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JP2009096769A - 発酵セルロース含有化粧料 - Google Patents

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志保 藤井
Daisaku Ito
大作 井藤
Toshiro Omoto
俊郎 大本
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Abstract

【課題】クリームやジェル等の化粧料を肌に塗布した際のべとつきを抑え、使用感の良い化粧料を提供する。
【解決手段】化粧料に発酵セルロースを添加することにより、化粧料を塗布した際のべたつきを抑制し、伸びや肌へのなじみ具合を改善することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、発酵セルロースを含有することを特徴とする化粧料に関する。
化粧料は、皮膚の老化によって生じる弾力性や保湿性の喪失を抑え、若々しい肌の状態を維持するために使用される。例えば、荒れ肌改善効果、角質改善効果、しわの減少効果や保湿効果を目的とした化粧料が多数販売されている。
これらの化粧料には、目的とする効果を奏するために、様々な成分が化粧料中に添加されている。これらの成分は、化粧料中でその効果を発揮するために、それぞれの機能を発揮するに十分な量を添加しなければならないが、成分によっては目的とする効果よりも不都合な影響が生じる場合があった。
例えば、ローションやクリームの基剤として多用されるグリセリン等の多価アルコールは、その添加量が多くなるとべたつきを生じることが問題となっていた。また、有効成分そのものがべたつきを生じることも知られており、パンテノールやナイアシンアミドが皮膚処置剤にべとついた感触を与えることも問題となっていた(下記特許文献6)。他にも化粧料を構成する成分として各種油脂類、多糖類等が使用されており、これら成分は保湿性を付与するとともに有効成分を皮膚表面に長時間とどめておく効果をも有するが、化粧料に「べたつき」といった好ましくない感触を付与する側面も有していた。
このようなローション等の化粧料を使用した際のべたつき感を改善するために、様々な方法が検討され開示されている。具体的には、粒径40μ以下であり溶解温度50℃以上の膨潤性カラギーナン粉末からなる化粧料用添加剤を添加する方法(特許文献1)、炭素数4以下のアルコールとアジピン酸及び/又はセバシン酸とから構成されるジエステルの所定量を配合する方法(特許文献2)、一般式RO−(C)n−Rで表される化合物の使用(特許文献3)、キシリット・マンニット・イノシットより選択される糖アルコールをべたつき感防止剤として含有させた化粧料(特許文献4)、一般式RO−[(AO)m(EO)n]−Rで示されるアルキレンオキシド誘導体を含む皮膚外用剤(特許文献5)、カルボン酸/カルボキシレートコポリマーを添加したスキンケア組成物(特許文献6)、20μm以下の原料澱粉を用いたアルケニルコハク酸澱粉エステル金属塩を含有する化粧料(特許文献7)、皮膚に吸着した陽イオンとイオン交換反応を起こすことによりべたつきを防止する方法(特許文献8)、グリセリン等の保湿剤をスピクリスポール酸誘導体と併用した皮膚外用剤(特許文献9)等が開示されている。
しかし、上記技術ではべたつき防止のために、特定の成分を使用する必要があり、化粧料中の成分の種類や量が必然的に多くなる傾向にあった。
特開平5−178718号公報 特開平10−139687号公報 特開2001−172161号公報 特開2002−161015号公報 特開2004−83541号公報 特表2004−517914号公報 特開2005−170864号公報 特開2005−170925号公報 特開2006−298862号公報
上述のように、ローション等の化粧料の使用感をよりよいものとするために、化粧料のべたつきを抑える技術が望まれていた。
本願発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行い、発酵セルロースを化粧料中に添加することにより、従来問題となっていた化粧料のべたつきを大幅に改善できるとの知見に至り、本発明を完成した。
尚、発酵セルロース(又はその同等品)を化粧料に添加する技術は他にも開示されている。具体的には、バイオセルロースの保水性を有した化粧料(特開2007−169242号)、荒れ肌改善効果、角質改善効果、しわの減少効果にすぐれた皮膚化粧料(特開2001−247443号)、水溶性生理活性成分であるカルボン酸誘導体の皮膚における吸収を向上させ、荒れ肌を改善する効果にすぐれる皮膚外用剤(特開平10−17457号)、化粧品等に使用したときには皮膜形成能が良く、十分なしっとり感、なめらか感を与え、肌への密着性、耐水性等に優れた展着剤(特開平9−183803号)、吸水性に優れ、かつ表面処理を必要としない、微生物産生セルロースおよび甘藷の裏ごし残渣からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするスクラブ剤(特開2007−91717号)等が例示できる。しかし、これらの先行技術では、本願の目的である化粧料のべたつきを防止することには一切触れられておらず、何れも本願発明とは異なる解決課題を有するものである。
詳細には、ローション類や乳液類、クリーム類、パック類等の化粧料に発酵セルロースを添加することにより、肌へ塗布した際のべたつきをおさえた化粧料を提供することが可能となる。
本発明で使用する発酵セルロースは、工業的に酢酸菌を通気撹拌培養し、菌体から作られた非常に細い繊維状のセルロースを分離・回収し得られたものである。市販されている商品として、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社のサンアーティスト〔商標〕シリーズが挙げられる。
発酵セルロースの化粧料に対する添加量は、0.0001〜1.0質量%の範囲を例示できる。かかる添加量の範囲は、化粧料の種類や性状に応じて適宜調節することができるが、添加量が少なすぎると十分なべたつき抑制効果を得ることができず、添加量が多すぎると粘度が生じてゲル状になり、調製困難になるため好ましくない。
本発明の化粧料には、例えばローション剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤といった種々の剤形が含まれ、一般品、医薬品、医薬部外品の何れの範疇に含まれるものであってもよい。具体的な剤形としては、化粧水、化粧クリーム、ジェル、乳液、クリーム、ヘアトニック、ヘアクリーム、シャンプー、ヘアリンス、トリートメント、ボディシャンプー、洗顔剤、石けん、ファンデーション、育毛剤、水性軟膏、日焼け止めクリーム、日焼け止めローションなどが例示できる。好ましくは化粧水、ジェル、クリーム、日焼け止めクリーム、日焼け止めローションである。これら化粧料に発酵セルロースを添加することにより、使用時・使用後のべたつきを抑え、伸びや肌へのなじみ具合等の使用感をより向上させることが可能となる。
また、上記化粧料に配合する成分としては、既存の添加剤を本発明の効果を妨げない範囲において利用することができる。例えば、エタノール、水および含水アルコール;デキストリン等の賦形剤;香料や着色料、防腐剤;シリコン系ポリマーやアクリル系ポリマー、カルボキシビニル系ポリマーなどの合成系増粘剤;EDTA等のキレート剤;スクラロースやトレハロース等の甘味料;メントール等の清涼剤;リノール酸やリノレン酸、DHA、EPA等の不飽和脂肪酸及びその誘導体;椰子油やオリーブ油、米ぬか油等の油類;コラーゲンやヒアルロン酸、コンドロイチン等の保湿剤;アルギン酸やグルコマンナン、ペクチン等の水溶性食物繊維;レシチンや脂肪酸エステル類等の界面活性剤;酸化チタンや酸化亜鉛等の紫外線吸収剤等が例示できる。これらの1種以上を適宜組み合わせて利用することができる。
また、薬用成分として抗酸化剤、ビタミン類、抗炎症剤、細胞賦活化剤、ホルモン剤、活性酸素除去剤等が例示できる。
本発明は、これら公知の成分からなる化粧料に対し、発酵セルロースを添加することによりその肌へのべたつき感を抑制することを目的とするものである。従って、製造する化粧料の原材料の一つに発酵セルロースを加えるだけでよく、特別の製造機器や製造条件を設定する必要がない。よって、既存の製造設備をそのまま利用することで本発明を達成することができるため、産業上も有益である。
さらに発酵セルロースに加え、アラビアガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、トラガントガム、ガティガム、アルギン酸及びその塩、デンプン、ヒアルロン酸、ペクチン、ジェランガム、カラヤガム、水溶性ヘミセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)類、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の何れか1種以上を、本発明の効果を妨げない範囲において組み合わせて使用することができる。
以下に、本発明を実施例にて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、下記処方中の単位は特に言及しない限り「%」は「質量%」であることを意味する。文中の「※」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示し、「*」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の製品であることを意味する。
1.保湿用クリームの調製
発酵セルロース及び多糖類を含む保湿用クリームを表1の処方に従い調製し、肌に塗布した際のべたつき感を評価した。使用した多糖類と調製した保湿用クリームの状態と、肌へ塗布した時の使用感を表2に示す。
Figure 2009096769
<調製方法>
1 多糖類を80℃の水に溶解し、次いで他の成分Bを加えて80℃溶解する。
HPMCは、成分Bを80℃溶解後室温まで冷却した後に添加し、撹拌溶解する。
発酵セルロースは室温で水に溶解しホモジナイズ処理(150kgf/cm)後 、成分Bを加え80℃溶解する。
2 成分Aを90℃で撹拌溶解する。
3 成分Aの溶解液を80℃の恒温槽につけた状態で、ホモディスパーで撹拌しながら 成分Bの溶解液を少しずつ加え、乳化する。
4 冷やしながら撹拌させ、35℃まで冷却。
5 脱気して容器に充填する。
Figure 2009096769
<結果>
表2の結果の通り、発酵セルロースを添加した保湿用クリームでは、塗ったあとのべたつきが生じず、心地よい塗り心地を得ることができた。
一方、他の多糖類を添加した保湿用クリームでは、べたつきがないものの伸びが悪かったり、ぬるぬるしたり、クリームとして好ましくない性状を有するものであった。
尚、調製段階において、HMペクチンとHPMCを添加した区では、油相と水相の分離を生じクリームとしての形態にならなかったため、その後の評価を中止した。
2.保湿用ジェルの調製
発酵セルロース又は他の多糖類を含む保湿用ジェルを表3の処方に従い調製し、肌に塗布した際のべたつき感を評価した。調製した保湿用ジェルの粘度がおよそ1,000mPa・sになるように多糖類を添加し、調製した保湿用ジェルの状態と、肌へ塗布した時の使用感を表4に示す。
Figure 2009096769
<調製方法>
1 原料を80℃の水に溶解し、冷却する。
HPC、HPMCは、他の成分を80℃溶解後、室温まで冷却した後に添加し、撹拌溶解する。
発酵セルロースは予め室温で水に溶解しホモジナイズ処理(150kgf/cm)後、他の成分を加え80℃溶解する。
Figure 2009096769
<結果>
表4の結果の通り、発酵セルロースを添加した保湿用ジェルでは、保形性を有しながらも伸びが良く、塗ったあとがさらっとしており、心地よい塗り心地の保湿用ジェルを得ることができた。
一方、他の多糖類を添加した保湿用ジェルでは、伸びを有するもののトロミがあったりぬるぬるしたりと、保湿用ジェルとして好ましくない性状を有するものであった。
3.日焼け止め用クリームの調製
発酵セルロース又はキサンタンガムを含む日焼け止め用クリームを、表5の処方に従い調製し、調製後のクリームの状況と肌に塗布した際のべたつき感を評価した。
<調製方法>
成分A、成分Bをそれぞれ70℃で水に撹拌溶解し(発酵セルロースは予め室温で水に溶解しホモジナイズ処理(150kgf/cm)しておく)、成分B溶液を成分A溶液に加えてホモミキサー(条件:4,000rpm 5min)撹拌した。冷やしながら、室温になるまで4,000rpmで撹拌を続け、日焼け止め用クリームを得た。
Figure 2009096769
<評価>
コントロール品(多糖類無添加)は、非常にべたついた塗り心地で、肌に残る感じがした。キサンタンガムを添加することによりべたつき感が若干軽減したものの、塗り心地の改善までは至らなかった。
一方、発酵セルロースを添加することによりべたつきは解消し、伸びも良く肌になじみやすく、塗布後すぐに肌はさらっとした状態になった。
さらに、上記各調製品を55℃で2日間保存すると、コントロール品とキサンタンガム添加品では液層の分離が生じていたが、発酵セルロース添加品ではほとんど分離が生じず、伸びや塗り心地が損なわれることはなかった。これにより、発酵セルロース添加による保存安定性も向上していることが明らかとなった。

Claims (2)

  1. 発酵セルロースを添加することによりべたつきが抑えられたことを特徴とする化粧品。
  2. 発酵セルロースを添加することを特徴とする、化粧料のべたつき防止方法。
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