JP2009170551A - 受光素子アレイ、撮像装置およびそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高い解像度を得ることができる機構を備えた受光素子アレイ、撮像装置およびそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】 受光層3を含む受光素子10が、複数個、共通の読出し制御回路の基板30上に配置され、各受光素子は、隣接する受光素子から隔離され、各受光素子に設けられた対の電極のうち、第1導電側電極12は、すべての受光素子にわたって電気的に共通に接続されており、他方の第2導電型領域6に設けられる第2導電側電極11は、それぞれ読出し制御回路の読出し部31に電気的に接続されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 受光層3を含む受光素子10が、複数個、共通の読出し制御回路の基板30上に配置され、各受光素子は、隣接する受光素子から隔離され、各受光素子に設けられた対の電極のうち、第1導電側電極12は、すべての受光素子にわたって電気的に共通に接続されており、他方の第2導電型領域6に設けられる第2導電側電極11は、それぞれ読出し制御回路の読出し部31に電気的に接続されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、高解像度の画像を得ることができる受光素子アレイ、撮像装置およびそれらの製造方法に関するものである。
近赤外光のイメージセンサ(撮像装置)への関心が高まるにつれ、イメージセンサの画素を構成する各受光素子間の光のクロストーク(1つの受光素子への入射光の隣接素子への混入)による画像乱れが問題とされている(非特許文献1)。クロストークでは、隣り合う受光素子間で受光が生じ、したがって隣り合う受光素子(画素)で信号電流が発生し、解像度が劣化するため、改善が要求されている。
また、入射光は近赤外光とともにより短波長域(可視光側)の光を含んでいる場合がほとんどであり、図12に示すように、入射側にInP基板101を配置するエピダウン実装型(基板入射面タイプ)のイメージセンサでは、InP基板101内で受光が生じる。この場合、光電流は、InP基板101内を拡散し、2つ以上の受光素子110に光電流をもたらす。この結果、画像ににじみが生じ、画質が低下するという問題を生じる。
図12において、半導体積層構造は、(InP基板101/InGaAs受光層103/InP窓層104)からなり、受光層103内にまで届くp型領域106がInP窓層104を通って形成され、受光層103内にpn接合115が形成されている。p型領域106は、選択拡散マスクパターン105の開口部からZnを拡散導入することによって形成され、その選択拡散マスクパターン105はそのまま残される。選択拡散マスクパターン105は、さらにAR(Anti-reflection)膜109によって被覆されている。p型領域106にオーミック接触するように設けられたp側電極111と、それと対をなし、各受光素子110に共通に接地電位に導通されたn側電極112が設けられている。p側電極111は画素電極であり、CMOS130の電極パッド131に個別に接続され、またn側電極112はCMOS130の接地用電極パッド132に接続される。
上記のイメージセンサでは、アレイ化された受光素子のピッチを小さくするほど、解像度の劣化は顕著となる。このため一定の大きさのセンサ部において画素数を増やすことができず、また画素数を増やす場合にはチップサイズを大きくする必要があり、コスト増をもたらし、また小型化に逆行する。このような問題を克服するため、素子間に、エッチングにより素子分離溝を設けたメサ構造の受光素子アレイの提案がなされた(特許文献1)。また、受光素子間に分離溝を設けた上で、金属膜を配置して受光素子間を金属膜で遮断する構造が提案されている(特許文献2)。
石原正敏ら,"近赤外InGaAsイメージセンサとその応用"電気学会光応用・視覚研究会資料 JN:Z0953A Vol.LAV-00 No.7-13;Page.31-36;(2000/10/26)
特開2001−144278号公報
特開2005−123217号公報
しかしながら、受光素子間に、素子分離溝のみを、または素子分離溝および金属膜を設ける構造によって一定の効果はあるが、半導体基板の部分は光が自由に伝播できるため、半導体基板を介して多重反射した光が隣り合う受光素子に混入する。このため、クロストークなどに起因する解像度の低下を十分に抑制することはできない。本発明は、高い解像度を得ることができる機構を備えた受光素子アレイ、撮像装置およびそれらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の受光素子アレイは、受光層を含む受光素子が、複数個、共通の読出し制御回路の基板上に配置されている。この受光素子アレイでは、各受光素子は、隣接する受光素子から隔離され、各受光素子に設けられた対の電極のうち、一方の第1導電型領域に設けられた第1導電側電極は、すべての受光素子にわたって電気的に共通に接続されており、他方の第2導電型領域に設けられる第2導電側電極は、それぞれ読出し制御回路の読出し部に電気的に接続されることを特徴とする。
上記の構成によれば、各受光素子は相互に隔離されており、すなわち半導体積層構造の全厚みにわたって相互に分離されているので、入射光が隣り合う2つの受光素子で受光される確率は非常に小さくなる。また、入射面側の部分層で生じた光電流等が隣の受光素子に流れ込むことはありえない。このため、クロストークおよびにじみの無い高い解像度の画像を得ることができる。なお、読出し制御回路の基板には、シリコン等の半導体基板が用いられ、そのシリコン基板に読出し制御回路が形成されている。
上記の受光素子は半導体基板上に形成された半導体積層構造であり、該半導体基板が除去されているか、または該半導体基板が半導体積層構造内に含まれている構成とすることができる。これによって、前者の場合には、半導体基板による光吸収の影響を除くことができ、たとえば可視光と近赤外光とに対応した撮像装置などに好適な受光素子アレイを得ることができる。また後者の場合には、たとえば受光層を近赤外域に受光感度を有するものとし、半導体基板をそれより短波長域の吸収板(フィルタ)に使って、近赤外光専用の撮像装置とすることができる。
受光素子アレイは、読出し制御回路の基板との接続側において、連続した絶縁性の保護部材を介在させて読出し制御回路の基板に固着されている構造をとることができる。これによって、各受光素子を完全分離したときバラバラにならず、一次元または二次元アレイの配列の精度を高めることができる。また、スリットを機械的または化学的に設ける際に、読出し制御回路側に損傷を与えないように機能させることができる。保護部材は、同様の配列固定作用を主要な目的以外に併せ持つ、読出し制御回路側の電極配列と共に、用いるのがよい。
上記の各受光素子の第1導電側電極を電気的に共通に接続する接続部材が、受光素子アレイの光入射側に位置し、各受光素子の光入射部に開口を有するシート状部材か、または受光層の受光対象光を透過させる導電性対象光透過シート、とすることができる。これによって、各受光素子において、少なくとも対象光の受光感度に影響することなく、第1導電側電極に共通電位(接地電位)を印加することができる。
上記の受光素子においては、受光素子ごとに選択拡散され、受光層に向かうように位置する第2導電型領域を有し、第2導電側電極が第2導電型領域ごとに形成されており、当該第2導電側電極が、それぞれ読出し制御回路の基板上の読出し電極に接続され、第2導電側電極と反対側の半導体積層構造の面を光入射面とする構成をとることができる。上記の構成において、選択拡散された第2導電型領域は、各受光素子の周縁部の内側に形成される。このため、pn接合はスリット面に露出することがなく、したがって各受光素子ではリーク電流が防止される。この結果、感度が良く、画質が優れた受光素子アレイを得ることができる。
上記の受光層内のエピタキシャル成長した第1導電型層と第2導電型層とでpn接合が形成され、受光素子ごとに、第2導電側電極を配置し、当該第2導電側電極が、それぞれ読出し制御回路の基板上の読出し電極に接続され、第2導電側電極の配置側と反対側の半導体積層構造の面を光入射面とする構成をとることができる。これによって、不純物の選択拡散のためのマスクパターン等の工程を必要としないで、簡単なプロセスで受光素子アレイを製造することができる。なお、上記のpn接合は、次のように、広く解釈されるべきである。受光層内において、不純物元素が選択拡散で導入される側と反対の面側の領域の不純物濃度が、真性半導体とみなせるほど低い不純物領域(i領域と呼ばれる)であり、上記拡散導入された不純物領域と当該i領域との間に形成される接合をも含むものである。すなわち上記のpn接合は、pi接合またはni接合などであってもよい。上記pn接合の解釈はすべての箇所に適用されるものとする。
また、選択拡散させる場合には選択拡散に適した限られた元素しか用いることができないが、エピタキシャル成長膜では上記制約がなくなるので、たとえば第2導電型不純物をn型不純物とすることにより、n側電極を画素電極とすることができる。この結果、n型キャリア入力の汎用のCMOSを用いて撮像装置を構成できるので、経済性に優れた撮像装置を得ることができる。なお、選択拡散に適した不純物には、現状、p型不純物である亜鉛(Zn)がもっぱら用いられる。このため画素電極はp側電極となり、CMOSについてはp型キャリア入力とするために、その回路構成を特別仕様のものとする必要がある。
上記の受光層を、近赤外域に対応するバンドギャップエネルギを有する半導体で形成することができる。これによって、クロストークを大幅に抑制し、かつにじみ等がなく高品位の画質を可能にする受光素子アレイを得ることができる。
上記の受光層が、InGaAsであるか、またはInGaAsに、N、PおよびSbの少なくとも1種を含む材料とすることができる。Nを含むことによって、近赤外域の長波長側に受光感度を有する受光素子アレイを得ることができる。またPやSbを含む組合せによって暗電流の小さい良質の結晶を得ることができる。
本発明の撮像装置は、上記のいずれかの受光素子アレイの光入射面から光を取り入れて撮像する装置であって、各受光素子の第2導電側電極から、順次、読出し制御回路の読出し電極に、受光信号を読み出して、像を形成することを特徴とする。
上記の構成により、高密度に配置の受光素子アレイを用いて、読出し制御回路にCMOS等を用いて、高速読出しで高画質を得ることができる撮像装置を得ることができる。なお、第2導電側電極は、受光素子ごとに設けられている電極であれば、具体的には、p側電極であってもn側電極であってもよい。
本発明の受光素子アレイの製造方法は、pn接合を受光層内に有する半導体積層構造を形成する工程と、半導体積層構造の一方の表面に、受光素子の領域ごとに第2導電側電極をアレイ状に設ける工程と、第2導電型と対をなす第1導電型領域に第1導電側電極を設ける工程と、第2導電側電極を、読出し制御回路の基板上の読出し電極に、それぞれ接続する工程とを備える。そして、半導体積層構造を各受光素子に区分けするように、縦横に半導体積層構造の全厚みにわたってスリットを設ける工程と、スリットによって区分けされた受光素子ごとの第1導電側電極を、電気的接続部材により接続する工程とを備えることを特徴とする。
上記の方法により、互いに完全分離した受光素子アレイを得ることができ、クロストークを抑制し、にじみ等がない高品位の画像を提供できる受光素子アレイを、比較的簡単な方法で得ることができる。
上記の半導体積層構造の形成工程では、受光素子ごとに一方の表面から第2導電型不純物を選択拡散により導入して、第2導電型領域が各受光素子の周縁部の内側になるようにして受光層内にpn接合を形成し、スリットを設ける工程では、第2導電型領域が周縁部より内側になるようにスリットを設けることができる。これによって、受光層内に形成されるpn接合を、各受光素子を区分けするスリット面に露出しないようにできる。このため受光素子におけるリークを防止することができる。
上記の半導体積層構造は半導体基板上に形成され、該半導体基板をその半導体積層構造から除去する工程を含む工程を有することができる。これによって、たとえば半導体基板の裏面を光入射面とする場合、半導体基板の吸収がなくなり、受光層におけるその吸収波長域の受光感度を低下させないようにできる。
本発明の撮像装置の製造方法では、上記のいずれかの受光素子アレイの製造方法において、受光素子アレイにおける各第2導電側電極を、読出し制御回路の基板の読出し電極に接続しながら受光素子アレイを固定し、その後、各受光素子を隔てるようにスリットを全厚みにわたって縦横に設けることを特徴とする。
上記の方法によって、クロストークおよびにじみを抑制し、高解像度の画質の撮像装置を得ることができる。
本発明によれば、光のクロストークおよびにじみを抑制することができる受光素子アレイ、撮像装置およびこれらの製造方法を得ることができる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における撮像装置50を示す断面図である。半導体積層構造は、(N、SbおよびPの1種以上を含んでもよいInGaAs受光層3/InP窓層4)により構成される。p型領域6がInP窓層4を通って受光層3内に届くように形成されており、p型領域6の先端部にpn接合15を形成している。受光層3を形成するInGaAsは、N、P、Sbの1種以上を含んでもよいし、含まなくてもよい。p型領域6は、選択拡散用マスクパターン5の開口部からp型不純物であるZnを拡散導入することによって形成されており、その選択拡散用マスクパターン5はそのまま残され、さらにAR膜9によって被覆されている。
図1は、本発明の実施の形態1における撮像装置50を示す断面図である。半導体積層構造は、(N、SbおよびPの1種以上を含んでもよいInGaAs受光層3/InP窓層4)により構成される。p型領域6がInP窓層4を通って受光層3内に届くように形成されており、p型領域6の先端部にpn接合15を形成している。受光層3を形成するInGaAsは、N、P、Sbの1種以上を含んでもよいし、含まなくてもよい。p型領域6は、選択拡散用マスクパターン5の開口部からp型不純物であるZnを拡散導入することによって形成されており、その選択拡散用マスクパターン5はそのまま残され、さらにAR膜9によって被覆されている。
各受光素子10において、InP窓層4のp型領域6の部分には、p側電極11が接続され、画素電極を構成している。また、受光層3の光入射面側には、光入射の中央領域にはAR(Anti-reflection)膜23が設けられ、その周囲にn側電極12が受光層3に接続されている。p側電極11の側には、上記のAR膜9に加えて、このあと説明するスリット形成の際に保護材として機能する絶縁性の保護部材33が設けられている。上記のp側電極11およびn側電極12は、各受光素子10において対をなすが、n側電極12は、開口部35hを有する導電性の接続部材35によって共通に接地電位にされる。
受光素子10が配列された受光素子アレイは、受光素子10ごとにp側電極11がCMOS30の電極パッド31に接続され、画素電流をCMOS30に入力する。受光素子アレイのAR膜9は、スリット導入時に各装置を保護する作用を奏することになる絶縁性の保護部材33に固着される。n側電極12を接続する接続部材35は、ボンディングワイヤ39によりCMOS30の接地電位用パッド32に接続される。
(本実施の形態のポイント)
本実施の形態における撮像装置または受光素子アレイを特徴づけるポイントは次のとおりである。
(1)受光素子10は隣り合う受光素子と、半導体積層構造の厚み全体にわたるスリット21で隔てられている。言い換えれば、受光素子10は、半導体積層構造の厚み全体にわたるスリットで囲まれている。
(2)上記の受光素子アレイでは、半導体基板は除かれている。受光層3が、光入射面を構成し、半導体基板による受光を経ずに直接、光を受光する。近赤外域の撮像装置の場合、受光層は近赤外域の長波長側に受光感度を拡大することが可能な材料を用い、一方、半導体基板は、上記受光層の目的をアシストしながら、成長が容易な、したがって入手が容易な材料を用いることになる。その結果、半導体基板は、近赤外域にも受光感度を有するかもしれないが、必然的に受光層より短波長側に受光感度を有する材料で構成されることになる。
本実施の形態における撮像装置または受光素子アレイを特徴づけるポイントは次のとおりである。
(1)受光素子10は隣り合う受光素子と、半導体積層構造の厚み全体にわたるスリット21で隔てられている。言い換えれば、受光素子10は、半導体積層構造の厚み全体にわたるスリットで囲まれている。
(2)上記の受光素子アレイでは、半導体基板は除かれている。受光層3が、光入射面を構成し、半導体基板による受光を経ずに直接、光を受光する。近赤外域の撮像装置の場合、受光層は近赤外域の長波長側に受光感度を拡大することが可能な材料を用い、一方、半導体基板は、上記受光層の目的をアシストしながら、成長が容易な、したがって入手が容易な材料を用いることになる。その結果、半導体基板は、近赤外域にも受光感度を有するかもしれないが、必然的に受光層より短波長側に受光感度を有する材料で構成されることになる。
上記の構成(1)および(2)に対応する作用効果を、それぞれ(E1)および(E2)のように記せば、次のとおりである。
(E1)クロストークは、反射光などの半導体基板を通る副次的なクロストークも含めて、抑制される。にじみの原因となる光電流の複数の受光素子にわたる流れ込みは防止され、にじみも防止される。この結果、高い解像度の画像を得ることができる。
(E2)近赤外光より短い波長域、たとえば可視域の光の、半導体基板における吸収がなくなり、可視光および近赤外光の両方にわたって受光感度を高めることができる。この結果、可視光および近赤外域の受光感度が高い撮像装置を得ることができる。
(E1)クロストークは、反射光などの半導体基板を通る副次的なクロストークも含めて、抑制される。にじみの原因となる光電流の複数の受光素子にわたる流れ込みは防止され、にじみも防止される。この結果、高い解像度の画像を得ることができる。
(E2)近赤外光より短い波長域、たとえば可視域の光の、半導体基板における吸収がなくなり、可視光および近赤外光の両方にわたって受光感度を高めることができる。この結果、可視光および近赤外域の受光感度が高い撮像装置を得ることができる。
次に、図1に示す撮像装置50の製造方法について、図2〜図4を用いて、ステップに区切って説明する。
(S1):図2および図3を参照して、Sドープによりn型化した2インチのInP基板1上にOMVPEにより、n型InPバッファ層2、In0.53Ga0.47As受光層3およびInP窓層4の順番でエピタキシャル成長する。InGaAs受光層3のInおよびGaの組成は、InP基板1に格子整合する組成とする。InGaAs受光層3は、上述のように、N、PおよびSbのうちの1種以上を含んでもよい。N、PおよびSbのうちの1種以上を含むか否かは、近赤外光の長波長限界をどこに設定するかと結晶性確保の観点で決まり、Nを含むことによって、近赤外域の長波長側に受光感度を有する受光素子アレイを得ることができる。またPやSbを含む組合せによって暗電流の小さい良質の結晶を得ることができる。
(S1):図2および図3を参照して、Sドープによりn型化した2インチのInP基板1上にOMVPEにより、n型InPバッファ層2、In0.53Ga0.47As受光層3およびInP窓層4の順番でエピタキシャル成長する。InGaAs受光層3のInおよびGaの組成は、InP基板1に格子整合する組成とする。InGaAs受光層3は、上述のように、N、PおよびSbのうちの1種以上を含んでもよい。N、PおよびSbのうちの1種以上を含むか否かは、近赤外光の長波長限界をどこに設定するかと結晶性確保の観点で決まり、Nを含むことによって、近赤外域の長波長側に受光感度を有する受光素子アレイを得ることができる。またPやSbを含む組合せによって暗電流の小さい良質の結晶を得ることができる。
(S2):SiNを蒸着法で蒸着し、フォトリソグラフィ法およびエッチングにより、Zn選択拡散用マスクパターン5を形成する。次いで、当該Zn選択拡散用マスクパターン5の開口部からZnを選択拡散し、p型領域6を形成する。p型領域6は平面的には円状で、φ30μmとするのがよい。画素を50μmピッチで、横320個×縦256個配列した画素領域を形成する(図2参照)。2インチ内に、横320個×縦256個の画素を配列した画素領域を数箇所設ける。その後、AR膜9として、屈折率1.8、膜厚180nmのSiON膜を全面に形成する。フォトリソグラフィ法とエッチングにより、各受光素子10のp型領域6の所定の位置のSiON膜9をφ25μmの大きさでエッチングして開口を設け、その開口部内にp側電極11を、オーミック接触するように設ける。
(S3):その後、p側電極側(エピタキシャル膜側)を下にして保護部材33に貼り付け、保護部材33と反対側に位置するInP基板1およびバッファ層2を除去する。n型バッファ層2はn側電極のオーミック接触を確保するため、必要最小限の厚みを残してもよい。受光層3より保護部材側の半導体積層構造は残す。InP基板1およびバッファ層2の除去の方法は、研磨、エッチング、レーザ照射などを挙げることができる。エッチングのエッチャントとしては、HCl系の(HCl+H2O)液でエッチングするのがよい。また、HBr系の(HBr+H2O2+H2O)液などを用いてもよい。
(S4):この後、受光層3の裏面(n領域側)に、蒸着、フォトリソグラフィ法およびエッチングにより、円状のAR膜23を形成する。また円状のAR膜23を取り囲むように、露出した受光層3の所定位置にn側電極12を設ける。AR膜は、50μmピッチで大きさφ30μmで、横320個×縦256個設けた各p型領域6すなわち各画素に対応してその上に設ける。したがってピッチは同じ50μmとなる。そのAR膜23の大きさは上記p型領域6の径を含むようにφ40μmとする。AR膜23がない部分は、n側電極12で覆うようにする。
(S5):横320個×縦256個の受光素子の配列をダイシングにより、スリット21を形成する。このダイシングにより各受光素子は相互に分離される。図2および図3にスリット21を入れるべき位置をSで示す。各受光素子は、上述のように、保護部材33に固着されており、この状態において、保護部材33を介して、各受光素子のp側電極11と、CMOS30の電極31とを接続する。保護部材33には、横320個×縦256個の受光素子に対応するピンホールを設けてあり、そのピンホールを通して、上述のように、各受光素子10のp側電極11とCMOS30のパッド部31とが接続される。
(S6):上記の状態において、各受光素子(画素)間のスペースは10μmである。この後、図4に示すように、すべての受光素子を覆うように、n側電極12の接続部材35を配置する。各受光素子または各画素に光が入射できるように、接続部材35にはφ40μmの開口35hを設けておくのがよい。接続部材の開口35hは、画素ピッチと同じように50μmピッチで、横320個×縦256個設けており、開口35hの位置と受光素子10におけるφ40μmのAR膜23の部分(光入射領域)の位置が合うように設けるのがよい。各受光素子10のn側電極12はすべて接続部材と導電性接着剤で接着するのがよい。n側電極12の一つの部分からCMOS30の用パッドまたは接地電位用パッド32にボンディングワイヤ39で接続するのがよい。これにより、すべての受光素子のn側電極12は、CMOS30のn側電極用パッド32と電気的に接続される。
以上の工程により、図1に示す撮像装置50が製造される。ここで、各工程における変形例を注意的に述べておく。
(N1)各受光素子10の分離(スリット21の形成)は、ダイシングで行ってもよいし、またエッチング(ウエットエッチング、RIE(Reactive Ion Etching)のようなドライエッチング)で行ってもよい。
(N2)保護部材33は、ダイシングやエッチングの制御に用いることができ、あったほうが好ましいが、無くてもよい。
(N3)各受光素子10のp側電極11とCMOS30のパッド部との接続には、In、Au/Sn、Ag/Snのような半田を用いることができる。またAgペーストで接続してもよく、導電性を確保できれば、どのような材料を用いて接続してもよい。
(N4)n側電極12の接続部材35は、導電性のある材料であれば何でもよい。アルミニウム(Al)、銅(Cu)箔などの金属、または加工された導電性シートなどのようなものでもよい。
(N5)n側電極12を接続する接続部材35と、各画素のn側電極12との接着についても、導電性の接着剤であれば何でもよい。たとえば上述の半田を用いてもよい。
(N1)各受光素子10の分離(スリット21の形成)は、ダイシングで行ってもよいし、またエッチング(ウエットエッチング、RIE(Reactive Ion Etching)のようなドライエッチング)で行ってもよい。
(N2)保護部材33は、ダイシングやエッチングの制御に用いることができ、あったほうが好ましいが、無くてもよい。
(N3)各受光素子10のp側電極11とCMOS30のパッド部との接続には、In、Au/Sn、Ag/Snのような半田を用いることができる。またAgペーストで接続してもよく、導電性を確保できれば、どのような材料を用いて接続してもよい。
(N4)n側電極12の接続部材35は、導電性のある材料であれば何でもよい。アルミニウム(Al)、銅(Cu)箔などの金属、または加工された導電性シートなどのようなものでもよい。
(N5)n側電極12を接続する接続部材35と、各画素のn側電極12との接着についても、導電性の接着剤であれば何でもよい。たとえば上述の半田を用いてもよい。
(図1の撮像装置の変形例)
図5および図6は、図1に示す撮像装置の変形例を示す図である。この変形例では、接続部材には、近赤外光透過導電シート37を用いている。図1の接続部材は、開口35h付きの金属フィルム35であった。まず、製造方法について大略説明する。
(S1):Sドープしたn型InP基板上にMBE(Molecular Beam Epitaxy)法でエピタキシャル膜を、n型InPバッファ層、GaInNAs受光層3、InP窓層4の順番で、エピタキシャル成長する。PL(Photo-luminescent)測定による受光層3の波長は2.2μm、SIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)分析によるN組成は3%(V族内原子%)である。X線回折パターンから計算されるInPとGaInNAsとの格子定数ずれ(Δa/a)=0.01である。GaInNAs受光層3の吸収端波長は2μmである。
(S2):InP基板およびInPバッファ層を除去した後、実施の形態1と同様の方法で受光素子アレイを作製した。ただし、n側電極12の接続部材として、近赤外光を透過する導電シート37を用いる。このような導電シート37を用いた場合には、開口部を設けなくてもよい。また、上記の製造方法とは異なる方法となるが、CMOS30と接続する前に、素子分離前の受光素子アレイチップを導電シート37に貼り付けて、スクライブ、ブレークおよびエキスパンドにより素子分離し、所定の画素間スペースを設けてもよい。上記の近赤外光透過性の導電シート37は、近赤外光を透過して導電性があれば何でもよく、例えばCa添加ZnO膜が蒸着されたPETシート膜を用いることができる。
図5および図6は、図1に示す撮像装置の変形例を示す図である。この変形例では、接続部材には、近赤外光透過導電シート37を用いている。図1の接続部材は、開口35h付きの金属フィルム35であった。まず、製造方法について大略説明する。
(S1):Sドープしたn型InP基板上にMBE(Molecular Beam Epitaxy)法でエピタキシャル膜を、n型InPバッファ層、GaInNAs受光層3、InP窓層4の順番で、エピタキシャル成長する。PL(Photo-luminescent)測定による受光層3の波長は2.2μm、SIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)分析によるN組成は3%(V族内原子%)である。X線回折パターンから計算されるInPとGaInNAsとの格子定数ずれ(Δa/a)=0.01である。GaInNAs受光層3の吸収端波長は2μmである。
(S2):InP基板およびInPバッファ層を除去した後、実施の形態1と同様の方法で受光素子アレイを作製した。ただし、n側電極12の接続部材として、近赤外光を透過する導電シート37を用いる。このような導電シート37を用いた場合には、開口部を設けなくてもよい。また、上記の製造方法とは異なる方法となるが、CMOS30と接続する前に、素子分離前の受光素子アレイチップを導電シート37に貼り付けて、スクライブ、ブレークおよびエキスパンドにより素子分離し、所定の画素間スペースを設けてもよい。上記の近赤外光透過性の導電シート37は、近赤外光を透過して導電性があれば何でもよく、例えばCa添加ZnO膜が蒸着されたPETシート膜を用いることができる。
近赤外透過導電シート37を用いたことに起因する作用効果については、次のとおりである。近赤外光透過導電シート37は、受光対象の近赤外光を透過するので、開口を設ける必要がないが、近赤外域より短波長側の吸収特性がどのようなものかで、撮像装置の特性も変わってくる。たとえば、可視光域の吸収が無視できるものであれば、受光感度の高い(可視光+近赤外光)用の撮像装置を得ることができる。また、可視光域の吸収が非常に大きければ、近赤外域に絞り、CMOSの電子系統の感度も、その近赤外域に絞った感度設定として、近赤外域専用の使いやすい撮像装置を得ることができる。近赤外光透過導電シート37の短波長側の吸収特性をどのようにするかは、撮像装置の用途に応じて決めることができる。
また、図5に示す撮像装置50では、保護部材を用いずに受光素子アレイをCMOS30に接続している。上記(N2)のように、保護部材は用いなくてもよい。この場合、各受光素子間にスリットを設ける方法は、次のようにするのがよい。すなわち、CMOS30と接続する前に、素子分離前の受光素子アレイチップを導電シート37に貼り付けて、スクライブ、ブレークおよびエキスパンドにより素子分離し、所定の画素間スペースを設けるのがよい。このように、保護部材を用いなくても受光素子間にスリットを設けることは容易にでき、また、p側電極11と、CMOS30の電極パッド31とは強固に接続される。このため、スリット21が設けられても、すなわち各受光素子10が切り離された状態であって、その位置を安定に維持することができる。
図7は、本実施の形態における撮像装置50(図1の撮像装置および図5の撮像装置)が備える作用効果を説明する図である。
(1)本実施の形態の撮像装置50では、光入射面から入射した光L1,L2は、受光層3で受光され、かつスリット21に囲まれているので、光電流が隣の受光素子に受信されることはない。したがって、画像のにじみが生じることはない。また、クロストークについても、半導体積層構造の全厚みにわたるスリット21の囲みによって、隣の受光素子に光L1,L2が紛れ込むことはなく、とくに半導体基板が無いことから、半導体基板を通る光の紛れ込みが防止され、クロストークが防止される。この結果、高い解像度の良質の画像を得ることができる。
(2)半導体基板が無いので、半導体基板による近赤外域の短波長側の吸収がないので、目的とする対象光に応じて、半導体基板の吸収特性の影響を受けることなく、最適の撮像装置を得ることができる。たとえば可視光の吸収をすべて除いて、近赤外域にカットオフ波長を持つ受光層により、可視光および近赤外光において受光感度の高い撮像装置を得ることができる。また、近赤外透過導電シートの可視域全体の吸収を非常に大きくすることによって、近赤外域専用の使い勝手のよい撮像装置を得ることができる。
(1)本実施の形態の撮像装置50では、光入射面から入射した光L1,L2は、受光層3で受光され、かつスリット21に囲まれているので、光電流が隣の受光素子に受信されることはない。したがって、画像のにじみが生じることはない。また、クロストークについても、半導体積層構造の全厚みにわたるスリット21の囲みによって、隣の受光素子に光L1,L2が紛れ込むことはなく、とくに半導体基板が無いことから、半導体基板を通る光の紛れ込みが防止され、クロストークが防止される。この結果、高い解像度の良質の画像を得ることができる。
(2)半導体基板が無いので、半導体基板による近赤外域の短波長側の吸収がないので、目的とする対象光に応じて、半導体基板の吸収特性の影響を受けることなく、最適の撮像装置を得ることができる。たとえば可視光の吸収をすべて除いて、近赤外域にカットオフ波長を持つ受光層により、可視光および近赤外光において受光感度の高い撮像装置を得ることができる。また、近赤外透過導電シートの可視域全体の吸収を非常に大きくすることによって、近赤外域専用の使い勝手のよい撮像装置を得ることができる。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2における撮像装置を示す図である。実施の形態1における撮像装置との相違点は、本実施の形態ではInP基板1を用いている点にある。このため、InP基板1の除去に伴う歩留り低下を防止することができる。とくにスリット21を設ける際にInP基板が無いための剛性不足に起因する不安定要因→量産時の歩留まり低下、を防止することができる。この結果、製造コストを低減することができる。なお、製造方法は、上記実施の形態1におけるInP基板除去の工程がないこと、およびそれに付随する小さな変更があるだけなので、製造方法について繰り返すことはしない。
図8は、本発明の実施の形態2における撮像装置を示す図である。実施の形態1における撮像装置との相違点は、本実施の形態ではInP基板1を用いている点にある。このため、InP基板1の除去に伴う歩留り低下を防止することができる。とくにスリット21を設ける際にInP基板が無いための剛性不足に起因する不安定要因→量産時の歩留まり低下、を防止することができる。この結果、製造コストを低減することができる。なお、製造方法は、上記実施の形態1におけるInP基板除去の工程がないこと、およびそれに付随する小さな変更があるだけなので、製造方法について繰り返すことはしない。
InPバッファ層をInP基板1と受光層3との間に用いるのが普通であるが、図8では、InPバッファ層はInP基板に含めているものとして、表示を省略している。スリット21は、InP基板1を含む半導体積層構造の全厚みにわたって設けられている。このため、InP基板1は残っているが、InP基板1を通って隣の受光素子に再受光されるクロストークは、上記のスリット21によって軽減される。にじみについては、InP基板1において可視光が受光されても、スリット21によって光電流が隣の受光素子に受信されることはないので、完全に防止される。したがって、高い解像度の画像を得ることができる。
InP基板1については、次のことに注意すべきである。InP基板1は、近赤外域の短波長側とくに可視光域に吸収特性を持つので、近赤外域専用の撮像装置とする必要がある。このことは何ら、図8の撮像装置50の価値を減ずることはなく、簡単な製造工程により、可視光吸収フィルタを配置した近赤外域専用の撮像装置50を得ることができると解するべきである。
(図8の撮像装置の変形例)
図9は、図8に示す撮像装置の変形例を示す図である。この変形例では次の点で、図8の撮像装置と相違しているが、その他の点では、同じである。
(1)接続部材には、近赤外光透過導電シート37を用いている。図8の接続部材は、開口35h付きの金属フィルム35であった。近赤外光透過導電シート37を用いるか否かは、InP基板1の配置のために、図5または図6の撮像装置50とは意味が異なり、もっぱら経済性の観点などから決められるべきである。
図9は、図8に示す撮像装置の変形例を示す図である。この変形例では次の点で、図8の撮像装置と相違しているが、その他の点では、同じである。
(1)接続部材には、近赤外光透過導電シート37を用いている。図8の接続部材は、開口35h付きの金属フィルム35であった。近赤外光透過導電シート37を用いるか否かは、InP基板1の配置のために、図5または図6の撮像装置50とは意味が異なり、もっぱら経済性の観点などから決められるべきである。
(2)保護部材を用いずに受光素子アレイをCMOS30に接続している。上記(N2)のように、保護部材は用いなくてもよい。p側電極11と、CMOS30の電極パッド31とは強固に接続されるので、スリット21が設けられても、すなわち各受光素子10が切り離されても、その位置を安定に維持することができる。
図10は、本実施の形態における撮像装置50が備える作用効果を説明する図である。
(1)本実施の形態の撮像装置50では、光入射面から入射した光L1,L2は、それぞれInP基板1,受光層3で受光される。しかし、ここで発生する光電流は、InP基板1を含む半導体積層構造の全厚みにわたるスリット21に囲まれているので、隣の受光素子に受信されることはない。したがって、画像のにじみは生じることはない。また、クロストークについても、半導体積層構造の全厚みにわたるスリット21の囲みによって、隣の受光素子に光が紛れ込むことは軽減され、半導体基板を通る光の紛れ込みが抑制される。この結果、高い解像度の良質の画像を得ることができる。
(2)上記のように、InP基板1の除去に伴う歩留り低下を防止することができる。とくにスリット21を設ける際にInP基板が無いための剛性不足に起因する不安定要因→量産時の歩留まり低下、を防止することができる。この結果、製造コストを低減することができる。
(1)本実施の形態の撮像装置50では、光入射面から入射した光L1,L2は、それぞれInP基板1,受光層3で受光される。しかし、ここで発生する光電流は、InP基板1を含む半導体積層構造の全厚みにわたるスリット21に囲まれているので、隣の受光素子に受信されることはない。したがって、画像のにじみは生じることはない。また、クロストークについても、半導体積層構造の全厚みにわたるスリット21の囲みによって、隣の受光素子に光が紛れ込むことは軽減され、半導体基板を通る光の紛れ込みが抑制される。この結果、高い解像度の良質の画像を得ることができる。
(2)上記のように、InP基板1の除去に伴う歩留り低下を防止することができる。とくにスリット21を設ける際にInP基板が無いための剛性不足に起因する不安定要因→量産時の歩留まり低下、を防止することができる。この結果、製造コストを低減することができる。
(実施の形態3)
図11は、本発明の実施の形態3における撮像装置を示す図である。実施の形態1における撮像装置との相違点は、本実施の形態では、受光層3内に設けるpn接合15をp型不純物の選択拡散によって形成せずに、エピタキシャル成長したp型層3a(3b)およびn型層3b(3a)によって形成した点に特徴を有する。p型層およびn型層の上下の位置関係は、どちらがCMOS30に近い側であってもよい。p型不純物の選択拡散をする必要がないので、選択拡散工程そのものだけでなく、選択拡散マスクパターンを設ける工程もなくすことができる。この結果、製造コストを低減することができる。
図11は、本発明の実施の形態3における撮像装置を示す図である。実施の形態1における撮像装置との相違点は、本実施の形態では、受光層3内に設けるpn接合15をp型不純物の選択拡散によって形成せずに、エピタキシャル成長したp型層3a(3b)およびn型層3b(3a)によって形成した点に特徴を有する。p型層およびn型層の上下の位置関係は、どちらがCMOS30に近い側であってもよい。p型不純物の選択拡散をする必要がないので、選択拡散工程そのものだけでなく、選択拡散マスクパターンを設ける工程もなくすことができる。この結果、製造コストを低減することができる。
なお、製造方法は、上記実施の形態1において、受光層3のエピタキシャル成長工程を2つに分けて、一方の成長工程では、受光層3aにn型不純物(またはp型不純物)を導入するかまたはほとんど不純物を導入しないか、他方の受光層3bにp型不純物(またはn型不純物)を導入する。また、上記のように選択拡散マスクパターンの形成および選択拡散工程は、省略する。図11に示す場合には、n側電極12を共通に接地電位とするので、受光層3aはn型不純物を導入するケースに対応する。pn接合15の形成に選択拡散を用いないことに伴う製造方法の変更以外は、図1に示す撮像装置の製造方法と同じである。
本実施の形態における撮像装置50は、次の作用効果を有する。
(1)実施の形態1における撮像装置(図1の撮像装置およびその変形例の図5の撮像装置)と、同じような、クロストーク防止効果およびにじみ防止効果を得ることができる。
(2)実施の形態1および2の撮像装置に比べて、p型不純物の選択拡散をする必要がないので、選択拡散工程そのものだけでなく、選択拡散マスクパターンを設ける工程もなくすことができる。この結果、製造コストを低減することができる。
(3)図11の撮像装置から変更して、共通化する電極をp側電極として、CMOS30の電極パッド31に接続する電極をn側電極とすることにより、CMOSの回路構成を汎用タイプのままとすることができる。その結果、近赤外光用の撮像装置に組み込むCMOS30の製造コストを低減することができ、最終的に、撮像装置の経済性を向上することができる。
(1)実施の形態1における撮像装置(図1の撮像装置およびその変形例の図5の撮像装置)と、同じような、クロストーク防止効果およびにじみ防止効果を得ることができる。
(2)実施の形態1および2の撮像装置に比べて、p型不純物の選択拡散をする必要がないので、選択拡散工程そのものだけでなく、選択拡散マスクパターンを設ける工程もなくすことができる。この結果、製造コストを低減することができる。
(3)図11の撮像装置から変更して、共通化する電極をp側電極として、CMOS30の電極パッド31に接続する電極をn側電極とすることにより、CMOSの回路構成を汎用タイプのままとすることができる。その結果、近赤外光用の撮像装置に組み込むCMOS30の製造コストを低減することができ、最終的に、撮像装置の経済性を向上することができる。
本実施の形態における撮像装置50は、図11に示すように半導体基板を除去したものであってもよいが、半導体基板付きのものであってもよい。スリット21が、半導体基板を含む半導体積層構造の全厚みにわたって設けられる限り、クロストークやにじみは抑制され、高い解像度の画像を得ることができるからである。本実施の形態における受光素子は、メサ構造をとることになり、pn接合がメサ構造の端面に露出する。
(実施の形態1〜3以外の実施の形態)
1.最も広くは、本発明の対象とする受光素子アレイおよび撮像装置は、近赤外光を主たる受光対象とするものではなくてもよく、その他の波長域の光であってもよい。
2.本実施の形態1〜3では、スリットは空隙状態のままの撮像装置のみを示したが、スリットに絶縁物が充填されたものであってもよい。
3.本実施の形態3では、半導体基板を除去した半導体積層構造を持つ撮像装置について図示して説明したが、半導体基板を含む半導体積層構造を持つ撮像装置であってもよい。
1.最も広くは、本発明の対象とする受光素子アレイおよび撮像装置は、近赤外光を主たる受光対象とするものではなくてもよく、その他の波長域の光であってもよい。
2.本実施の形態1〜3では、スリットは空隙状態のままの撮像装置のみを示したが、スリットに絶縁物が充填されたものであってもよい。
3.本実施の形態3では、半導体基板を除去した半導体積層構造を持つ撮像装置について図示して説明したが、半導体基板を含む半導体積層構造を持つ撮像装置であってもよい。
上記において、本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態および実施例は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明の受光素子アレイ、撮像装置およびこれらの製造方法は、近赤外光を主な対象として、クロストークやにじみを防止して高い解像度の画像を提供できるので、広範な利用が期待される。
1 InP基板、2 InPバッファ層、3 受光層、4 窓層、5 選択拡散マスクパターン、6 p型領域、9 AR膜、10 受光素子、11 p側電極、12 n側電極、15 pn接合、21 スリット、23 AR膜、30 CMOS、31 電極パッド、32 接地電位用電極パッド、33 保護部材、35 接続部材、35h 開口、37 近赤外透過導電シート(接続部材)、39 ボンディングワイヤ、50 撮像装置。
Claims (13)
- 受光層を含む受光素子が、複数個、共通の読出し制御回路の基板上に配置された受光素子アレイであって、
各受光素子は、隣接する受光素子から隔離され、
前記各受光素子に設けられた対の電極のうち、一方の第1導電型領域に設けられた第1導電側電極は、すべての受光素子にわたって電気的に共通に接続されており、他方の第2導電型領域に設けられる第2導電側電極は、それぞれ前記読出し制御回路の読出し部に電気的に接続されることを特徴とする、受光素子アレイ。 - 前記受光素子は半導体基板上に形成された半導体積層構造であり、該半導体基板が除去されているか、または該半導体基板が前記半導体積層構造内に含まれていることを特徴とする、請求項1に記載の受光素子アレイ。
- 前記受光素子アレイは、前記読出し制御回路の基板との接続側において、連続した絶縁性の保護部材を介在させて前記読出し制御回路の基板に固着されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の受光素子アレイ。
- 前記各受光素子の第1導電側電極を電気的に共通に接続する接続部材が、前記受光素子アレイの光入射側に位置し、各受光素子の光入射部に開口を有するシート状部材か、または受光層の受光対象光を透過させる導電性対象光透過シートか、であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の受光素子アレイ。
- 前記受光素子ごとに選択拡散され、前記受光層に向かうように位置する第2導電型領域を有し、前記第2導電側電極が前記第2導電型領域ごとに形成されており、当該第2導電側電極が、それぞれ前記読出し制御回路の基板上の読出し電極に接続され、前記第2導電側電極と反対側の半導体積層構造の面を光入射面とすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の受光素子アレイ。
- 前記受光層内のエピタキシャル成長した第1導電型層と第2導電型層とでpn接合が形成され、前記受光素子ごとに、前記第2導電側電極を配置し、当該第2導電側電極が、それぞれ読出し制御回路の基板上の読出し電極に接続され、前記第2導電側電極の配置側と反対側の半導体積層構造の面を光入射面とすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の受光素子アレイ。
- 前記受光層が、近赤外域に対応するバンドギャップエネルギを有する半導体で形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の受光素子アレイ。
- 前記受光層が、InGaAsであるか、またはInGaAsに、N、PおよびSbの少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の受光素子アレイ。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の受光素子アレイの光入射面から光を取り入れて撮像する装置であって、前記各受光素子の第2導電側電極から、順次、前記読出し制御回路の読出し電極に、受光信号を読み出して、像を形成することを特徴とする、撮像装置。
- pn接合を受光層内に有する半導体積層構造を形成する工程と、
前記半導体積層構造の一方の表面に、受光素子の領域ごとに第2導電側電極をアレイ状に設ける工程と、
前記第2導電型と対をなす第1導電型領域に第1導電側電極を設ける工程と、
前記第2導電側電極を、読出し制御回路の基板上の読出し電極に、それぞれ接続する工程と、
前記半導体積層構造を各受光素子に区分けするように、縦横に前記半導体積層構造の全厚みにわたってスリットを設ける工程と、
前記スリットによって区分けされた受光素子ごとの第1導電側電極を、電気的接続部材により接続する工程とを備えることを特徴とする、受光素子アレイの製造方法。 - 前記半導体積層構造の形成工程では、前記受光素子ごとに前記一方の表面から第2導電型不純物を選択拡散により導入して、前記第2導電型領域が各受光素子の周縁部の内側になるようにして受光層内に前記pn接合を形成し、前記スリットを設ける工程では、前記第2導電型領域が周縁部より内側になるようにスリットを設けることを特徴とする、請求項10に記載の受光素子アレイの製造方法。
- 前記半導体積層構造は半導体基板上に形成され、該半導体基板をその半導体積層構造から除去する工程を含む工程を有することを特徴とする、請求項10または11に記載の受光素子アレイの製造方法。
- 請求項10〜12に記載のいずれかの受光素子アレイの製造方法において、前記受光素子アレイにおける各第2導電側電極を、前記読出し制御回路の基板の読出し電極に接続しながら前記受光素子アレイを固定し、その後、前記各受光素子を隔てるようにスリットを全厚みにわたって縦横に設けることを特徴とする、撮像装置の製造方法。
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