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JP2009072427A - 電動歯ブラシ - Google Patents

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JP2009072427A
JP2009072427A JP2007245377A JP2007245377A JP2009072427A JP 2009072427 A JP2009072427 A JP 2009072427A JP 2007245377 A JP2007245377 A JP 2007245377A JP 2007245377 A JP2007245377 A JP 2007245377A JP 2009072427 A JP2009072427 A JP 2009072427A
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Kaiji Kobayashi
海之 小林
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Abstract

【課題】高い洗浄実感が得られるとともに、騒音や振動が抑制され、小型軽量で口腔内における操作性に優れる電動歯ブラシを提供する。
【解決手段】流体Bに脈動を発生させるポンプ部5、並びにポンプ部5に電流を供給する電源部6が内部に備えられた本体部2と、該本体部2から延設され、ポンプ部5に一端31aが接続されるとともに流体Bが流通される脈動伝達用チューブ31が内部に備えられたネック部3と、該ネック部3の先端3aに取り付けられ、脈動伝達用チューブ31の他端31bが接続されるとともに流体Bの脈動に伴って振動する振動機構8、並びに振動機構8によって振動する刷毛部42が備えられたヘッド部4と、を具備してなり、ポンプ部5によって流体Bが脈動することで、刷毛部42が振動するように構成されてなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電動で刷毛部を振動させることにより、口腔内の洗浄を行う電動歯ブラシに関する。
従来、口腔内の洗浄に用いる歯ブラシに、モータ等による動力機構や駆動機構を備え、刷子を振動させることによって口腔内を擦掃する電動歯ブラシがある。このような電動歯ブラシとしては、例えば、モータによる回転(スピン)タイプ、振動モータやリニアモータによる高速微振動タイプ、圧電素子による超音波振動タイプ等がある。
上述したような回転タイプの電動歯ブラシとしては、モータからの回転駆動力を複雑な偏芯リンク機構等を介してヘッド部の往復運動に変換する構成のものが提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の電動歯ブラシによれば、口腔内において刷毛が届き難い箇所においても、効率良く、且つ、丁寧に清掃することが可能になるものとされている。
しかしながら、特許文献1の電動歯ブラシの構成では、モータと偏芯リンク機構からなる複雑な構成とされているため、使用者が不快を感じるような騒音や振動が発生しやすいという問題がある。また、通常の歯ブラシに比べてヘッド部の厚みが大きくなり、口腔内における操作性が低くなるという問題がある。
また、偏芯リンク機構における駆動ロスが大きいためにエネルギー効率が低く、モータや電源の大型化を余儀なくされ、高出力のモータ及び電源を用いた場合には、本体の把持部のサイズが大きくなり、操作性が低下するとともに本体が非常に重くなるという問題がある。
また、振動モータタイプの電動歯ブラシとして、モータで偏芯錘を回転させることにより、振動を発生させる構成のものが提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2に記載の電動歯ブラシによれば、上述のようなシンプルな構成であるため、製造効率に優れるとともに、モータが小型低出力のもので充分であるのでモータ自体の振動を低減することができ、また、把持部のスリム化も可能になるものとされている。
しかしながら、特許文献2の電動歯ブラシの構成では、電動歯ブラシ本体全体で振動が発生するので、使用者の手や唇に不快な振動が伝わる虞がある。このため、振動モータを、振動抑制部材を介して本体に取り付けたり、偏芯錘をネック部先端に配したりする等の改良を図ることも行なわれているが、この場合、把持部の振動低減は可能であるものの、ネック部の振動を低減するのは困難なため、電動歯ブラシ使用時に、使用者の唇に不快な振動が伝わるという問題は避けられないものとなっている。
また、リニアモータタイプの電動歯ブラシとして、本体に設けられた電磁石からなる固定子と永久磁石ならなる可動子とにより、ネック部及びヘッド部全体を高速で往復振動させる構成のものが提案されている(例えば、特許文献3)。特許文献3に記載の電動歯ブラシによれば、刷毛の往復での直線/回転運動を、簡単な構成で行なうことが可能になるものとされている。
しかしながら、特許文献3の電動歯ブラシの構成では、本体振動を抑制するため、ばね材を用いる等の工夫が行なわれてはいるものの、本体で発生させる往復振動をネック部に伝達する構成のため、使用者の唇に不快な振動が伝わるとい問題がある。また、上記構成とした場合、本体のハウジング上部と刷毛部の駆動軸との間から、本体内部に液体が浸入する虞がある。また、本体から突出するように設けられる刷毛部の駆動軸は、往復/回転運動するものなので直線形状とする必要があり、口腔内において操作性に優れるカーブネック形状とするのが困難であるという問題がある。またさらに、特許文献3では、本体のサイズや重量が大きくなり、使用性が低下するという問題がある。
また、超音波振動タイプの電動歯ブラシとして、圧電素子自体の高周波振動を利用し、刷毛の届かない部位の歯垢等を清掃することが可能な構成とされたものが提案されている(例えば、特許文献4)。特許文献4に記載の電動歯ブラシによれば、構成がシンプルで防水性の高いものとされている。
しかしながら、特許文献4の電動歯ブラシの構成では、高周波振動による人体への影響を考慮すると、微弱な範囲の出力に留めておく必要があり、この場合、使用者が電動歯ブラシから僅かな振動を感じとることが難しいため、可聴領域を超える周波数の超音波駆動による洗浄では、使用者が洗浄効果を実感しにくいという問題がある。また、特許文献4の電動歯ブラシでは、超音波振動子を刷毛の植毛部に露出させる構成のため、その部分には刷毛を植毛することができず、疎毛となることから、使用感に劣るという問題があった。
上記問題のため、使用者は、電動歯ブラシが持つ清掃効果には魅力を感じているものの、振動や騒音による不快感、及び、本体の大きさや重さ、ヘッド部の厚さや幅等に由来する口腔内での操作性の低さ等、通常の歯ブラシにはない使用性の低さに不満を感じており、このような問題を解決することが強く望まれていた。
特開平6−343513号公報 特開昭56−500159号公報 特開昭63−29604号公報 実開昭57−2829号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高い洗浄実感が得られるとともに、騒音や振動が抑制され、小型軽量で口腔内における操作性に優れる電動歯ブラシを提供することを目的とする。
本出願人は、上記問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下に示す構成の発明を完成した。
本発明は、流体に脈動を発生させるポンプ部、並びに該ポンプ部に電流を供給する電源部が内部に備えられた本体部と、該本体部から延設され、前記ポンプ部に一端が接続されるとともに流体が流通される脈動伝達用チューブが内部に備えられたネック部と、該ネック部の先端に取り付けられ、前記脈動伝達用チューブの他端が接続されるとともに前記流体の脈動に伴って振動する振動機構、並びに該振動機構によって振動する刷毛部が備えられたヘッド部と、を具備してなり、前記ポンプ部によって前記流体が脈動することで、前記刷毛部が振動するように構成されてなることを特徴とする電動歯ブラシを提供する。
係る構成によれば、ポンプ部で流体を脈動させることにより、ヘッド部に備えられた刷毛部を振動させるので、不快な振動や騒音を抑制することができる。また、本体部は、主として、流体を脈動させて刷毛部を振動させるに足るだけの小型のポンプ部と、該ポンプ部を駆動する小型の電源部が内蔵される構成なので、小型軽量とすることができ、把持部としての使用性を向上させることが可能となる。また、ネック部が、脈動伝達用チューブが備えられるシンプルな構成なので、ネック部を、カーブ形状等、口腔内における操作性に優れる形状とすることができ、洗浄効果を向上させることが可能となる。また、シンプルな構造とされていることから、低コストであり、且つ、故障の少ない電動歯ブラシが得られる。
本発明の電動歯ブラシは、前記ポンプ部に、該ポンプ部の後端部に設けられる弾性膜に結合され、永久磁石からなる可動子と、該可動子と相対するように配され、電磁石からなる固定子とからなる脈動発生機構が備えられている構成とすることができる。
係る構成によれば、可動子及び固定子が磁石からなり、磁気反発力を用いて脈動を発生させる非接触駆動の脈動発生機構とされているので、ポンプ部から騒音が生じるのを防止することができ、また、耐久性に優れるものとなる。また、流体の脈動を任意の周波数で付与することができるので、使用者が洗浄効果を実感することが可能な周波数で刷毛部を振動させることができる。また、磁石を用いた簡便な構成の脈動発生機構とされているので、製造が容易で低コストとされたポンプ部が実現できる。
本発明の電動歯ブラシは、前記刷毛部が、前記振動機構に備えられる植毛プレートに植毛され、該植毛プレートは、前記ヘッド部に対して弾性部材を介して取り付けられており、前記刷毛部が該刷毛部の植毛方向に振動するように構成することができる。
また、本発明の電動歯ブラシは、前記刷毛部が、前記振動機構に備えられる植毛プレートに植毛され、該植毛プレートは、前記ヘッド部に対して前記刷毛部の植毛方向と直交する方向でスライド自在に取り付けられており、前記刷毛部が該前刷毛部の植毛方向以外の方向に振動するように構成することができる。
係る構成によれば、簡便な構成で、流体の脈動を伝達して刷毛部を振動させるので、ヘッド部を小型化することができ、口腔内における操作性を向上させることが可能となる。また、刷毛部に対し、流体を介して振動を直接伝達する構成なので、高いエネルギー伝達効率が得られ、洗浄効果を向上させることが可能となる。
本発明の電動歯ブラシは、前記流体がシリコンオイルであることがより好ましい。
係る構成によれば、化学的に安定且つ安全なシリコンオイルを流体に用いることで、電動歯ブラシがより安全性の高いものとなり、また、不快な振動や騒音を発生することなく、脈動を効率良く伝達して刷毛部を振動させることが可能となる。
本発明の電動歯ブラシは、前記刷毛部の振動周波数が、可聴領域である20000Hz以下とされていることが好ましい。
係る構成によれば、可聴領域で振動させることで適度な作動音を生じさせることが可能となり、使用者が洗浄効果を実感することができる。
本発明の電動歯ブラシは、前記刷毛部の振幅、及び/又は、振動周波数をコントロールする制御部が備えられた構成とすることができる。
係る構成によれば、複雑な機構を要すること無く、刷毛部の振動を適正に制御することができ、各使用者のニーズに応じた口腔内のブラッシングが可能となる。
本発明の電動歯ブラシによれば、上記構成により、使用者が不快と感じるような騒音や振動が抑制されるとともに、小型軽量なので口腔内における操作性が向上し、また、高い洗浄力が得られる。従って、使用者が高い洗浄実感を得ることができるとともに、効率良く快適に口腔内を洗浄することが可能となる。
以下、本発明に係る電動歯ブラシの一実施形態について、図1〜図3を適宜参照しながら説明する。
図1及び図2は、本発明の電動歯ブラシの一例を示すものであり、この電動歯ブラシ1は、流体Bに脈動を発生させるポンプ部5、並びに該ポンプ部5に電流を供給する電源部6が内部に備えられた本体部2と、該本体部2の一端2aから延設され、ポンプ部5に一端31aが接続されるとともに流体Bが流通される脈動伝達用チューブ31が内部に備えられたネック部3と、該ネック部3の先端3aに取り付けられ、脈動伝達用チューブ31の他端31bが接続されるとともに流体Bの脈動に伴って振動する振動機構8、並びに該振動機構8によって振動する刷毛部42が備えられたヘッド部4とを具備しており、ポンプ部5によって流体Bが脈動することにより、刷毛部42が振動するように概略構成されている。
また、図示例の電動歯ブラシ1は、本体部2において、ポンプ部5に、該ポンプ部5の後端部5bに設けられた弾性膜54に結合されて永久磁石からなる可動子71と、該可動子71と相対するように配されて電磁石からなる固定子72とからなる脈動発生機構7が備えられており、さらに、本体部2内に制御部9が備えられた構成とされている。
また、本実施形態の電動歯ブラシ1は、図示例では、本体部2と、該本体部2の一端から延設されるネック部3と、該ネック部3の先端3aに取り付けられるヘッド部4とが連なって細長に形成されている。
本体部2は、図示例では細長に形成された中空の部材であり、上述したように、ポンプ部5、電源部6、脈動発生機構7が内部に設けられ、絶縁性材料によって構成されており、また、本体部2の長手方向の一端2aには、ネック部3が延設されている。また、図示例の電動歯ブラシ1は、本体部2の内部において一端2a寄りの位置に制御部9が配されており、この制御部9の位置における本体部2の表面側には、図示略のスイッチが設けられる。
また、本体部2は、使用者が電動歯ブラシ1を用いて口腔内を洗浄する際の把持部の機能も有しており、図示例では細長に形成されているが、本体部2の形状は、使用者が手で把持して電動歯ブラシ1を操作し易い形状であれば特に制限されず、適宜採用することができる。
本体部2を構成する絶縁性材料としては、特に限定されず、例えば、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、セルロースプロピオネート樹脂(CP)、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)、等の樹脂材料を単独又は混合して利用できる。また、本体部2の材質については、適宜決定して採用できるが、上述したように、本体部2を絶縁材料で構成することが、電動歯ブラシ1の使用者の身体に電流が漏れる虞が無い点で好適である。
また、本体部2は、使用者が電動歯ブラシ1を用いて口腔内を洗浄する際や、使用後の電動歯ブラシ1のヘッド部4を水道水等で洗浄する際に、水や唾液等が付着する場合があるので、水密構造とすることが好ましい。
ポンプ部5は、詳細を後述する脈動伝達用チューブ31に流通される流体に脈動を付与するポンプであり、ポンプ本体51内に形成される内部空間52に、化学的安定性及び安全性の高い流体Bが脈動伝達材として封入される。
図1の破断図に示すように、ポンプ部5の先端部5aには、上述の脈動が付与された流体Bを外部に向けて吐出するための吐出口53が設けられており、この吐出口53に脈動伝達用チューブ31が接続されている。
また、ポンプ部5の後端部5bには、弾性材料からなる弾性膜54が備えられており、永久磁石からなり、脈動発生機構7を構成する可動子71が取り付けられている。さらに、可動子71と相対する位置には、電磁石からなる固定子72が設けられており、図示例では、固定子72が、後述の電源部6の一端6a側に取り付けられている。
ポンプ本体51は、内部空間52が内部に形成される中空状の部材であり、ポンプ部5のケーシング部材である。
ポンプ本体51を構成する材質としては、特に限定されないが、高圧に耐え得るとともに、流体Bとして、例えば、シリコンオイルを用いた場合には、耐油性に優れる金属材料あるいは樹脂材料を用いることが好ましい。
ポンプ部5の外径、つまり、ポンプ本体51の外径は、5〜15mmの範囲とすることが好ましく、8〜10mmの範囲とすることがより好ましい。ポンプ本体51の外径が15mmを超えると、ポンプ部5を収容する本体部2の外径が大きくなり過ぎ、使用者が本体部2を把持し難くなり、使用性が低下する虞がある。また、ポンプ本体51の外径が5mm未満では、ポンプとしての性能を維持することが困難となる虞がある。
また、ポンプ本体51の内径としては、該ポンプ本体51の耐圧性を維持できる範囲内の肉厚が確保でき、また、内部空間52に適量の流体Bを封入できる程度の容量を確保できる程度とすれば良く、特に限定されない。
ポンプ部5の全長、つまり、電動歯ブラシ1の長手方向における長さは、10〜50mmの範囲とすることが好ましい。ポンプ部5の全長が50mmを超えると、本体部2が長くなり過ぎ、使用者が電動歯ブラシ1を使用する際の使用性が低下する虞がある。また、ポンプ部5の長さが10mm未満では、ポンプとしての性能を維持することが困難となる虞がある。
弾性膜54は、ポンプ部5の後端部5b、つまり、ポンプ本体51の尾端に設けられるものであり、ポンプ本体51をシールして内部空間52を封印するように形成される膜状の部材である。
弾性膜54を構成する弾性材料としては、特に限定されないが、例えば、シリコン樹脂やエラストマー樹脂等が挙げられるが、これらには限定されず、硬度が10〜95A程度の弾性材料であれば、何ら制限されること無く採用することが可能である。
また、弾性膜54の厚さとしては、特に限定されず、この弾性膜54の材質や硬度、ポンプサイズ(内部空間52のサイズ)等を考慮し、適宜決定することができる。
脈動発生機構7は、上述したように、可動子71と固定子72とからなり、上述の弾性膜54に脈動を印加することにより、ポンプ部5にポンプ作用を発生させるものである。
可動子71は、永久磁石から構成され、図1に示すように、弾性膜54の内部空間52の反対側に取り付けられる。可動子71に用いられる永久磁石材料としては、特に限定されず、従来公知の磁石材料を何ら制限無く用いることができる。
可動子71は、弾性膜54の略中央付近に結合されていることが、弾性膜54に脈動を効率良く印加できることから好ましい。
固定子72は、電磁石によって構成され、図1に示すように、本体部2内部の長手方向において、可動子71と相対するように配される。また、図示例の固定子72は、環状に形成された芯体72aに電線72bが巻回された構成とされており、後述の電源部6の一端6a側に取り付けられている。
また、固定子72の電線72bは、詳細な図示を省略するが、両端が後述の制御部9に接続されており、この制御部9からパルス電流が印加されるように構成されている。
上述した構成の脈動発生機構7は、固定子72にパルス電流を印加して固定子72の極性を任意の周波数で変化させることにより、可動子71と固定子72との間に磁性反発を生じさせ、可動子71を図1に示す矢印P方向に脈動させることで弾性膜54に脈動を印加する。これにより、ポンプ本体51によって形成された内部空間52の容量に周期的に変化を生じさせ、ポンプ部5は、吐出口53からの流体Bの吐出及び流入を周期的に繰り返し、ポンプ作用を発現するものである。
また、本実施形態の脈動発生機構7は、図1に示すように、可動子71と固定子72とを非接触とすることにより、不快な振動や騒音を発生することがないので、使用性に優れた電動歯ブラシ1を実現することができる。
なお、本実施形態では、ポンプ部5において弾性膜54を脈動させ、流体Bの脈動を発生させるための機構として、上述のような磁石を用いた可動子71及び固定子72からなる構成の脈動発生機構7を例に説明しているが、これには限定されない。例えば、モータやギア等を用いたピストン機構によって弾性膜を脈動させる構成を採用しても良いし、あるいは、圧電素子や超磁歪素子によって段成膜に振動を直接伝達する構成とすることも可能である。
電源部6は、上述したポンプ部5の脈動発生機構7に、後述の制御部9を介してパルス電流を供給するための電源であり、本実施形態の電動歯ブラシ1の電力源である。本実施形態の電源部6は、詳細な図示を省略するが、その出力端子が制御部9に接続されている。
電源部6としては、ポンプ部5の脈動発生機構7を作動させることにより、後述の刷毛部42を振動させて口腔内を洗浄できる出力電圧、例えば、定格電圧が1〜12V程度の出力電圧であれば良い。例えば、単3あるいは単4の乾電池等の他、ニッカド充電池やニッケル水素電池の各種電池等を用いることができるが、本体部2を大型化させることなく良好な使用性を維持できる小型軽量のものであれば、この他の電池であっても何ら制限無く用いることが可能である。
また、電源部6として充電池を用いる場合には、充電装置として、例えば、IPT(Induction Power Transmission)等の非接触式の装置を用いることが、安全性や使用性に優れる点から好ましい。
制御部9は、電源部6からの供給電流を任意の周波数のパルス電流に変換し、ポンプ部5の脈動発生機構7に供給するものである。
また、図1に示す電動歯ブラシ1の制御部9は、本体部2の内部において一端2a寄りの位置に配され、この位置における本体部2の表面側に、制御部9に電気的に接続されて電動歯ブラシ1をオン−オフするための図示略のスイッチが設けられる。
また、制御部9には、ポンプ部5の脈動発生機構7に供給するパルス電流の周波数や電圧を制御し、ポンプ部5で流体Bに付与される脈動の周波数や大きさを調整することにより、詳細を後述する刷毛部42の振幅や振動周波数をコントロールできる機能を備えた構成とすることがより好ましい。これにより、刷毛部42の振動を適正に制御することができるので、各使用者のニーズに応じた口腔内のブラッシングが可能となる。
ネック部3は、本体部2の一端2aから延設されるとともに、先端3aにヘッド部が取り付けられ、内部に脈動伝達用チューブ31が備えられるパイプ状の部材であり、図1に示す例では、細長のストレート形状に構成されている。
ネック部3を構成する材料としては、特に限定されず、上述した本体部2と同じ材料を用いることが可能である。
ネック部3の形状としては、図1に示すようなストレート形状には限定されず、例えば、緩やかなカーブ形状等、電動歯ブラシを用いて口腔内の奥歯等を磨き易いような形状であれば、如何なる形状であっても良く、適宜採用することができる。
また、ネック部3の幅や厚みとしては、口腔内における操作性や強度等を考慮した場合、4〜10mmの範囲とすることが好ましく、5〜7mmの範囲とすることがより好ましい。
脈動伝達用チューブ31は、内部に流体Bが流通されるチューブ状の部材であり、一端31a側がポンプ部5の吐出口53に接続され、他端31b側が、後述のヘッド部4に備えられる振動機構8の流入口43に接続される。脈動伝達用チューブ31は、このような構成により、ポンプ部5において流体Bに付与された脈動を振動機構8に伝達するものである。
脈動伝達用チューブ31の材質としては、特に限定されず、内部に流通される流体Bとの間で化学反応を起さない樹脂であれば、如何なる樹脂材料も用いることが可能であるが、内部における流体Bの圧力損失が生じるのを抑制するため、膨張並びに伸縮し難い硬質樹脂等を用いることが好ましい。
ヘッド部4は、図1に示すように、ヘッド本体41の一端41a側がネック部3の先端3aに取り付けられ、振動機構8と、この振動機構8によって振動する刷毛部42が備えられている。また、ヘッド本体41は、図示例のように内部空間44を備えた中空状の部材とされており、表面41bには内部空間44と連通する振動開口部45が設けられており、一端41aには内部空間44と連通する流入口43が設けられ、この流入口43が脈動伝達用チューブ31の他端31bに接続されている。このような構成により、内部空間44は脈動伝達用チューブ31と連通され、流体Bで満たされた状態とされている。
ヘッド本体41を構成する材料としては、特に限定されず、上述した本体部2並びにネック部3と同じ樹脂材料を用いることも可能であり、適宜決定して採用することができるが、例えば、流体Bとしてシリコンオイルを用いた場合には、耐油性に優れる樹脂材料を用いることが好ましい。
振動機構8は、ヘッド本体41の振動開口部45を覆うように配される植毛プレート81と、この植毛プレート81の内面81b側及び周囲部81cを覆うように設けられ、ヘッド本体41に対して植毛面81aの表裏方向(図1に示す矢印F方向)に振動可能に弾性支持するとともに、振動開口部45の周縁部をシールするダンパ部(弾性部材)82とからなる。
振動機構8は、ポンプ部5で流体Bに付与され、脈動伝達用チューブ31内の流体Bを介して伝達される脈動により、ヘッド本体41の内部空間44内に満たされた流体Bが植毛プレート81の内面81bを脈動させることで、植毛プレート81が、図1に示す矢印F方向に振動する構成とされている。
植毛プレート81を構成する材料としては、特に限定されないが、ヘッド本体41と同じ材料を用いることができ、また、流体Bとしてシリコンオイルを用いた場合には、耐油性に優れる樹脂材料を用いることが好ましい。
植毛プレート81の厚さとしては、ヘッド部4のサイズや振幅の大きさ等を勘案し、適宜決定すれば良いが、1〜5mm程度とすることが好ましく、2〜4mmの範囲とすることがより好ましい。
ダンパ部82を構成する弾性材料としては、特に限定されないが、例えば、シリコン樹脂やエラストマー樹脂等を用いることができ、また、流体Bとしてシリコンオイルを用いた場合には、耐油性に優れる弾性材料を用いることが好ましい。
また、図1に示す例のように、ダンパ部82を、植毛プレート81の内面81b側を覆うように構成することにより、ヘッド部4の内部空間44内に満たされている流体Bを外部に漏らすことなく、より確実にシールすることが可能となる。
刷毛部42は、植毛プレート81の植毛面81aに植毛され、口腔内の歯等を清掃するためのブラシであり、詳細な図示を省略するが、刷毛(フィラメント)が束ねられてなる毛束が複数設けられてなる。
刷毛部42の材質としては、公知の歯ブラシの刷毛を用いれば良く、例えば、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン12等のポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、及び、ポリフッ化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル等、溶融紡糸できる素材を使用することができる。また、これらの素材を単独又は混合して使用することができる他、導電性刷毛を用いる等、刷毛部42の材質については適宜決定して採用すれば良い。
本実施形態の電動歯ブラシ1は、上述のように、ポンプ部5において、脈動発生機構7によって流体Bに付与された脈動が、脈動伝達用チューブ31に流通された流体Bを介してヘッド部4の内部空間44内に満たされた流体Bに伝達され、内部空間44において、流体Bが植毛プレート81に脈動を付与することにより、刷毛部42が、該刷毛部42の植毛方向、つまり、図1に示す矢印F方向に振動するように構成されている。
本実施形態の電動歯ブラシ1を用いて、使用者が口腔内の歯等の洗浄を行なう際は、本体部2を手で持ちながら、ヘッド部4を口腔内に挿入して刷毛部42を歯に当接させ、この刷毛部42の振動によって歯が洗浄されるように適宜操作を行う。
なお、刷毛部42の振動周波数、つまり、振動機構8で発生する振動周波数は、可聴領域である20000Hz以下とされていることが好ましく、1000Hz(60000rpm/min)以下とされていることがより好ましい。刷毛部42の振動周波数が20000Hz以下であれば、可聴領域で振動させることで適度な作動音を生じさせることが可能となり、使用者が聴覚的に洗浄効果感を得ることが可能となる。
刷毛部42の振動周波数が20000Hzを超えると、使用者が聴覚的な洗浄効果感を得ることができず、また、振動周波数が高すぎることから、使用者が口腔内に不快を感じる虞がある。また、刷毛部42の振動周波数が20Hz未満だと可聴領域を下回ることから、振動周波数は、20Hz以上とすることが好ましい。
また、刷毛部42の振幅は、刷毛先端において0.1〜10mm程度とすることが好ましく、0.5〜3mmの範囲とすることがより好ましい。刷毛部42の振幅が上記範囲内であれば、口腔内における優れた洗浄効果と使用性の両方を実現することが可能となる。
刷毛部42の振幅が0.1mm未満だと、口腔内における充分な洗浄効果が得られ難くなる。また、刷毛部42の振幅が10mmを超えると、使用性が低下する虞がある。
また、このような、刷毛部42の振動周波数や振幅は、上述したように、制御部9からポンプ部5の脈動発生機構7に印加されるパルス電流を適正に制御することによってコントロールすることが可能である。
また、本実施形態の電動歯ブラシ1では、流体Bとして各種作動油等の流体を用いることが可能であるが、中でも、化学的安定性や安全性に優れるシリコンオイルを用いることが好ましい。これにより、電動歯ブラシを安全性の高いものとすることができ、また、不快な振動や騒音を発生することなく、脈動を効率良く伝達して刷毛部を振動させることが可能となる。
以上説明したように、本実施形態の電動歯ブラシ1によれば、ポンプ部5で液体Bを脈動させることにより、ヘッド部4に備えられた刷毛部42を振動させるので、不快な振動や騒音を抑制することができる。また、本体部2は、主として、流体を脈動させて刷毛部42を振動させるに足るだけの小型のポンプ部5と、該ポンプ部5を駆動する小型の電源部6が内蔵される構成なので、小型軽量とすることができ、把持部としての使用性を向上させることが可能となる。また、ネック部3が、脈動伝達用チューブ31が備えられるシンプルな構成なので、ネック部3を、カーブ形状等、口腔内における操作性に優れる形状とすることも可能であり、洗浄効果を向上させることが可能となる。また、シンプルな構造とされていることから、低コストであり、且つ、故障の少ない電動歯ブラシ1が得られる。
また、本実施形態の電動歯ブラシ1によれば、ポンプ部5に備えられる脈動発生機構7の可動子71及び固定子72が磁石からなり、磁気反発力を用いて脈動を発生させる非接触駆動の機構とされているので、ポンプ部5から騒音が生じるのを防止することができ、また、耐久性に優れるものとなる。また、流体Bの脈動を任意の周波数で付与することができるので、使用者が洗浄効果を実感することが可能な周波数で刷毛部42を振動させることができる。また、磁石を用いた簡便な構成の脈動発生機構7とされているので、製造が容易で低コストとされたポンプ部5が実現できる。
また、本実施形態の電動歯ブラシ1によれば、簡便な構成で、流体Bの脈動を伝達して刷毛部42を振動させるので、ヘッド部4を小型化することができ、口腔内における操作性を向上させることが可能となる。また、刷毛部42に対し、流体を介して振動を直接伝達する構成なので、高いエネルギー伝達効率が得られ、洗浄効果を向上させることが可能となる。
なお、本実施形態の電動歯ブラシ1では、刷毛部を振動させるための振動機構として、図1に示すような、植毛プレート81が植毛面81aの表裏方向(図1に示す矢印F方向)に振動する振動機構8を例に説明したが、本発明ではこのような構成には限定されない。例えば、図2に示す例の電動歯ブラシ10のように、植毛プレート85が、電動歯ブラシ10の長手方向にスライドして振動する振動機構18が用いられた構成としても良い。
図2に示す電動歯ブラシ10は、一端85a側にOリング86aが2箇所に嵌め込まれたピストン部86が備えられる植毛プレート85と、ヘッド部14のケース本体15内に図示略の接続手段で設けられたスライドピン88とからなる振動機構18が備えられている。そして、植毛プレート85に形成されたスライド溝87にスライドピン88が挿入され、ピストン部86が、ネック部13内部に備えられた脈動伝達用チューブ35内に挿入されている。
上記構成により電動歯ブラシ10は、図2に示す矢印S方向、つまり、電動歯ブラシの長手方向にスライドするように植毛プレート85が振動し、該植毛プレート85に植毛された刷毛部89を電動歯ブラシ長手方向に振動させることができる。この際、流体Bは、ピストン部86に嵌め込まれた2箇所のOリング86aによってシールされる。
また、刷毛部(植毛プレート)を振動させる方向としては、図2に示す振動機構18のような電動歯ブラシ長手方向には限定されない。例えば、脈動伝達チューブやピストン部を適宜配設することにより、刷毛部を、該刷毛部の植毛方向以外の所望の方向に振動するように構成することが可能となる。
また、図1に示す電動歯ブラシ1の振動機構8では、ヘッド部4に備えられるヘッド本体41に対して植毛プレート81を振動可能に弾性支持するダンパ部82が、植毛プレート81の内面81a側を覆うように構成されているが、本発明ではこのような構成には限定されない。例えば、図3に示す例のように、植毛プレート25をヘッド本体27に対して振動可能に弾性支持するダンパ部26が、植毛プレート25の周囲部25aのみに接続された構成とすることも可能である。
以下に、本発明の電動歯ブラシを実証するための実施例について説明するが、本発明は本実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1として、図1に示すような本発明に係る電動歯ブラシを作製した。
実施例1の電動歯ブラシは、植毛プレート81の周囲部81c及び内面81b側に、エチレン系エラストマー樹脂(硬度30A)からなるダンパ部82を設けてヘッド部4の振動開口部45を覆うように弾性支持することにより、ヘッド部4の内部空間44を密閉構造とし、さらに、植毛プレート81の植毛面81aに刷毛部42を設けた例である。
ここで、植毛プレート81は、植毛面81aへの刷毛部42の植毛を、アンカーレスによる熱融着法を用いて行なうことにより、厚さを2mmと極力薄肉の構成とした。
また、ポンプ部5としては、図1に示すように、内部空間52内の流体Bに脈動を付与するための弾性膜54を備え、この弾性膜54に永久磁石からなる可動子71を取り付けるとともに、この可動子71と相対する位置に電磁石からなる固定子72を配した構成とした。
また、電源部6として、3Vの単3の乾電池を用い、電源部6を制御部9に接続した。
また、制御部9においては、電源部6から供給される直流電流をパルス電流に変換できる構成とし、この出力側をポンプ部5に備えられた固定子72に接続した。ここで、最終的に、上述の植毛プレート81並びに刷毛部42が、振幅:0.5mm、振動周波数:200Hzで振動するようなパルス電流が出力されるように、制御部9を設定した。
また、ポンプ部5で付与された脈動を振動機構8及び刷毛部42に伝達するための流体Bとして、シリコンオイルを用いた。
上記仕様で作製した実施例1の電動歯ブラシは、細長でストレート形状のネック部3を有している。また、ポンプ部5で流体Bに付与される脈動が伝達され、植毛プレート81全体が、図1に示す矢印F方向で振動することにより、刷毛部42が植毛方向で振動する構成とされている。
実施例1の電動歯ブラシ1は、ヘッド部4の厚さ(図1において上下方向)が4.5mmであり、通常の歯ブラシと同等の厚さ寸法に抑えられている。
[実施例2]
実施例2として、図2に示すような本発明に係る電動歯ブラシを作製した。
実施例2の電動歯ブラシでは、長手方向にスライドして振動する振動機構18を用いており、この振動機構18は、一端85a側にOリング86aが2箇所に嵌め込まれたピストン部86が備えられる植毛プレート85と、ヘッド部14のケース本体15内に図示略の接続手段で設けられたスライドピン88とからなる。そして、ピストン部86を、ネック部13内の脈動伝達用チューブ35内に挿入するように構成した。
また、実施例2では、本体部並びに該本体部内に備えられるポンプ部、電源部、制御部として、実施例1の電動歯ブラシ1と同様のものを採用し、ポンプ部に備えられる脈動発生機構によって脈動が付与されたシリコンオイルからなる流体Bが、脈動伝達用チューブ35内に挿入されたピストン部86に備えられる2箇所のOリング86aによってシールされる構成とした。これにより、振動機構18は、図2に示す矢印S方向、つまり、電動歯ブラシの長手方向にスライドするように植毛プレート85が振動し、刷毛部89を電動歯ブラシ長手方向に振動させる。
ここで、植毛プレート85としては、上記実施例1と同様、植毛面85aへの刷毛部42の植毛を、アンカーレスによる熱融着法を用いて行なうことにより、厚さを3.5mmと極力薄肉の構成とした。
また、最終的に、植毛プレート85並びに刷毛部42が、振幅:1.0mm、振動周波数:150Hzで振動するようなパルス電流が出力されるように制御部を設定した。
上記仕様で作製した実施例2の電動歯ブラシは、実施例1と同様、細長でストレート形状のネック部を有しており、ポンプ部で流体Bに付与される脈動が伝達され、植毛プレート85全体が、図2に示す矢印S方向でスライド振動することにより、刷毛部42がスライド振動する構成とされている。
実施例2の電動歯ブラシは、ヘッド部14の厚さ(図2において上下方向)が4.5mmであり、通常の歯ブラシと同等の厚さ寸法に抑えられている。
[比較例1]
比較例1として、図4に示すような回転タイプの電動歯ブラシ100を準備した(市販品)。
比較例1の電動歯ブラシ100は、本体部101、ネック部102及びヘッド部103からなり、本体部101に、単4乾電池からなる電源部104と、ピニオンギア106が回転軸に備えられたモータ105と、ピニオンギア6によって回転するクランクギア107とが備えられている。また、ネック部102内部には、上記クランクギア107に接続されて動作するクランクシャフト108が設けられており、ヘッド部103に備えられる円形状の刷毛部110を回転駆動できる構成とされている。
[比較例2]
比較例2として、図5に示すような振動モータタイプの電動歯ブラシ200を準備した(市販品)。
比較例2の電動歯ブラシ200は、本体部201、ネック部202及びヘッド部203からなり、本体部201に、単4乾電池からなる電源部204と、モータ205と、このモータ205の回転軸に取り付けられる偏心錘206とが備えられている。比較例2の電動歯ブラシ200は、モータ205を駆動して偏心錘206を偏心状態で回転させることによって振動を発生させ、この振動を、ネック部202を介してヘッド部203に備えられる刷毛部210に伝達できる構成とされている。
[比較例3]
比較例3として、図6に示すようなリニアモータタイプの電動歯ブラシ300を準備した(市販品)。
比較例1の電動歯ブラシ300は、本体部301、ネック部302及びヘッド部303からなり、本体部301に、ニッケル水素充電池からなる電源部304と、リニアモータ305と、このリニアモータ305によって駆動され、往復直線運動や回転運動を行なう駆動軸306とが備えられている。そして、ネック部302が駆動軸306に取り付けられ、駆動軸306の往復直線運動や回転運動が、ネック部302を介してヘッド部303に備えられる刷毛部310に伝達されるように構成されている。
[比較例4]
比較例4として、図7に示すような超音波振動タイプの電動歯ブラシ400を準備した(市販品)。
比較例1の電動歯ブラシ400は、本体部401、ネック部402及びヘッド部403からなり、本体部401に、ニッケル水素充電池からなる電源部404と、制御回路405とが備えられ、ヘッド部403の内部に、制御回路405からの供給電流によって振動する超音波振動子406が備えられている。そして、ヘッド部403に備えられた刷毛部410が、超音波振動子406によって、1.5kHzの周波数で振動するように構成されている。
[評価方法]
上記各実施例及び比較例の電動歯ブラシを用いて、「清掃実感」、「振動/騒音」、「口腔内における操作性」、「持ち易さ」の各々について、以下に説明するような方法で官能評価試験を行った。
ここで、電動歯ブラシの使用方法としては、各例の電動歯ブラシの刷毛部先端(毛束先端)に、歯磨きペースト(ライオン株式会社製:クリニカハミガキ:登録商標)を約1gの量で載せ、口腔内の歯に対し、約3分間、ブラシ(刷毛部)を振動させながら均一に当接させ、泡立てながら洗浄する方法とした。
なお、パネル(被験者)として、口腔内ケア用品に関する専門パネル(n=20名、このうち、男性10名、女性10名)を用い、同条件で評価を行なった。
(清掃実感)
上記電動歯ブラシの各サンプル(実施例1〜2、比較例1〜4)を用いて、各パネラー(n=30名)が口腔内の歯の洗浄を行い、口腔内の清掃感が良好と感じたパネラーの人数に応じて、以下に示すような3段階の基準で評価した。
(1)○:良好と答えたパネラーが15名以上(非常に良い)
(2)△:良好と答えたパネラーが10〜15名(どちらとも言えない)
(3)×:良好と答えたパネラーが10名未満(効果なし)
(振動/騒音)
上記電動歯ブラシの各サンプルを用いて各パネラー(n=30名)が口腔内の歯の洗浄を行った際に、電動歯ブラシにおいて発生する振動又は騒音を不快と感じたパネラーの人数に応じて、以下に示すような3段階の基準で評価した。
(1)○:不快と答えたパネラーが5名未満(非常に良い)
(2)△:不快と答えたパネラーが5〜10名(どちらとも言えない)
(3)×:不快と答えたパネラーが10名超(効果なし)
(口腔内における操作性)
上記電動歯ブラシの各サンプルを用いて各パネラー(n=30名)が口腔内の歯の洗浄を行なった際に、口腔内における操作性が良好と感じたパネラーの人数に応じて、以下に示すような3段階の基準で評価した。
(1)○:良好と答えたパネラーが15名以上(非常に良い)
(2)△:良好と答えたパネラーが10〜15名(どちらとも言えない)
(3)×:良好と答えたパネラーが10名未満(効果なし)
(持ち易さ)
上記電動歯ブラシの各サンプルを用いて各パネラー(n=30名)が口腔内の歯の洗浄を行なった際に、本体部が持ち易いと感じたパネラーの人数に応じて、以下に示すような3段階の基準で評価した。
(1)○:持ち易いと答えたパネラーが15名以上(非常に良い)
(2)△:持ち易いと答えたパネラーが10〜15名(どちらとも言えない)
(3)×:持ち易いと答えたパネラーが10名未満(効果なし)
上記電動歯ブラシの各サンプルにおける、「清掃実感」、「振動/騒音」、「口腔内における操作性」、「持ち易さ」並びにこれらの評価結果による「総合評価」について、結果一覧を下記表1に示す。
Figure 2009072427
[評価結果]
上記表1に示すように、流体Bに脈動を発生させるポンプ部5と、流体Bの脈動に伴って振動する振動機構8と、該振動機構8によって振動する刷毛部42とが備えられ、ポンプ部5によって流体Bが脈動することによって刷毛部42が刷毛方向に振動する構成とされた、実施例1の本発明に係る電動歯ブラシは、「清掃実感」、「振動/騒音」、「口腔内における操作性」、「持ち易さ」の何れも「○」の評価となり、「総合評価」が「○」の評価であった。
また、流体Bに脈動を発生させるポンプ部と、流体Bの脈動に伴って電動歯ブラシの長手方向にスライド振動する振動機構18と、該振動機構18によって振動する刷毛部89とが備えられ、ポンプ部によって流体Bが脈動することによって刷毛部89がスライド振動する構成とされた、実施例2の本発明に係る電動歯ブラシも、実施例1と同様、「清掃実感」、「振動/騒音」、「口腔内における操作性」、「持ち易さ」の何れも「○」の評価となり、「総合評価」が「○」の評価であった。
これに対し、モータ105の回転がピニオンギア6及びクランクギア107によって伝達され、クランクシャフト108がクランク作動することによって円形状の刷毛部110が回転駆動される、従来の回転タイプの構成とされた比較例1の電動歯ブラシは、「清掃実感」の評価が「○」の評価であったものの、「振動/騒音」、「口腔内における操作性」、「持ち易さ」が「×」の評価となり、「総合評価」が「×」となった。
これは、比較例1の電動歯ブラシは、上記クランク機構を備えた構成であり、使用者が不快を感じるような騒音や振動が発生しやすいため、「振動/騒音」が「×」の評価になったものと考えられる。また、上記構成により、通常の歯ブラシに比べてヘッド部の厚みが大きくなり、狭い口腔内空間における操作がし難くなるため、「口腔内における操作性」が「×」の評価になったものと考えられる。また、上記クランク機構を用いた構成では駆動ロスが大きくエネルギー効率が低いため、必然的にモータや電源が大型化し、本体部のサイズが大きくて重いものとなることから、「持ち易さ」が「×」の評価になったものと考えられる。
また、モータ205を駆動して偏心錘206を偏心状態で回転させ、これによって発生する振動を、ネック部202を介してヘッド部203に備えられる刷毛部210に伝達する、従来の振動モータタイプの構成とされた比較例2の電動歯ブラシは、「清掃実感」、「口腔内における操作性」及び「持ち易さ」の評価が「○」の評価であったものの、「振動/騒音」、が「×」の評価となり、「総合評価」が「△」となった。
これは、比較例2の電動歯ブラシは、上記振動モータを備えた構成であり、電動歯ブラシ本体部全体で振動が発生するので、使用者の手や唇に不快な振動が伝わるため、「振動/騒音」が「×」の評価になったものと考えられる。
また、リニアモータ305によって駆動される駆動軸306が備えられ、この駆動軸306の往復直線運動や回転運動が、ネック部302を介してヘッド部303の刷毛部310に伝達される、従来のリニアモータタイプの構成とされた比較例3の電動歯ブラシは、「清掃実感」及び「口腔内における操作性」の評価が「○」の評価であったものの、「振動/騒音」が「△」の評価となり、また、「持ち易さ」が「×」の評価となり、「総合評価」が「△」となった。
これは、比較例3の電動歯ブラシは、上記リニアモータを備えた構成であり、電動歯ブラシ本体部全体で振動が発生するので、使用者の手や唇に不快な振動が伝わり、また、ネック部302の往復振動が唇に直接伝わることにより、「振動/騒音」が「△」の評価になったものと考えられる。また、上記構成では、リニアモータ305が備えられた本体部301から突出した駆動軸306にネック部302が取り付けられる構成であり、本体部301が大型化するとともに、ネック部302が往復振動する可動体となるため、使用者が手で把持し難くなることから、「持ち易さ」が「×」の評価になったものと考えられる。
また、ニッケル水素充電池からなる電源部404と、制御回路405とが本体部401に備えられるとともに、ヘッド部403の内部に超音波振動子406が備えられ、ヘッド部403に備えられた刷毛部410が、超音波振動子406によって振動する、従来の超音波振動タイプの構成とされた比較例4の電動歯ブラシは、「振動/騒音」、「口腔内における操作性」の評価が「○」の評価であったものの、「清掃実感」、「持ち易さ」が「×」の評価となり、「総合評価」が「△」となった。
比較例4の電動歯ブラシは、上記超音波振動子406を備えた構成であり、高周波振動による人体への影響を考慮して微弱な範囲の出力に留めておく構成であるため、使用者が電動歯ブラシから僅かな振動を感じとることが難しく、また、超音波振動は可聴領域を超えることから、使用者が洗浄効果を実感しにくいものとなっているため、「清掃実感」が「×」の評価になったものと考えられる。また、上記構成では、ニッケル水素充電池からなる電源部404が備えられているため、本体401が大型化し、使用者が手で把持し難くなることから、「持ち易さ」が「×」の評価になったものと考えられる。
上記結果により、本発明に係る電動歯ブラシが、高い洗浄実感が得られ、騒音や振動が抑制されるとともに、口腔内における操作性に優れていることが明らかである。
本発明に係る電動歯ブラシの一例を模式的に説明する破断図である。 本発明に係る電動歯ブラシの別の例を模式的に説明する要部破断図である。 本発明に係る電動歯ブラシの更に別の例を模式的に説明する要部破断図である。 比較例1の電動歯ブラシを説明する模式図であり、回転タイプの電動歯ブラシを示す破断図である。 比較例2の電動歯ブラシを説明する模式図であり、振動モータタイプの電動歯ブラシを示す破断図である。 比較例3の電動歯ブラシを説明する模式図であり、リニアモータタイプの電動歯ブラシを示す破断図である。 比較例4の電動歯ブラシを説明する模式図であり、超音波振動タイプの電動歯ブラシを示す破断図である。
符号の説明
1、10…電動歯ブラシ、2…本体部、2a…一端(本体部)、3…ネック部、3a…先端(ネック部)、31…脈動伝達用チューブ、31a…一端(脈動伝達用チューブ)、31b…他端(脈動伝達用チューブ)、4、14、24…ヘッド部、42、89、29…刷毛部、5…ポンプ部、5b…後端部、54…弾性膜、6…電源部、7…脈動発生機構、71…可動子、72…固定子、8、18…振動機構、81、85、25…植毛プレート、82、26…ダンパ部(弾性部材)、9…制御部、B…流体

Claims (7)

  1. 流体に脈動を発生させるポンプ部、並びに該ポンプ部に電流を供給する電源部が内部に備えられた本体部と、
    該本体部から延設され、前記ポンプ部に一端が接続されるとともに流体が流通される脈動伝達用チューブが内部に備えられたネック部と、
    該ネック部の先端に取り付けられ、前記脈動伝達用チューブの他端が接続されるとともに前記流体の脈動に伴って振動する振動機構、並びに該振動機構によって振動する刷毛部が備えられたヘッド部と、を具備してなり、
    前記ポンプ部によって前記流体が脈動することで前記刷毛部が振動するように構成されてなることを特徴とする電動歯ブラシ。
  2. 前記ポンプ部には、該ポンプ部の後端部に設けられる弾性膜に結合され、永久磁石からなる可動子と、該可動子と相対するように配され、電磁石からなる固定子とからなる脈動発生機構が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の電動歯ブラシ。
  3. 前記刷毛部は、前記振動機構に備えられる植毛プレートに植毛され、該植毛プレートは、前記ヘッド部に対して弾性部材を介して取り付けられており、前記刷毛部が該刷毛部の植毛方向に振動するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動歯ブラシ。
  4. 前記刷毛部は、前記振動機構に備えられる植毛プレートに植毛され、該植毛プレートは、前記ヘッド部に対して前記刷毛部の植毛方向と直交する方向でスライド自在に取り付けられており、前記刷毛部が該刷毛部の植毛方向以外の方向に振動するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動歯ブラシ。
  5. 前記流体がシリコンオイルであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電動歯ブラシ。
  6. 前記刷毛部の振動周波数が、可聴領域である20000Hz以下とされていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の電動歯ブラシ。
  7. 前記刷毛部の振幅、及び/又は、振動周波数をコントロールする制御部が備えられてなることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の電動歯ブラシ。
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