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JP2009178482A - 生体情報測定装置 - Google Patents

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JP2009178482A
JP2009178482A JP2008022322A JP2008022322A JP2009178482A JP 2009178482 A JP2009178482 A JP 2009178482A JP 2008022322 A JP2008022322 A JP 2008022322A JP 2008022322 A JP2008022322 A JP 2008022322A JP 2009178482 A JP2009178482 A JP 2009178482A
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Masaru Minamiguchi
勝 南口
Shinji Uchida
真司 内田
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Abstract

【課題】鼓膜からの反射光を用いて、生体情報を非侵襲的かつ高精度に測定することができる生体情報測定装置を提供する。
【解決手段】耳孔内に向けて照射される赤外光を出射する赤外光源、赤外光を耳孔内に導く導光部、導光部の視野のうち、鼓膜を捉えている領域を認識する視野認識手段、赤外光の光路を横切る位置に配置され、赤外光が通過する領域を制御するシャッター、耳孔内において反射された赤外光の反射光を検出する赤外光検出器、及び反射光のうち、鼓膜において反射された反射光に起因する赤外光検出器の出力を用いて生体情報を算出する生体情報演算部を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、採血等を行わずに非侵襲的に生体情報、例えばグルコース濃度などの生体成分の濃度等を測定する生体情報測定装置に関するものである。
従来、非侵襲的に生体情報を測定する生体情報測定装置として、鼓膜に赤外光を照射し、鼓膜からの赤外反射光を計測して、グルコース濃度を算出する非侵襲血糖計が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、外耳道に収まる程度の大きさの鏡を備え、その鏡を耳孔内に挿入し、その鏡を通して、赤外光や熱線を照射するとともに、鼓膜において反射された光を検出し、検出結果からグルコース濃度を算出する装置が開示されている。
特表平5−506171号公報
しかし、外耳道は個人により屈曲度合いが異なり、また鼓膜の大きさも個人により異なるために、外耳道に鏡やプローブを挿入したときに鏡やプローブを通して見える視野には鼓膜だけはなく外耳道も含まれる。そのため、特許文献1に記載の装置では、鼓膜だけでなく外耳道にも赤外光が照射され、鼓膜と外耳道において反射した反射光を検出していた。外耳道の皮膚が鼓膜に比較して厚く、血液の供給は比較的深い位置で行われており、外耳道からの反射光は鼓膜からの反射光に比較し、血液の情報の含有量が少ないため、外耳道からの反射光はノイズとなる。したがって、特許文献1に記載の装置は、生体情報の測定精度が悪いという問題を有していた。
本発明は、従来の問題点に鑑み、鼓膜において反射した反射光を選択的に用いることにより、非侵襲的に高精度な測定をすることができる生体情報測定装置を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の生体情報測定装置は、耳孔内に向けて照射される赤外光を出射する赤外光源、前記赤外光を前記耳孔内に導く導光部、前記導光部の視野のうち、鼓膜を捉えている領域を認識する視野認識手段、前記赤外光の光路を横切る位置に配置され、前記赤外光が通過する領域を制御するシャッター、前記耳孔内において反射された前記赤外光の反射光を検出する赤外光検出器、及び前記反射光のうち、前記鼓膜において反射された反射光に起因する前記赤外光検出器の出力を用いて生体情報を算出する生体情報演算部を備える。
本発明の生体情報測定装置によれば、鼓膜からの反射光に起因する赤外光検出器の出力を用いて生体情報を算出することにより、ノイズとなる外耳道からの反射光の影響を抑制することができるため、生体情報を非侵襲的かつ高精度に測定することができる。
本発明の生体情報測定装置は、赤外光を耳孔内に導く導光部の視野のうち、鼓膜を捉えている領域を認識する手段と、赤外光の光路を横切る位置に配置され、赤外光が通過する領域を制御するシャッターとを備えているという特徴を有する。
本発明の生体情報測定装置は、耳孔内に向けて照射される赤外光を出射する赤外光源、前記赤外光を前記耳孔内に導く導光部、前記導光部の視野のうち、鼓膜を捉えている領域を認識する視野認識手段、前記赤外光の光路を横切る位置に配置され、前記赤外光が通過する領域を制御するシャッター、前記耳孔内において反射された前記赤外光の反射光を検出する赤外光検出器、及び前記反射光のうち、前記鼓膜において反射された反射光に起因する前記赤外光検出器の出力を用いて生体情報を算出する生体情報演算部を備える。この構成により、鼓膜からの反射光に起因する赤外光検出器の出力を用いて生体情報が算出されるため、外耳道の影響を抑制することができ、生体情報を非侵襲的かつ高精度に測定することができる。
本発明において、赤外光源としては、公知のものを特に限定することなく適用することができる。例えば、シリコンカーバイド光源、セラミック光源、赤外LED、赤外レーザー、量子カスケードレーザー等を用いることができる。赤外光源は、連続光源であってもよく、パルス光源であってもよい。
導光部としては、赤外光を導くことのできるものであればよく、例えば、中空管や、赤外光を伝送する光ファイバ等を用いることができる。中空管を用いる場合、中空管の内表面に金の層を有することが好ましい。この金の層は、中空管の内面に金メッキを施したり、金を蒸着したりすることにより形成することができる。
視野認識手段としては、例えば、耳孔内を照らすための光を出射する撮像用光源と、前記耳孔内において反射した前記光を撮像する撮像素子と、前記撮像素子により得られた撮像情報の中から、鼓膜の撮像情報を検出する撮像情報検出部とを用いることができる。この構成により、赤外光源からの赤外光が照射される耳孔内の領域において、鼓膜の領域を自動的に把握することができる。
また、視野認識手段として、耳孔内の生体組織から熱放射により放射される赤外光を検出する赤外光センサがアレイ状に配列された赤外光センサアレイと、前記赤外光センサアレイにより得られた熱画像情報の中から鼓膜の熱画像情報を検出する熱画像情報検出部とを用いてもよい。
撮像用光源としては、例えば、赤色レーザー等の可視光レーザーや、白色LED等を用いることができる。この中で、白色LEDはハロゲンランプに比べ、発光させた時に発生する発生熱が少ないので、鼓膜や外耳道の温度に与える影響が少ないため好ましい。
撮像素子としては、例えば、CMOSやCCD等の画像素子を用いることができる。
撮像情報検出部としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロコンピュータを用いることができる。
撮像情報検出部が、撮像素子により得られた撮像情報の中から鼓膜の撮像情報を検出する方法としては、撮像素子により得られた撮像情報の画像処理を行い、例えば、鼓膜と外耳道の色の差を利用することや、画像における明るさの違いを利用することにより鼓膜の画像を認識する方法が挙げられる。
赤外光センサとしては、赤外領域の波長の光を検出できるセンサであればよく、例えば、焦電センサ、サーモパイル、ボロメータ、HgCdTe(MCT)検出器等を用いることができる。
熱画像情報検出部としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロコンピュータを用いることができる。
熱画像情報検出部が、赤外光センサアレイにより得られた熱画像情報の中から鼓膜の熱画像情報を検出する方法としては、赤外光センサアレイにより得られた各赤外光センサの出力に対して画像処理を行い、例えば、鼓膜と外耳道の赤外光の熱放射強度の差を利用することにより鼓膜の熱画像を認識する方法が挙げられる。
本発明において、シャッターとしては、液晶シャッターや機械式シャッター等を用いることができる。液晶シャッターとしては、例えば、TFT(Thin Film Transistor)を備え、TFTを用いて制御することにより、特定領域の赤外光を透過させたり、遮光したりすることができるものであることが好ましい。
機械式シャッターとしては、例えば、複数の開口を有する回転板が挙げられる。この回転板は、回転板の周縁部が赤外光の光路を横切る位置に配置され、複数の開口が、赤外光の光軸に垂直な光路の断面の互いに異なる位置を開口するように配置されていることが好ましい。
本発明において、赤外光検出器としては、赤外領域の波長の光を検出できるものであればよく、例えば、焦電センサ、サーモパイル、ボロメータ、HgCdTe(MCT)検出器、ゴーレイセル等を用いることができる。
生体情報演算部としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロコンピュータを用いることができる。
本発明の生体情報測定装置において、導光部が耳孔内に挿入されるように構成されていることが好ましい。また、導光部が、耳孔内において反射した赤外光を導く機能をさらに有していてもよい。
本発明の生体情報測定装置において、シャッターを通過する前記赤外光が平行光束であることが好ましい。シャッターを通過する赤外光が平行光束であると、導光部から出射された赤外光が耳孔内において広がることなく直進するので、赤外光が照射される領域と、視野認識手段により認識される視野内の領域とが良好に一致する。ここで、前記シャッターが、前記視野認識手段の認識結果に基づいて、前記導光部により導かれた前記赤外光が前記鼓膜に照射されるように、前記赤外光が通過する領域を制御するように設定されることがさらに好ましい。このようにすると、導光部から出射された赤外光が鼓膜に選択的に照射されるので、外耳道からの反射光の影響をより確実に取り除き、鼓膜からの反射光に起因する赤外光検出器の出力を用いて生体情報を算出することができる。
本発明の生体情報測定装置が、赤外光源からの発散光束を平行光束に変換する手段をさらに備えることが好ましい。平行光束に変換する手段としては、公知のものを特に限定することなく適用することができる。例えば、平凸レンズや凹面鏡等を用いることができる。
赤外光源としてレーザー光源等の平行光束光源を用いてもよい。この場合には、発散光束を平行光束に変換する手段を用いなくてもシャッターを通過する赤外光を平行光束にすることができる。
また、赤外光源としてレーザー光源等の平行光束光源を用いた場合には、前記レーザー光源のビーム径を導光部の直径に相当するサイズに光束を変換する手段を備えてもよい。光束のサイズを変換する手段としては、例えば、2枚の平凸レンズや、ビームエキスパンダ等を用いることができる。
また、本発明の生体情報測定装置が、鼓膜から反射された赤外光を分光する分光素子をさらに備え、赤外光検出器が、分光素子により分光された赤外光を検出するように構成されていてもよい。
本発明の生体情報測定装置は、前記耳孔内において反射した前記光及び前記鼓膜により反射された前記赤外光のうち、一方を透過させ、他方を反射させる光分割素子をさらに備えていてもよい。
ここで、前記赤外光検出器と前記光分割素子との間に前記分光素子が配置されていてもよい。
本発明において、光分割素子としては、例えば、可視光及び赤外光のうち、一方を透過させ、他方を反射させる機能を有するハーフミラーを用いることができる。可視光を反射して、赤外光を透過するようにする場合、ハーフミラーの材質としては、例えば、ZnSe、CaF、Si、Ge等を用いることができる。また、赤外光に対して透明な樹脂上に、膜厚数nmのアルミニウムや金からなる層を設けたものを用いてもよい。赤外光に対して透明な樹脂としては、例えば、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、ポリスチレン等が挙げられる。
前記生体情報演算部は、視野認識手段により認識された鼓膜を捉えている領域の情報に基づいて、前記導光部の前記視野において前記鼓膜を捉えている領域が占める割合を算出し、前記割合を用いて生体情報を補正することが好ましい。生体から反射される赤外光の強度は、赤外光が反射される部分の面積に依存する。したがって、赤外光が照射された鼓膜の面積がばらついた場合であっても、この補正により測定結果のばらつきが低減され、より高精度の測定が可能となる。
本発明の生体情報測定装置は、前記割合が閾値以下であった場合に警告を出力する警告出力部をさらに備えることが好ましい。この構成により、生体情報測定装置の位置が不適切であることを使用者に通知することができる。
ここで、警告出力部としては、警告を表示するディスプレイ、警告を音声で出力するスピーカー、警告音を発生するブザー等が挙げられる。
本発明の生体情報測定装置は、前記視野認識手段により、鼓膜を捉えている領域の情報が検出されたときに音声を出力する音声出力部をさらに備えていてもよい。ここで、前記音声出力部は、前記視野認識手段により認識された前記鼓膜を捉えている領域の面積の大きさに応じて、前記音声の周波数または強度を変化させることが好ましい。
本発明の生体情報測定装置は、赤外線検出器の出力信号と生体情報との相関を示す相関データを格納する記憶部、生体情報演算部により換算された生体情報を表示する表示部、及び生体情報測定装置が動作するための電力を供給する電源をさらに備えていてもよい。
生体情報演算部は、記憶部から上記相関データを読み出し、これを参照することにより、赤外線検出器の出力信号を生体情報に変換してもよい。
赤外線検出器の出力信号と生体情報との相関を示す相関データは、例えば、既知の生体情報(例えば、血糖値)を有する患者について赤外線検出器の出力信号を測定し、得られた赤外光検出器の出力信号と生体情報との相関を解析することにより取得することができる。
本発明において、記憶部としては、例えば、RAM、ROM等のメモリを用いることができる。
表示部としては、例えば、液晶等のディスプレイを用いることができる。
電源としては、例えば、電池等を用いることができる。
本発明の生体情報測定装置により測定する生体情報としては、グルコース濃度(血糖値)、ヘモグロビン濃度、コレステロール濃度、中性脂肪濃度等の生体成分の濃度、生体の形状などが挙げられる。
赤外光源から出射された赤外光が生体組織において反射する際に、生体組織に含まれる生体成分により赤外光の一部が吸収される。吸収される赤外光の波長は生体成分に特有であり、吸収量は生体組織に含まれる生体成分の濃度に依存する。したがって、生体において反射される赤外光の強度を測定することにより生体成分の濃度を定量することができる。例えば、グルコースは、9.6μm付近に吸収ピークを有する赤外吸収スペクトルを示す。そこで、9.6μmを含む波長帯域の赤外光を生体組織に照射し、その反射光の強度を測定することにより、血糖値を測定することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。生体情報が生体成分の濃度である例について説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る生体情報測定装置100の外観を示す斜視図である。
生体情報測定装置100は、筐体102と、筐体102の側面に設けられた耳孔挿入部104を備えている。耳孔挿入部104は、赤外光を導光する導光部105を備えている。筐体102には、生体成分の濃度の測定結果を表示するためのディスプレイ114、生体情報測定装置100の電源をON/OFFするための電源スイッチ101、及び測定を開始するための測定開始スイッチ103が設けられている。
次に、生体情報測定装置100の筐体内部の構成について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、実施の形態1に係る生体情報測定装置100の構成を示す図であり、図3は、実施の形態1に係る生体情報測定装置100における光学フィルタホイール106を示す斜視図である。
生体情報測定装置100の筐体内部には、チョッパー118、液晶シャッター120、光学フィルタホイール106、赤外光検出器108、前置増幅器130、帯域フィルタ132、同期復調器134、ローパスフィルタ136、アナログ/デジタルコンバータ(以下、A/Dコンバータと略称する)138、マイクロコンピュータ110、メモリ112、ディスプレイ114、電源116、撮像用光源140、第1のハーフミラー142、第2のハーフミラー144、第3のハーフミラー145、集光レンズ146、撮像素子148、アクチュエータ150、レンズ枠152、位置センサ154、タイマー156、ブザー158、赤外連続光源159、及び赤外光レンズ160を備えている。
図2に示すように、赤外連続光源159から出射した赤外光は、赤外光レンズ160により、平行光束に変換された後、チョッパー118によりチョッピングされる。チョッパー118によりチョッピングされた赤外光は、液晶シャッター120を通った後、第3のハーフミラー145により導光部105の方向に反射される。赤外連続光源159、赤外光レンズ160、チョッパー118、第3のハーフミラー145及び導光部105の位置関係は、導光部105の長さ方向と赤外連続光源159から出射された赤外光の光線方向とが一致するように設定されている。液晶シャッター120は、複数の液晶セルがマトリクス状に配列された構造を有しており、各液晶セルに印加する電圧によって、各液晶セルを、光が透過する状態または光を遮断する状態に個別に制御することができる。ここで、液晶シャッター120は本発明におけるシャッターに相当する。
ここで、撮像用光源140、集光レンズ146、撮像素子148、アクチュエータ150、レンズ枠152、及び位置センサ154は本発明における視野認識手段に相当し、マイクロコンピュータ110は、本発明における撮像情報演算部、アクチュエータ制御部、光源制御部、撮像情報検出部及び生体情報演算部に相当する。
電源116は、マイクロコンピュータ110にACまたはDC電力を供給する。電源116として電池を用いることが好ましい。
チョッパー118は、赤外連続光源159から出射し、赤外レンズ160により平行光束に変換された赤外光をチョッピングして、赤外光を高周波数の赤外光信号に変換する機能を有する。チョッパー118の動作は、マイクロコンピュータ110からの制御信号に基づき制御される。
チョッパー118によりチョッピングされた赤外光は、液晶シャッター120を通った後、第3のハーフミラー145により反射され、導光部105により耳孔200内に導かれる。耳孔200内の生体組織により反射された赤外光の反射光は、導光部105により筐体内に導かれ、第1のハーフミラー142及び第3のハーフミラー145を透過し、光学フィルタホイール106に到達する。
光学フィルタホイール106は、図3に示すように、第1の光学フィルタ122及び第2の光学フィルタ124がリング123にはめ込まれている。図3に示す例では、ともに半円状である第1の光学フィルタ122及び第2の光学フィルタ124がリング123にはめ込まれることにより円盤状の部材が構成されており、その円盤状の部材の中央部にシャフト125が設けられている。このシャフト125を図3の矢印のように回転させることにより、耳孔200内の生体組織により反射された赤外光の通過する光学フィルタを、第1の光学フィルタ122と第2の光学フィルタ124との間で切り替えることができる。シャフト125の回転は、マイクロコンピュータ110からの制御信号により制御される。シャフト125の回転は、チョッパー118の回転と同期させ、チョッパー118が閉じている間にシャフト125を180度回転させるように制御することが好ましい。このようにすると、次にチョッパー118が開いたときに、チョッパー118によりチョッピングされた赤外光の通過する光学フィルタを別の光学フィルタに切り替えることができる。光学フィルタホイール106は、本発明における分光素子に相当する。
光学フィルタの作製方法としては、公知の技術を特に限定することなく利用できるが、例えば、真空蒸着法を用いることができる。光学フィルタは、SiまたはGeを基板として、真空蒸着法を用いてZnS、MgF、PbTe等を基板上に積層することにより作製することができる。
ここで、基板上に積層する各層の膜厚、積層する順序、積層回数等を調節して、積層された薄膜内における光の干渉を制御することにより、所望の波長特性を持つ光学フィルタを作製することができる。
第1の光学フィルタ122または第2の光学フィルタ124を透過した赤外光の反射光は、検出領域126を備える赤外光検出器108に到達する。赤外光検出器108に到達した赤外光の反射光は、検出領域126に入射し、入射した赤外光の強度に対応した電気信号に変換される。
赤外光検出器108から出力された電気信号は、前置増幅器130によって増幅される。増幅された電気信号は、帯域フィルタ132によってチョッピング周波数を中心周波数とする周波数帯域以外の信号が取り除かれる。これにより、熱雑音等の統計的揺らぎに起因するノイズを最小化することができる。
帯域フィルタ132によって濾過された電気信号は、同期復調器134によってチョッパー118のチョッピング周波数と同期させ、積分することにより、DC信号に復調される。
同期復調器134によって復調された電気信号は、ローパスフィルタ136によって低周波数帯域の信号が取り除かれる。これにより、さらにノイズを取り除くことができる。
ローパスフィルタ136によって濾過された電気信号は、A/Dコンバータ138によってデジタル信号に変換された後、マイクロコンピュータ110に入力される。ここで、各光学フィルタに対応する赤外検出器108からの電気信号は、シャフト125の制御信号をトリガーとして用いることで、どの光学フィルタを透過した赤外光に対応する電気信号であるのかを識別することができる。シャフト125の制御信号をマイクロコンピュータ110が出力してから、次のシャフト制御信号を出力するまでの間が、同じ光学フィルタに対応する電気信号となる。各光学フィルタに対応する電気信号を、それぞれメモリ112上で積算した後、平均値を算出することにより、さらにノイズは低減されるため、測定の積算を行うことが好ましい。
メモリ112には、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データが格納されている。マイクロコンピュータ110は、メモリ112からこの相関データを読み出し、この相関データを参照して、メモリ112に蓄積されたデジタル信号から算出された単位時間当たりのデジタル信号を、生体成分の濃度に換算する。メモリ112は、本発明の記憶部に相当する。
マイクロコンピュータ110において換算された生体成分の濃度は、ディスプレイ114に出力され、表示される。
第1の光学フィルタ122は、例えば、測定対象である生体成分によって吸収される波長を含む波長帯域(以下、測定用波長帯域と略称する)の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有する。一方、第2の光学フィルタ124は、第1の光学フィルタ122とは異なるスペクトル特性を有する。第2の光学フィルタ124は、例えば、測定対象である生体成分による吸収がなく、かつ対象成分の測定を妨害するような他の生体成分による吸収のある波長を含む波長帯域(以下、参照用波長帯域と略称する)の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有する。ここで、このような他の生体成分としては、測定対象である生体成分以外で、生体中における成分量の多いものを選択すればよい。
例えば、グルコースは、9.6μm付近に吸収ピークを有する赤外吸収スペクトルを示す。そこで、測定対象である生体成分がグルコースの場合は、第1の光学フィルタ122が、9.6μmを含む波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有することが好ましい。
一方、生体中に多く含まれるタンパク質は8.5マイクロメートル付近の赤外光を吸収し、グルコースは8.5μm付近の赤外光は吸収しない。そこで、第2の光学フィルタ124が、8.5μmを含む波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有することが好ましい。
メモリ112に格納されている、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データは、例えば、以下の手順によって取得することができる。
まず、既知の生体成分濃度(例えば、血糖値)を有する患者について、鼓膜から反射された赤外光を測定する。このとき、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号とを求める。この測定を、異なる生体成分濃度を有する複数の患者について行うことにより、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度とからなるデータの組を得ることができる。
次に、このようにして取得したデータの組を解析して相関データを求める。例えば、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度とについて、PLS(Partial Least Squares Regression)法などの重回帰分析法やニューラルネットワーク法などを用いて多変量解析を行うことにより、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度との相関を示す関数を求めることができる。
また、第1の光学フィルタ122が測定用波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有し、第2の光学フィルタ124が参照用波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有する場合、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号との差を求め、その差とそれに対応する生体成分濃度との相関を示す相関データを求めてもよい。例えば、最小二乗法等の直線回帰分析を行うことにより求めることができる。
次に、耳孔200の生体組織を撮像するための構成について説明する。
撮像用光源140は、鼓膜202を照明するための可視光を出射する。撮像用光源140から出射され、第2のハーフミラー144により反射された可視光は、第1のハーフミラー142により反射された後、導光部105を通って耳孔200内に導かれ、耳孔200の生体組織を照明する。
撮像用光源140としては、例えば、赤色レーザー等の可視光レーザーや、白色LED等を用いることができる。この中で、白色LEDはハロゲンランプに比べ、発光させた時に発生する発生熱が少ないので、鼓膜202や外耳道204の温度に与える影響が少ないため好ましい。
第1のハーフミラー142は、可視光を反射して、赤外光を透過させる。第1のハーフミラー142の材料としては、赤外光を吸収せず、透過し、可視光を反射する材料が好ましい。第1のハーフミラー142の材質としては、例えば、ZnSe、CaF、Si、Ge等を用いることができる。ここで、第1のハーフミラー142は本発明における光分割素子に相当する。
第2のハーフミラー144は、可視光の一部を反射し、残りを透過させる機能を有する。
第3のハーフミラー145は赤外光の一部を反射し、残りを透過させる機能を有する。
一方、耳孔200の生体組織において反射して導光部105内に入射した可視光は、第1のハーフミラー142により反射され、一部は第2のハーフミラー144を透過する。第2のハーフミラー144を透過した可視光は、レンズ枠152により保持されている集光レンズ146により集光され、撮像素子148に到達する。
撮像素子148としては、例えば、CMOSやCCD等の画像素子を用いる。
生体情報測定装置100は、撮像素子148から耳孔200の生体組織まで距離を検出して、レンズ枠152に保持された集光レンズ146を駆動し、撮像素子148上に正しく光学像を結像させるための機構を備える。
アクチュエータ150は、マイクロコンピュータ110からの制御信号によって駆動され、集光レンズ146を光軸の方向(図2中の矢印の方向)に移動させることができる。このとき、集光レンズ146の位置を位置センサ154が検出し、マイクロコンピュータ110に出力する。
一方、マイクロコンピュータ110は、撮像素子148の中央部付近の合焦エリア内に含まれる画素からの出力信号について、バンドパスフィルタにより信号の高域成分を抽出し、抽出された成分の大小からコントラスト量を検出する。マイクロコンピュータ110は、このコントラスト量が最大となる位置に集光レンズ146が移動するように、アクチュエータ150を制御する。
このようにして、鼓膜202までの距離が変化しても、撮像素子148上に耳孔200の生体組織の光学像が正しく結像することができる。
アクチュエータ150及び位置センサ154としては、公知のビデオカメラやデジタルスチルカメラに搭載されているオートフォーカス装置において用いられているものと同様のものを用いることができる。例えば、アクチュエータ150としては、レンズ枠152に設けたコイルと、筐体102側に固定されたヨーク、及びこのヨークに取付けられた駆動用マグネットとから構成することができる。レンズ枠152を、2本のガイドポールによって光軸方向に移動可能に支持しておき、レンズ枠152に設けたコイルに電流が供給されると、ヨークと駆動用マグネットとで形成される磁気回路中にあるコイルに対して、光軸方向の磁気推進力が生じ、レンズ枠152が光軸方向に移動する。推進力の正負の方向は、コイルに供給される電流の向きによって制御することができる。
位置センサ154としては、例えば、一定ピッチで着磁され、レンズ枠152に取付けられたセンサマグネットと、筐体102側に固定された磁気抵抗センサ(以下、MRセンサと略称する)とから構成することができる。筐体102側に固定されたMRセンサにより、レンズ枠152に取付けられたセンサマグネットの位置を検出することにより、集光レンズ146の位置を検出することができる。
次に、撮像素子148により撮影された耳孔200の生体組織の画像の中から、鼓膜202の位置を認識する方法について説明する。
図4は、撮像素子148を用いて、耳孔200内を観察した時の画像を示すイメージ図である。画像の左側が鼓膜202であり、右側に見えるのは外耳道204である。鼓膜202の見える位置や大きさは、個人によっても異なるが、耳孔挿入部104の挿入位置によっても変わる。
外耳道の色は肌色であり、鼓膜の色は白色または無色透明である。この外耳道と鼓膜との色の差を撮像情報検出部で認識することにより、両者を区別して認識することができる。撮像素子148で得られた画像情報をマイクロコンピュータ110において画像処理を行うことにより画像情報の中から鼓膜202の領域を抽出する。画像処理としては、例えば、以下に示す、閾値処理とラベリング処理による領域抽出技術を用いることができる。
まず、画像情報について閾値処理を行う。画像の各画素は、RGB値を持っており、このRGB値の平均値が各画素における明るさとなる。画素の明るさについて一定の基準値(閾値)を設定し、各画素の明るさを閾値により黒色と白色の2つの値に変換する処理を行う。例えば、画素の明るさが設定された閾値以上であれば、その画素に対して白色を設定し、それ以外の場合は画素に対して黒色を設定する。鼓膜202に対応する部分の画素は、外耳道204に対応する部分の画素よりも明るいため、閾値を、鼓膜に対応する部分の画素の明るさと外耳道に対応する部分の画素の明るさとの間に設定すると、上記の処理により、鼓膜202に対応する部分の画素が白色に設定され、外耳道204に対応する部分の画素が黒色に設定される。
次に、上記の閾値処理を行った画像情報に対して、ラベリング処理を行う。例えば、閾値処理された画像情報内の全画素を走査して、白色に設定された画素に対して、同じラベルを属性として付加する。
以上の処理により、ラベルが付加された画素に該当する領域を鼓膜202として認識することができる。撮像された画像内における鼓膜202の領域の割合は、全画素数に対する、ラベルが付加された画素数の割合を、マイクロコンピュータ110により演算することにより求めることができる。
マイクロコンピュータ110は、上記の画像処理によって撮像素子148の全画素の中から鼓膜202を撮像している画素を認識すると、液晶シャッター120の各液晶セルに印加する電圧を制御することにより、鼓膜202を撮像している画素の位置に対応する液晶セルを光が透過する状態に設定し、鼓膜202以外を撮像している画素の位置に対応する液晶セルを、光を遮断する状態に設定する。
液晶シャッター120が以上のように設定されることにより、赤外連続光159から出射した赤外光が、鼓膜202に選択的に照射されるため、測定精度を向上させることができる。また、液晶シャッター120は鼓膜202からの反射光と赤外光検出器108とを結ぶ光路上には配置されていないので、鼓膜202からの反射光が液晶シャッター120により遮られることはない。そのため、鼓膜202からの反射光をより多く赤外光検出器108に導くことができるので、測定感度を向上させることができる。
次に、本実施の形態における生体情報測定装置100の動作について説明する。
まず、使用者が生体情報測定装置100の電源スイッチ101を押すと、筐体102内の電源がONとなり、生体情報測定装置100は測定準備状態となる。
次に、使用者が筐体102を持って、耳孔挿入部104を耳孔200内に挿入する。耳孔挿入部104は、耳孔挿入部104の先端部分から筐体102との接続部分に向かって径が太くなるような円錐形状の中空管であるため、耳孔挿入部104の外径が耳孔200の内径と等しくなる位置以上は耳孔挿入部104が挿入されない構造になっている。
次に、耳孔挿入部104の外径が耳孔200の内径と等しくなる位置で生体情報測定装置100を保持した状態で、使用者が生体情報測定装置100の測定開始スイッチ103を押すと、筐体102内の撮像用光源140がONとなり、撮像素子148による撮像を開始する。
次に、上記の方法により、撮像素子148により撮影された画像の中から、鼓膜202の領域を認識するステップが行われる。画像認識の結果、マイクロコンピュータ110が、撮像素子148により撮影された画像において、鼓膜202に相当する画像がないと判断した場合は、耳孔挿入部104の挿入方向が鼓膜202からずれている旨のメッセージをディスプレイ114に表示したり、ブザー158を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、エラーであることを使用者に通知する。ここで、マイクロコンピュータ110により演算された、撮像された画像内における鼓膜の領域の割合が閾値以下である場合に、使用者にエラーであると通知するようにしてもよい。鼓膜202の領域が認識できないことを表すエラーが通知されると、使用者は生体情報測定装置100を動かして、耳孔挿入部104の挿入方向を調整すればよい。
ここで、ディスプレイ114、ブザー158及びスピーカーは、それぞれ本発明における警告出力部に相当する。
画像認識の結果、マイクロコンピュータ110が、撮像素子148により撮影された画像において、鼓膜202の領域を認識することができたと判断すると、鼓膜202の領域を認識することができた旨のメッセージをディスプレイ114に表示したり、ブザー158を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより使用者に通知する。鼓膜202の領域が認識されると、自動的に、赤外連続光源159から赤外光が出射され、マイクロコンピュータ110がチョッパー118の動作を開始させることにより、鼓膜202からの赤外光の反射光の測定が開始される。鼓膜202の領域が認識されたことを使用者に通知することにより、使用者は、測定が開始されたことを把握することができるので、生体情報測定装置100を動かさず、静止させればよいと認識することができる。
ここで、スピーカーは本発明における音声出力部に相当する。
マイクロコンピュータ110が、撮像素子148により撮影された画像において、鼓膜202の位置を認識することができたと判断すると、液晶シャッター120の各液晶セルに印加する電圧を制御して、鼓膜202の位置に対応する液晶セルを赤外連続光源159からの赤外光が透過する状態に設定し、鼓膜202以外の位置に対応する液晶セルを、赤外連続光源159からの赤外光を遮断する状態に設定することにより、鼓膜202からの反射光の測定が開始される。
赤外光の測定が開始された後も、撮像素子148により撮影された画像における鼓膜202の位置を認識するための処理は継続して行っている。測定中に、使用者が耳孔挿入部104を耳孔200から外に取り出してしまったり、耳孔挿入部104の向きを大きく動かしてしまったりした場合には、マイクロコンピュータ110が、撮像素子148により撮影された画像において鼓膜202に相当する画像がないと判断することにより、使用者の誤操作を検知する。この検知に伴い、マイクロコンピュータ110は、耳孔挿入部104の挿入方向が鼓膜202からずれている旨のメッセージをディスプレイ114に表示したり、ブザー158を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、エラーであることを使用者に通知する。さらに、マイクロコンピュータ110は、チョッパー118を制御して、鼓膜202に照射される赤外光を遮断することにより、自動的に測定を停止させる。ここで、マイクロコンピュータ110により演算された、撮像された画像内における鼓膜202の領域の割合が閾値以下である場合に、使用者にエラーであると通知するようにしてもよい。
鼓膜202の領域が認識できないことを表すエラーが通知されると、使用者は生体情報測定装置100を動かして、耳孔挿入部104を耳孔200内に再度挿入したり、耳孔挿入部104の挿入方向を調整したりした後、測定開始スイッチ103を押すことにより、再度測定が開始される。
マイクロコンピュータ110は、タイマー156からの計時信号により、測定開始から一定時間経過したと判断すると、赤外連続光源159を制御して、鼓膜202に照射される赤外光を遮断する。これにより、自動的に測定が終了する。このとき、マイクロコンピュータ110はディスプレイ114やブザー158を制御して、測定が終了した旨のメッセージをディスプレイ114に表示したり、ブザー158を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、使用者に測定が終了したことを通知する。これにより使用者は測定が終了したことを確認することができるため、耳孔挿入部104を耳孔200の外に取り出す。
A/Dコンバータ138から出力された電気信号は、上記の方法により求められた、撮像された画像内における鼓膜の領域の割合を用いて、マイクロコンピュータ110により補正される。
マイクロコンピュータ110は、メモリ112から、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データを読み出し、この相関データを参照して、補正後の電気信号を生体成分の濃度に換算する。求められた生体成分の濃度は、ディスプレイ114に表示される。
撮像された画像内における鼓膜の領域の割合による電気信号の補正方法は、メモリ112に格納されている相関データにおける電気信号の内容によって選択することができる。例えば、メモリ112に格納されている相関データにおける電気信号が、単位面積当たりの信号であれば、撮像された画像内における鼓膜の領域の割合を用いて、測定された電気信号を単位面積当たりの信号に補正すればよい。このようにして、赤外光検出器108により測定された信号を、赤外光が照射された鼓膜の面積によって補正することができる。
以上のように、本実施の形態に係る生体情報測定装置100によると、液晶シャッター120を用いて鼓膜202以外に照射する赤外光を遮断することにより、鼓膜202にのみ赤外光を照射することができるので、外耳道204の影響を取り除くことができ、高精度の測定をすることができる。また、測定された信号を、赤外光が照射された面積によって補正することにより、測定精度をさらに向上させることができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る生体情報測定装置について図面を用いて説明する。図5は、実施の形態2に係る生体情報測定装置400の構成を示す図である。
実施の形態2に係る生体情報測定装置400は、シャッターとして液晶シャッターに代えて機械式シャッターである回転板302を用いている点で実施の形態1の生体情報測定装置100と異なる。シャッター以外の構成は実施の形態1の生体情報測定装置100と同様であるため、同じ符号を付して説明を省略する。
次に、実施の形態2の生体情報測定装置400に備えられる機械式シャッターについて図5〜7を用いて説明する。図6は、図5における矢印Xの方向からみた回転板302の正面図であり、図7は、回転板302、赤外連続光源159、赤外光レンズ102、及びチョッパー118の配置を示す図である。図7において、回転板302は、図6におけるA−A線一部断面図として記載されている。
生体情報測定装置400は、シャッターとして機械式シャッターである回転板302を備えている。回転板302に取り付けられたシャフトは、マイクロコンピュータ110からの信号により制御されるモーター(図示せず)の回転と連動して回転するように構成されている。回転板302はチョッパー118と第3のハーフミラー145との間に配置され、回転板302の主面の法線方向(すなわち図5における矢印の方向X)と、赤外光レンズ160により平行光束に変換された赤外光の光線方向とが一致するように、赤外連続光源159、赤外光レンズ160、チョッパー118、回転板302及び第3のハーフミラー145の位置関係が設定されている。
図6に示すように、回転板302の周縁部には、19個の開口304が設けられている。
図6において、中心Cを中心として18度ずつ回転板302が回転することによって、チョッパー118を通った赤外光が、一点鎖線で示すように、回転板302上の20個の異なる照射位置303に照射される。
開口304は、照射される赤外光のビームの直径の五分の一を直径とする円である。19個の開口304は、20個の照射位置303のうちの19個の照射位置303にそれぞれ1個ずつ設けられている。照射位置303における各々の開口304の位置は、照射位置303の中心Dを中心とする六方格子の互いに異なる格子位置に相当する。
照射位置303のうち1つは、開口304を持たないように構成されている。回転板302を回転させて、開口304を持たない照射位置303に赤外光が照射されるように回転板302を固定することにより、赤外光が耳孔内に照射されるのを防ぐことができるので、赤外光照射による耳孔内の温度上昇に起因する測定精度の悪化を防ぐことができる。
回転板302の回転により、19個の開口304の各々に対応して、開口304を通過した赤外光が導光部105を介して耳孔内の異なる位置に照射される。
マイクロコンピュータ110は、上記の画像処理によって撮像素子148の全画素の中から鼓膜202を撮像している画素を認識すると、回転板302を回転させながら、鼓膜202を撮像している画素の位置に対応する開口304が図7に示す位置に来たときのみ、赤外連続光源159から赤外光が出射するように赤外連続光源159を制御する。
これにより、赤外連続光源159から出射した赤外光が、鼓膜202に選択的に照射されるため、鼓膜以外からの反射光がなく、測定精度を向上させることができる。また、回転板302は、鼓膜202からの反射光と赤外光検出器108とを結ぶ光路上には配置されていないので、鼓膜202からの反射光が回転板302により遮られることがない。そのため、鼓膜202からの反射光をより多く赤外光検出器108に導くことができるので、測定感度を向上させることができる。また、赤外光源から出射された赤外光の強度は、液晶シャッターを通過することによる減衰を受けないので、単位面積当たりにより多くの赤外光を鼓膜202に照射することができるため、さらに測定感度を向上させることができる。
回転板302を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、銅、ステンレスなどの放射率の低い金属を用いることができる。この場合、さらに回転板の少なくとも表面に、例えば、さらに放射率の低い金、銀および銅などからなる被膜を、例えば蒸着法、スパッタ法、メッキ法等で設けるのが好ましい。
モーターとしては、DCモーター、ACモーター、ステッピングモーター、サーボモーターなどを用いることができる。
次に、本実施の形態における生体濃度測定装置400の動作について説明する。
まず、使用者が生体情報測定装置400の電源スイッチ101を押すと、筐体102内の電源がONとなり、生体情報測定装置400は測定準備状態となる。
次に、使用者が筐体102を持って、耳孔挿入部104を耳孔200内に挿入する。耳孔挿入部104は、耳孔挿入部104の先端部分から筐体102との接続部分に向かって径が太くなるような円錐形状の中空管であるため、耳孔挿入部104の外径が耳孔200の内径と等しくなる位置以上は耳孔挿入部104が挿入されない構造になっている。
次に、耳孔挿入部104の外径が耳孔200の内径と等しくなる位置で生体情報測定装置400を保持した状態で、使用者が生体情報測定装置400の測定開始スイッチ103を押すと、筐体102内の撮像用光源140がONとなり、撮像素子148による撮像を開始する。
次に、上記の方法により、撮像素子148により撮影された画像の中から、鼓膜202の位置を認識するステップが行われる。画像認識の結果、マイクロコンピュータ110が、撮像素子148により撮影された画像において、鼓膜202に相当する画像がないと判断した場合は、耳孔挿入部104の挿入方向が鼓膜202からずれている旨のメッセージをディスプレイ114に表示したり、ブザー158を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、エラーであることを使用者に通知する。ここで、マイクロコンピュータ110により演算された、撮像された画像内における鼓膜の領域の割合が閾値以下である場合に、使用者にエラーであると通知するようにしてもよい。鼓膜202の領域が認識できないことを表すエラーが通知されると、使用者は生体情報測定装置400を動かして、耳孔挿入部104の挿入方向を調整すればよい。
ここで、ディスプレイ114、ブザー158及びスピーカーは、それぞれ本発明における警告出力部に相当する。
画像認識の結果、マイクロコンピュータ110が、撮像素子148により撮影された画像において、鼓膜202の領域を認識することができたと判断すると、鼓膜202の領域を認識することができた旨のメッセージをディスプレイ114に表示したり、ブザー158を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより使用者に通知する。鼓膜202の領域が認識されたことを使用者に通知することにより、使用者は、測定が開始されたことを把握することができるので、生体情報測定装置100を動かさず、静止させればよいと認識することができる。
ここで、スピーカーは本発明における音声出力部に相当する。
マイクロコンピュータ110が、撮像素子148により撮影された画像において、鼓膜202の位置を認識することができたと判断すると、自動的に、赤外連続光源159から赤外光が出射され、マイクロコンピュータ110がチョッパー118及び回転板302の動作を開始させることにより、鼓膜202からの赤外光の反射光の測定が開始される。
マイクロコンピュータ110は、回転板302を回転させながら、鼓膜202を撮像している画素の位置に対応する開口304が赤外連続光源159から出射される赤外光の光路上に来たときのみ、赤外連続光源159から赤外光が出射するように赤外連続光源159の動作を制御する。
赤外光の測定が開始された後も、撮像素子148により撮影された画像における鼓膜の領域を認識するための処理は継続して行っている。測定中に、使用者が耳孔挿入部104を耳孔200から外に取り出してしまったり、耳孔挿入部104の向きを大きく動かしてしまったりした場合には、マイクロコンピュータ110が、撮像素子148により撮影された画像において鼓膜202に相当する画像がないと判断することにより、使用者の誤操作を検知する。この検知に伴い、マイクロコンピュータ110は、回転板302の開口304がない部分に回転板302を回転させ、赤外光を遮断する。さらに、マイクロコンピュータ110は、耳孔挿入部104の挿入方向が鼓膜202からずれている旨のメッセージをディスプレイ114に表示したり、ブザー158を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、エラーであることを使用者に通知する。ここで、マイクロコンピュータ110により演算された、撮像された画像内における鼓膜の領域の割合が閾値以下である場合に、使用者にエラーであると通知するようにしてもよい。
鼓膜202の位置が認識できないことを表すエラーが通知されると、使用者は生体情報測定装置400を動かして、耳孔挿入部104を耳孔200内に再度挿入したり、耳孔挿入部104の挿入方向を調整したりした後、測定開始スイッチ103を押すことにより、再度測定が開始される。
マイクロコンピュータ110は、タイマー156からの計時信号により、測定開始から一定時間経過したと判断すると、赤外連続光源159を制御して、赤外光を遮断する。これにより、自動的に測定が終了する。このとき、マイクロコンピュータ110はディスプレイ114やブザー158を制御して、測定が終了した旨のメッセージをディスプレイ114に表示したり、ブザー158を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、使用者に測定が終了したことを通知する。これにより使用者は測定が終了したことを確認することができるため、耳孔挿入部104を耳孔200の外に取り出す。
A/Dコンバータ138から出力された電気信号は、上記の方法により求められた、撮像された画像内における鼓膜の領域の割合を用いて、マイクロコンピュータ110により補正される。
撮像された画像内における鼓膜の領域の割合による電気信号の補正方法は、メモリ112に格納されている相関データにおける電気信号の内容によって選択することができる。例えば、メモリ112に格納されている相関データにおける電気信号が、単位面積当たりの信号であれば、撮像された画像内における鼓膜の領域の割合を用いて、測定された電気信号を単位面積当たりの信号に補正すればよい。本実施の形態においては、赤外光が照射された開口の数を全開口の数で補正することによって、測定された信号を、補正することができる。
マイクロコンピュータ110は、メモリ112から、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データを読み出し、この相関データを参照して、補正後の電気信号を生体成分の濃度に換算する。求められた生体成分の濃度は、ディスプレイ114に表示される。
以上のように、本実施の形態に係る生体情報測定装置400によると、複数の開口304を備えた回転板302を用いて鼓膜202以外に照射する赤外光を遮断することにより、実施の形態1に係る生体情報測定装置100と同様に、鼓膜202にのみ赤外光を照射することができるので、外耳道204の影響を取り除くことができ、高精度の測定をすることができる。また、測定された信号を、赤外光が照射された面積によって補正することにより、測定精度をさらに向上させることができる。
また、本実施の形態に係る生体情報測定装置400によると、複数の開口304を備えた回転板302を用いることにより、液晶シャッターに比べ、安価な構成とすることができる。
なお、本実施の形態では、開口304の直径を、照射される赤外光のビームの直径の五分の一に設定したが、これに限定されない。開口304の直径が照射される赤外光のビームの直径より小さく、かつそれぞれの開口304を通過した赤外光の照射領域が他の開口304を通過した赤外光の照射領域と重なる部分が生じないように複数の開口304が設けてあればよい。また、本実施の形態においては、開口304の形状を円としたが、これに限定されない。開口304の形状は、四角形や五角形などの多角形であってもよい。
また、本実施の形態においては、回転板302の形状を円としたがこれに限定されない。回転板302の形状は半円、扇形等であってもよい。
また、本実施の形態において、鼓膜202を撮像している画素の位置に対応する開口304が赤外連続光源159から出射される赤外光の光路上に来たときのみ、赤外連続光源159から赤外光が出射するように赤外連続光源159の動作が制御されるようにしたがこれに限定されない。これに代えて、赤外連続光源159からは常に赤外光が出射されるようにして、鼓膜202を撮像している画素の位置に対応していない開口304が赤外連続光源159から出射される赤外光の光路上に来たときには、チョッパー118により赤外光が遮断されるように、マイクロコンピュータ110がチョッパー118を制御するようにしてもよい。また、赤外連続光源159と第3のハーフミラー145との間、好ましくは赤外光レンズ160と第3のハーフミラー145との間に第2のシャッターを設け、赤外連続光源159からは常に赤外光が出射されるようにして、鼓膜202を撮像している画素の位置に対応していない開口304が赤外連続光源159から出射される赤外光の光路上に来たときには、第2のシャッターにより赤外光が遮断されるように、マイクロコンピュータ110が第2のシャッターを制御するようにしてもよい。なお、チョッパー118または第2のシャッターを用いて赤外光を遮断するようにした場合、回転板302に開口を持たない照射位置を設けなくてもよい。
また、鼓膜202を撮像している画素の位置に対応する開口304にのみ赤外光が照射されるように装置を制御することにより、鼓膜202にのみ赤外光が照射されるようにしたがこれに限定されない。これに代えて、赤外連続光源159から出射される赤外光の光路上にある開口304が、鼓膜202を撮像している画素の位置に対応する開口304であるか否かに関わらず、赤外連続光源159から出射される赤外光の光路上にある開口304に赤外光が照射されるようにして、鼓膜202以外の生体組織にも赤外光が照射されるようにしてもよい。この場合、マイクロコンピュータ110は、A/Dコンバータ138から出力されるデジタル信号を、赤外連続光源159から出射される赤外光の光路上にある開口304が、鼓膜202を撮像している画素の位置に対応する開口304であるときに出力された信号であるかまたは鼓膜202を撮像している画素の位置に対応しない開口304であるときに出力された信号であるかの情報と関連付けてメモリ112に格納する。生体成分の濃度を求める際には、マイクロコンピュータ110は、メモリ112に格納されたデジタル信号の中から、鼓膜202を撮像している画素の位置に対応する開口304であるときに出力された信号のみを抽出し、メモリ112に格納されたデジタル信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データを参照して、抽出されたデジタル信号を生体成分の濃度に換算する。このようにすることにより、鼓膜202に赤外光が照射されているときに検出された電気信号のみを用いて生体成分の濃度を求めることができるので、外耳道204の影響を取り除くことができ、高精度の測定をすることができる。
なお、以上の実施の形態では、赤外連続光源159を用いたが、これに代えて赤外パルス光源を用いてもよい。赤外パルス光源を用いた場合、高周波数の赤外光信号に変換するためのチョッパー118を用いなくてもよい。赤外パルス光源を用いてチョッパー118を用いない場合、前置増幅器130によって増幅された電気信号は、帯域フィルタ132によって赤外パルス光源の繰り返し周波数を中心周波数とする周波数帯域以外の信号が取り除かれる。また、帯域フィルタ132によって濾過された電気信号は、同期復調器134によって赤外パルス光源の繰り返し周波数と同期させ、積分することにより、DC信号に復調されるようにすればよい。
また、以上の実施の形態では、様々な波長を放射する赤外光源を利用した例について説明したが、これに代えて、例えば、赤外LED、赤外レーザー、量子カスケードレーザー等の特定波長の光を放射できる赤外光源を利用してもよい。特定波長の光を放射できる赤外光源を用いる場合には赤外光を分光しなくてもよいため、光学フィルタホイール106を用いなくてもよい。
本発明は、非侵襲的な生体情報の測定、例えば、血液を採取することなくグルコ−ス濃度などの生体成分の濃度等を測定する際に有用である。
本発明の一実施の形態における生体情報測定装置の外観を示す斜視図 同生体情報測定装置の構成を示す図 同生体情報測定装置における光学ホイールを示す斜視図 同生体情報測定装置を用いて耳孔内を観察したときの画像を示すイメージ図 本発明の他の実施の形態における生体情報測定装置の構成を示す図 図5における矢印Xの方向から見た回転板の正面図 生体情報測定装置における回転板、赤外連続光源、赤外光レンズ及びチョッパーの配置を示す図
符号の説明
100,400 生体情報測定装置
101 電源スイッチ
102 筐体
103 測定開始スイッチ
104 耳孔挿入部
105 導光部
106 光学フィルタホイール
108 赤外光検出器
110 マイクロコンピュータ
112 メモリ
114 ディスプレイ
116 電源
118 チョッパー
120 液晶シャッター
122 第1の光学フィルタ
123 リング
124 第2の光学フィルタ
125 シャフト
126 検出領域
130 前置増幅器
132 帯域フィルタ
134 同期復調器
136 ローパスフィルタ
138 A/Dコンバータ
140 撮像用光源
142 第1のハーフミラー
144 第2のハーフミラー
145 第3のハーフミラー
146 集光レンズ
148 撮像素子
150 アクチュエータ
152 レンズ枠
154 位置センサ
156 タイマー
158 ブザー
159 赤外連続光源
160 赤外光レンズ
200 耳孔
202 鼓膜
204 外耳道
302 回転板
303 照射位置
304 開口

Claims (3)

  1. 耳孔内に向けて照射される赤外光を出射する赤外光源、
    前記赤外光を前記耳孔内に導く導光部、
    前記導光部の視野のうち、鼓膜を捉えている領域を認識する視野認識手段、
    前記赤外光の光路を横切る位置に配置され、前記赤外光が通過する領域を制御するシャッター、
    前記耳孔内において反射された前記赤外光の反射光を検出する赤外光検出器、及び
    前記反射光のうち、前記鼓膜において反射された反射光に起因する前記赤外光検出器の出力を用いて生体情報を算出する生体情報演算部を備える生体情報測定装置。
  2. 前記シャッターを通過する前記赤外光が平行光束である、請求項1記載の生体情報測定装置。
  3. 前記生体情報演算部は、前記導光部の前記視野において前記鼓膜を捉えている領域が占める割合を算出し、前記割合を用いて前記生体情報を補正する、請求項1または2に記載の生体情報測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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