JP2009103188A - 動力伝達チェーン、動力伝達チェーンに用いられるリンクプレートの製造方法および動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】動力伝達チェーンのリンクプレートの反りが大きいと、当該動力伝達チェーンに曲がりが生じ、実用上の耐久性および許容伝達容量を向上し難い。
【解決手段】チェーンは、チェーン進行方向に並ぶ複数のリンクプレート2と、これらのリンクプレート2を互いに屈曲可能に連結する複数の連結部材とを備える。各リンクプレート2は、素材をプレス加工により打ち抜く工程を経て形成されており、相対的に厚肉の厚肉部29と、打ち抜きによるリンクプレート2の反りを抑制するために相対的に薄肉にされた薄肉部30とを含む。
【選択図】図5
【解決手段】チェーンは、チェーン進行方向に並ぶ複数のリンクプレート2と、これらのリンクプレート2を互いに屈曲可能に連結する複数の連結部材とを備える。各リンクプレート2は、素材をプレス加工により打ち抜く工程を経て形成されており、相対的に厚肉の厚肉部29と、打ち抜きによるリンクプレート2の反りを抑制するために相対的に薄肉にされた薄肉部30とを含む。
【選択図】図5
Description
本発明は、動力伝達チェーン、動力伝達チェーンに用いられるリンクプレートの製造方法および動力伝達装置に関する。
例えば、自動車のプーリ式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)等の動力伝達装置に用いられる無端状の動力伝達チェーンは、複数のリンクプレートをピンで連結してなる。
特開2005−233275号公報
上記のリンクプレートは、例えば、素材としての鋼板にプレス加工を施すことにより形成される。プレス加工は、通例、鋼板の一部を打ち抜くことにより行われるが、プレス加工に起因して、形成されたリンクプレートに反りが生じてしまう。反ったリンクプレートを用いてチェーンを構成すると、チェーンは、その幅方向に曲がった形状となる。その結果、チェーン内部の残留応力が大きくなり、実用上の耐久性および許容伝達容量を向上し難い。
本発明は、かかる背景のもとでなされたもので、実用上の耐久性および許容伝達容量をより向上することのできる動力伝達チェーン、動力伝達チェーンに用いられるリンクプレートの製造方法および動力伝達装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、チェーン進行方向(X)に並ぶ複数のリンクプレート(2)と、これらのリンクプレートを互いに屈曲可能に連結する複数の連結部材(50)とを備え、各上記リンクプレートは、素材(34)をプレス加工により打ち抜く工程を経て形成されており、相対的に厚肉の厚肉部(29;29A)と、打ち抜きによるリンクプレートの反りを抑制するために相対的に薄肉にされた薄肉部(30;30A)とを含むことを特徴とする動力伝達チェーン(1)を提供するものである(請求項1)。
本発明によれば、厚肉部と比べて可撓性に優れる薄肉部を設けていることにより、プレス加工を施して形成されたリンクプレートの反りを抑制できる。その結果、動力伝達チェーンがその幅方向に曲がった状態となることを抑制でき、動力伝達チェーン内の応力の低減を通じて実用上の耐久性および許容伝達容量の双方を向上できる。
また、本発明において、各上記リンクプレートは、チェーン進行方向に並び連結部材がそれぞれ挿通される一対の貫通孔(9,10)と、一対の貫通孔間を仕切る柱部(8)と、を含み、上記柱部に薄肉部が配置されている場合がある(請求項2)。
また、本発明において、各上記リンクプレートは、チェーン進行方向に並び連結部材がそれぞれ挿通される一対の貫通孔(9,10)と、一対の貫通孔間を仕切る柱部(8)と、を含み、上記柱部に薄肉部が配置されている場合がある(請求項2)。
動力伝達チェーンに引張力が作用したとき、リンクプレートには、連結部材によって、リンクプレートをチェーン進行方向に引っ張る力が作用するが、柱部にはこの引っ張る力がほとんど作用しないことから、柱部に作用する負荷は小さい。
この場合、動力伝達チェーンの駆動時における負荷の小さいリンクプレートの柱部に薄肉部を設けていることにより、リンクプレートに十分な強度を確保しつつ、リンクプレートの反りを確実に低減できる。
この場合、動力伝達チェーンの駆動時における負荷の小さいリンクプレートの柱部に薄肉部を設けていることにより、リンクプレートに十分な強度を確保しつつ、リンクプレートの反りを確実に低減できる。
また、上記の動力伝達チェーンに用いられるリンクプレートの製造方法において、板状の素材にリンクプレートの薄肉部に対応する薄肉部(37)を形成する工程と、薄肉部が形成された素材にプレス加工により一対の貫通孔(40,41)を打ち抜く工程とを含む場合がある(請求項3)。この場合、一対の貫通孔の打ち抜きに先立って薄肉部を形成しておくことにより、この打ち抜きに起因するリンクプレートの反りを確実に抑制することができる。
また、本発明において、上記薄肉部を形成する工程では、加圧により薄肉部が形成される場合がある(請求項4)。この場合、一対の貫通孔の打ち抜き方向と薄肉部形成のための加圧方向とが同じ方向であるので、加圧工程を、上記プレス加工の一連の工程として実施することが可能であり、製造が容易になる。
また、本発明において、相対向する一対の円錐面状のシーブ面(62a,63a,72a,73a)をそれぞれ有する第1および第2のプーリ(60,70)と、これらのプーリ間に巻き掛けられ、シーブ面に係合して動力を伝達する上記の動力伝達チェーンとを備える場合がある(請求項5)。この場合、実用上の耐久性に優れるとともに、許容伝達容量の大きな動力伝達装置を実現できる。
また、本発明において、相対向する一対の円錐面状のシーブ面(62a,63a,72a,73a)をそれぞれ有する第1および第2のプーリ(60,70)と、これらのプーリ間に巻き掛けられ、シーブ面に係合して動力を伝達する上記の動力伝達チェーンとを備える場合がある(請求項5)。この場合、実用上の耐久性に優れるとともに、許容伝達容量の大きな動力伝達装置を実現できる。
なお、上記において、括弧内の参照符号は、後述する実施の形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る動力伝達チェーンを備える動力伝達装置としてのチェーン式無段変速機(以下では、単に無段変速機ともいう)の要部構成を模式的に示す斜視図である。図1を参照して、無段変速機100は、自動車等の車両に搭載されるものであり、第1のプーリとしての金属(構造用鋼等)製のドライブプーリ60と、第2のプーリとしての金属(構造用鋼等)製のドリブンプーリ70と、これらの両プーリ60,70間に巻き掛けられた無端状の動力伝達チェーン1(以下では、単にチェーンともいう)とを備えている。なお、図1中のチェーン1は、理解を容易にするために一部断面を示している。
図1は、本発明の一実施の形態に係る動力伝達チェーンを備える動力伝達装置としてのチェーン式無段変速機(以下では、単に無段変速機ともいう)の要部構成を模式的に示す斜視図である。図1を参照して、無段変速機100は、自動車等の車両に搭載されるものであり、第1のプーリとしての金属(構造用鋼等)製のドライブプーリ60と、第2のプーリとしての金属(構造用鋼等)製のドリブンプーリ70と、これらの両プーリ60,70間に巻き掛けられた無端状の動力伝達チェーン1(以下では、単にチェーンともいう)とを備えている。なお、図1中のチェーン1は、理解を容易にするために一部断面を示している。
図2は、図1のドライブプーリ60(ドリブンプーリ70)およびチェーン1の部分的な拡大断面図である。図1および図2を参照して、ドライブプーリ60は、車両の駆動源に動力伝達可能に連なる入力軸61に同行回転可能に取り付けられるものであり、固定シーブ62と可動シーブ63とを備えている。固定シーブ62および可動シーブ63は、相対向する一対のシーブ面62a,63aをそれぞれ有している。各シーブ面62a,63aは円錐面状の傾斜面を含んでいる。これらシーブ面62a,63a間に溝が区画され、この溝によってチェーン1を強圧に挟んで保持するようになっている。
また、可動シーブ63には、溝幅を変更するための油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、変速時に、入力軸61の軸方向(図2の左右方向)に可動シーブ63を移動させることにより、溝幅を変化させるようになっている。それにより、入力軸61の径方向(図2の上下方向)にチェーン1を移動させて、プーリ60のチェーン1に関する有効半径(以下、プーリ60の有効半径ともいう)を変更できるようになっている。
一方、ドリブンプーリ70は、図1および図2に示すように、駆動輪(図示せず)に動力伝達可能に連なる出力軸71に同行回転可能に取り付けられており、ドライブプーリ60と同様に、チェーン1を強圧で挟む溝を形成するための相対向する一対のシーブ面73a,72aをそれぞれ有する固定シーブ73および可動シーブ72を備えている。
ドリブンプーリ70の可動シーブ72には、ドライブプーリ60の可動シーブ63と同様に油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、変速時に、この可動シーブ72を移動させることにより溝幅を変化させるようになっている。それにより、チェーン1を移動させて、プーリ70のチェーン1に関する有効半径(以下、プーリ70の有効半径ともいう)を変更できるようになっている。
ドリブンプーリ70の可動シーブ72には、ドライブプーリ60の可動シーブ63と同様に油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、変速時に、この可動シーブ72を移動させることにより溝幅を変化させるようになっている。それにより、チェーン1を移動させて、プーリ70のチェーン1に関する有効半径(以下、プーリ70の有効半径ともいう)を変更できるようになっている。
図3は、チェーン1の要部の一部断面図である。図4は、図3のIV−IV線に沿う一部断面図である。なお、以下では、チェーン1の直線領域を基準として説明する。図3および図4を参照して、チェーン1は、複数のリンクプレート2と、これらのリンクプレート2を互いに屈曲可能に連結する複数の連結部材50とを備えている。
以下では、チェーン1の進行方向に沿う方向をチェーン進行方向Xといい、チェーン進行方向Xに直交し且つ連結部材50の長手方向に沿う方向をチェーン幅方向Wといい、チェーン進行方向Xおよびチェーン幅方向Wの双方に直交する方向を直交方向Vという。
以下では、チェーン1の進行方向に沿う方向をチェーン進行方向Xといい、チェーン進行方向Xに直交し且つ連結部材50の長手方向に沿う方向をチェーン幅方向Wといい、チェーン進行方向Xおよびチェーン幅方向Wの双方に直交する方向を直交方向Vという。
各リンクプレート2は、チェーン進行方向Xの前後に並ぶ一対の端部としての前端部5および後端部6、ならびにこれら前端部5および後端部6間に配置される中間部7を含んでいる。
前端部5および後端部6には、一対の貫通孔の一方としての前貫通孔9、および一対の貫通孔の他方としての後貫通孔10がそれぞれ形成されている。中間部7は、前貫通孔9および後貫通孔10間を仕切る柱部8を有している。
前端部5および後端部6には、一対の貫通孔の一方としての前貫通孔9、および一対の貫通孔の他方としての後貫通孔10がそれぞれ形成されている。中間部7は、前貫通孔9および後貫通孔10間を仕切る柱部8を有している。
リンクプレート2を用いて、チェーン進行方向Xに並ぶ複数のリンクユニット51,52,53,…,…(図3において、リンクユニット51〜53を例示)が形成されている。各リンクユニット51,52,53,…は、それぞれ、チェーン幅方向Wに並ぶ複数のリンクプレート2を含んでいる。
各リンクユニット51,52,53,…のリンクプレート2はそれぞれ、対応する連結部材50を用いて、対応するリンクユニット51,52,53,…のリンクプレート2と屈曲可能に連結されている。
各リンクユニット51,52,53,…のリンクプレート2はそれぞれ、対応する連結部材50を用いて、対応するリンクユニット51,52,53,…のリンクプレート2と屈曲可能に連結されている。
具体的には、一のリンクユニットのリンクプレート2の前貫通孔9と、チェーン進行方向Xに関して当該一のリンクユニットに隣接するリンクプレート2の後貫通孔10とが、チェーン幅方向Wに並んで配置されており、これらの貫通孔9,10を挿通する連結部材50によって、チェーン進行方向Xに隣り合うリンクプレート2同士が連結されている。これにより、無端状をなすチェーン1が形成されている。
各連結部材50は、対をなす第1および第2のピン3,4を含んでおり、これら第1および第2のピン3,4は、対応するリンクプレート2同士の屈曲に伴い互いに転がり摺動接触するようになっている。なお、転がり摺動接触とは、転がり接触およびすべり接触の少なくとも一方を含む接触のことをいう。
第1のピン3は、チェーン幅方向Wに延びる長尺の第1の動力伝達部材である。第1のピン3の周面11は、滑らかな面に形成されており、チェーン進行方向Xの前方を向く対向部としての前部12と、直行方向Vに関する一端部14および他端部15とを有している。前部12は、対をなす第2のピン4と対向しており、第2のピン4の後述する後部19と接触部T(チェーン幅方向Wからみて、接触点)で転がり摺動接触している。
第1のピン3は、チェーン幅方向Wに延びる長尺の第1の動力伝達部材である。第1のピン3の周面11は、滑らかな面に形成されており、チェーン進行方向Xの前方を向く対向部としての前部12と、直行方向Vに関する一端部14および他端部15とを有している。前部12は、対をなす第2のピン4と対向しており、第2のピン4の後述する後部19と接触部T(チェーン幅方向Wからみて、接触点)で転がり摺動接触している。
第1のピン3の長手方向(チェーン幅方向W)に関する一対の端部16は、チェーン幅方向Wの一対の端部に配置されるリンクプレート2からチェーン幅方向Wにそれぞれ突出している。これら一対の端部16には、一対の動力伝達部としての端面17がそれぞれ設けられている。
図2および図4を参照して、これらの端面17は、各プーリ60,70の対応するシーブ面62a,63a,72a,73aに潤滑油膜を介して動力伝達可能に係合するためのものである。
図2および図4を参照して、これらの端面17は、各プーリ60,70の対応するシーブ面62a,63a,72a,73aに潤滑油膜を介して動力伝達可能に係合するためのものである。
第1のピン3は、上記対応するシーブ面62a,63a,72a,73a間に挟持され、これにより、第1のピン3の端面17の接触領域13と各プーリ60,70との間で動力が伝達される。第1のピン3は、その接触領域13が直接動力伝達に寄与するため、例えば、軸受用鋼(SUJ2)等の高強度且つ耐摩耗性に優れた材料で形成されている。チェーン幅方向Wに沿って見て、接触領域13は、例えば楕円形形状をなしており、この楕円の中心が接触中心点Cとなっている。
図3および図4を参照して、第2のピン4(ストリップ、またはインターピースともいう)は、第1のピン3と同様の材料により形成された、チェーン幅方向Wに延びる長尺の部材である。第2のピン4は、その一対の端部が上記各プーリのシーブ面に接触しないように、第1のピン3よりも短く形成されている。
第2のピン4の周面18は、チェーン幅方向Wに延びている。この周面18は、チェーン進行方向Xの後方を向く対向部としての後部19と、直行方向Vに関する一端部20および他端部21とを有している。後部19は、チェーン進行方向Xと直交する平坦面を含んでいる。この後部19の平坦面は、対をなす第1のピン3の前部12と対向している。一端部20および他端部21のそれぞれに、鍔部22,23が形成されている。鍔部22,23は、それぞれ、第2のピン4の主体部24に対してチェーン進行方向Xの後方に延びるように形成されており、対応する前貫通孔9の周面との接触面積が大きくなるようにされている。
第2のピン4の周面18は、チェーン幅方向Wに延びている。この周面18は、チェーン進行方向Xの後方を向く対向部としての後部19と、直行方向Vに関する一端部20および他端部21とを有している。後部19は、チェーン進行方向Xと直交する平坦面を含んでいる。この後部19の平坦面は、対をなす第1のピン3の前部12と対向している。一端部20および他端部21のそれぞれに、鍔部22,23が形成されている。鍔部22,23は、それぞれ、第2のピン4の主体部24に対してチェーン進行方向Xの後方に延びるように形成されており、対応する前貫通孔9の周面との接触面積が大きくなるようにされている。
チェーン1は、いわゆる圧入タイプのチェーンとされている。具体的には、各リンクプレート2の前貫通孔9には、第1のピン3が相対移動可能に嵌合されているとともに、この第1のピン3と対をなす第2のピン4が圧入固定され、各リンクプレート2の後貫通孔10には、第1のピン3が圧入固定されているとともに、この第1のピン3と対をなす第2のピン4が相対移動可能に嵌合されている。
直交方向Vに関する前貫通孔9の一端部および他端部には、それぞれ、第2のピン4が圧接される被圧接部25,26が設けられている。一方の被圧接部25は、第2のピン4の一端部20に圧接されて直交方向Vの一方(チェーン外径側)に押圧されている。他方の被圧接部26は、第2のピン4の他端部21に圧接されて直交方向Vの他方(チェーン内径側)に押圧されている。
直交方向Vに関する後貫通孔10の一端部および他端部には、それぞれ、第1のピン3が圧接される被圧接部27,28が設けられている。一方の被圧接部27は、第1のピン3の一端部14に圧接されて直交方向Vの一方に押圧されている。他方の被圧接部28は、第1のピン3の他端部15に圧接されて直交方向Vの他方に押圧されている。
上記の構成により、第1のピン3の前部12と対をなす第2のピン4の後部19の平坦部とは、チェーン進行方向Xに隣接するリンクプレート2間の屈曲に伴って、接触部T上で互いに転がり摺動接触する。
上記の構成により、第1のピン3の前部12と対をなす第2のピン4の後部19の平坦部とは、チェーン進行方向Xに隣接するリンクプレート2間の屈曲に伴って、接触部T上で互いに転がり摺動接触する。
チェーン幅方向Wに沿ってみて、前部12のうち、第2のピン4の後部19と接触可能な部分の形状は、例えば、インボリュート曲線とされている。これにより、隣接するリンクプレート2同士が屈曲する際に、対応する第1および第2のピン3,4が滑らかに転がり接触でき、リンクプレート2同士の滑らかな屈曲を達成してチェーン1の弦振動的な運動を抑制できる。
図5(A)はリンクプレート2の斜視図であり、図5(B)は図5(A)のVB−VB線に沿う断面図である。図5(A)および図5(B)を参照して、本実施の形態の特徴の1つは、リンクプレート2は、素材をプレス加工により打ち抜く工程を経て形成されており、相対的に厚肉の厚肉部29と、打ち抜きによるリンクプレート2の反りを抑制するために相対的に薄肉にされた薄肉部30とを含んでいる点にある。
リンクプレート2の素材としては、炭素鋼(Carbon Steel)や高張力低合金鋼(HSLA Steel)等を用いて形成された鋼板を例示することができる。
また、リンクプレート2を形成する際のプレス加工方法として、ポンチとダイの組み合わせ金型を用いたプレス加工や、ポンチとダイに加え、板押さえおよび逆押さえを含む組み合わせ金型を用いたファインブランキング加工を例示することができる。
また、リンクプレート2を形成する際のプレス加工方法として、ポンチとダイの組み合わせ金型を用いたプレス加工や、ポンチとダイに加え、板押さえおよび逆押さえを含む組み合わせ金型を用いたファインブランキング加工を例示することができる。
薄肉部30は、リンクプレート2のうちの柱部8に形成されている。直交方向Vに関して、柱部8の位置は少なくとも一方の貫通孔9,10の位置と重なっている。
薄肉部30は、リンクプレート2の一対の側面31,32の少なくとも一方(本実施の形態において、双方)を窪ますことにより形成されており、柱部8の少なくとも一部に配置されている。薄肉部30における一方の側面31の窪み量D1と、他方の側面32の窪み量D2とは、概ね等しくされている。
薄肉部30は、リンクプレート2の一対の側面31,32の少なくとも一方(本実施の形態において、双方)を窪ますことにより形成されており、柱部8の少なくとも一部に配置されている。薄肉部30における一方の側面31の窪み量D1と、他方の側面32の窪み量D2とは、概ね等しくされている。
厚肉部29は、リンクプレート2のうちの薄肉部30以外の部分に形成されている。厚肉部29と薄肉部30とは、肉厚変化部33を介して接続されている。肉厚変化部33は、薄肉部30から厚肉部29側に進むに従い肉厚が連続的に増している。
リンクプレート2は、例えば、以下のようにして製造される。すなわち、図6(A)を参照して、まず、リンクプレート2の素材34を用意する。リンクプレート2の素材としては、前述した鋼板を例示することができる。
リンクプレート2は、例えば、以下のようにして製造される。すなわち、図6(A)を参照して、まず、リンクプレート2の素材34を用意する。リンクプレート2の素材としては、前述した鋼板を例示することができる。
次に、図6(B)に示すように、リンクプレート2の一対の側面31,32に対応する素材34の一対の側面35,36のそれぞれに、リンクプレート2の薄肉部30に対応する薄肉部37を形成する。薄肉部30の形成は、ポンチ38を用いて素材34の一対の側面35,36のそれぞれの所定部を加圧することにより行われる。薄肉部37は、例えば、平面視において矩形形状に形成される。
次に、図6(C)に示すようにポンチ39を用意し、図6(D)に示すように、ポンチ39の加圧によって素材34にプレス加工が施されることにより、リンクプレート2の一対の貫通孔9,10に対応する一対の貫通孔40,41が打ち抜かれる。
図6(E)を参照して、リンクプレート2の外周縁42の内側に対応する部分43は、貫通孔40,41が形成された後に素材34から打ち抜かれてもよいし、貫通孔40,41が形成されるときに一括して素材34から打ち抜かれてもよいし、貫通孔40,41が形成される前に素材34から打ち抜かれていてもよい。
図6(E)を参照して、リンクプレート2の外周縁42の内側に対応する部分43は、貫通孔40,41が形成された後に素材34から打ち抜かれてもよいし、貫通孔40,41が形成されるときに一括して素材34から打ち抜かれてもよいし、貫通孔40,41が形成される前に素材34から打ち抜かれていてもよい。
なお、ポンチ39を用いたプレス加工は、ポンチ39とダイ(図示せず)を用いたプレス加工でもよいし、ポンチ39とダイに加え、板押さえおよび逆押さえ(図示せず)を用いたファインブランキング加工でもよい。
以上の次第で、本実施の形態によれば、リンクプレート2に、厚肉部29と比べて可撓性に優れる薄肉部30を設けていることにより、プレス加工を施して形成されたリンクプレート2の反りを抑制できる。その結果、チェーン1がその幅方向Wに曲がった状態となることを抑制でき、チェーン1内の応力の低減を通じて実用上の耐久性および許容伝達容量の双方を向上できる。
以上の次第で、本実施の形態によれば、リンクプレート2に、厚肉部29と比べて可撓性に優れる薄肉部30を設けていることにより、プレス加工を施して形成されたリンクプレート2の反りを抑制できる。その結果、チェーン1がその幅方向Wに曲がった状態となることを抑制でき、チェーン1内の応力の低減を通じて実用上の耐久性および許容伝達容量の双方を向上できる。
また、チェーン1に引張力が作用したとき、リンクプレート2には、連結部材50によって、リンクプレート2をチェーン進行方向Xに引っ張る力が作用するが、柱部8にはこの引っ張る力がほとんど作用しないことから、柱部8に作用する負荷は小さい。このように、チェーン1の駆動時における負荷の小さいリンクプレート2の柱部8に薄肉部30を設けていることにより、リンクプレート2に十分な強度を確保しつつ、リンクプレート2の反りを確実に低減できる。
また、リンクプレート2を製造する際、薄肉部30が形成された素材34にプレス加工により一対の貫通孔40,41を打ち抜くようにしている。このように、一対の貫通孔40,41の打ち抜きに先立って薄肉部30を形成しておくことにより、この打ち抜きに起因するリンクプレート2の反りを確実に抑制することができる。
さらに、素材34の一対の貫通孔40,41の打ち抜き方向と、薄肉部37形成のための加圧方向とが同じ方向であるので、加圧工程を、上記プレス加工の一連の工程として実施することが可能であり、製造が容易になる。
さらに、素材34の一対の貫通孔40,41の打ち抜き方向と、薄肉部37形成のための加圧方向とが同じ方向であるので、加圧工程を、上記プレス加工の一連の工程として実施することが可能であり、製造が容易になる。
また、薄肉部30を形成することによりリンクプレート2を軽量にできるので、チェーン1の駆動時にチェーン1に作用する遠心力を低減でき、チェーン1の負荷をより少なくできる。
以上より、実用上の耐久性に優れるとともに、許容伝達容量の大きな無段変速機100を実現できる。
以上より、実用上の耐久性に優れるとともに、許容伝達容量の大きな無段変速機100を実現できる。
本発明は、以上の各実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。例えば、図7に示すように、リンクプレート2の厚肉部29Aと薄肉部30Aとの間にリンクプレート2の厚み方向に延びる段部44を形成してもよい。これにより、リンクプレート2の薄肉部30Aと厚肉部29Aとの境界において、リンクプレート2の肉厚が不連続に変化している。
また、本発明は、ピンに一体に形成され、ピンに対してチェーン幅方向の両側に突出する動力伝達ブロックを含む、いわゆるブロックタイプチェーンに適用できる。
また、ドライブプーリ60およびドリブンプーリ70の双方の溝幅が変動する態様に限定されるものではなく、何れか一方の溝幅のみが変動し、他方が変動しない固定幅にした態様であっても良い。さらに、上記では溝幅が連続的(無段階)に変動する態様について説明したが、段階的に変動したり、固定式(無変速)である等の他の動力伝達装置に適用しても良い。
また、ドライブプーリ60およびドリブンプーリ70の双方の溝幅が変動する態様に限定されるものではなく、何れか一方の溝幅のみが変動し、他方が変動しない固定幅にした態様であっても良い。さらに、上記では溝幅が連続的(無段階)に変動する態様について説明したが、段階的に変動したり、固定式(無変速)である等の他の動力伝達装置に適用しても良い。
1…動力伝達チェーン、2…リンクプレート、8…柱部、9…前貫通孔(一対の貫通孔の一方)、10…後貫通孔(一対の貫通孔の他方)、29,29A…厚肉部、30,30A…薄肉部、34…素材、37…(素材の)薄肉部、40,41…(素材の)貫通孔、50…連結部材、60,70…プーリ、62a,63a,72a,73a…シーブ面、100…無段変速機(動力伝達装置)X…チェーン進行方向。
Claims (5)
- チェーン進行方向に並ぶ複数のリンクプレートと、これらのリンクプレートを互いに屈曲可能に連結する複数の連結部材とを備え、
各上記リンクプレートは、素材をプレス加工により打ち抜く工程を経て形成されており、相対的に厚肉の厚肉部と、打ち抜きによるリンクプレートの反りを抑制するために相対的に薄肉にされた薄肉部とを含むことを特徴とする動力伝達チェーン。 - 請求項1において、各上記リンクプレートは、チェーン進行方向に並び連結部材がそれぞれ挿通される一対の貫通孔と、一対の貫通孔間を仕切る柱部とを含み、
上記柱部に薄肉部が配置されている動力伝達チェーン。 - 請求項1または2に記載の動力伝達チェーンに用いられるリンクプレートの製造方法において、
板状の素材にリンクプレートの薄肉部に対応する薄肉部を形成する工程と、
薄肉部が形成された素材にプレス加工により一対の貫通孔を打ち抜く工程とを含むリンクプレートの製造方法。 - 請求項3において、上記薄肉部を形成する工程では、加圧により薄肉部が形成されるリンクプレートの製造方法。
- 相対向する一対の円錐面状のシーブ面をそれぞれ有する第1および第2のプーリと、これらのプーリ間に巻き掛けられ、シーブ面に係合して動力を伝達する請求項1または2記載の動力伝達チェーンとを備える動力伝達装置。
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JP2007274467A JP2009103188A (ja) | 2007-10-22 | 2007-10-22 | 動力伝達チェーン、動力伝達チェーンに用いられるリンクプレートの製造方法および動力伝達装置 |
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