JP2009075261A - 感光性樹脂組成物、及びそれを用いて得られたマイクロチップ - Google Patents
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Abstract
【課題】フォトリソグラフィーにより、アスペクト比に優れ、高微細、低蛍光性のマイクロチップ部品に適合した成形物の作成を可能にする感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】特定のエポキシ樹脂(A)、光カチオン重合開始剤(B)及び溶剤(C)を含有するマイクロチップ用感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィーにより、アスペクト比に優れ、高微細、低蛍光性のマイクロチップ部品に適した成形物(硬化物)が得られる。
【選択図】図1
【解決手段】特定のエポキシ樹脂(A)、光カチオン重合開始剤(B)及び溶剤(C)を含有するマイクロチップ用感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィーにより、アスペクト比に優れ、高微細、低蛍光性のマイクロチップ部品に適した成形物(硬化物)が得られる。
【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂組成物、及びそれを用いて得られた成形物に関する。更に詳しくは特定のエポキシ樹脂、光カチオン重合開始剤及び溶剤を含有し、マイクロチップ等の成形物に好適に使用される感光性のエポキシ樹脂組成物に関する。
近年μTAS(Micro Total Analysis System)といわれる分野で分析システムのダウンサイジングの研究が盛んに行われており、健康診断チップやポータブル環境計測システムへの応用が期待されている。分析システムのダウンサイジングはシリコンやガラスの基板上に微細化された流路(マイクロチャネル)、マイクロバルブ、マイクロポンプ、マイクロミキサーなどのマイクロ流体制御素子や電極、レンズなどの検出部を集積化することにより行われ、このような基板上に集積化されたチップはマイクロチップと呼ばれている。これらの素子や検出部は微小かつ精巧に作られる必要があるため、その加工にはリソグラフィーやエッチングといった半導体製造技術が使われる。年々これらの素子の複雑化が進んでおり高アスペクト比構造体や3次元構造が必要になってきている。
一方、マイクロチップによる分析では扱う物質量が非常に少ないため高感度な分析が望まれる。マイクロチップの分析には蛍光分析、電気化学分析、熱レンズ分析等が用いられるが検出感度の高さ、簡便さから主に蛍光分析が用いられている。蛍光分析でノイズレベルを低減させ高感度な検出を行うためには、マイクロチップの検出部周辺に自家蛍光の少ない素材を用いる必要がある。
非特許文献1には射出成形、真空プレス等によりプラスチック製マイクロチップの製造方法の概要が記載されている。これら手法においては母型製作に時間と費用が掛かるのに加えて、成形物を母型から離型する必要があるため3次元構造を有する複雑な構造を形成することはできない。
次に、非特許文献2にはガラスのウエットエッチングによるガラス製マイクロチップの製造方法の概要が記載されている。ガラス製基板は光学特性、耐薬品性に優れているため、様々な目的のマイクロチップに広く用いられているが、ウエットエッチングでは高アスペクト比の構造体を高精度で作成することは難しい。
更に、非特許文献3及び非特許文献4には厚膜フォトレジストのフォトリソグラフィーによるマイクロチップの作成方法について記載されている。このようなフォトレジストを用いる手法は高アスペクト比の構造体や3次元構造体を簡便に作成できる。しかし、従来使用されているレジスト剤は自家蛍光が強く蛍光測定バックグラウンドのノイズレベルの上昇により検出感度が低下したり、うまくバイオイメージングできなかったりするといった問題がある。
「マイクロ化学チップの技術と応用」 丸善株式会社 平成16年9月20日 P.237〜242
「マイクロ化学チップの技術と応用」 丸善株式会社 平成16年9月20日 P.305〜312
Micro Total Analysis Systems 2004 Vol.2、P.363〜365
Sensors&Actuators A、Vol.111(2004)、P.87〜92
フォトリソグラフィーにより、高アスペクト比のパターンを容易に形成することが可能であり、低蛍光性といったマイクロチップ部品に適合した特性を有する永久レジスト及びそれから作成された成形物(硬化物)を提供すること。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意、検討を重ねた結果、特定のエポキシ樹脂、光カチオン重合開始剤及び溶剤を含有する感光性の樹脂組成物が前記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明は、
(1)下記式(1)又は式(2)で示されるエポキシ樹脂(A)、光カチオン重合開始剤(B)及び溶剤(C)を含有するマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物
(1)下記式(1)又は式(2)で示されるエポキシ樹脂(A)、光カチオン重合開始剤(B)及び溶剤(C)を含有するマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物
(式(1)及び式(2)において、R1及びR2はそれぞれ独立して分岐若しくは直鎖のC1〜C4のアルキル基又は、水酸基、グリシドキシ基、1−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル基若しくは1−メチル−1−(4−グリシドキシフェニル)エチル基を置換基として有しても良いフェニル基を示すか、或いはR1とR2が炭素aと一緒になって、分岐若しくは直鎖のC1〜C4のアルキル基を置換基として有しても良いC3〜C7の脂肪族環を形成する。nは平均値であり5以下を表す。複数存在するXは、それぞれ独立に水素原子又は下記式(3)を表し、全てのXが水素原子であることはない。)、
(2)エポキシ樹脂(A)が下記式(4)で示されるエポキシ樹脂である(1)に記載のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物、
(3)エポキシ樹脂(A)が下記式(5)で示されるエポキシ樹脂である請求項1に記載のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物
(式(5)において、nは平均値であり5以下を表す。複数存在するXは、それぞれ独立に水素原子又は下記式(3)を表し、全てのXが水素原子であることはない。)、
(4)光カチオン重合開始剤(B)が、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム塩である(1)乃至(3)のいずれか一項に記載のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物、
(5)溶剤(C)がアセトンである(1)乃至(4)のいずれか一項に記載のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物、
(6)(1)乃至(5)のいずれか一項に記載のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を基材に塗布して感光性樹脂層を設け、該感光性樹脂層上に離形用の基材を積層してなる積層体(ドライフィルムレジスト)、
(7)(1)乃至(5)のいずれか一項に記載のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を第1の基板上に塗布して感光性樹脂層を設け、フォトリソグラフィーによりパターンを形成したのち、該パターン上に第2の基板を積層してなるマイクロチップ、
(8)(1)乃至(5)のいずれか一項に記載のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を基板上に塗布して感光性樹脂層を設け、フォトリソグラフィーによりパターンを形成したのち、該パターン上に離形用の基材を剥離した(6)に記載の積層体(ドライフィルムレジスト)を積層し、次いでフォトリソグラフィーによりパターンを形成してなるマイクロチップ、
(9)(7)の第1の基板又は(8)の基板が、黒色の光吸収性基板であるそれぞれ(7)又は(8)に記載のマイクロチップ
に関する。
(5)溶剤(C)がアセトンである(1)乃至(4)のいずれか一項に記載のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物、
(6)(1)乃至(5)のいずれか一項に記載のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を基材に塗布して感光性樹脂層を設け、該感光性樹脂層上に離形用の基材を積層してなる積層体(ドライフィルムレジスト)、
(7)(1)乃至(5)のいずれか一項に記載のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を第1の基板上に塗布して感光性樹脂層を設け、フォトリソグラフィーによりパターンを形成したのち、該パターン上に第2の基板を積層してなるマイクロチップ、
(8)(1)乃至(5)のいずれか一項に記載のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を基板上に塗布して感光性樹脂層を設け、フォトリソグラフィーによりパターンを形成したのち、該パターン上に離形用の基材を剥離した(6)に記載の積層体(ドライフィルムレジスト)を積層し、次いでフォトリソグラフィーによりパターンを形成してなるマイクロチップ、
(9)(7)の第1の基板又は(8)の基板が、黒色の光吸収性基板であるそれぞれ(7)又は(8)に記載のマイクロチップ
に関する。
フォトリソグラフィーにより、高アスペクト比の微細パターンを容易に形成することが可能であり、低蛍光性等のマイクロチップ部品に適合した特性を有する永久レジスト及びその硬化物が得られた。
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物は上記一般式(1)又は式(2)で示されるエポキシ樹脂(A)、光カチオン重合開始剤(B)及び溶剤(C)を必須成分として含有することを特徴とする。
本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物は上記一般式(1)又は式(2)で示されるエポキシ樹脂(A)、光カチオン重合開始剤(B)及び溶剤(C)を必須成分として含有することを特徴とする。
上記式(1)で示されるエポキシ樹脂(A)は必要により、窒素雰囲気下溶媒の存在下で、下記式(6)
(式(6)において、R1及びR2はそれぞれ独立して分岐若しくは直鎖のC1〜C4のアルキル基又は、水酸基、グリシドキシ基、1−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル基若しくは1−メチル−1−(4−グリシドキシフェニル)エチル基を置換基として有しても良いフェニル基をそれぞれ示すか、或いはR1とR2が炭素aと一緒になって、分岐若しくは直鎖のC1〜C4のアルキル基を置換基として有しても良いC3〜C7の脂肪族環を形成する。)
で示されるフェノール誘導体を常法により、エピクロルヒドリン等のエピハロヒドリンによりグリシジル化することにより製造することが出来る。
式(1)の構造を有するエポキシ樹脂としてはエピコート825(ジャパンエポキシレジン株式会社製、式(1)のR1及びR2がメチル基で表されるエポキシ樹脂)を市販品として市場より入手することも出来る。
で示されるフェノール誘導体を常法により、エピクロルヒドリン等のエピハロヒドリンによりグリシジル化することにより製造することが出来る。
式(1)の構造を有するエポキシ樹脂としてはエピコート825(ジャパンエポキシレジン株式会社製、式(1)のR1及びR2がメチル基で表されるエポキシ樹脂)を市販品として市場より入手することも出来る。
上記式(2)で表されるエポキシ樹脂(A)は必要により、窒素雰囲気下溶媒の存在下で、上記式(1)で表されるエポキシ樹脂が部分的に高分子量化した下記式(7)
(式(7)において、R1及びR2はそれぞれ独立して分岐若しくは直鎖のC1〜C4のアルキル基又は、水酸基、グリシドキシ基、1−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル基若しくは1−メチル−1−(4−グリシドキシフェニル)エチル基を置換基として有しても良いフェニル基を示すか、或いはR1とR2が炭素aと一緒になって、分岐若しくは直鎖のC1〜C4のアルキル基を置換基として有しても良いC3〜C7の脂肪族環を形成する。nは平均値であり5以下を表す。)
で表されるエポキシ樹脂のアルコール性水酸基を、公知の方法によりエピクロルヒドリン等のエピハロヒドリンによりグリシジル化することにより製造することが出来る。
で表されるエポキシ樹脂のアルコール性水酸基を、公知の方法によりエピクロルヒドリン等のエピハロヒドリンによりグリシジル化することにより製造することが出来る。
式(1)、(2)、(6)及び(7)における分岐若しくは直鎖のC1〜C4のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基及びイソブチル基等が挙げられる。
また式(1)、(2)、(6)及び(7)におけるR1とR2が炭素aと一緒になって形成する、分岐若しくは直鎖のC1〜C4のアルキル基を置換基として有しても良いC3〜C7の脂肪族環の具体例としては、下記式(8)〜(11)のものが挙げられる。尚、式(8)〜(11)中の*の付いた炭素は、式(1)、(2)、(6)及び(7)中においてaで示される炭素を表す。
本発明で使用するエポキシ樹脂(A)としては、エポキシ樹脂の着色成分が蛍光発光の原因になる場合があることから着色の小さいものが好ましく、例えば、ガードナー色数が1以下、より好ましくは、0.5以下のものが好ましい。
また、エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が小さすぎる場合には、硬化収縮が大きくなることで硬化物の反りやクラックが発生しやすい点で好ましくなく、一方、大きすぎる場合には、架橋密度が小さくなることで硬化膜の強度や耐薬品性、耐熱性、耐クラック性が悪く好ましくない。これらのことから、本発明において使用するエポキシ樹脂(A)としては、エポキシ当量が150〜400g/eq.のものが好ましい。
更に、エポキシ樹脂の軟化点が低すぎる場合には、パターニングする際にマスクスティッキングが発生しやすく、さらに、ドライフィルムレジストとして使用する際に常温で軟化するので好ましくない。一方、エポキシ樹脂の軟化点が高すぎる場合には、ドライフィルムレジストを基板へラミネートする際に軟化しにくく、基板への貼合性が悪くなるので好ましくない。これらのことから、本発明において使用するエポキシ樹脂(A)としては、軟化点が50〜100℃のものが好ましく、60〜90℃のものがより好ましい。
このような条件を満たすエポキシ樹脂(A)としては、前記式(4)で示されるNC−6300(日本化薬株式会社製、ガードナー色数0.1、エポキシ当量230g/eq.、軟化点70℃)、及び前記式(5)で示されるNER−1302(日本化薬株式会社製、ガードナー色数1以下、エポキシ当量310g/eq.、軟化点70℃)などが好ましい例として挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は、単独であるいは2種以上を混合して用いることも出来る。
また、エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が小さすぎる場合には、硬化収縮が大きくなることで硬化物の反りやクラックが発生しやすい点で好ましくなく、一方、大きすぎる場合には、架橋密度が小さくなることで硬化膜の強度や耐薬品性、耐熱性、耐クラック性が悪く好ましくない。これらのことから、本発明において使用するエポキシ樹脂(A)としては、エポキシ当量が150〜400g/eq.のものが好ましい。
更に、エポキシ樹脂の軟化点が低すぎる場合には、パターニングする際にマスクスティッキングが発生しやすく、さらに、ドライフィルムレジストとして使用する際に常温で軟化するので好ましくない。一方、エポキシ樹脂の軟化点が高すぎる場合には、ドライフィルムレジストを基板へラミネートする際に軟化しにくく、基板への貼合性が悪くなるので好ましくない。これらのことから、本発明において使用するエポキシ樹脂(A)としては、軟化点が50〜100℃のものが好ましく、60〜90℃のものがより好ましい。
このような条件を満たすエポキシ樹脂(A)としては、前記式(4)で示されるNC−6300(日本化薬株式会社製、ガードナー色数0.1、エポキシ当量230g/eq.、軟化点70℃)、及び前記式(5)で示されるNER−1302(日本化薬株式会社製、ガードナー色数1以下、エポキシ当量310g/eq.、軟化点70℃)などが好ましい例として挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は、単独であるいは2種以上を混合して用いることも出来る。
式(2)、(5)及び(7)中のnの値は、それぞれのエポキシ樹脂のゲルパーミションクロマトグラフィーの測定値から算出することが出来る。nの値が5を超える場合にはエポキシ樹脂の粘度が高くなることで樹脂組成物を調整及び使用する際のハンドリングに支障をきたす恐れがある為、本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物には式(2)、(5)及び(7)におけるnの平均値が5以下のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
本発明で使用する光カチオン重合開始剤(B)は、樹脂組成物に可視光域の波長の光を照射した際に蛍光をほとんど発しないものが好ましい。このような性質を有する光カチオン重合開始剤の具体例としては、トリフェニルスルホニウム塩、トリ−O−トリルスルホニウム塩、トリ−O−トリルスルホニウム塩、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム塩、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム塩等のトリアリールスルホニウム塩を挙げることができる。このうち4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム塩は、蛍光発色性不純物の混入が少なく、光を照射した際の酸発生能力に優れることから特に好ましい。対イオン(アニオン)の例としては、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン等が挙げられる。
尚、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム塩は米国特許第4231951号に記載の方法により製造されるが、本発明において使用される4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム塩としては、副生物としての二量体を実質的に含まないものが好ましい。このような4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム塩の具体例としては、CPI−101A(サンアプロ(株)製、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)、K1−S(サンアプロ(株)製、非アンチモン系トリアリールスルホニウム塩)等が挙げられる。
尚、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム塩は米国特許第4231951号に記載の方法により製造されるが、本発明において使用される4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム塩としては、副生物としての二量体を実質的に含まないものが好ましい。このような4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム塩の具体例としては、CPI−101A(サンアプロ(株)製、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)、K1−S(サンアプロ(株)製、非アンチモン系トリアリールスルホニウム塩)等が挙げられる。
これらの光カチオン重合開始剤(B)は単独又は2種以上を併用しても差し支えない。光カチオン重合開始剤の含有量が少なすぎる場合は、充分な硬化速度を得ることが難しくなる。又、光カチオン重合開始剤を必要以上に多く使用した場合は、経済的ではない。これらの観点から、本発明の感光性樹脂組成物における光カチオン重合開始剤の使用割合は、前記エポキシ樹脂(A)に対して1〜15質量%、好ましくは3〜10質量%である。
本発明で用いられる溶剤(C)としては、そのものに蛍光発光が少なく、さらに光照射時及び熱硬化時に起こる副反応で自家蛍光を発する副生成物を生成しにくい溶剤ならいずれも使用可能である。このような溶剤の具体例としては、アセトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、エトキシエタノール、メトキシメタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられるが、特に蛍光物質を発生し難いことからアセトンが好ましい。
これらの溶剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。本発明の感光性樹脂組成物における溶剤は、基板に感光性樹脂組成物を塗布する際の膜厚や塗布性を調整する目的でも加えるものであり、前記エポキシ樹脂及び光カチオン重合開始剤に対する溶解性、その揮発性、塗工液としての液粘度を適正に保持すべく、感光性樹脂組成物中の含有量は、通常5〜95質量%、好ましくは10〜90質量%である。
本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物には、本発明における趣旨を損なわない範囲で、より一層の性能向上のために種々の添加剤を加えることが出来る。添加剤を加える場合は、添加剤自体に蛍光発光がなく、又使用される光カチオン重合開始剤との反応で自家蛍光を発するような生成物を副生しないものを用いるのが好ましい。このような目的で使用される添加剤としては、反応性エポキシモノマー、密着性付与剤、その他の添加剤等が挙げられる。
反応性エポキシモノマーとしては、本発明の感光性樹脂組成物における他の成分との間に混和性のある反応性エポキシモノマーが用いられる。このような反応性エポキシモノマーとしては、グリシジルエーテル類が使用でき、具体的には、例えばジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等がその例として挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。反応性エポキシモノマーは感光性樹脂層の反応性や硬化膜の物性を改善する目的で使用されるが、反応性エポキシモノマーは液状のものが多く、そのような場合には、例えば、エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤の合計量に対して20質量%よりも多く配合すると、溶剤除去後の皮膜にベタツキが生じやすくマスクスティッキングが起きやすく好ましくない。このような観点から、これらの反応性エポキシモノマーを配合する場合には、エポキシ樹脂(A)、光カチオン重合開始剤(B)、反応性エポキシモノマーの合計を感光性樹脂層の固形分として、その固形分中、1〜10質量%、好ましくは2〜7質量%含有されるように、必要により、配合するのが好適である。
基板に対する感光性樹脂組成物の密着性を向上させる目的で、混和性のある密着性付与剤を使用してもよい。密着性付与剤としてはシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を用いることができ、好ましいものとしてはシランカップリング剤が挙げられる。
シランカップリング剤としては3−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル・トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ユレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これら密着性付与剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。密着性付与剤は多量に使用すると硬化前の感光性樹脂組成物の軟化点が低下し、マスクスティキングを起こす。基材によっては、少量でも効果を発揮する点から、悪影響を及ぼさない範囲内での使用が適当であり、その使用割合は、前記で定義した固形分に対して15質量%以下が好ましく、特に好ましくは5質量%以下である。
本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物には、その他の添加剤として、熱可塑性樹脂、増粘剤、消泡剤、レべリング剤等の各種添加剤を用いることが出来る。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリカーボネート等があげられ、増粘剤としては、例えオルベン、ベントン、モンモリロナイト等があげられ、消泡剤としては、例えばシリコーン系、フッ素系及び高分子系等の消泡剤が挙げられる。これらの添加剤等を使用する場合、その含有量は本発明の感光性樹脂層中、例えば、前記定義の固形分に対してそれぞれ0.1〜30質量%程度が一応の目安であるが、使用目的に応じ適宜増減し得る。
更に、本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物には、例えば硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉等の無機充填剤を用いることができ、その含有量は、溶剤(C)を除いた感光性樹脂組成物成分中60質量%以下である。
本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物は、好ましくは前記の割合で各成分を配合し、ロールミル等で均一に混合、溶解、分散することにより調製することができる。必要により、常法により、ろ紙等によるろ過工程を施してもよい。
本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物は、好ましい態様では液状で使用される。例えばシリコンウエハ、ガラスなどの基板上に1〜10,000μmの厚みで、好ましくは5〜1,000μmの厚みで、特に好ましくは10〜500μmの厚みで、スピンコーター等を用いて本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を塗布し、40〜130℃で5分〜24時間程度、熱処理し溶剤を除去し感光性樹脂組成物の層を形成した後、所定のパターンを有するマスクを載置して高圧水銀灯などの光源を用い10〜10,000mJ/cm2のエネルギー量で紫外線を照射し、50〜130℃で1〜50分間程度、加熱処理を行った後、未露光部分を、現像液を用い室温〜50℃で1〜180分間程度現像してパターンを形成し、次いで130〜200℃で加熱処理を施すことにより、諸特性を満足する永久硬化膜が得られる。現像液としては、例えばγ−ブチロラクトン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の有機溶剤、あるいは、これら有機溶剤と水の混合液等を用いることができる。現像にはパドル型、スプレー型、シャワー型等の現像装置を用いてもよく、必要に応じて超音波照射を行ってもよい。
本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を、ベースフィルム(基材)上に、例えば、ロールコーター、ダイコーター、ナイフコーター、バーコーター、グラビアコーター等により塗布した後、45〜100℃に設定した乾燥炉で乾燥し、所定量の溶剤を除去することにより、又必要に応じてカバーフィルム(基材)等を積層することにより、積層体(ドライフィルムレジスト)として用いることができる。この際、ベースフィルム上のレジスト層の厚さは、2〜100μmに調整される。ベースフィルム及びカバーフィルムとしては、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、TAC、ポリイミド等のフィルムを使用しうる。これらのフィルムは、必要に応じて、シリコン系離型処理剤や非シリコン系離型処理剤等により離型処理されていてもよい。このようなドライフィルムレジストを使用するには、例えばカバーフィルムをはがして、ハンドロール、ラミネーター等により、温度40〜100℃、圧力0.5〜20kg重/cm2の条件で基板、支持体等に転写し、前記同様に露光、露光後ベーク、現像、加熱処理を施せばよい。
本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物をドライフィルムレジストに加工して使用すれば、支持体、基板上への塗布、および乾燥の工程を省略することが可能であり、より簡便に本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を用いたパターン等の形成が可能となる。
本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を用いた成形体はそれ自体公知の種々の方法により作成可能である。
例えば、本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を基板に塗布、乾燥し、第1の感光性樹脂層を形成した後、該感光性樹脂層を露光、露光後ベークする。さらに本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を塗布、乾燥し、第2の感光性樹脂層を形成した後、該第2の感光性樹脂層を露光、露光後ベークする。この工程を繰り返し、最後に一括して現像、加熱処理を行うことにより複雑な多層構造パターンを形成することが可能である。この際の露光後ベークは各層ごとに行わず現像前に一括して行っても良い。各感光性樹脂層の形成はドライフィルムをラミネートして形成してもよい。
例えば、本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を基板に塗布、乾燥し、第1の感光性樹脂層を形成した後、該感光性樹脂層を露光、露光後ベークする。さらに本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を塗布、乾燥し、第2の感光性樹脂層を形成した後、該第2の感光性樹脂層を露光、露光後ベークする。この工程を繰り返し、最後に一括して現像、加熱処理を行うことにより複雑な多層構造パターンを形成することが可能である。この際の露光後ベークは各層ごとに行わず現像前に一括して行っても良い。各感光性樹脂層の形成はドライフィルムをラミネートして形成してもよい。
さらに上記手法で得られた各段階のパターンに前記ドライフィルムレジストをラミネートして、前記の感光性樹脂組成物の場合と同様に露光、露光後ベーク、現像、加熱処理を行うことで中空構造を有する3次元構造体を作成することができる。
本発明におけるマイクロチップとは、生化学分析や環境分析、化学合成など種々の化学プロセスを行わせるために、基板上に数十〜数百μmの微細な流路やミキサー等の素子や検出部等が設けられたもので、基板上で混合、反応、分離、検出等の化学プロセスを行うために使用される。マイクロチップは必要に応じて薬液を投入するための注入孔等が設けられていてもよい。
本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物をシリコンやガラス基板上に塗布し、上記フォトリソグラフィーによりパターン形成した後、必要に応じて薬液投入用の導入口(孔)の設けられた他の基板を積層してマイクロチップとすることが出来る。
本発明において、基板としては第1の感光性樹脂層を均一に形成でき、かつ第1の感光性樹脂層形成時及びその後の工程においても溶解や変形等を起こさない基板であればいずれでもよい。このような基板としては、シリコン、石英、ガラス、サファイア、金属、セラミックなどの無機材料、ポリイミド、アクリルなどの有機材料等で作成されたものが挙げられ、又その形状としては角型、円型などが利用可能だが、円型のシリコンウエハが最も好ましい。又、基板の厚さについては、通常100μm〜5mmの間で用いられるがこれに限定されるものではない。流路等の観察や光分析を行う場合は、少なくとも一面の基板が光透過性に優れるものが好ましく、例えば石英、ガラスなどの無機材料やアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンコポリマーなどのプラスチック材料が挙げられる。また、透過性基板と黒色の光吸収性の基板との組み合わせを用いることもできる。
光吸収性の黒色の基板としては光を透過させず、また、光を反射させにくいものが好ましい。このような黒色基板は蛍光を発しにくい黒色顔料を含有する基板、又は黒色顔料を含む層が表面に設けられた基板が好ましい。黒色顔料としては着色性、耐熱性、耐ブリード性、耐薬品性の点からカーボンブラックが好ましい。
本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を基板上に塗布して感光性樹脂層を設け、フォトリソグラフィーにより流路などのパターンを形成したのち、該パターン上に前記ドライフィルムレジストを積層し、次いでフォトリソグラフィーにより導入口等のパターンを形成しマイクロチップとすることができる。
本発明のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を用いることにより、フォトリソグラフィーで微細かつ高アスペクト比の厚膜パターンを形成することが可能であり、高微細、高アスペクト比、低蛍光性といったマイクロチップに必要とされる特性を備えた永久レジスト及び硬化物が容易に得られる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、これらの実施例は、本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、本発明をなんら限定するものではない。尚、参考例、実施例、比較例等において、特に断りのない限り、部は質量部を、%は質量%をそれぞれ意味する。
参考例
(式(4)のエポキシ樹脂の製造)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらTrisP−PA(下記式(12)で示されるフェノール誘導体、本州化学工業株式会社製)
(式(4)のエポキシ樹脂の製造)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらTrisP−PA(下記式(12)で示されるフェノール誘導体、本州化学工業株式会社製)
141部、エピクロルヒドリン185部、メタノール140部を加え、撹拌下で溶解し、70℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム42部を90分かけて分割添加した後、40℃で2時間、更に70℃で1時間反応を行った。反応終了後水300部で水洗を行い、油層からロータリーエバポレーターを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリン、溶剤等を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン400部を加えて溶解し、70℃に昇温した。撹拌下で30%水酸化ナトリウム水溶液10部を加え、1時間撹拌を行った後、洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液からロータリーエバポレーターを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することにより、前記式(4)で示されるエポキシ樹脂(A−1)168部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は230g/eq.、軟化点は70.0℃、さらに150℃における溶融粘度は0.28Pa・s、ガードナー色数は0.1であった。
尚、上記参考例において、エポキシ樹脂(A−1)の物性値は、下記の方法で測定した。
エポキシ当量;JIS K−7236
軟化点;JIS K−7234
溶融粘度;コーンプレート法による150℃における溶融粘度
ガードナー色数;JIS K−0071−2
エポキシ当量;JIS K−7236
軟化点;JIS K−7234
溶融粘度;コーンプレート法による150℃における溶融粘度
ガードナー色数;JIS K−0071−2
参考実験(各エポキシ樹脂の蛍光発光評価)
参考実験として次の各エポキシ樹脂について、蛍光発光の強度を測定した。尚、蛍光分析は分光蛍光光度計(FP−6600 日本分光株式会社製)を用い蛍光励起波長532nm、蛍光発光測定波長550〜700nmで測定した。表1には蛍光強度の相対値を示した。蛍光強度の相対値とは、下記各サンプルについて、最大蛍光強度を示す波長における蛍光強度の測定値からシクロペンタノンの蛍光強度を差し引いた値の同波長における純シクロペンタノンの蛍光強度の測定値に対する比をいう。蛍光強度の相対値は小さい方が本発明におけるエポキシ樹脂として好ましい。
(1)参考例で得られた式(4)で表されるエポキシ樹脂(A−1)の10質量%溶液(シクロペンタノン希釈)
(2)式(5)で表されるエポキシ樹脂(製品名;NER−1302、日本化薬株式会社製、ガードナー色数1以下、エポキシ当量310g/eq.、軟化点70℃)の10質量%溶液(シクロペンタノン希釈)
(3)EPON SU−8 レジン(レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ製、非特許文献3記載の厚膜フォトレジストに含まれる樹脂でビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ガードナー色数2、エポキシ当量210g/eq.、軟化点85℃)の10質量%溶液(シクロペンタノン希釈)
参考実験として次の各エポキシ樹脂について、蛍光発光の強度を測定した。尚、蛍光分析は分光蛍光光度計(FP−6600 日本分光株式会社製)を用い蛍光励起波長532nm、蛍光発光測定波長550〜700nmで測定した。表1には蛍光強度の相対値を示した。蛍光強度の相対値とは、下記各サンプルについて、最大蛍光強度を示す波長における蛍光強度の測定値からシクロペンタノンの蛍光強度を差し引いた値の同波長における純シクロペンタノンの蛍光強度の測定値に対する比をいう。蛍光強度の相対値は小さい方が本発明におけるエポキシ樹脂として好ましい。
(1)参考例で得られた式(4)で表されるエポキシ樹脂(A−1)の10質量%溶液(シクロペンタノン希釈)
(2)式(5)で表されるエポキシ樹脂(製品名;NER−1302、日本化薬株式会社製、ガードナー色数1以下、エポキシ当量310g/eq.、軟化点70℃)の10質量%溶液(シクロペンタノン希釈)
(3)EPON SU−8 レジン(レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ製、非特許文献3記載の厚膜フォトレジストに含まれる樹脂でビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ガードナー色数2、エポキシ当量210g/eq.、軟化点85℃)の10質量%溶液(シクロペンタノン希釈)
表1 蛍光発光の評価結果
(1) (2) (3)
蛍光強度の相対値 5%以下 50% 625%
実施例1〜3、比較例1
(感光性樹脂組成物の製造及び評価)
下記表2に記載の組成(単位は部)に従って、エポキシ樹脂、光カチオン重合開始剤及び溶剤を混合し、実施例1〜3及び比較例1の感光性樹脂組成物を得た。
(感光性樹脂組成物の製造及び評価)
下記表2に記載の組成(単位は部)に従って、エポキシ樹脂、光カチオン重合開始剤及び溶剤を混合し、実施例1〜3及び比較例1の感光性樹脂組成物を得た。
得られた実施例1〜3及び比較例1の感光性樹脂組成物を、シリコンウエハ上にアプリケーターを用い均一に塗布後、乾燥し、30μmの膜厚を有する感光性樹脂組成物層を得た。この感光性樹脂組成物層をホットプレートにより65℃で5分および95℃で20分〜12時間プリベークした。その後、露光装置(マスクアライナー:ウシオ電機株式会社製、i線)を用いて、マスク転写精度が最良となる露光量でパターン露光(ソフトコンタクト)を行った。ホットプレートにより95℃で6分、露光後ベーク(PEB)を行い、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いて浸漬法により23℃で8分〜30分間現像処理を施すことで、基板上に硬化した厚膜パターンを得た。
得られた各厚膜パターンについて下記の評価を行った。結果を下記表2に示す。
(1)アスペクト比;膜厚/形成されたレジストパターン中密着している最も細かいパターン幅。
(2)最適露光量;照射された波長において、アスペクト比を最も大きくするのに要する露光量。単位は(mJ/cm2)。
(3)蛍光分析;蛍光イメージアナライザ(モレキュラーイメージャーFX−ProPlus BIO−RAD社製)を用い532nmのレーザーにより励起し550nmロングパスフィルターを用い解像度50μmでスキャニングした。単位面積あたりのレジスト膜の蛍光カウント数の単位面積あたりのバックグラウンドの蛍光カウント数に対する割合を%で求めた。単位は(%)。
(1)アスペクト比;膜厚/形成されたレジストパターン中密着している最も細かいパターン幅。
(2)最適露光量;照射された波長において、アスペクト比を最も大きくするのに要する露光量。単位は(mJ/cm2)。
(3)蛍光分析;蛍光イメージアナライザ(モレキュラーイメージャーFX−ProPlus BIO−RAD社製)を用い532nmのレーザーにより励起し550nmロングパスフィルターを用い解像度50μmでスキャニングした。単位面積あたりのレジスト膜の蛍光カウント数の単位面積あたりのバックグラウンドの蛍光カウント数に対する割合を%で求めた。単位は(%)。
表2 各感光性樹脂組成物の組成及び評価結果
実施例1 実施例2 実施例3 比較例1
(A−1) 100 100
(A−2) 100
(A−3) 100
(B−1) 9 9
(B−2) 4.5
(B−3) 9
(C−1) 30 30 30
(C−2) 30
アスペクト比 6.0 6.0 3.6 5.0
最適露光量 500 350 400 250
蛍光分析結果 72 84 120 550
(注)
(A−1)前記参考実験(1)で使用した式(4)で表されるエポキシ樹脂
(A−2)前記参考実験(2)で使用した式(5)で表されるエポキシ樹脂
(A−3)前記参考実験(3)で使用した比較例用エポキシ樹脂
(B−1)CPI−101A(サンアプロ株式会社製、光カチオン重合開始剤、50%炭酸プロピレン溶液)
(B−2)K1−S(サンアプロ株式会社製、光カチオン重合開始剤)
(B−3)UVI−6974(ユニオンカーバイト社製、光カチオン重合開始剤、50%炭酸プロピレン溶液)
(C−1)アセトン(溶剤)
(C−2)シクロペンタノン(溶剤)
(A−1)前記参考実験(1)で使用した式(4)で表されるエポキシ樹脂
(A−2)前記参考実験(2)で使用した式(5)で表されるエポキシ樹脂
(A−3)前記参考実験(3)で使用した比較例用エポキシ樹脂
(B−1)CPI−101A(サンアプロ株式会社製、光カチオン重合開始剤、50%炭酸プロピレン溶液)
(B−2)K1−S(サンアプロ株式会社製、光カチオン重合開始剤)
(B−3)UVI−6974(ユニオンカーバイト社製、光カチオン重合開始剤、50%炭酸プロピレン溶液)
(C−1)アセトン(溶剤)
(C−2)シクロペンタノン(溶剤)
実施例4
(ドライフィルムレジストの作成)
実施例1で得られた感光性樹脂組成物を膜厚60μmのポリプロピレン(PP)フィルム上にアプリケーターを用い均一に塗布し、温風対流乾燥機により65℃で10分及び80℃で15分乾燥した後、露出面上に膜厚60μmのPPフィルム(カバーフィルム)をラミネートして、膜厚30μmの本発明の感光性樹脂組成物積層体(ドライフィルムレジスト)を得た。
(ドライフィルムレジストの作成)
実施例1で得られた感光性樹脂組成物を膜厚60μmのポリプロピレン(PP)フィルム上にアプリケーターを用い均一に塗布し、温風対流乾燥機により65℃で10分及び80℃で15分乾燥した後、露出面上に膜厚60μmのPPフィルム(カバーフィルム)をラミネートして、膜厚30μmの本発明の感光性樹脂組成物積層体(ドライフィルムレジスト)を得た。
上記で得られた感光性樹脂組成物積層体のカバーフィルムを剥離し、ロール温度70℃、エアー圧力0.2MPa、速度0.5m/minでシリコンウエハ上にラミネートし、30μmの感光性樹脂組成物層を得た。この感光性樹脂組成物層に、露光装置(マスクアライナー:ウシオ電機株式会社製、i線)を用いてパターン露光(ソフトコンタクト)を行った。その後、ホットプレートにより95℃で4分PEBを行い、PGMEAを用いて浸漬法により23℃で4分現像処理を施すことで、基板上に硬化した厚膜パターンを得た。最適露光量500mJ/cm2、アスペクト比6というような良好な特性が得られた。
実施例5
実施例4で得られた感光性樹脂組成物積層体のカバーフィルムを剥離しロール温度70℃、エアー圧力0.2MPa、速度0.5m/minで石英ガラス基板上にラミネートし、30μmの感光性樹脂組成物層を得た。露光装置(マスクアライナー:ウシオ電機株式会社製、i線)を用い、流路パターンが描かれたフォトマスクを介してパターン露光(ソフトコンタクト)を行った。その後、ホットプレートにより95℃で4分PEBを行い、PGMEAを用いて浸漬法により23℃で4分現像処理を行い、基板上に硬化した樹脂流路パターンを得た(図1(1)を参照)。得られたパターンに導入口の設けられた石英ガラス基板(図1(2)を参照)を圧着しマイクロチップを得た(図1(3)を参照)。
実施例4で得られた感光性樹脂組成物積層体のカバーフィルムを剥離しロール温度70℃、エアー圧力0.2MPa、速度0.5m/minで石英ガラス基板上にラミネートし、30μmの感光性樹脂組成物層を得た。露光装置(マスクアライナー:ウシオ電機株式会社製、i線)を用い、流路パターンが描かれたフォトマスクを介してパターン露光(ソフトコンタクト)を行った。その後、ホットプレートにより95℃で4分PEBを行い、PGMEAを用いて浸漬法により23℃で4分現像処理を行い、基板上に硬化した樹脂流路パターンを得た(図1(1)を参照)。得られたパターンに導入口の設けられた石英ガラス基板(図1(2)を参照)を圧着しマイクロチップを得た(図1(3)を参照)。
実施例6
実施例2記載の方法で石英ガラス基板上に樹脂流路パターンを作成した。実施例4に記載の感光性樹脂組成物積層体のカバーフィルムを剥離し、樹脂流路パターン上にロール温度45℃、エアー圧力0.2MPa、速度0.5m/minでラミネートした。露光装置(マスクアライナー:ウシオ電機株式会社製、i線)を用い、導入口が描かれたフォトマスクを介してパターン露光(ソフトコンタクト)を行った。その後、ホットプレートにより95℃で4分PEBを行い、PGMEAを用いて浸漬法により23℃で4分現像処理を行い、150℃で30分間熱処理しマイクロチップを作成した
実施例2記載の方法で石英ガラス基板上に樹脂流路パターンを作成した。実施例4に記載の感光性樹脂組成物積層体のカバーフィルムを剥離し、樹脂流路パターン上にロール温度45℃、エアー圧力0.2MPa、速度0.5m/minでラミネートした。露光装置(マスクアライナー:ウシオ電機株式会社製、i線)を用い、導入口が描かれたフォトマスクを介してパターン露光(ソフトコンタクト)を行った。その後、ホットプレートにより95℃で4分PEBを行い、PGMEAを用いて浸漬法により23℃で4分現像処理を行い、150℃で30分間熱処理しマイクロチップを作成した
図1において、
1.石英ガラス基板(下層)
2.感光性樹脂組成物積層体
3.流路パターン
4.導入口
5.石英ガラス基板(上層)
をそれぞれ示す。
1.石英ガラス基板(下層)
2.感光性樹脂組成物積層体
3.流路パターン
4.導入口
5.石英ガラス基板(上層)
をそれぞれ示す。
Claims (9)
- 下記式(1)又は式(2)で示されるエポキシ樹脂(A)、光カチオン重合開始剤(B)及び溶剤(C)を含有するマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物
- 光カチオン重合開始剤(B)が、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム塩である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物。
- 溶剤(C)がアセトンである請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を基材に塗布して感光性樹脂層を設け、該感光性樹脂層上に離形用の基材を積層してなる積層体(ドライフィルムレジスト)。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を第1の基板上に塗布して感光性樹脂層を設け、フォトリソグラフィーによりパターンを形成したのち、該パターン上に第2の基板を積層してなるマイクロチップ。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のマイクロチップ形成用感光性樹脂組成物を基板上に塗布して感光性樹脂層を設け、フォトリソグラフィーによりパターンを形成したのち、該パターン上に離形用の基材を剥離した請求項6に記載の積層体(ドライフィルムレジスト)を積層し、次いでフォトリソグラフィーによりパターンを形成してなるマイクロチップ。
- 請求項7の第1の基板又は請求項8の基板が、黒色の光吸収性基板であるそれぞれ請求項7又は8に記載のマイクロチップ。
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