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JP2009275068A - 共重合体 - Google Patents

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JP2009275068A
JP2009275068A JP2008125204A JP2008125204A JP2009275068A JP 2009275068 A JP2009275068 A JP 2009275068A JP 2008125204 A JP2008125204 A JP 2008125204A JP 2008125204 A JP2008125204 A JP 2008125204A JP 2009275068 A JP2009275068 A JP 2009275068A
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Toshihiko Nijukken
年彦 二十軒
Yasunobu Nakagawa
泰伸 中川
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Daicel Corp
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

【課題】 基材に対する密着性に優れるとともに、耐熱性、耐薬品性、特に耐熱着色性に優れた硬化物の得られる共重合体を提供する。
【解決手段】 下記式(1)
【化1】
Figure 2009275068

(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜8の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示す。R3はイソシアネート基のブロック剤R3Hの残基を示す)
で表されるブロックされたイソシアネート基を有するビニル単量体Aに対応するモノマー単位と、カルボキシル基又は酸無水物基を有するビニル単量体Bに対応するモノマー単位を少なくとも含む共重合体。この共重合体は、さらに、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、ヒドロキシル基含有単量体に対応するモノマー単位を含んでいてもよい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ブロックされたイソシアネート基とカルボキシル基又は酸無水物基とを有する共重合体に関する。本発明の共重合体は、塗料、コーティング剤、粘接着剤、電子材料用途(保護膜、封止材料など)等に使用できる。
従来、熱や光により硬化して硬化塗膜を形成しうる組成物として、側鎖にエポキシ基を有する重合体を含む硬化性樹脂組成物、側鎖にイソシアネート基を有する重合体を含む硬化性樹脂組成物、アルコキシシラン基を含む重合体に、酸、塩基、有機金属触媒等を添加した硬化性樹脂組成物などが知られている。しかし、これらの硬化性樹脂組成物から得られる硬化塗膜では、硬化性、基材への密着性、膜強度、耐熱性、耐薬品性、保存安定性等の要求性能をすべて満足させることはできない。
特開平1−123817号公報には、硬化物の物性を向上させる目的で、アルコキシシラン基含有ビニル単量体とオキシラン基含有ビニル単量体とを単量体成分として含有してなる共重合体に、キレート化合物及び多官能の脂環式オキシラン基を有する化合物を配合した硬化性組成物が開示されている。この硬化性組成物によれば、低温での架橋が可能であり、諸物性に優れた硬化物を得ることができる。しかし、この硬化性組成物から得られる硬化塗膜は、耐薬品性、特に耐アルカリ性についての性能が不十分である。
特開2007−177041号公報には、イソシアネート基の反応性を抑制し保存安定性を向上させたブロックタイプのイソシアネート基を有する重合体を含む硬化性樹脂組成物が提案されている。この硬化性樹脂組成物によれば、重合体の長期保存安定性も問題なく、諸物性に優れた硬化物を得ることができる。しかし、この硬化性樹脂組成物から得られる硬化塗膜においても近年要求されている基材への密着性、耐熱性、耐薬品性についての性能が不充分である。
特開平1−123817号公報 特開2007−177041号公報
本発明の目的は、基材に対する密着性に優れるとともに、耐熱性、耐薬品性、特に耐熱着色性に優れた硬化物の得られる共重合体を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ブロックされたイソシアネート基を有するビニル単量体とカルボキシル基又は酸無水物基を有するビニル単量体との共重合体を含有する硬化性樹脂組成物を基材に塗布して硬化させると、基材に対する密着性に優れるとともに、耐熱性、耐薬品性、特に耐熱着色性に優れた硬化塗膜が得られることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記式(1)
Figure 2009275068
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜8の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示す。R3はイソシアネート基のブロック剤R3Hの残基を示す)
で表されるブロックされたイソシアネート基を有するビニル単量体Aに対応するモノマー単位と、カルボキシル基又は酸無水物基を有するビニル単量体Bに対応するモノマー単位を少なくとも含む共重合体を提供する。
前記共重合体は、ビニル単量体Aに対応するモノマー単位及びビニル単量体Bに対応するモノマー単位に加えて、下記式(2)
Figure 2009275068
(式中、R4は水素原子又はメチル基を示し、R5は炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい炭素数1〜15の炭化水素基を示す)
で表される(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、及びヒドロキシル基含有単量体からなる群より選択された少なくとも1種の単量体に対応するモノマー単位を含んでいてもよい。
本発明の共重合体を含む硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、基材や基板に対して高い密着性を有するとともに、耐熱性、耐薬品性に優れた硬化物(硬化皮膜等)を得ることができる。また、本発明の共重合体を含む硬化性樹脂組成物は硬化性及び保存安定性にも優れている。そのため、塗料、コーティング剤、粘接着剤等として利用でき、特に電子材料分野で好適に使用できる。
本発明の共重合体は、前記式(1)で表されるブロックされたイソシアネート基(以下、「ブロックイソシアネート基」と称する場合がある)を有するビニル単量体Aに対応するモノマー単位と、カルボキシル基又は酸無水物基を有するビニル単量体Bに対応するモノマー単位を少なくとも含む。ブロックイソシアネート基は熱により脱ブロック化し、活性なイソシアネート基が生成する。この共重合体を含む硬化性樹脂組成物を熱や活性エネルギー線により硬化させると、前記イソシアネート基とカルボキシル基又は酸無水物基が硬化に寄与して、諸物性、特に基材密着性、耐熱性及び耐薬品性に優れた硬化物を与える。
式(1)で表される単量体Aにおいて、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜8の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示す。R3はイソシアネート基のブロック剤R3Hの残基を示す。
2における炭素数1〜8の2価の飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状の2価の飽和脂肪族炭化水素基(アルキレン基)が挙げられる。これらの中でも、エチレン、トリメチレン、プロピレン基等の炭素数2〜4の2価の飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。
イソシアネート基のブロック剤R3Hとしては、公知のイソシアネート基ブロック剤を用いることができ、例えば、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、メチルイソブチルケトキシム、ジエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシムなどのオキシム系ブロック剤;3,5−ジメチルピラゾールなどのピラゾール系ブロック剤;メタノール、エタノール等のアルコール系ブロック剤;フェノール、クレゾールなどのフェノール系ブロック剤;ブチルメルカプタンなどのメルカプタン系ブロック剤;アセトアニリド、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等の酸アミド系ブロック剤;マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチルなどの活性メチレン系ブロック剤;コハク酸イミド、マレイン酸イミドなどのイミド系ブロック剤;尿素系ブロック剤;N−フェニルカルバミン酸フェニルなどのカルバミン酸系ブロック剤;ジフェニルアミン、アニリンなどのアミン系ブロック剤;エチレンイミン、ポリエチレンイミン等のイミン系ブロック剤などが挙げられる。
イソシアネート基のブロック剤としては、硬化性樹脂組成物の製造ラインにおいてゲル化が生じないような安定性の高いブロック剤が好ましい。ブロック剤の脱ブロック温度は、例えば100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲である。上記のブロック剤のなかでも、オキシム系ブロック剤、ピラゾール系ブロック剤が好ましい。
特に好ましいブロック剤には、下記式(3)
Figure 2009275068
(式中、R6、R7は、同一又は異なって、炭素数1〜8のアルキル基を示す。R6及びR7は、互いに結合して、隣接する炭素原子とともに環を形成してもよい)
で表されるオキシム系ブロック剤が含まれる。
6及びR7における炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル基等の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が挙げられる。これらのなかでも、メチル、エチル、プロピル基等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が好ましい。R6及びR7が互いに結合して隣接する炭素原子とともに結合する環としては、例えば、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等の3〜12員程度(好ましくは5又は6員)のシクロアルカン環などが挙げられる。
式(1)で表されるビニル単量体Aの代表的な例として、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート)[商品名「カレンズMOI−BM」、昭和電工株式会社製、下記式(1a)]、メタクリル酸2−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)カルボニルアミノエチル[商品名「カレンズMOI−BP」、昭和電工株式会社製、下記式(1b)]等が挙げられる。なお、商品名「カレンズMOI−BM」の脱ブロック温度は、50%脱ブロック温度が130℃、90%脱ブロック温度が150℃である。また、商品名「カレンズMOI−BP」の脱ブロック温度は、50%脱ブロック温度が100℃、90%脱ブロック温度が120℃である。
Figure 2009275068
本発明の共重合体において、式(1)で表されるビニル単量体Aに対応するモノマー単位の脱ブロック化は以下のようにして進行する。この脱ブロック化により生じたイソシアネート基が硬化性基として作用する。イソシアネート基は、主に基材に対する密着性の向上に寄与する。
Figure 2009275068
カルボキシル基又は酸無水物基を有するビニル単量体Bとしては、不飽和カルボン酸又はその酸無水物が挙げられる。不飽和カルボン酸及びその酸無水物には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などのα,β−不飽和カルボン酸及びその酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)が含まれる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
本発明の共重合体において、ビニル単量体Aに対応するモノマー単位及びビニル単量体Bに対応するモノマー単位は、それぞれ、1種であってもよく、2種以上存在していてもよい。
ビニル単量体Aに対応するモノマー単位の共重合体に占める割合は、共重合体を構成する全モノマー単位に対して、例えば、1〜99重量%(例えば10〜95重量%)、好ましくは20〜90重量%、さらに好ましくは25〜88重量%、特に好ましくは30〜86重量%である。この割合が少なすぎると基材に対する密着性が低下しやすく、多すぎるとビニル単量体Bに対応するモノマー単位の割合が相対的に少なくなるので、耐熱着色性が低下しやすくなる。
ビニル単量体Bに対応するモノマー単位の共重合体に占める割合は、用いるモノマー単位の種類によっても異なるが、通常、共重合体を構成する全モノマー単位に対して、1〜99重量%(例えば5〜80重量%)、好ましくは10〜50重量%、さらに好ましくは12〜40重量%、特に好ましくは14〜30重量%である。この割合が少なすぎると耐熱着色性が悪くなりやすく、逆に多すぎると耐溶剤性が悪くなりやすい。
ビニル単量体Aに対応するモノマー単位とビニル単量体Bに対応するモノマー単位の総和の共重合体に占める割合は、例えば、40重量%〜100重量%、好ましくは50〜100重量%、さらに好ましくは60〜100重量%である。
本発明の共重合体において、ビニル単量体Aに対応するモノマー単位とビニル単量体Bに対応するモノマー単位の比率は、例えば、前者/後者(重量比)=1/99〜99/1、好ましくは10/90〜95/5、さらに好ましくは30/70〜95/5、特に好ましくは50/50より大きく90/10以下である。
本発明の共重合体は、ビニル単量体Aに対応するモノマー単位とビニル単量体Bに対応するモノマー単位のみで構成されていてもよいが、ビニル単量体Aに対応するモノマー単位及びビニル単量体Bに対応するモノマー単位に加えて、他のモノマー単位を含んでいてもよい。他のモノマー単位としては、ビニル単量体A及びビニル単量体Bと共重合可能な重合性単量体に対応するモノマー単位であって、基材に対する密着性及び耐薬品性を損なわないような構造単位であれば特に限定されない。
このような共重合体が含んでいてもよい他のモノマー単位を形成しうる単量体として、前記式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、ヒドロキシル基含有単量体、3〜5員の環状エーテル基を有するビニル単量体が挙げられる。これらの単量体は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルにおいて、R4は水素原子又はメチル基を示し、R5は炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい炭素数1〜15(好ましくは、炭素数1〜12)の炭化水素基を示す。R5における炭素数1〜15の炭化水素基として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル基等のアルキル基;シクロヘキシル、ジシクロペンタニル、イソボルニル基等の脂環式炭化水素基;フェニル基等のアリール基;ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル基等のアラルキル基;これらが2以上結合した基等が挙げられる。
炭素数1〜15の炭化水素基が有していてもよい炭化水素基置換オキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ基等のアルコキシ基(例えば、炭素数1〜10のアルコキシ基);フェノキシ基等のアリールオキシ基;シクロヘキシルオキシ基、ジシクロペンタニルオキシ基等の脂環式炭化水素基置換オキシ基;ベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基などの炭素数1〜15(好ましくは、炭素数1〜12)の炭化水素基置換オキシ基などが挙げられる。
式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルの代表的な例として、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニルなどが挙げられる。
ヒドロキシル基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物、上記多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合物(ダイセル化学工業株式会社製、プラクセルFAシリーズ、プラクセルFMシリーズ等)やエチレンオキサイド、若しくはプロピレンオキサイドを開環重合したヒドロキシル基含有化合物などが挙げられる。
3〜5員の環状エーテル基を有するビニル単量体には、オキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物、オキセタン環(オキセタニル基)含有重合性不飽和化合物、オキソラン環(オキソラニル基)含有重合性不飽和化合物が含まれる。
オキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、オキシラニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−オキシラニルエチル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート等のオキシラン環(単環)を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など);3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどの3,4−エポキシシクロヘキサン環等のエポキシ基含有脂環式炭素環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など);5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(メタ)アクリレート等の5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など);エポキシ化ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート[3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イル(メタ)アクリレート;3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート[2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート;2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシブチル(メタ)アクリレート、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシヘキシル(メタ)アクリレートなどの3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など)などが挙げられる。他のオキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物として、エポキシ基を含むビニルエーテル化合物、エポキシ基を含むアリルエーテル化合物等を用いることもできる。
オキセタン環(オキセタニル基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、オキセタニル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(3−メチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3−エチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、3−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレートや、オキセタニル基を含むビニルエーテル化合物、オキセタニル基を含むアリルエーテル化合物などが挙げられる。
オキソラン環(オキソラニル基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートや、オキソラニル基を含むビニルエーテル化合物、オキソラニル基を含むアリルエーテル化合物などが挙げられる。
本発明の共重合体において、3〜5員の環状エーテル基[オキシラン環(エポキシ基)、オキセタン環(オキセタニル基)、オキソラン環(オキソラニル基)]を有する場合、これらの基は硬化性基として作用する。3〜5員の環状エーテル基は、主に耐薬品性(耐溶剤性、耐アルカリ性等)の向上に寄与する。
本発明の共重合体は、3〜5員の環状エーテル基を有するビニル単量体に対応するモノマー単位を有する共重合体であってもよく、3〜5員の環状エーテル基を有するビニル単量体に対応するモノマー単位を有しない共重合体であってもよい。
式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、ヒドロキシル基含有単量体、及び3〜5員の環状エーテル基を有するビニル単量体からなる群より選択された少なくとも1種の単量体に対応するモノマー単位の共重合体に占める割合は、合計で、一般に、0〜60重量%(例えば、2〜60重量%)、好ましくは0〜50重量%(例えば、2〜50重量%)、さらに好ましくは0〜40重量%(例えば、5〜40重量%)である。
本発明の共重合体が3〜5員の環状エーテル基を有するビニル単量体に対応するモノマー単位を有しない共重合体である場合、式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、及びヒドロキシル基含有単量体からなる群より選択された少なくとも1種の単量体に対応するモノマー単位の共重合体に占める割合は、合計で、一般に、0〜60重量%(例えば、2〜60重量%)、好ましくは0〜50重量%(例えば、2〜50重量%)、さらに好ましくは0〜40重量%(例えば、5〜40重量%)である。
本発明の共重合体の好ましい態様として、(i)ビニル単量体Aに対応するモノマー単位とビニル単量体Bに対応するモノマー単位を合計で全モノマー単位の50重量%以上(特に60重量%以上)含む共重合体、(ii)ビニル単量体Aに対応するモノマー単位及びビニル単量体Bに対応するモノマー単位に加えて、式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル(特に、メタクリル酸メチル)に対応するモノマー単位を全モノマー単位の2〜60重量%(好ましくは2〜50重量%、さらに好ましくは5〜40重量%)含む共重合体、(iii)ビニル単量体Aに対応するモノマー単位及びビニル単量体Bに対応するモノマー単位に加えて、芳香族ビニル化合物に対応するモノマー単位を全モノマー単位の2〜60重量%(好ましくは2〜50重量%、さらに好ましくは5〜40重量%)含む共重合体、(iv)ビニル単量体Aに対応するモノマー単位及びビニル単量体Bに対応するモノマー単位に加えて、ヒドロキシル基含有単量体に対応するモノマー単位を全モノマー単位の2〜60重量%(好ましくは2〜50重量%、さらに好ましくは5〜40重量%)含む共重合体、(v)ビニル単量体Aに対応するモノマー単位及びビニル単量体Bに対応するモノマー単位に加えて、3〜5員の環状エーテル基を有するビニル単量体に対応するモノマー単位を全モノマー単位の2〜60重量%(好ましくは2〜50重量%、さらに好ましくは5〜40重量%)含む共重合体、(vi)ビニル単量体Aに対応するモノマー単位及びビニル単量体Bに対応するモノマー単位に加えて、芳香族ビニル化合物に対応するモノマー単位と3〜5員の環状エーテル基を有するビニル単量体に対応するモノマー単位を含み、該芳香族ビニル化合物に対応するモノマー単位と3〜5員の環状エーテル基を有するビニル単量体に対応するモノマー単位を、合計で、全モノマー単位の2〜60重量%(好ましくは2〜50重量%、さらに好ましくは5〜40重量%)含む共重合体が挙げられる。
本発明の共重合体は、前記式(1)で表されるブロックイソシアネート基を有するビニル単量体Aと、カルボキシル基又は酸無水物基を有するビニル単量体Bと、必要に応じて他の共重合性単量体とを含む単量体混合物を重合(共重合)に付すことにより製造できる。
重合に用いられる重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤が使用できる。例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、ジエチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジブチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、過酸化水素などが挙げられる。過酸化物をラジカル重合開始剤として使用する場合、還元剤を組み合わせてレドックス型の開始剤としてもよい。上記のなかでもアゾ化合物が好ましく、特に、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(イソ酪酸)ジメチルが好ましい。
重合開始剤の使用量は、円滑な共重合を損なわない範囲で適宜選択できるが、通常、全単量体成分及び重合開始剤の総量に対して、1〜30重量%程度であり、好ましくは5〜25重量%程度である。
本発明においては、ラジカル重合において一般的に使用されている連鎖移動剤を併用してもよい。具体例としては、チオール類(n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、tert−ブチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、トリエチレングリコールジメルカプタン等)、チオール酸類(メルカプトプロピオン酸、チオ安息香酸、チオグリコール酸、チオリンゴ酸等)、アルコール類(イソプロピルアルコール等)、アミン類(ジブチルアミン等)、次亜燐酸塩類(次亜燐酸ナトリウム等)、α−メチルスチレンダイマー、タービノーレン、ミルセン、リモネン、α−ピネン、β−ピネン等を挙げることができ、連鎖移動剤の量は全ラジカル重合性単量体の量に対して、好ましくは0.001〜3重量%である。連鎖移動剤を使用する場合は、予め重合性ビニル単量体に混合させておくことが好ましい。
重合は、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合、乳化重合など、スチレン系ポリマーやアクリル系ポリマーを製造する際に用いる慣用の方法により行うことができる。これらのなかでも溶液重合が好ましい。モノマー、重合開始剤は、それぞれ、反応系に一括供給してもよく、その一部又は全部を反応系に滴下してもよい。例えば、一定温度に保持したモノマーと重合溶媒の混合液中に、重合開始剤を重合溶媒に溶解した溶液を滴下して重合する方法や、予め単量体、重合開始剤を重合溶媒に溶解させた溶液を、一定温度に保持した重合溶媒中に滴下して重合する方法(滴下重合法)などを採用できる。
重合溶媒は単量体組成等に応じて適宜選択できる。重合溶媒として、例えば、エーテル(ジエチルエーテル;エチレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノ又はジアリールエーテル、ジプロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、1,3−プロパンジオールモノ又はジアルキルエーテル、1,3−ブタンジオールモノ又はジアルキルエーテル、1,4−ブタンジオールモノ又はジアルキルエーテル、グリセリンモノ,ジ又はトリアルキルエーテル等のグリコールエーテル類などの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルなど)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、C5-6シクロアルカンジオールモノ又はジアセテート、C5-6シクロアルカンジメタノールモノ又はジアセテート等のカルボン酸エステル類;エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ又はジアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ又はジアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ又はジアセテート、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ又はジアセテート、1,3−プロパンジオールモノアルキルエーテルアセテート、1,3−プロパンジオールモノ又はジアセテート、1,3−ブタンジオールモノアルキルエーテルアセテート、1,3−ブタンジオールモノ又はジアセテート、1,4−ブタンジオールモノアルキルエーテルアセテート、1,4−ブタンジオールモノ又はジアセテート、グリセリンモノ,ジ又はトリアセテート、グリセリンモノ又はジC1-4アルキルエーテルジ又はモノアセテート、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノ又はジアセテート等のグリコールアセテート類又はグリコールエーテルアセテート類など)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンなど)、アミド(N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド(ジメチルスルホキシドなど)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、C5-6シクロアルカンジオール、C5-6シクロアルカンジメタノールなど)、炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素など)、これらの混合溶媒などが挙げられる。重合温度は、例えば30〜150℃程度の範囲で適宜選択できる。
上記方法により本発明の共重合体が生成する。共重合体の重量平均分子量は、例えば500〜100000、好ましくは1000〜40000、さらに好ましくは2000〜30000程度である。共重合体の分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は1〜3程度である。
上記方法で得られた重合液は、必要に応じて固形分濃度を調整したり、溶媒交換したり、濾過処理を施した後、さらに必要に応じて、硬化触媒[熱酸発生剤(熱硬化触媒、熱カチオン重合開始剤)、光酸発生剤(光硬化触媒、光カチオン重合開始剤)]、硬化剤、硬化促進剤、添加剤(充填剤、消泡剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、低応力化剤、可とう性付与剤、ワックス類、樹脂、架橋剤、ハロゲントラップ剤、レベリング剤、濡れ改良剤など)を配合することにより、硬化性樹脂組成物を得ることができる。また、重合により生成したポリマーを沈殿又は再沈殿等により精製し、この精製したポリマーを、前記適宜な添加物とともに用途に応じた溶媒に溶解することにより、硬化性樹脂組成物を得ることもできる。
前記硬化触媒のうち、熱酸発生剤としては、例えば、サンエイドSI−45、同左SI−47、同左SI−60、同左SI−60L、同左SI−80、同左SI−80L、同左SI−100、同左SI−100L、同左SI−145、同左SI−150、同左SI−160、同左SI−110L、同左SI−180L(以上、三新化学工業社製品、商品名)、CI−2921、CI−2920、CI−2946、CI−3128、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)社製品、商品名)、CP−66、CP−77(旭電化工業社製品、商品名)、FC−520(3M社製品、商品名)などに代表されるジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩等を使用できる。
光酸発生剤としては、例えば、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−950(以上、米国ユニオンカーバイド社製、商品名)、イルガキュア261(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、SP−150、SP−151、SP−170、オプトマーSP−171(以上、旭電化工業株式会社製、商品名)、CG−24−61(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、DAICATII(ダイセル化学工業社製、商品名)、UVAC1591(ダイセル・サイテック(株)社製、商品名)、CI−2064、CI−2639、CI−2624、CI−2481、CI−2734、CI−2855、CI−2823、CI−2758(以上、日本曹達社製品、商品名)、PI−2074(ローヌプーラン社製、商品名、ペンタフルオロフェニルボレートトルイルクミルヨードニウム塩)、FFC509(3M社製品、商品名)、BBI−102、BBI−101、BBI−103、MPI−103、TPS−103、MDS−103、DTS−103、NAT−103、NDS−103(ミドリ化学社製、商品名)、CD−1012(米国、Sartomer社製、商品名)などに代表されるジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩等を使用できる。
硬化触媒の添加量は、硬化性樹脂組成物中の前記共重合体(樹脂分)に対して、例えば0.05〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。硬化触媒は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
硬化性樹脂組成物には感放射線性成分を配合することもできる。感放射線性成分としては、多官能性(メタ)アクリレート、多官能性エポキシ化合物が挙げられる。多官能性(メタ)アクリレートと熱または放射線重合開始剤、多官能性エポキシ化合物と熱または放射線酸発生剤を組み合わせて配合してもよい。
多官能性(メタ)アクリレートの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類、両末端ヒドロキシポリブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプリラクトンなどの両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類、グリセリン、1,2,4,−ブタントリオール、トリメチロールアルカン、テトラメチロールアルカン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類、3価以上の多価アルコールのポリアルキレングリコール付加物のポリ(メタ)アクリレート類、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ベンゼンジオール類などの環式ポリオールのポリ(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アルキッド樹脂(メタ)アクリレート、シリコン樹脂(メタ)アクリレート、スピラン樹脂(メタ)アクリレート等のオリゴ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは1種単独であってもよく、2種以上存在していてもよい。
多官能性エポキシ化合物としては、例えば、商品名「セロキサイド2021」、商品名「セロキサイド2081」、商品名「セロキサイド3000」、商品名「EHPE3150」、商品名「エポリードGT401」(以上、ダイセル化学工業株式会社製)、商品名「エポライト4000」(共栄社化学製)などを使用できる。
こうして得られる硬化性樹脂組成物は、硬化により基材や基板に対して高い密着性を有するとともに、耐溶剤性や耐アルカリ性等の耐薬品性に優れた硬化物(硬化皮膜等)を得ることができる。そのため、塗料、コーティング剤、粘接着剤等として有用であり、特に電子材料分野で好適に使用できる。
上記硬化性樹脂組成物を硬化させることにより諸物性に優れた硬化物が得られる。例えば、上記硬化性樹脂組成物を、スピンコーター、スリットコーターなどの方式によって、各種基材又は基板へ塗工して塗膜を形成した後、該塗膜を硬化させることにより硬化物を得ることができる。基材又は基板としては、ガラス、セラミック、シリコンウエハ、金属、プラスチックなどが挙げられる。スピンコーターやスリットコーター等による塗工は公知の方法により行うことができる。
塗膜の硬化は加熱すること、あるいは活性エネルギー線を照射し露光すること、又は露光後に加熱することにより行われる。上記硬化性樹脂組成物を熱により硬化させる場合、加熱温度は50℃から260℃の範囲、好ましくは80℃から240℃の範囲である。また、上記硬化性樹脂組成物を光により硬化させる場合、露光には種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線、g線、i線、エキシマレーザーなどが使用される。硬化後の塗膜の厚みは、用途によって適宜選択できるが、一般には0.1〜40μm、好ましくは0.3〜20μm、より好ましくは0.5〜10μm程度である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、生成した共重合体の重量平均分子量(ポリスチレン換算)及び分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、以下の条件にて測定した。
装置:検出器:RID-10A(島津製作所)
ポンプ:LC-10ADVP(島津製作所)
システムコントローラー:SCL-10AVP(島津製作所)
デガッサー:DGU-14A(島津製作所)
オートインジェクター:SIL-10AF(島津製作所)
カラム:Waters Styragel HR3, Styragel HR4, Styragel HR5 計3本
移動相:THF
流量:1mL/min
温度:オーブン(40℃)、RI(40℃)
検出器:RI POLARITY(+)
注入量:50μL
実施例1
還流冷却器、滴下ロート及び撹拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を適量流して窒素雰囲気とし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100重量部を入れ、撹拌しながら80℃まで加熱した。次いで、該フラスコ内に、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(商品名「カレンズMOI−BM」、昭和電工株式会社製)80重量部、メタクリル酸20重量部、を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30重量部に溶解した溶液を滴下ポンプを用いて約4時間かけて滴下した。一方、重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート90重量部に溶解した溶液を別の滴下ポンプを用いて約4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の滴下が終了した後、約4時間同温度に保持し、その後室温まで冷却して、固形分33重量%の共重合体溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは10000、分散度1.80であった。
実施例2
単量体組成を、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(商品名「カレンズMOI−BM」、昭和電工株式会社製)70重量部、メタクリル酸20重量部、エポキシ化ジシクロペンテニルアクリレート(商品名「E−DCPA」、ダイセル化学工業株式会社製)10重量に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行い、固形分32.6重量%の共重合体溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは11000、分散度1.86であった。
実施例3
単量体組成を、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(商品名「カレンズMOI−BM」、昭和電工株式会社製)70重量部、メタクリル酸20重量部、スチレン10重量に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行い、固形分32.3重量%の共重合体溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは9800、分散度1.80であった。
実施例4
単量体組成を、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(商品名「カレンズMOI−BM」、昭和電工株式会社製)60重量部、メタクリル酸20重量部、エポキシ化ジシクロペンテニルアクリレート(商品名「E−DCPA」、ダイセル化学工業株式会社製)10重量、スチレン10重量部に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行い、固形分33重量%の共重合体溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは11000、分散度1.86であった。
比較例1
単量体組成をすべて「カレンズMOI−BM」に変更する以外は、実施例1と同じ操作を行い、固形分32.0重量%の共重合体溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは9500、分散度1.85であった。
比較例2
単量体組成を、メタクリル酸メチル80重量部、メタクリル酸20重量部に変更する以外は、実施例1と同じ操作を行い、固形分32.5重量%の共重合体溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは12000、分散度1.78であった。
比較例3
単量体組成を、メタクリル酸メチル70重量部、メタクリル酸20重量部、エポキシ化ジシクロペンテニルアクリレート(商品名「E−DCPA」、ダイセル化学工業株式会社製)10重量に変更する以外は、実施例1と同じ操作を行い、固形分33重量%の共重合体溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは9500、分散度1.80であった。
比較例4
単量体組成を、スチレン80重量部、メタクリル酸20重量部に変更する以外は、実施例1と同じ操作を行い、固形分32.5重量%の共重合体溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは9000、分散度1.76であった。
評価試験
(1)評価用試験片の作製
基材に、各実施例及び比較例で得られた共重合体溶液(硬化性樹脂組成物)をスピンコーターで塗布したのち、100℃のホットプレートで3分間加熱後、80℃のオーブン中で30分間加熱し、さらに220℃のオーブン中で30分間加熱することで各評価用試験片を作製した。基材として、ガラス板とステンレス板を用いた。
(2)密着性
実施例及び比較例において、耐溶剤性試験を実施した箇所についてJIS K−5600−5−6に準拠し、基材からの剥離により密着性を測定した。また、JIS K5600−5−6 8.3 表1 試験結果の分類で規定された分類に従って下記基準に基づいて評価した。
◎・・・試験結果の分類の「0」であった。
○・・・試験結果の分類の「1」であった。
△・・・試験結果の分類の「2」であった。
×・・・試験結果の分類の「3」「4」であった。
(3)耐溶剤性
実施例及び比較例において、ガラス板で作製した評価用試験片へ、イソプロピルアルコール(IPA)、メチルエチルケトン(MEK)、N―メチルピロリドン(NMP)をそれぞれ1滴づつ滴下し、10分間放置した。その後水洗し、溶剤を滴下した箇所が全く変化していなかったら◎、僅かに溶剤の跡が残るが、拭き取れば消えるようであれば○、溶剤の跡が残り、拭き取っても消えないようであれば△、全面的に変色していたら×とした。ステンレス板で作製した評価用試験片を用いた場合も同様の結果が得られた。
(4)耐熱性(耐熱着色性)
実施例及び比較例において、ガラス板で作製した評価用試験片につき、分光光度計を用いて波長400nm〜800nmの透過率を測定した。前記硬化した塗膜を再度250℃のクリーンオーブン中で1時間加熱し、塗膜のクラックの有無と透過率を測定した。220℃、30分間加熱硬化後の透過率に対して、再加熱処理後の透過率の変化の割合を透過率減少率で算出し、透過率減少率が5%未満の場合を○、5〜10%の場合を△、10%を超えた場合を×とした。
評価試験の結果を表1に示す。
Figure 2009275068
表より明らかなように、実施例の共重合体溶液から得られた硬化塗膜は、基材(ガラス及びステンレス)に対する密着性、耐溶剤性、耐熱着色性の何れの点でも優れていた。これに対し、比較例1の共重合体溶液から得られた硬化塗膜は耐熱着色性が、比較例2、比較例4の共重合体溶液から得られた硬化塗膜は密着性、耐溶剤性が、比較例3の共重合体溶液から得られた硬化塗膜は耐溶剤性がそれぞれ劣っていた。

Claims (2)

  1. 下記式(1)
    Figure 2009275068
    (式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜8の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示す。R3はイソシアネート基のブロック剤R3Hの残基を示す)
    で表されるブロックされたイソシアネート基を有するビニル単量体Aに対応するモノマー単位と、カルボキシル基又は酸無水物基を有するビニル単量体Bに対応するモノマー単位を少なくとも含む共重合体。
  2. ビニル単量体Aに対応するモノマー単位及びビニル単量体Bに対応するモノマー単位に加えて、下記式(2)
    Figure 2009275068
    (式中、R4は水素原子又はメチル基を示し、R5は炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい炭素数1〜15の炭化水素基を示す)
    で表される(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、及びヒドロキシル基含有単量体からなる群より選択された少なくとも1種の単量体に対応するモノマー単位を含む請求項1記載の共重合体。
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