子12を介してケース11に流れる。これにより、LD素子10の熱は、圧電素子12とケース11を介して周囲に放出され、LD素子10は冷却される。一方、圧電素子12の温度が切替温度より低い状態(低温状態)では、圧電素子12がLD素子10から離れ(図3(b))、LD素子12の熱は圧電素子12を介してケース11に流れない。したがって、LD素子10の熱はLD素子10の内部に蓄積され、LD素子10の温度は上昇する。
図4は上述の温度制御機構の効果を説明するための図である。光デバイスの周囲温度範囲が−40℃〜+85℃である場合を想定する。
従来のようにLD素子10から常にケース11に放熱する場合は、周囲温度が最も高い温度である+85℃の時にLD素子10が作動すると、内部発熱によりLD素子10の表面温度は周囲温度より高くなり、例えば+87℃となる。一方、周囲温度が最も低い温度である−40℃の時にLD素子10が作動すると、内部発熱によりLD素子10の表面温度は周囲温度より高くなり、例えば−38℃となる。なお、この場合は、周囲温度が最も低い温度であても、LD素子10からケース11に放熱されることとなる。すなわち、周囲温度が最も低い温度であても、LD素子10は冷却された状態となる。
一方、図3に示す温度制御機構が設けられている場合は、周囲温度が最も高い温度である+85℃の時にLD素子10が作動すると、内部発熱によりLD素子10の表面温度は周囲温度より高くなり、例えば+87℃となる。これは従来のようにLD素子10からケース11に放熱する場合と同じである。すなわち、高温側では、圧電素子12がLD素子10に接触して圧電素子12を介してLD素子10の熱がケース11に流れて放熱されるため、従来のケースからの放熱と同様な冷却が行なわれる。一方、周囲温度が最も低い温度である−40℃の時にLD素子10が作動すると、LD素子10の表面温度は周囲温度より高くなり、例えば−23℃となる。周囲温度が切替温度より低い場合は、圧電素子12がLD素子10から離れているため、LD素子10は冷却されずに自己内部発熱によりLD素子10自体が加熱されるためである。
以上のように、LD素子10とケース11との間にバイモルフ型圧電素子12を設けることで、低温時は冷却を行なわず、高温時のみ冷却を行なうという温度制御を容易に達成することができる。バイモルフ型圧電素子12がLD素子10に接触しているときには、LD素子10とケース11との間の熱抵抗は小さくなり、LD素子10は冷却される。一方、バイモルフ型圧電素子12がLD素子10から離れているときには、LD素子10とケース11との間の熱抵抗は大きくなり、LD素子10はほとんど冷却されない。なお、低温時にLD素子10の自己発熱による温度上昇は、LD素子10の消費電流(駆動電流)が大きいほど大きくなり、消費電流の大きなLD素子ほど効果がある。
なお、圧電素子12の動作を切替えるための所定の温度である切替温度は、最も低い温度からある程度上の温度として設定すればよい。例えば、図4に示す例では、周囲温度が−40℃においてLD素子10を冷却しない場合の温度が−23℃となるので、切替温度は−23℃より高い温度であればよい。
また、LD素子10の温度を測定するセンサ15は、高い精度で測定する必要はなく、必ずしもLD素子10に直接取り付ける必要はない。センサ15は、例えば、LD素子10に接触している部品やその近傍に配置してもよく、あるいは、ケース11内の温度を測定して、LD素子10の表面温度として用いたり、ケース11内の温度から換算してLD素子10の表面温度を求めることもできる。
次に、第1実施形態による光デバイスについて説明する。図5は第1実施形態による光デバイスの分解斜視図である。図5において、図1に示す構成部品と同等な部品には同じ符号を付し、その説明は適宜省略する。
図5に示す光デバイスは、図1に示す光デバイスと同様にTOSAとROSAを一つのケースに組み込んだ光送受信モジュールである。ただし、図5に示す光デバイスでは、図3に示す温度制御機構によりLD素子1の温度が制御される。すなわち、図5に示す光デバイスでは、伝熱シートとの接触でLD素子1を冷却するのではなく、バイモルフ型圧電素子12をLD素子1とケース3との間に設けて、バイモルフ型圧電素子12を介してLD素子1を冷却する。バイモルフ型圧電素子12はケース3の壁面及び蓋5の内面に取り付けられる。なお、ケース3と蓋5とで、光デバイスの筐体を形成する。
図6は図5に示す光デバイスの蓋5を外した状態の平面図であり、図7はケース3に組み込まれたLD素子1の周辺を示す側面図である。また、図8は図5に示す光デバイスを前方から見た際のLD素子と圧電素子との位置関係を示す簡略図である。
図5には示されていないが、図6に示すように、LD素子1とLD素子2の間に壁部3aが設けられる。壁部3aはケース3の底面から垂直に立ち上がる部分であり、圧電素子12を取り付けるために設けられている。
圧電素子12の数は、多いほどLD素子1の冷却効果が大きいので、本実施形態では、図8に示すように、LD素子1の周囲4方向に4つのバイモルフ型圧電素子12を配置して、各々がLD素子1に接触できるようにしている。
図9は図6に示す圧電素子12及びその周囲を拡大した図である。図9には、圧電素子12に駆動電圧を印加する制御回路も示されている。バイモルフ型圧電素子12の電極は回路基板7に接続され、回路基板7の制御回路から電圧が印加される。圧電素子12の電極の一方は回路基板7の接地電極に接続され、他方の電極は電界効果トランジスタ(FET)20のドレインに接続されている。FET20は図3に示すスイッチ13に相当する。FET20のソースにはDC/DCコンバータ21を介して電源Vccから電圧が供給される。FET20のゲートにはコンパレータ22が接続される。コンパレータ22は図3に示す比較回路14に相当する。コンパレータ22の入力端子の一方はサーミスタ24に接続され、サーミスタ24が検出した温度に応じた電圧(第1の電圧)が供給される。サーミスタ24は図3に示すセンサ15に相当する。コンパレータ22の入力端子の他方には切替電圧設定部として機能する可変抵抗23が接続され、切替温度に対応した切替電圧(第2の電圧)が供給される。切替電圧は、可変抵抗23を調整することで所望の電圧に設定することができる。
コンパレータ22は、サーミスタ24からの電圧(第1の電圧)と可変抵抗23からの切替電圧(第2の電圧)を比較し、サーミスタ24からの電圧が切替電圧以上になったらFET20にON信号を出力する。FET20のゲートにON信号が供給されると、EFT20が開き、DC/DCコンバータ21からの電圧が圧電素子12に供給される。DC/DCコンバータからの電圧により圧電素子12は湾曲してLD素子1に接触する。これにより、LD素子1から圧電素子12を介して筐体の一部であるケース3又は蓋5に熱が伝達され、LD素子1は冷却される。
言い換えれば、サーミスタ24からの電圧が切替電圧より小さい場合、FET20にON信号は出力されず、EFT20は閉じており、DC/DCコンバータ21からの電圧は圧電素子12に供給されない。したがって、圧電素子12は駆動されずに湾曲しないためLD素子1から離れた状態になる。この状態では、LD素子1から筐体(ケース3又は蓋5)に熱はほとんど伝わらず、LD素子1は冷却されずに内部発熱により温度が上昇する。したがって、周囲温度が低くて切替温度より低いときには、LD素子1はそれ自体の駆動電流により発熱し、周囲温度より高い温度となる。したがって、周囲温度が低い場合には正常に動作しなかった場合でも、LD素子1が自己発熱により温度が上昇し、正常に動作可能な状態となる。
以上のように、例えば−40℃では正常に動作しないLD素子であっても、LD素子1が自己発熱により温度が上昇するため、LD素子1の温度は例えば−23℃となり、正常に動作することができるようになる。すなわち、−40℃では正常に動作しないLD素子であっても光デバイスに使用することができるようになり、LD素子の選別の必要がなくなるか、選別のための温度範囲を広げることができ、LD素子の歩留まりが向上する。したがって、LD素子の製造コストを低減することができ、結果として、光デバイスの製造コストを低減することができる。
なお、上述の光デバイスは、ケース3内にLD素子1とPD素子2とを組み込んだ光送受信モジュールであるが、LD素子1だけをケースに組み込んだ光モジュール(TOSA)であってもよい。
次に、第2実施形態について説明する。図10は第2実施形態による光デバイスにおけるLD素子及び圧電素子及びその周囲を示す平面図であり、図11は図10に示すLD素子及び圧電素子及びその周囲を示す側面図である。また、図12は図10に示す圧電素子の動作を説明するための図である。
本実施形態では、圧電素子12をLD素子1に直接接触させるのではなく、LD素子1を支持する支持部材であるホルダ4の側面に圧電素子12を接触させることで、LD素子1を冷却する。ホルダ4はLD素子1及びPD素子2を挟み込んで支持する部材であり、LD素子1の熱は容易にホルダ4に伝わる。ここで、本実施形態では、図12に示すように、ホルダ4はケース3及び蓋5に対して、断熱材30を介して取り付けられる。したがって、ホルダ4とケース3及び蓋5との間は熱的に遮断された状態となる。
圧電素子12は、ケース3及び蓋5の内面に取り付けられ、変形したときにホルダ4の側面に接触するように配置される。バイモルフ型圧電素子12の動作は図9に示す制御回路により制御される。本実施形態では、周囲温度が高いときには、図12(a)に示すように、圧電素子12がホルダ4に接触して、ホルダ4から圧電素子12を介して熱がケース3及び蓋5に伝わる。したがって、ホルダ4に支持されたLD素子1及びPD素子2で発生した熱は、ホルダ4及び圧電素子12を介してケース3及び蓋5に伝わり周囲に放出され、LD素子1及びPD素子2は冷却される。
一方、周囲温度が低いときには、図12(b)に示すように、圧電素子12がホルダ4から離間して、ホルダ4とケース3及び蓋5との間は熱的に遮断される。したがって、ホルダ4に支持されたLD素子1及びPD素子2で発生した熱は、ホルダ4内に蓄積されホルダ4の温度が上昇すると共にLD素子1の温度も上昇する。
以上のように、本実施形態でも、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態では、周囲温度が高いときには、ホルダ4に支持されたPD素子2もLD素子1と同様に冷却される。周囲温度が高いときには、PD素子2からの熱によってもホルダ4が加熱される。
次に、第3実施形態について説明する。図13は第3実施形態による光デバイスにおけるLD素子及び圧電素子及びその周囲を示す平面図であり、図14は図13に示すLD素子及び圧電素子及びその周囲を示す側面図である。また、図15は図13に示す圧電素子の動作を説明するための図である。
本実施形態による光デバイスは、上述の第1実施形態による光出デバイスと同様な構造であるが、圧電素子12の一つ(蓋5に取り付けられた圧電素子12のみ)が回路基板7に搭載されたLSI32に取り付けられている点が異なる。LSI32は、例えばLD素子1を駆動するためのLSIであり、LD素子1を駆動する際に発熱する発熱体である。
熱伝導性の接着材34によりLSI32に取り付けられた圧電素子12は、図15(b)に示すように、周囲温度が高温のときは駆動されて変形し、その自由端部は蓋5に接触する。したがって、周囲温度が高温のときはLSI32の熱を蓋5に放出し、LSI32は冷却される。一方、周囲温度が低温のとき、すなわち切替温度より低いときには、図15(a)に示すように、LSI32に取り付けられた圧電素子12は変形せずに、伝熱シート33を介してLD素子1に押し付けられた状態となる。したがって、周囲温度が切替温度より低いときには、LSI32で発生した熱が圧電素子12及び伝熱シート33を介してLD素子1に伝わり、LD素子1は加熱される。
なお、伝熱シート33は、圧電素子12とLD素子1との間で良好な接触が得られるのであれば、必ずしも設ける必要はない。
以上のように、本実施形態では、周囲温度が低温のときに、圧電素子12を介して他の発熱体から熱をLD素子1に伝達し、LD素子1を自己発熱以外に外部からの熱によっても加熱することができる。このため、周囲温度が低温のときに、LD素子1の温度をより一層高めることができる。
ここで、本実施形態の効果を確認するために、図1に示す構成と、図5に示す構成と、図13に示す構成を作成し、LD素子の温度上昇を測定した。図16は電源起動後の温度上昇を示すグラフである。図1の構成、すなわち、LD素子から常に放熱される構成では、電源起動から60分後のLD素子の温度上昇値は2℃であった。一方、図5に示す構成、すなわち切替温度以下の温度ではLD素子から圧電素子が離れて冷却が行なわれない構成では、電源起動から60分後のLD素子の温度上昇値は9℃であった。また、図13に示す構成、すなわち切替温度以下の温度ではLSIからの熱でLD素子を加熱する構成では、電源起動から60分後のLD素子の温度上昇値は16℃であった。温度上昇値は大きいほうが、正常動作温度が高いLD素子を使用することができるので、第3実施形態による光デバイスが最も効果的であることが確認できた。
以上のように、本明細書は以下の事項を開示する。
(付記1)
レーザダイオード素子を含む光学部品と、
該光学部品を収容する筐体と、
該レーザダイオード素子の近傍に配置され、自由端が、前記レーザダイオード素子、前記レーザダイオード素子を支持する支持部材、又は前記筐体に接触するバイモルフ型圧電素子と、
該バイモルフ型圧電素子の作動を制御する制御回路と
を有する光デバイス。
(付記2)
付記1記載の光デバイスであって、
前記バイモルフ型圧電素子の固定端は前記筐体に固定され、前記自由端は前記バイモルフ型圧電素子の作動時に前記レーザダイオード素子又は前記レーザダイオード素子を支持する支持部材に接触する光デバイス。
(付記3)
付記1又は2記載の光デバイスであって、
前記レーザダイオード素子を支持する前記支持部材は、断熱材を介して前記筐体に取り付けられる光デバイス。
(付記4)
付記1記載の光デバイスであって、
前記バイモルフ型圧電素子の固定端は前記筐体内に収容された発熱体に固定され、前記自由端は前記バイモルフ型圧電素子の作動時に前記筐体に接触する光デバイス。
(付記5)
付記4記載の光デバイスであって、
前記発熱体は前記レーザダイオードを駆動する回路を形成するLSIである光デバイス。
(付記6)
付記1乃至5のうちいずれか一項記載の光デバイスであって、
前記制御回路は、前記レーザダイオード素子の表面温度が所定の温度以上のときに前記バイモルフ型圧電素子に駆動電圧を印加して作動状態とし、前記レーザダイオード素子の表面温度が所定の温度より低いときに前記バイモルフ型圧電素子への駆動電圧の印加を停止して非作動状態とする光デバイス。
(付記7)
付記1乃至5のうちいずれか一項記載の光デバイスであって、
固定端が前記筐体内に収容された発熱体に固定され、前記自由端は前記圧電素子の作動時に前記筐体に接触する第2の圧電素子を更に備え、
前記レーザダイオード素子の表面温度が所定の温度より低いときに前記圧電素子の駆動電圧を停止して非作動状態とし、前記第2の圧電素子の自由端を前記レーザダイオード素子又は前記レーザダイオード素子を支持する支持部材に接触させることを特徴とする光デバイス。
(付記8)
付記6記載の光デバイスであって、
前記制御回路は、
前記レーザダイオード素子の温度又は周囲温度を検出し、検出温度に相当する第1の電圧を出力する温度センサと、
該温度センサからの第1の電圧と前記所定の温度を表わす第2の電圧とを比較し、該第2の電圧が該第1の電圧以上のときにON信号を出力する比較回路と、
該ON信号が供給されたときに前記バイモルフ型圧電素子へ駆動電圧を印加するスイッチと
を含む光デバイス。
(付記9)
付記8記載の光デバイスであって、
前記スイッチは電界効果トランジスタを含み、前記ON信号は該電界効果トランジスタのゲートに供給される光デバイス。
(付記10)
付記8記載の光デバイスであって、
前記温度線センサはサーミスタを含み、該サーミスタは前記制御回路が形成された回路基板に搭載される光デバイス。
(付記11)
付記8記載の光デバイスであって、
前記制御回路は、前記第2の電圧を生成する可変抵抗を含む光デバイス。
TOSAとROSAとが一つのケースに組み込まれて形成された光デバイスの分解斜視図である。 図1に示す光デバイスの正面図である。 LD素子の温度制御機構の動作を説明するための図である。 図3に示す温度制御機構の効果を説明するための図である。 第1実施形態による光デバイスの分解斜視図である。 図5に示す光デバイスの蓋を外した状態の平面図である。 ケースに組み込まれたLD素子の周辺を示す側面図である。 図5に示す光デバイスを前方から見た際のLD素子と圧電素子との位置関係を示す簡略図である。 図6に示す圧電素子及びその周囲を拡大して示す図である。 第2実施形態による光デバイスにおけるLD素子及び圧電素子及びその周囲を示す平面図である。 図10に示すLD素子及び圧電素子及びその周囲を示す側面図である。 図10に示す圧電素子の動作を説明するための図である。 第3実施形態による光デバイスにおけるLD素子及び圧電素子及びその周囲を示す平面図である。 図13に示すLD素子及び圧電素子及びその周囲を示す側面図である。 図13に示す圧電素子の動作を説明するための図である。 電源起動後のLD素子の温度上昇を示すグラフである。
符号の説明
1 LD素子
1a 光コネクタ部
2 PD素子
2a 光コネクタ部
3 ケース
3a 壁部
4 ホルダ
5 蓋
6 伝熱シート
7 回路基板
10 LD素子
11 ケース
12 バイモルフ型圧電素子
13 スイッチ
14 比較回路
15 センサ
20 電界効果トランジスタ(FET)
21 DC/DCコンバータ
22 コンパレータ
23 可変抵抗
24 サーミスタ
30 断熱材
32 LSI
33 伝熱シート
34 接着材

Claims (6)

  1. レーザダイオード素子を含む光学部品と、
    該光学部品を収容する筐体と、
    該レーザダイオード素子の近傍に配置され、自由端が、前記レーザダイオード素子または前記レーザダイオード素子を支持する支持部材に接触可能な圧電素子と、
    該圧電素子の自由端の前記レーザダイオード素子または前記レーザダイオード素子を支持する支持部材への接触または非接触状態を制御する制御回路と
    を有する光デバイス。
  2. 請求項1記載の光デバイスであって、
    前記圧電素子の固定端は前記筐体に固定され、前記自由端は前記圧電素子の作動時に前記レーザダイオード素子又は前記レーザダイオード素子を支持する支持部材に接触する光デバイス。
  3. 請求項1又は2記載の光デバイスであって、
    前記レーザダイオード素子を支持する前記支持部材は、断熱材を介して前記筐体に取り付けられる光デバイス。
  4. 請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の光デバイスであって、
    前記制御回路は、前記レーザダイオード素子の表面温度が所定の温度以上のときに前記バイモルフ型圧電素子に駆動電圧を印加して作動状態とし、前記レーザダイオード素子の表面温度が所定の温度より低いときに前記バイモルフ型圧電素子への駆動電圧の印加を停止して非作動状態とする光デバイス。
  5. 請求項4記載の光デバイスであって、
    前記制御回路は、
    前記レーザダイオード素子の温度又は周囲温度を検出し、検出温度に相当する第1の電圧を出力する温度センサと、
    該温度センサからの第1の電圧と前記所定の温度を表わす第2の電圧とを比較し、該第2の電圧が該第1の電圧以上のときにOFF信号を出力する比較回路と、
    該ON信号が供給されているときに前記バイモルフ型圧電素子へ駆動電圧を印加するスイッチと
    を含む光デバイス。
  6. 請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の光デバイスであって、
    固定端が前記筐体内に収容された発熱体に固定され、前記自由端は前記圧電素子の作動時に前記筐体に接触する第2の圧電素子を更に備え、
    前記レーザダイオード素子の表面温度が所定の温度より低いときに前記圧電素子の駆動電圧を停止して非作動状態とし、前記第2の圧電素子の自由端を前記レーザダイオード素子又は前記レーザダイオード素子を支持する支持部材に接触させることを特徴とする光デバイス。
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