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JP2009061429A - 多価のアニオン性シクロデキストリン化合物を用いてなる疎水性物質の分離方法、及び疎水性物質の選択的吸着剤 - Google Patents

多価のアニオン性シクロデキストリン化合物を用いてなる疎水性物質の分離方法、及び疎水性物質の選択的吸着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】複数のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物を不溶性材料に効率良く結合させて、フェノール類等の疎水性物質を選択的に分離する方法、並びに、前記方法によりシクロデキストリンの包接作用を充分に発揮して、汚水等の溶液中からの汚染物質の除去や有用物質の水溶液からの有用物質の単離に有効な物質分離方法、並びに前記方法に用いられる疎水性物質の選択的吸着剤を提供する。
【解決手段】分子内に複数のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物と、複数のカチオン性基を有する不溶性高分子成形体とを、前記複数のアニオン性基と前記カチオン性基とのイオン結合を介して結合する工程を含むことを特徴とする前記シクロデキストリン化合物の包接作用により溶液中の疎水性物質を分離する方法。
【選択図】なし

Description

本発明はシクロデキストリンの包接作用を利用してなる疎水性物質の分離方法に関し、詳しくは、複数のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物と複数のカチオン性基を有する不溶性高分子成形体とを組み合わせてなる、煩雑な操作を要しない疎水性物質の分離方法、水中の汚染物質の除去や有用物質の単離に用いられる疎水性物質の選択的吸着剤に関する。
シクロデキストリンは、グルコースがα1,4−結合により環状に連なった環状オリゴ糖である。その構成グルコース単位の数が6、7、8個のものは、それぞれα−、β−、γ−シクロデキストリンと呼ばれ、工業的な製造や利用が行われている。
シクロデキストリン分子は、中央部に疎水性の空洞を有し、この空洞の大きさに合致する疎水性物質を空洞内に捕捉する「包接」と呼ばれる会合現象を起こす特徴を有している。
このシクロデキストリンの性質が、食品、薬品、化粧品などの分野において様々な工業的利用の対象とされている。
また、シクロデキストリンの包接現象は、排水や河川水の中の汚染物質の除去や有用物質の分離精製、光学活性物質の光学分割などへの応用も期待できる。しかしながら、シクロデキストリン自体は水溶性であるため、水中で吸着剤として利用するような用途に応用するためには、水に対し不溶性となるように何らかの手段で変換することが検討されてきた。
従来のシクロデキストリンを不溶性に変換する技術としては、例えば、エポキシ化合物であるエピハロヒドリン類などによりシクロデキストリンの水酸基を架橋して不溶性のエポキシ架橋型シクロデキストリンポリマーを得る方法が知られている。エピハロヒドリン類としては、エピクロロヒドリンが最もよく用いられてきた(例えば、非特許文献1及びその引用文献参照。)。
非特許文献1やその引用文献に述べられている通り、上記方法により得られるエポキシ架橋型シクロデキストリンポリマーは、環境ホルモン物質としての作用が指摘されているフタル酸エステル類やアルキルフェノール類、あるいは自然環境中で生物によってアルキルフェノール類に変換されるアルキルフェノールエトキシレート類等の非イオン性界面活性剤などを吸着する性質を持つので、水からこれらの物質を除去することができる。
しかしながら、非特許文献1の総説でも指摘されているように、上記方法により得られるエポキシ架橋型シクロデキストリンポリマーは、架橋部分への疎水性物質の吸着が起こるために、シクロデキストリンの吸着選択性を損ねてしまう一面がある。
また、一般に、不溶性材料を水中で利用する場合、該材料の形状が粒子状であると取り扱いやすいが、上記方法では、前記シクロデキストリンポリマーは塊として得られるので、これを粒子状にするためには、架橋処理の工程を、流動パラフィンのような溶媒中でシクロデキストリン水溶液を分散させて反応を起こさせるような特殊な条件で行うことが必要であるという問題があった。しかし、エピハロヒドリンでシクロデキストリンを架橋する場合に関しては、反応時に水溶性シリカ化合物を添加することにより、上述のような流動パラフィンなど洗浄困難な溶媒を使用することなく、容易に粒状物を得ることが出来ることが報告されており、一応の解決を見ている。
一方、シクロデキストリンを不溶性に変換するその他の技術としては、シクロデキストリンを水不溶性粒子に化学反応によって固定する方法が検討されている。水不溶性粒子としては、ポリスチレン樹脂(例えば、特許文献1参照。)やシリカゲル(例えば、非特許文献2参照。)や架橋キトサンビーズ(例えば、特許文献2及び非特許文献3参照。)が利用できると報告されている。この方法における課題としては、シクロデキストリン固定化反応が不均一系での反応となってしまうため、シクロデキストリンを効率よく大量に粒子へ化学的に固定化することが難しいことが挙げられる。
吸着材料中のシクロデキストリン以外の部位で吸着を起こさないようにするためには、疎水性材料ではなく、高い親水性を有する材料にシクロデキストリンを固定化することが有望であると考えられる。この点で、親水性が高く、しかも固定されるための官能基を備えた材料として、キトサンが適当であると考えられ、非特許文献4にまとめられているように多くの研究が報告されるに至っている。
しかしながら、シクロデキストリンをキトサンに単に化学結合して得られるキトサン複合化合物や、カルボキシメチル化シクロデキストリンと低分子量キトサンを中性水溶液中で反応させて得られるキトサン複合化合物は、いずれも水溶性の性質を示す(非特許文献5及び6参照)ため、特許文献2においては、繊維状に成形したキトサンを架橋して不溶化した後に、シクロデキストリン化合物を結合する方法が述べられている。なお、非特許文献3は、特許文献2の発明者により、架橋キトサンビーズに関し発表された研究論文である。
そこで、本発明者らは、シクロデキストリンを不溶性に変換するために、成形されたキトサンを予め架橋することなく、1分子に複数のカルボキシル基を有するシクロデキストリン化合物を反応せしめることにより、シクロデキストリンの固定化と架橋反応を同時に行う方法を発明した(特許文献4参照。)。
しかしながら、この発明においても、シクロデキストリン化合物とキトサンとの反応が必要であるから操作が煩雑となり、その反応工程に必要な薬品等の費用が必要であり、さらに安価な方法が望まれていた。
一方、非特許文献7には、1分子に1個のアミノ基をシクロデキストリン1級水酸基に選択的に導入したシクロデキストリン化合物と、アニオン性高分子化合物であるCM−セファデックスC−25にイオン結合を形成させることによって、ビスフェノールA水溶液からビスフェノールAを除去する方法が述べられている。この方法は、前述の従来のシクロデキストリン固定化に関する研究や発明に比べて、シクロデキストリン化合物と高分子化合物との間に共有結合を形成させることなく、ビスフェノールAの吸着除去を実現しており、有望な技術となっている。
しかしながら、本発明者らがその技術内容を詳細に検討したところ、その方法にはその製造に煩雑な操作を要するシクロデキストリン化合物や高価なアニオン性高分子化合物が必要であり、実用化に当たってはコスト面でさらなる改善が必要であることや、シクロデキストリン化合物とアニオン性高分子化合物との間のイオン結合の生成を阻害することが予想される塩類を含む水溶液に対しては、有効性が低いことが懸念されるという問題があった。
特開昭54−61291号公報 特開2002−327338号公報 特開2003−64103号公報 特開2005−281372号公報 村井 省二、PETROTECH、第26巻、第3号、191〜194ページ、2003年 T.N.T.Phan,M.Bacquet,and M.Morcellet,Reactive & Functional Polymers,第52巻,117〜125ページ、2002年 M.Nishiki,T.Tojima,N.Nishi,and M.Sakairi,Carbohydrate Letters,第4巻、第1号、61〜67ページ、2000年 M.Prabaharan and J.F.Mano,Chitosan derivatives bearing cyclodextrin cavitiesas novel adsorbent matrices Carbohydrate Polymers,63,2,153−166(2006). Y.Kurauchi,H.Ono,B.Wang,N.Egashira,and K.Ohga,Analytical Sciences,第13巻,47〜52ページ,1997年 Etsuko Furusaki, Yoshiharu Ueno, Nobuo Sakairi, Norio Nishi and Seiichi Tokura,Carbohydrate Polymers,第29巻、第1号、29〜34ページ、1996年 Y.Fukazawa,W.Pluemsab,N.Sakairi and T.Furuike,Chem.Lett.34,12,1652−1653(2005).
本発明の目的は、上記従来技術における問題点に鑑みて、複数のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物(以下、単に「多価のアニオン性シクロデキストリン化合物」ということもある。)を不溶性材料に効率良く結合させて、フェノール類等の疎水性物質を選択的に分離する方法、並びに、前記方法によりシクロデキストリンの包接作用を充分に発揮して、汚水等の溶液中からの汚染物質の除去や有用物質の水溶液からの有用物質の単離に有効な物質分離方法、並びに前記方法に用いられる疎水性物質の選択的吸着剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ね、その過程で、アニオン性シクロデキストリン化合物及びその結合相手であるカチオン性基を有する材料分子の化学構造に着目した。
その結果、シクロデキストリン分子内に複数のカルボキシル基を導入した化合物と、アミノ基等のカチオン性基を複数有する不溶性高分子成形体とを水中で混合すると、前記シクロデキストリン化合物のカルボキシル基と前記高分子成形体のカチオン性基が、高価な反応試薬を用いることなくイオン結合を形成し、得られたイオン結合体を用いると水中の疎水性物質を吸着除去することができることを見出した。また、塩化ナトリウム等の塩類を含む水溶液に対しては、使用されるシクロデキストリン化合物1分子中のカルボキシル基が2個ないし3個以上であると、前記シクロデキストリン化合物と前記カチオン性基を有する高分子成形体との間のイオン結合を強固なものとし、吸着効率に対する塩類の悪影響を低減できることを見出した。さらに、前記吸着された疎水性物質を、エタノールないしはその水溶液による洗浄により再度分離し、疎水性物質だけを取り出すことができること、及び該エタノール水溶液の操作後には、カチオン性高分子成形体にはカルボキシル基を有するシクロデキストリンが結合しており、吸着剤として再使用できることを見出した。これら知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)分子内に複数のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物と、複数のカチオン性基を有する不溶性高分子成形体とを、前記アニオン性基と前記カチオン性基とのイオン結合を介して結合させる工程を含むことを特徴とする前記シクロデキストリン化合物の包接作用により溶液中の疎水性物質を分離する方法、
(2)前記複数のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物と、前記複数のカチオン性基を有する不溶性高分子成形体とを、前記イオン結合を介して結合させた後、疎水性物質の選択的吸着剤として溶液中の前記疎水性物質の分離処理に用いることを特徴とする(1)に記載の疎水性物質の分離方法、
(3)前記複数のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物が、下記一般式1で表される化合物である(1)または(2)に記載の分離方法、
Figure 2009061429
(上記一般式中、nは6〜8の整数を表す。また、R、R、Rは、それぞれ、水酸基、又はアニオン性基を表し、それぞれが同じであっても異なっていても良く、かつ前記アニオン性基が前記シクロデキストリン化合物中少なくとも2個である。)
(4)前記アニオン性基が、カルボキシル基を有する置換基であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の分離方法、
(5)前記複数のカチオン性基を有する不溶性高分子成形体が、キトサン化合物からなる成形体である(1)〜(4)のいずれか1項に記載の分離方法、
(6)前記複数のカチオン性基を有する不溶性高分子成形体が、ポリスチレン化合物を骨格とするイオン交換樹脂からなる成形体である(1)〜(4)のいずれか1項に記載の分離方法、
(7)分離対象物質である前記疎水性物質を吸着させた後に、一般式CH(CHOH(mは0から4までの整数)で表されるアルコールないしは該アルコールの水溶液で洗浄することにより、前記複数のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物をイオン結合を介して保持した前記不溶性高分子成形体を疎水性物質の選択的吸着剤として繰り返し利用可能とする工程を含む(1)〜(6)のいずれか1項に記載の分離方法、
(8)前記複数のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物をイオン結合を介して保持した前記不溶性高分子成形体に、分離対象物質である前記疎水性物質を吸着させた後、エタノールないしはエタノールの水溶液で洗浄することにより、前記分離対象物質を回収する工程を含む(1)〜(6)のいずれか1項に記載の分離方法、
(9)分子内に複数のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物と、複数のカチオン性基を有する不溶性高分子成形体とを、前記アニオン性基と前記カチオン性基とのイオン結合を介して結合してなる疎水性物質の選択的吸着剤、
(10)前記疎水性物質が内分泌攪乱物質又は食品中の疎水性成分である、(9)に記載の選択的吸着剤、及び
(11)分離対象物質である前記疎水性物質を吸着させた後に、一般式CH(CHOH(mは0から4までの整数)で表されるアルコールないしは該アルコールの水溶液で洗浄することにより、繰り返し再使用できる(9)又は(10)に記載の選択的吸着剤
を提供するものである。
本発明の疎水性物質の分離方法は、分子内に複数のカルボキシル基等のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物と、アミノ基等のカチオン性基を複数有する不溶性高分子成形体とを、前記アニオン性基と前記カチオン性基とのイオン結合を介して結合させることにより、共有結合を形成するための反応促進剤などを要する煩雑でコストのかかる吸着材の製造等の工程を何ら必要とせず、水溶性であるシクロデキストリンを不溶性高分子形成体に結合し不溶化し、シクロデキストリンにより包接されうる疎水性物質を溶液から選択的に分離することができる。すなわち、シクロデキストリンの包接作用をそのまま利用した吸着分離技術を実現することができる。
本発明の疎水性物質の選択的吸着剤は、シクロデキストリンの包接作用を発揮して汚染物質を短時間で効率的に選択的に吸着することができるので、排水や河川水からの汚染物質の除去に有用である。また、食品抽出物等の水溶液からの有用物質の分離精製、光学活性物質の光学分割などへの応用も期待できる。
まず、本発明の疎水性物質の分離方法に用いられる、疎水性物質の選択的吸着剤(以下、単に「本発明の疎水性物質の選択的吸着剤」という。)について説明する。
本発明の疎水性物質の選択的吸着剤は、分子内に複数のカルボキシル基等のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物と、アミノ基等のカチオン性基を複数有する不溶性高分子成形体とを、前記複数のアニオン性基と前記カチオン性基とのイオン結合を介して結合してなることを特徴とする。前記アニオン性基としては、カルボキシル基が好ましい。
本発明において、分子内に反応性官能基として利用しやすいカルボキシル基等のアニオン性基を複数含むことにより、前記アニオン性基を有するシクロデキストリン化合物と前記カチオン性基を有する不溶性高分子成形体との間のイオン結合をより強固なものとすることができる。
前記複数のカルボキシル基等のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物において、前記カルボキシル基等のアニオン性基の数は、複数、すなわち2個以上であれば良いが、3個以上が好ましい。カルボキシル基等のアニオン性基の数が2個未満であると、前記シクロデキストリン化合物が前記カチオン性基を有する不溶性高分子成形体と結合することについては支障ないが、塩化ナトリウム等の塩類を含む水溶液で処理する場合に、シクロデキストリン化合物が前記カチオン性基を有する不溶性高分子成形体から解離しやすくなってしまうので、好ましくない。なお、前記カルボキシル基等のアニオン性基の上限については特に制限はない。
ここで、前記シクロデキストリン化合物の骨格となるシクロデキストリンとは、前述したように、グルコースがα1,4−結合により環状に連なった環状オリゴ糖をいう。その構成グルコース単位の数が6、7、8個のものは、それぞれα−、β−、γ−シクロデキストリンと呼ばれる。本発明においては、α−、β−、γ−シクロデキストリンのいずれであっても良いし、それらのヒドロキシプロピル誘導体、糖分岐シクロデキストリンなどの誘導体であっても良い。
本発明において、前記複数のカルボキシル基等のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物としては、シクロデキストリンの水酸基の少なくとも2個がカルボキシル基を有する置換基で置換されたものを挙げることができ、下記一般式1で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2009061429
上記一般式1中、nは6〜8の整数を表す。また、R、R、Rは、それぞれ、水酸基、又はアニオン性基を表し、それぞれが同じであっても異なっていても良く、かつ前記アニオン性基が前記シクロデキストリン化合物中少なくとも2個である。上記一般式中のR、R、R全てがカルボキシル基を有する置換基であってもよい。
前記一般式1において、前記アニオン性基がカルボキシル基を有する置換基であることが好ましい。
なお、R、R、Rが前記カルボキシル基を有する置換基以外の場合、前記カチオン性基を有する前記不溶性高分子成形体とのイオン結合を阻害しないものであれば特に制限はない。したがって、アミノ基等のカチオン性基は好ましくない。他にシクロデキストリンの修飾反応を行わないときは、通常、水酸基である。
上記一般式1中のR、R、Rで表されるカルボキシル基を有する置換基としては、例えば、下記一般式2〜4のいずれかで表される置換基であることが好ましい。
Figure 2009061429
(上記各一般式において、R’は、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキレン基、炭素数7〜30のアリーレン基を表す。)
このようなカルボキシル基を有する置換基の具体例としては、カルボキシメチルエーテル基;脂肪族ジカルボン酸のモノエステル基(カルボキシエチルモノエステル基等);芳香族ジカルボン酸のモノエステル基(フタル酸モノエステル基、イソフタル酸モノエステル基、テレフタル酸モノエステル基等);カルボキシル基含有チオール類のチオエーテル基(カルボキシメチルチオエーテル基、カルボキシエチルチオエーテル基、2−カルボキシエチルチオエーテル基、カルボキシフェニルチオエーテル基等)などが挙げられる。また、前記アニオン性基としては、カルボキシル基のほかに硫酸基、スルホアルキルエーテル基(一般式−O−(CH−SOH、lは1〜6を表す。)等が挙げられる。例えば、lが4であるスルホブチルエーテル基を有するβ−シクロデキストリン化合物が市販されており、本発明に利用できる。このようなアニオン性基を有する置換基のうち、工業的に安価に製造できる観点から、カルボキシメチルエーテル基が最も好ましい。
前記複数のカルボキシル基を有するシクロデキストリン化合物の製造にあたり、材料、条件、手順等については特に制限はない。
前記複数のカルボキシル基を有するシクロデキストリン化合物の1つの製造例としては、酢酸、プロピオン酸等の有機酸をハロゲン化してなる有機酸化合物や、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸類の酸無水物、具体的には例えば、モノクロロ酢酸、モノブロモ酢酸、又はモノヨード酢酸を、シクロデキストリンと、中性〜アルカリ条件で反応させて、シクロデキストリンの水酸基にカルボキシル基を含む置換基を導入して得ることができる。モノクロロ酢酸を用いる方法としては、S.Satomura,K.Omichi,T.Ikenakaの研究論文(Carbohydrate Research、第180巻,137〜146ページ、1988年)やMakoto Hattori,Yoko Okada, and Koji Takahashiの論文(Journal of Agriculture and Food Chemistry、第48巻、3789〜3794ページ、2000年)に記述がある。
上記の製造例においては、シクロデキストリンの水酸基が反応に供されることから、材料となるシクロデキストリンの種類は限定されず、α−、β−、γ−シクロデキストリンや、それらのヒドロキシプロピル誘導体、糖分岐シクロデキストリンなどのいずれも利用できる。
また、他の製造例としては、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、4−メルカプト安息香酸等のカルボキシル基含有チオール類と、ハロゲン化又はトシル化したシクロデキストリン化合物とを反応させても得ることができる。この場合も、材料となるシクロデキストリンの種類は限定されない。
本発明においては、前記複数のカルボキシル基を有するシクロデキストリン化合物は、一種類であっても良いが、二種類以上の混合物であっても良い。
なお、上記例示した製造法によりシクロデキストリンにカルボキシル基を導入すると、シクロデキストリン中の様々な部位の水酸基にカルボキシル基を有する置換基が導入されたシクロデキストリン化合物の混合物を得ることができるが、本発明においてはこのような混合物をそのまま用いることができる。
また、この混合物中には、少なくとも、分子内に複数のカルボキシル基を有するシクロデキストリン化合物が含まれていれば良く、他に1置換の(すなわち、分子内にカルボキシル基を1つしか有しない)カルボキシル基導入シクロデキストリン化合物や、分子内にカルボキシル基が全く導入されていないシクロデキストリンが存在していても、その混合物を用いることについて特に問題はない。
次に、アミノ基等の水中でカチオン性を発揮する基(カチオン性基)を複数有する不溶性高分子成形体について説明する。
本発明において、「不溶性」とは、水への溶解度が5質量%以下、好ましくは1質量%以下であることをいう。
前記アミノ基等のカチオン性基を有する不溶性高分子成形体としては、例えば、キトサン、陰イオン交換樹脂ないしはそれらの誘導体として市販されている種々の高分子化合物の1種又は2種以上の混合物からなる成形体を挙げることができる。前記成形体の形態は、粉末や粒子状、繊維状など様々なものを挙げることができ、特に制限されない。
このようなアミノ基を有する不溶性高分子成形体としては、キトサン化合物からなる成形体が好ましい。キトサン化合物の成形体としては、富士紡績社などから市販されている種々のキトサン粒子(例えば、キトパールAL−10(商品名))や、「キチン、キトサンハンドブック」(キチン、キトサン研究会編、技報堂出版、1995年)506〜508ページに記載されている種々の方法で作成できるキトサン粒子を用いることができる。前記キトサン粒子に含まれるキトサン化合物の分子量は特に制限はないが、5000〜100万であることが好ましい。
なお、本発明において、「キトサン」とは、キチンのアセチルアミノ基を脱アセチル化されたものを意味するが、そのアセチル化度について特に規定はないことから、本発明で言うキトサンには様々なアセチル化度のキトサンが含まれる。
キトサン化合物の成形体は、粉末、粒子状、繊維状、フィルム状など様々な形態のものであっても良い。また、キトサンと他の高分子化合物や添加物を加えた混合物の成形体であっても問題ない。
また、本発明において、オルガノ社等から市販されている種々のイオン交換樹脂の内、陰イオン樹脂を使用することができる。本発明においては、カルボキシル基等のアニオン性基を導入したシクロデキストリン化合物を使用するので、特に、弱塩基性イオン交換樹脂を用いることが好ましい。
次に、本発明の疎水性物質の分離方法について説明する。
本発明の疎水性物質の分離方法は、前記複数のカルボキシル基等のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物と、アミノ基等のカチオン性基を有する不溶性高分子成形体とを、前記複数のアニオン性基と前記カチオン性基とのイオン結合を介して結合させる工程を含む、シクロデキストリンの包接作用により溶液中の疎水性物質を分離する方法である。
ここで、疎水性物質を含有する溶液としては、任意の水性液、例えば、水溶液(排水、河川水、飲料等を含む。)等が挙げられる。
前記シクロデキストリン化合物や前記カチオン性高分子成形体の混合割合は、分離対象物質の種類、濃度などに応じて、適宜定めることができる。
このイオン結合工程において、混合系内に前記シクロデキストリン化合物と前記高分子成形体の間のイオン結合を阻害するような物質が存在すると、前記シクロデキストリン化合物が前記高分子成形体に充分に反応することができず、例え前記シクロデキストリン化合物が分離対象物質と包接会合体を形成しても、生成した包接会合体が水溶液中に残存し、分離効率が低下してしまうことが起こりえる。また、分離対象物質を含む水溶液に塩が含まれている場合にも、塩によるイオン結合形成の妨害が起き得る。これらイオン結合形成阻害に対する対策としては、後述の実施例で詳述するように、前記シクロデキストリン化合物に含まれるカルボキシル基の数を増加させることが有効である。カルボキシル基の数が多いシクロデキストリン化合物の製造方法については、例えばカルボキシルメチル化シクロデキストリンの製造であれば、反応試薬であるモノクロロ酢酸の使用量を増す等が有効であるが、前記シクロデキストリン化合物中のカルボキシル基の数を多くする方法についての反応試薬の当量数、溶媒の種類・容量、及び反応温度等の反応条件については反応が進行する限り特に制限はない。
また、カルボキシル基等のアニオン性基を導入するシクロデキストリン化合物の製造工程においては、塩基性での反応を行い、反応溶液を中和することにより、目的のシクロデキストリン化合物を得ることが、しばしば行われるが、その場合、得られたシクロデキストリン化合物中のカルボキシル基等のアニオン性基は、例えば、ナトリウム塩となっている。このナトリウム塩は、水溶液中で解離して、ナトリウムイオンが生成し、これが前記シクロデキストリン化合物と前記高分子成形体との間のイオン結合形成を阻害することがある。そのため、カルボキシル基を有するシクロデキストリン化合物が塩となっている場合には、本発明の分離方法を実施する前に、予め、該シクロデキストリン化合物を水溶液とし、この水溶液を酸性イオン交換樹脂で処理する等の工程により、可能な限り前記シクロデキストリン化合物中のカルボン酸塩をカルボン酸基に転換しておくことが好ましい。この転換方法については、本発明では特に制限されない。
本発明の疎水性物質の分離方法において、前記複数のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物と、前記カチオン性基を有する不溶性高分子成形体とを、前記イオン結合を介して結合し、水で洗浄した後に、疎水性物質の選択的吸着剤として分離処理に用いることが好ましい。ここで、洗浄に用いる水は、蒸留水、イオン交換水等任意の水が挙げられる。
すなわち、本発明の疎水性物質の分離方法では、前記シクロデキストリン化合物と前記不溶性高分子成形体との間のイオン結合に係る化学平衡と、前記シクロデキストリン化合物と分離対象物質の包接会合体形成に係る化学平衡の、2つの平衡を制御して実現するものである。後者の化学平衡は、分離対象物質の疎水性や分子の大きさ等により影響を受けると同時に、前記イオン結合に係る化学平衡によって処理水中に前記シクロデキストリン化合物が溶解したままであると、結果的に分離効率の低下をもたらす。したがって、前記イオン結合に係る化学平衡については、予め前記シクロデキストリン化合物と前記不溶性高分子成形体を混合し、前記イオン結合に係る化学平衡状態を達成し、しかる後にイオン結合を形成せずに水中に残存している前記シクロデキストリン化合物を蒸留水による洗浄等により除去した後に、前記シクロデキストリン化合物をイオン結合した前記不溶性高分子成形体を、吸着剤として使用することで高い分離効率を達成することができる。
本発明の分離方法において、分離対象物質を吸着させた後に、一般式CH(CHOH(mは0から4までの整数)で表されるアルコールないしは該アルコールの水溶液で洗浄することにより、前記複数のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物をイオン結合を介して保持した前記不溶性高分子成形体を疎水性物質の選択的吸着剤として繰り返し利用可能とすることができる。
本発明において、分離対象物質としては、工業排水、家庭用排水等の排水や河川水等の水中に混入している疎水性の環境汚染物質が挙げられる。例えば、ビスフェノールA、フタル酸エステル類、4−ノニルフェノール、ノニルフェノールエトキシレート等のアルキルフェノール類などの環境ホルモン(内分泌攪乱物質)としての作用が指摘されている物質、アルキルフェノールエトキシレート類等の非イオン性界面活性剤、エストロゲン、トリクレンやパークレン等の有機塩素化合物などが好ましく挙げられる。
また、本発明の疎水性物質の分離方法は、健康増進作用が報告されている食品中の有効成分の分離にも利用することができる。そのような場合、本発明における分離対象物質としては、お茶等に含まれるカテキン類、ビタミンE、トマトなどに含まれるリコペン、大豆などに含まれるイソフラボン等の食品中疎水性成分が挙げられる。
本発明の分離方法において、このように分離対象物質を回収する場合、分離対象物質を吸着させた後、シクロデキストリンの包接作用を利用し、エタノールないしはエタノールの水溶液で洗浄することで、前記分離対象物質を回収することができる。
以下に、本発明の疎水性物質の分離方法の1つの実施態様として、疎水性物質の選択的吸着剤を用いて、汚染物質を分離する場合を示す。
分離対象物質を含有しうる水溶液中に、カルボキシル基等のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物とアミノ基等のカチオン性基を有する不溶性高分子成形体とを投入し、必要に応じて攪拌しながら、所定時間(汚染物質の種類により異なるが、好ましくは、1時間〜3日程度)浸漬することにより、分離対象物質を80%以上除去することができる。前記シクロデキストリン化合物や前記カチオン性高分子成形体の水溶液に対する混合割合は、分離対象物質の種類、濃度などに応じて、適宜定めることができる。また、分離対象物質の水溶液に塩類などイオン性物質が含まれている場合には、事前に水溶液を陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂で脱塩処理しておくことが好ましい。
製造例1〔カルボキシメチル化シクロデキストリンの製造〕
本製造例1では、文献(S.Satomura,K.Omichi,T.Ikenaka,Carbohydrate Research,第180巻,137〜146ページ、1988年)を参考にして、以下の実施例で用いるためのカルボキシメチル化シクロデキストリン(以下、単に「CM−β−CD」ということもある。)を合成した。モノクロロ酢酸52.6gを蒸留水270mLに溶解した。これとは別に水酸化ナトリウム93.0gを蒸留水370mLに溶解し、さらにβ−CD100.0gを溶解した。得られたβ−CD水溶液を、先ほどのモノクロロ酢酸水溶液と1リットルのナスフラスコ中で混合し、73℃の油浴中で1.5時間反応した。反応終了後、反応液をロータリーエバポレーターで加温しながら減圧濃縮した。室温まで冷やした後、濃縮液を激しく攪拌した約3Lのメタノール中に滴下すると、直ちに白色沈澱が生成した。約2時間攪拌した後、濾過により白色粉末を得た。この白色粉末を少量の蒸留水に溶解し、1Mの塩酸で中和した。この溶液を、再び約1.3Lのメタノールで再沈し、濾過、真空乾燥の後、白色粉末状としてCM−β−CD119.4gを得た。
上記Satomuraらによる文献においては、シクロデキストリン1分子あたりのカルボキシル基の数に関する詳細な記述はないが、本製造例において得られる反応生成物を飛行時間型質量分析計により分析したところ、この反応生成物が1分子あたりのカルボキシメチル基の数が異なるCM−β−CDの混合物であることが確認された。
また、本製造例により得られたCM−β−CDの1分子あたりのカルボキシメチル基の数を、プロトンNMR分析により調べたところ、およそ3.2個と見積もられた。
さらに、イオンクロマトグラフィーによるナトリウムの定量分析を行ったところ、得られたCM−β−CDには、4.45%のナトリウムが含まれていた。このCM−β−CDを強酸性イオン交換樹脂で処理したところ、ナトリウムの含有量は、2.02%となった。このナトリウムの減少は、カルボキシル基がナトリウム塩である−COONaの形から−COOHに変換されたことによる。
実施例1〔カルボキシメチル化β−シクロデキストリンとキトサンによる水溶液中のビスフェノールAの吸着〕
製造例1で得られた強酸性イオン交換樹脂で処理したCM−β−CD0.041g(乾燥重量)とキトサン(富士紡績社より市販されているキトサンビーズ、商品名キトパールAL−10、平均粒径約1mm、含水率90%)0.048gをガラス瓶にいれた1×10−4mol/lのビスフェノールA水溶液に投入し、温度を25℃に保ち、毎分90回振とうした。4時間後振とうを停止し、沈殿した前記ビーズ以外の上清液を3ml回収し、紫外可視吸光光度計で吸光度を測定し、ビスフェノールAの相対濃度を算出した。4時間後の水溶液中のビスフェノールAを紫外可視吸光光度計で測定した結果を表1に示す。
Figure 2009061429
処理時間の経過と共にビスフェノールAの濃度は低下していき、4時間後には21.6%となった。CM−β−CDを加えずに、キトサンのみを用いて、あるいはキトサンを加えずに、CM−β−CDのみを用いて同様の実験を行った結果、ビスフェノールAの濃度低下はほとんど起こらなかったことから、本実施例1におけるビスフェノールAの濃度低下は、アニオン性シクロデキストリン化合物とキトサンの相互作用に基づく吸着を必要とすることが明らかである。
実施例2〔シクロデキストリンとキトサン、処理対象水溶液の混合する順番〕
実施例1の手順に従い、製造例1で得られたCM−β−CD 0.04g、キトサン粒子0.48gを水30ml中で混合し、温度を25℃に保ち、毎分90回で振とうした。24時間経過した後、ろ紙によるろ過を行い、水を除去した後、ろ紙上にあるキトサン粒子を蒸留水で洗浄した。このキトサン粒子を1×10−4mol/lのビスフェノールA水溶液30mLに加え、実施例1と同様に4時間後の水溶液中のビスフェノールAを紫外可視吸光光度計で測定した結果を前記表1に示す。その結果、ビスフェノールAの濃度は、時間と共に低下していき、また、その低下の程度は実施例1の場合より大きいことがわかった。すなわち、予めCM−β−CDをキトサン粒子に結合させておく実施例2に示す方法は、本発明の疎水性物質の分離方法を実施するに当たって効率的な方法であると言うことができる。
実施例3〔使用済みキトサンビーズの再利用〕
本発明者らは、共有結合でシクロデキストリンを結合したキトサン粒子は、エタノール等のアルコール又はアルコールの水溶液で処理することにより、吸着した物質を放出するので、使用したキトサン粒子を使用前とほぼ同じ状態に回復させ、再度吸着に使用できることをTransaction of Material Research Society of Japan,vol.30.(4),1143−1146(2005)などで報告している。
本発明においても、使用したキトサン粒子をアルコール処理することにより、再度この粒子によってフェノール類を吸着可能であることを以下に示す。
実施例1で使用し、ビスフェノールAを吸着したキトサン粒子をエタノールの50%水溶液30ml中で、温度25℃で毎分90回振とうし、エタノール水溶液中のビスフェノールA濃度を紫外可視吸光光度計で測定した結果を前記表1に示す。実施例1で吸着されていたはずのビスフェノールAとほぼ同量のビスフェノールAがエタノール水溶液に溶出した。さらにエタノール処理した使用済みキトサン粒子を、蒸留水で洗浄後、CM−β−CDを新たに加えることなく、実施例1と同じ条件で1×10−4mol/lのビスフェノールA水溶液の吸着に用いた結果を前記表1に示した。その結果、エタノール水溶液によって再生処理されたキトサンビーズは、実施例1に示した結果よりも大きくビスフェノールA水溶液の濃度を低下させ、その結果は実施例2とほぼ同等であった。このことは、エタノール水溶液で処理することにより、使用済みのキトサン粒子を、CM−β−CDを新たに加える必要なく再生可能であることを示している。また、そればかりでなく、実施例1〜実施例3について比較することにより、フェノール類を吸着処理している最中の処理液にはキトサンに結合していないCM−β−CDが存在しない方がフェノール類の吸着が効率よく起こることを示している。
実施例4〔合成イオン交換樹脂の利用〕
本発明の疎水性物質の分離方法は以下に示されるとおり、キトサンだけでなく、市販されている陰イオン交換樹脂でも有効である。CM−β−CD0.04g、キトサンの代わりに陰イオン交換樹脂IRA67(商品名、ローム・アンド・ハース社製)を0.31gを使用して、実施例1に示した方法で、1×10−4mol/lのビスフェノールA水溶液30mLを処理する実験を行った結果を前記表1に示した。ビスフェノールAの濃度低下は、実施例1に示したキトサンを使用した場合と比較してほぼ同等であった。キトサンだけでなく、水処理用等の工程用に市販されているイオン交換樹脂でも本発明が有効に利用できることが明らかである。
実施例5〔非イオン性界面活性剤の吸着〕
実施例2と同様に、CM−β−CD0.04g、キトサン粒子0.48gを蒸留水中で一晩混合しておき、ろ過し、得られたキトサン粒子を蒸留水で洗浄し、1×10−4mol/lの4−ノニルフェノールエトキシレート(エチレンオキシド繰り返し数の平均が10、以下NPEとする)水溶液30mLを処理し、4時間後の相対濃度を前記表1に示した。ビスフェノールAの水溶液と比べるとやや低い吸着量であったが、NPEも吸着されることがわかった。NPEがBPAに比べてやや低い吸着量を示すのは、本発明者らがこれまでに発表している非特許文献(Transaction of Material Research Society of Japan,vol.30.(4),1143−1146(2005)及びJournal of Inclusion Phenomena and Macrocyclic Chemistry,vol.57,237−241(2007))と同様に、NPEの疎水性がBPAに比べると低いためと考えられる。
実施例6〔食品成分の吸着〕
本発明の疎水性物質の分離方法は、排水中のフェノール類だけでなく、食品抽出物の溶液から、特定の物質のみを分離することにも有効である。市販の緑茶飲料30ミリリットルに対して、CM−β−CD0.1g、キトサン粒子1g(湿潤状態)を、実施例1または実施例2と同様に加えた。実施例2と同様に処理する場合は、CM−β−CDとキトサンは蒸留水中で16時間混合し、蒸留水で洗浄してから実験に用いた。いずれの場合も、吸着実験は、2時間行い、2時間後の液をろ別し、液体クロマトグラフィーにより分析した。キトサンビーズは蒸留水で洗浄し、50%エタノール水溶液30mL中で2時間振とうし、2時間後のエタノール溶液の液体クロマトグラフ分析を行った。液体クロマトグラフィーにより、それぞれの処理液中のカフェインおよびエピガロカテキンガレートの処理前に対する吸着量及び回収量を表2にまとめた。エピガロカテキンガレートは、もともとお茶飲料に含まれていた量の80%前後を吸着することができ、また、吸着された量とほぼ同量のエピガロカテキンガレートを50%エタノール水溶液で放出させることができた。一方、カフェインは、ほとんど吸着されず、したがって放出量もほとんど無かった。特許文献(特開2004−229号公報)にシクロデキストリンを架橋したポリマーによる同様の吸着方法が示されており、本発明においては、前記特許文献のポリマーの製造に比べて煩雑な製造操作を要せず、シクロデキストリン化合物の製造により同じような効果が得られる。
Figure 2009061429
実施例7〔塩化ナトリウムを含む水溶液中での吸着〕
本発明は、水中でアニオン性を示すCM−β−CDと前記カチオン性高分子成形体との間のイオン性相互作用を利用しているので、処理対象物質の水溶液中に塩化ナトリウムなど水中でイオンに解離する塩類が含まれている場合、その影響を受ける。1×10−4mol/lのビスフェノールAと1×10−2mol/l(0.5844g/l)の塩化ナトリウムを含む水溶液を用いて、実施例2と同様に処理を行った結果を表3に示す。
Figure 2009061429
実施例2に示した塩化ナトリウムを含まない場合と比べると、ビスフェノールAの濃度低下は小さくなった。この現象は、キトサンにイオン結合していたCM−β−CDが水溶液中の塩化ナトリウムの影響により、キトサンから解離したことによると推定される。このことを確かめるため、以下の実験を行った。キトサンに結合しているCM−β−CDを分析するため、処理後のキトサンを0.1モル濃度の塩酸10ミリリットルで25℃、2時間、毎分90回振とうした。この塩酸を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、凍結乾燥して得られた残留物を残留物Aとして飛行時間型質量分析により分析した。また、処理したビスフェノールA水溶液を凍結乾燥して得られた残留物も同様に残留物Bとして飛行時間型質量分析により分析した。残留物Aには、塩化ナトリウムを含む水溶液の処理によりキトサンから解離しなかったCM−β−CDが含まれており、残留物Bにはキトサンから解離して処理中に溶出したCM−β−CDが含まれているはずである。残留物Aと残留物Bの分析結果を比較すると、それぞれの残留物にはカルボキシメチル基の数が異なるCM−β−CDが含まれていることがわかるが、そのカルボキシメチル基の数の分布が異なることが明確に示されている。すなわち、カルボキシメチル基が概ね3個以上のCM−β−CDは、塩化ナトリウム水溶液を処理してもキトサンとの結合を保っているが、カルボキシメチル基が概ね2個以下のCM−β−CDはキトサンから脱離してしまうっている。これは、本発明の方法における吸着効率に対する塩化ナトリウム等の塩類の影響を低減するために、シクロデキストリン1分子当たりにアニオン性基を多く有するCM−β−CDが有効な作用していることを示しており、前述の非特許文献7のようにシクロデキストリン1分子当たりのアニオン性基の数が1個しか含まない場合と比較して、明らかに優れた方法であると言うことができる。

Claims (11)

  1. 分子内に複数のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物と、複数のカチオン性基を有する不溶性高分子成形体とを、前記アニオン性基と前記カチオン性基とのイオン結合を介して結合させる工程を含むことを特徴とする前記シクロデキストリン化合物の包接作用により溶液中の疎水性物質を分離する方法。
  2. 前記複数のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物と、前記複数のカチオン性基を有する不溶性高分子成形体とを、前記イオン結合を介して結合させた後、疎水性物質の選択的吸着剤として溶液中の前記疎水性物質の分離処理に用いることを特徴とする請求項1に記載の疎水性物質の分離方法。
  3. 前記複数のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物が、下記一般式1で表される化合物である請求項1または2に記載の分離方法。
    Figure 2009061429
    (上記一般式中、nは6〜8の整数を表す。また、R、R、Rは、それぞれ、水酸基、又はアニオン性基を表し、それぞれが同じであっても異なっていても良く、かつ前記アニオン性基が前記シクロデキストリン化合物中少なくとも2個である。)
  4. 前記アニオン性基が、カルボキシル基を有する置換基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の分離方法。
  5. 前記複数のカチオン性基を有する不溶性高分子成形体が、キトサン化合物からなる成形体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の分離方法。
  6. 前記複数のカチオン性基を有する不溶性高分子成形体が、ポリスチレン化合物を骨格とするイオン交換樹脂からなる成形体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の分離方法。
  7. 分離対象物質である前記疎水性物質を吸着させた後に、一般式CH(CHOH(mは0から4までの整数)で表されるアルコールないしは該アルコールの水溶液で洗浄することにより、前記複数のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物をイオン結合を介して保持した前記不溶性高分子成形体を疎水性物質の選択的吸着剤として繰り返し利用可能とする工程を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の分離方法。
  8. 前記複数のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物をイオン結合を介して保持した前記不溶性高分子成形体に、分離対象物質である前記疎水性物質を吸着させた後、エタノールないしはエタノールの水溶液で洗浄することにより、前記分離対象物質を回収する工程を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の分離方法。
  9. 分子内に複数のアニオン性基を有するシクロデキストリン化合物と、複数のカチオン性基を有する不溶性高分子成形体とを、前記アニオン性基と前記カチオン性基とのイオン結合を介して結合してなる疎水性物質の選択的吸着剤。
  10. 前記疎水性物質が内分泌攪乱物質又は食品中の疎水性成分である、請求項9に記載の選択的吸着剤。
  11. 分離対象物質である前記疎水性物質を吸着させた後に、一般式CH(CHOH(mは0から4までの整数)で表されるアルコールないしは該アルコールの水溶液で洗浄することにより、繰り返し再使用できる請求項9又は10に記載の選択的吸着剤。
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