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JP2009267092A - 光起電力素子用材料および光起電力素子 - Google Patents

光起電力素子用材料および光起電力素子 Download PDF

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JP2009267092A JP2008115088A JP2008115088A JP2009267092A JP 2009267092 A JP2009267092 A JP 2009267092A JP 2008115088 A JP2008115088 A JP 2008115088A JP 2008115088 A JP2008115088 A JP 2008115088A JP 2009267092 A JP2009267092 A JP 2009267092A
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修平 山本
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清一郎 村瀬
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Abstract

【課題】開放電圧の高い光起電力素子を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物を含む光起電力素子用材料。
Figure 2009267092

(R〜Rは同じでも異なっていてもよく、それぞれ、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、カルバモイル基、アミノ基またはシリル基を示す。Aは2価の連結基を表す。mは0〜11の整数である。)
【選択図】なし

Description

本発明は光起電力素子用材料、およびそれを用いた光起電力素子に関する。
太陽電池は環境に優しい電気エネルギー源として、現在深刻さを増すエネルギー問題に対して有力なエネルギー源と注目されている。現在、太陽電池の光起電力素子の半導体材料としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、化合物半導体などの無機物が使用されている。しかし、無機半導体を用いて製造される太陽電池は、火力発電や原子力発電などの発電方式と比べてコストが高いために、一般家庭に広く普及するには至っていない。コスト高の要因は主として、真空かつ高温下で半導体薄膜を形成するプロセスにある。そこで、製造プロセスの簡略化が期待される半導体材料として、共役系重合体や有機結晶などの有機半導体や有機色素を用いた有機太陽電池が検討されている。このような有機太陽電池においては、半導体材料を塗布法で作製することが可能なため、製造プロセスを簡略化することができる。
しかし、共役系重合体などを用いた従来の有機太陽電池は、従来の無機半導体を用いた太陽電池と比べて光電変換効率が低いために、まだ実用化には至っていない。従来の共役系重合体を用いた有機太陽電池の光電変換効率が低い理由として、主に次の2点が挙げられる。第1に、入射光によって生成された電子と正孔が分離しにくいエキシトンと呼ばれる束縛状態が形成されやすいことである。第2に、キャリア(電子、正孔)を捕獲するトラップが形成されやすいため、生成したキャリアがトラップに捕獲されやすく、キャリアの移動度が低いことである。すなわち、半導体材料には一般にその材料が有するキャリアに高い移動度μが要求されるが、共役系重合体では従来の無機結晶半導体やアモルファスシリコンと比べて移動度μが低いという課題がある。
このため、生成した電子と正孔をエキシトンから効率的に分離する手段と、共役系重合体の非晶領域や共役系重合体鎖間でのキャリアの散乱やトラップによるキャリアの捕捉を抑制して移動度を向上できる手段を見出すことが、有機半導体材料による太陽電池を実用化するための鍵となる。
これまでに知られている有機半導体による光起電力素子は、現在のところ一般的に次のような素子構成に分類することができる。電子供与性有機材料(p型有機半導体)と仕事関数の小さい金属を接合させるショットキー型、電子受容性有機材料(n型有機半導体)と電子供与性有機材料(p型有機半導体)を接合させるヘテロ接合型などである。これらの光起電力素子は、接合部の有機層(数分子層程度)のみが光電流生成に寄与するため、光電変換効率が低い。
そこで、光電変換効率向上の一つの方法として、電子受容性有機材料(n型有機半導体)と電子供与性有機材料(p型有機半導体)を混合し、光電変換を生じるpn接合面の面積を増加させたバルクヘテロ接合型(例えば、非特許文献1参照)が提案されている。例えば、電子供与性有機材料(p型有機半導体)として共役系重合体を用い、電子受容性有機材料としてn型の半導体特性をもつ導電性高分子のほかC60などのフラーレンやカーボンナノチューブを用いた光電変換材料が提案されている(例えば、非特許文献2、特許文献1〜2参照)。
しかしながら、上述したバルクヘテロ接合型とすることで発生する短絡光電流は改善することができるが、光電変換効率を決定する要因の一つである開放電圧を向上することは難しい。開放電圧は主に、電子供与性有機材料の最高被占分子軌道(HOMO)準位と電子受容性有機材料の最低非占有分子軌道(LUMO)準位によって決定されることが示唆されている(例えば、非特許文献3)。これによれば、電子供与性有機材料のHOMO準位が真空準位に比して深いほど、開放電圧は向上する。また、HOMO準位が深い材料は大気中の酸素の影響を受けにくくなり、安定性が向上する利点を有する。
「ネイチャー(Nature)」、1995年、376巻、498−500頁 「アプライド フィジクス レターズ(Applied Physics Letters)」、2002年、80巻、112−114頁、 「アドヴァンスト ファンクショナル マテリアルズ(Advanced Functional Materials)」、2001年、11巻、374−380頁 特開2003−347565号公報(請求項1、3) 特開2004−165474号公報(請求項1、3)
本発明は、HOMO準位が真空準位に比して深い電子供与性有機材料により開放電圧の高い光起電力素子を提供することを目的とする。
本発明は、下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物を含む光起電力素子用材料である。
Figure 2009267092
ここでR〜Rは同じでも異なっていてもよく、それぞれ、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、カルバモイル基、アミノ基またはシリル基を示す。R〜Rは隣接する基同士で互いに結合して環を形成してもよい。Aは下記一般式(2)〜(6)のいずれかで表される2価の連結基を表す。mは0〜11の整数である。mが2以上の場合、それぞれのRおよびRは同じでも異なっていてもよい。
Figure 2009267092
ここでRは、アルキレン基、シクロアルキレン基、2価の複素環基、カルボニル基、オキシカルボニル基またはカルボニルオキシ基を示す。Ar〜Arは同じでも異なっていてもよく、それぞれ、アリーレン基または6員環を有するヘテロアリーレン基を示す。X〜Xは同じでも異なっていてもよく、それぞれ、−O−、−S−、−NR−または−SiR−を示す。Y〜Y10は同じでも異なっていてもよく、それぞれ、−CR10=または−N=を示す。なお、R〜R10は上記R〜Rと同様の基を示す。aおよびaは、1または2を示す。b〜bは同じでも異なっていてもよく、1〜4の整数を示す。また、本発明は、上記一般式(1)で表されるチオフェン化合物を含有する光起電力素子である。
本発明によれば、開放電圧の高い光起電力素子を提供することができる。
本発明の光起電力素子用材料は、下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物を含有する。以下、下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物について、詳細に説明する。
Figure 2009267092
ここでR〜Rは、それぞれ、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、カルバモイル基、アミノ基またはシリル基を示し、各R〜Rは同じでも異なってもよい。R〜Rは隣接する基同士で互いに結合して環を形成してもよい。Aは下記一般式(2)〜(6)のいずれかで表される2価の連結基を表す。mは0〜11の整数である。mが2以上の場合、それぞれのRおよびRは同じでも異なっていてもよい。
Figure 2009267092
ここでRは、アルキレン基、シクロアルキレン基、2価の複素環基、カルボニル基、オキシカルボニル基またはカルボニルオキシ基を示す。Ar〜Arは同じでも異なっていてもよく、それぞれ、アリーレン基または6員環を有するヘテロアリーレン基を示す。X〜Xは同じでも異なっていてもよく、それぞれ、−O−、−S−、−NR−または−SiR−を示す。Y〜Y10は同じでも異なっていてもよく、それぞれ、−CR10=または−N=を示す。なお、R〜R10は上記R〜Rと同様の基を示す。aおよびaは、1または2を示す。b〜bは同じでも異なっていてもよく、1〜4の整数を示す。
〜Rのうち、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。置換基を有している場合の追加の置換基には特に制限はなく、例えば、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができる。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常1以上20以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。置換基を有する場合、置換基には特に制限はなく、例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができ、以下の記載にも共通する。シクロアルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常、3以上20以下の範囲である。
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、アミド環などの炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環から導かれる基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。
アルキニル基とは、例えば、エチニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基など、エーテル結合の一方を脂肪族炭化水素基で置換した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、通常、1以上20以下の範囲である。
アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基の脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は特に限定されないが、通常、1以上20以下の範囲である。
アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基など、エーテル結合の一方を芳香族炭化水素基で置換した官能基を示し、この芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、通常、6以上40以下の範囲である。
アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アリールチオエーテル基の芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールチオエーテル基の炭素数は特に限定されないが、通常、6以上40以下の範囲である。
アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、6〜40の範囲である。
ヘテロアリール基とは、例えば、フラニル基、チオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、ピリジル基、キノリニル基など、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する芳香族基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜30の範囲である。
ハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。
カルバモイル基、アミノ基、シリル基は、置換基を有していても有していなくてもよく、置換基は、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられ、これら置換基はさらに置換されてもよい。
アルキルカルボニル基とは、例えば、アセチル基、ヘキサノイル基など、カルボニル結合の一方を脂肪族炭化水素基で置換した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルカルボニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
アリールカルボニル基とは、例えば、ベンゾイル基など、カルボニル結合の一方を芳香族炭化水素基で置換した官能基を示し、この芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールカルボニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、7以上40以下の範囲である。
アルコキシカルボニル基とは、例えば、メトキシカルボニル基など、カルボニル結合の一方をアルコキシ基で置換した官能基を示し、このアルコキシ基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシカルボニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
アリールオキシカルボニル基とは、例えば、フェノキシカルボニル基など、カルボニル結合の一方をアリールオキシ基で置換した官能基を示し、このアリールオキシ基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールオキシカルボニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、7以上40以下の範囲である。
アルキルカルボニルオキシ基とは、例えば、アセトキシ基など、エーテル結合の一方をアルキルカルボニル基で置換した官能基を示し、このアルキルカルボニル基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルカルボニルオキシ基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
アリールカルボニルオキシ基とは、例えば、ベンゾイルオキシ基など、エーテル結合の一方をアリールカルボニル基で置換した官能基を示し、このアリールカルボニル基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールカルボニルオキシ基の炭素数は特に限定されないが、通常、7以上40以下の範囲である。
隣接する基同士で互いに結合して環を形成する場合、前記一般式(1)で説明すると、R〜Rの中から選ばれる任意の隣接2基(例えばRとR)が互いに結合して共役または非共役の縮合環を形成する。縮合環の構成元素として、炭素以外にも窒素、酸素、硫黄、リン、ケイ素原子を含んでいてもよいし、さらに別の環と縮合してもよい。
mは0〜11の整数を示す。また、aおよびaは1または2を示し、b〜bは1〜4の整数を示す。m、a、aおよびb〜bを前記範囲にすることにより、一般式(1)で表されるチオフェン化合物の共役長が抑えられ、HOMO準位が真空準位に比して深くなり、光起電力素子の開放電圧を向上させることができる。また、これにより酸化に対する安定性が向上する。さらに、mが0〜7の整数であることにより、酸化に対する安定性や合成の容易性がより向上するため、好ましい。また、mが2以上の場合、それぞれのR、Rは同じでも異なっていてもよい。
塗布プロセスへの適合性を考慮すると、R〜Rの少なくとも一つが炭素数4以上のアルキル基もしくはアルコキシ基であることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、複数のチオフェン骨格をAで表される2価の基で連結することにより、チオフェン骨格同士の高い配向性を維持したまま、溶媒への溶解性を向上させることができる。これにより、インクジェットなど溶液プロセスを用いて、光起電力素子を作製することが可能になる。さらに、一般式(2)〜(6)のAr〜Arが6員環構造を有することにより、分子の共役系に適度な捻れが生じ、共役の伸張が抑制されるため、HOMO準位が真空準位に比して深くなり、光起電力素子の開放電圧を向上させることができる。また、これにより酸素による酸化的ドーピングに対する安定性が向上する。
のうち、アルキレン基とは、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などの2価の飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキレン基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常1以上12以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
シクロアルキレン基とは、例えば、シクロプロパン、シクロヘキサン、ノルボルネン、アダマンタンなどの飽和脂環式炭化水素から導かれる2価の基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。シクロアルキレン基の炭素数は特に限定されないが、通常、3以上20以下の範囲である。
2価の複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、アミド環などの炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環から導かれる2価の基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
Ar〜Arのうち、アリーレン基とは、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、フェナンスレン、ターフェニル、ピレンなどの芳香族炭化水素から導かれる2価の基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アリーレン基の炭素数は特に限定されないが、通常、6〜30の範囲である。
6員環を有するヘテロアリーレン基とは、例えば、ピリジン、ベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、ベンゾオキサジアゾール、キノキサリンなど、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有し、かつ少なくとも一つの6員環構造を有する芳香族環から導かれる2価の基を示す。このヘテロアリーレン基は置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリーレン基の炭素数は特に限定されないが、通常、4〜30の範囲である。
〜R10の説明は、前記R〜Rの説明と同様である。
さらに、前記一般式(1)におけるAが下記一般式(7)〜(11)のいずれかで表される基であることが好ましい。
Figure 2009267092
ここで、Ar10〜Ar18は同じでも異なっていてもよく、それぞれ、アリーレン基または6員環を有するヘテロアリーレン基を示す。アリーレン基および6員環を有するヘテロアリーレン基の説明は、前述のとおりである。
上記Aで表される2価の連結基として、具体的には以下のような例が挙げられる。
Figure 2009267092
Figure 2009267092
上記のような一般式(1)で表される化合物として、具体的には以下のような例が挙げられる。
Figure 2009267092
Figure 2009267092
Figure 2009267092
Figure 2009267092
Figure 2009267092
Figure 2009267092
Figure 2009267092
Figure 2009267092
Figure 2009267092
Figure 2009267092
一般式(1)で表されるチオフェン化合物の合成には、公知の方法を使用することができる。チオフェン同士を連結する方法としては、例えば、ハロゲン化チオフェンとチオフェンボロン酸またはチオフェンボロン酸エステルをパラジウム触媒下でカップリングする方法、ハロゲン化チオフェンとチオフェングリニヤール試薬をニッケルまたはパラジウム触媒下でカップリングする方法が挙げられる。チオフェン骨格と連結基を連結する方法としては、例えば、ハロゲン化した連結基とチオフェンボロン酸またはチオフェンボロン酸エステルをパラジウム触媒下でカップリングする方法、ジハロメチル化アリール化合物と亜リン酸トリアルキルを反応させたのち、ホルミルチオフェンと縮合反応させる方法が挙げられる。
前記一般式(1)で表されるチオフェン化合物は電子供与性(p型半導体特性)を示すため、電子供与性有機材料として好ましく用いられる。本発明の電子供与性有機材料は、前記チオフェン化合物のみからなるものでもよいし、他の化合物を含んでもよい。他の化合物としては、例えばベンゾチアジアゾール−チオフェン系共重合体、ポリチオフェン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリチエニレンビニレン系重合体などの共役系重合体や、Hフタロシアニン(HPc)、銅フタロシアニン(CuPc)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)等のフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(NPD)等のトリアリールアミン誘導体、4,4’−ジ(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)等のカルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体(ターチオフェン、クウォーターチオフェン、セキシチオフェン、オクチチオフェンなど)等の低分子有機化合物が挙げられる。
本発明の光起電力素子用材料は、さらに電子受容性有機材料(n型有機半導体)を含むことが好ましい。前記電子供与性有機材料と電子受容性有機材料を組み合わせることにより、光起電力素子の光電変換効率をより向上させることができる。
本発明で用いる電子受容性有機材料とは、n型半導体特性を示す有機材料であり、例えば1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(NTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(PTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックビスベンズイミダゾール(PTCBI)、N,N'−ジオクチル−3,4,9,10−ナフチルテトラカルボキシジイミド(PTCDI−C8H)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、2,5−ジ(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)等のオキサゾール誘導体、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)等のトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、フラーレン化合物(C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94を始めとする無置換のものと、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル([6,6]−PCBM)、[5,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル([5,6]−PCBM)、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドヘキシルエステル([6,6]−PCBH)、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドドデシルエステル([6,6]−PCBD)、フェニル C71 ブチリックアシッドメチルエステル(PC70BM)、フェニル C85 ブチリックアシッドメチルエステル(PC84BM)など)、カーボンナノチューブ(CNT)、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体にシアノ基を導入した誘導体(CN−PPV)などが挙げられる。中でも、フラーレン化合物は電荷分離速度と電子移動速度が速いため、好ましく用いられる。フラーレン化合物の中でも、C70誘導体(上記PC70BMなど)は光吸収特性に優れ、より高い光電変換効率を得られるため、より好ましい。
本発明の光起電力素子用材料において、本発明の電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の含有比率(重量分率)は特に限定されないが、電子供与性有機材料:電子受容性有機材料の重量分率が、1〜99:99〜1の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜90:90〜10の範囲であり、さらに好ましくは20〜60:80〜40の範囲である。本発明の電子供与性有機材料と電子受容性有機材料は混合して用いることが好ましい。混合方法としては特に限定されるものではないが、所望の比率で溶媒に添加した後、加熱、攪拌、超音波照射などの方法を1種または複数種組み合わせて溶媒中に溶解させる方法が挙げられる。なお、後述するように、光起電力素子用材料が一層の有機半導体層を形成する場合は、上述の含有比率はその一層に含まれる本発明の電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の含有比率となり、有機半導体層が二層以上の積層構造である場合は、有機半導体層全体における本発明の電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の含有比率を意味する。
光電変換効率をより向上させるためには、キャリアのトラップとなるような不純物は極力除去することが好ましい。本発明では、前述のチオフェン化合物やこれを含む電子供与性有機材料、および電子受容性有機材料の不純物を除去する方法は特に限定されないが、カラムクロマトグラフィー法、再結晶法、昇華法、再沈殿法、ソクスレー抽出法、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による分子量分画法、濾過法、イオン交換法、キレート法等を用いることができる。一般的に低分子有機材料の精製にはカラムクロマトグラフィー法、再結晶法、昇華法が好ましく用いられる。他方、高分子量体の精製には、低分子量成分を除去する場合には再沈殿法やソクスレー抽出法、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による分子量分画法が好ましく用いられ、金属成分を除去する場合には再沈殿法やキレート法、イオン交換法が好ましく用いられる。これらの方法のうち、複数を組み合わせてもよい。
次に、本発明の光起電力素子について説明する。本発明の光起電力素子は、少なくとも正極と負極を有し、これらの間に本発明の光起電力素子用材料を含む。図1は本発明の光起電力素子の一例を示す模式図である。図1において符号1は基板、符号2は正極、符号3は本発明の光起電力素子用材料を含む有機半導体層、符号4は負極である。
有機半導体層3は本発明の光起電力素子用材料を含む。すなわち、本発明の電子供与性有機材料および電子受容性有機材料を含む。これらの材料は混合されていても積層されていてもよい。混合されている場合は、本発明の電子供与性有機材料と電子受容性有機材料は分子レベルで相溶しているか、相分離している。この相分離構造のドメインサイズは特に限定されるものではないが通常1nm以上50nm以下のサイズである。積層されている場合は、p型半導体特性を示す電子供与性有機材料を有する層が正極側、n型半導体特性を示す電子受容性有機材料を有する層が負極側であることが好ましい。有機半導体層3が積層されている場合の光起電力素子の一例を図2に示す。符号5は一般式(1)で表されるチオフェン化合物を有する層、符号6は電子受容性有機材料を有する層である。有機半導体層は5nm〜500nmの厚さが好ましく、より好ましくは30nm〜300nmである。積層されている場合は、本発明の電子供与性有機材料を有する層は上記厚さのうち1nm〜400nmの厚さを有していることが好ましく、より好ましくは15nm〜150nmである。
また、有機半導体層3には本発明のチオフェン化合物、および電子受容性有機材料以外の電子供与性有機材料(p型有機半導体)を含んでいてもよい。ここで用いる電子供与性有機材料(p型有機半導体)としては、先に電子供与性有機材料の他の化合物として例示したものが挙げられる。さらに、本発明の目的を阻害しない範囲において、有機半導体層3には界面活性剤やバインダー樹脂、フィラー等の他の成分を含んでいてもよい。
本発明の光起電力素子においては、正極2もしくは負極4のいずれかに光透過性を有することが好ましい。電極の光透過性は、有機半導体層3に入射光が到達して起電力が発生する程度であれば、特に限定されるものではない。ここで、本発明における光透過性は、[透過光強度(W/m)/入射光強度(W/m)]×100(%)で求められる値である。電極の厚さは光透過性と導電性とを有する範囲であればよく、電極素材によって異なるが20nmから300nmが好ましい。なお、もう一方の電極は導電性があれば必ずしも光透過性は必要ではなく、厚さも特に限定されない。
電極材料としては、一方の電極には仕事関数の大きな導電性素材、もう一方の電極には仕事関数の小さな導電性素材を使用することが好ましい。仕事関数の大きな導電性素材を用いた電極は正極となる。仕事関数の大きな導電性素材としては金、白金、クロム、ニッケルなどの金属のほか、透明性を有するインジウム、スズなどの金属酸化物、複合金属酸化物(インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)など)が好ましく用いられる。ここで、正極2に用いられる導電性素材は、有機半導体層3とオーミック接合するものであることが好ましい。さらに、後述する正孔輸送層を用いた場合においては、正極2に用いられる導電性素材は正孔輸送層とオーミック接合するものであることが好ましい。
仕事関数の小さな導電性素材を用いた電極は負極となる。仕事関数の小さな導電性素材としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属、具体的にはリチウム、マグネシウム、カルシウムが使用される。また、錫や銀、アルミニウムも好ましく用いられる。さらに、上記の金属からなる合金や上記の金属の積層体からなる電極も好ましく用いられる。また、負極4と電子輸送層の界面にフッ化リチウムやフッ化セシウムなどの金属フッ化物を導入することで、取り出し電流を向上させることも可能である。ここで、負極4に用いられる導電性素材は、有機半導体層3とオーミック接合するものであることが好ましい。さらに、後述する電子輸送層を用いた場合においては、負極4に用いられる導電性素材は電子輸送層とオーミック接合するものであることが好ましい。
基板1は、光電変換材料の種類や用途に応じて、電極材料や有機半導体層が積層できる基板、例えば、無アルカリガラス、石英ガラス等の無機材料、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン、エポキシ樹脂やフッ素系樹脂等の有機材料から任意の方法によって作製されたフィルムや板が使用可能である。また基板側から光を入射して用いる場合は、上記に示した各基板に80%程度の光透過性を持たせておくことが好ましい。
本発明では、正極2と有機半導体層3の間に正孔輸送層を設けてもよい。正孔輸送層を形成する材料としては、ポリチオフェン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体などの導電性高分子や、フタロシアニン誘導体(HPc、CuPc、ZnPcなど)、ポルフィリン誘導体などのp型半導体特性を示す低分子有機化合物が好ましく用いられる。特に、ポリチオフェン系重合体であるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)やPEDOTにポリスチレンスルホネート(PSS)が添加されたものが好ましく用いられる。正孔輸送層は5nm〜600nmの厚さが好ましく、より好ましくは30nm〜200nmである。
また本発明の光起電力素子は、有機半導体層3と負極4の間に電子輸送層を設けてもよい。電子輸送層を形成する材料として、特に限定されるものではないが、上述の電子受容性有機材料(NTCDA、PTCDA、PTCDI−C8H、オキサゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、フラーレン化合物、CNT、CN−PPVなど)のようにn型半導体特性を示す有機材料が好ましく用いられる。電子輸送層は5nm〜600nmの厚さが好ましく、より好ましくは30nm〜200nmである。
また本発明の光起電力素子は、1つ以上の電荷再結合層を介して2層以上の有機半導体層を積層(タンデム化)して直列接合を形成してもよい。例えば、基板/正極/第1の有機半導体層/電荷再結合層/第2の有機半導体層/負極という積層構成を挙げることができる。このように積層することにより、開放電圧を向上させることができる。なお、正極と第1の有機半導体層の間、および、電荷再結合層と第2の有機半導体層の間に上述の正孔輸送層を設けてもよく、第1の有機半導体層と電荷再結合層の間、および、第2の有機半導体層と負極の間に上述の正孔輸送層を設けてもよい。
このような積層構成の場合、有機半導体層の少なくとも1層が本発明の光起電力素子用材料を含み、他の層には、短絡電流を低下させないために、本発明の電子供与性有機材料とはバンドギャップの異なる電子供与性有機材料を含むことが好ましい。このような電子供与性有機材料としては、例えば上述のベンゾチアジアゾール−チオフェン系共重合体、ポリチオフェン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリチエニレンビニレン系重合体などの共役系重合体や、Hフタロシアニン(HPc)、銅フタロシアニン(CuPc)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)等のフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(NPD)等のトリアリールアミン誘導体、4,4’−ジ(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)等のカルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体(ターチオフェン、クウォーターチオフェン、セキシチオフェン、オクチチオフェンなど)等の低分子有機化合物が挙げられる。また、ここで用いられる電荷再結合層は、複数の有機半導体層が光吸収できるようにするため、光透過性を有することが好ましい。また、電荷再結合層は、十分に正孔と電子が再結合するように設計されていればよいので、必ずしも膜である必要はなく、例えば活性層上に一様に形成された金属クラスターであってもかまわない。従って、電荷再結合層には、上述の金、白金、クロム、ニッケル、リチウム、マグネシウム、カルシウム、錫、銀、アルミニウムなどからなる数nm以下程度の光透過性を有する非常に薄い金属膜や金属クラスター(合金を含む)、ITO、IZO、AZO、GZO、FTO、酸化チタンや酸化モリブデンなどの光透過性の高い金属酸化物膜およびクラスター、PSSが添加されたPEDOTなどの導電性有機材料膜、またはこれらの複合体等が用いられる。例えば、銀を、真空蒸着法を用いて水晶振動子膜厚モニター上で数nm以下となるように蒸着すれば、一様な銀クラスターが形成できる。その他にも、酸化チタン膜を形成するならば、アドヴァンスト マテリアルズ(Advanced Materials)、2006年、18巻、572−576頁に記載のゾルゲル法を用いればよい。ITO、IZOなどの複合金属酸化物であるならば、スパッタリング法を用いて製膜すればよい。これら電荷再結合層形成法や種類は、共有電極形成時の活性層への非破壊性や、次に積層される活性層の形成法等を考慮して適当に選択すればよい。
次に本発明の光起電力素子の製造方法について説明する。基板上にITOなどの透明電極(この場合正極に相当)をスパッタリング法などにより形成する。次に、本発明のチオフェン化合物、および電子受容性有機材料を含む光電変換素子用材料を溶媒に溶解させて溶液を作り、透明電極上に塗布し有機半導体層を形成する。このとき用いられる溶媒は有機溶媒が好ましく、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、トルエン、キシレン、o−クロロフェノール、アセトン、酢酸エチル、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。また、フルオラス溶媒(分子中にフッ素原子を1個以上有する有機溶媒)を含有することで光電変換効率をより向上させることができる。このようなフルオラス溶媒として、例えばベンゾトリフルオリド、ヘキサフルオロベンゼン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ペルフルオロトルエン、ペルフルオロデカリンなどが挙げられる。より好ましくはベンゾトリフルオリドが用いられる。フルオラス溶媒の含有量は全溶媒量に対して0.01〜20体積%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5体積%である。
本発明の電子供与性有機材料および電子受容性有機材料を混合して有機半導体層を形成する場合は、本発明の電子供与性有機材料と電子受容性有機材料を所望の比率で溶媒に添加し、加熱、攪拌、超音波照射などの方法を用いて溶解させ溶液を作り、透明電極上に塗布する。また、本発明の電子供与性有機材料および電子受容性有機材料を積層して有機半導体層を形成する場合は、例えば本発明電子供与性有機材料の溶液を塗布して電子供与性有機材料を有する層を形成した後に、電子受容性有機材料の溶液を塗布して層を形成する。ここで、本発明の電子供与性有機材料および電子受容性有機材料は、分子量が1000以下程度の低分子量体である場合には、蒸着法を用いて層を形成することも可能である。
有機半導体層の形成には、スピンコート塗布、ブレードコート塗布、スリットダイコート塗布、スクリーン印刷塗布、バーコーター塗布、鋳型塗布、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法、スプレー法、真空蒸着法など何れの方法を用いてもよく、膜厚制御や配向制御など、得ようとする有機半導体層特性に応じて形成方法を選択すればよい。例えばスピンコート塗布を行う場合には、本発明の電子供与性有機材料、および電子受容性有機材料が1〜20g/lの濃度(本発明の電子供与性有機材料と電子受容性有機材料と溶媒を含む溶液の体積に対する、本発明の電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の重量)であることが好ましく、この濃度にすることで厚さ5〜200nmの均質な有機半導体層を得ることができる。形成した有機半導体層に対して、溶媒を除去するために、減圧下または不活性雰囲気下(窒素やアルゴン雰囲気下)などでアニーリング処理を行ってもよい。アニーリング処理の好ましい温度は40℃〜300℃、より好ましくは50℃〜200℃である。また、アニーリング処理を行うことで、積層した層が界面で互いに浸透して接触する実行面積が増加し、短絡電流を増大させることができる。このアニーリング処理は、負極の形成後に行ってもよい。
次に、有機半導体層上にAlなどの金属電極(この場合負極に相当)を真空蒸着法やスパッタ法により形成する。金属電極は、電子輸送層に低分子有機材料を用いて真空蒸着した場合は、引き続き、真空を保持したまま続けて形成することが好ましい。
正極と有機半導体層の間に正孔輸送層を設ける場合には、所望のp型有機半導体材料(PEDOTなど)を正極上にスピンコート法、バーコーティング法、ブレードによるキャスト法等で塗布した後、真空恒温槽やホットプレートなどを用いて溶媒を除去し、正孔輸送層を形成する方法が一般的に用いられる。フタロシアニン誘導体やポルフィリン誘導体などの低分子有機材料を使用する場合には、真空蒸着機を用いた真空蒸着法を適用することも可能である。
有機半導体層と負極の間に電子輸送層を設ける場合には、所望のn型有機半導体材料(フラーレン誘導体など)を有機半導体層上にスピンコート法、バーコーティング法、ブレードによるキャスト法、スプレー法等で塗布した後、真空恒温槽やホットプレートなどを用いて溶媒を除去し、電子輸送層を形成する方法が一般的に用いられる。フェナントロリン誘導体やC60などの低分子有機材料を使用する場合には、真空蒸着機を用いた真空蒸着法を適用することも可能である。
本発明の光起電力素子は、光電変換機能、光整流機能などを利用した種々の光電変換デバイスへの応用が可能である。例えば光電池(太陽電池など)、電子素子(光センサ、光スイッチ、フォトトランジスタなど)、光記録材(光メモリなど)などに有用である。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。また実施例等で用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて、以下に示す。
ITO:インジウム錫酸化物
PEDOT:ポリエチレンジオキシチオフェン
PSS:ポリスチレンスルホネート
P3HT:ポリ−3−ヘキシルチオフェン
PC70BM:フェニル C71 ブチリックアシッドメチルエステル
Eg:バンドギャップ
HOMO:最高被占分子軌道
Voc:開放電圧
A−1:化学式(18)で表される化合物。




A−2:化学式(19)で表される化合物。
A−3:化学式(20)で表される化合物。
A−4:化学式(21)で表される化合物。




A−5:化学式(22)で表される化合物。
Figure 2009267092
A−1〜6およびP3HTの最高被占分子軌道(HOMO)準位の測定を行った。測定は、ITOガラス上に約60nmの厚さに形成した薄膜について、表面分析装置(大気中紫外線光電子分光装置AC−1型、理研機器(株)製)を用いて行った。なお、薄膜はクロロホルムを溶媒に用いてスピンコート法により形成した。A−1〜6およびP3HTのHOMO準位を表1にまとめた。
Figure 2009267092
A−1〜6のいずれのHOMO準位もP3HTのHOMO準位に比して深い値を示した。
実施例1
クロロベンゼン溶媒0.15mLをA−1(0.6mg)、[70]PCBM(ソレーヌ社製、2.4mg)の入ったサンプル瓶の中に加え、超音波洗浄機(株)製US−2、出力120W)中で30分間超音波照射することにより溶液Aを得た。
スパッタリング法により正極となるITO透明導電層を125nm堆積させたガラス基板を38mm×46mmに切断した後、ITOをフォトリソグラフィー法により38mm×13mmの長方形状にパターニングした。得られた基板の光透過率は400nm〜900nmの波長範囲において85%以上であった。この基板をアルカリ洗浄液(フルウチ化学(株)製、“セミコクリーン”EL56)で10分間超音波洗浄した後、超純水で洗浄した。この基板を30分間UV/オゾン処理した後に、基板上に正孔輸送層となるPEDOT:PSS水溶液(PEDOT0.8重量%、PSS0.5重量%)をスピンコート法により60nmの厚さに成膜した。ホットプレートにより200℃で5分間加熱乾燥した後、上記の溶液AをPEDOT:PSS層上に滴下し、スピンコート法により膜厚100nmの活性層Aを形成した。
次に、活性層A上に真空蒸着法でLiF(0.5nm)を蒸着し、続いて、スパッタリング法によってITOを125nm堆積させて共有電極を形成した。その後、ITO共有電極の上に正孔輸送層となるPEDOT:PSS水溶液をスピンコート法により60nmの厚さに成膜し、110℃で30分熱処理した。さらに、その上に上記溶液Bを滴下し、スピンコート法により膜厚100nmの活性層Bを形成した。
その後、活性層B上に真空蒸着法でLiF(0.5nm)を蒸着し、続いて、負極となるアルミニウム層を80nmの厚さに蒸着し、光起電力素子を作製した。
このようにして作製された光起電力素子の上下の電極をヒューレット・パッカード社製ピコアンメーター/ボルテージソース4140Bに接続して、大気下でITO層側から白色光(AM1.5,100mW/cm)を照射し、印加電圧を−1Vから+2Vまで変化させたときの電流値を測定した。この時の開放電圧は0.91Vであった。
実施例2
A−1の代わりに上記A−2を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。この時の開放電圧は0.91Vであった。
実施例3
A−1の代わりに上記A−3を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。この時の開放電圧は0.92Vであった。
実施例4
A−1の代わりに上記A−4を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。この時の開放電圧は0.92Vであった。
実施例5
A−1の代わりに上記A−5を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。この時の開放電圧は0.92Vであった。
比較例1
A−1の代わりにP3HTを用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。この時の開放電圧は0.86Vであった。
上記実施例1〜5、および比較例1の結果を表2にまとめて示す。
Figure 2009267092
本発明の光起電力素子の一態様を示す模式図。 本発明の光起電力素子の別の態様を示す模式図。
符号の説明
1 基板
2 正極
3 有機半導体層
4 負極
5 一般式(1)で表されるチオフェン化合物を有する層
6 電子受容性有機材料を有する層

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物を含む光起電力素子用材料。
    Figure 2009267092
    (ここでR〜Rは同じでも異なっていてもよく、それぞれ、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、カルバモイル基、アミノ基またはシリル基を示す。R〜Rは隣接する基同士で互いに結合して環を形成してもよい。Aは下記一般式(2)〜(6)のいずれかで表される2価の連結基を表す。mは0〜11の整数である。mが2以上の場合、それぞれのRおよびRは同じでも異なっていてもよい。)
    Figure 2009267092
    (ここでRは、アルキレン基、シクロアルキレン基、2価の複素環基、カルボニル基、オキシカルボニル基またはカルボニルオキシ基を示す。Ar〜Arは同じでも異なっていてもよく、それぞれ、アリーレン基または6員環を有するヘテロアリーレン基を示す。X〜Xは同じでも異なっていてもよく、それぞれ、−O−、−S−、−NR−または−SiR−を示す。Y〜Y10は同じでも異なっていてもよく、それぞれ、−CR10=または−N=を示す。なお、R〜R10は上記R〜Rと同様の基を示す。aおよびaは、1または2を示す。b〜bは同じでも異なっていてもよく、1〜4の整数を示す。)
  2. 前記一般式(1)におけるAが下記一般式(7)〜(11)のいずれかで表される請求項1記載の光起電力素子用材料。
    Figure 2009267092
    (ここでAr10〜Ar18は同じでも異なっていてもよく、それぞれ、アリーレン基または6員環を有するヘテロアリーレン基を示す。)
  3. 前記一般式(1)で表されるチオフェン化合物が電子供与性有機材料である請求項1または2記載の光起電力素子用材料。
  4. さらに電子受容性有機材料を含む請求項3記載の光起電力素子用材料。
  5. 前記電子受容性有機材料がフラーレン化合物である請求項4記載の光起電力素子用材料。
  6. 少なくとも正極と負極を有する光起電力素子であって、負極と正極の間に請求項1〜5のいずれかに記載の光起電力素子用材料を含む光起電力素子。
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