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JP2009014012A - 緩衝器 - Google Patents

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勝 神山
Yutaka Murakami
裕 村上
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Abstract

【課題】油圧緩衝器において、減衰力特性の設定の自由度を高める。
【解決手段】油液が封入されたシリンダ内に、ピストンロッド3が連結されたピストン5を摺動可能に嵌装する。伸び側油路Cの油液の流れに対して、伸び側主ディスクバルブ21によってピストン速度高速域の減衰力を発生し、副通路9によって伸び側主ディスクバルブ21をバイパスして伸び側副ディスクバルブ12によってピストン速度中速域の減衰力を発生する。縮み側油路Dの油液の流れに対して、縮み側主ディスクバルブ19によってピストン速度高速域の減衰力を発生し、副通路15によって縮み側主ディスクバルブ19をバイパスして縮み側副ディスクバルブ22によってピストン速度中速域の減衰力を発生する。これらのディスクバルブの開弁特性に応じてピストン速度中速域及び高速域の減衰力特性を設定することができるので、減衰力特性の設定の自由度を高めることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の車両のサスペンション装置に装着される油圧緩衝器等の緩衝器に関するものである。
一般的に、自動車等の車両の懸架装置に装着される筒型の油圧緩衝器は、油液が封入されたシリンダ内にピストンロッドが連結されたピストンが摺動可能に嵌装され、ピストン部にオリフィス及びディスクバルブ等からなる減衰力発生機構が設けられた構造となっている。これにより、ピストンロッドの伸縮に伴うシリンダ内のピストンの摺動によって生じる油液の流れをオリフィス及びディスクバルブによって制御して減衰力を発生させる。そして、ピストン速度の低速域においては、オリフィスによってオリフィス特性の減衰力を発生させ、ピストン速度の高速域においては、ディスクバルブが撓んで開弁することにより、バルブ特性の減衰力を発生させる。
従来の油圧緩衝器では、例えば、ピストン速度の低速域については、オリフィス面積、中速域については、ディスクバルブの開弁点、また、高速域については、ディスクバルブの開弁後の撓み剛性によって、それぞれ減衰力特性を設定することができる。そして、例えば特許文献1には、ピストンを分割構造とすることにより、複雑な油液通路を金型によって容易に成型することができるようにした油圧緩衝器が開示されている。
特開2005−188602号公報
しかしながら、上記従来の油圧緩衝器では、次のような問題がある。車両の乗り心地及び操縦安定性を両立させるためには、ピストン速度の低速域、中速域及び高速域について、最適な減衰力特性を設定することが要求される。従来の油圧緩衝器では、例えば、ピストン速度の高速域の減衰力を増大させるために、ディスクバルブの板厚を大きくしたり、ディスクの積層枚数を増加させたりして、その撓み剛性を大きくすると、ディスクバルブの開弁特性が変化するため、中速域の減衰力が過度に大きくなってしまう。これに対して、オリフィス面積を大きくして調整しようとすると、低速域の減衰力が不足するという問題を生じる。このように、ピストン速度の低、中、高速域の減衰力特性が相互に干渉するため、減衰力特性の設定の自由度が低く、最適な減衰力特性を設定することが困難である。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、減衰力特性の設定の自由度を高めることができる緩衝器を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、流体が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、一端が前記ピストンに連結され、他端が前記シリンダの外部に延出されたピストンロッドとを備えた緩衝器において、
前記ピストンロッドの伸縮による前記ピストンの摺動によって流体の流れが生じる伸び側通路及び縮み側通路を有する隔壁部材と、該隔壁部材の一側に設けられて前記伸び側通路の流路を調整する伸び側バルブと、前記隔壁部材の他側に設けられて前記縮み側通路の流路を調整する縮み側バルブと、前記隔壁部材に設けられて前記伸び側通路と前記縮み側通路とを連通する副通路と、該副通路の流路を調整する副バルブとを有することを特徴とする。
請求項2の発明に係る緩衝器は、上記請求項1の構成において、前記副通路は、前記伸び側通路から前記縮み側通路へ流体の流れに対して減衰力を発生する伸び側副バルブが設けられた伸び側副通路と、前記縮み側通路から伸び側通路への流体の流れに対して減衰力を発生する縮み側副バルブが設けられた縮み側副通路とを有していることを特徴とする。
請求項3の発明に係る緩衝器は、上記請求項1又は2の構成において、前記隔壁部材は、前記ピストンであることを特徴とする。
請求項4の発明に係る緩衝器は、上記請求項1又は2の構成において、前記シリンダには、前記隔壁部材を介してリザーバが接続されていることを特徴とする。
請求項5の発明に係る緩衝器は、上記請求項1乃至4のいずれかの構成において、前記隔壁部材は、軸方向に互いに結合された略円板状の第1部材と第2部材とで形成され、これらの結合面に前記副通路が形成されていることを特徴とする。
請求項6の発明に係る緩衝器は、上記請求項5の構成において、前記副バルブは、前記第1部材と前記第2部材との間に挟持される挟持部と、該挟持部から延ばされて前記副通路の流路を調整するバルブ部とを有するバルブ部材によって構成されていることを特徴とする。
請求項7の発明に係る緩衝器は、上記請求項1乃至5のいずれかの構成において、前記副バルブは、前記伸び側通路又は前記縮み側通路内に嵌合されて、前記副通路を開閉する略C字状の板バネ部材であることを特徴とする。
請求項8の発明に係る緩衝器は、上記請求項1乃至4のいずれかの構成において、前記隔壁部材の一側には、前記伸び側バルブが着座する環状の伸び側シート部が設けられ、他側には、前記縮み側バルブが着座する環状の縮み側シート部が設けられ、前記伸び側通路は、前記隔壁部材の一側において前記伸び側シート部の内周側に開口し、他側において前記縮み側シート部の外周側に開口し、前記縮み側通路は、前記隔壁部材の一側において前記伸び側シート部の外周側に開口し、他側において前記縮み側シート部の内周側に開口し、前記伸び側及び縮み側シート部の少なくとも一方の内周側に前記副バルブが着座する環状の副シート部が設けられ、前記副通路は、前記副シート部の内周側に開口し、該副シート部の外周側の前記伸び側又は縮み側シート部の外周側に開口する前記伸び側又は縮み側通路に連通していることを特徴とする。
請求項9の発明に係る緩衝器は、上記請求項8の構成において、前記隔壁部材、前記伸び側減衰バルブ、前記縮み側減衰バルブ及び前記副減バルブは、中央部に開口を有する円板状で、互いに重ねられて前記開口にロッド部材が挿通されて一体化されていることを特徴とする。
請求項10の発明に係る緩衝器は、上記請求項8又は9の構成において、前記隔壁部材の一側において、前記伸び側又は縮み側シート部の内周側の伸び側又は縮み側通路の開口と前記副シート部の開口とは、周方向に沿って交互に配置されていることを特徴とする。
請求項11の発明に係る緩衝器は、上記請求項8乃至10のいずれかの構成において、前記隔壁部材は、軸方向に互いに結合された略円板状の第1部材と第2部材とで形成され、前記副通路は、その軸方向に沿って延びる孔によって形成されていることを特徴とする。
請求項12の発明に係る緩衝器は、上記請求項1乃至11のいずれかの構成において、前記副通路は、流路面積の異なる複数の副通路からなることを特徴とする。
請求項13の発明に係る緩衝器は、上記請求項1乃至12のいずれかの構成において、前記副通路は、複数の副通路からなり、前記副バルブは、前記複数の副通路に対して受圧面積が異なっていることを特徴とする。
請求項14の発明に係る緩衝器は、上記請求項1乃至7のいずれかの構成において、前記副通路は、複数の副通路からなり、前記副バルブは、各副通路ごとに独立して設けられて、それぞれバルブ特性が異なっていることを特徴とする。
請求項15の発明に係る緩衝器は、上記請求項7の構成において、前記板バネ部材が前記副通路を開閉する際に離着座するシート部は、合成樹脂製であることを特徴とする。
請求項16の発明に係る緩衝器は、上記請求項1乃至15のいずれかの構成において、前記副バルブは、前記伸び側又は縮み側バルブよりも低い圧力で開弁することを特徴とする。
請求項17の発明に係る緩衝器は、上記請求項1、2、5乃至16のいずれかの構成において、前記隔壁部材は、前記シリンダの外部に設けられていることを特徴とする。
本発明に係る緩衝器によれば、伸び側、縮み側バルブ及び副バルブの特性をそれぞれ設定することができ、減衰力特性の設定の自由度を高めることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の第1実施形態について、図1乃至図3、図14及び図17を参照して説明する。
図17に示すように、本実施形態に係る油圧緩衝器1は、自動車のサスペンション装置に装着される筒型の油圧緩衝器であって、油液が封入されたシリンダ1a内にピストン2(隔壁部材)が摺動可能に嵌装され、このピストン2によってシリンダ内がシリンダ上室Aとシリンダ下室Bとの2室に画成されている。ピストン2には、ピストンロッド3の一端部が挿通されてナット4によって連結されており、ピストンロッド3の他端側は、シリンダの上端部に装着されたロッドガイド1b及びオイルシール1cに挿通されて外部へ延出されている。シリンダ1aの底部には、フリーピストン1dが摺動可能に嵌装されてガス室1eが形成されており、ガスの圧縮膨張によってピストンロッド3の伸縮に伴うシリンダ1a内の容積変化を補償するようになっている。あるいは、図18に示すように、シリンダ1aの底部に、ベースバルブ1f(隔壁部材)を介して、油液及びガスが封入されたリザーバ1gを接続する構造としてもよい。
図1に示すように、ピストン2は、上部の第1ピストン半体5(第1部材)と下部の第2ピストン半体6(第2部材)とを結合した上下2分割構造となっている。第1ピストン半体5は、中心部にピストンロッド3の一端部が挿通される円形の取付開口7が貫通されている。図3に示すように、開口7の周囲には、複数(図示の例では各5つ)の大径の主通路8及び小径の副通路9が周方向に沿って等間隔で交互に配置されて、第1ピストン半体5を軸方向に沿って貫通している。また、第1ピストン半体5の副通路9の外周部には、副通路9と同数の長方形の開口を有する入口通路10が軸方向に沿って貫通されている。そして、第1ピストン半体5の内周側に配置された各副通路9と外周側に配置された各入口通路10とは、第2ピストン半体6との結合面側で連通されている。
第1ピストン半体5の上端面には、内周側に配置された主通路8及び副通路9の開口と、外周側に配置された入口通路10の開口との間に環状のシート部11(縮み側シート部)が突出されている。したがって、シート部11の内周側に主通路8及び副通路9が配置され、外周側に入口通路10が配置されている。また、5つの副通路9のそれぞれの開口を囲むように花弁形に配置された環状の副シート部12が突出されている。シート部11の突出高さは、副シート部12の突出高さよりも高くなっている。第2ピストン半体6は、第1ピストン半体5と同形状又は略同形状であり、第1ピストン半体5と同様に、取付開口13、主通路14、副通路15、入口通路16、シート部17(伸び側シート部)及び副シート部18が設けられている。
そして、第1ピストン半体5と第2ピストン半体6とは、これらの結合面において、第1ピストン半体5の主通路8と第2ピストン半体6の入口通路16(従って副通路15)とが接続され、第1ピストン半体5の入口通路10(従って副通路9)と第2ピストン半体6の主通路14とが接続されるように、一定の中心角だけずらして結合されている。そして、互いに接続された第1ピストン半体5の入口通路10と第2ピストン半体6の主通路14とによってシリンダ上室Aとシリンダ下室Bとを連通させる伸び側通路Cが形成されている。また、互いに接続された第1ピストン半体5の主通路8と第2ピストン半体6の入口通路16とによってシリンダ上室Aとシリンダ下室Bとを連通させる縮み側主油路Dが形成されている。
第1ピストン半体5のシート部11には、大径の縮み側主ディスクバルブ19(縮み側バルブ)が着座され、副シート部12には、小径の伸び側副ディスクバルブ20(伸び側副バルブ)が着座されている。また、第2ピストン半体6のシート部17には、大径の伸び側主ディスクバルブ21(伸び側バルブ)が着座され、副シート部18には、小径の縮み側副ディスクバルブ22(縮み側副バルブ)が着座されている。伸び側副ディスクバルブ22の開弁圧力は、伸び側主ディスクバルブ19の開弁圧力よりも低く設定されており、縮み側副ディスクバルブ22の開弁圧力は、縮み側主ディスクバルブ19の開弁圧力よりも低く設定されている。これらのディスクバルブは、いずれも内周側がナット4の締付けによってクランプされており、外周側が撓んでそれぞれのシート部からリフトして開弁する。縮み側主ディスクバルブ19と伸び側副ディスクバルブ20のクランプ部には、スペーサ23が介装され、また、伸び側主ディスクバルブ21と縮み側副ディスクバルブ22との間には、スペーサ24が介装されており、これらが独立して開閉できるようになっている。縮み側主ディスクバルブ19及び伸び側主ディスクバルブ21には、それぞれこれらを常時バイパスするオリフィス19A、21A(切欠)が設けられている。
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
図2を参照して、ピストンロッド3の伸び行程時には、シリンダ上室A側の油液が加圧されて、図2中に実線矢印で示すように、伸び側通路C(入口通路10及び主通路14)を通り、オリフィス21A及び伸び側主ディスクバルブ21を介してシリンダ下室Bに流れてオリフィス21Aの絞り及び伸び側主ディスクバルブ21の開度に応じた減衰力を発生する。また、図2中に破線矢印で示すように、油液は、入口通路10から副通路9を通り、伸び側副ディスクバルブ20を開き、シート部12と縮み側主ディスクバルブ19で囲まれた環状の室Sを通り、更に、縮み側通路D(主通路8及び入口通路16)を通ってシリンダ下室Bに流れ、伸び側副ディスクバルブ20の開度に応じた減衰力を発生する。
このとき、オリフィス21Aによってピストン速度の低速域の減衰力が発生し、伸び側主ディスクバルブ21によって高速域の減衰力が発生し、また、伸び側副ディスクバルブ20によって中速域の減衰力が発生するので、これらのオリフィス21A、伸び側主ディスクバルブ21及び伸び側副ディスクバルブ20の特性を個々に調整することにより、ピストン速度の低速域、高速域、中速域の減衰力特性をそれぞれ設定することができ、伸び側の減衰力特性の設定の自由度を高めることができる。また、複数の副通路9、15の流路面積をそれぞれ異なるものとし、また、これらに対する伸び及び縮み側副ディスクバルブ20、22の受圧面積をそれぞれ異なるものとすることによって減衰力特性を調整することができる。
例えば、伸び側主ディスクバルブ21の積層枚数(撓み剛性)を増減することにより、図14に示すように、ピストン速度の高速域の減衰力を増減させることができ、また、伸び側副ディスクバルブ20の積層枚数(撓み剛性)を増減することにより、図15に示すように、ピストン速度の中速域の減衰力を増減させることができる。また、オリフィス21Aを小さくすると共に、伸び側副ディスクバルブ20の積層枚数を減らすことにより、図16に示すように、低速域の減衰力を増大させると共に中速域の減衰力を小さくすることも可能である。
ピストンロッド3の縮み行程時には、シリンダ下室B側の油液が加圧されて、縮み側通路D(入口通路16及び主通路8)を通り、オリフィス19A及び縮み側主ディスクバルブ19を介してシリンダ上室Aに流れてオリフィス19Aの絞り及び縮み側主ディスクバルブ19の開度に応じた減衰力を発生する。また、油液は、入口通路16から副通路15を通り、縮み側副ディスクバルブ22を開き、シート部17と伸び側主ディスクバルブ21で囲まれた環状の室Tを通り、更に、伸び側通路C(主通路14及び入口通路10)を通ってシリンダ上室Aに流れ、縮み側副ディスクバルブ22の開度に応じた減衰力を発生する。
このとき、オリフィス19Aによってピストン速度の低速域の減衰力が発生し、縮み側主ディスクバルブ19によって高速域の減衰力が発生し、また、縮み側副ディスクバルブ22によって中速域の減衰力が発生するので、これらのオリフィス19A、縮み側主ディスクバルブ19及び縮み側副ディスクバルブ22の特性を個々に調整することにより、ピストン速度の低速域、高速域、中速域の減衰力特性をそれぞれ設定することができ、縮み側の減衰力特性の設定の自由度を高めることができる。
第1及び第2ピストン半体5、6は、各通路が軸方向に沿って形成されており、成型時にアンダーカットとなる部分がないので、焼結等によって容易に金型成型することが可能である。また、第1及び第2ピストン半体5、6は、互いに同形状又はほぼ同形状とすることができるので、製造コストを低減することができる。
副シート部12、18をほぼ花弁形に配置したことにより、伸び側及び縮み側主ディスクバルブ21、19が、これらの背面側のシリンダ下室B及びシリンダ上室Aから圧力を受けたとき、副シート部12、18に当接することによって伸び側及び縮み側主ディスクバルブ21、19の撓み量を制限することができるので、伸び側及び縮み側主ディスクバルブ21、19の耐久性を高めることができる。
次に、本発明の第2実施形態について、図4乃至図8を参照して説明する。なお、本実施形態の説明では、ピストンのみを図示し、上記第1実施形態に対して、同様の部分には同一の符号を付して異なる部分についてのみ詳細に説明する。
図4乃至図6に示すように、本実施形態では、第1ピストン半体5は、副通路9及び副シート12が省略され、第2ピストン半体6との結合面に、円周方向に沿って交互に配置された主通路8と入口通路10とを互いに連通させる連通溝25(副通路)が形成されている。また、上端面のシート部11の内周側には、副シート部12の代わりに、シリンダ上室Aの圧力に対して縮み側主ディスクバルブ19を支持する円弧状の支持部26が突出されている。第2ピストン半体6は、上記第1ピストン半体5と同様、連通溝27(副通路)及び支持部28が設けられている。
第1ピストン半体5と第2ピストン半体6との結合面には、バルブ部材29(副バルブ)が介装されている。バルブ部材29は、図7及び図8に示すように、第1ピストン半体5と第2ピストン半体6とで挟持される環状の挟持部29Aから複数の連通溝25、27を覆うように複数のプレート部30が放射状に延ばされており、プレート部30の円周方向両端部が互いに反対方向に垂直に折曲されて、連通溝25、27の一端部を閉じるバルブ部31、32が形成されている。バルブ部31、32は、連通溝25、27を開閉する逆止弁として作用すると共に、連通溝25、27内の油液の圧力を受けて撓んで開く圧力制御弁として作用して、その開度に応じて連通溝25、27の流路面積を調整する。これにより、伸び側通路Cと縮み側通路Dとが連通溝25、27によって互いに連通され、バルブ部31、32の開度に応じてその流路面積が調整される。
この構成により、上記第1実施形態と同様、ピストンロッド3の伸縮に対して、伸び側主ディスクバルブ21(オリフィス21A)及び縮み側主ディスクバルブ19(オリフィス19A)によって減衰力が発生するが、ピストン速度の高速域において、バルブ部31、32が開くことにより、伸び側通路Cと縮み側通路Dとが連通溝25、27を介して連通されて、伸び側主ディスクバルブ21及び縮み側主ディスクバルブ19がバイパスされる。これにより、バルブ部31、32の開度に応じてピストン速度の高速域の減衰力を低下させることができる。このとき、種々の撓み特性のバルブ部31、32を有するバルブ部材29を適宜、選択して採用することより、第1及び第2ピストン半体5、6を変更することなく様々な減衰力特性を設定することができる。また、複数の連通溝25、27に対するバルブ部31、32の開弁特性(バルブ特性)を異なるように設定することにより、減衰力特性を調整してもよい。
次に上記第2実施形態の変形例について図9乃至図13を参照して説明する。なお、上記第2実施形態に対して、同様の部分には同一の符号を付して異なる部分についてのみ詳細に説明する。
図9乃至図12に示すように、本変形例では、バルブ部材29の代わりに、バルブ部材33が設けられている。バルブ部材33は、図12及び図13に示すように、略C字状(ここでは、嵌合部の形状に合せた略三角形)に屈曲された板バネ部材であり、第1及び第2ピストン半体5、6の主通路8、14及び入口通路10、16の結合面側の開口に嵌合されて、その一端部によって連通溝25、27を開閉するようになっている。なお、バルブ部材33が連通溝25、27を開閉する際に離着座するシート部は、シール性及び静音性を考慮して合成樹脂製とするとよい。これにより、バルブ部材33は、上記第2実施形態のバルブ部材29と同様、連通溝25、27を開閉する逆止弁として作用すると共に、連通溝25、27の圧力を受けて撓んで開く圧力制御弁として作用して、その開度に応じて連通溝25、27の流路面積を調整する。
この構成により、上記第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
なお、上記第1、第2実施形態及びその変形例では、一例として本発明をピストン部に適用した場合について説明しているが、本発明はこれに限らず、例えば、図18に示すように、シリンダ1a内とリザーバ1gを仕切るベースバルブ1f(隔壁部材)、あるいは、図19に示すように、シリンダ1aの外部に減衰力発生機構1hが設けられた油圧緩衝器において、減衰力発生機構1hの油路を構成する隔壁部材1jにも同様に適用することもがきる。また、上記第1、第2実施形態及びその変形例では、油液の流れを制御することによって減衰力を発生させる油圧緩衝器について説明しているが、本発明は、これに限らず、ガス等の他の流体の流れを制御して減衰力を発生させる緩衝器にも同様に適用することができる。
本発明の第1実施形態に係る油圧緩衝器の要部であるピストン部の縦断面図である。 図1に示す油圧緩衝器におけるピストンロッドの伸び行程時の油液の流れを示す図である。 図1に示す油圧緩衝器のピストン半体の平面図である。 本発明の第2実施形態に係る油圧緩衝器のピストンの縦断面図である。 図4に示すピストンの分解斜視図である。 図4に示すピストンのバルブ部材を取付けた状態の分解斜視図である。 図4に示すピストンに組込まれるバルブ部材の平面図である。 図4に示すピストンに組込まれるバルブ部材の斜視図である。 本発明の第2実施形態の変形例に係るピストンの分解斜視図である。 図9に示すピストンを構成するピストン半体にバルブ部材を組込んだ状態を示す斜視図である。 図10に示すピストン半体の平面図である。 図9に示すピストンに組込まれるバルブ部材の側面図である。 図9に示すピストンに組込まれるバルブ部材の斜視図である。 図1に示す油圧緩衝器におけるピストン速度の高速域の減衰力の調整例を示す減衰力特性のグラフ図である。 図1に示す油圧緩衝器におけるピストン速度の中速域の減衰力の調整例を示す減衰力特性のグラフ図である。 図1に示す油圧緩衝器におけるピストン速度の低速域及び中速域の減衰力の調整例を示す減衰力特性のグラフ図である。 本発明の一実施形態に係る油圧緩衝器の縦断面図である。 本発明を適用することができるベースバルブ及びリザーバを有する油圧緩衝器の概略図である。 本発明を適用することができるシリンダの外部に減衰力発生機構が設けられた油圧緩衝器の概略図である。
符号の説明
1 油圧緩衝器(緩衝器)、1a シリンダ、2 ピストン(隔壁部材)、3 ピストンロッド、9 副通路、15 副通路、19 縮み側主ディスクバルブ(縮み側バルブ)、20 伸び側副ディスクバルブ(副バルブ)、21 伸び側主ディスクバルブ(伸び側バルブ)、22 縮み側副ディスクバルブ(副バルブ)、C 伸び側通路、D 縮み側通路

Claims (17)

  1. 流体が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、一端が前記ピストンに連結され、他端が前記シリンダの外部に延出されたピストンロッドとを備えた緩衝器において、
    前記ピストンロッドの伸縮による前記ピストンの摺動によって流体の流れが生じる伸び側通路及び縮み側通路を有する隔壁部材と、該隔壁部材の一側に設けられて前記伸び側通路の流路を調整する伸び側バルブと、前記隔壁部材の他側に設けられて前記縮み側通路の流路を調整する縮み側バルブと、前記隔壁部材に設けられて前記伸び側通路と前記縮み側通路とを連通する副通路と、該副通路の流路を調整する副バルブとを有することを特徴とする緩衝器。
  2. 前記副通路は、前記伸び側通路から前記縮み側通路へ流体の流れに対して減衰力を発生する伸び側副バルブが設けられた伸び側副通路と、前記縮み側通路から伸び側通路への流体の流れに対して減衰力を発生する縮み側副バルブが設けられた縮み側副通路とを有していることを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。
  3. 前記隔壁部材は、前記ピストンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の緩衝器。
  4. 前記シリンダには、前記隔壁部材を介してリザーバが接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の緩衝器。
  5. 前記隔壁部材は、軸方向に互いに結合された略円板状の第1部材と第2部材とで形成され、これらの結合面に前記副通路が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の緩衝器。
  6. 前記副バルブは、前記第1部材と前記第2部材との間に挟持される挟持部と、該挟持部から延ばされて前記副通路の流路を調整するバルブ部とを有するバルブ部材によって構成されていることを特徴とする請求項5に記載の緩衝器。
  7. 前記副バルブは、前記伸び側通路又は前記縮み側通路内に嵌合されて、前記副通路を開閉する略C字状の板バネ部材であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の緩衝器。
  8. 前記隔壁部材の一側には、前記伸び側バルブが着座する環状の伸び側シート部が設けられ、他側には、前記縮み側バルブが着座する環状の縮み側シート部が設けられ、前記伸び側通路は、前記隔壁部材の一側において前記伸び側シート部の内周側に開口し、他側において前記縮み側シート部の外周側に開口し、前記縮み側通路は、前記隔壁部材の一側において前記伸び側シート部の外周側に開口し、他側において前記縮み側シート部の内周側に開口し、前記伸び側及び縮み側シート部の少なくとも一方の内周側に前記副バルブが着座する環状の副シート部が設けられ、前記副通路は、前記副シート部の内周側に開口し、該副シート部の外周側の前記伸び側又は縮み側シート部の外周側に開口する前記伸び側又は縮み側通路に連通していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の緩衝器。
  9. 前記隔壁部材、前記伸び側減衰バルブ、前記縮み側減衰バルブ及び前記副バルブは、中央部に開口を有する円板状で、互いに重ねられて前記開口にロッド部材が挿通されて一体化されていることを特徴とする請求項8に記載の緩衝器。
  10. 前記隔壁部材の一側において、前記伸び側又は縮み側シート部の内周側の伸び側又は縮み側通路の開口と前記副シート部の開口とは、周方向に沿って交互に配置されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の緩衝器。
  11. 前記隔壁部材は、軸方向に互いに結合された略円板状の第1部材と第2部材とで形成され、前記副通路は、その軸方向に沿って延びる孔によって形成されていることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の緩衝器。
  12. 前記副通路は、流路面積の異なる複数の副通路からなることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の緩衝器。
  13. 前記副通路は、複数の副通路からなり、前記副バルブは、前記複数の副通路に対して受圧面積が異なっていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかい記載の緩衝器。
  14. 前記副通路は、複数の副通路からなり、前記副バルブは、各副通路ごとに独立して設けられて、それぞれバルブ特性が異なっていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の緩衝器。
  15. 前記板バネ部材が前記副通路を開閉する際に離着座するシート部は、合成樹脂製であることを特徴とする請求項7に記載の緩衝器。
  16. 前記副バルブは、前記伸び側又は縮み側バルブよりも低い圧力で開弁することを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の緩衝器。
  17. 前記隔壁部材は、前記シリンダの外部に設けられていることを特徴とする請求項1、2、5乃至16のいずれかに記載の緩衝器。
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