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JP2009287483A - 冷媒圧縮機 - Google Patents

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Toshiaki Yamanaka
敏昭 山中
Yoshiaki Hishinuma
芳明 菱沼
Hiroshi Takayasu
博 高安
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Abstract

【課題】
摺動部における焼付きや摩耗を防止して高性能の摺動部材を提供することを課題とする。
【解決手段】
上記課題を解決するため、本発明は、摺動部品を有する圧縮要素と圧縮要素の駆動源となる電動要素とを備えた圧縮手段により冷媒を圧縮して、冷媒の液化と蒸発を繰り返す冷凍サイクルの冷媒圧縮機であって、摺動部品の表面にSi又はTiからなる中間層を形成し、中間層に非晶質硬質炭素皮膜であるDLC処理を施してDLCコーティング層を形成した。本発明によれば、摺動部における焼付きや摩耗を防止して高性能の摺動部材を提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば空気調和機,冷凍機、及び給湯機に搭載される冷媒圧縮機に係り、特に摺動部の耐摩耗,耐焼付き性向上に関するものである。
ルームエアコン,冷蔵庫,給湯機等に用いられる冷媒圧縮機としては様々なものがあるが、最近では振動や騒音が小さく性能が優れたスクロール圧縮機が多く使用されている。
図6に一般的なスクロール圧縮機の構成を示す。図6において(4)は固定スクロールであり、鏡板(4a)の一方の面に略インボリュート形状のラップ(4b)が直立して形成されており、中央に吐出口(4d)が配置されている。(3)は旋回スクロールであり、鏡板(3a)の一方の面に略インボリュート形状のラップ(3b)が直立して形成されており、鏡板(3a)のもう一方の面には軸受部(3c)を有している。固定スクロール(4)と旋回スクロール(3)は、互いにラップ(4b),(3b)を内側に向けて噛み合わせ、三日月型の圧縮機を形成している。旋回スクロール(3)は、フレーム(5)とオルダムリング(7)を介して結合されることにより自転を阻止され、かつ軸受部(3c)がクランクシャフト(6)のクランク(6a)に軸受材(3f)を介して係合されている。クランクシャフト(6)は、モータ(8)の回転子に固定されており回転子と共に回転するが、旋回スクロール(3)はクランクシャフト(6)に対して偏心して係合されており、かつ自転を拘束されているので、固定スクロール(4)に対して自転を伴わない公転運動(旋回運動)を行うことになる。この結果、固定スクロール(4)と旋回スクロール(3)により形成された三日月型の圧縮室はクランクシャフト(6)の回転に伴い、外周側から中心方向に向かって次第に容積を縮小させながら移動して冷媒を圧縮する。クランクシャフト(6)は縦方向に配置されており、旋回スクロールの軸受部(3c)とフレームの軸受部(5a)は、それぞれ軸受材(3f)と(5d)で支持され、クランク(6a)には流体圧力によりその偏心方向と直角の半径方向に荷重が作用する。一方、クランクシャフト(6)は軸受材(3f),(5d)との間に存在する隙間の範囲で半径方向に微小量移動可能のように構成されている。このような状態で流体圧力による半径方向の荷重が作用すると、クランクシャフト(6)は旋回スクロールの軸受部(3c)を支持する上側の軸受材(3f)とフレームの軸受部(5a)を支持する下側の軸受材(5d)の中で傾き、それぞれの軸受材(3f),(5d)に片当たりの状態で強く押し付けられながら回転することになる。その結果、軸受材(3f),(5d)には潤滑油による油膜反力を上回る荷重が加わり、クランクシャフト(6)との間に潤滑油が存在しない状態で摺動することが起こりうる。また、クランクシャフト(6)と軸受材(3f),(5d)との隙間寸法は、大きすぎると圧縮ガスの漏洩による性能低下や振動騒音の増大を生じ、小さすぎると摺動部の摩擦損失の増大といった悪影響を及ぼすので、最適な寸法に設定する必要がある。さらに、軸受や回転軸の表面状態(表面粗さ等)も信頼性や性能に影響を与える。このため軸受材(3f),(5d)は厳しい潤滑条件下でも焼付きや摩耗が発生しない耐摩耗性,最適な隙間寸法を実現するための加工性が要求される。
一方、ロータリ圧縮機においても、冷媒がHFC化及び自然冷媒化へと移行するに伴い、軸受に加わる荷重が増大するため耐摩耗性が良好な軸受材を軸受部材に使用する必要がある。
境界潤滑といった厳しい潤滑条件下でも耐焼付き性や耐摩耗性が良好な軸受材としては、以下の技術が知られている。
(1)炭素質基材の気孔に青銅合金を含浸したカーボン軸受材(例えば、特許文献1参照。)
(2)ポリイミド又はポリアミドイミドをバインダとし、固体潤滑剤を添加したフッ素樹脂系摺動材料(例えば、特許文献2参照。)
また、DLC皮膜を用いた摺動材としては次のものが公知である。
(1)基材上に形成した下地層にDLC皮膜をコーティングした摺動部材(例えば、特許文献3参照。)
(2)摺動部品であるベーン材にDLC−Si皮膜をコーティングした密閉型圧縮機(例えば、特許文献4参照。)
特開2002−213356号公報 特開2005−187617号公報 特開2001−107860号公報 特開2007−100517号公報
冷媒圧縮機では、地球環境対応として冷媒のHFC化及び自然冷媒化に伴い、圧縮機運転雰囲気で圧縮機内部は高圧となり軸受の負荷が増大してきており、潤滑油による潤滑膜が途切れ軸受と回転軸とが局部的に直接接触するうえ、境界潤滑状態になりやすくなっている。また、圧縮機の起動時や過大な冷媒の混入によっても境界潤滑状態となる。こういった境界潤滑状態において、従来の金属軸受,樹脂軸受,表面処理シャフト等は焼付き,カジリが発生しやすかった。軸受の負荷を軽減する方法として軸受の内径を大きくし、または軸受の長さを延長する手段があるが、電動機を内蔵する圧縮機では軸受に要する空間に制限があるため限界があった。
軸受部の耐摩耗,耐焼付き性向上の手段として、特許文献1には境界潤滑状態においても焼付きにくい炭素質基材の気孔に潤滑油中で油膜を形成されやすくするために青銅合金を含浸し、更に青銅合金の組成及び組織,含浸量を摩擦係数の低減並びに調整することで、摺動特性に優れた軸受が得られ、信頼性の高い冷媒圧縮機を得ることができる。更には無潤滑或いは過酷な摺動状態においても摩擦係数が小さく耐摩耗性も良好な炭素質基材と潤滑油中で用いられる場合に、炭素を含む炭素質基材に残存する気孔を通じて潤滑油が排出され油膜の形成が困難になることを防止するため、炭素質基材に青銅合金を溶融含浸した部材を用いて冷媒圧縮機の軸受部を構成し、無潤滑或いは過酷な摺動条件において摩擦係数を小さく保ち、かつ摩耗も最小限に抑えることで高信頼性かつ長寿命な冷媒圧縮機を提供できる。しかし、軸受材料費UPとなり材料コストの問題が生じる。特許文献2には、ポリイミド又はポリアミドイミドをバインダとし、固体潤滑剤を添加したフッ素樹脂系摺動材料を用い、金属接触を回避し焼付きを生じさせない手段が示されている。しかしながら、フッ素系樹脂のPTFE(テフロン(登録商標))は高温において熱変形クリープを起こしやすいという課題がある。圧縮機の軸受周囲温度は100℃前後であるが、軸受材自身は摺動による発熱のため、周囲温度よりもかなり高い温度となり、この温度で負荷を受けるとクリープを起こすことになる。変形強度を増すために、焼結合金にPTFEを含浸するという手段も示されているが、この方法では金属接触が避けられない。特許文献3では、基材上にスパッタやCVD法により炭素,窒素および遷移金属から構成される組成の異なる化合物からなる下地層を形成し、この下地層にDLC皮膜を最上層から基材に向かった硬度が順次低下するように積層した固体潤滑皮膜を形成した圧縮機等に用いられる摺動部材が記載されている。しかしながら、基材表面に所定の化合物からなる下地層を形成し、この上にDLC皮膜を形成した構成であるため、摺動部材に摺動等の高負荷が加わると、下地層が弾性変形を受け易くなり、基材と下地層の界面で剥離を生じる恐れがある。特許文献4では、圧縮機の摺動部品の基材に窒化処理を施して窒化拡散層を形成し、更に窒化拡散層の上にDLC−Si処理を施した密閉型圧縮機が記載されている。しかしながら、DLC−Si皮膜はDLC中にSiを含んでおり、摩擦係数の低減は期待できるが摩耗量、いわゆる耐摩耗性の面に問題がある。
本発明の目的は、摺動部における焼付きや摩耗を防止して高性能の摺動部材を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、摺動部品を有する圧縮要素と圧縮要素の駆動源となる電動要素とを備えた圧縮手段により冷媒を圧縮して、冷媒の液化と蒸発を繰り返す冷凍サイクルの冷媒圧縮機であって、摺動部品の表面にSi又はTiからなる中間層を形成し、中間層に非晶質硬質炭素皮膜であるDLC処理を施してDLCコーティング層を形成した。
本発明によれば、摺動部における焼付きや摩耗を防止して高性能の摺動部材を提供することができる。
本発明者は上記課題について鋭意検討した結果、摺動部品の表面にSi(珪素)又はTi(チタン)からなる中間層を形成し、この中間層に非晶質硬質炭素被膜であるDLC(Diamond Like Carbon)処理を施してDLCコーティング層を形成することにより上記課題を解決することを見出した。すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、摺動部品を有する圧縮要素と圧縮要素の駆動源となる電動要素とを備えた圧縮手段により冷媒を圧縮して、冷媒の液化と蒸発を繰り返す冷凍サイクルの冷媒圧縮機であって、摺動部品の表面にSi又はTiからなる中間層を形成し、中間層に非晶質硬質炭素皮膜であるDLC処理を施してDLCコーティング層を形成するものである。
図3は、本発明に係る摺動部材の基材に拡散浸透層(中間層)を介してDLC皮膜を成膜した摺動部材の内部構成を示す部分図である。図3に示すように本発明の摺動部材は、摺動部材の基材(14)表面に、Si(珪素)またはTi(チタン)からなる拡散浸透層(中間層)(15)を介して非晶質硬質炭素の皮膜としてDLC皮膜(16)をコーティングした部材によって構成される。このような構造の摺動部材は、圧縮機に装着後、研削加工によりその表面を適量除去され、所定の寸法精度に仕上げられる。DLC皮膜(16)は、炭素がダイアモンド結合とグラファイト結合を含むアモルファス結合をしているものである。特徴として、ダイアモンド構造を含むため非常に高硬度であり、また結晶粒界を持たないため成膜後の表面が平滑で、更にグラファイト結合により潤滑性があり低摩擦である。DLC皮膜を保護膜とすることで、硬度が大幅に向上し、そのため保護膜の膜厚を薄くできる。これにより、成膜時の膜厚精度の向上をはかることができる。更に、低摩擦で表面が平滑であることから、摺動部の焼付きや摩耗等の課題に対して大幅な改善を図ることができる。摺動部材は、その摺動面が耐焼付き性及び耐摩耗性が良好なDLCであるため、固体接触した場合でも金属接触特有のアグレッシブ摩耗や焼付きが発生しにくくなる。また、本発明の摺動部材は、摺動部材の基材(14)表面に、Si(珪素)またはTi(チタン)からなる拡散浸透層(中間層)(15)を介して非晶質硬質炭素の皮膜としてDLC皮膜(16)をコーティングしているため、板厚も1.5〜3.0mmで構成することができる。また、圧入時のカケや割れもない。したがって、クランクシャフト(6)やベーン(13)をセラミックやカーボンのむく材で構成した場合に比べて薄く構成できる。
図4は、DLC皮膜の耐摩耗性を確認するため、DLC皮膜を成膜したSKH51材と無処理のSKH51材についての摩耗試験を示している。具体的には、非晶質硬質炭素の皮膜であるDLC皮膜(16)の性能評価を目的として平板状の基材(14)をSKH51とし、基材(14)の上に拡散浸透層(中間層)(15)としてSi層及びTi層を設け、拡散浸透層(中間層)(15)の上にDLC皮膜(16)を成膜した摺動部材について、モニクロ鋳鉄材を相手材としてCO2冷媒の無潤滑中において1.2m/sの摺動速度、面圧9.8MPaで負荷した摩耗試験における摩擦係数の変化を示している。DLC処理を施したSKH51材は、無処理のSKH51材と比較すると摩擦係数は約1/4に減少した。これより、無潤滑下においても高い摺動特性を有することがわかる。
図5は、耐摩耗性向上のために、軸受材表面層を仕上加工した本発明に係るDLC皮膜を成膜した摺動部材について摩耗試験を行い、DLC皮膜を成膜した摺動部材の表面粗さと摩擦係数との関係を示したものである。実験結果から、表面粗さRz≦5μmに仕上加工した軸受材は、比較例である仕上加工をしない切削品と比較すると、摩擦係数が約1/3となり耐摩耗性が向上している。したがって、クランクシャフト(6)やベーン(13)をRz≦5μmに仕上加工してからDLC皮膜を成膜することで信頼性の高い摺動部材を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。図1は、本発明に係るDLC皮膜を成膜した摺動部材を使用した圧縮機の一例であるスクロール圧縮機の縦断面模式図である。本実施例におけるスクロール圧縮機の基本的な構造は、図6に示したスクロール圧縮機と同様である。
スクロール圧縮機は密閉容器(1)の内部に圧縮方向を上側に、モータ(8)を下側に配置してクランクシャフト(6)を介して連設される。圧縮機部は、鏡板(4a)に渦巻状のラップ(4b)を直立した固定スクロール(4)と、鏡板(3a)に渦巻状のラップ(3b)を直立した旋回スクロール(3)をラップに噛み合わせて配置し、固定スクロール(4)の外周部に吸入口(4c)及び中央部に吐出口(4d)を配置している。クランクシャフト(6)は、フレーム(5)の中央の軸受部(5a)に軸支され、クランクシャフト(6)の先端に突出したクランク(6a)が旋回スクロール(3)の軸受部(3c)に挿入され係合している。自転防止機構としてオルダム継手(7a)は、旋回スクロール(3)が固定スクロール(4)に対し自転することなく旋回運動させる継手で、旋回スクロール(3)の鏡板(3a)の背面キー溝(3d)とフレーム(5)のキー溝(5c)に係合している。下側のモータ(8)によりクランクシャフト(6)が回転すると、クランク(6a)の偏心回転により旋回スクロール(3)は自転することなく固定スクロール(4)に対し旋回運動を行い、吸入口(4c)により吸い込んだ冷媒ガスは圧縮され、吐出口(4d)により圧縮ガスを吐出することになる。旋回スクロール(3)には軸受部(3c)、及びフレーム(5)には軸受部(5a)が各々設けられ、いずれも循環する潤滑油が供給されているが、起動時や冷媒の吐出圧力が高い場合には潤滑油の供給が不足して摩耗や焼付きなどの損傷が発生しやすい。しかし、本発明に係るDLC皮膜を成膜したクランクシャフト(6)を用いることで、上述したようにスクロール圧縮機の信頼性及び耐久性を向上させることができる。すなわち、クランクシャフト(6)は、基材表面に拡散浸透層を確実に形成できるようにするためのSi(珪素)またはTi(チタン)からなる中間層を形成し、更にこの中間層に非晶質硬質炭素皮膜であるDLC(Diamond Like Carbon)処理を施し、DLCコーティング層が形成される。
本実施例によれば、摺動部材であるクランクシャフトの基材表面にSi層又はTi層からなる拡散浸透層(中間層)を形成し、この拡散浸透層(中間層)に非晶質硬質炭素皮膜であるDLC(Diamond Like Carbon)処理を施してDLCコーティング層を形成することにより、冷媒圧縮機用摺動部に、摺動部での焼付きや摩耗を抑制した高性能の摺動部材を提供することができる。これにより、潤滑油の供給が困難又は一時的に潤滑油が供給されない可能性のある冷媒圧縮機の摺動部において、焼付きや摩耗を防止し、耐久性を高めた圧縮機を提供することができる。また、突発的な給油不足にも対応し、空調機,冷凍機、及び給湯機の信頼性向上に極めて有効である。更に、機械加工性が良好なため量産性に対応でき、コストの低下を図ることができる。
図2は、本発明に係るDLC皮膜を成膜した摺動部材を使用した圧縮機の一例であるロータリ圧縮機の縦断面模式図である。ロータリ圧縮機は密閉容器(1)内部に、圧縮機構を下側にモータ(8)を上側に配置してクランクシャフト(6)を介して連設される。圧縮機部は、シリンダ(9),上ベアリング(10),下ベアリング(11),ローラ(12)、及びベーン(13)より構成される。上記クランクシャフト(6)は上ベアリング(10)及び下ベアリング(11)により軸支され、クランク(6a)は摺動してローラ(12)に偏心回転を与える。ローラ(12)の外周面とに摺接されたベーン(13)が摺動自在に設けられている。上側のモータ(8)によりクランクシャフト(6)が回転するとクランク(6a)の偏心回転によりローラ(12)は自転することなくシリンダ(9)に対し旋回運動を行い、吸入口(4c)により吸い込んだ冷媒ガスは圧縮され、吐出口(4d)により圧縮ガスを吐出する。上ベアリングの軸受部(10a),下ベアリングの軸受部(11a)及びローラの軸受部(12a)にはいずれも循環する潤滑油が供給されるが、起動時や冷媒の吐出圧力が高い場合には潤滑油の供給が不足して磨耗や焼付きなどの損傷が発生しやすい。しかし、本発明に係るDLC皮膜を成膜したベーン(13)を用いることで、ロータリ型圧縮機の信頼性及び耐久性を向上させることができる。すなわち、ベーン(13)は、基材表面に拡散浸透層を確実に形成できるようにするためのSi(珪素)またはTi(チタン)からなる中間層を形成し、更にこの中間層に非晶質硬質炭素皮膜であるDLC(Diamond Like Carbon)処理を施し、DLCコーティング層が形成されている。
本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。つまり、摺動部材であるベーンの基材表面にSi層又はTi層からなる拡散浸透層(中間層)を形成し、この拡散浸透層(中間層)に非晶質硬質炭素皮膜であるDLC(Diamond Like Carbon)処理を施してDLCコーティング層を形成することにより、冷媒圧縮機用摺動部に、摺動部での焼付きや摩耗を抑制した高性能の摺動部材を提供することができる。これにより、潤滑油の供給が困難又は一時的に潤滑油が供給されない可能性のある冷媒圧縮機の摺動部において、焼付きや摩耗を防止し、耐久性を高めた圧縮機を提供することができる。また、突発的な給油不足にも対応し、空調機,冷凍機、及び給湯機の信頼性向上に極めて有効である。更に、機械加工性が良好なため量産性に対応でき、コストの低下を図ることができる。
尚、上記各実施例に係る圧縮機は、例えば、ルームエアコン,冷蔵庫,給湯機等に用いられる冷媒圧縮機として用いることができる。
以上説明した本発明に係るDLC皮膜を成膜した摺動部材を使用すれば、CFC冷媒及びHCFC冷媒は勿論、塩素を含まないために潤滑性が劣るHFC冷媒や超高圧状態となる自然系冷媒を使用する冷媒圧縮機への適用が可能であり、かつ圧縮機の高性能及び高信頼性を提供できる。更に、上述の冷媒圧縮機を用いた空調機,冷凍機、及び給湯機への適用が可能であると共に、高性能及び高信頼性化を図ることができる。
本発明のスクロール圧縮機の縦断面模式図。 本発明のロータリ圧縮機の縦断面模式図。 本発明のDLC皮膜を成膜した摺動部材の部分断面図。 本発明のDLC皮膜を成膜した摺動部材の摩耗試験結果を示す図。 本発明の摺動部材の表面粗さと耐摩耗性の比較を示す図。 スクロール圧縮機の縦断面模式図。
符号の説明
1 密閉容器
2 バランスウエイト
3 旋回スクロール
3a,4a 鏡板
3b,4b ラップ
3c,5a,10a,11a,12a 軸受部
3d,5c キー溝
3e,3f,5b,5d,10b,11b,12b 軸受材
4 固定スクロール
4c 吸入口
4d 吐出口
5 フレーム
6 クランクシャフト
6a クランク
7 オルダムリング
8 モータ
9 シリンダ
10 上ベアリング
11 下ベアリング
12 ローラ
13 ベーン
14 基材
15 拡散浸透層(中間層)
16 DLC皮膜

Claims (8)

  1. 摺動部品を有する圧縮要素と前記圧縮要素の駆動源となる電動要素とを備えた圧縮手段により冷媒を圧縮して、前記冷媒の液化と蒸発を繰り返す冷凍サイクルの冷媒圧縮機であって、
    前記摺動部品の表面にSi又はTiからなる中間層を形成し、前記中間層に非晶質硬質炭素皮膜であるDLC処理を施してDLCコーティング層を形成した冷媒圧縮機。
  2. 圧縮要素と前記圧縮要素の駆動源となる電動要素とを備えた圧縮手段により冷媒を圧縮して、前記冷媒の液化と蒸発を繰り返す冷凍サイクルの冷媒圧縮機であって、
    前記圧縮要素を構成するシャフトの表面にSi又はTiからなる中間層を形成し、前記中間層に非晶質硬質炭素皮膜であるDLC処理を施してDLCコーティング層を形成した冷媒圧縮機。
  3. 圧縮要素と、前記圧縮要素の駆動源となる電動要素とを備えた圧縮手段により冷媒を圧縮して、前記冷媒の液化と蒸発を繰り返す冷凍サイクルの冷媒圧縮機であって、
    前記圧縮要素を構成するベーンの表面にSi又はTiからなる中間層を形成し、前記中間層に非晶質硬質炭素皮膜であるDLC処理を施してDLCコーティング層を形成した冷媒圧縮機。
  4. 請求項1において、前記摺動部材は、軸受部として表面粗さRzをRz≦5μmとした軸受材を用いた冷媒圧縮機。
  5. 請求項1乃至4の何れかにおいて、前記冷媒としてCFC冷媒,HCFC冷媒,HFC冷媒又は自然系冷媒を用いた冷媒圧縮機。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載の冷媒圧縮機を用いた空気調和機。
  7. 請求項1乃至5の何れかに記載の冷媒圧縮機を用いた冷凍機。
  8. 請求項1乃至5の何れかに記載の冷媒圧縮機を用いた給湯機。
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