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JP2008526721A - Cdk、gsk及びオーロラキナーゼの活性を調節するチアゾールおよびイソチアゾール誘導体 - Google Patents

Cdk、gsk及びオーロラキナーゼの活性を調節するチアゾールおよびイソチアゾール誘導体 Download PDF

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Abstract

本発明によれば、式(I)で表される化合物、またはその塩、N−酸化物、互変異性体もしくは溶媒和物が提供される。式(I)中、XはCRまたはNであり;QおよびQの各々は炭素原子であり;QはSおよびCHから選択されたものであり;QはCRおよびSから選択されたものであるが;但し、QおよびQのうちの一つがSであり、QおよびQのうちの他方がSではなく;QがSのときには、QとQとの間に二重結合があり、かつ、Qと隣接する環窒素原子Nとの間に二重結合があり;QがSのときには、QとQとの間に二重結合があり、かつ、Qと隣接する環窒素原子Nとの間に二重結合があり;Aは結合または−(CH−(B)−であり;BはC=O、NR(C=O)またはO(C=O)(ここで、Rは、水素、または水酸基もしくはC1−4アルコキシ基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基であり;mは0、1または2であり;nは0または1であり;Rは水素であるか、またはNRが存在するときにはそれとともに、−(CH−基(式中、pは2〜4である)を形成し;Rは、水素、環員数3〜12である炭素環式基または複素環式基、または置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基であり;Rは、水素、ハロゲン、メトキシ基、またはハロゲン、ヒドロキシル基もしくはメトキシ基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基であり;RおよびRは、それらが結合する炭素原子とともに、環員数5〜7であって、そのうちの3以下がN、OおよびSから選択されたヘテロ原子であることができる、置換されていてもよい縮合炭素環または複素環を形成し;Rは、水素、R基またはR10基(ここで、R10は特許請求の範囲において定義された通りである)である。この化合物は、サイクリン依存性キナーゼ、グリコーゲンシンターゼキナーゼおよびオーロラキナーゼの阻害剤としての活性を有する。

Description

発明の背景
本発明は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)、グリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK)およびオーロラキナーゼの活性を阻害または調節するチアゾールおよびイソチアゾール化合物、上記キナーゼが介在する疾病状態または症状の治療または予防における上記化合物の使用、およびキナーゼ阻害または調節活性を有する新規な化合物に関する。また、本発明により、上記化合物および新規な化学的中間体を含有する医薬組成物が提供される。
背景技術
タンパク質キナーゼは、細胞内の多種多様な信号伝達プロセスの制御する役割を果たす一群の構造的に関連する酵素の大ファミリーを構成している(Hardie、GおよびHanks、S.(1995)、The Protein キナーゼ Facts Book、IおよびII、Academic Press、カリフォルニア州サンディエゴ)。キナーゼは、リン酸化する基質によりファミリーに分類できる(例えば、タンパク質−チロシン、タンパク質−セリン/トレオニン、脂質等)。これらのキナーゼファミリーの各々に一般的に対応する配列モチーフが、同定された(例えば、Hanks、S.K.、Hunter、T.、FASEB J.、9:576−596(1995);Knighton等、Science、253:407−414(1991);Hiles等、Cell、70:419−429(1992);Kunz等、Cell、73:585−596(1993);Garcia−Bustos等、EMBOJ.、13:2352−2361(1994))。
タンパク質キナーゼは、調節機構により特徴付けられる。これらの機構には、例えば、自己リン酸化、他のキナーゼ、タンパク質−タンパク質相互作用、タンパク質−脂質相互作用およびタンパク質−ポリヌクレオチド相互作用によるトランスリン酸化などがある。個々のタンパク質キナーゼは、複数の機構により調節されることがある。
ホスフェート基を標的タンパク質に添加することにより、キナーゼは、数多くの異なる細胞プロセス、例えば、増殖、分化、アポプトーシス、運動性、転写、翻訳および他のシグナル伝達プロセス(これらには限定されない)を調節する。これらのリン酸化現象は、標的タンパク質の生物学的機能を調節または調整することができる、分子オン/オフスイッチとしての役割を果たす。標的タンパク質のリン酸化は、種々の細胞外シグナル(ホルモン、神経伝達物質、成長および分化因子等)、細胞サイクル、環境または栄養ストレス等に応答して生じる。適切なタンパク質キナーゼは、情報伝達経路において、例えば、代謝酵素、調節タンパク質、受容体、細胞骨格タンパク質、イオンチャネルまたはポンプ、または転写調節因子を、活性化または不活性化(直接または間接的に)する。タンパク質リン酸化の制御異常による未制御情報伝達が、多数の疾病、例えば、炎症、癌、アレルギー/喘息、免疫系の疾病および症状、中枢神経系の疾病および症状並びに血管形成においてみられた。
サイクリン依存性キナーゼ
真核細胞分裂プロセスは、G1、S、G2およびMと称される一連の順次相に大きく分けることができる。細胞サイクルの種々の相を介する正しい進行は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)として知られているタンパク質ファミリーおよびサイクリンと称される多種多様なそれらの同族タンパク質パートナーの組み合わせの空間的および経時的調整に非常に大きく依存することが分かった。CDKは、配列依存の状況において多様なボリペプチドのリン酸化でATPを基質として利用できるcdc2(CDK1としても知られている)相同セリン−トレオニンキナーゼタンパク質である。サイクリンは、特異的CDKパートナータンパク質への結合およびそれに対する選択性を規定するのに使用される、「サイクリンボックス」と称される約100のアミノ酸を含む相同性領域によって特徴付けられる、タンパク質のファミリーである。
細胞サイクル全体を通じての種々のCDKおよびサイクリンの発現レベル、分解速度および活性化レベルの調節により、CDKが酵素的に活性である一連のCDK/サイクリン複合体が周期的に形成される。これらの複合体の形成により、離散細胞サイクルチェックポイントを介して経路を制御し、それにより細胞分裂プロセスが継続できるようにする。予め必要とされる一定の細胞サイクルチェックポイントでの生化学的基準を満足しないと、すなわち、必要とされるCDK/サイクリン複合体を形成しないと、細胞サイクルの停止および/または細胞アポプトーシスを生じることがある。癌において現れる異常な細胞増殖は、正しい細胞サイクル制御の損失に起因することがある。したがって、CDK酵素活性の阻害により、異常分裂細胞がそれらの分裂を停止および/または殺されることができる手段が提供される。CDKおよびCDK複合体の多様性、および細胞サイクルを介在する極めて重要な役割により、規定された生化学的理由に基づいて選択される広範な種類の治療標的が実現できる可能性がある。
細胞サイクルのG1相からS相への進行は、DおよびE型サイクリンのメンバーとの関連を介してCDK2、CDK3、CDK4およびCDK6により主に調整される。CDK2/サイクリンE複合体がG1相からS相への移行のかぎである場合、D型サイクリンは、制限点G1を超えた通過が可能とするのに有効であると思われる。S相を介する続いての進行、およびG2への進入には、CDK2/サイクリンA複合体を必要とすると思われる。それの引き金になる有糸分裂と、G2からM相への移行の両方とも、CDK1並びにAおよびB型サイクリンの複合体により調整される。
G1相網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)、および関連ポケットタンパク質、例えば、p130は、CDK(2、4および6)/サイクリン複合体の基質である。G1を介する進行は、部分的に、CDK(4/6)/サイクリン−D複合体によるRbおよびp130の高リン酸化、したがって、不活性化により容易となる。Rbおよびp130の高リン酸化により、E2F等の転写因子の放出、したがって、G1を介した進行、およびサイクリンEの遺伝子等のS相への進入に必要な遺伝子の発現が生じる。サイクリンEの発現により、Rbのさらなるリン酸化を介してE2Fレベルを増幅または維持するCDK2/サイクリンE複合体の形成が容易となる。また、CDK2/サイクリンE複合体は、ヒストン生合成に関与するNPAT等のDNAの複製に必要な他のタンパク質をリン酸化する。また、G1進行およびG1/S移行は、CDK2/サイクリンE経路に供給されるマイトジェン刺激Myc経路を介して調整される。また、CDK2は、p21レベルのp53調整を介して、p53介在DNA損傷応答経路に接続されている。p21は、CDK2/サイクリンEのタンパク質阻害剤であり、したがって、G1/S移行をブロックまたは遅延することができる。したがって、CDK2/サイクリンE複合体は、Rb、Mycおよびp53経路からの生化学的刺激がある程度一体化してる点を表す。CDK2および/またはCDK2/サイクリンE複合体は、したがって、異常に分裂している細胞における細胞サイクルの制御の停止または回復を目的とした治療薬の良好な標的を表す。
細胞サイクルにおけるCDK3の正確な役割は、明らかではない。今のところ、同族サイクリンパートナーは同定されていないが、支配的なネガティブ型CDK3が、G1において細胞を遅延する。これは、CDK3が、G1/S移行を調整する役割を有することを示唆している。
ほとんどのCDKが細胞サイクルの調整に関係しているが、CDKファミリーの一定のものが、他の生化学的プロセスに関与していることを示す証拠がある。これは、正確なニューロンの発現に必要であり、いくつかのニューロンタンパク質、例えば、Tau、NUDE−1、シナプシン1、DARPP32およびMunc18/シンタキシン1A複合体のリン酸化にかかわっているCDK5により裏付けられている。ニューロンCDK5は、p35/p39タンパク質に結合することにより、通常どおり活性化される。しかしながら、CDK5活性は、p25、p35の切頂型の結合により、その調整が解除される。p35からp25への転化および、続いてのCDK5活性の調整解除は、虚血、興奮毒性およびβ−アミロイドペプチドにより誘発することができる。その結果、p25は、アルツハイマー病等の神経変性病の病原にかかわっており、したがって、これらの疾病に対する治療薬の標的として重要である。
CDK7は、cdc2CAK活性を有し、サイクリンHに結合する核タンパク質である。CDK7は、RNAポリメラーゼIIC−末端ドメイン(CTD)活性を有するTFIIH転写複合体の成分として同定された。これは、Tat介在生化学的経路を介するHIV−1転写の調整と関連している。CDK8は、サイクリンCを結合し、RNAポリメラーゼIIのCTDのリン酸化に関与している。同様にCDK9/サイクリン−T1複合体(P−TEFb複合体)は、RNAポリメラーゼIIの伸長制御に関与している。また、PTEF−bは、サイクリンT1との相互作用を介したウイルス性転写活性化因子TatによるHIV−1ゲノムの転写の活性化に必要とされている。CDK7、CDK8、CDK9およびP−TEFb複合体は、したがって、抗ウイルス性治療薬の標的として使用できる可能性がある。
CDK/サイクリン複合体活性の分子レベルでの介在には、一連の刺激および阻害リン酸化または脱リン酸化が必要である。CDKリン酸化は、一群のCDK活性化キナーゼ(CAK)および/またはキナーゼ、例えば、wee1、Myt1およびMik1によりおこなわれる。脱リン酸化は、ホスファターゼ、例えば、cdc25(aおよびc)、pp2aまたはKAPによりおこなわれる。
CDK/サイクリン複合体活性は、2つのファミリーの内因性細胞性タンパク質阻害剤によりさらに調整できる:Kip/CipファミリーまたはINKファミリー。INKタンパク質は、特異的にCDK4およびCDK6を結合する。pl6ink4(MTS1としても知られている)は、多数の原発性癌において突然変異したり、欠失したりする腫瘍抑制遺伝子として使用できる可能性がある。Kip/Cipファミリーは、p21Cip1、Waf1、p27Kip1およびp57kip2等のタンパク質を含有する。上記したように、p21は、p53により誘発され、CDK2/サイクリン(E/A)およびCDK4/サイクリン(D1/D2/D3)複合体を不活性化できる。通常ではない低レベルのp27発現が、乳癌、大腸癌および前立腺癌に観察された。逆に、固形腫瘍におけるサイクリンEの過剰発現が、患者のよくない予後と相関していることが判明した。サイクリンD1の過剰発現は、悪性食道癌、乳癌、偏平癌および非小細胞肺癌と関連している。
CDKおよびそれらの関連タンパク質が、細胞を増殖する際の細胞サイクルを配位および駆動するときに果す極めて重要な役割は、上記した通りである。CDKが鍵となる役割を果たす生化学的経路の一部分は、説明した。一般的にCDKを標的または特異的CDKを標的とした治療薬を用いた増殖性障害、例えば、癌の治療用の単剤療法の開発は、したがって、非常に望ましいと考えられる。CDK阻害剤は、またおそらく、とりわけウイルス性感染症、自己免疫疾病および神経変性疾患等の他の疾患の治療に使用することができる。また、CDK標的治療薬は、既存または新規の治療剤との併用療法に用いたときに上記した疾病の治療に臨床的な利点が得られることがある。CDK標的抗癌治療薬は、DNAと直接には相互作用せず、したがって、二次腫瘍の発現を減少するので、数多くの現在の抗腫瘍剤に対して有利であると思われる。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)
細胞サイクル進行は、サイクリン、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)およびCDK−阻害剤(CDKi)(陰性細胞サイクル調整剤である)の組み合わせ作用により調整される。p27KIP1は、G1/S移行に分解が必要である細胞サイクル調整に重要なCDKiである。リンパ球を増殖する際にp27KIP1発現がないにもかかわらず、一部の攻撃性B細胞リンパ腫は、異常p27KIP1染色を示すことが報告されている。異常に高いp27KIP1の発現が、この種のリンパ腫に見られた。これらの治験の臨床的関連性の分析により、この種の腫瘍における高レベルのp27KIP1発現は、単変量および多変量分析において、悪い予後マーカーであることがわかった。これらの結果から、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)において、悪い臨床的有意性で異常p27KIP1発現があることが明らかである。この異常p27KIP1タンパク質は、他の細胞サイクル調節タンパク質との相互作用により非機能的になることがあることを示唆している。(Br.J.Cancer.1999年7月;80(9):1427−34)。p27KIP1は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫において異常に発現し、悪い臨床結果と関連がある。Saez A、Sanchez E、Sanchez−Beato M、Cruz MA、ChaconI、Munoz E、Camacho FI、Martinez−Montero JC、Mollejo M、Garcia JF、Piris MA。Department of Pathology、Virgen de la Salud Hospital、スペイン国トレド。
慢性リンパ性白血病
B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)は、西半球において最も一般的な白血病であり、毎年約10,000の新しい症例がでる(Parker SL、Tong T、Bolden S、Wingo PA:Cancer statistics、1997。Ca.Cancer.J.Clin.47:5、(1997))。他の形態の白血病に対して、CLLの全体的な予後は良好であり、最も進行した段階の患者でさえ、平均生存期間は3年である。
症候性CLL患者の初期治療としてフルダラビンを添加すると、従来使用されたアルキル化剤系療法と比較して、より高い完全応答(27%対3%)と、無増悪生存率(33カ月対17カ月)期間が得られた。治療後の完全臨床応答を達成することは、CLLにおいて生存率を向上させるための最初の工程であるが、大部分の患者は、完全な寛解を達成しないか、またはフルダラビンに対して応答しない。さらに、フルダラビンで処置したCLLを患っている全ての患者は、最終的には再発し、役割は純粋に苦痛緩和の単剤としてとどまっている(Rai KR、Peterson B、Elias L、Shepherd L、Hines J、Nelson D、Cheson B、Kolitz J、Schiffer CA:A randomized comparison of fludarabine and chlorambucil for patients with previously untreated chronic lymphocytic leukemia(治療経験のない慢性リンパ性白血病を患っている患者についての、フルダラビンとクロラムブシルのランダム比較)。A CALGB SWOG、CTG/NCI−CおよびECOG集団間調査。Blood88:141a、1996(アブストラクト552、付録1)。したがって、フルダラビンの細胞毒性を補い、固有のCLL薬剤耐性因子により誘発される耐性を無効とする新規な作用機構を有する新しい薬剤を同定することは、この疾病の治療をさらにすすめることが必要な場合には必要である。
CLL患者の治療に対する悪い反応と悪い生存率についての最も広範に検討した均一な予測因子は、点変異または染色体17p13欠失により特徴付けられる異常なp53機能である。実際に、アルキル化剤またはプリン類似体療法に対してほとんど応答がないことが、異常p53機能を有するCLL患者について複数の単一機関の症例で実証されている。CLLにおけるp53突然変異と関連した薬剤耐性を克服することができる治療剤を導入できれば、疾病の治療が大きく進歩する可能性がある。
フラボピリドールおよびCYC202、サイクリン依存性キナーゼの阻害剤は、B細胞慢性リンパ性白血病(B−CLL)からの悪性細胞の生体外アポプトーシスを誘発する。
フラボピリドールに暴露されると、カスパーゼ3活性の刺激、およびp27(kip1)、B−CLLで過剰発現する細胞サイクルの陰性調整剤のカスパーゼ依存性開裂が生じる(Blood.1998年11月15日;92(10):3804−16 Flavopiridol induces apoptosis in chronic lymphocytic leukemia cells via activation of caspase−3 without evidence of bcl−2 modulation or dependence on functional (フラボピリドールは、bcl−2調節または機能性p53への依存がみられることなく、カスパーゼ3の活性化を介して慢性リンパ球白血病細胞においてアポプトーシスを誘発する)。Byrd JC、Shinn C、Waselenko JK、Fuchs EJ、Lehman TA、Nguyen PL、Flinn IW、Diehl LF、Sausville E、Grever MR)。
オーロラキナーゼ
比較的最近、細胞サイクルのG2およびMフェーズに関与し、有糸分裂の重要な調節剤である、オーロラキナーゼとして知られている新しいファミリーのセリン/トレオニンキナーゼが見いだされた。
オーロラキナーゼの正確な役割は、まだ解明されていないが、有糸分裂チェックポイント制御、染色体動力学および細胞質分裂に関与する(Adams等、Trends Cell Biol.、11:49−54(2001)。オーロラキナーゼは、間期細胞の中心体、二極性紡錘体の極、および有糸分裂装置の中央体に位置している。
いままで、オーロラキナーゼファミリーの3つのメンバーが哺乳動物において見いだされている(E.A.Nigg、Nat.Rev.Mol.Cell Biol.2:21−32、(2001))。これらは、オーロラA(オーロラ2としても文献で言及されている);オーロラB(オーロラ1としても文献で言及されている);およびオーロラC(オーロラ3としても文献で言及されている)。
オーロラキナーゼは、高度に相同性のある触媒ドメインを有しているが、N末端部がかなり異なる(Katayama H、Brinkley WR、Sen S.;The Aurora キナーゼs:role in cell transformation and tumorigenesis(オーロラキナーゼ:細胞形質転換と腫瘍形成における役割); Cancer Metastasis Rev.2003年12月;22(4):451−64)。
オーロラキナーゼAおよびBの基質は、キネシン様モータータンパク質、スピンドル装置タンパク質、ヒストンH3タンパク質、動源体タンパク質および腫瘍サプレッサータンパク質p53を含むものとして同定された。
オーロラAキナーゼは、スピンドル形成に関与しており、スピンドル関連タンパク質をリン酸化する場合、初期G2フェーズ中に中心体に局在化するようになると思われる(Prigent等、Cell、114:531−535(2003)。Hirota等、Cell、114:585−598、(2003)では、オーロラAタンパク質キナーゼが枯渇している細胞は、有糸分裂に入ることができないことが見いだされている。さらに、種々の種におけるオーロラA遺伝子の突然変異または破壊が生じると、中心体分離および突然変異欠陥、スピンドル異常および染色体偏析欠陥を含む有糸分裂の異常が生じることが分かった(Adams、2001)。
オーロラキナーゼは、一般的に正常組織の大部分において低レベルで発現するが、例外は、胸腺および睾丸等の高い割合の分裂細胞を有する組織である。しかしながら、高レベルのオーロラキナーゼが、数多くのヒト癌に見られた(Giet等、J.Cell.Sci.112:3591−361、(1999)および片山(2003))。さらに、オーロラAキナーゼが、数多くのヒト癌で増幅することがしばしばみられた染色体20q13領域に位置する。
したがって、例えば、顕著なオーロラA過剰発現が、ヒト乳癌、卵巣癌および膵臓癌で検出された(Zhou等.、Nat.Genet.20:189−193、(1998)、田中等、Cancer Res.、59:2041−2044、(1999)およびHan等、cancer Res.、62:2890−2896、(2002)参照。)
さらに、Isola、American Journal of Pathology 147,905−911(1995)では、オーロラA遺伝子座(20q13)の増幅は、リンパ節転移陰性乳癌患者の予後が悪いことと相関していることが報告されている。
オーロラ−Aの増幅および/または過剰発現はヒト膀胱癌に見られ、オーロラ−Aの増幅は異数性および攻撃性臨床的挙動に関連している(Sen等、J.Natl.Cancer Inst.、94:1320−1329(2002)参照)。
オーロラ−Aの高い発現が、結腸直腸癌(Bischoff等、EMBO J.、17:3052−3065、(1998)および高橋等、Jpn.J.Cancer Res.、91:1007−1014(2000)参照)、卵巣癌(Gritsko等、Clin.Cancer Res.、9:1420−1426(2003)参照)および胃腫瘍(Sakakura等、British Journal of Cancer、84:824−831(2001))の50%以上で検出された。
Tanaka等、Cancer Research、59:2041−2044(1999)は、乳癌の観血的導管腺癌の94%にオーロラAの過剰発現がある確証を得た。
また、高レベルのオーロラAキナーゼが、腎、子宮頸部、神経芽細胞種、メラノーマ、リンパ腫、膵性および前立腺腫瘍細胞系に見られた(Bischoff等(1998)、EMBO J.、17:3052−3065(1998);Kimura等、J.Biol.Chem.、274:7334−7340(1999);Zhou等、Nature Genetics、20:189−193(1998);Li等、Clin Cancer Res.9(3):991−7(2003))。
オーロラ−Bは、白血病細胞をはじめとする複数のヒト腫瘍細胞系で高度に発現する[片山等、Gene 244:1−7)]。この酵素のレベルは、初期結腸直腸癌のDukeの段階の関数として増加する[Katayama等、J.Natl Cancer Inst.、91:1160−1162(1999)]。
高レベルのオーロラ−3(オーロラ−C)が、いくつかの腫瘍細胞系で検出された。これは、このキナーゼが正常組織における生殖細胞に限定される傾向がある場合にも言える(木村等、Journal of Biological Chemistry、274:7334−7340(1999)参照)。また、結腸直腸癌の約50%においてオーロラ3の過剰発現が生じることが報告された(高橋等、Jpn J.Cancer Res.91:1007−1014(2001))。
増殖性障害におけるオーロラキナーゼの役割が、他にも報告されている(Bischoff等、Trends in Cell Biology 9:454−459(1999);Giet等、Journal of Cell Science、112:3591−3601(1999)およびDutertre等、Oncogene、21:6175−6183(2002))。
Royce等は、オーロラ2遺伝子(STK15またはBTAKとして知られている)が初期乳房腫瘍の約4分の1に見られたことを報告している(Royce ME、Xia W、Sahin AA、Katayama H、Johnston DA、Hortobagyi G、Sen S、Hung MC;STK15/Aurora−A expression in primary breast tumours is correlated with nuclear grade but not with prognosis(初期乳房腫瘍におけるSTK15/Aurora−A発現は、核階級と相関しているが予後とは相関しない);Cancer.2004年1月1日;100(1):12−9)。
子宮内膜癌(EC)には、少なくとも2種類の癌がある:類内膜癌(EEC)は、しばしば正倍数体であり、予後が良好であるエストロゲン関連腫瘍である。非類内膜癌(NEEC;漿液細胞および明細胞形態)は、エストロゲンに関係しておらず、しばしば異数体であり、そして臨床的に攻撃性である。また、オーロラは、NEECの55.5%で増幅したが、いずれのEEC(P<or=0.001)でも増幅しないことが判明した(Moreno−Bueno G、Sanchez−Estevez C、Cassia R、Rodriguez−Perales S、Diaz−Uriarte R、Dominguez O、Hardisson D、Andujar M、Prat J、Matias−Guiu X、Cigudosa JC、Palacios J.Cancer Res.2003年9月15日;63(18):5697−702)。
Reichardt等(Oncol Rep.2003年9月−10月;10(5):1275−9)は、グリオーマにおけるオーロラの増幅について調査するためにPCRにより定量的にDNA分析をしたところ、異種のWHOグレードの16(31%)の腫瘍のうちの5つ(1xグレードII、1xグレードIII、3xグレードIV)が、オーロラ2遺伝子のDNA増幅を示したことを報告している。オーロラ2遺伝子の増幅は、腫瘍発生の遺伝子経路において役割を果たすヒトグリオーマにおける非ランダム遺伝子変化であるとの仮定がなされた。
浜田等によって得られた結果も、オーロラ2が、疾病活性を示すだけでなく、非Hodgkinリンパ腫の腫瘍発生も示す可能性が高いことを示唆している(Br.J.Haematol.2003年5月;121(3):439−47)。この遺伝子の機能の制限から生じる腫瘍細胞増殖の遅延は、非Hodgkinリンパ腫の治療に有用であろう。
Gritsko等(Clin Cancer Res.2003年4月;9(4):1420−6)による研究において、オーロラAのキナーゼ活性およびタンパク質レベルが、初期卵巣腫瘍を有する92人の患者で調査された。生体外キナーゼ分析の結果、44の症例(48%)においてオーロラAキナーゼ活性が上昇したことが、明らかとなった。オーロラAタンパク質レベルの増加は、52(57%)の検体で検出された。オーロラAの高タンパク質レベルは、キナーゼ活性の上昇とよく相関していた。
Li等(Clin.Cancer Res.2003年3月;9(3):991−7)により得られた結果は、オーロA遺伝子は膵性腫瘍および前立腺癌細胞系で過剰発現することを示し、且つオーロラAの過剰発現が膵性発癌の一因となることがあることが示唆している。
同様に、オーロラA遺伝子増幅と、それをコードしている関連有糸分裂キナーゼの発現の増加は、ヒト膀胱癌における異数性および攻撃性臨床的挙動とに関連していることが分かった(J.Natl.Cancer Inst.2002年9月4日;94(17):1320−9)。
いくつかのグループによる研究(Dutertre S、Prigent C.、Aurora−A overexpression leads to override of the microtuble−kinetochore attachment checkpoint(オーロラAの過剰発現により、微小管−動原体付着チェックポイントが無効となる);Mol.Interv.2003年5月;3(3):127−30およびAnand S、Penrhyn−Lowe S、Venkitaraman AR.、Aurora−A amplification overrides the mitotic spindle assembly checkpoint、inducing resistance to Taxol(オーロラAの増幅が、有糸分裂スピンドルアセンブリチェックポイントを無効とし、Taxol耐性を生じさせる)、Cancer Cell.2003年1月;3(1):51−62)は、オーロラキナーゼ活性の過剰発現は、ある種の現在の癌治療に対する耐性と関連していることを示唆している。例えば、マウスエンブリオ線維芽細胞におけるオーロラAの過剰発現が、これらの細胞のタキサン誘導体の細胞障害効果に対する感度を減少できる。したがって、オーロラキナーゼ阻害剤は、特に既存の療法に対して耐性を生じた患者に使用できる。
いままで実施された研究に基づいて、オーロラキナーゼ、特にオーロラキナーゼAおよびオーロラキナーゼBの阻害が、腫瘍発現を停止する有効な手段となることが予想される。
Harrington等(Nat Med.2004年3月;10(3):262−7)から、オーロラキナーゼの阻害が、腫瘍成長を抑制し、生体内で腫瘍退化を生じることが明らかとなった。研究によれば、オーロラキナーゼ阻害剤は、癌細胞増殖をブロックし、また広範な癌細胞系、例えば、白血病、結腸直腸、乳癌細胞系の細胞死の引き金となる。さらに、白血病細胞のアポプトーシスを誘発することにより、白血病を治療できる可能性のあることが分かった。VX−680は、患者からの治療不応性初期急性骨髄性白血病(AML)細胞の殺能力が大きかった(Andrews、Oncogene、2005、24、5005−5015)。
特にオーロラ阻害剤の影響を受けやすい癌には、乳癌、膀胱、結腸直腸、膵性、卵巣、非Hodgkinリンパ腫、グリオーマおよび非子宮内膜様子宮内膜癌などがある。特にオーロラ阻害剤の影響を受けやすい白血病には、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、B細胞リンパ腫(Mantle細胞)および急性リンパ芽球性白血病(ALL)などがある。
グリコーゲンシンターゼキナーゼ
グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)は、ヒトにおいて、2種の普遍的に発現したアイソフォームとして生じるセリン−トレオニンキナーゼである(GSK3α&ベータGSK3β)。GSK3は、エンブリオ発現、タンパク質合成、細胞増殖、細胞分化、微小管ダイナミック、細胞運動性および細胞のアポプトーシスに関与していると言われている。GSK3自体は、糖尿病、癌、アルツハイマー病、脳卒中、てんかん、運動神経病および/または頭部外傷等の疾病状態の進行に関与していると言われている。系統発生的GSK3は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)に最も密接に関連している。
GSK3により認識されるコンセンサスペプチド基質配列は、(Ser/Thr)−X−X−X−(pSer/pThr)である。ここで、Xは、アミノ酸((n+1)、(n+2)、(n+3)の位置)であり、pSerおよびpThrは、それぞれホスホ−セリンおよびホスホ−トレオニンである(n+4)。GSK3は、位置(n)で、第一セリンまたはトレオニンをリン酸化する。位置(n+4)でのホスホ−セリンまたはホスホ−トレオニンは、GSK3を刺激して最大の基質代謝回転を得るのに必要であると思われる。Ser21でのGSK3αまたはSer9でのGSK3βのリン酸化により、GSK3の阻害が生じる。突然変異誘発およびペプチド競合についての研究から、GSK3のN末端のリン酸化は、自己阻害機構を介してホスホ−ペプチド基質(S/TXXXpS/pT)と競合できるというモデルが得られた。また、GSK3αおよびGSKβが、それぞれチロシン279および216のリン酸化により微妙に調整できることを示唆しているデータもある。Pheに対するこれらの残基の突然変異により、生体内キナーゼ活性が減少した。GSK3βのX線結晶構造が、GSK3活性化および調整の全ての実現に役立った。
GSK3は、哺乳動物インスリン応答経路の一部分を形成し、グリコーゲンシンターゼをリン酸化し、それにより不活性化することができる。したがって、GSK3の阻害を介したグリコーゲンシンターゼ活性およびそれによるグリコーゲン合成のアップレギュレーションは、II型または非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)を治す手段として使用できる可能性があると考えられてきた:体の組織がインスリン刺激に対して耐性となる状態。肝臓組織、脂肪組織または筋組織における細胞インスリン応答が、細胞外インスリン受容体へのインスリン結合により生じる。これにより、リン酸化と、続いてインスリン受容体基質(IRS)タンパク質の形質膜への漸増が生じる。IRSタンパク質がさらにリン酸化されると、ホスホイノシチド−3キナーゼ(PI3K)の形質膜への漸増が開始し、第二メッセンジャーホスファチジルイノシチル3,4,5−トリホスフェート(PIP3)を遊離することができる。これにより、PDK1がPKBを活性化する膜に対して3−ホスホイノシチド依存性タンパク質キナーゼ1(PDK1)およびタンパク質キナーゼB(PKBまたはAkt)が共局在化しやすくなる。PKBは、GSK3αおよび/またはGSKβを、それぞれser9またはser21のリン酸化を介して、リン酸化およびそれにより阻害することができる。次に、GSK3の阻害が、グリコーゲンシンターゼ活性のアップレギュレーションの引き金となる。したがって、GSK3を阻害することができる治療薬は、インスリン刺激で見られるのと類似の細胞応答を生じることができる。GSK3のさらなる生体内基質は、真核タンパク質合成開始因子2B(eIF2B)である。eIF2Bは、リン酸化により不活性化され、したがって、タンパク質生合成を抑制することができる。したがって、例えば、“ラパマイシンの哺乳動物標的”タンパク質(mTOR)の不活性化によるGSK3の阻害により、タンパク質生合成をアップレギュレーションできる。最後に、キナーゼ、例えば、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ活性化タンパク質キナーゼ1(MAPKAP−K1またはRSK)によるGSK3のリン酸化を介した、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路を介したGSK3活性が調整されることについてのいくつかの確証がある。これらのデータは、GSK3活性がマイトジェン、インスリンおよび/またはアミノ酸刺激により調節できることを示唆している。
また、GSK3βが、脊椎動物Wnt情報伝達経路においてかぎとなる成分であることも明らかとなった。この生化学的経路は、正常エンブリオ発現に極めて重要であり、正常組織において細胞増殖を調整することが判明した。GSK3は、Wnt刺激に応答して阻害状態となる。これにより、GSK3基質、例えば、Axin、大腸腺腫様ポリポーシス(APC)遺伝子産物およびβ−カテニンの脱リン酸化を生じることができる。Wnt経路の異常調整は、数多くの癌と関連している。APCにおける突然変異および/またはβ−カテニンは、結腸直腸癌および他の腫瘍に共通している。また、β−カテニンは、細胞接着において重要であることも判明した。したがって、GSK3は、ある程度細胞接着プロセスを調節できる。すでに述べた生化学的経路とは別に、GSK3が、転写因子、例えば、c−Jun、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質α(C/EBPα)、c−Mycおよび/または他の基質、例えば、活性化T細胞(NFATc)の核因子、熱ショック因子−1(HSF−1)およびc−AMP応答要素結合タンパク質(CREB)のリン酸化において、サイクリン−D1のリン酸化を介して細胞分裂の調整に関与していることを示すデータもある。また、GSK3は、組織特異的ではあるが、細胞アポプトーシスを調整する役割を果たしていると思われる。プロアポプトーシス機構を介して細胞アポプトーシスを調節する際のGSK3の役割は、神経アポプトーシスが生じることがある病状に特によくにていることがある。これらの例としては、頭部外傷、脳卒中、てんかん、アルツハイマー病および運動神経病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびピック病があげられる。生体外で、GSK3が、微小管関連タンパク質Tauを過剰リン酸化することができることが判明した。Tauの高リン酸化により、微小管への正常結合が妨害され、また細胞内Tauフィラメントが形成されることもある。これらのフィラメントの進行性蓄積により、最後には神経障害および退化を生じると思われる。したがって、GSK3の阻害を介したTauリン酸化の阻害により、神経変性効果を制限および/または防止する手段を提供できる。
先行技術
WO02/34721(DuPont)は、サイクリン依存性キナーゼの阻害剤としてある種のインデノ[1,2−c]ピラゾール−4−オンを開示している。
WO01/81348(Bristol Myers Squibb)は、5−チオ−、スルフィニル−およびスルホニルピラゾロ[3,4−b]−ピリジンのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤としての使用を記載している。
また、WO00/62778(これもBristol Myers Squibb)は、ある種のタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤を開示している。
WO01/72745A1(Cyclacel)は、2−置換4−ヘテロアリール−ピリミジンおよびそれらの調製、それらを含む医薬組成物、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)の阻害剤としてのそれらの使用およびしたがって、癌、白血病、乾せん等の増殖性障害の治療における使用を記載している。
WO99/21845(Agouron)は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)、例えば、CDK1、CDK2、CDK4およびCDK6を阻害するための4−アミノチアゾール誘導体を記載している。また、この発明は、このような化合物を含有する医薬組成物の治療目的または予防目的の使用、およびこのような化合物の有効量を投与することによる悪性疾患および他の疾患の治療方法に関する。
WO01/53274(Agouron)は、CDKキナーゼ阻害剤として、窒素含有複素環式基に結合したアミド置換ベンゼン環を含むことができるある種の化合物を開示している。
WO01/98290(Pharmacia & Upjohn)は、ある種の3−アミノカルボニル−2−カルボキサミドチオフェン誘導体をタンパク質キナーゼ阻害剤として開示している。これらの化合物は、複数のタンパク質キナーゼ活性を有するとされている。
WO01/53268およびWO01/02369(Agouron)は、サイクリン依存性キナーゼまたはチロシンキナーゼ等のタンパク質キナーゼの阻害を介して細胞増殖を介在または阻害する化合物を開示している。
WO00/39108およびWO02/00651(両方ともDu Pont Pharmaceuticals)は、広範な種類のトリプシン様セリンプロテアーゼ酵素、とりわけ因子Xaおよびトロンビンの阻害剤である複素環式化合物を記載している。これらの化合物は、抗凝固剤として有用であるか、または血栓塞栓症の予防に有用であることが述べられている。
因子Xaに対して活性を有する複素環式化合物も、WO01/1978(Cor Therapeutics)およびUS2002/0091116(Zhu等)に開示されている。.
WO03/035065(Aventis)は、広範な種類のベンズイミダゾール誘導体を、タンパク質キナーゼ阻害剤として開示しているが、CDKキナーゼまたはGSKキナーゼに対する活性を開示していない。
WO97/36585およびUS5,874,452(全てMerck)は、ファルネシルトランスフェラーゼの阻害剤であるビヘテロアリール化合物を開示している。
WO97/12615(Warner Lambert)は、ベンズイミダゾールを15−リポキシゲナーゼ阻害剤として開示している。
WO00/02871(Merck)は、チロシンキナーゼ阻害活性を有し、癌等の疾病を治療するのに有用な血管新生阻害剤として有用である、化合物を開示している。
EP0711768(三井東圧化学)は、抗癌剤、抗ウイルス剤または抗菌剤としての活性を有するベンゾイミダゾール含有化合物を開示している。
WO03/066629 (Vertex Pharmaceuticals)は、 ベンゾイミダゾール化合物およびそれらの類似体を、GSK−3の阻害剤として開示している。
EP1460 067(Takeda)は、チロシン−キナーゼ阻害活性を有する化合物を開示している。
WO97/12617(Warner Lambert)は、リポシキゲナーゼ阻害剤であり、炎症疾患、アテローム性動脈硬化症および再狭窄を治療するのに使用できる化合物を開示している。
WO2004/041277(Merck)は、ベンゾイミダゾール誘導体受容体調節剤としての誘導体を開示している。
WO01/68585(藤沢薬品)は、5−HTアンタゴニスト活性を有し、したがって、種々のCNS関連疾患を治療するのに有用であるアミド化合物を開示している。
発明の概要
本発明によれば、サイクリン依存性阻害または調節活性、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)阻害または調節活性および/またはオーロラキナーゼ阻害または調節活性を有するとともに、上記キナーゼが介在する疾病状態または病状を予防または治療するのに有用であろう化合物が提供される。
したがって、例えば、本発明の化合物は、癌の発生を軽減または減少するのに有用であろう。
したがって、第一の態様によれば、一般式(I)で表される化合物、またはその塩、N−酸化物、および溶媒和物が提供される:
Figure 2008526721
[式中、
Xは、CRまたはNであり;
およびQの各々は、炭素原子であり;
は、SおよびCHから選択されたものであり;
は、CRおよびSから選択されたものであるが;但し、QおよびQのうちの一つがSであり、QおよびQのうちの他方がSではなく;
がSのときには、QとQとの間に二重結合があり、かつ、Qと隣接する環窒素原子Nとの間に二重結合があり;QがSのときには、QとQとの間に二重結合があり、かつ、Qと隣接する環窒素原子Nとの間に二重結合があり;
Aは、結合または−(CH−(B)−であり;
Bは、C=O、NR(C=O)またはO(C=O)(ここで、Rは、水素、または水酸基もしくはC1−4アルコキシ基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基であり;
mは、0、1または2であり;
nは、0または1であり;
は、水素であるか、またはNRが存在するときにはそれとともに、−(CH−基(式中、pは、2〜4である)を形成し;
は、水素、環員数3〜12である炭素環式基または複素環式基、または置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基であり;
は、水素、ハロゲン、メトキシ基、またはハロゲン、ヒドロキシル基もしくはメトキシ基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基であり;
およびRは、それらが結合する炭素原子とともに、環員数5〜7であって、そのうちの3以下がN、OおよびSから選択されたヘテロ原子であることができる、置換されていてもよい縮合炭素環または複素環を形成し;
は、水素、R基またはR10基(ここで、R10は、ハロゲン、水酸基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、環員数3〜12の炭素環式基および複素環式基;R−R基(ここで、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONRまたはNRSOであり;そしてRは、水素、環員数3〜12の炭素環式基および複素環式基、ならびに水酸基、オキソ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、環員数3〜12の炭素環式基および複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基(ここで、C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X1またはXC(X)Xで置き換わっていてもよい)から選択されたものである)から選択されたものである)であり;
は、水素およびC1−4ヒドロカルビル基から選択されたものであり;そして
は、O、SまたはNRであり、Xは、=O、=Sまたは=NRである]。
また、以下の発明も提供される:
・サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3が介在する疾病状態または病状の予防または治療用の医薬を製造するための、本明細書で定義されている式(I)の化合物の使用。
・サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3が介在する疾病状態または病状を予防または治療する方法であって、必要としている被験者に、本明細書で定義されている式(I)の化合物を投与することを含んでなる、方法。
・サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3が介在している疾病状態または病状の発生を軽減または減少する方法であって、疾病状態または病状の発生を軽減または減少させることを必要としている被験者に、本明細書で定義されている式(I)で表される化合物を投与することを含んでなる方法。
・哺乳動物における異常細胞増殖を含んでなるか、またはそれから生じる疾病または病状を治療する方法であって、哺乳動物に、異常細胞増殖を阻害するのに有効な量の本明細書で定義されている式(I)で表される化合物を投与することを含んでなる方法。
・哺乳動物における異常細胞増殖を含んでなるか、またはそれから生じる疾病または病状の発生を軽減または減少する方法であって、哺乳動物に、異常細胞増殖を阻害するのに有効な量の本明細書で定義されている式(I)で表される化合物を投与することを含んでなる方法。
・哺乳動物における異常細胞増殖を含んでなるか、またはそれから生じる疾病または病状を治療する方法であって、哺乳動物に、CDKキナーゼ(CDK1またはCDK2等)またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3活性を阻害するのに有効な量の本明細書で定義されている式(I)で表される化合物を投与することを含んでなる方法。
・哺乳動物における異常細胞増殖を含んでなるか、またはそれから生じる疾病または病状の発生を軽減または減少させる方法であって、哺乳動物に、CDKキナーゼ(CDK1またはCDK2等)またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3活性を阻害するのに有効な量の本明細書で定義されている式(I)で表される化合物を投与することを含んでなる方法。
・サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3を阻害する方法であって、前記キナーゼを、本明細書で定義されている式(I)で表されるキナーゼ阻害化合物と接触させることを含んでなる方法。
・本明細書で定義されている式(I)で表される化合物を用いてサイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の活性を阻害することにより、細胞プロセス(例えば、細胞分裂)を調節する方法。
・オーロラキナーゼ(例えば、オーロラAキナーゼまたはオーロラBキナーゼ)のアップレギュレーションにより特徴付けられる疾病または病状の予防または治療用の医薬を製造するための、本明細書で定義されている式(I)で表される化合物の使用。
・オーロラキナーゼ(例えば、オーロラAキナーゼまたはオーロラBキナーゼ)のアップレギュレーションにより特徴付けられる癌の予防または治療用の医薬を製造するための、本明細書で定義されている式(I)で表される化合物の使用。
・オーロラA遺伝子のIle31変異体を有するサブ集団から選択された患者における癌の予防または治療用の医薬を製造するための、本明細書で定義されている式(I)で表される化合物の使用。
・オーロラA遺伝子のIle31変異体を有するサブ集団の一部分を構成していると診断された患者における癌の予防または治療用の医薬を製造するための、本明細書で定義されている式(I)で表される化合物の使用。
・オーロラキナーゼ(例えば、オーロラAキナーゼまたはオーロラBキナーゼ)のアップレギュレーションにより特徴付けられる疾病または病状を予防または治療する方法であって、本明細書で定義されている式(I)で表される化合物を投与することを含んでなる方法。
・オーロラキナーゼ(例えば、オーロラAキナーゼまたはオーロラBキナーゼ)のアップレギュレーションにより特徴付けられる疾病または病状の発生を軽減または減少する方法であって、本明細書で定義されている式(I)で表される化合物を投与することを含んでなる方法。
・癌を患っているかまたは患っている疑いのある患者における癌を予防または治療(または発生を軽減または減少)する方法であって、(i)患者を診断試験して患者がオーロラA遺伝子のIle31変異体を有するかどうかを判定する工程と、(ii)患者が前記変異体を有する場合、患者に、オーロラキナーゼ阻害活性を有する本明細書で定義されている式(I)で表される化合物を投与する工程とを含んでなる方法。
・オーロラキナーゼ(例えば、オーロラAキナーゼまたはオーロラBキナーゼ)のアップレギュレーションにより特徴付けられる疾病状態または病状を予防または治療(または発生を軽減または減少)する方法であって、(i)患者を診断試験してオーロラキナーゼのアップレギュレーションに特徴的なマーカーを検出する工程と、(ii)診断試験の結果、オーロラキナーゼのアップレギュレーションを示すと判定された場合、患者に、オーロラキナーゼ阻害活性を有する本明細書で定義されている式(I)で表される化合物を投与する工程とを含む方法。
・医薬に使用するための、式(I)の化合物。
・本明細書に記載の疾病状態の予防または治療用の医薬を製造するための、本明細書で定義されている式(I)の化合物の使用。
・上記および本明細書に記載の疾病状態を予防または治療するための、本明細書で定義されている式(I)で表される化合物。
・上記に記載および本明細書に記載の使用および方法のための、本明細書で定義されている化合物。
・B細胞リンパ腫を治療するための、式(I)で表される化合物、またはその塩(例えば、酸付加塩)、溶媒和物、互変異性体もしくはN−酸化物。
・慢性リンパ性白血病を治療するための、式(I)で表される化合物、またはその塩(例えば、酸付加塩)、溶媒和物、互変異性体もしくはN−酸化物。
・びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療するための、式(I)で表される化合物、またはその塩(例えば、酸付加塩)、溶媒和物、互変異性体もしくはN−酸化物。
・B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫または慢性リンパ性白血病を治療する方法であって、そのような治療を必要としている患者に、式(I)で表される化合物、またはその塩(例えば、酸付加塩)、溶媒和物、互変異性体もしくはN−酸化物を投与することによる方法。
・白血病、特に再発性または不応性急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ性白血病および慢性骨髄性白血病を治療するための、式(I)で表される化合物、またはその塩(例えば、酸付加塩)、溶媒和物、互変異性体もしくはN−酸化物。
上記した方法および使用、ならびに他の治療および診断方法および使用、および本明細書に記載の動物および植物の治療方法も、特記のない限りは、式(I)の範囲のサブグループ、亜族、好ましい態様または例、例えば、式(II)および式(IXa)の化合物並びにそれらのサブグループを用いることができる。
一般的な好ましい態様および定義
以下の一般的な好ましい態様および定義は、特記のない限りは、部分R〜R10ならびにそれらの種々のサブグループ、サブ定義、例および実施態様の各々に適用される。本明細書において、R基の数の次の上付添字は、その数により単独に指定されるR基のサブ基であることを示している。したがって、例えば、R1a、R1bおよびR1cは、全てRのサブ基であり、同様に、R9aおよびR9bは、Rのサブ基である。したがって、特記のない限りは、例えば、Rについての一般的な好ましい態様、定義および例は、そのサブ基R1a、R1b、R1c等にも適用され、他のR基についても同様である。
本明細書で式(I)に言及する場合、特記のない限りは、式(II)〜(IXa)、および式(I)の範囲内のサブグループの化合物のにも言及しているものとする。
本明細書において、「本発明の化合物」に言及する場合、式(I)だけでなく、式(I)の範囲内のサブグループ、亜属、好ましい態様または例、例えば、式(II)〜(IXa)の化合物およびそれらのサブグループにも言及しているものとする。
本明細書で使用される用語「オーロラキナーゼのアップレギュレーション」は、オーロラキナーゼの増加した発現または過剰発現、例えば、転写効果による遺伝子増幅(すなわち、同義遺伝子コピー)および増加した発現、およびオーロラキナーゼの活動亢進および活性化、例えば、突然変異による活性化を含むものとして定義される。
本明細書において「炭素環式」基および「複素環式」基に言及する場合、特記のない限りは、芳香族および非芳香族環系の両方を含む。したがって、例えば、用語「炭素環式および複素環式基」は、その範囲において、芳香族、非芳香族、不飽和、部分飽和および完全飽和炭素環および複素環系を含む。一般的に、このような基は、単環式または二環式でよく、例えば、環員数が3〜12、より一般的には環員数が5〜10でよい。単環式基としては、例えば、環員数が3、4、5、6、7および8、より一般的には環員数が3〜7、特に環員数が5または6の基である。二環式基としては、例えば、環員数が8、9、10、11および12、より一般的には環員数が9または10を含むものである。
炭素環式基または複素環式基は、環員数が5〜12、より一般的には環員数が5〜10であるアリール基またはヘテロアリール基であることができる。本明細書で使用される用語「アリール基」は、芳香族特性を有する炭素環式基であり、本明細書で使用される用語「ヘテロアリール基」は、芳香族特性を有する複素環式基を意味する。用語「アリール基」および「ヘテロアリール基」は、一つ以上の環が非芳香族である多環(例えば、二環式)環系を含む。但し、この場合、少なくとも一つの環が、芳香族である。このような多環系において、基は、芳香族環により結合されていてもよく、または非芳香族環により結合されていてもよい。アリール基またはヘテロアリール基は、単環式基または二環式基でよく、非置換であっても、または一つ以上の置換基、例えば、本明細書に記載の一つ以上の基R10で置換されていてもよい。
用語「非芳香族基」は、芳香族特性のない不飽和環系、部分飽和および完全飽和炭素環系および複素環系を含む。用語「不飽和」および「部分飽和」は、環構造が、複数の原子価結合を共有する原子を含む環を意味する。すなわち、環は、少なくとも一つの多重結合、例えば、C=C、C≡CまたはN=C結合を含む。用語「完全飽和」は、環原子間に多重結合がない環を意味する。飽和炭素環式基は、以下で定義するシクロアルキル基を含む。部分飽和炭素環式基は、以下で定義するシクロアルケニル基、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルを含む。
ヘテロアリール基としては、例えば、環員数が5〜12、より一般的には環員数が5〜10の単環式および二環式基があげられる。ヘテロアリール基は、例えば、5員または6員単環式環、または縮合5員および6員環または2つの縮合6員環、または2つの縮合5員環から形成された二環式構造であることができる。各環は、典型的に窒素、硫黄および酸素から選択された約4以下のヘテロ原子を含むことができる。典型的には、ヘテロアリール環は、4以下のヘテロ原子、より典型的には3以下のヘテロ原子、より一般的には2以下、例えば、単一のヘテロ原子を含む。一実施態様によれば、ヘテロアリール環は、少なくとも一つの環窒素原子を含む。ヘテロアリール環における窒素原子は、イミダゾールまたはピリジンのように塩基性でもよいし、またはインドールまたはピロール窒素のように実質的に非塩基性でもよい。一般的に、環のアミノ基置換基を含むヘテロアリール基に存在する塩基性窒素原子の数は、5未満である。
5員ヘテロアリール基としては、例えば、ピロール基、フラン基、チオフェン基、イミダゾール基、フラザン基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、オキサトリアゾール基、イソキサゾール基、チアゾール基、イソチアゾール基、ピラゾール基、トリアゾール基およびテトラゾール基などがあるが、これらには限定されない。
6員ヘテロアリール基としては、例えば、ピリジン基、ピラジン基、ピリダジン基、ピリミジン基およびトリアジン基などがあるが、これらには限定されない。
二環式ヘテロアリール基は、例えば、
a)1、2または3の環ヘテロ原子を含む5員または6員環に縮合したベンゼン環;
b)1、2または3の環ヘテロ原子を含む5員または6員環に縮合したピリジン環;
c)1または2の環ヘテロ原子を含む5員または6員環に縮合したピリミジン環;
d)1、2または3の環ヘテロ原子を含む5員または6員環に縮合したピロール環;
e)1または2の環ヘテロ原子を含む5員または6員環に縮合したピラゾール環;
f)1または2の環ヘテロ原子を含む5員または6員環に縮合したイミダゾール環;
g)1または2の環ヘテロ原子を含む5員または6員環に縮合したオキサゾール環;
h)1または2の環ヘテロ原子を含む5員または6員環に縮合したイソキサゾール環;
i)1または2の環ヘテロ原子を含む5員または6員環に縮合したチアゾール環;
j)1または2の環ヘテロ原子を含む5員または6員環に縮合したイソチアゾール環;
k)1、2または3の環ヘテロ原子を含む5員または6員環に縮合したチオフェン環;
l)1、2または3の環ヘテロ原子を含む5員または6員環に縮合したフラン環
m)1または2の環ヘテロ原子を含む5員または6員環に縮合したオキサゾール環;
n)1または2の環ヘテロ原子を含む5員または6員環に縮合したイソキサゾール環;
o)1、2または3の環ヘテロ原子を含む5員または6員環に縮合したシクロヘキシル環;および
p)1、2または3の環ヘテロ原子を含む5員または6員環に縮合したシクロペンチル環、
から選択された基であることができる。
別の5員環に縮合した5員環を含む二環式ヘテロアリール基の具体例としては、イミダゾチアゾール基(例えば、イミダゾ[2,1]チアゾール基)およびイミダゾイミダゾール基(例えば、イミダゾ[1,2−a]イミダゾール基)などがあるが、これらの具体例には限定されない。
5員環に縮合した6員環を含む二環式ヘテロアリール基の具体例としては、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾオキサゾール基、イソベンゾオキサゾール基、ベンゾイソキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾイソチアゾール基、イソベンゾフラン基、インドール基、イソインドール基、インドリジン基、インドリン基、イソインドリン基、プリン基(例えば、アデニン基、グアニン基)、インダゾール基、ピラゾロピリミジン基(例えば、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン基)、トリアゾロピリミジン基(例えば、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン基)、ベンゾジオキソール基、およびピラゾロピリジン基(例えば、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン基)などがあるが、これらには限定されない。
2つの縮合6員環を含む二環式ヘテロアリール基の具体例には、キノリン基、イソキノリン基、クロマン基、チオクロマン基、クロメン基、イソクロメン基、クロマン基、イソクロマン基、ベンゾジオキサン基、キノリジン基、ベンズオキサジン基、ベンゾジアジン基、ピリドピリジン基、キノキサリン基、キナゾリン基、シンノリン基、フタラジン基、ナフチリジン基およびプテリジン基などがあるが、これらには限定されない。
芳香族環および非芳香族環を含む多環式アリール基およびヘテロアリール基としては、例えば、テトラヒドロナフタレン基、テトラヒドロイソキノリン基、テトラヒドロキノリン基、ジヒドロベンゾチエン基、ジヒドロベンゾフラン基、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ダイオキシン基、ベンゾ[1,3]ジオキソール基、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾフラン基、インドリン基およびインダン基などがある。
炭素環式アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インデニル基およびテトラヒドロナフチル基などがある。
非芳香族複素環基としては、例えば、環員数3〜12、より一般的には環員数5〜10の基があげられる。このような基は、単環式または二環式、例えば、典型的には通常窒素、酸素および硫黄から選択された、ヘテロ原子環員数1〜5(より一般的には1個、2個、3個または4個のヘテロ原子環員を有する)であることができる。複素環式基は、例えば、環状エーテル部分(例えば、テトラヒドロフラン及およびジオキサンのように)、環状チオエーテル部分(例えば、テトラヒドロチオフェンおよびジチアンのように)、環状アミン部分(例えば、ピロリジンのように)、環状アミド部分(例えば、ピロリドンのように)、環状チオアミド、環状チオエステル、環状ウレア(例えば、イミダゾリジン−2−オン)環状エステル部分(例えば、ブチロラクトン)、環状スルホン(例えば、スルホランおよびスルホレンのように)、環状スルホキシド、環状スルホンアミドおよびそれらの組み合わせ(例えば、チオモルホリン)を含んでいてもよい。
具体例としては、モルホリン、ピペリジン(例えば、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニルおよび4−ピペリジニル)、ピペリドン、ピロリジン(例えば、1−ピロリジニル、2−ピロリジニルおよび3−ピロリジニル)、ピロリドン,アゼチジン、ピラン(2H−ピランまたは4H−ピラン)、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ジオキサン、テトラヒドロピラン(例えば、4−テトラヒドロピラニル)、イミダゾリン、イミダゾリジノン、オキサゾリン、チアゾリン、2−ピラゾリン、ピラゾリジン、ピプラゾン、ピペラジンおよびN−アルキルピペラジン、例えば、N−メチルピペラジンなどがある。一般的に、好ましい非芳香族複素環式基には、飽和基、例えば、ピペリジン、ピロリジン、アゼチジン、モルホリン、ピペラジンおよびN−アルキルピペラジンなどがあげられる。
非芳香族炭素環式基としては、例えば、シクロアルカン基、例えば、シクロヘキシル基およびシクロペンチル基、シクロアルケニル基、例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基およびシクロオクテニル基、並びにシクロヘキサジエニル基、シクロオクタテトラエン基、テトラヒドロナフテニル基およびデカリニル基などがある。
炭素環式および複素環式基については、その炭素環または複素環は、特記のない限りは、非置換でもよいし、またはハロゲン、水酸基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、環員数3〜12の炭素環式基および複素環式基;R−R基(ここで、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONRまたはNRSOであり;そしてRは、水素、環員数3〜12の炭素環式基および複素環式基、および水酸基、オキソ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、環員数3〜12の炭素環式基および複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基(ここで、C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X1またはXC(X)Xで置き換わっていてもよい)から選択されたのもである)から選択された一つ以上の置換基R10により置換されていてもよく;または2つの隣接する基R10が、それらが結合する炭素原子またはヘテロ原子とともに、5員ヘテロアリール環または5員もしくは6員非芳香族炭素環式基または複素環式基を形成してもよく、前記ヘテロアリール基および複素環式基が、N、OおよびSから選択された3以下のヘテロ原子環員を含んでおり;
は、水素およびC1−4ヒドロカルビル基から選択されたものであり;そして
1は、O、SまたはNRであり、Xは、=O、=Sまたは=NRである。
置換基R10が炭素環式基または複素環式基を含むとき、この炭素環式基または複素環式基は、非置換であってもよいし、またはそれ自体一つ以上のさらなる置換基R10で置換されていてもよい。式(I)で表される化合物の一つのサブグループによれば、このようなさらなる置換基R10は、炭素環式基または複素環式基(これらは、典型的にはそれら自体はさらには置換されていない)を含むことができる。式(I)で表される化合物の別のサブグループによれば、前記さらなる置換基は、炭素環式基または複素環式基を含まないが、R10の定義で上記した基から選択される。
置換基R10は、20以下の非水素原子、例えば、15以下の非水素原子、例えば、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、または5以下の非水素原子を含むように選択できる。
炭素環式基および複素環式基が一対の置換基を隣接する環原子上に有する場合、2つの置換基は、環状基を形成するように結合できる。例えば、環の隣接炭素原子上の隣接する一対の置換基は、一つ以上のヘテロ原子および置換されていてもよいアルキレン基を介して結合して、縮合オキサ−、ジオキサ−、アザ−、ジアザ−またはオキサ−アザ−シクロアルキル基を形成してもよい。
このような結合置換基としては、例えば、以下のものなどがある:
Figure 2008526721
ハロゲン置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素などがある。フッ素および塩素が、特に好ましい。
本明細書で以下で使用する式(I)で表される化合物の定義において、「ヒドロカルビル基」は、特記のない限りは、全炭素骨格を有し、脂肪族、脂環族および芳香族基を含む総称である。ある場合、本明細書で定義したように、炭素骨格を構成する一つ以上の炭素原子は、特定の原子または原子団と置き換えてもよい。ヒドロカルビル基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、炭素環式アリール基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルケニルアルキル基および炭素環式アラルキル基、アラルケニル基およびアラルキニル基などがある。このような基は、非置換でもよいし、または、記載してある場合は、本明細書に記載の一つ以上の置換基で置換されていてもよい。以下で示す例および好ましい態様は、特記のない限りは、式(I)の化合物の置換基の種々の定義で言及するヒドロカルビル置換基またはヒドロカルビル含有置換基の各々に適用される。
好ましい非芳香族ヒドロカルビル基は、飽和基、例えば、アルキル基およびシクロアルキル基である。
一般的に、例えば、ヒドロカルビル基は、特記のない限りは、8以下の炭素原子を有することができる。炭素原子数1〜8のヒドロカルビル基のサブセット内での具体例は、C1−6ヒドロカルビル基、例えば、C1−4ヒドロカルビル基(例えば、C1−3ヒドロカルビル基またはC1−2ヒドロカルビル基)であり、具体例はC、C、C、C、C、C、CおよびCヒドロカルビル基から選択された個々の値または値の組み合わせである。
用語「アルキル基」は、直鎖アルキル基および分岐鎖アルキル基の両方を含む。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基およびn−ヘキシル基およびその異性体などがあげられる。炭素原子数1〜8のアルキル基のサブセットの範囲内での具体例は、C1−6アルキル基、例えば、C1−4アルキル基、例えば、C1−3アルキル基またはC1−2アルキル基である。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンおよびシクロヘプタン由来のものがあげられる。シクロアルキル基のサブセットの範囲内でのシクロアルキル基は、炭素原子数3〜8であり、具体例としてC3−6シクロアルキル基があげられる。
アルケニル基としては、例えば、エテニル(ビニル)基、1−プロペニル基、2−プロペニル(アリル)基、イソプロペニル基、ブテニル基、ブタ−1,4−ジエニル基、ペンテニル基、およびヘキセニル基などがあるが、これらには限定されない。アルケニル基のサブセットの範囲内でのアルケニル基は、炭素原子数が2〜8であり、具体例としてC2−6アルケニル基、例えば、C2−4アルケニル基があげられる。
シクロアルケニル基としては、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基およびシクロヘキセニル基などがあるが、これらには限定されない。シクロアルケニル基のサブセットの範囲内におけるシクロアルケニル基は、炭素原子数が3〜8であり、具体例としてC3−6シクロアルケニル基があげられる。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基および2−プロピニル基(プロパルギル)などがあるが、これらには限定されない。アルキニル基のサブセットの範囲内におけるアルキニル基は、炭素原子数が2〜8であり、具体例としてC2−6アルキニル基、例えば、C2−4アルキニル基があげられる。
炭素環式アリール基としては、置換および非置換フェニル基などがある。
シクロアルキルアルキル基、シクロアルケニルアルキル基、炭素環式アラルキル基、アラルケニル基およびアラルキニル基としては、例えば、フェネチル基、ベンジル基、スチリル基、フェニルエチニル基、シクロヘキシルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロプロピルメチル基およびシクロペンテニルメチル基などがある。
存在するときおよび記載した場合、ヒドロカルビル基は、水酸基、オキソ基、アルコキシ基、カルボキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、および環員数3〜12(典型的には環員数3〜10、より一般的には環員数5〜10)の単環式または二環式炭素環式基および複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい置換基には、ハロゲン、例えば、フッ素などがある。したがって、例えば、置換ヒドロカルビル基は、部分フッ素化または過フッ素化基、例えば、ジフルオロメチル基またはトリフルオロメチル基であることができる。一実施態様によれば、好ましい置換基として、環員数3〜7、より一般的には環員数3、4、5または6である単環式炭素環式基および複素環式基などがあげられる。
記載されている場合、ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、必要に応じてO、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X1またはXC(X)Xと置き換わっていてもよい。ここで、XおよびXは、上記で定義したとおりであるが、但しヒドロカルビル基の少なくとも一つの炭素原子が残っている。例えば、ヒドロカルビル基の1、2、3または4個の炭素原子が上記した原子または基のうちの一つで置き換わっていてもよく、置き換え原子または基は、同一でも、異なっていてもよい。一般的に、置き換えされた直鎖または骨格炭素原子数は、それらを置き換える基における直鎖または骨格炭素原子の数に相当する。ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子が、上記で定義した置き換え原子または基により置き換わった基としては、例えば、エーテルおよびチオエーテル(OまたはSにより置き換わったC)、アミド、エステル、チオアミドおよびチオエステル(XC(X)またはC(X)Xにより置き換わったC−C)、スルホンおよびスルホキシド(SOまたはSOにより置き換わったC)、アミン(NRにより置き換わったC)などがある。さらなる例としては、尿素、カーボネートおよびカルバメート(XC(X)X)により置き換わったC−C−C)などがある。
アミノ基が2つのヒドロカルビル置換基を有する場合、これらは、それらが結合している窒素原子および必要に応じて別のヘテロ原子、例えば、窒素、硫黄または酸素とともに、結合して環員数が4〜7の環構造を形成してもよい。
本明細書で使用される「R−R」には、炭素環式または複素環式部分上に存在する置換基に関して、または式(I)の化合物上の他の位置に存在する他の置換基に関して、とりわけRが、結合、O、CO、OC(O)、SC(O)、NRC(O)、OC(S)、SC(S)、NRC(S)、OC(NR)、SC(NR)、NRC(NR)、C(O)O、C(O)S、C(O)NR、C(S)O、C(S)S、C(S)NR、C(NR)O、C(NR)S、C(NR)NR、OC(O)O、SC(O)O、NRC(O)O、OC(S)O、SC(S)O、NRC(S)O、OC(NR)O、SC(NR)O、NRC(NR)O、OC(O)S、SC(O)S、NRC(O)S、OC(S)S、SC(S)S、NRC(S)S、OC(NR)S、SC(NR)S、NRC(NR)S、OC(O)NR、SC(O)NR、NRC(O)NR、OC(S)NR、SC(S)NR、NRC(S)NR,OC(NR)NR、SC(NR)NR、NRC(NRNR、S、SO、SO2、NR、SONRおよびNRSO(ここで、Rは、上記で定義した通りである)から選択された化合物などある。
部分は水素でもよいし、または環員数3〜12、典型的には環員数3〜10、より一般的には環員数5〜10である炭素環式基および複素環式基から選択された基、および上記で定義した置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基であることができる。ヒドロカルビル基、炭素環式基および複素環式基の例は、上記した通りである。
がOであり、RがC1−8ヒドロカルビル基である場合、RとRとが一緒にヒドロカルビルオキシ基を形成する。好ましいヒドロカルビルオキシ基は、飽和ヒドロカルビルオキシ基、例えば、アルコキシ基(例えば、C1−6アルコキシ基、より一般的にはC1−4アルコキシ基、例えば、エトキシ基およびメトキシ基、特にメトキシ基)、シクロアルコキシ基(例えば、C3−6シクロアルコキシ基、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基およびシクロヘキシルオキシ基)およびシクロアルキアルコキシ基(例えば、C3−6シクロアルキル−C1−2アルコキシ基、例えば、シクロプロピルメトキシ基)などがある。
ヒドロカルビルオキシ基は、上記した種々の置換基で置換されていてもよい。例えば、アルコキシ基は、ハロゲン(例えば、ジフルオロメトキシ基およびトリフルオロメトキシ基のように)、水酸基(例えば、ヒドロキシエトキシ基のように)、C1−2アルコキシ基(例えば、メトキシエトキシ基のように)、ヒドロキシ−C1−2アルキル基(ヒドロキシエトキシエトキシ基のように)または環状基(例えば、上記したシクロアルキル基または非芳香族複素環式基)により置換されていてもよい。置換基として非芳香族複素環式基を有するアルコキシ基としては、例えば、複素環式基が飽和環状アミン基、例えば、モルホリン基、ピペリジン基、ピロリジン基、ピペラジン基、C1−4−アルキル−ピペラジン基、C3−7−シクロアルキル−ピペラジン基、テトラヒドロピラン基またはテトラヒドロフラン基であり且つアルコキシ基がC1−4アルコキシ基、より典型的にはC1−3アルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基またはn−プロポキシ基であるものがあげられる。
単環式基、例えば、ピロリジン基、ピペリジン基、モルホリン基およびピペラジン基により置換されたアルコキシ基、およびそれらのN−置換誘導体、例えば、N−ベンジル基、N−C1−4アシル基およびN−C1−4アルコキシカルボニル基。具体例としては、ピロリジノエトキシ基、ピペリジノエトキシ基およびピペラジノエトキシ基などがある。
が結合であり、RがC1−8ヒドロカルビル基である場合、ヒドロカルビル基R−Rの例は、上記で定義したとおりである。ヒドロカルビル基は、飽和基、例えば、シクロアルキル基およびアルキル基でよく、このような基の具体例として、メチル基、エチル基およびシクロプロピル基などがある。ヒドロカルビル基(例えば、アルキル基)は、上記した種々の基および原子により置換されていてもよい。置換アルキル基としては、例えば、一つ以上のハロゲン原子、例えば、フッ素および塩素(具体例としては、ブロモエチル基、クロロエチル基およびトリフルオロメチル基などがある)または水酸基(例えば、ヒドロキシメチル基およびヒドロキシエチル基)、C1−8アシルオキシ(例えば、アセトキシメチル基およびベンジルオキシメチル基)、アミノ基およびモノ−およびジアルキルアミノ基(例えば、アミノエチル基、メチルアミノエチル基、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基およびt−ブチルアミノメチル基)、アルコキシ基(例えば、C1−2アルコキシ基、例えば、メトキシエチル基におけるようなメトキシ−基)および環式基、例えば、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基および非芳香族複素環式基(上記したもの)で置換されたアルキル基などがある。
環式基により置換されたアルキル基の具体例として、環式基が飽和環状アミン基、例えば、モルホリン基、ピペリジン基、ピロリジン基、ピペラジン基、C1−4−アルキル−ピペラジン基、C3−7−シクロアルキル−ピペラジン基、テトラヒドロピラン基またはテトラヒドロフラン基であり且つアルキル基がC1−4アルキル基、より典型的にはC1−3アルキル基、例えば、メチル基、エチル基またはn−プロピル基があげられる。環式基で置換されたアルキル基の具体例として、ピロリジノメチル基、ピロリジノプロピル基、モルホリノメチル基、モルホリノエチル基、モルホリノプロピル基、ピペリジニルメチル基、ピペラジノメチル基、および上記したN−置換型基などがある。
アリール基およびヘテロアリール基で置換されたアルキル基の具体例としては、ベンジル基およびピリジルメチル基などがある。
がSONRである場合、Rは、例えば、水素または置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基または炭素環式基または複素環式基であることができる。RがSONRであるR−Rとしては、例えば、アミノスルホニル基、C1−4アルキルアミノスルホニル基およびジ−C1−4アルキルアミノスルホニル基、および環状アミノ基から形成されているスルホンアミド基、例えば、ピペリジン基、モルホリン基、ピロリジン基またはN−置換されていてもよいピペラジン基、例えば、N−メチルピペラジン基などがある。
がSOであるR−R基としては、例えば、アルキルスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基およびアリールスルホニル基、特に単環式アリール基およびヘテロアリールスルホニル基などがある。具体例には、メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基およびトルエンスルホニル基などがある。
がNRであるときには、Rは、例えば、水素または置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基または炭素環式基または複素環式基であることができる。RがNRであるR−Rとしては、例えば、アミノ基、C1−4アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、t−ブチルアミノ基)、ジ−C1−4アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基およびジエチルアミノ基)およびシクロアルキルアミノ基(例えば、シクロプロピルアミノ基、シクロペンチルアミノ基およびシクロヘキシルアミノ基)などがある。
A、Q 〜Q 、R 〜R 10 およびXの特定の実施態様および好ましい態様
式(I)において、QおよびQの各々は炭素原子であり;QはSおよびCHから選択され、;QはCRおよびSから選択されたものであるが;但し、QおよびQのうちの一方はSであり、他方はSではなく;QがSであるときには、QとQとの間に二重結合があり、かつ、Qと隣接する環窒素原子Nとの間に二重結合があり;QがSであるときには、QとQとの間に二重結合があり、かつ、Qと隣接する環窒素原子Nとの間に二重結合がある。
1つの一般的な実施態様では、QはSであり、QはCRであり、故に式(I)の化合物はイソチアゾールとなる。
別の一般的な実施態様では、QはCHであり、QはSであり、故に式(I)の化合物はチアゾールとなる。
式(I)において、XはCRまたはNであり得る。1つの特定の実施態様では、XはNである。別の特定の実施態様では、XはCHである。好ましくは、XはNである。
は水素であり得るか、または基Rが存在する場合にはそれと共に架橋基−(CH−(式中、pは2〜4であり、より一般には2〜3であり、たとえば2である)を形成し得る。好ましくは、Rは水素である。
および基Rが架橋基−(CH−を形成する時、−(CH−(B)−NR−部分は以下のように表すことができる:
Figure 2008526721
Aが結合または基−(CH−(B)−(式中、nは0である)である場合、XはNまたはCR(式中、Rは水素または基R10である)であり得る。より好ましくは、XはNである。
Aが結合または基−(CH−(B)−(式中、nは1である)である場合、XはNまたはCR(式中、Rは水素または基Rである)であるのが好ましい。より好ましくは、XはNである。
が水素以外である場合、より特定的にはnが1である場合、Rは、14個以下の原子を含有する小さな置換基、たとえばC1−4アルキルまたはC3−6シクロアルキル基、たとえばメチル、エチル、プロピルおよびブチル、またはシクロプロピルおよびシクロブチルであるのが好ましい。
Aは結合または−(CH−(B)−(式中、BはC=O、NR(C=O)またはO(C=O)であり、mは0、1または2であり;nは0または1である)である。本発明の1つの好ましい化合物群において、mは0または1であり、nは1であり、BはC=OまたはNR(C=O)であり、好ましくはC=Oである。より好ましくは、mは0であり、nは1であり、BはC=Oである。BがNR(C=O)である場合、Rは水素であるのが好ましい。
部分Qに連結された部分R−A−NHは、アミンR−(CH−NH、アミドR−(CH−C(=O)NH、ウレアR−(CH−NHC(=O)NH、またはカルバメートR−(CH−OC(=O)NH(式中、各々の場合、mは0、1または2であり、好ましくは0または1であり、最も好ましくは0である)の形態を取ることができる。
は水素、環員数3〜12の炭素環式または複素環式基、または先に定義されるような置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基である。炭素環式基および複素環式基ならびに置換されていてもよいヒドロカルビル基の例は上述の通りである。
たとえば、Rは、環員数3〜10の単環式または二環式基であり得る。
が単環式基である場合、Rは、典型的には環員数3〜7、より一般には環員数3〜6、たとえば、環員数3、4、5または6である。
単環式基Rがアリール基である場合、Rは環員数6であり、非置換または置換フェニル基である。
単環式基Rが非芳香族炭素環式基である場合、Rは、環員数3〜7、より一般には環員数3〜6、たとえば、環員数3、4、5または6である。非芳香族炭素環式基は、飽和していても、一部飽和していなくてもよいが、好ましくは飽和しており、すなわち、Rはシクロアルキル基である。
単環式基Rがヘテロアリール基である場合、環員数5または6である。環員数5〜6のヘテロアリール基の例は先に記載されており、特定の例は以下に記載される。
化合物の1つのサブグループにおいて、ヘテロアリール基は環員数5である。
化合物の別のサブグループにおいて、ヘテロアリール基は環員数6である。
単環式ヘテロアリール基Rは、典型的にはN、OおよびSから選択される最大4個の環ヘテロ原子、より典型的には最大3個の環ヘテロ原子、たとえば1、2または3個の環ヘテロ原子を有する。
が非芳香族単環式複素環式基である場合、Rは上述または後述の基のいずれか1つであってもよい。このような基は、典型的には環員数4〜7、より好ましくは環員数5または6である。非芳香族単環式複素環式基は、典型的には、N、SおよびOから選択される最大3個の環へテロ原子、より一般には1または2個の環へテロ原子を含有する。複素環式基は、飽和していても、一部飽和していなくてもよいが、好ましくは飽和している。非芳香族単環式複素環式基の特定例は、上述の「一般的に好ましい態様および定義」の章に記載される特定例および好ましい例であり、以下の表および例に記載される通りである。
が二環式基である場合、Rは、典型的には環員数8〜10、たとえば環員数8、9または10である。二環式基は、アリールまたはヘテロアリール基であり得、このような基の例としては、別の5員環に縮合された5員環;6員環に縮合された5員環;および別の6員環に縮合された6員環を含む基が挙げられる。これらのカテゴリーそれぞれにおける基の例は、上述の「一般的に好ましい態様および定義」の章に記載されている。
二環式アリールまたはヘテロアリール基は、2つの芳香族もしくは不飽和環、または1つの芳香族および1つの非芳香族(たとえば、一部飽和した)環を含み得る。
二環式ヘテロアリール基は、典型的にはN、SおよびOから選択される最大4個のヘテロ原子を環員として含有する。故に、たとえば、それらは、1、2、3または4個のヘテロ原子を環員として含有してもよい。
単環式および二環式複素環式基Rにおいて、ヘテロ原子環員の組み合わせの例としては、N;NN;NNN;NNNN;NO;NNO;NS;NNS;O;S;OOおよびSSが挙げられる。
の特定例としては、ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル(たとえば、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン3−イル)、フラニル(たとえば、2−フラニルおよび3−フラニル)、インドリル(たとえば、3−インドリル、4−インドリルおよび7−インドリル)、オキサゾリル、チアゾリル(たとえば、チアゾール−2−イルおよびチアゾール−5−イル)、イソキサゾリル(たとえば、イソキサゾール−3−イルおよびイソキサゾール−4−イル)、ピロリル(たとえば、3−ピロリル)、ピリジル(たとえば、2−ピリジル)、キノリニル(たとえば、キノリン−8−イル)、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ダイオキシン(たとえば、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ダイオキシン−5−イル)、ベンゾ[1,3]ジオキソール(たとえば、ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)、2,3−ジヒドロベンゾフラニル(たとえば、2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イル)、イミダゾリルおよびチオフェニル(たとえば、3−チオフェニル)から選択される、置換されていてもよいか、または置換されていないヘテロアリール基が挙げられる。
の他の例としては、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン、イソベンゾフラン、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、テトラゾリル、テトラヒドロイソキノリニル(たとえば、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル)、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾ[d]イソキサゾール、フタラジン、2H−フタラジン−1−オン、ベンゾキサゾール、シンノリン、キノキサリン、ナフタレン、ベンゾ[c]イソキサゾール、イミダゾ[2,1−b]チアゾール、ピリドン、テトラヒドロキノリニル(たとえば、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)および4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾフラン基が挙げられる。
好ましいRヘテロアリール基としては、ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル、フラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、チオフェニル、インドリル、チアゾリル、イソキサゾリルおよび2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ダイオキシン基が挙げられる。
好ましいアリール基Rは、置換されていてもよいフェニル基である。
非芳香族基Rの例としては、単環式シクロアルキルおよびアザシクロアルキル基、たとえばシクロヘキシル、シクロペンチルおよびピペリジニル、特にシクロヘキシルおよび4−ピペリジニル基が挙げられる。非芳香族基Rの他の例としては、単環式オキサシクロアルキル基、たとえばテトラヒドロピラニルおよびアザオキサシクロアルキル基、たとえばモルホリノ(たとえば、2−モルホリノおよび4−モルホリノ)が挙げられる。
好ましい置換および非置換C1−8ヒドロカルビル基としてはトリフルオロメチルおよびt−ブチル基が挙げられる。
好ましいR基の1つのサブセットとしては、フェニル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジニルおよび2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ダイオキシン基が挙げられる。
好ましいR基の別のサブセットとしては、非置換および置換フェニル基、ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル基、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン基、インドール−4−イル基、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル基、t−ブチル基、フラニル基、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル基、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、ベンゾキサゾール−2−イル基、2H−テトラゾール−5−イル基、ピラジン−2−イル基、ピラゾリル基、ベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、α−アミノベンジル基、α−メチルアミノベンジル基、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾ[d]イソキサゾール−3−イル基、2H−フタラジン−1−オン−4−イル基、ベンゾキサゾール−7−イル基、キナゾリニル基、2−ナフチル基、シクロプロピル基、ベンゾ[c]イソキサゾール−3−イル基、4−ピペリジニル基、5−チアゾリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、3−ピロリル基、イソキサゾリル基、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル基、4−ピリミジニル基、シクロヘキシル基、テトラヒドロピラン−4−イル基、テトラヒドロキノリニル基、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾフラニル基およびモルホリニル基が挙げられる。
基Rは、非置換または置換炭素環式または複素環式基であることができ、ここで1個以上の置換基は、先に定義したような基R10から選択され得る。1つの実施態様において、R上の置換基は、ハロゲン、水酸基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、環員数5または6でO、NおよびSから選択された2以下のヘテロ原子を有する複素環式基、R−R基(ここで、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SOまたはSOであり、Rは、水素、環員数5または6でO、NおよびSから選択された2以下のヘテロ原子を含む複素環式基、ならびに水酸基、オキソ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、環員数5または6でO、NおよびSから選択された2以下のヘテロ原子を含む炭素環式基および複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基(ここで、前記C1−8ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、XC(X)、C(X)XまたはXC(X)Xで置き換えられていてもよい)から選択されたものであり、XはOまたはSであり、Xは=Oまたは=Sである)からなる群R10aから選択されてもよい。
更なる実施態様において、R上の置換基は、ハロゲン、水酸基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、R−R基(ここで、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SOまたはSOであり、Rは、水素、ならびに水酸基、オキソ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基およびカルボキシ基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基(ここで、前記C1−8ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、XC(X)、C(X)XまたはXC(X)Xで置き換えられていてもよい)から選択されたものであり、XはOまたはSであり、Xは=Oまたは=Sである)からなる群R10bから選択されてもよい。
別の実施態様において、R上の置換基は、ハロゲン、水酸基、トリフルオロメチル基、R−R基(ここで、Rは、結合またはOであり、Rは、水素、ならびに水酸基およびハロゲンから選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基から選択されたものである)から選択されてもよい。
基R(たとえば、アリールまたはヘテロアリール基R)上に存在してもよい置換基の1つのサブセットとしては、フッ素、塩素、メトキシ、メチル、オキサゾリル、モルホリノ、トリフルオロメチル、ブロモメチル、クロロエチル、ピロリジノ、ピロリジニルエトキシ、ピロリジニルメチル、ジルフオロメトキシおよびモルホリノメチルが挙げられる。
基R上に存在してもよい置換基の別のサブセットとしては、フッ素、塩素、メトキシ基、エトキシ基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、アミノ基、オキサゾリル基、モルホリノ基、トリフルオロメチル基、ブロモメチル基、クロロエチル基、ピロリジノ基、ピロリジニルエトキシ基、ピロリジニルメチル基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、モルホリノ基、N−メチルピペラジノ基、ピペラジン基、ピペリジノ基、ピロリジノ基およびモルホリノメチル基が挙げられる。
部分Rは、2個以上の置換基で置換されていてもよい。故に、たとえば、1、2、3または4個の置換基、より典型的には1、2または3個の置換基があってもよい。1つの実施態様では、Rが6員環(たとえば、フェニル環などの炭素環)である場合、単一の置換基が環上の2、3および4位のいずれか1つに位置していてもよい。別の実施態様では、2または3個の置換基があってもよく、これらは、環の周囲の2、3、4または6位に位置していてもよい。例として、フェニル基Rは、2,6−二置換、2,3−二置換、2,4−二置換、2,5−二置換、2,3,6−三置換または2,4,6−三置換されていてもよい。
1つの実施態様では、フェニル基Rは、フッ素、塩素およびR−R(式中、RはOであり、RはC1−4アルキルである)から選択される置換基で、2および6位にて二置換されていてもよく、フッ素が特定の置換基である。
化合物の1つのサブグループにおいて、基Rは、O、NおよびSから選択される1または2個の環へテロ原子を含有する5員ヘテロアリール基である。特定のヘテロアリール基としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソキサゾールおよびチアゾール基が挙げられる。ヘテロアリール基は、置換されていなくても、先に定義したような1個以上の置換基で置換されていてもよい。
5員ヘテロアリール基の1つの好ましい基は、置換されていてもよいイソキサゾールおよびチアゾール基からなる。
化合物の別のサブグループにおいて、Rはピラゾロピリジン基、たとえばピラゾロ[1,5−a]ピリジン基、たとえば3−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル基である。
基Rの特定例としては、以下の表1に記載される基A1〜A183(たとえば、A1〜A60)が挙げられる。
Figure 2008526721
Figure 2008526721
Figure 2008526721
Figure 2008526721
Figure 2008526721
Figure 2008526721
Figure 2008526721
Figure 2008526721
Figure 2008526721
Figure 2008526721
本発明の化合物の1つの好ましいサブセットは、RがA1〜A34から選択される基であるサブセットである。
本発明の化合物の別の好ましいサブセットは、RがA1〜A24、A26〜A34、A38〜A46、A48〜A57、A59〜A64、A66〜A114、A116〜A165、A167〜A168およびA170〜A183から選択される基である。
化合物の別の好ましいサブセットは、Rが基A184であるサブセットである。
基Rの1つの特に好ましいサブセットとしては、2,6−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−フルオロフェニル、2−フルオロ−6−メトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2,4,6−トリフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチル、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ダイオキシン−5−イルおよびピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イルが挙げられる。このサブセットから選択される基Rを含有する化合物は、特に良好なcdk阻害活性を有する。
基Rの別の特に好ましいサブセットとしては、2,6−ジフルオロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル基、2−フルオロ−6−メトキシフェニル基、2−フルオロ−5−メトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2−クロロ−6−フルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、2−クロロ−6−メチル基、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル基およびピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル基が挙げられる。
1つの現在好ましい基Rは、2,6−ジフルオロフェニルである。
別の好ましい基Rはシクロプロピルである。
は水素、ハロゲン、メトキシ、またはハロゲン、水酸基もしくはメトキシで置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基である。好ましくは、Rは水素、塩素またはメチルであり、最も好ましくは、Rは水素である。
式(I)の化合物において、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と共に、環員数5〜7(そのうち最大3個は、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子であり得る)の縮合複素環式または炭素環式基を形成している。縮合炭素環または複素環は、本明細書に定義されるような0〜4個の基R10で置換されていてもよい。縮合複素環式または炭素環式基は、芳香族または非芳香族で有り得るが、好ましくは芳香族である。
1つの好ましい化合物群において、RおよびRは、それらが結合する炭素原子と共に、環員数5〜7の縮合炭素環式基を形成している。
縮合5員および6員炭素環式または複素環式基が特に好ましい。縮合複素環の例としては、5および6員環、たとえば、チアゾロ、イソチアゾロ、オキサゾロ、イソオキサゾロ、ピロロ、ピリド、チエノ、フラノ、ピリミド、ピラゾロ、ピラジノ、テトラヒドロアゼピノンおよびイミダゾロ縮合環が挙げられる。縮合複素環式基が、6員環基から選択されるのが好ましく、1つの特に好ましい基はピリド基である。
縮合炭素環の例としては、5および6員環、たとえば、ベンゾ、ジヒドロまたはテトラヒドロ−ベンゾおよびシクロペンタ−縮合環が挙げられる。6員環が好ましい。1つの特に好ましい基はベンゾ基である。
5員環ならびにRおよびRにより形成された環系の特定例は、下記に示す環系(i)〜(iv)である。環系(i)が一般に好ましい。
Figure 2008526721
縮合炭素環式または複素環式基は、先に定義したような1個以上の基R10によって置換されていてもよい。
1つの実施態様において、縮合炭素環式または複素環式基上の置換基は、ハロゲン、水酸基、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、環員数3〜7(典型的には5または6)の単環式炭素環式および複素環式基、基R−R(式中、Rは結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONRまたはNRSOであり;Rは、水素、環員数3〜7の炭素環式または複素環式基、ならびに水酸基、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、環員数3〜7の炭素環式または複素環式基から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基(ここで、前記C1−8ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)XまたはXC(X)Xで置き換えられていてもよい)から選択され;R、XおよびXは先に定義された通りであるか、または隣接する2つの基R10は、それらが結合する炭素原子またはヘテロ原子と共に、5員ヘテロアリール環または5もしくは6員非芳香族複素環を形成してもよい(ここで、前記ヘテロアリールおよび複素環式基は、N、OおよびSから選択される最大3個のヘテロ原子を環員として含有する)。
およびRで形成される縮合炭素環式または複素環式基上の好ましいR10基としては、ハロゲン(例えば、フッ素および塩素)、R−R基(式中、Rは、結合、O、CO、C(X)Xであり、Rは、水素、環員数3〜7(好ましくは環員数5または6)の複素環式基、ならびに水酸基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、および環員数3〜7(例えば、環員数5または6)の複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基(例えば、飽和ヒドロカルビル基、例えば、アルキル基またはシクロアルキル基)から選択されたものである)が挙げられる。
本発明の1つの好ましい化合物群は、式(II)で表される:
Figure 2008526721
(式中、Q〜Q、R、RおよびXは、本明細書に定義される通りであり;
Yは、NまたはCR(Rは水素または基R10である)であり;
、RおよびRは、同一または異なっており、各々が水素または本明細書に定義されるような基R10である)。
式(II)の化合物の1つのサブグループにおいて、XはNである。
式(II)の化合物の別のサブグループにおいて、YはCRである。
YがNである場合、Rはアミノ以外であるのが好ましい。
1つの実施態様において、本発明の化合物は、式(III)で表される:
Figure 2008526721
(式中、Q〜Q、R、RおよびR〜Rは、本明細書に定義される通りである)。
本発明の別の実施態様は、式(IIIa)で表すことができる:
Figure 2008526721
式(III)および式(IIIa)において、Rは水素またはC1−4アルキル基であり、より典型的には、Rは水素であることが好ましい。
式(III)で定義された化合物群において、Rは、好ましくは、2,3−二置換、2,6−二置換もしくは2,4,6−三置換フェニル基または2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシンであり、前記置換基がハロゲンおよびC1−4アルコキシ基である。
より好ましくは、Rは、2,6−ジフルオロフェニル基、2−フルオロ−6−メトキシフェニル基、2−クロロ−6−フルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル基および2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン基から選択されたものである。
1つの特に好ましい基Rは2,6−ジフルオロフェニルである。
別の特に好ましい基Rはシクロプロピルである。
部分R、R、RおよびRは、典型的には、各々水素、ハロゲン、水酸基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、環員数3〜12(好ましくは3〜7、より典型的には5または6)である単環式炭素環式基および複素環式基、R−R基(式中、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONRまたはNRSOであり;そしてRは、水素、環員数3〜7の炭素環式基または複素環式基、ならびに水酸基、C1−4アシルオキシ基、オキソ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、環員数3〜7の炭素環式基または複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基(ここで、C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X1またはXC(X)Xで置き換わっていてもよい)から選択されたものであり、R、XおよびX)から選択されたものであるか;またはR、R、RおよびRから選択された隣接する対の置換基が、それらが結合している炭素原子とともに、O、NおよびSから選択された3以下のヘテロ原子を含む非芳香族5員環または6員環を形成していてもよい。
1つの実施態様において、R〜Rは、各々水素であるか、またはハロゲン、シアノ基、水酸基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、R−R基(式中、Rは結合、O、COまたはC(X)Xであり、Rは水素、環員数3〜12(好ましくは環員数4〜7、例えば、環員数5および6)の複素環式基、ならびに水酸基、C1−4アシルオキシ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基(例えば、モノアルキルアミノ基およびジアルキルアミノ基)、環員数3〜12、より好ましくは環員数4〜7(例えば、環員数5または6)の複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基(好ましくはC1−4ヒドロカルビル基、例えば、飽和ヒドロカルビル基、例えば、アルキル基またはシクロプロピル基)から選択されたものである)から選択されたものであり;Rは水素およびC1−4ヒドロカルビル基(例えば、飽和ヒドロカルビル基、例えば、アルキル基およびシクロアルキル基)から選択されたものであり、XはOまたはNRであり、Xは=Oである。
別の実施態様において、R、R、RおよびRは、水素、フッ素、塩素、臭素、ニトロ基、トリフルオロメチル基、カルボキシ基、R−R基(式中、Rは結合、O、COまたはC(X)Xであり、Rは水素、環員数3〜7の複素環式基(例えば、ピロリジン基、N−メチルピペラジン基またはモルホリン基)、ならびに水酸基、カルボキシ基、C1−4アシルオキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、および環員数3〜7の複素環式基(例えば、ピロリジン基、N−メチルピペラジン基またはモルホリン基)から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基から選択されたものである)から選択されたものであるか;またはR、R、RおよびRから選択された隣接する対の置換基は、それらが結合している炭素原子とともに、1個または2個の酸素原子を環員として含む非芳香族5員環または6員環を形成していてもよい。
より好ましい実施態様において、R、R、RおよびRは、水素、フッ素、塩素、トリフルオロメチル基、R−R基(式中、Rは結合、O、CO、C(X)Xであり、Rは水素、環員数5または6の飽和複素環式基、ならびに水酸基、カルボキシ基、C1−2アシルオキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、および環員数5または6の複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−2ヒドロカルビル基から選択されたものである)から選択されたものであるか;またはR、R、RおよびRから選択された隣接する対の置換基は、一つ以上のフッ素原子により置換されていてもよいメチレンジオキシ基またはエチレンジオキシ基を形成していてもよい。
別の実施態様において、特定の置換基R〜Rとしては、ハロゲン;ニトロ基;カルボキシ基;R−R基(式中、Rは結合、O、COまたはC(X)Xであり、Rは水素、環員数3〜7の複素環式基、ならびに水酸基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、および環員数3〜7の複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基から選択されたものである)が挙げられる。
〜Rの各々は、水素または先に定義したような置換基であり得るが、R〜Rの少なくとも1個、より好ましくは少なくとも2個が水素であるのが好ましい。
1つの特定の実施態様において、R〜Rの1つは置換基であり、他の各々は水素である。たとえば、Rは置換基であり得、R〜Rは各々水素であり得、またはRは置換基であり得、およびR、RおよびRは各々水素であり得る。
別の特定の実施態様において、R〜Rの2つは置換基であり、他の2つは両方とも水素である。たとえば、RおよびRが両方とも水素である場合、RおよびRは両方とも置換基であり得るか;または、RおよびRが両方とも水素である場合、RおよびRは両方とも置換基であり得るか;または、RおよびRが両方とも水素である場合、RおよびRは両方とも置換基であり得る。
は、好ましくは、
水素;
ハロゲン(好ましくはフッ素または塩素);
水酸基、ハロゲン(例えば、フッ素、好ましくはジフルオロ基またはトリフルオロ基、より好ましくはトリフルオロ基)およびNR1112から選択された置換基により置換されていてもよいメチル基;ならびに
C(=O)NR1112
(式中、R11およびR12は、同一または異なっていてもよく、各々水素およびC1−4アルキル基から選択されたものであるか、またはR11およびR12は、前記窒素原子とともに、O、NおよびS(好ましくはOおよびN)から選択された1個または2個のヘテロ原子環員を有する5員または6員複素環を形成している)、
から選択される。
は、好ましくは、
水素;
ハロゲン(好ましくはフッ素または塩素);
1−4アルコキシ基(例えば、メトキシ基);
水酸基、ハロゲン(例えば、フッ素、好ましくはジフルオロ基またはトリフルオロ基、より好ましくはトリフルオロ基)およびNR1112から選択された置換基により置換されていてもよいメチル基;ならびに
C(=O)NR1112
(式中、R11およびR12は、同一または異なっていてもよく、各々水素およびC1−4アルキル基から選択されたものであるか、またはR11およびR12は、前記窒素原子とともに、O、NおよびS(好ましくはOおよびN)から選択された1個または2個のヘテロ原子環員を有する5員または6員複素環を形成している)、
から選択される。
は、好ましくは、水素、フッ素およびメチル基から選択されたもの、最も好ましくは水素である。
は、好ましくは、
水素;
ハロゲン(好ましくはフッ素または塩素);
1−4アルコキシ基(例えば、メトキシ基);
水酸基、ハロゲン(例えば、フッ素、好ましくはジフルオロ基またはトリフルオロ基、より好ましくはトリフルオロ基)およびNR1112から選択された置換基により置換されていてもよいメチル基;ならびに
C(=O)NR1112
(式中、R11およびR12は、同一または異なっていてもよく、各々水素およびC1−4アルキル基から選択されたものであるか、またはR11およびR12は、前記窒素原子とともに、O、NおよびS(好ましくはOおよびN)から選択された1個または2個のヘテロ原子環員を有する5員または6員複素環を形成している)、
から選択される。
あるいは、RおよびRまたはRおよびRは、それらに結合する炭素原子と共に、
Figure 2008526721
から選択される環式基を形成してもよい。
上述の定義において、R11およびR12が、基NR1112中の窒素原子と共に、5または6員複素環を形成する時、ヘテロ原子環員は、好ましくはOおよびNから選択される。複素環は典型的には非芳香族であり、このような環の例としては、モルホリン、ピペラジン、N−C1−4アルキルピペラジン、ピペリジンおよびピロリジンが挙げられる。N−C1−4アルキルピペラジン基の特定例としては、N−メチルピペラジンおよびN−イソプロピルピペラジンが挙げられる。
好ましい基R〜Rとしては、ベンズイミダゾール基
Figure 2008526721
が、以下の表2に示される通りであるものが挙げられる。
Figure 2008526721
Figure 2008526721
Figure 2008526721
Figure 2008526721
Figure 2008526721
Figure 2008526721
上記表2に記載されるベンズイミダゾール基の中で、特定の基としては、基B1、B3、B5〜B8、B11〜B20、B23〜B30およびB32〜B47が挙げられる。
好ましい化合物の1つのサブセットは、ベンズイミダゾール部分が基B1、B3、B5〜B8、B11〜B20、B24、B25、B27〜B30およびB32〜B47から選択される化合物群である。
特に好ましいベンズイミダゾール部分は、基B8、B15およびB35であり、より特定的には基B15である。
本発明の1つの新規化合物群は、式(IV)で表すことができる:
Figure 2008526721
(式中、Aは、NH(C=O)、O(C=O)またはC=Oであり;
6a、R7a、R8aおよびR9aは、同一または異なっていてもよく、各々水素、ハロゲン、水酸基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、環員数3〜12の炭素環式基および複素環式基;R−R基(式中、Rは結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONRまたはNRSOであり;そしてRは、水素、環員数3〜12の炭素環式基および複素環式基、ならびに水酸基、オキソ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、環員数3〜12の炭素環式基および複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基(ここで、前記C1−8ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)XまたはXC(X)Xで置き換えられていてもよい)から選択されたものである)から選択されたものであるか;またはR6a、R7a、R8aおよびR9aのうちの2つの隣接する基が、それらが結合している炭素原子とともに、5員ヘテロアリール環または5員または6員非芳香族複素環を形成していてもよく、この場合、前記ヘテロアリール基および複素環式基はN、OおよびSから選択された3個以下のヘテロ原子環員を含み;
は、水素およびC1−4ヒドロカルビル基から選択されたものであり;そして
は、O、SまたはNRであり、Xは=O、=Sまたは=NRであるか;
またはR6a、R7a、R8aおよびR9aから選択された隣接する対の置換基が、それらが結合している炭素原子とともに、O、NおよびSから選択された3個以下のヘテロ原子を含む非芳香族5員環または6員環を形成していてもよく;
1aは、
・1個〜3個の置換基R10cにより置換された6員単環式アリール基(但し、前記アリール基がメチル基で置換されているときは、メチル基以外の少なくとも一つの置換基が存在する);
・窒素である単一のヘテロ原子環員を含む6員単環式ヘテロアリール基であって、1個〜3個の置換基R10cにより置換されているヘテロアリール基;
・窒素および硫黄から選択された3個以下のヘテロ原子環員を含む5員単環式ヘテロアリール基であって、1個〜3個の置換基R10cにより置換されていてもよいヘテロアリール基;
・単一の酸素ヘテロ原子環員および任意に窒素ヘテロ原子環員を含み、1個〜3個の置換基R10cにより置換されている5員単環式ヘテロアリール基(但し、ヘテロアリール基が窒素環員を含み、メチル基により置換されているとき、メチル基以外の少なくとも一つの置換基が存在する);
・ヘテロ原子環員数が4以下である二環式アリール基およびヘテロアリール基であって、どちらか一つの環が芳香族で、他方は非芳香族であるか、または両方の環が芳香族であり、前記二環式基が1個〜3個の置換基R10cにより置換されていてもよい、二環式アリール基およびヘテロアリール基;
・窒素、酸素および硫黄から選択された3個以下のヘテロ原子を含み、1個〜3個の置換基R10cにより置換されていてもよい、4員、6員および7員単環式C結合飽和複素環式基(但し、複素環式基が6員環であり、酸素である一つのヘテロ原子のみを含むとき、少なくとも一つの置換基R10cが存在する);
・窒素、酸素および硫黄から選択された3個以下のヘテロ原子を含み、1個〜3個の置換基R10cにより置換されていてもよい、5員単環式C結合飽和複素環式基(但し、前記複素環式基が5員環であり、窒素である一つのヘテロ原子のみを含むとき、水酸基以外の少なくとも一つの置換基R10cが存在する);
・1個〜3個の置換基R10cにより置換されていてもよい4員および6員シクロアルキル基;
・1個〜3個の置換基R10cにより置換されている3員および5員シクロアルキル基;ならびに
・Ph′CR1718−基(ここで、Ph′は、1個〜3個の置換基R10cにより置換されているフェニル基であり;R17およびR18は、同一又は異なっていてもよく、各々水素およびメチル基から選択されたものであるか;またはR17およびR18は、それらが結合している炭素原子といっしょに、シクロプロピル基を形成しているか;またはR17およびR18のうちの一つが水素であり、他方がアミノ基、メチルアミノ基、C1−4アシルアミノ基およびC1−4アルコキシカルボニルアミノ基から選択されたものである)
から選択されたものであり;
そしてR6a、R7a、R8aおよびR9aのうちの一つがモルホリノメチル基であるとき、R1aは、さらに
・非置換フェニル基および一つ以上のメチル基で置換されたフェニル基;
・窒素である単一のヘテロ原子環員を含む非置換6員単環式ヘテロアリール基;
・非置換フリル基;
・単一の酸素ヘテロ原子環員および窒素ヘテロ原子環員を含み、非置換であるか、または一つ以上のメチル基により置換されている、5員単環式ヘテロアリール基;
・酸素である一つのヘテロ原子のみを含む非置換6員単環式C結合飽和複素環式基;ならびに
・非置換3員および5員シクロアルキル基
から選択されたものであり;
そしてR10cは、
・ハロゲン(例えば、FおよびCl);
・水酸基;
・水酸基およびハロゲンから選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビルオキシ基;
・水酸基、ハロゲン、および窒素、酸素および硫黄から選択された1個または2個のヘテロ原子環員を含む5員および6員飽和複素環から選択された一つ以上の置換基で置換されたC1−4ヒドロカルビル基;
・S−C1−4ヒドロカルビル基;
・C1−4アルキル基、トリフルオロメチル基、フルオロ基およびクロロ基から選択された1個〜3個の置換基により置換されていてもよいフェニル基;
・5環員または6環員(例えば、オキサゾール基、ピリジル基、ピリミジニル基)を有し、N、OおよびSから選択された3以下のヘテロ原子を含み、C1−4アルキル基、トリフルオロメチル基、フルオロ基およびクロロ基から選択された1個〜3個の置換基により置換されていてもよい、ヘテロアリール基;
・N、OおよびSから選択された3個以下のヘテロ原子を含み、C1−4アルキル基、トリフルオロメチル基、フルオロ基およびクロロ基から選択された1個〜3個の置換基により置換されていてもよい、5員および6員非芳香族複素環式基(例えば、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジン基、N−メチルピペラジノ基、モルホリノ基);
・シアノ基、ニトロ基、アミノ基、C1−4アルキルアミノ基、ジ−C1−4アルキルアミノ基、C1−4アシルアミノ基、C1−4アルコキシカルボニルアミノ基;
・R19−S(O)−基(式中、nは0、1または2であり、R19はアミノ基;C1−4アルキルアミノ基;ジ−C1−4アルキルアミノ基;C1−4ヒドロカルビル基;C1−4アルキル基、トリフルオロメチル基、フルオロ基およびクロロ基から選択された1個〜3個の置換基により置換されていてもよいフェニル基;およびN、OおよびSから選択された3個以下のヘテロ原子を含み、1個〜3個のC1−4アルキル置換基により置換されていてもよい、5員および6員非芳香族複素環式基から選択されたものである);ならびに
・R20−Q−基(式中、R20は、C1−4アルキル基、トリフルオロメチル基、フルオロ基およびクロロ基から選択された1個〜3個の置換基により置換されていてもよいフェニル基であり;Qは、OCH、CHO、NH、CHNH、NCH、CH、NHCOおよびCONHから選択されたリンカー基である)、
から選択されたものである)。
1つの好ましい化合物のサブグループにおいて、R1aは、環員数5または6のヘテロアリール基(たとえば、オキサゾール、チアゾール、ピリジル、ピリミジル)から選択され、N、OおよびSから選択される最大3個のヘテロ原子を含有し、前記ヘテロアリール基は、C1−4アルキル、トリフルオロメチル、フルオロおよびクロロから選択される1個〜3個の置換基で置換されていてもよい。置換チアゾール基、たとえば2−メチル−4−トリフルオロメチル−2−チアゾリルは1つの好ましい実施態様である。
別の好ましい化合物のサブグループにおいて、R1aは、単一の酸素へテロ原子環員を含有し、さらには窒素へテロ原子環員を含有してもよく、1個〜3個の置換基R10cで置換されている5員単環式ヘテロアリール基から選択されるが、但し、ヘテロアリール基が窒素環員を含有し、メチル基で置換されている時、メチル以外の少なくとも1つの置換基が存在する。1つのこのような基は、プロピルまたはブチル基などのC2−4アルキル基で置換されているイソキサゾール、たとえばイソブチルである。
別の好ましい化合物のサブグループにおいて、R1aは、1個〜3個の置換基R10cで置換されている3員および5員シクロアルキル基から選択される。置換シクロプロピル基が特に好ましく、たとえばフェニルまたはシアノで置換されているシクロプロピル基、たとえば1−シアノシクロプロピルおよび1−フェニルシクロプロピルである。
更なる化合物のサブグループにおいて、R1aは、基Ph’CR1718(式中、Ph’は、1個〜3個の置換基R10cで置換されているフェニル基であり;R17およびR18は同一または異なっており、各々が水素およびメチルから選択され;または、R17およびR18は、それらが結合されている炭素原子と共に、シクロプロピル基を形成し;または、R17およびR18の一方は水素であり、他方はアミノ、メチルアミノ、C1−4アシルアミノおよびC1−4アルコキシカルボニルアミノから選択される)から選択される。
本発明の別の新規化合物群は、式(V)で表すことができる:
Figure 2008526721
(式中、
Aは、NH(C=O)またはC=Oであり;
1bは、1〜4個の置換基を有する置換フェニル基であり、それにより、
(i)R1bが単一の置換基を有するとき、その置換基は、ハロゲン、水酸基、水酸基およびハロゲンから選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビルオキシ基;水酸基およびハロゲンから選択された一つ以上の置換基で置換されたC1−4ヒドロカルビル基;環員数5のヘテロアリール基;ならびに5員および6員非芳香族複素環式基(但し、前記ヘテロアリール基および複素環式基は、N、OおよびSから選択された3個以下のヘテロ原子を含んでいる)から選択されたものであり;
(ii)R1bが2個、3個または4個の置換基を有するとき、各々の置換基はハロゲン、水酸基、水酸基およびハロゲンから選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビルオキシ基;水酸基およびハロゲンから選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基;環員数5のヘテロアリール基;アミノ基;ならびに5員および6員非芳香族複素環式基から選択されたものであるか;または2つの隣接する置換基が、それらが結合している炭素原子とともに、5員ヘテロアリール環または5員もしくは6員非芳香族複素環式環を形成しており;前記ヘテロアリール基および複素環式基はN、OおよびSから選択された3個以下のヘテロ原子を含んでおり;
そしてR6a、R7a、R8aおよびR9aは先に定義される通りである)。
に連結されている基R1a−A−NHまたはR1b−A−NHは、アミドR1a/1b−C(=O)NH、ウレアR1a/1b−NHC(=O)またはカルバメートR1a/1b−OC(=O)の形態を取り得る。アミドおよびウレアが好ましい。1つの実施態様において、化合物はアミドである。別の実施態様において、化合物はウレアである。
式(V)において、置換フェニル基R1bは、先に定義されるような単一の置換基で置換されているか、または2個以上の置換基で置換されている。故に、1、2、3または4個の置換基、より好ましくは1、2または3個の置換基があってもよい。1つの実施態様において、2または3個の置換基があってもよく、これらは環の周囲の2、3、4、5または6位に位置していてもよい。
例として、フェニル基R1bは、2,6−二置換、2,3−二置換、2,4−二置換、2,5−二置換、2,3,6−三置換または2,4,6−三置換されていてもよい。1つの好ましい化合物群において、フェニル基R1bは、2,6−二置換、2,3−二置換または2,4,6−三置換されている。より特定的には、フェニル基R1bは、フッ素、塩素およびR−R(式中、RはOであり、RはC1−4アルキルである)から選択される置換基で2位および6位にて二置換されていてもよく、フッ素が特定の置換基である。あるいは、2つの隣接する置換基(好ましくは、2位および3位)は、それらが結合されるフェニル環と共に、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ダイオキシン基、またはインドリル基、または2,3−ジヒドロベンゾフラニル基を形成していてもよい。
別の好ましい化合物群において、フェニル基R1bは2,4−二置換または2,5−二置換されている。2−置換基は、たとえばハロゲン(たとえば、FまたはCl)またはメトキシ基である。1つの特定の化合物群において、2−置換基はメトキシである。5−置換基は、存在する場合、たとえばハロゲン(たとえば、ClまたはF)、C1−4アルキル(たとえば、tert−ブチルまたはイソプロピル)、メトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオトメチルまたは基HetN−SO−(式中、「HetN」は、窒素を含有する飽和単環式複素環、たとえばピペラジノ、N−C1−4アルキルピペラジノ、モルホリノ、ピペリジノまたはピロリジノである)から選択され得る。1つの好ましい5−置換基はClであり、好ましい2,5−組み合わせは2−メトキシ−5−クロロフェニルである。
更なる化合物群において、フェニル基R1bは、フェニル環の4位に単一の置換基を有する。この置換基は、たとえばハロゲン原子(好ましくは、フッ素または塩素、最も好ましくはフッ素)、またはトリフルオロメチル基であり得る。
別の化合物群において、フェニル基R1bは、2,4−二置換されている。
隣接する2つの置換基が、それらが結合されるフェニル環と共に、インドリル基または2,3−ジヒドロベンゾフラニル基を形成する時、前記基が4−インドリルおよび7−(2,3−ジヒドロベンゾフラニル)基のそれぞれであるのが好ましい。
1bが単置換されており、置換基がフェニル環の4位に位置する場合、この置換基は、ジフルオロメトキシ基または2−クロロエチル基(但し、4−(2−クロロエチル)−フェニル基は式(V)の他の化合物に対する中間体としての役割を果たしてもよい)以外であるのが好ましい。
1つの実施態様において、R1bが二置換されている場合、置換フェニル基は、ジメトキシフェニル基以外であっても、2−フルオロ−5−メトキシフェニル基以外であってもよい。
別の実施態様において、サブグループR1bとしては、2−フルオロ−5−メトキシフェニル基が挙げられる。このような化合物は、Auroraキナーゼに対して良好な活性を有する。
隣接する2つの置換基が組み合わさって、R1bがインドール基であるような環を形成する場合、インドール基は、好ましくはインドール−7−イル基以外である。
本発明の化合物の1つの好ましいサブグループは、R1bが上記表1に記載される基A1〜A8、A10、A12およびA14〜A24から選択される基である。
特に好ましい基R1’としては、2,6−ジフルオロフェニル基、2−フルオロ−6−メトキシフェニル基、2−クロロ−6−フルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基および2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン基が挙げられる。
1つの現在好ましい基R1’は、2,6−ジフルオロフェニルである。
部分R6a、R7a、R8aおよびR9aは、典型的には、水素、ハロゲン、水酸基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、環員数3〜12(好ましくは3〜7、より典型的には5または6)である単環式炭素環式基および複素環式基、R−R基(式中、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONRまたはNRSOであり;そしてRは、水素、環員数3〜7の炭素環式基または複素環式基、ならびに水酸基、C1−4アシルオキシ基、オキソ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、環員数3〜7の炭素環式基または複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基(ここで、C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X1またはXC(X)Xで置き換わっていてもよい)から選択されたものであり、R、XおよびX)から選択されたものであるか;またはR6a、R7a、R8aおよびR9aから選択された隣接する対の置換基が、それらが結合している炭素原子とともに、O、NおよびSから選択された3以下のヘテロ原子を含む非芳香族5員環または6員環を形成していてもよい。
1つの実施態様において、R6a〜R9aは、各々水素、ハロゲン、シアノ基、水酸基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、R−R基(式中、Rは結合、O、COまたはC(X)Xであり、Rは水素、環員数3〜12(好ましくは環員数4〜7)の複素環式基、ならびに水酸基、C1−4アシルオキシ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、環員数3〜12、より好ましくは環員数4〜7の複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基(好ましくはC1−4ヒドロカルビル基)から選択されたものである)から選択されたものであり;Rは水素およびC1−4ヒドロカルビル基から選択されたものであり、XはOまたはNRであり、Xは=Oである。
別の実施態様において、R6a、R7a、R8aおよびR9aは、水素、フッ素、塩素、臭素、ニトロ基、トリフルオロメチル基、カルボキシ基、R−R基(式中、Rは結合、O、COまたはC(X)Xであり、Rは水素、環員数3〜7(好ましくは5または6)の複素環式基(例えば、ピロリジン基、N−メチルピペラジン基またはモルホリン基)、ならびに水酸基、カルボキシ基、C1−4アシルオキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、および環員数3〜7(好ましくは5または6)の複素環式基(例えば、ピロリジン基、N−メチルピペラジン基またはモルホリン基)から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基から選択されたものである)から選択されたものであるか;またはR6a、R7a、R8aおよびR9aから選択された隣接する対の置換基が、それらが結合している炭素原子とともに、1個または2個の酸素原子を環員として含む非芳香族5員環または6員環を形成していてもよい。
より好ましい実施態様において、R6a、R7a、R8aおよびR9aは、水素、フッ素、塩素、トリフルオロメチル基、R−R基(式中、Rは結合、O、CO、C(X)Xであり、Rは水素、環員数5または6の飽和複素環式基、ならびに水酸基、カルボキシ基、C1−2アシルオキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基(たとえば、モノ−またはジ−アルキルアミノ)、および環員数5または6の複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−2ヒドロカルビル基(たとえば、アルキル)から選択されたものである)から選択されたものであるか;またはR6a、R7a、R8aおよびR9aから選択された隣接する対の置換基が、一つ以上のフッ素原子により置換されていてもよいメチレンジオキシ基またはエチレンジオキシ基を形成していてもよい。
別の実施態様において、特定の置換基R6a〜R9aとしては、ハロゲン;ニトロ基;カルボキシ基;R−R基(式中、Rは結合、O、COまたはC(X)Xであり、Rは水素、環員数3〜7(好ましくは、環員数5または6)の複素環式基、ならびに水酸基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基(たとえば、モノ−またはジ−アルキルアミノ)、および環員数3〜7(好ましくは、環員数5または6)の複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基(たとえば、アルキルまたはシクロアルキル)から選択されたものである)が挙げられる。
6a〜R9aの各々は、水素または先に定義したような水素以外の置換基であり得るが、R6a〜R9aの少なくとも1個、より好ましくは少なくとも2個が水素であるのが好ましい。
1つの特定の実施態様において、R6a〜R9aの1つは水素以外の置換基であり、他の各々は水素である。たとえば、R6aは水素以外の置換基であり得、R7a〜R9aは各々水素であり得、またはR9aは水素以外の置換基であり得、およびR6a、R7aおよびR8aは各々水素であり得る。
別の特定の実施態様において、R6a〜R9aの2つは水素以外の置換基であり、他の2つは両方とも水素である。たとえば、R7aおよびR8aが両方とも水素である場合、R6aおよびR9aは両方とも水素以外の置換基であり得るか;または、R8aおよびR9aが両方とも水素である場合、R6aおよびR7aは両方とも水素以外の置換基であり得るか;または、R6aおよびR8aが両方とも水素である場合、R7aおよびR9aは両方とも水素以外の置換基であり得る。
6aは、好ましくは、
水素;
ハロゲン(好ましくはフッ素または塩素);
水酸基、ハロゲン(例えば、フッ素、好ましくはジフルオロ基またはトリフルオロ基、より好ましくはトリフルオロ基)およびNR1112から選択された置換基により置換されていてもよいメチル基;ならびに
C(=O)NR1112
(式中、R11およびR12は、同一または異なっていてもよく、各々水素およびC1−4アルキル基から選択されたものであるか、またはR11およびR12は、前記窒素原子とともに、O、NおよびS(好ましくはOおよびN)から選択された1個または2個のヘテロ原子環員を有する5員または6員複素環を形成している)、
から選択される。
9aは、好ましくは、
水素;
ハロゲン(好ましくはフッ素または塩素);
1−4アルコキシ基(例えば、メトキシ基);
水酸基、ハロゲン(例えば、フッ素、好ましくはジフルオロ基またはトリフルオロ基、より好ましくはトリフルオロ基)およびNR1112から選択された置換基により置換されていてもよいメチル基;ならびに
C(=O)NR1112
(式中、R11およびR12は、同一または異なっていてもよく、各々水素およびC1−4アルキル基から選択されたものであるか、またはR11およびR12は、前記窒素原子とともに、O、NおよびS(好ましくはOおよびN)から選択された1個または2個のヘテロ原子環員を有する5員または6員複素環を形成している)、
から選択される。
7aは、好ましくは、
水素;
ハロゲン(好ましくはフッ素または塩素);
1−4アルコキシ基(例えば、メトキシ基);
水酸基、ハロゲン(例えば、フッ素、好ましくはジフルオロ基またはトリフルオロ基、より好ましくはトリフルオロ基)およびNR1112から選択された置換基により置換されていてもよいメチル基;ならびに
C(=O)NR1112
(式中、R11およびR12は、同一または異なっていてもよく、各々水素およびC1−4アルキル基から選択されたものであるか、またはR11およびR12は、前記窒素原子とともに、O、NおよびS(好ましくはOおよびN)から選択された1個または2個のヘテロ原子環員を有する5員または6員複素環を形成している)、
から選択される。
8aは、好ましくは、水素、フッ素およびメチル基から選択されたもの、最も好ましくは水素である。
あるいは、R6aおよびR9aまたはR9aおよびR7aは、それらに結合する炭素原子と共に、
Figure 2008526721
から選択される環式基を形成してもよい。
前述の定義において、R11およびR12が、基NR1112中の窒素原子と共に、5員または6員複素環を形成する時、ヘテロ原子環員は、好ましくはOおよびNから選択される。複素環は、典型的には非芳香族であり、このような環の例としては、モルホリン、ピペラジン、N−C1−4アルキルピペラジン、ピペリジンおよびピロリジンが挙げられる。N−C1−4アルキルピペラジン基の特定例としては、N−メチルピペラジンおよびN−イソプロピルピペラジンが挙げられる。
好ましいR6a〜R9aには、ベンゾイミダゾール基が上記表2に示すようなものなどがある:
Figure 2008526721
上記表2に示したベンゾイミダゾール基のうち、具体的な基には、Bl基、B3基、B5〜B8基、B11〜B20基、B23〜B30基およびB32〜B47基などがある。
特に好ましい基は、B1基、B3基、B5〜B8基、B11〜B20基、B24基、B25基、B27〜B30基およびB32〜B47基などがある。
式(V)の一つの好ましい化合物群は、式(Va)で表すことができる:
Figure 2008526721
(式中、R6a〜R9aは、上記で定義した通りであり;そして
(i)R13は、メトキシ基であり、R14〜R16は、各々水素であるか;または
(ii)R14は、オキサゾリル基、イミダゾリル基またはチアゾリル基、好ましくはオキサゾリル基であり、R13、R15およびR16は、各々水素であるか;または
(iii)R13はフッ素、塩素およびメチル基から選択されたものであり、R16はフッ素、塩素、メチル基およびメトキシ基から選択されたものであり、R14およびR15は、各々水素であるか;または
(iv)R13およびR16は各々フッ素、塩素およびメチル基から選択されたものであり、R14はフッ素、塩素、メチル基およびメトキシ基から選択されたものであり;そしてR15は、水素であるか;または
(v)R13およびR14は各々水素であり;R15は、フッ素、塩素、メチル基およびメトキシ基(より好ましくはメチル基およびメトキシ基)から選択されたものであり、R16はフッ素、塩素およびメチル基(より好ましくはフッ素)から選択されたものであり、またはR15およびR16は、フェニル環の炭素原子とともに、以下から選択される基を形成する):
Figure 2008526721
フェニル環の特に好ましい置換基は、置換基(i)、(iii)、(iv)および(v)である。
式(Va)において、一つの具体的なサブグループの化合物は、以下の化合物である:
(i)R13は、メトキシ基であり、R14〜R16は、各々水素であるか;または
(iii)R13はフッ素、塩素およびメチル基から選択されたものであり、R16はフッ素、塩素、メチル基およびメトキシ基から選択されたものであり、R14およびR15は、各々水素であるか;または
(iv)R13およびR16は各々フッ素、塩素およびメチル基から選択されたものであり、R14はフッ素、塩素、メチル基およびメトキシ基から選択されたものであり;そしてR15は、水素であるか;または
(vii)R13およびR14は各々水素であり;R15は、メトキシ基であり、R16はフッ素であり、またはR15およびR16は、フェニル環の炭素原子とともに、以下から選択される基を形成する:
Figure 2008526721
式(Va)における特に好ましいサブグループの化合物は、以下の化合物群である:
(iii)R13はフッ素、塩素およびメチルから選択されたものであり、R16はフッ素、塩素、メチルおよびメトキシから選択されたものであり、R14およびR15は各々水素であるか;または
(vi)R13、R14およびR16は各々フッ素であり、R15は水素でするか;または
(vii)R13およびR14は各々水素であり、R15およびR16は、フェニル環の炭素原子とともに、以下の基を形成している:
Figure 2008526721
式(V)および(Va)の化合物は、CDKの阻害剤として特に好ましい。
本発明のさらなる実施態様によれば、式(VI)の化合物が提供される:
Figure 2008526721
(式中、
AがNH(C=O)またはC=Oのとき、
1cは、
(a)一置換フェニル基(但し、ここでの置換基は、o−アミノ基、o−メトキシ基;o−クロロ基;p−クロロ基;o−ジフルオロメトキシ基;o−トリフルオロメトキシ基;o−t−ブチルオキシ基;m−メチルスルホニル基およびp−フルオロ基から選択されたものである);
(b)2,4−または2,6−二置換フェニル基(但し、一つの置換基はo−メトキシ基、o−エトキシ基、o−フルオロ基、p−モルホリノ基から選択されたものであり、他方の置換基はo−フルオロ基、o−クロロ基、p−クロロ基およびp−アミノ基から選択されたものである);
(c)2,5−二置換フェニル基(但し、一つの置換基はo−フルオロ基およびo−メトキシ基から選択されたものであり、他方の置換基はm−メトキシ基、m−イソプロピル基、m−フルオロ基、m−トリフルオロメトキシ基、m−トリフルオロメチル基、m−メチルスルファニル基、m−ピロリジノスルホニル基、m−(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル基、m−モルホリノスルホニル基、m−メチル基、m−クロロ基およびm−アミノスルホニル基から選択されたものである);
(d)2,4,6−三置換フェニル基(但し、ここでの置換基は、同一又は異なっていてもよく、各々o−メトキシ基、o−フルオロ基、p−フルオロ基、p−メトキシ基から選択されたものであるが、但し複数のメトキシ置換基は存在しない);
(e)2,4,5−三置換フェニル基(但し、ここでの置換基は、同一又は異なっていてもよく、各々o−メトキシ基、m−クロロ基およびp−アミノ基から選択されたものである);
(f)非置換ベンジル基;2,6−ジフルオロベンジル基;α,α−ジメチルベンジル基;1−フェニルシクロプロピル−1−イル基;およびα−t−ブトキシカルボニルアミノベンジル基;
(g)非置換2−フリル基、または4−(モルホリン−4−イルメチル)基、ピペリジニルメチル基から選択された単一の置換基;およびメチル基から選択される任意のさらなる置換基を有する2−フリル基;
(h)非置換ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル基;
(i)1個または2個のC1−4アルキル基で置換されたイソキサゾリル基;
(j)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾ[d]イソキサゾール−3−イル基;
(k)3−t−ブチル−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル基;
(l)キオキサリニル基;
(m)ベンゾ[c]イソキサゾール−3−イル基;
(n)2−メチル−4−トリフルオロメチル−チアゾール−5−イル基;
(o)3−フェニルアミノ−2−ピリジル基;
(p)1−トルエンスルホニルピロール−3−イル基;
(q)2,4−ジメトキシ−3−ピリジル基;および6−クロロ−2−メトキシ−4−メチル−3−ピリジル基;
(r)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル基;
(s)5−クロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル基;
(t)3−メトキシ−ナフチル−2−イル基;
(u)2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル基;
(v)1個または2個のメチル基により、5員環に置換がなされていてもよい、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル基;
(w)2−メチル−ベンゾキサゾール−7−イル基;
(x)4−アミノシクロヘキシル−1−イル基;
(y)1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリン−6−イル基;
(z)2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾフラン−3−イル基;
(aa)2−ピリミジニル−1−ピペリジン−4−イル基;および1−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−ピペリジン−4−イル基および1−メチルスルホニルピペリジン−4−イル基;
(ab)1−シアノシクロプロピル基;
(ac)N−ベンジルモルホリン−2−イル基;
から選択されたものであり、
およびAがNH(C=O)であるとき、R1‘がさらに、
(ad)非置換フェニル基
から選択され;
9bは、水素;塩素;メトキシ基;メチルスルホニル基;4−メチル−ピペラジン−1−イルカルボニル基;モルホリノカルボニル基;モルホリノメチル基;ピロリジニルカルボニル基;N−メチル−ピペリジニルオキシ基;ピロリジニルエトキシ基;モルホリノプロピルアミノメチル基;4−シクロペンチル−ピペラジン−1−イルメチル基;4−エチルスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル基;モルホリノスルホニル基;4−(4−メチルシクロヘキシル)−ピペラジン−1−イルメチル基から選択されたものであり;そして
7bは、水素;メチル基;メトキシ基およびエトキシ基から選択されたものである)。
式(VI)の化合物は、オーロラキナーゼに対して良好な活性を有している。
式(VI)の好ましい化合物は、本明細書に記載の方法で測定したオーロラキナーゼAに対する平均IC50が0.03μM未満、より好ましくは0.01μM以下のものである。
式(VI)の一つの具体的なサブグループの化合物は、R9bはモルホリノメチルおよびメトキシから選択されたものであり、R7bはR9bがメトキシ基のときメトキシ基であり、R7bはR9bがモルホリノメチル基のとき水素である化合物群である。
本発明のさらなる新規の化合物群は、式(VII)により表すことができる:
Figure 2008526721
(式中、Rldは、上記で定義したR、Rla,、RlbまたはRlc基である。)
式(VII)における、一つの具体的なサブグループの化合物においては、AはNH(C=O)であり、Rldは非置換C3−6シクロアルキル基または上記で定義したRlc基である。
3−6シクロアルキル基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基であり、好ましくはシクロプロピル基である。
このサブグループにおける好ましい化合物は、Rldが非置換シクロプロピル基または2,6−ジフルオロフェニル基である化合物である。
式(VII)の化合物は、良好なCDK阻害活性を示し、オーロラキナーゼに対して特に活性がある。
式(VII)における特に好ましいサブグループの化合物は、式(VIIa)で表されるものである:
Figure 2008526721
(式中、R1dは上記で定義した通りである)。
本発明の別のグループの新規な化合物は、式(VIII)で表される化合物である:
Figure 2008526721
(式中、R1eはR基であるか、または上記で定義したR1b基である。
本発明のさらなるグループの新規の化合物は、式(IX)で表される化合物である:
Figure 2008526721
(式中、Rldは上記で定義した通りであり、Eは結合、CHまたはCHCHであり、R22は水素、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)、C1−2アルコキシ基(例えば、メトキシ基)から選択されたものであり、GはN、OおよびSから選択された3以下のヘテロ原子環員を含む4〜7員飽和複素環であり、上記複素環は1〜4(好ましくは2以下、例えば0または1)個のR10基(または本明細書で定義されているサブ基)により置換されていてもよい。
式(IX)において、一つの具体的なグループの化合物は、式(IXa)で表される化合物である:
Figure 2008526721
(式中、Rld、EおよびR22は本明細書で定義されている通りであり、R21は水素、C1−4アルキル基(例えば、メチル基)、C1−4アシル基、およびC1−4アルコキシカルボニル基から選択されたものである。EがCHであり、R21がメチル基であり、R22がメトキシ基である組み合わせが好ましい。
基の各一般的および具体的な好ましい態様、実施態様および例は、R基および/またはR基および/またはR基および/または R基および/またはR基および/またはR基および/またはR基および/またはR基および/またはR10基の各一般的および具体的な好ましい態様、実施態様および例ならびにそれらのサブグループと組み合わせてもよく、全てのそのような組み合わせは本発明に含まれる。
例えば、表1に示すR基(例えば、R−A(但し、AはC=Oである))のいずれか一つは、表2に示すベンゾイミダゾール基のいずれか一つと組み合わせてもよい。
式(I)の化合物を構成する種々の官能基および置換基は、典型的には式(I)の化合物の分子量が1000を超えないように選択されたものである。より一般的には、この化合物の分子量は、750未満、例えば、700未満、650未満、600未満、または550未満である。より好ましくは、分子量は、525未満、例えば、500以下である。
本発明の特定且つ具体的な化合物は、以下の実施例で示したもの、および/または以下のものを含む:
N−[4−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−2,6−ジフルオロ−ベンズアミド;
2,6−ジフルオロ−N−[4−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]ベンズアミド;
2,6−ジフルオロ−N−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−インドール−2−イル)−イソチアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−5−カルボン酸[4−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−アミド;
2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−N−[4−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−ベンズアミド;
ピロリジン−2−カルボン酸[4−(5,6−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−アミド;
1−メチル−ピペリジン−4−カルボン酸[4−(5,6−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−アミド;
1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−ウレア;
1−(2,6−ジフルオロフェニル)−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−ウレア;
1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−イソチアゾール−4−イル]−ウレア;もしくは
1−(2,6−ジフルオロフェニル)−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−イソチアゾール−4−イル]−ウレア;
ならびにそれらの塩、互変異性体、N−酸化物および溶媒和物。
塩、溶媒和物、互変異性体、異性体、N−酸化物、エステル、プロドラッグおよび同位体
特記のない限りは、具体的化合物に言及したときには、以下で説明するそれらのイオンの形態、塩、溶媒和物および保護された形態などを含む。
式(I)の数多くの化合物は、塩、例えば、酸付加塩、例えば、ある場合では、炭酸塩、硫酸塩およびリン酸塩等の有機塩基の塩および無機塩基の塩で存在することができる。全てのそのような塩は本発明の範囲内であり、式(I)の化合物に言及した場合には、それらの化合物の塩を形態を含む。上記したように、式(I)に言及した全ての場合、特記のない限りは、式(II)およびそれらのサブグループにも言及しているものとしてみなされる。
塩の形態は、以下のものから選択し、そして記載の方法で調整できる。Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use(医薬用塩:性質、選択および使用)、 P. Heinrich Stahl(編者)、Camille G. Wermuth(編者)、ISBN:3−90639−026−8, ハードカバー、388頁、2002年8月。例えば、酸付加塩は、遊離塩基を有機溶媒(一定の塩は不溶であるか、難溶である)に溶解した後、適切な溶媒に溶解した必要な酸を添加して塩を溶液から沈殿させることにより調製できる。
酸付加塩は、多種多様な酸、無機および/また有機の両方の酸で形成できる。酸付加塩としては、例えば、以下の酸からなる群から選択された酸で形成された塩などがある:酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、酪酸、(+)樟脳酸、カンファースルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D−グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L−グルタミン酸)、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、場尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、乳酸(例えば、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(例えば、ナフタレン−2−スルホン酸)、ナフタレン−1、5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、しゅう酸、パルミチン酸、パモン酸、リン酸、プロピオン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸)、ウンデシレン酸および吉草酸、ならびにアシル化アミノ酸およびカチオン交換樹脂。
酸付加塩は、アスパラギン酸(例えば、D−アスパラギン酸)、カルボン酸、ドデカン酸、イソ酪酸、ラウリル硫酸、粘液酸、ナフタレンスルホン酸(例えば、ナフタレン−2−スルホン酸)、トルエンスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸)およびキナフォイックアシッドから選択することもできる。
一つの具体的な酸付加塩の群は、塩酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、吉草酸、酢酸、プロパン酸、酪酸、マロン酸、グルクロン酸およびラクトビオン酸などから形成された塩からなる。
別の酸付加塩の群には、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、クエン酸、DL−乳酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、馬尿酸、塩酸、グルタミン酸、DL−リンゴ酸、メタンスルホン酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸および酒石酸などから形成された塩がある。
酸付加塩等の塩は、対応の遊離塩基に対して数多くの利点がある。例えば、塩は、遊離塩基に対して、以下の一つ以上の利点を有する:
・より可溶性であり、したがって、静脈内投与(例えば、インフュージョン)にはよりよく、そして薬物動態が改善される;
・安定性がよりよい(例えば、有効期間が改善される);
・熱安定性がよりよい;
・塩基性が小さく、したがって静脈内投与によりよい;
・製造に有利である;
・代謝性が改善される;
・患者間の臨床的なばらつきが少ない。
式(I)の化合物の液体(例えば、水性)組成物の製造に使用される好ましい塩および本明細書に記載のそれらのサブグループおよび例としては、一定の液体キャリア(例えば、水)へ溶解度が、液体キャリア(例えば、水)の1ml当たり25 mg/ml超であり、典型的には50mg/ml超であり、好ましくは100 mg/ml超のものがある。
別の実施態様によれば、式(I)の化合物の液体(例えば、水性)組成物の製造に使用される好ましい塩および本明細書に記載のそれらのサブグループおよび例としては、一定の液体キャリア(例えば、水)へ溶解度が、液体キャリア(例えば、水)の1ml当たり1mg/ml超、典型的には5mg/ml超、より典型的には15mg/ml超、より典型的には20mg/ml、好ましくは25mg/ml超のものである。
本発明の別の実施態様によれば、式(I)の化合物および本明細書に記載のそれらのサブグループおよび例を、塩の形態で、液体キャリア(例えば、水)の1ml当たり1mg/ml超、典型的には5mg/ml超、より典型的には15mg/ml超、より典型的には20mg/ml、好ましくは25mg/ml超の濃度で含有する水溶性を含んでなる医薬組成物が提供される。
例えば、化合物がアニオン性であるか、またはアニオン性であることができる官能基(例えば、−COOHは、−COOであることができる)である場合、塩は好適なカチオンで形成できる。好適な無機カチオンとしては、例えば、アルカリ金属イオン、例えば、NaおよびK、アルカリ土類金属カチオン、例えば、Ca2+およびMg2+、ならびに他のカチオン、例えば、Al3+などがあるが、これらには限定されない。好適な有機カチオンとしては、例えば、アンモニウムイオン(すなわち、NH )および置換アンモニウムイオン(例えば、NH、NH 、NHR 、NR )などがあるが、これらには限定されない。いくつかの好適な置換アンモニウムイオンには、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、およびトロメタミン、ならびにアミノ酸、例えば、リジンおよびアルギニンから得られたものがある。一般的な第4級アンモニウムイオンの一例としては、N(CH である。
式(I)の化合物が、アミン官能を含む場合、これらは、例えば、当業者に周知の方法により、アルキル化剤との反応により第4級アンモニウム塩を形成することができる。このような第4級アンモニウム化合物は、式(I)の範囲内である。
本発明の化合物の塩の形態は、典型的に薬学的に許容される塩であり、薬学的に許容される塩の例が、Berge等、1977、“Pharmaceutically Acceptable Salts,”J.Pharm.Sci.,Vol.66,pp.1−19に記載されている。しかしながら、薬学的に許容されない塩を中間体として調製した後、それを薬学的に許容される塩に転化することもできる。例えば、本発明の化合物の精製または分離に有用であることがあるこのような薬学的に許容されない塩も、本発明の一部分を構成している。
また、アミン官能を含む式(I)の化合物は、N−酸化物を形成してもよい。本明細書においてアミン官能を含む式(I)で表される化合物に言及する場合も、N−酸化物を含む。
化合物がいくつかのアミン官能を含む場合、一つ以上の窒素原子は、酸化されてN−酸化物を形成してもよい。N−酸化物の具体例として、窒素含有複素環の三級アミンまたは窒素原子のN−酸化物である。
N−酸化物は、対応のアミンを、酸化剤、例えば、過酸化水素または過酸(例えば、過オキシカルボン酸)で処理することにより形成されることができる(例えば、Jerry March、Advanced Organic Chemistry、第4版、Wiley Interscience参照)。より詳細には、N−酸化物は、アミン化合物をm−クロロ過オキシ安息香酸(MCPBA)と、ジクロロメタン等の不活性溶媒中反応させることにより調製できる(L.W.Deady、Syn.Comm.1977、7、509−514)。
式の化合物は、多数の異なる幾何異性体および互変異性体の形態で存在してもよく、式(I)の化合物に言及する場合、全てのこのような形態を含む。これに関連して、化合物がいくつかの幾何異性体または互変異性体の一つで存在することができ且つ一つのみが具体的に記載または示されている場合も、他の全てのものも、式(I)に含まれる。
例えば、式(I)の化合物において、ベンズイミダゾール基は、以下の2つの互変異性体の形態AおよびBをとることができる。簡単に、一般式(I)は、形態Aを示すが、この式は両方の互変異性体の形態を含む。
Figure 2008526721
互変異性体の他の例としては、ケト、エノールおよびエノレート形態、例えば、以下の互変異性体対などがある:ケト/エノール(以下で示す)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオールおよびニトロ/アシ−ニトロ。
Figure 2008526721
式(I)の化合物が一つ以上のキラル中心を含みおよび2種以上の光学異性体の形態で存在することができる場合、式(I)の化合物に言及する場合には、それらの全ての光学異性体の形態(エナンチオマー、エピマーおよびジアステレオ異性体)を含み、特記のない限りは、個々の光学異性体またはそれらの混合物または2種以上の光学異性体を含む。
例えば、基Aは、一つ以上のキラル中心を含むことができる。したがって、EおよびRが両方ともリンカー基A上の同じ炭素原子に結合しているとき、上記炭素原子は、典型的にはキラルであり、したがって、式(I)の化合物は、一対のエナンチオマー(または複数のキラル中心が化合物に存在する場合には複数の対のエナンチオマー)として存在する。
光学異性体は、それらの光学活性(すなわち、+異性体および−異性体、またはd異性体およびl異性体として)により特徴付けられ、同定されてもよいし、Cahn、IngoldおよびPrelogにより開発された「RおよびS」命名を用いた絶対立体化学配置で特徴付けしてもよい(Jerry March、Advanced Organic Chemistry、第4版、John Wiley & Sons、ニューヨーク、1992、109−114、およびCahn、Ingold & Prelog、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.、1966、5、385−415参照)。
光学異性体は、キラルクロマトグラフィー(キラル担体でのクロマトグラフィー)を含む多数の手法により分離でき、このような手法は、当業者に周知である。
キラルクロマトグラフィーの代替法として、光学異性体は、キラル酸、例えば、(+)−酒石酸、(−)−ピログルタミン酸、(−)−ジ−トルイル−L−酒石酸、(+)−マンデル酸、(−)−リンゴ酸および(−)−カンファー硫酸とジアステレオマー塩を形成し、ジアステレオマーを選択結晶化により分離した後、塩を解離して遊離塩基の個々のエナンチオマーを得るることにより分離できる。
式(I)の化合物が、2種以上の光学異性体として存在する場合、一対のエナンチオマーにおける一つのエナンチオマーは、例えば、生物的活性の面で、他のエナンチオマーに対して利点があることがある。したがって、一定の場合、一対のエナンチオマーのうちの一つのみまたは複数のジアステレオ異性体のうちの一つのみを治療剤として使用することが望ましい。したがって、本発明によれば、一つ以上のキラル中心を有する式(I)で表される化合物を含む組成物であって、式(I)で表される化合物の少なくとも55%(例えば、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%)が単一の光学異性体(例えば、エナンチオマーまたはジアステレオ異性体)として存在する、組成物が提供される。一つの一般的な実施態様によれば、式(I)で表される化合物の総量の99%以上(例えば、実質的に全て)が、単一の光学異性体(例えば、エナンチオマーまたはジアステレオ異性体)として存在していてもよい。
本発明の化合物は、一つ以上の同位体置換を有する化合物を含み、特定の元素に言及した場合、その元素の全ての同位体をその範囲内に含む。例えば、水素に言及するとき、H、H(D)、およびH(T)を、その範囲に含む。同様に、炭素および酸素に言及するとき、12C、13C、14C、16O、18Oをそれぞれそれらの範囲に含む。
同位体は、放射性でも、非放射性でもよい。本発明の一実施態様によれば、化合物は、放射性同位体を含まない。このような化合物は、治療用に好ましい。しかしながら、別の実施態様によれば、化合物は、一つ以上の放射性同位体を含むことができる。このような放射性同位体を含む化合物は、診断に有用である。
カルボン酸基または水酸基を有する式(I)の化合物のカルボン酸エステルおよびアシルオキシエステルも、式(I)に含まれる。エステルとしては、例えば、−C(=O)OR基(式中、Rは、エステル置換基、例えば、C1−7アルキル基、C3−20ヘテロシクリル基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である)を含む化合物があげられる。エステルの具体例としては、−C(=O)OCH、−C(=O)OCHCH、−C(=O)OC(CHおよび−C(=O)OPhなどがあるが、これらには限定されない。アシルオキシ(逆エステル)基としては、例えば、−OC(=O)R(式中、Rは、アシルオキシ置換基、例えば、C1−7アルキル基、C3−20ヘテロシクリル基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基により表されるものがあげられる。アシルオキシ基の具体例には、−OC(=O)CH(アセトキシ基)、−OC(=O)CHCH、−OC(=O)C(CH、−OC(=O)Phおよび−OC(=O)CHPhなどがあるが、これらには限定されない。
また、化合物の多型、溶媒和物(例えば、水和物)、複合体(例えば、シクロデキストリン等の化合物との包接複合体またはクラスレート、または金属との錯体)、およびこれらの化合物のプロドラッグも、式(I)に含まれる。「プロドラッグ」は、例えば、生体内で、式(I)で表される生物活性化合物に転化される化合物を意味する。
例えば、いくつかのプロドラッグとして、活性化合物のエステル(例えば、生理学的に許容できる代謝的不安定エステル)があげられる。代謝中、エステル基(−C(=O)OR)は、開裂して活性ドラッグを生じる。このようなエステルは、例えば、親化合物におけるカルボン酸基(−C(=O)OH)のいずれかのエステル化により形成できる。適切な場合、前に親化合物に存在する他の反応性基を保護し、後で必要に応じて脱保護する。
このような代謝的不安定エステルとしては、例えば、式−C(=O)ORで表されるものを含む。式中、Rは、
1−7アルキル基
(例えば、−Me、−Et、−nPr、−iPr、−nBu、−sBu、−iBu、−tBu);
1−7アミノアルキル基
(例えば、アミノエチル基;2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル基;2−(4−モルホリノ)エチル基);およびアシルオキシ−C1−7アルキル基
(例えば、アシルオキシメチル;アシルオキシエチル基;ピバロイルオキシメチル基;アセトキシメチル基;
1−アセトキシエチル基;
1−(1−メトキシ−1−メチル)エチル−カルボシキルオキシエチル基;
1−(ベンゾイルオキシ)エチル基;
イソプロポキシ−カルボニルオキシメチル基;1−イソプロポキシ−カルボニルオキシエチル基;シクロヘキシル−カルボニルオキシメチル基;
1−シクロヘキシル−カルボニルオキシエチル基;
シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシメチル基;
1−シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシエチル基;
(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシメチル基;1−(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシエチル基;
(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシメチル基;および
1−(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシエチル基)である。
また、一部のプロドラッグは、酵素的に活性化して活性化合物、またはさらに化学反応させて活性化合物(例えば、ADEPT、GDEPT、LIDEPT)を得てもよい。例えば、プロドラッグは、糖誘導体または他のグリコシド共役体でもよいし、またはアミノ酸エステル誘導体でもよい。
生物活性
本発明の化合物は、サイクリン依存性キナーゼ阻害または調節活性およびグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)阻害または調節活性、および/またはオーロラキナーゼ阻害または調節活性を有し、キナーゼが介在する疾病状態または病状を予防または治療するのに有用であろう。
したがって、例えば、本発明の化合物は、癌の発生を軽減または減少させるのに有用であろう。
式(I)の化合物およびそれらのサブグループは、サイクリン依存性キナーゼの阻害剤である。例えば、本発明の化合物は、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6およびCDK7キナーゼ、特にCDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5およびCDK6から選択されたサイクリン依存性キナーゼに対して活性を有している。
好ましい化合物は、CDK1、CDK2、CDK4およびCDK5、例えば、CDK1および/またはCDK2から選択された一つ以上のCDKキナーゼを阻害する化合物である。
さらに、CDK4、CDK8および/またはCDK9が、重要なこともある。
また、本発明の化合物は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)に対して活性を有する。
また、本発明の化合物は、オーロラキナーゼに対して活性を有する。本発明の好ましい化合物は、IC50値が0.1μM未満のものである。
本発明の数多くの化合物は、CDK1およびCDK2と比較して、オーロラAキナーゼに対して選択性を有する。このような化合物は、本発明の一つの好ましい実施態様である。例えば、本発明の数多くの化合物は、オーロラAに対するIC50値がCDK1およびCDK2のIC50値の10分の1〜100分の1である。
CDKおよびオーロラキナーゼおよびグリコーゲンシンターゼキナーゼを調節また阻害における活性の結果、異常分裂細胞における細胞サイクルの制御を阻止または回復する手段を得るのに有用なことが予想される。したがって、化合物は、癌等の増殖性障害を治療または防止するのに有用であること予想される。また、本発明の化合物は、ウイルス性感染症、II型または非インスリン依存性糖尿病、自己免疫疾患、頭部外傷、脳卒中、てんかん、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、運動ニューロン病、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性およびピック病、例えば、自己免疫疾病疾患および神経変性病等の病状を治療するのに有用であろう。
本発明の化合物が有用であることが考えられる疾病状態および病状の一つのサブグループは、ウイルス感染、自己免疫疾患および神経変性疾患からなる。
CDKは、細胞サイクル、アポプトーシス、転写、分化およびCNS機能を調整する役割を果たす。したがって、CDK阻害剤は、増殖、アポプトーシスまたは分化の障害、例えば、癌がある疾患の治療に有用である。特にRB+ve腫瘍は、CDK阻害剤に感受性がある。また、RB−ve腫瘍も、CDK阻害剤に感受性がある。
阻害できる癌としては、例えば、以下のものがあげられるが、これらには限定されない:癌、例えば、膀胱、乳癌、結腸(例えば、結腸直腸癌、例えば、結腸腺癌および結腸腺腫)、腎臓、表皮、肝臓、肺、例えば、腺癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌、食道、胆嚢、卵巣、膵臓、例えば、膵外分泌癌、胃、頚部、甲状腺、前立腺または皮膚、例えば、扁平上皮細胞癌;リンパ系統の造血腫瘍、例えば、白血病、急性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、Hodgkinリンパ腫、非Hodgkinリンパ腫、毛様細胞リンパ腫、またはBurkettリンパ腫;骨髄系統の造血腫瘍、例えば、急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群;または骨髄球細胞白血病;甲状腺濾胞性癌;間葉源の腫瘍、例えば、線維肉腫または横紋筋肉腫;中枢神経系または末梢神経系の腫瘍、例えば、星状細胞腫、神経芽細胞種、神経膠腫またはシュワン細胞腫;メラノーマ;精上皮腫;奇形癌腫;骨肉腫;色素性乾皮症;角化棘細胞腫;甲状腺濾胞性癌;またはカポジ肉腫。
癌は、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5およびCDK6、例えば、CDK1、CDK2、CDK4およびCDK5から選択された一種以上のCDKキナーゼから選択された一種以上のサイクリン依存性キナーゼ、例えば、CDK1および/またはCDK2の阻害に感受性を有する癌であることができる。
特定の癌がサイクリン依存性キナーゼによる阻害に感受性があるかどうかは、以下の実施例250に述べた細胞増殖アッセイにより測定するか、「診断方法」と題した章で記載の方法により測定できる。
また、CDKは、アポプトーシス、増殖、分化および転写において役割を果たすことも知られており、したがって、CDK阻害剤は癌以外の以下の疾病の治療にも有用である:ウイルス性感染症、例えば、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、EBウイルス、シンドビスウイルス、アデノウイルス、HIV、HPV、HCVおよびHCMV;HIV感染個体におけるエイズ発症の防止;慢性炎症、例えば、全身性エリテマトーデス、自己免疫介在糸球体腎炎、関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、および自己免疫性糖尿病;循環器病、例えば、心肥大、再狭窄、アテローム性動脈硬化症;神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、エイズ関連痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、脊髄性筋萎縮および小脳変性;糸球体腎炎;骨髄異形成症候群;糸球体腎炎、虚血傷害関連心筋梗塞、脳卒中および再潅流傷害、不整脈、アテローム性動脈硬化症、トキシン誘発またはアルコール関連肝疾患、血液病、例えば、慢性貧血および再生不良性貧血;筋骨格系の変性疾患、例えば、オステオポローシスおよび関節炎、アスピリン感受性鼻副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎臓病および癌疼痛。
また、一部のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤を他の抗ガン剤と組み合わせて使用できることも判明した。例えば、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤フラボピリドールは、他の抗ガン剤とともに、併用療法に使用された。
したがって、異常細胞増殖を含んでなる疾病または病状を治療するための本発明の医薬組成物、使用、方法において、一実施態様における異常細胞増殖を含んでなる疾病または病状は、癌である。
癌の一群としては、ヒト乳癌(例えば、初発乳癌、リンパ節転移陰性乳癌、乳癌の浸潤性腺管癌、非類内乳癌);およびマントル細胞リンパ腫などがある。さらに、他の癌に、結腸直腸癌および子宮内膜癌がある。
別の癌には、乳癌、卵巣癌、結腸癌 、前立腺癌、食道癌および非小細胞肺癌などがある。
オーロラキナーゼに対して活性を有する化合物の場合、本発明のオーロラキナーゼ阻害化合物が有効であると予想される癌の具体例には、以下のものなどがある:
ヒト乳癌(例えば、初発乳癌、リンパ節転移陰性乳癌、乳癌の侵襲的腺管癌、非類内膜乳癌);
卵巣癌(例えば、初発卵巣腫瘍);
膵性癌;
ヒト膀胱癌;
結腸直腸癌(例えば、初発結腸直腸癌);
胃腫瘍;
腎癌;
子宮頸部癌:
神経芽細胞種;
メラノーマ;
リンパ腫;
前立腺癌;
白血病;
非類内膜子宮内膜癌;
グリオーマ;
非Hodgkinリンパ腫。
特にオーロラ阻害剤に影響を受けやすい癌には、乳癌、膀胱癌、結腸直腸癌、膵性癌、卵巣癌、非Hodgkinリンパ腫、グリオーマおよび非子宮内膜性子宮内膜腺癌などがある。一つの具体的な癌には、乳癌、例えば、初発乳癌、リンパ節転移陰性乳癌、乳癌の侵襲性腺管癌、非子宮内膜性乳癌がある。
オーロラ阻害剤の影響をとくに受けやすい特定の癌類は、乳癌、卵巣癌、結腸癌、肝癌、胃癌および前立腺癌などがある。
オーロラ阻害剤が特に治療しやすい別の癌類は、血液癌、特に白血病である。したがって、さらなる実施態様によれば、血液癌、特に白血病を治療するのに、式(I)の化合物を使用する。具体的な白血病は、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、B細胞リンパ腫(マントル細胞)および急性リンパ芽球性白血病(ALL)から選択されたものである。一実施態様によれば、白血病は、再発性または不応性急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群;急性リンパ性白血病および慢性骨髄性白血病から選択されたものである。
癌群には、ヒト乳癌(例えば、初発乳癌、リンパ節転移陰性乳癌、乳癌の侵襲性腺管癌、非類内膜乳癌;およびマントル細胞リンパ腫などがある。さらに、他の癌には、結腸直腸癌および子宮内膜癌などがある。
別の癌類には、リンパ系の造血腫瘍、例えば、白血病、慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫およびB細胞リンパ腫(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)などがある。
一つの具体的な癌として、慢性リンパ性白血病があげられる。
別の具体的な癌として、マントル細胞リンパ腫があげられる。
別の具体的な癌として、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫があげられる。
本発明の化合物、および特にオーロラキナーゼ阻害活性を有する化合物は、オーロラキナーゼレベルの上昇と関連するか、またはそれによって特徴付けられる種類の癌、例えば、本明細書の最初に言及した癌の治療または予防に特に有用であると思われる。
サイクリン依存性キナーゼ、オーロラキナーゼおよびグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の阻害剤としての本発明の化合物の活性は、以下の実施例に述べるアッセイを用いて測定でき、そして一定の化合物により示される活性レベルは、IC50値で定義できる。本発明の好ましい化合物は、1ミクロモル未満のIC50値、より好ましくは0.1ミクロモル未満のIC50値を有する化合物である。
式(I)の化合物の製造方法
式(I)の化合物は、当業者に周知の合成方法にしたがって調製できる。
特記のない限りは、R、R、RおよびRは、上記で定義した通りである。
式(I)の化合物(式中、R−Aがアシル基を形成する)は、以下のスキーム1に示すようにして製造できる。
Figure 2008526721
スキーム1に示すように、式(X)のカルボン酸を、環形成反応において式(XI)のジアミンと反応させて二環式イミダゾール(例えば、ベンゾイミダゾール)を得る。
化合物(X)において、R′基はR基であるか、またはN−保護基、例えば、p−メトキシベンジル基である。
環形成反応は、典型的には2段階で生じる。第一段階では、ジアミンのアミノ基のうちの一つと、カルボン酸との間にアミド結合を形成してモノアミド中間体(XII)を得る。この反応は、標準的なアミド形成条件を用いて実施できる。したがって、例えば、カルボン酸とアミン(XIII)との間のカップリング反応は、ペプチド結合の形成に一般的に使用される種類の試薬の存在下で実施できる。このような試薬としては、例えば、以下のものなどがある:1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(Sheehan等、J.Amer.Chem Soc.1955、77、1067)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)(Sheehan等、J.Org.Chem.、1961、26、2525)、ウロニウム型カップリング剤、例えば、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(L.A.Carpino、J.Amer.Chem.Soc.、1993、115、4397)およびホスホニウム型カップリング剤、例えば、1−ベンゾ−トリアゾリルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)(Castro等、Tetrahedron Letters、1990、31、205)。カルボジイミド型カップリング剤は、1−ヒドロキシアザベンゾトリアゾール(HOAt)または1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)と組み合わせて有利に使用できる(Konig等、Chem.Ber.、103、708、2024−2034)。 好ましいカップリング剤には、EDCおよびDCCと、HOAtまたはHOBtとの組み合わせなどがある。
カップリング反応は、典型的には非水性、非プロトン性溶媒、例えば、アセトニトリル、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリジン中、または水性溶媒中、必要に応じて一種以上の混和性共溶媒とともに実施する。反応は、室温で実施してもよいし、または反応剤の反応性が低い場合(例えば、スルホンアミド基のような電子吸引性基を有する電子不足アニリンの場合)、適切な高温で実施してもよい。この反応は、非妨害塩基、例えば、三級アミン、例えば、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンの存在下で実施できる。
別法として、カルボン酸の反応性誘導体、例えば、無水物または酸クロリドを使用してもよい。無水物の反応性誘導体との反応は、典型的にはアミンと無水物とを、塩基、例えば、ピリジンまたはトリエチルアミンの存在下、室温で攪拌することによりおこなうことができる。
カルボン酸(X)とジアミン(XI)との間にアミド結合が形成されたら、中間体アミド(XII)を、単離し、そして特徴付けるか、または直接次の段階に移行して、イミダゾール環を形成する環化を酢酸中、例えば、125℃に加熱することにより実施する。環化が一旦生じたら、R′を除去して式(I)の化合物を得る。
式(XI)のジアミンは、市販のものを入手してもよいし、または標準的な化学的方法および周知の官能基相互交換をひ用いて適切な置換フェニル前駆体躯体化合物から調製できる(例えば、Fiesers′ Reagents for Organic Synthesis, Volumes 1−17, John Wiley, edited by Mary Fieser (ISBN: 0−471−58283−2),およびOrganic Syntheses, Volumes 1−8, John Wiley, edited by Jeremiah P. Freeman (ISBN: 0−471−31192−8), 1995参照)。
式(X)のカルボン酸は、市販のものを入手してもよいし、または当該技術分野において公知の方法により調製してもよい。
がSである式(X)のカルボン酸は、スキーム2に示す反応の順序で形成できる。
Figure 2008526721
スキーム2に示すように、4−アミノ−イソチアゾール−3−イルカルボン酸(XII)をエステル化してエステル(XIV)を得る。エステル化は、標準的な条件下、例えば、酸をメタノールと、塩化チオニルの存在下で反応させることにより実施できる。エステル(XIV)のアミノ基を、次に式(XV)の化合物に、適切な試薬と反応させることにより形成する。例えば、式R−COHまたはR−(CH−COHのカルボン酸を、(XIV)のエステルと、上記したアミド形成条件下で反応させて、R′−A−N(R)−がアミド基を形成する化合物を得ることができる。別法として、エステル(XIV)のアミノ基を、式R−N=C=OまたはR(CH−N=C=Oと、標準的なウレア形成条件下反応させることによりウレアに転化できる。別法として、ウレアは、エステル(XIV)を、アミンR′−NHまたはR′−(CH−NHと、「カルボニル供与」試薬、例えば、カルボニルイミダゾール(CDI)またはトリホスゲンの存在下で反応させることにより形成できる。次に、エステルを、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムを用いて加水分解して、カルボン酸(XVI)を得る。
がSである式(X)のカルボン酸は、スキーム3に示す反応の順序で形成できる。
Figure 2008526721
スキーム3において、エチルイソシアノアセテート(XVIII)を置換イソチオシアネート(XVII)(但し、PGは保護基、例えば、p−メトキシベンジル基である)と反応させて、チアゾールエステル(XIX)を得る。この反応は、典型的には極性溶媒、例えば、THF中、強塩基、例えば、カリウムt−ブトキシドの存在下で、例えば、室温で実施する。
チアゾールエステルを、次にカルボン酸またはその活性誘導体と、アミド形成条件で反応させるか、または適切な置換イソシアネートまたはアミンと、上記でスキーム2に関連して説明したウレア形成条件下でエステル化合物(XX)に転化する。
エステル化合物(XX)を、次に水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物を用いて加水分解してカルボン酸(XXI)を得る。
カルボン酸 (XXI)を、次にジアミン(XI)と反応させて中間体アミド(XXII)を得て、次に上記でスキーム1に関連して記載した方法により式(I)の化合物を環化する。
上記した数多くの反応において、反応が分子の望ましくない位置で生じるのを防止するために、一つ以上の基を保護することが必要なことがある。保護基の例、および官能基の保護および脱保護の方法は、Protective Groups in Organic Synthesis(有機合成における保護基)(T.GreenおよびP.Wuts;第3版;John Wiley and Sons、1999)に記載されている。これらの状況では、上記した手順により、保護された形態の式(I)で表される化合物を生成できる。この場合、式(I)で表される最終化合物を生成するのに、脱保護工程が必要である。保護された形態の式(I)で表される化合物を脱保護するのは、当業者に周知の標準的な方法を用いておこなうことができる。保護基および脱保護方法は、以下に記載の標準的な基および方法から選択できる。
水酸基は、例えば、エーテル(−OR)またはエステル(−OC(=O)R)、例えば、t−ブチルエーテル;ベンジル、ベンゾヒドリル(ジフェニルメチル)またはトリチル(トリフェニルメチル)エーテル;トリメチルシリルまたはt−ブチルジメチルシリルエーテル;またはアセチルエステル(−OC(=O)CH、−OAc)として保護できる。アルデヒド基またはケトン基は、例えば、アセタール(R−CH(OR))またはケタール(RC(OR))として保護できる。この場合、カルボニル基(>C=O)を、例えば、一級アルコールとの反応により、ジエーテル(>C(OR))に転化する。アルデヒド基またはケトン基は、酸の存在下、大過剰の水を用いた加水分解により容易に再生される。アミン基は、例えば、アミド(−NRCO−R)またはウレタン(−NRCO−OR)として、例えば、メチルアミド(−NHCO−CH);ベンジルオキシアミド(−NHCO−OCH、−NH−Cbz);t−ブトキシアミド(−NHCO−OC(CH、−NH−Boc);2−ビフェニル−2−プロポキシアミド(−NHCO−OC(CH、−NH−Bpoc)、9−フルオレニルメトキシアミド(−NH−Fmoc)、6−ニトロベラトリルオキシアミド(−NH−Nvoc)、2−トリメチルシリルエチルオキシアミド(−NH−Teoc)、2,2,2−トリクロロエチルオキシアミド(−NH−Troc)、アリルオキシアミド(−NH−Alloc)、または2(−フェニルスルホニル)エチルオキシアミド(−NH−Psec)として保護できる。アミンの他の保護基、例えば、環状アミンおよび複素環式N−H基としては、トルエンスルホニル(トシル)基およびメタンスルホニル(メシル)基およびベンジル基、例えば、p−メトキシベンジル基(PMB)基またはテトラヒドロピラン(THP)基などがある。別法として、アミンは、加熱下酸中で無水フタル酸と反応させてイソインドール−1,3−ジオンを得ることにより保護できる。
カルボン酸基は、エステル、例えば、C1−7アルキルエステル(例えば、メチルエステル;t−ブチルエステル);C1−7ハロアルキルエステル(例えば、C1−7トリハロアルキルエステル);トリC1−7アルキルシリル−C1−7アルキルエステル;またはC5−20アリール−C1−7アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル;ニトロベンジルエステル);またはアミド、例えば、メチルアミドとして保護できる。チオール基は、例えば、チオエーテル(−SR)、例えば、ベンジルチオエーテル、アセトアミドメチルエーテル(−S−CHNHC(=O)CH)として保護できる。ある状況では、上記した保護基の一つが、式(I)で表される化合物の一部分を構成してもよい。
精製方法
化合物は、当業者に周知の多数の方法により単離および精製できる。このような方法としては、例えば、クロマトグラフィー、例えば、カラムクロマトグラフィー(例えば、フラッシュクロマトグラフィー)およびHPLCなどがある。分取LC−MSは、小有機分子、例えば、本明細書に記載の化合物の精製に使用される標準的および効果的な方法である。液体クロマトグラフィー(LC)および質量分析(MS)の方法を変更して、MSにより粗生成物をよりよく分離したり、試料の検出を向上させることができる。分取勾配LCの最適化には、カラム、揮発性溶離液、調整剤および勾配を変更することが含まれる。分取LC−MS法を最適化した後、それらを化合物の精製に用いる方法は、当該技術分野において周知である。このような方法は、Rosentreter U、Huber U.;Optimal fraction collecting in preparative LC/MS(分取LC/MSにおける最適な画分採取);J Comb Chem.;2004;6(2)、159−64およびLeister W,Strauss K、Wisnoski D、Zhao Z、Lindsley C、Development of a custom high−throughput preparative liquid chromatography/mass spectrometer platform for the preparative purification and analytical analysis of compound libraries(化合物ライブラリーの分取的精製および分析のための、カスタム高処理分取液体クロマトグラフィー/質量分光計プラットホームの開発);J Comb Chem.;2003;5(3);322−9に記載されている。
分取LC−MSにより化合物を精製する一つのこのようなシステムは、以下の実験の章に記載されているが、当業者には、記載のものに対して代替のシステムおよび方法を使用できることは理解できるであろう。特に、順相分取LCを基本とした方法は、本明細書に記載の逆相の代わりに使用できる。ほとんどの分取LC−MSシステムは、逆相LCおよび揮発酸性調整剤を利用する。これは、この手法は小分子の精製に極めて有効であり、且つ溶離剤が正イオンエレクトロスプレー質量分析と適合するからである。他のクロマトグラフィー用溶液、例えば、上記記載の分析方法で概略を述べた順相LC、代替緩衝移動相、塩基性調整剤等を、代替として化合物の精製に用いることができる。
再結晶
式(I)の化合物およびそれらの塩を再結晶する方法は、当業者に周知の方法により実施できる(例えば、P.Heinrich Stahl(編)、Camille G.Wermuth(編)、ISBN:3−90639−026−8、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties、Selection、and Use(医薬用塩ハンドブック:特性、選択および使用)、第8章、Wiley−VCH発行)参照)。有機反応から得た生成物は、反応混合物から直接単離したときには、純粋であることはまれである。化合物(またはその塩)が固体である場合には、好適な溶媒からの再結晶により精製および/また結晶化できる。良好な再結晶化溶媒は、高温で適度の量の精製すべき物質を溶解するが、低温では少量の物質のみを溶解するものである。溶媒は、低温で不純物を容易に溶解するか、または全く溶解しないものでなければならない。最後に、溶媒は、精製物から容易に除去できなければならない。このことは、通常溶媒は比較的沸点が低いことを意味する。当業者には、具体的な物質についての再結晶化溶媒は分かるであろうが、このような情報が入手できない場合には、いくつかの溶媒を試験する。精製物質を良好な収率で得るには、最少量の熱溶媒を使用して全ての不純物を溶解する。実際には、溶媒を必要量よりも3〜5%多い量で使用して、溶液が飽和しないようにする。不純な化合物が、溶媒に溶解しない不純物を含んでいる場合、濾過によりそれを除去した後、溶液を結晶化する。さらに、不純な化合物がその化合物由来ではない微量の着色物質を含む場合には、少量の脱色炭を熱溶液に添加した後、それを濾過した後、結晶化することにより除去することができる。通常、結晶化は、溶液の冷却により自然に生じる。これで結晶化が生じない場合は、溶液を室温より低い温度に冷却するか、または純粋な物質の単結晶(種結晶)を添加することにより誘発することができる。また、逆溶媒を使用することにより、再結晶を実施および/または収量を最適化することができる。この場合、化合物を、好適な溶媒に高温で溶解し、濾過した後、必要とする化合物の溶解度が低い追加の溶媒を添加して結晶化しやすくする。次に、典型的には、結晶を、真空濾過を用いて単離し、洗浄した後、例えば、オーブンまたはデシケーションにより乾燥する。
結晶化法の他の例には、例えば、密封管または空気流での蒸発工程を含む蒸気からの結晶化、および溶融物からの結晶化(Crystallization Technology Handbook、第2版、A.Mersmann編、2001)などがある。
特に、式(I)の化合物を、再結晶化(例えば、2−プロパノールまたはエタノールを溶媒として使用)して、純度を高めるとともに、結晶形状とすることができる。
一般的に、得られた結晶は、X線回析法、例えば、X線粉末回析(XRPD)またはX線結晶回折により分析される。
医薬製剤
活性化合物を単独で投与することができるが、少なくとも一種の本発明の活性化合物を、一種以上の薬学的に許容される担体、補助剤、賦形剤、稀釈剤、充填剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤、滑剤、または当業者に周知の他の物質、および必要に応じて他の治療剤または予防剤、例えば、化学療法に関連した副作用の一部を減少または軽減する薬剤ととも含んでなる医薬組成物(例えば、製剤)として提供するのが好ましい。このような薬剤の具体例には、催吐防止剤および化学療法関連好中球減少期間を防止または減少する薬剤、および赤血球細胞または白血球細胞、例えば、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)および顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)のレベルの減少から生じる合併症を防止する薬剤などがある。
したがって、本発明によれば、さらに、上記で定義した医薬組成物、ならびに上記で定義した少なくとも一種の活性化合物を、一種以上の薬学的に許容される担体、賦形剤、緩衝剤、補助剤、安定化剤、または本明細書で定義されている他の物質とともに混合することを含んでなる、医薬組成物の製造方法が提供される。
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される」とは、適切な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応または他の問題または合併症なしで(妥当な利点/危険比を考慮)、被験者(例えば、ヒト)の組織と接触して使用するのに好適である、化合物、物質、組成物および/また剤形に関連する。各キャリア、賦形剤等も、製剤の他の成分と適合する観点から、「許容できる」ものでなければならない。
したがって、本発明のさらなる態様によれば、式(I)の化合物、それらのサブグループ、例えば、式(II)および(III)の化合物、および医薬組成物の形態において本明細書で定義されているそれらのサブグループが提供される。
医薬組成物は、いずれの形態でも、経口投与、非経口投与、局所的投与、鼻腔内投与、眼投与、耳投与、 直腸投与、膣内投与または経皮投与に好適である。組成物が非経口投与用である場合、静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、皮下投与用に製剤化してもよいし、または注射、インフュージョンまたは他の送達手段による標的器官または組織への直接送達用に製剤化してもよい。この送達は、ボーラス(単回)注射、短時間インフュージョンまたは長時間インフュージョンによるものでよく、そして受動的送達でもよいし、または好適なインフュージョンポンプを利用してもよい。
非経口投与用医薬製剤には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌薬および、製剤を意図するレシピエントの血液と等張とする溶質を含んでいてもよい水性および非水性無菌注射液;ならびに懸濁剤および増粘剤を含んでいてもよい水性および非水性無菌懸濁液などがある。これらの例が、R.G.Strickly、Solubilizing Excipients in oral and injectable formulations(経口剤および注射剤における可溶化賦形剤)、Pharmaceutical Research、Vol 21(2) 2004、p201−230に記載されている。さらに、これらは、共溶媒、有機溶媒混合物、シクロデキストリン複合剤、乳濁製剤を形成および安定化するための乳化剤、リポソームを形成するためのリポソーム成分、高分子ゲルを形成するためのゲル化性ポリマー、とりわけ活性成分を、可溶性の状態で安定化し、および製剤を意図するレシピエントの血液と等張にするための凍結防止剤および薬剤の組み合わせを含有することができる。製剤は、一回量または多数回量容器、例えば、密封アンプルおよびバイアルで供給することができ、そして凍結−乾燥(凍結乾燥)条件で保存して、使用直前に、無菌液体キャリア、例えば、注射液用水を添加するようにすることができる。
薬剤のpKaが製剤pH値から顕著に離れている場合には、イオン化できる薬剤分子を、pH調整により所望の濃度に可溶化することができる。pHは、静脈内投与および筋肉内投与についてはpH2〜12でよいが、皮下投与についてはpH2.7〜9.0の範囲である。溶液pHは、薬剤、強酸/塩基、例えば、塩酸または水酸化ナトリウムの塩の形態で制御してもよいし、またはグリシン、クエン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、ヒスチジン、リン酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、または炭酸塩から形成された緩衝液(これには限定されない)を含む緩衝液により制御してもよい。
水溶液と水溶性有機溶媒/界面活性剤(すなわち、共溶媒)との組み合わせは、注射用製剤に使用することがよくある。注射用製剤に使用される水溶性有機溶媒および界面活性剤には、以下のものがあるが、これらには限定されない:プロピレングリコール、エタノール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、グリセリン、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP;Pharmasolve)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、SolutolHS15、CremophorEL、CremophorRH60、およびポリソルベート80。このような製剤は、通常注射前に希釈されるが、必ずというわけではない。
プロピレングリコール、PEG300、エタノール、CremophorEL、CremophorRH60およびポリソルベート80は、市販の注射製剤に一般的に使用されている完全有機水混和溶媒であり、界面活性剤であり、互いに組み合わせて使用できる。得られた有機製剤は、通常IVボーラス又はIVインフュージョン前に、少なくとも2倍希釈する。
別法として、シクロデキストリンと分子複合化することにより、水への溶解度を高めることができる。
リポソームは、外脂質二重層膜と、内水性コアからなり、総直径が<100μmである、閉じた球状小胞である。薬剤がリポソームでカプセル化されたり、包接されたりした場合、疎水性レベルに応じて、適度に疎水性である薬剤を、リポソームにより可溶化できる。また、薬剤分子が脂質二重層膜の一体部分となる場合には、疎水性薬剤は、リポソームにより可溶化でき、この場合、疎水性薬剤は、脂質二重層の脂質部分に溶解する。典型的なリポソーム製剤は、ほぼ5〜20mg/mlのリン脂質、等張化剤、pH5〜8の緩衝液および必要に応じてコレステロールを含む水を含有する。
製剤は、一回量または多数回量容器、例えば、密封アンプルおよびバイアルで供給することができ、そして凍結−乾燥(凍結乾燥)条件で保存して、使用直前に、無菌液体キャリア、例えば、注射液用水を添加するようにすることができる。
医薬製剤は、式(I)で表される化合物またはその酸付加塩を凍結乾燥することにより、製造できる。凍結乾燥は、組成物を凍結−乾燥する方法を意味する。したがって、凍結−乾燥と凍結乾燥は、本明細書では、同義語として使用する。典型的なプロセスは、化合物を可溶化し、得られた製剤を、浄化し、無菌濾過し、無菌的に凍結乾燥に適切な容器(例えば、バイアル)に移す。バイアルの場合、可溶性ストッパーで部分的に栓をする。製剤を、凍結するまで冷却し、標準的な条件下で凍結乾燥した後、密封栓をして安定な凍結乾燥製剤を得ることができる。この組成物は、典型的には残留水分が低い、例えば、凍結乾燥物重量基準で5%未満、例えば、1%未満である。
凍結乾燥製剤は、他の賦形剤、例えば、増粘剤、分散剤、緩衝剤、酸化防止剤、保存剤および、張度調整剤を含有してもよい。典型的な緩衝剤には、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩およびグリシンなどがある。酸化防止剤としては、例えば、アスコルビン酸、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、モノチオグリセロール、チオウレア、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシルアニソールおよびエチレンジアミン四酢酸塩などがあげられる。保存剤としては、安息香酸およびその塩、ソルビン酸およびその塩、p−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、フェノール、クロロブタノール、ベンジルアルコール、チメロサール、ベンゾアルコニウムクロリドおよびセチルピリジニウムクロリドなどがある。上記した緩衝剤ならびにブドウ糖および塩化ナトリウムは、必要に応じて張度調整に使用できる。
膨張性薬剤が、一般的に凍結乾燥技術において、プロセスを容易にするため、および/または凍結乾燥ケーキにバルクおよび/または機械的一体性を付与するために使用される。膨張性薬剤は、自由に水に溶解できる固体粒状稀釈剤である。膨張性薬剤は、化合物またはその塩とともに共凍結乾燥し、物理的に安定な凍結乾燥ケーキが得られるようにし、より最適な凍結−乾燥プロセスを実現でき、そして迅速で完全な再構成が実現できる。また、膨張性薬剤は、溶液を等張性にするのにも利用できる。
水溶性膨張性薬剤は、典型的に凍結乾燥に使用される薬学的に許容される塩不活性固体物質である。このような膨張性薬剤には、例えば、糖、例えば、グルコース、マルトース、スクロースおよびラクトース;ポリアルコール、例えば、ソルビトールまたはマンニトール;アミノ酸、例えば、グリシン;ポリマー、例えば、ポリビニルピロリジン;および多糖類、例えば、デキストランなどがある。
膨張性薬剤の重量の活性化合物の重量に対する比は、典型的には約1〜約5、例えば、約1〜約3、例えば、約1〜2の範囲である。
別法として、これらは、濃縮し、好適なバイアルに密封できる溶液の形態で提供できる。剤形の無菌化は、濾過によりおこなってもよいし、またはバイアルおよびそれらの内容物を、製剤化プロセスの適当な段階でオードレーブ処理することにより実施できる。供給された製剤は、送達前にさらに稀釈するか、または調製することが必要なことがある、例えば、稀釈して好適な無菌インフュージョンパックに入れる。
即時調合注射液および懸濁液は、無菌粉末、顆粒および錠剤から調製できる。
本発明の一つの好ましい実施態様によれば、医薬組成物は、静脈内投与投与(注射またはインフュージョン)に好適な形態である。
また、非経口注射用の本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される無菌水性または非水性溶液、分散液、懸濁液または乳濁液だけでなく、使用直前に無菌注射液または分散液に再構成するための無菌粉末を含んでなることができる。好適な水性および非水性キャリア、稀釈剤、溶媒またはビヒクルとしては、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの好適な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)、および注射用有機エステル、例えば、エチルオレエートなどがある。適切な流動性は、例えば、コーティング物質、例えば、レシチンを使用することによるか、または分散液の場合には必要とする粒度を維持することによるか、および界面活性剤を使用することにより維持できる。
また、本発明の組成物は、補助剤、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤を含むことができる。種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等を含有させることにより、微生物の作用を確実に防止することができる。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム等を含有させることも望ましいことがある。注射用医薬の吸収時間を長くするのは、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン等の吸収を遅延させる薬剤を含有させることにより実現できる。
化合物が、水性媒体中で安定でないか、または水性媒体への溶解度が低い場合には、有機溶媒における濃縮物として製剤化できる。濃縮物を、次に水系でより低濃度に稀釈する。この稀釈した液は、投与中の短時間の間は十分に安定である。したがって、別の態様によれば、投与前に、より一般的に好適なIV賦形剤(食塩水、ブドウ糖;緩衝されているか、または緩衝されていない)で稀釈して投与できる一種以上の有機溶媒からのみなる非水性溶液を含んでなる医薬組成物が提供される(Solubilizing excipents in oral and injectable formulations(経口および注射製剤における可溶化賦形剤)、Pharmaceutical Research、21(2)、2004、p201−230)。溶媒および界面活性剤としては、例えば、プロピレングリコール、PEG300、PEG400、エタノール、ジメチルアセタミド(DMA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP、Pharmasolve)、グリセリン、Cremophor EL、CremophorRH60およびポリソルベートなどがある。具体的な非水性溶液は、プロピレングリコール70〜80%およびエタノール20〜30%からなる。一つの具体的な非水性溶液は、プロピレングリコール70%およびエタノール30%からなる。別の例では、プロピレングリコール80%およびエタノール20%からなる。通常これらの溶媒は、組み合わせて使用することができ、IVボーラスまたはIVインフュージョンの前に、通常少なくとも2倍稀釈する。ボーラスIV製剤用の典型的な量は、グリセリン、プロピレングリコール、PEG300、PEG400ほぼ50%、エタノールほぼ20%である。IVインフュージョン製剤についての典型的な量は、グリセリンほぼ15%、DMA3%、およびプロピレングリコール、PEG300、PEG400およびエタノールほぼ10%である。
本発明の一つの好ましい実施態様によれば、医薬組成物は、静脈内投与、例えば、注射またはインフュージョンによる投与に好適な形態である。静脈内投与については、溶液を、そのまま投与してもよいし、またはインフュージョンバッグ(薬学的に許容される賦形剤、例えば、食塩水9%またはブドウ糖5%を含む)に注入してから投与してもよい。
別の好ましい実施態様によれば、医薬組成物は、皮下(s.c.)投与に好適な形態である。
経口投与に好適な医薬剤形には、錠剤、カプセル、カプレット、ピル、ロゼンジ、シロップ、液剤、粉剤、粒剤、エリキシル剤および懸濁剤、舌下錠剤、ウエハまたはバッチおよびバッカルパッチなどがある。
式(I)の化合物を含有する医薬組成物は、公知の方法により製剤化できる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PA、USA参照)。
したがって、錠剤組成物は、一回量の活性化合物を、不活性稀釈剤またはキャリア、例えば、糖または糖アルコール、例えば、ラクトース、スクロース、ソルビトールまたはマンニトール;および/または非糖誘導稀釈剤、例えば、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムまたはセルロースまたはそれらの誘導体、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびデンプン、例えば、コーンスターチとともに含有することができる。錠剤は、このような標準的な成分を結合剤および顆粒化剤、例えば、ポリビニルピロリドン、錠剤分解物質(例えば、膨潤性架橋ポリマー、例えば、架橋カルボキシメチルセルロース)、滑剤(例えば、ステアリン酸塩)、保存剤(例えば、パラベン)、酸化防止剤(例えば、BHT)、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝剤またはクエン酸緩衝剤)、および発泡剤、例えば、クエン酸塩/重炭酸塩混合物を含有することもできる。このような賦形剤は、周知であり、ここでは詳細には説明する必要はない。
カプセル剤は、硬質ゼラチン型でも、ソフトゼラチン型でもよく、固体、半固体または液状の活性成分を含有できる。ゼラチンカプセルは、動物ゼラチンまたはその合成または植物由来等価物から形成できる。
固体剤形(例えば、錠剤、カプセル等)は、コーティングを施しても、コーティングを施さなくてもよい。しかしながら、一般的には、コーティング、例えば、保護膜コーティング(例えば、ワックスまたはワニス)または放出制御コーティングを有している。コーティング(例えば、Eudragit(登録商標)型ポリマー)は、活性成分を胃腸管内の所望の位置で活性成分を放出するように構成できる。したがって、コーティングを、胃腸管内の一定のpH条件下で分解するように選択し、それにより、胃において、または回腸または十二指腸において化合物が選択的に放出されるようにすることができる。
コーティングの代わりまたはコーティングの他に、薬剤を、放出制御剤、例えば、胃腸管における異なる酸性またはアルカリ性の条件下で、化合物を選択的に放出するようにすることができる放出遅延剤を含んでなる固体マトリックスに供給できる。別法として、マトリックス物質または放出遅延コーティングは、侵食ポリマー(例えば、無水マレイン酸ポリマー)の形態をとることができる。侵食ポリマーは、剤型が胃腸管を通過するにしたがって実質的に連続的に侵食される。さらなる別法として、活性化合物を製剤化して化合物の放出を浸透圧制御する送達系とすることができる。浸透圧放出および他の遅延放出または除放性製剤を、当業者に周知の方法で調製できる。
医薬組成物は、活性成分量が約1%〜約95%、好ましくは約20%〜約90%である。本発明の医薬組成物は、アンプルのような一回量の形態でもよいし、バイアル、坐薬、糖衣丸、錠剤またはカプセルの形態でもよい。
経口投与用医薬組成物は、活性成分を固体キャリアと混ぜ合わせ、必要に応じて得られた混合物を造粒し、この混合物を、必要に応じて適切な賦形剤を添加後加工して錠剤、糖衣丸、コアまたはカプセルとすることにより得ることができる。また、それらをプラスチックキャリアに含有させ、活性成分が測定量で拡散または放出するするようにすることもできる。
局所使用の組成物には、軟膏、クリーム、スプレー、パッチ、ゲル、液滴およびインサート(例えば、眼内インサート)などがある。このような組成物は、公知の方法により製剤化できる。
非経口投与用組成物は、典型的には無菌水性または油状溶液または微細懸濁剤として供給してもよいし、または注射用に無菌水で即時調合するための微細無菌粉末で提供してもよい。
直腸投与または膣内投与用の製剤としては、例えば、活性化合物を含有する賦形成形性またはワックス状物質から形成できるペッサリーおよび座薬などがある。
吸入投与用組成物は、吸入可能粉末組成物または液状または粉末スプレーの形態をとることができ、標準的な形態で、粉末吸入装置またはエアロゾル計量分配装置を用いて投与することができる。このような装置は、周知である。吸入投与するための粉剤は、典型的には活性化合物を、ラクトース等の不活性固体粉末状稀釈剤とともに含んでなる。
医薬製剤は、単一パッケージ、通常ブリスター包装での治療全体を含んでいる「患者パック」で患者に提供できる。患者パックは、患者が通常処方を無くしてしまうが、患者パックに含まれているパッケージインサートをいつでも利用できるので、薬剤師が患者の薬剤がバルクで供給されたものを分割する従来の処方に対して利点がある。パッケージインサートを含めることは、医師の指示に患者がしたがいやすいことが分かった。
本発明の化合物は、一般的一回量の形態で提供され、そのまま典型的には所望の生物活性レベルに十分な化合物が含まれる。例えば、経口投与を意図している製剤は、1ピコグラム〜2ミリグラム、例えば、1ナノグラム〜2ミリグラムの活性成分を含有できる。この範囲内でのさらに詳細な活性成分量は、0.1ミリグラム〜2グラム、より一般的には10ミリグラム〜1グラム、例えば、50ミリグラム〜500ミリグラムまたは1ミクログラム〜20ミリグラム(例えば、活性成分1ミクログラム〜10ミリグラム、例えば、0.1ミリグラム〜2ミリグラム)。
経口組成物については、一回量剤形は、1ミリグラム〜2グラム、より一般的には10ミリグラム〜1グラム、例えば、50ミリグラム〜1グラム、例えば、100ミリグラム〜1グラムの活性化合物を含むことができる。
活性化合物は、それを必要とする患者(例えば、ヒトまたは動物患者)に所望の治療効果を得るのに十分な量を投与する。
治療方法
式(I)の化合物、ならびにそのサブグループ、例えば、式(II)および(III)および本明細書で定義されているサブグループは、サイクリン依存性キナーゼ、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3およびオーロラキナーゼが介在している様々な疾病状態または病状を予防または治療するのに有用であろう。このような疾病状態および病状は、上記した通りである。
化合物は、一般的にそのような投与を必要としている被験者、例えば、ヒトまたは動物患者、好ましくはヒトに投与される。
化合物は、典型的には一般的に非毒性である治療または予防に有用な量を投与する。しかしながら、一定の状況(例えば、生命を脅かす疾病の場合)、式(I)で表される化合物の投与の利点は、毒性作用または副作用の欠点に勝る。この場合、毒性の程度を考慮した量を投与するのが望ましいと考えられる。
化合物は、有利な治療効果を維持するために、長期間にわたって投与してもよいし、または短期間のみ投与してもよい。別法として、パルス的または連続的に投与してもよい。
化合物の1日量は、体重1キログラム当たり100ピコグラム〜100ミリグラム、より典型的には体重1キログラム当たり5ナノグラム〜25ミリグラム、より一般的には体重1キログラム当たり10ナノグラム〜15ミリグラム(例えば、10ナノグラム〜10ミリグラム、例えば、1マイクログラム〜10ミリグラム)であるが、必要に応じて、投与量は上記範囲よりも多くても、少なくてもよい。最後に、投与量および使用する組成物の種類は、治療している疾病の性質または生理状態と整合するようにし、医師の判断による。
式(I)の化合物は、単独の治療薬として投与してもよいし、または特定の疾病状態、例えば、上記で定義した癌等の腫瘍性疾病の治療のための一種以上の他の化合物との併用療法で投与してもよい。式(I)の化合物と一緒(同時であるか、または異なる時間間隔であるかとは無関係に)投与できる他の治療薬としては、トポイソメラーゼ阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、DNA結合剤、微小管阻害剤(チューブリン標的剤)、具体例としてシスプラチン、シクロホスフワォミド、ドキソルビシン、イリノテカン、フルダラビン、5FU、タキサン、ミトマイシンCおよびラジオセラピー、などがあるが、これらには限定されない
式(I)、式(II)、式(III)の化合物および本明細書で提示したサブグループとともに、一緒に投与できる治療薬(同時または異なる時間間隔)には、モノクロナル抗体およびシグナル伝達阻害剤などがある。
他の治療薬と組み合わせたCDKまたはオーロラ阻害剤については、2つ以上の治療を、異なる経路を介して個々に異なる投与スケジュールで投与する。
式(I)で表される化合物を1種、2種、3種、4種またはそれ以上の他の治療薬(好ましくは1種、2種、より好ましくは1種)との併用療法で投与する場合、化合物を、同時または順次投与できる。順次投与する場合、短い間隔(例えば、5〜10分間隔)またはより長い間隔(例えば、1時間、2時間、3時間、4時間またはそれ以上離れた間隔、また必要に応じてそれより長い間隔)で投与できる。この場合、正確な投与計画は、治療薬(単一または複数)の性質と整合するようにする。
また、本発明の化合物は、非化学療法治療、例えば、放射線治療、光ダイナミック療法、遺伝子療法;外科および制限食と関連して投与することもできる。
別の化学療法剤との併用療法に使用するために、式(I)の化合物および1種、2種、3種、4種またはそれ以上の種類の治療薬を、例えば、一緒に製剤化して2種、3種、4種またはそれ以上の治療薬を含有する剤形とすることができる。別法として、個々の治療薬を、別個に製剤化し、キットの形態で、必要に応じてそれらの使用説明書とともに提供できる。
当業者には、一般的な知識から、投与計画および使用する併用療法については分かるであろう。
診断方法
式(I)の化合物を投与する前に、患者をスクリーニングして、患っているかまたは患う可能性のある疾病または病状が、オーロラおよび/またはサイクリン依存性キナーゼに対して活性を有する化合物による治療に反応を示すかどうかを判定する。
例えば、患者から得た生物試料を分析して、患者が患っているかまたは患う可能性のある病状または疾病、例えば、癌が、CDKの過剰活性を生じるか、または正常CDK活性への経路の感作を生じる遺伝子の異常または異常タンパク質発現により特徴付けられるものであるかどうかを判定する。CDK2シグナルの活性化または感作を生じるこのような異常としては、例えば、サイクリンE(Harwell RM、Mull BB、Porter DC、Keyomarsi K.;J Biol Chem.2004年3月26日;279(13):12695−705)のアップレギュレーションまたはp21またはp27の損失、またはCDC4変異体(Rajagopalan H、Jallepalli PV、Rago C、Velculescu VE、Kinzler KW、Vogelstein B、Lengauer C;Nature. 2004年3月4日;428(6978):77−81)の存在などがある。CDC4の変異体、サイクリンEのアップレギュレーション、特に過剰発現、またはp21またはp27の損失を有する腫瘍は、特にCDK阻害剤に感受性がある。別法としてまたはさらに、患者から採取した生物試料を分析して、患者が患っているか、または患う可能性がある病状または疾病、例えば、癌が、オーロラキナーゼのアップレギュレーションにより特徴付けられ、特にオーロラ阻害剤に影響されやすいものかどうかを判定する。用語「アップレギュレーション」には、発現の高まりまたは過剰発現、例えば、転写効果による遺伝子増幅(すなわち、同義遺伝子コピー)および発現の増加、および活性過多および活性化、例えば、突然変異による活性化などがある。
したがって、患者を、オーロラキナーゼの過剰発現、アップレギュレーションまたは活性化を特徴とするマーカーを検出する診断試験に附してもよいし、または患者を、サイクリンEのアップレギュレーション、p21またはp27の損失またはCDC4変異体の存在を特徴とするマーカーを検出する診断試験に附してもよい。用語「診断」には、スクリーニングが含まれる。マーカーには、遺伝子マーカー、例えば、DNA組成を測定してオーロラまたはCDC4の突然変異を確認することが含まれる。また、用語「マーカー」には、オーロラまたはサイクリンEのアップレギュレーション、酵素活性、酵素レベル、酵素状態(例えば、リン酸化しているか、またはしていないか)および上記タンパク質のmRNAレベルを特徴とするマーカーが含まれる。サイクリンEのアップレギュレーションを有するか、またはp21またはp27が損失した腫瘍は、特にCDK阻害剤に対して感受性がある。腫瘍は、治療に先立って、サイクリンEのアップレギュレーションまたはp21またはp27の損失について、優先的にスクリーニングできる。したがって、患者は、サイクリンEのアップレギュレーションまたはp21またはp27の損失を特徴とするマーカーを検出する診断試験に附する。
診断試験は、典型的には腫瘍バイオプシー試料、血液試料(シェッド腫瘍細胞の単離および濃縮)、大便バイオプシー、痰、染色体分析、胸膜腔内液、腹膜液または尿から選択される生物試料についておこなう。
STK遺伝子のIle31変異体を有するサブ集団の一部分を形成する個体(例えば、オーロラキナーゼAの遺伝子)が、一定の形態の癌に対しての高まった感受性有することがあることが判明した(Ewart−Toland等、Nat Genet.2003年8月;34(4):403−12参照)。したがって、癌を患っているこのような個体は、オーロラキナーゼ阻害活性を有する化合物を投与するのがよいと思われる。したがって、癌を患っているかまたは患っている可能性のある患者をスクリーニングして、患者がIle31変異体サブ集団の一部分を構成しているかどうかを判定することができる。さらに、Rajagopalan等(Nature.2004年3月4日;428(6978):77−81)は、ヒト結腸直腸癌および子宮内膜癌において、CDC4(Fbw7またはArchipelagoとしても知られている)に存在する突然変異があることを見いだした(Spruck等、Cancer Res.2002年8月15日;62(16):4535−9)。CDC4に突然変異を有する個体が確認されたことは、患者が、CDK阻害剤を用いた治療に特に好適な可能性があることを意味している。腫瘍は、治療に先立って、CDK変異体の存在について優先的にスクリーニングすることができる。スクリーニングプロセスは、典型的には直接配列決定、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ分析または変異体特異的抗体に関与している。
オーロラ変異体の活性化またはアイソフォームを含むオーロラのアップレギュレーションを有する腫瘍は、オーロラ阻害剤に対して特に感受性がある。腫瘍を、治療に先立って、Ile31変異体を有するオーロラについて、またはオーロラのアップレギュレーションについて優先的にスクリーニングできる(Ewart−Toland等、Nat Genet.2003年8月;34(4):403−12)。Ewart−Toland等は、優先的に増幅され、ヒト結腸腫瘍における異数性と関連したSTK15(アミノ酸置換F31Iを生じる)において一般的な遺伝子変異体を確認した。これらの結果は、ヒト癌感受性におけるSTK15のIle31変異体についての重要な役割と一致している。特に、このオーロラAにおける遺伝子多型は、乳癌を生じる遺伝子調節剤であることが示唆された(Sun等、Carcinogenesis、2004年、25(11)、2225−2230)。
オーロラA遺伝子は、数多くの癌、例えば、乳癌、膀胱癌、結腸癌、卵巣癌、膵性癌において増幅されることがよくある染色体20q13領域に位置する。この遺伝子増幅を有する腫瘍を患っている患者は、治療を目的としたオーロラキナーゼ阻害剤に対して特に感受性があると思われる。
タンパク質の突然変異およびアップレギュレーションの同定および分析、例えば、オーロラ アイソフォームおよび染色体20q13増幅の同定および分析については、当業者に知られている。スクリーニング法には、逆転写酵素ポリメラーゼ鎖反応(RT−PCR)またはインサイチュハイブリダイゼーション等の標準的な方法などがあるが、これらには限定されない。
RT−PCRによるスクリーニングにおいて、腫瘍におけるmRNAのレベルは、mRNAのcDNAコピーを作成した後、PCRによりcDNAを増幅することにより評価される。PCR増幅法、プライマーの選択および増幅の条件は、当業者には公知である。核酸操作およびPCRは、標準的方法で実施する。標準的方法は、例えば、以下のものに記載されている:Ausubel、F.M.等編、Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学における現在のプロトコル)、2004年、John Wiley&Sons社、またはInnis、M.A.等編、PCR Protocols:a guide to methods and applications(PCRプロトコル:方法および用途の指針)、1990年、Academic Press、San Diego。また、核酸法を含む反応および操作は、Sambrook等、2001年、第3版、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(分子クローニング:実験マニュアル)、Cold Spring Harbor Laboratory Pressにも記載されている。別法として、RT−PCR(例えば、Roche Molecular Biochemicals)用の市販のキットを使用してもよいし、また米国特許第4,666,828号;第4,683,202号;第4,801,531号;第5,192,659号、第5,272,057号、第5,882,864号および第6,218,529号(引用することにより、本明細書の一部とされる)に記載の方法を用いてもよい。
mRNA発現を評価するためのインサイチュハイブリダイゼーション法の一例として、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)(Angerer、1987年Meth.Enzymol、152:649参照)がある。
一般的に、インサイチュハイブリダイゼーションは、以下の主要な工程を含んでなる:(1)分析すべき組織の固定化;(2)標的核酸のアクセシビリティを増加するため、および非特異的結合を減少させるための試料の予備ハイブリダイゼーション処理;(3)生物学的構造または組織における核酸に対する核酸の混合物のハイブリダイゼーション;(4)ハイブリダイゼーションにおいて結合しない核酸断片を除去するための後ハイブリダイゼーション洗浄、および(5)ハイブリダイゼーションした核酸断片の検出。このような用途において使用されるプローブは、典型的には、例えば、放射性同位体また蛍光リポーターで標識される。好ましいプローブは、十分な長さ、例えば、約50、100または200ヌクレオチド〜約1000以上のヌクレオチドである。これにより、ストリンジェント条件下で標的核酸と特異的にハイブリダイゼーションできる。FISHを実施するための標準的な方法は、Ausubel、F.M.等編、Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学における現在のプロトコル)、2004年、John Wiley&Sons社およびJohn M.S.Bartlett、Fluorescence In Situ Hybridization:Technical Overview(蛍光インサイチュハイブリダイゼーション:技術的概説)、Molecular Diagnosis of Cancer、Methods and Protocols、第2版;ISBN:1−59259−760−2;2004年3月、077−088;Series:Methods in Molecular Medicineに記載されている。
別法として、mRNAから発現したタンパク質産物は、以下の方法で評価できる:腫瘍試料の免疫組織化学法、マイクロタイタープレートを用いた固相免疫アッセイ、ウエスタンブロット法、二次元SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、ELISA、フローサイトメトリー、および特異的タンパク質の検出について当該技術分野において公知の他の方法。検出方法には、部位特異的抗体の使用などがある。当業者は、サイクリンEのアップレギュレーション、p21またはp27の損失、またはCDC4変異体、オーロラアップレギュレーションおよびオーロラの変異体の検出についての全てのこのような周知の方法は、本発明に適用できることは理解できるであろう。
従って、これらの技術の全ては、本発明の化合物を用いた治療に特に好適な腫瘍を同定するのに使用することもできる。
CDC4の変異体、サイクリンEのアップレギュレーション、特に過剰発現またはp21またはp27の損失に伴う腫瘍は、CDK阻害剤に特に感受性がある。腫瘍は、治療前に、サイクリンEのアップレギュレーション、特に過剰発現(Harwell RM、Mull BB、Porter DC、Keyomarsi K.;J Biol Chem.2004年3月26日;279(13):12695−705)もしくはp21またはp27の損失、またはCDC4変異体について、優先的にスクリーンできる(Rajagopalan H、Jallepalli PV、Rago C、Velculescu VE、Kinzler KW、Vogelstein B、Lengauer C;Nature.2004年3月4日;428(6978):77−81)。
マントル細胞リンパ腫(MCL)を有する患者は、本明細書で概説している診断試験を用いて本発明の化合物を用いた治療のために選択できる。MCLは、非Hodgkinリンパ腫の別個の臨床病理的なものである。これは、小〜中程度のサイズのリンパ球の増殖とともに、CD5およびCD20の共発現、攻撃性および不治の臨床コース、および転位置の頻発(11;14)(q13;q32)により特徴付けられる。マントル細胞リンパ腫(MCL)でみられるサイクリンD1mRNAの過剰発現は、極めて重要な診断マーカーである。Yatabe 等(Blood.2000年4月1日;95(7):2253−61)は、サイクリンD1陽性はMCLの標準的な基準の一つとすべきであること、およびこの不治の疾病の革新的な治療法は新しい基準に基づいて見出すべきであるとしている。Jones等(J Mol Diagn.2004年5月;6(2):84−9)は、マントル細胞リンパ腫(MCL)の診断をしやすくするための、サイクリンD1(CCND1)発現用リアルタイム定量的逆転写PCRアッセイを開発した。Howe等(Clin Chem.2004年1月;50(1):80−7)は、サイクリンD1mRNA発現を評価するためのリアルタイム定量的RT−PCRを使用し、そしてCD19mRNAにノーマライズしたサイクリンD1mRNAのための定量的RT−PCRは、血液、骨髄および組織におけるMCLの診断に使用できることを見出した。別法として、乳癌患者は、上記で概説した診断試験を用いてCDK阻害剤による治療を選択することができる。腫瘍細胞は一般的にサイクリンEを過剰発現し、サイクリンEが乳癌において過剰発現する(Harwell等、Cancer Res、2000年、60、481−489)。したがって、乳癌は、特に本明細書に記載のCDK阻害剤で治療できることが分かった。
抗真菌用途
さらなる態様によれば、抗真菌剤としての、式(I)で表される化合物および本明細書で定義し、上記で記載したそれらのサブグループの使用が提供される。
式(I)の化合物ならびにそれらのサブグループ、例えば、式(II)および(III)の化合物、ならびに本明細書で定義されているそれらのサブグループは、動物医薬(例えば、ヒト等の哺乳動物の治療)、または植物の治療(例えば、農業および園芸)に使用するか、または一般的な抗真菌剤、例えば、保存剤および消毒薬として使用できる。
ヒト等の哺乳動物における真菌感染の予防または治療のための、本発明の一実施態様によれば、式(I)の化合物ならびにそれらのサブグループ、例えば、式(II)および(III)の化合物、ならびに本明細書で定義されているそれらのサブグループの化合物の使用が提供される。
ヒト等の哺乳動物における真菌感染の予防または治療のための医薬を製造するための、式(I)の化合物ならびにそれらのサブグループ、例えば、式(II)および(III)の化合物、ならびに本明細書で定義されているそれらのサブグループの化合物の使用が提供される。
例えば、本発明の化合物は、とりわけ微生物、Candida、Trichophyton、MicrosporumまたはEpidermophytonの種により生じた局所的真菌感染、Candida albicansにより生じた粘膜感染(例えば、腔カンジダ症および膣カンジダ症)による感染を患っているか、またはその危険があるヒト患者に投与できる。また、本発明の化合物は、例えば、Candida albicans、Cryptococcus neoformans、Aspergillus flavus、Aspergillus fumigatus、Coccidiodies、Paracoccidioides、HistoplasmaまたはBlastomycesにより生じる全身真菌感染の治療または予防にために投与することもできる。
本発明の別の実施態様によれば、農業(園芸を含む)用抗真菌組成物であって、式(I)の化合物ならびにそれらのサブグループ、例えば、式(II)および(III)の化合物、ならびに本明細書で定義されているそれらのサブグループの化合物を、農芸学的に許容される稀釈剤またはキャリアとともに含んでなる、抗真菌組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、真菌感染を患っている動物(ヒト等の哺乳動物を含む)、植物または種を治療するための方法であって、前記動物、植物または種、または前記植物または種の遺伝子座を、効果的な量の式(I)の化合物ならびにそれらのサブグループ、例えば、式(II)および(III)の化合物、ならびに本明細書で定義されているそれらのサブグループの化合物で処理することを含んでなる、方法が提供される。
また、本発明によれば、植物または種における真菌感染を治療するための方法であって、前記植物または種を、式(I)の化合物ならびにそれらのサブグループ、例えば、式(II)および(III)の化合物、ならびに本明細書で定義されているそれらのサブグループの化合物を含有する抗真菌的に効果的な量の殺真菌性組成物で処理することを含んでなる、方法が提供される。
非ヒトCDK酵素に対して特異的である本発明の化合物を選択するのに、ディファレンシャルスクリーニングアッセイを使用してもよい。真核病原微生物のCDK酵素に対して特異的に作用する化合物を、抗真菌剤または駆虫剤として使用できる。CandidaCDKキナーゼ、CKSIの阻害剤は、カンジダ症の治療に使用できる。抗真菌剤は、上記で定義した種類の感染、または衰弱および免疫抑制患者、例えば、白血病およびリンパ腫を患っている患者、免疫抑制療法を受けている人々、および罹病素因状態、例えば、糖尿病またはエイズの患者、さらには非免疫抑制患者に一般的に生じる日和見性感染に対して使用することができる。
当該技術分野において記載されているアッセイを、カンジダ症、アスペルギルス症、ムコール症、ブラストミセス症、ジオトリクム症、クリプトコッカス症、色素酵母菌症、コクシジウム症、分生胞子病、ヒストプラスマ症、マズラミコーシス、リノスポリドシス、ノカイジオシス、パラ放線菌症、ペニシリウム症、モノリアシス、またはスポロトリクム等の真菌症に関連する少なくとも一種の真菌を阻害するのに有用である薬剤をスクリーニングするのに使用できる。ディファレンシャルスクリーニングアッセイは、以下の酵母からクローニングしたCDKを利用することによるアスペルギルス症の治療的価値がある抗真菌剤を同定するのに使用できる:Aspergillus fumigatus、Aspergillus flavus、Aspergillus niger、Aspergillus nidulans、またはAspergillus terreus。真菌感染がムコンニコシス(mucon−nycosis)である場合には、CDKアッセイを、酵母、例えば、Rhizopus arrhizus、Rhizopus oryzae、Absidia corymbifera、Absidia ramosaまたはMucorpusillusから出発しておこなうことができる。他のCDK酵素には、病原菌Pneumocystis cariniiなどがある。
例えば、化合物の抗真菌活性の生体外評価は、特定の微生物の成長が生じなくなる、媒体中での試験化合物の濃度である最小阻害濃度(M.I.C.)を測定することによりおこなうことができる。実際には、特定の濃度で試験化合物を含有させた一連の各寒天プレートに、例えば、Candida albicansの標準培養液を接種した後、各プレートを、37℃で適切な期間インキュベーションする。
次に、プレートを、真菌の成長の有無について調べ、適切なM.I.C.値を求める。別法として、液体培養における濁度アッセイを実施する。このアッセイの例を概説しているプロトコルを、実施例56にみることができる。化合物の生体外評価を、真菌、例えば、Candida albicans株またはAspergillus flavus株を接種したマウスに、一連の投与レベルで腹腔内または静脈内注射により実施するか、または経口投与することにより実施できる。化合物の活性は、処置したまたは未処置のマウス群における真菌感染の成長を(組織学によるか、または感染からの真菌を検索することによる)監視することにより評価できる。活性は、感染の致死効果に対して50%防止する投与レベル(PD50)で測定できる。
ヒトの抗真菌の目的で使用する場合、式(I)の化合物ならびにそれらのサブグループ、例えば、式(II)および(III)の化合物、ならびに本明細書で定義されているそれらのサブグループの化合物を、単独、または意図する投与経路および標準的な医薬のプラクティスとの関連で選択した医薬用キャリアとの混合物として投与できる。したがって、これらは、例えば、上記の「医薬製剤」と題する章において述べた製剤化によって、経口、非経口、静脈内、筋肉内または皮下投与できる。
ヒト患者に対する経口および非経口投与については、本発明の抗真菌化合物の投与レベルは、経口または非経口投与したときの化合物、とりわけ効力に応じて、0.01〜10mg/kg/日(分割投与において)である。化合物の錠剤またはカプセルは、例えば、適宜一回投与または複数回投与するための投与用活性化合物5mg〜0.5gを含有することができる。いずれにしても、医師は、個々の患者に最も適した実際の投与量(有効量)を決定する。その量は、特定の患者の年齢、体重および反応により異なる。
別法として、抗真菌化合物は、座薬またはペッサリーの形態で投与してもよいし、またはローション、液剤、クリーム、軟膏剤または粉剤の形態で、局所に適用することができる。例えば、抗真菌化合物を、ポリエチレングリコールの水性エマルジョンまたは液状パラフィンからなるクリームに含有させてもよいし;または1〜10%の濃度で、ホワイトワックスまたはホワイトソフトパラフィン基剤と必要に応じて安定化剤および保存剤とからなる軟膏剤に含有させることができる。
上記した治療目的の使用の他に、ディファレンシャルスクリーニングアッセイのための抗真菌剤は、例えば、食品、家畜における重量増加を促進するための補充飼料、または非生存物、例えば、除毒のための院内装置および部屋を処理するための消毒薬において、保存剤として使用できる。同様に、哺乳動物CDKおよび昆虫CDK、例えば、Drosophilia CDK5遺伝子(Hellmich 等.(1994) FEBS Lett 356:317−21)の阻害を並列比較することにより、ヒト/哺乳動物と昆虫酵素との間で異なる阻害の化合物から選択をすることができる。したがって、本発明では、殺虫剤、例えば、ショウジョウバエのような昆虫の管理のための、本発明の化合物の使用および製剤を意図している。
さらに別の実施態様によれば、ある種の対象CDK阻害剤を、哺乳動物酵素に対して、植物CDKに対る阻害特異性に基づいて選択できる。例えば、植物CDKで、ヒト酵素の一種以上でのディファレンシャルスクリーニングして、植物酵素を阻害するための最も大きな選択性を有する化合物を選択するこことができる。したがって、本発明では、具体的に、落葉剤等の形態等で、農芸用途の対象CDK阻害剤の製剤を意図している。農芸用途では、本発明の化合物は、特定の使用および意図する目的に適切なように製剤化した組成物の形態で使用できる。したがって、本発明の化合物は、粉剤、粒剤、種子粉衣、液剤、懸濁剤もしくは乳剤、ディップ、スプレー、エアロゾクまたはスモークの形態で適用できる。組成物は、分散可能粉剤、粒剤またグレイン、または使用前に稀釈する濃縮物の形態で供給することもできる。このような組成物は、公知であり、そして農芸において許容できる、通常のキャリア、稀釈剤または補助剤を含有することができ、通常の方法で製造できる。また、組成物は、他の活性成分、例えば、除草活性または殺虫活性を有する化合物、またさらなる殺菌剤を含有してもよい。これらの化合物または組成物は、多数の方法で適用できる。例えば、これらは、植物の葉、茎、枝、種または根に直接適用してもよいし、または土壌または他の成長媒体に適用してもよい。また、これらは、疾病を根絶するのに使用できるだけでなく、植物または種を保護するのに予防的に使用てきる。例えば、活性成分を0.01〜1重量%含有することができる。圃場で使用する場合、同様に、活性成分の適用割合は、50〜5000g/ヘクタールであることができる。
また、本発明では、木材腐れ真菌の防除、および植物が成長している土壌、幼苗用水田、または灌流水の処理における、式(I)の化合物ならびにそれらのサブグループ、例えば、式(II)および(III)の化合物、ならびに本明細書で定義されているそれらのサブグループの化合物の使用を意図している。
また、本発明では、貯蔵穀物および他の非植物遺伝子座を真菌の侵襲から防ぐための、式(I)の化合物ならびにそれらのサブグループ、例えば、式(II)および(III)の化合物、ならびに本明細書で定義されているそれらのサブグループの化合物の使用を意図している。
以下、本発明を実施例に記載の具体的実施態様により説明するが、本発明はこれらの実施態様には限定されない。実施例において、原料は、特記のない限りは、市販のものであるか、または当業者に周知の方法により調製できる。
実施例において、以下の略語を使用する。
DCM ジクロロメタン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC 1−エチル−3−(3′−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド
EtN トリエチルアミン
EtOAc 酢酸エチル
EtO ジエチルエーテル
HOAt 1−ヒドロキシアザベンゾトリアゾール
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
PMB p−メトキシベンジル
SiO シリカ
TBTU N,N,N′,N′−テトラメチル−O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムテトラフルオロボレート
THF テトラヒドロフラン
分析LC−MSシステムおよび方法の説明
実施例において、調製した化合物を、以下で述べるシステムおよび操作条件を用いて、液体クロマトグラフィーおよび質量分析により特徴付けた。異なる同位体を有する原子が存在し、単一の質量が示された場合、この化合物について示された質量は、モノ同位体質量(すなわち、35Cl;79Br等)である。以下で記載するいくつかのシステムを使用し、これらを、極めて類似した操作条件下で実施するように構成した。使用した操作条件を、以下にも記載する。
Waters Platform(ウォーターズ プラットフォーム)LC−MSシステム:
HPLCシステム:ウォーターズ2795
質量分析検出器:Micromass Platform LC
PDA検出器:ウォーターズ2996PDA
分析酸性条件:
溶離液A:HO(0.1%ギ酸)
溶離液B:CHCN(0.1%ギ酸)
勾配:3.5分にわたって溶離液B 5〜95%
流量:0.8ml/分
カラム:PhenomenexSynergi 4μ MAX−RP 80A、2.0x50mm
分析塩基性条件:
溶離液A:HO(NHOHでpH=9.2に調整した10mM NHHCO緩衝液)
溶離液B:CHCN
勾配:3.5分にわたって溶離液B 05〜95%
流量:0.8ml/分
カラム:Phenomenex Luna C18(2)5μm、2.0x50 mm
分析極性条件:
溶離液A:HO(0.1%ギ酸)
溶離液B:CHCN(0.1%ギ酸)
勾配:3分にわたって溶離液B 00〜50%
流量:0.8ml/分
カラム:PhenomenexSynergi 4μ MAX−RP 80A、2.0x50mm
分析親油性条件:
溶離液A:HO(0.1%ギ酸)
溶離液B:CHCN(0.1%ギ酸)
勾配:3.5分にわたって溶離液B 55〜95%
流量:0.8ml/分
カラム:PhenomenexSynergi 4μ MAX−RP 80A、2.0x50mm
分析長酸性条件:
溶離液A:HO(0.1%ギ酸)
溶離液B:CHCN(0.1%ギ酸)
勾配:15分にわたって溶離液B 05〜95%
流量:0.4ml/分
カラム:PhenomenexSynergi 4μ MAX−RP 80A、2.0x150mm
分析長塩基性条件:
溶離液A:HO(NHOHでpH=9.2に調整した1OmM NHHCO緩衝液
溶離液B:CHCN
勾配:15分にわたって溶離液B 05〜95%
流量:0.8ml/分
カラム:PhenomenexLuna C18(2) 5μm 2.0x50mm
プラットホームMS条件:
毛細管電圧:3.6kV(ESネガティブで3.40kV)
コーン電圧:25V
ソース温度:120℃
スキャン範囲:100〜800amu
イオン化モード:エレクトロスプレーポジティブまたは
エレクトロスプレーネガティブまたは
エレクトロスプレーポジティブ&ネガティブ
Waters Fractionlynx(ウォーターズ フラクションリンクス) LC−MSシステム:
HPLCシステム:2767自動サンプラー−2525バイナリー勾配ポンプ
質量分析検出器:Waters ZQ
PDA検出器:Waters 2996 PDA
分析酸条件:
溶離液A:HO(0.1%ギ酸)
溶離液B:CHCN(0.1%ギ酸)
勾配:4分間にわたって溶離液B 5〜95%
流量:2.0ml/分
カラム:PhenomenexSynergi 4μ MAX−RP 80A、4.6x50mm
分析極性条件:
溶離液A:HO(0.1%ギ酸)
溶離液B:CHCN(0.1%ギ酸)
勾配:4分間にわたって溶離液B 00〜50%
流量:2.0ml/分
カラム:PhenomenexSynergi 4μ MAX−RP 80A 4.6x50mm
分析親油性条件:
溶離液A:HO(0.1%ギ酸)
溶離液B:CHCN(0.1%ギ酸)
勾配:4分間にわたって溶離液B 55−95%
流量:2.0ml/分
カラム:PhenomenexSynergi 4μ MAX−RP 80A、4.6x50 mm
FractionlynxMS条件:
毛細管電圧:3.5kV(ESネガティブで3.2kV)
コーン電圧:25V(ESネガティブで30V)
ソース温度:120℃
スキャン範囲:100〜800amu
イオン化モード:エレクトロスプレーポジティブまたは
エレクトロスプレーネガティブまたは
エレクトロスプレーポジティブ&ネガティブ
質量型精製LC−MSシステム
分取LC−MSは、ここで記載の化合物等の小有機分子の精製に使用される標準的で効果的な方法である。液体クロマトグラフィー(LC)と質量分析(MS)の方法は、変更して、粗生成物がよりよく分離できるようにしたり、MSによる試料の検出が向上したりするようにすることができる。分取勾配LC法を最適化するには、カラム、揮発性溶離液および改質剤並びに勾配を変える。分取LC−MS法を最適化し、それからそれらを用いて化合物を精製する方法は、当該技術分野には周知である。このような方法は、RosentreterU、HuberU.;分取LC/MSにおける最適画分の採集;J Comb Chem.;2004;6(2)、159−64およびLeisterW、StraussK、WisnoskiD、ZhaoZ、LindsleyC.、化合物ライブラリーの分取精製および分析解析のためのカスタム高処理量分取液体クロマトグラフィー/質量分析プラットホームの開発;J Comb Chem.;2003;5(3);322−9に記載されている。
分取LC−MSにより化合物を精製する1つのこのようなシステムを、以下に説明する。但し、当業者には、記載のものの代替システムおよび方法を使用できることが理解できるであろう。特に、順相分取LC型法を、ここに記載の逆相法の代わりに使用してもよい。ほとんどの分取LC−MSシステムでは、逆相LCおよび揮発性酸性改質剤を使用する。これは、この方法が、小分子の精製に極めて有効であることと、溶離液がポジティブイオンエレクトロスプレー質量分析に適合しているからである。上記分析法で概略記載した他のクロマトグラフィー溶液、例えば、順相LC、代替緩衝移動相、塩基性改質剤等を、化合物を精製するのに別法として使用できる。
分取LC−MSシステム:
Waters Fractionlynx(ウォーターズ フラクションリンクス)システム:
・ハードウエア:
2767デュアルループオートサンプラー/画分コレクター
2525分取ポンプ
カラム選択用CFO(カラム流体オーガナイザー)
補給水ポンプとしてのRMA(ウォーターズ試薬マネージャー)
ウォーターズZQ質量分析計
ウォーターズ2996フォトダイオードアレイ検出器
ウォーターズZQ質量分析計
・ソフトウエア:
Masslynx4.0
・ウォーターズMS運転条件:
毛細管電圧:3.5kV(ESネガティブで3.2kV)
コーン電圧:25V
ソース温度:120℃
乗算器:500V
スキャン範囲:125〜800amu
イオン化モード:エレクトロスプレーポジティブまたは
エレクトロスプレーネガティブ
Agilent1100 LC−MS分取システム
・ハードウエア:
オートサンプラー:1100シリーズ「prepALS」
ポンプ:分取フロー勾配および1100シリーズ用1100シリーズ「PrepPump」
分取フローにおけるポンピングモディファイヤー用「QuatPump」
UV検出器:1100シリーズ「MWD」多波長検出器
MS検出器:1100シリーズ「LC−MSD VL」
画分コレクター:2x「Prep−FC」
補給水ポンプ:「ウォーターズRMA」
Agilentアクティブスプリッター
・ソフトウエア:
Chemstation:Chem32
・AgilentMS運転条件:
毛細管電圧:4000V(ESネガティブで3500V)
フラグメンター/ゲイン:150/1
乾燥ガス流量:13.0L/分
ガス温度:350℃
ネブライザー圧:50psig
スキャン範囲:125〜800amu
イオン化モード:エレクトロスプレーポジティブまたは
エレクトロスプレーネガティブ
クロマトグラフィー条件:
・カラム:
1.低pHクロマトグラフィー:
PhenomenexSynergyMAX−RP、lOμ、100x21.2mm
(代替使用Thermo Hypersil−Keystone HyPurity Aquastar、5μ、100x21.2mm(より多くの極性化合物用))
2.高pHクロマトグラフィー:
PhenomenexLunaC18(2)、10μ、100x21.2mm(代替使用PhenomenexGemini、5μ、100x21.2mm)
・溶離液:
1.低pHクロマトグラフィー:
溶媒A:HO+0.1%ギ酸、pH〜1.5
溶媒B:CHCN+0.1%ギ酸
2.高pHクロマトグラフィー:
溶媒A:HO+10mM NHHCO+NHOH、pH=9.2
溶媒B:CHCN
3.補給溶媒:
MeOH+0.2%ギ酸(両クロマトグラフィータイプ用)
・方法:
分析トレースに準じて、最も適切な分取クロマトグラフィーのタイプを選択した。典型的手順として、化合物の構造に最適なタイプのクロマトグラフィー(低または高pH)を用いて、分析LC−MSを操作した。分析トレースが良好なクロマトグラフィーを示した時点で、同じタイプの好適な分取法を選択した。低および高pHクロマトグラフィー法の両方のための典型的な操作条件は、以下のようであった:
流量:24ml/分
勾配:一般的に、全ての勾配は、初期0.4分ステップ(95%A+5%B)であった。次に、分析トレースにしたがい、良好な分離をおこなうために、3.6分勾配を選択した(例えば、初期保持化合物について5%〜50%B;中間保持化合物等について35%〜80%B)
洗浄液:1.2分の洗浄工程を、勾配の終わりに実施した。
再平衡化:2.1分の再平衡化工程をおこなって、次の実験用の系を調製した。
補給流量:1ml/分
・溶媒:
全ての化合物を、通常は100%MeOHまたは100%DMSOに溶解した。
提供される情報から、当業者は、分取LC−MSにより、本明細書に記載の化合物を精製できるであろう。
実施例1
N−[4−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−2,6−ジフルオロ−ベンズアミドの合成
1A.5−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステルの合成
Figure 2008526721
カリウム t−ブトキシド(5.45g、48.59mmol)をTHF(140ml)に添加して得た溶液を、激しく攪拌しながら、エチルイソシアノアセテート(4.8ml、44.17mmol)を滴下した。得られた懸濁液を、周囲温度で10分間攪拌した。懸濁液に、4−メトキシベンジルイソチオシアネート(6.9ml、 44.17mmol)を滴下した。この懸濁液を、周囲温度でさらに2時間攪拌した。酢酸(10ml)を懸濁液に添加し、その後、溶媒を真空除去した。残留物を、EtOAcと水とに分配した。有機層部をMgSOで乾燥し、濾過し、真空蒸発させた。残留物を、精製[Biotage SP4、2x40M、 流量40ml/分、勾配1:4EtOAc/ペトロール〜7:3EtOAc/ペトロール]して5−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステルを、 褐色油状物として得た(7.6g、59%)。(LC/MS:R2.90、[M+H]292.99)。
1B. 5−[2,6−ジフルオロ−ベンゾイル)−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステルの合成
Figure 2008526721
5−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(1.0g、3.42mmoles)のDMF(10ml)における撹拌溶液に水素化ナトリウム(301mg、7.53mmoles)を少量ずつ加えた。溶液を周囲温度で10分間撹拌した。反応混合物に2,6−ジフルオロベンゾイルクロリド(0.858mg、6.84mmoles)を加え、次いで、混合物を周囲温度で1時間撹拌し、その後、エーテルと水との間で分配した。有機部分を乾燥し(MgSO)、ろ過し、真空中でエバポレーションした。残渣を精製して(Biotage SP4、40S;流速、40ml/分;グラジエント、1:4のEtOAc/ペトロールから7:3のEtOAc/ペトロール)、5−[2,6−ジフルオロ−ベンゾイル)−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステルを白色の固体として得た(1.1g、74%)(LC/MS:R3.16、[M+H]432.98)。
1C. 5−[(2,6−ジフルオロ−ベンゾイル)−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−チアゾール−4−カルボン酸の合成
Figure 2008526721
5−[2,6−ジフルオロ−ベンゾイル)−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(1.1g、2.55mmoles)をエタノール(20ml)および2N水酸化ナトリウム溶液(20ml)の混合物に溶解した溶液を周囲温度で24時間撹拌した。エタノールを真空中でエバポレーションした。残渣をEtOAcと2N塩酸との間で分配した。有機部分を乾燥し(MgSO)、ろ過し、真空中でエバポレーションして、5−[(2,6−ジフルオロ−ベンゾイル)−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−チアゾール−4−カルボン酸を淡黄色の固体として得た(0.95g、92%)(LC/MS:R2.68、[M+H]404.92)。
1D. 5−[(2,6−ジフルオロ−ベンゾイル)−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−チアゾール−4−カルボン酸(2−アミノ−フェニル)−アミドの合成
Figure 2008526721
5−[(2,6−ジフルオロ−ベンゾイル)−アミノ]−チアゾール−4−カルボン酸(500mg、1.24mmoles)、o−フェニレンジアミン(134mg、1.24mmoles)、EDC(285mg、1.49mmoles)およびHOBt(240mg、1.49mmoles)をDCM(10ml)に溶解した溶液を周囲温度で3時間撹拌した。反応混合物をEtOAcにより希釈し、飽和NaHCO溶液により洗浄し、次いで、ブラインにより洗浄した。有機部分を乾燥し(MgSO)、ろ過し、真空中でエバポレーションした。残渣を精製して(Biotage SP4、40S;流速、40ml/分;グラジエント、3:7のEtOAc/ペトロールから7:3のEtOAc/ペトロール)、5−[(2,6−ジフルオロ−ベンゾイル)−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−チアゾール−4−カルボン酸(2−アミノ−フェニル)−アミドを黄色のオイルとして得た(470mg、77%)(LC/MS:R3.09、[M+H]494.98)。
1E. N−[4−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−2,6−ジフルオロベンズアミドの合成
Figure 2008526721
5−[(2,6−ジフルオロ−ベンゾイル)−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−チアゾール−4−カルボン酸(2−アミノフェニル)−アミド(470mg、0.95mmoles)を酢酸(2ml)に溶解した溶液をCEM discoverマイクロウェーブシンセサイザーにおいて10分間、120℃(100W)で加熱した。反応混合物をEtOAcと水酸化ナトリウム溶液(2N)との間で分配した。有機部分を乾燥し(MgSO)、ろ過し、真空中でエバポレーションした。残渣をトリフルオロ酢酸(2ml)およびアニソール(207μl)に溶解し、その後、CEM discoverマイクロウェーブシンセサイザーにおいて10分間、100℃(80W)で加熱した。溶媒を真空中で除いた。残渣を精製して(Biotage SP4、25M;流速、25ml/分;グラジエント、3:17のEtOAc/ペトロールから3:2のEtOAc/ペトロール)、N−[4−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−2,6−ジフルオロベンズアミドを白色の固体として得た(200mg、59%)(LC/MS:R3.34、[M+H]356.96)。
実施例2
2,6−ジフルオロ−N−[4−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]ベンズアミドの合成
2A. (3,4−ジニトロ−フェニル)−モルホリン−4−イルメタノンの合成
Figure 2008526721
3,4−ジニトロ安息香酸(10.0g)およびチオニルクロリド(30ml)の混合物を2時間にわたって加熱還流して、周囲温度に冷却し、過剰なチオニルクロリドをトルエンとの共沸物により除いた。残渣をTHF(100ml)に溶解し、モルホリン(4.1ml)およびEtN(7.2ml)を混合物に0℃で同時に加えた。混合物を3時間撹拌し、水(100ml)を加え、その後、EtOAcで抽出した。有機部分をブラインにより洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空中で濃縮した。残渣をMeOHから再結晶して、(3,4−ジニトロ−フェニル)−モルホリン−4−イル−メタノン(8.23g)を黄色の固体として得た(H−NMR(300MHz、DMSO−d)δ8.3(d、1H)、8.3(s、1H)、8.0(d、1H)、3.7〜3.5(m、8H))。
2B. 4−(3,4−ジニトロ−ベンジル)−モルホリンの合成
Figure 2008526721
(3,4−ジニトロ−フェニル)−モルホリン−4−イル−メタノン(2.84g)の乾燥THF(50ml)における混合物にNaBH(954mg)を加え、続いて、BF・EtO(3.2ml)を滴下して加えた。混合物を周囲温度で3時間撹拌し、その後、MeOHの添加によって反応停止させた。混合物を真空中で濃縮し、EtOAcと水との間で分配した。有機部分をブラインにより洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空中で濃縮した。残渣を、EtOAcにより溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、4−(3,4−ジニトロ−ベンジル)−モルホリン(1.08g)を得た。
2C. 2,6−ジフルオロ−N−[4−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]ベンズアミドの合成
Figure 2008526721
4−(3,4−ジニトロ−ベンジル)−モルホリン(1.00g)および10%Pd/C(0.10g)のエタノール(40ml)における混合物を、水素雰囲気下、周囲温度で2時間振とうして、さらなるエタノール(40ml)により希釈し、Celiteの詰め物でろ過し、エタノールにより洗浄した。ろ液を真空中で濃縮し、DCM/石油エーテルとともに粉砕して、4−モルホリン−4−イルメチル−ベンゼン−1,2−ジアミンを主成分とするオレンジ色の固体(0.789g)を得た。この固体の一部(150mg、0.77mmoles)、EDC(177mg、0.92mmoles)、HOBt(124mg、0.92mmoles)および5−[(2,6−ジフルオロ−ベンゾイル)−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−チアゾール−4−カルボン酸(実施例1C)(311mg、0.77mmoles)をDMF(10ml)に溶解し、この溶液を周囲温度で24時間撹拌した。反応混合物をEtOAcと炭酸水素ナトリウムの飽和溶液との間で分配した。有機部分を乾燥し(MgSO)、ろ過し、真空中でエバポレーションした。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(Biotage SP4、25M;流速、25ml/分;グラジエント、EtOAcから1:20のMeOH/EtOAc)によって精製した。溶媒を真空中でエバポレーションした。残渣を酢酸(2ml)に溶解し、形成された溶液をCEM discoverマイクロウェーブシンセサイザーにおいて10分間、120℃(100W)で加熱した。反応混合物をEtOAcと水酸化ナトリウム溶液(2N)との間で分配した。有機部分を乾燥し(MgSO)、ろ過し、真空中でエバポレーションした。残渣およびアニソール(62μl、0.573mmoles)をトリフルオロ酢酸に溶解し、CEM discoverマイクロウェーブシンセサイザーにおいて10分間、100℃(80W)で加熱した。反応混合物を真空中でトルエンにより共沸除去した。残渣をエーテルとの粉砕によって精製して、2,6−ジフルオロ−N−[4−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]ベンズアミドを褐色の固体として得た(55mg、42%)(LC/MS:R2.19、[M+H]456.23)。
実施例3
2,6−ジフルオロ−N−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−インドール−2−イル)−イソチアゾール−4−イル]−ベンズアミドの合成
3A. 4−アミノ−イソチアゾール−3−カルボン酸メチルエステルの合成
Figure 2008526721
チオニルクロリド(0.620g、5.2mmol)を、4−アミノ−イソチアゾール−3−カルボン酸(0.500g、3.5mmol)をメタノール(10ml)に溶解した溶液に0℃で滴下して加え、混合物を周囲温度で20時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、トルエンとの共沸物によって乾燥して、4−アミノ−イソチアゾール−3−カルボン酸メチルエステルを白色の固体として得た(0.493g、90%)(LC/MS:R1.60、[M+H]159.08)。
3B. 4−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−イソチアゾール−3−カルボン酸メチルエステルの合成
Figure 2008526721
2,6−ジフルオロ−ベンゾイルクロリド(0.669g、3.8mmol)およびトリエチルアミン(0.424g、4.2mmol)を、4−アミノ−イソチアゾール−3−カルボン酸メチルエステル(0493g、3.1mmol)をTHF(5ml)に溶解した溶液に加え、得られた懸濁物を周囲温度で16時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を酢酸エチル(50ml)と水(50ml)との間で分配し、水相を酢酸エチル(50ml)で逆抽出した。有機抽出液を一緒にしてブライン(50ml)により洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空中で濃縮した。水(50ml)を得られた白色固体に加え、得られた懸濁物を2M NaOHの添加によって塩基性にした。溶液を酢酸エチルで3回抽出し、有機抽出液を一緒にし、洗浄し(ブライン)、乾燥し(MgSO)、真空中で濃縮して、4−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−イソチアゾール−3−カルボン酸メチルエステルを白色の固体として得た(0.644g、70%)(LC/MS:R3.07、[M+H]299.14)。
3C. 4−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−イソチアゾール−3−カルボン酸の合成
Figure 2008526721
4−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−イソチアゾール−3−カルボン酸メチルエステル(0.150g、0.5mmol)の2M NaOH水溶液/ジオキサン(1:1、6ml)における混合物を周囲温度で16時間撹拌した。揮発物を真空中で除き、水(40ml)を加え、混合物を2MのHCl水溶液の添加によってpH4にした。得られた沈殿物をろ過によって集め、真空中で濃縮し、トルエンとの共沸物によって乾燥して、4−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−イソチアゾール−3−カルボン酸を白色の固体として得た(0.103g、73%)。
3D. 2,6−ジフルオロ−N−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−イソチアゾール−4−イル]−ベンズアミドの合成
Figure 2008526721
4−(3,4−ジニトロ−ベンジル)−モルホリン(実施例2B)(1.00g)および10%Pd/C(0.10g)のエタノール(40ml)における混合物を、水素雰囲気下、周囲温度で2時間振とうして、さらなるエタノール(40ml)により希釈し、Celiteの詰め物でろ過し、エタノールにより洗浄した。ろ液を真空中で濃縮し、DCM/石油エーテルとともに粉砕して、4−モルホリン−4−イルメチル−ベンゼン−1,2−ジアミンを主成分とするオレンジ色の固体(0.789g)を得た。この固体の一部(0.90g)を、4−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−イソチアゾール−3−カルボン酸(0.103g、0.36mmol)、EDC(0.085g、0.44mmol)、HOBt(0.060g、0.44mmol)およびDMF(5ml)に加え、得られた反応混合物を周囲温度で64時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を酢酸エチル(50ml)と重炭酸ナトリウム飽和溶液(50ml)との間で分配した。有機層をブラインにより洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空中で濃縮して、オレンジ色のオイル(0.197g)を得た。このオイルを氷酢酸(5ml)に溶解し、3時間にわたって加熱還流した。その後、反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を酢酸エチル(50ml)と重炭酸ナトリウム飽和溶液(50ml)との間で分配した。有機層をブラインにより洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空中で濃縮して、オレンジ色のオイル(0.161g)を得た。その後、このオイルをカラムクロマトグラフィーに供し、酢酸エチルにより溶出し、その後、ジエチルエーテルとともに粉砕し、ろ過して、2,6−ジフルオロ−N−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−イソチアゾール−4−イル]−ベンズアミドを淡黄色の固体として得た(0.030g、18%)(LC/MS:R2.24、[M+H]456.22)。
実施例4
2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−5−カルボン酸[4−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−アミド
Figure 2008526721
実施例1および実施例2で示された一般的方法に従い、しかし、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−5−カルボン酸クロリドを実施例1Bにおいて2,6−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりに使用することによって、表題化合物を調製することができる。
実施例5
2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−N−[4−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−ベンズアミド
Figure 2008526721
実施例1および実施例2で示された一般的方法に従い、しかし、2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−安息香酸クロリドを実施例1Bにおいて2,6−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりに使用することによって、表題化合物を調製することができる。
実施例6
ピロリジン−2−カルボン酸[4−(5,6−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−アミド
Figure 2008526721
実施例1および実施例2で示された一般的方法に従い、しかし、2−ピロリジン−カルボン酸クロリドを実施例1Bにおいて2,6−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりに使用し、かつ、4,5−ジメトキシ−ベンゼン−1,2−ジアミンを実施例1Dにおいてo−フェニレンジアミンの代わりに使用することによって、表題化合物を調製することができる。
実施例7
1−メチル−ピペリジン−4−カルボン酸[4−(5,6−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−アミド
Figure 2008526721
実施例1および実施例2で示された一般的方法に従い、しかし、1−メチルピペリジン−4−イル−カルボン酸クロリドを実施例1Bにおいて2,6−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりに使用し、かつ、4,5−ジメトキシ−ベンゼン−1,2−ジアミンを実施例1Dにおいてo−フェニレンジアミンの代わりに使用することによって、表題化合物を調製することができる。
実施例8
1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−ウレアの合成
Figure 2008526721
4−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−チアゾール−5−イルアミン(0.33mmol)およびCDI(217mg、1.34mmol)のTHF(2ml)における混合物を、15分間、マイクロ波照射(150℃、150W)に供する。その後、シクロプロピルアミン(2.68mmol)を加え、反応混合物を、さらに15分間、同一条件下で再びマイクロ波照射する。冷却後、不均一混合物をろ過し、ろ液を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を得る。
この調製のための出発物質、すなわち、4−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−チアゾール−5−イルアミンは、本明細書中に記載される環化条件を使用して、好適にN−保護された5−アミノチアゾール−4−カルボン酸から作製することができる。
あるいは、1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−ウレアは、当業者に広く知られている試薬および条件を使用して、本明細書中における一般的合成の節に記載されるような方法によって調製することができる。
実施例9
本明細書中に記載される方法に従うことによって、下記の化合物を調製することができる:
1−(2,6−ジフルオロフェニル)−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−ウレア;
1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−イソチアゾール−4−イル]−ウレア;および
1−(2,6−ジフルオロフェニル)−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−イソチアゾール−5−イル]−ウレア。
生物活性
実施例10
活性化CDK2/サイクリンAキナーゼ阻害活性アッセイ(IC 50 )の測定
本明細書の化合物を、以下のプロトコルを用いて、キナーゼ阻害活性について試験できる。
活性化CDK2/サイクリンA(Brown等、Nat.Cell Biol.、1、pp438−443、1999;Lowe、E.D.等、Biochemistry、41、pp15625−15634、2002)を、125pMに、2.5X濃度アッセイ緩衝液(50mM MOPS pH7.2、62.5mM β−グリセロリン酸塩、12.5mM EDTA、37.5mM MgCl、112.5mM ATP、2.5mM DTT、2.5mMオルトバナジン酸ナトリウム、0.25mg/mlウシ血清アルブミン)で希釈し、そのうちの10μlを、10μlのヒストン基質ミックス(60μlウシヒストンH1(Upstate Biotechnology、5mg/ml)、940μl HO、35μCiγ33P−ATP)と混合し、試験化合物をDMSOで希釈した種々の希釈液(2.5%以下)5μlとともに、96ウエルプレートに添加する。2〜4時間反応させた後、過剰のオルトリン酸(5μl、2%)で反応を停止する。
ヒストンH1に含有させていない状態のγ33P−ATPを、リン酸化ヒストンH1から、Millipore MAPHフィルタープレートで分離する。MAPHプレートのウエルを、0.5%オルトリン酸で湿らせた後、反応物を、ウエルを介してMillipore真空濾過ユニットで濾過する。濾過後、残留物を0.5%オルトリン酸200μlで2回洗浄する。フィルターを乾燥させたら、20μlのMicroscint20シンチラントを添加した後、Packard Topcountで30秒間カウントする。CDK2活性の阻害%を算出し、プロットしてCDK2活性の50%を阻害するのに必要な試験化合物の濃度(IC50)を求める。
CDK2アッセイにおいて、実施例1及び2の化合物はそれぞれ10μM未満のIC50値を有している。
実施例11
活性化CDK1/サイクリンBキナーゼ阻害活性アッセイ(IC 50 )の測定
CDK1/サイクリンBアッセイは、CDK1/サイクリンB(Upstate Discovery)を使用し、酵素を6.25nMに希釈する以外は、上記のCDK2/サイクリンAと同じである。
CDK2アッセイにおいて、実施例1、2及び3の化合物は、10μM未満のIC50値を有している。
実施例12
オーロラキナーゼアッセイ
オーロラ活性を、GSK3−由来ビオチニル化ペプチドを用いて、ディソシエイティブエンハンストランタニドフルオロイムノアッセイ(DELFIA)を用いて測定した。生成したリン酸化ペプチドの量を、時間分割蛍光を用いて、λex=337nm、λem=620nmで、ホスホ特異的一次抗体とユーロピウム標識抗ウサギIgG抗体により定量化する。
オーロラA
キナーゼ反応
アッセイ反応を、0.5nMオーロラA(Upstate Discovery)、3μM Biotin−CGPKGPGRRGRRRTSSFAEG、15μM ATP及び化合物を10mM MOPS pH7.0、0.1mg/ml BSA、0.001%Brij−35、0.5%グリセロール、0.2mM EDTA、10mM MgCl、0.01% β−メルカプトエタノール&2.5%DMSOで希釈した種々の希釈液を用いて、総反応容積25μlで、96ウエルプレートでおこなう。60分間室温で反応させた後、100mM EDTA、0.05%Surfact−Amps20(Pierce)及び1xBlocker(登録商標)BSAをTBS(Pierce)に添加した停止バッファー100μlで反応を停止する。
検出工程
次に、反応混合物を、96ウエルNeutravidinコートプレート(Pierce)に移し、30分間インキュベーションしてビオチニル化ペプチドを捕獲する。200μl TBST緩衝液/ウエルで5回洗浄後、抗ホスホ(Ser/Thr)−AKT基質抗体(Cell Signalling Technology)とEu−N抗ウサギIgG(Perkin Elmer)との混合物を、全てのウエルに添加し、1時間放置する。さらなる洗浄工程後、DELFIA増強溶液(Perkin Elmer)を、全てのウエルに添加する。5分間のインキュベーション後、ウエルを、フュージョンプレートリーダーでカウントする。
オーロラAアッセイにおいて、実施例1〜3の化合物は全て、0.1μM未満のIC50値を有している。
オーロラB
キナーゼ反応
アッセイ反応を、5nMオーロラB(ProQinase)、3μM Biotin−CGPKGPGRRGRRRTSSFAEG、15μM ATP及び化合物を25mM TRIS pH8.5、0.1mg/ml BSA、0.025% Surfact−Amps20、5mM MgCl、1mM DTT&2.5%DMSOで希釈した種々の希釈液を用いて、総反応容積25μlで、96ウエルプレートでおこなう。90分間室温で反応させた後、100mM EDTA、0.05% Surfact−Amps20(Pierce)及び1xBlocker(登録商標)BSAをTBS(Pierce)に添加した停止バッファー100μlで反応を停止する。
検出工程を、オーロラAについて記載したように実施した。
オーロラBアッセイにおいて、実施例1の化合物は、0.1μM未満のIC50値を有していることが判明した。
実施例13
GSK3−B/オーロラキナーゼ阻害活性アッセイ
オーロラA(Upstate Discovery)又はGSK3−β(Upstate Discovery)を、10nM及び7.5nMのそれぞれに、25mM MOPS pH7.00、25mg/ml BSA、0.0025%Brij−35、1.25%グリセロール、0.5mM EDTA、25mM MgCl、0.025% β−メルカプトエタノール、37.5mM ATPで希釈し、その10μlを、基質ミックス10μlと混合する。オーロラ用基質ミックスは、35μCiγ33P−ATPを含有する水1mlに500μM Kemptideペプチド(LRRASLG、Upstate Discovery)を添加したものである。GSK3−β用基質ミックスは、35μCiγ33P−ATPを含有する水1mlに12.5μMホスホ−グリコーゲンシンターゼペプチド−2(Upstate Discovery)を添加したものである。酵素と基質を、試験化合物をDMSO(2.5%以下)で希釈した種々の希釈液の5μlとともに、96ウエルプレートに添加する。30分間(オーロラ)又は3時間(GSK3−β)反応後、過剰量のオルトリン酸(5μl、2%)で反応を停止する。濾過手順を、上記活性化CDK2/サイクリンAアッセイと同様におこなう。
実施例14
CDK選択性アッセイ
本発明の化合物を、以下に記載されるように修正された上述の一般的なプロトコルを用いて、多数の異なるキナーゼに対するキナーゼ阻害活性について試験することができる。
キナーゼを、10xワーキングストックに、20mM MOPS pH7.0、1mM EDTA、0.1% γ―メルカプトエタノール、0.01%Brij−35、5%グリセロール、1mg/ml BSAで希釈する。1単位は、1分当たり1nmolのリン酸塩を30℃で0.1mg/mlヒストンH1、又はCDK7基質ペプチドへ配合することに相当し、最終ATP濃度は100uMである。
全てのCDKアッセイ用基質(CDK7を除く)はヒストンH1であり、使用前に20mM MOPS pH7.4で10Xワーキングストックに希釈する。CDK7用基質は、脱イオン化水で10Xワーキングストックに希釈された特定のペプチドである。
CDK1/サイクリンB、CDK2/サイクリンA、CDK2/サイクリンE、CDK3/サイクリンE、CDK5/p35、CDK6/サイクリンD3に関するアッセイ手順:
最終反応容積25μlにおいて、8mM MOPS pH7.0、0.2mM EDTA、0.1mg/ml ヒストンH1、10mM 酢酸マグネシウム及び[γ33P−ATP](特定活性:およそ500cpm/pmol、所要の濃度)で酵素(5〜10mU)をインキュベートする。Mg2+[γ33P−ATP]を添加することにより反応を開始する。室温で40分間インキュベーションした後、5μlの3%リン酸溶液を添加することにより反応を停止する。10mlの反応をP30フィルタマット上にスポットし、5分間75mMリン酸で3回、メタノールで1回洗浄し、その後乾燥させてカウントする。
CDK7/サイクリンH/MAT1アッセイ手順
最終反応容積25μlにおいて、8mM MOPS、pH7.0、0.2mM EDTA、500μM ペプチド、10mM 酢酸マグネシウム及び[γ33P−ATP](特定活性:およそ500cpm/pmol、所要の濃度)で酵素(5〜10mU)をインキュベートする。Mg2+[γ33P−ATP]を添加することにより反応を開始する。室温で40分間インキュベーションした後、5μlの3%リン酸溶液を添加することにより反応を停止する。10mlの反応をP30フィルターマット上にスポットし、5分間、75mMリン酸で3回、メタノールで1回洗浄した後、乾燥させてカウントする。
実施例15
抗増殖活性
本発明の化合物の抗増殖活性を、化合物が多数の細胞系で細胞の成長を阻害する能力を測定することにより求めることができる。細胞増殖の阻害を、Alamar Blueアッセイ(Nociari、M.M、Shalev、A.、Benias、P.、Russo、C.Journal of Immunological Methods(ジャーナル オブ イムノロジカル メソッド)1998、213、157−167)を用いて測定する。この方法は、生細胞がリザズリンをその蛍光生成物であるレゾルフィンに還元する能力に基づくものである。各増殖アッセイでは、細胞を、96ウエルプレートにプレーティングし、16時間回復させてから、阻害化合物を添加して、さらに72時間保つ。インキュベーションの終わりに、10%(v/v)Alamar Blueを添加し、さらに6時間インキュベーションした後、535nM ex/590nMemで蛍光生成物を測定した。非増殖細胞アッセイの場合、細胞をコンフルエンスに96時間維持してから、阻害化合物を添加して、さらに72時間保つ。生細胞数を、上記と同様にAlamar Blueアッセイにより求めた。さらに、形態学的変化を記録した。すべての細胞系を、ECACC(European Collection of cell Cultures)から入手した。
特に、本発明の化合物を、ヒト結腸癌由来のHCT−116細胞系(ECACC参照番号:91091005)に対して試験した。
故に、実施例2の化合物を、HCT−116細胞系に対して試験した結果、1μM未満のIC50を有することが判明した。一方、実施例1及び3の化合物はいずれも、同一アッセイにおいて15μM未満のIC50値を有する。
実施例16
グリコーゲンシンセターゼキナーゼ3(GSK−3)に対する阻害活性の測定
GSK3β(ヒト)を、10xワーキングストックに、50mM Tris pH7.5、0.1mM EGTA、0.1mM バナジン酸ナトリウム、0.1% β−メルカプトエタノール、1mg/ml BSAで希釈する。1単位は、1分あたり1nmolのリン酸塩及びホスホグリコーゲンシンターゼペプチド2を配合することに相当する。
最終反応容積25μlにおいて、8mM MOPS 7.0、0.2mM EDTA、20μM YRRAAVPPSPSLSRHSSPHQS(p)EDEEE(ホスホGS2ペプチド)、10mM 酢酸マグネシウム及び[γ33P−ATP](特定活性:およそ500cpm/pmol、所要の濃度)でGSK3β(5〜10mU)をインキュベートする。Mg2+[γ33P−ATP]を添加することにより反応を開始する。室温で40分間インキュベーションした後、5μlの3%リン酸溶液を添加することにより反応を停止する。10mlの反応物をP30フィルターマット上にスポットし、5分間、50mMリン酸で3回、メタノールで1回洗浄した後、乾燥させてカウントする。
実施例1の化合物は、GSK3βに対して1μM未満のIC50値を有している。
実施例17
A.一般的なコロニー形成アッセイプロトコル
化合物の様々な処理が付着腫瘍細胞系に与える効果を、以下に記載するようなコロニー形成アッセイにおいて評価することができる。
細胞を、75〜100細胞/関連培養培地mlの濃度で6又は24ウエル組織培養プレート上に播種し、16時間回復させる。
化合物又はベヒクル対照(DMSO)を複製ウエルに添加し、最終DMSO濃度0.1%を得る。化合物の添加後、10〜14日間コロニーを成長させ、コロニー数を別々に最適な方法でカウントする。2ml Carnoys定着剤(25%酢酸、75%メタノール)中でコロニーを固定し、2ml 0.4%w/vクリスタルバイオレットで染色する。各ウエルのコロニー数をカウントする。Prism Graphpad Softwareを用いて、シグモイド用量反応(可変スロープ)IC50曲線によってIC50値を算出する。
例として、式(I)の化合物の様々な処理がA2780、A549、HCT116、HCT116N7、HT−29、MCF7、MIA−Pa−Ca−2、SW620細胞系に与える効果をコロニー形成アッセイにおいて評価することができる。
細胞を、75〜100細胞/関連培養培地mlの濃度で6又は24ウエル組織培養プレート上に播種し、16時間回復させる。
Figure 2008526721
式(I)の化合物またはベヒクル対照(DMSO)を複製ウエルに添加し、最終DMSO濃度0.1%を得る。化合物の添加後、10〜14日間コロニーを成長させ、コロニー数を別々に最適な方法でカウントする。2ml Carnoys定着剤(25%酢酸、75%メタノール)中でコロニーを固定し、2ml 0.4%w/vクリスタルバイオレットで染色する。各ウエルのコロニー数をカウントする。Prism Graphpad Softwareを用いて、シグモイド用量反応(可変スロープ)IC50によってIC50値を算出する。
医薬製剤
実施例18
(i)錠剤
公知の方法で、化合物50mgと、希釈剤としてのラクトース(BP)197mgと、滑剤としてのステアリン酸マグネシウム3mgとを混合し、圧縮して錠剤を形成することにより、式(I)で表される化合物を含有する錠剤組成物を調製する。
(ii)カプセル剤
式(I)で表される化合物100mgを、ラクトース100mgとを混合し、得られた混合物を標準不透明硬質ゼラチンカプセルに充填することにより、カプセル剤を調製する。
(iii)注射剤I
式(I)で表される化合物(例えば、塩形)を10%プロピレングリコールを含有する水に溶解して、濃度1.5重量%の活性化合物を得ることにより注射投与用非経口組成物を調製する。その後、溶液を、濾過により殺菌し、アンプルに充填し、シールする。
(iv)注射剤II
式(I)で表される化合物(例えば、塩形)(2mg/ml)及びマンニトール(50mg/ml)を水に溶解し、得られた溶液を無菌濾過し、密封1mlバイアル又はアンプルに充填することにより、注射用非経口組成物を調製する。
(v)注射剤III
式(I)で表される化合物(例えば、塩形)を水に溶解して濃度20mg/mlとすることにより、注射又はインフュージョンによる点滴用製剤を調製できる。次に、バイアルを密封し、オートクレーブ殺菌する。
(vi)注射製剤IV
式(I)で表される化合物(例えば、塩形)を、緩衝液(例えば、0.2M酢酸塩 pH4.6)20mg/mlを含有する水に溶解することにより、注射又はインフュージョンによる点滴用製剤を調製できる。次に、バイアルを密封し、オートクレーブ殺菌する。
(vii)皮下注射剤
式(I)で表される化合物を、医薬用コーン油と混合して濃度5mg/mlとすることにより、皮下投与用組成物を調製する。組成物を殺菌し、好適な容器に充填する。
(viii)凍結製剤
製剤化した本明細書に記載の式(I)で表される化合物又はその塩のアリコットを、50mlバイアルに入れ、凍結乾燥する。凍結乾燥中、組成物を、一工程凍結プロトコル(−45℃)で凍結する。温度を−10℃に上昇させてアニーリングした後、−45℃に低下させて凍結させた後、+25℃で約3400分間一次乾燥し、その後、温度を50℃に増加した二次乾燥を行う。一次乾燥及び二次乾燥中の圧力は、80ミリトールに設定する。
実施例19
抗真菌活性の測定
式(I)の化合物の抗真菌活性を、以下のプロトコルを用いて測定する。
化合物を、Candida parpsilosis、Candida tropicalis、Candida albicans−ATCC36082及びCryptococcus neoformansを含む真菌パネルに対して試験する。試験生物は、Sabourahdデキストロース寒天傾斜培地に4℃で維持する。各生物の単一懸濁液を、酵母を一晩、27℃で、回転ドラム上で、酵母−窒素塩基ブロス(YNB)(アミノ酸(Difco、Detroit、Mich.)、pH 7.0、0.05Mモルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)含有)中で成長させることにより調製する。次に、懸濁液を、遠心分離し、0.85%NaClで2回洗浄後、洗浄細胞懸濁液を4秒間超音波処理する(Branson Sonifier、モデル350、Danbury、Conn.)。単一の出芽胞子を、血球計でカウントし、0.85%NaClで所望の濃度に調整する。
試験化合物の活性を、ブロス微量希釈法の改良法を用いて測定する。試験化合物を、DMSOで1.0mg/mlに希釈した後、64μg/mlに、MOPS含有YNBブロス、pH7.0で希釈(フルコナゾールを対照として使用する)して、各化合物の希釈標準溶液を得る。96ウエルプレートを用いて、ウエル1及び3〜12をYNBブロスを用いて作成し、化合物溶液の10倍希釈液を、ウエル2〜11で調製する(濃度範囲は、64〜0.125μg/ml)。ウエル1は、無菌対照及び分光光度アッセイ用ブランクとしての役割を果たす。ウエル12は、成長対照としての役割を果たす。マイクロタイタープレートに、ウエル2〜11の各々に10μl(最終接種サイズは、10生物/ml)を接種する。接種プレートを、48時間、35℃でインキュベーションする。プレートを2分間、ボルテックスミキサー(Vorte−Genie2ミキサー、Scientific Industries社製、ニューヨーク州ボレミア)で攪拌後、吸光度を420nmで分光光度法(Automatic Microplate Reader、DuPont Instruments、デルウエア州ウイルミントン)で測定することにより、IC50値を求める。IC50終点は、対照ウエルと比較して、成長が約50%(又はそれ以上)減少する最低薬剤濃度として定義される。濁度アッセイの場合、これは、ウエルにおける濁度が対照(IC50)の<50%である最低薬剤濃度として定義される。最小細胞濃度(MCC)は、96ウエルプレートからの全てのウエルをSabourahdデキストロース寒天(SDA)プレートで二次培養し、1〜2日間、35℃でインキュベーションした後生存能力を確認することにより求める。
実施例20
生体内全植物真菌感染の対照の生物学的評価のプロトコル
式(I)の化合物を、アセトンに溶解し、続いてアセトンで段階希釈して、所望の濃度範囲とする。病原体に応じて、9容の0.05%Tween−20(登録商標)水溶液又は0.01%Triton X−100(登録商標)を添加することにより、最終処理容積を得る。
次に、組成物を、以下のプロトコルを用いて、トマト胴枯れ病(疫病菌寄生虫)に対する本発明の化合物の活性を試験するのに使用する。トマト(品種:ラトガース)は、土壌を用いないピート型鉢植え用混合物において、種から苗が高さ10〜20cmとなるまで成長させる。次に、植物に、試験化合物を100ppmスプレーする。24時間後、試験植物に疫病菌寄生虫の胞子懸濁水溶液をスプレーすることにより接種し、デューチャンバーで一晩保持する。次に、植物を温室に移し、疾病が未処理対照植物に生じるまで置いておく。同様のプロトコルを使用して、赤さび病(Puccinia)、うどんこ病(Ervsiphe vraminis)、小麦(cultivar Monon)、小麦葉枯病(Septoria tritici)及び小麦コムギふ枯病(Leptosphaeria nodorum)に対する本発明の化合物の活性を試験する。
等価物
上記の実施例は、本発明を説明するのに示したものであり、本発明の範囲を限定するものではない。上記で説明及び実施例で説明した本発明の特定の実施態様に対して、本発明の原理から逸脱することなく、多数の修正と変更が可能であることが容易に理解されるであろう。全てのこのような修正及び変更は、本発明に含まれる。

Claims (108)

  1. 式(I)で表される化合物、またはその塩、N−酸化物、互変異性体もしくは溶媒和物:
    Figure 2008526721
    [式中、
    Xは、CRまたはNであり;
    およびQの各々は、炭素原子であり;
    は、SおよびCHから選択されたものであり;
    は、CRおよびSから選択されたものであるが;但し、QおよびQのうちの一つがSであり、QおよびQのうちの他方がSではなく;
    がSのときには、QとQとの間に二重結合があり、かつ、Qと隣接する環窒素原子Nとの間に二重結合があり;QがSのときには、QとQとの間に二重結合があり、かつ、Qと隣接する環窒素原子Nとの間に二重結合があり;
    Aは、結合または−(CH−(B)−であり;
    Bは、C=O、NR(C=O)またはO(C=O)(ここで、Rは、水素、または水酸基もしくはC1−4アルコキシ基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基であり;
    mは、0、1または2であり;
    nは、0または1であり;
    は、水素であるか、またはNRが存在するときにはそれとともに、−(CH−基(式中、pは、2〜4である)を形成し;
    は、水素、環員数3〜12である炭素環式基または複素環式基、または置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基であり;
    は、水素、ハロゲン、メトキシ基、またはハロゲン、ヒドロキシル基もしくはメトキシ基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基であり;
    およびRは、それらが結合する炭素原子とともに、環員数5〜7であって、そのうちの3以下がN、OおよびSから選択されたヘテロ原子であることができる、置換されていてもよい縮合炭素環または複素環を形成し;
    は、水素、R基またはR10基(ここで、R10は、ハロゲン、水酸基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、環員数3〜12の炭素環式基および複素環式基;R−R基(ここで、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONRまたはNRSOであり;そしてRは、水素、環員数3〜12の炭素環式基および複素環式基、ならびに水酸基、オキソ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、環員数3〜12の炭素環式基および複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基(ここで、C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X1またはXC(X)Xで置き換わっていてもよい)から選択されたものである)から選択されたものである)であり;
    は、水素およびC1−4ヒドロカルビル基から選択されたものであり;そして
    は、O、SまたはNRであり、Xは、=O、=Sまたは=NRである]。
  2. がSであり、QがCRであり、したがって、式(I)の化合物がイソチアゾールである、請求項1に記載の化合物。
  3. が、水素、塩素またはメチルである、請求項2に記載の化合物。
  4. が、水素である、請求項3に記載の化合物。
  5. がCHであり、QがSであり、したがって、式(I)の化合物がチアゾールである、請求項1に記載の化合物。
  6. Xが、Nである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
  7. が、水素である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
  8. 部分に結合したR−A−NH部分が、アミドR−(CH−C(=O)NHまたはウレアR−(CH−NHC(=O)NH(ここで、各mは、0、1または2であり、好ましくは0または1であり、最も好ましくは0である)の形態をとっている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
  9. 部分に結合したR−A−NH部分が、アミドR−(CH−C(=O)NHの形態をとっている、請求項8に記載の化合物。
  10. 部分に結合したR−A−NH部分が、ウレアR−(CH−NHC(=O)NHの形態をとっている、請求項8に記載の化合物。
  11. が、環員数3〜10の単環式基または二環式基である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
  12. が、環員数3〜7、より一般的には環員数3〜6、例えば、環員数3、4、5または6の単環式基である、請求項11に記載の化合物。
  13. 前記単環式基Rが、環員数3〜7、より一般的には環員数3〜6、例えば、環員数3、4、5または6の非芳香族炭素環式基である、請求項12に記載の化合物。
  14. が、単環式シクロアルキル基およびアザシクロアルキル基から選択されたものである、請求項13に記載の化合物。
  15. 前記非芳香族炭素環式基が、シクロアルキル基、特にシクロプロピル基である、請求項13に記載の化合物。
  16. が、非置換および置換フェニル基、ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル基、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン基、インドール−4−イル基、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル基、t−ブチル基、フラニル基、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル基、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、ベンゾキサゾール−2−イル基、2H−テトラゾール−5−イル基、ピラジン−2−イル基、ピラゾリル基、ベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、α−アミノベンジル基、α−メチルアミノベンジル基、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾ[d]イソキサゾール−3−イル基、2H−フタラジン−1−オン−4−イル基、ベンゾキサゾール−7−イル基、キナゾリニル基、2−ナフチル基、シクロプロピル基、ベンゾ[c]イソキサゾール−3−イル基、4−ピペリジニル基、5−チアゾリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、3−ピロリル基、イソキサゾリル基、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル基、4−ピリミジニル基、シクロヘキシル基、テトラヒドロピラン−4−イル基、テトラヒドロキノリニル基、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾフラニル基およびモルホリニル基から選択されたものであり;一つ以上の置換基R10が存在することができ、このR10は、ハロゲン、水酸基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、環員数3〜12の炭素環式基および複素環式基;R−R基(ここで、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONRまたはNRSOであり;そしてRは、水素、環員数3〜12の炭素環式基および複素環式基、ならびに水酸基、オキソ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、環員数3〜12の炭素環式基および複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基(ここで、C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X1またはXC(X)Xで置き換わっていてもよい)から選択されたものである)から選択されたものであるか;または2つの隣接する基R10が、それらが結合する炭素原子またはヘテロ原子とともに、5員ヘテロアリール環または5員もしくは6員非芳香族炭素環式基または複素環式基を形成してもよく、前記ヘテロアリール基および複素環式基は、N、OおよびSから選択された3以下のヘテロ原子環員を含んでおり;
    が、水素およびC1−4ヒドロカルビル基から選択されたものであり;そして
    が、O、SまたはNRであり、Xが、=O、=Sまたは=NRである、
    請求項11に記載の化合物。
  17. 前記R上の置換基が、ハロゲン、水酸基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、環員数5または6でO、NおよびSから選択された2以下のヘテロ原子を有する複素環式基、R−R基(ここで、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SOまたはSOであり、Rは、水素、環員数5または6でO、NおよびSから選択された2以下のヘテロ原子を含む複素環式基、ならびに水酸基、オキソ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、環員数5または6でO、NおよびSから選択された2以下のヘテロ原子を含む炭素環式基および複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基(ここで、前記C1−8ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、XC(X)、C(X)XまたはXC(X)Xで置き換えられていてもよい)から選択されたものであり、XはOまたはSであり、Xは=Oまたは=Sである)からなる群R10aから選択されたものである、請求項16に記載の化合物。
  18. 前記R上の置換基が、ハロゲン、水酸基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、R−R基(ここで、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SOまたはSOであり、Rは、水素、ならびに水酸基、オキソ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基およびカルボキシ基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基(ここで、前記C1−8ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、XC(X)、C(X)XまたはXC(X)Xで置き換えられていてもよい)から選択されたものであり、XはOまたはSであり、Xは=Oまたは=Sである)からなる群R10bから選択されたものである、請求項16に記載の化合物。
  19. 上の置換基が、ハロゲン、水酸基、トリフルオロメチル基、R−R基(ここで、Rは、結合またはOであり、Rは、水素、ならびに水酸基およびハロゲンから選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基から選択されたものである)から選択されたものである、請求項16に記載の化合物。
  20. 上の置換基が、フッ素、塩素、メトキシ基、エトキシ基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、アミノ基、オキサゾリル基、モルホリノ基、トリフルオロメチル基、ブロモメチル基、クロロエチル基、ピロリジノ基、ピロリジニルエトキシ基、ピロリジニルメチル基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、モルホリノ基、N−メチルピペラジノ基、ピペラジン基、ピペリジノ基、ピロリジノ基およびモルホリノメチル基から選択されたものである、請求項16に記載の化合物。
  21. が、1個、2個、3個または4個の置換基を有し、より典型的には1個、2個または3個の置換基を有する、請求項16〜20のいずれか一項に記載の化合物。
  22. が、フェニル環であり、そして、
    (i)前記フェニル環の2位、3位および4位のいずれか一つに位置している単一の置換基があるか、
    (ii)前記環の2位、3位、4位または6位に、2個または3個の置換基があるか、
    (iii)前記フェニル環が、2,6−二置換、2,3−二置換、2,4−二置換、2,5−二置換、2,3,6−三置換または2,4,6−三置換である、
    請求項21に記載の化合物。
  23. が、フッ素、塩素およびR−R(式中、RはOであり、RがC1−4アルキル基である)から選択された置換基により2位および6位が二置換されているフェニル基である、請求項22に記載の化合物。
  24. が、
    (i)表1における基A1〜基A183(例えば、基A1〜基A60)から選択されたものであるか、
    (ii)表1における基A1〜基A34から選択されたものであるか、
    (iii)表1における基A1〜基A24、基A26〜基A34、基A38〜基A46、基A48〜基A57、基A59〜基A64、基A66〜基A114、基A116〜基A165、基A167〜基A168および基A170〜基A183から選択されたものである、
    請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
  25. が、2,6−ジフルオロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル基、2−フルオロ−6−メトキシフェニル基、2−フルオロ−5−メトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2−クロロ−6−フルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、2−クロロ−6−メチル基、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル基およびピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル基から選択されたものである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
  26. が、2,6−ジフルオロフェニル基である、請求項25に記載の化合物。
  27. が、シクロプロピル基である、請求項15に記載の化合物。
  28. が、水素、ハロゲン、メトキシ基、またはハロゲン基、水酸基もしくはメトキシ基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基である、請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物。
  29. が、水素、塩素またはメチル基である、請求項28に記載の化合物。
  30. が、水素である、請求項29に記載の化合物。
  31. およびRが、それらが結合している5員環とともに、環系(i)〜(iv)から選択された置換されていてもよい環系を形成している、請求項1〜30のいずれか一項に記載の化合物:
    Figure 2008526721
    (式中、各環系は、請求項16で定義されている一つ以上の基R10により置換されていてもよい)。
  32. 前記環系が、環系(i)である、請求項31に記載の化合物。
  33. 置換基R10が、ハロゲン(例えば、フッ素および塩素)、R−R基(式中、Rは、結合、O、CO、C(X)Xであり、Rは、水素、環員数3〜7(好ましくは環員数5または6)の複素環式基、ならびに水酸基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、および環員数3〜7(例えば、環員数5または6)の複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基(例えば、飽和ヒドロカルビル基、例えば、アルキル基またはシクロアルキル基)から選択されたものである)から選択されたものである、請求項31または32に記載の化合物。
  34. 式(II)で表される、請求項1に記載の化合物:
    Figure 2008526721
    (式中、Q−Q、R、RおよびXは、請求項1〜33のいずれか一項で定義されたとおりであり;
    Yは、NまたはCR(式中、Rは、水素またはR10基であり;そしてR、RおよびRは、同一または異なっていてもよく、各々水素、または請求項1〜33のいずれか一項で定義されたとおりのR10基である)。
  35. 式(III)で表される、請求項34に記載の化合物。
    Figure 2008526721
  36. 式(IIIa)で表される、請求項34に記載の化合物。
    Figure 2008526721
  37. が水素またはC1−4アルキル基であり、より典型的にはRが水素である、請求項35または36に記載の化合物。
  38. が、2,3−二置換、2,6−二置換もしくは2,4,6−三置換フェニル基または2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシンであり、前記置換基がハロゲンおよびC1−4アルコキシ基から選択されたものである、請求項35〜37のいずれか一項に記載の化合物。
  39. が、2,6−ジフルオロフェニル基、2−フルオロ−6−メトキシフェニル基、2−クロロ−6−フルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル基および2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン基から選択されたものである、請求項38に記載の化合物。
  40. が、シクロプロピル基である、請求項36に記載の化合物。
  41. 、R、RおよびRが、各々水素、ハロゲン、水酸基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、環員数3〜12(好ましくは3〜7、より典型的には5または6)である単環式炭素環式基および複素環式基、R−R基(式中、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONRまたはNRSOであり;そしてRは、水素、環員数3〜7の炭素環式基または複素環式基、ならびに水酸基、C1−4アシルオキシ基、オキソ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、環員数3〜7の炭素環式基または複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基(ここで、C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X1またはXC(X)Xで置き換わっていてもよい)から選択されたものであり、R、XおよびX)から選択されたものであるか;またはR、R、RおよびRから選択された隣接する対の置換基が、それらが結合している炭素原子とともに、O、NおよびSから選択された3以下のヘテロ原子を含む非芳香族5員環または6員環を形成していてもよい、請求項34〜40のいずれか一項に記載の化合物。
  42. 〜Rが、各々水素であるか、またはハロゲン、シアノ基、水酸基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、R−R基(式中、Rは結合、O、COまたはC(X)Xであり、Rは水素、環員数3〜12(好ましくは環員数4〜7、例えば、環員数5および6)の複素環式基、ならびに水酸基、C1−4アシルオキシ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基(例えば、モノアルキルアミノ基およびジアルキルアミノ基)、環員数3〜12、より好ましくは環員数4〜7(例えば、環員数5または6)の複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基(好ましくはC1−4ヒドロカルビル基、例えば、飽和ヒドロカルビル基、例えば、アルキル基またはシクロプロピル基)から選択されたものである)から選択されたものであり;Rが水素およびC1−4ヒドロカルビル基(例えば、飽和ヒドロカルビル基、例えば、アルキル基およびシクロアルキル基)から選択されたものであり、XがOまたはNRであり、Xが=Oである、請求項41に記載の化合物。
  43. 、R、RおよびRが、各々水素、フッ素、塩素、臭素、ニトロ基、トリフルオロメチル基、カルボキシ基、R−R基(式中、Rは結合、O、COまたはC(X)Xであり、Rは水素、環員数3〜7の複素環式基(例えば、ピロリジン基、N−メチルピペラジン基またはモルホリン基)、ならびに水酸基、カルボキシ基、C1−4アシルオキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、および環員数3〜7の複素環式基(例えば、ピロリジン基、N−メチルピペラジン基またはモルホリン基)から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基から選択されたものである)から選択されたものであるか;またはR、R、RおよびRから選択された隣接する対の置換基が、それらが結合している炭素原子とともに、1個または2個の酸素原子を環員として含む非芳香族5員環または6員環を形成していてもよい、請求項41に記載の化合物。
  44. 、R、RおよびRが、各々水素、フッ素、塩素、トリフルオロメチル基、R−R基(式中、Rは結合、O、CO、C(X)Xであり、Rは水素、環員数5または6の飽和複素環式基、ならびに水酸基、カルボキシ基、C1−2アシルオキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、および環員数5または6の複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−2ヒドロカルビル基から選択されたものである)から選択されたものであるか;またはR、R、RおよびRから選択された隣接する対の置換基が、一つ以上のフッ素原子により置換されていてもよいメチレンジオキシ基またはエチレンジオキシ基を形成していてもよい、請求項43に記載の化合物。
  45. 〜Rが、各々ハロゲン;ニトロ基;カルボキシ基;R−R基(式中、Rは結合、O、COまたはC(X)Xであり、Rは水素、環員数3〜7の複素環式基、ならびに水酸基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、および環員数3〜7の複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基から選択されたものである)から選択されたものである、請求項44に記載の化合物。
  46. 〜Rのうちの少なくとも一つ(より好ましくは少なくとも2つ)が、水素である、請求項41〜45のいずれか一項に記載の化合物。
  47. 〜Rのうちの一つが置換基であり、他のものが各々水素である、請求項46に記載の化合物。
  48. が置換基であり、R、RおよびRが各々水素である、請求項47に記載の化合物。
  49. 〜Rのうちの二つが置換基であり、残りの2つが両方とも水素である、請求項46に記載の化合物。
  50. およびRの両方が置換基であり、RおよびRの両方が水素である、請求項49に記載の化合物。
  51. が、
    水素;
    ハロゲン(好ましくはフッ素または塩素);
    水酸基、ハロゲン(例えば、フッ素、好ましくはジフルオロ基またはトリフルオロ基、より好ましくはトリフルオロ基)およびNR1112から選択された置換基により置換されていてもよいメチル基;ならびに
    C(=O)NR1112
    (式中、R11およびR12は、同一または異なっていてもよく、各々水素およびC1−4アルキル基から選択されたものであるか、またはR11およびR12は、前記窒素原子とともに、O、NおよびS(好ましくはOおよびN)から選択された1個または2個のヘテロ原子環員を有する5員または6員複素環を形成している)、
    から選択されたものである、請求項41〜50のいずれか一項に記載の化合物。
  52. が、
    水素;
    ハロゲン(好ましくはフッ素または塩素);
    1−4アルコキシ基(例えば、メトキシ基);
    水酸基、ハロゲン(例えば、フッ素、好ましくはジフルオロ基またはトリフルオロ基、より好ましくはトリフルオロ基)およびNR1112から選択された置換基により置換されていてもよいメチル基;ならびに
    C(=O)NR1112
    (式中、R11およびR12は、同一または異なっていてもよく、各々水素およびC1−4アルキル基から選択されたものであるか、またはR11およびR12は、前記窒素原子とともに、O、NおよびS(好ましくはOおよびN)から選択された1個または2個のヘテロ原子環員を有する5員または6員複素環を形成している)、
    から選択されたものである、請求項41〜51のいずれか一項に記載の化合物。
  53. が、水素、フッ素およびメチル基から選択されたもの、最も好ましくは水素である、請求項41〜52のいずれか一項に記載の化合物。
  54. が、
    水素;
    ハロゲン(好ましくはフッ素または塩素);
    1−4アルコキシ基(例えば、メトキシ基);
    水酸基、ハロゲン(例えば、フッ素、好ましくはジフルオロ基またはトリフルオロ基、より好ましくはトリフルオロ基)およびNR1112から選択された置換基により置換されていてもよいメチル基;ならびに
    C(=O)NR1112
    (式中、R11およびR12は、同一または異なっていてもよく、各々水素およびC1−4アルキル基から選択されたものであるか、またはR11およびR12は、前記窒素原子とともに、O、NおよびS(好ましくはOおよびN)から選択された1個または2個のヘテロ原子環員を有する5員または6員複素環を形成している)、
    から選択されたものである、請求項41〜53のいずれか一項に記載の化合物。
  55. 〜Rが、ベンゾイミダゾール基:
    Figure 2008526721
    が、表2に示すいずれか一つの基であるように選択されたものである、請求項41〜54のいずれか一項に記載の化合物。
  56. 前記ベンゾイミダゾール基が、
    (i)基B1、基B3、基B5〜基B8、基B11〜基B20、基B23〜基B30および基B32〜基B47;
    (ii)基B1、基B3、基B5〜基B8、基B11〜基B20、基B24、基B25、基B27〜基B30および基B32〜基B47;または
    (iii)基B8、基B15および基B35、より好ましくは基B15
    から選択されたものである、請求項55に記載の化合物。
  57. 式(IV)で表される、請求項1に記載の化合物:
    Figure 2008526721
    (式中、Aは、NH(C=O)、O(C=O)またはC=Oであり;
    1a、RおよびQ〜Qは、請求項1〜56のいずれか一項で定義した通りであり;
    6a、R7a、R8aおよびR9aは、同一または異なっていてもよく、各々水素、ハロゲン、水酸基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、環員数3〜12の炭素環式基および複素環式基;R−R基(式中、Rは結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONRまたはNRSOであり;そしてRは、水素、環員数3〜12の炭素環式基および複素環式基、ならびに水酸基、オキソ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ基、環員数3〜12の炭素環式基および複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基(ここで、前記C1−8ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)XまたはXC(X)Xで置き換えられていてもよい)から選択されたものである)から選択されたものであるか;またはR6a、R7a、R8aおよびR9aのうちの2つの隣接する基が、それらが結合している炭素原子とともに、5員ヘテロアリール環または5員または6員非芳香族複素環を形成していてもよく、この場合、前記ヘテロアリール基および複素環式基はN、OおよびSから選択された3個以下のヘテロ原子環員を含み;
    は、水素およびC1−4ヒドロカルビル基から選択されたものであり;そして
    は、O、SまたはNRであり、Xは=O、=Sまたは=NRであるか;
    またはR6a、R7a、R8aおよびR9aから選択された隣接する対の置換基が、それらが結合している炭素原子とともに、O、NおよびSから選択された3個以下のヘテロ原子を含む非芳香族5員環または6員環を形成していてもよく;
    1aは、
    ・1個〜3個の置換基R10cにより置換された6員単環式アリール基(但し、前記アリール基がメチル基で置換されているときは、メチル基以外の少なくとも一つの置換基が存在する);
    ・窒素である単一のヘテロ原子環員を含む6員単環式ヘテロアリール基であって、1個〜3個の置換基R10cにより置換されているヘテロアリール基;
    ・窒素および硫黄から選択された3個以下のヘテロ原子環員を含む5員単環式ヘテロアリール基であって、1個〜3個の置換基R10cにより置換されていてもよいヘテロアリール基;
    ・単一の酸素ヘテロ原子環員および任意に窒素ヘテロ原子環員を含み、1個〜3個の置換基R10cにより置換されている5員単環式ヘテロアリール基(但し、ヘテロアリール基が窒素環員を含み、メチル基により置換されているとき、メチル基以外の少なくとも一つの置換基が存在する);
    ・ヘテロ原子環員数が4以下である二環式アリール基およびヘテロアリール基であって、どちらか一つの環が芳香族で、他方は非芳香族であるか、または両方の環が芳香族であり、前記二環式基が1個〜3個の置換基R10cにより置換されていてもよい、二環式アリール基およびヘテロアリール基;
    ・窒素、酸素および硫黄から選択された3個以下のヘテロ原子を含み、1個〜3個の置換基R10cにより置換されていてもよい、4員、6員および7員単環式C結合飽和複素環式基(但し、複素環式基が6員環であり、酸素である一つのヘテロ原子のみを含むとき、少なくとも一つの置換基R10cが存在する);
    ・窒素、酸素および硫黄から選択された3個以下のヘテロ原子を含み、1個〜3個の置換基R10cにより置換されていてもよい、5員単環式C結合飽和複素環式基(但し、前記複素環式基が5員環であり、窒素である一つのヘテロ原子のみを含むとき、水酸基以外の少なくとも一つの置換基R10cが存在する);
    ・1個〜3個の置換基R10cにより置換されていてもよい4員および6員シクロアルキル基;
    ・1個〜3個の置換基R10cにより置換されている3員および5員シクロアルキル基;ならびに
    ・Ph′CR1718−基(ここで、Ph′は、1個〜3個の置換基R10cにより置換されているフェニル基であり;R17およびR18は、同一又は異なっていてもよく、各々水素およびメチル基から選択されたものであるか;またはR17およびR18は、それらが結合している炭素原子といっしょに、シクロプロピル基を形成しているか;またはR17およびR18のうちの一つが水素であり、他方がアミノ基、メチルアミノ基、C1−4アシルアミノ基およびC1−4アルコキシカルボニルアミノ基から選択されたものである)
    から選択されたものであり;
    そしてR6a、R7a、R8aおよびR9aのうちの一つがモルホリノメチル基であるとき、R1aは、さらに
    ・非置換フェニル基および一つ以上のメチル基で置換されたフェニル基;
    ・窒素である単一のヘテロ原子環員を含む非置換6員単環式ヘテロアリール基;
    ・非置換フリル基;
    ・単一の酸素ヘテロ原子環員および窒素ヘテロ原子環員を含み、非置換であるか、または一つ以上のメチル基により置換されている、5員単環式ヘテロアリール基;
    ・酸素である一つのヘテロ原子のみを含む非置換6員単環式C結合飽和複素環式基;ならびに
    ・非置換3員および5員シクロアルキル基
    から選択されたものであり;
    そしてR10cは、
    ・ハロゲン(例えば、FおよびCl);
    ・水酸基;
    ・水酸基およびハロゲンから選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビルオキシ基;
    ・水酸基、ハロゲン、および窒素、酸素および硫黄から選択された1個または2個のヘテロ原子環員を含む5員および6員飽和複素環から選択された一つ以上の置換基で置換されたC1−4ヒドロカルビル基;
    ・S−C1−4ヒドロカルビル基;
    ・C1−4アルキル基、トリフルオロメチル基、フルオロ基およびクロロ基から選択された1個〜3個の置換基により置換されていてもよいフェニル基;
    ・5環員または6環員(例えば、オキサゾール基、ピリジル基、ピリミジニル基)を有し、N、OおよびSから選択された3以下のヘテロ原子を含み、C1−4アルキル基、トリフルオロメチル基、フルオロ基およびクロロ基から選択された1個〜3個の置換基により置換されていてもよい、ヘテロアリール基;
    ・N、OおよびSから選択された3個以下のヘテロ原子を含み、C1−4アルキル基、トリフルオロメチル基、フルオロ基およびクロロ基から選択された1個〜3個の置換基により置換されていてもよい、5員および6員非芳香族複素環式基(例えば、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジン基、N−メチルピペラジノ基、モルホリノ基);
    ・シアノ基、ニトロ基、アミノ基、C1−4アルキルアミノ基、ジ−C1−4アルキルアミノ基、C1−4アシルアミノ基、C1−4アルコキシカルボニルアミノ基;
    ・R19−S(O)−基(式中、nは0、1または2であり、R19はアミノ基;C1−4アルキルアミノ基;ジ−C1−4アルキルアミノ基;C1−4ヒドロカルビル基;C1−4アルキル基、トリフルオロメチル基、フルオロ基およびクロロ基から選択された1個〜3個の置換基により置換されていてもよいフェニル基;およびN、OおよびSから選択された3個以下のヘテロ原子を含み、1個〜3個のC1−4アルキル置換基により置換されていてもよい、5員および6員非芳香族複素環式基から選択されたものである);ならびに
    ・R20−Q−基(式中、R20は、C1−4アルキル基、トリフルオロメチル基、フルオロ基およびクロロ基から選択された1個〜3個の置換基により置換されていてもよいフェニル基であり;Qは、OCH、CHO、NH、CHNH、NCH、CH、NHCOおよびCONHから選択されたリンカー基である)、
    から選択されたものである)。
  58. 式(V)で表される、請求項1に記載の化合物:
    Figure 2008526721
    (式中、
    Aは、NH(C=O)またはC=Oであり;
    およびQ〜Qは、請求項1〜57のいずれか一項で定義した通りであり;
    1bは、1〜4個の置換基を有する置換フェニル基であり、それにより、
    (i)R1bが単一の置換基を有するとき、その置換基は、ハロゲン、水酸基、水酸基およびハロゲンから選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビルオキシ基;水酸基およびハロゲンから選択された一つ以上の置換基で置換されたC1−4ヒドロカルビル基;環員数5のヘテロアリール基;ならびに5員および6員非芳香族複素環式基(但し、前記ヘテロアリール基および複素環式基は、N、OおよびSから選択された3個以下のヘテロ原子を含んでいる)から選択されたものであり;
    (ii)R1bが2個、3個または4個の置換基を有するとき、各々の置換基はハロゲン、水酸基、水酸基およびハロゲンから選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビルオキシ基;水酸基およびハロゲンから選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル基;環員数5のヘテロアリール基;アミノ基;ならびに5員および6員非芳香族複素環式基から選択されたものであるか;または2つの隣接する置換基が、それらが結合している炭素原子とともに、5員ヘテロアリール環または5員もしくは6員非芳香族複素環式環を形成しており;前記ヘテロアリール基および複素環式基はN、OおよびSから選択された3個以下のヘテロ原子を含んでおり;
    そしてR6a、R7a、R8aおよびR9aは、請求項1〜57のいずれか一項で定義した通りである)。
  59. に結合したR1a−A−NH基またはR1b−A−NH基がウレアR1a/1b−NHC(=O)の形態をとっている、請求項57または58に記載の化合物。
  60. 式(V)において、前記フェニル基R1bが、2,6−二置換、2,3−二置換、2,4−二置換、2,5−二置換、2,3,6−三置換または2,4,6−三置換である、請求項58または59に記載の化合物。
  61. 前記フェニル基R1bが、フッ素、塩素およびR−R基(式中、RはOであり、RはC1−4アルキル基である)から選択された置換基、好ましくはフッ素により、2位および6位で二置換されている、請求項60に記載の化合物。
  62. 2つの隣接する置換基(好ましくは2位および3位において)が、それらが結合しているフェニル環とともに、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン基、インドリル基または2,3−ジヒドロベンゾフラニル基を形成している、請求項60に記載の化合物。
  63. 1‘が、2,6−ジフルオロフェニル基、2−フルオロ−6−メトキシフェニル基、2−クロロ−6−フルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基および2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン基から選択されたものである、請求項62に記載の化合物。
  64. 1‘が、2,6−ジフルオロフェニル基である、請求項63に記載の化合物。
  65. 式(V)の化合物が、式(Va)により表されるものである、請求項58〜64のいずれか一項に記載の化合物:
    Figure 2008526721
    (式中、R6a〜R9aは、請求項1〜64のいずれか一項で定義した通りであり;そして
    (i)R13が、メトキシ基であり、R14〜R16が、各々水素であるか;または
    (ii)R14が、オキサゾリル基、イミダゾリル基またはチアゾリル基、好ましくはオキサゾリル基であり、R13、R15およびR16が、各々水素であるか;または
    (iii)R13がフッ素、塩素およびメチル基から選択されたものであり、R16がフッ素、塩素、メチル基およびメトキシ基から選択されたものであり、R14およびR15が、各々水素であるか;または
    (iv)R13およびR16が各々フッ素、塩素およびメチル基から選択されたものであり、R14がフッ素、塩素、メチル基およびメトキシ基から選択されたものであり;そしてR15が、水素であるか;または
    (v)R13およびR14が各々水素であり;R15が、フッ素、塩素、メチル基およびメトキシ基(より好ましくはメチル基およびメトキシ基)から選択されたものであり、R16がフッ素、塩素およびメチル基(より好ましくはフッ素)から選択されたものであり、またはR15およびR16が、フェニル環の炭素原子とともに、以下:
    Figure 2008526721
    から選択される基を形成する)。
  66. (i)R13がメトキシ基であり、R14〜R16が各々水素であるか;または
    (iii)R13がフッ素、塩素およびメチル基から選択されたものであり、R16がフッ素、塩素、メチル基およびメトキシ基から選択されたものであり、R14およびR15が各々水素であるか;または
    (vi)R13およびR16が、各々フッ素、塩素およびメチル基から選択されたものであり;R14がフッ素、塩素およびメトキシ基から選択されたものであり;そしてR15が、水素であるか;または
    (vii)R13およびR14が各々水素であり、R15がメトキシ基であり、R16がフッ素であるか、またはR15およびR16が、フェニル環の炭素原子とともに、以下の基:
    Figure 2008526721
    を形成している、請求項65に記載の化合物。
  67. (iii)R13がフッ素、塩素およびメチル基から選択されたものであり、R16がフッ素、塩素、メチル基およびメトキシ基から選択されたものであり、R14およびR15が各々水素であるか;または
    (vi)R13、R14およびR16が、各々フッ素であり、R15が水素であるか;または
    (vii)R13およびR14が、各々水素であり、R15およびR16が、フェニル環の炭素原子とともに、以下の基:
    Figure 2008526721
    を形成している、請求の範囲65に記載の化合物。
  68. 式(VI)で表される、請求項1に記載の化合物:
    Figure 2008526721
    (式中、
    〜Qは、請求項1〜67のいずれか一項で定義した通りであり;
    AがNH(C=O)またはC=Oのとき、
    1cは、
    (a)一置換フェニル基(但し、ここでの置換基は、o−アミノ基、o−メトキシ基;o−クロロ基;p−クロロ基;o−ジフルオロメトキシ基;o−トリフルオロメトキシ基;o−t−ブチルオキシ基;m−メチルスルホニル基およびp−フルオロ基から選択されたものである);
    (b)2,4−または2,6−二置換フェニル基(但し、一つの置換基はo−メトキシ基、o−エトキシ基、o−フルオロ基、p−モルホリノ基から選択されたものであり、他方の置換基はo−フルオロ基、o−クロロ基、p−クロロ基およびp−アミノ基から選択されたものである);
    (c)2,5−二置換フェニル基(但し、一つの置換基はo−フルオロ基およびo−メトキシ基から選択されたものであり、他方の置換基はm−メトキシ基、m−イソプロピル基、m−フルオロ基、m−トリフルオロメトキシ基、m−トリフルオロメチル基、m−メチルスルファニル基、m−ピロリジノスルホニル基、m−(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル基、m−モルホリノスルホニル基、m−メチル基、m−クロロ基およびm−アミノスルホニル基から選択されたものである);
    (d)2,4,6−三置換フェニル基(但し、ここでの置換基は、同一または異なっていてもよく、各々o−メトキシ基、o−フルオロ基、p−フルオロ基、p−メトキシ基から選択されたものであるが、但し複数のメトキシ置換基は存在しない);
    (e)2,4,5−三置換フェニル基(但し、ここでの置換基は、同一または異なっていてもよく、各々o−メトキシ基、m−クロロ基およびp−アミノ基から選択されたものである);
    (f)非置換ベンジル基;2,6−ジフルオロベンジル基;α,α−ジメチルベンジル基;1−フェニルシクロプロピル−1−イル基;およびα−t−ブトキシカルボニルアミノベンジル基;
    (g)非置換2−フリル基、または4−(モルホリン−4−イルメチル)基、ピペリジニルメチル基から選択された単一の置換基;およびメチル基から選択される任意のさらなる置換基を有する2−フリル基;
    (h)非置換ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル基;
    (i)1個または2個のC1−4アルキル基で置換されたイソキサゾリル基;
    (j)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾ[d]イソキサゾール−3−イル基;
    (k)3−t−ブチル−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル基;
    (l)キオキサリニル基;
    (m)ベンゾ[c]イソキサゾール−3−イル基;
    (n)2−メチル−4−トリフルオロメチル−チアゾール−5−イル基;
    (o)3−フェニルアミノ−2−ピリジル基;
    (p)1−トルエンスルホニルピロール−3−イル基;
    (q)2,4−ジメトキシ−3−ピリジル基;および6−クロロ−2−メトキシ−4−メチル−3−ピリジル基;
    (r)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル基;
    (s)5−クロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル基;
    (t)3−メトキシ−ナフチル−2−イル基;
    (u)2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル基;
    (v)1個または2個のメチル基により、5員環に置換がなされていてもよい、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル基;
    (w)2−メチルベンゾ−キサゾール−7−イル基;
    (x)4−アミノシクロヘキシル−1−イル基;
    (y)1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリン−6−イル基;
    (z)2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾフラン−3−イル基;
    (aa)2−ピリミジニル−1−ピペリジン−4−イル基;および1−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−ピペリジン−4−イル基および1−メチルスルホニルピペリジン−4−イル基;
    (ab)1−シアノシクロプロピル基;
    (ac)N−ベンジルモルホリン−2−イル基;
    から選択されたものであり、
    およびAがNH(C=O)であるとき、R1‘がさらに、
    (ad)非置換フェニル基
    から選択され;
    9bは、水素;塩素;メトキシ基;メチルスルホニル基;4−メチル−ピペラジン−1−イルカルボニル基;モルホリノカルボニル基;モルホリノメチル基;ピロリジニルカルボニル基;N−メチル−ピペリジニルオキシ基;ピロリジニルエトキシ基;モルホリノプロピルアミノメチル基;4−シクロペンチル−ピペラジン−1−イルメチル基;4−エチルスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル基;モルホリノスルホニル基;4−(4−メチルシクロヘキシル)−ピペラジン−1−イルメチル基から選択されたものであり;そして
    7bは、水素;メチル基;メトキシ基およびエトキシ基から選択されたものである)。
  69. 9bがモルホリノメチル基およびメトキシ基から選択されたものであり、R9bがメトキシ基であるときR7bはメトキシ基であるか、またはR9bがモルホリノメチル基であるときR7bは水素である、請求項68に記載の化合物。
  70. 式(VII)で表される、請求項1に記載の化合物:
    Figure 2008526721
    (式中、R1dは請求項1〜69のいずれか一項で定義したR基、R1a基、R1b基またはR1c基であり、RおよびQ〜Qは請求項1〜69のいずれか一項で定義した通りである。
  71. 式(VIIa)で表される、請求項70に記載の化合物。
    Figure 2008526721
  72. AがNH(C=O)であり、R1dが非置換C3−6シクロアルキル基またはR1c基である、請求項70または71に記載の化合物。
  73. 前記C3−6シクロアルキル基が、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基である、請求項72に記載の化合物。
  74. 1dが、シクロプロピル基である、請求項73に記載の化合物。
  75. 1dが、2,6−ジフルオロフェニル基である、請求項72に記載の化合物。
  76. がSであり、QがCR(式中、Rは水素である)である、請求項74または75に記載の化合物。
  77. がCHであり、QがSである、請求項1に記載の化合物。
  78. 式(VIII)で表される、請求項1に記載の化合物:
    Figure 2008526721
    (式中、R1eは、請求項1〜77のいずれか一項で定義したR1a基またはR1b基である)。
  79. 式(IX)で表される、請求項1に記載の化合物:
    Figure 2008526721
    (式中、R1dは請求項1〜78のいずれか一項で定義した通りであり、Eは結合、CHまたはCHCHであり、R22は水素、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)およびC1−2アルコキシ基(例えば、メトキシ基)から選択されたものであり、Gは、N、OおよびSから選択された3個以下のヘテロ原子環員を含み、請求項1〜78のいずれか一項で定義した1〜4個(好ましくは2個以下、例えば0または1個)のR10基により置換されていてもよい、4〜7員飽和複素環である)。
  80. N−[4−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−2,6−ジフルオロ−ベンズアミド;
    2,6−ジフルオロ−N−[4−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]ベンズアミド;
    2,6−ジフルオロ−N−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−インドール−2−イル)−イソチアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
    2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−5−カルボン酸[4−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−アミド;
    2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−N−[4−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−ベンズアミド;
    ピロリジン−2−カルボン酸[4−(5,6−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−アミド;
    1−メチル−ピペリジン−4−カルボン酸[4−(5,6−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−アミド;
    1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−ウレア;
    1−(2,6−ジフルオロフェニル)−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−チアゾール−5−イル]−ウレア;
    1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−イソチアゾール−4−イル]−ウレア;もしくは
    1−(2,6−ジフルオロフェニル)−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−イソチアゾール−4−イル]−ウレア;
    またはそれらの塩、互変異性体、N−酸化物もしくは溶媒和物である、請求項1に記載の化合物。
  81. サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3が介在する疾病状態または病状の予防または治療用の医薬を製造するための、請求項1〜80のいずれか一項に記載の化合物の使用。
  82. サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3が介在する疾病状態または病状を予防または治療する方法であって、必要としている被験者に、請求項1〜80のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含んでなる、方法。
  83. サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3が介在する疾病状態または病状の発生を軽減または減少させる方法であって、必要としている被験者に、請求項1〜80のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含んでなる、方法。
  84. 哺乳動物における異常細胞増殖を含むかまたはこれにより生じる疾病または病状を治療する方法であって、異常細胞増殖を阻害するのに有効な量の請求項1〜80のいずれか一項に記載の化合物を、前記哺乳動物に投与することを含んでなる、方法。
  85. 哺乳動物における異常細胞増殖を含むかまたはこれにより生じる疾病または病状の発生を軽減または減少させる方法であって、異常細胞増殖を阻害するのに有効な量の請求項1〜80のいずれか一項に記載の化合物を前記哺乳動物に投与することを含んでなる、方法。
  86. 哺乳動物における異常細胞増殖を含むかまたはこれにより生じる疾病または病状を治療する方法であって、cdkキナーゼ(例えば、cdk1またはcdk2)またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3活性を阻害するのに有効な量の請求項1〜80のいずれか一項に記載の化合物を前記哺乳動物に投与することを含んでなる、方法。
  87. 哺乳動物における異常細胞増殖を含むかまたはこれにより生じる疾病または病状の発生を軽減または減少させる方法であって、cdkキナーゼ(例えば、cdk1またはcdk2)またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3活性を阻害するのに有効な量の請求項1〜80のいずれか一項に記載の化合物を前記哺乳動物に投与することを含んでなる、方法。
  88. サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3を阻害する方法であって、前記キナーゼを、本明細書で定義した式(I)で表されるキナーゼ阻害化合物と接触させることを含んでなる、方法。
  89. 請求項1〜80のいずれか一項に記載の化合物を用いて、サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の活性を阻害することにより、細胞プロセス(例えば、細胞分裂)を調節する方法。
  90. オーロラキナーゼ(例えば、オーロラAキナーゼまたはオーロラBキナーゼ)のアップレギュレーションによって特徴付けられる疾病または病状の予防または治療用の医薬を製造するための、請求項1〜80のいずれか一項に記載の化合物の使用。
  91. オーロラキナーゼ(例えば、オーロラAキナーゼまたはオーロラBキナーゼ)のアップレギュレーションによって特徴付けられる癌の予防または治療用の医薬を製造するための、請求項1〜80のいずれか一項に記載の化合物の使用。
  92. オーロラA遺伝子のIle31変異体を有するサブ集団から選択された患者における癌の予防または治療用の医薬を製造するための、請求項1〜80のいずれか一項に記載の化合物の使用。
  93. オーロラA遺伝子のIle31変異体を有するサブ集団の一部分を構成していると診断された患者における癌の予防または治療用の医薬を製造するための、請求項1〜80のいずれか一項に記載の化合物の使用。
  94. オーロラキナーゼ(例えば、オーロラAキナーゼまたはオーロラBキナーゼ)のアップレギュレーションにより特徴付けられる疾病または病状を予防または治療する方法であって、請求項1〜80のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含んでなる、方法。
  95. オーロラキナーゼ(例えば、オーロラAキナーゼまたはオーロラBキナーゼ)のアップレギュレーションにより特徴付けられる疾病または病状の発生を軽減または減少させる方法であって、請求項1〜80のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含んでなる、方法。
  96. 癌を患っているかまたは患っている疑いのある患者における癌を予防または治療する(または発生を軽減または減少させる)方法であって、(i)患者を診断試験して患者がオーロラA遺伝子のIle31変異体を有するかどうかを判定する工程と、(ii)患者が前記変異体を有する場合、患者に、オーロラキナーゼ阻害活性を有する請求項1〜80のいずれか一項に記載の化合物を投与する工程とを含んでなる、方法。
  97. オーロラキナーゼ(例えば、オーロラAキナーゼまたはオーロラBキナーゼ)のアップレギュレーションにより特徴付けられる疾病状態または病状を予防または治療する(または発生を軽減または減少させる)方法であって、(i)患者を診断試験してオーロラキナーゼのアップレギュレーションに特徴的なマーカーを検出する工程と、(ii)診断試験の結果、オーロラキナーゼのアップレギュレーションを示すと判定された場合に、患者に、オーロラキナーゼ阻害活性を有する請求項1〜80のいずれか一項に記載の化合物を投与する工程とを含んでなる、方法。
  98. 医薬に使用される、式(I)で表される化合物。
  99. 上記した使用および方法のために本明細書で定義されており、および本明細書に記載されている、化合物。
  100. B細胞リンパ腫を治療するための、式(I)で表される化合物、またはその塩(例えば、酸付加塩)、溶媒和物、互変異性体もしくはN−酸化物。
  101. 慢性リンパ性白血病を治療するための、式(I)で表される化合物、またはその塩(例えば、酸付加塩)、溶媒和物、互変異性体もしくはN−酸化物。
  102. びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療するための、式(I)で表される化合物、またはその塩(例えば、酸付加塩)、溶媒和物、互変異性体もしくはN−酸化物。
  103. B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫または慢性リンパ性白血病を治療する方法であって、そのような治療を必要としている患者に、式(I)で表される化合物、またはその塩(例えば、酸付加塩)、溶媒和物、互変異性体もしくはN−酸化物を投与することによる、方法。
  104. 白血病、特に再発性または不応性急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ性白血病および慢性骨髄性白血病を治療するための、式(I)で表される化合物、またはその塩(例えば、酸付加塩)、溶媒和物、互変異性体もしくはN−酸化物。
  105. 請求項1〜80のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を製造する方法であって、式(XII)の化合物を環化することを含んでなる、方法:
    Figure 2008526721
    (式中、R′はRまたはN−保護基であり、R、R、R、RおよびQ〜Qは請求項1〜80のいずれか一項で定義した通りであるが、但しR−A−におけるA部分はC=O基を含んでいる)。
  106. 請求項1〜80のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を製造する方法であって、式(X)の化合物と式(XI)の化合物とを、アミド生成および環化条件下で反応させることを含んでなる、方法:
    Figure 2008526721
    (式中、R′はRまたはN−保護基であり、R、R、R、RおよびQ〜Qは請求項1〜80のいずれか一項で定義した通りであるが、但しR−A−におけるA部分はC=O基を含んでいる)。
  107. 請求項1〜80のいずれか一項に記載の式(I)(式中、QはSであり、QはCHである)の化合物を製造する方法であって、式(XXII)の化合物:
    Figure 2008526721
    (式中、PGは保護基であり、R,RおよびRは請求項1〜106のいずれか一項で定義した通りである)
    を環化させ、その後必要な場合には前記保護基PGを除去することを含んでなる、方法。
  108. 式(XXII)の化合物が、式(XXI)の化合物と式(XI)の化合物:
    Figure 2008526721
    とを、アミド生成条件下で反応させることにより生成する、請求項107に記載の方法。
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