JP2009098430A - 表示装置と電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】パルスジェネレータの低消費電力化を実現する表示装置の構成を提供する。
【解決手段】画素アレイ部1は、行状の走査線WS,DSと、列状の信号線SLと、これらが交差する部分に配された行列状の画素2とを有する。駆動部は、各走査線WSに一水平期間づつ位相をシフトしながら順次制御信号を供給して画素2を行単位で線順次走査するライトスキャナ4と、線順次走査に合わせて各走査線DSに順次制御信号を供給するドライブスキャナ5と、線順次走査に合わせて列状の信号線SLに映像信号を供給する信号セレクタ3とを備えている。ドライブスキャナ5は、水平期間づつ位相をずらしながら入力信号を各段から出力するシフトレジスタと、水平期間周期でパルスを生成するパルスジェネレータと、入力信号に応じて一つのパルスのみを抜き取って対応する走査線DSに制御信号として出力するバッファとを有する。
【選択図】図1
【解決手段】画素アレイ部1は、行状の走査線WS,DSと、列状の信号線SLと、これらが交差する部分に配された行列状の画素2とを有する。駆動部は、各走査線WSに一水平期間づつ位相をシフトしながら順次制御信号を供給して画素2を行単位で線順次走査するライトスキャナ4と、線順次走査に合わせて各走査線DSに順次制御信号を供給するドライブスキャナ5と、線順次走査に合わせて列状の信号線SLに映像信号を供給する信号セレクタ3とを備えている。ドライブスキャナ5は、水平期間づつ位相をずらしながら入力信号を各段から出力するシフトレジスタと、水平期間周期でパルスを生成するパルスジェネレータと、入力信号に応じて一つのパルスのみを抜き取って対応する走査線DSに制御信号として出力するバッファとを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、画素毎に配した発光素子を電流駆動して画像を表示する表示装置及びその駆動方法に関する。またかかる表示装置を用いた電子機器に関する。詳しくは、各画素回路内に設けた絶縁ゲート型電界効果トランジスタによって有機ELなどの発光素子に通電する電流量を制御する、いわゆるアクティブマトリクス型の表示装置の駆動方式に関する。
表示装置、例えば液晶ディスプレイなどでは、多数の液晶画素をマトリクス状に並べ、表示すべき画像情報に応じて画素毎に入射光の透過強度又は反射強度を制御することによって画像を表示する。これは、有機EL素子を画素に用いた有機ELディスプレイなどにおいても同様であるが、液晶画素と異なり有機EL素子は自発光素子である。その為、有機ELディスプレイは液晶ディスプレイに比べて画像の視認性が高く、バックライトが不要であり、応答速度が高いなどの利点を有する。又、各発光素子の輝度レベル(階調)はそれに流れる電流値によって制御可能であり、いわゆる電流制御型であるという点で液晶ディスプレイなどの電圧制御型とは大きく異なる。
有機ELディスプレイにおいては、液晶ディスプレイと同様、その駆動方式として単純マトリクス方式とアクティブマトリクス方式とがある。前者は構造が単純であるものの、大型且つ高精細のディスプレイの実現が難しいなどの問題がある為、現在はアクティブマトリクス方式の開発が盛んに行なわれている。この方式は、各画素回路内部の発光素子に流れる電流を、画素回路内部に設けた能動素子(一般には薄膜トランジスタ、TFT)によって制御するものであり、以下の特許文献に記載がある。
特開2003−255856
特開2003−271095
特開2004−133240
特開2004−029791
特開2004−093682
特開2006−215213
従来の画素回路は、制御信号を供給する行状の走査線と映像信号を供給する列状の信号線とが交差する部分に配され、少なくともサンプリングトランジスタと保持容量とドライブトランジスタと発光素子とを含む。サンプリングトランジスタは、走査線から供給される制御信号に応じ導通して信号線から供給された映像信号をサンプリングする。保持容量は、サンプリングされた映像信号の信号電位に応じた入力電圧を保持する。ドライブトランジスタは、保持容量に保持された入力電圧に応じて所定の発光期間に出力電流を駆動電流として供給する。尚一般に、出力電流はドライブトランジスタのチャネル領域のキャリア移動度及び閾電圧に対して依存性を有する。発光素子は、ドライブトランジスタから供給された出力電流により映像信号に応じた輝度で発光する。
ドライブトランジスタは、保持容量に保持された入力電圧を制御端であるゲートに受けて一対の電流端であるソース/ドレイン間に出力電流を流し、発光素子に通電する。一般に発光素子の発光輝度は通電量に比例している。更にドライブトランジスタの出力電流供給量はゲート電圧すなわち保持容量に書き込まれた入力電圧によって制御される。従来の画素回路は、ドライブトランジスタのゲートに印加される入力電圧を入力映像信号に応じて変化させることで、発光素子に供給する電流量を制御している。
ここでドライブトランジスタの動作特性は以下の式1で表わされる。
Ids=(1/2)μ(W/L)Cox(Vgs−Vth)2・・・式1
このトランジスタ特性式1において、Idsはソース/ドレイン間に流れるドレイン電流を表わしており、画素回路では発光素子に供給される出力電流である。Vgsはソースを基準としてゲートに印加されるゲート電圧を表わしており、画素回路では上述した入力電圧である。Vthはトランジスタの閾電圧である。又μはトランジスタのチャネルを構成する半導体薄膜の移動度を表わしている。その他Wはチャネル幅を表わし、Lはチャネル長を表わし、Coxはゲート容量を表わしている。このトランジスタ特性式1から明らかな様に、薄膜トランジスタは飽和領域で動作する時、ゲート電圧Vgsが閾電圧Vthを超えて大きくなると、オン状態となってドレイン電流Idsが流れる。原理的に見ると上記のトランジスタ特性式1が示す様に、ゲート電圧Vgsが一定であれば常に同じ量のドレイン電流Idsが発光素子に供給される。従って、画面を構成する各画素に全て同一のレベルの映像信号を供給すれば、全画素が同一輝度で発光し、画面の一様性(ユニフォーミティ)が得られるはずである。
Ids=(1/2)μ(W/L)Cox(Vgs−Vth)2・・・式1
このトランジスタ特性式1において、Idsはソース/ドレイン間に流れるドレイン電流を表わしており、画素回路では発光素子に供給される出力電流である。Vgsはソースを基準としてゲートに印加されるゲート電圧を表わしており、画素回路では上述した入力電圧である。Vthはトランジスタの閾電圧である。又μはトランジスタのチャネルを構成する半導体薄膜の移動度を表わしている。その他Wはチャネル幅を表わし、Lはチャネル長を表わし、Coxはゲート容量を表わしている。このトランジスタ特性式1から明らかな様に、薄膜トランジスタは飽和領域で動作する時、ゲート電圧Vgsが閾電圧Vthを超えて大きくなると、オン状態となってドレイン電流Idsが流れる。原理的に見ると上記のトランジスタ特性式1が示す様に、ゲート電圧Vgsが一定であれば常に同じ量のドレイン電流Idsが発光素子に供給される。従って、画面を構成する各画素に全て同一のレベルの映像信号を供給すれば、全画素が同一輝度で発光し、画面の一様性(ユニフォーミティ)が得られるはずである。
しかしながら実際には、ポリシリコンなどの半導体薄膜で構成された薄膜トランジスタ(TFT)は、個々のデバイス特性にばらつきがある。特に、閾電圧Vthは一定ではなく、各画素毎にばらつきがある。前述のトランジスタ特性式1から明らかな様に、各ドライブトランジスタの閾電圧Vthがばらつくと、ゲート電圧Vgsが一定であっても、ドレイン電流Idsにばらつきが生じ、画素毎に輝度がばらついてしまう為、画面のユニフォーミティを損なう。従来からドライブトランジスタの閾電圧のばらつきをキャンセルする機能を組み込んだ画素回路が開発されており、例えば前記の特許文献3に開示がある。
しかしながら、発光素子に対する出力電流のばらつき要因は、ドライブトランジスタの閾電圧Vthだけではない。上記のトランジスタ特性式1から明らかなように、ドライブトランジスタの移動度μがばらついた場合にも、出力電流Idsが変動する。この結果、画面のユニフォーミティが損なわれる。従来からドライブトランジスタの移動度のばらつきを補正する機能を組み込んだ画素回路が開発されており、例えば前記の特許文献6に開示がある。
従来の表示装置は、ドライブトランジスタの閾電圧のばらつきをキャンセルする機能(閾電圧補正機能)や同じくドライブトランジスタの移動度のばらつきを補正する機能(移動度補正機能)を各画素に組み、所定の補正動作を行って画面のユニフォーミティを高めている。閾電圧補正動作や移動度補正動作などの補正動作を安定且つ高精度で制御するため、従来の表示装置は外付けのパルスジェネレータを用いて、高精度の制御信号を得ていた。具体的には表示装置を構成するパネルが外部のパルスジェネレータから供給されるパルスを取り込んで、これに基づいて各画素の補正動作を制御する制御信号を生成していた。
従来のアクティブマトリクス型の表示装置は、基本的に水平走査期間単位で順次画素アレイを走査して、所定の補正動作を行っている。基本的には制御信号も所定の水平期間でパルスジェネレータから供給されたパルスを1個抜き取って、制御信号とすれば動作上充分である。しかしながら従来の表示装置は動作シーケンスの関係から複数の走査線に供給すべき複数の制御信号で同時にパルスを抜き取る結果となっており、外部のパルスジェネレータに大きな駆動負荷が加わりパルスジェネレータの消費電力の増大化を招いていた。モバイル向けのディスプレイなどではパネルと外付けのモジュールを含めたセット全体の低消費電力化が求められており、解決すべき課題となっている。
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明はパルスジェネレータの低消費電力化を実現する表示装置の構成を提供することを目的とする。かかる目的を達成するために以下の手段を講じた。即ち本発明は、画素アレイ部とこれを駆動する駆動部とからなり、前記画素アレイ部は、行状の第1走査線及び第2走査線と、列状の信号線と、これらが交差する部分に配された行列状の画素と、各画素に給電する電源ライン及び接地ラインとを備え、前記駆動部は、各第1走査線に一水平期間づつ位相をシフトしながら順次第1の制御信号を供給して画素を行単位で線順次走査するライトスキャナと、該線順次走査に合わせて各第2走査線に順次第2の制御信号を供給するドライブスキャナと、該線順次走査に合わせて列状の信号線に映像信号を供給する信号セレクタとを備え、前記画素は、発光素子と、サンプリングトランジスタと、ドライブトランジスタと、スイッチングトランジスタと、保持容量とを含み、前記サンプリングトランジスタは、その制御端が該第1走査線に接続し、一対の電流端の一方が該信号線に接続し、他方が該ドライブトランジスタの制御端に接続し、前記ドライブトランジスタ及び前記発光素子は該電源ラインと接地ラインとの間で直列に接続して電流路を形成し、前記スイッチングトランジスタは該電流路に挿入されるとともに、その制御端が該第2走査線に接続し、前記保持容量は、該ドライブトランジスタの電流端と制御端との間に接続しており、前記画素は、該第1走査線に供給された第1の制御信号に応じて該サンプリングトランジスタがオンして該信号線から映像信号のサンプリングを開始した後、該第2走査線に供給された第2の制御信号に応じて該スイッチングトランジスタがオンしてから該サンプリングトランジスタがオフするまでの間に、該ドライブトランジスタに流れる電流を該保持容量に負帰還して該ドライブトランジスタの移動度のバラツキを補正する表示装置であって、前記ドライブスキャナは、水平期間づつ位相をずらしながら入力信号を各段から出力するシフトレジスタと、水平期間周期でパルスを生成するパルスジェネレータと、該シフトレジスタの各段と各第2走査線との間に配され、入力信号に応じて一つのパルスのみを抜き取って対応する第2走査線に第2の制御信号として出力するバッファとを有することを特徴とする。
好ましくは前記ドライブスキャナは、所定の発光期間中第2走査線を介して該スイッチングトランジスタをオン状態におき、非発光期間中第2走査線を介して該スイッチングトランジスタをオフ状態に置き、且つ非発光期間に含まれる所定の一水平期間で該パルスを抜き取って第2の制御信号として該第2走査線に出力する。又前記バッファは少なくとも、該パルスジェネレータと出力端子との間に接続したPチャネルトランジスタと、出力端子と接地電位との間に接続したNチャネルトランジスタとからなり、該入力信号に応じて該Pチャネルトランジスタがオンし該パルスジェネレータから一つのパルスを抜き取って出力端子に取り出し、抜き取りの途中で該入力信号を切り換えPチャネルトランジスタをオフする一方Nチャネルトランジスタをオンして出力端子を接地電位まで引き込む。この場合、前記ドライブスキャナのシフトレジスタが入力信号を切り換えるタイミングは、該バッファから出力された第2の制御信号に応じて該スイッチングトランジスタがオンした後である。
本発明によれば、ドライブスキャナは基本的にシフトレジスタとパルスジェネレータとバッファとで構成されている。シフトレジスタは水平期間ずつ位相をずらしながら入力信号を各段から出力する。パルスジェネレータは外付けでパネルに接続され、水平期間周期でパルスを生成する。バッファは、パネルに形成されたシフトレジスタの各段と各第2走査線との間に配され、入力信号に応じて1つのパルスのみを抜き取って対応する第2走査線に出力している。この様に本発明は、行状の走査線のそれぞれに対応したドライブスキャナの出力バッファが、それぞれに割り当てられた1水平期間(1H)のみで外部のパルスジェネレータから供給されるパルスを抜き取っている。よって外部のパルスジェネレータから1H周期で順次供給されるパルスは、それぞれ対応する段の出力バッファのみによって抜き取られる。従って従来のように1個のパルスが複数の走査線に対応する出力バッファで同時に抜き取られる場合に比べ、出力バッファのパルス供給ラインに見える負荷を顕著に削減することが出来る。これによりパルスジェネレータの消費電力を大幅に削減し、モバイル機器のディスプレイに適した表示装置を実現することが出来る。
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明にかかる表示装置の全体構成を示すブロック図である。図示する様に、本表示装置は基本的に画素アレイ部1とスキャナ部と信号部とで構成されている。スキャナ部と信号部とで駆動部を構成する。画素アレイ部1は、行状に配された第1走査線WS、第2走査線DS、第3走査線AZ1及び第4走査線AZ2と、列状に配された信号線SLと、これらの走査線WS,DS,AZ1,AZ2及び信号線SLに接続した行列状の画素回路2と、各画素回路2の動作に必要な第1電位Vss1,第2電位Vss2及び第3電位Vddを供給する複数の電源線とからなる。信号部は水平セレクタ3からなり、信号線SLに映像信号を供給する。スキャナ部は、ライトスキャナ4、ドライブスキャナ5、第一補正用スキャナ71及び第二補正用スキャナ72からなり、それぞれ第1走査線WS、第2走査線DS、第3走査線AZ1及び第4走査線AZ2に制御信号を供給して順次行毎に画素回路2を走査する。
図2は、図1に示した画像表示装置に組み込まれる画素の構成を示す回路図である。図示する様に画素回路2は、サンプリングトランジスタTr1と、ドライブトランジスタTrdと、第1スイッチングトランジスタTr2と、第2スイッチングトランジスタTr3と、第3スイッチングトランジスタTr4と、保持容量Csと、発光素子ELとを含む。サンプリングトランジスタTr1は、所定のサンプリング期間に走査線WSから供給される制御信号に応じ導通して信号線SLから供給された映像信号の信号電位を保持容量Csにサンプリングする。保持容量Csは、サンプリングされた映像信号の信号電位に応じてドライブトランジスタTrdのゲートGに入力電圧Vgsを印加する。ドライブトランジスタTrdは、入力電圧Vgsに応じた出力電流Idsを発光素子ELに供給する。発光素子ELは、所定の発光期間中ドライブトランジスタTrdから供給される出力電流Idsにより映像信号の信号電位に応じた輝度で発光する。
第1スイッチングトランジスタTr2は、サンプリング期間(映像信号書込期間)に先立ち走査線AZ1から供給される制御信号に応じ導通してドライブトランジスタTrdの制御端であるゲートGを第1電位Vss1に設定する。第2スイッチングトランジスタTr3は、サンプリング期間に先立ち走査線AZ2から供給される制御信号に応じ導通してドライブトランジスタTrdの一方の電流端であるソースSを第2電位Vss2に設定する。第3スイッチングトランジスタTr4は、サンプリング期間に先立ち走査線DSから供給される制御信号に応じ導通してドライブトランジスタTrdの他方の電流端であるドレインを第3電位Vddに接続し、以ってドライブトランジスタTrdの閾電圧Vthに相当する電圧を保持容量Csに保持させて閾電圧Vthの影響を補正する。さらにこの第3スイッチングトランジスタTr4は、発光期間に再び走査線DSから供給される制御信号に応じ導通してドライブトランジスタTrdを第3電位Vddに接続して出力電流Idsを発光素子ELに流す。
以上の説明から明らかなように、ドライブトランジスタTrdと発光素子ELは電源ライン(Vdd)と接地ラインとの間で直列に接続して電流路を形成している。Pチャネル型のスイッチングトランジスタTr4はこの電流路に挿入されていると共に、その制御端(ゲート)が走査線DSに接続している。なお走査線WS,DSを区別する場合、走査線WSを第1走査線とし、走査線DSを第2走査線と呼ぶ場合がある。基本的にこのスイッチングトランジスタTr4はドライブスキャナ5から走査線DSを介して供給される制御信号に応じてオンオフ動作し、電流路の開閉を行って画素2の発光期間と非発光期間とを区別している。発光期間と非発光期間の比率(デューティ)を制御することで、画面の輝度レベルを調整することが出来る。
以上の説明から明らかな様に、本画素回路2は、5個のトランジスタTr1ないしTr4及びTrdと1個の保持容量Csと1個の発光素子ELとで構成されている。トランジスタTr1〜Tr3とTrdはNチャネル型のポリシリコンTFTである。トランジスタTr4のみPチャネル型のポリシリコンTFTである。但し本発明はこれに限られるものではなく、Nチャネル型とPチャネル型のTFTを適宜混在させることができる。発光素子ELは例えばアノード及びカソードを備えたダイオード型の有機ELデバイスである。但し本発明はこれに限られるものではなく、発光素子は一般的に電流駆動で発光する全てのデバイスを含む。
図3は、図2に示した画像表示装置から画素回路2の部分のみを取り出した模式図である。理解を容易にするため、サンプリングトランジスタTr1によってサンプリングされる映像信号の信号電位Vsigや、ドライブトランジスタTrdの入力電圧Vgs及び出力電流Ids、さらには発光素子ELが有する容量成分Coledなどを書き加えてある。以下図3に基づいて、本発明にかかる画素回路2の動作を説明する。
図4は、図3に示した画素回路のタイミングチャートである。図4は、時間軸Tに沿って各走査線WS,AZ1,AZ2及びDSに印加される制御信号の波形を表してある。表記を簡略化する為、制御信号も対応する走査線の符号と同じ符号で表してある。トランジスタTr1,Tr2,Tr3はNチャネル型なので、走査線WS,AZ1,AZ2がそれぞれハイレベルの時オンし、ローレベルの時オフする。一方トランジスタTr4はPチャネル型なので、走査線DSがハイレベルの時オフし、ローレベルの時オンする。なおこのタイミングチャートは、各制御信号WS,AZ1,AZ2,DSの波形と共に、ドライブトランジスタTrdのゲートGの電位変化及びソースSの電位変化も表してある。
図4のタイミングチャートではタイミングT1〜T8までを1フィールド(1f)としてある。1フィールドの間に画素アレイの各行が一回順次走査される。タイミングチャートは、1行分の画素に印加される各制御信号WS,AZ1,AZ2,DSの波形を表してある。
当該フィールドが始まる前のタイミングT0で、全ての制御線号WS,AZ1,AZ2,DSがローレベルにある。したがってNチャネル型のトランジスタTr1,Tr2,Tr3はオフ状態にある一方、Pチャネル型のトランジスタTr4のみオン状態である。したがってドライブトランジスタTrdはオン状態のトランジスタTr4を介して電源Vddに接続しているので、所定の入力電圧Vgsに応じて出力電流Idsを発光素子ELに供給している。したがってタイミングT0で発光素子ELは発光している。この時ドライブトランジスタTrdに印加される入力電圧Vgsは、ゲート電位(G)とソース電位(S)の差で表される。
当該フィールドが始まるタイミングT1で、制御信号DSがローレベルからハイレベルに切り替わる。これによりスイッチングトランジスタTr4がオフし、ドライブトランジスタTrdは電源Vddから切り離されるので、発光が停止し非発光期間に入る。したがってタイミングT1に入ると、全てのトランジスタTr1〜Tr4がオフ状態になる。
続いてタイミングT2に進むと、制御信号AZ1及びAZ2がハイレベルになるので、スイッチングトランジスタTr2及びTr3がオンする。この結果、ドライブトランジスタTrdのゲートGが基準電位Vss1に接続し、ソースSが基準電位Vss2に接続される。ここでVss1−Vss2>Vthを満たしており、Vss1−Vss2=Vgs>Vthとする事で、その後タイミングT3で行われるVth補正の準備を行う。換言すると期間T2‐T3は、ドライブトランジスタTrdのリセット期間に相当する。また、発光素子ELの閾電圧をVthELとすると、VthEL>Vss2に設定されている。これにより、発光素子ELにはマイナスバイアスが印加され、いわゆる逆バイアス状態となる。この逆バイアス状態は、後で行うVth補正動作及び移動度補正動作を正常に行うために必要である。
タイミングT3では制御信号AZ2をローレベルにし且つ直後制御信号DSもローレベルにしている。これによりトランジスタTr3がオフする一方トランジスタTr4がオンする。この結果ドレイン電流Idsが保持容量Csに流れ込み、Vth補正動作を開始する。この時ドライブトランジスタTrdのゲートGはVss1に保持されており、ドライブトランジスタTrdがカットオフするまで電流Idsが流れる。カットオフするとドライブトランジスタTrdのソース電位(S)はVss1−Vthとなる。ドレイン電流がカットオフした後のタイミングT4で制御信号DSを再びハイレベルに戻し、スイッチングトランジスタTr4をオフする。さらに制御信号AZ1もローレベルに戻し、スイッチングトランジスタTr2もオフする。この結果、保持容量CsにVthが保持固定される。この様にタイミングT3‐T4はドライブトランジスタTrdの閾電圧Vthを検出する期間である。ここでは、この検出期間T3‐T4をVth補正期間と呼んでいる。
この様にVth補正を行った後タイミングT5で制御信号WSをハイレベルに切り替え、サンプリングトランジスタTr1をオンして映像信号Vsigを保持容量Csに書き込む。発光素子ELの等価容量Coledに比べて保持容量Csは充分に小さい。この結果、映像信号Vsigのほとんど大部分が保持容量Csに書き込まれる。正確には、Vss1に対するVsigの差分Vsig−Vss1が保持容量Csに書き込まれる。したがってドライブトランジスタTrdのゲートGとソースS間の電圧Vgsは、先に検出保持されたVthと今回サンプリングされたVsig−Vss1を加えたレベル(Vsig−Vss1+Vth)となる。以降説明簡易化の為Vss1=0Vとすると、ゲート/ソース間電圧Vgsは図4のタイミングチャートに示すようにVsig+Vthとなる。かかる映像信号Vsigのサンプリングは制御信号WSがローレベルに戻るタイミングT7まで行われる。すなわちタイミングT5‐T7がサンプリング期間(映像信号書込期間)に相当する。
サンプリング期間の終了するタイミングT7より前のタイミングT6で制御信号DSがローレベルとなりスイッチングトランジスタTr4がオンする。これによりドライブトランジスタTrdが電源Vddに接続されるので、画素回路は非発光期間から発光期間に進む。この様にサンプリングトランジスタTr1がまだオン状態で且つスイッチングトランジスタTr4がオン状態に入った期間T6‐T7で、ドライブトランジスタTrdの移動度補正を行う。即ち本先行開発例では、サンプリング期間の後部分と発光期間の先頭部分とが重なる期間T6‐T7で移動度補正を行っている。なお、この移動度補正を行う発光期間の先頭では、発光素子ELは実際には逆バイアス状態にあるので発光する事はない。この移動度補正期間T6‐T7では、ドライブトランジスタTrdのゲートGが映像信号Vsigのレベルに固定された状態で、ドライブトランジスタTrdにドレイン電流Idsが流れる。ここでVss1−Vth<VthELと設定しておく事で、発光素子ELは逆バイアス状態におかれる為、ダイオード特性ではなく単純な容量特性を示すようになる。よってドライブトランジスタTrdに流れる電流Idsは保持容量Csと発光素子ELの等価容量Coledの両者を結合した容量C=Cs+Coledに書き込まれていく。これによりドライブトランジスタTrdのソース電位(S)は上昇していく。図4のタイミングチャートではこの上昇分をΔVで表してある。この上昇分ΔVは結局保持容量Csに保持されたゲート/ソース間電圧Vgsから差し引かれる事になるので、負帰還をかけた事になる。この様にドライブトランジスタTrdの出力電流Idsを同じくドライブトランジスタTrdの入力電圧Vgsに負帰還する事で、移動度μを補正する事が可能である。なお負帰還量ΔVは移動度補正期間T6‐T7の時間幅tを調整する事で最適化可能である。
タイミングT7では制御信号WSがローレベルとなりサンプリングトランジスタTr1がオフする。この結果ドライブトランジスタTrdのゲートGは信号線SLから切り離される。映像信号Vsigの印加が解除されるので、ドライブトランジスタTrdのゲート電位(G)は上昇可能となり、ソース電位(S)と共に上昇していく。その間保持容量Csに保持されたゲート/ソース間電圧Vgsは(Vsig−ΔV+Vth)の値を維持する。ソース電位(S)の上昇に伴い、発光素子ELの逆バイアス状態は解消されるので、出力電流Idsの流入により発光素子ELは実際に発光を開始する。この時のドレイン電流Ids対ゲート電圧Vgsの関係は、先のトランジスタ特性式1のVgsにVsig−ΔV+Vthを代入する事で、以下の式2のように与えられる。
Ids=kμ(Vgs−Vth)2=kμ(Vsig−ΔV)2・・・式2
上記式2において、k=(1/2)(W/L)Coxである。この特性式2からVthの項がキャンセルされており、発光素子ELに供給される出力電流IdsはドライブトランジスタTrdの閾電圧Vthに依存しない事が分かる。基本的にドレイン電流Idsは映像信号の信号電圧Vsigによって決まる。換言すると、発光素子ELは映像信号Vsigに応じた輝度で発光する事になる。その際Vsigは負帰還量ΔVで補正されている。この補正量ΔVは丁度特性式2の係数部に位置する移動度μの効果を打ち消すように働く。したがって、ドレイン電流Idsは実質的に映像信号Vsigのみに依存する事になる。
Ids=kμ(Vgs−Vth)2=kμ(Vsig−ΔV)2・・・式2
上記式2において、k=(1/2)(W/L)Coxである。この特性式2からVthの項がキャンセルされており、発光素子ELに供給される出力電流IdsはドライブトランジスタTrdの閾電圧Vthに依存しない事が分かる。基本的にドレイン電流Idsは映像信号の信号電圧Vsigによって決まる。換言すると、発光素子ELは映像信号Vsigに応じた輝度で発光する事になる。その際Vsigは負帰還量ΔVで補正されている。この補正量ΔVは丁度特性式2の係数部に位置する移動度μの効果を打ち消すように働く。したがって、ドレイン電流Idsは実質的に映像信号Vsigのみに依存する事になる。
最後にタイミングT8に至ると制御信号DSがハイレベルとなってスイッチングトランジスタTr4がオフし、発光が終了すると共に当該フィールドが終わる。この後次のフィールドに移って再びVth補正動作、移動度補正動作及び発光動作が繰り返される事になる。
図5は、移動度補正期間T6‐T7における画素回路2の状態を示す回路図である。図示するように、移動度補正期間T6‐T7では、サンプリングトランジスタTr1及びスイッチングトランジスタTr4がオンしている一方、残りのスイッチングトランジスタTr2及びTr3がオフしている。この状態でドライブトランジスタTr4のソース電位(S)はVss1−Vthである。このソース電位(S)は発光素子ELのアノード電位でもある。前述したようにVss1−Vth<VthELと設定しておく事で、発光素子ELは逆バイアス状態におかれ、ダイオード特性ではなく単純な容量特性を示す事になる。よってドライブトランジスタTrdに流れる電流Idsは保持容量Csと発光素子ELの等価容量Coledとの合成容量C=Cs+Coledに流れ込む事になる。換言すると、ドレイン電流Idsの一部が保持容量Csに負帰還され、移動度の補正が行われる。
図6は上述したトランジスタ特性式2をグラフ化したものであり、縦軸にIdsを取り横軸にVsigを取ってある。このグラフの下方に特性式2も合わせて示してある。図6のグラフは、画素1と画素2を比較した状態で特性カーブを描いてある。画素1のドライブトランジスタの移動度μは相対的に大きい。逆に画素2に含まれるドライブトランジスタの移動度μは相対的に小さい。この様にドライブトランジスタをポリシリコン薄膜トランジスタなどで構成した場合、画素間で移動度μがばらつく事は避けられない。例えば両画素1,2に同レベルの映像信号の信号電位Vsigを書き込んだ場合、何ら移動度の補正を行わないと、移動度μの大きい画素1に流れる出力電流Ids1´は、移動度μの小さい画素2に流れる出力電流Ids2´に比べて大きな差が生じてしまう。この様に移動度μのばらつきに起因して出力電流Idsの間に大きな差が生じるので、スジムラが発生し画面のユニフォーミティを損なう事になる。
そこで本例では出力電流を入力電圧側に負帰還させる事で移動度のばらつきをキャンセルしている。先のトランジスタ特性式1から明らかなように、移動度が大きいとドレイン電流Idsが大きくなる。したがって負帰還量ΔVは移動度が大きいほど大きくなる。図6のグラフに示すように、移動度μの大きな画素1の負帰還量ΔV1は移動度の小さな画素2の負帰還量ΔV2に比べて大きい。したがって、移動度μが大きいほど負帰還が大きくかかる事となって、ばらつきを抑制する事が可能である。図示するように、移動度μの大きな画素1でΔV1の補正をかけると、出力電流はIds1´からIds1まで大きく下降する。一方移動度μの小さな画素2の補正量ΔV2は小さいので、出力電流Ids2´はIds2までそれ程大きく下降しない。結果的に、Ids1とIds2は略等しくなり、移動度のばらつきがキャンセルされる。この移動度のばらつきのキャンセルは黒レベルから白レベルまでVsigの全範囲で行われるので、画面のユニフォーミティは極めて高くなる。以上をまとめると、移動度の異なる画素1と2があった場合、移動度の大きい画素1の補正量ΔV1は移動度の小さい画素2の補正量ΔV2に対して小さくなる。つまり移動度が大きいほどΔVが大きくIdsの減少値は大きくなる。これにより移動度の異なる画素電流値は均一化され、移動度のばらつきを補正する事ができる。
以下参考の為、上述した移動度補正の数値解析を行う。図5に示したように、トランジスタTr1及びTr4がオンした状態で、ドライブトランジスタTrdのソース電位を変数Vに取って解析を行う。ドライブトランジスタTrdのソース電位(S)をVとすると、ドライブトランジスタTrdを流れるドレイン電流Idsは以下の式3に示す通りである。
式4に式3を代入して両辺積分する。ここで、ソース電圧V初期状態は−Vthであり、移動度ばらつき補正時間(T6‐T7)をtとする。この微分方程式を解くと、移動度補正時間tに対する画素電流が以下の数式5のように与えられる。
以上の説明から明らかなように移動度補正時間tは制御信号DSが立下ってスイッチングトランジスタTr4がオンした後、制御信号WSが立下ってサンプリングトランジスタTr1がオフするまでの期間である。移動度補正時間は制御信号DS及びWSによって規定されている。制御信号DSは前述したようにドライブスキャナによって各走査線DSに出力される。図7は、ドライブスキャナ5の一般的な構成を示す参考図である。ドライブスキャナ5はシフトレジスタS/Rで構成されており、外部から入力されるクロック信号に応じて動作し、同じく外部から入力されるスタート信号を順次転送することで、各段ごとに順次信号を出力している。シフトレジスタS/Rの各段にはNAND素子が接続されており、隣り合う段のS/Rから出力された順次信号をNAND処理して、制御信号DSの基になる入力信号を生成している。この入力信号は出力バッファ5Bに供給される。この出力バッファ5BはシフトレジスタS/R側から供給される入力信号に応じて動作し、最終的な制御信号DSを対応する画素アレイ部の走査線DSに供給している。なお図では各走査線DSの配線抵抗をRで表し、各走査線DSに接続している画素の容量をCで表してある。
出力バッファ5Bは電源電位Vccと接地電位Vssとの間に直列接続された一対のスイッチング素子からなる。本参考例はこの出力バッフ5Bがインバータ構成となっており、一方のスイッチング素子がPチャネルトランジスタTrPで、他方がNチャネルトランジスタTrNからなる。インバータは対応するシフトレジスタS/Rの段からNAND素子を介して供給された入力信号を反転して、制御信号として対応する走査線DSに出力している。
図8は、図7に示したドライブスキャナで生成される制御信号DSを示す波形図である。ライトスキャナから出力される制御信号WSも併せて表示している。なおライトスキャナもドライブスキャナと同じようにシフトレジスタと出力バッファで構成されている。
図示するように、制御信号DSが立下ってPチャネル型のスイッチングトランジスタTr4がオンしてから移動度補正時間が開始し、制御信号WSが立下りNチャネル型のサンプリングトランジスタTr1がオフする時点で移動度補正時間が終了する。スイッチングトランジスタTr4がオンするタイミングは、制御信号DSの立下り波形がVdd−|Vtp|を下回った時点である。なおVtpはPチャネル型のスイッチングトランジスタTr4の閾電圧を表している。一方サンプリングトランジスタTr1がオフするタイミングは、制御信号WSの立下りがVsig+Vtnを下回った時点である。ここでVtnはNチャネル型のサンプリングトランジスタTr1の閾電圧を表している。サンプリングトランジスタTr1のソースには信号線から信号電位Vsigが印加され、ゲートには制御線WSから制御信号WSが印加されている。ソース電位に対してゲート電位がVtn分を残して下回ったとき、サンプリングトランジスタTr1はオフすることになる。
ところで制御信号WSの立下りは製造プロセスの影響を受けて位相が各走査線ごとにばらついている。図では立下り波形Aが標準位相で、立下り波形Bは位相が後方にシフトしたワーストケースを表している。同様に制御信号DSの立下り波形もAが標準でBは位相が前方にシフトしたワーストケースを表している。図から明らかなように制御信号WS及びDSの立下り波形が標準位相のときに比べワーストケースでは移動度補正時間が長くなっている。この様にライトスキャナやドライブスキャナをパネルに搭載した構造では製造プロセスの影響を受けて制御信号WS,DSの位相が走査線ごとにばらつくため、移動度補正時間も走査線ごとにばらつきが生じる。これが画面上で水平方向の輝度むら(スジ)となって現れ、画面のユニフォーミティを損ねている。
図7に示したドライブスキャナは、シフトレジスタS/Rから出力した信号をNAND素子やインバータを介して走査線DSに供給している。この過程で信号波形に歪が生じ、各段ごとに位相が微妙に変化する。このため各ラインごとで移動度補正期間に差が生じ、筋状のむらになって現れる。この問題点に対処するため、外部のパルスジェネレータから供給されるパルスを抜き取って制御信号とする方式が先行開発例では採用されている。このパルス抜き取り方式のドライブスキャナを図9に示す。図9は、ドライブスキャナ5の出力部3段分(N−1段、N段、N+1段)と、これに接続される画素アレイ部1の3行分(3ライン分)を模式的に表している。なお理解を容易にするため、図7に示した参考例にかかるドライブスキャナと対応する部分には対応する参照番号を付してある。
ドライブスキャナ5はシフトレジスタS/Rで構成されており、外部から入力されるクロック信号に応じて動作し、同じく外部から入力されるスタート信号を順次転走することで、各段毎に順次信号を出力している。シフトレジスタS/Rの各段にはNAND素子が接続されており、隣り合う段のS/Rから出力された順次信号をNAND処理して、制御信号DSの元になる矩形波形の入力信号INを生成している。この矩形波形はインバータを介して出力バッファ5Bに入力される。この出力バッファ5Bはシフトレジスタ側から供給される入力信号INに応じて動作し、最終的な制御信号DSを対応する画素アレイ部1の走査線DSに出力信号OUTとして供給している。
出力バッファ5Bは電源電位Vccと接地電位Vssとの間に直列接続された一対のスイッチング素子からなる。本実施形態はこの出力バッファ5Bがインバータ構成となっており、一方のスイッチング素子がPチャネル型トランジスタTrP(典型的にはPMOSトランジスタ)で、他方がNチャネル型トランジスタTrN(典型的にはNMOSトランジスタ)からなる。なお各出力バッファ5Bに接続される画素アレイ部1側の各ラインは、等価回路的に抵抗成分Rと容量成分Cで表してある。
本実施形態は、出力バッファ5Bが外部のパルスモジュール5Pから電源ラインに供給される電源パルスを抜き取って制御信号DSの決定波形を作る構成となっている。前述した様にこの出力バッファ5Bはインバータ構成で、電源ラインと接地電位Vssとの間にPチャネルトランジスタTrPとNチャネルトランジスタTrNが直列に接続されている。シフトレジスタS/R側からの入力信号INに応じて出力バッファのPチャネルトランジスタTrPがオンしたとき、電源ラインに供給されていた電源パルスの立下り波形を取り出し、これを制御信号DSの決定波形として、画素アレイ部1側に供給している。この様に出力バッファ5Bとは別に決定波形を含むパルスを外部モジュールのパルスジェネレータ5Pで作り、これを出力バッファ5Bの電源ラインに供給することで、所望の決定波形の制御信号DSを作り出すことが可能である。この場合出力バッファ5Bは、優勢スイッチング素子側となるPチャネルトランジスタTrPがオンして劣勢スイッチング素子側となるNチャネルトランジスタTrNがオフした時、外部から供給された電源パルスの立下り波形を取り出し、制御信号DSの決定波形OUTとして出力している。
図10は、図9に示したドライブスキャナの動作説明に供するタイミングチャートである。図示するように一水平周期(1H)で変動する電源パルスPの列が外部のパルスジェネレータからドライブスキャナの出力バッファの電源ラインに入力されてくる。これと合わせて、出力バッファを構成するインバータに入力パルスINが印加される。タイミングチャートは、N−1段目、N段目及びN+1段目のインバータに供給される入力パルスINを表している。これと時系列を合わせてN−1段目、N段目、N+1段目から供給される出力パルスOUTを表してある。この出力パルスOUTは対応するラインの走査線DSに印加される制御信号である。
タイミングチャートから明らかなようにドライブスキャナの各段の出力バッファは、入力パルスINに応じて電源パルスPを抜き取り、そのまま出力パルスOUTとして対応する走査線DSに供給している。電源パルスPは外部のパルスジェネレータ(モジュール)から供給されており、その遷移波形(具体的には立下り波形)は精度が高くなっている。ドライブスキャナはこの遷移波形をそのまま抜き取って制御信号の遷移波形としているため、移動度補正時間は各ラインでばらつきがなくなる。
パルスジェネレータから供給されるN−1番目の電源パルスPはタイミングS1で立下り、次のタイミングS3でN番目の電源パルスPに切換る。タイミングS1とタイミングS3の間のタイミングS2でN−1段目の入力パルスINがローレベルからハイレベルに切換り、電源パルスPの立下り波形がそっくり抜き取られN−1段目の出力パルスOUTとなっている。なおこの時点でN段目の入力パルスINとN+1段目の入力パルスINもローレベルであり、N−1番目の電源パルスPはN段目及びN+1段目の出力バッファでも抜き取られるため、N−1番目のパルスPはN段目及びN+1段目の制御信号OUTに含まれることになる。この様に図9のドライブスキャナは本来不要なパルスが別の段の出力バッファで抜き取られることになるが、特に誤動作が生じることはない。
タイミングS4でN番目の電源パルスPが立下り、その後タイミングS5でN段目の入力パルスINがローレベルからハイレベルに切換る。これによりN番目の電源パルスPの立下り波形が抜き取られ、そのままN段目の出力パルスOUTとして対応する走査線DSに供給される。さらに続いてタイミングS6でN+1段目の入力パルスINがローレベルからハイレベルに切換ると、N+1番目の電源パルスPが抜き取られて、出力パルスOUTが形成され、対応するN+1段目の走査線DSに制御信号として供給される。
図9及び図10に示した先行開発例にかかるドライブスキャナは、非発光期間でシフトレジスタ側からバッファに供給する入力パルスINがローレベルとなっているので、複数段同時に電源パルスPを抜き取ってしまう。例えば図10の例では、N−1番目の電源パルスPが、N−1段目、N段目及びN+1段目の出力バッファによってタイミングS1からS3の間に同時に抜き取られている。このため各出力バッファに電源パルスを供給する電源ラインに流れる電流量は大幅に増加し、パルスジェネレータの電力消費が大きくなってしまう。また本来非発光期間では発光素子は発光しないことが好ましいが、先行開発例では非発光期間であるにもかかわらず電源パルスPを抜き取ってあるので、画素の電流路に挿入されたスイッチングトランジスタTr4がオンする時間帯が発生じてしまう。これにより非発光期間を長くして画面輝度を黒表示に沈ませたい場合でも、ある一定の発光が生じ黒レベルが沈まないという問題がある。
外部のパルスジェネレータから供給する電源パルスは振幅が15V程度と大きくまたパルスの生成を1水平周期(1H)で高速に行う必要があるため、外部のパルスジェネレータの消費電力が大きくなってしまう。特にドライブスキャナで抜き取るパルスは図10のタイミングチャートで説明したように複数段のバッファが同時にオンしてしまうため、消費電力の増大化は避けられない。モバイル機器向けのディスプレイでは低消費電力化が求められており、図9及び図10に示した先行開発のドライブスキャナでは対応が難しくなっている。
図11は本発明にかかる表示装置の要部を示す回路図であり、図9及び図10に示した先行開発にかかるドライブスキャナの問題点に対処したものである。図11は特にドライブスキャナの出力バッファの部分を取り出したものである。理解を容易にするため、図9に示した先行開発にかかる出力バッファと対応する部分には対応する参照符号を付してある。図示するように、この出力バッファは、電源電位Vccと接地電位Vssとの間に配されたインバータを備えている。このインバータはPチャネルトランジスタTrPとNチャネルトランジスタTrNを直列接続したものであり、両者の接続ノードは出力端子OUTとなっている。一方トランジスタTrPとTrNのゲートは共通接続されており、入力端子としてシフトレジスタ側から入力信号IN1を受け入れている。この部分は図9に示した先行開発にかかるドライブスキャナの出力バッファと同じ構成となっている。但しPチャネルトランジスタTrPの電源側は電源パルス供給ラインではなく固定ラインVccに接続されている。
図9に示した出力バッファと異なる点は、第1にPチャネルトランジスタTrPとNチャネルトランジスタTrNの間に追加のNチャネルトランジスタTrNaが挿入されていることである。この追加トランジスタTrNaのゲートにはシフトレジスタ側から別の入力信号IN2が供給されている。第2に電源パルスを供給する電源パルス供給ラインと出力端子OUTとの間に追加のPチャネルトランジスタTrPaが接続されている。この追加PチャネルトランジスタTrPaのゲートにもシフトレジスタ側から入力信号IN2が供給されている。
図12は、図11に示した出力バッファの動作説明に供するタイミングチャートである。出力バッファの電源パルス供給ラインには外部のパルスジェネレータから電源パルスPが1H周期で繰り返し供給されている。図12のタイミングチャートはN−1番目、N番目及びN+1番目の電源パルスPを順に表してある。これと時系列を合わせて、シフトレジスタ側から入力パルスIN1とIN2が供給されている。入力パルスIN1は図10に示した入力パルスINと同じであり、1段ごと1Hの位相差をもってローレベルからハイレベルに切換っている。図示のタイミングチャートでは、N段目のバッファに供給される入力パルスIN1がタイミングS5でローレベルからハイレベルに切換っている。次のN+1段目のバッファに供給される入力パルスIN1はその後1Hシフトしたタイミングでローレベルからハイレベルに切換っている。
本発明にかかるドライブスキャナは、入力パルスIN1に加え別の入力パルスIN2を用いている点に特徴がある。この入力パルスIN2は各出力バッファにおいて特定の1H期間だけ電源パルスPを抜き取るためのマスクとして機能している。これにより出力パルスOUTは、一個のみの電源パルスPを含むようになり、従来のように複数の出力段に渡って電源パルスPが同時に抜き取られるようなことはない。ちなみに図12のタイミングチャートの例では、N段目の出力バッファから供給される出力パルスOUTはN番目の電源パルスP(N)のみを抜き取っている。またN+1段目に対応する出力バッファは次のN+1番目の電源パルスPのみを抜き取って出力パルスOUTとしている。なおN段及びN+1段の出力パルスOUTを見ると、対応する電源パルスPを抜き取って立下った後若干信号レベルが上昇する部分を含むが、そのレベルはスイッチングトランジスタTr4を再びオンするレベルまで到達することはなく、動作上問題とならない。
図11及び図12に示した本発明にかかるドライブスキャナでは先行開発例で用いたドライブスキャナの出力バッファに追加のトランジスタを2個加えることで抜き取るべき電源パルスを選択する構成となっている。例えばN段目のバッファに着目すると、対応する電源パルスP(N)を抜き取りたい時間帯を入力パルスIN2にてタイミングS2からタイミングS4まで1H以内に設定している。入力パルスIN2で制御されるNチャネルトランジスタTrNaを介して出力端子OUTと電源パルス供給ラインとを接続している。これにより所定の1H期間内で目的とする電源パルスP(N)を抜き取ることが出来る。
それ以前の非発光期間においては、入力パルスIN1がローレベルとなっておりPチャネルトランジスタTrPがオンしていると共にNチャネルトランジスタTrNaもオンしており、一方電源パルス供給ラインに接続しているトランジスタTrPaはオフしているので、出力端子OUTには電源電位Vccが供給され、走査線DSはハイレベルに固定される。よって非発光期間中画素の電流路に挿入されたスイッチングトランジスタTr4がオンすることはない。即ち非発光期間で走査線DSに電源パルスが充放電されることがなくスイッチングトランジスタTr4は安定してオフ状態に置かれる。
本発明によれば電源パルスPの抜き取りが1H期間に対して1段分のバッファのみしか行われなくなる。これにより電源パルス供給ラインに見える負荷を大幅に削減できる。先行開発例では非発光期間が数十Hに渡る場合、数十段に及ぶ出力バッファが同時に電源パルスPを抜き取っており、負荷はきわめて大きくなる。本発明ではその負荷を数十分の一に削減でき、外部パルスジェネレータの消費電力を大幅に抑制することが出来る。
図13は、図12に示した本発明にかかるドライブスキャナの動作シーケンスをさらに改良した駆動方式を表している。本例では、入力パルスIN1と入力パルスIN2がローレベルになる期間をオーバーラップさせている。これにより出力バッファは電源パルスPを抜き取る途中からNチャネルトランジスタTrNに切換えることができる。例えばN段目のバッファに着目すると、タイミングS3でN番目の電源パルスPが抜き取られる。その直後電源パルスP(N)が完全に立下る前のタイミングS5で入力パルスIN1をローレベルからハイレベルに切換える。これにより出力バッファのインバータを構成するNチャネルトランジスタTrNがオンするため、出力端子OUTはVccに引き込まれることになる。本例では出力バッファによって抜き取られた電源パルスPの立下り部分でスイッチングトランジスタをオンさせるため、電源パルスの振幅は必要以上に大きくする必要はない。電源パルスPの振幅をほぼ半減させることが出来、パルスジェネレータの消費電力をさらに削減することが可能である。ここで入力パルスIN1をローレベルからハイレベルに切換えるタイミングS5は、画素側のスイッチングトランジスタTr4がオンする動作点以降とする。この様にすれば移動度補正期間は外部のパルスジェネレータから供給される電源パルスPによって決定されるので、各段ごとの位相ばらつきを抑制することが出来る。
本発明にかかる表示装置は、図14に示すような薄膜デバイス構成を有する。本図は、絶縁性の基板に形成された画素の模式的な断面構造を表している。図示するように、画素は、複数の薄膜トランジタを含むトランジスター部(図では1個のTFTを例示)、保持容量などの容量部及び有機EL素子などの発光部とを含む。基板の上にTFTプロセスでトランジスター部や容量部が形成され、その上に有機EL素子などの発光部が積層されている。その上に接着剤を介して透明な対向基板を貼り付けてフラットパネルとしている。
本発明にかかる表示装置は、図15に示すようにフラット型のモジュール形状のものを含む。例えば絶縁性の基板上に、有機EL素子、薄膜トランジスタ、薄膜容量等からなる画素をマトリックス状に集積形成した画素アレイ部を設ける、この画素アレイ部(画素マトリックス部)を囲むように接着剤を配し、ガラス等の対向基板を貼り付けて表示モジュールとする。この透明な対向基板には必要に応じて、カラーフィルタ、保護膜、遮光膜等を設けてももよい。表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するためのコネクタとして例えばFPC(フレキシブルプリントサーキット)を設けてもよい。
以上説明した本発明における表示装置は、フラットパネル形状を有し、様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピューター、携帯電話、ビデオカメラなど、電子機器に入力された、若しくは、電子機器内で生成した駆動信号を画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器のディスプレイに適用することが可能である。以下この様な表示装置が適用された電子機器の例を示す。
図16は本発明が適用されたテレビであり、フロントパネル12、フィルターガラス13等から構成される映像表示画面11を含み、本発明の表示装置をその映像表示画面11に用いることにより作製される。
図17は本発明が適用されたデジタルカメラであり、上が正面図で下が背面図である。このデジタルカメラは、撮像レンズ、フラッシュ用の発光部15、表示部16、コントロールスイッチ、メニュースイッチ、シャッター19等を含み、本発明の表示装置をその表示部16に用いることにより作製される。
図18は本発明が適用されたノート型パーソナルコンピュータであり、本体20には文字等を入力するとき操作されるキーボード21を含み、本体カバーには画像を表示する表示部22を含み、本発明の表示装置をその表示部22に用いることにより作製される。
図19は本発明が適用された携帯端末装置であり、左が開いた状態を表し、右が閉じた状態を表している。この携帯端末装置は、上側筐体23、下側筐体24、連結部(ここではヒンジ部)25、ディスプレイ26、サブディスプレイ27、ピクチャーライト28、カメラ29等を含み、本発明の表示装置をそのディスプレイ26やサブディスプレイ27に用いることにより作製される。
図20は本発明が適用されたビデオカメラであり、本体部30、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ34、撮影時のスタート/ストップスイッチ35、モニター36等を含み、本発明の表示装置をそのモニター36に用いることにより作製される。
1・・・画素アレイ部、2・・・画素回路、3・・・水平セレクタ、4・・・ライトスキャナ、5・・・ドライブスキャナ、5B・・・出力バッファ、71・・・第一補正用スキャナ、72・・・第二補正用スキャナ、Tr1・・・サンプリングトランジスタ、Tr2・・・第1スイッチングトランジスタ、Tr3・・・第2スイッチングトランジスタ、Tr4・・・第3スイッチングトランジスタ、Trd・・・ドライブトランジスタ、Cs・・・保持容量、EL・・・発光素子、WS・・・第1走査線、DS・・・第2走査線、AZ1・・・第3走査線、AZ2・・・第4走査線
Claims (5)
- 画素アレイ部とこれを駆動する駆動部とからなり、
前記画素アレイ部は、行状の第1走査線及び第2走査線と、列状の信号線と、これらが交差する部分に配された行列状の画素と、各画素に給電する電源ライン及び接地ラインとを備え、
前記駆動部は、各第1走査線に一水平期間づつ位相をシフトしながら順次第1の制御信号を供給して画素を行単位で線順次走査するライトスキャナと、該線順次走査に合わせて各第2走査線に順次第2の制御信号を供給するドライブスキャナと、該線順次走査に合わせて列状の信号線に映像信号を供給する信号セレクタとを備え、
前記画素は、発光素子と、サンプリングトランジスタと、ドライブトランジスタと、スイッチングトランジスタと、保持容量とを含み、
前記サンプリングトランジスタは、その制御端が該第1走査線に接続し、一対の電流端の一方が該信号線に接続し、他方が該ドライブトランジスタの制御端に接続し、
前記ドライブトランジスタ及び前記発光素子は該電源ラインと接地ラインとの間で直列に接続して電流路を形成し、
前記スイッチングトランジスタは該電流路に挿入されるとともに、その制御端が該第2走査線に接続し、
前記保持容量は、該ドライブトランジスタの電流端と制御端との間に接続しており、
前記画素は、該第1走査線に供給された第1の制御信号に応じて該サンプリングトランジスタがオンして該信号線から映像信号のサンプリングを開始した後、該第2走査線に供給された第2の制御信号に応じて該スイッチングトランジスタがオンしてから該サンプリングトランジスタがオフするまでの間に、該ドライブトランジスタに流れる電流を該保持容量に負帰還して該ドライブトランジスタの移動度のバラツキを補正する表示装置であって、
前記ドライブスキャナは、水平期間づつ位相をずらしながら入力信号を各段から出力するシフトレジスタと、水平期間周期でパルスを生成するパルスジェネレータと、該シフトレジスタの各段と各第2走査線との間に配され、入力信号に応じて一つのパルスのみを抜き取って対応する第2走査線に第2の制御信号として出力するバッファとを有することを特徴とする表示装置。 - 前記ドライブスキャナは、所定の発光期間中第2走査線を介して該スイッチングトランジスタをオン状態におき、非発光期間中第2走査線を介して該スイッチングトランジスタをオフ状態に置き、且つ非発光期間に含まれる所定の一水平期間で該パルスを抜き取って第2の制御信号として該第2走査線に出力することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 前記バッファは少なくとも、該パルスジェネレータと出力端子との間に接続したPチャネルトランジスタと、出力端子と接地電位との間に接続したNチャネルトランジスタとからなり、
該入力信号に応じて該Pチャネルトランジスタがオンし該パルスジェネレータから一つのパルスを抜き取って出力端子に取り出し、
抜き取りの途中で該入力信号を切り換えPチャネルトランジスタをオフする一方Nチャネルトランジスタをオンして出力端子を接地電位まで引き込むことを特徴とする請求項1記載の表示装置。 - 前記ドライブスキャナのシフトレジスタが入力信号を切り換えるタイミングは、該バッファから出力された第2の制御信号に応じて該スイッチングトランジスタがオンした後であることを特徴とする請求項3記載の表示装置。
- 請求項1に記載された表示装置を備えた電子機器。
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2007
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