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JP2009278171A - 電磁変換器 - Google Patents

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JP2009278171A
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Shinichi Sakai
新一 酒井
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Mitsubishi Electric Engineering Co Ltd
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Mitsubishi Electric Engineering Co Ltd
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Abstract

【課題】剛性を高めた振動膜を用いて電磁変換器を得る。
【解決手段】帯状の異なる磁極が一定の間隔をおいて交互に着磁された永久磁石板と、永久磁石板に対向して配置され、永久磁石板の異なる磁極の間隔部分に対向する位置に、蛇行形状の導体パターンからなるコイルが低密度かつ高剛性の基材に埋め込まれて形成され、導体パターンに通電することにより永久磁石板と電磁的に結合して厚み方向に振動する振動膜とを備えた。
【選択図】図2

Description

この発明は、永久磁石と振動膜とを組み合わせてオーディオ信号から音声再生を行う電磁変換器に関するものである。
永久磁石板と振動膜とを用いた矩形状の電磁変換器には、永久磁石板と振動膜とを対向するように配置し、また永久磁石板と振動膜との間に緩衝材を配置したものがある。これらの永久磁石板、振動膜、及び緩衝部材はフレーム等の部材に挟み込まれるように覆われ、例えばスピーカ筐体に取り付けられる。
上記の永久磁石板は、一定の間隔をもって交互に異なる極性にした帯状の着磁部位(多極着磁パターンとも言う)を有している。また、振動膜は、永久磁石板の異なる極性の境界にある間隔に対向する位置、いわゆる着磁ニュートラルゾーンと称される部分に対向させて、電磁コイルとして作用する蛇行形状の導体パターン(蛇行コイルパターンとも言う)を当該振動膜の膜表面に設けたものである。
振動膜に形成されている蛇行コイルパターンにオーディオ信号の電流が流れると、蛇行コイルパターンと永久磁石板の多極着磁パターンとが電磁的に結合し、フレミングの法則によって上記の蛇行コイルパターンに作用し振動膜が振動する。この振動によって発生した音波は、永久磁石板及びフレームに穿孔された放射音穴を通して放射されてオーディオ再生が行われる(例えば、特許文献1参照)。
また、従来から上記の電磁変換器と同様な構成で上記の永久磁石板に替えて棒状磁石の構成になった「ガムーゾン形」と呼ばれる超薄型スピーカが存在している。この棒状磁石の同極を対向させて(N極とN極、又は、S極とS極)、棒状磁石と垂直な配列方向に交互に異なる極性を並べて配置する構成であり、他の部材は上記と同一のもので構成される(例えば、非特許文献1参照)。この構成によれば、オーディオ再生の発音動作も上記の電磁変換器と同じになる。
特許第3192372号公報 監修 佐伯多門、スピーカー&エンクロージャー百科,誠文堂新光社,1999年5月発行(2−25節 超薄型スピーカ)
上記のいずれの電磁変換器においても、その振動膜は蛇行コイルパターンによる駆動力が振動面に一様に発生して、所謂、全面駆動方式の電磁変換器である。換言すれば、振動膜はピストン音源となり平坦な音圧周波数特性を呈する電磁変換器を実現している。
しかし、実際には振動膜が全帯域にわたって一様な駆動力を発生させてピストン振動することは難しく、周波数の低い帯域から共振して屈曲振動してしまう。また、周波数が高い帯域になるに従って、僅かな駆動力のアンバランスにより振動膜の変位が分布を持つようになって複雑に屈曲振動する現象が発生する。
このような屈曲振動を起こす電磁変換器の振動解析結果を図6〜図11に示す。図6(a)〜(c)は有限要素法を用いた数値解析モデル図であり、矩形状の振動膜110と当該振動膜100を支持するエッジ200との振動系を解析対象とした正面図、側面図、斜視図である。
振動膜100は図6(c)のように、基材110にプリントした導体120を有する構造になっている。一般的には、基材110は高分子材などの薄いシートであり、導体120はこの基材110の表面に銅やアルミニウムの薄膜をプリントして蛇行コイルパターンを形成している。
図7〜図11は、振動膜100のエッジ外周端を完全拘束した条件で数値解析した固有値解析と応答解析の結果を示している。図6(a)の点Aと点Bは応答解析を実施した観測点の位置を示している。
図7〜図9は固有値解析結果のうち固有値が存在する3つの周波数の解析結果を示す図である。
図7は周波数9.9Hzの解析結果であり、9.9Hzはオーディオ帯域を外れた低域にあるが、参考のため最低次の固有値として取り上げた。振動膜100の中心部を最大変位とする振動姿態、すなわち固有モードになっている。
図8は周波数26.3Hzの解析結果であり、振動膜100の中心部に近い場所に限定されて大きな変位を示す固有モードになっている。また、図9の周波数56.5Hzは振動膜100の矩形長辺の中間部の2箇所で大きな変位を示す固有モードになっている。
図10、図11は応答解析結果であり、それぞれ観測点A、観測点Bにおける周波数応答特性を示す図である。両図には、上記した固有値が存在する3つの周波数の位置をb,c,dに示している。また、斜線Lは固有値が存在しないと仮定したときのおおよその変位振幅特性であり、この傾斜は−6dB/octaveで低域から高域に向かうにしたがってレベル低下する。
図10、図11の周波数応答特性によれば、固有値が存在する周波数近辺で周波数応答特性の特性変動が起こることがわかる。
図10、図11を比較すると、図7の9.9Hzでは観測点A,Bの双方で最大変位になっているが、図8の26.3Hzでは観測点Aの変動の幅が20dB以上の差であり、観測点Bの変動の幅に比べて大きくなっている。図9の56.5Hzでは観測点Aの変動の幅が観測点Bの変動の幅に比べてさらに大きくなっており、およそ40dBの差になっている。
また、図11の観測点Bでは、図10の観測点Aに比べて周波数26.3Hzと56.5Hzの特性変動の幅は小さめであるが、それ以上の周波数においては、図10より変動の幅が大きくなっている。
以上のように、固有値の存在する周波数付近では、20dBを超す変動を呈しており、変動を低減させる等の対応策が必要になるという課題がある。
また、振動膜100は一般的に薄い膜状体であるため音の透過が発生しやすい。これは比較的剛性のある蛇行形状の導体パターンからなるコイル120で駆動力を発生させても、基材110が薄い高分子樹脂シートが軟弱であるために屈曲振動を発生しやすく、音の透過も起こりやすい。特に低音域においては、電磁変換器がエンクロージャに装着されている場合、裏面に放射された音がエンクロージャ内部で反射されて振動膜100を透過して放射される。この裏面透過音は、前面放射音と干渉して音圧周波数特性に変動を与えるため、音質が劣化するという課題がある。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、剛性を高めた振動膜を用いて電磁変換器を得ることを目的とする。
この発明に係る電磁変換器は、帯状の異なる磁極が一定の間隔をおいて交互に着磁された永久磁石板と、永久磁石板に対向して配置され、永久磁石板の異なる磁極の間隔部分に対向する位置に、蛇行形状の導体パターンからなるコイルが低密度かつ高剛性の基材に埋め込まれて形成され、導体パターンに通電することにより永久磁石板と電磁的に結合して厚み方向に振動する振動膜とを備えたものである。
この発明の電磁変換器によれば、振動膜は低密度かつ高剛性の基材に導体パターンを埋め込むようにして形成したので、広い帯域に渡って一様な振動振幅を実現でき、音の透過を少なくすることができる。
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態の電磁変換器の構成を説明するための分解斜視図である。
電磁変換器10は、永久磁石板11,12、フレーム20、振動膜31から構成されており、フレームの上側フレーム21及び下側フレーム22が、上側永久磁石11aと下側永久磁石11bと振動膜31とを挟み込むように支持している。
永久磁石板11は、帯状の異なる磁極を交互に着磁されており、この交互に異なる磁極の境界には振動膜31が発するオーディオ振動を放射する放射音穴11aが一定の間隔をあけて形成されている。永久磁石板12は、永久磁石板11と同様に帯状の異なる磁極を交互に着磁されており、この交互に異なる磁極の境界には振動膜31が発するオーディオ振動を放射する放射音穴12aが形成されている。
振動膜31は、基材31a、導体(導体パターンからなるコイル)31bで構成されており、基材31aは、従来の振動膜100の基材110に比べ剛性の高い材料を用いて矩形状に形成されている。
導体31bは、金属箔をプレスやエッチングなどによって打ち抜いて形成したものであり、基材31aの永久磁石板11,12の帯状長手方向に沿った直線部分に対向する位置及びこの帯状長手方向に垂直な部分に対向する位置に配置され、この直線部分と折り返し部分とからなる蛇行形状に形成されている。
図2は、本発明の実施の形態の電磁変換器10の振動膜31を示すA−A線断面図であり、説明のため実際よりも振動膜31の厚さ方向を拡大して示している。
振動膜31は矩形状の基材31aの表面上に露出するようにに蛇行形状の導体31bを埋め込むようにして形成される。導体31bを型の平面に固定しておき、型内で高分子材料に発泡材を添加して発泡させる際に導体31bが基材31aに圧着され成形される。発泡材は、導体31bとの接着親和性があるものがよいが、結合力が弱い場合には導体31bを基材31aに接着剤で接合してもよい。
一般的にある程度の厚みを持っている構造体は曲がりにくく、また、曲げ振動が起こる固有共振の周波数は厚さに比例して高い周波数であるため、剛性の高いものにするためには振動膜31を厚い構造にすればよい。
そこで、従来の振動膜100の基材110の厚さ以上の厚さを持った基材31aの表面に金属からなる導体31bを埋め込むように接着して多層構造とし、単独では曲げに弱い材質の基材31aであったとしても導体31bを合わせることによって曲げに強い構造体の振動膜31を形成している。
従来の振動膜100の厚さはシート状の基材110を用いたもので0.1mm以下が一般的であるが、振動膜31の厚さは基材31aと導体31bとを貼り付けて0.5mm以上にすれば、従来のシート状の基材110と同じ材質を用いたとしても5倍以上の強度を有する振動膜31が得られる。ただし、従来の基材110と同じ材質を用いた場合は、質量が増え、音圧レベルを高く保つことが難しくなるので、基材31aは質量を増やさないように低密度の材料を選定して形成される。この基材31aは、例えば、密度が0.5〜1.0gr/cm3程度であり、強度を有する高発泡の多孔プラスチック材などの発泡高分子材料で成形されることが望ましい。
以上のような発泡高分子材などからなる基材31aと金属箔などからなる導体31bとで構成される振動膜31について、上記の以外の構造を図3〜図5に示す。
図3は導体31bが基材31aに覆われるように内部に埋め込まれるように形成した振動膜31の断面図であり、例えば基材31aの材料、導体31b、基材31aの材料の順に積層させて成形される。
図4は基材31aの表裏両面に導体31bを形成した振動膜31の断面図であり、図2と同様に型に導体31bを固定し、型内で高分子材料に発泡材を添加して発泡させる際に導体31bが基材31aに圧着され成形される。
図5は図3の振動膜31を2枚重ねて接着剤等で接着したものである。
なお、このような構造を組み合わせて図3と図1又は図2とで構成した振動膜31にしてもよく、また、3枚以上を組み合わせ多層化した振動膜31にしてもよい。
また、このような構造の振動膜31に適正な並進振動をさせるために、振動膜31の外周部を柔軟に支持する支持体を設けてもよい。支持体は、従来のコーン型スピーカのようにロール状のエッジにより振動膜31の全周、或いは、一部を支持するものである。
さらには、基材31aは耐熱性の材料であることが望ましく、導体31bの通電中に発生する熱に対して溶解しないようにすることが望ましい。
以上のように本実施の形態の電磁変換器によれば、薄く柔軟な基材110に替えて、低密度で高い剛性の材料を用いた基材31aを採用することで、従来の振動膜10のような振動膜の屈曲振動が解消し均一な変位を持つ振動膜が実現できるとともに、音圧レベルが低下せず高い周波数のオーディオ振動を放射できる。また、振動膜31が従来の振動膜に比べて厚いので音の透過が減少し良好な音圧特性を得ることができる。
この発明の電磁変換器の分解斜視図である。 この発明の実施の形態1の基材片面の表面に導体を埋め込んた振動膜の構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態1の基材内部に導体を埋め込んだ振動膜の構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態1の基材両面の各表面に導体を埋め込んだ振動膜の構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態1の基材内部に導体を埋め込んだ振動膜を2枚重ねて1枚にした振動膜の構成を示す断面図である。 従来の振動膜の振動解析モデル示す図である。 振動解析モデルの9.9Hzにおける振動解析結果を示す図である。 振動解析モデルの26.3Hzにおける振動解析結果を示す図である。 振動解析モデルの56.5Hzにおける振動解析結果を示す図である。 振動解析モデルの点Aにおける振動解析−応答解析結果を示す図である。 振動解析モデルの点Bにおける振動解析−応答解析結果を示す図である。
符号の説明
10 電磁変換器、11,12 永久磁石板、11a,12a 放射音穴、20 フレーム、21 上側フレーム(フレーム)、22 下側フレーム(フレーム)、21a,22a 放射音穴、31,100 振動膜、31a,110 基材、31b,120 導体(導体パターンからなるコイル)、200 エッジ。

Claims (4)

  1. 帯状の異なる磁極が一定の間隔をおいて交互に着磁された永久磁石板と、
    前記永久磁石板に対向して配置され、前記永久磁石板の異なる磁極の間隔部分に対向する位置に、蛇行形状の導体パターンからなるコイルが低密度かつ高剛性の基材に埋め込まれて形成され、前記導体パターンからなるコイルに通電することにより前記永久磁石板と電磁的に結合して厚み方向に振動する振動膜とを備えた電磁変換器。
  2. 振動膜は、導体パターンからなるコイルが基材の表面上に露出するように埋め込まれていることを特徴とする請求項1記載の電磁変換器。
  3. 振動膜は、導体パターンからなるコイルが基材内部に埋め込まれていることを特徴とする請求項1記載の電磁変換器。
  4. 基材は、発泡高分子材料からなることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の電磁変換器。
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