JP2009145821A - 加圧部材、像加熱装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱部材と接触して記録材を挟持搬送しつつ加熱するためのニップ部を形成する加圧部材であって、記録材が通過しない領域の過昇温を緩和でき、耐久性能と記録材の搬送性の向上を図ることのできる加圧部材を提供すること。
【解決手段】加熱部材22と接触して記録材Pを挟持搬送しつつ加熱するためのニップ部Nを形成する加圧部材24であって、芯金24dと、前記芯金上に設けられている弾性層24aと、前記弾性層上に設けられ前記弾性層よりも高い熱伝導性を有する高熱伝導弾性層24bと、を有する加圧部材24において、前記高熱伝導弾性層の少なくとも一部は前記芯金に接触していることを特徴とする。
【選択図】図5
【解決手段】加熱部材22と接触して記録材Pを挟持搬送しつつ加熱するためのニップ部Nを形成する加圧部材24であって、芯金24dと、前記芯金上に設けられている弾性層24aと、前記弾性層上に設けられ前記弾性層よりも高い熱伝導性を有する高熱伝導弾性層24bと、を有する加圧部材24において、前記高熱伝導弾性層の少なくとも一部は前記芯金に接触していることを特徴とする。
【選択図】図5
Description
本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタなどの画像形成装置に搭載する定着装置の加圧ローラとして用いれば好適な加圧部材、その加圧部材を有する像加熱装置、及びその像加熱装置を有する画像形成装置に関する。
電子写真式のプリンタや複写機に搭載する定着装置(定着器)として、ハロゲンヒータと、このハロゲンヒータにより加熱される定着ローラと、その定着ローラと接触してニップ部を形成する加圧ローラと、を有する熱ローラ方式のものがある。また、定着装置(定着器)として、セラミックス製の基板上に発熱抵抗体を有するヒータと、このヒータに接触しつつ移動する定着フィルムと、その定着フィルムを介してヒータとニップ部を形成する加圧ローラと、を有するフィルム加熱方式のものがある。熱ローラ方式或いはフィルム加熱方式の定着装置は、何れも未定着トナー画像を担持する記録材をニップ部で挟持搬送しつつ記録材にトナー画像を加熱定着するものである。
上記熱ローラ方式の定着装置を搭載するプリンタで小サイズの記録材を大サイズの記録材と同じプリント間隔で連続プリントすると、定着ローラにおいて記録材が通過しない領域(非通紙領域)が過度に昇温することが知られている。また、上記フィルム加熱方式の定着装置を搭載するプリンタで小サイズの記録材を大サイズの記録材と同じプリント間隔で連続プリントすると、ヒータにおいて記録材が通過しない領域(非通紙領域)が過度に昇温することが知られている。定着ローラの非通紙領域、或いはヒータの非通紙領域が過昇温すると、定着装置を構成している各パーツにダメージを与える可能性がある。また、非通紙領域が過昇温している状態で大サイズの記録材にプリントすると、その記録材において非通紙領域と対応する部分でトナーが溶け過ぎ高温オフセットが発生してしまう。
上記のように非通紙領域が過昇温する非通紙部昇温を低減させる手段の一つとして、加圧ローラの熱伝導率を高くするという手法が一般的に知られている。これは、加圧ローラの有する弾性層の伝熱性を積極的に良化させる事で非通紙部昇温の温度の低下、つまり加圧ローラの長手方向の熱の高低差が減少するという効果を得る事ができるというものである。
特許文献1、特許文献2、特許文献3には、定着ローラや加圧ローラの弾性層の熱伝導率を良化させるためにアルミナ、酸化亜鉛、炭化珪素などの高熱伝導性フィラーをベースゴムに添加することが開示されている。
特許文献4には、弾性層を有する回転体(定着ベルト)の熱伝導を良化させるために、弾性層にカーボンファイバーを含有させる方法が開示されている。
特許文献5には、エラストマー層にグラファイトのような異方性充填材(anisotropic filler)を含有させ、ローラ厚み方向に熱伝導率を良化させる発明が開示されている。
特許文献6には、ピッチ系炭素繊維(pitch based carbon fiber)を用いた織物の層を加圧ローラの弾性層中に設ける発明が開示されている。
特許文献7には、ピッチ系炭素繊維(pitch based carbon fiber)を加圧ローラ弾性層中に分散させる発明が開示されている。
特開平11−116806号公報
特開平11−158377号公報
特開2003−208052号公報
特開2002−268423号公報
特開2000−39789号公報
特開2002−351243号公報
特開2005−273771号公報
特許文献1から特許文献5に記載されているようなアルミナ、酸化亜鉛、炭化珪素、カーボンファイバー、グラファイト等のフィラーを熱伝導率アップのために弾性層に添加しても、少量添加の場合は所望の熱伝導率を得る事が出来ない。また、多量に添加した場合は加圧ローラの硬度が高くなりすぎてしまい、トナー定着プロセスに必要なニップを得る事が出来なくなるという問題が生じる。一方、上記のフィラーを多量に添加しつつ加圧ローラの低硬度化を図るために弾性層を形成するベースゴムの硬度を下げた場合には、ゴムとしての耐久性能が不十分になることがある。
定着装置が充分に冷えている状態からプリンタがプリントを開始する所謂コールドスタート時には、加圧ローラ表面の温度が低すぎるため、記録材がニップ部を通過する際に水蒸気が発生する。そしてその水蒸気が加圧ローラ表面に結露付着し、記録材の搬送が不安定になることがある。
そこで、本発明の目的は、加熱部材と接触して記録材を挟持搬送しつつ加熱するためのニップ部を形成する加圧部材であって、記録材が通過しない領域の過昇温を緩和でき、耐久性能と記録材の搬送性の向上を図ることのできる加圧部材を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記の加圧部材を有する像加熱装置を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記の像加熱装置を有する画像形成装置を提供することにある。
(1)上記の目的を達成するための構成は、加熱部材と接触して記録材を挟持搬送しつつ加熱するためのニップ部を形成する加圧部材であって、芯金と、前記芯金上に設けられている弾性層と、前記弾性層上に設けられ前記弾性層よりも高い熱伝導性を有する高熱伝導弾性層と、を有する加圧部材において、前記高熱伝導弾性層の少なくとも一部は前記芯金に接触していることを特徴とする。
(2)上記の目的を達成するための構成は、加熱部材と、前記加熱部材と接触してニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で画像を担持している記録材を挟持搬送しつつ画像を加熱する像加熱装置において、前記加圧部材は、芯金と、前記芯金上に設けられている弾性層と、前記弾性層上に設けられ前記弾性層よりも高い熱伝導性を有する高熱伝導弾性層と、を有し、前記高熱伝導弾性層の少なくとも一部は前記芯金に接触していることを特徴とする。
(3)上記の目的を達成するための構成は、像担持体と、前記像担持体が担持する未定着画像を記録材に転写して担持させる転写手段と、前記記録材に担持させた未定着画像を記録材に固着させる定着手段と、を有する画像形成装置において、前記定着手段として(2)に記載の像加熱装置を有することを特徴とする。
本発明によれば、加熱部材と接触して記録材を挟持搬送しつつ加熱するためのニップ部を形成する加圧部材であって、記録材が通過しない領域の過昇温を緩和でき、耐久性能と記録材の搬送性の向上を図ることのできる加圧部材を提供できる。
また、本発明によれば、上記の加圧部材を有する像加熱装置を提供できる。
また、本発明によれば、上記の像加熱装置を有する画像形成装置を提供できる。
本発明を図面に基づいて説明する。
[実施例]
(1)画像形成装置例
図1は本発明に係る像加熱装置を加熱定着装置(定着手段)として搭載できる画像形成装置の一例の概略模型図である。この画像形成装置は電子写真式のレーザービームプリンタである。
(1)画像形成装置例
図1は本発明に係る像加熱装置を加熱定着装置(定着手段)として搭載できる画像形成装置の一例の概略模型図である。この画像形成装置は電子写真式のレーザービームプリンタである。
本実施例に示すプリンタは、像担持体として回転ドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)1を有する。感光ドラム1は、OPC・アモルファスSe・アモルファスSi等の感光材料層を、アルミニウムやニッケルなどのシリンダ(ドラム)状の導電性基体の外周面に形成した構成から成る。
感光ドラム1は、矢印aの時計方向に所定の周速度(プロセススピード)にて回転駆動され、その回転過程で感光ドラム1の外周面(表面)が帯電手段としての帯電ローラ2により所定の極性・電位に一様に帯電処理される。その感光ドラム1表面の一様帯電面に対してレーザービームスキャナ3から出力される、画像情報に応じて変調制御(ON/OFF制御)されたレーザービームLBによる走査露光がなされる。これによって、感光ドラム1表面に目的の画像情報に応じた静電潜像が形成される。
その潜像が現像手段としての現像装置4によりトナーTを用いることによって未定着のトナー画像(未定着画像)として現像され可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法、FEED現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像との組み合わせで用いられることが多い。
一方、給送ローラ8の駆動により給送カセット9内に積載収納されている記録材Pが一枚づつ繰り出されガイド10・レジストローラ11を有するシートパスを通ってレジストローラ11に搬送される。レジストローラ11は、その記録材Pを感光ドラム1表面と転写ローラ5の外周面(表面)との間の転写ニップ部Tnに所定の制御タイミングにて給送する。その記録材Pは転写ニップ部Tnで挟持搬送され、その搬送過程において転写ローラ5に印加される転写バイアスによって感光ドラム1表面のトナー画像が順次に記録材Pの面に転写されていく。これによって記録材Pは未定着のトナー画像を担持する。
未定着トナー画像(未定着画像)を担持した記録材Pは感光ドラム1表面から順次に分離して転写ニップ部Tnから排出され、搬送ガイド12を通じて加熱定着装置6のニップ部Nに導入される。その記録材Pは定着装置6のニップ部Nにより熱と圧力を受けることによってトナー画像が記録材Pの面に加熱定着されて固着される。
定着装置6を出た記録材Pは搬送ローラ13とガイド14と排出ローラ15とを有するシートパスを通って、排出トレイ16にプリントアウトされる。
また、記録材分離後の感光ドラム1表面はクリーニング手段としてのクリーニング装置7により転写残りトナー等の付着汚染物の除去処理を受けて清浄面化され、繰り返して作像に供される。
給送カセット9は給送カセット9の内部にサイズの異なる各種記録材Pを積載収容するための移動可能な規制ガイド(不図示)を有する。ユーザーはその規制ガイドを記録材Pのサイズに応じて変位させその記録材Pを給送カセット9内に積載収納する。これにより、サイズの異なる各種記録材Pを給送カセット9から中央搬送基準で送り出すことができる。ここで、中央搬送基準とは記録材Pの面において記録材Pの搬送方向と直交する幅方向の端面間の略中心を基準として記録材Pを搬送する搬送形態をいう。
本実施例のプリンタは、A3サイズ紙対応のプリンタであって、プリントスピードが50枚/分(A4横)である。またトナーとしては、スチレンアクリル樹脂を主材とし、これに必要に応じて荷電制御剤、磁性体、シリカ等を内添、外添したガラス転移点55〜65℃のものを使用した。
(2)定着装置6
以下の説明において、定着装置及び定着装置を構成する部材について、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向である。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向である。長さとは長手方向の寸法である。幅とは短手方向の寸法である。
以下の説明において、定着装置及び定着装置を構成する部材について、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向である。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向である。長さとは長手方向の寸法である。幅とは短手方向の寸法である。
図2は定着装置6の横断側面模型図である。この定着装置6は、フィルム加熱方式の定着装置である。
21は横断面略半円形状・樋型で、図面に垂直方向を長手方向とする横長のフィルムガイド部材(ステイ)である。22はこのフィルムガイド部材21の下面の幅方向中央に長手方向に沿って形成した溝内に収容保持させた横長の加熱体(ヒータ)である。23は加熱部材としての可撓性部材である。可撓性部材23は、加熱体付きのフィルムガイド部材21にルーズに外嵌させたエンドレスベルト状(円筒状)の耐熱性フィルム(可撓性スリーブ)である。
24はフィルム23を挟ませて加熱体22の下面に圧接させた加圧部材としての横長の弾性加圧ローラである。Nはフィルム23を挟ませて加熱体22に接触させた加圧ローラ24の弾性層24aと高熱伝導弾性層24bの弾性変形によって加熱体22との間に形成されたニップ部(定着ニップ部)である。加圧ローラ24は駆動源Mの駆動力が不図示のギア等の動力伝達機構を介して伝達されて所定の周速度で矢印bの反時計方向に回転駆動される。
フィルムガイド部材21は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイト)や液晶ポリマー等の耐熱性樹脂の成形品である。
加熱体22は、全体に低熱容量のセラミックス製のヒータである。本実施例に示すヒータ22は、アルミナ等の横長・薄板状のヒータ基板22aと、その基板22aの表面側(フィルム摺動面側)に長手方向に沿って形成具備させた線状あるいは細帯状のAg/Pdなどの通電発熱体(抵抗発熱体)22bと、を有する。また、ヒータ22は、通電発熱体22bを覆って保護するガラス層等の薄い表面保護層22cを有する。そしてヒータ基板22aの裏面側にサーミスタ等の検温素子(温度検知手段)25などが設けられている。このヒータ22は、通電発熱体22bに対する電力供給により迅速に昇温した後、検温素子25を含む電力制御系(不図示)により所定の定着温度(目標温度)を維持するように制御される。
フィルム23は、熱容量を小さくして装置のクイックスタート性を向上させるために、膜厚を総厚100μm以下、好ましくは60μm以下20μm以上とした単層フィルム、或いはベースフィルムの表面に離型層をコーティングした複合層フィルムである。単層フィルムの材料としては、耐熱性・離型性・強度・耐久性等のあるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)・PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル)・PPS等が用いられる。ベースフィルムの材料としては、ポリイミド・ポリアミドイミド・PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)・PES(ポリエーテルスルホン)等が用いられる。離型層の材料としては、PTFE・PFA・FEP(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル)等が用いられる。
加圧ローラ24は、鉄やアルミニウム等の材質の芯金24dと、次の(3)項で詳述する材料、製造法にて得られる弾性層24aと、高熱伝導弾性層24bと、離型層24cなどを有する。この加圧ローラ24は、加圧ローラ24表面がフィルム23を介して加熱体22の表面保護層22cに所定の加圧機構(不図示)により所定の加圧力で加圧されている。その加圧力に応じて加圧ローラ24の高熱伝導弾性層24bが弾性変形し、加圧ローラ24表面とフィルム23表面との間に未定着トナー画像の加熱定着に必要な所定幅のニップ部Nが形成される。
フィルム23は、少なくとも画像形成実行時に加圧ローラ24が矢印bの反時計方向に回転駆動されることにより、加圧ローラ24の回転に従動して矢印aの時計方向に回転する。つまり、加圧ローラ24を回転駆動するとニップ部Nにおいて加圧ローラ24の外周面(表面)とフィルム23の外周面(表面)との摩擦力でフィルム23に回転力が作用する。フィルム23が回転している際には、フィルム23の内周面(内面)がニップ部Nにおいてヒータ22の表面保護層22cに接触して摺動する。この場合、フィルム23内面とヒータ22の表面保護層22cとの摺動抵抗を低減するために両者間に耐熱性グリス等の潤滑剤を介在させるとよい。
而して、加圧ローラ24の回転駆動によりフィルム23が回転され、かつヒータ22が所定の定着温度に立ち上がって温調された状態において、未定着トナー画像tを担持した記録材Pがニップ部Nに導入される。その記録材Pはニップ部Nでフィルム23表面と加圧ローラ24表面とにより挟持搬送される。その搬送過程においてトナー画像tにはヒータ22の熱がフィルム23を介して付与されるとともにニップ部Nのニップ圧が付与される。これによって、トナー画像tは記録材Pの面に加熱定着される。ニップ部Nを出た記録材Pはフィルム23表面から分離されて搬送され、定着装置6から排出される。
本実施例のようなフィルム加熱方式の定着装置6は、熱容量が小さく昇温の速いヒータ22を用いているために、ヒータ22が所定の定着温度に達するまでの時間を大幅に短縮できる。そのため、常温からでも容易に高温の定着温度に立ち上げることができる。従って、非プリント時において定着装置6が待機状態にあるときにスタンバイ温調をする必要がなく省電力化できる。
また、回転するフィルム23にはニップ部N以外には実質的にテンションが作用しないこと、定着装置6の簡略化等の理由で、フィルム寄り移動規制手段としてフィルム23の端部を受け止めるだけのフランジ部材(不図示)のみを配設している。
(3)加圧ローラ24
上記の加圧ローラ24について、それを構成する材料、成型方法等を以下に詳細に説明する。
上記の加圧ローラ24について、それを構成する材料、成型方法等を以下に詳細に説明する。
3−1)加圧ローラ24の層構成
図3は加圧ローラの横断側面模型図である。図4の(a)は加圧ローラ24の有する弾性層形成物の全体斜視図、(b)は(a)に示す弾性層形成物の側面図である。図5は図4(a)に示す弾性層形成物の縦断側面模型図である。図6は弾性層形成物の高熱伝導弾性層24bの切り出しサンプル24b1の拡大斜視図である。図7の(a)は図6に示す切り出しサンプル24b1のa断面の拡大図、(b)は図6に示す切り出しサンプル24b1のb断面の拡大図である。図8は高熱伝導弾性層24bに含有されているピッチ系炭素繊維24fの繊維直径部分Dと繊維長部分Lを表わす説明図である。
図3は加圧ローラの横断側面模型図である。図4の(a)は加圧ローラ24の有する弾性層形成物の全体斜視図、(b)は(a)に示す弾性層形成物の側面図である。図5は図4(a)に示す弾性層形成物の縦断側面模型図である。図6は弾性層形成物の高熱伝導弾性層24bの切り出しサンプル24b1の拡大斜視図である。図7の(a)は図6に示す切り出しサンプル24b1のa断面の拡大図、(b)は図6に示す切り出しサンプル24b1のb断面の拡大図である。図8は高熱伝導弾性層24bに含有されているピッチ系炭素繊維24fの繊維直径部分Dと繊維長部分Lを表わす説明図である。
本実施例に示す加圧ローラ24は、ローラ状の弾性層形成物(図4(a)参照)の高熱伝導弾性層24bの外周面の上(高熱伝導弾性層上)に、フッ素樹脂またはフッ素ゴムに代表されるような加圧ローラ表面に好適な材料からなる離型層24cを有する。この弾性層形成物は、丸軸の芯金24dの外周面の上(芯金上)に弾性層(耐熱性ゴム層)24aを有し、その弾性層24aの外周面の上(弾性層上)に弾性層24aよりも高い熱伝導性を有する高熱伝導弾性層24bを有する(図5参照)。
3−1−1)弾性層24a
加圧ローラ24に用いられる弾性層24a,24b全体の厚さは所望の幅のニップ部Nを形成することができる厚さであれば特に限定されないが、2〜10mmであることが好ましい。弾性層24aの材料としては、シリコーンゴムなど一般的な耐熱性ソリッドゴムや発泡スポンジゴムなどの弾性材を用いる事が出来る。どちらの材料も、定着装置6で使用した場合に充分な耐熱性と耐久性を有し、かつ、好ましい弾性(軟らかさ)を有している。従って、シリコーンゴムなど一般的な耐熱性ソリッドゴムや発泡スポンジゴムなどは弾性層24aの主たる材料として好適である。ここで、厚さとは加圧ローラ24の径方向の寸法をいう。
加圧ローラ24に用いられる弾性層24a,24b全体の厚さは所望の幅のニップ部Nを形成することができる厚さであれば特に限定されないが、2〜10mmであることが好ましい。弾性層24aの材料としては、シリコーンゴムなど一般的な耐熱性ソリッドゴムや発泡スポンジゴムなどの弾性材を用いる事が出来る。どちらの材料も、定着装置6で使用した場合に充分な耐熱性と耐久性を有し、かつ、好ましい弾性(軟らかさ)を有している。従って、シリコーンゴムなど一般的な耐熱性ソリッドゴムや発泡スポンジゴムなどは弾性層24aの主たる材料として好適である。ここで、厚さとは加圧ローラ24の径方向の寸法をいう。
弾性層24aの形成方法としては特に限定されないが、一般的な型成型が好適に用いる事ができる。
3−1−2)高熱伝導弾性層24b
高熱伝導弾性層24bは、弾性層24aと離型層24cの間に形成されている。そしてその高熱伝導弾性層24bの少なくとも一部を芯金24dに接触させている。本実施例では、高熱伝導弾性層24bの記録材搬送方向と直交する長手方向両端部を芯金24dの外周面(表面)に接触させている。即ち、図5に示すように、弾性層24aの長手方向両端部に芯金24dの長手方向両端部の内側部分を露出させるように傾斜面24a1,24a2を形成している。そしてその芯金24dの長手方向両端部の外周面と弾性層24aの傾斜面24a1,24a2とその弾性層24aの傾斜面24a1,24a2間の外周面を覆うように高熱伝導弾性層24bを設けている。従って、高熱伝導弾性層24bは、芯金24dの長手方向両端部の内側部分(露出部分)で芯金24dの外周面に接触している。
高熱伝導弾性層24bは、弾性層24aと離型層24cの間に形成されている。そしてその高熱伝導弾性層24bの少なくとも一部を芯金24dに接触させている。本実施例では、高熱伝導弾性層24bの記録材搬送方向と直交する長手方向両端部を芯金24dの外周面(表面)に接触させている。即ち、図5に示すように、弾性層24aの長手方向両端部に芯金24dの長手方向両端部の内側部分を露出させるように傾斜面24a1,24a2を形成している。そしてその芯金24dの長手方向両端部の外周面と弾性層24aの傾斜面24a1,24a2とその弾性層24aの傾斜面24a1,24a2間の外周面を覆うように高熱伝導弾性層24bを設けている。従って、高熱伝導弾性層24bは、芯金24dの長手方向両端部の内側部分(露出部分)で芯金24dの外周面に接触している。
また、高熱伝導弾性層24bは、弾性層24aよりも熱伝導率が高く設定されている。高熱伝導弾性層24bの熱伝導率を高く設定するためには、弾性材としてのシリコーンゴム24e中にそのシリコーンゴム24eよりも高い熱伝導性を有する高熱伝導ピッチ系炭素繊維(高熱伝導性針状フィラー)24fを含有させると好適である。ピッチ系炭素繊維24fは、ピッチ系炭素繊維中で熱伝導異方性を有している。ここで、熱伝導異方性とは、ピッチ系炭素繊維24fでは、例えば長軸方向のみ熱伝導が高く短軸方向では熱伝導が低いことをいう。
以下、シリコーンゴム24e中にピッチ系炭素繊維24fを含有させた高熱伝導弾性層24bを成型するときのピッチ系炭素繊維24fの配向について説明する。
ピッチ系炭素繊維24fは繊維形状を有している。ピッチ系炭素繊維24fを硬化前の液状シリコーンゴムと混練すると、ピッチ系炭素繊維24fは高熱伝導弾性層24bを成型する際の液状シリコーンゴムの流れの方向、即ち弾性層24aの長手方向の外形形状に沿って配向し易い。高熱伝導弾性層24bの成型を芯金24dの長手方向一端部側から行なった場合、その芯金24dの長手方向一端部から弾性層24aの傾斜面24a1と外周面との交差位置付近までの領域では、ピッチ系炭素繊維24fは傾斜面24a1に沿って配向し易い。つまり、ピッチ系炭素繊維24fは、A部拡大詳細図に示すように、傾斜面24a1の傾斜方向即ち芯金24dの外周面と交差する方向に配向し易い。また、弾性層24aの傾斜面24a1,24a2間の外周面に対応する領域では、B部拡大詳細図に示すように、ピッチ系炭素繊維24fは弾性層24aの長手方向に沿って配向し易い。また、弾性層24aの傾斜面24a2と外周面との交差位置付近から芯金24dの長手方向他端部までの領域では、ピッチ系炭素繊維24fは傾斜面24a2に沿って配向し易い。つまり、ピッチ系炭素繊維24fは、C部拡大詳細図に示すように、傾斜面24a2の傾斜方向即ち芯金24dの外周面と交差する方向に配向し易い。
液状シリコーンゴム硬化後の高熱伝導弾性層24bは、弾性層24aの傾斜面24a1,24a2間の領域に対応する長手方向中央部の厚みが一定である。弾性層24aの傾斜面24a1から芯金24dの長手方向一端部までの領域に対応する高熱伝導弾性層24bの長手方向一端部(長手方向端部)の厚みは弾性層24aの傾斜面24a1から芯金24dの長手方向一端部に向けて徐々に厚くなっている。同様に、弾性層24aの傾斜面24a2から芯金24dの長手方向他端部までの領域に対応する高熱伝導弾性層24bの長手方向他端部(長手方向端部)の厚みは弾性層24aの傾斜面24a2から芯金24dの長手方向他端部に向けて徐々に厚くなっている。
高熱伝導弾性層24bは、高熱伝導弾性層24bの長手方向中央部よりも芯金24dと接触している長手方向両端部(長手方向一端部と長手方向他端部)の方が厚みが厚い。そのため、高熱伝導弾性層24bの長手方向中央部よりも長手方向両端部にピッチ系炭素繊維24fをより多く存在させることができ高熱伝導弾性層24bの熱を芯金24dへ伝導させることができる(熱伝導性の向上)。
高熱伝導弾性層24bの芯金24dへの接触は高熱伝導弾性層24bの長手方向両端部だけに限られず、高熱伝導弾性層24bの長手方向両端部及びその他の部位で高熱伝導弾性層24bを芯金24dに接触させるように構成してもよい。
高熱伝導弾性層24bの厚さとしては0.5〜2.0mmが性能上、成形上において好ましい。高熱伝導弾性層24bの厚さは0.5〜2.0mmに限られず適宜調整することができる。
ここで、高熱伝導弾性層24bにおいて、ピッチ系炭素繊維24fはシリコーンゴム24eに対する体積率で5Vol%以上含まれている。ピッチ系炭素繊維の体積率は、(シリコーンゴム中に含有させた全ピッチ系炭素繊維の体積)/(シリコーンゴムの体積+全ピッチ系炭素繊維の体積)×100Vol%の式により求めている。また、ピッチ系炭素繊維24fの長手方向の熱伝導率は500W/(m・K)以上である(測定法:レーザーフラッシュ法)。そして、高熱伝導弾性層24bの記録材搬送方向と直交する長手方向の熱伝導率は2.0W/(m・K)以上である。高熱伝導弾性層24bの熱伝導率の測定法は、ホットディスク法熱物性測定装置を用いて高熱伝導弾性層24bのみの熱伝導率を求めている。
次に高熱伝導弾性層24bの中でピッチ系炭素繊維24fが配向している様子について詳しく説明する。
図4の(a)に示す弾性層形成物において、高熱伝導弾性層24bをx方向(周方向)、y方向(長手方向)にてカットして切り出しサンプル24b1を切り出す。そしてその高熱伝導弾性層24bの切り出しサンプル24b1において、図6のようにx方向のa断面及びy方向のb断面をそれぞれ観察する。すると、x方向のa断面では図7の(a)のようにピッチ系炭素繊維24fの繊維直径部分D(図8参照)が主に観察されるのに対し、y方向のb断面ではピッチ系炭素繊維24fの繊維長部分L(図8参照)が多く観察される。
3−1−3)離型層24c
離型層24cは、高熱伝導弾性層24b上にPFAチューブなどを被せることにより形成する。離型層24cの厚さは加圧ローラ24に充分な離型性を付与することができる厚さであれば特に限定されないが、好ましくは20〜100μmである。
離型層24cは、高熱伝導弾性層24b上にPFAチューブなどを被せることにより形成する。離型層24cの厚さは加圧ローラ24に充分な離型性を付与することができる厚さであれば特に限定されないが、好ましくは20〜100μmである。
3−2)加圧ローラ24の実施例
図9は実施例1に係る加圧ローラ24−1の成型手順を表わす説明図である。図10は実施例2に係る加圧ローラ24−2の成型手順を表わす説明図である。図11は実施例3に係る加圧ローラ24−3の成型手順を表わす説明図である。
図9は実施例1に係る加圧ローラ24−1の成型手順を表わす説明図である。図10は実施例2に係る加圧ローラ24−2の成型手順を表わす説明図である。図11は実施例3に係る加圧ローラ24−3の成型手順を表わす説明図である。
まず、実施例1、実施例2、実施例3に係る各加圧ローラに使用するピッチ系炭素繊維24fを示す。ピッチ系炭素繊維24fとして下記に示す2種類のピッチ系カーボンファイバーが用いられる。
・ 100−15M:ピッチ系カーボンファイバー、商品名:XN−100−15M、日本グラファイトファイバー(株)製、平均繊維直径:9μm、平均繊維長L:150μm、熱伝導率900W/(m・K)。
・ 100−25M:ピッチ系カーボンファイバー、商品名:XN−100−25M、日本グラファイトファイバー(株)製、平均繊維直径:9μm、平均繊維長L:250μm、熱伝導率900W/(m・K)。
(実施例1)
図9において、まず、φ22のAl製芯金24d((a)参照)の外周面上に、密度が1.20g/cm3である付加反応硬化型のシリコーンゴムを用いて型成型法により弾性層24aを形成することにより弾性層形成物1を得る。このとき、芯金24dから表層方向(弾性層24aの外周面方向)にかけて厚みが傾斜するようなコマ型(不図示)を芯金24dの長手方向両端部に用いた。これにより、芯金24dの長手方向両端部を露出するとともに芯金24dの長手方向両端部の内側に傾斜面24a1,24a2を有する肉厚3mmの弾性層24aを備えたφ28の弾性層形成物1を得た((b)参照)。ここで温度条件としては150℃×30分にて加熱硬化させた。
図9において、まず、φ22のAl製芯金24d((a)参照)の外周面上に、密度が1.20g/cm3である付加反応硬化型のシリコーンゴムを用いて型成型法により弾性層24aを形成することにより弾性層形成物1を得る。このとき、芯金24dから表層方向(弾性層24aの外周面方向)にかけて厚みが傾斜するようなコマ型(不図示)を芯金24dの長手方向両端部に用いた。これにより、芯金24dの長手方向両端部を露出するとともに芯金24dの長手方向両端部の内側に傾斜面24a1,24a2を有する肉厚3mmの弾性層24aを備えたφ28の弾性層形成物1を得た((b)参照)。ここで温度条件としては150℃×30分にて加熱硬化させた。
次に高熱伝導弾性層24bの成型法を説明する。
まず、
重量平均分子量Mw=65000
数平均分子量 Mn=15000
A液‥ビニル基濃度(0.863mol%)、SiH濃度(無し)
粘度(7.8Pa・s)
B液‥ビニル基濃度(0.955mol%)、SiH濃度(0.780mol%)
粘度(6.2Pa・s)
A/B=1/1のときH/Vi=0.43
となるA、B両液を1:1の割合になるように配合し、触媒の白金化合物を加えて付加硬化型シリコーンゴム原液を得る。
重量平均分子量Mw=65000
数平均分子量 Mn=15000
A液‥ビニル基濃度(0.863mol%)、SiH濃度(無し)
粘度(7.8Pa・s)
B液‥ビニル基濃度(0.955mol%)、SiH濃度(0.780mol%)
粘度(6.2Pa・s)
A/B=1/1のときH/Vi=0.43
となるA、B両液を1:1の割合になるように配合し、触媒の白金化合物を加えて付加硬化型シリコーンゴム原液を得る。
この付加硬化型シリコーンゴム原液に対し、ピッチ系カーボンファイバー100−15Mを体積比率で30%の割合になるように均一に配合・混練して、シリコーンゴム組成物1を得た。
次に内径φ30の金型に弾性層形成物1を芯軸が等しくなるようセットし、金型と弾性層形成物1との間にシリコーンゴム組成物1を注入し、150℃×60分の加熱硬化を経て外径φ30の高熱伝導弾性層24bを備えた弾性層形成物2を得る((c)参照)。
さらにその弾性層形成物2の高熱伝導弾性層24bの外周面に離型層24cとしてPFAチューブ(厚み50μm)を被覆し、両端部を切断して、(d)のような長手方向の長さ320mmの加圧ローラ24−1を得た。ここで、PFAとはテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体である。
なお、別途、上記と同様にして弾性層形成物1上に高熱伝導弾性層24bを形成した。この高熱伝導弾性層24bを切出し厚みが15mmになるように15枚を重ね合わせた状態で測定したASKER−C硬度は35°であった。そして、高熱伝導弾性層24bを切出し、前述した方法にてy方向(長手方向)の熱伝導率を測定したところ65.8W/(m・k)であった。
(実施例2)
図10において、まず実施例1と同様に弾性層形成物1を得る。
図10において、まず実施例1と同様に弾性層形成物1を得る。
次に高熱伝導弾性層24bの成型法を説明する。
重量平均分子量Mw=33000
数平均分子量 Mn=16000
A液‥ビニル基濃度(0.820mol%)、SiH濃度(無し)
粘度(1.1Pa・s)
B液‥ビニル基濃度(0.827mol%)、SiH濃度(0.741mol%)
粘度(1.1Pa・s)
A/B=1/1のときH/Vi=0.45
となるA、B両液を1:1の割合になるように配合し、触媒の白金化合物を加えて付加硬化型シリコーンゴム原液を得る。
数平均分子量 Mn=16000
A液‥ビニル基濃度(0.820mol%)、SiH濃度(無し)
粘度(1.1Pa・s)
B液‥ビニル基濃度(0.827mol%)、SiH濃度(0.741mol%)
粘度(1.1Pa・s)
A/B=1/1のときH/Vi=0.45
となるA、B両液を1:1の割合になるように配合し、触媒の白金化合物を加えて付加硬化型シリコーンゴム原液を得る。
この付加硬化型シリコーンゴム原液に対し、ピッチ系カーボンファイバー100−25Mを体積比率で30%の割合になるように均一に配合・混練して、シリコーンゴム組成物2を得た。
次に内径φ30の金型に弾性層形成物1を芯軸が等しくなるようセットし、金型と弾性層形成物1との間にシリコーンゴム組成物2を注入し、150℃×60分の加熱硬化を経て外径φ30の高熱伝導弾性層24bを備えた弾性層形成物2を得る((c)参照)。
さらにその弾性層形成物2の高熱伝導弾性層24bの外周面に離型層24cとしてPFAチューブ(厚み50μm)を被覆し、両端部を切断して、(d)のような長手方向の長さ320mmの加圧ローラ24−2を得た。
なお、別途、上記と同様にして弾性層形成物1上に高熱伝導弾性層24bを形成した。この高熱伝導弾性層24bを切出し厚みが15mmになるように15枚を重ね合わせた状態で測定したASKER−C硬度は39°であった。そして、高熱伝導弾性層24bを切出し、前述した方法にてy方向(長手方向)の熱伝導率を測定したところ80.2W/(m・k)であった。
(実施例3)
実施例3の加圧ローラ24−3は、芯金24dの外形形状が実施例1の加圧ローラ24−1における芯金24dの外形形状と異なっている。加圧ローラ24−3の芯金24dは、Al製芯金24d(図11の(a)参照)の長手方向両端部(長手方向一端部と長手方向他端部)の内側にφ28のフランジ24d1,24d2を有する。そしてそのフランジ24d1,24d2間の長手方向中央部はφ22に設定してある。
実施例3の加圧ローラ24−3は、芯金24dの外形形状が実施例1の加圧ローラ24−1における芯金24dの外形形状と異なっている。加圧ローラ24−3の芯金24dは、Al製芯金24d(図11の(a)参照)の長手方向両端部(長手方向一端部と長手方向他端部)の内側にφ28のフランジ24d1,24d2を有する。そしてそのフランジ24d1,24d2間の長手方向中央部はφ22に設定してある。
図11において、まず、φ22のAl製芯金24d((a)参照)の長手方向中央部の外周面に、密度が1.20g/cm3である付加反応硬化型のシリコーンゴムを用いて型成型法により弾性層24aを形成する。これによりφ28の弾性層形成物3を得た((b)参照)。芯金24dのフランジ24d1,24d2には芯金24dの長手方向に貫通する貫通孔24h((a)参照)が複数設けられ、その貫通孔24hからシリコーンゴムを注入して型成型することにより弾性層24aを形成できる。ここで温度条件としては150℃×30分にて加熱硬化させた。
そして、実施例1と同じ付加硬化型シリコーンゴム原液に対し、ピッチ系カーボンファイバー100−15Mを体積比率で30%の割合になるように均一に配合・混練して、シリコーンゴム組成物1を得た。
次に内径φ30の金型に弾性層形成物3を芯軸が等しくなるようセットし、金型と弾性層形成物1との間にシリコーンゴム組成物1を注入し、150℃×60分の加熱硬化を経て外径φ30の高熱伝導弾性層24bを備えた弾性層形成物4を得る((c)参照)。図12に弾性層形成物4の縦断側面模型図を示す。図12に示すように、高熱伝導弾性層24bは芯金24dの長手方向両端部と対応する領域でフランジ24d1,24d2の外周面と接触している。これにより高熱伝導弾性層24bの熱を芯金24dへ伝導させることができる(熱伝導性の向上)。
さらにその弾性層形成物4の高熱伝導弾性層24bの外周面に離型層24cとしてPFAチューブ(厚み50μm)を被覆し、両端部を切断して、(d)のような長手方向の長さ320mmの加圧ローラ24−3を得た。
なお、別途、上記と同様にして弾性層形成物1上に高熱伝導弾性層24bを形成した。この高熱伝導弾性層24bを切出し厚みが15mmになるように15枚を重ね合わせた状態で測定したASKER−C硬度は実施例1と同じであった。そして、高熱伝導弾性層24bを切出し、前述した方法にてy方向(長手方向)の熱伝導率を測定したところ実施例1と同じであった。
(比較例1)
本比較例に係る加圧ローラ(不図示)は、高熱伝導弾性層24bを設けていない点を除いて、実施例1の加圧ローラ24−1と同じ構成としてある。
本比較例に係る加圧ローラ(不図示)は、高熱伝導弾性層24bを設けていない点を除いて、実施例1の加圧ローラ24−1と同じ構成としてある。
本比較例の加圧ローラは、弾性層24aに熱伝導率0.4W/(m・k)からなるシリコーンゴムを肉厚4mmで構成した。
本比較例に使用しているシリコーンゴムは熱伝導率が一般的な0.2W/(m・k)以下というものよりもフィラーを若干多く添加することで熱伝導率を高めに設定してある。フィラーは補強剤としても用いられているシリカを用いた。
(比較例2)
本比較例に係る加圧ローラ(不図示)は、高熱伝導弾性層24bの長手方向両端部を芯金に接触させていない点を除いて、実施例1の加圧ローラ24−1と同じ構成としてある。
本比較例に係る加圧ローラ(不図示)は、高熱伝導弾性層24bの長手方向両端部を芯金に接触させていない点を除いて、実施例1の加圧ローラ24−1と同じ構成としてある。
本比較例の加圧ローラは、φ22のAl製芯金の外周に、密度が1.20g/cm3である付加反応硬化型のシリコーンゴムを用いて型成型法により肉厚3mmの弾性層を形成することによりφ28の弾性層形成物を得た。ここで温度条件としては150℃×30分にて加熱硬化させた。
[性能評価]
<非通紙領域昇温>
性能評価には、上記手法にて作製した実施例1、実施例2、実施例3、比較例1、比較例2に係る加圧ローラをそれぞれ有する5つのフィルム加熱方式の定着装置を同じ構成のプリンタに搭載した。そして各プリンタにおいて、定着装置の加圧ローラの周速度(プロセススピード)を234mm/secとなるように調整し、定着温度を220℃に設定し、そのときの非通紙領域の温度を測定した。即ち、定着装置のニップ部Nに記録材Pとして通紙(導入)させた紙はLTR横サイズ紙(75g/m2)であり、50枚/分にて連続500枚通紙した時の非通紙領域(LTR横サイズ紙が通過しない領域)のフィルム23表面の温度を測定した。
<非通紙領域昇温>
性能評価には、上記手法にて作製した実施例1、実施例2、実施例3、比較例1、比較例2に係る加圧ローラをそれぞれ有する5つのフィルム加熱方式の定着装置を同じ構成のプリンタに搭載した。そして各プリンタにおいて、定着装置の加圧ローラの周速度(プロセススピード)を234mm/secとなるように調整し、定着温度を220℃に設定し、そのときの非通紙領域の温度を測定した。即ち、定着装置のニップ部Nに記録材Pとして通紙(導入)させた紙はLTR横サイズ紙(75g/m2)であり、50枚/分にて連続500枚通紙した時の非通紙領域(LTR横サイズ紙が通過しない領域)のフィルム23表面の温度を測定した。
<耐久性>
定着温度を220°にして、LTR横サイズ紙(75g/mm2)を50枚/分にて15万枚通紙して非通紙領域を過昇温させ、そのときの非通紙領域におけるゴム状態の評価を行った。
定着温度を220°にして、LTR横サイズ紙(75g/mm2)を50枚/分にて15万枚通紙して非通紙領域を過昇温させ、そのときの非通紙領域におけるゴム状態の評価を行った。
<搬送性>
高温高湿環境下(32℃/80%)にて充分に放置され、吸湿したLTR横サイズ紙(75g/mm2)を定着装置が充分に冷えている状態からのプリント、所謂コールドスタートから定着温度を220°にして20枚連続通紙させたときの搬送性評価を行った。ここで、定着装置が充分に冷えている状態とは室温(25℃)の状態である。
高温高湿環境下(32℃/80%)にて充分に放置され、吸湿したLTR横サイズ紙(75g/mm2)を定着装置が充分に冷えている状態からのプリント、所謂コールドスタートから定着温度を220°にして20枚連続通紙させたときの搬送性評価を行った。ここで、定着装置が充分に冷えている状態とは室温(25℃)の状態である。
<評価の結果>
比較例1に係る加圧ローラを具備する定着装置では、未定着トナー画像の加熱定着に必要なニップ形成に支障をきたさず充分な定着性を確保でき、また耐久性、搬送性も良好であった。しかし、非通紙領域昇温は310℃と高いため、定着装置内の各パーツにダメージが発生するなどの問題が起きてしまう。
比較例1に係る加圧ローラを具備する定着装置では、未定着トナー画像の加熱定着に必要なニップ形成に支障をきたさず充分な定着性を確保でき、また耐久性、搬送性も良好であった。しかし、非通紙領域昇温は310℃と高いため、定着装置内の各パーツにダメージが発生するなどの問題が起きてしまう。
実施例1に係る加圧ローラ24−1では、高熱伝導弾性層24bにカーボンファイバーを含有させてある。従って高熱伝導弾性層24bの長手方向(y方向)の熱伝導率は65.8W/(m・K)である。また、加圧ローラ24−1では、高熱伝導弾性層24bの長手方向両端部が芯金24dと接触しているので、高熱伝導弾性層24bの芯金24dへの熱伝導性を向上でき、加圧ローラ24−1の長手方向両端部での放熱性がよい。
従って、実施例1に係る加圧ローラ24−1を具備する定着装置では、ヒータの非通紙領域温度は245.6℃であり充分な昇温抑制効果が見られた。なお、この時非通紙領域ではないフィルム中央部表面温度は205℃であった。
一方、トナー定着プロセスに必要なニップ形成に支障をきたさず充分な定着性を確保できる。また耐久性、搬送性も良好であった。
実施例2に係る加圧ローラ24−2も、高熱伝導弾性層24bにカーボンファイバーを含有させてある。従って高熱伝導弾性層24bの長手方向(y方向)の熱伝導率は80.2W/(m・K)である。また、加圧ローラ24−2においても、高熱伝導弾性層24bの長手方向両端部が芯金24dと接触しているので、高熱伝導弾性層24bの芯金24dへの熱伝導性を向上でき、加圧ローラ24−2の長手方向両端部での放熱性がよい。
従って、実施例2に係る加圧ローラ24−2を具備する定着装置では、ヒータの非通紙領域温度は244.2℃であり充分な昇温抑制効果が見られた。なお、この時非通紙領域ではないフィルム中央部表面温度は205℃であった。
一方、トナー定着プロセスに必要なニップ形成に支障をきたさず充分な定着性を確保できる。また耐久性、搬送性も良好であった。
実施例3に係る加圧ローラ24−3も、高熱伝導弾性層24bにカーボンファイバーを含有させてある。従って高熱伝導弾性層24bの長手方向(y方向)の熱伝導率は65.8W/(m・K)である。また、加圧ローラ24−3においても、高熱伝導弾性層24bの長手方向両端部が芯金24dと接触しているので、高熱伝導弾性層24bの芯金24dへの熱伝導性を向上でき、加圧ローラ24−3の長手方向両端部での放熱性がよい。
従って、実施例3に係る加圧ローラ24−3を具備する定着装置では、ヒータの非通紙領域温度は246.5℃であり充分な昇温抑制効果が見られた。なお、この時非通紙領域ではないフィルム中央部表面温度は205℃であった。
一方、トナー定着プロセスに必要なニップ形成に支障をきたさず充分な定着性を確保できる。また耐久性、搬送性も良好であった。
比較例2に係る加圧ローラは、高熱伝導弾性層にカーボンファイバーを含有させてある。従って高熱伝導弾性層の長手方向(y方向)の熱伝導率は60.5W/(m・K)である。
比較例2の加圧ローラを具備する定着装置では、ヒータの非通紙領域温度は250.4℃であり昇温抑制効果が見られたが、実施例1の加圧ローラ24−1のほうがより効果が高い。なお、この時非通紙領域ではないフィルム中央部表面温度は205℃であった。
以上説明したように、本実施例の加圧ローラ24は、高熱伝導弾性層24bの少なくとも一部を芯金24dに接触させることで、非通紙領域昇温の緩和、適度な放熱性、耐久性能の向上、コールドスタート時の搬送不良の解消などを達成することが可能となる。
(4)その他
4−1)上記実施例の加圧ローラ24は、弾性層24aと高熱伝導弾性層24bとの間に所定の弾性層を有する構成であってもよい。
4−1)上記実施例の加圧ローラ24は、弾性層24aと高熱伝導弾性層24bとの間に所定の弾性層を有する構成であってもよい。
4−2)上記実施例におけるフィルム加熱方式の加熱定着装置6において、加熱体22はセラミックヒータに限られるものではない。例えば、ニクロム線等を用いた接触加熱体等や、鉄板片等の電磁誘導発熱性部材等であってもよい。加熱体22は必ずしも定着ニップ部(圧接ニップ部)に位置していなくてもよい。
フィルム23自体を電磁誘導発熱性の金属フィルムにした電磁誘導加熱方式の加熱定着装置にすることもできる。
フィルム23は複数本の懸架部材間に懸回張設して駆動ローラで回動駆動させる装置構成にすることもできる。またフィルム23は繰り出し軸にロール巻きにした有端の長尺部材にして巻取り軸側に走行移動させる装置構成にすることもできる。
4−3)加熱定着装置はフィルム加熱方式に限られず、熱ローラ方式であってもよい。
4−4)加熱定着装置は、実施例の加熱定着装置に限られず、その他、未定着画像を仮定着する像加熱装置、画像を担持した記録媒体を再加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置であってもよい。
6‥定着装置、22‥ヒータ、24‥加圧ローラ、24a‥弾性層、24b‥高熱伝導弾性層、24e‥シリコーンゴム、24f‥ピッチ系炭素繊維、N‥ニップ部、P‥記録材
Claims (8)
- 加熱部材と接触して記録材を挟持搬送しつつ加熱するためのニップ部を形成する加圧部材であって、芯金と、前記芯金上に設けられている弾性層と、前記弾性層上に設けられ前記弾性層よりも高い熱伝導性を有する高熱伝導弾性層と、を有する加圧部材において、
前記高熱伝導弾性層の少なくとも一部は前記芯金に接触していることを特徴とする加圧部材。 - 前記高熱伝導弾性層は、前記弾性層よりも記録材搬送方向と直交する長手方向の熱伝導率が高く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の加圧部材。
- 前記高熱伝導弾性層は、弾性材と、前記弾性材に含まれているピッチ系炭素繊維であって、ピッチ系炭素繊維中で熱伝導異方性を持ったピッチ系炭素繊維と、を有することを特徴とする請求項2に記載の加圧部材。
- 前記ピッチ系炭素繊維は、前記弾性材に対する体積率で5Vol%以上含まれていることを特徴とする請求項3に記載の加圧部材。
- 前記ピッチ系炭素繊維の長手方向の熱伝導率は500W/(m・K)以上であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の加圧部材。
- 前記高熱伝導弾性層の記録材搬送方向と直交する長手方向の熱伝導率は2.0W/(m・K)以上であることを特徴とする請求項2に記載の加圧部材。
- 加熱部材と、前記加熱部材と接触してニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で画像を担持している記録材を挟持搬送しつつ画像を加熱する像加熱装置において、
前記加圧部材は、芯金と、前記芯金上に設けられている弾性層と、前記弾性層上に設けられ前記弾性層よりも高い熱伝導性を有する高熱伝導弾性層と、を有し、前記高熱伝導弾性層の少なくとも一部は前記芯金に接触していることを特徴とする像加熱装置。 - 像担持体と、前記像担持体が担持する未定着画像を記録材に転写して担持させる転写手段と、前記記録材に担持させた未定着画像を記録材に固着させる定着手段と、を有する画像形成装置において、
前記定着手段として請求項7に記載の像加熱装置を有することを特徴とする画像形成装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011085846A (ja) * | 2009-10-19 | 2011-04-28 | Canon Inc | 加圧部材、像加熱装置、及び画像形成装置 |
JP2013120279A (ja) * | 2011-12-07 | 2013-06-17 | Canon Inc | 電子写真用部材の製造方法 |
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2007
- 2007-12-18 JP JP2007325788A patent/JP2009145821A/ja active Pending
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JP2011085846A (ja) * | 2009-10-19 | 2011-04-28 | Canon Inc | 加圧部材、像加熱装置、及び画像形成装置 |
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