JP2009252192A - 温度調節器、温度制御方法および熱処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】傾斜温度制御において、加熱冷却特性に応じた加熱冷却制御を可能にする。
【解決手段】平均温度を制御するための操作量および傾斜温度を制御するための各PID制御部4−1,4−2からの操作量を、各制御点に対応する操作量として前置補償器5で配分し、この操作量を、操作量変換部6−1,6−2で加熱側の操作量および冷却側の操作量に変換するとともに、冷却係数を用いて冷却側の操作量に変換している。
【選択図】図1
【解決手段】平均温度を制御するための操作量および傾斜温度を制御するための各PID制御部4−1,4−2からの操作量を、各制御点に対応する操作量として前置補償器5で配分し、この操作量を、操作量変換部6−1,6−2で加熱側の操作量および冷却側の操作量に変換するとともに、冷却係数を用いて冷却側の操作量に変換している。
【選択図】図1
Description
本発明は、加熱冷却制御を行う温度調節器、温度制御方法およびそれを用いた熱処理装置に関する。
一般に、押出し成形機などの発熱を伴う制御対象や常温付近で温度制御される環境試験機などの制御対象に対しては、加熱制御だけでは、充分に温度制御を行うことができないので、加熱および冷却の両方の制御を行う必要がある。
例えば、スクリューの回転で発熱する押出し成形機では、ヒータの通電を制御して加熱制御する一方、水冷のためのバルブの開閉を制御して冷却制御を行うことにより、シリンダの温度が設定温度になるようにしている。
かかる加熱冷却制御を行なう温度調節器の制御パラメータであるPID定数を求めるオートチューニングでは、加熱側のPID定数は得られるものの、冷却側のPID定数を求める最適な手法がなく、手動によって試行錯誤的に調整しなければならなかった。
このため、加熱側および冷却側のオートチューニングが可能な調節計も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、本件出願人は、複数チャンネル間の干渉を低減する温度制御方法として、複数の制御点に対応する複数の検出温度を、例えば、複数の検出温度の平均温度と、複数の検出温度に基づく温度差(傾斜温度)とに変換し、平均温度と傾斜温度とを制御量として温度制御する手法(以下「傾斜温度制御」ともいう)を既に提案している(例えば、特許文献2参照)。
図9は、上記傾斜温度制御を、2チャンネルの温度制御に適用した場合の構成図である。
制御対象2の2つの制御点の検出温度を、モード変換器3によって、両検出温度の平均値である平均温度および両検出温度の温度差である傾斜温度に変換し、平均温度と目標平均温度との偏差または傾斜温度と目標傾斜温度との偏差を、各PID制御部4−1,4−2にそれぞれ入力する。
各PID制御部4−1,4−2は、平均温度の偏差または傾斜温度の偏差をなくすように操作量を演算出力し、前置補償器5では、傾斜温度の操作量の変化に対して傾斜温度だけが反応し、平均温度への反応は小さくなるように、また逆に、平均温度の操作量の変化に対して傾斜温度への反応が小さくなるように操作量を配分して制御出力とし、この制御出力によって制御対象2の温度を制御する。
傾斜温度制御が提案される以前の従来の温度制御では、制御対象の2点の各点を個別に制御するために、一方の点の制御が他方の点の制御に影響を与えて高精度の制御が困難であったのに対して、この傾斜温度制御では、2点の平均温度と2点の温度差である傾斜温度とを制御量として制御することにより、高精度な制御を可能とするものである。
特許第2802460号
特許第3278807号公報
上記特許文献1によれば、加熱側および冷却側のオートチューニングによって、加熱側のPID定数および冷却側のPID定数を求めることができ、かかるPID定数を用いて加熱側の操作量および冷却側の操作量をPID制御部で算出すればよい。
しかしながら、上記特許文献2に示されるような傾斜温度制御では、上述の図9に示されるように、前置補償器5の出力は、各チャンネルに対応したものとなっているが、その前段のPID制御部4−1,4−2の出力は、各チャンネルに対応したものではなく、平均温度および傾斜温度にそれぞれ対応する出力となっている。
このため、各PID制御部4−1,4−2の出力では、加熱、冷却を区別することはできず、上記特許文献1のように、PID制御部のPID定数を、加熱側のPID定数および冷却側のPID定数にするといったことはできない。
すなわち、傾斜温度の加熱冷却制御では、PID制御部のPID定数を加熱側と冷却側とで切換えて制御するといったことは不可能であり、PID定数を切換えることなく、制御対象の加熱冷却特性とに応じた適切な加熱冷却制御方法が望まれる。
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、傾斜温度制御において、加熱冷却特性に応じた加熱冷却制御を可能にすることを目的とする。
(1)本発明の温度調節器は、制御対象の複数の制御点の温度に基づく傾斜温度および代表的な代表温度を制御量として加熱冷却制御を行う温度調節器であって、前記代表温度の偏差に基づいて、操作量を算出する代表温度用の制御部と、前記傾斜温度の偏差に基づいて、操作量を算出する傾斜温度用の制御部と、各制御部の操作量を、各制御点に対応する操作量として配分する配分部と、配分部からの各制御点に対応する操作量を、加熱側の操作量および冷却側の操作量に変換する変換部とを備え、前記変換部は、各制御点に対応する操作量を、冷却係数を用いて冷却側の操作量に変換するものである。
傾斜温度とは、温度勾配、すなわち、温度差をいい、例えば、二つの温度の温度差などをいう。
代表温度とは、温度状態を代表的に示す温度をいい、例えば、平均温度あるいは制御対象の或る位置(例えば、中央位置)における温度などをいう。平均温度は、重み付けをした平均温度であってもよい。
冷却係数とは、制御対象の冷却特性に応じた操作量に変換するための係数である。
各制御部の制御パラメータは、従来と同様に、加熱側のオートチューニングによって求めるのが好ましい。
各制御部は、少なくとも比例制御を行なうものであり、好ましくは、PID制御を行うものである。
本発明の温度調節器によると、代表温度を制御するための操作量および傾斜温度を制御するための操作量を、各制御点に対応する操作量として配分し、この操作量を、加熱側の操作量および冷却側の操作量に変換するとともに、冷却係数を用いて冷却側の操作量に変換しているので、各制御部の制御パラメータを、従来と同様に加熱側のオートチューニングによって求めた場合には、配分された操作量は、制御対象の加熱特性に対応した操作量となっており、この操作量を、操作量変換部で冷却係数を用いて制御対象の冷却特性に対応した操作量に変換することができ、これによって、代表温度および傾斜温度を制御量とする傾斜温度制御において、加熱冷却特性に応じた加熱冷却制御を行うことが可能となる。
(2)本発明の温度調節器の一つの実施形態では、前記傾斜温度が、複数の制御点の温度の温度差であり、前記代表温度が、複数の制御点の温度の平均温度である。
この実施形態によると、平均温度と傾斜温度とを制御量とする傾斜温度制御において、加熱冷却特性に応じた加熱冷却制御を行うことが可能となる。
(3)本発明の温度調節器の他の実施形態では、加熱側の操作量を前記複数の制御点に対応させて印加したときの応答波形と、冷却側の操作量を前記複数の制御点に対応させて印加したときの応答波形とに基づいて、前記冷却係数を算出する算出部を備えている。
応答波形を求めるための操作量は、各制御点に対応するチャンネル毎に、順番に印加するのが好ましく、ステップ状であるのが好ましい。
加熱側の応答波形に基づいて、各制御部のPID定数などの制御パラメータを求めるのが好ましい。
冷却係数は、加熱側の応答波形の最大傾きと冷却側の応答波形の最大傾きとの比として求めるのが好ましい。
この実施形態によると、加熱側の応答波形と冷却側の応答波形とに基づいて、冷却係数を算出するので、この冷却係数は、加熱特性と冷却特性との相違に対応したものとなる。したがって、制御部の制御パラメータを加熱側のオートチューニングによって求めた場合に、制御部で算出される加熱特性に対応した操作量を、冷却係数を用いて冷却特性に対応した操作量に変換することができる。
(4)上記(3)の実施形態では、前記応答波形を求めるために印加する前記冷却側の操作量を50%以下の操作量としてもよい。
冷却側の操作量は、50%以下であれば、特に制限はなく、例えば、40%、30%、20%などであってもよい。
冷却は、水冷、あるいは、油冷であるのが好ましい。
この実施形態によると、冷却側の操作量を、50%以下に制限しているので、水冷のような非線形特性を示す冷却方式の場合に、100%の冷却側の操作量を印加して冷却係数を求める場合に比べて、より正確に制御対象の特性を同定して、適切な冷却係数を求めることが可能となる。
(5)上記(4)の実施形態では、前記冷却側の操作量を、前記制御対象を冷却する水冷の冷却手段に対する操作量としてもよい。
100%の冷却側の操作量を印加して冷却側の応答波形を計測する場合には、水冷の非線形特性のために、適切な冷却係数を求めるのが困難であるのに対して、この実施形態によると、冷却側の操作量の上限を、50%以下に制限しているので、より適切な冷却係数を求めることが可能となる。
(6)本発明の温度制御方法は、制御対象の複数の制御点の温度に基づく傾斜温度および代表的な代表温度を制御量として加熱冷却制御を行う温度制御方法であって、前記代表温度の偏差に基づいて、代表温度用の操作量を算出するとともに、前記傾斜温度の偏差に基づいて、傾斜温度用の操作量を算出するステップと、前記代表温度用および前記傾斜温度用の各操作量を、各制御点に対応する操作量として配分するステップと、配分される各制御点に対応する操作量を、加熱側の操作量および冷却側の操作量に変換するステップとを備え、前記変換するステップでは、各制御点に対応する操作量を、冷却係数を用いて冷却側の操作量に変換するものである。
本発明の温度制御方法によると、代表温度を制御するための操作量および傾斜温度を制御するための操作量を、各制御点に対応する操作量として配分し、この操作量を、加熱側の操作量および冷却側の操作量に変換するとともに、冷却係数を用いて冷却側の操作量に変換しているので、各制御部の制御パラメータを、従来と同様に加熱側のオートチューニングによって求めた場合には、配分された操作量は、制御対象の加熱特性に対応した操作量となっており、この操作量を、操作量変換部で冷却係数を用いて制御対象の冷却特性に対応した操作量に変換することができ、これによって、代表温度および傾斜温度を制御量とする傾斜温度制御において、加熱冷却特性に応じた加熱冷却制御を行うことが可能となる。
(7)本発明の温度制御方法の一つの実施形態では、前記傾斜温度が、複数の制御点の温度の温度差であり、前記代表温度が、複数の制御点の温度の平均温度である。
この実施形態によると、平均温度と傾斜温度とを制御量とする傾斜温度制御において、加熱冷却特性に応じた加熱冷却制御を行うことが可能となる。
(8)本発明の温度制御方法の他の実施形態では、加熱側の操作量を前記複数の制御点に対応させて印加したときの応答波形と、冷却側の操作量を前記複数の制御点に対応させて印加したときの応答波形とに基づいて、前記冷却係数を算出するステップを備えている。
この実施形態によると、加熱側の応答波形と冷却側の応答波形とに基づいて、冷却係数を算出するので、この冷却係数は、加熱特性と冷却特性との相違に対応したものとなる。したがって、制御部の制御パラメータを加熱側のオートチューニングによって求めた場合に、制御部で算出される加熱特性に対応した操作量を、冷却係数を用いて冷却特性に対応した操作量に変換することができる。
(9)上記(8)の実施形態では、前記応答波形を求めるために印加する前記冷却側の操作量を50%以下の操作量としてもよい。
この実施形態によると、冷却側の操作量を、50%以下に制限しているので、水冷のような非線形特性を示す冷却方式の場合に、100%の冷却側の操作量を印加して冷却係数を求める場合に比べて、より正確に制御対象の特性を同定して、適切な冷却係数を求めることが可能となる。
(10)上記(9)の実施形態では、前記冷却側の操作量を、前記制御対象を冷却する水冷の冷却手段に対する操作量としてもよい。
100%の冷却側の操作量を印加して冷却側の応答波形を計測する場合には、水冷の非線形特性のために、適切な冷却係数を求めるのが困難であるのに対して、この実施形態によると、冷却側の操作量の上限を、50%以下に制限しているので、より適切な冷却係数を求めることが可能となる。
(11)本発明の熱処理装置は、本発明に係る温度調節器と、制御対象としての熱処理手段と、前記熱処理手段を加熱する加熱手段と、前記熱処理手段を冷却する冷却手段とを備えている。
本発明の熱処理装置によると、代表温度および傾斜温度を制御量とする傾斜温度制御において、例えば、熱処理手段としての成形機におけるヒータなどによる加熱および水冷ジャケットなどによる冷却を制御する加熱冷却制御を行うことが可能となる。
本発明によれば、代表温度を制御するための操作量および傾斜温度を制御するための操作量を、各制御点に対応する操作量として配分し、この操作量を、加熱側の操作量および冷却側の操作量に変換するとともに、冷却係数を用いて冷却側の操作量を変換しているので、代表温度および傾斜温度を制御量とする傾斜温度制御において、加熱冷却特性に応じた加熱冷却制御を行うことが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る温度調節器1を備える温度制御システムのブロック図である。
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る温度調節器1を備える温度制御システムのブロック図である。
この実施の形態の温度調節器1は、例えば、押出し成形機などの制御対象2の加熱冷却の2チャンネルの傾斜温度制御を行うものであり、制御対象2の2つの制御点の検出温度を、モード変換器3によって、両検出温度の平均値である平均温度および両検出温度の温度差である傾斜温度に変換し、平均温度と目標平均温度との偏差または傾斜温度と目標傾斜温度との偏差を、各PID制御部4−1,4−2にそれぞれ入力する。
各PID制御部4−1,4−2は、平均温度の偏差または傾斜温度の偏差をなくすように操作量をそれぞれ演算出力し、配分部としての前置補償器5では、傾斜温度の操作量の変化に対して傾斜温度だけが反応し、平均温度への反応は小さくなるように、また逆に、平均温度の操作量の変化に対して傾斜温度への反応が小さくなるように操作量を配分して各制御点の制御出力としており、以上の構成は、基本的に従来の傾斜温度制御の構成と同様である。
この実施形態では、傾斜温度制御において、加熱冷却特性に応じた加熱冷却を行うために、前置補償器5の後段に、各制御点に対応する操作量、すなわち、各チャンネルに対応する操作量を、加熱操作量と冷却操作量とにそれぞれ変換する操作量変換部6−1,6−2を設けている。
各操作量変換部6−1,6−2は、前置補償器5からの操作量MVが、正のときには、加熱操作量MVhとして対応するチャンネルのヒータ等の加熱装置7に出力し、負のときには、後述の冷却係数を乗じて冷却操作量MVcとして対応するチャンネルの冷却ジャケット等の水冷の冷却装置8への冷却配管のバルブ等に出力する。
上述のモード変換器3、PID制御部4−1,4−2、前置補償器5および操作量変換部6−1,6−2等は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。
図2は、操作量変換部6−1,6−2の変換特性を示す図であり、縦軸は前置補償器5からの操作量を、横軸は変換後の操作量をそれぞれ示している。
この図2に示すように、操作量変換部6−1,6−2では、前置補償器5からの操作量が、正(0〜100%)であるときには、そのままの操作量を加熱側の操作量(0〜100%)として出力する一方、前置補償器5からの操作量が、負(−100%〜0)であるときには、冷却係数を乗じた値を冷却側の操作量(−100×冷却係数〜0)として出力するものである。
各PID制御部4−1,4−2のPID定数および前置補償器5によって各PID制御部4−1,4−2からの操作量を、各チャンネルにどのように配分するかの配分比の決定は、従来と同様の傾斜温度制御のオートチューニングによって行われる。
この傾斜温度制御のオートチューニングは、例えば、特開200−265447号公報等に記載されているように、チャンネル毎に、ステップ状の加熱側の100%の操作量MV1,MV2を、図3(a),(b)に示すように順番に印加し、図3(c),(d)に示される各チャンネルのステップ応答波形PV1,PV2を計測し、各チャンネルのむだ時間および最大傾きを計測するとともに、温度上昇値ΔPVを計測する。
このステップ状の操作量の入力に対応する各チャンネルの温度変化ΔPVに基づいて、各チャンネルの干渉の度合いを計測し、この干渉の度合いに基づいて、上述の前置補償器5における操作量の配分比を決定する。
具体的には、上記公報にも開示されているように、各チャンネルのステップ応答波形の温度変化ΔPVを計測して得られる制御対象の干渉の度合いを示す行列をGp、上述のモード変換器3において、各チャンネルの検出温度を、平均温度および傾斜温度に変換するためのモード変換行列をGmとすると、前置補償器5の配分比を示す行列Gcは、
Gc=(Gm・Gp)-1
として求めることができる。
Gc=(Gm・Gp)-1
として求めることができる。
また、図4に代表的に示されるステップ応答波形のむだ時間Lおよび最大傾きから各PID制御部4−1,4−2のPIDゲインを、Ziegler&Nichols法により算出する。
この実施形態では、計測されるむだ時間Lおよび最大傾きの2チャンネルの平均値を用いて、PID制御部4−1,4−2の共通のPIDゲインを、Ziegler&Nichols法により算出する。
以上は、従来の傾斜温度制御のオートチューニングと基本的に同様である。
図5は、オートチューニングおよび冷却係数算出時の動作説明に供するフローチャートである。
上述のようにしてステップ状の加熱側の100%の操作量をチャンネル毎に、順番に印加してステップ応答波形を計測し(ステップn1)、前置補償器5の配分比を決定するとともに、各PID制御部4−1,4−2の加熱側に対応するPID定数を算出する(ステップn2)。
次に、得られたPID定数を用いてPID制御による運転を開始し(ステップn3)、安定するまで待機する(ステップn4)。
図6は、このPID制御による運転を開始した後のタイムチャートであり、同図(a)は検出温度PVを、同図(b)は加熱側および冷却側の操作量MVをそれぞれ示しており、また、実線は第1のチャンネルを、仮想線は第2のチャンネルを示している。
図6(a)に示す期間T1が経過して各チャンネルの検出温度が安定した後の期間T2を利用して、図6(b)に示すように、加熱側の操作量は、温度が安定している状態の操作量を維持しつつ、実線で示される第1のチャンネルの冷却側の操作量を、50%以下である30%の操作量mcにステップ状に変化させ、冷却側のステップ応答波形の最大傾きが計測されるまでの期間に亘って継続して、第1のチャンネルの冷却側のステップ応答波形の最大傾きを計測し、同様に、仮想線で示される第2のチャンネルの冷却側の操作量を、50%以下である30%の操作量mcにステップ状に変化させ、冷却側のステップ応答波形の最大傾きが計測されるまでの期間に亘って継続して、第2のチャンネルの冷却側のステップ応答波形の最大傾きを計測する(ステップn5)。
次に、上述のステップn1で求めた各チャンネルの加熱側のステップ応答波形の最大傾きと、ステップn5で求めた各チャンネルの冷却側のステップ応答波形の最大傾きとを用いて各チャンネルの冷却係数を次式で算出する(ステップn6)。
すなわち、加熱側の最大傾きをRh、冷却側の最大傾きをRcとすると、
冷却係数=Rh/Rc
となる。
冷却係数=Rh/Rc
となる。
ここで、冷却係数の算出式における加熱側の最大傾きRhは、計測されたステップ応答波形の最大傾きとステップ状に印加される操作量mhを用いて次式で算出される。
Rh=(ステップ応答波形の最大傾き)×100/mh
加熱側のオートチューニングにおける操作量mhは、100%であるので、計測されるステップ応答波形の最大傾きが、加熱側の最大傾きRhと等しくなる。
加熱側のオートチューニングにおける操作量mhは、100%であるので、計測されるステップ応答波形の最大傾きが、加熱側の最大傾きRhと等しくなる。
また、冷却係数の算出式における冷却側の最大傾きRcは、計測されたステップ応答波形の最大傾きとステップ状に印加される操作量mcを用いて次式で算出される。
Rc=(ステップ応答波形の最大傾き)×100/mc
冷却側のオートチューニングにおける操作量mcは、この実施形態では、30%である。
冷却側のオートチューニングにおける操作量mcは、この実施形態では、30%である。
図7は、上述のオートチューニングおよび冷却係数算出時のブロック図であり、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
この実施形態では、傾斜温度制御のオートチューニング時には、操作量出力部9によって、チャンネル毎に順番に加熱側の100%のステップ状の操作量mhを出力し、また、冷却係数を算出するために、チャンネル毎に順番に冷却側の30%のステップ状の操作量mcを出力する。
特徴量計測部10は、ステップ応答波形の特徴量である最大傾きおよびむだ時間を計測するとともに、上述の温度変化を計測し、PID定数算出部12は、計測した最大傾きおよびむだ時間に基づいて、Ziegler&Nicholsの算出式に従って、制御パラメータである加熱側のPID定数をそれぞれ算出するとともに、温度変化に基づいて、各チャンネルの干渉の度合いを示す行列を算出し、更に、前置補償器5の配分比を算出する。
冷却係数算出部12は、各チャンネルの加熱側のステップ応答波形の最大傾きと各チャンネルの冷却側のステップ応答波形の最大傾きとに基づいて、上述の算出式に従って各チャンネルの冷却係数を算出する。
なお、操作量出力部9、特徴量計測部10、PID定数算出部11および冷却係数算出部12は、上述のマイクロコンピュータによって構成される。
ここで、冷却係数を算出するための冷却側のステップ状の操作量mcを、50%以下にしている理由について説明する。
一般に、加熱特性は、線形特性を示すが、水冷による冷却特性は、例えば、図8の実線で示すように、非線形特性となる。なお、図8において、横軸は冷却操作量を、縦軸は冷却能力(吸熱量)をそれぞれ示している。
このように水冷特性が非線形であるために、操作量を100%に設定して冷却係数を求めると、制御対象の特性が、図8の破線で示すように、比較的緩慢な特性として同定されることになる。
そこで、この実施形態では、操作量を50%以下、この例では、30%にして冷却側のステップ応答波形を計測するのである。
このように、冷却側の最大傾きの算出に際しては、冷却側の操作量を、100%にステップ状に変化させるのではなく、50%以下である30%にステップ状に変化させているので、上述の図8の水冷特性において、操作量が30%の場合、図8の一点鎖線で示す傾きの特性として働き、破線で示される特性に比べて、実際に使用される水冷特性に近いものとなり、より適切な冷却側の最大傾きが算出される。
以上のようにして算出された各チャンネルの冷却係数を用いて、上述の図1のブロック図に示す操作量変換部6−1,6−2で冷却側の操作量が算出される。
本発明の他の実施形態として、油冷の場合にも、冷却係数を算出するための冷却操作量の上限を、50%以下に制限するようにしてもよい。
本発明は、傾斜温度の加熱冷却制御に有用である。
1 温度調節器
2 制御対象
3 モード変換器
4−1,4−2 PID制御部
5 前置補償器
6−1,6−2 操作量変換部
11 PID定数算出部
12 冷却係数算出部
2 制御対象
3 モード変換器
4−1,4−2 PID制御部
5 前置補償器
6−1,6−2 操作量変換部
11 PID定数算出部
12 冷却係数算出部
Claims (11)
- 制御対象の複数の制御点の温度に基づく傾斜温度および代表的な代表温度を制御量として加熱冷却制御を行う温度調節器であって、
前記代表温度の偏差に基づいて、操作量を算出する代表温度用の制御部と、
前記傾斜温度の偏差に基づいて、操作量を算出する傾斜温度用の制御部と、
各制御部の操作量を、各制御点に対応する操作量として配分する配分部と、
配分部からの各制御点に対応する操作量を、加熱側の操作量および冷却側の操作量に変換する変換部とを備え、
前記変換部は、各制御点に対応する操作量を、冷却係数を用いて冷却側の操作量に変換することを特徴とする温度調節器。 - 前記傾斜温度が、複数の制御点の温度の温度差であり、前記代表温度が、複数の制御点の温度の平均温度である請求項1に記載の温度調節器。
- 加熱側の操作量を前記複数の制御点に対応させて印加したときの応答波形と、冷却側の操作量を前記複数の制御点に対応させて印加したときの応答波形とに基づいて、前記冷却係数を算出する算出部を備える請求項1または2に記載の温度調節器。
- 前記応答波形を求めるために印加する前記冷却側の操作量が50%以下の操作量である請求項3に記載の温度調節器。
- 前記冷却側の操作量が、前記制御対象を冷却する水冷の冷却手段に対する操作量である請求項4に記載の温度調節器。
- 制御対象の複数の制御点の温度に基づく傾斜温度および代表的な代表温度を制御量として加熱冷却制御を行う温度制御方法であって、
前記代表温度の偏差に基づいて、代表温度用の操作量を算出するとともに、前記傾斜温度の偏差に基づいて、傾斜温度用の操作量を算出するステップと、
前記代表温度用および前記傾斜温度用の各操作量を、各制御点に対応する操作量として配分するステップと、
配分される各制御点に対応する操作量を、加熱側の操作量および冷却側の操作量に変換するステップとを備え、
前記変換するステップでは、各制御点に対応する操作量を、冷却係数を用いて冷却側の操作量に変換することを特徴とする温度制御方法。 - 前記傾斜温度が、複数の制御点の温度の温度差であり、前記代表温度が、複数の制御点の温度の平均温度である請求項6に記載の温度制御方法。
- 加熱側の操作量を前記複数の制御点に対応させて印加したときの応答波形と、冷却側の操作量を前記複数の制御点に対応させて印加したときの応答波形とに基づいて、前記冷却係数を算出するステップを備える請求項6または7に記載の温度制御方法。
- 前記応答波形を求めるために印加する前記冷却側の操作量が50%以下の操作量である請求項8に記載の温度制御方法。
- 前記冷却側の操作量が、前記制御対象を冷却する水冷の冷却手段に対する操作量である請求項9に記載の温度制御方法。
- 前記請求項1ないし5のいずれかに記載の温度調節器と、前記制御対象としての熱処理手段と、該熱処理手段を加熱する加熱手段と、前記熱処理手段を冷却する冷却手段とを備えることを特徴とする熱処理装置。
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