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JP2009137369A - 車両および駆動装置並びに車両の制御方法 - Google Patents

車両および駆動装置並びに車両の制御方法 Download PDF

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Kiyoshiro Kamioka
清城 上岡
Tsuyoshi Aoki
剛志 青木
Kazuomi Okasaka
和臣 岡坂
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

【課題】蓄電装置の充電要求により適正に対応すると共に蓄電装置の過大な電力による充電を抑制する。
【解決手段】エンジンから過剰な動力を出力する状態になったときには(S120)、バッテリの充電要求パワーPb*に相当する電力が発電されるよう第1モータからのトルクを制御すると共に(S270)、エンジンを回転数Nesetで運転するスロットル開度制御を行なうから(S260)、エンジンを効率よく負荷運転する際に第1モータによりエンジンを回転数制御する通常の制御を行なう(S140,S150)ものに比して、バッテリの充電要求により適正に対応することができると共にバッテリの過大な電力による充電を抑制することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、車両および駆動装置並びに車両の制御方法に関する。
従来、この種の車両としては、エンジンと、エンジンの出力軸にキャリアが接続されると共に車軸側の駆動軸にリングギヤが接続されたプラネタリギヤと、プラネタリギヤのサンギヤに動力を入出力するモータMG1と、駆動軸に動力を入出力するモータMG2と、モータMG1およびモータMG2と電力のやりとりを行なうバッテリと、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、空気密度が高い状態としてエンジンの吸気温度が低いときや大気圧が高いときには、車両が要求する要求パワーを小さく補正した目標パワーがエンジンから出力されると共に要求トルクにより走行するようエンジンと二つのモータとを制御することにより、予期しない電力によるバッテリの充電を抑制している。
特開2007−216841号公報
上述の車両では、バッテリの充電要求によりエンジンを運転する際に、予期しない電力によりバッテリを充電する場合が生じる。例えば、外気温が低くバッテリの充電が大きく制限された状態で充電要求に基づく十分に小さい目標パワーでエンジンを運転するときなどに、目標パワーを効率よく出力する目標運転ポイントでエンジンが運転されるようモータMG1によりエンジンを回転数制御する通常の制御を行なうと、エンジンからの過剰なパワーを受けて予期しないモータMG1の発電電力によってバッテリが充電される場合がある。
本発明の車両および駆動装置並びに車両の制御方法は、蓄電装置の充電要求により適正に対応すると共に蓄電装置の過大な電力による充電を抑制することを主目的とする。
本発明の車両および駆動装置並びに車両の制御方法は、少なくとも上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の車両は、
内燃機関と、
車軸に連結された駆動軸に接続されると共に該駆動軸とは独立に回転可能に前記内燃機関の出力軸に接続され、電力と動力の入出力を伴って前記駆動軸と前記出力軸とに動力を入出力可能な電力動力入出力手段と、
前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、
前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段を充放電する際の最大許容電力としての入出力制限を設定する入出力制限設定手段と、
前記蓄電手段を充電するための充電要求に対して所定の制約に基づいて前記内燃機関を運転すると前記蓄電手段を充電する電力が前記設定された入力制限を超える程度に前記内燃機関から過剰な動力が出力される出力過剰状態になるときには、前記内燃機関を所定の回転数で運転するスロットル開度制御を伴って前記充電要求に相当する電力が前記電力動力入出力手段から出力されると共に走行に要求される要求駆動力により走行するよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する出力過剰時制御を実行する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の車両では、蓄電手段を充電するための充電要求に対して所定の制約に基づいて内燃機関を運転すると蓄電手段を充電する電力が蓄電手段の状態に基づく蓄電手段を充電する際の最大許容電力としての入力制限を超える程度に内燃機関から過剰な動力が出力される出力過剰状態になるときには、内燃機関を所定の回転数で運転するスロットル開度制御を伴って充電要求に相当する電力が電力動力入出力手段から出力されると共に走行に要求される要求駆動力により走行するよう内燃機関と電力動力入出力手段と電動機とを制御する出力過剰時制御を実行する。これにより、所定の制約に基づいて内燃機関を運転するものに比して、蓄電手段の充電要求により適正に対応すると共に蓄電手段の過大な電力による充電を抑制することができる。ここで、「所定の制約」としては、内燃機関を効率よく運転する制約などが含まれる。
こうした本発明の車両において、前記制御手段は、前記スロットル開度制御として前記内燃機関が前記所定の回転数で運転されるよう前記内燃機関のスロットル開度をフィードバック制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、より確実に内燃機関を所定の回転数で運転することができる。
また、本発明の車両において、前記制御手段は、前記充電要求に対しての前記所定の制約に基づく前記内燃機関の負荷運転と前記蓄電手段を充電する電力が前記設定された入力制限を超えないようにするための前記内燃機関の自立運転とが交互に所定回数以上に亘って行なわれるときを前記出力過剰状態になるときとして制御する手段であるものとすることもできるし、前記制御手段は、外気温が所定温度未満または前記設定された入力制限が所定範囲内のときを前記出力過剰状態になるときとして制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、出力過剰状態になるときをより確実に判定することができる。
さらに、本発明の車両において、前記制御手段は、前記設定された出力制限の範囲内で前記要求駆動力により走行可能な状態で前記出力過剰状態になるときに前記出力過剰時制御を実行する手段であるものとすることもできる。こうすれば、蓄電手段の出力制限の範囲内で要求駆動力により走行することができる。
あるいは、本発明の車両において、前記電力動力入出力手段は、動力を入出力する発電機と、前記駆動軸と前記出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、を備える手段であるものとすることもできる。
本発明の駆動装置は、
内燃機関および蓄電手段と共に車両に搭載される駆動装置であって、
前記蓄電手段と電力のやり取りが可能で、車軸に連結された駆動軸に接続されると共に該駆動軸とは独立に回転可能に前記内燃機関の出力軸に接続され、電力と動力の入出力を伴って前記駆動軸と前記出力軸とに動力を入出力可能な電力動力入出力手段と、
前記蓄電手段と電力のやり取りが可能で、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段を充放電する際の最大許容電力としての入出力制限を設定する入出力制限設定手段と、
前記蓄電手段を充電するための充電要求に対して所定の制約に基づいて前記内燃機関を運転すると前記蓄電手段を充電する電力が前記設定された入力制限を超える程度に前記内燃機関から過剰な動力が出力される出力過剰状態になるときには、前記内燃機関を所定の回転数で運転するスロットル開度制御を伴って前記充電要求に相当する電力が前記電力動力入出力手段から出力されると共に走行に要求される要求駆動力により走行するよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する出力過剰時制御を実行する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の駆動装置では、蓄電手段を充電するための充電要求に対して所定の制約に基づいて内燃機関を運転すると蓄電手段を充電する電力が蓄電手段の状態に基づく蓄電手段を充電する際の最大許容電力としての入力制限を超える程度に内燃機関から過剰な動力が出力される出力過剰状態になるときには、内燃機関を所定の回転数で運転するスロットル開度制御を伴って充電要求に相当する電力が電力動力入出力手段から出力されると共に走行に要求される要求駆動力により走行するよう内燃機関と電力動力入出力手段と電動機とを制御する出力過剰時制御を実行する。これにより、所定の制約に基づいて内燃機関を運転するものに比して、蓄電手段の充電要求により適正に対応すると共に蓄電手段の過大な電力による充電を抑制することができる。ここで、「所定の制約」としては、内燃機関を効率よく運転する制約などが含まれる。
本発明の車両の制御方法は、
内燃機関と、車軸に連結された駆動軸に接続されると共に該駆動軸とは独立に回転可能に前記内燃機関の出力軸に接続され電力と動力の入出力を伴って前記駆動軸と前記出力軸とに動力を入出力可能な電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、を備える車両の制御方法であって、
前記蓄電手段を充電するための充電要求に対して所定の制約に基づいて前記内燃機関を運転すると前記蓄電手段を充電する電力が前記蓄電手段の状態に基づく該蓄電手段を充電する際の最大許容電力としての入力制限を超える程度に前記内燃機関から過剰な動力が出力される出力過剰状態になるときには、前記内燃機関を所定の回転数で運転するスロットル開度制御を伴って前記充電要求に相当する電力が前記電力動力入出力手段から出力されると共に走行に要求される要求駆動力により走行するよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する出力過剰時制御を実行する、
ことを特徴とする。
この本発明の車両の制御方法では、蓄電手段を充電するための充電要求に対して所定の制約に基づいて内燃機関を運転すると蓄電手段を充電する電力が蓄電手段の状態に基づく蓄電手段を充電する際の最大許容電力としての入力制限を超える程度に内燃機関から過剰な動力が出力される出力過剰状態になるときには、内燃機関を所定の回転数で運転するスロットル開度制御を伴って充電要求に相当する電力が電力動力入出力手段から出力されると共に走行に要求される要求駆動力により走行するよう内燃機関と電力動力入出力手段と電動機とを制御する出力過剰時制御を実行する。これにより、所定の制約に基づいて内燃機関を運転するものに比して、蓄電手段の充電要求により適正に対応すると共に蓄電手段の過大な電力による充電を抑制することができる。ここで、「所定の制約」としては、内燃機関を効率よく運転する制約などが含まれる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内
燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24からは、例えば空気を吸入するスロットルバルブ23の開度を調節するスロットルモータ25への駆動信号など、エンジン22を駆動するための種々の制御信号が図示しない出力ポートを介して出力されている。また、エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからのバッテリ電圧Vb,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた電流センサ51bからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサ51bにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいて残容量(SOC)を演算したり、演算した残容量(SOC)と電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。図2に電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示し、図3にバッテリ50の残容量(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,車両周辺の温度を検出する外気温センサ89からの外気温Toutなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、冷間時にバッテリ50の充電要求に応じてエンジン22を運転する際の動作について説明する。図4はハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される冷間充電要求時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、外気温センサ89からの外気温Toutが冷間時を示す所定温度(例えば、−20℃や−25℃など)未満であってバッテリ50の充電要求があるときに所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。なお、バッテリ50の充電要求があるか否かは、バッテリ50の残容量(SOC)が小さいほど小さく(絶対値としては大きく)なる傾向に充電要求に対して負の値として設定されるバッテリ50の充電要求パワーPb*が負の値か否かにより判定する。
冷間充電要求時駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,エンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ電圧Vb,バッテリ50の充放電電流Ib,バッテリ温度Tb,バッテリ50の入出力制限Win,Wout,バッテリ50の充電要求パワーPb*など制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neはクランクポジションセンサからの信号に基づいて演算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。さらに、バッテリ電圧Vbについては、電圧センサ51aにより検出されたものを、充放電電流Ibについては、電流センサ51bにより充電時に負の値また放電時に正の値として検出されたものを、それぞれバッテリECU52から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。なお、バッテリ50の充電要求パワーPb*については、バッテリ50の残量量(SOC)に基づいて設定されたものを入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*とエンジン22に要求される要求パワーPe*とを設定する(ステップS110)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図5に要求トルク設定用マップの一例を示す。要求パワーP*は、設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものからバッテリ50の充電要求パワーPb*を減じてロスLossを加えたものとして計算することができる。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、車速Vに換算係数kを乗じること(Nr=k・V)によって求めたり、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ること(Nr=Nm2/Gr)によって求めることができる。
続いて、エンジン22の運転が負荷運転から自立運転に切り替えられた回数を示すカウンタCntが閾値Cref以上に至ったか否かを判定し(ステップS120)、カウンタCntが閾値Cref未満のときには、バッテリ50を充電している電力としての充放電電流Ibとバッテリ電圧Vbとの積がバッテリ50の入力制限Win以上か否かを判定する(ステップS130)。カウンタCntや閾値Crefについては後述する。
バッテリ50の充放電電流Ibとバッテリ電圧Vbとの積がバッテリ50の入力制限Win以上のとき、即ち、バッテリ50を充電している電力が入力制限Winの範囲内であるときには、エンジン22を負荷運転すると判断し、設定した要求パワーPe*に基づいてエンジン22を運転すべき運転ポイントとしての目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS140)。この設定は、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインと要求パワーPe*とに基づいて行なわれる。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図6に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。
次に、設定した目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて式(2)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算し(ステップS150)、エンジン22を負荷運転する状態を示す負荷運転フラグFに値1を設定する(ステップS160)。ここで、式(1)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図7に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。式(1)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。なお、R軸上の2つの太線矢印は、モータMG1から出力されたトルクTm1がリングギヤ軸32aに作用するトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。また、式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/(Gr・ρ) (1)
Tm1*=ρ・Te*/(1+ρ)+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt (2)
こうしてモータMG1の目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*とを計算すると、バッテリ50の入出力制限Win,Woutと計算したモータMG1のトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを次式(3)および式(4)により計算すると共に(ステップS170)、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρを用いてモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm2tmpを式(5)により計算し(ステップS180)、計算したトルク制限Tmin,Tmaxで仮トルクTm2tmpを制限した値としてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS190)。ここで、式(5)は、前述した図7の共線図から容易に導き出すことができる。
Tmin=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 (3)
Tmax=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 (4)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (5)
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS200)、冷間充電要求時駆動制御ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における燃料噴射制御や点火制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。こうした制御により、バッテリ50を充電している電力が入力制限Winの範囲内であるときには、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で充電要求パワーPb*に相当する電力でバッテリ50を充電すると共にエンジン22を効率よく負荷運転して駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力して走行することができる。
ステップS120でカウンタCntが閾値Cref未満であって、ステップS130でバッテリ50の充放電電流Ibとバッテリ電圧Vbとの積がバッテリ50の入力制限Win未満のとき、即ちバッテリ50を充電している電力が入力制限Winを超えているときには、エンジン22を自立運転すると判断し、エンジン22の目標回転数Ne*にエンジン22を安定して自立運転することができる回転数Nidl(例えば、800rpmや1000rpm,1200rpmなど)を設定して目標トルクTe*に値0を設定すると共に(ステップS210)、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定して(ステップS220)、負荷運転フラグFの値を調べる(ステップS230)。負荷運転フラグFが値1のときには、エンジン22の運転が負荷運転から自立運転に切り替えられたと判断し、カウンタCntをインクリメントすると共に(ステップS240)、負荷運転フラグFを値0にリセットし(ステップS250)、値0に設定したモータMG1のトルク指令Tm1*を用いてバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内でリングギヤ軸32aに要求トルクTr*が出力されるようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定すると共に設定値を送信するステップS170〜S200までの処理を実行して、冷間充電要求時駆動制御ルーチンを終了する。こうした制御により、バッテリ50を充電している電力が入力制限Winを超えているときには、入力制限Winを超えてバッテリ50が充電されないようにエンジン22を自立運転すると共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内でバッテリ50からの電力を用いてモータMG2から駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力して走行することができる。
こうしてエンジン22の自立運転を開始すると、ステップS130でバッテリ50を充電している電力が入力制限Winを超えている間は、ステップS230で負荷運転フラグFが値0と判定され、値0に設定したモータMG1のトルク指令Tm1*を用いてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定すると共に設定値を送信するステップS170〜S200までの処理を実行して、冷間充電要求時駆動制御ルーチンを終了する。
ステップS120でカウンタCntが閾値Cref以上のときには、バッテリ50の充電要求をモータMG1の発電電力によって満たすことができるモータMG1の回転数Nm1に対応するエンジン22の回転数Neとして実験等により予め定めた回転数Neset(例えば、1000rpmや1500rpm,2000rpmなど)をエンジン22の目標回転数Ne*として設定すると共に設定した目標回転数Ne*と現在の回転数Neとに基づいて次式(6)によりエンジン22の目標スロットル開度TH*を計算する(ステップS260)。式(6)は、エンジン22におけるスロットルバルブ23の開度(スロットル開度)を目標スロットル開度TH*とするためのフィードバック制御における関係式であり、式(6)中、右辺第2項の「k3」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k4」は積分項のゲインである。ここで、カウンタCntと閾値Crefについて説明する。いま、冷間時を考えているから、バッテリ温度Tbも比較的低くバッテリ50の入出力制限Win,Woutも大きく制限されやすいし、空気密度が比較的高くエンジン22の出力も過剰になりやすいため、エンジン22から要求パワーPe*を効率よく出力する運転ポイントでエンジン22が負荷運転されるようモータMG1によりエンジン22を回転数制御する通常の制御を行なうと、入力制限Winを超えてバッテリ50を充電する場合がある。実施例では、こうした場合を回避するためのエンジン22の自立運転と、自立運転によってバッテリ50を充電する電力が小さくなることによる負荷運転とが交互に行なわれることになるため、エンジン22の運転が負荷運転から自立運転に切り替えられた回数を示すカウンタCntを計上して、エンジン22から過剰な動力を出力する状態を判定するのである。したがって、閾値Crefは、エンジン22を効率よく負荷運転する通常の制御を行なうと入力制限Winを超えてバッテリ50を充電する程度にエンジン22から過剰な動力を出力する状態になったのを判定することができる値として、車両の特性や実験等により値3や値5,値10などに予め定めることができる。
TH*=前回TH*+k3(Ne*-Ne)+k4∫(Ne*-Ne)dt (6)
次に、設定した目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて上述の式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共にバッテリ50の充電要求パワーPb*を設定した目標回転数Nm1*で除したものをモータMG1のトルク指令Tm1*として設定し(ステップS270)、設定したトルク指令Tm1*を用いてステップS170〜S200までの処理を実行して、冷間充電要求時駆動制御ルーチンを終了する。ステップS200では、目標回転数Ne*と目標トルクTe*に代えて目標スロットル開度TH*がエンジンECU24に送信され、目標スロットル開度TH*を受信したエンジンECU24は、エンジン22のスロットル開度が目標スロットル開度TH*になるようスロットルモータ25を駆動するスロットル開度制御を行なうと共に目標スロットル開度TH*に対応する燃料噴射量や点火時期によるエンジン22の燃料噴射制御や点火制御などの制御を行なう。こうした制御により、エンジン22から過剰な動力を出力する状態になったときには、バッテリ50の充電要求パワーPb*に相当する電力が発電されるようモータMG1からのトルクを調整するから、エンジン22を効率よく負荷運転する際にモータMG1によりエンジン22を回転数制御する通常の制御を行なうものに比して、バッテリ50の充電要求により適正に対応することができる。また、このとき、エンジン22を回転数Nesetで運転するスロットル開度制御を行なうから、入力制限Winを超えてバッテリ50を充電するのを抑制することができる。もとより、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力して走行することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22から過剰な動力を出力する状態になったときには、バッテリ50の充電要求パワーPb*に相当する電力が発電されるようモータMG1からのトルクを制御すると共にエンジン22を回転数Nesetで運転するスロットル開度制御を行なうから、エンジン22を効率よく負荷運転する際にモータMG1によりエンジン22を回転数制御する通常の制御を行なうものに比して、バッテリ50の充電要求により適正に対応することができると共にバッテリ50の過大な電力による充電を抑制することができる。また、エンジン22のスロットル開度制御としてフィードバック制御を行なうから、より確実にエンジン22の回転数Neを目標回転数Ne*としての回転数Nesetで運転することができる。さらに、モータMG1によりエンジン22を回転数制御する通常の制御を行なってエンジン22を効率よく負荷運転する状態から入力制限Winを超えてバッテリ50が充電されないようにするための自立運転する状態に切り替えられた回数を示すカウンタCntが閾値Cref以上に至ったときを、エンジン22から過剰な動力を出力する状態になったときとして判定するから、こうした状態をより確実に判定することができる。もとより、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内でリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力して走行することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、外気温Toutが冷間時を示す所定温度未満であってバッテリ50の充電要求があるときに冷間時の充電要求時駆動制御を行なってエンジン22から過剰な動力を出力する状態になったときの処理を実行するものとしたが、バッテリ50の充電要求があるときであれば冷間時であるか否かにかかわらずに充電要求時駆動制御を行なってエンジン22から過剰な動力を出力する状態になったときの処理を実行するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50の充電要求パワーPb*に相当する電力が発電されるようモータMG1からのトルクを制御すると共にエンジン22を回転数Nesetで運転するスロットル開度制御を行なう際に、エンジン22の運転が負荷運転から自立運転に切り替えられた回数を示すカウンタCntが閾値Cref以上に至ったときをエンジン22から過剰な動力を出力する状態になったときとして判定し制御するものとしたが、外気温センサ89からの外気温Toutが冷間時を示す所定温度未満のときやバッテリ50の入力制限Winがバッテリ50への充電が大きく制限された状態を示す所定範囲内のときをエンジン22から過剰な動力を出力する状態になるときとして判定し同様に制御するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22のスロットル開度制御を、フィードバック制御により行なうものとしたが、フィードフォワード制御などフィードバック制御とは異なる制御により行なうものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、目標スロットル開度TH*を設定したときには、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*に代えて目標スロットル開度TH*を送信してエンジン22を運転制御するものとしたが、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*に加えて目標スロットル開度TH*を送信してエンジン22を運転制御するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50の充電要求パワーPb*に相当する電力が発電されるようモータMG1からのトルクを制御すると共にエンジン22を回転数Nesetで運転するスロットル開度制御を行なう際に、エンジン22の運転が負荷運転から自立運転に切り替えられた回数を示すカウンタCntが閾値Cref以上に至ったことを条件として用いたが、この条件に加えて、走行に要求されるパワーがバッテリ50の出力制限Woutの範囲内((Tr*×Nm2/Gr)<Wout)のとき、または、モータMG2から出力すべき仮トルクTm2tmpがバッテリ50の出力制限Woutの範囲内(Tm2tmp<Wout)のときを条件として用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図8の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図8における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図9の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
また、こうしたハイブリッド自動車に適用するものに限定されるものではなく、自動車以外の列車などの車両の形態や車両に搭載される駆動装置の形態,車両の制御方法の形態としても構わない。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、動力分配統合機構30とモータMG1とが「電力動力入出力手段」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「蓄電手段」に相当し、電流センサ51bにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づくバッテリ50の残容量(SOC)とバッテリ50の電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算するバッテリECU52が「入出力制限設定手段」に相当し、バッテリ50の充電要求パワーPb*に基づく要求パワーPe*を効率よく出力する運転ポイントでエンジン22を負荷運転する状態からこの負荷運転により入力制限Winを超えてバッテリ50が充電されないようにするためにエンジン22を自立運転する状態に切り替えられた回数を示すカウンタCntが閾値Cref以上に至ったときをエンジン22から過剰な動力を出力する状態になったときと判定してエンジン22が回転数Nesetで運転されるよう目標スロットル開度TH*を設定しモータMG1から充電要求パワーPb*に相当するパワーが出力されるようトルク指令Tm1*を設定し要求トルクTr*により走行するようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する図4の冷間充電要求時駆動制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と目標スロットル開度TH*でスロットルモータ25を駆動するエンジンECU24とトルク指令Tm1*,Tm2*でモータMG1,MG2を制御するモータECU40とが「制御手段」に相当する。また、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当する。さらに、対ロータ電動機230も「電力動力入出力手段」に相当する。ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「電力動力入出力手段」としては、動力分配統合機構30とモータMG1とを組み合わせたものや対ロータ電動機230に限定されるものではなく、車軸に連結された駆動軸に接続されると共に該駆動軸とは独立に回転可能に前記内燃機関の出力軸に接続され、電力と動力の入出力を伴って前記駆動軸と前記出力軸とに動力を入出力可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「蓄電手段」としては、二次電池としてのバッテリ50に限定されるものではなく、キャパシタなど、電力動力入出力手段や電動機と電力のやりとりが可能であれば如何なるものとしても構わない。「入出力制限設定手段」としては、バッテリ50の残容量(SOC)とバッテリ50の電池温度Tbとに基づいて入出力制限Win,Woutを演算するものに限定されるものではなく、残容量(SOC)や電池温度Tbの他に例えばバッテリ50の内部抵抗などに基づいて演算するものなど、蓄電手段の状態に基づいて蓄電手段を充放電する際の最大許容電力としての入出力制限を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、バッテリ50の充電要求パワーPb*に基づく要求パワーPe*を効率よく出力する運転ポイントでエンジン22を負荷運転する状態からこの負荷運転により入力制限Winを超えてバッテリ50が充電されないようにするためにエンジン22を自立運転する状態に切り替えられた回数を示すカウンタCntが閾値Cref以上に至ったときをエンジン22から過剰な動力を出力する状態になったときと判定してエンジン22が回転数Nesetで運転されるよう目標スロットル開度TH*を設定してスロットルモータ25を駆動しモータMG1から充電要求パワーPb*に相当するパワーが出力されるようトルク指令Tm1*を設定すると共に要求トルクTr*により走行するようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータMG1,MG2を制御するものに限定されるものではなく、蓄電手段を充電するための充電要求に対して所定の制約に基づいて内燃機関を運転すると蓄電手段を充電する電力が設定された入力制限を超える程度に内燃機関から過剰な動力が出力される出力過剰状態になるときには、内燃機関を所定の回転数で運転するスロットル開度制御を伴って充電要求に相当する電力が電力動力入出力手段から出力されると共に走行に要求される要求駆動力により走行するよう内燃機関と電力動力入出力手段と電動機とを制御する出力過剰時制御を実行するものであれば如何なるものとしても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの発電機としても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる差動作用を有するものなど、駆動軸と出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれかに軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、車両や駆動装置の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 バッテリ50における電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示す説明図である。 バッテリ50の残容量(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す説明図である。 実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される冷間充電要求時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を示す説明図である。 エンジン22からパワーを出力している状態で走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23 スロットルバルブ、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、25 スロットルモータ、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、89 外気温センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

Claims (8)

  1. 内燃機関と、
    車軸に連結された駆動軸に接続されると共に該駆動軸とは独立に回転可能に前記内燃機関の出力軸に接続され、電力と動力の入出力を伴って前記駆動軸と前記出力軸とに動力を入出力可能な電力動力入出力手段と、
    前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
    前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、
    前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段を充放電する際の最大許容電力としての入出力制限を設定する入出力制限設定手段と、
    前記蓄電手段を充電するための充電要求に対して所定の制約に基づいて前記内燃機関を運転すると前記蓄電手段を充電する電力が前記設定された入力制限を超える程度に前記内燃機関から過剰な動力が出力される出力過剰状態になるときには、前記内燃機関を所定の回転数で運転するスロットル開度制御を伴って前記充電要求に相当する電力が前記電力動力入出力手段から出力されると共に走行に要求される要求駆動力により走行するよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する出力過剰時制御を実行する制御手段と、
    を備える車両。
  2. 前記制御手段は、前記スロットル開度制御として前記内燃機関が前記所定の回転数で運転されるよう前記内燃機関のスロットル開度をフィードバック制御する手段である請求項1記載の車両。
  3. 前記制御手段は、前記充電要求に対しての前記所定の制約に基づく前記内燃機関の負荷運転と前記蓄電手段を充電する電力が前記設定された入力制限を超えないようにするための前記内燃機関の自立運転とが交互に所定回数以上に亘って行なわれるときを前記出力過剰状態になるときとして制御する手段である請求項1または2記載の車両。
  4. 前記制御手段は、外気温が所定温度未満または前記設定された入力制限が所定範囲内のときを前記出力過剰状態になるときとして制御する手段である請求項1または2記載の車両。
  5. 前記制御手段は、前記設定された出力制限の範囲内で前記要求駆動力により走行可能な状態で前記出力過剰状態になるときに前記出力過剰時制御を実行する手段である請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の車両。
  6. 前記電力動力入出力手段は、動力を入出力する発電機と、前記駆動軸と前記出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、を備える手段である請求項1ないし5のいずれか1つの請求項に記載の車両。
  7. 内燃機関および蓄電手段と共に車両に搭載される駆動装置であって、
    前記蓄電手段と電力のやり取りが可能で、車軸に連結された駆動軸に接続されると共に該駆動軸とは独立に回転可能に前記内燃機関の出力軸に接続され、電力と動力の入出力を伴って前記駆動軸と前記出力軸とに動力を入出力可能な電力動力入出力手段と、
    前記蓄電手段と電力のやり取りが可能で、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
    前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段を充放電する際の最大許容電力としての入出力制限を設定する入出力制限設定手段と、
    前記蓄電手段を充電するための充電要求に対して所定の制約に基づいて前記内燃機関を運転すると前記蓄電手段を充電する電力が前記設定された入力制限を超える程度に前記内燃機関から過剰な動力が出力される出力過剰状態になるときには、前記内燃機関を所定の回転数で運転するスロットル開度制御を伴って前記充電要求に相当する電力が前記電力動力入出力手段から出力されると共に走行に要求される要求駆動力により走行するよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する出力過剰時制御を実行する制御手段と、
    を備える駆動装置。
  8. 内燃機関と、車軸に連結された駆動軸に接続されると共に該駆動軸とは独立に回転可能に前記内燃機関の出力軸に接続され電力と動力の入出力を伴って前記駆動軸と前記出力軸とに動力を入出力可能な電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、を備える車両の制御方法であって、
    前記蓄電手段を充電するための充電要求に対して所定の制約に基づいて前記内燃機関を運転すると前記蓄電手段を充電する電力が前記蓄電手段の状態に基づく該蓄電手段を充電する際の最大許容電力としての入力制限を超える程度に前記内燃機関から過剰な動力が出力される出力過剰状態になるときには、前記内燃機関を所定の回転数で運転するスロットル開度制御を伴って前記充電要求に相当する電力が前記電力動力入出力手段から出力されると共に走行に要求される要求駆動力により走行するよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する出力過剰時制御を実行する、
    ことを特徴とする車両の制御方法。
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JP2014133458A (ja) * 2013-01-09 2014-07-24 Mitsubishi Motors Corp ハイブリッド車の作動制御装置
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