JP2009190514A - 車両用乗員保護システム及び車両用乗員保護制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シートバックの高速移動を効果的に報知する車両用乗員保護システム及び車両用乗員保護制御装置を提供する。
【解決手段】衝突を予知するための衝突予知手段と、シートバックの姿勢を対衝突に適した基本姿勢とこの基本姿勢から平伏姿勢方向に揺動したリクライニング姿勢との間で変更するアクチュエータの動作を制御する制御手段とを備えた車両用乗員保護システム。衝突予知が出力されると、シートバックを介して当該シートバックの着座者に衝撃を与える衝撃挙動モードでアクチュエータを動作させた後に、衝撃挙動モードとは異なる挙動をシートバックに与える緊急復帰モードでシートバックを基本姿勢へ高速復帰させる。
【選択図】図5
【解決手段】衝突を予知するための衝突予知手段と、シートバックの姿勢を対衝突に適した基本姿勢とこの基本姿勢から平伏姿勢方向に揺動したリクライニング姿勢との間で変更するアクチュエータの動作を制御する制御手段とを備えた車両用乗員保護システム。衝突予知が出力されると、シートバックを介して当該シートバックの着座者に衝撃を与える衝撃挙動モードでアクチュエータを動作させた後に、衝撃挙動モードとは異なる挙動をシートバックに与える緊急復帰モードでシートバックを基本姿勢へ高速復帰させる。
【選択図】図5
Description
本発明は、衝突予知機能を備えた車両において、衝突を予知した際に、リクライニング姿勢のシートバックを着座乗員の保護のために対衝突に適した基本姿勢に姿勢変更する車両用乗員保護システム及び車両用乗員保護制御装置に関する。
一般に自動車等の車両では、衝突等の緊急時にシートに着座している乗員の安全を確保するため、車両構造や座席構造が考慮され、さらにはエアバックやシートベルトなどの保護器具を有効に作動させる構成を採用している。しかしながら、このような安全対策は、一般的には、シートバックが予め設定されている対衝突に適した基本姿勢である場合に、最も効果的に機能するように講じられている。従って、衝突予知発生時において、シートバックが基本姿勢から外れて傾斜したリクライニング姿勢にある場合には、衝突の前にシートバックを基本姿勢に復帰させることが重要である。衝突予知の発生から衝突までの時間は極めて短いので、短時間でシートバックを基本姿勢に復帰させなければならない。このため、衝突予知がなされた緊急時には、通常時の姿勢変更速度より高速でリクライニング姿勢から基本姿勢に復帰させる車両用乗員保護システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
緊急時にシートバックをリクライニング姿勢から基本姿勢に高速で復帰させる構成は衝突時の乗員保護にとって大きな利点であり、加えて、ブザーや音声でシートバックの高速移動を報知することが望ましい。ところが、高速移動と同時に報知すると、不意の高速移動の驚きによりブザーや音声を冷静に聞き取れない可能性がある。また、高速移動に先だって報知する場合では、乗員にブザーや音声を通じて高速移動が始まることを理解してもらうためにある程度余裕をもった報知時間が必要となる。従って、その報知時間がシートバックを基本姿勢に復帰させる際の重大な遅れ時間となってしまう可能性がある。
上記実状に鑑み、本発明の課題は、シートバックの高速移動を効果的に報知する車両用乗員保護システム及び車両用乗員保護制御装置を提供することである。
上記実状に鑑み、本発明の課題は、シートバックの高速移動を効果的に報知する車両用乗員保護システム及び車両用乗員保護制御装置を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明による車両用乗員保護システムは、衝突を予知するための衝突予知手段と、揺動可能なシートバックを有するシートと、前記シートバックの姿勢を対衝突に適した基本姿勢とこの基本姿勢から平伏姿勢方向に揺動したリクライニング姿勢との間で変更するアクチュエータ駆動式リクライニング機構と、前記リクライニング機構のアクチュエータの動作を制御する制御手段とを備え、前記衝突予知手段によって衝突予知が出力されると、前記制御手段は、前記シートバックを介して当該シートバックの着座者に衝撃を与える衝撃挙動モードで前記アクチュエータを動作させた後に、前記衝撃挙動モードとは異なる緊急復帰モードで前記シートバックを前記基本姿勢へ高速復帰させるように前記アクチュエータを動作させるよう構成している。
この構成によれば、衝突予知が出力されると、まず、シートバックは着座者に衝撃を与えるように衝撃挙動モードで動作し、着座者に体感的に緊急事態の発生を報知する。その後、緊急復帰モードでシートバックを前記基本姿勢へ高速復帰させる。つまり、衝突予知に伴うシートバックの高速移動の前に、同じシートバックによって衝撃を伝えられるので、着座者はこの衝撃がシートバックの次なる高速復帰の合図であると体感的に把握しやすくなる。
衝撃挙動モードによるシートバックの挙動の具体的な一例として、前記アクチュエータはシートバック復帰方向への加速と減速とを少なくとも1回繰り返すことが提案される。人間は、着座しているシートの間欠的な動きに対して敏感に反応することができる。よって、このような加速と減速は、着座者に衝撃を与える挙動として効果的である。なお、より明確な衝撃を着座者に与えるために、減速において実質的なシートバックの停止にまで至る減速を考慮してもよい。この場合、前記アクチュエータはシートバック復帰方向への加速と停止とを少なくとも1回繰り返すことになる。また、この加速及び減速をシートバックの基本姿勢への復帰方向で行うと、この動作においてもシートバックを基本姿勢に近づけていくことになる。従って、リクライニング姿勢から基本姿勢への姿勢変更過程における、この衝撃挙動モードでの挙動による遅れ時間は、ほとんど無視できる程度に抑えることができる。
上述した衝撃挙動モードでのシートバック挙動は着座者に体感的に衝撃を与えるものであるので、短時間で効果が得られる。従って、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記衝撃挙動モードは前記アクチュエータを数十ミリ秒から数百ミリ秒動作させることにより作り出される。これにより、実施的な遅れ時間を生じることなしに、前もって着座者にシートバックの高速移動を効果的に報知することができる。
また、本発明に係る車両用乗員保護システムは、さらに、前記シートバックの揺動角度を検知する姿勢検知手段が備えられており、前記衝突予知手段によって衝突予知が出力された時の前記揺動角度が所定角度範囲に入っている場合、前記緊急復帰モードでの前記シートバックの前記基本姿勢への高速復帰が禁止されることを特徴とする。シートバックがほぼ平伏姿勢のようなリクライニング姿勢の場合、基本姿勢への高速復帰が時間的に間に合わないという問題や、平伏姿勢からの姿勢変更時にシートベルトの絡みつきなどの副次的な問題が生じうる。このような問題は、予め基本姿勢への高速復帰を禁止するシートバックの揺動角度範囲(姿勢範囲)を設定しておくことで解消できる。衝突予知が出力された時に検知されたシートバックの揺動角度が復帰禁止の揺動角度範囲内に入っていると、シートバックの基本姿勢への高速復帰が禁止されるからである。
さらに、本発明は、上述した車両用乗員保護システムに組み込まれる、車両用乗員保護制御装置も発明対象としている。つまり、本発明による車両用乗員保護制御装置は、車両用シートのシートバックを揺動するアクチュエータを駆動制御し、該シートバックの姿勢を、対衝突に適した基本姿勢とこの基本姿勢から平伏姿勢方向に揺動したリクライニング姿勢との間で変更する制御手段を備え、前記制御手段は、衝突を予知するための衝突予知手段から衝突予知信号が出力されると、前記シートバックを介して当該シートバックの着座者に衝撃を与える衝撃挙動モードで前記アクチュエータを動作させた後に、前記衝撃挙動モードとは異なる挙動を前記シートバックに与える緊急復帰モードで前記シートバックを前記基本姿勢へ高速復帰させるように前記アクチュエータを動作させる。このような特徴構成を有する車両用乗員保護制御装置では、衝突予知が出力されると、制御手段は、まず、着座者に衝撃を与えるように衝撃挙動モードでシートバックを動作させ、着座者に体感的に緊急事態の発生を報知する。その後、制御手段は、緊急復帰モードでシートバックを前記基本姿勢へ高速復帰させる。これにより、衝突予知に伴うシートバックの高速移動の前に、同じシートバックによって衝撃を伝えられるので、着座者はこの衝撃がシートバックの次なる高速復帰の合図であると体感的に把握しやすくなる。
以下に、本発明に係る車両の車両用乗員保護システム及びこの車両用乗員保護システムに採用されている車両用乗員保護制御装置を、自動車のシートに適用した実施形態について図面に基づいて説明する。図1と図2は本実施形態に係る車両用乗員保護システムのシート1を示す側面図と斜視図、図3は本実施形態に係る車両の車両用乗員保護システムの制御ブロック図である。尚、本実施形態では、シート1は、運転者が乗車する運転席を例示しているが、これに限らず、助手席側のシートや後部座席等にも適用可能である。
図1〜2に示したように、本実施形態に係るシート1は、シートバック10、シートクッション11、及びヘッドレスト12を備えている。シートバック10は、所定の支点13を介してシートクッション11に揺動自在(所定範囲で回動可能)に支持されており、リクライニング機構2によりシートバック10のシートクッション11に対する傾斜角度が変更可能である。シートクッション11は、シートスライド機構14を介して前後方向にスライド動作可能に車両の床面に取り付けられている。また、シートクッション11の前部には、図示されていないフロントバーチカル機構が設けられており、座面前部の上下方向の突出量を変更可能である。
本実施形態における車両用乗員保護システムは、車両の衝突を予知したとき等の緊急時に、シートクッション10をその着座者の保護に適した姿勢位置に復帰動作させる、所謂プリクラッシュシートシステムである。この出願では、衝突に対して着座者に適したシートバック10の姿勢を基本姿勢と称し、この基本姿勢から平伏姿勢方向に揺動した姿勢をリクライニング姿勢と称している。また、衝突予知は、車両の衝突のみならず、横転や転覆のような恐れがある緊急事態においても出力される。
リクライニング機構2は、制御手段を組み込んでいる車両用乗員保護制御装置である乗員保護ECU50からの駆動信号に従って動作するアクチュエータとしてのリクライニングモータ20と非図示の伝動機構とを備えている。この伝動機構は、公知の構造を有し、リクライニングモータ20からの回転力を支点13周りでシートバック10を揺動する力に変更する。リクライニングモータ20の回転にともなってシートバック10が揺動することにより、シートバック10の姿勢が基本姿勢とリクライニング姿勢との間で変更可能である。
また、シートスライド機構14も、乗員保護ECU50からの制御信号に従って動作するシートスライドモータ14aによりシートクッション11を前後方向にスライド動作させることができる。
また、シートスライド機構14も、乗員保護ECU50からの制御信号に従って動作するシートスライドモータ14aによりシートクッション11を前後方向にスライド動作させることができる。
リクライニング機構2には、さらに、シートバック10の揺動角度を検知する姿勢検知手段としてのリクライニング角度検知センサ21が設けられている。シートスライド機構14にも、シートクッション11の前後方向のスライド位置を検知するスライド位置検知センサ14bが設けられている。リクライニング角度検知センサ21やスライド位置検知センサ14bには、例えば、ポテンショメータやロータリエンコーダ等の角度計測機器、或いは、リニアポテンショメータやリニアエンコーダ等の長さ計測機器等を用いることができる。
また、シート1には、リクライニング機構2を通じて、シートバック10を任意の姿勢に設定するためのリクライニング操作スイッチ22を含む、各種シート操作スイッチを配備した操作スイッチユニット15が備えられている。操作スイッチユニット15の各操作スイッチの操作量や操作時間等に応じた操作信号は、乗員保護ECU50に入力される。
さらに、この車両の適当な箇所に、衝突予知手段4の構成要素の1つである衝突予知センサ41が設けられている。衝突予知センサ41は、例えば、車両の周囲に存在する障害物を検出するミリ波レーダや画像認識装置等を利用して構成される。この衝突予知センサ41からの出力信号は、運転状況ECU40に入力される。運転状況ECU40においては、衝突予知センサ41からの出力信号に基づいて、障害物までの距離や相対速度等の情報が演算されるとともに、それらの情報に基づいて一定の判断条件の下に車両が衝突する可能性が評価される。衝突予知が評価された場合、その衝突予知情報が運転状況ECU40から乗員保護ECU50に出力される。
また、運転状況ECU40は、車両の前輪や後輪の横滑りをセンサ等により検知し、各車輪のブレーキやエンジンの出力を制御することにより車両の安定性を確保するためにも利用される。この車両安定制御が要求される場合にも、車両の衝突の可能性があると判断できることから、これによっても衝突予知情報を作り出すことができる。従って、本実施形態においては、これらの衝突予知センサ41や車両安定制御のためのセンサ群、及びこれらのセンサ信号に基づいて車両の衝突の可能性を判断する運転状況ECU40が、本発明の衝突予知手段4を構成する。
乗員保護ECU50は、バッテリやイグニッションスイッチと接続されている電源回路51、運転状況ECU60と接続されている衝突予知情報入力部52、制御部53、リクライニングモータ20と接続されているモータ駆動回路54、リクライニング角度検知センサ21と接続されているセンサ入力回路55、操作スイッチユニット15と接続されているスイッチ信号入力回路57などを備えている。
本発明の制御手段の中核要素として機能する制御部53は、実質的にはマイコンで構成されており、インストールされたプログラムによって種々の機能を作り出している。本発明に特に関係する機能としては、センサ入力回路55からのセンサ情報やスイッチ信号入力回路57からのスイッチ状態情報に基づいてシートバック10の姿勢を算定するシートバック姿勢算定部531、モータ駆動回路54にモータ制御信号を出力するモータ制御部532、リクライニングモータ20に対する制御モードを決定するモータ駆動モード決定部533が挙げられる。
モータ駆動モード決定部533によって決定されるモータ駆動モードは、通常モードと緊急モードに分けられ、この緊急モードは衝撃挙動モードと緊急復帰モードを含んでいる。通常モードは、衝突予知手段4から衝突予知が出力されていない場合に選択されるモードである。この通常モードでは、着座者によって操作されるリクライニング操作スイッチ22からの操作信号に基づいて、モータ制御部532が低速でリクライニングモータ20を制御して、シートバックを所望の姿勢に設定する。緊急モードは、衝突予知手段4から衝突予知が出力されている場合に選択されるモードである。この緊急モードでは、後で詳しく説明されるがシートバック10を介してこのシートバック10の着座者に衝撃を与えるようにリクライニングモータ20を動作させる衝撃挙動モードと、その後にシートバック10を基本姿勢へ高速復帰させるようにリクライニングモータ20を動作させる緊急復帰モードとが組み合わせられる。例えば、衝撃挙動モードでは、シートバック10を基本姿勢の方向に高速で移動するように、フルデューティでリクライニングモータ20を駆動し、その後、デューティ比を下げるか、又は零にして、シートバック10を減速ないしは停止させる。これを所定回数繰り返すことで(もちろん1回だけでもよい)、着座者に衝突予知に基づくシートバック10の高速移動を予め報知することができる。緊急復帰モードでは、フルデューティでリクライニングモータ20を駆動し、高速でシートバック10を基本姿勢に復帰させる。
このように本実施形態の車両用乗員保護システムは、衝突を予知するための衝突予知手段4を設け、衝突予知手段4によって衝突予知が出力されたときには、まず衝撃挙動モードで着座者にシートバック10の高速移動を報知し、その後、緊急復帰モードでシートバック10を、対衝突に適した基本姿勢に復帰させ、衝突に備える。
次に、図4のシートバック10のリクライニング姿勢から基本姿勢への移行過程を示す模式図と、図5のフローチャートを用いて、対衝突に備えたシートバック10の緊急姿勢変更制御ルーチンを説明する。この緊急姿勢変更制御ルーチンは、リクライニングモータ20を衝撃挙動モードと緊急復帰モードで動作させる制御過程を含んでいる。
この緊急姿勢変更制御ルーチンがスタートすると、まず初期設定が行われる(#01)。初期設定では、各タイマや各フラグや変数値がリセットされる。ここで使われる代表的なタイマは、第1タイマと第2タイマと第3タイマである。第1タイマは、衝撃挙動モードにおけるリクライニングモータ20の加速駆動時間(停止から加速駆動を経て到達する一定速度駆動を含む時間)を規定するタイマとして機能する。第2タイマは、衝撃挙動モードにおけるリクライニングモータ20の加速駆動時間後の停止時間(リクライニングモータ20に電力を与えない時間)を規定するタイマとして機能する。第3タイマは、緊急復帰モードにおけるリクライニングモータ20の駆動制限時間を規定するタイマとして機能する。この第3タイマの機能により、シートバック10が基本姿勢に到達しなくても、この駆動制限時間が経過すると、リクライニングモータ20は停止する。ここで使われる代表的なフラグは、復帰フラグと報知フラグと高速フラグである。復帰フラグはそのON状態(例えばフラグ値=「1」)で、シートバック10の緊急姿勢変更動作が実行中で衝撃挙動モードによる報知動作が終了していることを示す。報知フラグはそのON状態で、衝撃挙動モードによるシートバック10の動作が実行中であることを示す。高速フラグはそのON状態で、緊急復帰モードによるシートバック10の動作が実行中であることを示す。
初期設定が終了すると、まず、運転状況ECU40から衝突予知が出力され、乗員保護ECU50によって衝突予知が確認されているかどうかがチェックされる(#02)。衝突予知が出力されていない場合(#02No分岐)、復帰フラグの状態を調べて(#03)、復帰フラグの値が「1」でなければ(#03No分岐)、現時点で緊急姿勢変更動作が実行されていないので、ステップ#02に戻る。ステップ#03で復帰フラグの値が「1」又は報知フラグの値が「1」なら(#03Yes分岐)、緊急姿勢変更動作の実行中に突然衝突予知出力が解消されたことになる。従って、必要に応じた付加的な処理を行った後、この高速復帰制御が取り消されたとして、例えば、この緊急姿勢変更制御ルーチンを始めから再開するため、ステップ#01に戻る。
ステップ#02で衝突予知が出力されていた場合(#02Yes分岐)、復帰フラグの状態を調べる(#04)。復帰フラグの値が「0」の場合(#04Yes分岐)、シートバック姿勢算定部531によって算定されたシートバック10の現角度が、シートバック10の基本姿勢への復帰を行うべき領域であるかどうかチェックされる(#05)。シートバック10の現角度が基本姿勢の角度であるなら、もちろんシートバック10の基本姿勢への復帰を行う必要がない。また、シートバック10が極端な平伏姿勢となっており、その姿勢から基本姿勢への高速復帰がシートベルトの絡みなど別な問題を引き起こす可能性がある場合にも、シートバック10の基本姿勢への復帰は禁止される。従って、シートバック10の現角度がそのような基本姿勢復帰禁止領域に入っている場合(#05Yes分岐)、高速復帰制御が開始されずにステップ#02に戻る。
シートバック10の現角度が基本姿勢復帰禁止領域に入っていない場合(#05No分岐)、例えば、図4の(a)で示されているようなリクライニング姿勢の場合、衝撃挙動モードでリクライニングモータ20を動作させ、着座者にシートバック10の基本姿勢への高速復帰が行われることを前もって報知することになる。まず、報知フラグの状態を調べて(#06)、報知フラグの値が「1」でなければ(#06No分岐)、まだ、衝撃挙動モードでの報知動作が開始されていない。従って、リクライニングモータ20を駆動開始し(#07)、報知フラグに「1」を設定し(#08)、第1タイマをスタートさせ(#09)、ステップ#02に戻る。報知フラグの値が「1」となっていると(#06Yes分岐)、衝撃挙動モードでの報知動作が既に開始されていることになる。従って、第1タイマのタイマ値を、衝撃挙動モードにおけるリクライニングモータ20の加速駆動時間である所定のしきい値:T1と比較する(#10)。第1タイマのタイマ値がしきい値:T1を超えていない場合(#10No分岐)、リクライニングモータ20の駆動を続行する必要があるので、そのままステップ#02に戻る。なお、衝撃挙動モードにおける動作時間を規定するしきい値:T1としては数十ミリ秒から数百ミリ秒が好ましい。
第1タイマのタイマ値がしきい値:T1を超えた場合(#10Yes分岐)、所定時間のリクライニングモータ20の加速駆動が終了したことになるので、リクライニングモータ20への給電を中止して、リクライニングモータ20を停止させる(#11)。この衝撃挙動モードでのバックシート10の報知動作が所定回数:N行うために、変数:nをインクリメントし(#12)、インクリメントされた変数:nの値と所定回数:Nとを比較する(#13)。n=Nでない場合(#13No分岐)、まだ報知動作の所定回数に達していないので、さらなるバックシート10の報知動作を行う必要がある。このために、報知フラグに「0」を設定するとともに第1タイマをリセットし(#14)、ステップ#02に戻る。n=Nとなっている場合(#13Yes分岐)、報知動作が所定回数に達しているので、復帰フラグに「1」を設定し(#15)、第2タイマをスタートし(#16)、ステップ#02に戻る。
ステップ#15で復帰フラグに「1」が設定されていることは、ステップ#06からステップ#16までの衝撃挙動モードでの報知動作が終了していることを意味する。従って、ステップ#04でNo分岐し、緊急復帰モードによるシートバック10の基本姿勢への高速復帰動作が行われる。この衝撃挙動モードでの報知動作終了時点でのシートバック10の姿勢が図4の(b)で例示されており、この緊急復帰モードによる高速復帰動作によって図4の(c)で例示されている基本姿勢に復帰する。
最初に、この実施形態では、衝撃挙動モードでの動作から緊急復帰モードでの動作へ移行する際に、微小な休止時間:T2を設定しているので、この休止時間:T2と第2タイマのタイマ値を比較する(#17)。第2タイマのタイマ値が休止時間:T2を超えていない場合(#17No分岐)、そのままステップ#02に戻る。第2タイマのタイマ値が休止時間:T2を超えている場合(#17Yes分岐)、緊急復帰モードの制御に入る。まず、シートバック姿勢算定部531によって算定されたシートバック10の現角度が、シートバック10の基本姿勢に達しているかチェックされる(#18)。シートバック10が基本姿勢に復帰していると(#18Yes分岐)、リクライニングモータ20を停止させて(#19a)、ステップ#01に戻る。シートバック10が基本姿勢に復帰してなければ(#18No分岐)、高速フラグの状態を調べ(#20)、高速フラグの値が「1」でなければ(#20No分岐)、まだ、緊急復帰モードでの高速復帰動作が開始されていないことになる。従って、リクライニングモータ20にフルデューティの駆動信号でもって駆動を行う(#22)。さらに、第3タイマをスタートさせ(#23)、高速フラグに「1」を設定し(#24)、ステップ#02に戻る。ステップ#20で高速フラグの値が「1」となっている場合(#20No分岐)、第3タイマのタイマ値と緊急復帰モードにおけるリクライニングモータ20の駆動制限時間:T3を比較する(#21)。第3タイマのタイマ値が駆動制限時間:T3を超えていなければ(#21No分岐)、ステップ#02に戻され、衝突予知が取り消されていない限り、緊急復帰モードでの高速復帰動作が続行される。第3タイマのタイマ値が駆動制限時間:T3を超えた場合(#21Yes分岐)、緊急復帰モードでの高速復帰動作を打ち切るために、リクライニングモータ20を停止させて(#19b)、ステップ#01に戻るか、又は緊急避難的な異常リカバリ処理を行う。
以上のように、衝撃挙動モードでの報知動作と、緊急復帰モードでの高速復帰動作を組み合わせることにより、シートバック10の高速移動を効果的に報知する車両用乗員保護システムを実現することができる。
〔別実施の形態〕
上記実施の形態の説明では、衝撃挙動モードでのバックシート10の報知動作を加速駆動時間である所定のしきい値:T1を用いた時間制御で区切っていたが、これに代えて、バックシートの変位量である揺動角度のしきい値:αを用いた位置制御で区切ってもよい。この場合での緊急姿勢変更制御ルーチンのフローチャートを図6に示している。図6のフローチャートは図5のフローチャートに較べ、ステップ#09とステップ10で行われる動作が異なっている。つまり、この別実施の形態では、ステップ#09では、第1タイマスタートさせることに代えて、その時点の揺動角度を基準角度:θ0として取り込む動作となっている。また、ステップ#10では、第1タイマ値とT1を比較することに代えて、その時点の揺動角度:θと前記基準角度:θ0の差をしきい値:αと比較する動作となっている。衝撃挙動モードでのバックシートの規定変位量であるしきい値:αは、その変位量を実現するために必要な時間がほぼ数十ミリ秒から数百ミリ秒となるように選択するとよい。これにより、衝撃挙動モードでの制御は、バックシートの移動が、しきい値:αによって規定される角度範囲に達すると終了する。
上記実施の形態の説明では、衝撃挙動モードでのバックシート10の報知動作を加速駆動時間である所定のしきい値:T1を用いた時間制御で区切っていたが、これに代えて、バックシートの変位量である揺動角度のしきい値:αを用いた位置制御で区切ってもよい。この場合での緊急姿勢変更制御ルーチンのフローチャートを図6に示している。図6のフローチャートは図5のフローチャートに較べ、ステップ#09とステップ10で行われる動作が異なっている。つまり、この別実施の形態では、ステップ#09では、第1タイマスタートさせることに代えて、その時点の揺動角度を基準角度:θ0として取り込む動作となっている。また、ステップ#10では、第1タイマ値とT1を比較することに代えて、その時点の揺動角度:θと前記基準角度:θ0の差をしきい値:αと比較する動作となっている。衝撃挙動モードでのバックシートの規定変位量であるしきい値:αは、その変位量を実現するために必要な時間がほぼ数十ミリ秒から数百ミリ秒となるように選択するとよい。これにより、衝撃挙動モードでの制御は、バックシートの移動が、しきい値:αによって規定される角度範囲に達すると終了する。
上記実施形態では、衝撃挙動モードでの動作から緊急復帰モードでの動作へ移行する際に微小な休止時間:T2を設定していたが、この休止時間を省いてもよい。
シートバック10を揺動させるアクチュエータとしてはモータ以外、電動シリンダやその他の駆動装置を用いることが可能である。また、本発明の車両用乗員保護システムは、他の乗員保護システム(例えば、エアバック、プリテンショナー付シートベルト、アクティブヘッドレスト等)の予備動作としても使用可能である。
1:シート
2:リクライニング機構
4:衝突予知手段
10:シートバック
20:リクライニングモータ(アクチュエータ)
21:リクライニング角度検知センサ(姿勢検知手段)
40:運転状況ECU
50:乗員保護ECU(車両用乗員保護制御装置)
2:リクライニング機構
4:衝突予知手段
10:シートバック
20:リクライニングモータ(アクチュエータ)
21:リクライニング角度検知センサ(姿勢検知手段)
40:運転状況ECU
50:乗員保護ECU(車両用乗員保護制御装置)
Claims (6)
- 衝突を予知するための衝突予知手段と、揺動可能なシートバックを有するシートと、前記シートバックの姿勢を対衝突に適した基本姿勢とこの基本姿勢から平伏姿勢方向に揺動したリクライニング姿勢との間で変更するアクチュエータ駆動式リクライニング機構と、前記リクライニング機構のアクチュエータの動作を制御する制御手段とを備え、
前記衝突予知手段によって衝突予知が出力されると、前記制御手段は、前記シートバックを介して当該シートバックの着座者に衝撃を与える衝撃挙動モードで前記アクチュエータを動作させた後に、前記衝撃挙動モードとは異なる挙動を前記シートバックに与える緊急復帰モードで前記シートバックを前記基本姿勢へ高速復帰させるように前記アクチュエータを動作させる車両用乗員保護システム。 - 前記衝撃挙動モードでは、前記アクチュエータはシートバック復帰方向への加速と減速とを少なくとも1回繰り返す請求項1に記載の車両用乗員保護システム。
- 前記衝撃挙動モードでは、前記アクチュエータはシートバック復帰方向への加速と停止とを少なくとも1回繰り返す請求項1に記載の車両用乗員保護システム。
- 前記衝撃挙動モードは前記アクチュエータを数十ミリ秒から数百ミリ秒動作させることにより作り出される請求項1又は2に記載の車両用乗員保護システム。
- 前記シートバックの揺動角度を検知する姿勢検知手段が備えられており、
前記衝突予知手段によって衝突予知が出力された時の前記揺動角度が所定角度範囲に入っている場合、前記緊急復帰モードでの前記シートバックの前記基本姿勢への高速復帰が禁止される請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用乗員保護システム。 - 車両用シートのシートバックを揺動するアクチュエータを駆動制御し、該シートバックの姿勢を、対衝突に適した基本姿勢とこの基本姿勢から平伏姿勢方向に揺動したリクライニング姿勢との間で変更する制御手段を備えた車両用乗員保護制御装置であって、
前記制御手段は、衝突を予知するための衝突予知手段から衝突予知信号が出力されると、前記シートバックを介して当該シートバックの着座者に衝撃を与える衝撃挙動モードで前記アクチュエータを動作させた後に、前記衝撃挙動モードとは異なる挙動を前記シートバックに与える緊急復帰モードで前記シートバックを前記基本姿勢へ高速復帰させるように前記アクチュエータを動作させる車両用乗員保護制御装置。
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JP2008031955A JP2009190514A (ja) | 2008-02-13 | 2008-02-13 | 車両用乗員保護システム及び車両用乗員保護制御装置 |
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---|---|---|---|
JP2008031955A JP2009190514A (ja) | 2008-02-13 | 2008-02-13 | 車両用乗員保護システム及び車両用乗員保護制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=41072928
Family Applications (1)
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JP2008031955A Pending JP2009190514A (ja) | 2008-02-13 | 2008-02-13 | 車両用乗員保護システム及び車両用乗員保護制御装置 |
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JP (1) | JP2009190514A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110116696A (zh) * | 2018-02-07 | 2019-08-13 | 株式会社斯巴鲁 | 乘员保护装置 |
JP2019166864A (ja) * | 2018-03-22 | 2019-10-03 | 株式会社ディスコ | シート |
-
2008
- 2008-02-13 JP JP2008031955A patent/JP2009190514A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110116696A (zh) * | 2018-02-07 | 2019-08-13 | 株式会社斯巴鲁 | 乘员保护装置 |
CN110116696B (zh) * | 2018-02-07 | 2023-02-17 | 株式会社斯巴鲁 | 乘员保护装置 |
JP2019166864A (ja) * | 2018-03-22 | 2019-10-03 | 株式会社ディスコ | シート |
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