JP2009155252A - フルオレン骨格を有するアルコール - Google Patents
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Abstract
Description
この文献には、基Rに関し、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が好ましい基として挙げられ、水素原子またはメチル基が特に好ましいと記載されている。そして、この文献の実施例では、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレンを得たことが記載されている。
この文献には、前記式(1)で示される化合物として、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンに(メタ)アクリル酸クロリドを反応させた化合物、又は9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加させたのち、(メタ)アクリル酸を反応させた化合物が記載されている。
前記式(1)において、R2は、例えば、分岐C3−4アルキレン基(例えば、プロピレン基など)であってもよく、mは1〜4程度であってもよい。また、前記式(1)において、R3は、C6−10アリール基(例えば、フェニル基)などのアリール基であってもよい。特に、前記式(1)において、R2がプロピレン基であり、mが1〜2であり、R3がフェニル基であってもよい。
特に、前記式(1)で表される化合物は、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−C6−10フェニルフェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなど}であってもよい。
上記式(1)において、基R1で表される置換基としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]などの非反応性置換基が挙げられ、特に、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。なお、kが複数(2以上)である場合、基R1は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換する基R1は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基R1の結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。
特に好ましい前記式(1)で表される化合物には、前記式(1A)で表される化合物のうち、R2がプロピレン基である化合物、例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−アリールフェニル]フルオレン類{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−C6−10アリールフェニル]フルオレンなど}、9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ]−3−アリールフェニル}フルオレン類{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ]−3−C6−10アリールフェニル}フルオレン}などが含まれる。
前記式(1)で表される化合物は、特に限定されないが、例えば、(1)下記式(2A)で表される化合物と、基R2に対応するアルキレンオキシド又は基R2に対応するアルキレンカーボネートとを反応させる方法、(2)下記式(2B)で表される化合物と、下記式(2C)で表される化合物とを反応させる方法などにより得ることができる。
(方法(1))
方法(1)において、前記式(2A)で表される化合物としては、前記式(1)で表される化合物に対応する化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシ−モノアリールフェニル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ−モノC6−10アリールフェニル)フルオレン]などが含まれる。
方法(2)において、前記式(2B)で表される化合物としては、9−フルオレノンなどのフルオレノン類が挙げられる。なお、反応に使用する式(2B)で表される化合物(フルオレノン類)の純度は、特に限定されないが、通常、95重量%以上、好ましくは99重量%以上であってもよい。
本発明の化合物は、特定のフルオレン骨格を有しているため、種々の特性(光学特性、耐熱性、耐水性、耐湿性、耐薬品性、電気特性、機械特性、寸法安定性など)に優れており、種々の用途においてこれらの特性を向上又は改善するのに有用である。また、前記骨格により、高い屈折率も有している。特に、本発明の化合物は、樹脂原料として用いると、樹脂のハンドリング性を改善又は向上できる。
添加剤としては、樹脂用添加剤(又は樹脂添加剤)、硬化剤(樹脂用硬化剤など)などが挙げられる。添加剤として用いる場合、樹脂および前記化合物を含む樹脂組成物(熱可塑性樹脂組成物、熱又は光硬化性樹脂組成物)を構成できる。このような樹脂組成物において、樹脂としては、特に限定されず、幅広い範囲の樹脂(熱可塑性樹脂、熱又は光硬化性樹脂など)を使用できる。
本発明の化合物は、樹脂原料として用いることができる。例えば、本発明の化合物は、2つのヒドロキシル基を有しているため、熱可塑性樹脂のモノマー成分や熱硬化性樹脂(又はその前駆体)として用いることができる。すなわち、このような樹脂は、前記化合物を重合成分とする樹脂である。
エポキシ樹脂(エポキシ化合物)としては、例えば、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
代表的なエポキシ樹脂(又は前記式(3)で表される化合物)には、9,9−ビス(グリシジルオキシ−分岐アルコキシ−モノアリールフェニル)フルオレン類(前記式(3)においてmが1である化合物)、9,9−ビス(グリシジルオキシ−ポリ分岐アルコキシ−モノアリールフェニル)フルオレン類(前記式(3)においてmが2以上である化合物)が含まれる。
ジ(メタ)アクリレート(ポリ(メタ)アクリレート)としては、例えば、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
代表的なジ(メタ)アクリレート(又は前記式(4)で表される化合物)には、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−分岐アルコキシ−モノアリールフェニル)フルオレン類(前記式(4)においてmが1である化合物)、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−ポリ分岐アルコキシ−モノアリールフェニル)フルオレン類(前記式(4)においてmが2以上である化合物)が含まれる。
ポリエステルとしては、前記化合物(前記式(1)で表される化合物)で少なくとも構成されたジオール成分(ジオール成分(a))と、ジカルボン酸成分(ジカルボン酸成分(b))とを重合成分とするポリエステル(ポリエステル樹脂)が挙げられる。
前記ポリエステルの重量平均分子量は、例えば、3000〜1000000程度の範囲から選択でき、例えば、5000〜800000、好ましくは8000〜600000、さらに好ましくは10000〜500000(例えば、30000〜500000)程度であってもよい。なお、上記重量平均分子量は、ポリスチレンを基準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより評価した値であってもよい。
東ソー(株)製、逆相カラム(ODS−80TM)を使用し、254nmにて、水/アセトニトリル(重量比)=30/70で30分、その後、水/アセトニトリル(重量比)=0/100で30分で純度を測定した。
1H−NMRスペクトルは、内標準としてテトラメチルシランを用い、溶媒としてCDCl3を用いて、JEOL GTX−400分光計によって記録した。
ICI粘度計(コーン&プレート型、ブルックフィールド社製粘度計 CAP2000+H)を用い、コーン3にて900rpmで150℃まで加温して測定した。
自動滴定装置(三菱化学(株)製 GT−100)を用いて、過塩素酸溶液(酢酸性)にて滴定した。
多波長アッベ屈折計(アタゴ製、DR−M2<循環式恒温水槽 60−C3使用>)を用い、25度を保持し、589nmでの屈折率を測定した。
色差濁度測定器(日本電色工業製、COH−300A)を用い、試験管(マルエム製、A−24(24×200)、直口)又は10×10mm石英セルにアクリレートを入れて測定した。
色差濁度測定器(日本電色工業製、COH−300A)を用い、試験管(マルエム製、A−24(24×200)、直口)又は10×10mm石英セルにアクリレートを入れて測定した。
色差濁度測定器(日本電色工業製、COH−300A)を用い、試験管(マルエム製、A−24(24×200)、直口)又は10×10mm石英セルにアクリレートを入れて測定した。
示差走査熱量計(セイコーインスツル(株)製、DSC 6220)を用い、アルミパンに試料を入れ、30℃から200℃の範囲でTgを測定した。
ゲル浸透クロマトグラフィ(東ソー(株)製、HLC−8120GPC)を用い、試料をクロロホルムに溶解させ、10分から20分の範囲で分子量を測定した。
10Lのセパラブルフラスコに、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル]フルオレン(BOPPF、大阪ガスケミカル(株)製)503g(1.0mol)、プロピレンカーボネート1029g(10mol)、溶媒としてのジエチレングリコール1500g(17mol)を入れ、触媒として1−メチルイミダゾール(和光純薬工業(株)製)10gを添加した後に、100℃に加熱して5時間反応させた。反応終了後、イソプロピルアルコール5000mlを加えて10℃まで冷却することにより、白色粉末464gを得た。得られた白色粉末を分析した結果、HPLCによる純度99.2%で、原料として用いたBOPPF1モルに対して2モルのオキシプロピレン基(プロポキシ基)が付加した目的化合物(下記式で表される化合物、BOPPF−POという)が得られた。
ディーンスタークおよび還流管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコに、実施例1で得られた化合物74.3g(0.12mol)、クロロメチルオキシラン(特級、キシダ化学(株)製)87.7g(0.9mol)、塩化テトラメチルアンモニウム(特級、関東化学(株)製)2.0gを添加し、60℃で1時間、加熱溶解させた。その後、フレーク状の水酸化ナトリウム(特級、双葉化学(株)製)5gを、温度が60℃以下(45〜55℃)を保つように少量ずつ100分以内に投入した。
9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、BOPPF)60.2g(0.12モル)をクロロメチルオキシラン(特級、キシダ化学(株)製)88.8g(0.96モル)に溶解し、さらにベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(特級、関東化学(株)製)2.0gを加え、60℃にて1時間攪拌した。次に、減圧下(650mmHg)、45℃にて40%水酸化ナトリウム水溶液30gを1.5時間かけて滴下した。その間、生成する水をクロロメチルオキシランとの共沸により系外に除き、留出したクロロメチルオキシランは系内に戻した。滴下終了後、さらに3時間反応を継続した。その後、濾過により生成した塩を取り除き、さらに水洗した後、クロロメチルオキシランを固形分が50%になるまで留去し、メタノールを300g添加した。析出した結晶を濾別、乾燥し、白色粉末が得られた。
実施例1で得られた化合物85.4g(0.138mol)、アクリル酸(東京化成工業(株)製)25.9g(0.359mol)、p−トルエンスルホン酸(キシダ化学(株)製)3.28g(0.017mol)、トルエン135g(1.463mol)、及びメトキノン(キシダ化学(株)製)0.3g(0.002mol)を仕込み、100℃〜115℃で還流しながら理論脱水量を得るまで脱水エステル化反応を行った。その後、反応液をアルカリ中和し、20%食塩水で洗浄を行った。洗浄後、トルエンを除去し、粘稠物を得た。さらに、得られた粘稠物の1H−NMR分析を行った結果、目的とするジアクリレート(下記式)であることを確認した。
1.3ppm(d,6H)、3.6−4.3ppm(m,4H)、5.8ppm(d,2H)、6.1ppm(t,2H)、6.3ppm(d,2H)、6.9ppm(d,2H)、7.0−7.6ppm(m,20H)、7.8ppm(s,2H)。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸43g、実施例1で得られた化合物124g、エチレングリコール34g、触媒としての酢酸カルシウム0.03g、および酢酸マンガン0.01gを反応槽に投入し、撹拌しながら200℃から250℃に徐々に加熱してエステル化反応を行った。反応より生成した水を系外へ抜き出した後、重合触媒である酸化ゲルマニウム0.05gと、リン酸トリメチルエステル0.05gとを投入して、昇温と減圧を行い、発生するエチレングリコールを抜きながら、加熱槽温度を290℃、真空度を300Paに到達させた。この状態で8時間反応を行い、反応物を水中に押し出して、屈折率1.615、ガラス転移温度(Tg)120℃、重量平均分子量45000のポリエステルを得た。
Claims (7)
- 式(1)において、R2がプロピレン基であり、mが1〜4である請求項1記載の化合物。
- 式(1)において、R3がC6−10アリール基である請求項1又は2に記載の化合物。
- 式(1)において、R2がプロピレン基であり、mが1〜2であり、R3がフェニル基である請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
- 9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンである請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の化合物で構成されたジオール成分とジカルボン酸成分とを重合成分とするポリエステル。
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