JP2009066169A - 歯科用ハンドピース - Google Patents
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Abstract
【解決手段】二本一対のノズル37を凹部21の内周面21aに沿うように設け、先端部の吹出孔37aから、空間においてノズル37が設けられた側から反対側に向けて空間の内周面に沿うように空気を吹き出し、空間内において凹部21に収容された粉末を舞い上げ、空間内の空気との混合状態を良好なものとする。さらに、凹部21内に収容された粉末の量が多い状態の場合、ノズル37の側面に形成した吹出孔から吹き出す空気により、凹部21内に堆積した粉末の表面近傍の粉末を舞い上げる。凹部21内の粉末の残量が少なくなった状態では、ノズル37の側面に形成した吹出孔から吹き出した空気により、凹部21内の底部21cから粉末を舞い上げる。
【選択図】図3
Description
このような歯科用ハンドピースとしては、例えば、粉末を収納するための容器と、この容器内に空気を供給するための空気供給路と、粉末と空気の混合物を噴出ノズルまで移送するための混合物移送路と、混合物とともに歯牙の表面に吹き付けるための水を噴出ノズルまで移送するための水移送路とを備え、さらに、空気供給路と混合物移送路にそれぞれ連通する管を一本ずつ容器内に突設し、各突出管の先端に孔を穿設してそれぞれを空気吹出孔と混合物吸込孔となしたものがある。
この種の歯科用ハンドピースにおいては、粉末が適切な濃度で空気と混合されることが求められるため、空気吹出孔と混合物吸込孔が容器のほぼ中央領域に位置するようにそれぞれの突出管を配置したものも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、歯科医が治療を行う際にハンドピースは様々な姿勢で把持されるため、容器内における粉末と空気の混合物の濃度は必ずしも適切にならないこともある。また空気吹出孔が粉末に埋もれるような姿勢でハンドピースを保持して、容器内への空気供給を停止すると、空気吹出孔から空気供給路に粉末が逆流し、空気供給路が閉塞したり、空気の供給量が低下するといった問題を生じる。
この提案による技術は、内部に粉末を収納するための容器は内部で全方向に空気が旋回可能なように内側を曲面で形成し、容器内に空気を供給して粉末と空気を混合するための空気供給路を容器内にて複数の分岐管に分け、この分岐管を容器の中央領域で容器内側の曲面近傍まで延ばし、この曲面に沿って空気が流れるように指向した複数の孔を分岐管の先端に設けたものである。
すなわち、従来の製品においては、容器内に、予め定められた上限レベルまでの粉末を収容した状態で、粉末と空気と水とを噴出すると、噴出を開始してから初期の段階においては粉末の噴出流量が多く、容器内の粉末が減ってくると粉末の噴出流量が減少することを把握した。このような流量変化の傾向によって、歯牙の表面の清掃をし始めて初期の段階においては清掃による効果が視認しやすいというメリットがあるが、容器内に充填した粉末を短時間で使い切ってしまうという問題がある。
また、粉末と空気と水とを噴出して歯牙の表面を清掃するときの切削効率は、常に向上させることが求められている。切削効率を高めるには、単純には粉末の流量を増やせば良いが、これでは、容器内の粉末を短時間で使い切ってしまうという傾向はさらに顕著なものとなってしまう。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、切削効率を高めながらも、粉末の噴出流量の安定化を図り、容器内に充填した粉末の持ちを向上させることのできる歯科用ハンドピースを提供することを目的とする。
また、吹出手段は、空間に収容された粉末の量が多い状態における空間内の粉末の上面レベル近傍に向けて空気を吹き出す第二の吹出孔を形成することもできる。これにより、収容された粉末の量が多い状態の場合、第二の吹出孔から吹き出す空気により、空間内に堆積した粉末の表面近傍の粉末を舞い上げることができる。
さらに、吹出手段は、空間の底部に向けて空気を吹き出す第三の吹出孔が形成されたものとすることもできる。これにより、空間に収容された粉末の量が少ないときに空間の底部から粉末を舞い上げることができる。
また、収容された粉末の量が多い状態の場合、ノズルの外周面に形成された第二の吹出孔から吹き出す空気により、空間内に堆積した粉末の表面近傍の粉末を舞い上げて、空間内の粉末と空気との混合状態を良好なものとすることができる。
一方、粉末の残量が少なくなった状態では、ノズルの外周面に形成された第三の吹出孔から吹き出した空気により、容器の底部から粉末を舞い上げることができ、この状態においても空間内の粉末と空気との混合状態を良好なものとすることができる。
このようにして、空間における粉末と空気の混合状態を良好なものとしたのに加え、粉末の量が多い状態、量が少ない状態においても粉末と空気との混合を促進させることができるので、切削効率を高めながらも、粉末の噴出流量の安定化を図り、充填した粉末の持ちを向上させることが可能となる。
図1、図2、図3は、本実施の形態における歯面清掃用のハンドピース(歯科用ハンドピース)10の構成を説明するための図であり、図1はハンドピース10の断面図、図2はハンドピース10の部品展開図、図3はハンドピース10の要部を示す斜視図である。
図1〜図3に示すように、ハンドピース10は、ハンドピース本体20と、吹出ノズル部(空気供給路)30と、吸込ノズル部(混合物移送路)40と、を備えている。
カプラ部32には、適宜のカプラ構造により、図示しないコンプレッサからの配管がワンタッチで着脱できるようになっている。コンプレッサからの配管は、二重管構造等によって、コンプレッサから噴出される圧縮空気と、図示しない水タンクから供給される水とを、独立して送給する。カプラ部32には、圧縮空気の流路33と、水の流路(水移送路)34とが形成され、接続された配管(図示)から送り込まれる圧縮空気と水とがそれぞれ流れ込む。流路33、34には、それぞれ逆止弁33a、34aが設けられており、流れ込んだ圧縮空気、水の逆流を防ぐ。
カプラ部32の流路33に流れ込んだ圧縮空気は、吹出ノズル本体31に送り込まれる。一方、流路34に流れ込んだ水は、流路60に流れ込む。
ベース部35の表面は、吹出ノズル本体31を凹部21の内周面21aに取り付けた状態で、内周面21aと連続した面を形成する。
二本一対のパイプ36は、互いに対称な形状とされ、ベース部35から両側に開くように設けられている。このパイプ36は、流路33に連通して圧縮空気をノズル37に送るとともに、ノズル37を所定の位置・方向に維持する機能を有する。これにより、一方のノズル37と他方のノズル37は、空間Sの中心Cと吹出ノズル部30とを結ぶ軸線P1と、後述する吸込パイプ43の軸線P3とを含む面を挟んで対称に設けられている。
ノズル37は、パイプ36によって、ベース部35の近傍において、凹部21の内周面21aに沿うように支持されている。ここで、具体的数値を例に挙げると、それぞれのノズル37は、その中心軸線P2が、軸線P1に対し凹部21の開口部側に仰角θ=10°傾斜して設けられている。このようにして、ノズル37は、ノズル37が近接する凹部21の内周面21aの部位に、ほぼ平行となるように設けられている。
吹出孔37bは、凹部21内に収容された粉末の量が多い状態で凹部21内の粉末の表面近傍に圧縮空気を送り込んで粉末を攪拌するためのものである。吹出孔37cは、凹部21の底部21cに向けて圧縮空気を送り込み、凹部21内の粉末の残量が少なくなった状態で凹部21内の底部21cに圧縮空気を送り込むことで粉末を舞い上げて攪拌するためのものである。このため、図4(d)に示すように、ノズル37を中心軸線に直交する面内で断面視した状態で、吹出孔37bは鉛直下方に対して空間Sの中心C側に例えば60°傾斜し、吹出孔37cは鉛直下方に対して凹部21の内周面21a側に例えば30°傾斜して形成されている。
このノズル37から噴き出される圧縮空気によって、凹部21内の粉末が空間S内で舞い上がって攪拌され、粉末と空気とが混合した状態とされる。
吸込ノズル本体41の中心軸線上には、吸込パイプ43が設けられている。吸込パイプ43は、凹部21の内周面21aから空間Sの中心Cに向けて突出し、その先端部にはノズル44が設けられている。ノズル44は、空間S内の粉末と空気との混合物を吸い込むためのものであり、例えばその先端面と外周面上方側に、吸込孔44a、44bが形成されている。ノズル44において吸込孔44a、44bから吸い込まれた空間S内の空気・粉末の混合物は、吸込パイプ43を通り、ハンドピース本体20の先端部に取り付けられる噴出ノズル70へと送られる。
この後、図示しないフットスイッチ等を操作することで、コンプレッサから圧縮空気が送り出され、水タンクから水が送り出される。このときの圧縮空気、水の流量は、レギュレータ等によって一定の圧力範囲内とされるとともに、フットスイッチ等の操作により、その噴出量を調整できるようになっている。
このとき、ノズル37の先端部に形成された吹出孔37aから空間Sに吹き出した圧縮空気により、空間Sには、空間Sの内周面に沿う空気の流れ(図3中、矢印A)が生じ、これによって空間S内において、凹部21に収容された粉末が舞い上げられ、空間S内の空気と混合状態となる。
さらに、凹部21内に収容された粉末の量が多く、吹出孔37bが粉末の中に完全に埋没している場合、吹出孔37bからの空気により、粉体の状態が変化し、粉体が浮遊し飛散し始める。また、堆積した粉末の上面レベルが吹出孔37bよりも下方であれば、空気は凹部21内に堆積した粉末の表面近傍に向けて吹き出し、この空気の流れ(図3中、矢印B)によって粉末が舞い上げられ、空間S内の粉末と空気との混合状態を良好なものとすることができる。
一方、凹部21内の粉末の残量が少なくなった状態では、吹出孔37cから吹き出した圧縮空気の流れ(図3中、矢印C)により、凹部21内の底部21cから粉末を舞い上げることができ、この状態においても空間S内の粉末と空気との混合状態を良好なものとすることができる。また、これにより凹部21の底部21cに粉末が残るのを抑制することもできる。
このため、本実施の形態においては、キャップ50は、樹脂製のキャップ本体51と、このキャップ本体51をハンドピース本体20に装着するためのネジ溝を有したキャップ抑え52とから構成される。そして、キャップ本体51の外周部をキャップ抑え52で抑えた状態で、ハンドピース本体20に装着する。ここで、キャップ本体51の外周部には、段部51aが形成され、これによってキャップ本体51の肉厚が、段部51aの部分において他の部分よりも小さくなっている。この段部51aは、キャップ抑え52でキャップ本体51を固定するためにも用いられる。
このように、キャップ本体51の肉厚を、段部51aの部分において他の部分よりも小さくしておくことで、ハンドピース10内の圧縮空気の圧力が過度に高くなった場合には、キャップ本体51が段部51aの部分において割れ、圧力を逃がすことができる。
このようにして、空間Sにおける粉末と空気の混合状態を良好なものとしたのに加え、粉末の量が多い状態、量が少ない状態においても粉末と空気との混合を促進させることができるので、切削効率を高めながらも、粉末の噴出流量の安定化を図り、充填した粉末の持ちを向上させることが可能となる。
(実施例1)
上記したようなハンドピース10において、空間Sの直径を36mm、ノズル37の吹出孔37a、37b、37cは、それぞれφ0.5mmとし、吹出孔37bは鉛直下方に対して空間Sの中心C側に例えば60°傾斜し、吹出孔37cは鉛直下方に対して凹部21の内周面21a側に例えば30°傾斜して形成した。そして、凹部21に粉末として炭酸カルシウムを15g収容し、圧力0.3MPaの圧縮空気を送り込んだ。
そして、1分間経過するごとの粉末の残量から、経過時間と累積切削面積との関係を求めた。
また、比較のため、図5に示すように、ノズル37の先端部に形成した吹出孔37aをφ0.4mmとし、外周面にφ0.4mmの3つの吹出孔37b、37c、37dを60°ずつの角度で形成した。このノズル37を用い、上記と同様にして経過時間と累積切削面積との関係を求めた。
(実施例3)
ノズル37の先端部には吹出孔を形成せず、外周面にのみ、φ0.5mmの吹出孔を2箇所形成した。外周面に形成した吹出孔の一つは、斜めに空気を吹き出し、ノズル37が設けられた側から反対側に向けて凹部21の内周面21aに沿って空気が流れるようにした。このノズル37を用い、上記と同様にして経過時間と累積切削面積との関係を求めた。
(比較例1)
本出願人による従来製品(特許文献1の技術を適用したもの)を用い、上記と同様にして経過時間と累積切削面積との関係を求めた。なお、空間Sの直径は40.5mm、一対のノズルは空間Sの直径方向に配置し、それぞれ空間Sの壁面に向けて圧縮空気を吹き出させた。空間Sには粉末として炭酸カルシウムを15g収容し、圧縮空気の圧力は0.3MPaとした。
この結果、従来製品の比較例1は6分間で粉末が出なくなったのに対し、実施例1〜3においては、11分以上にわたって粉末が出続けた。これにより、本発明のように、ノズル37を空間Sの内壁面に沿って配置し、ノズル37が設けられた側から反対側に向けて凹部21の内周面21aに沿って空気が流れるようにすることで、粉末の吹出流量が安定し、粉末の持ちが良くなることが確認された。
さらに、上記実施例1で用いたノズル37を、図7に示すように配置した場合についても実施例1と同様にして経過時間と累積切削面積との関係を得た。
図7に示したように、上記実施例1で用いたノズル37であっても、空間S内の壁際において、一対のノズル37から吹き出した空気を、空間Sの内周面の一点Xに集中して吹き付けるような構成では、切削効率が向上しないことがわかる。これにより、ノズル37は、ノズル37が設けられた側から反対側に向けて空間Sの内周面を沿うように空気を吹き出し、空間S内においてスワールを効率よく発生させることのできるような配置とするのが好ましいことがわかる。
また、ハンドピース10の各部の構成について説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
Claims (6)
- 空気と粉末の混合物を水とともに噴出ノズルから歯牙に吹き付けることにより歯科治療を行う歯科用ハンドピースであって、
内部に前記粉末を収容するほぼ球形の空間を有した容器と、
前記粉末と混合するための前記空気を前記空間に供給する空気供給路と、
前記粉末と前記空気の混合物を前記空間のほぼ中央部から吸い込んで前記噴出ノズルまで移送するための混合物移送路と、
前記混合物とともに歯牙に吹き付けるための水を前記噴出ノズルまで移送するための水移送路と、を備え、
前記空気供給路は、前記空気を前記空間に吹き出す吹出手段を前記容器内において前記容器の壁面近傍に備えるとともに、前記吹出手段は、前記容器において前記吹出手段が設けられた側からその反対側に向けて前記容器の壁面に沿うように前記空気を吹き出す二個一対の吹出孔を有していることを特徴とする歯科用ハンドピース。 - 前記吹出孔は、前記吹出手段から見て前記空間の幅が最大となる部分に向けて前記空気を吹き出すように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の歯科用ハンドピース。
- 前記吹出手段は、前記空間に収容された前記粉末の量が多い状態における前記空間内の前記粉末の上面レベル近傍に向けて前記空気を吹き出す第二の吹出孔が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の歯科用ハンドピース。
- 前記吹出手段は、前記空間の底部に向けて前記空気を吹き出す第三の吹出孔が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の歯科用ハンドピース。
- 前記吹出手段は、前記容器に対する取り付け角度を位置決めするための位置決め手段を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の歯科用ハンドピース。
- 前記水移送路は、パイプを前記容器の内部に埋め込む、または前記容器の外面に沿って設けることで形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の歯科用ハンドピース。
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