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JP2008512984A - 癌の同定、評価、予防および治療のための組成物、キットおよび方法 - Google Patents

癌の同定、評価、予防および治療のための組成物、キットおよび方法 Download PDF

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Abstract

本発明はヒト癌を検出、特徴付け、予防、および治療するための組成物、キット、および方法に関する。種々の染色体の領域(MCR)およびそれに対応するマーカーを提供し、ここで、MCRの1以上のコピー数の変化、および/またはマーカーの1以上の量、構造、および/または活性の変化が癌の存在に関連付けられる。本発明は、少なくとも部分的には、ある種の染色体領域(遺伝子座)内に含まれ、癌に関連する再発コピー数の変化の、ゲノムの特異的領域の同定に基づく。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2004年5月28日に出願された米国仮出願第60/575,795号、および2004年6月15日に出願された米国仮出願第60/580,337号に対する優先権を主張する。その両方はその全体が本明細書に参考として援用される。
(政府の補助金)
本明細書中に記載された仕事は、少なくとも部分的には、基金RO1CA99041、R01CA86379、R01CA84628、およびT32CA09382下でNational Institutes of Health(NIH)によって支持される。従って、政府は本発明に対して一定の権利を有する。
(発明の背景)
癌は、腫瘍形成に必要な十分な範囲の生物学的特性を細胞に付与する複数の遺伝的病変の表現型評価項目を表す。事実、例えば、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、および結腸癌を含めた多くの癌のホールマークゲノム特徴は、非逆転座、増幅および欠失を含めた多数の複雑な染色体の構造的な異常の存在である。
核型分析(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)、染色体CGHおよびアレイCGH(非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16)、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)分析(非特許文献17;非特許文献18)およびヘテロ接合性(LOH)マッピングの喪失(非特許文献19;非特許文献20;非特許文献21;非特許文献22)は、種々の癌におけるコピー数の変化または対立遺伝子喪失の再発領域を同定した。例えば、膵臓癌において、頻繁な獲得が3q、5p、7p、8q、11q、12p、17qおよび20qにマッピングされており、および喪失は3p、4q、6q、8p、9p、10q、12q、13q、17p、18qおよび21qおよび22qにマッピングされている。いくつかの例において、これらの遺伝子座内に存在する確認された癌遺伝子および腫瘍サプレッサー遺伝子が同定されており、MYC(8q24)、p16INK4A(9p21)、p53(17p13)、SMAD4(18q21)およびAKT2(19q13)を含む。しかしながら増幅されたおよび欠失された遺伝子座および存在する遺伝子の大部分について、推定された癌関連標的は依然として発見されるべきである。
Johansson,B.,ら,Cancer,1992年,69,p.1674−81 Bardi,G.,ら,Br J Cancer,1993年,67,p.1106−12 Griffin,C.A.,ら,Genes Chromosomes Cancer,1994年,9,p.93−100 Griffin,C.A.,ら,Cancer Res,1995年,55,p.2394−9 Gorunova,L.,ら,Genes Chromosomes Cancer,1995年,14,p.259−66 Gorunova,L.,ら,Genes Chromosomes Cancer,1998年,23,p.81−99 Wolf Mら,Neoplasia,2004年,6(3),p.240 Kimura Y,ら,Mod.Pathol.,2004年,21 May(epub) Pinkel,ら,Nature Genetics,1998年,20,p.211 Solinas−Toldo,S.,ら,Cancer Res,1996年,56,p.3803−7 Mahlamaki,E.H.,ら,Genes Chromosomes Cancer,1997年,20,p.383−91 Mahlamaki,E.H.,ら,Genes Chromosomes Cancer,2002年,35,p.353−8 Fukushige,S.,ら,Genes Chromosomes Cancer,1997年,19,p.161−9 Curtis,L.J.,ら,Genomics,1998年,53,p.42−55 Ghadimi,B.M.,ら,Am J Pathol,1999年,154,p.525−36 Armengol,G.,ら,Cancer Genet Cytogenet,2000年,116,p.133−41 Nilson Mら,Int J Cancer,2004年,109(3),p.363−9 Kawasaki Kら,Int J Mol Med.2003年,12(5),p.723−31 Wang ZCら,Cancer Res,2004年,64(1),p.64−71 Seymour,A.B.,ら,Cancer Res,1994ン年,54,p.2761−4 Hahn,S.A.,ら,Cancer Res,1995年,55,p.4670−5 Kimura,M.,ら,Genes Chromosomes Cancer,1996年,17,p.88−93
(発明の要旨)
本発明は、少なくとも部分的には、ある種の染色体領域(遺伝子座)内に含まれ、癌に関連する再発コピー数の変化の、(本明細書中においては最小共通領域(MCR)と称される)ゲノムの特異的領域の同定に基づく。これらのMCRは、膵臓腺癌ゲノムにおけるコピー数の変化の高分解能特徴付けを可能とした新規なcDNAまたはオリゴマーベースのプラットフォームおよびバイオインフォマティクスツールを用いて同定された(実施例1参照)。本発明はまた部分的には、やはり癌に関連する、本発明のMCR内に存在するマーカーの同定に基づく。
従って、一局面において、本発明は、被験体サンプル中のMCRのコピー数を、該MCRの正常なコピー数と比較する工程を包含し、ここで、該MCRは表1に列挙されたMCRからなる群より選択され、ここで、該サンプル中のMCRのコピー数の変化は、被験体が癌に罹った、あるいは癌を発症する危険性があることを示すことを特徴とする、被験体が癌に罹っているか、または癌を発症する危険性があるかを評価する方法を提供する。一実施形態において、コピー数は蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)によって評価される。別の実施形態において、コピー数は定量的PCR(qPCR)によって評価される。さらに別の実施形態において、正常なコピー数はコントロールサンプルから得られる。なお別の実施形態において、サンプルは組織、全血、血清、血漿、頬掻取物、唾液、脳脊髄液、尿、糞、胆汁、膵液、および膵臓組織からなる群より選択される。
別の局面において、本発明は、当該マーカーが表1に列挙されたMCRに存在するマーカーである被験体サンプル中のマーカーの量、構造および/または活性を、該マーカーの正常な量、構造および/または活性と比較する工程を包含し、ここで、サンプル中のマーカーの量、構造、および/または活性、および正常な量、構造、および/または活性の間の有意な差は被験体が癌に罹っているか、あるいは癌を発症する危険性があることを示すことを特徴とする、被験体が癌に罹っているか、または癌を発症する危険性があるかを評価する方法を提供する。1つの実施形態においてマーカーは表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される。別の実施形態において、マーカーの量は、マーカーの発現のレベルを測定することによって決定される。なお別の実施形態において、サンプル中のマーカーの発現のレベルは、マーカーに対応するタンパク質のサンプル中での存在を検出することによって評価される。タンパク質の存在は、タンパク質に特異的に結合する試薬を用いて検出することができる。一実施形態において、試薬は抗体、抗体誘導体、および抗体フラグメントからなる群より選択される。別の実施形態において、サンプル中のマーカーの発現のレベルは、転写されたポリヌクレオチドまたはその一部のサンプル中での存在を検出することによって評価される。一実施形態において、転写されたポリヌクレオチドはmRNAまたはcDNAである。サンプル中でのマーカーの発現のレベルは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、マーカーとアニールする、またはポリヌクレオチドの一部とアニールする転写されたポリヌクレオチドのサンプル中での存在を検出することによって評価することもでき、ここで、ポリヌクレオチドはマーカーを含む。
別の実施形態において、マーカーの量は、マーカーのコピー数を測定することによって決定される。MCRまたはマーカーのコピー数は、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)、例えば、アレイCGHによって評価することができる。さらに別の実施形態において、正常な量、構造、および/または活性はコントロールサンプルから得られる。なお別の実施形態において、サンプルは組織、全血、血清、血漿、頬掻取物、唾液、脳脊髄液、尿、糞、胆汁、膵液、および膵臓組織からなる群より選択される。
別の局面において、本発明は、a)第1の時点に被験体サンプルにおいて、マーカーの量および/または活性を検出し、ここで、該マーカーは表1に列挙されたMCRに存在するマーカーであり;b)その後の時点に工程a)を反復し;次いで、c)工程a)およびb)で検出された量および/または活性を比較し、それから、被験体における癌の進行をモニタリングすることを特徴とする、被験体において癌の進行をモニタリングする方法を提供する。一実施形態において、マーカーは表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される。別の実施形態において、サンプルは組織、全血、血清、血漿、頬掻取物、唾液、脳脊髄液、尿、糞、胆汁、膵液、および膵臓組織からなる群より選択される。なお別の実施形態において、サンプルは被験体から得られる細胞を含む。なお別の実施形態において、第1の時点およびその後の時点の間に、被験体は癌の治療を受けており、癌についての治療を完了しており、および/または寛解している。
さらに別の局面において、本発明は、被験体から得られ、試験化合物の存在下で維持された第1のサンプル中のマーカーの量および/または活性を、ここで、該マーカーは表1に列挙されたMCRに存在するマーカーであり、被験体から得られ、試験化合物の非存在下で維持された第2のサンプル中のマーカーの量および/または活性と比較する工程を包含し、ここで、第2のサンプルに対する、癌において欠失された第1のサンプル中のマーカーの有意により高い量および/または活性は、試験化合物が癌を阻害するのに効果的であることを示し、そしてここで、第2のサンプルに対する癌で増幅される第1のサンプル中のマーカーの有意により低い量および/または活性は、試験化合物が、被験体において癌を阻害するのに効果的であることを示すことを特徴とする、被験体において癌を阻害するについて試験化合物の効率を評価する方法を提供する。一実施形態において、第1および第2のサンプルは被験体から得られる単一のサンプルの一部である。別の実施形態において、第1および第2のサンプルは、被験体から得られたプールされたサンプルの一部である。一実施形態において、マーカーは表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される。
なお別の局面において、本発明は、被験体へ治療の少なくとも一部を提供する前に被験体から得られた第1のサンプル中のマーカーの量および/または活性を、ここで、該マーカーは表1に列挙されたMCRに存在するマーカーであり、該治療の一部の提供に続いて被験体から得られた第2のサンプル中のマーカーの量および/または活性と比較する工程を包含し、ここで、第2のサンプルに対する癌において欠失された第1のサンプル中のマーカーの有意により高い量および/または活性は、試験化合物が癌を阻害するのに効果的であることを示し、そしてここで、第2のサンプルに対する癌において増幅された第1のサンプル中のマーカーの有意により低い量および/または活性は、被験体において癌を阻害するのに該治療は効果的であることを示すことを特徴とする、被験体において癌を阻害するための治療の効率を評価する方法を提供する。一実施形態において、マーカーは表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される。
本発明の別の局面は、癌細胞を含むサンプルを入手し;該細胞を試験化合物と接触させ;次いで、マーカーの量および/または活性を調節する試験化合物の能力を測定する工程を包含し、ここで、マーカーは表1に列挙されたMCRに存在するマーカーであり、それによって、癌のモジュレータを同定することを特徴とする、癌を調節できる組成物を選択する方法を提供する。一実施形態において、マーカーは表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される。細胞は、例えば、癌の動物モデル、癌細胞株、例えば、膵臓腫瘍に由来する膵臓癌細胞株から、あるいは癌に罹った被験体から単離することができる。
本発明のなお別の局面は、マーカーを試験化合物と接触させ;次いで、マーカーの量および/または活性を調節する試験化合物の能力を測定する工程を包含し、ここで、マーカーは表1に列挙されたMCRに存在するマーカーであり、それによって、癌を調節できる化合物を同定することを特徴とする、癌を調節することができる組成物を選択する方法を提供する。一実施形態において、マーカーは表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される。別の実施形態において、該方法は、さらに、試験化合物を癌の動物モデルに投与することを含む。さらに別の実施形態において、モジュレータは、増幅された表1に記載されたマーカー、例えば、表5に列挙されたマーカーから選択されたマーカーに対応する遺伝子またはタンパク質の量および/または活性を阻害する。なお別の実施形態において、モジュレータは、欠失された表1に記載されたマーカー、例えば、表4に列挙されたマーカーから選択されるマーカーに対応する遺伝子またはタンパク質の量および/または活性を増加させる。
別の局面において、本発明は、マーカーの量、構造、および/または活性を評価するための試薬を含み、ここで、該マーカーは表1に列挙されたMCRに存在するマーカーであることを特徴とする、癌を阻害する化合物の能力を評価するためのキットを提供する。一実施形態において、マーカーは表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される。
本発明はまた、表1に列挙されたMCRからなる群より選択されるMCRのコピー数を評価するための試薬を含む、被験体が癌に罹っているかどうかを評価するためのキット、ならびに被験体が癌に罹っているかどうかを評価するためのキットを提供し、該キットはマーカーの量、構造、および/または活性を評価するための試薬を含む。一実施形態において、マーカーは表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される。
別の局面において、本発明は、抗体またはそのフラグメントを含むヒト癌細胞の存在を評価するためのキットを提供し、ここで、該抗体またはそのフラグメントはマーカーに対応するタンパク質に特異的に結合し、ここで、該マーカーは表1に列挙されたMCRに存在するマーカーである。一実施形態において、マーカーは表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される。
さらに別の局面において、本発明は、核酸プローブを含む癌細胞の存在を評価するためのキットを提供し、ここで、該プローブはマーカーに対応する転写されたポリヌクレオチドに特異的に結合し、ここで、該マーカーは表1に列挙されたMCRに存在するマーカーである。一実施形態において、マーカーは表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される。
なお別の局面において、本発明は、マーカーに対応する遺伝子またはタンパク質の量および/または活性のモジュレータを被験体に投与することを含む、癌に罹った被験体を治療する方法を提供し、ここで、該マーカーは表1に列挙されたMCRに存在するマーカーである。一実施形態において、マーカーは表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される。
本発明はまた、癌において増幅される表1に列挙されたMCRに存在するマーカー、例えば、表5に列挙されたマーカーから選択されたマーカーに対応する遺伝子またはタンパク質の量および/または活性を阻害し、それによって、癌に罹った被験体を治療する化合物を被験体に投与することを特徴とする、癌に罹った被験体を治療する方法を提供する。一実施形態において、化合物は薬学的に受容可能な処方にて投与される。別の実施形態において、化合物は、マーカーに対応するタンパク質に特異的に結合する、抗体またはその抗原結合フラグメントである。例えば、抗体はトキシンまたは化学治療剤に結合することができる。さらに別の実施形態において、化合物は、マーカーに対応する遺伝子の発現を阻害するRNA干渉因子、例えば、siRNA分子またはshRNA分子である。なお別の実施形態において、化合物はマーカーに対応する遺伝子に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドである。さらに別の実施形態において、化合物はペプチドまたはペプチド模倣物、マーカーの活性を阻害する低分子、例えば、マーカーおよび標的タンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用を阻害する低分子、またはマーカーの発現または活性を阻害するアプタマーである。
別の局面において、本発明は、癌において欠失された表1に列挙されたMCRに存在するマーカー、例えば、表4に列挙されたマーカーから選択されるマーカーに対応する遺伝子またはタンパク質の発現または活性を増加させる化合物を被験体に投与し、それによって、癌に罹った被験体を治療することを特徴とする、癌に罹った被験体を治療する方法を提供する。一実施形態において、化合物は低分子である。
本発明はまた、マーカー、例えば、表4に列挙されたマーカーから選択されるマーカーに対応するタンパク質を被験体に投与し、それによって、癌に罹った被験体を治療することを特徴とする、癌に罹った被験体を治療する方法も含む。一実施形態において、タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターによって、タンパク質は被験体の細胞に提供される。さらに別の実施形態において、化合物は薬学的に受容可能な処方にて投与される。
本発明はまた、表4または表5に列挙されたマーカーから選択されるマーカーに対応する、単離されたタンパク質、またはそのフラグメントも提供する。
別の局面において、本発明は、表4または表5に列挙されたマーカーから選択されるマーカーに対応する、単離された核酸分子、またはそのフラグメントを提供する。
さらに別の局面において、本発明は、表4または表5に列挙されたマーカーから選択されるマーカーに対応するタンパク質に特異的に結合する、単離された抗体、またはそのフラグメントを提供する。
なお別の局面において、本発明は、表1に列挙されたMCRから選択されるMCR内に含まれる、単離された核酸分子、またはそのフラグメントを提供し、ここで、該核酸分子は癌において改変された量、構造、および/または活性を有する。本発明はまた、核酸分子によってコードされた単離されたポリペプチドも提供する。
(発明の詳細な説明)
本発明は、ある種の染色体領域(遺伝子座)内に含まれ、かつ癌に関連する再発コピー数変化の、(本明細書中においては最小共通領域(MCR)という)ゲノムの特異的領域の同定に少なくとも部分的には基づく。これらのMCRは、新規なcDNAまたはオリゴマーベースのプラットフォーム、および膵臓腺癌ゲノムにおけるコピー数の変化の高分解能特徴付けを可能とするバイオインフォマティクスツールを用いて同定した(実施例1)。
同定された遺伝子座およびMCRに到達するためには、アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(アレイ−CGH)を利用して、膵臓腺癌細胞株および腫瘍検体におけるコピー数の変化(CNA)(染色体領域の獲得および喪失)を規定した。
データセット(Olshen and Venkatraman,Olshen,A.B.,and Venkatraman,E.S.(2002)ASA Procedings of the Joint Statistical Meetings 2530−2535;Ginzinger,D.G.(2002)Exp Hematol 30,503−12;Golub,T.R.,et al.(1999)Science 286,531−7;Hyman,E.,et al.(2002)Cancer Res 62,6240−5;Lucito,R.,et al.(2003)Genome Res 13,2291−305に記載された)からノイズを濾過するための生のプロフィールのセグメント化分析を行い、これを用いて、データ中の統計学的に有意な変化点を同定した。
遺伝子座の同定は、以下のように、いくつかの基本的な基準を利用する自動コンピューターアルゴリズムに基づくものであった:1)ある百分位数を超えるまたはそれ未満のセグメントを変化しと同定し;2)もし2以上の変化したセグメントは、500KB未満だけ離れた単一プロフィールにおいて隣接するならば、セグメントにわたる全領域は変化したスパンと考えた;3)20MBよりも短い高度に変化したセグメントまたはスパンを、区別される遺伝子座境界を規定するために「情報的スパン」として保有した。より長い領域は捨てなかったが、遺伝子座境界を規定するのに含めなかった;4)情報的スパンをサンプル間で比較して、正−値または負−値セグメントの重複する群を同定し;各群は遺伝子座を規定し;および5)MCRは、高度に変化したセグメントの発生をカウントすることによって計算された少なくとも75%のピーク再発を有する連続スパンとして定義された。もし2つのMCRが唯1つのプローブ位置のギャップだけ離れているならば、それらは連結されていた。もし遺伝子座において3を超えるMCRがあれば、全領域を単一複合体MCRとして報告した。
サイズ、および変化の振幅に対する高い有意性閾値の達成に基づいて情報的なCNAを規定する遺伝子座同定アルゴリズムを用いた。次いで、複数のプロフィールからの重複するCNAを自動的に融合させて、その境界が、これらの重複するCNAへの組み合わされた物理的延長を表す、領域的コピー数の変化の区別される「遺伝子座」を規定した(図1C)。各遺伝子座は、その遺伝子座についてのもっとも顕著な増幅または欠失の輪郭を反映するもののピークプロフィール、幅および振幅によって特徴付けられた。さらに、各遺伝子座内で、1以上の最小共通領域(MCR)を複数の腫瘍サンプル間同定し(図1C)、各MCRは、潜在的にサンプル組をわたるコピー数の変化について標的化された区別される癌関連遺伝子を保有する。
遺伝子座同定アルゴリズムは、細胞株および原発性腫瘍両方における再発、変化の振幅、および表示の点で注釈されたデータセット内の区別されるMCRを規定した。これらの区別されるMCRは、原発性腫瘍および細胞株両方における再発高閾値変化を強調する4つの基準に基づいて順位をつけた(実施例1参照)。この順位付けスキームの実施により、4つの基準の内少なくとも3つを満足する54の独立した遺伝子座内に本発明の64のMCRを生じた(表1参照)。
リアルタイム定量PCR(QPCR)によって、これらの順位付けされた遺伝子座に帰せられる信頼性レベルをさらに確認し、これは、アレイ−CGHによって規定される16の選択されたMCRに関して100%の一致を示した。表1におけるMCRを、4つの基準の内2つを満足する(66の区別される遺伝子座内の)さらなる81のMCRと組み合わせた場合、このゲノム特徴付けは121の独立した遺伝子座内に145のMCRの組を生じた(表3)。
ここに同定されたMCRは2.7Mbのメジアンサイズを保有し、21の(33%)MCRは1Mb以下にわたり(0.33Mbのメジアン)、15の注釈された遺伝子の平均を保有する。表1は、54の独立した遺伝子座の各々についての細胞遺伝バンド、ならびに遺伝子座の境界(Mb)および遺伝子座のピークプロフィールをリストする。同定されたMCRの各々の位置、ならびに各々についてのサイズおよび再発もまた表1にリストする。例えば、遺伝子座#3は5q31.1−q31.1の染色体領域を表し、133.51−134.33の遺伝子座境界を有する。この遺伝子座は位置133.53−133.56においてMCRを含有する。
また、表1において、遺伝子座およびMCRは「獲得および増幅」または「喪失および欠失」いずれかを有するものとして示され、これは各遺伝子座およびMCRが、癌において、(1)増大したコピー数および/または発現、または(2)減少したコピー数および/または発現、または欠失いずれかを有することを示す。膵臓腺癌の病因において重要な役割を演じることが知られている遺伝子(p161NK4AおよびTP53腫瘍サプレッサー、およびMYC、KRAS2およびAKT2癌遺伝子)は、遺伝子座内に存在し、やはり表1に記載する。
本発明のMCR内に存在する遺伝子の有意な割合の相補性発現プロフィール分析は、遺伝子量およびmRNA発現の間の統計学的に有意な関連性と共にマーカーのサブセットを提供した。表4は、欠失のMCRに存在し、かつ膵臓癌細胞株をわたる比較によって結果的に減少した発現を呈する本発明のマーカーをリストする。表5は、膵臓癌細胞株をわたっての、比較による過剰発現される増幅のMCRに存在する本発明のマーカーをリストする。まだ注釈されていないMCR内のさらなるマーカーもまた本明細書中で記載される癌に対するマーカーとして用いることもでき、本発明に含まれる。
本明細書中に記載されるように、コピー数の変化の染色体領域を同定するための新規な方法を、限定されるものではないが、癌を含めた種々の病気についての種々のデータセットに適応することができる。限定されるものではないが、オリゴヌクレオチドベースのマイクロアレイ(Brennan,et al.(2004)In Press;Lucito,et al.(2003)Genome Res.13:2291−2305;Bignell et al.(2004)Genome Res.14:287−295;Zhao,et al.(2004)Cancer Research,In Press)、および例えばハイブリダイゼーション方法(FISH)を含めた本明細書中に記載された他の方法を含めた、当該分野で知られているように、コピー数の異常を測定することができる。
ここに同定されたMCRの増幅または欠失は、癌、例えば、膵臓癌および他の上皮癌の存在に相関する。さらに、各MCR内に存在する遺伝子のコピー数および/または発現レベルの分析が、個々のマーカーの同定、および本明細書中に記載されたマーカーの組合せに導き、その増大したおよび減少した発現および/または増大したおよび減少したコピー数は、例えば、被験体における癌、例えば、膵臓癌の存在に相関する。
従って、マーカーの量、構造、および/または活性の変化を評価することによって、サンプル中の癌の存在、サンプル中の癌の不存在、および被験体における癌の予防、診断、特徴付け、および治療に関連する癌の他の特徴を検出するための方法が本明細書中で提供される。例えば、本明細書中で同定される、あるいはマーカーの活性、またはMCR内のマーカーのいずれかの1以上のマーカー(例えば、表4および5に記載したマーカー)メチル化状態に影響するコピー数、発現レベル、タンパク質レベル、タンパク質活性、突然変異(例えば、置換、欠失または付加突然変異)の存在を評価することによるMCRの存在、不存在またはコピー数の評価は本発明の範囲内のものである。
被験体における癌を阻害することができる化合物を同定するための、および本発明の遺伝子またはタンパク質マーカーのモジュレータ、例えば、アゴニストまたはアンタゴニストを用いる癌の治療、予防、および/または阻害のための方法も本明細書中で提供される。
本明細書中に記載されるMCRおよびマーカーは膵臓癌サンプルにおいて同定されたが、本発明の方法は、膵臓癌の予防、診断、特徴付け、治療および予防で用いるのに断じて制限されず、例えば、本発明の方法は本明細書中に記載したようにいずれの癌にも適用することができる。
本発明の種々の態様を以下のサブセクションにおいてさらに詳細に記載する:
(I.定義)
本明細書中で使用される場合、以下の用語の各々は本セクションにおいてそれに関連する意味を有する。
冠詞「ある」とは、1または1を超える(すなわち、少なくとも1つの)冠詞の文法的目的物をいうのに本明細書中で用いる。例えば、「あるエレメント」は、1つのエレメントまたは1を超えるエレメントを意味する。
用語「腫瘍」または「癌」とは、制御できない増殖、不滅、転移性能力、迅速な成長および増殖速度、およびある種の特徴的な形態学的特徴のような癌を引き起こす細胞に典型的な特徴を保有する細胞の存在をいう。癌細胞はしばしば腫瘍の形態にあるが、そのような細胞は動物内で単独に存在し得るか、あるいは白血病細胞のような非腫瘍形成性癌細胞であり得る。本明細書中で使用される場合、用語「癌」はプレ悪性ならびに悪性癌を含む。癌は、限定されるものではないが、膵臓癌、例えば、膵臓腺癌、メラノーマ、乳癌、肺癌、気管支癌、結直腸癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、泌尿膀胱癌、脳または中枢神経系癌、末梢神経系癌、食道癌、頸癌、子宮または子宮内膜癌、口腔または咽頭の癌、肝臓癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸または虫垂癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎癌、骨肉種、軟骨肉腫、血液学的組織の癌等を含む。
本明細書中で用いる用語「膵臓癌」または「新形成」は膵臓の膵臓上皮内新形成(PanIn)、アデノーマ、腺癌、ガストリノーマ、ソマトスタチノーマ、インスリノーマおよびグルカゴノーマを含む。
本明細書中で使用される場合、用語「腺癌」は、器官のライニングまたは内表面に発生し、腺組織に由来し、あるいは腫瘍細胞が認識可能な腺構造を形成する癌腫である。
本明細書中において相互交換的に用いるように、用語「膵臓腺癌」または「膵臓管腺癌」は膵臓の腺癌である。一実施形態において、膵臓の腺癌は膵臓の管に起こるプレ悪性の病巣の進行から生起する(本明細書中においては「PanIN」ともいう膵臓上皮内新形成)。本明細書中に記載する方法を用いて、プレ悪性癌、例えば、PanIn、ならびに悪性癌を検出することができる。
本明細書中で用いる「最小共通領域(MCR)」とは、癌のゲノムにおける獲得および増幅(増大したコピー数)または喪失および欠失(減少したコピー数)いずれかを呈する連続染色体領域をいう。MCRは、増加したまたは減少したコピー数を有し、かつ癌に関連する少なくとも1つの核酸配列を含む。本発明のMCRは、限定されるものではないが、表1に記載されたものを含む。
「マーカー」は、改変することができる遺伝子またはタンパク質であり、ここで、該改変は癌に関連する。該改変は正常なまたは健康な組織または細胞(例えば、コントロール)におけるその量、構造および/または活性と比較した、癌組織または癌細胞における量、構造および/または活性におけるものであってよく、癌のような病気状態に関連する。例えば、癌に関連する本発明のマーカーは、正常な、健康な組織または細胞と比較して、癌組織または癌細胞における改変されたコピー数、発現レベル、タンパク質レベル、タンパク質活性またはメチル化状態を有することができる。さらに、「マーカー」は、その構造が改変された、例えば、突然変異した(対立遺伝子変種を含有する)、例えば、癌のような病気状態に関連する組織または細胞に存在する場合、置換、欠失、または付加によってヌクレオチドまたはアミノ酸レベルにおいて野生型配列とは異なる分子を含む。
用語、マーカーの「改変された量」またはマーカーの「改変されたレベル」とは、コントロールサンプル中のマーカーの発現レベルまたはコピー数と比較して、マーカーまたは染色体領域、例えば、MCRの増加したまたは減少したコピー数、および/または癌サンプル中の特定マーカー遺伝子または複数遺伝子の増加したまたは減少した発現レベルをいう。用語、マーカーの「改変された量」もまた、正常なコントロールサンプル中のマーカーのタンパク質レベルと比較した、サンプル、例えば、癌サンプル中のマーカーの増加したまたは減少したタンパク質レベルを含む。さらに、マーカーの改変された量は、マーカーの発現または活性に影響し得る、本明細書中に記載されたような、マーカーのメチル化状態を検出することによって測定することができる。
被験体における、マーカーの量、例えば、マーカーまたはMCRの発現またはコピー数、またはマーカーのタンパク質レベルは、もし、マーカーの量が量を評価するのに使用したアッセイの標準誤差よりも大きな量だけ正常レベルよりも、各々、より大きい、またはそれ未満である場合、好ましくは、その量の少なくとも2倍、より好ましくは3倍、4倍、5倍、10倍またはそれ以上大きいまたは未満であれば、マーカーまたはMCRの正常な量よりも「有意に」より高いまたはより低い。あるいは、被験体におけるマーカーまたはMCRの量は、もし該量がマーカーまたはMCRの正常な量よりも、各々、少なくとも約2倍、好ましくは少なくとも約3倍、4倍、5倍より高い、またはより低ければ、正常な量よりも「有意に」より高い、またはより低いと考えることができる。
「遺伝子のコピー数」または「マーカーのコピー数」とは、特定の遺伝子産物をコードする細胞におけるDNA配列の数をいう。一般に、与えられた遺伝子に対して、哺乳動物は各遺伝子の2つのコピーを有する。コピー数は、しかしながら、遺伝子増幅または複製によって増加することができ、または欠失によって減少させることができる。
マーカーまたはMCRの「正常な」コピー数、またはマーカーの発現の「正常な」レベルは、癌に罹っていない被験体、例えば、ヒトからの、生物学的サンプル、例えば、組織、全血、血清、血漿、頬掻取物、唾液、脳脊髄液、尿、糞、胆汁、膵液、および膵臓組織を含有するサンプル中の、発現のレベル、マーカーのコピー数、またはMCRのコピー数である。
用語、マーカーまたはMCRの「発現の改変されたレベル」とは、コントロールサンプル(例えば、関連した病気を有しない健康な被験体からのサンプル)における、マーカーまたはMCRの発現またはコピー数を評価するのに使用されるアッセイの標準誤差よりも大きい、またはそれ未満、好ましくは、マーカーまたはMCRの発現レベルまたはコピー数の少なくとも2倍、より好ましくは3倍、4倍、5倍または10倍以上、好ましくは、いくつかのコントロールサンプル中のマーカーまたはMCRの平均発現レベルまたはコピー数である、試験サンプル、例えば、癌に罹った患者に由来するサンプル中のマーカーの発現レベルまたはコピー数をいう。発現の改変されたレベルは、発現またはコピー数を評価するのに使用したアッセイの標準誤差よりも大きいか、またはそれ未満であり、コントロールサンプル(例えば、関連する病気を有しない健康な被験体からのサンプル)におけるマーカーまたはMCRの発現レベルまたはコピー数の好ましくは少なくとも2倍、より好ましくは3倍、4倍、5倍または10倍以上であり、好ましくは、いくつかのコントロールサンプル中のマーカーまたはMCRの平均の発現レベルまたはコピー数である。
マーカーまたはMCRの「過剰発現」または「発現またはコピー数の有意により高いレベル」とは、発現またはコピー数を評価するのに使用されるアッセイの標準誤差よりも大きな、コントロールサンプル(例えば、癌にかかっていない健康な被験体からのサンプル)におけるマーカーまたはMCRの発現レベルまたはコピー数の好ましくは少なくとも2倍、より好ましくは3倍、4倍、5倍または10倍以上の発現レベルまたはコピー数、好ましくは、いくつかのコントロールサンプル中のマーカーまたはMCRの平均発現レベルまたはコピー数である発現レベルまたはコピー数をいう。
マーカーの「メチル化状態」とは、メチル化パターン、例えば、プロモーターのメチル化、および/またはマーカーのメチル化レベルをいう。DNAメチル化は遺伝可能で、可逆的かつ後成変化である。しかし、DNAメチル化は、発生および遺伝的結果を有する遺伝子発現を改変する能力を有する。DNAメチル化は、例えば、その内容をここに引用して援用する、Laird,et al.(1994)Human Molecular Genetics 3:1487−1495 およびLaird,P.(2003)Nature 3:253−266に記載されているように、癌に関連付けられている。例えば、腫瘍サプレッサー遺伝子のプロモーターにおけるCpGオリゴヌクレオチドのメチル化は、それらの不活化に導き得る。加えて、正常なメチル化プロセスにおける改変はゲノムの不安定性に関連付けられる(Lengauer et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:2545−2550,1997)。そのような異常な後成変化は多くのタイプの癌で見出すことができ、従って、癌形成性形質転換のための潜在的マーカーとして働くことができる。
メチル化を決定するための方法は制限ランドマークゲノム走査(Kawai et al.,Mol.Cell.Biol.14:7421−7427,1994)、メチル化−感受性任意起点PCR(Gonzalgo et al.,Cancer Res.57:594−599,1997);メチル化−感受性制限酵素でのゲノムDNAの消化、続いての注目する領域のサザーン分析(消化−サザーン方法);PCR増幅に先立ってのメチル化−感受性制限酵素でのゲノムDNAの消化を含むPCRベースのプロセス(Singer−Sam et al.,Nucl.Acids Res.18:687,1997);ビスルファイト処理を用いるゲノム配列決定(Frommer et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1827−1831,1992);メチル化特異的PCR(MSP)(Herman et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:9821−9826,1992);およびビスルファイト−変換DNAから増幅されたPCR産物の制限酵素消化(Sadri and Hornsby,Nucl.Acids.Res.24:5058−5059,1996;およびXiong and Laird,Nucl.Acids.Res.25:2532−2534,1997);遺伝子突然変異の検出のためのPCR技術(Kuppuswamy et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1143−1147,1991)および対立遺伝子特異的発現の定量(Szabo and Mann,Genes Dev.9:3097−3108,1995;およびSinger−Sam et al.,PCR Methods Appl.1:160−163,1992);およびその内容をここに引用して援用する米国特許第6,251,594号に記載された方法を含む。Zardo,et al.(2000)Nature Genetics 32:453−458に記載された統合されたゲノムおよび後成分析を用いることもできる。
用語、マーカーの「改変された活性」とは、正常なコントロールサンプル中のマーカーの活性と比較した、病気状態において、例えば、癌サンプルにおいて増加したまたは減少したマーカーの活性をいう。マーカーの改変された活性は、例えば、マーカーの改変された発現、マーカーの改変されたタンパク質レベル、マーカーの改変された構造、または例えば、マーカーと同一または異なる経路に関連する他のタンパク質との改変された相互作用、または転写アクチベーターまたは阻害剤との改変された相互作用、あるいは改変されたメチル化状態の結果であり得る。
用語、マーカーの「改変された構造」とは、正常なまたは野生型遺伝子またはタンパク質と比較した、マーカー遺伝子またはマーカータンパク質内の突然変異または対立遺伝子変種、例えば、マーカーの発現または活性に影響する突然変異の存在をいう。例えば、突然変異は、限定されるものではないが、置換、欠失、または付加突然変異を含む。突然変異はマーカーのコーディングまたは非コーディング領域に存在し得る。
「マーカー核酸」は、本発明のマーカーによってコードされる、または該マーカーに対応する核酸(例えば、DNA、mRNA、cDNA)である。例えば、そのようなマーカー核酸分子は、表4または5に記載された核酸配列のいずれかの全または部分的配列を含むDNA(例えば、cDNA)、またはそのような配列の相補体またはハイブリダイジングフラグメントを含む。マーカー核酸分子は、表4または5に記載された核酸配列のいずれかの全または部分的配列を含むRNA、またはそのような配列の相補体も含み、ここで、全てのチミジン残基はウリジン残基で置き換えられている。「マーカータンパク質」は、本発明のマーカーによってコードされる、またはマーカーに対応するタンパク質である。マーカータンパク質は表4または5に記載された配列のいずれかによってコードされたタンパク質の全または部分的配列、あるいはそのフラグメントを含む。用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は本明細書中においては相互交換的に用いられる。
本明細書中で使用される場合、「マーカー」は、表1に記載されたMCRに存在するいずれかの核酸配列、またはそのような配列によってコードされるタンパク質を含む。
本明細書中で確認されるマーカーは診断または治療マーカーを含む。単一のマーカーは診断マーカー、治療マーカー、診断および治療両方のマーカーであり得る。
本明細書中で使用される場合、用語「治療マーカー」はマーカー、例えば、表4および5に記載されたマーカーを含み、これは癌の(維持、進行、脈管形成および/または転移を含めた)発生に関連すると考えられる。治療マーカーの癌関連機能は、例えば、(1)(例えば、インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)または定量的PCR(qPCR)における蛍光による)増大したまたは減少したコピー数、または(例えば、配列決定による)突然変異、(例えば、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)、ノーザンブロット、またはqPCRによる)過剰発現または過少発現、(例えば、免疫組織化学(IHC)による)増加したまたは減少したタンパク質レベル、または例えば、ヒト癌の約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、またはそれ以上を超えるにおける、(例えば、マーカーが関連する経路の調節によって測定された)増加したまたは減少したタンパク質活性;(2)例えば、マーカーのRNA干渉(「RNAi」)による、例えば、軟寒天における、癌細胞増殖および成長の阻害;(3)癌遺伝子、例えば、MycおよびRASによる、あるいはRAS単独によるマウス胚線維芽細胞(MEF)の形質転換を促進するマーカーの能力;(4)例えば、軟寒天における腫瘍細胞株の増殖を増強または減少させるマーカーの能力;(5)SCID外植における一次マウス細胞を形質転換するマーカーの能力;および/または(6)マーカーを阻害または活性化することによる、腫瘍、例えば、動物においてデ・ノボで生起する腫瘍、またはヒト癌細胞株に由来する腫瘍の維持または形成の防止によって確認することができる。一実施形態において、治療マーカーは診断マーカーとして用いることができる。
本明細書中で使用される場合、用語「診断マーカー」は、癌の診断で有用なマーカー、例えば、表4および5に記載されたマーカー、例えば、治療の前、間または後における、腫瘍の過剰−または過少−活性の出現、発現、成長、寛解、再発または抵抗性を含む。マーカーの予測機能は、例えば、(1)例えば、ヒト癌の約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%以上を超えるにおける、(例えば、FISHまたはqPCRによる)増加したまたは減少したコピー数、(例えば、ISH、ノーザンブロット、またはqPCRによる)過剰発現または過少発現、(例えば、IHCによる)増大したまたは減少したタンパク質レベル、または(例えば、マーカーが関連する経路の調節によって測定された)増加したまたは減少した活性;(2)被験体、例えば、癌に罹ったヒトからの生物学的サンプル、例えば、組織、全血、血清、血漿、頬掻取物、唾液、脳脊髄液、尿、糞、胆汁、膵液、および膵臓組織を含有するサンプル中のその存在または不存在;(3)癌を持つ患者(例えば、特定の治療に応答する患者、または抵抗性を発生する患者)の臨床サブセットにおけるその存在または不存在によって確認することができる。診断マーカーは「代理マーカー」、例えば、病気進行の間接的マーカーであるマーカーも含む。
用語「プローブ」とは、特別に意図した標的分子、例えば、本発明のマーカーに選択的に結合することができるいずれの分子もいう。プローブは当業者によって合成できるか、あるいは適切な生物学的調製物に由来することができる。標的分子の検出の目的では、本明細書中に記載したように、プローブを標識されるように特別に設計されることができる。プローブとして利用することができる分子の例は、限定されるものではないがRNA、DNA、タンパク質、抗体、および有機モノマーを含む。
本明細書中で使用される場合、用語「プロモーター/調節配列」は、該プロモーター/調節配列に操作可能に連結された遺伝子産物の発現に必要な核酸配列を意味する。いくつかの例において、この配列はコアプロモーター配列であってよく、他の例においては、この配列はエンハンサー配列、および遺伝子産物の発現に必要な他の調節エレメントも含むことができる。プロモーター/調節配列は、例えば、組織特異的に遺伝子産物を発現するものであり得る。
本明細書中で使用される場合、「RNA干渉因子」は、RNA干渉(RNAi)によって、標的遺伝子、例えば、本発明のマーカーの発現に干渉する、またはそれを阻害するいずれかの剤と定義される。そのようなRNA干渉因子は、限定されるものではないが、標的遺伝子、例えば、本発明のマーカーと相同なRNA分子を含めた核酸分子、またはそのフラグメント、短い干渉RNA(siRNA)およびRNA干渉(RNAi)による標的遺伝子の発現に干渉する、またはそれを阻害する低分子を含む。
「RNA干渉(RNAi)」は、進化的に保存されたプロセスであり、それによって、標的遺伝子と同一な、または高度に類似する配列のRNAの発現または導入の結果、標的化遺伝子から転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)の配列特異的分解または特異的転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)がもたらされ(Coburn,G.and Cullen,B.(2002)J.of Virology 76(18):9225参照)、それによって、標的遺伝子の発現を阻害する。一実施形態において、該RNAは二本鎖RNA(dsRNA)である。このプロセスは植物、無脊椎動物、および哺乳動物細胞において記載されている。天然においては、RNAiは、長いdsRNAの、siRNAといわれる二本鎖フラグメントへのプロセッシング的切断を促進するdsRNA特異的エンドヌクレアーゼダイサーによって開始される。siRNAは、標的mRNAを認識し、それを切断するタンパク質複合体に一体化される。RNAiは、核酸分子、例えば、合成siRNAまたはRNA干渉因子を導入して、標的遺伝子の発現を阻害し、またはそれをサイレントとすることによって開始することもできる。本明細書中で使用される場合、「標的遺伝子発現の阻害」または「マーカー遺伝子発現の阻害」は、標的遺伝子(例えば、本発明のマーカー遺伝子)、または標的遺伝子によってコードされるタンパク質、例えば、本発明のマーカータンパク質の発現またはタンパク質活性もしくはレベルのいずれかの減少を含む。該減少は、標的遺伝子の発現、あるいはRNA干渉因子によって標的化されたことがない標的遺伝子によってコードされるタンパク質の活性またはレベルと比較して、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%以上であり得る。
「小干渉RNA」とも本明細書中においていわれる「短干渉RNA」(siRNA)は、例えば、RNAiによって、標的遺伝子の発現を阻害するように機能する剤と定義される。siRNAは化学的に合成することができ、インビトロ転写によって生産することができるか、あるいは宿主細胞内で生産することができる。一実施形態において、siRNAは長さが約15ないし約40ヌクレオチド、好ましくは長さが約15ないし約28ヌクレオチド、より好ましくは約19ないし約25ヌクレオチド、より好ましくは長さが約19、20、21、または22ヌクレオチドである二本鎖RNA(dsRNA)であり、約0、1、2、3、4または5ヌクレオチドの長さを有する各ストランド上に3’および/または5’突出を含有することができる。該突出の長さは2つのストランドの間で独立しており、すなわち、1つのストランド上の突出の長さは第2のストランド上の突出の長さに依存しない。好ましくは、siRNAは、標的メッセンジャーRNA(mRNA)の分解または特異的翻訳後遺伝子サイレンシング(PTGS)を通じてRNA干渉を促進することができる。
別の実施形態において、siRNAは(ステムループとも呼ばれる)小さなヘアピンRNA(shRNA)である。一実施形態において、これらのshRNAは短い(例えば、19ないし25ヌクレオチド)アンチセンスストランド、続いての5ないし9ヌクレオチドループ、および同様なセンスストランドから合成される。あるいは、センスストランドがヌクレオチドループ構造に先行し得、アンチセンスストランドがそれに続き得る。これらのshRNAはプラスミド、レトロウイルス、およびレンチウイルスに含有され得、例えば、pol III U6プロモーター、または別のプロモーターから発現され得る(例えば、ここに引用して援用するStewart,et al.(2003)RNA Apr;9(4):493−501参照)。
RNA干渉因子、例えば、siRNA分子は癌を有する、または有する危険性がある患者に投与して、本発明のマーカー遺伝子、例えば、(表5に列挙されたマーカーのような)癌で過剰発現されるマーカー遺伝子の発現を阻害し、それによって、被験体における癌を治療し、予防し、または阻害することができる。
「構成的」プロモーターは、遺伝子産物をコードし、または特定するポリヌクレオチドと操作可能に連結した場合に、遺伝子産物が生きたヒト細胞において該細胞のほとんどまたは全ての生理学的条件下で生産されるようにするヌクレオチド配列である。
「誘導性」プロモーターは、遺伝子産物をコードする、または特定するポリヌクレオチドと操作可能に連結した場合に、該遺伝子産物が、実質的に、プロモーターに対応するインデュサーが細胞に存在する場合にのみ生きたヒト細胞で生産されるようにするヌクレオチド配列である。
「組織特異的」プロモーターは、遺伝子産物をコードし、またはそれを特定するポリヌクレオチドと操作可能に連結した場合、遺伝子産物が、生きたヒト細胞において、実質的に、もし該細胞がプロモーターに対応する組織型の細胞である場合にのみ生産されるようにするヌクレオチド配列である。
「転写されたポリヌクレオチド」は、本発明のマーカーの転写、およびもしあれば、転写体の正常な転写後プロセッシング(例えば、スプライシング)、および転写体の逆転写によって生じる成熟RNAの全部または部分に相補的な、またはそれに相同なポリヌクレオチド(例えば、RNA、cDNA、またはRNAもしくはcDNAのもののアナログ)である。
「相補的」とは、2つの核酸ストランドの領域の間の、あるいは同一核酸ストランドの2つの領域の間の配列相同性の広い概念をいう。第1の核酸領域のアデニン残基は、もし該残基がチミンまたはウラシルであれば第1の領域に対して反平行である第2の核酸領域の残基とで特異的水素結合を形成することができる(「塩基対合」)ことが公知である。同様に、第1の核酸ストランドのシトシン残基は、もし該残基がグアニンであれば第1のストランドに対して反平行である第2の核酸ストランドの残基とで塩基対合できることが公知である。核酸の第1の領域は、もし2つの領域が反平行に整列させた場合に、第1の領域の少なくとも1つのヌクレオチド残基が第2の領域の残基とで塩基対合できれば、同一または異なる核酸の第2の領域に対して相補的である。好ましくは、第1の領域は第1の部分を含み、第2の領域は第2の部分を含み、それによって、第1および第2の部分は反平行に成立させた場合に、第1の部分のヌクレオチド残基の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%は第2の部分におけるヌクレオチド残基とで塩基対合することができる。より好ましくは、第1の部分の全てのヌクレオチド残基は、第2の部分におけるヌクレオチド残基とで塩基対合することができる。
本明細書中で相互交換的に用いる、用語「相同性」または「同一性」とは、2つのポリヌクレオチド配列の間の、または2つのポリペプチド配列の間の配列同様性をいい、同一性はより厳しい比較である。フレーズ「同一性パーセントまたは相同性」および「同一性%または相同性」とは、2以上のポリヌクレオチド配列、または2以上のポリペプチド配列の比較で見出される配列同様性のパーセンテージをいう。「配列同様性」とは、2以上のポリヌクレオチド配列の間の(いずれかの適切な方法によって測定された)塩基対配列におけるパーセント同様性をいう。2以上の配列は0ないし100%同様のいずれか、あるいはそれらの間のいずれかの整数値であり得る。同一性または同様性は、比較目的で整列させることができる各配列における位置を比較することによって決定することができる。比較される配列における位置が同一のヌクレオチド塩基またはアミノ酸によって占められる場合、分子はその位置において同一である。ポリヌクレオチド配列の間の同様性または同一性の程度は、ポリヌクレオチド配列によって共有される位置における同一またはマッチするヌクレオチドの数の関数である。ポリペプチド配列の同一性の程度は、ポリペプチド配列によって共有される位置における同一のアミノ酸の数の関数である。ポリペプチド配列の相同性または同様性の程度は、ポリペプチド配列によって共有される位置におけるアミノ酸の数の関数である。本明細書中で用いられるように、用語「実質的相同性」とは、少なくとも50%、より好ましくは60%、70%、80%、90%、95%以上の相同性をいう。
マーカーは、もしそれが基質と共有結合、または非共有結合すれば、基質は「固定」され、そのような基質は基質から解離するマーカーの実質的割合なくして流体(例えば、標準セーラインシトレート、pH7.4)ですすぐことができる。
本明細書中で使用される場合、「天然に生じる」核酸分子とは、天然で起こる(例えば、天然タンパク質をコードする)ヌクレオチド配列を有するRNAまたはDNA分子をいう。
癌は、もし該癌の少なくとも1つの兆候が軽減され、停止され、遅くされ、または妨げられれば、「阻害」される。本明細書中で使用される場合、癌は、もし該癌の再発または転移が低下し、遅くされ、遅延され、または妨げられるならば、やはり「阻害」される。
キットは、本発明のマーカーを特異的に検出するための、少なくとも1つの試薬、例えば、プローブを含むいずれかの製品(例えば、パッケージまたは容器)であり、該製品は本発明の方法を実行するためのユニットとして促進され、配布され、または販売される。
(II.本発明の使用)
本発明は、部分的には、正常な(すなわち、非癌性)細胞と比較して、癌細胞における異なるコピー数に導く構造的に改変された染色体領域(MCR)の同定に基づく。さらに、本発明は、部分的には、正常な(すなわち、非癌性)細胞と比較して、癌細胞における改変された量、構造および/または活性を有するマーカー、例えば、本発明のMCRに存在するマーカーの同定に基づく。本発明のマーカーは、正常および癌性細胞の一方または両方で検出することができるDNA、cDNA、RNA、およびポリペプチド分子に対応する。
サンプル、例えば、組織、全血、血清、血漿、頬掻取物、唾液、脳脊髄液、尿、糞、胆汁、膵液、および膵臓組織を含有するサンプル中のこれらのマーカーの1以上の、量、構造、および/または活性、例えば、存在、不存在、コピー数、発現レベル、タンパク質レベル、タンパク質活性、突然変異、例えば、マーカーの活性に影響する突然変異(例えば、置換、欠失、付加突然変異)の存在、および/またはメチル化状態が、組織の癌性状態と相関する。加えて、サンプル中の本発明のMCRの1以上の存在、不存在、および/またはコピー数もまた組織の癌性状態と相関する。本発明は、したがって、細胞(例えば、非ヒト、培養した非ヒト細胞、およびインビボ細胞から得られた細胞)の癌性状態を評価するための組成物、キット、および方法、ならびに本発明のマーカーのモジュレータ、例えば、アゴニストまたはアンタゴニストを用いる癌の治療、予防および/または阻害のための方法を提供する。
本発明の組成物、キット、および方法はとりわけ、以下の用途を有する:
1)被験体が癌に罹ったか否かの評価;
2)ヒト被験体における癌の段階の評価;
3)被験体における癌のグレードの評価;
4)被験体における癌の良性または悪性性質の評価;
5)被験体における癌の転移能力の評価;
6)被験体における癌と関連した新生物の組織学的タイプの評価;
7)癌を治療し、および/または被験体が癌に罹っているかどうかを評価するのに有用な抗体、抗体フラグメントまたは抗体誘導体の作成;
8)癌細胞の存在の評価;
9)被験体において癌を阻害するための1以上の試験化合物の効力の評価;
10)被験体において癌を阻害するための治療の効力の評価;
11)被験体における癌の進行のモニタリング;
12)例えば、被験体において癌を阻害するための組成物または治療の選択;
13)癌に罹った被験体の治療;
14)被験体における癌の阻害;
15)試験化合物の癌形成能力の評価;および
16)癌を発症する危険性がある被験体における癌の開始の予防。
本発明は、したがって、被験体が癌に罹った、または癌を発症する危険性があるか否かを評価する方法を含む。該方法は、被験体サンプル中のマーカーの、量、構造、および/または活性、例えば、存在、不存在、コピー数、発現レベル、タンパク質レベル、タンパク質活性、突然変異、例えば、マーカーの活性に影響する突然変異(例えば、置換、欠失、または付加突然変異)の存在、および/またはメチル化状態を正常なレベルと比較することを含む。被験体サンプル中のマーカーの量、構造、または活性および正常レベルとの間の有意な差は、被験体が癌に罹っていることを示すものである。本発明はまた、癌サンプル中の、MCR内のマーカーの発現のレベル、またはMCRのコピー数を、正常なコントロールサンプル中の、MCR内のマーカーの発現のレベル、またはMCRのコピー数と比較することによって、被験体が癌に罹ったか、または癌を発症する危険性があるかを評価するための方法も提供する。被験体サンプル中の、MCR内のマーカーの発現のレベル、またはMCRのコピー数、および正常レベルの間の有意な差は、被験体が癌に罹っていることを示すものである。MCRは表1にリストしたものからなる群より選択される。
該マーカーは、表4および5にリストしたマーカーからなる群より選択される。表4は、遺伝子発現および遺伝子量の間に高度に有意な相関を有するマーカーをリストする(p、0.05)。これらのマーカーの発現のレベルまたはコピー数は、膵臓癌、例えば、膵臓腺癌として組織学的に同定されるサンプルにおいて減少する。表4はマーカーの各々についての、各UniGeneID、Genebank Accession No.(すなわち、「GI」番号)、および配列番号に対応する、染色体、Mbにおける物理的位置、遺伝子重量、p−値、AffymetrixTMプローブ番号もリストする。表4にリストされるマーカーに対応する1以上の分子は他のものによって記載することもできるが、細胞の癌性状態に関するこれらのマーカーの重要性はこれまで同定されてこなかった。
表5もまた遺伝子発現および遺伝子量の間に高度に有意な相関を有するマーカーをリストする(p、0.05)。これらのマーカーの発現のレベルまたはコピー数は膵臓癌、例えば、膵臓腺癌として組織学的に同定されるサンプルにおいて増加する。表5もまたこれらのマーカーの各々についての、各UniGeneID、Genebank Accession No.(すなわち、「GI」番号)、および配列番号に対応する、染色体、Mbにおける物理的位置、遺伝子重量、p−値、AffymetrixTMプローブ番号もリストする。表5にリストされるマーカーに対応する1以上の分子は他のものによって記載することもできるが、細胞の癌性状態に関するこれらのマーカーの重要性はこれまで同定されてこなかった。
表4または5に列挙されたいずれかのマーカーまたはマーカーの組合せ、あるいは表1に列挙されたいずれかのMCRまたはMCRの組合せは、本発明の組成物、キット、および方法で用いることができる。一般に、それについて、癌細胞におけるマーカーまたはMCRの量、例えば、発現のレベルまたはコピー数、および/または活性、および正常な細胞における同一マーカーの量、例えば、発現のレベルまたはコピー数、および/または活性の間の差ができる限り大きいマーカーを用いるのが好ましい。この差は、マーカーの量および/または活性を評価するための方法の検出の限界と同程度に小さくすることができるが、該差は、評価方法の標準誤差よりも少なくとも大きい、好ましくは、正常な組織における同一バイオマーカーの量、例えば、発現のレベルまたはコピー数および/または活性よりも少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、100倍、500倍、1000倍以上の差であるのが好ましい。
本発明の1以上のマーカーを用いるさらなる被験体サンプルのルーチン的スクリーニングによって、ある種のマーカーは、具体的膵臓癌、ならびに他の癌、例えば、その例は、限定されるものではないが、メラノーマ、乳癌、肺癌、気管支癌、結直腸癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、泌尿膀胱癌、脳または中枢神経形癌、末梢神経系癌、食道癌、頸癌、子宮または子宮内膜癌、口腔または咽頭の癌、肝臓癌、腎臓癌、精巣癌、胆管癌、小腸または虫垂癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫、血液学的組織の癌等を含む癌腫、肉腫、リンパ腫または白血病を含めた種々のタイプの癌において改変された量、構造、および/または活性を有することが認識されるであろうと理解される。
例えば、本発明のマーカーのいくつかは癌、例えば、膵臓癌のいくらか、すなわち、10%、20%、30%または40%、またはほとんど(すなわち50%以上、または実質的に全て(すなわち。80%以上)において改変された量、構造、および/または活性を有することが確認されるであろう。さらに、本発明のある種のマーカーは種々の組織学的サブタイプの癌に関連付けられることが確認されるであろう。
加えて、より大きな数の被験体サンプルを、マーカーの改変された数、構造、および/または活性、あるいは本発明のMCRの改変された発現またはコピー数について評価し、かつそれからサンプルが得られた個々の被験体の結果が関連付けられるので、マーカーは該マーカーのある種のものの改変された量、構造、および/または活性を有し、あるいは本発明のMCRの改変された発現またはコピー数は悪性癌と強く相関し、および本発明の他のマーカーの改変された発現は良性腫瘍またはプレ悪性状態と強く相関することも確認されるであろう。本発明の組成物、キットおよび方法は、したがって、被験体における癌の段階、グレード、組織学的タイプ、および良性/プレ悪性、悪性性質の1以上を特徴付けるのに有用である。
本発明の組成物、キット、および方法を被験体における癌の段階、グレード、組織学的タイプおよび良性/プレ悪性/悪性性質の1以上を特徴付けるのに用いる場合、本発明のマーカーまたはMCR、あるいはマーカーまたはMCRのパネルは、対応する段階、グレード、組織学的タイプ、また良性/プレ悪性/悪性性質の、癌に罹った被験体の少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約40%、60%、または80%、より好ましくは実質的に全てにおいて陽性結果が得られるように選択される。好ましくは、本発明のマーカーまたはマーカーのパネルは、約10%を超えるPPV(陽性予測値)が、(より好ましくは、99.5%を超えるアッセイ特異性とカップリングさせて)一般的集団について得られるように選択される。
本発明の複数のマーカーまたはMCRを本発明の組成物、キット、および方法で用いる場合、各マーカーの量、構造、および/または活性、あるいは発現のレベルまたはコピー数を、単一反応混合物(すなわち、各マーカーについて異なる蛍光プローブのような試薬を使用)、あるいは1以上のマーカーまたはMCRに対応する個々の反応混合物いずれかにおいて、同一タイプの非癌性サンプル中の、複数のマーカーの各々の正常な量、構造、および/または活性、あるいは発現のレベルまたはコピー数と比較することができる。
一実施形態において、対応する正常なレベルに対する、サンプル中における、複数のマーカーのうちの1を超えるものの有意に改変された量、構造、および/または活性、あるいはMCRの1以上の有意に改変されたコピー数は、被験体が癌に罹っていることを示すものである。例えば、対応する正常なレベルまたはコピー数に対して、複数のマーカーまたはMCRの各々のサンプル中の有意に低いコピー数は、被験体が癌に罹っていることを示すものである。なお別の実施形態において、対応する正常なレベルに対するサンプル中の、1以上のマーカーまたはMCRの有意に増強されたコピー数、および1以上のマーカーまたはMCRの発現またはコピー数の有意に低いレベルが、被験体が癌に罹っていることを示すものである。また、例えば、対応する正常なコピー数に対する、複数のマーカーまたはMCRの各々のサンプル中の有意に増強されたコピー数は、被験体が癌に罹っていることを示すものである。なお別の実施形態において、対応する正常なレベルに対する、サンプル中の、1以上のマーカーまたはMCRの有意に増強されたコピー数、および1以上のマーカーまたはMCRの有意に低いコピー数は、被験体が癌に罹っていることを示すものである。
複数のマーカーまたはMCRを用いる場合、2、3、4、5、8、10、12、15、20、30、または50以上の個々のマーカーまたはMCRを用い、または同定するのが好ましい、ここで、より少数のマーカーまたはMCRが好ましい。
ごく少数のマーカーが、例えば、膵臓癌と関連することが知られている(例えば、AKT2、p16INK4a、c−MYC、SMAD4およびTP53;Lynch,supra)。これらのマーカー、あるいは他のタイプの癌に関連することが知られている他のマーカーを、例えば、マーカーのパネル中の本発明の1以上のマーカーと一緒に使用することができる。加えて、膵臓癌において、頻繁な獲得が3q、5p、7p、8q、11q、12p、17qおよび20qにマッピングされており、喪失が3p、4q、6q、8p、9p、10q、12q、13q、17p、18qおよび21q、および22qにマッピングされている。いくつかの例において、MYC(8q24)、p16INK4A(9p21)、p53(17p13)、SMAD4(18q21)、およびAKT2(19q13)を含めた、これらの遺伝子座内に含まれる確認された癌遺伝子および腫瘍サプレッサー遺伝子が同定されている。癌遺伝子、腫瘍サプレッサー遺伝子、成長因子様遺伝子、プロテアーゼ様遺伝子、およびプロテインキナーゼ様遺伝子のようなある種のタイプの遺伝子は、しばしば、種々のタイプの癌の発生に関連付けられていることがよく知られている。したがって、本発明のマーカーのうち、公知の癌遺伝子および腫瘍サプレッサー遺伝子によってコードされる公知のタンパク質に似たタンパク質に対応するもの、および成長因子、プロテアーゼ、およびプロテインキナーゼに似たタンパク質に対応するものの使用が好ましい。
本発明の組成物、キットおよび方法は、癌を発生する高まった危険性を有する被験体、および彼らの医療アドバイザーに対して特に利用性があるものであることが認識される。癌を発症する高まった危険性を有すると認識される被験体は、例えば、癌の家族歴を有する被験体、突然変異体癌遺伝子(すなわち、少なくとも1つの対立遺伝子)を有すると同定された被験体、および老齢の被験体を含む。
正常な(すなわち、非癌性)ヒト組織におけるマーカーの改変、例えば、コピー数、量、構造、および/または活性を種々の方法で評価することができる。一実施形態において、発現またはコピー数の正常なレベルは、非癌性であると見える細胞の部分におけるマーカーまたはMCRの発現および/またはコピー数のレベルを評価することによって、および発現またはコピー数のこの正常なレベルを、癌性であることが疑われる細胞の部分における発現またはコピー数のレベルと比較することによって評価される。例えば、腹腔鏡検査法または他の医療的手法が器官の1つの部分上での主要の存在を明らかにする場合、マーカーまたはMCRの発現またはコピー数の正常なレベルは該器官の非患部を用いて評価することができ、発現またはコピー数のこの正常なレベルを、該器官の患部(すなわち、腫瘍)における同一マーカーの発現またはコピー数のレベルと比較することができる。あるいは、特に、さらなる情報が本明細書中に記載された方法のルーチン的性能の結果として利用できるようになるに従い、本発明のマーカーまたはMCRの「正常な」コピー数、量、構造、および/または活性に対する集団−平均値を用いることができる。他の実施形態において、マーカーまたはMCRの「正常な」コピー数、量、構造、および/または活性は、非癌−罹患被験体から得られた被験体サンプルにおいて、被験体における癌の疑われる開始前の被験体から得られた被験体サンプルからの、保管された被験体サンプル等からの、マーカーまたはMCRのコピー数、量、構造および/または活性を評価することによって決定することができる。
本発明はサンプル(例えば、保管された組織サンプル、または被験体から得られたサンプル)中での癌細胞での存在を評価するための組成物、キット、および方法を含む。これらの組成物、キット、および方法は、適切であれば、該組成物、キットおよび方法がある種のタイプのサンプルでの使用に適合させる以外は、上記のものと実質的に同一である。例えば、サンプルをパラフィン処理した保管されたヒト組織サンプルである場合、本発明の組成物における、本発明のキットにおける、または用いる方法における化合物の比率を調整する必要があろう。そのような方法は当該分野でよく知られており、当業者の技量内のものである。
本発明は、したがって、(例えば、被験体サンプルのようなサンプル中での)癌細胞の存在を評価するためのキットを含む。該キットは、例えば、本発明のマーカーまたはMCRに対応する核酸またはポリペプチドに特異的に結合する本発明のマーカーまたはMCRを同定することができる1以上の試薬を含むことができる。本発明のマーカーに対応するポリペプチドと結合させるための適切な試薬を抗体、抗体誘導体、抗体フラグメント等を含む。核酸(例えば、ゲノムDNA、mRNA、スプライスドmRNA、cDNA等)と結合するのに適した試薬は、相補的な核酸を含む。例えば、核酸試薬は基質に固定された(標識されたまたは標識されていない)オリゴヌクレオチド、基材に結合していない標識されたオリゴヌクレオチド、PCRプライマーの対、分子ビーコンプローブ等を含むことができる。
本発明のキットは、所望により、本発明の方法を行うのに有用なさらなる成分を含むことができる。その例として、該キットは、相補的核酸にアニールするのに、あるいは抗体を、それが特異的に結合するタンパク質と結合させるのに適した流体(例えば、SSC緩衝液)、1以上のサンプル区画、本発明の方法の実行を記載する指令書、正常な細胞のサンプル、癌細胞のサンプル等を含むことができる。
本発明のキットは、タンパク質レベル、またはマーカーのタンパク質活性を測定するのに有用な試薬を含むことができる。別の実施形態において、本発明のキットはマーカーのメチル化状態を測定するための試薬を含むことができ、あるいはマーカーの構造の改変、例えば、突然変異の存在を測定するための試薬を含むことができる。
本発明はまた、本発明の方法およびキットで有用な抗体を生産する単離されたハイブリドーマの作成方法も含む。本発明のマーカーに対応するタンパク質を(例えば、そこでそれが発現される細胞からの精製によって、あるいは公知の方法を用いるインビボまたはインビトロにおけるタンパク質をコードする核酸の転写または翻訳によって)単離することができ、脊椎動物、好ましくはマウス、ラット、ウサギ、またはヒツジのような哺乳動物を該単離されたタンパク質を用いて免疫化する。該脊椎動物は、該脊椎動物がタンパク質に対して頑強な免疫応答を呈するように、単離されたタンパク質で少なくともさらに1回所望により(かつ好ましくは)免疫化することができる。当該分野で良く知られた種々の方法のいずれかを用いて、脾臓細胞を免疫化された脊椎動物から単離し、不滅化細胞株を融合させて、ハイブリドーマを形成させる。標準的な方法を用いて、次いで、このようにして形成されたハイブリドーマをスクリーニングして、タンパク質に特異的に結合する抗体を生産する1以上のハイブリドーマを同定する。本発明はまた、この方法によって作成されたハイブリドーマ、およびそのようなハイブリドーマを用いて作成された抗体を含む。
本発明はまた、癌細胞を阻害するにつき試験化合物の効力を評価する方法も含む。上記のように、本発明のマーカーの量、構造、および/または活性、あるいは本発明のMCRの発現またはコピー数のレベルの差は細胞の癌状態と相関する。ある種のマーカーの量、例えば、発現またはコピー数、構造および/または活性のレベル、あるいは本発明のMCRの発現またはコピー数の変化は細胞の癌状態に由来するらしいと認識されているが、同様に、該量の変化は癌状態を誘導し、維持し、促進し得ると認識されている。したがって、被験体において癌を阻害する化合物は変化、例えば、本発明の1以上のマーカーの発現および/または活性の、そのマーカーについての正常なレベル(例えば、非癌性細胞におけるマーカーについての量、例えば、発現、および/または活性)近くのレベルまでの変化を引き起こし得る。
この方法は、したがって、第1の細胞サンプル中の、かつ試験化合物の存在下で維持されるマーカーの量、例えば、発現、および/または活性、および第2の細胞サンプル中の、かつ試験化合物の非存在下で維持されたマーカーの量、例えば、発現、および/または活性を比較することを含む。表4に列挙されたマーカー(例えば、癌において減少することが示されたマーカー)の量、例えば、発現、および/または活性の有意な増加、表5に列挙されたマーカー(例えば、癌において増加することが示されたマーカー)の量、例えば、発現、および/または活性の有意な減少は、試験化合物が癌を阻害することを示すものである。細胞サンプルは、例えば、被験体から得られた正常細胞の単一サンプルのアリコット、被験体から得られた正常細胞のプールされたサンプル、正常な細胞株の細胞、癌の単一サンプルのアリコット、被験体から得られた細胞、癌のプールされたサンプル、被験体から得られた細胞、癌細胞株の細胞、癌の動物モデルからの細胞、などであり得る。一実施形態において、サンプルは被験体から得られた癌細胞であり、種々の癌を阻害するのに効果的であることが知られている複数の化合物を試験して、被験体における癌を最良に阻害するようである化合物を同定する。
この方法は、同様に、治療、例えば、化学治療、放射線治療、外科的処置あるいは被験体において癌を阻害するのに有用ないずれかの他の治療的アプローチの効力を評価するのに用いることができる。この方法においては、サンプルの対(一方は治療に付され、他方は治療に付されない)中での本発明の1以上のマーカーの量、例えば、発現、および/または活性を評価する。試験化合物の効力を評価する方法に関しては、もし該治療が表5に列挙されたマーカー(例えば、癌において増加することが示されたマーカー)の量、例えば、発現、および/または活性の有意な減少を誘導し、表5に列挙されたマーカー(例えば、癌において増加することが示されたマーカー)の誘導をブロックするならば、あるいはもし該治療が、表4に列挙されたマーカー(例えば、癌において減少することが示されたマーカー)の量、例えば、発現、および/または活性の有意な増強を誘導するならば、該治療は癌を阻害するのに有効である。上記のように、もし選択された被験体からのサンプルをこの方法で用いるならば、代替治療をインビトロで評価して、被験体において癌を阻害するのに最も有効であるらしい治療を選択することができる。
この方法を同様に用いて、被験体における癌の進行をモニタリングすることができ、ここで、もし被験体におけるサンプルが、癌の進行の間に、例えば、第1の時点において、およびその後の時点において、表5に列挙されたマーカー(例えば、癌において増加することが示されたマーカー)の量、例えば、発現、および/または活性の有意な減少を有し、あるいは表5に列挙されたマーカー(例えば、癌において増加することが示されたマーカー)の誘導、または表4に列挙されたマーカー(例えば、癌において減少することが示されたマーカー)の量、例えば、発現、および/または活性の有意な増強をブロックするならば、癌は改良されている。なお別の実施形態において、第1の時点およびその後の時点の間に、被験体は治療、例えば、化学治療、放射線治療、外科的処置あるいは癌を阻害するのに有用ないずれかの他の治療アプローチを受けており、治療を完了しており、あるいは寛解期である。
本明細書中で記載するように、被験体における癌は、表5に列挙された1以上のマーカー(例えば、癌において増加することが示されたマーカー)の量、例えば、発現、および/または活性の増加、および/または表4に列挙された1以上のマーカー(例えば、癌において減少することが示されたマーカー)の量、例えば、発現、および/または活性の減少に関連づけられる。上記のように、量、例えば、発現、および/または活性数のこれらの変化のいくつかは癌の発生に由来するが、これらの変化の他のものは癌細胞の癌状態を誘導し、維持し、促進する。したがって、表5に列挙された1以上のマーカー(例えば、癌において増大することが示されたマーカー)の量、例えば、発現、および/または活性の増加によって特徴付けられる癌は、それらのマーカーの量、例えば、発現、および/または活性を阻害することによって阻害することができる。同様に、表4に列挙された1以上のマーカー(例えば、癌において減少することが示されたマーカー)の量、例えば、発現、および/または活性の減少によって特徴付けられる癌は、それらのマーカーの量、例えば、発現、および/または活性を増強することによって阻害することができる。
表5に列挙されたマーカー(例えば、癌において増加することが示されたマーカー)の量および/または活性は、一般に当該分野で公知の多数の方法で阻害することができる。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドを癌細胞に提供して、マーカーの転写、翻訳、または両方を阻害することができる。表5に列挙されたマーカーに標的化されるRNA干渉因子、例えば、siRNA分子を癌細胞に提供して、例えば、標的マーカーのメッセンジャーRNA(mRNA)の分解または特異的転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)を介して、標的マーカーの発現を阻害することができる。あるいは、抗体、抗体誘導体、または抗体フラグメント、例えば、抗原に結合することができ、かつ適切なプロモーターまたはレギュレータ領域に操作可能に連結したフラグメントをコードするポリヌクレオチドを細胞に提供して、マーカーに対応するタンパク質の機能、量、および/または活性を阻害するであろう細胞内抗体を生じさせることができる。複合抗体またはそのフラグメント、例えば、化学標識された抗体、放射性標識された抗体、または本発明のマーカーを標的化するイムノトキシンを投与して、癌を治療し、予防しまたは阻害することもできる。
低分子を用いて、表5に列挙されたマーカーの発現および/または活性を調節し、例えば、阻害することもできる。一実施形態において、低分子は、本発明のマーカーおよび標的分子およびリガンドの間のタンパク質−タンパク質相互作用を破壊し、それによって、マーカーの活性を調節し、例えば、増加または減少させるように機能する。
本明細書中で用いた方法を用い、特に、細胞膜をわたることができるのに十分に小さな分子を含めた種々の分子をスクリーニングして、マーカーの量および/または活性を阻害する分子を同定することができる。そのように同定された化合物を被験体に提供して、被験体の癌細胞におけるマーカーの量および/または活性を阻害することができる。
表4に列挙されたマーカー(例えば、癌において減少することが示されているマーカー)の量および/または活性を一般的に当該分野で知られた多数の方法で増強させることができる。例えば、マーカーをコードし、かつ適切なプロモーター/レギュレータ領域に操作可能に連結したポリヌクレオチドを被験体の細胞に提供して、その中のマーカーに対応するタンパク質(およびmRNA)の増強した発現および/または活性を誘導することができる。あるいは、もしタンパク質が細胞膜を横断し、それ自体を細胞膜に挿入することができるか、あるいは通常は分泌されるタンパク質であれば、タンパク質の量および/または活性を、タンパク質を被験体における癌細胞へ(例えば、直接的に、あるいは血流によって)提供することによって促進することができる。低分子を用いて、表4に列挙されたマーカーの発現または活性を調節し、例えば、増加させることもできる。さらに、別の実施形態において、本発明のマーカーのモジュレータ、例えば、低分子を使用して、例えば、サイレンスド遺伝子、例えば、腫瘍サプレッサーを再度発現させて、癌を治療または予防することができる。例えば、そのようなモジュレータはDNA結合エレメントまたはメチルトランスフェラーゼに干渉することができる。
上記のように、ヒト細胞の癌状態を、本発明のマーカーの量および/または活性の変化に相関させる。したがって、表5に列挙された1以上のマーカー(例えば、癌で増加することが示されたマーカー)の増大した発現または活性、表4に列挙された1以上のマーカー(例えば、癌で減少することが示されたマーカー)の減少した量および/または活性を誘導する化合物は細胞癌形成を誘導することができる。本発明はまた、試験化合物のヒト細胞癌形成能力を評価する方法も含む。この方法は、試験化合物の存在下および非存在下においてヒト細胞の別々のアリコットを維持することを含む。アリコットの各々における本発明のマーカーの発現または活性を比較する。(試験化合物の非存在下で維持されたアリコットに対する)試験化合物の存在下で維持されたアリコットにおける、表5に列挙されたマーカー(例えば、癌において増加することが示されたマーカー)の量および/または活性の有意な増加、または表4に列挙されたマーカー(例えば、癌において減少することが示されたマーカー)の量および/または活性は、試験化合物がヒト細胞癌形成能力を保有することを示すものである。種々の試験化合物の相対的な癌形成能力は、関連マーカーの量および/または活性の増強または阻害の程度を比較することによって、量および/または活性が増強または阻害されたマーカーの数を比較することによって、または両方を比較することによって評価することができる。
本発明の種々の態様を以下のサブセクションにおいてさらに詳細に記載する。
(III.単離された核酸分子)
本発明の一局面は、本発明のマーカーに対応するポリペプチド、またはそのようなポリペプチドの部分をコードする核酸を含めた、本発明のマーカーに対応する単離された核酸分子に関する。本発明の核酸分子は、本明細書中で同定されたMCRに存在する核酸分子を含む。本発明の単離された核酸分子は、本発明のマーカーに対応するポリペプチドをコードする核酸分子、およびそのような核酸分子のフラグメントを含めた、本発明のマーカーに対応する核酸分子を同定するためにハイブリダイゼーションプローブとして用いるのに十分な核酸分子、例えば、核酸分子の増幅または突然変異のためのPCRプライマーとして用いられるのに適したものを含む。本明細書中で使用される場合、用語「核酸分子」は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えば、mRNA)、およびヌクレオチドアナログを用いて生じさせたDNAまたはRNAのアナログを含むことを意図する。核酸分子は一本鎖または二本鎖であり得るが、好ましくは二本鎖DNAである。
「単離された」核酸分子は、核酸分子の天然源に存在する他の核酸分子から分離されたものである。好ましくは、「単離された」核酸分子は、それから核酸分子が由来する生物のゲノムDNA中の核酸に天然で近接する配列(すなわち、核酸の5’および3’末端に位置する配列)(好ましくはタンパク質−コーディング配列)を含まない。例えば、種々の実施形態において、単離された核酸分子は、それから核酸分子が由来する細胞のゲノムDNA中の核酸分子に天然で近接するヌクレオチド配列の約5kB、4kB、3kB、2kB、1kB、0.5kBまたは0.1kB未満を含むことができる。さらに、cDNA分子のような「単離された」核酸分子は、組換え技術によって生産された場合に他の細胞物質または培養培地を実質的に含まないようにできるか、あるいは化学的に合成された場合に化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まないようにできる。
本発明の核酸分子、例えば、表4または5に列挙されたマーカーに対応するタンパク質をコードする核酸分子は、標準的な分子生物学技術および本明細書中に記載されたデータベース記録中の配列情報を用いて単離することができる。そのような核酸配列の全部または一部を用い、(例えば、Sambrook et al.,ed.Molecular Cloning: A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbour Laboratory Press,Cold Spring Harbour,NY,1989に記載された)標準的なハイブリダイゼーションおよびクローニング技術を用いて単離することができる。
本発明の核酸分子は、標準的なPCR増幅技術に従って、鋳型としてのcDNA、mRNAまたは、ゲノムDNA、および適切なオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅することができる。そのように増幅された核酸分子を適切なベクターにクローン化し、DNA配列分析によって特徴付けることができる。さらに、本発明の核酸分子の全てまたは部分に対応するオリゴヌクレオチドは、標準的な合成技術によって、例えば、自動DNA合成器を用いて調製することができる。
別の好ましい実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、本発明のマーカーに対応する核酸のヌクレオチド配列にまたは本発明のマーカーに対応するタンパク質をコードする核酸のヌクレオチド配列に対してヌクレオチド配列相補性を有する核酸分子を含む。与えられたヌクレオチド配列に対して相補的な核酸分子は、与えられたヌクレオチド配列にそれがハイブリダイズでき、それによって、安定な二重鎖を形成する、与えられたヌクレオチド配列に対して十分に相補的であるものである。
さらに、本発明の核酸分子は核酸配列の一部のみを含むことができ、ここで、全長核酸配列は本発明のマーカーを含むあるいはそれは本発明のマーカーに対応するポリペプチドをコードする。そのような核酸分子は、例えば、プローブまたはプライマーとして用いることができる。プローブ/プライマーは典型的には、1以上の実質的に精製されたオリゴヌクレオチドとして用いられる。オリゴヌクレオチドは、典型的には、ストリンジェントな条件下で、本発明の核酸の少なくとも約7、好ましくは約15、より好ましくは約25、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400以上の連続ヌクレオチドにハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。
本発明の核酸分子の配列に基づくプローブを用いて、本発明の1以上のマーカーに対応する転写体またはゲノム配列を検出することができる。プローブはそれに結合した標識基、例えば、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子を含む。そのようなプローブは、被験体からの細胞のサンプル中のタンパク質をコードする、核酸分子のレベルを測定し、例えば、mRNAレベルを検出し、あるいはタンパク質をコードする遺伝子が突然変異したか、あるいは欠失したかを決定することによるなどして、タンパク質を誤発現する細胞または組織を同定するための診断試験キットの一部として用いることができる。
本発明は、さらに、本発明のマーカーに対応するタンパク質をコードする核酸分子のヌクレオチド配列とは、遺伝暗号の縮重により異なり、したがって同一タンパク質をコードする核酸分子を含む。
表4または5に記載されたヌクレオチド配列に加えて、アミノ酸配列の変化に導くDNA配列多形が集団(例えば、ヒト集団)内に存在し得ることは当業者によって認識されるであろう。そのような遺伝的多形は、天然の対立遺伝子変異により、集団内の個体の間で存在し得る。対立遺伝子は与えられた遺伝子座に選択的に起こる遺伝子の群の1つである。加えて、RNA発現レベルに影響するDNA多形もまた存在することができ、これが(例えば、調節または分解に影響することによって)その遺伝子の全発現レベルに影響し得ることは認識されるであろう。
本明細書中で使用される場合、フレーズ「対立遺伝子変種」とは、与えられた遺伝子座で起こるヌクレオチド配列、あるいはヌクレオチド配列によってコードされたポリペプチドをいう。
本明細書中で使用される場合、用語「遺伝子」および「組換え遺伝子」とは、本発明のマーカーに対応するポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む核酸分子をいう。そのような天然対立遺伝子変異は、典型的には、与えられた遺伝子のヌクレオチド配列における1ないし5%変異をもたらすことができる。別の対立遺伝子は多数の異なる個体における注目する遺伝子を配列決定することによって同定することができる。これは、種々の個体において同一の遺伝子座を同定するのにハイブリダイゼーションプローブを用いて容易に行うことができる。いずれかのおよび全てのそのようなヌクレオチド変異、および天然の対立遺伝子変異の結果であるおよび機能的活性を変化させない得られたアミノ酸多形または変異は、本発明の範囲内であることを意図する。
別の実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、長さが少なくとも7、15、20、25、30、40、60、80、100、150、200、250、300、350、400、450、550、650、700、800、900、1000、1200、1400、1600、1800、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3500、4000、4500以上のヌクレオチドであり、ストリンジェントな条件下で、本発明のマーカーに対応する核酸分子に、あるいは本発明のマーカーに対応するタンパク質をコードする核酸分子にハイブリダイズする。本明細書で用いるように、用語「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」は、相互に少なくとも60%(65%、70%、好ましくは75%)同一であるヌクレオチド配列が典型的には相互にハイブリダイズしたままであるハイブリダイゼーションおよび洗浄についての条件を記載することを意図する。そのようなストリンジェントな条件は当業者に知られており、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.(1989)のセクション6.3.1−6.3.6に見出すことができる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の非限定的例は約45℃における6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダイゼーション、続いての、50ないし65℃における0.2× SSC0.1%SDS中での1回以上の洗浄である。
集団に存在し得る本発明の核酸分子の天然に生じる対立遺伝子変種に加えて、当業者であれば、配列の変化を突然変異によって導入することができ、それによって、それによりコードされるタンパク質の生物学的活性を変化させることなく、コードされるタンパク質のアミノ酸配列の変化に導くことをさらに認識するであろう。例えば、「非必須」アミノ酸残基におけるアミノ酸置換に導くヌクレオチド置換をなすことができる。「非必須」アミノ酸残基は、生物学的活性を変化させることなく野生型配列から変化させ得る残基であり、他方「必須」アミノ酸残基は生物学的活性に必要である。例えば、種々の種のホモログの間で保存されていない、または半保存されているに過ぎないアミノ酸残基は活性にとって非必須であり得、したがって、変化についての標的となろう。あるいは、種々の種(例えば、ネズミおよびヒト)のホモログの間で保存されたアミノ酸残基は活性に必須であり得、したがって、変化について標的とはならないであろう。
したがって、本発明の別の局面は、活性にとって必須でないアミノ酸残基の変化を含む本発明のポリペプチドをコードする核酸分子に関する。そのようなポリペプチドは、本発明のマーカーに対応する天然に生じるタンパク質とはアミノ酸配列が異なる、生物学的活性を保有する。一実施形態において、そのようなタンパク質は本発明のマーカーに対応するタンパク質の1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約40%同一、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または98%同一であるアミノ酸配列を有する。
変種タンパク質をコードする単離された核酸分子は、1以上のアミノ酸残基の置換、付加、または欠失がコードされたタンパク質に導入されるように、1以上のヌクレオチドの置換、付加または欠失を本発明の核酸のヌクレオチド配列に導入することによって創生することができる。突然変異は、部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介性突然変異誘発のような標準的な技術によって導入することができる。好ましくは、保存的なアミノ酸置換は1以上の予測される非必須アミノ酸残基においてなされる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が同様な側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられたものである。同様な側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当該分野で規定されている。これらのファミリーは塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ−分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を持つアミノ酸を含む。あるいは、突然変異は、飽和突然変異誘発によるなどして、コーディング配列の全てまたは一部に沿ってランダムに導入することができ、得られた突然変異体を生物学的活性についてスクリーニングして、活性を保有する突然変異体を同定することができる。突然変異誘発に続いて、コードされたタンパク質を組換えにより発現させることができ、タンパク質の活性を測定することができる。
本発明は、アンチセンス核酸分子、すなわち、本発明のセンス核酸に対して相補的な、例えば、本発明のマーカーに対応する二本鎖cDNA分子のコーディングストランドに対して相補的な、または本発明のマーカーに対応するmRNA配列に対して相補的な分子を含む。従って、本発明のアンチセンス核酸分子は本発明のセンス核酸に水素結合(すなわち、それにアニール)することができる。アンチセンス核酸は全コーディングストランドに対して、あるいはその一部のみに対して、例えば、タンパク質コーディング領域(またはオープンリーディングフレーム)の全てまたは一部に対して相補的であり得る。アンチセンス核酸分子は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のコーディングストランドの非コーディング領域の全てまたは一部に対してアンチセンスであり得る。非コーディング領域(「5’および3’非翻訳領域」)は、コーディング領域に近接し、アミノ酸に翻訳されない5’および3’配列である。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、長さが約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50以上のヌクレオチドであり得る。本発明のアンチセンス核酸は、当該分野で公知の手法を用いる化学合成および酵素的連結反応を用いて構築することができる。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に生じるヌクレオチド、あるいは分子の生物学的安定性を増加させるように、あるいはアンチセンスおよびセンス核酸の間で形成される二重鎖の物理的安定性を増加させるように設計された種々に修飾されたヌクレオチドを用いて化学合成することができ、例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドを用いることができる。アンチセンス核酸を生じさせるのに用いることができる修飾されたヌクレオチドの例は5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルケオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルケオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ウイブトキソシン、プソイドウラシル、ケオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリンを含む。あるいは、アンチセンス核酸がアンチセンス向きにサブクローンされている発現ベクターを用いて生物学的に生産することができる(すなわち、挿入された核酸から転写されたRNAは、以下のサブセクションにさらに記載する注目する標的核酸に対してアンチセンス向きにあろう)。
本発明のアンチセンス核酸分子は、典型的には、それらは本発明の選択されたマーカーに対応するポリペプチドをコードする細胞mRNAおよび/またはゲノムDNAにハイブリダイズし、またはそれに結合して、それによって、例えば、転写および/または翻訳を阻害することによってマーカーの発現を阻害するように、被験体に投与され、またはインサイチュにて作り出される。ハイブリダイゼーションは、例えば、二重ラセンの主要溝における特異的相互作用を介して、DNA二重鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合には、安定な二重鎖を形成するための慣用的なヌクレオチド相補性によることができる。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例は、組織部位における直接的注射、たまは卵巣関連体液へのアンチセンス核酸の注入を含む。あるいは、アンチセンス核酸分子を、選択された細胞を標的とするように修飾し、次いで、全身投与することができる。例えば、全身投与では、アンチセンス分子は、それらは、例えば、アンチセンス核酸分子を、細胞表面レセプターまたは抗原に結合するペプチドまたは抗体に連結することによって、選択された細胞表面に発現されるレセプターまたは抗原に特異的に結合するように修飾することができる。アンチセンス核酸分子は、本明細書中に記載されたベクターを用い、細胞に送達することもできる。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成するためには、アンチセンス核酸分子が強力pol IIまたはpol IIIプロモーターの制御下におかれるベクター構築体が好ましい。
本発明のアンチセンス核酸分子はα−アノマー核酸分子であり得る。α−アノマー核酸分子は、通常のα−ユニットとはコントロール的にストランドは相互に対して平行に走る相補的RNAとで特異的二本鎖ハイブリッドを形成する(Gaultier et al.,1987,Nucleic Acids Res.15:6625−6641).アンチセンス核酸分子は2’−o−メチルリボヌクレオチド(Inoue et al.,1987,Nucleic Acids Res.15:6131−6148)またはキメラRNA−DNAアナログ(Inoue et al.,1987,FEBS Lett.215:327−330)を含むこともできる。
本発明はリボザイムも包含する。リボザイムは、それに対してそれらが相補的領域を有するmRNAのような一本鎖核酸を切断することができるリボヌクレアーゼ活性を持つ触媒RNA分子である。したがって、リボザイム(例えば、Haselhoff and Gerlach,1988,Nature 334:585−591に記載されたようなハンマーヘッドリボザイム)を用いて、触媒的にmRNA転写体を切断して、それによって、該mRNAによってコードされたタンパク質の転写を阻害することができる。本発明のマーカーに対応するポリペプチドをコードする核酸分子に対して特異性を有するリボザイムは、マーカーに対応するcDNAのヌクレオチド配列に基づいて設計することができる。例えば、テトラヒメナL−19 IVS RNAの誘導体を構築することができ、ここで、活性な部位のヌクレオチド配列は、切断すべきヌクレオチド配列に対して相補的である(Cech et al.,米国特許第4,987,071号;およびCech et al.,米国特許第5,116,742号参照)。あるいは、本発明のポリペプチドをコードするmRNAを用いて、RNA分子のプールからの特異的リボヌクリアーゼ活性を有する触媒RNAを選択することができる(例えば、Bartel and Szostak,1993,Science 261:1411−1418)。
本発明は、三重らせん構造を形成する核酸分子も含む。例えば、本発明のポリペプチドの発現は、該ポリペプチドをコードする遺伝子の調節領域に相補的なヌクレオチド配列(例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー)を標的化して、標的細胞において遺伝子の転写を妨げる三重らせん構造を形成することによって阻害することができる。一般に、Helene(1991)AntiCancer Drug Des.6(6):569−84;Helene(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27−36;およびMaher(1992)Bioassays 14(12):807−15)参照。
種々の実施形態において、本発明の核酸分子は、塩基部、糖部またはリン酸骨格において修飾して、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーションまたは溶解性を改良することができる。例えば、核酸分子のデオキシリボースリン酸骨格を、ペプチド核酸分子を生じるように修飾することができる(Hyrup et al.,1996,Bioorganic & Medicinal Chemistry 4(1):5−23参照)。本明細書中で使用される場合、用語「ペプチド核酸」「PNA」とは、デオキシリボースリン酸骨格がプソイドペプチド骨格によって置き換えられ、4つの天然ヌクレオベースのみが保持される核酸ミミック、例えば、DNAミミックをいう。PNAの中性骨格は、低イオン強度の条件下で、DNAおよびRNAへの特異的ハイブリダイゼーションを可能とすることが示されている。PNAオリゴマーの合成は、Hyrup et al.(1996),supra;Perry−O’Keefe et al.(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:14670−675に記載された標準的な固相ペプチド合成プロトコルを用いて行うことができる。
PNAは治療および診断適用で用いることができる。例えば、PNAは、例えば、転写または翻訳阻止を誘導し、または複製を阻害することによって、遺伝子発現の配列特異的調節のためのアンチセンスまたは抗遺伝子剤として用いることができる。PNAは、他の酵素、例えば、S1ヌクレアーゼと組み合わせて用いる場合の人工制限酵素(Hyrup(1996),supra)として;またはDNA配列およびハイブリダイゼーションのためのプローブまたはプライマー(Hyrup,1996,supra;Perry−O’Keefe et al.,1996,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:14670−675)として、例えば、PNA指向性PCRクランピングによって、例えば、遺伝子中の単一塩基対突然変異の分析で用いることもできる。
別の実施形態において、親油性または他のヘルパー基をPNAに付着させることによって、PNA−DNAキメラの形成によって、あるいは、当該分野で公知の薬物送達の他の技術によって、PNAを修飾して、例えば、安定性または細胞取り込みを増強させることができる。例えば、PNA−DNAキメラを作り出すことができ、これはPNAおよびDNAの有利な特性を組み合わせることができる。そのようなキメラは、DNA認識酵素、例えば、RNASE HおよびDNAポリメラーゼが、PNA部分が高い結合親和性および特異性を提供しつつ、DNA部分と相互作用するのを可能とする。PNA−DNAキメラは、塩基スタッキング、ヌクレオベースの間の結合の数、および向きの項目について選択された適切な長さのリンカーを用いて連結することができる(Hyrup,1996,supra)。PNA−DNAキメラの合成はHyrup(1996),supra,およびFinn et al.(1996)Nucleic Acids Res.24(17):3357−63に記載されたように行うことができる。例えば、DNA鎖は、標準的なホスホルアミダイトカップリング化学および修飾されたヌクレオシドアナログを用いて固体支持体上で合成することができる。5’−(4−メチキシトリチル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホルアミダイトのような化合物をPNAとDNAの5’末端との間のリンクとして用いることができる(Mag et al.,1989,Nucleic Acids Res.17:5973:88)。次いで、PNAモノマーを段階的にカップリングさせて、5’PNAセグメントおよび3’DNAセグメントを持つキメラ分子を生じさせる(Fiinn et al.,1996,Nucleic Acids Rs.24(17):3357−63)。あるいは、キメラ分子を、5’DNAセグメントおよび3’PNAセグメントで合成することができる(Peterser et al.,1975,Bioorganic Med.Chem.Lett.5:1119−11124)。
他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは(例えば、インビボにて宿主細胞レセプターを標的化するための)ペプチド、または細胞膜をわたっての輸送を容易とする剤(例えば、Letsinger et al.,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6553−6556;Lemaitre et al.,1987,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:648−652;PCT公開番号WO 88/09810)または血液−脳関門(例えば、PCT公開番号WO 89/10134参照)のような他の付加基を含むことができる。加えて、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション−トリガード切断剤(例えば、Krol et al.,1988,Bio/Techniques 6:958−976)またはインターカレーティング剤(例えば、Zon,1988,Pharm.Res.5:539−649参照)で修飾することができる。この目的で、オリゴヌクレオチドを別の分子、例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーショントリガード架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション−トリガード切断剤などに結合することができる。
本発明は、当該分子ビーコンが、サンプル中の本発明の核酸分子の存在を定量するのに有用なように、本発明の核酸分子に相補的な少なくとも1つの領域を有する分子ビーコン核酸分子も包含する。「分子ビーコン」核酸分子は、相補的領域の対を含み、およびフルオロフォアおよびそれに会合した蛍光クエンチャーを有する核酸分子である。フルオロフォアおよびクエンチャーは、相補的領域が相互にアニールされる場合に、フルオロフォアの蛍光がクエンチャーによって消光されるような向きにて核酸の異なる部分と会合する。核酸分子の相補的領域が相互にアニールされない場合、フルオロフォアの蛍光は余り消光されない。分子ビーコン核酸分子は、例えば、米国特許第5,876,930号に記載される。
(IV.単離されたタンパク質および抗体)
本発明の一局面は本発明の個々のマーカーに対応する単離されたタンパク質、およびその生物学的な活性な部分、ならびに本発明のマーカーに対応するポリペプチドに対して向けられた抗体を生起させるのに免疫原として用いるのに適したペプチドフラグメントに関する。一実施形態において、マーカーに対応する天然ポリペプチドは、標準的なタンパク質精製技術を用いる適切な精製スキームによって、細胞または組織源から単離することができる。別の局面において、本発明のマーカーに対応するポリペプチドは、組換えDNA技術によって生産される。組換え発現の代わりに、標準的なペプチド合成技術を用いて、本発明のマーカーに対応するポリペプチドを化学的に合成することができる。
「単離された」または「精製された」タンパク質またはその生物学的に活性な部分は、タンパク質が由来する細胞または組織源からの細胞物質または他の汚染タンパク質を実質的に含まず、あるいは化学的に合成された場合に、化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。用語「細胞物質を実質的に含まない」は、それがそこから単離され、または組換えにより生産された細胞の細胞成分からタンパク質が分離された、該タンパク質の調製物を含む。したがって、細胞物質を実質的に含まないタンパク質は、約30%、20%、10%、または5%(乾燥重量)未満の(本明細書中においては、「汚染タンパク質」ともいう)異種タンパク質を有するタンパク質の調製物を含む。該タンパク質またはその生物学的に活性な部分が組換えにより生じた場合、それは培養培地を好ましくは実質的に含まず、すなわち、培養培地は約20%、10%、または5%未満の容量のタンパク質調製物を表す。タンパク質が化学合成によって生産される場合、それは化学前駆体または他の化学物質を好ましくは実質的に含まず、すなわち、それはタンパク質の合成に関与する化学前駆体または他の化学物質から分離されている。従って、タンパク質のそのような調製物は、注目するポリペプチド以外の約30%、20%、10%、5%(乾燥重量)未満の化学前駆体または化合物を有する。
本発明のマーカーに対応するポリペプチドの生物学的に活性な部分は、全長タンパク質よりも少数のアミノ酸を含み、かつ対応する全長タンパク質の少なくとも1つの活性を呈する、マーカーに対応するタンパク質(例えば、表4または5に列挙された核酸分子によってコードされるタンパク質)のアミノ酸配列と十分に同一、またはそれに由来するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。典型的には、生物学的に活性な部分は、対応するタンパク質の少なくとも1つの活性を持つドメインまたはモチーフを含む。本発明のタンパク質の生物学的に活性に部分は、例えば、長さが10、25、50、100以上のアミノ酸であるポリペプチドであり得る。さらに、タンパク質の他の領域が欠失した他の生物学的に活性な部分は、組換え技術によって調製することができ、本発明のポリペプチドの天然形態の機能的活性の一以上について評価することができる。
好ましいポリペプチドは、表4または5に列挙された核酸分子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を有する。他の有用なタンパク質はこれらの配列の1つに対して実質的に同一(例えば、少なくとも約40%、好ましくは50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%)であり、対応する天然に生じるタンパク質の該タンパク質の機能的活性を保有するが、天然対立遺伝子変異または突然変異誘発のためアミノ酸配列が異なる。
2つのアミノ酸配列の、または2つの核酸の同一性パーセントを決定するためには、最適比較目的で配列を整列させる(例えば、ギャップを第1のアミノ酸の配列または核酸配列に、第2のアミノ酸または核酸配列との最適整列のために導入することができる)。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置、アミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列におけるある位置が第2の配列における対応する位置と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められれば、該分子はその位置において同一である。2つの配列の間の同一性パーセントは、配列によって共有された同一位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一位置の数/位置(例えば、重複位置)の合計数×100)。一実施形態において、2つの配列は同一の長さである。
2つの配列の間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。2つの配列の比較のために利用する数学的アルゴリズムの非限定的例は、Karlin and Altschul(1993)Proc Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877において修飾された、Karlin and Altschul(1990)Proc Natl.Acad.Sci.USA 87:2264−2268のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschul,et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403−410のNBLASTおよびXBLASTプログラムに取り入れられている。BLASTヌクレオチドサーチはNBLASTプログラム、スコア=100、語長(wordlength)=12で行って、本発明の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得る。BLASTタンパク質サーチをXBLASTプログラム、スコア=50、語長=3で行って、本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得る。比較目的でギャップを入れた整列を得るためには、Altschul et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3389−3402に記載されたようにGapped BLASTを利用することができる。あるいは、PSI−Blastを用いて、分子間の距離関係を検出する繰り返しサーチを行うことができる。BLST、Gapped BLAST、およびPSI−Blastプログラムを利用する場合、各プログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを用いることができる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov.参照。配列の比較で利用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定的例はMyers and Miller,(1988)Comput Appl Biosci,4:11−7のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、GCG配列整列ソフトパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に取り込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重量残基表、12のギャップ長さペナルティー、および4のギャップペナルティーを用いることができる。局所的配列同様性および整列の領域を同定するためのなお別の有用なアルゴリズムは、Pearson and Lipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444−2448に記載されたFASTAアルゴリズムである。ヌクレオチドまたはアミノ酸配列を比較するためにFASTAアルゴリズムを用いる場合、PAM120重量残基表を、例えば、2のk−tuple値にて用いることができる。
2つの配列の間の同一性パーセントは、ギャップを許容し、または許容することなく、上記のものと同様の技術を用いて決定することができる。同一性パーセントを計算するにおいて、正確なマッチのみをカウントする。
本発明はまた、本発明のマーカーに対応するキメラまたは融合タンパク質を提供する。本明細書中で使用される場合、「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、異種ポリペプチド(すなわち、マーカーに対応するポリペプチド以外のポリペプチド)に操作可能に連結した本発明のマーカーに対応するポリペプチドの全てまたは一部(好ましくは、生物学的に活性な部分)を含む。融合タンパク質内では、用語「操作可能に連結した」は、本発明のポリペプチドおよび異種ポリペプチドが相互に枠内で融合していることを示すことを意図する。異種ポリペプチドを本発明のポリペプチドのアミノ−末端またはカルボキシル−末端に融合させることができる。
1つの有用な融合タンパク質は、本発明のマーカーに対応するポリペプチドをGST配列のカルボキシル末端に融合したGST融合タンパク質である。そのような融合タンパク質は本発明の組換えポリペプチドの精製を容易とすることができる。
別の実施形態において、融合タンパク質はそのアミノ末端において異種シグナル配列を含有する。例えば、本発明のマーカーに対応するポリペプチドの天然シグナル配列を除去し、別のタンパク質からのシグナル配列で置き換えることができる。例えば、バキュロウイルスエンベロープタンパク質のgp67分泌配列を異種シグナル配列として用いることができる(Ausubel et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY,1992)。真核生物異種シグナル配列の他の例は、メリチンおよびヒト胎盤アルカリ性ホスファターゼの分泌配列を含む(Stratagene;La Jolla,California)。なお別の例において、有用な原核生物異種シグナル配列はphoA分泌シグナル(Sambrook et al.,supra)およびプロテインA分泌シグナル(Pharmacia Biotech;Piscataway,New Jersey)を含む。
なお別の実施形態において、融合タンパク質は本発明のマーカーに対応するポリペプチドの全てまたは一部が免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメンバーに由来する配列に融合した免疫グロブリン融合タンパク質である。本発明の免疫グロブリン融合タンパク質は薬学的組成物に配合し、被験体に投与して、リガンド(可溶性または膜−結合性)および細胞表面のタンパク質(レセプター)の間の相互作用を阻害して、それによって、インビボにてシグナル変換を抑制することができる。免疫グロブリン融合タンパク質を用いて、本発明のポリペプチドの同族リガンドの生物学的利用性に影響させることができる。リガンド/レセプター相互作用の阻害は、増殖性および分化的障害を治療するために、および細胞の生存性を調節する(例えば、促進または阻害する)ために、治療的に用いることができる。さらに、本発明の免疫グロブリン融合タンパク質を免疫原として用いて、被験体において本発明のポリペプチドに対して向けられた抗体を生産して、リガンドを精製し、およびスクリーニングアッセイにおいて、レセプターとリガンドとの相互作用を阻害する分子を同定することができる。
本発明のキメラおよび融合タンパク質は、標準的な組換えDNA技術によって生産することができる。別の実施形態において、融合遺伝子は、自動DNA合成器を含めた慣用的技術によって合成することができる。あるいは、引き続いてアニールし、再度増幅して、キメラ遺伝子配列を生じさせることができる2つの連続遺伝子フラグメントの間に相補的突出を生起させるアンカープライマーを用いて行うことができる(例えば、Ausubel et al.,supra参照)。さらに、多くの発現ベクターは商業的に入手可能であり、これは既に融合部位をコードするものである(例えば、GSTポリペプチド)。本発明のポリペプチドをコードする核酸は、融合部位が本発明のポリペプチドに枠内にて連結されるように、そのような発現ベクターにクローン化することができる。
シグナル配列を用いて、分泌されたタンパク質、または注目する他のタンパク質の分泌および単離を容易とすることができる。シグナル配列は、典型的には、1以上の切断事象における分泌の間に成熟タンパク質から一般的に切断される疎水性アミノ酸のコアによって特徴付けられる。そのようなシグナルペプチドは、それらが分泌経路を通過するにつれて成熟タンパク質からのシグナル配列の切断を可能とするプロセッシング部位を含有する。したがって、本発明は、シグナル配列を有する記載されたポリペプチド、ならびにシグナル配列がそれからタンパク質分解により切断されたポリペプチド(すなわち、切断産物)に関する。一実施形態において、シグナル配列をコードする核酸配列を発現ベクターにおいて、通常は分泌されないか、あるいはそうでなければ単離するのが困難なタンパク質のような注目するタンパク質に操作可能に連結させることができる。シグナル配列は、それに発現ベクターが形質転換された真核生物宿主からのようなタンパク質の分泌を指令し、シグナル配列は引き続いてまたは同時に切断される。次いで、当該分野で認められた方法によって、タンパク質を細胞外培地から容易に精製することができる。あるいは、シグナル配列を、GSTドメインに関するような精製を容易とする配列を用いて注目するタンパク質に連結させることができる。
本発明はまた、本発明の個々のマーカーに対応するポリペプチドの変種に関する。そのような変種は、アゴニストとして(模倣物)またはアンタゴニストとして機能することができる改変されたアミノ酸配列を有する。変種は、突然変異誘発、例えば、区別される点突然変異または切形によって生じさせることができる。アゴニストは天然に生じる形態のタンパク質の生物学的活性と実質的に同一な活性、またはそのサブセットを保有することができる。タンパク質のアンタゴニストは、例えば、注目するタンパク質を含む細胞シグナリングカスケードの下流または上流メンバーに競合的に結合させることによってタンパク質の天然に生じる形態の活性の1以上の活性を阻害することができる。したがって、限定された機能の変種での処理によって、特異的生物学的効果を誘導することができる。タンパク質の天然に生じる形態の生物学的活性のサブセットを有する変種での被験体の処理は、タンパク質の天然に生じる形態での処理に対して被験体においてより少ない副作用を有し得る。
アゴニストとして(模倣物)またはアンタゴニストとして機能する本発明のタンパク質の変種は、アゴニストまたはアンタゴニスト活性につき、本発明のタンパク質の突然変異体、例えば、切形突然変異体のコンビナトーリアルライブラリーをスクリーニングすることによって同定することができる。一実施形態において、核酸レベルでのコンビナトーリアル突然変異誘発によって種々の変種ライブラリーを生じさせ、種々の遺伝子ライブラリーによってコードされる。種々の変種ライブラリーは、例えば、潜在的タンパク質配列の縮重組が個々のポリペプチドとして、あるいは別法として(例えば、ファージディスプレイのための)、より大きな融合タンパク質の組として発現可能であるように、合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列に酵素的に連結することによって生産することができる。縮重オリゴヌクレオチド配列から本発明のポリペプチドの潜在的変種のライブラリーを生じさせるのに用いることができる種々の方法がある。縮重オリゴヌクレオチドを合成するための方法は当該分野で知られている(例えば、Narang,1983,Tetrahedron 39:3;Itakura et al.,1984,Annu.Rev.Biochen.53:323;Itakura et al.,1984,Science 198:1056;Ike et al.,1983 Nucleic Acid Res.11:477参照)。
加えて、本発明のマーカーに対応するポリペプチドのコーディング配列のフラグメントのライブラリーを用いて、スクリーニングおよび変種の引き続いての選択のためのポリペプチドの種々の集団を創製することができる。例えば、コーディング配列フラグメントのライブラリーは、ニッキングが分子当たり約1回のみ起こる条件下で、注目するコーディング配列の二本鎖PCRフラグメントをヌクレアーゼで処理し、二本鎖DNAを変性し、DNAを再生して、異なるニックされた産物からのセンス/アンチセンス対を含むことができる二本鎖DNAを形成し、S1ヌクレアーゼでの処理によって再度形成された二重鎖から一本鎖部分を除去し、次いで、得られたフラグメントライブラリーを発現ベクターに連結することによって、創製することができる。この方法によって、注目する種々のサイズのタンパク質のアミノ末端および内部フラグメントをコードする発現ライブラリーを誘導することができる。
点突然変異または切形によって作成されたコンビナトーリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするための、および選択された特性を有する遺伝子産物につきcDNAライブラリーをスクリーニングするための数種の技術が当該分野で知られている。大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングするための、高スループット分析に使用できる最も広く用いられる技術は、典型的には、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターにクローニングし、適切な細胞を得られたベクターのライブラリーで形質転換をし、次いで、その産物が検出される遺伝子をコードするベクターの単離を所望の活性の検出が容易とする条件下でコンビナトーリアル遺伝子を発現させることを含む。反復可能アンサンブル突然変異誘発(REM)、すなわち、ライブラリーにおける機能的突然変異体の頻度を増強させる技術を、スクリーニングアッセイと組み合わせて用いて、本発明のタンパク質の変種を同定することができる(Arkin and Yourvan,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7811−7815;Delgrave et al.,1993,Protein Engineering 6(3):327−331)。
本発明のマーカーに対応する単離されたポリペプチド、またはそのフラグメントを免疫原として用いて、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製のための標準的な技術を用いて抗体を創製することができる。全長ポリペプチドまたはタンパク質を用いることができ、あるいは、本発明は免疫原として用いる抗原性ペプチドフラグメントを提供する。本発明のタンパク質の抗原性ペプチドは本発明のポリペプチドのうちの1つのアミノ酸配列の少なくとも8つ(好ましくは、10、15、20、または30以上の)アミノ酸残基を含み、ペプチドに対して生起した抗体が、タンパク質が対応する本発明のマーカーとで特異的な免疫複合体を形成するようなタンパク質のエピトープを含む。抗原性ペプチドによって含まれる好ましいエピトープは、タンパク質の表面に位置する領域、例えば、親水性領域である。疎水性配列分析、親水性配列分析、または同様な分析を用いて、親水性領域を同定することができる。
免疫原は、ウサギ、ヤギ、マウス、または他の哺乳動物または脊椎動物のような適切な(すなわち、免疫担当)被験体を免疫化することによって抗体を調製するのに典型的に用いられる。適切な免疫原性調製物は、例えば、組換えにより発現される、または化学的に合成されるポリペプチドを含有することができる。該調製物は、さらに、フロイントの完全または不完全アジュバント、または同様な免疫刺激剤のようなアジュバントを含むことができる。
従って、本発明の別の局面は本発明のポリペプチドに対して向けられる抗体に関する。本明細書中において、相互交換的に用いられる用語「抗体」および「抗体物質」とは、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、本発明のペプチドのような、抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子をいう。本発明の与えられたポリペプチドに特異的に結合する分子は、該ポリペプチドに結合するが、該ポリペプチドを天然で含有するサンプル、例えば、生物学的サンプル中の分子に実質的には結合しない分子である。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分の例は、ペプシンのような酵素で抗体を処理することによって生じさせることができるF(ab)およびF(ab’)フラグメントを含む。本発明はポリクローナルおよびモノクローナル抗体を提供する。本明細書中で使用される場合、用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」とは、特定のエピトープと免疫反応することができる抗原結合部位の唯1つの種しか含有しない抗体分子の集団をいう。
ポリクローナル抗体は、適切な被験体を免疫原としての本発明のポリペプチドで免疫化することによって上記のように調製することができる。免疫化された被験体における抗体力価は、固定化されたポリペプチドを用いる酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)のような、標準的な技術によって経時的にモニタリングすることができる。所望であれば、抗体分子を被験体から(例えば、被験体の血液または血清から)収穫し、単離し、さらにプロテインAクロマトグラフィーのようなよく知られた技術によって精製して、IgG画分を得ることができる。免疫化の後の適切な時点において、例えば、特異的抗体力価が最高である場合、抗体−生産細胞を被験体から得て、これを用いて、Kohler and Milstein(1975)Nature 256:495−497によって元来記載されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al.,1983,Immunol.Today 4:72参照)、EBV−ハイブリドーマ技術(Cole et al.,pp.77−96 In Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,1985参照)またはトリオーマ技術のような標準的技術によってモノクローナル抗体を調製することができる。ハイブリドーマを生産するための技術はよく知られている(一般に、Current Protocols In Immunology,Coligan et al.ed.,John Wiley & Sons,New York,1994参照)。本発明のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞は、例えば、標準的なELISAアッセイを用い、注目するポリペプチドに結合する抗体についてハイブリドーマ培養上清をスクリーニングすることによって検出される。
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを調製する代替法として、注目するポリペプチドに関して組換えコンビナトーリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)をスクリーニングすることによって、本発明のポリペプチドに対して向けられたモノクローナル抗体を同定し、単離することができる。ファージディスプレイライブラリーを創製し、スクリーニングするためのキットは商業的に入手可能である(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System,Catalog No.27−9400−01;およびStratagene SurfZAP Phage Display Kit,Catalog No.240612)。抗体ディスプレイライブラリーを創製し、スクリーニングするのに用いるのに特に使用できる方法および試薬の例は、例えば、米国特許第5,223,409号;PCT公開番号WO 92/18619;PCT公開番号WO 91/17271;PCT公開番号WO 92/20791;PCT公開番号WO 92/15679;PCT公開番号WO 93/01288;PCT公開番号WO 92/01047;PCT公開番号WO 92/09690;PCT公開番号WO 90/02809;Fuchs et al.(1991)Bio/Technology 9:1370−1372;Hay et al.(1992)Hum.Antibod.Hybridomas 3:81−85;Huse et al.(1989)Science 246:1275−1281;Griffiths et al.(1993)EMBO J.12:725−734に見出すことができる。
加えて、標準組換えDNA技術を用いて作成することができる、ヒトおよび非ヒト部分の両方を含む、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体のような組換え抗体は本発明の範囲内のものである。そのようなキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、例えば、PCT公開番号WO 87/02671;欧州特許出願第184,187号;欧州特許出願第171,496号;欧州特許出願第173,494号;PCT公開番号WO 86/01533;米国特許第4,816,567号;欧州特許出願第125,023号;Better et al.(1988)Science 240:1041−1043;Liu et al.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439−3443;Liu et al.(1987)J.Immunol.139:3521−3526;Sun et al.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214−218;Nishimura et al.(1987)Cancer Res.47:999−1005;Wood et al.(1985)Nature 314:446−449;およびShaw et al.(1988)J.Natl.Cancer Inst.80:1553−1559);Morrison(1985)Science 229:1202−1207;Oi et al.(1986)Bio/Techniques 4:214;米国特許第5,225,539号;Jones et al.(1986)Nature 321:552−525;Verhoeyan et al.(1988)Science 239:1534;およびBeidler et al.(1988)J.Immunol.141:4053−4060に記載された方法を用いて当該分野で公知の組換えDNA技術によって生産することができる。
完全ヒト抗体は、ヒト被験体の治療的処置で特に望ましい。そのような抗体は、内因性免疫グロブリンの重鎖および軽鎖遺伝子を発現することができないが、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを用いて生産することができる。トランスジェニックマウスを選択された抗原、例えば、本発明のマーカーに対応するポリペプチドの全部または一部で通常に免疫化する。抗原に向けられたモノクローナル抗体は、慣用的なハイブリドーマ技術を用いて得ることができる。トランスジェニックマウスによって保有されるヒト免疫グロブリン導入遺伝子はB細胞分化の間に再編成され、引き続いて、クラススイッチングおよび体細胞突然変異を受ける。したがって、そのような技術を用い、治療的に有用なIgG、IgAおよびIgE抗体を生産することができる。ヒト抗体を生産するためのこの技術の概観については、Lonberg and Huszar(1995)Int.Rev.Immunol.13:65−93参照。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を生産するためのこの技術、およびそのような抗体を生産するためのプロトコルの詳細な議論については、例えば、米国特許第5,625,126号;米国特許第5,633,425号;米国特許第5,569,825号;米国特許第5,661,016号;および米国特許第5,545,806号参照。加えて、Abgenix,Inc.(Freemont,CA)のような会社は上記のものと同様な技術を用いて選択された抗原に向けられたヒト抗体を提供するのに専念させることができる。
選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は、「誘導選択(guided selection)」と称される技術を用いて創製することができる。このアプローチにおいて、選択された非ヒトモノクローナル抗体、例えば、ネズミ抗体を用いて、同一エピトープを認識する完全ヒト抗体の選択をガイドする(Jespers et al.,1994,Bio/Technology 12:899−903)。
癌で過剰発現する本発明のマーカー(例えば、表5に記載されたマーカー)に特異的に結合する抗体、抗体誘導体、またはそのフラグメントを用いて、マーカー、例えば、表5に記載されたマーカーの活性を阻害することができ、従って、被験体に投与して、被験体において癌を治療し、阻害し、または予防することができる。さらに、複合抗体を用いて、被験体において癌を治療し、阻害し、または予防することもできる。複合抗体、好ましくはモノクローナル抗体、またはそのフラグメントは、薬物、トキシン、または放射性原子に連結され、癌細胞に直接的にそれらの物質を送達するための送達ビクルとして用いられる抗体である。該抗体、例えば、本発明のマーカー(例えば、表5に列挙されたマーカー)に特異的に結合する抗体を被験体に投与し、マーカーに結合させ、それによって、毒性物質を癌細胞に送達し、身体の他の部分における正常な細胞に対する損傷を最小化させる。
複合抗体は「タグされた」、「標識された」または「負荷された」ともいわれる。化学治療剤が結合した抗体は、一般には、化学標識されたといわれる。放射性粒子が結合した抗体は放射性標識されたといわれ、このタイプの治療はラジオイムノ治療(RIT)として知られている。癌を治療するのに用いる以外に、放射性標識抗体を用いて、身体中に拡大した癌の領域を検出することもできる。トキシンに結合した抗体はイムノトキシンと呼ばれる。
イムノトキシンは、トキシン(例えば、植物または細菌からの毒性物質)をモノクローナル抗体に結合させることによって作成される。イムノトキシンは、モノクローナル抗体を、ジフテリアトキシン(DT)またはプソイドモナルエキソトキシン(PE40)のような細菌トキシン、またはリシンAまたはサポリンのような植物トキシンに結合させることによって生産することができる。
本発明のマーカーに対応するポリペプチドに向けられた抗体(例えば、モノクローナル抗体)を用いて、アフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈澱のような標準的な技術によってポリペプチドを単離することができる。さらに、そのような抗体を用いて、(例えば、細胞溶解物または細胞上清中の)マーカーを検出し、マーカーの発現のレベルおよびパターンを評価することができる。また、抗体を診断で用いて、臨床試験手法の一部として(例えば、卵巣関連体液中の)組織または体液におけるタンパク質レベルをモニターし、例えば、与えられた治療養生法の効力を判断することができる。検出は、抗体を検出可能な物質にカップリングさせることによって容易とすることができる。検出可能な物質の例は種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、ルミネセント物質、バイオルミネセント物質、および放射性物質を含む。適切な酵素の例はホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼを含み;適切な補欠分子族複合体の例はストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオジンを含み;適切な蛍光物質の例はウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネード、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリスリンを含み;ルミネセント物質の例はルミナールを含み;バイオルミネセント物質の例はルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびアクオリンを含み、および適切な放射性物質の例は125I、131I、35SまたはHを含む。
(V.組換え発現ベクターおよび宿主細胞)
本発明の別の局面は、本発明のマーカーに対応するポリペプチド(またはそのようなポリペプチドの部分)をコードする核酸を含有するベクター、好ましくは発現ベクターに関する。本明細書中で使用される場合、用語「ベクター」とは、それが連結している別の核酸を輸送することができる核酸分子をいう。1つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、これはさらなるDNAセグメントを連結することができる環状二本鎖DNAループをいう。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、ここで、さらなるDNAセグメントをウイルスゲノムに連結することができる。ある種のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自律複製できる(例えば、細菌複製起点およびエピソーム哺乳動物ベクターを有する細菌ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入に際して宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それによって、宿主ゲノムに沿って複製される。さらに、ある種のベクター、すなわち発現ベクターは、それらが操作可能に連結された遺伝子の発現を検出することができる。一般に、組換えDNA技術でいうような発現ベクターは、しばしば、プラスミド(ベクター)の形態である。しかしながら、本発明は、同等な機能を奏するウイルスベクター(例えば、複製欠陥レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルス)のような発現ベクターのそのような他の形態を含むことを意図する。
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中での核酸の発現に適した形態である本発明の核酸を含む。これは、組換え発現ベクターが、発現すべき核酸配列に操作可能に連結された、発現で用いるべき宿主細胞に基づいて選択された1以上の調節配列を含む。組換え発現ベクター内では、「操作可能に連結された」は、注目するヌクレオチド配列が、(例えば、インビトロ転写/翻訳システムにおいて、あるいはベクターが宿主細胞に導入される場合は宿主細胞において)ヌクレオチド配列の発現を可能とするように調節配列に連結されることを意味することを意図する。用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。そのような調節配列は、例えば、Goeddel,Methods in Enzymology:Gene Expression Technology vol.185,Academic Press,San Diego,CA(1991)に記載されている。調節配列は、多くのタイプの宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的な発現を指令するもの、およびある種の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の直接の発現を指令するもの(例えば、組織特異的調節配列)を含む。発現ベクターの設計は、形質転換すべき宿主細胞の選択、所望されるタンパク質の発現のレベルなどのような因子に依存し得るのは当業者によって認識されるであろう。本発明の発現ベクターを宿主細胞に導入して、それによって、本明細書中に記載された核酸によってコードされる、融合タンパク質またはペプチドを含めた、タンパク質またはペプチドを生産することができる。
本発明の組換え発現ベクターは、原核生物(例えば、E.coli)または真核生物細胞(例えば、{バキュロウイルス発現ベクターを用いる}昆虫細胞、酵母細胞または哺乳動物細胞)における本発明のマーカーに対応するポリペプチドの発現用に設計することができる。適切な宿主細胞はGoeddel,supraにおいてさらに議論されている。あるいは、組換え発現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを用い、インビトロで転写し、翻訳することができる。
原核生物におけるタンパク質の発現は、融合または非融合タンパク質いずれかの発現を指令する構成的または誘導性プロモーターを含有するベクターにてE.coliで最もしばしば行われる。融合ベクターは多数のアミノ酸をその中でコードされるタンパク質に、通常、組換えタンパク質のアミノ末端に加える。そのような融合ベクターは、典型的には、3つの目的;1)組換えタンパク質の発現を増加させること;2)組換えタンパク質の溶解性を増加させること;および3)アフィニティー精製においてリガンドとして作用することによって組換えタンパク質の精製を助けること;を果たす。しばしば、融合発現ベクターにおいては、タンパク質分解部位を融合部位の接合点に導入し、組換えタンパク質は融合タンパク質の精製に続いて融合部位から組換えタンパク質の分離を可能とする。そのような酵素、およびそれらの同族認識配列はXa因子、トロンビンおよびエンテルキナーゼを含む。典型的な融合発現ベクターは、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAを、おのおの、標的組換えタンパク質に融合させる、pGEX(Pharmacia Biotech Inc;Smith and Johnson,1988 Gene 67:31−40)、pMAL(New England Biolabs,Beverly,MA)、およびpRIT5(Pharmacia,Piscataway,NJ)を含む。
適切な誘導性非融合E.coli発現ベクターの例はpTrc(Amann et al.,1988,Gene 69:301−315)およびpET 11d(Studier et al.,p.60−89,In Gene Expression Technology: Medhods in Enzymology vol.185,Academic Press,San Diego,CA,1991)を含む。pTrcベクターからの標的遺伝子発現は、ハイブリットtrp−lac融合プロモーターからの宿主RNAポリメラーゼ転写に依拠する。pET 11dベクターからの標的遺伝子発現は、共発現されたウイルスRNAポリメラーゼによって媒介されるT7 gn10−lac融合プロモーター(T7 gn1)からの転写に依拠する。このウイルスポリメラーゼは、lacUV 5プロモーターの転写制御下で、T7 gn1遺伝子を保有する定住プロファージから宿主株BL21(DE3)またはHMS174(DE3)によって供給される。
E.coliにおける組換えタンパク質発現を最小化するための1つの戦略は、組換えタンパク質をタンパク質分解切断する損なわれた能力を持つ宿主細菌において該タンパク質を発現させることである(Gottesman,p.119−128,In Gene Expression Technology: Methods in Enzymology vol.185,Academic Press,San Diego,CA,1990)。別の戦略は、各アミノ酸についての個々のコドンがE.coliにおいて優先的に利用されるように、発現ベクターに挿入されるべき核酸の核酸配列を改変することである(Wada et al.,1992,Nucleic Achids Res.20:2111−2118)。本発明の核酸配列のそのような改変は、標準的なDNA合成技術によって行うことができる。
別の実施形態において、発現ベクターは酵母発現ベクターである。酵母S. cerevisiaeにおける発現のためのベクターの例はpYepSec1(Baldari et al.,1987,EMBO J.6:229−234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz,1982,Cell 30:933−943)、pJRY88(Schultz et al.,1987,Gene 54:113−123)、pYES2(Invitlogen Corporation,San Diego,CA)、およびpPicZ(Invitlogen Corporation,San Diego,CA)を含む。
あるいは、発現ベクターはバキュロウイルス発現ベクターである。培養された昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)におけるタンパク質の発現で利用できるバキュロウイルスベクターはpAcシリーズ(Smith et al.,1983,Mol.Cell Biol.3:2156−2165)およびpVLシリーズ(Lucklow and Summers,1989,Virology 170:31−39)を含む。
なお別の実施形態において、本発明の核酸は、哺乳動物発現ベクターを用いて哺乳動物細胞で発現される。哺乳動物発現ベクターの例はpCDM8(Seed,1987,Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufman et al.,1987,EMBO J.6:187−195)を含む。哺乳動物細胞で用いる場合、発現ベクターの制御機能は、しばしば、ウイルス調節エレメントによって提供される。例えば、通常使用されるプロモーターはポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40に由来する。原核生物および真核生物細胞両方についての他の適切な発現系に関しては、Sambrook et al.,supraの16および17章参照。
別の実施形態において、組換え哺乳動物発現ベクターは、特別な細胞型において優先的に核酸の発現を指令することができる(例えば、組織特異的調節エレメントを用いて、核酸を発現させる)。組織特異的調節エレメントは当該分野で知られている。適切な組織特異的プロモーターの非限定的例はアルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkert et al.,1987,Genes Dev.1:268−277)、リンパ系特異的プロモーター(Calame and Eaton,1988,Adv.Immunol.43:235−275)、特にT細胞レセプターのプロモーター(Winoto and Baltimole,1989,EMBO J.8:729−733)および免疫グロブリン(Banerji et al.,1983,Cell 33:729−240;Queen and Baltimore,1983,Cell 33:741−748)、ニューロン特異的プロモーター(例えば、ニューロフィラメントプロモーター;Byrne and Ruddle,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA86:5473−5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlund et al.,1985,Science 230:912−916)、および乳腺特異的プロモーター(例えば、ミルクホエイプロモーター;米国特許第4,873,316号および欧州特許出願番号264,166)を含む。発生的に調節されるプロモーター、例えば、ネズミhoxプロモーター(Kessel and Gruss,1990,Science 249:374−379)およびα−フェトプロテインプロモーター(Camper and Tilghman,1989,Genes Dev.3:537−546)も含まれる。
本発明は、さらに、アンチセンス向きに発現ベクターにクローン化された本発明のDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。すなわち、DNA分子を、本発明のポリペプチドをコードするmRNAに対してアンチセンスであるRNA分子の(DNA分子の転写による)発現を可能とするように、調節配列に操作可能に連結される。種々の細胞型におけるアンチセンスRNA分子の連続的発現を指令する、アンチセンス向きにクローン化された核酸に操作可能に連結された調節配列、例えば、ウイルスプロモーターおよび/またはエンハンサーを選択することができ、あるいはアンチセンスRNAの構成的な組織特異的または細胞型特異的発現を指令する調節配列を選択することができる。アンチセンス発現ベクターは、組換えプラスミド、ファゲミド、あるいはその活性がベクターが導入された細胞型によって決定することができる、高効率調節領域の制御下でアンチセンス核酸が生産される減弱ウイルスの形態とすることができる。アンチセンス遺伝子を用いる遺伝子発現の調節の理論については、Weintraub et al.,1986,Trends in Genetics,Vol.1(1)参照。
本発明の別の局面は、本発明の組換え発現ベクターが導入されている宿主細胞に関する。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は本明細書中において相互交換的に用いられる。そのような用語は特定の被験体細胞のみならず、そのような細胞の子孫または潜在的子孫をもいうことは理解される。ある種の修飾が突然変異または環境の影響のいずれかのため後の世代で起こり得るので、そのような子孫は、事実、親細胞と同一ではないが、依然として本明細書中で用いられる用語の範囲内に含まれる。
宿主細胞はいずれかの原核生物(例えば、E.coli)または真核生物細胞(例えば、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞)であり得る。
ベクターDNAは、慣用的な形質転換またはトランスフェクション技術を介して原核生物または真核生物細胞に導入することができる。本明細書中で使用される場合、用語「形質転換」および「トランスフェクション」は、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーションを含めた、外来性核酸を宿主細胞に導入するための種々の当該分野で認められた技術をいう。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするための適切な方法はSambrook,et al.(supra)、および他の実験室マニュアルに見出すことができる。
哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションのためには、用いる発現ベクターおよびトランスフェクション技術に依存して、小さな割合の細胞のみが外来性DNAをそれらのゲノムに組み込むことができることが知られている。これらの組込体を同定し、選択するためには、(例えば、抗生物質に対する耐性のための)選択マーカーをコードする遺伝子が、一般的には、注目する遺伝子と共に宿主細胞に導入される。好ましい選択マーカーは、G418、ヒグロマイシンおよびメトトレキセートのような薬物に対する耐性を付与するものを含む。導入された核酸で安定にトランスフェクトされた細胞は、薬物選択によって同定することができる(例えば、選択マーカー遺伝子が組み込まれた細胞は生存し、他方、他の細胞は死滅する)。
培養中の原核生物または真核生物宿主細胞のような本発明の宿主細胞を用いて、本発明のマーカーに対応するポリペプチドを生産することができる。従って、本発明は、さらに、本発明の宿主細胞を用いて本発明のマーカーに対応するポリペプチドを生産する方法を提供する。一実施形態において、該方法は、該マーカーが生産されるように、適切な培地中にて、(本発明のポリペプチドをコードする組換え発現ベクターが導入されている)本発明の宿主細胞を培養することを含む。別の実施形態において、該方法は、さらに、培地または宿主細胞からマーカーポリペプチドを単離することを含む。
本発明の宿主細胞を用いて、非ヒトトランスジェニック動物を生産することもできる。例えば、一実施形態において、本発明の宿主細胞は、本発明のマーカーに対応するポリペプチドをコードする配列が導入されている受精卵母細胞または胚幹細胞である。次いで、そのような宿主細胞を用いて、本発明のマーカータンパク質をコードする外因性配列がそのゲノムに導入されている非ヒトトランスジェニック動物、または本発明のマーカーに対応するポリペプチドをコードする内因性遺伝子が改変されている相同組換え動物を作り出すことができる。そのような動物は、マーカーに対応するポリペプチドの機能および/または活性を調べるのに、ポリペプチド活性のモジュレータを同定し、および/または評価するのに、ならびに治療または診断分子の前臨床試験において、マーカーの発見または評価、例えば、治療的および診断的マーカー発見または評価で、または薬物の効力および特異性の代用物として有用である。
本明細書中で用いるように「トランスジェニック動物」は、該動物の細胞の1以上が導入遺伝子を含む非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはラットまたはマウスのようなげっ歯類である。トランスジェニック動物の他の例は非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類などを含む。導入遺伝子は、それからトランスジェニック動物が発生した細胞のゲノムに組み込まれ、成熟動物のゲノムに依然として存在し、それによって、トランスジェニック動物の1以上の細胞型または組織におけるコードされる遺伝子産物の発現を指令する外来性DNAである。本明細書中で使用される場合、「相同組換え動物」は、動物の発生に先立って、内因性遺伝子が、該内因性遺伝子、および動物の細胞、例えば、動物の胚細胞へ導入された外来性DNA分子の間の相同組換えによって改変された非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウスである。トランスジェニック動物は、例えば、Chan I.T.,et al.(2004)J Clin Invest. 113(4):528−38およびChin L.et al.(1999)Nature 400(6743):468−72に記載されたもののような誘導性トランスジェニック動物も含む。
本発明のトランスジェニック動物は、例えば、マイクロインジェクション、レトロウイルス感染によって本発明のマーカーに対応するポリペプチドをコードする核酸を受精した卵母細胞の雄前核に導入し、次いで、卵母細胞を偽妊娠雌借腹動物で発生させることによって創製することができる。イントロン配列およびポリアデニル化シグナルを導入遺伝子に含めて、導入遺伝子の発現の効率を増加させることもできる。組織特異的調節配列を導入遺伝子に操作可能に連結して、本発明のポリペプチドの発現を特定の細胞に指令することができる。胚操作およびマイクロインジェクションを介してトランスジェニック動物、特にマウスのような動物を創製する方法は当該分野において慣用的になっており、それは、例えば、米国特許第4,736,866号および第4,870,009号、米国特許第4,873,191号において、およびHogan,Manipulating the Mouse Embryo,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1986に記載されている。同様の方法を、他のトランスジェニック動物の生産で用いる。トランスジェニック創始動物は、そのゲノムにおける導入遺伝子の存在および/または該動物の組織または細胞における導入遺伝子をコードするmRNAの発現に基づいて同定することができる。次いで、トランスジェニック創始動物を用いて、導入遺伝子を運ぶさらなる動物を育種することができる。導入遺伝子を運ぶトランスジェニック動物をさらに育種して、他の導入遺伝子を運ぶ他のトランスジェニック動物とすることができる。
相同組換え動物を創製するためには、その中へ欠失、付加または置換が導入されて、それによって、遺伝子を改変し、例えば、機能的に破壊した、本発明のマーカーに対応するポリペプチドをコードする遺伝子の少なくとも一部を含有するベクターを調製する。好ましい実施形態において、ベクターは、相同組換えに際して、内因性遺伝子が機能的に破壊される(すなわち、もはや機能的タンパク質をコードしない;「ノックアウト」ベクターともいわれる)ように設計される。あるいは、ベクターは、相同組換えに際して、内因性遺伝子が突然変異するか、またはそうでなければ改変されるが、依然として機能的タンパク質をコードするように設計することができる(例えば、上流調節領域を改変して、それによって、内因性タンパク質の発現を改変することができる)。相同組換えベクターにおいて、遺伝子の改変された部分には、遺伝子のさらなる核酸がその5’および3’末端に近接して、相同組換えが、ベクターによって運ばれた外因性遺伝子および胚幹細胞における内因性遺伝子の間でおこるようにする。さらなる近接核酸配列は、内因性遺伝子との成功した相同組換えに十分な長さのものである。典型的には、(5’および3’両方の末端における)数キロベースの近接DNAをベクターに含ませる(例えば、相同組換えベクターの記載についてはThomas and Capecchi,1987,Cell 51:503を参照)。ベクターは(例えば、エレクトロポレーションによって)胚幹細胞株に導入され、導入された遺伝子が内因性遺伝子と相同組換えされた細胞を選択する(例えば、Li et al.,1992,Cell 69:915参照)。次いで、選択された細胞を動物(例えば、マウス)の胚盤胞に注入して、凝集キメラを形成する(例えば、Bradley,Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells: A Practical Approach,Robertson,Ed.,IRL,Oxford,1987,pp.113−152参照)。次いで、キメラ胚を適切な偽妊娠雌借腹動物に移植し、胚を出産まで持っていくことができる。その生殖細胞に相同組換えDNAを保有する子孫を用いて、当該動物の全ての細胞が導入遺伝子の生殖系伝達によって相同組換えDNAを含有する動物を育種することができる。相同組換えベクターおよび相同組換え動物を構築するための方法は、さらに、Bradley(1991)Current Opinion in Bio/Technology 2:823−829およびPCT出願番号WO 90/11354、WO 91/01140、WO 92/0968、およびWO 93/04169に記載されている。
別の実施形態において、導入遺伝子の調節された発現を可能とする選択された系を含有するトランスジェニック非ヒト動物を生産することができる。そのような系の1つの例はバクテリオファージP1のcre/loxPレコンビナーゼ系である。cre/loxPレコンビナーゼ系の記載については、例えば、Lakso et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6232−6236参照。レコンビナーゼ系の別の例はSaccharomyces cerevisiaeのFLPレコンビナーゼ系である(O’Gorman et al.,1991,Science 251:1351−1355)。もしcre/loxPレコンビナーゼ系を用いて、導入遺伝子の発現を調節すれば、Creレコンビナーゼおよび選択されたタンパク質両方をコードする導入遺伝子を含有する動物が必要とされる。そのような動物は、例えば、一方は選択されたタンパク質をコードする導入遺伝子を含有し、他方はレコンビナーゼをコードする導入遺伝子を含有する2匹のトランスジェニック動物を交配させることによって、「二重」トランスジェニック動物の構築を介して提供することができる。
本明細書中に記載された非ヒトトランスジェニック動物のクローンは、Wilmut et al.(1997)Nature 385:810−813およびPCT公開番号WO 97/07668およびWO 97/07669に記載された方法に従って生産することもできる。
(VI.処置の方法)
本発明は、癌、例えば、膵臓癌を有する、またはその危険性がある(またはそれに罹りやすい)被験体、例えば、ヒトを治療するための予防的および治療的方法の両方を提供する。本明細書中で使用される場合、被験体の「治療」は、病気または障害、病気または障害の兆候、あるいは病気または障害の危険性(またはそれに対する罹患性)を治癒する、阻害する、治す、緩和する、軽減する、改変する、改善する、救治し、改良し、または影響させる目的で、病気または障害を有する、病気または障害の兆候を有する、あるいは病気または障害の危険性がある(またはそれにかかりやすい)、被験体への治療剤の適用または投与、あるいは被験体の細胞または組織への治療剤の適用または投与を含む。本明細書中で使用される場合、「治療剤」または「化合物」は、限定されるものではないが、低分子、ペプチド、ペプチド模倣物、ポリペプチド、RNA干渉因子、例えば、siRNA分子、抗体、リボザイム、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。
本明細書中に記載されるように、被験体における癌は、表5に列挙された1以上のマーカー(例えば、癌において増大することが示されたマーカー)の変化、例えば、量および/または活性の増加または構造の変化、および/または表4に列挙された1以上のマーカー(例えば、癌において減少することが示されたマーカー)の量および/または活性の減少、または構造の変化に関連付けられる。上記のように、量、構造、および/または活性におけるこれらの変化のいくつかは癌の発生に由来し得るが、これらの変化の他のものは癌細胞の癌状態を誘導し、維持し、および促進する。したがって、表5に列挙された1以上のマーカー(例えば、癌において増加することが示されているマーカー)の、量および/または活性の増加、または構造の変化によって特徴付けられる癌は、それらのマーカーの量、例えば、発現またはタンパク質レベル、および/または活性を阻害することによって阻害することができる。同様に、表4に列挙された1以上のマーカー(例えば、癌において減少することが示されているマーカー)の、量および/または活性の増加、または構造の変化によって特徴付けられる癌は、それらのマーカーの量、例えば、発現またはタンパク質レベル、および/または活性を増強することによって阻害することができる。
従って、本発明の別の局面は癌に罹っている被験体を治療する方法に関する。これらの方法は、本発明の1以上のマーカーの量および/または活性を調節する化合物を被験体に投与することを含む。例えば、癌の処置または予防方法は、表5に列挙された1以上のマーカー(例えば、癌において増加することが示されているマーカー)の量および/または活性を減少させる化合物を被験体に投与することを含む。表5に列挙されたマーカーの量および/または活性を阻害して、それによって、癌を治療または予防するのに用いることができる化合物、例えば、アンタゴネストは抗体(例えば、複合抗体)、低分子、RNA干渉因子、例えば、siRNA分子、リボザイム、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。一実施形態において、治療で用いる抗体はトキシン、化学治療剤、または放射性粒子に結合される。
癌の処置または予防の方法は、表4に列挙された1以上のマーカー(例えば、癌で減少することが示されたマーカー)の量および/または活性を増加させる化合物を被験体に投与することを含む。表4に列挙されたマーカーの発現または活性を増加させて、それによって、癌を治療または予防するのに用いることができる化合物、例えば、アゴニストは低分子、ペプチド、ペプトイド、ペプチドミメティクス、およびポリペプチドを含む。
本発明の方法で用いる低分子は、タンパク質−タンパク質相互作用を阻害し、それによって、マーカーの量および/または活性を増加または減少させるものを含む。さらに、サイレンスド遺伝子、例えば、腫瘍サプレッサーの再発現を引き起こすモジュレータ、例えば、低分子もここに含まれる。例えば、そのような分子は、DNA結合またはメチルトランスフェラーゼ活性と干渉する化合物を含む。
アプタマーを用いて、本発明のマーカーの発現または活性を調節し、例えば、増加または抑制して、それによって、癌を治療、予防または阻害するのに用いることもできる。アプタマーは、他の分子に結合するその能力に基づいてランダムなプールから選択されたDNAまたはRNA分子である。核酸またはタンパク質を結合するアプタマーを選択することができる。
(VII.スクリーニングアッセイ)
本発明はまた、(a)マーカーに結合し、または(b)マーカーの活性に対して調節(例えば、刺激性または阻害性)効果を有する、あるいはより具体的には、(c)その基質(例えば、ペプチド、タンパク質、ホルモン、補因子、または核酸)の1以上とマーカーとの相互作用に対して調節効果を有し、または(d)マーカーの発現に対して調節効果を有するモジュレータ、すなわち、候補または試験化合物または剤(例えば、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣物、ペプトイド、低分子または他の薬物)を同定するための(本明細書中においては、「スクリーニングアッセイ」ともいう)方法を提供する。そのようなアッセイは、典型的には、マーカーおよび1以上のアッセイ成分の間の反応を含む。他の成分は試験化合物それ自体、あるいは試験化合物とマーカーの天然結合パートナーとの組合せのいずれかであり得る。本明細書中に記載されたもののようなアッセイを介して同定された化合物は、例えば、癌を調節し、例えば、阻害し、緩和し、治療し、または予防するのに有用である。
本発明の試験化合物は、天然および/または合成化合物の系統的ライブラリーを含めて、いずれかの入手源から得ることができる。試験化合物は:生物学的ライブラリー;ペプトイドライブラリー(ペプチドの機能を有するが、酵素分解に対して抵抗性である新規な非ペプチド骨格を持ち、それにもかかわらず、生物活性を依然として有する分子のライブラリー;例えば、Zuckermann et al.,1994,J.Med.Chem.37:2678−85);空間的にアドレス可能な平行固相または液相ライブラリー;デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー方法;「1−ビーズ1−化合物」ライブラリー方法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー方法を含めた、当該分野で知られたコンビナトーリアルライブラリー方法における多数のアプローチのいずれかによって得ることもできる。生物学的ライブラリーおよびペプトイドライブラリーアプローチはペプチドライブラリーに限定されるが、他方、他の4つのアプローチはペプチド、非ペプチドオリゴマ、または化合物の低分子ライブラリーに適用できる(Lam,1997,Anticancer Drug Des.12:145)。
分子ライブラリーの合成のための方法の例は、例えば、DeWitt et al.,(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 90:6909;Erb et al.,(1994)Proc Natl.Acad.Sci.USA 91:11422;Zuckerman et al.,(1994)J.Med.Chem.37:2678;Cho et al.,(1993)Science 261:1303;Carrell et al.,(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2059;Carell et al.(1994)Angew.Chem.Int.Dd.Engl.33:2061;およびGallop et al.(1994)J.Med.Chem.37:1233において、当該分野で見出すことができる。
化合物のライブラリーは溶液中(例えば、Houghten,1992,Biotechniques 13:412−421)、またはビーズ上(Lam,1991,Nature 354:82−84)、チップ上(Fodor,1993,Nature 364:555−556)、細菌および/または胞子上(Ladner,USP 5,223,409)、プラスミド上(Cull et al.,1992、Proc Natl.Acad.Sci.USA 89:1865−1869)またはファージ上(Scott and Smith,1990,Science 249:386−390;Devlin,1990,Science 249:404−406;Cwirla et al.,1990,Proc.Natl.Acad.Sci. 87:6378−6382;Felici,1991,J.Mol.Biol.222:301−310;Ladner,supra)で提示することができる。
一実施形態において、本発明は、マーカーまたはその生物学的に活性な部分の基質である候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。別の実施形態において、本発明は、マーカーまたはその生物学的に活性な部分に結合する候補または試験化合物をスクリーニングするアッセイを提供する。マーカーに直接的に結合する試験化合物の能力の測定は、例えば、マーカーへの化合物の結合が複合体における標識されたマーカー化合物を検出することによって測定できるように、化合物を放射性同位体または酵素標識でカップリングすることによって達成することができる。例えば、化合物(例えば、マーカー基質)は、125I、35S、14C、またはHで直接的にまたは間接的に標識することができ、放射性同位体は放射性照射の直接的カウンティングによって、あるいはシンチレーションカウンティングによって検出することができる。あるいは、アッセイ成分は、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼまたはルシフェラーゼで酵素的に標識することができ、酵素標識は適切な基質の産物への変換の測定によって検出することができる。
別の実施形態において、本発明は、マーカーまたはその生物学的に活性な部分の活性を調節する候補または試験化合物をスクリーニングするアッセイを提供する。全ての尤度において、マーカーは、限定されるものではないが、ペプチド、タンパク質、ホルモン、補因子および核酸のような1以上の分子とインビボで相互作用することができる。この議論の目的では、そのような細胞および細胞外分子は、本明細書中においては、「結合パートナー」またはマーカー「基質」という。
そのようなスクリーニングを容易とするための本発明の1つの必要な実施形態は、その天然のインビボ結合パートナーを同定するためのマーカーの使用である。当業者に公知であるこの方法を達成するのには多くの方法がある。1つの例は、マーカー(結合パートナー)に結合し、またはそれと相互作用し、従って、恐らくはマーカーの天然機能に関与する他のタンパク質を同定するための、ツーハイブリッドアッセイまたは3−ハイブリッドアッセイにおける「エサタンパク質(bait protein)」としてのマーカータンパク質の使用である(例えば、米国特許第5,283,317号;Zervos et al.,1993,Cell 72:223−232;Mazura et al.,1993,J.Boil.Chem.268:12046−12054;Bartel et al.,1993,Biotechniques 14:920−924;Iwabuchi et al.,1993 Oncogene 8:1693−1696;Brent WO94/10300参照)。そのようなマーカー結合パートナーは、マーカー、あるいはマーカー媒介性シグナル伝達経路の下流エレメントによるシグナルの伝播にやはり関与するらしい。あるいは、そのようなマーカー結合パートナーもまたマーカーの阻害剤であることが判明し得る。
ツーハイブリッド系は、分離可能なDNA−結合および活性化ドメインよりなるほとんどの転写因子のモジュラー性質に基づく。簡単に述べれば、アッセイは2つの異なるDNA構築体を利用する。1つの構築体において、マーカータンパク質をコードする遺伝子は、公知の転写因子(例えば、GAL−4)のDNA結合ドメインをコードする遺伝子に融合している。他の構築体において、同定されていないタンパク質(「プレイ」または「サンプル」)をコードする、DNA配列のライブラリーからの、DNA配列は公知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に融合している。「エサ」および「プレイ」タンパク質は相互作用でき、インビボにてマーカー依存性複合体を形成し、転写因子のDNA−結合および活性化ドメインは近接される。この近接は、転写因子に対して応答性である転写調節部位に操作可能に連結したレポーター遺伝子(例えば、LacZ)の転写を可能とする。レポーター遺伝子の発現は容易に検出することができ、機能的転写因子を含有する細胞コロニーを単離し、それを用いて、マーカータンパク質と相互作用するタンパク質をコードするクローン化された遺伝子を得ることができる。
さらなる実施形態において、アッセイは、マーカーおよびその基質および/または結合パートナーの間の相互作用を調節する(例えば、正にまたは負に影響する)化合物を同定する目的での本発明の使用を介して工夫することができる。そのような化合物は、限定されるものではないが、抗体、ペプチド、ホルモン、オリゴヌクレオチド、核酸およびそのアナログのような分子を含むことができる。そのような化合物は、天然および/または合成化合物の系統的なライブラリーを含めた、いずれかの入手可能な源から得ることもできる。この実施形態で用いられる好ましいアッセイ成分は癌、ここに同定されたマーカー、その公知の結合パートナーおよび/または基質、および試験化合物である。試験化合物はいずれかの源から供給することができる。
マーカーおよびその結合パートナーの間の相互作用に干渉する化合物を同定するのに用いられるアッセイ系の基本的な原理は、2つの産物が相互作用し結合し、したがって、複合体を形成するのを可能とするための条件下にて、かつそれに十分な時間の間で、マーカーおよびその結合パートナーを含有する反応混合物を調製することを含む。阻害活性について剤を試験するためには、試験化合物の存在下および非存在下で反応混合物を調製する。試験化合物は反応混合物に最初に含めることができ、あるいはマーカーおよびその結合パートナーの付加に引き続いた時点に加えることができる。コントロール反応混合物を、試験化合物無くして、またはプラセボと共にインキュベートする。マーカーおよびその結合パートナーの間のいずれの複合体の形成の対で検出される。試験化合物を含有する反応混合物における少ない形成、または形成のないことはそうではないが、コントロール反応における複合体の形成は、化合物はマーカーおよびその結合パートナーの相互作用に干渉することを示す。逆に、コントロール反応におけるよりも化合物の存在下におけるより多くの複合体の形成は、化合物がマーカーおよびその結合パートナーの相互作用を増強できることを示す。マーカーのその結合パートナーとの相互作用に干渉する化合物についてのアッセイは、不均一または均一様式で行うことができる。不均一アッセイは、マーカーまたはその結合パートナーいずれかを固相に係留し、次いで、反応の最後に固相に係留された複合体を検出することを含む。均一アッセイにおいては、全反応を液相で行う。いずれのアプローチにおいても、反応体の添加の順序は、試験すべき化合物についての異なる情報を得るために変化させることができる。例えば、(例えば、競合によって)マーカーおよび結合パートナーの間の相互作用に干渉する試験化合物は、試験物質の存在下で反応を行うことによって、すなわち、マーカーおよびその相互作用結合パートナーに先立って、またはそれと同時に試験物質を反応混合物に添加することによって同定することができる。あるいは、予め形成された複合体を破壊する試験化合物、例えば、複合体からの成分の1つを置き換えるより高い結合定数を持つ化合物は、複合体が形成された後に試験化合物を反応混合物に加えることによって試験することができる。種々の様式を以下に簡単に記載する。
不均一アッセイ系においては、マーカーまたはその結合パートナーいずれかを固体表面またはマトリックスに係留させ、他方、他の対応する非係留成分を直接的にまたは間接的に標識することができる。現実的には、マイクロタイタープレートはしばしばこのアプローチで利用される。係留された種は、典型的には、実施者によく知られた多数の方法によって、非共有結合的に、または共有結合的に、固定化することができる。非共有結合は、しばしば、単に、固体表面をマーカーまたはその結合パートナーの溶液でコーティングし、乾燥することによって、達成することができる。あるいは、係留すべきアッセイ成分に対して特異的な固定化抗体をこの目的で用いることができる。そのような表面は、しばしば、予め調製し、保存することができる。
関連する実施形態において、アッセイ成分の一方または両方がマトリックスに係留するのを可能とするドメインを加える融合タンパク質を提供することができる。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/マーカー融合タンパク質またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/結合パートナーをグルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical St.Louis. MO)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレートに吸着させることができ、次いで、これを試験化合物、または試験化合物および非吸着マーカーまたはその結合パートナーいずれかと組み合せ、混合物を、複合体の形成を行う条件(例えば、生理学的条件)下でインキュベートする。インキュベーションの後、ビーズまたはマイクロタイタープレートウェルを洗浄して、いずれの未結合アッセイ成分を除去し、例えば、上記のように、固定化された複合体を直接的にまたは間接的に評価する。あるいは、複合体をマトリックスから解離し、マーカーの結合または活性のレベルを標準的な技術を用いて測定することができる。
タンパク質をマトリックスに固定化するための他の技術を、本発明のスクリーニングアッセイで用いることもできる。例えば、ビオチンおよびストレプトアビジンのコンジュゲーションを利用し、マーカーまたはマーカー結合パートナーを固定化することができる。ビオチニル化マーカータンパク質または標的分子は、当該分野で知られた技術(例えば、ビオチニル化キット、Pierce Chemicals,Rockford,IL)を用いてビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から調製することができ、ストレプトアビジン−被覆96ウェルプレート(Pierce Chemical)のウェル中に固定化することができる。ある実施形態において、タンパク質−固定化表面を予め調製し、貯蔵することができる。
アッセイを行うためには、固定化されたアッセイ成分の対応するパートナーを試験化合物と共にまたはそれ無くして被覆された表面に暴露する。反応が完了した後、未反応のアッセイ成分を(例えば、洗浄することによって)除去し、形成されたいずれの複合体も固体表面に固定化されたままである。固体表面に係留された複合体の検出は、多数の方法で達成することができる。固定化されていない成分を予め標識する場合、表面に固定化された標識の検出は、複合体が形成されたことを示す。固定化されていない成分が予め標識されていない場合、例えば、最初に固定化されていない種に対して特異的な標識された抗体を用い、間接的な標識を用いて、表面に係留された複合体を検出することができる(該抗体は、今度は、例えば、標識された抗Ig抗体で直接的に標識することができるか、あるいは間接的に標識することができる)。反応成分の添加の順番に応じて、複合体形成を調節する(阻害するまたは増強する)。あるいは予め形成された複合体を破壊する試験化合物を検出することができる。
本発明の代替的な実施形態において、均一アッセイを用いることができる。これは、典型的には、試験化合物の存在下または非存在下にて液相で行われる、上記のものと同様な反応である。次いで、形成された複合体を未反応成分から分離し、形成された複合体の量を測定する。不均一アッセイ系について述べたように、反応体の液相への添加の順序は、試験化合物が複合体の形成を調節し(阻害し、または増強する)、および予め形成された複合体を破壊することについての情報を得ることができる。
そのような均一アッセイにおいて、限定されるものではないが、遠心分離、クロマトグラフィー、電気泳動および免疫沈澱を含めた多数の標準的な技術のいずれかによって、反応生成物を未反応アッセイ成分から分離することができる。遠心分離において、それらの異なるサイズおよび密度に基づく複合体の異なる沈降平衡による一連の遠心工程を通じて分子の複合体を複合体化していない分子から分離することができる(例えば、Rivas.G.and Minton.A.P.Trends Biochem.Sci.1993.Aug;18(8):284−7参照)。標準的なクロマトグラフィー技術を利用して、複合体化した分子を複合体化していない分子から分離することもできる。例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーはサイズに基づいて、およびカラム様式における適切なゲル濾過樹脂の利用を介して分子を分離し、例えば、比較的より大きな複合体は比較的より小さな複合体化していない成分から分離することができる。同様に、複合体化していない分子と比較して複合体の比較的異なる電荷特性を利用して、例えば、イオン−交換クロマトグラフィー樹脂の使用を介して残存する個々の反応体から複合体を別々に分離することができる。そのような樹脂およびクロマトグラフィー技術は当業者に良く知られている(例えば、Heegaard,1998. J Mol.Recognit. 11: 141−148;Hage and Tweed,1997,J. Chromatogr. B. Biomed. Sci. Appl.,699: 499−525参照)。ゲル電気泳動を使用して、複合体化した分子を未結合種から分離することもできる(例えば、Ausubel et al.(eds.), In: Current Protocols in Molecular Biology,. Wiley&Sons,New York.1999参照)。この技術においては、例えば、タンパク質または核酸複合体はサイズまたは電荷に基づいて分離する。電気泳動プロセスの間に結合相互作用を維持するには、還元剤の非存在下における非変性ゲルが典型的には好ましいが、特定の相互作用に適した条件は当業者によく知られているであろう。免疫沈澱は、溶液からのタンパク質−タンパク質複合体の単離で利用される別の普通の技術である(例えば、Ausubel et al.(eds.),In: Current Protocols in Molecular Biology,.Wiley&Sons,New York.1999参照)。この技術においては、結合分子の1つに対して特異的な抗体への全てのタンパク質の結合は、遠心によって容易に収集できるポリマービーズに抗体を結合することによって、溶液から沈殿させる。結合したアッセイ成分は(複合体におけるタンパク質−タンパク質相互作用を乱さない当該分野で良く知られた特定のタンパク質事象または他の技術を介して)ビーズから放出され、今度は、対応して異なる相互作用アッセイ成分に特異的な抗体を利用して、第2の免疫沈澱工程を行う。このようにして、形成された複合体のみがビーズに結合したままである。試験化合物の存在下および非存在下両方における複合体形成での変動を比較し、したがって、マーカーおよびその結合パートナーの間の相互作用を調節する化合物の能力についての情報を提供することができる。
また、さらなるサンプル操作なくしての均一または不均一アッセイ系におけるマーカーおよびその天然結合パートナーおよび/または試験化合物の間の相互作用の直接的検出方法もまた本発明の範囲内のものである。例えば、蛍光エネルギー移動の技術を利用することができる(例えば、Lakowicz et al.米国特許第5,631,169号;Stavrianopoulos et al.,米国特許第4,868,103号参照)。一般に、この技術は、その放出された蛍光エネルギーが、今度は、吸収されたエネルギーのため、蛍光を発することができる第2の「アクセプター」分子(例えば、マーカーまたは試験化合物)上の蛍光標識によって、吸収される量に、第1の「ドナー」分子(例えば、マーカーまたは試験化合物)へのフルオロフォア標識の添加を含む。あるいは、「ドナー」タンパク質分子は、トリプトファン残基の天然蛍光エネルギーを単に利用することができる。「アクセプター」分子標識が「ドナー」のそれと識別できるように、異なる波長の光を発する標識を選択する。標識の間のエネルギー移動の効率は分子を隔てる距離に関連するので、分子の間の空間的関係を評価することができる。結合が分子の間で起こる状況下で、アッセイにおける「アクセプター」分子標識の蛍光発光は最大となるべきである。FET結合事象は、便宜には、(例えば、フルオリメーターを用いて)当該分野で良く知られた標準的なフルオロメトリー検出手段を介して、測定することができる。予め、形成された複合体における種の1つの沈殿を増強し、または妨げる試験物質の結果、バックグラウンドのそれとは変化したシグナルが生じる。このようにして、マーカーおよびその結合パートナーの間の相互作用を調節する試験物質を制御されたアッセイにおいて同定することができる。
別の実施形態において、マーカー発現のモジュレータが、細胞を候補化合物と接触させ、細胞中のマーカーに対応するmRNAまたはタンパク質を測定する方法で同定される。候補化合物の存在下におけるmRNAまたはタンパク質の発現のレベルを、候補化合物の非存在下におけるmRNAまたはタンパク質の発現のレベルと比較する。次いで、候補化合物を、この比較に基づいてマーカー発現のモジュレータとして、同定することができる。例えば、その非存在下におけるよりも、候補化合物の存在下において、マーカーmRNAまたはタンパク質の発現がより大きい(統計学的に有意により大きい)場合、候補化合物はマーカーmRNAまたはタンパク質発現スティミュレーターとして同定される。逆に、その不存在におけるよりも候補化合物の存在下において、マーカーmRNAまたはタンパク質の発現が低い(統計学的に有意に低い)場合、候補化合物はマーカーmRNAまたはタンパク質の発現の阻害剤として同定される。細胞におけるマーカーmRNAまたはタンパク質発現のレベルは、マーカーmRNAまたはタンパク質を検出するための本明細書中に記載された方法によって測定することができる。
別の局面において、本発明は本明細書中に記載された2以上のアッセイの組合せに関する。例えば、調節剤は、細胞ベースのまたは無細胞アッセイを用いて同定することができ、マーカータンパク質の活性を調節する剤の能力は、例えば、癌、細胞形質転換および/または腫瘍形成についての全動物モデルにおいて、インビボでさらに確認することができる。膵臓癌についての動物モデルは、その内容をここに引用して明示的に援用する、例えば、Aguirre A. et al.(2003)Gnes Dev.Dec 15;17(24):3112−26に記載されている。癌のさらなる動物ベースのモデルは当該分野で周知であり(Animal Models of Cancer Predispostion Syndromes,Hiai H and Hino,O(eds.)1999,Progress in Experimental Tumor Research,Vol.35;Clarke AR Carcinogenesis(2000)21:435−41)、例えば、発癌物質誘導腫瘍(Rithidcch,K et al.Mutat Res(1999)428:33−39;Miller,ML et al. Environ Mol Mutagan(2000)35:319−327)、動物への腫瘍細胞の注入および/または移植、ならびに成長調節遺伝子、例えば、癌遺伝子(例えば、ras)(Arbeit,JM et al. Am J Pathol(1993)142:1187−1197;Sinn,E et al. Cell(1987)49:465−475;Thorgeirsson,SS et al. Toxicol Lett(2000)112−113:553−555)および腫瘍サプレッサー遺伝子(例えば、p53)(Vooijs,M et al. Oncogene(1999)18:5293−5303;Clark AR Cancer Metast Rev(1995)14:125−148;Kumar,TR et al. J Intern Med(1995)238:233−238;Donehower. LA et al.(1992)Nature 356215−221)において突然変異を担う動物を含む。さらに、実験モデル系が、例えば、卵巣癌(Hamilton,TC et al.Semin Oncol(1984)11:285−298;Rahman,NA et al. Mol Cell Endocrinol(1998)145:167−174;Beamer,WG et al. Toxicol Pathol(1998)26:704−710)、胃癌(Thompson,J et al. Int J Cancer(2000)86:863−869;Fodde,R et al. Cytogenet Cell Genet(1999)86:105−111)、乳癌(Li,M et al. Oncogene(2000)19:1010−1019;Green,JE et al. Oncogene(2000)19:1020−1027)、メラノーマ(Satyamoorthy,K et al. Cancer M etast Rev(1999)18:401−405)、および前立腺癌(Shirai,T et al.Mutat Res(2000)462:219−226;Bostwick,DG et al. Prostate(2000)43:286−294)の研究で利用可能である。例えば、Chin L. et al.(1999)Nature 400(6743):468−72に記載された動物モデルを本発明の方法で用いることもできる。
本発明は、さらに、上記のスクリーニングアッセイによって同定される新規な剤に関連する。従って、適切な動物モデルにおいて本明細書中で記載したように同定された剤をさらに用いるのは本発明の範囲内のものである。例えば、本明細書中に記載したように同定された剤(例えば、マーカー調節剤、低分子、アンチセンスマーカー核酸分子、リボザイム、マーカー特異的抗体、またはそのフラグメント、マーカータンパク質、マーカー核酸分子、RNA干渉因子、例えば、本発明のマーカーを標的とするsiRNA分子、またはマーカー−結合パートナー)を動物モデルで用いて、そのような剤での処理の効力、毒性、または副作用を測定することができる。あるいは、本明細書中で記載されたように同定された剤を動物モデルで用いて、そのような剤の作用メカニズムを決定することができる。さらに、本発明は、本明細書中に記載した処理用の前記スクリーニングアッセイによって同定される新規な剤の使用に関する。
(VIII.薬学的組成物)
本発明のマーカーに対応する(本明細書中においては、「活性化合物」または「化合物」ともいう)低分子、ペプチド、ペプトイド、ペプチド模倣物、ポリペプチド、RNA干渉因子、例えば、siRNA分子、抗体、リボザイム、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドを、投与に適した薬学的組成物に一体化させることができる。そのような組成物は、典型的には、低分子、ペプチド、ペプトイド、ペプチド模倣物、ポリペプチド、RNA干渉因子、例えば、siRNA分子、抗体、リボザイム、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび薬学的に受容可能な担体を含む。本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な担体」は医薬投与に適合するいずれかのおよび全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤等を含むことを意図する。医薬上活性な物質のためのそのような媒体および剤の使用は当該分野で良く知られている。いずれかの慣用的媒体または剤が活性化合物に適合しないのを除いては、組成物におけるその使用が考えられる。補充的な活性化合物も組成物に配合することもできる。
本発明は、本発明のマーカーに対応するポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調節するための薬学的組成物を調製する方法を含む。そのような方法は、本発明のマーカーに対応するポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調節する剤と共に薬学的に受容可能な担体を処方することを含む。そのような組成物はさらにさらなる活性な剤を含む。したがって、本発明は、さらに、本発明のマーカーに対応するポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調節する剤および1以上のさらなる活性化合物と共に薬学的に受容可能な担体を処方することによって薬学的組成物を調製する方法を含む。
低分子剤およびタンパク質またはポリペプチド剤の適切な用量は、通常の技量の医師、獣医、または研究者の知識内の多数の因子に依存することは理解される。これらの剤の用量は、例えば、治療すべき被験体またはサンプルの同一性およびサイズの状態に依存し、さらに、組成物を投与すべき経路、適用可能であれば、および実施者が本発明の核酸分子またはポリペプチドに対して有することを望む効果に依存して変化するであろう。低分子は、限定されるものではないが、ペプチド、ペプチド模倣物、アミノ酸、アミノ酸アナログ、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドアナログ、ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、モル当たり約10,000グラム未満の分子量を有する(ヘテロ有機および有機金属化合物を含めた)有機または無機化合物、モル当たり約5,000グラム未満の分子量を有する有機または無機化合物、モル当たり約1,000グラム未満の分子量を有する有機または無機化合物、モル当たり約500グラム未満の分子量を有する有機または無機化合物、およびそのような化合物の塩、エステル、および他の薬学的に受容可能な形態を含む。
低分子の例示的な用量は被験体またはサンプル重量のキログラム当たりミリグラムまたはマイクログラムの量(例えば、キログラム当たり約1マイクログラムないしキログラム当たり約500ミリグラム、キログラム当たり約100マイクログラムないしキログラム当たり約5ミリグラム、またはキログラム当たり約1マイクログラム当たり、キログラム当たり約50マイクログラム)を含む。
本明細書中で定義するように、RNA干渉因子、例えば、siRNAの治療上有効量(すなわち、有効用量)は約0.001ないし3,000mg/kg体重、好ましくは約0.01ないし2500mg/kg体重、より好ましくは約0.1ないし2000、約0.1ないし1000mg/kg体重、0.1ないし500mg/kg体重、0.1ないし100mg/kg体重、0.1ないし50mg/kg体重、0.1ないし25mg/kg体重、なおより好ましくは約1ないし10mg/kg、2ないし9mg/kg、3ないし8mg/kg、4ないし7mg/lkg、または5ないし6mg/kg体重の範囲である。治療上有効量のRNA干渉因子での被験体の治療は、単一治療を含むことができ、あるいは好ましくは一連の治療を含むことができる。好ましい例において、被験体を、約1ないし10週間の間、好ましくは2ないし8週間の間、より好ましくは約3ないし7週間の間、なおより好ましくは約4、5または6週間の間、1週間当たり1回、約0.1ないし20mg/kg体重の間の範囲のRNA干渉因子で治療する。
タンパク質またはポリペプチドの例示的な用量は被験体またはサンプル重量のキログラム当たりグラム、ミリグラムまたはマイクログラムの量(例えば、キログラム当たり約1マイクログラムないしキログラム当たり約5グラム、キログラム当たり約100マイクログラムないしキログラム当たり約500ミリグラム、またはキログラム当たり約1ミリグラムないしキログラム当たり約50ミリグラム)を含む。さらに、これらの剤の1つの適切な用量は、調節すべき発現または活性に関する剤の効力に依存することは理解される。そのような適切な用量は、本明細書中に記載されたアッセイを用いて決定することができる。これらの剤の1以上を動物(例えば、ヒト)に投与して、本発明のポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調節する場合、医師、獣医、または研究者は、例えば、最初は比較的低用量を処方し、引き続いて、適切な応答が得られるまで用量を増大させる。加えて、特定の動物被験体についての具体的な用量レベルは使用する特定の剤の活性、被験体の年齢、体重、全般的健康、性別、およびダイエット、投与の時間、投与経路、排出速度、および薬物の組合せ、ならびに調節すべき発現または活性の程度を含めた種々の因子に依存するであろうことは理解される。
本発明の薬学的組成物は、その意図された投与経路に適合するように処方される。投与経路の例は非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)、経粘膜および直腸投与を含む。非経口、皮内、または皮下適用で用いる溶液または懸濁液は以下の成分を含むことができる:注射用水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン−四酢酸のようなキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩のような緩衝液、および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような等張性の調整用の剤。pHは塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基で調製することができる。非経口製剤はガラスまたはプラスチックで作成されたアンプル、ディスポーザブルシリンジまたは複数用量バイヤルに入れることができる。
注射用途に適した薬学的組成物は滅菌注射溶液または分散液の即席製剤用の滅菌水性溶液(水溶性の場合)または分散液および滅菌粉末を含む。静脈内投与では、適切な担体は生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(BASF;Parsippany,NJ)またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を含む。全ての場合、組成物は滅菌されていなければならず、容易なシリンジ性が存在する程度まで流体であるべきである。それは製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対して保存されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール等)、およびその適切な混合物を含有する溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性が、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散液の場合には必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロザール等によって達成することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、または塩化ナトリウムを組成物に含ませるのが好ましいであろう。注射組成物の延長された吸収は、吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物に含めることによって実現することができる。
滅菌注射溶液は、必要な量の活性化合物(例えば、ポリペプチドまたは抗体)を、前記で例示した成分の1つまたは組合せと共に適切な溶媒に配合し、必要であれば、引き続いて濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液は、基本的分散媒体を含有する滅菌ビヒクルに活性化合物を配合し、次いで、前記で例示したものからの必要な他の成分を配合することによって調製される。滅菌注射溶液の調製用の滅菌粉末の場合には、調製の好ましい方法は、その従前の滅菌−濾過溶液から有効成分+いずれかのさらなる所望の成分の粉末を生じる真空乾燥および凍結乾燥である。
経口組成物は、一般には、不活性な希釈剤または食用担体を含む。それらはゼラチンカプセルに包み、または錠剤に圧縮することができる。経口治療投与の目的では、活性化合物を賦形剤と共に配合し、錠剤、トローチまたはカプセルの形態で用いることができる。経口組成物はマウスウォッシュとして用いるための流体担体を用いて調製することもでき、ここで、流体担体中の化合物は経口で適用し、口の中で転がし、吐き出し、または嚥下する。
薬学的に適合する結合剤、および/またはアジュバント物質を組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ等は以下の成分、または同様な性質の化合物を含有することができる:マイクロクリスタリンセルロース、トラガカントガムまたはゼラチンのようなバインダー;澱粉またはラクトースのような賦形剤、アルギン酸、Primogel、またはトウモロコシ澱粉のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、またはSterotesのような滑沢剤;コロイド状に酸化ケイ素のようなグライダント;スクロースまたはサッカリンのような甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジフレーバーのようなフレーバー剤。
吸入による投与のためには、化合物は、適切なプロペラント、例えば、二酸化炭素のようなガスを含有する圧縮容器またはディスペンサー、あるいはネブライザーからエアロゾルスプレイの形態で送達される。
全身投与は経粘膜または経皮手段によることもできる。経粘膜または経皮投与では、浸透すべきバリアーに適した浸透剤を処方で用いる。そのような浸透剤は一般には当該分野で知られており、例えば、経粘膜投与では、界面活性剤、胆汁塩およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は鼻スプレイまたは坐薬の使用を介して達成することができる。経皮投与では、活性化合物は当該分野で一般的に知られた軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームに処方される。
化合物は(例えば、カカオバターおよび他のグリセライドのような慣用的な坐薬基剤で)坐薬、または直腸送達のための停留浣腸の形態で調製することもできる。
一実施形態において、活性化合物は、インプラントおよびマイクロカプセル化送達形を含めた制御放出処方のような身体からの迅速な排出に対して化合物を保護するであろう担体で調製される。エチレンビニルアセテート、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸のような生分解性の生体適合性ポリマーを用いることができる。そのような処方の調製方法は当業者に明らかであろう。該物質はAlza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手することもできる。(その中にまたはその上に取り込まれたモノクローナル抗体を有するリポソームを含めた)リポソーム懸濁液を、薬学的に受容可能な担体として用いることもできる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されたように当業者に知られた方法に従って調製することができる。
投与の容易性および用量の均一性のために、経口または非経口組成物を投与単位形態に処方するのが特に有意である。本明細書中に用いる投与単位形態は治療すべき被験体のための単位用量として適した物理的に区別される単位をいい;各単位は、必要な医薬担体と組み合わせて所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含有する。本発明の投与単位形態のための仕様は、活性化合物のユニークな特徴および達成すべき特定の治療効果、および個体の治療のためのそのような活性化合物を調合する当該分野で固有の制限に支持され、かつ直接的にそれに依存する。
抗体では、好ましい用量は0.1mg/kgないし100mg/kg体重(一般に10mg/kgないし20mg/kg)である。もし抗体が脳中で作用するならば、50mg/kgないし100mg/kgの用量は通常適切である。一般には、部分的にヒト抗体および十分にヒト抗体は、他の抗体よりもヒト身体内でより長い半減期を有する。したがって、より低い用量およびより低い頻度の投与がしばしば可能である。脂質化のような修飾を用いて、抗体を安定化し、および(例えば、上皮への)摂取および浸透を増強させることができる。抗体の脂質化のための方法はCruikshank et al.(1997)J.Aquired Immune Deficiency Syndromes and Human Retrovirology 14:193によって記載されている。
本発明のマーカーに対応する核酸分子はベクターに挿入し、遺伝子治療ベクターとして用いることができる。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈内注射、局所投与(米国特許第5,328,470号)によって、あるいは定位注射(例えば、Chen et al.,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054−3057)によって被験体に送達することができる。遺伝子治療ベクターの医薬製剤は許容される希釈剤中に遺伝子治療ベクターを含むことができ、あるいは遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれる遅延放出マトリックスを含むことができる。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターが組換え細胞、例えば、レトロウイルスベクターから無傷で製造できる場合、医薬製剤は遺伝子送達系を生じる1以上の細胞を含むことができる。
RNA干渉因子、例えば、本発明の方法で用いるsiRNAをベクターに挿入することができる。これらの構築体は、例えば、静脈内注射、局所投与(米国特許第5,328,470号参照)によって、定位注射(例えば、Chen et al.,(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054−3−57)によって被験体に送達することができる。ベクターの医薬製剤は許容される希釈剤中にRNA干渉因子、例えば、siRNAベクターを含むことができるか、あるいは遺伝子送達ビヒクルを埋め込む遅延放出マトリックスを含むことができる。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターが組換え細胞、例えば、レトロウイルスベクターから無傷で生産できる場合、医薬製剤は遺伝子送達系を生じる1以上の細胞を含むことができる。
薬学的組成物は、投与のための指示書と共に容器、パック、またはディスペンサーに含めることができる。
(IX.予測医学)
本発明は、診断アッセイ、予後アッセイ、薬理ゲノミクス、およびモニタリング臨床試験を予後(予測)目的で用い、それによって、予防的に個体を治療する予測医学の分野にも関する。従って、本発明の一局面は、本発明の1以上のマーカーに対応するポリペプチドまたは核酸の量、構造、および/または活性を測定して、個体が癌を発症する危険性があるか否かを判断するための診断アッセイに関する。そのようなアッセイは予後または予測目的で用いて、それによって、癌の開始に先立って個体を予防的に処置することができる。
本発明のなお別の局面は、臨床試験における本発明のマーカーの量、構造、および/または活性に対する剤(例えば、癌を阻害する、あるいはいずれかの他の障害を治療または予防して{すなわち、そのような治療が有することができるいずれかの発癌効果を理解する}ために投与される薬物または他の化合物)の影響をモニタリングすることに関する。これらおよび他の剤は以下のセクションでさらに詳細に記載する。
(A.診断アッセイ)
(1.コピー数の検出のための方法)
特定のマーカーまたは染色体領域(例えば、MCR)のコピー数を評価するための方法は、当業者に良く知られている。染色体の獲得または喪失の存在または不存在は、単に、本明細書中で同定される領域またはマーカーのコピー数の測定によって評価することができる。
サンプル中のコーディング核酸のコピー数を評価するための方法は、限定されるものではないが、ハイブリダイゼーションベースのアッセイを含む。例えば、サンプル中のコーディング核酸のコピー数を評価する1つの方法はサザーンブロットを含む。サザーンブロットにおいて、(典型的には、フラグメント化され、および電気泳動ゲルで分離された)ゲノムDNAを標的領域に特異的なプローブにハイブリダイズさせる。標的領域についてのプローブからのハイブリダイゼーションシグナルの強度を、正常なゲノムDNA(例えば、同一または関連細胞、組織、器官等の非増幅部分)の分析からのコントロールプローブシグナルとの比較により、標的核酸の相対的コピー数の見積もりが提供される。
コピー数を測定するための別の手段はインサイチュハイブリダイゼーションである(例えば、Angerer(1987)Meth.Enzymol 152:649)。一般に、インサイチュハイブリダイゼーションは以下の工程:(1)分析すべき組織または生物学的構造の固定;(2)標的DNAの接近性を増加させ、および非特異的結合を減少させるための生物学的構造のプレハイブリダイゼーション処理;(3)生物学的構造または組織中の核酸への核酸の混合物のハイブリダイゼーション;(4)ハイブリダイゼーションにおいて結合しなかった核酸フラグメントを除去するためのポスト−ハイブリダイゼーション、および(5)ハイブリダイズした核酸フラグメントの検出を含む。これらの工程の各々で用いる試薬、および使用のための条件は特定の適用に依存して変化する。
好ましいハイブリダイゼーションベースのアッセイは、限定されるものではないが、サザーンブロットまたはインサイチュハイブリダイゼーション(例えば、FISH)のような伝統的な「直接的プローブ」方法、および比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH、例えば、cDNAベースのまたはオリゴヌクレオチドベースのCGHのような「比較プローブ」方法を含む。該方法は、限定されるものではないが、基質(例えば、膜またはガラス)結合方法またはアレイベースのアプローチを含めた種々の様式で用いることができる。
典型的なインサイチュハイブリダイゼーションアッセイにおいて、細胞を固体支持体、典型的にはスライドグラスに固定する。もし核酸をプローブすべきであれば、細胞を典型的には熱またはアルカリで変性する。次いで、細胞を中温においてハイブリダイゼーション溶液と接触させて、タンパク質をコードする核酸配列に特異的な標識プローブのアニーリングを可能とする。次いで、標的(例えば、細胞)を、適切なシグナル−対−ノイズ比率が得られるまで所定のストリンジェンシーにおいて、または増大させるストリンジェンシーにおいて典型的には洗浄する。
プローブは、例えば、放射性同位体または蛍光レポーターで標識される。好ましいプローブは、ストリンジェントな条件下で標的核酸と特異的にハイブリダイズするのに十分長い。好ましいサイズの範囲は約200塩基または約1000塩基である。
いくつかの適用において、反復配列のハイブリダイゼーションの能力をブロックする必要がある。したがって、いくつかの実施形態において、tRNA、ヒトゲノムDNA、またはCot−I DNAを用いて非特異的ハイブリダイゼーションをブロックする。
CGH方法においては、(例えば、サンプル、例えば、可能な腫瘍からの)核酸の第1のコレクションを第1の標識で標識し、他方、核酸(例えば、健康な細胞/組織からのコントロール)の第2のコレクションを第2の標識で標識する。核酸のハイブリダイゼーションの比率は、アレイ中の各繊維への2つの(第1および第2の)標識の比率によって決定される。染色体の欠失または増加がある場合、2つの標識からのシグナルの比率の差を検出し、比率はコピー数の尺度を提供するであろう。アレイベースのCGHは(アレイ上のプローブへの競合ハイブリダイゼーションによる比率を生じるであろう、2つの異なる色素でのコントロールおよび可能な腫瘍サンプルを標識し、ハイブリダイゼーションに先立ってそれらを混合するのとは反対に)単一色標識を行うこともできる。単一色CGHにおいては、コントロールを標識し、1つのアレイにハイブリダイズさせ、絶対シグナルを読み、可能な腫瘍サンプルを標識し、(同一内容にて)第2のアレイにハイブリダイズさせ、絶対シグナルを読む。コピー数の差は2つのアレイからの絶対シグナルに基づいて計算する。本発明の方法で用いるのに適したハイブリダイゼーションプロトコルは、例えば、Albertson(1984)EMBO J.3:1227−1234;Pinkel(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:9138−9142;EPO公開番号430,402;Methods in Molecular Biology,Vol.33:In Situ Hybridization Protocols,Choo,ed.,Humana Press,Totowa,N.J.(1994)等に記載されている。一実施形態において、Pinkel et al.(1998)Nature Genetics 20:207−211、またはKallioniemi(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5321−5325(1992)のハイブリダイゼーションプロトコルを用いる。
本発明の方法はアレイベースのハイブリダイゼーション様式に特によく適合する。アレイベースのCGHは、その内容をここに引用して援用する米国特許第6,455,258号に記載されている。
さらに別の実施形態において、増幅ベースのアッセイを用いて、コピー数を測定する。そのような増幅ベースのアッセイにおいて、核酸配列は増幅反応(例えば、ポリメラーゼ鎖反応(PCR))において鋳型として作用する。定量的な増幅において、増幅産物の量は、元のサンプル中の鋳型の量に比例するであろう。適切なコントロール、例えば、健康な組織に対する比較はコピー数の尺度を提供する。
「定量的」増幅の方法は当業者に良く知られている。例えば、定量的PCRは、同一プライマーを用いて既知量のコントロール配列を同時に共増幅することを含む。これは、PCR反応をキャリブレートするのに用いることができる内部標準を提供する。定量的PCRについての詳細なプロトコルは、Inni et al.(1990)PCR Protocols,A Guide to Methods and Applications,Academic Press,Inc.N.Y.に提供される。定量的PCR分析を用いるマイクロサテライト遺伝子座におけるDNAコピー数の測定は、Ginzonger,et al.(2000)Cancer Research 60:5405−5409に記載されている。遺伝子についての公知の核酸配列は、当業者が、ルーチン的にプライマーを選択して、遺伝子のいずれかの部分を増幅するのを可能とするのに十分である。発蛍光性定量的PCRを本発明の方法で用いることもできる。発蛍光定量性PCR定量は蛍光シグナル、例えば、TaqMan and sybrグリーンの量に基づく。
他の適切な増幅方法は、限定されるものではないが、リガーゼ鎖反応(LCR)(Wu and Wallace(1989)Genomics 4:560,Landegren et al.(1988)Science 241:1077,およびBarringer et al.(1990)Gene 89:117参照)、転写増幅(Kwoh et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173)、自己−維持配列複製(Guatelli et al.(1990)Proc.Natl.Acad.Sci USA 87:1874)、ドットPCR、およびリンカーアダプターPCR等を含む。
ヘテロ接合性(LOH)マッピングの喪失(Wang Z.C.et al.(2004)Cancer Res 64(1):64−71;Seymour,A.B.,et al.(1994)Cancer Res 54,2761−4;Hahn,S.A.,et al.(1995)Cancer Res 55,4670−5;Kimura,M.,et al.(1996)Genes Cromosomes Cancer 17,88−93)を用いて、増幅または欠失の領域を同定することもできる。
(2.遺伝子発現の検出のための方法)
マーカー発現レベルは、癌、または癌を発症する危険性の診断のための方法としてアッセイすることもできる。本発明のマーカーの発現は、転写された分子またはタンパク質の発現を検出するための広く種々のよく知られた方法のいずれかによって評価することができる。そのような方法の非限定的例は、分泌された、細胞−表面、細胞質または核タンパク質の検出のための免疫学的方法、タンパク質精製方法、タンパク質機能または活性アッセイ、核酸ハイブリダイゼーション方法、核酸逆転写方法、および核酸増幅方法を含む。
好ましい実施形態において、特定の遺伝子の活性は、遺伝子転写体(例えば、mRNA)の測定によって、転写されたタンパク質の量の測定によって、または遺伝子産物活性によって特徴付けられる。マーカー発現は、そのいずれも標準的技術を用いて測定することができる、mRNAレベル、タンパク質レベル、またはタンパク質活性を検出することを含めた種々の方法でモニタリングすることができる。検出は遺伝子発現のレベルの定量を含むことができ(例えば、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、タンパク質、または酵素活性)、あるいは特にコントロールレベルとの比較において、遺伝子発現のレベルの定量的評価であり得る。検出すべきレベルのタイプは文脈より明瞭であろう。
核酸ハイブリダイゼーション技術を用いて遺伝子転写体(mRNA、またはそれから作成されたcDNA)を検出および/または定量する方法は当業者に知られている(Sambrook et al.supra参照)。例えば、cDNAの存在、不存在、または量を評価するための1つの方法は、上記のサザーン移動を含む。簡単に述べれば、(酸グアニジニウム−フェノール−クロロホルム抽出方法、Sambrook et al.,supraを用いて)mRNAを単離し、逆転写して、cDNAを得る。次いで、cDNAを所望により消化し、緩衝液中にてゲル上で泳動させ、膜に移動させる。次いで、標的cDNAに特異的な核酸プローブを用いてハイブリダイゼーションを行う。
そのような診断および予後アッセイの一般的原理は、適切な条件下にて、かつマーカーおよびプローブが相互作用するのに可能とする十分な間、マーカーおよびプローブを含有することができるサンプルまたは反応混合物を調製し、したがって、取り出すことができ、および/または反応混合物において検出することができる複合体を形成することを含む。これらのアッセイは種々の方法で行うことができる。
例えば、そのようなアッセイを行う1つの方法は、マーカーまたはプローブを、基質ともいわれる固相支持体に係留させ、次いで、反応の最後に固相に係留された標的マーカー/プローブ複合体を検出することを含む。そのような方法の一実施形態において、マーカーの存在および/または濃度についてアッセイすべき被験体からのサンプルを担体または固相支持体に係留させることができる。別の実施形態において、逆の状況が可能であり、そこでは、プローブを固相に係留させることができ、被験体からのサンプルをアッセイの係留していない成分として反応させることもできる。
固相へアッセイ成分を係留させるための多くの確立された方法がある。これらは、限定されるものではないが、ビオチンおよびストレプトアビジンのコンジュゲーションを介して固定化されるマーカーまたはプローブ分子を含む。そのようなビオチニル化アッセイ成分は当該分野で知られた技術(例えば、ビオチニル化キット、Pierce Chemicals,Rockford,IL)を用いてビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から調製し、ストレプトアビジン−被覆96ウェルプレート(Pierce Chemical)のウェルにおいて固定化することができる。ある実施形態において、固定化されたアッセイ成分の表面は予め調製し、貯蔵することができる。
そのようなアッセイのための他の適切な担体または固相支持体は、マーカーまたはプローブが属する分子のクラスに結合することができるいずれの材料も含む。よく知られた支持体または担体は、限定されるものではないが、ガラス、ポリスチレン、ナイロン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、デキストラン、アミラーゼ、天然および修飾されたセルロース、ポリアクリルアミド、斑れい岩、およびマグネタイトを含む。
上記のアプローチでアッセイを行うためには、固定化されていない成分を、第2の成分が係留されている固相に加える。反応が完了した後、いずれの形成された複合体も固相に固定化されたままでいるような条件下で、未複合体化成分を(例えば、洗浄によって)除去することができる。固相に係留したマーカー/プローブ複合体の検出は、本明細書中に概説した多数の方法で達成することができる。
好ましい実施形態において、プローブは、それが係留していないアッセイ成分である場合、アッセイの検出および読み出しの目的で、直接的にまたは間接的に、本明細書中で議論し、かつ当業者に良く知られた検出可能な標識で標識することができる。
また、例えば、蛍光エネルギー移動の技術を利用することによって、いずれかの成分(マーカーまたはプローブ)をさらに操作または標識することなく、マーカー/プローブ複合体形成を直接的に検出することも可能である(例えば、Lakowicz et al.,米国特許第5,631,169号;Stavrianopoulos,et al.,米国特許第4,868,103号参照)。第1の「ドナー」分子上のフルオロフォア標識は、適切な波長の入射光での励起に先立って、その放射された蛍光エネルギーが第2の「アクセプター」分子上の蛍光標識によって吸収され、それは、今度は吸収されたエネルギーのため蛍光を発することができるように選択される。あるいは、「ドナー」タンパク質分子は、トリプトファン残基の天然蛍光エネルギーを単に利用することができる。「アクセプター」分子標識が「ドナー」のそれとは区別できるように、異なる波長の光を発する標識を選択する。標識の間のエネルギー移動の効率は分子を隔てる距離に関連するので、分子の間の空間的な関係を評価することができる。分子の間で結合が起こる状況においては、アッセイにおける「アクセプター」分子レベルの蛍光発光は最大とすべきである。FET結合事象は、(例えば、フルオリメーターを用いて)当該分野で良く知られた標準的なフルオロメトリー検出手段を介して便宜には測定することができる。
別の実施形態において、マーカーを認識するプローブの能力の測定は、リアルタイム生体分子相互作用分析(BIA)のような技術を利用することによって、いずれかのアッセイ成分(プローブまたはマーカー)を標識することなく達成することができる(例えば、Sjolander,S.and Urbaniczky,C.,1991,Anal.Chem.63:2338−2345およびSzabo et al.,1995,Curr.Opin.Struct.Biol.5:699−705参照)。本明細書中で用いるように「BIA」または「表面プラズモン共鳴」は、相互作用体(例えば、BIAcore)のいずれも標識することなく、リアルタイムで生物特異的相互作用を研究するための技術である。(結合事象を示す)結合表面での質量の変化の結果、表面近くの光の屈折率が変化し(表面プラズモン共鳴(SPR)の光学的減少)、その結果、生物学的分子の間のリアルタイム反応の表示として用いることができる検出可能なシグナルがもたらされる。
あるいは、別の実施形態において、同様な診断および予後アッセイを、液相中の溶質としてのマーカーおよびプローブで実行することができる。そのようなアッセイにおいて、複合体化されたマーカーおよびプローブは、限定されるものではないが、遠心分離、クロマトグラフィー、電気泳動および免疫沈澱を含めた多数の標準的な技術によって複合体化していない成分から分離する。遠心分離において、マーカー/プローブ複合体は、それらの異なるサイズおよび密度に基づいての複合体の異なる沈降平衡による、一連の遠心工程を介して複合体化していないアッセイ成分から分離することができる(例えば、Rivas,G.,and Minton,A.P.,1993,Trends Biochem Sci.18(8):284−7参照)。標準的なクロマトグラフィー技術を利用して、複合体化した分子を複合体化していない分子から分離することもできる。例えば、サイズに基づき、かつカラム様式での適切なゲル濾過樹脂の利用を介して、ゲル濾過クロマトグラフィーは分子を分離し、例えば、比較的より大きな複合体は比較的より小さな複合体化していない成分から分離することができる。同様に、複合体化していない成分と比較した、マーカー/プローブ複合体の比較的異なる電荷特性を利用して、例えば、イオン−交換クロマトグラフィー樹脂の利用を介して、複合体を複合体化していない成分から分けることができる。そのような樹脂およびクロマトグラフィー技術は当業者に良く知られている(例えば、Heegaard,N.H.,1998,J.Mol.Recognit.Winter 11(1−6):141−8;Hage,D.S.,and Tweed,S.A. J Chromatogr B Biomed Sci Appl 1997 Oct 10;699(1−2):499−525参照)。ゲル電気泳動を使用して、複合体化したアッセイ成分を未結合成分から分離することもできる(例えば、Ausubel et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,1987−1999参照)。この技術において、タンパク質または核酸複合体は、例えば、サイズまたは電荷に基づいて分離される。電気泳動プロセスの間の結合相互作用を維持するためには、還元剤非存在下での非変性ゲルマトリックス物質および条件が典型的には好ましい。特定のアッセイおよび成分それ自体に対する適切な条件は当業者に良く知られているであろう。
特定の実施形態において、マーカーに対応するmRNAのレベルは、当該分野で公知の方法を用いて、生物学的サンプルにおいてインサイチュおよびインビトロ様式両方で測定することができる。用語「生物学的サンプル」は、被験体から単離された、組織、細胞、生物学的流体およびその単離体、ならびに被験体内に存在する組織、細胞および流体を含むことを意図する。多くの発現検出方法は単離されたRNAを使用する。インビトロ方法では、mRNAの単離に対して選択しないいずれのRNA単離技術も、細胞からのRNAの精製で利用することができる。(例えば、Ausubel et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons New York 1987−1999参照)。加えて、多数の組織サンプルは、例えば、Chomczynski(1989,米国特許第4,843,155号)の単一工程RNA単離のような当業者に良く知られた技術を用いて容易に処理することができる。
単離された核酸を、限定されるものではないが、サザーンまたはノーザン分析、ポリメラーゼ鎖反応分析およびプローブアレイを含むハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイで用いることができる。mRNAレベルの検出のための1つの好ましい診断方法は、検出すべき遺伝子によってコードされたmRNAにハイブリダイズすることができる核酸分子(プローブ)と単離されたmRNAとを接触させることを含む。核酸プローブは、例えば、全長cDNA、または長さが少なくとも7、15、30、50、100、250または500ヌクレオチドのような、かつストリンジェントな条件下で本発明のマーカーをコードするmRNAまたはゲノムDNAに特異的にハイブリダイズするのに十分なその部分であり得る。本発明の診断アッセイで用いられる他の適切なプローブは本明細書中に記載されている。mRNAのプローブでのハイブリダイゼーションは、問題とするマーカーが発現されていることを示す。
1つの様式において、mRNAを固体表面に固定化し、例えば、アガロースゲル上で単離されたmRNAを移動させ、mRNAをニトロセルロースのような膜にゲルから移動させることによって、プローブと接触させる。別の様式において、プローブ(類)を固体表面に固定化し、例えば、Affymetrix遺伝子チップアレイにおいて、mRNAをプローブ(類)と接触させる。当業者であれは、本発明のマーカーによってコードされるmRNAのレベルを検出するのに用いられる公知のmRNA検出方法を容易に適合させることができる。
プローブはタンパク質をコードする核酸配列の全長、または全長未満であり得る。より短いプローブを特異性につき経験的に試験する。好ましくは、核酸プローブは長さが20塩基以上である(例えば、核酸ハイブリダイゼーションを用いる核酸プローブ配列を選択する方法については、例えば、Sambrook et al.参照)。ハイブリダイズした部分の可視化は、cDNAの存在または不存在の定量的決定を可能とする。
サンプル中の本発明のマーカーに対応する転写体のレベルを測定するための代替的な方法は、例えば、rtPCR(Mullis,1987,米国特許第4,683,202号に記載された実験実施形態)、リガーゼ鎖反応(Barany,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:189−193)、自己保持配列複製(Guatelli et al.,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874−1878)、転写増幅システム(Kwoh et al.,1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173−1177)、Q−ベータレプリカーゼ(Lizardi et al.,1988,Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(Lizardi et al.,米国特許第5,854,033号)、またはいずれかの他の核酸増幅方法による核酸増幅のプロセス、引き続いての、当業者に良く知られた技術を用いる増幅された分子の検出を含む。発蛍光性rtPCRを本発明の方法で用いることもできる。発蛍光性rtPCRにおいて、定量は、蛍光シグナル、例えば、TaqManおよびsybrグリーンの量に基づく。これらの検出スキームは、もしそのような分子が非常に少量で存在するならば、核酸分子の検出で特に有用である。ここに用いるように、増幅プライマーは、遺伝子の5’または3’領域(各々、プラスおよびマイナスストランド、またはその逆)にアニールすることができ、その間に短い領域を含むことができる核酸分子の対として定義される。一般に増幅プライマーは長さが約10ないし30ヌクレオチドであり、長さが約50ないし200ヌクレオチドの領域に近接する。適切な条件下にて、かつ適切な試薬を用い、そのようなプライマーは、該プライマーが近接するヌクレオチド配列を含む核酸分子の増幅を可能とする。インサイチュ方法では、mRNAは検出に先立って細胞から単離される必要はない。そのような方法において、細胞または組織サンプルは公知の組織学的方法を用いて調製/処理される。次いで、サンプルを支持体、典型的には、ガラススライド上に固定し、次いで、マーカーをコードするmRNAにハイブリダイズすることができるプローブと接触させる。
マーカーの絶対発現レベルに基づいて測定を行う代替法として、測定はマーカーの正規化された発現レベルに基づくことができる。発現レベルは、その発現を、マーカーではない遺伝子、例えば、構成的に発現されるハウスキーピング遺伝子の発現と比較することによって、マーカーの絶対発現レベルを修正することにより正規化される。正規化のための適切な遺伝子は、アクチン遺伝子、または上皮細胞特異的遺伝子のようなハウスキーピング遺伝子を含む。この正規化は、1つのサンプル、例えば、被験体サンプル中の発現レベルの、別のサンプル、例えば、非癌性サンプルとの、あるいは異なる源からのサンプルの間の比較を可能とする。
あるいは、発現レベルは相対的発現レベルとして提供することができる。マーカーの相対的発現レベルを測定するためには、マーカーの発現のレベルを、問題とするサンプルについての発現レベルの測定に先立って、正常な単離体−対−癌細胞単離体の10以上のサンプル、好ましくは、50以上のサンプルについて測定する。多数のサンプルでアッセイした遺伝子の各々の平均発現レベルを決定し、これをマーカーでのベースライン発現レベルとして用いる。次いで、試験サンプルについて測定されたマーカーの発現レベル(発現の絶対レベル)を、そのマーカーで得られた平均発現値で割る。これは相対的発現レベルを提供する。
好ましくは、ベースライン測定で用いるサンプルは、同一組織タイプの癌細胞または正常細胞からのものであろう。細胞源の選択は、相対的発現レベルの使用に依存する。平均発現スコアとして正常組織で見出される発現の使用は、アッセイされたマーカーが、細胞が由来する組織に特異的であるか否かを確認するのを助ける(対−正常細胞)。加えて、より多くのデータが蓄積されるにつれ、平均発現値を改訂することができ、蓄積されたデータに基づいて改良された相対的発現値を提供する。正常な細胞からの発現データは、癌状態の重症度のグレーディングのための手段を提供する。
別の好ましい実施形態において、マーカーの発現は、被験体サンプル中の細胞からゲノムDNAまたはmRNA/cDNA(すなわち、転写されたポリヌクレオチド)を調製することによって、およびマーカー、およびそのフラグメントを含むポリヌクレオチドの相補体である参照ポリヌクレオチドとゲノムDNAまたはmRNA/cDNAとハイブリダイズさせることによって評価される。cDNAが、所望により、参照ポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに先立って、種々のポリメラーゼ鎖反応方法のいずれかを用いることによって増幅することができる。1以上のマーカーの発現を、同様に、定量的PCR(QPCR)を用いて検出して、マーカーの発現のレベルを評価することができる。あるいは、本発明のマーカーの突然変異または変種(例えば、単一ヌクレオチド多形、欠失等)を検出する多くの公知の方法のいずれかを用いて、被験体における突然変異したマーカーの発生を検出することができる。
関連する実施形態において、サンプルから得られた転写されたポリヌクレオチドの混合物を、それに固定された本発明のマーカーの少なくとも部分(例えば、少なくとも7、10、15、20、25、30、40、50、100、500以上ヌクレオチド残基)に相補的な、またはそれと相同なポリヌクレオチドを有する基質と接触させる。もし相補的または相同なポリヌクレオチドが、(例えば、異なるクロモフォアまたはフルオロフォアを用いて検出可能な、あるいは異なる選択された位置に固定された)基質で異なって検出可能であれば、複数のマーカーの発現のレベルを、単一基質(例えば、選択された位置に固定されたポリヌクレオチドの「遺伝子チップ」マイクロアレイ)を用いて同時に評価することができる。1つの核酸と別の核酸とのハイブリダイゼーションを含むマーカー発現を評価する方法を用いる場合、ハイブリダイゼーションはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で行うのが好ましい。
別の実施形態において、マーカーの発現を評価する方法の組合せを利用する。
本発明の組成物、キット、および方法は、本発明の1以上のマーカーの発現レベルまたはコピー数の差の検出に依拠するので、マーカーの発現レベルまたはコピー数は、少なくとも1つの正常な細胞および癌性細胞における発現またはコピー数を評価するのに用いる方法の最小検出限界よりも有意に大きいのが好ましい。
(3.発現されたタンパク質の検出方法)
マーカータンパク質の活性またはレベルを、発現されたポリペプチドを検出し、または定量することによって検出し、および/または定量することもできる。ポリペプチドは、当業者に良く知られた多数の手段のいずれかによって検出し、定量することができる。これらは電気泳動、毛細管電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、超拡散クロマトグラフィー等のような分析的生化学方法、あるいは流体またはゲル沈降元層反応、免疫拡散(単一、または二重)、免疫電気泳動、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、免疫蛍光アッセイ、ウェスタンブロッティング等のような種々の免疫学的方法を含むことができる。当業者であれば、細胞が本発明のマーカーを発現するか否かを決定するのに用いる公知のタンパク質/抗体検出方法を容易に適合させることができる。
本発明のポリペプチドを検出するための好ましい剤は、本発明のマーカーに対応するポリペプチドへ結合することができる抗体、好ましくは、検出可能な標識を持つ抗体である。抗体は、ポリクローナル、またはより好ましくはモノクローナルであり得る。無傷抗体、またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab’))を用いることができる。プローブまたは抗体に関連して、用語「標識された」は、検出可能な物質をプローブまたは抗体にカップリグさせることによる(すなわち、物理的結合)プローブまたは抗体への直接的標識、ならびに直接標識される別の試薬との反応性によるプローブまたは抗体の間接的標識を含むことを意図する。間接的標識の例は、蛍光標識された二次抗体を用いる一次抗体、およびそれが蛍光標識されたストレプトアビジンで検出できるようなDNAプローブのビオチンでの末端標識の検出を含む。
好ましい実施形態において、抗体を標識する(例えば、放射性−標識され、クロモフォア−標識され、フルオロフォア−標識され、または酵素標識された抗体)。別の実施形態において、抗体誘導体(例えば、物質と、またはタンパク質−リガンド対{例えば、ビオチン−ストレプトアビジン}のタンパク質またはリガンドと結合した抗体)、またはマーカーに対応するオープンリーディングフレームによってコードされたタンパク質、またはその正常な翻訳後修飾の全てまたは一部を受けたそのようなタンパク質のような、マーカーに対応するタンパク質に特異的に結合する抗体フラグメント(例えば、単一鎖抗体、単離された抗体超可変ドメイン等)を用いる。
細胞からのタンパク質は、当業者によく知られた技術を用いて単離することができる。使用されるタンパク質単離方法は、例えば、Harlow and Laneに記載されたもののようなものであってよい(Harlow and Lane,1988,Antibodies: A Laboratory Mannual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York)。
1つの様式において、抗体、または抗体フラグメントは、ウェスタンブロットまたは免疫蛍光技術のような方法で用いて、発現されたタンパク質を検出することができる。そのような使用において、固体支持体に抗体またはタンパク質いずれかを固定化するのが一般には好ましい。適切な固相支持体または担体は、抗原または抗体に結合することができるいずれの支持体も含む。よく知られた支持体または担体はガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および修飾されたセルロース、ポリアクリルアミド、斑れい岩、およびマグネタイトを含む。
当業者であれば、抗体または抗原に結合させるための多くの他の適切な担体を知っており、本発明で用いるそのような支持体を適合させることができる。例えば、細胞から単離されたタンパク質をポリアクリルアミドゲル電気泳動で移動させ、ニトロセルロースのような固相支持体に固定化することができる。次いで、支持体を適切な緩衝液で洗浄し、続いて、検出可能に標識された抗体を処理することができる。次いで、固相支持体を緩衝液で2回目に洗浄して未結合抗体を除去することができる。次いで、固体支持体上の結合した標識の量を慣用的な手段によって検出することができる。電気泳動技術を用いるタンパク質を検出する手段は当業者に良く知られている(一般に、R.Scopes(1982)Protein Purification,Springer−Verlag,N.Y.;Deutschr,(1990)Methods in Enzymology Vol.182:Guide to Protein Purification,Academic Press,Inc.,N.Y.参照)。
別の好ましい実施形態において、ウェスタンブロット(イムノブロット)分析を用いて、サンプル中のポリペプチドの存在を検出し、定量する。この技術は、一般には、分子量に基づいてゲル電気泳動によってサンプルタンパク質を分離し、分離されたタンパク質を(ニトロセルロースフィルター、ナイロンフィルター、または誘導体化されたナイロンフィルターのような)適切な固体支持体に移し、次いで、サンプルを、ポリペプチドに特異的に結合する抗体と、共にインキュベートすることを含む。抗ポリペプチド抗体は固体支持体上のポリペプチドに特異的に結合する。これらの抗体は、直接的に標識することができるか、あるいは、抗ポリペプチドに特異的に結合する標識された抗体(例えば、標識されたヒツジ抗マウス抗体)を用いて引き続いて検出することができる。
より好ましい実施形態において、ポリペプチドはイムノアッセイを用いて検出される。本明細書中で使用される場合、イムノアッセイは分析物に特異的に結合する抗体を利用するアッセイである。イムノアッセイは、したがって、分析物を単離し、標的化し、および定量するための他の物理的または化学的特性の使用とは反対に、抗抗体へのポリペプチドの特異的結合の検出によって特徴付けられる。
ポリペプチドは、多数のよく認められた免疫学的結合アッセイのいずれかを用いて検出し、および/または定量する(例えば、米国特許第4,366,241号;第4,376,110号;第4,517,288号;および第4,837,168号参照)。一般的なイムノアッセイのレビューについては、Asai(1993)Methods in Cell Biology Volume 37:Antibodies in Cell Biology,Academic Press,Inc.New York;Stites & Terr(1991)Basic and Crinical Immunology 7th Editionも参照。
免疫学的結合アッセイ(またはイムノアッセイ)は、典型的には、「捕獲剤」を利用して、分析物(ポリペプチドまたはサブ配列)に特異的に結合し、しばしばそれを固定化する。捕獲剤は分析物に特異的に結合する部位である。好ましい実施形態において、捕獲剤はポリペプチドに特異的に結合する抗体である。抗体(抗ペプチドは、当業者に良く知られた多数の手段のいずれかによって生産することができる。
イムノアッセイは、しばしば、捕獲剤および分析物によって形成される結合複合体に特異的に結合し、それを標識するために標識剤を利用する。標識剤は、それ自体、抗体/分析複合体を含む部位の1つであり得る。したがって、標識剤は標識されたポリペプチドまたは標識された抗抗体であり得る。あるいは、標識剤は、抗体/ポリペプチド複合体に特異的に結合する別の抗体のような第3の部位であり得る。
1つの好ましい実施形態において、標識剤は標識を担う第2のヒト抗体である。あるいは、第2の抗体は標識を欠き得るが、それは、今度は、第2の抗体が由来する種の抗体に特異的な標識された第3の抗体によって結合され得る。該第2の抗体は、酵素−標識ストレプトアビジンのような、第3の標識された分子が特異的に結合することができるビオチンとして、検出可能な部位で修飾することができる。
プロテインAまたはプロテインGのような免疫グロブリン定常領域に特異的に結合することができる他のタンパク質を標識剤として用いることもできる。これらのタンパク質はstreptococcal細菌の細胞壁の通常の構成要素である。それらは種々の種からの免疫グロブリン定常領域との強い非免疫原性反応性を呈する(一般に、Kronval,et al.(1973)J.Immunol.,111:1401−1406,and Akerstrom(1985)J.Immunol.,135:2589−2542参照)。
上記のように、ポリペプチドの検出および/または定量のためのイムノアッセイは、当業者に良く知られた多数の技術の様式を採ることができる。
ポリペプチドを検出するための好ましいイムノアッセイは競合的または非競合的のいずれかである。非競合的イムノアッセイは、捕獲された分析物の量を直接的に測定するアッセイである。1つの好ましい「サンドイッチ」アッセイにおいては、例えば、捕獲剤(抗ペプチド抗体)を固体基質に直接的に結合することができ、そこでそれらは固定化される。次いで、これらの固定化された抗体は試験サンプルに存在するポリペプチドを捕獲する。かく固定化されたポリペプチドを、次いで、標識を担う第2のヒト抗体のような標識剤によって結合させる。
競合アッセイにおいては、サンプルに存在する分析物(ポリペプチド)の量は、サンプルに存在する分析物により捕獲剤(抗ポリペプチド抗体)から置き換えられた(または競合から離れた)付加(外因性)分析物(ポリペプチド)の量を測定することによって、間接的に測定される。1つの競合アッセイにおいて、既知量のこの場合にはポリペプチドをサンプルに加え、次いで、サンプルを捕獲剤と接触させる。抗体に結合したポリペプチドの量は、サンプルに存在するポリペプチドの濃度に逆比例する。
1つの特に好ましい実施形態においては、抗体を固体基質に固定化する。抗体に結合したポリペプチドの量は、ポリペプチド/抗体複合体に存在するポリペプチドの量を測定することによって、あるいは、残存する複合体化していないポリペプチドの量を測定することによって決定することができる。ポリペプチドの量は標識されたポリペプチドを提供することによって検出することでできる。
本発明のアッセイは、当業者によく知られた標準的な方法に従って(ポリペプチドの陽性または陰性または量として)スコア取りする。スコア取りの特別な方法はアッセイの様式および標識の選択に依存するであろう。例えば、ウエスタンブロットアッセイは、酵素標識によって生じた着色生成物を可視化することによってスコア取りすることができる。正しい分子量における明瞭に目に見える着色バンドまたはスポットを陽性結果としてスコア取りし、他方、明瞭に目に見えないスポットまたはバンドの不存在を陰性としてスコア取りする。バンドまたはスポットの強度は、ポリペプチドの定量的尺度を提供することができる。
本明細書中に記載された種々のイムノアッセイで用いられる抗体は以下に記載するように生産することができる。
別の実施形態において、標識(活性)は、遺伝子産物の酵素活性を測定することによってアッセイされる。酵素の活性をアッセイする方法は当業者によく知られている。
バイオマーカータンパク質の検出用のインビボ技術は、タンパク質に対して向けられた標識された抗体を被験体に導入することを含む。例えば、抗体を、被験体におけるその存在および位置を標準的なイメージ技術によって検出することができる放射性マーカーで標識することができる。
本発明の方法によって同定されるある種のマーカーは分泌されたタンパク質である。いずれかの特定のマーカータンパク質が分泌タンパク質であるか否かを判断するのに当業者にとって単純な事柄である。この判断を成すためには、マーカータンパク質を、例えば、哺乳動物細胞、好ましくは、ヒト細胞株で発現させ、細胞外流体を集め、(例えば、タンパク質に特異的に結合する標識された抗体を用いて)細胞外流体中でのタンパク質の存在または不存在を評価する。
以下にタンパク質の分泌を検出するのに用いることができる方法の例を挙げる。約8×10の293T細胞を、5%(v/v)CO、95%空気雰囲気下で、増殖培地(10%胎児ウシ血清を補足したダルベッコの修飾イーグル培地{DMEM})を含有するウェル中で37℃にて、約60ないし70%密集までインキュベートする。次いで、ウェル当たりタンパク質をコードする発現ベクターを含む2マイクログラムのDNA、および10マイクロリットルのLipofectAMINETM(GIBCO/BRLカタログ番号18432−012)を含む標準トランスフェクション混合物を用いて細胞をトランスフェクトする。トランスフェクション混合物を約5時間維持し、次いで、新鮮な増殖培地で置き換え、空気雰囲気中に維持する。各ウェルを、メチオニンまたはシステインを含有しないDMEM(DMEM−MC;ICNカタログ番号16−424−54)で2回軽くすすぐ。約1ミリリットルのDMEM−MCおよび約50マイクロキュリーのTrans−35TM試薬(ICNカタログ番号51006)を各ウェルに加える。ウェルを上記の5%CO雰囲気下に維持し、選択された時間の間37℃にてインキュベートする。インキュベーションに続き、150マイクロリットルの条件培地を取り出し、遠心して、浮遊細胞およびデブリスを除去する。上清中のタンパク質の存在は、タンパク質が分泌されたことを示す。
被験体サンプル、例えば、組織、全血、血清、血漿、頬掻取物、唾液、脳脊髄液、尿、糞、胆汁、膵液、および膵臓組織を含有するサンプルは、特に、細胞が癌性である場合に、より特別には、癌が転移性である場合に、その中に細胞を含有し得、したがって、本発明の方法で用いることができることが認識されよう。細胞サンプルは、勿論、サンプル中のマーカーの発現のレベルを評価するに先立って、種々のよく知られた収集後調製および貯蔵技術(例えば、核酸および/またはタンパク質抽出、固定、貯蔵、凍結、限外濾過、濃縮、蒸発、遠心など)に付すことができる。したがって、本発明の組成物、キットおよび方法を用いて、それを発現する細胞の表面に提示された少なくとも1つの部分を有するタンパク質に対応するマーカーの発現を検出することができる。いずれかの特定のマーカーに対応するタンパク質が細胞−表面タンパク質か否かを判断するのは当業者にとって簡単なことである。例えば、免疫学的方法を用いて全細胞にてそのようなタンパク質を検出することができるか、あるいはよく知られたコンピューターベースの配列分析方法(例えば、SIGNALPプログラム;Nielsen et al.,1997,Protein Engineering 10:1−6)を用いて、(分泌されたタンパク質および少なくとも1つの細胞−表面ドメインを有するタンパク質両方を含めた)少なくとも1つの細胞外ドメインの存在を予測することができる。それを発現する細胞の表面に提示される少なくとも1つの部分を有するタンパク質に対応するマーカーの発現は、(例えば、タンパク質の細胞−表面ドメインと特異的に結合する標識された抗体を用いて)細胞を必ずしも溶解させることなく検出することができる。
本発明は、生物学的サンプル、例えば、組織、全血、血清、血漿、頬掻取物、唾液、脳脊髄液、尿、糞、胆汁、膵液、および膵臓組織を含有するサンプル中の、本発明のマーカーに対応するポリペプチドまたは核酸の存在を検出するためのキットも含む。そのようなキットを用いた、被験体が癌に罹っているか、または癌を発症する危険性が増大しているかを判断することができる。例えば、キットは、生物学的サンプル中の本発明のマーカーに対応するポリペプチド、またはポリペプチドをコードするmRNAを検出することができる標識された化合物または剤、およびサンプル中のポリペプチドまたはmRNAの量を測定するための手段(例えば、ポリペプチドに結合する抗体、またはポリペプチドをコードするDNAまたはmRNAに結合するオリゴヌクレオチドプローブ)を含むことができる。キットは、該キットを用いて得られる結果を解釈するための指示書も含むことができる。
抗体ベースのキットでは、キットは、例えば、(1)本発明のマーカーに対応するポリペプチドに結合する(例えば、固体支持体に結合した)第1の抗体、および所望により(2)ポリペプチドまたは第1の抗体いずれかに結合し、検出可能な標識に結合する第2の異なる抗体を含むことができる。
オリゴヌクレオチドベースのキットでは、キットは、例えば、(1)本発明のマーカーに対応するポリペプチドをコードする核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、例えば、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド、または(2)本発明のマーカーに対応する核酸分子を増幅するのに有用なプライマーの対を含むことができる。キットは、例えば、緩衝剤、保存剤、またはタンパク質安定化剤を含むこともできる。キットは、さらに、検出可能な標識(例えば、酵素または基質)を検出するのに必要な成分も含むことができる。キットは、アッセイすることができ、かつ試験サンプルと比較することができるコントロールサンプル、または一連のコントロールサンプルを含有することもできる。キットの各成分は個々の容器内に入れることができ、種々の容器の全ては、キットを用いて行われるアッセイの結果を解釈するための指示書と共に、単一パッケージ内に入れることができる。
(4.構造的変化を検出するための方法)
本発明は、構造的変化、例えば、癌サンプル中のマーカーの突然変異、または対立遺伝子変種を、正常な、例えば、コントロールサンプル中のマーカーの構造的変化、例えば、突然変異と比較することによって、被験体が癌に罹っているか、または癌を発症する危険性があるかを評価する方法も提供する。癌サンプル中のマーカーにおける構造的変化、例えば、突然変異、または対立遺伝子変種の存在は、被験体が癌に罹っていることを示す。
好ましい検出方法は、多形部位と重複するプローブを用い、かつ多形領域の周りに約5、10、20、25、または30ヌクレオチドを有する対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションである。本発明の好ましい実施形態において、対立遺伝子変種に特異的にハイブリダイズすることができるいくつかのプローブを固相支持体、例えば、「チップ」に結合させる。オリゴヌクレオチドは、リソグラフィーを含めた種々のプロセスによって固体支持体に結合させることができる。例えば、チップは250,000までのオリゴヌクレオチド(GeneChip,AffymetrixTM)を保有することができる。「DNAプローブ多形とも言われる」オリゴヌクレオチドを含むこれらのチップを用いる突然変異検出分析は、例えば、Cronin et al.(1996)Human Mutation 7:244に記載されている)。一実施形態において、チップは遺伝子の少なくとも1つの多形領域の全ての対立遺伝子変種を含む。次いで、固相支持体を試験核酸と接触させ、特異的プローブへのハイブリダイゼーションを検出する。従って、1以上の遺伝子の多数の対立遺伝子変種の同一性は、単純なハイブリダイゼーション実験で同定することができる。例えば、5’上流調節エレメントにおけるヌクレオチド多形の対立遺伝子変種の同一性は、単一のハイブリダイゼーション実験で決定することができる。
他の検出方法において、対立遺伝子変種を同定するに先立って、マーカーの少なくとも一部をまず増幅することが必要である。増幅は、例えば、当該分野で知られた方法に従って、PCRおよび/またはLCR(Wu and Wallace(1989)Genomics 4:560)によって行うことができる。一実施形態において、細胞のゲノムDNAを、必要な量の増幅されたDNAを生じさせるのに十分な多数のサイクルの2つのPCRプライマーおよび増幅に暴露される。好ましい実施形態において、プライマーは150および350の間の塩基対だけ離れている。
別の増幅方法は自己維持配列複製(Guatelli,J.C.et al.,(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874−1878)、転写増幅システム(Kwoh,D.Y.et al.,(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173−1177)、Q−ベータレプリカーゼ(Lizardi,P.M.et al.,(1988)Bio/Technology 6:1197)、および自己−維持配列複製(Guatelli et al.,(1989)Proc.Nat.Acad.Sci.87:1874)、および核酸ベースの配列増幅(NABSA)、あるいはいずれかの他の核酸増幅方法、続いての、当業者によく知られた技術を用いる増殖された分子の検出を含む。これらの検出スキームは、もしそのような分子が非常に少数で存在するならば、核酸分子の検出で特に有用である。
一実施形態において、当該分野で知られた種々の配列決定反応のいずれかを用いて、マーカーの少なくとも一部を直接的に配列決定し、次いで、サンプル配列の配列を対応する参照(コントロール)配列と比較することによって、対立遺伝子変種、例えば、突然変異を検出することができる。例示的な配列決定反応はMaxam and Gilbert(Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1977)74:560)またはSanger(Sanger et al.(1977)Proc.Nat.Acad.Sci 74:5463)によって開発された技術に基づくものを含む。また、マススペクトロメトリーによる配列決定を含めた種々の自動配列決定手法のいずれかを、被験体アッセイ(Biotechniques(1995)19:448)を行う場合に利用することができることも考えられる(例えば、H.KoesterによるDNA Sequencing by Mass Spectrometryと題された米国特許第5,547,835号および国際特許出願公開番号WO 94/16101;H.Koesterによる“DNA Sequencing by Mass Spectrometry Via Exonuclease Degradation”と題された米国特許第5,547,835号および国際特許出願公開番号WO 94/21822、およびH.KoesterによるDNA Diagnostics Based on Mass Spectrometryと題された米国特許第5,605,798号および国際特許出願番号PCT/US96/03651;Cohen et al.(1996)Adv Chromatogr 36:127−162;およびGriffin et al.(1993)Appl Biochem Biotechnol 38:147−159参照)。ある実施形態では、配列決定反応において、1、2または3のみの核酸塩基の出現が決定される必要があるのは当業者に明らかであろう。例えば、A−トラックなどを、例えば、唯1つのヌクレオチドが検出される場合に行うことができる。
なお、他の配列決定方法は、例えば、“Method of DNA sequencing employing a mixed DNA−polymer chain probe”と題された米国特許第5,580,732号および“Method for mismatch−directed in vitro DNA sequencing”と題された米国特許第5,571,676号に開示されている。
いくつかの場合において、被験体からのDNAにおけるマーカーの特異的対立遺伝子の存在は、制限酵素分析によって示すことができる。例えば、特異的ヌクレオチド多形の結果、別の対立遺伝子変種のヌクレオチド配列は存在しない制限部位を含むヌクレオチド配列がもたらされ得る。
さらなる実施形態において、(ヌクレアーゼ、ヒドロキシアミンまたは四酸化オスミウムのような、およびピペリジンと共に)切断剤からの保護を用いて、RNA/RNA、DNA/DNA、またはRNA/DNAヘテロ二重鎖におけるミスマッチした塩基を検出することができる。(Myers,et al.(1985)Science 230:1242)。一般に、「ミスマッチ切断」の技術は、所望により標識されていてもよいコントロール核酸、例えば、マーカー対立遺伝子変種のヌクレオチド配列を含むRNAまたはDNAを、組織サンプルから得られたサンプル核酸、例えば、RNAまたはDNAとハイブリダイズさせることによって形成されたヘテロ二重鎖を提供するによって開始する。二本鎖二重鎖を、コントロールおよびサンプルストランドの間の塩基対ミスマッチに基づいて形成された二重鎖のような二重鎖の一本鎖領域を切断する剤で処理する。例えば、RNA/DNA二重鎖を、RNaseで処理し、S1ヌクレアーゼでDNA/DNAハイブリッドを処理して、ミスマッチした領域を酵素により消化することができる。他の実施形態において、DNA/DNAまたはRNA/DNAいずれかの二重鎖をヒドロキシアミンまたは四酸化オスミウム、およびピペリジンで処理して、ミスマッチした領域を消化することができる。ミスマッチした領域の消化の後、次いで、変性ポリアクリルアミドゲルでのサイズによって得られた物質を分離して、コントロールおよびサンプル核酸は同一のヌクレオチド配列を有するか否か、あるいはいずれのヌクレオチドにおいてそれらが異なるかを決定する。例えば、Cotton et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:4397;Saleeba et al.(1992)Methods Enzymol.217:286−295参照)。好ましい実施形態において、コントロールまたはサンプル核酸を検出のために標識する。
別の実施形態において、対立遺伝子変種は変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)によって同定することができる(Oefner and Underhill,(1995)Am.J.Human Gen.57:Suppl.A266)。DHPLCは逆相イオン−対合クロマトグラフィーを用いて、PCRフラグメント内の特定のヌクレオチド遺伝子座においてヘテロ接合性である個体からのPCRフラグメントの増幅の間に生じるヘテロ二重鎖を検出する(Oefner and Underhill(1995)Am.J.Human Gen.57:Suppl.A266)。一般に、PCR産物は、注目するDNAに近接するPCRプライマーを用いて生じる。DHPLC分析を行い、得られたクロマトグラムを分析して、特異的クロマトグラフィープロフィールに基づいて塩基対の改変または欠失を同定する(O’Donovan et al.(1998)Genomics 52:44−49参照)。
他の実施形態において、電気泳動移動度の変化を用いて、マーカー対立遺伝子変種のタイプを同定する。例えば、一本鎖立体配座多形(SSCP)を用いて、突然変異体および野生型核酸の間の電気泳動移動度の差を検出することができる(Orita et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:2766、またCotton(1993)Mutat Res 285:125−144;およびHayashi(1992)Gent Anal Tech Appl 9:73−79参照)。サンプルおよびコントロール核酸の一本鎖DNAフラグメントを変性し、再生させる。一本鎖核酸の二次構造は配列に従って変化し、電気泳動移動度の得られた変化は単一塩基変化さえの検出を可能とする。DNAフラグメントを標識し、または標識されたプローブで検出することができる。アッセイの感度は(DNAよりむしろ)RNAを用いることによって増強させることができ、ここに二次構造は配列の変化に対してより感受性である。別の好ましい実施形態において、主題の方法はヘテロ二重鎖分析を利用して、電気泳動移動度の変化に基づいて二本鎖へテロ二重鎖分子を分離する(Keen et al.(1991)Trends Genet 7:5)。
なお別の実施形態において、多形領域の対立遺伝子変種の同一性は、変性剤のグラジエントを含むポリアクリルアミドゲルにおける多形領域を含む核酸の移動を分析することによって得られ、変性グラジエントゲル電気泳動(DGGE)を用いてアッセイされる。(Myers et al.(1985)Nature 313:495)。DGGEを分析の方法として用いる場合、DNAを修飾して、例えば、PCRによりほぼ40bpの高融解GC−リッチのDNAのGCクランプを加えることによって、完全には変性しないことを保証する。さらなる実施形態において、変性剤グラジエントの代わりに温度グラジエントを用いて、コントロールおよびサンプルDNAの移動度の差を同定する(Rosenbaum and Reissner(1987)Biophys Chem 265:1275)。
2つの核酸の間の少なくとも1つのヌクレオチドの差を検出するための技術の例は、限定されるものではないが、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、または選択的プライマー延長を含む。例えば、公知の多形ヌクレオチドが中央に置かれ、(対立遺伝子特異的プローブ)、次いで、もし完全なマッチが見出される場合のみハイブリダイゼーションを可能とする条件下で、標的DNAにハイブリダイズさせるオリゴヌクレオチドプローブを調製することができる(Saiki et al.(1986)Nature 324:163);Saiki et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6230;およびWallace et al.(1979)Nucl.Acids Res 6:3543)。そのような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション技術は、マーカーの異なる多形領域におけるいくつかのヌクレオチド変化の同時検出で用いることができる。例えば、特異的対立遺伝子変種のヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドを、ハイブリダイゼーション用膜に付着させ、次いで、この膜を標識されたサンプル核酸とハイブリダイズさせる。次いで、ハイブリダイゼーションのシグナル分析は、サンプル核酸のヌクレオチドの同一性を明らかにするであろう。
あるいは、選択的PCR増幅に依存する対立遺伝子特異的増幅技術を本発明と組み合わせて用いることができる。特異的増幅のためにプライマーとして用いられるオリゴヌクレオチドは、(増幅が異なるハイブリダイゼーションに依存するように)分子の中央に(Gibbs et al.(1989)Nucleic Acids Res.17:2437−2448)、あるいは1つのプライマーの極端に3’末端において注目する対立遺伝子変種を運ぶことができ、ここで、適切な条件下で、ミスマッチを妨げることができ、またはポリメラーゼ延長を低下させることができる(Prossner(1993)Tibtech 11:238;Newton et al.(1989)Nucl.Acids.Res.17:2503)。この技術は、プローブオリゴ塩基延長に対して「PROBE」とも言われる。加えて、突然変異の領域において新規な制限部位を導入して、切断ベースの検出を作り出すのが望ましいであろう(Gasparini et al.(1992)Mol.Cell Probes 6:1)。
別の実施形態において、対立遺伝子変種の同定は、例えば、米国特許第4,998,617号およびLandegren,U.et al.,(1988)Science 241:1077−1080に記載されたように、オリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)を用いて行われる。該OLAプロトコルは、標的の単一ストランドの連接配列にハイブリダイズすることができるように設計した2つのオリゴヌクレオチドを用いる。オリゴヌクレオチドの1つは分離マーカー、例えば、ビオチニル化マーカーに連結され、他のものは検出可能に標識される。もし正確な相補的配列が標的分子で見出されれば、オリゴヌクレオチドは、それらの末端が隣接し、連結基質を作り出すようにハイブリダイズする。次いで、連結は標識されたオリゴヌクレオチドがアビジン、または別のビオチンリガンドを用いて回復されるのを可能とする。Nickerson,D.A.et al.は、PCRおよびOLAの属性を組み合わせる核酸検出アッセイを記載した(Nickerson,D.A.et al.,(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)87:8923−8927)。この方法において、PCRを用いて、標的DNAの指数関数的増幅を達成し、これは、次いで、OLAを用いて検出される。
本発明は、さらに、マーカーにおける単一ヌクレオチド多形を検出するための方法を提供する。単一ヌクレオチド多形は不変配列の領域が近接する変異の部位を構成するので、それらの分析は変異の部位に存在する単一ヌクレオチドの同一性の決定を超えては必要とせず、各被験体について完全な遺伝子配列を決定する必要はない。いくつかの方法が、そのような単一ヌクレオチド多形の分析を容易とするために開発されている。
一実施形態において、単一塩基多形は、例えば、Mundy,C.R.(米国特許第4,656,127号)に開示されたように、特殊化されたエキソヌクレアーゼ−耐性ヌクレオチドを用いることによって検出することができる。該方法に従うと、多形部位に対して直ぐ3’側の対立遺伝子配列に相補的なプライマーが、特定の動物またはヒトから得られた標的分子にハイブリダイズすることを可能とする。もし標的分子上の多形部位が、存在する特定のエキソヌクレアーゼ−耐性ヌクレオチド誘導体に相補的であるヌクレオチドを含有するならば、その誘導体はハイブリダイズされたプライマーの末端に取り込まれるであろう。そのような取り込みはプライマーをエキソヌクレアーゼに対して耐性とし、それによって、その検出を可能とする。サンプルのエキソヌクレアーゼ−耐性誘導体の同一性は知られているので、プライマーはエキソヌクレアーゼに対して耐性となるという知見は、標的分子の多形部位に存在するヌクレオチドは、反応で用いるヌクレオチド誘導体のそれに対して相補的であることを明らかとする。この方法は、それが大量の外来性配列データの判断を必要としない利点を有する。
本発明の別の実施形態において、溶液ベースの方法を、多形部位のヌクレオチドの同一性を徹底するために用いる。Cohen,D.et al.(フランス特許第2,650,840号:PCT出願番号 WO 91/02087)。米国特許第4,456,127号のMundy方法におけるように、多形部位に対して直ぐ3’側の対立遺伝子配列に相補的なプライマーを使用する。該方法は、もし多形部位のヌクレオチドに対して相補的であるならば、プライマーの末端に取り込まれるようになる標識されたジデオキシヌクレオチド誘導体を用いてその部位のヌクレオチドの同一性を決定する。
Genetic Bit AnalysisまたはGBATMとして知られた別の方法がGoelet,P.et al.(PCT出願番号92/15712)によって記載されている。Goelet,P.et al.の方法は、標識されたターミネーター、および多形部位に直ぐ3’側の配列に相補的なプライマーの混合物を用いる。取り込まれる標識されたターミネーターは、したがって、評価すべき標的分子の多形部位に存在するヌクレオチドによって決定され、かつそれに相補的である。Cohen et al.の方法(フランス特許第2,650,840号;PCT出願番号WO91/02087)とはコントロール的に、Goelet,P.et al.の方法は好ましくは不均一相アッセイであり、そこでは、プライマー、または標識分子が固相に固定化される。
DNAにおける多形部位にアッセイさせるためのいくつかのプライマー誘導ヌクレオチド取り込み手法は記載されている(Komher,J.S.et al.,(1989)Nucl.Acids.Res.17:7779−7784;Sokolov,B.P.,(1990)Nucl.Acids. Res. 18:3671;Syvanen,A.−C.,et al.,(1990)Genomics 8:684−692;Kuppuswamy,M.N.et al.,(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)88:1143−1147;Prezant,T.R.et al.,(1992)Hum.Mutat.1:159−164;Ugozzoli,L.et al.,(1992)GATA 9:107−112;Nyren,P.et al.,(1993)Anal.Biochem.208:171−175)。これらの方法は、多形部位における塩基の間を識別するために標識されたデオキシヌクレオチドの取り込みにそれら全てが依拠する点でGBATMとは異なる。そのような様式において、シグナルは取り込まれたデオキシヌクレオチドの数に比例するので、同一ヌクレオチドの実行で起こる多形の結果、該実行の長さに比例するシグナルがもたらされ得る(Syvanen,A.C.,et al.,(1993)Amer.J.Hum.Genet.52:46−59)。
マーカーのコーディング領域に位置する多形領域の対立遺伝子変種の同一性を決定するためには、上記のもの以外のさらに他の方法を用いることができる。例えば、突然変異したマーカーをコードする対立遺伝子変種の同定は、例えば、免疫組織化学または免疫沈澱における突然変異体タンパク質を特異的に認識する抗体を用いることによって実行することができる。野生型マーカーまたはマーカーの突然変異した形態に対する抗体を、当該分野で知られた方法に従って調製することができる。
あるいは、マーカーリガンドへの結合のようなマーカーの活性を測定することもできる。結合アッセイは当該分野で知られており、例えば、被験体から細胞を入手し、次いで、標識されたリガンドで結合実験を行って、タンパク質の突然変異した形態への結合がタンパク質の野生型への結合から異なるか否かを判断することを含む。
(B.薬理ゲノミクス)
本発明のマーカーの量および/または活性に対する刺激または阻害効果を有する剤またはモジュレータを個人に投与して、被験体において癌を(予防的または治療的に)処置することができる。そのような処置と組み合わせて、個人の薬理ゲノミクス(すなわち、個人の遺伝子型の間の関係、および外来性化合物または薬物に対するその個人の応答)を考慮することができる。治療剤の代謝の差は、薬理学的に活性な薬物の用量および血液濃度の間の関係を変化させることによるひどい毒性または治療的失敗に導きかねない。したがって、個人の薬理ゲノミクスは、個人の遺伝子型の考慮に基づいて予防的または治療的処置についての効果的な剤(例えば、薬物)の選択を可能とする。そのようなフォルマコゲノミクスをさらに用いて、適切な用量および治療的養生法を決定することができる。従って、個人における本発明の量、構造および/または活性を測定して、それによって、個人の治療的および予防的処置に対する適切な剤を選択することができる。
薬理ゲノミクスは、冒された個人における変化した薬物性質および異常な作用により、薬物に対する応答での臨床的に重要な変動を取り扱う。例えば、Linder(1997)Clin.Chem.43(2):254−266参照。一般に、2つのタイプのファルマコジェネティック条件を区別することができる。薬物が身体に作用する様式を変化させる単一因子として伝達される遺伝子的条件を「改変された薬物作用」と言う。身体が薬物に作用する様式を変化させる単一因子として伝達される遺伝子的条件を「改変された薬物代謝」と言う。これらのファルマコジェネティック条件は稀な欠陥として、または多形としていずれかで起こり得る。例えば、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)欠陥は共通に遺伝される酵素病であり、そこでは、主な臨床的合併症は酸化剤薬物(抗マラリア剤、スルホンアミド、鎮痛剤、ニトロフラン)の摂取後における溶血、およびソラマメの消費である。
例示的実施形態として、薬物代謝酵素の活性は薬物作用の強度および持続両方の主な決定因子である。薬物代謝酵素(例えば、N−アセチルトランスフェラーゼ2(NAT 2)およびチトクロームP450酵素CYP2D6およびCYP2C19)の遺伝的多形の発見は、なぜ幾人かの被験体が予期される薬物効果を得ず、あるいは薬物の標準的かつ安全な量を摂取した後に過剰な薬物応答および深刻な毒性を示すかに関する説明を提供した。これらの多形は、集団における2つの表現型、広範なメタボライザー(EM)および貧弱なメタボライザー(TM)で発現される。PMの罹患率は異なる集団の間で異なる。例えば、CYP2D6についてコードする遺伝子は高度に多形であり、いくつかの突然変異がPMで同定されており、それら全ては機能的CYP2D6の不存在に導く。CYP2D6およびCYP2C19の貧弱なメタボライザーへは、非常にしばしば、それらが標準的な用量を受ける場合に過剰な薬物応答および副作用を経験する。もし代謝産物が活性な治療部位であるならば、そのCYP2D6−形成代謝産物モルホリンによって媒介されるコデインの鎮痛効果について証明されているように、PMは治療的応答を示さない。他の極端なものは、標準的用量に応答しないいわゆる超迅速メタボライザーである。最近、超迅速代謝の分子的基礎が、CYP2D6遺伝子増幅によるものであると同定されている。
したがって、個人における本発明のマーカーの量、構造、および/または活性を測定して、それによって、個人の治療的または予防的処置のための適切な剤を選択することができる。加えて、ファルマコジェネティック研究を用いて、薬物−代謝酵素をコードする多形対立遺伝子のタイプ分けを個人の薬物応答性表現型の同定に適用することができる。この知識は、投与または薬物の選択に適用した場合に、有害な反応または治療的失敗を回避し、したがって、被験体を本発明のマーカーの量、構造および/または活性のモジュレータで処置した場合に治療的または予防的に有効性を増強させることができる。
(C.モニタリング臨床試験)
本発明のマーカーの量、構造、および/または活性に対する剤(例えば、薬物化合物)の影響のモニタリングは、基本的薬物スクリーニングのみならず、臨床試験においても適用することができる。例えば、マーカーの量、構造、および/または活性に影響する剤の有効性を、癌のための治療を受けつつある被験体の臨床試験でモニタリングすることができる。好ましい実施形態において、本発明は、(i)剤の投与に先立って被験体からプレ投与サンプルを入手し;(ii)プレ投与サンプル中の本発明の1以上の選択されたマーカーの量、構造、および/または活性を検出し;(iii)被験体から1以上のポスト−投与サンプルを入手し;(iv)ポスト−投与サンプル中のマーカーの量、構造、および/または活性を検出し;(v)プレ投与サンプル中のマーカーの発現のレベルを、ポスト−投与サンプルまたは複数サンプル中のマーカーの量、構造、および/または活性と比較し;次いで(vi)それに従って、被験体への剤の投与を変化させる工程を含む、剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチドミメティク、タンパク質、ペプチド、抗体、核酸、アンチセンス核酸、リボザイム、低分子、RNA緩衝剤、または他の薬物候補)での被験体の処置の有効性をモニタリングする方法を提供する。例えば、剤の増加した投与は、検出されるよりも高いレベルまでマーカーの量および/または活性を増加させる、すなわち、剤の有効性を増加させるのが望ましくあり得る。あるいは、剤の減少した投与は、検出されるよりも低いレベルまでマーカーの量および/または活性を減少させる、すなわち、剤の有効性を減少させるのが望ましくあり得る。
限定的と解釈されるべきではない以下の実施例によって本発明をさらに説明する。本出願を通じて引用される全ての文献、図面、配列表、特許および公開された特許出願の内容をここに引用して援用する。
(実施例1)
(A.材料および方法)
(一次腫瘍および細胞株)
全ての細胞株はAmerican Type Culture Collection(ATCC)またはGerman Collection of MicroorganismsおよびCell Cultures(DSMZ)から獲得した。原発性膵管腺癌のすべての新鮮な凍結検体はMemorial Sloan−Kettering Cancer Center tumor bankから入手し、組織学は実験に含めるに先立ってヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色によって確認した(表2)。表2は、実験におけるアレイ−CGHおよび発現プロファイリングによって分析された細胞株をリストする。
(cDNAマイクロアレイについてのアレイ−CGHプロファイリング)
修飾された公表されたプロトコル(Pollack,J.R.,et al.(1999)Nat Genet 23,41−6)に従って、ゲノムDNAをフラグメント化し、ランダム−起点標識した。標識されたDNAを、それについてほぼ9,420のユニークなマップ位置が規定された(NCB1,Build 33)14,160のcDNAクローン(Agilent TechnologiesTM,ヒト1クローン組)を含有するヒトcDNAマイクロアレイにハイブリダイズさせた。マップされたエレメントの間のメジアン間隔は100.1キロベースであり、間隔の92.8%は1メガベース未満であり、および98.6%は3メガベース未満である。
アレイのスキャンされたイメージの蛍光比率を計算し、生のアレイ−CGHプロフィールを処理して、順列を使用して、生データにおける変化点の有意性を決定するセグメント化アルゴリズムを用いてコピー数の統計学的に有意な転移を同定した(Olshen,A.B. and Venkatraman,E.S.(2002)ASA Proceedings of the Joint Statistical Meetings,2530−2535;Ginzinger,D.G.(2002)Exp Hematol 30,503−12)。各セグメントに、含まれるプローブのメジアンであるLog比率を割り当てた。データを、セグメント化の値の分布において、最も高いモードを中心とした。モード−センタリングの後に、獲得および喪失を+0.13または−0.13(データの中央50%変位量+/−4標準偏差)よりも大きなまたはそれと等しいLog比率と定義し、増幅および欠失は、各々、0.52よりも大きな、−0.58未満の比率と定義した(すなわち、97%または2%変位量)((図4)。
(自動遺伝子座定義)
遺伝子座を、以下の規則に基づいてセグメント化データに適用される自動アルゴリズムによって定義した:
1.97番目の変位量または3番目の変位量のセグメントを変化した場合、定義した。
2.2以上の変化したセグメントが単一プロフィールにおいて隣接するか、あるいは500KB未満だけ分離されていれば、セグメントにわたる全領域は変化したスパンと考えた。
3.20MBよりも短い高度に変化したセグメントまたはスパンを、区別される遺伝子座境界と定義するための「情報的スパン」として保有した。より長い領域を捨てず、しかしながら遺伝子座境界を定義するのに含めなかった。
4.情報的スパンをサンプルをわたって比較して、正の値または負の値のセグメントの重複群を同定した;各群は遺伝子座を規定した。
5.最小共通領域(MCR)は、高度に変化したセグメントの発生をカウントすることによって計算して少なくとも75%のピーク再発を有する連続スパンと定義した。もし2つのMCRがただ1つのプローブ位置のギャップによって分離されていれば、それらを合わせた。もし遺伝子座において3を超えるMCRがあれば、全領域を単一複合体MCRとして報告した。
(MCR特徴付け)
各MCRについては、ピークセグメント値を同定した。獲得または喪失の再発は、従前に定義されたより低い閾値(〜+/−0.13)に基づいて全てのサンプルにわたって計算した。セグメントの値または長さに対する閾値とは独立した再発のさらなる尺度として、増幅された領域についてのゼロを超える、欠失された領域についてのゼロ未満の、全てのセグメント値のメジアンを取ることによって、メジアン異常(MA)を各プローブ位置について計算した。値のこの対を、各サンプルプロフィールにおいて独立してプローブ標識の順列を並び替えた後に得られた値の分布と比較した。MAの大きさが並び替えられた平均の95%を超える場合、該領域は有意に獲得されたまたは喪失されたとしてマークし、これを優先順位のための票決システムで用いた。既知の遺伝子およびGENSCANモデルで予測された遺伝子の数を、UCSUにおける2003年4月のヒトアセンブリーに基づいてカウントした(genome.ucsc.edu)。
(QTCR確認)
PCRプライマーを、標的およびコントロール配列内で100ないし150bpの産物を増幅するように設計した。各細胞株におけるコントロール配列のためのプライマーを、アレイ−CGH分析によって示される正倍数コピー数の領域内で設計した。定量的PCRは、ABI 7700配列検出システム(Perkin Elmer Life SciencesTM)にて、SYBR Green染料(QiagenTM)の蛍光の増加をリアルタイムでモニタリングすることによって行った。相対的遺伝子コピー数は比較C方法によって計算した(Ginzinger,D.G.(2002)Exp Hematol 30,503−12)。
(Affymetrix GeneChipTMについての発現プロファイリング)
ビオチニル化標的cRNAは全サンプルRNAから生じさせ、標準的なプロトコル(Golub,T.R.,et al.(1999)Science 286,531−7)に従ってヒトオリゴヌクレオチドプローブアレイ(U133A,AffymetrixTM,Santa Clara,CA)にハイブリダイズさせた。各遺伝子についての発現値は、25%および75%変位量の間の中点として定義されるサンプル組についての中央値に対するLog2比率によって標準化し、ヒトゲノムのNCBI Build33に基づいてゲノム位置にマッピングした。
(統合されたコピー数および発現分析)
アレイ−CGHデータは、各発現値をその対応するコピー数値にマッピングできるように内挿した。病巣CNAの検出を最大化するために、2つの別々の内挿を計算し、1つはより高い結合CGHプローブを選択し、1つはより低いものを選択する。各遺伝子位置については、アレイ−CGHがコピー数の変化を示すか否かに基づき、あるいは内挿されたCGH値に基づかずにグル−プ分けした。発現に対する遺伝子用量の効果は、変化したおよび変化していないサンプル群における発現値の標準偏差の合計で割った、変化したおよび変化していないサンプル群における発現値の平均の差として定義された遺伝子重量を計算することによって測定した(Hyman,E.,et al.(2002)Cancer Res 62,6240−5)。各遺伝子についての重量の有意性は、サンプル標識を1万回並び替え、0.05のアルファ閾値を適応することによって見積もった。
(B.結果)
(膵臓腺癌ゲノムにおけるCNAの包括的なカタログ)
合計75の原発性膵臓腫瘍検体から、60%よりも大きな新形成細胞性を保有する13のサンプルを同定した。24の確立された膵臓癌細胞株、例えば、膵臓腺癌細胞株(表2)に由来するDNAと共に、これらの原発性腫瘍サンプルからのゲノムDNAを、100kBのメジアン分解能を供するcDNAベースのアレイプラットフォームを用いるゲノム−幅アレイ−CGHプロファイリングに付した。これらのアレイ−CGHプロファイルにおける有意なコピー数事象の同定を容易とするために、Olshenおよび同僚によって開発されたサーキュラーバイナリセグメント化方法の修飾されたバージョンを使用した(Olshen,A.B.,and Venkatraman,E.S.(2002)ASA Proceedings of the Joint Statistical Meetings 2530−2535;Ginzinger,D.G.(2002)Exp Hematol 30,503−12;Golub,T.R.,et al.(1999)Science 286,531−7;Hyman,E.,et al.(2002)Cancer Res 62,6240−5;Lucito,R.,et al.(2003)Genome Res 13,2291−305)。このアルゴリズムは、初代データセットにおける確率ノイズ事象から区別されるコピー数転移点を同定し、区別するために非パラメーター統計学的検定に適用される。図1Aに示すように、セグメント化されたアレイ−CGHプロフィールは、以後「獲得」または「喪失」という、典型的には低い振幅である大きな領域的変化を容易に同定した。同様に、「増幅」または「欠失」を表す病巣高振幅変化は、原発性腫瘍検体および腫瘍細胞株両方で明らかである(図1)。本明細書中で報告するCNAの再発頻度は公表された文献に記載された頻度にマッチする(Solinas−Toldo,S.,et al.(1996)Cancer Res 56,3803−7;Mahlamaki,E.H.,et al.(1997)Genes Cromosomes Cancer 20,383−91;Mahlamaki,E.H.,et al.(2002)Genes Cromosomes Cancer 35,353−8;Fukushige,S.,et al.(1997)Genes Cromosomes Cancer 19:161−9;Curtis,L.J.,et al.(1998)Genomics 53,42−55;Ghadimi,B.M.,et al.(1999)Am J Pathol 154,525−36;Armengol,G.,et al.(2000)Cancer Genet Cytogenet 116,133−41)(図1B)。また、3q、8qおよび20qでの獲得、および1p、3p、6q、9p、17pおよび18qでの喪失に関して、原発性腫瘍および細胞株の間には強い一致がある(図5および図6参照)。しかしながら、いくらかの差が原発性腫瘍および細胞株データセットの間で明らかであり、原発性腫瘍サンプル内の細胞ヘテロ原性および/または細胞株における培養誘導遺伝子適合に帰属されるようである。
各CNA内の高度な構造的複雑性と共に、多くの新規なCNAの同定は、データセットにわたってCNAを規定し、順列表を作成するための目的基準の実行を促進した。その目的で、変化の振幅についての高有意性閾値のサイズおよび達成に基づいて、情報的CNAを規定する遺伝子座同定アルゴリズムを開発した。次いで、複数プロファイルからの重複CNAを自動的に融合させて、その境界がこれらの重複CNAの組み合わされた物理的程度を表す、領域的コピー数の変化の区別される「遺伝子座」を規定する(図1C)。各々の遺伝子座は、その遺伝子座についての最も顕著な増幅または欠失の輪郭を反映するピークプロファイル、幅および振幅によって特徴付けられる。さらに、各遺伝子座内で、1以上の最小共通領域(MCR)を複数の腫瘍サンプルにわたって同定することができ(図1C)、各MCRはサンプル組にわたってコピー数の変化を標的とする区別される癌関連遺伝子を潜在的に保有する。
遺伝子座同定アルゴリズムは、従前に記載された獲得または喪失のより大きな領域内のより多くの区別されるCNAを示すにおいてかなり効果的である。例えば、染色体6qは膵臓腺癌における最も頻繁に欠失された領域の1つとして報告されているが、確認された腫瘍サプレッサー遺伝子は未だこの遺伝子座に割り当てられていない。本明細書中で示したデータセットにおける6q喪失の分析は、2.4ないし12.8Mbのサイズの範囲である5つの区別されるMCRを同定し、6q喪失についての複数の標的があり得る確率を生起する。注目すべきことに、これらのMCRのうちの2つ(表3、遺伝子座#75および#76)は、共通対立遺伝子喪失の従前に同定された領域(Abe,T.,et al.(1999)Genes Cromosomes Cancer25,60−4)、本明細書中に記載された分析アプローチについてのさらなる確証を提供する観察と合致する。
(高優先遺伝子座の選択)
上記の遺伝子座同定アルゴリズムは、このデータセット内で(256の独立した常染色体遺伝子座からの)287の区別されるMCRを規定し、細胞株および原発性腫瘍両方における変化および表示の再発、振幅の項目について各々を注釈した。多くの腫瘍タイプにわたるこのプラットフォームでの広範な経験に基づいて、複数の独立したサンプルにわたる再発および高振幅シグナルは、独立したアッセイによる確認を最も予想する2つの特徴である。よって、これらの区別されるMCRは、(1)少なくとも2つの検体における高閾値増幅の再発、または欠失(97番目の100分位数を超え、または3番目の100分位数未満)、(2)少なくとも1つの原発性腫瘍検体における高閾値事象の存在、(3)統計学的に有意なメジアン異常(scc M&M)、および(4)細胞株または原発性腫瘍いずれかにおける0.8の絶対Log値と等しい、またはそれよりも大きなピーク振幅(0.5%変位量を超える)。
この優先順位スキームの実行により、4つの基準のうち少なくとも3つを満足する54の独立した遺伝子座内で64のMCRを生じた(表1)。表1において、膵臓腺癌における高信頼性再発CNAが示される。各MCRについては、公知の(「K」)および予測される(「P」)(GenScan)転写体(「Trspt」)の数が示される。これらのうち、いくつかは、そのサブセットがコピー数相関(「Sig」)についての統計学的有意性(p<0.05)を示す、AffymetrixTM U133Aチップ(「合計」)で表される。MCR再発は合計データセットのパーセンテージとして示される。獲得または喪失、および増幅または欠失と共に原発性腫瘍(T)または細胞株(C)の数を各々リストする。膵臓癌における関連性を裏付ける文献がある遺伝子座内の候補遺伝子をリストする。黒色菱形は、ピークが定義されるMCR内に入らない遺伝子座を示す。太字で表したMCRはQPCRによって確認される。注目すべきは、膵臓腺癌の病理において重要な役割を演じることが知られている遺伝子−p16INK4AおよびTP53腫瘍サプレッサーおよびMYC、KRAS2およびAKT2癌遺伝子−はこれらの高信頼性遺伝子座内に存在した(表1)。優先順位を決めたMCR内で、全データセットにわたっての38%の獲得/喪失についての平均再発率があり、これらの64のMCRのうち34についての最大または最小絶対Log値は1.0よりも大きく、それらを増幅または欠失で定義される閾値を有意に超えさせる(図4)。大部分の場合において、遺伝子座のピークプロファイルはMCRの1つに合致した(54の遺伝子座のうち47、表1)(Albertson,D.G.,et al.(2000)Nat Genet 25,144−6)。これらの64の優先順位を決めたMCRのメジアンサイズは2.7Mbであり、21のMCR(33%)は1Mb以下にわたる(表1)。0.33Mbのメジアンサイズを持つこれらの21の高度に病巣のMCR内に存在し、平均15の注釈されたおよび8つのGENSCAN予測遺伝子があり、それらを標的同定のためにかなり魅力的なものとする。
これらの優先順位を決めた遺伝子座に帰される信頼性レベルは、さらに、アレイ−CGHによって定義される16の選択されたMCRと100%一致を示したリアルタイム定量PCR(QPCR)によって確認した(表1)。例えば、7q21.11−7q32.2における増幅された遺伝子座のMCRはQPCRによって容易に確認された(図2A)。さらに、QPCR分析は、アレイ−CGHによって報告された複合体CNAの構造的詳細を確認した。図2Bに示されるように、QPCRは、p16INK4A、このCNAに対する公知の標的のホモ接合性欠失を含めた、HUP−T3における複合体9p21遺伝子座の各成分を正確に反映した。そのような詳細な構造的情報は、これらの癌関連染色体異常の発生の原因であるメカニズムを解剖するにおいて有用であることが判明するであろう。
表1における高優先MCRを、4つの基準のうちの2つを満足する(66の区別される遺伝子座内の)さらなる81の中程度優先MCRと組み合わせると、ゲノム特徴付けは121の独立した遺伝子座内の145のMCRのリストを生じた(表3)。表3は、本明細書中に記載された自動アルゴリズムによって優先順位を決めた64の高信頼性MCR(≧3投票)および81の中程度優先(2投票)MCRを含めた、121の独立した遺伝子座における145のMCRの組み合わされたリストを示す。各遺伝子座は細胞原性バンドに帰属され、他方、遺伝子座の現実の程度は(Mbで表した)染色体上のその物理的位置によってより正確に定義される(NCBI,Built33)。遺伝子座の総じての輪郭は最大/最小プロフィールによって反映され、これは、(物理的Mbで定義される)その幅および振幅によって遺伝子座内の増幅または欠失の最も顕著な点を規定する。各遺伝子座は、遺伝子座の細胞原性複雑性に依存して、1以上の最小共通領域(MCR)によってさらに規定される。各MCRは同様に規定される。加えて、公知および予測される(GENSCAN)転写体の数、ならびにAffymetrix−表示遺伝子の合計数、およびp−値<0.05を持つものを各MCRについて示す。MCR再発は全データセットのパーセンテージとして示す。獲得または喪失(各々、90%および10%変位量)と共に原発性腫瘍(T)または細胞株(C)の数をリストする。さらに、増幅または欠失についての閾値(各々、97%および3%変位量)を満足する獲得/喪失を持つこれらの腫瘍のサブセットもまた示す。各遺伝子座のMCRの境界は、保存的パラメーターに基づいて定義された。
(コピー数および発現情報の統合された分析)
遺伝子発現パターンについてのコピー数異常およびそれらの関連するインパクトは、癌遺伝子活性化および腫瘍サプレッサー不活化の共通するメカニズムを表す。事実、コピー数および転写プロフィールデータセットの統合は、ゲノム全体にわたるmRNA発現に対する遺伝子量の一致する影響を明らかとした(図6)(Hyman,E.,et al.(2002)Cancer Res 62,6240−5;Pollack,J.R.,et al.(2002)Proc Natl Acad Sci USA99,12963−8)。逆に、従前に示されているように(Platzer,P.,et al.(2002)Cancer Res 62,1134−8)、いずれかの与えられたCNA内の遺伝子のサブセットのみがコピー数−駆動発現変化−CNA内の潜在的癌遺伝子標的から局外者を識別する第1パス手段を提供する特徴を示す。適切な場合として、細胞株Hup−T3(遺伝子座#21,表1における染色体17についての増幅の新規な遺伝子座は、そのうち151がAffymatrix U133Aアレイに存在する455の遺伝子を含む。これらの155の遺伝子のうち、19のみが2倍を超える増大した転写体レベルを呈した。さらに、これらの19の遺伝子はこの遺伝子座のピーク内に存在する(図3A)。同様な相関を欠失の領域において確立することができる。例えば、BxPC−3細胞株における9p21欠失遺伝子座は、MCR内に存在する91の遺伝子のうち5つのみが2倍未満の検出できないまたは減少した発現を示すことを証明した(図3B)。全サンプルセットにわたるp16INK4A、欠失に対する公知の標的の調査は、24の細胞株のうち11が低いまたは存在しない発現を示すことを示し、そのうち5つはホモ接合性欠失を示し、他方、残りの6つはDNAレベルで存在した(図3C)。後者において、後成サイレンシングがp16INK4A不活化のメカニズムと推定された。
膵臓腺癌を含めた多くの癌のタイプにおいて、真の細胞起源は知られていないままであり、したがって、プレ悪性生理学的見解は利用できない。上記の例においては、発現データを中心とし、相関するコピー数および発現を備えた遺伝子に有意な値を帰属させるための重み付け統計を計算することによるコピー数および発現プロフィールを調和させるモデルを適用した(Golub,T.R.,et al.(1999)Science 286,531−7;Hyman,E.,et al.(2002)Cancer Res 62,6240−5)(M&M参照)。このアプローチを用い、64の高信頼性MCR内に存在する遺伝子(表1)を、それらの発現の遺伝子量との相関に基づいて優先順位を決めた。遺伝子のサブセットのみを表したが、AffymetrixTM U133Aアレイは、この分析についてのこれらのMCR内に存在する合計4,742遺伝子のうち1926遺伝子を含めることを可能とした。データセットにわたるCNA内のその発現変化およびその表示の大きさに基づいてこれらの1926遺伝子各々を重み付けすることによって、統合されたコピー数および発現分析は、コピー数およびmRNA発現の間の統計学的に有意な関連性を示す603の遺伝子のリストを生じた(p<0.05,表4および5)。表4および5は、高優先MCR内に位置し(表1)、かつ遺伝子発現および遺伝子量の間にかなり有意な相関(p<0.05)を有する遺伝子を示す。染色体、Mbで表した物理的位置、遺伝子重量(M&M)およびp−値をリストする。各GenBank Accession Number(「GI」番号)およびUniGene IDに対応するAffymatrixプローブ数を、各核酸およびタンパク質配列についての配列番号と共にリストする。p−値は遺伝子重量統計の順列分析によって計算した。これらのうち、336は増幅の領域内に位置し、267は欠失の領域内に位置する。重要なことには、これらの603の遺伝子の中には、MYC(13)、p16INK4A(Rozenblum,E.,et al.(1997)Cancer Res 57,1731−4;Caldas,C.,et al.(1994)Nat Genet 8,27−32)およびDUSP6(Furukawa,T.,et al.(2003)Am J pathol 162,1807−15)(表4および5)のような公知の膵臓癌遺伝子があり、したがって、コピー数および発現情報の両方を統合する値を補強する。
Affymetrix U133A発現アレイでの公知および予測された遺伝子の不完全な表示は全ての可能な標的遺伝子の評価を排除したが、ここに示したアレイ−CGHの相補的分析および発現プロフィールは、利用可能な癌遺伝子候補のリストを優先順位を決めるように働き、高確率候補のサブセットへの集中についての病巣に対する基礎を提供する。加えて、また、種にわたるゲノムデータセットの統合は、癌遺伝子同定を容易にするにおいて効果的であることが判明し得る。癌遺伝子同定のための特に生産的な経路は、レトロウイルス促進白血病およびリンパ腫に存在する共通取込部位(CIS)の分析であり得る(Neil,J.C.& Cameron,E.R.(2002)Cancer Cell 2,253−5)。プロウイルス取込が、主として、内因性プロトー癌遺伝子(Neil,J.C.& Cameron,E.R.(2002)Cancer Cell 2,253−5)を活性化するように働くという範例と一致して、ヒトゲノムへの232のCISのシンテニックマッピング(Akagi K.,et al.(2004)Nucl.Acids Res 32:)は、表1における増幅された遺伝子座のMCR内に存在する19のCISを明らかにし、他方、10のみが偶然単独により予測されるであろう(p<0.006)。コントロール的に、喪失または欠失の領域内のMCRは16のCISを含んだに過ぎず、他方、14.4は偶然単独により予測されたであろう。したがって、増幅された遺伝子座へのCISマッピングの豊富さは、腫瘍進行のマウスモデルにおいて、ならびにヒト癌において病原性関連を持つ遺伝子を表し得るが、これらの候補遺伝子についての可能な細胞型特異的役割があり得る。
(同等物)
当業者は、本明細書中に記載された本発明の特異的実施形態に対する多くの同等物を、通常の実験のみを用いて認識するか、または確認し得る。そのような同等物は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
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図1A〜1Cは、膵臓腺癌サンプルからのゲノムプロフィールを示す。ゲノムマップ位置によって順序立てられたcDNAプローブを表すx−軸座標でのアレイ−CGHプロフィール。セグメント化されたデータを赤色で表示し、濾過されたメジアン(3つの最も近い隣接体)は青色で表示し、生データは黒色で表示する。(1A)一次腫瘍検体PA.T.7692(頂部)および細胞株Panc 10.05(底部)の全−ゲノムプロフィール。病巣の高レベル増幅および欠失ならびに両方のサンプル中の大きな領域的獲得および喪失の存在に注意。(1B)染色体改変の再発。頂部:ゲノム順序でのx−軸に沿って均等に整列させた各cDNAプローブについてプロットされたセグメント化データ(y−軸)におけるCNAの整数−値再発。暗い赤色または緑色の棒線は染色体物質の獲得または喪失を示す。明るい赤色または緑色の棒線は増幅または欠失の領域内のプローブを表す。底部:全てのサンプル内の区別されるCNAを示すツリー図。赤色は染色体の獲得を表し、緑色は染色体の喪失を示す。(1C)その遺伝子座についての物理的程度、ピークプロフィールおよびMCRの定義を示す、3つのサンプル中の12p12.3−q13.3遺伝子座(表1の遺伝子座#15)のCGHプロフィール。左側のMCRは頂部および底部のサンプルの間の重複によって規定され、他方、右側のMCRは頂部の2つのサンプルの間の重複によって規定されることに注意。データ点はゲノムマップ位置によってx−軸にプロットされるので、プロフィール中のギャップは、それに対してデータ点がないコピー数変遷の領域を含む。 図2A〜2Bは、QPCRがCNA内の複雑性を確認することを示す。(2A)(ダッシュ線によって概略が示される)両方のサンプルによって規定されるMCRと共に、AsPC−1細胞株およびPA.T.14172(遺伝子座#9、表1)両方における7q22の区別される領域の増幅を示す染色体7 CGHプロフィール(左側パネル)。文字AないしDはQPCRアッセイの相対的位置を示し(右側パネル)、これはAsPC−1(暗い灰色棒線)およびPA.T.14172(明るい灰色棒線)における遺伝子コピーの改変を確認する。(2B)HUP−T3細胞株における複合体CNAについての染色体9アレイ−CGHプロフィール(左側パネル)。公知の標的p16lnk4aのホモ接合性欠失は、アレイ−CGHによって明らかにされた2つの区別される病巣アンプリコンおよび1−コピー喪失の狭い領域の存在も確認するQPCR(右側パネル)によって確認される。ただ1または2のプローブによってカバーされるCNAは、セグメント化アルゴリズムによって同定されないことに注意。 図3A〜3Cは、組み合わされたアレイ−CGHおよび発現分析が、候補遺伝子の同定を容易とすることを示す。(3A)細胞株Hup T3における17q23.2−25.3遺伝子座(遺伝子座#21,表1)の分析。頂部パネル:HUP−T3のアレイ−CGHプロフィール。底部パネル:HUP−T3細胞株についての特定された遺伝子座内のAffymetrix U133Aアレイでの遺伝子の発現プロフィール。圧倒的な遺伝子−用量相関発現を呈する遺伝子のサブセットは該遺伝子座のピーク内に入る(矢印)。(3B)細胞株Bxpc−3における9p24.3−21.2遺伝子座(遺伝子座#41,表1)の分析。頂部パネル:9p領域のアレイ−CGHプロフィール。底部パネル:同一領域にマッピングされる遺伝子のAffymetrixTM発現プロフィール。MCR内のp16INK4A遺伝子(矢印)の劇的に低下した発現に注意。(3C)24の細胞株におけるp16INK4A発現およびコピー数の相関を分析した。全てのサンプルをわたるこの遺伝子についての発現値およびコピー数値両方の双峰分布に注意(緑色の線)。ドットで概略が示されたボックスは、p16INK4Aがホモ接合的に欠失され、発現されないサンプル(BxPC−3、MiaPaCa,Capan 1,Hup−T3およびDan−G)を規定する。実線で概略が示されたボックスは、p16INK4Aが存在するが、発現が存在しないかまたは低下したサンプル(Panc−1,Panc 03.27,SW1990,Panc 08.13,Hup−T4およびPanc 12.13)を包む。 図4は、様式センタリングの結果としての0のLog比率におけるピークを示すセグメント化プロフィールのヒストグラムを示す。外側線は3%(del)および97%(amp)量をマークし;内側線はデータの中央50%の+/−4標準偏差をマークする。 図5は、膵臓腺癌原発性腫瘍および細胞株のアレイ−CGHプロフィールの比較を示す。染色体による整数−値再発プロットのプソイド−核型提示を、原発性腫瘍(PT)および細胞株(CL)両方についてここに示す。獲得を、染色体の右側に示し、喪失を染色体の左側に示す。PTおよびCLの間の同様性の重要な領域はボックスで強調し、PTおよびCLの間の顕著な不一致は丸で囲む。 図6は、細胞株Capan−1におけるコピー数および発現の全−ゲノム相関を示す。メジアン濾過(幅=31プローブ)アレイ−CGHおよび発現データを、各々、明るい青色および金色にて示す。平均遺伝子発現の変動は、染色体のコピー数の変化に相関する(R=0.66)ことに注意。

Claims (95)

  1. 被験体が癌に罹っているか、または癌を発症する危険性があるかどうかを評価する方法であって、該方法は被験体サンプル中の最小共通領域(MCR)のコピー数をMCRの正常なコピー数と比較する工程を包含し、ここで、該MCRは表1に列挙されたMCRからなる群より選択され、そしてここで、サンプル中のMCRのコピー数の変化は、被験体が癌に罹っているか、または癌を発症する危険性があることを示す、方法。
  2. 前記コピー数が蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)によって評価される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記コピー数が定量的PCR(qPCR)によって評価される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記正常なコピー数がコントロールサンプルから得られる、請求項1に記載の方法。
  5. 被験体が癌に罹っているか、または癌を発症する危険性があるかどうかを評価する方法であって、該方法は:
    a)被験体サンプル中のマーカーの量、構造および/または活性と、
    b)該マーカーの正常な量、構造および/または活性
    を比較する工程を包含し、
    ここで、該マーカーは表1に列挙されたMCRに存在するマーカーであり
    ここで、該サンプル中のマーカーの量、構造および/または活性と、該正常な量、構造および/または活性との間の有意な差は、被験体が癌に罹っているか、または癌を発症する危険性があることを示す、方法。
  6. 前記マーカーが表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記マーカーの量が比較される、請求項5に記載の方法。
  8. 前記マーカーの構造が比較される、請求項5に記載の方法。
  9. 前記マーカーの活性が比較される、請求項5に記載の方法。
  10. 前記マーカーの量が、該マーカーの発現のレベルを測定することによって決定される、請求項7に記載の方法。
  11. 前記マーカーの量が、該マーカーのコピー数を測定することによって決定される、請求項5に記載の方法。
  12. 前記正常な量/構造、および/または活性がコントロールサンプルから得られる、請求項5に記載の方法。
  13. 前記サンプルが組織、全血、血清、血漿、頬掻取物、唾液、脳脊髄液、尿、糞、胆汁、膵液および膵臓組織からなる群より選択される、請求項1または5に記載の方法。
  14. 前記コピー数が比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)によって評価される、請求項1または11に記載の方法。
  15. 前記CGHがアレイで行われる、請求項14に記載の方法。
  16. 前記サンプル中の前記マーカーの発現レベルが、該マーカーに対応するタンパク質のサンプル中での存在を検出することによって評価される、請求項10に記載の方法。
  17. 前記タンパク質の存在が、該タンパク質に特異的に結合する試薬を用いて検出される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記試薬が、抗体、抗体誘導体、および抗体フラグメントからなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記サンプル中の前記マーカーの発現レベルが、転写されたポリヌクレオチドまたはその一部のサンプル中での存在を検出することによって評価され、ここで、該転写されたポリヌクレオチドが該マーカーを含む、請求項10に記載の方法。
  20. 前記転写されたポリヌクレオチドがmRNAである、請求項19に記載の方法。
  21. 前記転写されたポリヌクレオチドがcDNAである、請求項19に記載の方法。
  22. 前記検出する工程が、さらに、前記転写されたポリヌクレオチドを増幅することを含む、請求項19に記載の方法。
  23. 前記サンプル中の前記マーカーの発現レベルが、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、該マーカーとアニールするか、またはポリヌクレオチドの一部とアニールする転写されたポリヌクレオチドの、サンプル中での存在を検出することによって評価され、ここで、該ポリヌクレオチドが該マーカーを含む、請求項10に記載の方法。
  24. 被験体における癌の進行をモニタリングする方法であって、該方法は:
    a)第1の時点で、被験体サンプルにおいてマーカーの量および/または活性を検出する工程であって、ここで、該マーカーは表1に列挙されたMCRに存在する、工程;
    b)その後の時点で工程a)を反復する工程;ならびに
    c)工程a)およびb)で検出された量および/または活性を比較し、それから、該被験体における癌の進行をモニタリングする工程
    を包含する、方法。
  25. 前記マーカーが表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される、請求項24に記載の方法。
  26. 前記サンプルが組織、全血、血清、血漿、頬掻取物、唾液、脳脊髄液、尿、糞、胆汁、膵液および膵臓組織からなる群より選択される、請求項24に記載の方法。
  27. 前記マーカーの活性が測定される、請求項24に記載の方法。
  28. 前記マーカーの量が測定される、請求項24に記載の方法。
  29. 前記マーカーの量が、該マーカーの発現のレベルを測定することによって決定される、請求項28に記載の方法。
  30. 前記サンプル中の前記マーカーの発現レベルが、該マーカーに対応するタンパク質のサンプル中での存在を検出することによって評価される、請求項28に記載の方法。
  31. 前記タンパク質の存在が、該タンパク質と特異的に結合する試薬を用いて検出される、請求項30に記載の方法。
  32. 前記試薬が抗体、抗体誘導体、および抗体フラグメントからなる群より選択される、請求項31に記載の方法。
  33. 前記サンプル中の前記マーカーの発現レベルが、転写されたポリヌクレオチドまたはその一部の該サンプル中での存在を測定することによって評価され、ここで、該転写されたポリヌクレオチドがマーカーを含む、請求項29に記載の方法。
  34. 前記転写されたポリヌクレオチドがmRNAである、請求項33に記載の方法。
  35. 前記転写されたポリヌクレオチドがcDNAである、請求項33に記載の方法。
  36. 前記検出する工程が、さらに、前記転写されたポリヌクレオチドを増幅することを含む、請求項33に記載の方法。
  37. 前記サンプル中の前記マーカーの発現レベルが、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、該マーカーとアニールするか、またはポリヌクレオチドの一部とアニールする転写されたポリヌクレオチドの、サンプル中での存在を検出することによって評価され、ここで、該ポリヌクレオチドが該マーカーを含む、請求項29に記載の方法。
  38. 前記サンプルが前記被験体から得られた細胞を含む、請求項24に記載の方法。
  39. 前記第1の時点と前記その後の時点との間に、前記被験体が癌の治療を受けており、癌の治療を完了しており、そして/または寛解期である、請求項24に記載の方法。
  40. 被験体において癌を阻害するための試験化合物の効力を評価する方法であって、該方法は:
    a)該被験体から得られ、かつ該試験化合物の存在下で維持された第1のサンプル中のマーカーの量および/または活性と、
    b)該被験体から得られ、かつ該試験化合物の非存在下で維持された第2のサンプル中のマーカーの量および/または活性
    とを比較する工程を包含し、
    ここで、該マーカーは表1に列挙されたMCRに存在するマーカーであり、
    ここで、該第2のサンプルに対して、癌において欠失されるMCRに存在する該第1のサンプル中のマーカーの有意に高い量および/または活性は、該試験化合物が癌を阻害するのに有効であることを示し、そしてここで、該第2のサンプルに対して、癌において増幅されるMCRに存在する該第1のサンプル中のマーカーの有意に低い量および/または活性は、該試験化合物が被験体において癌を阻害するのに有効であることを示す、方法。
  41. 前記マーカーが表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
  42. 前記第1のサンプルおよび第2のサンプルが前記被験体から得られた単一サンプルの一部である、請求項40に記載の方法。
  43. 前記第1のサンプルおよび第2のサンプルが前記被験体から得られたプールされたサンプルの一部である、請求項40に記載の方法。
  44. 被験体において癌を阻害するための治療の効力を評価する方法であって、該方法は:
    a)該被験体に対して該治療の少なくとも一部を提供する前に、該被験体から得られた第1のサンプル中のマーカーの量および/または活性と、
    b)該治療の一部を提供した後に、該被験体から得られた第2のサンプル中の該マーカーの量および/または活性;
    とを比較する工程を包含し、
    ここで、該マーカーは表1に列挙されたMCRに存在するマーカーであり、
    ここで、該第2のサンプルに対して、癌において欠失されるMCRに存在する該第1のサンプル中のマーカーの有意に高い量および/または活性は、該試験化合物が癌を阻害するのに有効であることを示し、そしてここで、該第2のサンプルに対して、癌において増幅されるMCRに存在する該第1のサンプル中のマーカーの有意に低い量および/または活性は、該治療が被験体において癌を阻害するのに有効であることを示す、方法。
  45. 前記マーカーが表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される、請求項44に記載の方法。
  46. 癌を調節し得る組成物を選択する方法であって、該方法は:
    a)癌細胞を含むサンプルを得る工程;
    b)該細胞を試験化合物と接触させる工程;ならびに
    c)該試験化合物がマーカーの量および/または活性を調節する能力を決定し、それによって、癌のモジュレータを同定する工程であって、ここで、該マーカーは表1に列挙されたMCRに存在するマーカーである、工程
    を包含する、方法。
  47. 前記マーカーが表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される、請求項46に記載の方法。
  48. 前記細胞が癌の動物モデルから単離される、請求項46に記載の方法。
  49. 前記細胞が癌細胞株からのものである、請求項46に記載の方法。
  50. 前記細胞が癌に罹った被験体からのものである、請求項46に記載の方法。
  51. 前記細胞が膵臓腫瘍に由来する膵臓癌細胞株からのものである、請求項49に記載の方法。
  52. 癌を調節し得る組成物を選択する方法であって、該方法は:
    a)表1に列挙されたMCRに存在するマーカーを試験化合物と接触させる工程;ならびに
    b)該試験化合物が、表1に列挙されたMCRに存在するマーカーの量および/または活性を調節する能力を決定し、それによって、癌を調節し得る組成物を同定する工程
    を包含する、方法。
  53. 前記マーカーが表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される、請求項52に記載の方法。
  54. 前記試験化合物を癌の動物モデルに投与する工程をさらに包含する、請求項46または52に記載の方法。
  55. 前記モジュレータが、表5に列挙されたマーカーから選択されるマーカーに対応する遺伝子またはタンパク質の量および/または活性を阻害する、請求項46または52に記載の方法。
  56. 前記モジュレータが、表4に列挙されたマーカーから選択されるマーカーに対応する遺伝子またはタンパク質の量および/または活性を増加させる、請求項46または52に記載の方法。
  57. 化合物が癌を阻害する能力を評価するためのキットであって、該キットは、表1に列挙されたMCRに存在するマーカーの量、構造および/または活性を評価するための試薬を備える、キット。
  58. 被験体が癌に罹っているかどうかを評価するためのキットであって、該キットは、表1に列挙されたMCRからなる群より選択されるMCRのコピー数を評価するための試薬を備える、キット。
  59. 被験体が癌に罹っているかどうかを評価するためのキットであって、該キットは、表1に列挙されたMCRに存在するマーカーの量、構造および/または活性を評価するための試薬を備える、キット。
  60. ヒト癌細胞の存在を評価するためのキットであって、該キットは、抗体またはそのフラグメントを含み、ここで、該抗体またはそのフラグメントは、表1に列挙されたMCRに存在するマーカーに対応するタンパク質に特異的に結合する、キット。
  61. 癌細胞の存在を評価するためのキットであって、該キットは核酸プローブを含み、ここで、該プローブは、表1に列挙されたMCRに存在するマーカーに対応する転写されたポリヌクレオチドに特異的に結合する、キット。
  62. 前記核酸プローブが分子ビーコンプローブである、請求項61に記載のキット。
  63. 前記マーカーが表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される、請求項57、59、60または61のいずれか1項に記載のキット。
  64. 癌に罹った被験体を処置する方法であって、該方法は、表1に列挙されたMCRに存在するマーカーに対応する遺伝子またはタンパク質の量および/または活性のモジュレータを該被験体に投与し、それによって、癌に罹った被験体を処置する工程を包含する、方法。
  65. 前記マーカーが表4または表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される、請求項64に記載の方法。
  66. 癌に罹った被験体を処置する方法であって、該方法は、癌において増幅される表1に列挙されたMCRに存在するマーカーに対応する遺伝子またはタンパク質の量および/または活性を阻害する化合物を該被験体に投与し、それによって、癌に罹った被験体を処置する工程を包含する、方法。
  67. 前記化合物が薬学的に受容可能な処方で投与される、請求項66に記載の方法。
  68. 前記化合物が、前記マーカーに対応するタンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項66に記載の方法。
  69. 前記抗体がトキシンに結合される、請求項68に記載の方法。
  70. 前記抗体が化学治療剤に結合される、請求項68に記載の方法。
  71. 前記化合物が、前記マーカーに対応する遺伝子の発現を阻害するRNA干渉因子である、請求項66に記載の方法。
  72. 前記RNA干渉因子が、siRNA分子またはshRNA分子である、請求項71に記載の方法。
  73. 前記化合物が、前記マーカーに対応する遺伝子に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項66に記載の方法。
  74. 前記化合物がペプチドまたはペプチド模倣物である、請求項66に記載の方法。
  75. 前記化合物が前記マーカーの活性を阻害する低分子である、請求項66に記載の方法。
  76. 前記低分子がマーカーと標的タンパク質との間のタンパク質−タンパク質相互作用を阻害する、請求項75に記載の方法。
  77. 前記化合物が前記マーカーの発現または活性を阻害するアプタマーである、請求項66に記載の方法。
  78. 前記マーカーが表5に列挙されたマーカーからなる群より選択される、請求項66に記載の方法。
  79. 癌に罹った被験体を処置する方法であって、該方法は、癌において欠失される表1に列挙されたMCRに存在するマーカーに対応する遺伝子またはタンパク質の発現または活性を増加させる化合物を該被験体に投与し、それによって、癌に罹った被験体を処置する工程を包含する、方法。
  80. 癌に罹った被験体を処置する方法であって、該方法は、癌において欠失される表1に列挙されたMCRに存在するマーカーに対応するタンパク質を該被験体に投与し、それによって、癌に罹った被験体を処置する工程を包含する、方法。
  81. 前記マーカーが表4に列挙されたマーカーからなる群より選択される、請求項79または80のいずれか1項に記載の方法。
  82. 前記タンパク質が、該タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターによって、前記被験体の細胞に提供される、請求項80に記載の方法。
  83. 前記化合物が薬学的に受容可能な処方で投与される、請求項79に記載の方法。
  84. 表4または表5に列挙されたマーカーから選択されるマーカーに対応する単離されたタンパク質またはそのフラグメント。
  85. 表4または表5に列挙されたマーカーから選択されるマーカーに対応する単離された核酸分子またはそのフラグメント。
  86. 表4または表5に列挙されたマーカーから選択されるマーカーに対応するタンパク質に特異的に結合する単離された抗体またはそのフラグメント。
  87. 表1に列挙されたMCRから選択されるMCR内に含まれる単離された核酸分子またはそのフラグメントであって、ここで、該核酸分子は癌において変化した量、構造、および/または活性を有する、核酸分子またはそのフラグメント。
  88. 請求項87に記載の核酸分子によってコードされる単離されたポリペプチド。
  89. 癌に関連するマーカーを同定するための方法であって、該方法は:
    a)癌細胞のゲノムのプロファイリングを行う工程;
    b)工程a)で同定されたプロフィールのセグメント化分析を行う工程;
    c)遺伝子座を同定する工程;
    d)該同定された遺伝子座で優先順位を決める工程;ならびに
    e)該同定された遺伝子座における遺伝子を問い合わせて、それによって、癌に関連するマーカーを同定する工程
    を包含する、方法。
  90. 癌に関連する遺伝子座を同定するための方法であって、該方法は:
    a)癌細胞のゲノムのプロファイリングを行う工程;
    b)工程a)で同定されたプロフィールのセグメント化分析を行う工程;
    c)遺伝子座を同定する工程;ならびに
    d)該同定された遺伝子座を優先順位を決め、それによって、癌に関連する遺伝子座を同定する工程
    を包含する、方法。
  91. 前記同定された遺伝子座における遺伝子の前記問い合わせが、遺伝子発現データに基づく、請求項89に記載の方法。
  92. 前記同定された遺伝子座における遺伝子の前記問い合わせが、インビトロスクリーニングアッセイに基づく、請求項89に記載の方法。
  93. 前記プロファイリングが、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)を用いて行われる、請求項89または90に記載の方法。
  94. 前記癌細胞が癌細胞株または腫瘍に由来する、請求項89または90に記載の方法。
  95. 請求項89に記載の方法によって同定されたマーカー。
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