JP2009160050A - ゴルフクラブ - Google Patents
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Abstract
【課題】プレーヤのスイング全体を考慮し、トップ位置から打球が成されるまでのヘッドの動きについて、空気抵抗を制御し、スイングし易く操作性の優れたゴルフクラブを提供する。
【解決手段】本発明のゴルフクラブは、フェース部8と、クラウン部9と、ソール部10と、トウ側11a及びヒール側11bのサイド部11と、後側のバック部12とで外殻を形成し、この外殻内に内部空間を形成した中空構造の金属製ヘッドを備えている。ソール部10に、ヒール側11bからトウ側11aに向かって空気の流れる通路となるヒール側凹部20と、トウ側凹部21と、中央凹部22,23とを有する複数の凹部を形成したことを特徴とする。
【選択図】図5
【解決手段】本発明のゴルフクラブは、フェース部8と、クラウン部9と、ソール部10と、トウ側11a及びヒール側11bのサイド部11と、後側のバック部12とで外殻を形成し、この外殻内に内部空間を形成した中空構造の金属製ヘッドを備えている。ソール部10に、ヒール側11bからトウ側11aに向かって空気の流れる通路となるヒール側凹部20と、トウ側凹部21と、中央凹部22,23とを有する複数の凹部を形成したことを特徴とする。
【選択図】図5
Description
本発明は、ゴルフクラブに関し、詳細には、スイング中の空気抵抗の悪影響を少なくし、スイングし易く操作性に優れたゴルフクラブに関する。
従来、ゴルフクラブにおけるスイング時の空気抵抗に関する技術として、例えば、特許文献1に開示されている技術が知られている。この技術は、ヘッドの後部に中央リブとその上下にキャビティを有し、このキャビティに湾曲した凹状を形成し、空気抵抗によるヘッドの振動を防止するものである。
また、特許文献2には、ソール面に打球面側から後端部側に向かって延び、ヘッド後端部から後方へと突き抜ける空気流案内溝を形成し、この溝幅を打球面側よりも後端部側の方を小さくした技術が開示されている。この技術は、前記溝幅を小さくすることによる空気の高圧部の動きと整流された空気流による働きが相乗的に作用し、ヘッドの左右ブレを防止するようにしたものである。
特許第3697270号
特開平5−337220号
しかし、上記した特許文献に開示されているゴルフクラブは、ヘッドの動きがフェース面と直交する方向の動き、つまりヘッドの方向が打球する方向になってからの動きを捉えているに過ぎない。換言すれば、プレーヤの一連のスイング中において、打球がなされる直前のヘッドの動きのみを捉えて対策を講じているに過ぎないのであり、スイング全体からみてヘッドに作用する空気抵抗を考慮すると、十分な効果を発揮しにくいものとなっている。すなわち、ゴルフのスイングは、トップの状態からダウンスイング位置に移行するまでの間、及びダウンスイング位置になってからボールをヒットする打球時までの間、ヘッドの方向は変化するため、打球時のヘッドの動く方向のみを考慮しても効果が期待できないか、きわめて限定されたものになってしまう。
本発明は、上記した問題に基づいてなされたものであり、プレーヤのスイング全体を考慮し、トップ位置から打球が成されるまでのヘッドの動きについて、空気抵抗を制御し、スイングし易く操作性の優れたゴルフクラブを提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明に係るゴルフクラブは、フェース部と、クラウン部と、ソール部と、トウ側及びヒール側のサイド部と、後側のバック部とで外殻を形成し、この外殻内に内部空間を形成した中空構造の金属製ヘッドを備えており、前記ソール部に、ヒール側からトウ側に向かって空気の流れる通路となるヒール側凹部と、トウ側凹部と、中央凹部とを有する複数の凹部を形成したことを特徴とする。
一般的に、ゴルファーがスイングする際、トップ位置からダウンスイング位置に移行する直前までは、フェースは正面を向いた状態となっており、スイングによる空気の流れはヘッドのヒール側からトウ側に移行するようになる。また、ダウンスイング位置からインパクトに至るまでは、手首の返し動作により、ヘッドは次第に、フェースがボールに向くように回転しながら移行する。
上記したような構造を備えたヘッドを有するゴルフクラブによれば、ソール部に、ヒール側からトウ側方向に向かって空気の流れる通路となる複数の凹部が形成されているため、ゴルファーがスイングする際、トップ位置からダウンスイング位置に移行する前のスイング中に、ヒール側からトウ側へ空気が流れ易くなって、ヘッドに作用する空気抵抗を軽減でき、ヘッドスピードが低下するのが抑制される。
また、複数の凹部を形成したことで、空気が流れる際に、凹部と凹部の間の稜線(或いは峰部)や、凹部の深さによって、乱流が生じるようになる。このような乱流は、クラウン部の表面における空気の流れと、ソール部の表面における空気の流れを考慮すると、気圧の差を低減(ソール側が低圧になることが抑制される)することができ、これにより、ヘッドが遠心方向に引っ張られる力を軽減することが可能となり、プレーヤがクラブをグリップした手に強い張力が作用することを防止してヘッドのコントロールがし易くなる。
さらに、ダウンスイング位置から打球までのスイングにおいては、中央凹部によってフェース側からバック側に空気の流れる道を作ることができ、これにより、インパクトに至るまでヘッドに作用する空気抵抗の軽減が図れるようになる。
従って、トップから打球までのスイング全体に亘って、スイングし易く操作性に優れたゴルフクラブとなる。
本発明によれば、ゴルファーがスイングする際、トップ位置から打球が成されるまでのヘッドの動きについて、空気抵抗が制御されるようになり、スイングし易く操作性の優れたゴルフクラブが得られるようになる。
以下、本発明に係るゴルフクラブの実施形態について説明する。
図1は、本発明に係るゴルフクラブの一実施形態を示す正面図であり、ゴルフクラブ1は、金属やFRPで構成されたシャフト5の先端に、基準水平面Pに対して規定のライ角αに設定されたヘッド7を止着して構成されている。この場合、ヘッド7を構成するヘッド本体7Aは、中空構造の金属製であり、後述するように、フェース部8と、クラウン部9と、ソール部10と、トウ側11a及びヒール側11bを具備するサイド部11と、後側のバック部12とで外殻を形成し、この外殻内に内部空間が形成されている。
図1は、本発明に係るゴルフクラブの一実施形態を示す正面図であり、ゴルフクラブ1は、金属やFRPで構成されたシャフト5の先端に、基準水平面Pに対して規定のライ角αに設定されたヘッド7を止着して構成されている。この場合、ヘッド7を構成するヘッド本体7Aは、中空構造の金属製であり、後述するように、フェース部8と、クラウン部9と、ソール部10と、トウ側11a及びヒール側11bを具備するサイド部11と、後側のバック部12とで外殻を形成し、この外殻内に内部空間が形成されている。
上記したゴルフクラブ1は、ゴルファーがスイングする際、図2に示すように、アドレスしてボールに対してヘッド7を構えた後(インパクト位置P1)、バックスイングしてトップ位置P2までヘッド7を振り上げる。そして、この状態からダウンスイング位置P3(ヘッドの返し操作が成される直前位置)に移行するまで、所定の円軌道に沿ってシャフト5を振り下ろす。このトップ位置P2からダウンスイング位置P3に移行するまでは、ヘッド7のフェース部8は、略正面を向いた状態(図2に示すように、ゴルファーを正面視した際、フェース部8が常に見える状態)になっており、そのスイング中、ヘッド7のソール部10の表面には、ヒール側からトウ側に向かって空気が流れる状態となる。
そして、ゴルフクラブが、ダウンスイング位置P3からインパクト位置P1に移行する間に、手首の返し動作によってヘッドは略90°回転しながら、フェース部8がボールに対して正面を向くようになる。このフェース部8がボールに対して正面を向いた位置がインパクト位置P1となっており、ボールをインパクトした後は、フォロースルー動作により、最終的にゴルフクラブは、位置P4まで振り上げられる。
以上のように、ボールをインパクトする際のスイング動作において、トップ位置P2からダウンスイング位置P3に移行するまでは、ヘッド7のソール部10の表面に沿って、ヒール側からトウ側に向かって空気の流れが形成されるのであり、本発明では、この空気の流れに着目して、ヘッド7のスイングスピードを低下させることなく、かつコントロールし易いようなソール部形状としている。
また、本実施形態では、そのようなソール部形状においても、ダウンスイング位置P3からインパクト位置P1に移行する間の手首の返し動作によってヘッド7が回転しながら進行しても、その間の空気抵抗の影響を低減し、かつヘッド7のコントロールがし易いように構成されている。
以下、ヘッド7の具体的な構成について、図3から図9を参照して説明する。なお、これらの図において、図3は、ヘッドをクラウン側から見た平面図、図4は、ヘッドをフェース側から見た正面図、図5は、ヘッドをソール側から見た底面図、図6は、図5のA−A線に沿った断面図、図7は、図3のB−B線に沿った断面図、図8は、ヘッドをヒール側から見た側面図、そして、図9は、ヘッドをトウ側から見た側面図である。
ヘッド7を構成するヘッド本体7Aは、中空構造の金属製であり、打球面を有するフェース部8と、フェース部8の上縁(トップエッジ)から後方に延出するクラウン部9と、フェース部8の下縁(リーディングエッジ)から後方に延出するソール部10とを備えており、更に、前記フェース部8のトウ側縁からバック側を経由し、フェース部のヒール側縁にかけて延在し、前記クラウン部9及びソール部10の縁部を繋ぐサイド部11とを備えた中空構造に形成されている。なお、図面において、そのようなサイド部11を構成するトウ側、及びヒール側を、夫々符号11a及び11bで示す。また、トウ側11a及びヒール側11bは、後方に移行するに従ってバック部12で連結されている。
前記フェース部8には、実際に打球が成されるフェース部材8aが設けられる。この場合、フェース部材8aは、前記クラウン部9、ソール部10及びサイド部11の前方側開口を閉塞する板状の部材で形成されていても良いし(フェース部全体がフェース部材で構成される)、いわゆるカップ状に形成され、クラウン部9、ソール部10及びサイド部11の一部を構成していても良い。或いは、フェース部8に所定の大きさの開口を形成しておき、この開口部に板状のフェース部材を嵌合した構成であっても良い。
前記ヘッド本体7Aは、フェース部8に設けられるフェース部材8a以外については、例えば、チタン系合金、鉄系合金等を鋳造することで一体形成することが好ましく、その前面側に、フェース部8の打球面を構成するカップ型に形成されたフェース部材8aが溶着、接着等によって止着される開口が形成されている。もちろん、前記ヘッド本体7Aは、それを構成する各部材(フェース部、クラウン部、ソール部、サイド部;外殻部材)を個別に形成しておき、夫々を溶着、接着等によって固定しても良い。
前記フェース部8に設けられるフェース部材8aは、例えば、チタン系合金、鉄系合金等を、所定のカップ型形状となるように、プレス加工、或いは鍛造等することで一体形成することが好ましく、そのように形成されたフェース部材8aは、開口の端面に、接着、溶着、Brazing(ろう付け)等によって止着される。もちろん、前記フェース部8については、別部材となるフェース部材8aを止着するのではなく、前記ヘッド本体7Aと共に一体形成されていても良い。
また、ヘッド本体7A内には、前記シャフト5の先端を止着するシャフト止着部(図示せず)が一体形成されている。この場合、シャフトは、クラウン部9に突出形成されるホーゼル部9bの開口孔9aを介してシャフト先端部を差し込むことで、シャフト止着部に止着される。
前記ヘッド本体7Aを構成するクラウン部9は、図3及び図4に示すように、サイド部11及びバック部12との間で稜線14を規定している。この稜線14は、スイング時に空気の流れをソール部の方向とクラウン部の方向に分ける部分(境界)となる。また、図4に示すように、クラウン部9の前端側と、ソール部10の前端側は、前記フェース部8との間でトップエッジTE及びリーディングエッジLEを規定している。
図5に示すように、ソール部10には、複数の凹部が形成されている。この複数の凹部は、ヒール側からトウ側に向かって矢印Xで示すような空気の流れる通路が形成されるように、ヒール側凹部と、トウ側凹部と、中央凹部とを有している。本実施形態では、ヒール側凹部は1箇所(符号20で示す)、トウ側凹部は1箇所(符号21で示す)、中央凹部は、前記各1箇所づつ形成されたヒール側凹部20と、トウ側凹部21との間に2箇所(それぞれ符号22,23で示す)形成されている。
本実施形態では、前記ヒール側凹部20と、トウ側凹部21と、中央凹部22,23には、ヒール側からトウ側に向かって、より空気が流れ易くなるように、フェース・バック方向において、略中央部が最も窪むような湾曲形状を有している。図8において、そのようにヒール側凹部20、及び中央凹部22にそれぞれ形成された窪み部(最大窪み部)を、符号20A,22Aで示し、同様に、図9において、トウ側凹部21、及び中央凹部23にそれぞれ形成された窪み部を、符号21A,23Aで示してある。
このように、ヒール側からトウ側に向かって空気が流れ易くなるように形成される窪み部20A,22A及び21A,23Aは、実際の空気の流れを考慮した場合、図5のラインXで示すように、直線状になることが好ましい(窪み部20A,22A及び窪み部21A,23AがラインXと一致している)が、各窪み部は、多少、フェース側にシフトしていたり、バック側にシフトしていても良い。すなわち、ソール部全体として見た場合、空気がヒール側からトウ側に向かって流れ易くなるように形成されていれば良い。
前記ソール部10に、ヒール側からトウ側に向かって複数の凹部を形成したことで、各凹部の間には峰部が形成される。具体的には、ヒール側凹部20と中央凹部22との間に峰部25が形成され、中央凹部22,23の間に峰部26が形成され、トウ側凹部21と中央凹部23との間に峰部27が形成される。この場合、ゴルフクラブを所定のロフト角で地面に置いたとき、峰部26が地面と接触し、峰部25,27は、地面との間に少し隙間(距離)ができる。
また、各凹部と峰部の境界には、図5に示すように、稜線20a,21a,22a,23aが形成されるようになる。
上記したように、ソール部10に、ヒール側11bからトウ側11a方向に向かって空気の流れる通路となる複数の凹部20,21,22,23を形成したことで、ゴルファーがスイングする際、トップ位置からダウンスイングに移行する前のスイング中に、ヒール側からトウ側へ空気が流れ易くなる。
特に、本実施形態では、各凹部における最大窪み部20A,22A及び21A,23Aを、図5の矢印Xで示す方向に一致させて直線状に形成したことで、ヘッドに作用する空気抵抗を軽減でき、ヘッドスピードが低下するのを抑制することが可能となる。
また、上記したように形成されるヒール側凹部20、及びトウ側凹部21には、夫々の中央側に、ラインXを中心とした湾曲状の傾斜面20b,21bを形成しておくことが好ましい。この傾斜面20b,21bは、図5に示すように、各凹部内において、湾曲状の底線20c,21cを下端縁として、中央側に向けて次第に上昇する湾曲面として構成されている。
このように湾曲状の傾斜面20b,21bを形成しておくことで、ヒール側からトウ側へ空気をよりスムーズに案内することができると共に、空気の流れを集束案内することが可能となる。
また、複数の凹部20,21,22,23を形成したことで、空気が流れる際に、凹部と凹部の間の稜線20a,21a,22a,23a部分、及び各凹部の深さによって乱流が生じるようになる。具体的には、例えば、図6に示す状態で、ヒール側からトウ側へ空気が流れた際、峰部26を規定する稜線22a,23aに当たった空気は、次の中央凹部23内に流れて乱流が生じるようになる。このような乱流は、夫々の凹部で生じるようになり、このような乱流は、クラウン部9の表面における空気の流れX1と、ソール部10の表面における空気の流れXを考慮したとき、気圧の差を低減(ソール側が低圧になることが抑制される)するように作用する。これにより、ヘッド7がトップ位置からダウンスイング位置に移行する間に、遠心方向に引っ張られる力を軽減することが可能となり、プレーヤがゴルフクラブをグリップした手に強い張力が作用することを防止してヘッド7のコントロールがし易くなる。
また、上記した構成において、最大窪み部の方向(矢印Xで示す方向)は、フェースの左右の中央位置Cと接する線FXと平行にするのではなく、線FXの方向に対して、トウ側11aがバック側になるような角度θを有するように形成することが望ましい。
このように角度θを形成することで、空気が矢印X方向に流れた際、各凹部における最大窪み位置(ラインX)を基準にして、フェース側が相対的に空気抵抗が大きくなることからヘッド7のトウ側11aが、シャフトの軸心を中心にして矢印D1方向に返り易くなり、この結果、ダウンスイング位置からインパクト位置に移行するまでにヘッド7を返し易くなって、スイングし易く操作性に優れたゴルフクラブにできる。
なお、上記した角度θについては、小さ過ぎると空気の流れによるヘッドの返しが期待できず、大き過ぎると空気がバック部の方向に流れてしまい、スイング中のヘッドを安定した姿勢で保つことが困難となるため、1°〜15°、好ましくは、2°〜10°の範囲に設定しておくのが良い。
また、上記したようなヘッド7のトウ側が矢印D1方向に返り易くする構成として、上記以外にも、例えば、上述した湾曲状の傾斜面21bの表面形状を変えることで行うことが可能である。すなわち、傾斜面21bにおいて、ラインXを中心として、フェース側の傾斜面を、バック側の傾斜面よりも空気が受ける角度を高くすること(或いは、空気抵抗が大きくなる形状にすること)で、フェース側に作用する空気抵抗が高まり、ヘッド7のトウ側を矢印D1方向に返り易くすることが可能となる。
或いは、ヒール側の凹部20,22よりもトウ側の凹部21,23を、バック側にシフトして形成すると、空気がヒール側からトウ側に流れるとき、相対的にバック側に多く流れることから、スイング中にヘッド7のトウ側を矢印D1方向に返り易くすることが可能となる。また、各凹部の全て、或いはいずれかの凹部の後端が、サイド側に傾くような形状にしても良い。
以上のような構成において、ソール部に中央凹部22,23を形成したことで、ダウンスイングから打球に至るまでのスイング中、フェース側からバック側(ラインYで示す方向)に空気の流れる道を作ることができ、これにより、インパクトに至るまでヘッドに作用する空気抵抗の軽減が図れるようになる。これにより、上記したヒール側凹部20とトウ側凹部21の機能と相俟って、トップから打球までのスイング全体に亘って、スイングしやすく操作性に優れたゴルフクラブとなる。
また、上記したように、ヒール側からトウ側方向に向かって空気の流れる通路(ラインX)と、フェース側からバック側に向かって空気の流れる通路(ラインY)により、凹部領域において、空気の乱流が生じ易くなり、この結果、スイング中に遠心方向に引っ張られる力を抑制し易くなって、より操作性に優れたゴルフクラブにすることが可能となる。
なお、上記した中央凹部22,23については、図5に示すように、トウ・ヒール方向の幅の長さより、フェース・バック方向の長さを長く形成しておくことが好ましい。この場合、トウ・ヒール方向の幅の長さとフェース・バック方向の長さの比は、(2×トウ・ヒール方向の幅の長さ≦フェース・バック方向の長さ)にすることが好ましい。
このような形状にすることで、インパクト時に至るまでの空気の流れを整えることが可能となり、空気抵抗によるヘッドの速度低下を効果的に防止することが可能となる。すなわち、ダウンスイング位置からインパクト位置までのスイングにおいて、空気の流れがフェース部8のリーディングエッジ部分LEからソール部の後方に流れる道を作ることができ、安定したヘッドの軌跡を得やすく、ソール部と垂直方向の力を減少できる。従って、トップ位置から打球までのスイング全体に亘って、スイングしやすく操作性に優れたゴルフクラブにできる。
また、中央凹部22,23におけるフェース・バック方向に沿った最大窪み部の方向(ラインY1で示す)は、インパクト時におけるヘッド7の進行方向D2に一致するように形成されていることが好ましい。
このような形状にすることで、ラインY方向に沿って最も効率的な空気の流れを形成することができ、空気抵抗による速度低下を可能な限り抑制してインパクトさせることが可能となる。
以上のように構成されるソール部10や凹部に関しては、様々な形態に変形することが可能である。
上記したヒール側凹部20と、トウ側凹部21は、図8及び図9に示すように、サイド部11に亘って形成されていることが好ましい。
このように構成することで、空気の流れがソール部のヒール側からトウ側に流れる道を大きく作ることができ、より確実に空気の流れをコントロールでき、スイングし易く操作性の優れたゴルフクラブにすることができる。
また、ヒール側凹部20と、トウ側凹部21に形成される最大窪み部20A,21A同士を結んだライン(本実施形態では、ラインXと一致する)は、ヘッドをソール側から見た際、ヘッドの重心位置Gに対して前後方向に±20mmの範囲、好ましくは±15mm、より好ましくは、±10mmに設定される。さらに、前記した図5のラインXとラインYとの交点位置Qは、ヘッドをソール側から見た際、ヘッドの重心位置Gに対して前後方向に±20mmの範囲、好ましくは±15mm、より好ましくは、±10mmに設定される。
このように設定することで、ソール部におけるヒール側からトウ側に流れる空気の流れる道(空気の流れ)が、ヘッド7の重心G又は重心Gの近くを通るため、安定した空気の流れが生じるようになる。このため、スイング中のヘッド7のブレを防止でき、スイングし易く、操作性の優れたゴルフクラブにできる。
この場合、各最大窪み部20A,21Aが、フェース・バック方向に所定の長さあったり、最大窪み部20A,21Aがトウ・ヒール方向で一致しなければ、各最大窪み部20A,21Aの中心位置を抽出し、その中心位置同士を結んだラインによって前記空気の流れる道が規定される。
また、上記した構成において、各凹部20,21,22,23の深さ(最大深さとする)については、浅くし過ぎると空気の乱流を起こし難くなり、また、多数の凹部を形成する必要が生じてしまい、逆に、深くし過ぎると、空気抵抗が大きくなったり、形状的違和感や低重心化を阻害することから、1〜10mmの範囲にするのが好ましい。但し、ウエイト部材の配置等を行うことで、10mm以上にすることが可能であり、任意の深さにすることができる。
また、上記した構成において、中央凹部22,23の間に形成される峰部26は、フェース・バック方向において、図7に示すように、中間部が窪んでいることが好ましい(窪んでいる部分を符号26Aで示す)。
このように、峰部26は、フェース・バック方向の中間部が相対的に多く窪んでいることで、スイング時において、空気がヒール側からソール側を通る際、トウ側の方向に安定して流れ易くなり、スイングし易く操作性に優れたゴルフクラブにできる。また、中央凹部22,23と峰部26の組み合わせにより、ダウンスイング位置からインパクト位置に至るスイング中においても、フェース・バック方向で空気の乱流が生じるようになり、これにより、上記したヒール側からソール側における乱流と同様、遠心方向に引っ張られる力を抑制することができ、操作し易いゴルフクラブにできる。
もちろん、峰部26は、図7に示すような窪み部26Aを設けることなく、全体として、空気がヒール側からトウ側に流れ易くなる形状であれば良い。
また、上記したソール部10は、地面や芝生との接触や案内性を考慮して、設計的に中間部分を窪んだ形状にできない場合があるため、ヒール側からトウ側まで全てが、上記のように連続した凹部になっている必要はなく、一部に凹部がない形状であっても良い。具体的に凹部については任意に設定できるが、少なくとも、ヒール側、トウ側、中央に1箇所の合計3箇所形成されていれば良い。更に、ヒール側及びトウ側に形成し、中央に2〜4箇所形成して、合計で6箇所以下にしておくことが好ましい。
また、ソール部10に形成される各凹部20〜23については、フェース部8の下部のリーディングエッジLEより後方側に形成し、ソール部10の後端位置P5より前方で終了していることが好ましい。すなわち、凹部は、図5に示すように、ソール部10を下面側から見た際、ソール部を規定する外縁30の範囲内に形成されていれば良い。
また、ソール部10に形成される各凹部20〜23については、その幅と深さ、及び形状は、空気の流れる道(ラインXとラインY)ができる範囲で任意に設定することができる。この場合、中央凹部22,23については、幅の長さ方向に関し、広い部分と狭い部分を形成しても良い。
また、中央凹部22,23の後方の稜線(バック側の稜線であり、ラインXよりもバック側の稜線の少なくとも一部)については、空気の乱流や集束の必要がなければ無くすことができる。この場合、後方への空気の流れがよりスムーズになる。
また、ソール部10の後部については、図7に示すように、バック側に移行するに連れて次第に上方に傾斜するように傾斜部10cを形成しておくことが好ましい。
このように傾斜部10cを形成することで、ソール部後方へ空気を流れ易くすることができる。なお、このような上方に傾斜する形状については、面一状に上昇するような形状であっても良いし、多面的(段階的)に上昇するような形状であっても良い。
さらに、バック部12の表面については、トウ・ヒール方向に沿った凹凸条を有する曲面形状にしても良い。
このように構成することで、この部分でのスイング中の空気抵抗の増大を防止して、前記した各凹部と相俟ってスイング時のヘッドの動きを安定化できる。
図10は、ヘッドの別の実施形態を示す図であり、ヒール側から見た側面図である。
この実施形態においては、図5に示したラインXとフェース部8の中央位置Cを通るラインYの交点を通る垂線(基準線Z)を引き、この基準線Zに対し、フェース部8の中央位置Cと接する線FXと平行となる直線でヒール側の稜線14と交差する部分での高さをHとする。
この実施形態においては、図5に示したラインXとフェース部8の中央位置Cを通るラインYの交点を通る垂線(基準線Z)を引き、この基準線Zに対し、フェース部8の中央位置Cと接する線FXと平行となる直線でヒール側の稜線14と交差する部分での高さをHとする。
ヘッド7は、上記のようにして特定される高さHが、フェース部8の左右中央位置で測定したときのクラウン部9の高さに対して1/2以下となるように形成することが好ましい。
このように構成することで、トップからダウンスイングに至るヘッドの動きで空気をクラウン側に多く流れるようにすることができるので、プレーヤがクラブをグリップした手に強い張力が作用することを防止してヘッドのコントロールがし易くなる。
また、上記した稜線14は、基準線Zよりもフェース部8側は、急角度に上昇する稜線14aとなっており、基準線Zよりもバック部12側は、緩傾斜又は水平方向になるように形成されている。
このように構成することで、基準線Zからバック側までの広い範囲に亘ってクラウン部9側への空気の流れを多くして流速を早くできるようになり、より一層、ヘッドのコントロールがし易くなる。
1 ゴルフクラブ
5 シャフト
7 ヘッド
8 フェース部
9 クラウン部
10 ソール部
11 サイド部
11a トウ側
11b ヒール側
20 ヒール側凹部
21 トウ側凹部
22,23 中央凹部
5 シャフト
7 ヘッド
8 フェース部
9 クラウン部
10 ソール部
11 サイド部
11a トウ側
11b ヒール側
20 ヒール側凹部
21 トウ側凹部
22,23 中央凹部
Claims (7)
- フェース部と、クラウン部と、ソール部と、トウ側及びヒール側のサイド部と、後側のバック部とで外殻を形成し、この外殻内に内部空間を形成した中空構造の金属製ヘッドを備えるゴルフクラブであって、
前記ソール部に、ヒール側からトウ側に向かって空気の流れる通路となるヒール側凹部と、トウ側凹部と、中央凹部とを有する複数の凹部を形成したことを特徴とするゴルフクラブ。 - 前記中央凹部は、トウ・ヒール方向の幅の長さより、フェース・バック方向の長さを長く形成したことを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブ。
- 前記ヒール側凹部と、トウ側凹部と、中央凹部は、それぞれトウ・ヒール方向に沿うと共に、方向が一致するように最大窪み部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフクラブ。
- 前記ヒール側凹部と、トウ側凹部に形成される最大窪み部同士を結んだラインは、ヘッドの重心位置に対して前後方向に±20mmの範囲に設定されることを特徴とする請求項3に記載のゴルフクラブ。
- 前記ヒール側凹部と、トウ側凹部と、中央凹部に形成される最大窪み部の方向は、フェース面と平行な方向に対して、トウ側がバック側となるような角度を有することを特徴とする請求項3又は4に記載のゴルフクラブ。
- 前記ヒール側凹部と、トウ側凹部は、前記サイド部に亘って形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のゴルフクラブ。
- 前記中央凹部は、フェース・バック方向に沿って複数箇所形成されており、
前記複数の中央凹部の間に形成される峰部は、フェース・バック方向において、中間部が窪んでいることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のゴルフクラブ。
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