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JP2009170594A - 油入変圧器の余寿命診断方法 - Google Patents

油入変圧器の余寿命診断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】設置場所に応じて温度的及び化学的環境が大きく変化する施設内に油入変圧器が設置されている場合にも、その油入変圧器の余寿命を精度良く診断する。
【解決手段】絶縁油OL中のフルフラール量、CO+CO量及びアセチレン量の測定値並びに金属容器22の減肉量測定値を入力因子群とし、コイル24における絶縁紙の平均重合度及び金属容器22の余寿命をそれぞれ出力因子として、モデルの学習を行うことにより、平均重合度推定モデル及び金属容器22の余寿命推定モデルを構築し、油入変圧器20のフルフラール量、CO+CO量及びアセチレン量の測定値を平均重合度推定モデルに入力すると共に、減肉量の測定値を余寿命推定モデルに入力して得られた平均重合度推定値と金属容器22の余寿命推定値との組み合わせをアンサンブル加工し、油入変圧器20の最終的な余寿命を推定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、油入変圧器における絶縁紙の平均重合度及び金属容器の残肉量をそれぞれ推定して油入変圧器の余寿命を診断する油入変圧器の余寿命診断方法に関するものである。
一般に、油入変圧器に使われている材料には、以下のようなものがある。
(1)銅、アルミニウム等の導電材料
(2)絶縁油や絶縁紙、プレスボード等の絶縁材料
(3)けい素鋼帯等の鉄心材料
(4)鉄やステンレス鋼等の金属容器材料
これらの材料のうち、油入変圧器内で経年劣化が認められるのは、絶縁油や絶縁紙等の絶縁材料であると考えられている。絶縁油については、油劣化防止装置(開放型、空気密封型、窒素密封型等がある)の働きもあるため劣化は非常に緩慢であり、重要な特性である絶縁破壊電圧の低下度は小さい。
一方、絶縁紙については、経年劣化による絶縁破壊電圧の低下度は小さいが、機械的強度の低下度は大きい(すなわち、紙がぼろぼろになる)。絶縁紙の劣化が進行すると、突入電流や外部短絡時に発生する電磁力による機械的ストレスによって絶縁紙に亀裂や損壊が発生し、絶縁破壊する危険性が増大する。
従って、油入変圧器の寿命は絶縁紙の機械的強度、特に巻線導体絶縁紙の劣化状態の影響を強く受ける。つまり、油入変圧器の余寿命とは、従来から、巻線導体絶縁紙の絶縁破壊、すなわち、絶縁紙の劣化(平均重合度の低下)状態によって決定付けられると考えられている。
以下に、絶縁紙の平均重合度と、油入変圧器の余寿命及び劣化診断方法について考察する。
(1)絶縁紙の平均重合度
絶縁紙は、多数のセルロース分子が重合してできた重合体であり、このセルロースを構成する基本分子の数を重合度という。絶縁紙としての新品のクラフト紙の場合の平均重合度は、約1000である。この平均重合度は、絶縁紙が酸化劣化するとセルロース分子の鎖が切断されてセルロース分子の低分子量化、すなわち平均重合度の低下が起きる。例えば、30年使用した変圧器では、絶縁紙の平均重合度が初期値の約40〜60%(重合度400〜600)にまで減少すると言われている。
(2)油入変圧器の寿命
日本電機工業会規格JEM1463−1993では、1000[kVA]を超える油入変圧器の評価基準を定めており、一般的には、この規格に従い、平均重合度が450になると思われる時点が油入変圧器の寿命と定義されている。
(3)現状の油入変圧器の余寿命診断方法
変圧器の余寿命診断では、上記(2)の基準に従おうとすれば、コイル絶縁紙の平均重合度を測定または推定することが必要となる。しかし、稼動中の油入変圧器のコイル絶縁紙は簡単に採取することができないため、測定が困難である。従って、変圧器内部の採取可能な絶縁物(プレスボード、リード絶縁紙)の平均重合度や、絶縁紙の分解過程の生成物であるフルフラールやCO+CO量を測定し、その結果を用いた余寿命診断が行われている。これらの余寿命診断方法は、例えば、非特許文献1や非特許文献2に記載されている。
以下、各種の余寿命診断方法について略述する。
(イ)重合度法
運転停止中の点検時等に、変圧器内部から絶縁に影響が無い部分のプレスボードやリード絶縁紙を採取して、絶縁紙の劣化度を診断する方法を「重合度法」という。この重合度法は、採取した絶縁紙の平均重合度から巻線コイルの最も温度が高い箇所(ホットスポット部分)のコイル絶縁紙の劣化度を推定し、余寿命を予測する方法である。
(ロ)CO+CO法
絶縁紙は、劣化によって水やCO、CO等の種々の有機成分を生成する。劣化指標成分として有効なものとして、平均重合度とも相関性があるCO+CO、更にはフルフラールがある。このうちCO+CO法では、油中ガス分析を行い、絶縁紙の最終的な劣化生成物であるCO+CO量から平均重合度を推定して余寿命診断方法を行う。
(ハ)フルフラール法
セルロースの分解過程でアルデヒド成分のフルフラールが生成される。絶縁油の脱気処理を行ってもフルフラールは85%が油中に残り、気体中に拡散しない。このため、脱気処理の履歴がわかれば、脱気処理をしてあっても利用可能な方法である。
このフルフラール法では、測定したフルフラール量から、予め求められた相関関係に従って平均重合度を求めているが、フルフラール量に対して平均重合度にかなり幅があるため、劣化度合い(余寿命診断)の診断結果も大きな幅を持つこととなり、高精度での余寿命推定は非常に困難である。
また、変圧器油の温度を測定してCO+CO濃度を予測し、その予測値と実際値との差が一定値以上になったときに絶縁劣化を検出するようにした油入電気機器の絶縁診断装置が、特許文献1に記載されている。
また、静止誘導電器の絶縁媒体をガス分析し、分解生成物の種類や生成量、生成比の変化から局部過熱、アーク放電等の異常を検出する静止誘導電器の異常診断方法において、分解生成物であるアセチレンの生成量を入力データとし、アーク放電等の異常現象を教師データとして学習させたニューラルネットワークを用いて静止誘導電器の異常を診断する方法が、特許文献2に記載されている。
「経年変圧器の信頼性維持技術の現状と動向」,経年変圧器の信頼性維持技術調査専門委員会,社団法人電気学会技術報告,平成15年3月10日,第922号,p.22−27 「第IV編 油入変圧器劣化診断」,電気協同研究,社団法人電気協同研究会,平成11年2月25日,第54巻,第5号(その1),p.158−168 特開昭63−52071号公報(第2頁左下欄第14行〜第3頁右上欄第13行、第5図等) 特開平6−82405号公報(段落[0025]〜[0036]、図1、図2等)
しかしながら、油入変圧器が製鉄工場等に設置されている場合には、その設置場所に応じて雰囲気温度等の温度的環境及び大気中に含まれるオゾン、硫化物等の化学的環境が大きく異なるものになる。これらの温度的環境及び化学的環境の差異は、絶縁紙の劣化に対してよりも、金属容器の減肉の進行に対して大きな影響を及ぼす。すなわち、油入変圧器では、金属容器の隔壁部分の肉厚が腐蝕等に起因して経時的に減少(減肉)するが、温度的環境及び化学的環境に応じて金属容器の減肉速度が大きく変化することになる。
このため、絶縁紙の劣化進行に対して金属容器における減肉進行が早い場合には、油入変圧器の寿命は、絶縁紙の劣化に律速されず、多くの場合、金属容器の減肉量(残厚量)に律速されることになる。これとは逆に、金属容器における減肉進行に対して絶縁紙の劣化進行が早い場合には、油入変圧器の寿命は、金属容器の減肉量(残厚量)に律速されず、多くの場合、絶縁紙の劣化に律速されることになる。
従って、製鉄工場等の設置場所に応じて温度的及び化学的環境が大きく変化する施設内に油入変圧器が設置されている場合には、前述した重合度法、CO+CO法又はフルフラール法により絶縁紙の平均重合度を推定し、この推定値にのみ基づいて油入変圧器の余寿命を診断しても、実際の油入変圧器の寿命に対して推定された余寿命が大きく乖離してしまうおそれがある。
本発明の目的は、設置場所に応じて温度的及び化学的環境が大きく変化する施設内に油入変圧器が設置されている場合にも、油入変圧器の余寿命を精度良く診断できる油入変圧器の余寿命診断方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る油入変圧器の余寿命診断方法は、絶縁油を蓄えた金属容器及び、該金属容器内で絶縁油中に浸漬されるコイルを有する油入変圧器の余寿命診断方法であって、絶縁油中における2以上の劣化指標成分の測定値及び前記金属容器における減肉量の測定値をそれぞれ入力因子群とし、前記コイルにおける絶縁紙の平均重合度及び前記金属容器の残肉量から推定される金属容器の余寿命をそれぞれ出力因子として、モデルの同定または学習を行うことにより、平均重合度推定モデル及び金属容器の余寿命推定モデルをそれぞれ構築し、診断対象である油入変圧器の前記劣化指標成分の測定値を前記平均重合度推定モデルに入力すると共に、前記減肉量の測定値を前記余寿命推定モデルに入力し、前記平均重合度推定モデルと前記余寿命推定モデルとにより得られた平均重合度推定値と金属容器の余寿命推定値との組み合わせを加工し、前記油入変圧器の最終的な余寿命を推定することを特徴とする。
また本発明の請求項2に係る油入変圧器の余寿命診断方法は、請求項1記載の油入変圧器の余寿命診断方法において、前記平均重合度推定モデルに対する入力因子として、絶縁油中におけるフルフラールの測定値及びCO+CO量の測定値を用いることを特徴とする。
また本発明の請求項3に係る油入変圧器の余寿命診断方法は、請求項1又は2記載の油入変圧器の余寿命診断方法において、前記平均重合度推定モデルに対する入力因子として、絶縁油中におけるアセチレン量の測定値を追加して用いることを特徴とする。
また本発明の請求項4に係る油入変圧器の余寿命診断方法は、請求項1乃至3の何れか1項記載の油入変圧器の余寿命診断方法において、前記平均重合度推定モデル及び前記残肉量推定モデルとして、ニューラルネットワークを用いることを特徴とする。
また本発明の請求項5に係る油入変圧器の余寿命診断方法は、請求項1乃至3の何れか1項記載の油入変圧器の余寿命診断方法において、前記平均重合度推定モデル及び前記残肉量推定モデルとして、重回帰式を用いることを特徴とする。
上記のように構成された本発明の油入変圧器の余寿命診断方法によれば、設置場所に応じて温度的及び化学的環境が大きく変化する施設内に油入変圧器が設置されている場合にも、油入変圧器の余寿命を精度良く診断できる。
以下、本発明の実施形態に係る油入変圧器の余寿命診断方法について図面を参照して説明する。
図1には本発明の実施形態に係る余寿命診断方法が適用可能な油入変圧器の一例が示されており、図2には本発明の実施形態に係る油入変圧器の余寿命診断方法がフローチャートとして示されている。
図1に示されるように、油入変圧器20は、内部に絶縁油OLを貯留した略円筒状の金属容器22と、この金属容器22内に配置され、それぞれ絶縁油OL中に浸漬されたコイル24及びタップチェンジャ26とを備えている。金属容器22には、その頂板部23に円形の点検窓30が開口しており、この点検窓30は蓋28により閉止されている。ここで、金属容器22及び蓋28は、ステンレス、炭素鋼等の金属材料により形成されており、必要に応じて表面部分に対して防錆処理等の表面処理がなされている。また蓋28には有底円筒状の浸漬部29が形成されており、この浸漬部29は、点検窓30を通して金属容器22内へ挿入され、少なくとも下端側の一部が常に絶縁油OL中に浸漬されている。
金属容器22の頂板部23には、点検窓30の外周側に1次側のブッシング32及び2次側のブッシング34が固定されている。ブッシング32、34は、それぞれセラミック等の絶縁材により円筒状に形成されており、下端側が頂板部23を貫通した状態で固定されている。ブッシング32、34の内周部には、導電性金属からなる端子部材36、38が貫通している。1次側の端子部材36は、金属容器22内で接続ケーブル40及びタップチェンジャ26を介してコイル24の入力端子(図示省略)に接続されている。また2次側の端子部材38は、金属容器22内で中間に接続ケーブル42を介してコイル24の出力端子(図示省略)に接続されている。
ここで、コイル24は、けい素鋼帯等からなる鉄心と、この鉄心の層間を絶縁する絶縁紙を備えている(それぞれ図示省略)。またタップチェンジャ26内には絶縁紙からなるタップボード(図示省略)が配置されており、このタップボードは複数のタップ間を絶縁している。
金属容器22には、頂板部23の上側に未使用の絶縁油OLを蓄えたバッファタンク44が配置されており、このバッファタンク44は給油パイプ46を通して金属容器22内に連通している。油入変圧器20は、金属容器22内の絶縁油OLが何らかの原因で減少すると、その減少量と等しい絶縁油OLがバッファタンク44から金属容器22内へ補充されるようになっている。また金属容器22の周壁部には、その下端側に採油配管48を通してサンプリングバルブ50が接続されており、油入変圧器20では、サンプリングバルブ50を開くことにより金属容器22内の絶縁油OLを採取できる。
次に、上記のように構成された油入変圧器20に対する本実施形態に係る余寿命診断方法について説明する。
本実施形態に係る余寿命診断方法は、絶縁油OL中のフルフラール量、CO+CO量及びアセチレン量に関する過去の実測データ入力ステップ(S1)、重合度(平均重合度)推定モデル構築ステップ(S2)、診断対象の入力データ入力ステップ(S3)、平均重合度推定ステップ(S4)、金属容器22の減肉量に関する過去の実測データ入力ステップ(S11)、金属容器22の余寿命推定モデル構築ステップ(S12)、診断対象の入力データ入力ステップ(S3)、金属容器の余寿命推定ステップ(S14)、及びアンサンブル処理ステップ(S15)から構成されている。
以下、上記各ステップの内容を順次説明する。
(1)絶縁油OL中のフルフラール量、CO+CO量、及びアセチレン量に関する過去の実測データ入力ステップ(S1)
油入変圧器20の絶縁紙の平均重合度推定モデルをニューラルネットワークにより構築するために、推定モデルの学習データとして、過去に測定した油入変圧器20の実測データを入力する。これらの実測データとしては、絶縁油OLを分析して得られる各種劣化指標成分の量(本実施形態では、フルフラール量、CO+CO量及びアセチレン量)及び、絶縁紙の平均重合度である。なお、絶縁油OLを分析して得られる各種劣化指標成分としては、上記の成分以外にも、水分量、酸素量、水素量等の公知な指標成分を、1乃至複数個適宜追加することができる。
(2)平均重合度推定モデル構築ステップ(S2)
実測データ入力ステップ(S1)にて入力した実測データを用いて、平均重合度推定モデルをニューラルネットワークにより構築する。前述した実測データのうち、平均重合度を出力因子として用い、各種の劣化指標成分を入力因子として用いる。
(3)診断対象の入力データ入力ステップ(S3)
次に、診断対象の油入変圧器20について、該当する入力因子を平均重合度推定モデル(学習済みのニューラルネットワーク)に入力する。具体的には、絶縁油OLを分析して得られる劣化指標成分であるフルフラール量、CO+CO量及びアセチレン量を平均重合度推定モデルにそれぞれ入力する。
(4)平均重合度推定ステップ(S4)
上記入力ステップ(S3)により入力したデータに対応する平均重合度を平均重合度推定モデルによって算出する。
(5)金属容器の減肉量に関する過去の実測データ入力ステップ(S11)
油入変圧器20の金属容器22の余寿命推定モデルをニューラルネットワークにより構築するために、推定モデルの学習データとして、過去に測定した金属容器の減肉量の実測データを入力する。
(6)減肉量推定モデル構築ステップ(S12)
実測データ入力ステップ(S11)にて入力した実測データを用いて、余寿命推定モデルをニューラルネットワークにより構築する。前述した実測データのうち、余寿命推定値を出力因子として用い、減肉量の実測データを入力因子として用いる。このとき、余寿命推定モデルには、金属容器22の初期肉厚値及び限界残厚値がそれぞれ定数データとして予め設定されている。
(7)診断対象の入力データ入力ステップ(S13)
次に、診断対象の油入変圧器20について、該当する入力因子を余寿命推定モデル(学習済みのニューラルネットワーク)に入力する。具体的には、蓋28の浸漬部29を実測して得られる減肉量を余寿命推定モデルに入力する。
(8)減肉量推定ステップ(S14)
上記入力ステップ(S13)により入力したデータに対応する金属容器22の余寿命推定値を余寿命推定モデルにより算出する。このとき、金属容器22の肉厚が限界残圧値になるまでの時間が余寿命推定値として算出される。なお、本実施形態では、金属容器22の代表点として浸漬部29を用い、この浸漬部29を多点測定した場合の平均値を減肉量とし、これを余寿命推定モデルの入力因子としたが、金属容器22におけるホットスポット等の減肉が最も大きくなると推定される部位を代表点とし、この部位の減肉量を入力因子として採用しても良い。
(9)アンサンブル処理ステップ(S15)
平均重合度推定ステップ(S4)によって得られた平均重合度と減肉量推定ステップ(S14)によって得られた金属製容器22の余寿命推定値との組み合わせを加工(アンサンブル処理)して、最終的な油入変圧器20の余寿命を推定する。
アンサンブル処理の方法としては、例えば、平均重合度により得られえる余寿命L1と減肉量推定量と金属容器22の肉厚から算出される余寿命推定値により得られる余寿命L2とを比較し、短い方を最終的な推定余寿命Lとして採用する。
次に、本実施形態に係るニューラルネットワークによる余寿命診断方法を、図3を参照しつつ具体的に説明する。
平均重合度推定モデルとしては、3階層型のニューラルネットワークを用い、重み結合の初期値を適宜設定することによって平均重合度推定モデルを構築(第1層〜第3層)した。また余寿命推定モデルとしては、2階層型のニューラルネットワークを用い、金属容器22の初期肉厚値及び限界残厚値がそれぞれ定数データを予め設定することによって余寿命推定モデルを構築(第1層〜第2層)した。本実施形態では、平均重合度推定モデルによって得られた平均重合度推定値と余寿命推定モデルによって得られた余寿命推定値を第4層にてアンサンブル処理することにより、最終的な余寿命の推定値を得る。
本実施形態に係る余寿命診断方法では、絶縁油OL中における2以上の劣化指標成分(フルフラール量、CO+CO量及びアセチレン量)の測定値並びに金属容器22における減肉量の測定値をそれぞれ入力因子群とし、コイル24における絶縁紙の平均重合度及び金属容器22の残肉量から推定される金属容器22の余寿命をそれぞれ出力因子として、モデルの学習を行うことにより、平均重合度推定モデル及び金属容器22の余寿命推定モデルをそれぞれ構築し、診断対象である油入変圧器20のフルフラール量、CO+CO量及びアセチレン量の測定値を平均重合度推定モデルに入力すると共に、減肉量の測定値を余寿命推定モデルにそれぞれ入力して得られた平均重合度推定値と金属容器22の余寿命推定値との組み合わせをアンサンブル加工し、油入変圧器20の最終的な余寿命を推定する。
これにより、例えば、設置場所に応じて温度的及び化学的環境が大きく変化する施設内に油入変圧器20が設置されており、コイル24における絶縁紙の劣化進行に対して金属容器22における減肉進行が早く、油入変圧器20の寿命が、金属容器22の減肉量(残厚量)に律速されることになる場合には、油入変圧器20の余寿命を金属容器22の余寿命推定値に基づいて精度良く推定でき、また金属容器22における減肉進行に対してコイル24の絶縁紙の劣化進行が早く、油入変圧器20の寿命が、絶縁紙の劣化に律速されることになる場合には、油入変圧器20の余寿命をコイル24における絶縁紙の平均重合度の推定値に基づいて精度良く推定できる。
この結果、本実施形態に係る余寿命診断方法によれば、設置場所に応じて温度的及び化学的環境が大きく変化する施設内に油入変圧器20が設置されている場合にも、この油入変圧器20の余寿命を精度良く診断できる。
なお、本実施形態の余寿命診断方法では、絶縁紙の劣化指標成分としてフルフラール量、CO+CO量及びアセチレン量の測定値を用いていたが、劣化指標成分としてフルフラール量及びCO+CO量の推定値のみを用いても、十分に高い精度で余寿命を推定できる。
また本実施形態の余寿命診断方法では、ニューラルネットワークの手法を用いて平均重合度推定モデルを構築すると共に、余寿命推定モデルを構築したが、2以上の劣化指標成分(フルフラール量、CO+CO量及びアセチレン量)の測定値を多変数重回帰分析により処理して平均重合度推定モデルを同定すると共に、減肉量の測定値を数重回帰分析により処理して余寿命推定モデルを同定することによっても、ニューラルネットワークを用いた場合と近似した結果が得られることは言うまでもない。
本発明の実施形態に係る余寿命診断方法が適用可能な油入変圧器の一例を示す側面断面図である。 本発明の実施形態に係る余寿命診断方法示すフローチャートである。 平均重合度推定モデル及び減肉量推定モデルをニューラルネットワークにより構築する場合の各データ及び入力因子の説明図である。
符号の説明
20 油入変圧器
22 金属容器
23 頂板部
24 コイル
26 タップチェンジャ
28 蓋
29 浸漬部
30 点検窓
32、34 ブッシング
36、38 端子部材
40、42 接続ケーブル
44 バッファタンク
46 給油パイプ
48 採油配管
50 サンプリングバルブ
OL 絶縁油

Claims (5)

  1. 絶縁油を蓄えた金属容器及び、該金属容器内で絶縁油中に浸漬されるコイルを有する油入変圧器の余寿命診断方法であって、
    絶縁油中における2以上の劣化指標成分の測定値及び前記金属容器における減肉量の測定値をそれぞれ入力因子群とし、前記コイルにおける絶縁紙の平均重合度及び前記金属容器の残肉量から推定される金属容器の余寿命をそれぞれ出力因子として、モデルの同定または学習を行うことにより、平均重合度推定モデル及び金属容器の余寿命推定モデルをそれぞれ構築し、診断対象である油入変圧器の前記劣化指標成分の測定値を前記平均重合度推定モデルに入力すると共に、前記減肉量の測定値を前記余寿命推定モデルに入力し、前記平均重合度推定モデルと前記余寿命推定モデルとにより得られた平均重合度推定値と金属容器の余寿命推定値との組み合わせを加工し、前記油入変圧器の最終的な余寿命を推定することを特徴とする油入変圧器の余寿命診断方法。
  2. 前記平均重合度推定モデルに対する入力因子として、絶縁油中におけるフルフラールの測定値及びCO+CO量の測定値を用いることを特徴とする請求項1記載の油入変圧器の余寿命診断方法。
  3. 前記平均重合度推定モデルに対する入力因子として、絶縁油中におけるアセチレン量の測定値を追加して用いることを特徴とする請求項2記載の油入変圧器の余寿命診断方法。
  4. 前記平均重合度推定モデル及び前記残肉量推定モデルとして、ニューラルネットワークを用いることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の油入変圧器の余寿命診断方法。
  5. 前記平均重合度推定モデル及び前記残肉量推定モデルとして、重回帰式を用いることを特徴とする請求項1乃至3の何れか記載の油入変圧器の余寿命診断方法。
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