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JP2008500995A - タンパク質安定化法 - Google Patents

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JP2008500995A JP2007513937A JP2007513937A JP2008500995A JP 2008500995 A JP2008500995 A JP 2008500995A JP 2007513937 A JP2007513937 A JP 2007513937A JP 2007513937 A JP2007513937 A JP 2007513937A JP 2008500995 A JP2008500995 A JP 2008500995A
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Abstract

単量体タンパク質の安定化バルク溶液を調製する方法を記載する。この方法は、バッファー溶液中に単量体タンパク質のバルクを供給することと、そのバルクに、静菌剤、界面活性剤、等張化剤、アミノ酸、抗酸化剤およびそれらの組合せからなる群から選択される賦形剤を加えることにある。単量体タンパク質はIFN−βであることが好ましい。

Description

本発明は、一般には、バッファー溶液中に単量体タンパク質のバルクを供給することと、そのバルク溶液に特定の賦形剤を加えることとにより単量体タンパク質の安定化バルク溶液を調製する方法に関する。
インターフェロンは、サイトカイン、すなわち、細胞間で情報を伝達し、感染を引き起こす微生物を破壊する手助けをし、結果として生じたいずれの損傷も修復することにより免疫系において重要な役割を果たす可溶性タンパク質である。インターフェロンは、感染細胞によって自然分泌され、1957年に最初に確認された。その名前は、ウイルス複製や生成を「妨げる(interfere)」という事実に由来している。
インターフェロンは、抗ウイルス活性と抗増殖活性の両方を示す。天然に存在するヒトインターフェロンは、生化学的性質と免疫学的性質に基づいて、3つの主要な種類に分けられている。インターフェロン−α(白血球)、インターフェロン−β(線維芽細胞)およびインターフェロン−γ(免疫系)。α−インターフェロンは、現在、米国やその他の国々で毛様細胞性白血病、性病疣贅、カポジ肉腫(一般に後天性免疫不全症候群(AIDS)患者を苦しめている癌)および慢性非A型、非B型肝炎の治療用に認可されている。
さらに、インターフェロン(IFN)は、ウイルス感染を受けて体内によって産生される糖タンパク質である。それらは、保護される細胞においてウイルスの増殖を抑制する。IFNは低分子量タンパク質で構成され、その作用は著しく非特異的である、すなわち、1種類のウイルスによって誘発されたIFNが広範な他のウイルスに対して有効である。しかし、それらは種特異的である、すなわち、1種類の種によって誘発されたIFNは同一種または近縁種の細胞において抗ウイルス活性を促進するだけである。IFNは、潜在抗腫瘍活性や抗ウイルス活性のために利用された最初のサイトカイン群であった。
3種類の主要なIFNは、IFN−α、IFN−βおよびIFN−γと呼ばれている。このような主要な種類のIFNは、最初はその起源の細胞(白血球、線維芽細胞またはT細胞)によって分類されていた。しかし、1種類の細胞によっていくつかのタイプが産生され得るということが明らかになった。それゆえに、現在では白血球IFNをIFN−αと呼び、線維芽細胞IFNはIFN−βであり、T細胞IFNはIFN−γである。第4のタイプのIFN、リンパ芽球IFNも存在し、このIFNは、白血球IFNと線維芽細胞IFNの両方の混合物を産生すると見られている「Namalwa」細胞系(バーキットリンパ腫由来)で産生される。
インターフェロンの単位またはインターフェロンの国際単位(国際単位にはUまたはIU)は、ウイルスによる損傷から細胞の50%を保護するのに必要な量として定義される、IFN活性を示す尺度として報告されている。生物活性の測定に使用できるアッセイとしては、記載されている細胞変性効果抑制試験がある(Rubinsteinら 1981、Familletti,P.C.ら、1981)。インターフェロンについてのこの抗ウイルスアッセイでは、インターフェロン約1単位/mlが、50%の細胞変性効果を生じるのに必要な量である。これらの単位は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)から供給されているHu−IFN−βの国際標準品に対して決定される(Pestka,S.1986)。
各種類のIFNには、数種類の別個のタイプが含まれている。IFN−βおよびIFN−γは、それぞれ単一遺伝子の産物である。
IFN−αに分類されるタンパク質は、最も多様な群であり、約15のタイプを含む。染色体9番上にIFN−α遺伝子群があり、少なくとも23のメンバーを含む。そのうちの15のメンバーは活性であり、転写される。成熟IFN−α類はグリコシル化されていない。
IFN−α類およびIFN−βは、全て同じ長さ(165個または166個のアミノ酸)であり、類似した生物活性を有する。IFN−γ類は146個のアミノ酸長であり、α種およびβ種とはあまり似ていない。IFN−γ類だけがマクロファージを活性化することができ、またはキラーT細胞の成熟を誘導することができる。これらの新しいタイプの治療薬は、免疫修飾を介して認識に作用し、腫瘍に対する生物の応答に影響を与えることから、生物反応修飾剤(BRM)と呼ばれることもある。
ヒト線維芽細胞インターフェロン(IFN−β)は、抗ウイルス活性を有し、新生細胞に対してナチュラルキラー細胞を刺激することもできる。このヒト線維芽細胞インターフェロン(IFN−β)は、ウイルスと二本鎖RNAによって誘発される約20,000Daのポリペプチドである。組換えDNA技術によってクローニングした、線維芽細胞インターフェロンの遺伝子のヌクレオチド配列から、このタンパク質の完全アミノ酸配列が推定された(Derynkら1980)。この線維芽細胞インターフェロンは166個のアミノ酸長である。
Shepardら(1981)は、その抗ウイルス活性を消滅させる、塩基842における突然変異(141位におけるCys→Tyr)について記載し、変異クローンはヌクレオチド1119〜1121が欠失していた。
Markら(1984)は、塩基469(T)を(A)で置換することにより、17位においてCys→Serのアミノ酸の変更が起こる人工突然変異を挿入した。得られたIFN−βは、「未変性の」IFN−βと同じくらい活性があり、長期保存(−70℃)の間安定であると報告された。
多発性硬化症(MS)のインターフェロン療法における最新の展開であるRebif(登録商標)(Serono社製−組換えヒトインターフェロン−β)は、哺乳類細胞系から産生されたインターフェロン(IFN)−β−1aである。推奨されるその国際一般名(INN)は「インターフェロンβ−1a」である。
あらゆるタンパク質ベースの医薬と同様に、IFN−βを治療薬として使用する際に克服しなければならない重大な障害の1つが、薬剤製剤におけるその不安定性に起因し得る製薬上の有用性の喪失である。
薬剤製剤でのポリペプチド活性や有効性を脅かす物理的不安定性としては、変性や可溶性凝集体および不溶性凝集体の形成が挙げられ、一方、化学的不安定性としては、加水分解、イミド形成、酸化、ラセミ化およびアミド分解が挙げられる。これらの変化のいくつかは、注目するタンパク質の薬剤活性の喪失または低下をもたらすことが分かっている。他の事例では、これらの変化の正確な影響は分かっていないが、結果として生じる分解産物は、望ましくない副作用の可能性から依然として製薬上許容されないと考えられている。
薬学的組成物におけるポリペプチドの安定化は、依然として、試行錯誤が大きな役割を果たしている分野である(Wang(1999)Int.J.Pharm.185、129〜188頁;WangおよびHanson(1988)J.Parenteral Sci.Tech.42、S3〜S26に総説されている)。ポリペプチド薬剤製剤に、安定性を高めるために加えられる賦形剤としては、バッファー、糖、界面活性剤、アミノ酸、ポリエチレングリコールおよびポリマーが挙げられるが、これらの化学添加剤の安定化効果はタンパク質によって異なる。
現在のタンパク質製剤では、タンパク質の最終的な調製物への賦形剤の使用が行われている。しかし、これらの製剤は幾分か不安定なままである。加えて、単量体として生物学的に活性であるタンパク質、すなわち、単量体タンパク質は、ストレスを受けると(例えば、温度ストレス)重合および凝集する傾向がある。
よって、タンパク質の溶解度を高め、特に凝集やオリゴマー化に対する単量体タンパク質の安定化を増強し、そのようにしてそれらの製薬上の有用性を高める方法が必要である。
第1の態様では、本発明は、単量体タンパク質の安定化バルク溶液を調製する方法であって、前記方法が、
a)バッファー溶液中に単量体タンパク質のバルクを供給するステップと、
b)前記バルクに
i)静菌剤、
ii)界面活性剤、
iii)等張化剤、
iv)アミノ酸、
v)抗酸化剤、
vi)等張化剤および抗酸化剤、
vii)等張化剤、抗酸化剤およびアミノ酸、
viii)アミノ酸および抗酸化剤、
ix)アミノ酸、抗酸化剤および界面活性剤、
x)静菌剤および抗酸化剤、ならびに
xi)静菌剤、抗酸化剤および界面活性剤
からなる群から選択される賦形剤を加えるステップと
を含む方法を提供する。
加えて、バルクタンパク質は、本発明の第1の態様の方法の前または後のいずれかに指定の温度でインキュベートすることもできる。
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の方法によって得られる、予備調製されたバルクタンパク質を提供する。
第3の態様では、本発明は、本発明の第1の態様のタンパク質のバルクを予備調製する方法を含む、単量体タンパク質の安定性を増大および/または維持する方法を提供する。
本発明は、単量体タンパク質の安定化バルク溶液を調製する方法であって、前記方法が、
a)バッファー溶液中に単量体タンパク質のバルクを供給するステップと、
b)バルクに
i)静菌剤、
ii)界面活性剤、
iii)等張化剤、
iv)アミノ酸、
v)抗酸化剤、
vi)等張化剤および抗酸化剤、
vii)等張化剤、抗酸化剤およびアミノ酸、
viii)アミノ酸および抗酸化剤、
ix)アミノ酸、抗酸化剤および界面活性剤、
x)静菌剤および抗酸化剤、ならびに
xi)静菌剤、抗酸化剤および界面活性剤
からなる群から選択される賦形剤を加えるステップと
を含む方法を対象とする。
実際に、本出願において詳細に記載されるように、1種類以上の賦形剤をバルクタンパク質に加えることによって安定化を行う場合には、そのバルクタンパク質に1種類以上の賦形剤が加えられた瞬間からそのタンパク質を含有する製剤の最終処理、例えば、患者による最終的な取込みまで安定性が得られるということが本出願者によって見いだされた。このように、安定化は、保存段階においてだけ起こるものではなく、そのタンパク質が、処分されるまで、すなわち、保存前、保存中および保存後のその有効期間中に直面する可能性がある種々の段階を通じて起こるものである。従って、本発明の方法は、タンパク質またはタンパク質製剤がその有効期間中に受け得る種々のストレスの影響を弱めることができる。よって、安定化は製造工程においてだけでなく、輸送、保存および送達工程においても起こる。
本発明は、本発明の方法によって得られる、予備調製バルクとも呼ばれる安定化バルクも包含する。
本明細書において、用語「予備調製物」とは、バルク単量体タンパク質を含有する製剤を指す。これらの予備調製物の安定性は、凝集およびオリゴマー化の低減という点で付与されるだけでなく、他のタイプの悪影響を及ぼすプロセス、例えば、酸化、アミド分解なども含まれる。そのようなものとして、本発明はまた、単量体タンパク質の安定性に影響を及ぼすものである限り、他のいずれのタイプのプロセスも包含する。
用語「保存中」とは、調製されても、被験体にすぐに投与されない製剤または組成物を指す。もっと正確に言えば、調製後、その製剤または組成物は液体形態か、または被験体への投与に適した他の形態で保存用にパッケージングされている。
「乾燥形態」とは、凍結乾燥、噴霧乾燥または空気乾燥のいずれかにより乾燥させた製剤または組成物を意味する。薬剤製剤の単量体タンパク質または何らかの他の成分による凝集体またはオリゴマーの形成は、その単量体タンパク質の生物活性に悪影響を及ぼし得、その結果、薬剤製剤の治療効力を喪失させる。さらに、単量体タンパク質を含有する薬学的組成物を注入系を用いて投与する場合には、凝集体またはオリゴマーの形成は、チューブ、メンブレンまたはポンプの閉塞のような他の問題を引き起こし得る。
用語「安定性」とは、抗ウイルス活性などのタンパク質活性および/またはタンパク質構造の相対的な時間的不変性を指し、当然、機能定義もある。用語「安定性」とは、本発明のインターフェロンの予備調製物の物理的安定性、化学的安定性およびコンホメーションの安定性(生物学的効果の維持を含む)も指す。タンパク質予備調製物の不安定性は、高次ポリマーを形成するためのタンパク質分子の化学分解もしくは凝集、脱グリコシル化、グリコシル化の修飾、酸化または本発明に含まれる単量体タンパク質の少なくとも1つの生物活性を低下させる何らかの他の構造修飾によって生じ得る。
「安定な」予備調製物とは、その中のタンパク質の、分解、修飾、凝集、生物活性の喪失などの程度が許容できるように制御され、その程度が経時的に許容されないほど大きくはならないものである。
用語「安定化(された)」とは、バルク単量体タンパク質または単量体タンパク質を含有する製剤に加えられる本明細書に開示される賦形剤の不在下で調製された単量体タンパク質または製剤と比べて、安定性の増大または/および維持を示す本発明の単量体タンパク質または単量体タンパク質を含有する製剤を指す。
本明細書において、用語「安定化すること」は、「タンパク質の凝集を低減または/およびは防止すること」および/または「タンパク質のオリゴマー化を低減または/および防止すること」および/または「凝集体の形成を低減または/防止すること」および/または「重合を低減および/または防止すること」および/または「酸化を低減および/または防止すること」および/または「ミセル形成を低減および/または防止すること」および/または「アミド分解を低減および/または防止すること」および/または「あらゆる種類のプロセスの、単量体タンパク質または単量体タンパク質を含有する製剤に対する悪影響を低減および/または防止すること」と同義的に使用される。
用語「単量体」または「単量体の」とは、単一のペプチド鎖しかもたない分子を指す。
本明細書において、用語「バルクタンパク質」または「タンパク質のバルク」または「バルク単量体タンパク質」または「単量体タンパク質のバルク」とは、製造工程の精製ステップを既に受けているが、販売用に最終的にパッケージングされ、流通される「最終剤形」(FDF)または「薬学的組成物」を調製することができる最終製剤ステップをまだ受けていないタンパク質または単量体タンパク質の状態を指す。よって、本明細書において、組換えタンパク質のバルクとは、精製工程の終了時に得られる、最終製剤ステップを受ける前の製品であると考えられる。言い換えれば、本発明の方法は、バルク予備調製物を得ることを可能にする予備調製ステップを含み、さらなる賦形剤を加えた後、それから最終剤形または薬学的組成物が生成されると考えられる。通常、予備調製されたバルクまたは無調製バルクは、最終製剤を調製するまで保存されるが、必ずしもそうではない。バルクタンパク質を凍結状態で保存した場合、通常、解凍し、濾過した後、最終製剤ステップを受けるが、必ずしもそうではない。
タンパク質が組換えヒトインターフェロン−β 1a(r−h IFN−β 1a)である場合の本発明の特定の実施形態によれば、安定化用賦形剤を最終クロマトグラフィーステップの溶出液に加える。この最終クロマトグラフィーステップは、例えば、濾過ステップを受ける前か、または濾過ステップ直後のいずれかでの、本明細書では「SEC−EL」または「SEC−EL2」と称するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)であり得る(実施例参照)。この場合、SECが精製手順の最終ステップに相当する。他の精製手順においては、他のクロマトグラフィー技術もしくは分離法を最終ステップに使用してもよいし、または最終精製ステップとして分離法に頼らない他の精製方法を適用してもよい。このことは、用語「バルクタンパク質」によって定義される本発明の範囲を決して限定するものではない。安定化用賦形剤を精製手順後に加える限り、どんな精製方法であっても、本発明に包含される。加えて、本発明に記載される安定化用賦形剤は、最終製剤(FDF)にもさらに加えることができる。よって、FDFに含まれる賦形剤は、バルク予備調製物に加えられたものに相当し得るが、必ずしもそうではない。
本明細書において、「オリゴマータンパク質」または「オリゴマー」とは、2本以上のポリペプチド鎖を有するマルチサブユニットタンパク質を指す。「オリゴマータンパク質」は、そのユニットの2つ以上が同じポリペプチド鎖である場合のタンパク質を指すことがある。3つのタイプのオリゴマーは、少なくとも区別することができる。
・迅速可逆的非共有結合性小オリゴマー(二量体、三量体、四量体など)
・不可逆的非共有結合性オリゴマー
・共有結合性オリゴマー(例えば、ジスルフィド)
「多量体タンパク質」とは、いくつかのサブユニットで構成されているタンパク質を表す。「サブユニット」とは、多量体タンパク質を構成する同一または同一でないタンパク質分子の1つを指す。
「オリゴマー化」とは、より大きいか、またはより小さい分子からオリゴマーを作り出す化学プロセスを指す。「オリゴマー化」は、単量体または単量体の混合物をオリゴマーへと変換するプロセスともいわれている。用語「オリゴマー化」とは、非共有結合性または共有結合性相互作用による、個々のタンパク質分子の多量体の形成も指す。オリゴマー化は、可逆的である場合も不可逆的である場合もある。
用語「重合」とは、長いか、もしくは大きい分子を作製するために単量体の重複組合せによってポリマーを生成する化学反応または単量体もしくは単量体の混合物をポリマーへと変換するプロセスを表す。
用語「凝集」とは、主として小型種の非共有結合性接着による高分子量種の形成を指す。特にタンパク質の場合、凝集は、二次構造の非極性表面、例えば、分子内相互作用を通常形成するα−ヘリックスおよびβ−シートのものであり、タンパク質の内部に埋め込まれているものを分子間相互作用させ、かつ不溶性物質である場合もある多分子形態を形成させる変性の一形態である。用語「不溶性」と「可溶性」は、それぞれ「不可逆的」と「可逆的」と呼ばれることがある。また、凝集体は大オリゴマータンパク質会合(例えば、10量体を上回る)と定義することもできる。「凝集体」は、非共有結合による場合には可逆的であり得る。
定義「凝集」、「凝集体」、「オリゴマー」、「多量体」、「オリゴマー化」、「多量体化」、「多量体」、「オリゴマーの」、「重合」がどんなものであろうとも、本発明は、それらの定義によって限定されるべきではない。よって、本発明の範囲は、それらの用語よって、またはそれらを取り巻くいずれの理論によっても、限定されるべきではない。重要な問題は、「凝集体」と「オリゴマー」が検出法(例えば、SE−HPLC)によって、通常、分離された識別可能なシグナルによって、例えば、分離したピーク;凝集体またはオリゴマーのいずれかに対応する各々のピークによって、互いに識別することができるということである。同じように、タンパク質の単量体形態も、正確な、特有の決まったピークに相当する。
用語「バッファー」または「生理学的に許容されるバッファー」とは、製剤中で製薬学的または獣医学的に使用しても安全であることが分かっており、かつ製剤のpHを製剤に望ましいpH範囲に維持または調節する効果を有している化合物の溶液を指す。中酸性pHにあるpHを中塩基性pHへと調節するのに許容されるバッファーとしては、それだけには限らないが、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、アルギニン、TRISおよびヒスチジンのような化合物が挙げられる。「TRIS」とは、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールと、その薬理学的に許容される塩をいずれも指す。好ましいバッファーとしては、生理食塩水または許容される塩を有する酢酸バッファーがある。
「等張化剤」とは、生理学的に許容され、製剤と接触している細胞膜を通る水の正味の流入量を抑えるために製剤に適した張性を付与する化合物である。グリセリンなどの化合物が既知濃度でこのような目的のために一般的に用いられている。他の適した等張化剤としては、それだけには限らないが、アミノ酸またはタンパク質(例えば、グリシンまたはアルブミン)、塩類(例えば、塩化ナトリウム)および糖類(例えば、デキストロース、マンニトール、スクロースおよびラクトース)が挙げられる。等張化剤はマンニトールであることが好ましい。
用語「抗酸化剤」とは、酸素または酸素由来のフリーラジカルが他の物質と相互作用するのを妨げる化合物を指す。抗酸化剤は、物理的および化学的安定性を高めるために製剤系に一般的に加えられる数多くある賦形剤の1つである。抗酸化剤は、酸素曝露の際またはフリーラジカルの存在下で一部の薬剤または賦形剤に起こる酸化プロセスを最小限に抑えるか、または遅延させるために加えられる。これらのプロセスは、多くの場合、光、温度、水素濃度、微量の金属または過酸化物の存在によって触媒され得る。薬物では、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、チオ尿素、メチオニン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)塩、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)が抗酸化剤としてよく用いられる。EDTAナトリウムは、そうでなければ酸化反応を触媒する金属イオンをキレート化することによって、抗酸化剤の活性を増強することが分かっている。最も好ましい抗酸化剤はメチオニンである。本明細書では抗酸化剤を安定剤とも称する。
メチオニンは、その遊離塩基形態またはその塩形態のいずれかで存在し得る。メチオニンの立体異性体(すなわち、L、DまたはDL異性体)はいずれも、メチオニンがその遊離塩基形態またはその塩形態で存在する限り、本発明の本方法または本製剤に使用できる。L−立体異性体を使用することが好ましい。メチオニンの類似体も本発明の本製剤に使用できる。用語「メチオニン類似体」とは、天然に存在するメチオニンの誘導体を指す。メチオニン類似体は、それらの遊離塩基形態またはそれらの塩形態のいずれかで本製剤に使用できる。
抗酸化剤(例えば、メチオニン)の添加による安定性の増大および/または維持は、濃度依存的に起こる。すなわち、本発明のインターフェロン−βを含有する製剤が、抗酸化剤不在下で酸化または凝集体/オリゴマーの形成を通常示す場合には、漸増濃度の抗酸化剤によってそのインターフェロン−β含有製剤の安定性が増大および/または維持される。酸化またはオリゴマー/凝集体の形成を低減するために本発明の本製剤に使用される酸化剤(例えば、メチオニン)の量は、当業者に一般的に知られる方法を用いて、必要以上に試験を行うことなく容易に決めることができる。
用語「静菌剤」とは、抗菌薬として作用させるために製剤に加えられる化合物または組成物を指す。保存される本発明のインターフェロン含有製剤は、商業的に実現可能な多目的製品であるために、防腐効果に関する法定または規制ガイドラインに対応するものであることが好ましい。静菌剤の例としては、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサールが挙げられる。静菌剤はベンジルアルコールであることが好ましい。本明細書ではベンジルアルコールを安定剤とも称する。
用語「界面活性剤」とは、液体の表面張力を低下させるか、または2種類の液体間もしくは液体と固体間の界面張力を低下させる可溶性化合物を指し、表面張力は液体の表面に作用する力であり、表面積を最小化する傾向がある。界面活性剤は、低分子量の薬物やポリペプチドの送達はじめ、薬物の吸収または標的組織へのその送達を改変するために時折薬剤製剤に使用されてきた。界面活性剤はTween 20またはポロキサマーであることが好ましい。界面活性剤はポロキサマー188であることがより好ましい。界面活性剤はTween(商標)20であることがさらに好ましい。
用語「アミノ酸」とは、アミノ酸またはアミノ酸の組合せを指し、いずれの所与のアミノ酸もその遊離塩基形態またはその塩形態のいずれかで存在する。アミノ酸の組合せを使用する場合には、全てのアミノ酸がその遊離塩基形態で存在する場合もあり、全てがその塩形態で存在する場合もあり、または一部がその遊離塩基形態で存在し、その他のアミノ酸がその塩形態で存在する場合もある。本発明の本方法または本製剤に使用する好ましいアミノ酸としては、アルギニン、リジン、アスパラギン酸およびグルタミン酸などの荷電側鎖を有するものがある。アミノ酸はリジンおよびアルギニンであることがより好ましい。アミノ酸はリジンであることがさらに好ましい。特定のアミノ酸の立体異性体(すなわち、L、DまたはDL異性体)はいずれも、またはこれらの立体異性体の組合せは、その特定のアミノ酸がその遊離塩基形態またはその塩形態で存在する限り、本発明の本方法または本製剤に使用できる。L−立体異性体を使用することが好ましい。これらの好ましいアミノ酸の類似体も本発明の本方法または本発明の製剤に使用してよい。用語「アミノ酸類似体」とは、天然に存在するアミノ酸の誘導体を指す。適したアルギニン類似体としては、例えば、アミノグアニジンおよびN−モノエチルL−アルギニンが挙げられる。好ましいアミノ酸と同様に、アミノ酸類似体は、その遊離塩基形態またはその塩形態のいずれかで本方法または本製剤に使用される。本明細書ではアミノ酸を安定剤とも称する。
本発明の本方法または本製剤に使用されるアミノ酸は、治療効果のあるポリペプチドを種々のストレスから保護し、それによって単量体タンパク質または単量体タンパク質を含有する製剤の安定性を、単量体タンパク質の有効期間中(保存前、保存中、および保存後)増大および/または維持する。本明細書において、用語「ストレス」とは、それだけには限らないが、熱、凍結、pH、光、振動、酸化、脱水、表面、剪断、凍結/解凍、圧力、重金属、フェノール化合物、変性剤などを含む。用語ストレスとは、(単量体)タンパク質または(単量体)タンパク質を含有する製剤の安定性を調整する(すなわち、低下、維持または増大させる)いずれの因子も包含する。アミノ酸の添加による安定性の増大および/または維持は、濃度依存的に起こる。すなわち、本発明の単量体タンパク質または単量体タンパク質を含有する製剤が、アミノ酸不在下で凝集体またはオリゴマーの形成を通常示す場合には、漸増濃度のアミノ酸によって単量体タンパク質またはその単量体タンパク質を含有する製剤の安定性が増大および/または維持される。オリゴマーまたは凝集体の形成を低減し、それによって単量体タンパク質の安定性を増大し、その結果単量体タンパク質の全有効期間の間製剤の安定性を増大するために本発明の本方法または本発明の製剤に使用される特定のアミノ酸の量の決定は、注目する、いずれの特定の単量体タンパク質に対しても、当業者に一般的に知られている方法を用いて、必要以上に試験を行うことなく容易に決めることができる。
「凍結保存」とは、それまでは水性の単量体タンパク質調製物を0℃より低い温度、好ましくは、−20℃以下、より好ましくは、−70℃にて凍結し、維持することを指す。
「凍結/解凍サイクル」または「凍結/解凍操作」とは、タンパク質の凍結保存サンプルを使用するための公知の技術を指し、この技術では、サンプルの温度を、Rampieを使用可能にするのに十分な時間、その水性状態を回復させるレベルまで上昇させ、その後0℃より低い温度に凍結し、好ましくは、温度−20℃以下の温度、より好ましくは、−70℃での凍結保存状態に戻す。
本発明の目的は、単量体タンパク質だけでなく、本発明のバルクタンパク質にさらに加えられる他の薬剤、成分または化合物の凝集プロセスおよびオリゴマー化プロセスの少なくとも両方(本発明はこれらのプロセスに限定されない)の影響を弱めることである。よって、本発明は、(例えば、オリゴマーならびに凝集体の形成を低減および/または抑制することにより)本発明のバルクに加えられ、問題のタンパク質の最終剤形または薬学的組成物に含まれる全ての化合物、薬剤(例えば、静菌剤、等張化剤)、タンパク質、界面活性剤、賦形剤に安定性を付与することができる。言い換えれば、(単量体)タンパク質にだけでなく、その(単量体)タンパク質を含有する製剤「全体」に安定性が付与される。凝集は、生物活性を損なう可能性があるだけでなく、中和抗体(NAb)の発達を通じて注射部位反応や免疫原性をもたらす可能性もある。
本実施例は、バルク単量体タンパク質製剤に特定の賦形剤を添加することによって、凍結保存または/および反復凍結/解凍サイクル中のポリペプチド凝集体またはオリゴマーの形成が防止および/または阻害され、そのことにより単量体タンパク質製剤の安定性および溶解度が大幅に増大し得ることを明瞭に示している。さらに、本発明は、熱解離が(単量体)タンパク質または(単量体)タンパク質を含有する製剤を安定性を付与するのに効果的であることを示している。
本明細書において、用語「熱解離」とは、多量体形態のタンパク質が温度作用によって、小さい多量体形態または単量体形態に変換または解離される(例えば、指定の温度を受けたときにタンパク質の二量体が単量体に変換される)プロセスを指す。製剤中のタンパク質は、多様な多量体形態(二量体形態、三量体形態など)で存在する。よって、熱解離は、あらゆる多量体形態を小さい多量体形態または単量体形態に変換または解離するのに効果的である。本発明は、温度と多量体の解離との間に相関があることを示す。熱解離を受けた場合、製剤には、熱解離を受けなかったものと比べて、より少ない多量体形態とより多い単量体形態が含まれる。熱解離によって全ての多量体形態が単量体形態に変換されることが好ましい。温度は、固定温度にすぐに設定することができるし、または指定の温度が得られるまで徐々に上昇させることもできる。さらに、本発明は、熱解離の継続時間が(単量体)タンパク質または(単量体)タンパク質を含有する製剤を安定させるのに効果的であることを実証している。本発明は、熱解離の継続時間と化合体の解離との間に相関があることを示す。実施例では、熱解離は、主として熱解離の最初の数時間の間、継続時間が効果がなくなる時点に到達するまで効果的であることを示す。熱解離はタンパク質に特異的である。特定のタンパク質が最適な熱解離を成し遂げるのに適切な、温度や継続時間のようなパラメーターを設定することは、当業者ならば従来の技術を用いて容易に行うことができる。
当業者には、凝集、酸化、アミド分解、切断、表面吸着、表面変性、環状イムジド形成(cyclic imdide formation)、末端切断などのような分解産物を決定する多数の分析手法が知られている。安定性を示す方法としては、それだけには限らないが、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法、サイズ排除HPLC(SEC)法(サンプル中または移動相中にSDS、グアニジウムHClまたは有機溶媒などの変性剤を含有または不含)、逆相(RP)HPLC法、イオン交換HPLC法、電気泳動法、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)法、アフィニティークロマトグラフィー法、SDS−PAGE法、還元剤によるジスルフィド還元法、ゲル電気泳動法、キャピラリー電気泳動法、超遠心分析法、光散乱法、濁度アッセイおよびタンパク質濃度アッセイが挙げられる。構造安定性研究は、円偏光二色性、蛍光(固有の疎水性プローブ結合)、UV、FTIRおよび/または示差走査熱量測定法によって行うことができる。よって、特定の賦形剤の、単量体タンパク質の凝集またはオリゴマー化に対する効果は、例えば、経時的な溶液中の可溶性単量体タンパク質の変化によって調べることができる。
サイズ排除HPLCまたはゲル濾過クロマトグラフィーまたはモレキュラーシーブクロマトグラフィーの別名でも知られるSECでは、孔径より小さな分子を保持しながら、より大きな分子を排除し、より早く溶出する多孔性マトリックスを備えたカラムが設計される。ほとんどの用途で定組成勾配が使用される。
ここで、本発明の種々の態様により本発明を説明する。
第1の態様では、本発明は、単量体タンパク質の安定化バルク溶液を調製する方法であって、前記方法が、
a)バッファー溶液中に単量体タンパク質のバルクを供給するステップと、
b)バルクに
i)静菌剤、
ii)界面活性剤、
iii)等張化剤、
iv)アミノ酸、
v)抗酸化剤、
vi)等張化剤および抗酸化剤、
vii)等張化剤、抗酸化剤およびアミノ酸、
viii)アミノ酸および抗酸化剤、
ix)アミノ酸、抗酸化剤および界面活性剤、
x)静菌剤および抗酸化剤、ならびに
xi)静菌剤、抗酸化剤および界面活性剤
からなる群から選択される賦形剤を加えるステップと
を含む方法を提供する。
賦形剤(類)またはそれらの組合せは、単量体タンパク質のバルクに加えることができるだけでなく、最終製剤(FDF)時点でもさらに加えることができる。言い換えれば、賦形剤は、単量体タンパク質のバルクの種々の段階で、さらに製造工程の最終製剤ステップでも加えることができるが、単量体タンパク質のバルクに少なくとも1回加えることができる。単量体タンパク質はインターフェロンであることが好ましい。インターフェロンはIFN−βであることがより好ましい。IFN−βはヒト組換えIFN−βであることがさらに好ましい。
タンパク質は、凝集またはオリゴマー化に対して安定化されることが好ましい。
静菌剤はベンジルアルコールであり、界面活性剤はTween 20であり、等張化剤はマンニトールであり、アミノ酸はリジンまたはアルギニンからなる群から選択され、かつ抗酸化剤はメチオニンであることが好ましい。賦形剤の好ましい組合せは以下のとおりである。
1.等張化剤がマンニトールであり、かつ抗酸化剤がメチオニンであり、
2.等張化剤がマンニトールであり、抗酸化剤がメチオニンであり、かつアミノ酸がリジンであり、
3.アミノ酸がリジンと抗酸化剤メチオニンであり、
4.アミノ酸がリジンと抗酸化剤メチオニンであり、かつ界面活性剤がTween 20であり、
5.静菌剤がベンジルアルコールであり、かつ抗酸化剤がメチオニンであり、または
6.静菌剤がベンジルアルコールであり、抗酸化剤がメチオニンであり、かつ界面活性剤がTween 20である。
加えて、バルクタンパク質は、バルク単量体タンパク質の熱解離に有利に働くよう指定の温度でインキュベートすることができる。温度範囲は27℃〜31℃であることが好ましい。温度は29℃に設定することが最も好ましい。あるいは、上記の指定の温度に達するまで温度を徐々に上昇させる。インキュベーションは少なくとも3時間行われるか、または6時間〜40時間の範囲で行われることが好ましい。インキュベーションは15時間〜30時間の範囲で行われるか、または10時間、16時間、18.5時間または24時間行われることがより好ましい。インキュベーションは24時間行われることがさらに好ましい。インキュベーションは、本発明の第1の態様の予備調製段階前後に実施することができるが、これに限定されない。本発明の第1の態様に従って安定化された単量体タンパク質は、製造工程のいずれの段階においても、すなわち、最終製剤ステップでもインキュベートすることができる。
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の方法によって得られる予備調製されたバルクタンパク質を提供する。
第3の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の、前記タンパク質のバルクの予備調製方法を含む、単量体タンパク質の安定性を増大および/または維持する方法を提供する。
ここで、本発明の好ましい実施形態により、特定の単量体タンパク質、インターフェロン、より好ましくは、IFN−βを踏まえて、本発明を説明する。
本明細書において、「インターフェロン」または「IFN」とは、文献においてそのようなものとして定義されるいずれの分子も含むものとし、例えば、上記の節「背景技術」で記載されるIFNのいずれのタイプも含む。詳しくは、IFN−α、IFN−βおよびIFN−γは上記定義に含まれる。IFN−βは本発明の好ましいIFNである。本発明に従って適したIFN−βは、例えば、Rebif(登録商標)(Serono社)、Avonex(登録商標)(Biogen社)やBetaferon(登録商標)(Schering社)として市販されている。本発明に従って、ヒト起源のインターフェロンを使用することも好ましい。本明細書において、用語インターフェロンとは、その塩、機能的誘導体、変異体、類似体および活性断片を包含するものとする。
本明細書において、用語「インターフェロン−β(IFN−βまたはIFN−β)」とは、生体液からの単離によって得られるような、または原核もしくは真核宿主細胞からDNA組換え技術によって得られるような、特にヒト起源の、線維芽細胞インターフェロン、ならびにその塩、機能的誘導体、変異体、類似体および活性断片を含むものとする。好ましくは、IFN−βは、インターフェロンβ−1aを意味するものとする。
本明細書において、用語「突然変異タンパク質」とは、天然IFNの1個以上のアミノ酸残基が異なるアミノ酸残基で置換されているか、または欠失しているか、あるいはIFNの天然配列に1個以上のアミノ酸残基が付加されており、結果として生じる産物の活性には野生型IFNと比べて大きな変化がないIFNの類似体を指す。これらの突然変異タンパク質は、公知の合成法により、および/または部位特異的突然変異誘発技術により、その結果適した他の公知の技術のいずれかによって調製される。好ましい突然変異タンパク質としては、例えば、Shepardら(1981)やMarkら(1984)によって記載されているものが挙げられる。
このような突然変異タンパク質はいずれも、例えば、IFNと実質的に類似した活性、さらにはIFNより優れた活性を有するのに十分なほど、IFNのアミノ酸配列と重複したアミノ酸配列を有することが好ましい。インターフェロンの生物学的機能については当業者に周知であり、また生物基準も確立されており、例えば、英国国立生物基準管理研究所(National Institute for Biological Standards and Control)(http://Immunology.org/links/NIBSC)から入手可能である。
IFN活性を測定するためのバイオアッセイについては記載されている。IFNアッセイは、例えば、Rubinsteinら、1981により記載されているように行うことができる。よって、ルーチン試験により、所与の突然変異タンパク質がIFNと実質的に類似した活性、さらにはIFNより優れた活性を有しているかどうかを調べることができる。
本発明に従って使用できるIFNの突然変異タンパク質、ひいては核酸コードとしては、当業者ならば、本明細書において示される教示および指針に基づき、必要以上に試験を行うことなく、日常的に得ることができる置換ペプチドまたはポリヌクレオチドのような実質的に対応する配列の有限集団が挙げられる。
本発明に従って、突然変異タンパク質の好ましい変化は、「保存的」置換として知られているものである。本発明のポリペプチドまたはタンパク質の保存的アミノ酸置換は、十分に類似した物理化学的性質を有する同義アミノ酸を1つのグループ内に含めることができ、グループのメンバー間で置換しても分子の生物学的機能は保存される。また、上記で定義される配列では、アミノ酸の挿入および欠失は、特に挿入または欠失が少数個のアミノ酸、例えば、30個未満、好ましくは、10個未満にしか関与せず、機能的コンホメーションに極めて重要なアミノ酸、例えば、システイン残基が除去または置換されない場合には、それらの機能を変更することなく行うことができるということは明らかである。このような欠失および/または挿入によって生じるタンパク質および突然変異タンパク質は、本発明の範囲に入る。
同義アミノ酸グループは、表Iに定義されるものであることが好ましい。同義アミノ酸グループは、表IIに定義されるものであることがより好ましく、同義アミノ酸グループは、表IIIに定義されるものであることが最も好ましい。
Figure 2008500995
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本発明に用いるIFNの突然変異タンパク質を得るために利用することができる、タンパク質におけるアミノ酸置換作成例としては、Markらの米国特許第4,959,314号、第4,588,585号および第4,737,462号、Kothsらの第5,116,943号、Namenらの第4,965,195号、Chongらの第4,879,111号ならびにLeeらの第5,017,691号に示されるようないずれの公知の方法ステップも含まれ、さらに米国特許第4,904,584号(Shawら)に示されるリジン置換タンパク質も含まれる。IFN−βの具体的な突然変異タンパク質については、例えば、Markら、1984により記載されている。
用語「融合タンパク質」とは、例えば、体液における滞留時間が長い、別のタンパク質と融合しているIFNまたはその突然変異タンパク質を含むポリペプチドを指す。したがってIFNは、別のタンパク質、ポリペプチドなど、例えば、免疫グロブリンまたはそのフラグメントと融合している場合がある。
本明細書において、「機能的誘導体」とは、IFN、ならびにそれらの突然変異タンパク質および融合タンパク質の誘導体を包含し、それらは、当分野で公知の方法によって、残基の側鎖として存在する官能基またはN末端基もしくはC末端基から調製でき、それらが依然として製薬上許容される限り、すなわち、それらがIFNの活性と実質的に類似したそのタンパク質の活性を破壊せず、それを含有する組成物に毒性を付与しない限り、本発明に含まれる。これらの誘導体は、例えば、抗原部位をマスクし、体液におけるIFNの滞留時間を延長できるポリエチレングリコール側鎖を含み得る。他の誘導体としては、カルボキシル基の脂肪族エステル、アンモニアとの反応か、または第一級もしくは第二級アミンとの反応によるカルボキシル基のアミド、アシル部分(例えば、アルカノイルもしくは炭素環式アロイル基)で形成されたアミノ酸残基の遊離アミノ基のN−アシル誘導体またはアシル部分で形成された遊離ヒドロキシル基(例えば、セリルもしくはトレオニル残基のもの)のO−アシル誘導体が挙げられる。
本発明は、IFNまたは突然変異タンパク質および融合タンパク質の「活性画分」として、前記画分が対応するIFNと比べて大きな活性の低下を示さないならば、単独か、または結合している関連分子もしくは残基(例えば、糖もしくはリン酸塩残基)とともにある、タンパク質分子のポリペプチド鎖のいずれかの断片または前駆体、あるいはタンパク質分子もしくは糖残基自体の凝集体を包含する。
本明細書において、用語「塩」とは、カルボキシル基の塩と上記タンパク質またはそれらの類似体のアミノ基の酸付加塩の両方を指す。カルボキシル基の塩は、当分野で公知の方法によって形成することができ、それらとしては、無機塩、例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、第二鉄塩または亜鉛塩など、および、例えば、トリエタノールアミン、アルギニンまたはリジン、ピペリジン、プロカインなどのようなアミンを用いて形成されるもののような有機塩基を含む塩が挙げられる。酸付加塩としては、例えば、塩酸または硫酸などの無機酸を含む塩および例えば、酢酸またはシュウ酸などの有機酸を含む塩が例えば挙げられる。当然、このような塩はいずれも、本発明に関連するタンパク質(IFN)の生物活性、すなわち、対応する受容体と結合し、受容体のシグナル伝達を開始する能力を保持するものでなければならない。
本発明に従って、組換えヒトIFN−βと本発明の化合物とを使用することがさらにとりわけ好ましい。
最近、特殊なインターフェロン変異体が記載された。いわゆる「コンセンサスインターフェロン」は、IFNの非自然発生変異体である(US 6,013,253)。本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物を、コンセンサスインターフェロンと併用する。
本明細書において、ヒトインターフェロンコンセンサス(IFN−con)は、天然に存在するヒト白血球インターフェロンサブタイプ配列の主流であるIFN−αの一部に共通しているアミノ酸残基を主として含み、かつ、全てのサブタイプに共通しているアミノ酸が存在しない1箇所以上の位置に、その位置に主として現れるアミノ酸を含み、いかなる場合も、少なくとも1種類の天然に存在するサブタイプにおいてその位置に存在しないアミノ酸残基を含まない、非天然ポリペプチドを意味する。IFN−conとしては、それだけには限らないが、米国特許第4,695,623号、第4,897,471号および第5,541,293号に開示されているIFN−con1、IFN−con2およびIFN−con3と呼ばれるアミノ酸配列を包含する。IFN−conをコードするDNA配列は、上記特許に記載されているように、または他の標準的な方法によって作製できる。
さらに好ましい実施形態では、融合タンパク質はIg融合を含む。融合は、直接であってもよいし、または1〜3アミノ酸残基長くらい短いか、もしくはそれより長いアミノ酸残基長、例えば、13アミノ酸残基長であり得る短いリンカーペプチドを介するものであってもよい。前記リンカーは、IFNの配列と免疫グロブリンの配列との間に導入される、例えば、配列E−F−M(Glu−Phe−Met)のトリペプチドまたはGlu−Phe−Gly−Ala−Gly−Leu−Val−Leu−Gly−Gly−Gln−Phe−Metを含む13−アミノ酸リンカー配列であり得る。得られた融合タンパク質は、体液における滞留時間(半減期)の延長、特定の活性の増大、発現レベルの増大または融合タンパク質の精製が容易になるなどの性質が向上し得る。
さらに好ましい実施形態では、IFNをIg分子の定常領域と融合する。IFNは、例えば、ヒトIgG1のCH2およびCH3ドメインのような重鎖領域と融合されることが好ましい。Ig分子の他のアイソフォーム、例えば、アイソフォームIgG2、IgG3もしくはIgG4、または例えば、IgMもしくはIgAのような他のIgクラスも本発明の融合タンパク質の作製に適している。融合タンパク質は、単量体または多量体、ヘテロもしくはホモ多量体であり得る。
さらに好ましい実施形態では、機能的誘導体は、アミノ酸残基の1つ以上の側鎖として存在する、1つ以上の官能基に結合された少なくとも1つの部分を含んでなる。その部分はポリエチレン(PEG)部分であることが好ましい。ペグ化は、公知の方法、例えば、WO99/55377に記載されているもののような既知の方法により行うことができる。
本発明は、概して、全ての種類のインターフェロンに、上記のものに、さらに、天然インターフェロン、組換えDNA技術によって作製されたインターフェロン、ならびに化学合成または修飾によって作製されたインターフェロンも含めて適用することができる。インターフェロンとは、ヒトまたはその他の適当な種の線維芽細胞、白血球、リンパ球またはその他のいずれかのインターフェロン含有組織もしくはインターフェロン産生組織由来の未精製インターフェロン、半精製インターフェロンおよび精製インターフェロンを包含することも意味する。本発明をヒト線維芽細胞インターフェロン(インターフェロン−β)に適用できることが最も好ましい。
予備調製物中のIFN−βの濃度は、10μg/mlあたり〜2000μg/mlあたりであることが好ましく、100μg/mlあたり〜1000μg/mlあたりであることがより好ましく、500μg/mlあたりまたは810μg/mlあたりであることが最も好ましい。
バッファーは、前記組成物のpHを指定pH±0.5単位内に維持するのに十分な量で存在することが好ましく、この場合の指定pHは約3.5〜約5.5である。pHは3.8、4.2または4.7であることがより好ましい。pHは4.7であることがさらに好ましい。バッファーは、濃度5mMあたり〜500mMあたりで存在することが好ましい。溶液全体でのバッファーの濃度は、5mM、9.5mM、10mM、50mM、100mM、150mM、200mM、250mMおよび500mMあたりで変化し得る。バッファーの濃度は10mMあたりまたは50mMあたりであることが好ましくい。酢酸イオンが50mMあたりでpH4.7のバッファーが特に好ましい。バッファーは好ましい対イオンがナトリウムまたはカリウムイオンである酢酸バッファーであることが好ましい。酢酸塩バッファーについては当分野で周知である。
等張化剤(例えば、マンニトール)の濃度は、0.5mg/mlあたり〜500mg/mlあたりであることが好ましい。等張化剤の濃度は55mg/mlあたりであることがより好ましい。等張化剤の濃度は、150mMあたりまたは300mMあたりまたは600mMあたりであることがさらに好ましい。
界面活性剤(すなわち、Tween 20)の濃度は、0.01mg/mlあたり〜10mg/mlあたりであることが好ましい。界面活性剤の濃度は0.05mg/mlあたりであることがより好ましい。
抗酸化剤(例えば、メチオニン)の濃度は、0.01mg/mlあたり〜5.0mg/mlあたりであることが好ましい。抗酸化剤の濃度は、0.12mg/mlあたりまたは0.24mg/mlあたりであることがより好ましい。
アミノ酸はリジンまたはアルギニンであることが好ましい。より好ましくは、アミノ酸はリジンであることがより好ましい。アミノ酸(例えば、リジンまたはアルギニン)の濃度は、20mg/mlあたり〜200mg/mlあたりであることが好ましい。リジンの濃度は、27mg/mlあたりまたは55mg/mlあたりまたは82mg/mlあたりまたは164mg/mlあたりであることが好ましい。アルギニンの濃度は、32mg/mlあたりまたは63mg/mlあたりであることが好ましくい。
静菌剤(例えば、ベンジルアルコール)の濃度は、0.01mg/mlあたり〜200mg/mlあたりであることが好ましい。静菌剤の濃度は、約5mg/mlあたりまたは10mg/mlあたりであることがより好ましい。
本明細書において引用される全ての参考文献(学術論文もしくは抄録、公開もしくは非公開の米国もしくは外国特許出願、発行された米国もしくは外国特許またはその他の参考文献を含む)は、引用された参考文献において示される全てのデータ、表、図および文章を含めて、参照により本明細書に完全に組み込まれる。さらに、本明細書において引用される参考文献で引用されている参考文献の全ての開示内容もまた参照により完全に組み込まれる。
公知の方法ステップ、従来の方法ステップ、公知の方法または従来の方法を参照することで、本発明の態様、説明または実施形態のいずれもが、関連技術において開示、教示または示唆されていると理解してはならない。
前述の具体的な実施形態の説明は、他の人も、当分野の技術(本明細書において引用される参考文献の開示内容を含む)の範囲内で知識を応用することにより、必要以上に試験を行うことなく、本発明の一般的概念を逸脱することなく、そのような具体的な実施形態を種々の用途に向けて改変し、かつ/または適合させることが容易であるという本発明の一般的性質を極めて十分に示している。よって、そのような適合および改変は、本明細書において示される教示および指針に基づいて、開示された実施形態の一連の等価物という意味の範囲内であるものとする。当然のことながら、本明細書における表現または技術用語は、説明することを目的としており、限定することを目的とはしていない。よって、本明細書の技術用語または表現は、当業者により、本明細書において示される教示および指針に照らし、当業者の知識も合わせて、解釈されるべきである。
次の実施例において使用する分析手法については、実施例6に記載する。
実施例1−バルク−インターフェロン安定化に対するインキュベーション温度とインキュベーション時間の効果(熱解離)
バルクインターフェロン−βの安定に対する解凍温度、インキュベーション温度およびインキュベーション時間(継続時間)の効果を評価するために以下の試験を実施した。その目的は、製造工程中にインターフェロンオリゴマーおよび/またはインターフェロン凝集体の形成を効果的にかつ一貫して低減することであった。以下の試験は、主として、最初に解凍した後、最終的にインキュベートするか、またはさらなる製造処理のために所与温度にて所与時間保存される凍結保存バルクインターフェロン調製物(0℃より低い温度、例えば、−20℃または−70℃で保存された調製物)に適用される。これらの試験より得られた考察は、0℃より高い温度で保存された(例えば、2〜8℃)ために解凍段階(または温度変化)を受けていないが、他の種類のストレスを受けているかもしれない調製物にも当てはまる。本明細書において、用語「レスティング」とは、(例えば、インキュベーター、バスまたはその他の場所で)解凍された後、所与温度にて所与時間(例えば、インキュベーター、バスまたはその他の場所で)保存されている凍結調製物を指し、用語「レスティング温度」とは、解凍温度とインキュベーション温度の両方を指す。凍結調製物を直接インキュベーターに入れる場合には、用語「インキュベーション温度」または「レスティング温度」は、同義的に使用することができる。用語「レスティング時間」とは、解凍期間と指定の温度での保存期間(例えば、インキュベーション期間)の合計を指す。凍結調製物を直接インキュベーターに入れる場合には、用語「インキュベーション時間」または「レスティング時間」は、同義的に使用することができる。
1.a 種々の温度における小実験室規模熱解離試験
第1の試験では、室温(RT)、25℃、27℃または29℃のいずれかの解凍温度、続いての25℃、27℃または29℃のいずれかでの合計16時間または24時間のインキュベーションについての効果を試験した。この試験は、温度設定に支障をきたさず、そのようにして全手順を通じて安定を維持するように入念に計画されている。表4ならびに図1により手順を要約する。インターフェロンオリゴマーとインターフェロン凝集体のレベルは、新規SEC−HPLC法により測定した。この新規SEC−HPLC法を本明細書ではNEW SECと称する。このNEW SEC法では、非共有結合性オリゴマーと共有結合性オリゴマーの両方を定量的にも定性的にも検出することができる。本目的は、次のパラメーターまたは変数によってオリゴマー化および/または凝集を低減して、製剤の調製まで最小限にとどめる(損傷修復)ために、バルクインターフェロンの熱解離(TD)を最適化することであった。
1)熱解離効率へのインキュベーション温度(25℃、27℃および29℃)の効果、
2)熱解離効率へのインキュベーション時間の効果、
3)インキュベーターでの解凍による解凍期間の短縮。
Figure 2008500995
対照はRTにて1回だけ実施し、試験設定1については2回実施し、試験設定2については3回実施した。各条件では、小規模モデル(「新鮮な」バルクインターフェロン1.8mlを入れたnunc社製2ml試験管、「挿入用試験管モデル」)を備えた250ml試験管1本を使用した。インキュベーターは、ウォータージャケット式かまたは空気循環式のものである。
用語解説/略語
Agg 凝集体
COA 分析証明書
Dim 二量体
Deg 分解生成物
FDF 最終剤形
F/T 凍結解凍
r−h IFN−β 1a CHO細胞由来の組換えヒトインターフェロン−β 1a(r−h IFN−β 1a)
r−h IFN−β FDF r−h IFN−β 1a最終剤形(r−h IFN−β FDF)
SE−HPLC サイズ排除高速液体クロマトグラフィー
SAB 50mM酢酸ナトリウム pH−3.8
Temp. 温度
1.New SEC−HPLC法の装置と材料:
HPLCシステム:Waters社製Alliance
UV検出器:Waters社製996 PDA 波長214nm
自動サンプル採取装置 温度設定:4℃
カラムTosoHaas社製 TSK G2000 SWXL
カラム温度:室温
移動相:50mM NaClを含む50mM酢酸ナトリウム pH3.8
NaCl 5.84グラムを50mM酢酸ナトリウム pH3.8バッファー2リットルに溶かして調製した。酢酸バッファーは、酢酸をWFIに加え、10M NaOH溶液を用いてpH−3.8まで滴定することによって滅菌溶液単位で調製した。
流速:0.5mL/分
注入量:200μL r−h IFN−β 1aバルク 0.34〜0.36mg/mL。
試薬:
酢酸、Merck社コードK31358056
NaOH、Merck社製B197582
NaOH 10M溶液
WFI
NaCl、JT BAKER社コード3627−07
2.手順−手順は図1に示される
1)新鮮なr−h IFN−β 1aバルク1.8mlをnunc社製2ml試験管に入れ、水200mlの入った250ml試験管内で−70℃にて凍結した。
2)3本の試験管をRTにて解凍し、25℃、27℃および29℃にて別々に有効なインキュベーターで(経時的に一定温度の、安定したインキュベーター)内で合計16時間インキュベートした。解凍後と16時間(解凍+インキュベーション)後にNEW SECによる試験を行うため、それらの試験管からサンプル採取した。
3)3本の試験管をRTにて解凍し、25℃、27℃および29℃にて別々に有効なインキュベーターで合計24時間インキュベートした。解凍後と24時間(解凍+インキュベーション)後にNEW SECによる試験を行うため、それらの試験管からサンプル採取した。
4)3本の試験管を25℃、27℃および29℃にて別々に解凍し、有効なインキュベーターで合計16時間インキュベートした。解凍後と16時間(解凍+インキュベーション)後にNEW SECによる試験を行うため、それらの試験管からサンプル採取した。
5)3本の試験管を25℃、27℃および29℃にて別々に解凍し、有効なインキュベーターで合計16時間インキュベートした。16時間(解凍+インキュベーション)後にNEW SECによる試験を行うため、それらの試験管からサンプル採取した。−インキュベーターで解凍後のサンプル採取は行わなかった。
6)3本の試験管を25℃、27℃および29℃にて別々に解凍し、インキュベーターで合計24時間インキュベートした。24時間(解凍+インキュベーション)後にNEW SECによる試験を行うため、それらの試験管からサンプル採取した。−インキュベーターで解凍後のサンプル採取は行わなかった。
7)1本の試験管をRTにて16時間解凍し、2〜8℃にて最大72時間保存した。−NEW−SEC用にその試験管からサンプル採取して、この試験の対照とした。
8)前記分子への効果を評価するため、選択した条件で試験を繰り返した。インキュベートしたサンプルをNEW SEC、IEF、QUANT−HPLC、ES−MS、バイオアッセイ、DEG/OX HPLC、CZEにより試験した。結果をRTにて16時間解凍し、2〜8℃にて保存した対照サンプルと比較した。
3.結果:%Monまたは%単量体=r−h IFN−β 1a単量体の割合%
%Agg=r−h IFN−β 1a凝集体の割合%
・RTでの解凍と合計16時間のインキュベーション
挿入物の入った3×250ml試験管を−70℃にて凍結し、RTにて解凍した。それらの試験管を20回ゆっくりと反転し、それらからサンプル採取し、すぐに3台のインキュベーター(25℃、27℃および29℃)に合計16時間(解凍+インキュベーション)入れた。サンプルは、NEW SEC−HPLCによる分析まで2〜8℃にて保存した。結果を表5に示す。
Figure 2008500995
・RTでの解凍と合計24時間のインキュベーション
挿入物の入った3×250ml試験管を−70℃にて凍結し、RTにて解凍した。それらの試験管を20回ゆっくりと反転し、それらからサンプル採取し、すぐに3台のインキュベーター(25℃、27℃および29℃)に合計24時間(解凍+インキュベーション)入れた。サンプルは、NEW SEC−HPLCによる分析まで2〜8℃にて保存した。結果を表6に示す。
Figure 2008500995
・インキュベーターでの解凍と合計16時間のインキュベーション
挿入物の入った3×250ml試験管を−70℃にて凍結し、3台のインキュベーター(25℃、27℃および29℃)内で別々に解凍した。解凍後、それらの試験管を20回ゆっくりと反転し、合計16時間(解凍+インキュベーション)インキュベートした。サンプルは、NEW SEC−HPLCによる分析まで2〜8℃にて保存した。結果を表7に示す。
Figure 2008500995
・インキュベーターでの解凍と合計24時間のインキュベーション
挿入物の入った3×250ml試験管を−70℃にて凍結し、3台のインキュベーター(25℃、27℃および29℃)内で別々に解凍した。それらの試験管を20回ゆっくりと反転し、NEW SEC HPLC用にサンプル採取し、合計24時間(解凍+インキュベーション)インキュベートした。サンプルは、NEW SEC−HPLCによる分析まで2〜8℃にて保存した。反復試験は別の日に行った−解凍後の試験管からのサンプル採取は行わなかった。結果を表8aおよび8bに示す。
Figure 2008500995
Figure 2008500995
4.結論:
上記試験から次の事項を示すことができる。
・インキュベーション温度の上昇とインキュベーション時間の延長により熱解離効率が上昇する。
・インキュベーター内で解凍した場合、RTで解凍した場合と比べて解凍時間は短縮され、その結果、単量体レベルが上昇する。
・25℃、27℃および29℃にて24時間までの解凍とインキュベーションは、以下によれば、r−h IFN−β 1a分子に対して何の悪影響も及ぼさなかった。ルーチンSEC HPLC、Deg/Ox HPLC、quant−HPLC、ES−MS、バイオアッセイおよびCZE。
上記試験は、事前に凍結保存したバルクインターフェロンのレスティング温度とレスティング時間を調整することにより、オリゴマー化の低減に関して有意義な結果が得られることを証明している。
調製物をどのように解凍するかには関係なく(例えば、RTで解凍しても、インキュベーター内で解凍しても)、ある程度までは、レスティング温度を上げることにより、インターフェロン単量体レベルにおいて有益な結果が得られる。このように、レスティング温度とタンパク質単量体レベルとの間には相関がある;レスティング温度を25℃〜29℃に上げると、タンパク質単量体レベルが増加することになる。最良の結果は、バルク溶液を温度29℃に設定した場合に得られる。バルク溶液は、インキュベーション温度29℃にてインキュベーターに入れることが好ましい。インキュベーション温度の比較では、25℃〜29℃で単量体の約5〜6%増加が観察される。好ましくは、凍結調製物を直接インキュベーターに入れ、インキュベーション前にRTで解凍しない(そのためにインキュベーター内で解凍が起こる)ことが好ましい。また、結果から、解凍したバルクインターフェロンを10時間インキュベートすることで、すでに、得られる単量体の割合%が95%を超えていることも分かる。RTでの解凍では、試験したインキュベーション時間は10時間または18.5時間いずれかであった。インキュベーターで解凍した場合に、試験したインキュベーション時間は16時間または24時間いずれかであった。
また、レスティング時間もオリゴマー化に影響を及ぼす因子である。レスティング条件には関係なく(例えば、RTで解凍した後にインキュベートしても、直接インキュベートしても)、レスティング時間と単量体レベルとの間には相関がある;レスティング時間が長くなるほど、タンパク質単量体レベルが増加する。最良の結果は、レスティング時間24時間の場合に得られる。レスティング時間の比較では、レスティング時間16時間〜24時間で単量体の約3%増加が達成される。凍結調製物のレスティング時間は24時間であることが好ましい。より好ましくは、凍結調製物を直接、インキュベーション時間(レスティング時間)24時間にてインキュベーターに入れる(インキュベーター内で解凍が起こる)。
2種の変数(レスティング時間とレスティング温度)を組み合わせても、単量体の約9%増加が達成される。それらの結果は、インキュベートした製剤をインキュベートしなかったものと比較した場合にさらに顕著である。調製物を解凍(インキュベートなし)直後に分析する場合には、77.48%Monが得られ、一方、凍結調製物を直接、インキュベーション温度29℃にてインキュベーション時間24時間インキュベートする場合には97.9%Monが得られる。このように、2種の変数を最適化することにより単量体レベルに20%の差が生じる。バルクインターフェロンは、レスティング温度29℃、レスティング時間24時間に設定することが好ましい。より好ましくは、前記バルクインターフェロンを直接、29℃にてインキュベーション時間24時間インキュベートする(インキュベーター内で解凍が起こる)(最良の結果では97.9%Monが得られる)。
結論として、レスティング時間とレスティング温度、好ましくは、インキュベーション温度とインキュベーション時間は、バルクインターフェロン予備調製物または製剤の安定性の維持および/または増大に大きく貢献する重要な因子である。
1.b 種々のF/Tサイクルを用いた29℃における実験室規模熱解離試験
この研究報告では、r−h IFN−β 1a製剤原料における二量体レベルおよび凝集体レベルへの、29℃でのインキュベーションの効果を評価する。
1.手順:
a.r−h IFN−β 1aバルクサンプルの分析にはNEW−SEC法を用いた。バルクサンプルは、解凍後29℃にて15時間または3時間インキュベートし、それらのサンプルには表9に示すような種々のF/Tサイクルを行った。R−h IFN−β 1a バルクを7本のcorning社製15ml試験管に入れた(各試験管に0.9ml)。それらの試験管を−70℃にて凍結した。また、IFN−β−1aバルク(事前に凍結解凍したもの)も2本のcorning社製250ml試験管に入れ(各試験管に200ml)、それらの試験管を−70℃にて凍結した。
Figure 2008500995
b.IFN−β−1aバルクをインキュベートすることのその分子への効果を評価するため、インキュベートしたバルク(1F/T後)を以下の方法により試験した。Deg/Ox−HPLC、IEF、ES−MS、Quant−HPLC、CZE。
c.さらに、実験室規模F/T×1での熱解離速度についても行った。250ml試験管中のr−h IFN−β 1aバルクのアリコートを、F/T×1後に15ml試験管に入れ、インキュベーターで29℃にてインキュベートした。
2.結果:
1)室温にて解凍後のr−h IFN−β 1aバルク(1F/T)のインキュベーションにより、単量体レベルは82.8%から97.57%へと増加し、凝集体レベルは0.7%から0.2%へと低減した(表10参照)。29℃にて(インキュベーター)15時間のインキュベーションは、二量体の解離に効果がある。
2)バスで解凍後のr−h IFN−β 1aバルクのインキュベーションにより、単量体レベルは82.8%から96.7%へと増加したが、凝集体レベルも0.7%から1.97%へと増加した(表10参照)。
Figure 2008500995
3)室温にて解凍後のr−h IFN−β 1aバルク(4FT)の3時間のインキュベーションにより、単量体レベルは、二量体レベルが低減したことから82.3%から89.5%へと増加した(表11および図2参照)。
4)室温にて解凍後のr−h IFN−β 1aバルク(4FT)の15時間のインキュベーションにより、単量体レベルは、二量体レベルが低減したことから82.3%から93.7%へと(3時間インキュベーションと比べて)さらに増加した(表11および図2参照)。
5)バスで解凍後のr−h IFN−β 1aバルクのインキュベーションにより、単量体レベルは、二量体レベルが低減したことから82.3%から94.7%へと増加した(表11および図2参照)。
Figure 2008500995
6)室温にて解凍後のr−h IFN−β 1aバルクサンプル200mlのインキュベーションにより、単量体レベルは73%から91.2%へと増加し、凝集体レベルは3.9%から2.9%へと低減した(表12および図3参照)。
Figure 2008500995
7)インキュベートしたr−h IFN−β 1aバルクサンプル(0.9ml,1F/T)を、RTにて解凍し、4℃にて保存した対照サンプルとともに、以下の試験により分析した(表13参照):
Deg/Ox−HPLC−インキュベートしたサンプルでは、対照サンプル(4℃にて保存)と比べて酸化レベルの上昇は見られなかった
ES−MS −インキュベートしたサンプルでは、炭水化物レベルにおいて対照サンプルとの差は認められなかった
Quant−HPLC−濃度では大きな差は認められなかった
CZE−同一エレクトロフェログラムプロフィールが得られた
IEF−循環水バスで解凍したr−h IFN−β 1a Fバルクサンプルは、pI−7付近にさらなるバンドを示した。対照サンプルと、RTにて解凍し、15時間インキュベートしたサンプルは、特性に一致した。
Figure 2008500995
室温で解凍した後の15時間は、Deg/ox HPLC、ES−MS、Quant−HPLC CZEおよびIEFによって判断されるように、IFN−β−1a分子のパラメーターに影響しない。
8)F/T×1での熱解離速度についての結果を、表14および図4〜6に示す。
Figure 2008500995
3.結論:
1)室温にて解凍後にr−h IFN−β 1aサンプルを29℃にて15時間インキュベートすることにより、オリゴマー化(主として二量体)レベルが大幅に低減した。
2)バスで29℃にて解凍後にr−h IFN−β 1aサンプルを29℃にて15時間インキュベートすることにより、オリゴマー化レベルが大幅に低減した。
3)使用した分析手法に基づいて、Deg/ox HPLC、ES−MS、Quant−HPLC CZEおよびIEFによって判断されるように、RTにて解凍後のr−h IFN−β 1aバルクの29℃にて15時間のインキュベーションは、IFN−β−1a分子のパラメーターに対して悪影響を及ぼさなかった。非共有結合性オリゴマーの解離に効果的であるが、全ての非共有結合性オリゴマーが解離するわけではない(250ml試験管では4%非共有結合性オリゴマーは解離しない)。250ml試験管中の%単量体は、94%(29℃9時間のインキュベーション)に達し、小型試験管では97.57%(29℃15時間のインキュベーション)に達する。オリゴマーは熱解離直後に平衡に達した(表および図参照)。15ml試験管における29℃での熱解離は15時間後に完了する。要約すれば、本試験(1.aおよび1.b)は、特定の温度と期間(すなわち、レスティング温度とレスティング時間またはインキュベーション時間とインキュベーション温度)によって具体化される熱解離が(単量体)タンパク質またはその(単量体)タンパク質を含有する製剤の安定性の維持および/または増大に極めて重要であることを証明している。インターフェロン−βの熱解離速度からは、1 F/Tサイクルでの熱解離では、3時間経過しただけで90%Monが得られ、その熱解離は6時間後にほぼ完了して、15時間時点には「プラトーに達する」ことがさらに分かる。熱解離は少なくとも3時間行われることが好ましい。インターフェロン−βの熱解離期間(レスティング時間またはインキュベーション時間)を6時間〜40時間の範囲に設定することがより好ましい。インターフェロン−βの熱解離期間を15時間〜30時間の範囲に設定するか、または10時間、16時間、18.5時間もしくは24時間に設定することがさらに好ましい。インターフェロン−βの熱解離期間は24時間であることがさらに好ましい。インキュベーションまたはレスティング温度は、27℃〜31℃の範囲に設定することが好ましい。前記温度は29℃であることがより好ましい。熱解離速度についての結果を1 F/T後に得たが、当業者ならば、従来の技術を用いて、数多くのF/Tサイクルを経た後(例えば、2F/T、4F/Tもしくは11F/T後;または他の種類のストレスを受けた後)に、場合によっては任意のインターフェロン−β(例えば、r−h インターフェロン−β 1a)または任意の単量体タンパク質の製造工程全体またはそのいずれの部分でも熱解離速度を容易に決定し得る。そのようなものとして、本発明は、特定のインキュベーション時間または期間(またはレスティング時間)に限定されるべきではない。同様に、当業者ならば、従来の技術を用いて、1回以上のF/Tサイクル後(または他の種類のストレスを受けた後)に、場合によっては任意のインターフェロン−β(例えば、r−h インターフェロン−β 1a)または任意の単量体タンパク質の製造工程全体またはそのいずれの部分でも最適なインキュベーション温度(またはレスティング温度)を容易に決定できる。そのようなものとして、本発明は、特定のインキュベーション温度(またはレスティング温度)に限定されるべきではない。
実施例2:バルクインターフェロンへの賦形剤の添加によるインターフェロン−βの安定化
これらの試験は、アミノ酸、静菌剤、界面活性剤および等張化剤のような数種類の賦形剤によって示される、バルクr−h IFN−β 1aに対する、オリゴマー化および凝集という観点からの保護効果を検証するために行った。以下の研究は、バルクr−h IFN−β 1a予備調製物にヒト血清アルブミン(HSA)を加えずに行った。
1.0 用語解説/略語
Agg 凝集体
COA 分析証明書
Dim 二量体
Deg 分解生成物
FDF 最終剤形
F/T 凍結解凍
r−h IFN−β 1a CHO細胞由来の組換えヒトインターフェロン−β 1a(r−h IFN−β 1a)
r−h IFN−β FDF r−h IFN−β 1a最終剤形(r−h IFN−β FDF)
SE−HPLC サイズ排除高速液体クロマトグラフィー
SAB 50mM酢酸ナトリウム pH−3.8
Temp. 温度
2.0 序文
本研究は、安定化したバルクインターフェロン−βを提供するために、SEC−EL画分からFDFの保存までの製造段階中のr−h IFN−β 1aのオリゴマー化の最小化に着目した。
ストレス(例えば、F/T)によって生じるオリゴマー化の最小化を以下により行った。
1.賦形剤および/または他の安定剤を加え、HASを加えないで、バルクを予備調製すること。
2.予備調製したバルクにおけるオリゴマー化に対する保存温度(−20℃、−70℃および2〜8℃)の効果を評価すること。
予備調製したバルクサンプルをSE−HPLCにより分析した。
3.0 目的/範囲
バルク処理中のr−h IFN−β 1aのオリゴマー化を最小化すること。
4.0 装置と材料
4.1 装置
0.2μフィルターユニットP/N MPGL025 Millipore社製
Millex シリンジフィルター、0.2μ−P/N SLGV025LS Millipore社製
250ml遠心分離用円錐型試験管−Corning社製
1.8ml凍結用試験管−Nunc社製
4.2 材料
a.SEC el2画分
b.D−マンニトール DAB、Ph Eur,BP,USP,FCC,E421(コード1.05980,Merck社製)
c.氷酢酸 100%(コード1.00063、Merck社製)
d.水酸化ナトリウム 10M
e.ポロキサマー188(Lutrol F 68 DAC,USP/NF,Basf),5163315
f.L−メチオニン(1.05707、Merck社製)
g.ベンジルアルコール Ph Eur,BP,NF(コード1.00987、Merck社製)
h.L−アルギニン一塩酸塩(コード1.01544、Merck社製)
i.Tween(登録商標)20 Ph Eur,NF(コード8.17072、Merck社製)
j.リジン(コード1.05701、Merck社製)
k.r−h IFN−β 1a 0.48〜0.5mg/mlまたは0.088mg/ml
l.酢酸バッファー pH3.8 50mMまたは10mM
安定剤:
アミノ酸:
1.アルギニン 31.6mg/ml
2.リジン 27.4mg/ml
3.メチオニン 0.12mg/ml(抗酸化剤)
界面活性剤:
1.Tween 20 0.05mg/ml
2.ポロキサマー188(プルロニックアシッド(Pluronic acid))0.5mg/ml
静菌剤:
1.ベンジルアルコール 5mg/ml
等張化剤:
1.マンニトール 54.6mg/ml
5.0 手順
本研究をSEC−EL2画分において行った。
本研究のスキーム概要を図7(図7−1及び図7−2)に示す。
種々の予備調製条件を表15および16に示す。
Figure 2008500995
Figure 2008500995
6.1 溶液の調製
6.1.1 50mM酢酸ナトリウム pH−3.8(SAB)1リットルの調製
WFI 1000mlに氷酢酸3.003グラムを加え、5分間混合した。
水酸化ナトリウム 10M 約0.56mlを加えて、pH−3.8に調整し、その溶液を5分間混合し、その溶液から伝導度を得るためにサンプル採取し、0.2μフィルターで濾過した。製造工程中の製剤原料の容器表面への吸着を防止するために、ポロキサマー188(またはプルロニック F−68)を0.1%レベル(臨界ミセル濃度)で予備調製物に含める。それよりも濃度が高くなると製品の安定性に悪影響を及ぼす(酸化が高まる)可能性があり、それよりも濃度が低くなると吸着を制限する効果がなくなる可能性がある。
6.1.2 次の溶液1リットルを調製した。
1.50mM酢酸塩 pH−3.8、10mg/mlベンジルアルコール
6.1.1の場合と同様に、ベンジルアルコール10グラムを加えた後、水酸化ナトリウムを加えた。
2.50mM酢酸塩 pH−3.8、5mg/mlベンジルアルコール
6.1.1の場合と同様に、ベンジルアルコール5グラムを加えた後、水酸化ナトリウムを加えた。
3.50mM酢酸塩 pH−3.8、63.2mg/mlアルギニン
6.1.1の場合と同様に、アルギニン63.2グラムを加えた後、水酸化ナトリウムを加えた。
4.50mM酢酸塩 pH−3.8、31.6mg/mlアルギニン
6.1.1の場合と同様に、アルギニン31.6グラムを加えた後、水酸化ナトリウムを加えた。
5.50mM酢酸塩 pH−3.8、54.8mg/mlリジン
6.1.1の場合と同様に、リジン54.8グラムを加えた後、水酸化ナトリウムを加えた。
6.50mM酢酸塩 pH−3.8、27.4mg/mlリジン
6.1.1の場合と同様に、アルギニン31.6グラムを加えた後、水酸化ナトリウムを加えた。
7.50mM酢酸塩 pH−3.8、600mMマンニトール
WFI 0.926kgに氷酢酸3.003グラムを加え、その溶液を5分間混合した。その溶液にマンニトール100.3グラムを加え、5分間混合した。水酸化ナトリウム 10M 約0.56mlを加えて、pH−3.8に調整し、その溶液を5分間混合し、その溶液から伝導度を得るためにサンプル採取し、0.2μメンブレンで濾過した。
8.50mM酢酸塩 pH−3.8、300mMマンニトール
WFI 0.966kgに氷酢酸3.003グラムを加え、5分間混合した。マンニトール55.1グラムを加え、5分間混合した。水酸化ナトリウム 10M 約0.56mlを加えて、pH−3.8に調整し、その溶液を5分間混合し、その溶液から伝導度を得るためにサンプル採取し、0.2μフィルターで濾過した。
6.1.3 次の溶液1リットルを調製した。
1.50mM酢酸塩 pH−3.8、5mg/mlベンジルアルコール、12mg/mlメチオニン
6.1.2の場合と同様に、メチオニン12グラムを加えた。
2.50mM酢酸塩 pH−3.8、5mg/mlベンジルアルコール、12mg/mlメチオニン、50mg/mlポロキサマー188
6.1.2の場合と同様に、メチオニン12グラムとポロキサマー188 50グラムを加えた。
3.50mM酢酸塩 pH−3.8、5mg/mlベンジルアルコール、12mg/mlメチオニン、5mg/ml Tween 20
6.1.2の場合と同様に、メチオニン12グラムとTween 20 5グラムを加えた。
4.50mM酢酸塩 pH−3.8、31.6mg/mlアルギニン、12mg/mlメチオニン
6.1.2の場合と同様に、メチオニン12グラムを加えた。
5.50mM酢酸塩 pH−3.8、31.6mg/mlアルギニン、12mg/mlメチオニン、50mg/mlポロキサマー188
6.1.2の場合と同様に、メチオニン12グラムとポロキサマー188 50グラムを加えた。
6.50mM酢酸塩 pH−3.8、31.6mg/mlアルギニン、12mg/mlメチオニン、5mg/ml Tween 20
6.1.2の場合と同様に、メチオニン12グラムとTween 20 5グラムを加えた。
7.50mM酢酸塩 pH−3.8、300mMマンニトール、12mg/mlメチオニン
6.1.2の場合と同様に、メチオニン12グラムを加えた。
8.50mM酢酸塩 pH−3.8、300mMマンニトール、12mg/mlメチオニン、5mg/mlポロキサマー188
6.1.2の場合と同様に、メチオニン12グラムとポロキサマー188 5グラムを加えた。
9.50mM酢酸塩 pH−3.8、300mMマンニトール、12mg/mlメチオニン、5mg/ml Tween 20
6.1.2の場合と同様に、メチオニン12グラムとTween 20 5グラムを加えた。
10.50mM酢酸塩 pH−3.8、27.4mg/mlリジン、12mg/mlメチオニン
6.1.2の場合と同様に、メチオニン12グラムを加えた。
11.50mM酢酸塩 pH−3.8、27.4mg/mlリジン、12mg/mlメチオニン、5mg/mlポロキサマー188
6.1.2の場合と同様に、メチオニン12グラムとポロキサマー188 5グラムを加えた。
12.50mM酢酸塩 pH−3.8、27.4mg/mlリジン、12mg/mlメチオニン、5mg/ml Tween 20
6.1.2の場合と同様に、メチオニン12グラムとTween 20 5グラムを加えた。
6.2 バルク予備調製
バルク調製と組成のスキーム概要を図7(図7−1及び図7−2)および表15に示す。
第1段階
6.2.1 SEC−EL 197グラムをSAB、10mg/mlベンジルアルコールで1:1 w/w希釈した。
6.2.2 SEC−EL 197グラムをSAB、63.2mg/mlアルギニンで1:1 w/w希釈した。
6.2.3 SEC−EL 197グラムをSAB、600mMマンニトールで1:1 w/w希釈した。
6.2.4 SEC−EL 197グラムをSAB、54.8mg/mlリジンで1:1 w/w希釈した。
6.2.5 SEC−EL 92グラムをSAB 208グラムで希釈して、0.5mg/ml r−h IFN−β 1a含有溶液を調製した。これらの溶液を、濾過後、250ml試験管(バルク130グラムを含む)2本と2ml試験管(バルク0.5mlを含む)6本に分けた。
250ml試験管1本と2ml試験管2本を−70℃にて凍結保存した。
250ml試験管1本と2ml試験管2本を−70℃にて凍結した後、−20℃にて保存するために第2のフリーザーに移した。
2ml試験管2本を2〜8℃にて保存した。
SEC−ELを水で希釈して、10mM酢酸塩 pH−3.8中の0.088mg/ml r−h IFN−β 1a含有溶液6mlを調製した。
第2段階
次の溶液を、濃度0.5mg/ml r−h IFN−β 1aにて調製した。
6.2.6 6.2.1で調製した溶液をSAB、5mg/mlベンジルアルコールで希釈した。
6.2.7 6.2.2で調製した溶液をSAB、31.6mg/mlアルギニンで希釈した。
6.2.8 6.2.3で調製した溶液をSAB、300mMマンニトールで希釈した。
6.2.9 6.2.4で調製した溶液をSAB、27.4mg/mlリジンで希釈した。
6.2.10 これらの4種類の溶液(6.2.6〜6.2.9)を、濾過後、250ml試験管(バルク130グラムを含む)4本と2ml試験管(バルク2mlを含む)6本に分けた。合計−250ml試験管14本と2ml試験管18本。
これらの3種類の溶液の残量に対してさらに処理を行った(第3段階)。
6.2.11 各溶液の250ml試験管2本と2ml試験管2本を−70℃にて凍結保存した。
各溶液の250ml試験管2本と2ml試験管2本を−70℃にて凍結した後、−20℃にて保存するために第2のフリーザーに移した。
各溶液の2ml試験管2本を2〜8℃にて保存した。
第3段階(1:100希釈)
6.2.12 6.2.6で調製した溶液29.7mlをSAB 0.3ml、5mg/mlベンジルアルコール、12mg/mlメチオニンで希釈した。
6.2.13 6.2.6で調製した溶液29.7mlをSAB 0.3ml、5mg/mlベンジルアルコール、12mg/mlメチオニン、50mg/mlプルロニックで希釈した。
6.2.14 6.2.6で調製した溶液29.7mlをSAB 0.3ml、5mg/mlベンジルアルコール、12mg/mlメチオニン、5mg/ml Tween 20で希釈した。
6.2.15 6.2.7で調製した溶液29.7mlをSAB 0.3ml、31.6mg/mlアルギニン、12mg/mlメチオニンで希釈した。
6.2.16 6.2.7で調製した溶液29.7mlをSAB 0.3ml、31.6mg/mlアルギニン、12mg/mlメチオニン、50mg/mlプルロニックで希釈した。
6.2.17 6.2.7で調製した溶液29.7mlをSAB 0.3ml、31.6mg/mlアルギニン、12mg/mlメチオニン、5mg/ml Tween 20で希釈した。
6.2.18 6.2.8で調製した溶液29.7mlをSAB 0.3ml、300mMマンニトール、12mg/mlメチオニンで希釈した。
6.2.19 6.2.8で調製した溶液29.7mlをSAB 0.3ml、300mMマンニトール、12mg/mlメチオニン、50mg/mlプルロニックで希釈した。
6.2.20 6.2.8で調製した溶液29.7mlをSAB 0.3ml、300mMマンニトール、12mg/mlメチオニン、5mg/ml Tween 20で希釈した。
6.2.21 6.2.9で調製した溶液29.7mlをSAB 0.3ml、27.4mg/mlリジン、12mg/mlメチオニンで希釈した。
6.2.22 6.2.9で調製した溶液29.7mlをSAB 0.3ml、27.4mg/mlリジン、12mg/mlメチオニン、50mg/mlプルロニックで希釈した。
6.2.23 6.2.9で調製した溶液29.7mlをSAB 0.3ml、27.4mg/mlリジン、12mg/mlメチオニン、5mg/ml Tween 20で希釈した。
6.2.24 全ての溶液(6.2.12〜6.2.23)を、別々に、Millex シリンジフィルター,0.2μで濾過した。
6.2.25 それらの溶液を2ml試験管(各溶液につき少なくとも6本の試験管)に分けた。
6.2.26 各溶液の2ml試験管2本を−70℃にて凍結保存した。
各溶液の2ml試験管2本を−70℃にて凍結した後、−20℃にて保存するために第2のフリーザーに移した。
各溶液の2ml試験管2本を2〜8℃にて保存した。
6.3 バルク分析
各予備調製条件の、2〜8℃、−70℃および−20℃にて保存した2ml試験管1本を、室温にて2時間解凍した後、SE−HPLCにより分析した。−20℃にて保存したサンプルは、−70℃に4時間戻した後、解凍した。結果を表17に示す。
条件1、5、9、13および15の、−70℃にて保存した250ml試験管1本(表1参照)を、室温にて6時間解凍した後、SE−HPLCにより分析した。結果を表18に示す。
さらに、1F/Tサイクル後の15ml試験管中のサンプル(F/T×1後の250ml試験管のサンプルは1ml)についても熱解離研究をインキュベーション温度29℃にて8時間実施し、SE−HPLCにより分析した(結果については表19参照)。
7.0 結果
Figure 2008500995
* 2〜8℃にて3週間保存した。** −70℃にて凍結し、−20℃にて16日間保存し、−70℃に4時間戻した。結果は二連試験の平均である。
バルクバッファーには、50mM酢酸ナトリウム pH−3.8+異なる組合せの賦形剤(BA−ベンジルアルコール、MET−メチオニン、MAN−マンニトール、TW−Tween 20、POL−ポロキサマー)を含めた。
Figure 2008500995
Figure 2008500995
8.0 考察
バルクr−h インターフェロン−β 1aに賦形剤を加えることによって、二量体と凝集体の割合%が一貫して低減する(その結果として、単量体の割合%が一貫して増加する)。熱解離と選択した賦形剤によるr−h インターフェロン βへの効果の比較では、賦形剤の添加によって少し高い単量体レベル(より低い二量体および凝集体レベル)を達成することができる。さらに、賦形剤により安定化した予備調製物は、熱解離(例えば、29℃でのインキュベーション)をさらに受けると、さらに高い単量体レベルを示す。
1.2ml試験管
・4℃にて
種々の条件によって得られた%単量体の差は小さい(最大デルタ1.3%)が、マンニトールを含有するサンプルが最も高い単量体レベル(100%)を示した。
・−70℃にて
マンニトール+Tween 20+メチオニンの組合せは、リジンより少し優れている。
種々の組合せにおいて、全ての安定剤で、%単量体≧99を得ることができる。
・−70℃にて、さらに−20℃にて保存
リジン+Tween 20+メチオニンの組合せで最も高い%単量体が得られる。
2.250ml試験管
・−70℃にて
リジンは、オリゴマー化レベルの低減という点において、試験したそれ以外の賦形剤と比べて明らかに有利である。
実施例3:バルクインターフェロンへの賦形剤の添加によるインターフェロン−βの安定化についての速度超遠心分離、SECおよびDeg/Ox HPLCによる分析
1.0 用語解説/略語
Agg 凝集体
Dim 二量体
Deg 分解生成物
FDF 最終剤形
F/T 凍結解凍
r−h IFN−β 1a CHO細胞由来の組換えヒトインターフェロン−β 1a(r−h IFN−β 1a)
r−h IFN−β FDF r−h IFN−β 1a最終剤形(r−h IFN−β FDF)
SE−HPLC サイズ排除高速液体クロマトグラフィー
SAB 50mM酢酸ナトリウム pH−3.8
Temp. 温度
1.0 序文
本研究は、安定化したバルクインターフェロンを提供するために、SEC−EL画分からFDFの保存までの製造段階中のr−h IFN−β 1aのオリゴマー化の最小化に着目した。
オリゴマー化の最小化を以下により行った。
1)賦形剤および/または他の安定剤を加えてバルクを予備調製した後、−70℃にて凍結すること。
2)賦形剤および/または他の安定剤を加えてバルクを予備調製し、凍結せずに、2〜8℃にて輸送すること。
3)予備調製せずに、凍結していないr−h IFN−β 1aバルクを2〜8℃にて輸送すること。
予備調製したバルクサンプルをSE−HPLC Deg/Ox HPLC法と速度超遠心分離法により分析した。SE−HPLCでは、共有結合性オリゴマーのみ検出される可能性があるのに対し、速度超遠心分離では、非共有結合性オリゴマーも、定量的にも定性的にも検出される。
3.0 目的/範囲
バルク処理中のr−h インターフェロン−β 1aのオリゴマー化を最小化すること。
4.0 装置と材料
4.1 装置
0.2μフィルターユニットP/N MPGL025 Millipore社製
Revco社製フリーザー、−70℃
蠕動ポンプ
250ml遠心分離用円錐型試験管−Corning社製
1.8ml凍結用試験管−Nunc社製
4.2 材料
SEC el2画分
D−マンニトール DAB,Ph Eur,BP,USP,FCC,E421(コード1.05980,Merck社製)
氷酢酸100%(コード1.00063,Merck社製)
水酸化ナトリウム 10M
L−メチオニン(1.05707,Merck社製)
L−アルギニン一塩酸塩(コード1.01544,Merck社製)
リジン(コード1.05701,Merck社製)
5.0 手順
本研究をSEC−EL2画分において行った。
本研究のスキーム概要を図8(図8−1及び図8−2)に示す。
異なる予備調製条件を表20に示す。
Figure 2008500995
6.4 溶液の調製
実施例2に従って、溶液を調製した。
1.50mM酢酸ナトリウム pH−3.8(SAB)の調製
実施例2参照。
2.50mM酢酸塩 pH−3.8、63.2mg/mlアルギニン 0.5リットルの調製
a.WFI 0.483kgを秤量した。
b.アルギニン31.6グラムを加えた。
c.その溶液を5分間混合して、アルギニンを溶かした。
d.酢酸1.5グラムを加えた。
e.その溶液を5分間混合した。
f.PHを測定しながら、pHが3.8に達するまでNaOH 10M約0.28mlを加えた。
g.その溶液から伝導度およびpHを得るためにサンプル採取した。
h.その溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過した。
3.50mM酢酸塩 pH−3.8、31.6mg/mlアルギニン 1リットルの調製
a.WFI 0.986kgを秤量した。
b.アルギニン31.6グラムを加えた。
c.その溶液を5分間混合して、アルギニンを溶かした。
d.酢酸3.002グラムを加えた。
e.その溶液を5分間混合した。
f.PHを測定しながら、pHが3.8に達するまでNaOH 10M約0.56mlを加えた。
g.その溶液から伝導度およびpHを得るためにサンプル採取した。
h.その溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過した。
4.50mM酢酸塩 pH−4.1、164.4.mg/mlリジン 1リットルの調製
a.WFI 0.835kgを秤量した。
b.リジン164.4グラムを加えた。
c.その溶液を5分間混合して、アルギニンを溶かした。
d.酢酸3.002グラムを加えた。
e.その溶液を5分間混合した。
f.NaOH 10M 0.56mlを加え、pHは約4.1に達した。
g.その溶液から伝導度およびpHを得るためにサンプル採取した。
h.その溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過した。
5.50mM酢酸塩 pH−4.0、82.2mg/mlリジン 1リットルの調製
a.WFI 0.92kgを秤量した。
b.リジン82.2グラムを加えた。
c.その溶液を5分間混合して、リジンを溶かした。
d.酢酸3.002グラムを加えた。
e.その溶液を5分間混合した。
f.NaOH 10M 0.56mlを加え、pHは約4.0に達した。
g.その溶液から伝導度およびpHを得るためにサンプル採取した。
h.その溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過した。
6.50mM酢酸塩 pH−3.8、600mMマンニトール、0.24mg/mlメチオニン 1リットルの調製
a.WFI 0.92kgを秤量した。
b.マンニトール110.28グラムを加えた。
c.その溶液を5分間混合して、マンニトールを溶かした。
d.酢酸3.002グラムを加えた。
e.その溶液を5分間混合した。
f.メチオニン0.24グラムを加えた。
g.その溶液を5分間混合した。
h.PHを測定しながら、pHが3.8に達するまでNaOH 10M約0.56mlを加えた。
i.その溶液から伝導度およびpHを得るためにサンプル採取した。
j.その溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過した。
7.50mM酢酸塩 pH−3.8、300mMマンニトール、0.12mg/mlメチオニン 2リットルの調製
a.WFI 1.93kgを秤量した。
b.マンニトール110.28グラムを加えた。
c.その溶液を5分間混合して、マンニトールを溶かした。
d.酢酸6.006グラムを加えた。
e.その溶液を5分間混合した。
f.メチオニン0.24グラムを加えた。
g.その溶液を5分間混合した。
h.PHを測定しながら、pHが3.8に達するまでNaOH 10M約1.12mlを加えた。
i.その溶液から伝導度およびpHを得るためにサンプル採取した。
j.その溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過した。
6.1 バルク予備調製
バルク予備調製と組成のスキーム概要を図8(図8−1及び図8−2)および表20に示す。以下は、予備調製物の詳細な説明である。
SEC−ELをOD280により定量し、その濃度は1.31mg/mlであった。
第1段階(異なるバッファーによるSEC−EL2の1:1 w/w希釈)
6.2.1 SEC−EL 155グラム量をSAB 155グラム、164.4mg/mlリジンで1:1 w/w希釈した。
6.2.2 SEC−EL 78グラム量をSAB 78グラム、63.2mg/mlアルギニンで1:1 w/w希釈した。
6.2.3 SEC−EL 220グラム量をSAB 220グラム、600mMマンニトール、0.24mg/mlメチオニンで1:1 w/w希釈した。
6.2.4 SEC−EL 189グラム量をSAB 306グラムで希釈して、0.50−mg/ml r−h IFN−β 1a含有溶液を調製した。この溶液を、濾過後、250ml試験管とnunc社製2ml試験管に分け、−70℃または2〜8℃にて保存し、2〜8℃にて輸送する250ml試験管をキャップまで満たした。
第2段階(0.50〜0.58mg/ml r−h IFN−β 1aへのバルクの最終希釈)
次の溶液を調製した(目的の濃度は0.5mg/ml r−h IFN−β 1aであった)。
6.2.5 6.2.1で調製した溶液310グラムをSAB 90グラム、82.4mg/mlリジンで希釈した。
6.2.6 6.2.2で調製した溶液156グラムをSAB 48グラム、31.6mg/mlアルギニンで希釈した。
6.2.7 6.2.3で調製した溶液440グラムをSAB 132グラム、300mMマンニトール、0.12mg/mlメチオニンで希釈した。
6.2.8 これらの3種類の溶液(6.2.5〜6.2.7)を、濾過後、250ml試験管と2ml試験管(2mlバルクを含む)に分けた。
6.2.9 リジンとアルギニンを含有する溶液の250ml試験管と2ml試験管を−70℃にて凍結保存し、マンニトールとメチオニンを含有する溶液を2〜8℃にて保存した(250ml試験管をキャップまで満たした)。
6.3 予備調製したバルクの処置
−70℃および2〜8℃にて保存したサンプルを速度超遠心分離、Deg/Ox HPLCおよびSE−HPLCにより試験した。
7.0 結果
Figure 2008500995
8.0 考察
実施例2において得られた結果は、本研究において、速度超遠心分離法とSEC法との両方によって確認される(%単量体レベルにおける差は、SECにより共有結合性オリゴマーのみ検出され得ることによる)。さらに、DEG/OX HPLCにより、バルクr−h インターフェロン β 1aへの賦形剤添加後に酸化形態のレベルが安定した状態を保つことが分かる。
実施例4:濾過段階前または濾過段階後のいずれかでの、バルクインターフェロンへの賦形剤の添加によるインターフェロン−βの安定化。
1.0 用語解説/略語
Agg 凝集体
COA 分析証明書
Dim 二量体
Deg 分解生成物
Deg/Ox−HPLC 分解生成物および酸化形態についての逆相高速液体クロマトグラフィー
F/T 凍結解凍
Quant−HPLC r−h IFN−β 1aバルク中のr−IFN βの定量のための逆相高速液体クロマトグラフィー
r−h IFN−β 1a CHO細胞由来の組換えヒトインターフェロン−β 1a(r−h IFN−β 1a)
r−h IFN−β FDF r−h IFN−β 1a最終剤形(r−h IFN−β FDF)
SE−HPLC サイズ排除高速液体クロマトグラフィー
Temp. 温度
2.0 概要
SE−HPLC法と速度超遠心分離法との両方を用いた場合、バルクの濾過前後に加え、その後、1F/Tおよび4F/Tサイクルを行うと、300mMマンニトールを加えてIFN−β−1aバルクを予備調製する(凍結前)ことによって、共有結合性オリゴマーおよび非共有結合性オリゴマーと凝集体が最小限に抑えられることが示された。濾過前に300mMマンニトールを添加したときの効果は、オリゴマー化、特に、非共有結合性オリゴマーおよび凝集体のレベルの低減という点で250ml試験管(r−h IFN−β 1aバルクの所定の容器)においてより大きい。
SE−HPLC法と速度超遠心分離法との両方を用いた場合、オリゴマーは、2〜8℃にて保存した凍結していないr−h IFN−β 1aバルクでは生じず、r−h IFN−β 1aバルクの凍結解凍中に形成されることが示された。
3.0 序文
タンパク質凝集体は、中和抗体の産生をもたらす免疫原性反応を惹起し得ると考えられていることから、凍結解凍サイクル中のr−h IFN−β 1aのオリゴマー化および凝集の最小化は、望ましい目標である。
バルク中の単量体レベルの測定に現在用いられている分析手法は、SE−HPLCである。速度超遠心分離による予備段階の結果により、SE−HPLCは、共有結合性オリゴマーのみ検出することができる方法であるのに対し、速度長遠心分離は、非共有結合性オリゴマーも、定量的にも定性的にも検出することができる方法であると思われる(試験2参照)。
提示した研究は、生産規模においてマンニトールを加えてバルクを予備調製することによる、r−h IFN−β 1aのオリゴマー化および凝集への効果を、分析手法としてSE−HPLC法と速度超遠心分離法との両方を用いて判定することを目的とした。
4.1 目的/範囲
4.1.1 SEC画分に非共有結合性凝集体が存在するかどうかを判定すること(濾過前と凍結前)。
4.1.2 バルクの濾過前後、凍結前に加え、その後、1F/Tおよび4F/Tサイクルを行う場合に、300mMのマンニトールにより共有結合性オリゴマーおよび非共有結合性オリゴマーと凝集体が最小限に抑えられるかどうかを判定すること。
4.1.3 バルクの濾過前、凍結前に加え、その後、1F/Tおよび4F/Tサイクルを行う場合に、150mMのマンニトールにより共有結合性オリゴマーおよび非共有結合性オリゴマーと凝集体が最小限に抑えられるかどうかを判定すること。
4.1.4 1.8ml試験管中の非共有結合性凝集体のレベルがF/Tを行った後に250ml試験管中のレベルと同様であるかどうかを判定すること。
5.0 装置と材料
5.1 装置
150〜500ml用0.2μ濾過ユニット Nalgene社製。
5.2 材料
SEC el2画分−800ml。
マンニトール−Merck社製 P/N 1.05980.9050
50mM酢酸バッファー pH3.8−IPLコードS88RD600
300mMマンニトール含有50mM酢酸バッファー pH3.8(マンニトール54.6g/リットル)。
600mMマンニトール含有50mM酢酸バッファー pH3.8(マンニトール109.3g/リットル)。
150mMマンニトール含有50mM酢酸バッファー pH3.8(マンニトール27.3g/リットル)。
250ml遠心分離用円錐型試験管−Corning社 P/N 430776
1.8ml凍結用試験管−Nunc社製試験管 P/N 375418
6.0 手順
本研究を単一SEC el2画分において行った。
(OD280による濃度1.81mg/ml)。
6.1 バルク調製
バルクを以下のように調製した。
(1)SEC el2画分
速度超遠心分離用に、1.8ml試験管に完全充填し、2〜8℃にて輸送した。
(2)対照
SEC el2 180mlを0.2μmフィルターで濾過し、その後、50mM酢酸塩、pH−3.8 720mlでフィルター洗浄を行った。バルクを250ml試験管4本(各200ml)と1.8ml凍結用試験管10本に分け、その後、−70℃にて凍結した。1.8ml試験管2本は凍結しなかった。これらの2本の完全充填試験管のうち1本は、速度超遠心分離による分析まで2〜8℃にて維持した。
バルク濃度は350μg/mlであった(quant−HPLCによる)。
(3)300mMマンニトール、濾過後に添加
SEC el2 180mlを0.2μmフィルターで濾過した後、そのフィルターを50mM酢酸塩、600mMマンニトール pH−3.8 180ml、さらに50mM酢酸塩、300mMマンニトール、pH−3.8 540mlで洗浄した。バルクを250ml試験管4本(各200ml)と1.8ml凍結用試験管10本に分け、その後、−70℃にて凍結した。1.8ml試験管2本は凍結しなかった。これらの2本の完全充填試験管のうち1本は、速度超遠心分離による分析まで2〜8℃にて維持した。最終マンニトール濃度は300mMであった。バルク濃度は344μg/mlであった(quant−HPLCによる)。
(4)150mMマンニトール、濾過前に添加
SEC el2 200mlを50mM酢酸塩、300mMマンニトール 200mlと混合し、この混合物380mlを0.2μmフィルターで濾過した後、そのフィルターを50mM酢酸塩、150mMマンニトール、pH−3.8 570mlで洗浄した。バルクを250ml試験管4本(各200ml)と1.8ml凍結用試験管10本に分け、その後、−70℃にて凍結した。1.8ml試験管2本は凍結しなかった。これらの2本の完全充填試験管のうち1本は、速度超遠心分離による分析まで2〜8℃にて維持した。最終マンニトール濃度は150mMであった。バルク濃度は342μg/mlであった(quant−HPLCによる)。
(5)300mMマンニトール、濾過前に添加
SEC el2 200mlを50mM酢酸塩、600mMマンニトール 200mlと混合し、この混合物380mlを0.2μmフィルターで濾過した後、そのフィルターを50mM酢酸塩、300mMマンニトール 400mlで洗浄した。バルクを250ml試験管4本(各200ml)と1.8ml凍結用試験管10本に分け、その後、−70℃にて凍結した。1.8ml試験管2本は凍結しなかった。これらの2本の完全充填試験管のうち1本は、速度超遠心分離による分析まで2〜8℃にて維持した。最終マンニトール濃度は300mMであった。バルク濃度は342μg/mlであった(quant−HPLCによる)。
注記:SECカラム溶離液は、並列接続される、5分おきに交互に開く4つの電子制御バルブ(LCC500制御装置により制御)からなるシステムを通じて1リットル容ガラス瓶4本に回収した。マンニトールを濾過前にSEC−EL2画分に加えた場合には、SECカラムからの溶出中にSEC画分とマンニトール溶液(4)または(5)をオンラインのガラス瓶中でゆっくりと混合した。マンニトールをSEC濾過後に加えた場合(3)には、SEC EL−2画分の後にマンニトールを加え、同じ濾過ユニットで濾過した。
6.2 凍結解凍
250ml試験管の4F/Tサイクルを、少なくとも8時間の凍結と室温にて7時間の解凍によって行った。それらの試験管は、その後、各解凍サイクルの後に25回反転して混合した。1.8ml試験管の4F/Tサイクルを、少なくとも8時間の凍結と2時間の解凍によって行った。それらの試験管は、次の凍結サイクルの前に20回反転して混合した。各バルク条件(2〜5)で、1F/Tと4F/T処置から得られた凍結250ml試験管2本と1.8ml試験管2本を速度超遠心分離用とした。各バルク条件の250ml試験管と1.8ml試験管の他の2本を解凍し、SEC−HPLCにより試験した。
SE−HPLC試験と速度超遠心分離は、24時間+/−2時間解凍したサンプルで行った。最初にマンニトールを溶かす。
Figure 2008500995
7.0 結果
7.1 1F/T後、SE−HPLC法を用いた場合、3種類の全ての条件(3、4および5)において、マンニトールを加えて予備調製することには、1.8ml試験管と250ml試験管の両方においてオリゴマー化レベルの低減へのわずかな効果があった(対照サンプルと比べて〜0.4%高い純度)。
1F/T後、超遠心分離法を用いた場合、3種類の全ての条件(3、4および5)において、マンニトールには、1.8ml試験管と250ml試験管の両方においてオリゴマー化レベルへの大きな効果があった。
250ml試験管において(表25)、濾過前に300mMマンニトールを加える(条件5)と、濾過後に300mMマンニトールを加える(条件3)よりもオリゴマー化の低減に良い効果をもたらした。
1.8ml試験管において(表24)、濾過後に300mMマンニトールを加える(条件3)と、濾過前にマンニトールを加える(条件5)よりもオリゴマー化の低減に良い効果をもたらした。
7.2 4F/Tサイクル後にSE−HPLC法を用いた場合(表26)、3種類の全ての条件(3、4および5)において、マンニトールには、1.8ml試験管においてオリゴマー化レベルへの大きな効果があった(300mMマンニトールを加えて予備調製した対照サンプルと比べて〜2.6%高い純度)。
4F/Tサイクル後に超遠心分離を用いた場合、3種類の全ての条件(3、4および5)において、マンニトールには、1.8ml試験管と250ml試験管の両方においてオリゴマー化レベルへの大きな効果があった。しかし、1.8ml試験管における効果の方が優れていた。
7.3 SE−HPLC法と超遠心分離法との両方を用いた場合(表23)、2〜8℃にて保存した(凍結しない)サンプルではオリゴマー化は起こらなかった。
7.4 SE−HPLCと超遠心分離との両方を用いた場合、250ml試験管においてオリゴマー化レベルは、1.8ml試験管よりもはるかに高かった。
注記:表23〜27中の括弧内の値は、%凝集体である。
Figure 2008500995
Figure 2008500995
Figure 2008500995
Figure 2008500995
Figure 2008500995
8.0 結論
8.1 SE−HPLC法と速度超遠心分離法との両方を用いた場合、バルクの濾過前後に加え、その後、1F/Tおよび4F/Tサイクルを行うと、300mMマンニトールを加えてr−h IFN−β 1aバルクを予備調製する(凍結前)ことによって、共有結合性オリゴマーおよび非共有結合性オリゴマーと凝集体が最小限に抑えられる。しかし、濾過前に300mMマンニトールを添加したときの効果は、オリゴマー化、特に、非共有結合性オリゴマーおよび凝集体のレベルの低減という点で250ml試験管(IFN−β−1aバルクの所定の容器)においてより大きい。
マンニトールを加えてバルクを予備調製することの、F/T後の1.8ml試験管におけるr−h IFN−β 1aのオリゴマー化および凝集への効果は、250ml試験管における効果と同様である(SE−HPLCにより試験した場合には対照サンプルと比べて純度は約0.4%高く、速度超遠心分離により試験した場合には約13%高い)。
8.2 バルクの濾過前、凍結前に加え、その後、1F/Tおよび4F/Tサイクルを行う場合に、マンニトールを150mM濃度で加えても、共有結合性オリゴマーおよび非共有結合性オリゴマーと凝集体が最小限に抑えられるが、その効果は300mMの効果ほどは大きくない。
8.3 SE−HPLC法と速度超遠心分離法との両方を用いた場合、オリゴマーは、2〜8℃にて保存した、凍結していないr−h IFN−β 1aバルクとSEC−ELでは生じず、r−h IFN−β 1aバルクの凍結解凍中に形成されることが示された。
8.4 速度超遠心分離による予備段階の結果により、SE−HPLCは、(NEW SECとは対照的に)共有結合性オリゴマーのみ検出することができる方法であり、一方、速度超遠心分離は、非共有結合性オリゴマーも、定量的にも定性的にも検出することができる方法であると思われる。
F/Tサイクルを受けていない、4℃(または2〜8℃)にて保存したサンプルは、(%Mon含量率に関して)非常に安定した状態を保つ。特定の理論にとらわれるものではないが、凍結/解凍サイクルのようなストレスの分子への影響により、インターフェロン−βオリゴマーの形成が一貫して増加すると考えられる。4℃にて保存したサンプルでは、マンニトールとメチオニンの組合せ(最終的にはベンジルアルコールまたはTween 20が補助添加される)により最良の結果が得られ、2〜8℃にて保存したサンプルではこの組合せではオリゴマー化は起こらない。本方法では、安定剤としてマンニトールとメチオニンの組合せ(ベンジルアルコールまたはTween 20がさらに添加される可能性がある)を使用することが好ましい。リジンも、単独またはいずれの組合せでも使用することが好ましい賦形剤である。いくつかの賦形剤(すなわち、Tween 20、ベンジルアルコールまたはリジン)は、F/Tサイクルによって引き起こされるストレスに対して安定化作用を示す(すなわち、これらの賦形剤は、凍結/解凍ストレスの影響を弱めることが分かっている)。製造工程で凍結/解凍サイクルを行う場合には、Tween 20、ベンジルアルコールまたはリジンなどの好ましい賦形剤がバルク溶液に添加されることが好ましい。
よって、製造工程中にF/Tサイクルを行う場合には、好ましい賦形剤およびそれらの組合せも確認される。本発明において−20℃にて保存したサンプルには、数多くのF/Tサイクルを行った(試験管を、まず−70℃にて凍結した後、−20℃にて16日間保存するために第2のフリーザーに移した。その後、サンプルを−70℃に4時間戻した後、解凍した。)。上記によれば、F/Tサイクルのようなストレスが生じる場合には、安定剤としてTween 20、ベンジルアルコールおよびリジンを使用することが好ましい。そのようなものとして、Tween 20、リジンおよびベンジルアルコールは、単独またはいずれの組合せでも、いずれの保存温度(−70℃、−20℃または4℃)においても、F/Tサイクルによるストレスの存在下で、バルクインターフェロン溶液に使用することが好ましい賦形剤である。
次の組合せが特に好ましい:
1.リジンおよびベンジルアルコール、
2.リジンおよびTween 20、
3.リジンおよびベンジルアルコールおよびTween 20、ならびに
4.ベンジルアルコールおよびTween 20。
以下に記載する実施形態は、いずれの保存温度(−70℃、−20℃または4℃)で、F/Tサイクルによるストレスの存在下で最も好ましいものである。
リジンでは、−20℃においてだけでなく、4℃および−70℃においても、%Monおよび%Aggに関して非常によい結果が得られる。リジンは、凍結/解凍サイクルに対してインターフェロン−βを安定させることができる、試験した唯一のアミノ酸である。よって、リジンは、F/Tサイクルに対して最も好ましい賦形剤であり、F/Tストレスに対して安定化作用を示す他の2種類の賦形剤である静菌剤(例えば、ベンジルアルコール)または界面活性剤(例えば、Tween 20)の必要性を回避する。そのようなものとして、リジンまたはリジンと抗酸化剤(例えば、メチオニン)の組合せを含むだけの予備調製物が考えられる。−20℃では、実際にリジンとメチオニンの組合せによって最良の結果が得られる。より好ましくは、本発明では、リジンとメチオニンの組合せを使用する。マンニトール、メチオニンおよびTween 20の組合せでは単量体の割合%が高水準で得られる(98.12%Mon)。ベンジルアルコールとメチオニンの組合せでは単量体が高い割合%で得られる(〜98%Mon)。よって、ベンジルアルコールとメチオニンの組合せが好ましい。この組合せにTween 20をさらに添加することができ、そのようにしてより高い%単量体が得られる(〜99%)。よって、ベンジルアルコール、メチオニンおよびTween 20の組合せがより好ましい。
試験は、製造処理中の特定の2時点において行った。濾過前後に特定の賦形剤(例えば、マンニトール)を添加することにより、オリゴマーおよび凝集体の形成が低下および/または低減する。SE−HPLC法と速度超遠心分離法との両方を用いた場合、バルクの濾過前後に加え、その後、1F/Tおよび4F/Tサイクルを行うと、300mMマンニトールを加えてr−h IFN−β 1aバルクを予備調製する(凍結前)ことによって、共有結合性オリゴマーおよび非共有結合性オリゴマーと凝集体が最小限に抑えられる。よって、本発明は、バルクタンパク質製造工程の特定の時点にのみ限定されるものではなく、バルクタンパク質予備調製物の調製および/または保存に必要な全ての段階を包含する(すなわち、安定化用賦形剤は、バルク処理中の異なる多数の段階において加えることができる)。オリゴマー化と凝集に関し、結果には大きな違いはないが、濾過前にマンニトールを添加することにより、特に、250ml試験管での非共有結合性オリゴマーおよび凝集体についてより良い結果が得られる。よって、マンニトールは濾過段階の前に添加することが好ましい。
最後に、上記試験により、特定の賦形剤と熱解離を組み合わせることにより、別々に採用した場合に得られる水準と比べて高い水準の単量体の割合%が得られることが分かった。このようにして、二量体および凝集体レベルに関する大幅な低減が達成される。よって、本発明では、添加賦形剤を用いた安定化バルク溶液と熱解離とを組み合わせることが好ましい。熱解離は、製造工程のいずれの段階においても実施することができ、バルク処理の特定の時点に限定されるものではない。
実施例5:pH4.7における予備調製研究
オリゴマー化および凝集体の形成についてのpH範囲を評価するために、pH4.7において予備調製研究を実施した。
(1)手順:
1.約0.5mg/mlの第1のバルクを、1:1混合することにより(1容量のSEC El2画分と1容量の50mM酢酸塩 pH7.2、NaOHで滴定)pH4.7に予備調製した。
2.第2のバルクを、1:1混合することにより(1容量のSEC El2画分と1容量の50mM酢酸塩 pH7.2(164.4mg/mlにてリジン含有)、NaOHで滴定)、リジン82.2mg/ml含有、pH4.7に予備調製した。
3.これらの調製物を50mM酢酸塩 pH3.8中0.5mg/mlの対照および82.2mg/mlリジンを含有する予備調製した対照50mM酢酸塩pH3.9中0.5mg/mlと比較した。
4.1.8ml試験管において凍結解凍1サイクル後、それらのサンプルを新規SEC HPLC法により試験した。
結果:
Figure 2008500995
(2)結論:
・pH 4.7の予備調製物は、pH3.8の予備調製物と比べてオリゴマー化および凝集体の形成を一貫して低減する(それぞれ〜81%Monに対し〜99%Monと0%凝集体に対し0.67%凝集体)。よって、本発明の方法はpH4.7にて遂行することが好ましい。
・pH3.9またはpH4.7いずれかの、リジンを含有する予備調製物は、オリゴマー化を低減する。pH4.7では、リジンの添加により、リジンを添加しない場合の99.1%Monに対し99.6%Monが得られる。pH3.8では、リジンの添加によりオリゴマー化の低減に顕著な効果があり、この場合、リジンを添加しない場合の81.41%Monに対し99.7%Monが得られる。よって、リジンは、本発明の方法に添加することが好ましいアミノ酸である。
・pH4.7の予備調製物とリジンの添加を組み合わせることによって最良の結果が得られる。よって、本発明の方法は、pH4.7にて、賦形剤としてリジンを添加することによって遂行することが最も好ましい。よって、最も好ましい実施形態では、本発明の本方法では、pH4.7のバルク−インターフェロンへの好ましい賦形剤の添加と熱解離を組み合わせることができる。
実施例6−分析手法
本実施例では、使用した異なる分析手法を記載する。
サイズ排除(SE)−HPLC、New SE−HPLC(本明細書において「新規SE−HPLC」または「NEW SEC」とも称する)および速度超遠心分離(AUC)を組換えヒトインターフェロン−β 1a(r−h IFN−β 1aまたはr−h β IFN−1a)の凝集体とオリゴマーのレベルの測定に用いた。示したNEW SE−HPLC法およびAUC法では、共有結合性オリゴマーと非共有結合性オリゴマーの両方と、さらに凝集体も、定量的にも定性的にも検出することができる。
a.SE−HPLC−純度試験
IFN−β−1aバルク中の凝集体量を測定するために、SE−HPLCを用いる。
手順
試験するIFN−β−1aバルクと対照サンプル(PRB)の両方のサンプル100μlを分析する。
次の溶液を調製する。30%ACN(アセトニトリル)/0.2%TFA(トリフルオロ酢酸)/H2O。
カラム(Progel−TSK G2000または同等のもの)を溶離液により流速0.5ml/分にて、少なくとも1時間平衡化する。一度、安定したベースラインが得られたら、サンプル100μlを注入し、定組成勾配を利用して、流速0.5ml/分にて溶出する。
カラムプロフィールを214nmにおけるUV検出により記録する。バルクサンプルについてのIFN−β−1a単量体の割合%をタンパク質ピークの総面積から決定する。
特性
IFN−β−1aバルクサンプルの主要なピークの面積(無傷分子に相当する)は、総ピーク面積の少なくとも95%であり、凝集体は多くて1%である。
SE−HPLC試験に関する凍結/解凍(F/T)対照サンプルについての手順
1.−70℃のフリーザーから所望の量のr−hインターフェロン−β 1aバルク/バッチを取り出す。
2.室温にて、大型試験管(−200ml)については6〜9時間、または小型試験管/アンプル(1〜15ml)については2〜4時間解凍する(第1回目の凍結/解凍サイクル)。
3.上記バルクの所望の量は、1mlアリコートである(大型試験管の場合)。
4.それらのアリコートを−70℃にて少なくとも2時間凍結する。
5.段階2と段階4を3回以上繰り返す。
6.確認のため、第4回目の解凍サイクル後、少量の対照サンプルを希釈バッファーで0.25mg/mlに希釈する。
7.それらのアリコートは、−70℃にて保存する必要がある。
8.対照F/Tアリコートを入れた試験管を室温にて2時間解凍した後、SE−HPLC試験でそれを使用する。
b.NEW SE−HPLC
凝集体総量の検出は、TSK G2000SWXLカラム(TosoHaas社)またはBiosuite(Waters社)で行う;溶出は、50mM酢酸ナトリウムバッファー、50mM NaCl pH3.8を用い、定組成モードで0.5mL/分にて行う;波長は215nmに設定する。実行時間は30分である。R−h IFN−β 1aバルクをそのまま(0.35mg/ml)飽和状態のカラムに注入する(1回当たり0.2ml注入)。
New SE−HPLC法についての装置と材料:
HPLCシステム:Waters社製Alliance
UV検出器:Waters社製996 PDA 波長214nm
自動サンプル採取装置 温度設定:4℃
カラムTosoHaas社製 TSK G2000 SWXL
カラム温度:室温
移動相:50mM NaClを含む50mM酢酸ナトリウム pH3.8
NaCl 5.84グラムを50mM酢酸ナトリウム pH3.8バッファー2リットルに溶かして調製した。前記酢酸バッファーは、酢酸をWFIに加え、10M NaOH溶液を用いてpH−3.8まで滴定することによって滅菌溶液単位で調製した。
流速:0.5mL/分
溶離液:50mM CH3COONa−50mM NaCl,pH3.8
活性化溶液:50mM HCl−50mM NaCl
試薬:
酢酸、Merck社コードK31358056
NaOH、Merck社製B197582
NaOH 10M溶液
WFI
NaCl、JT BAKER社コード3627−07
c.沈降速度分析−AUC
1.方法説明
サンプルを、光路長12mmの2チャネルのチャコール−エポンセンターピースを用いたセルに注入する。これらのセンターピースとサファイアウインドウを洗剤で洗浄した後、水に浸漬して、可能な限り表面を清浄にする。対応するプラセボを参照チャネルに注入する(この計器はデュアルビーム分光光度計のような機能を果たす)。これらの注入済みのセルをAN−50Ti分析用ローターに入れ、Beckman社製Optima XL−I分析用遠心機に設置し、20℃に合わせる。このローターを3000rpmに合わせ、サンプルを走査して(280nmにて、吸光度ピーク)、セルが正しく設置されていることを確認する。その後、ローターを最終実行速度50000rpmに合わせる。このローター速度にて1サンプル当たり50回の走査を記録する。
N.I.H.のPeter Schuckによって開発された、彼の解析プログラムSEDFIT(バージョン8.7;Schuck,P.(2000).Size−distribution analysis of macromolecules by sedimentation velocity ultracentrifugation and Lamm equation modeling.Biophys.J.78、1606〜1619頁)によって実行されるc(s)法を用いてデータを解析する。
このアプローチでは、分解能を高めるためにデータに及ぼす拡散の影響をモデリングしながら、多くの未加工データを直接当て嵌めて、沈降係数の分布を得る。この方法は、全ての種が同じ全体的な流体力学的形状(球体に対する摩擦係数比、f/f0によって定義される形状)を有するという前提に基づいて、沈降係数の各値に拡散係数を与えることによる方法である。f/f0値を変化させて、各サンプルについて全体的に最もよくフィットしたデータを見つける。0.51最大エントロピー平滑化を用いて分布を算出する。
2.分析パラメーター
−ローターのタイプ 8穴ローター
−ローター速度 50k rpm
−センターピース チャコール エポン
−チャネル長 12mm
−AUC実行中の温度 20℃
−検出波長 280nm
−サンプル量 432mcl
−参照量 442mcl
3.装置とソフトウェア
分析用超遠心機 モデルXL−I(Beckman Coulter社)
SEDFIT ver 8.70b ソフトウェア(Peter Schuck−米国国立衛生研究所(National Institutes of Health))
Origin ver 6.03 ソフトウェア(Beckman Coulter社)
Proteome Lab XL−A/XL−I ver 5.0 ソフトウェア(Beckman Coulter社)
d.RP−HPLCによるIFN−β−1a定量化−QUANT−HPLC
以下に記載する逆相法は、バルクサンプル中のIFN−β−1aの定量化を可能にする。
タンパク質の定量化は、C4,Wide−Pore Butyl 5μmカラム(Baker社)で行う;波長を214nmに設定し、溶出を、以下の移動相と勾配を用いて1mL/分にて行う。
手順
試験するIFN−β−1aサンプルを50mM酢酸ナトリウムバッファー、pH 3.8で濃度50〜150μg/mlの範囲に希釈する。
次の溶液を調製する。
溶離液A:H2O中0.1%TFA(水/トリフルオロ酢酸0.1%)
溶離液B:ACN中0.1%TFA(アセトニトリル/トリフルオロ酢酸0.1%)
溶離液C:ACN(アセトニトリル)
C4 RP−HPLCカラムをまず、溶離液Cで流速1.0ml/分にて30分間、続いて50%H2Oおよび50%ACNで15分間洗浄する。このカラムを70%溶離液Aおよび30%溶離液Bで、流速約1.0ml/分にて15分間平衡化する。
一度、安定したベースラインが得られたら、IFN−β−1aバルクサンプル、対照サンプルおよび検量線用サンプル(PRB,1.24〜19.8μg)を連続的に注入する。検量線用サンプル1.24μgの場合(このサンプルについては20μlを注入する)を除き、いずれの場合にも、100μlを注入する。流速は1.0ml/分に維持する。
以下の勾配を使用する。
Figure 2008500995
実行時間=65分
試験サンプル中のIFN−β−1aの量は、検量線範囲の対数回帰から算出する。
特性
IFN−β−1aバルクは、IFN−β−1a 0.280〜0.500mg/mlを含有する。
e.逆相(RP)−HPLC−DEG/OXによる純度
以下に記載する逆相法は、無傷分子とは異なる溶出をする酸化形態のIFN−β−1aの検出を可能にする。
酸化形態の定量化は、サーモスタットで40℃に調温したC4,Supelcosil LC−304カラム(Supelco社)で行う;波長を208nmに設定し、溶出を、以下の移動相と勾配を用いて1mL/分にて行う。
次の溶液を調製する。
溶離液A:60%H2O/40%ACN/0.14%HFBA(水60%/アセトニトリル40%/ヘプタフルオロ酪酸0.14%)
溶離液B:20%H2O/80%ACN/0.14%HFBA(水20%/アセトニトリル80%/ヘプタフルオロ酪酸0.14%)
溶離液C:20%H2O/80%ACN/0.1%TFA(水20%/アセトニトリル80%/トリフロアセティックアシッド(Trifluroacetic acid)0.1%)
C4 RP−HPLCカラムを70%溶離液Aおよび30%溶離液Bで流速1ml/分にて少なくとも15分間(安定したベースラインが得られるまで)平衡化する。サンプル120μlを注入する。試験するサンプルを50mM酢酸ナトリウム、pH3.8で濃度0.250〜0.280mg/mlの範囲に希釈する。
以下の勾配を使用する。
Figure 2008500995
IFN−β−1aバルクサンプルの純度%をタンパク質ピークの総面積から算出する。
特性
IFN−β−1aの主要なピークの面積(無傷分子に相当する)は、総ピーク面積の少なくとも95%である。
f.細胞変性効果抑制バイオアッセイ−CPE
生物効力(抗ウイルス活性)
IFN−β−1aバルクの抗ウイルス活性を細胞変性効果(CPE)抑制バイオアッセイにより測定する。
ウイルス(水疱性口内炎ウイルス)の細胞変性効果からの、細胞(WISH細胞−ヒト羊膜組織)のIFN−βによってもたらされる保護に基づく抗ウイルスアッセイにより、生物活性を測定する。
インターフェロンに関するバイオアッセイの原理は、数多くのウイルス(水疱性口内炎ウイルス(VSV)など)が細胞死を引き起こし、その細胞死は生体染色によって視覚化することができるという事実にある。
よって、細胞変性効果を利用して、インターフェロンによる細胞の保護を定量することができる。
アッセイは、細胞死の間接測定により行い、細胞死は生細胞によって取り込まれた色素テトラゾリウム塩MTT(ジメチルチオテトラゾリウム)の量により評価する。
この方法では、保護された細胞の割合%についての自動分光光度定量と力価の統計的評価についての平行線検定3点法とを利用する。
手順
このアッセイは、マイクロタイタープレートにて行う。
a.細胞培養培地(MEM/5%FBS)50μlを各ウェルに加える。
b.IFN−β−1aサンプルまたは標準溶液(60〜100IU hIFN−β/ml)100μlをウェルに加え、プレートの列で1:1.5希釈を3段階行う。
c.WISH細胞の懸濁液(0.78〜0.82×106細胞/ml)50μlを各ウェルに加え、プレートを5%CO2加湿インキュベーターで37℃にて18〜20時間インキュベートする。
d.細胞対照ウェル(MEM/2.5%FBSを充填する)を除く各ウェルにVSV懸濁液を加える。
e.これらのプレートを5%CO2加湿インキュベーターで37℃にて24時間インキュベートする。
f.倒立顕微鏡により
(1)VSV対照列で少なくとも80%の細胞損傷に達していることと、
(2)IFN−β標準の存在下での保護の割合平均値が非希釈標準では84%、1:1.5希釈物では45%、さらに1:3希釈物では27%の範囲にあること
とを確認した後、培養物を特異的色素MTTで染色する。
g.着色強度を592nmでの分光光度自動読み取りにより決定する。
h.IFN−β−1a活性を定量するために、それらのOD測定値をコンピュータプログラム(Colombo Software)により解析する。
特性
IFN−β−1aバルクは、少なくとも50×106IU/mlを含有する。
g.エレクトロスプレーイオン化質量分析−ES−MSによる炭水化物マッピング
Asn−80残基にN結合している、IFN−β−1aの炭水化物部分を、四重極質量分析計を用いた無傷分子のES−MSにより解析する。
手順
本試験法は、次の段階からなる。
1)IFN−β−1aバルクサンプルの脱塩、
2)四重極質量分析計を用いたIFN−β−1aの無傷グリコフォーム種のES−MSによる半定量的解析。
ES−MSスペクトルにより、無傷グリコフォームをそれらの推定分子量(タンパク質鎖MWが20kDaである場合には21〜24kDaの範囲)に従って同定する。
その後、グリコフォームをそれらのシアリル化レベル(非シアリル化、モノシアリル化、ジシアリル化、トリシアリル化)に従ってグループ分けし、それらの相対的%存在量をそれらの相対的ピーク高さに従って決定する。
サンプルの脱塩
IFN−β−1aサンプル(対照IFN−β−1aサンプルおよびバルク試験サンプル)約35μgを室温にてアセトニトリル/水/酢酸(40/60/1、v/v)での透析(Microcon 10装置,Amicon社製、または同等のもの)により脱塩する(IFN−β−1a 約150μg/ml 終濃度)。
ES−MSによる解析
正イオン化ES−MS解析は、Micromass社製Platform LCZシングル四重極質量分析計(または同等のもの)により、脱塩したサンプルを約6〜10μl/分に設定した注入ポンプを用いてエレクトロスプレー源へ直接注入することによって実施する。
質量分析計をミオグロビンを用いてm/z範囲600〜2400Daにおいて較正し、次の設定を用いて実施する。
キャピラリー電圧:2.5〜4.0KV
コーン電圧:36V
イオン源温度:70〜100℃
600Da〜2400Da(ミオグロビンの場合)および1100〜2400Da(IFN−β−1aの場合)を一般的な走査速度約10秒/走査にて走査することにより質量取得を行う。多価イオンの質量スペクトル処理およびデコンボルーションは、Mass Lynxソフトウェア(または同等のもの)を用いて行う。
ES−MS結果の解説
以下の表34で示されるように、デコンボルーションした代表的なES−MSスペクトルによって、MSピーク(A〜Fと称する)が、異なるグリコフォーム(これらのグリコフォームはシアリル化程度に従って4つの主要なグリコフォームグループに分類される)を示すことが分かった。
Figure 2008500995
*2A=二分岐複合型オリゴ糖;3A=三分岐複合型オリゴ糖;4A=四分岐複合型オリゴ糖;0S=非シアリル化;2S=ジシアリル化、3S=トリシアリル化、1F=フコシル化。
4つの主要なグリコフォームそれぞれの半定量的評価は、以下のとおりに行う。
・%非シアリル化グリコフォーム:ピークFの高さ/総ピーク高さ×100。
・%モノシアリル化グリコフォーム:ピークBの高さ/総ピーク高さ×100
・%ジシアリル化グリコフォーム:ピーク(A+C)の高さ/総ピーク高さ×100
・%トリシアリル化グリコフォーム:ピーク(D+E)の高さ/総ピーク高さ×100
ここでの総ピーク高さとは、ピーク高さA〜Fの合計である。
%IFN−β−1a ジシアリル化グリコフォームの算出の際、1個の末端メチオニンがないN末端、末端切断型(2−166aa)2A2S1F IFN−β−1aに相当する約22244Da(図SPA−1)にある非標識のMSピークは考慮に入れないことに留意する。この夾雑物のレベルは独立したバルク純度リリース試験により制御される(N末端の末端切断、N−1:NMT6%)。
特性
スペクトルは、推定IFN−β−1aプロフィール(%ピーク高さ)と一致する。
非シアリル化グリコフォーム:多くて5%
モノシアリル化グリコフォーム:6〜30%
ジシアリル化グリコフォーム:56〜81%
トリシアリル化グリコフォーム:8〜16%
h.等電点電気泳動法−IEF
IFN−β−1aアイソフォームを等電点電気泳動法により分離し、クーマシーブルー染色によって視覚化する。次いで、アイソフォームのpIをPRBのものと比較する。グリコフォームのpIと範囲をデンシトメトリーにより測定する。
手順
サンプルの調製:
IFN−β−1aサンプルを遠心式微量濃縮装置を用いて0.7〜1.0mg/mlに濃縮する。
ゲルの調製と等電点電気泳動:
IEF用5%アクリルアミドゲルを調製し、キャスティング後、非重合していない全てのアクリルアミドを除去するために洗浄する。その後、ゲルを両性電解質(2%最終、pH範囲3〜10)、10mMグルタミン酸、10mMリジンおよび3%グリセロールで再構成し、水平型電気泳動装置に入れ、15℃に冷却する。
窒素流下、二酸化炭素トラップ(0.1M NaOH)の存在下で電力1Wにて60分間ゲルを予備泳動する。
バルクIFN−β−1a 約3.5μg、シトクロムc 6μgおよび適当なpI標準品を液滴(5μl)としてゲル表面に適用する。
IEF用ゲルを10℃にて8000V−時間で電気泳動する。
Neuhoffらのコロイド手法(Neuhoff,V.,Arold,N.,Taube,D.,Ehrhardt,W.,Improved staining of proteins in polyacrylamide gels including isoelectric focusing gels with clear background at nanogram sensitivity using Coomassie Brilliant Blue G−250およびR−250,Electrophoresis,1988、9、255〜262頁)により、そのゲルを20%(w/v)TCAで30〜35分間固定した後、クーマシーブルーで染色する。
IFN−β−1aアイソフォームの定量化およびpI判定は、自動デンシトメーター(コンピューティングデンシトメーター、Molecular Dynamics社,USA、ImageQuant 3.3プログラムと結果の統合/計算に必要な他の専用ソフトウェア付属;または同等の装置)により行う。
特性
試験サンプルに関して得られた電気泳動図は、社内標準品に関して得られたものと同様である。
1.得られた電気泳動図は、合計5〜10バンドからなる3つの主要なバンド群(ローディングポイントにあるバンドを除く)で構成されており、標準品に関して得られたバンドパターンと一致する。
2.デンシトメトリーにより測定した5つの主要なバンドは、表32に示されるグループの範囲に含まれるであろう。
Figure 2008500995
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小実験室規模熱解離手順。図1はバルク−インターフェロン安定化へのインキュベーション温度とインキュベーション時間の効果に関する実施例1aの小実験室規模熱解離手順を示す図である。図1は表4を表したものである。4F/T後のバルクサンプル0.9mlについてのSE−HPLC結果。 図2は実施例1bの4F/Tサイクル後の29℃での実験室規模熱解離の結果を示す図である。Y軸は面積率%を表す。X軸は、r−h IFN−β 1aの検出形態、すなわち、凝集体、二量体または単量体を表す。各検出形態の第1のカラムは対照であり、RTにて2時間解凍した後、−4℃にて保存したバルク予備調製物に相当する。各検出形態の第2のカラムは、RTにて2時間解凍した後、29℃にて3時間インキュベートしたバルク−予備調製物に相当する。各検出形態の第3のカラムは、RTにて2時間解凍した後、29℃にて15時間インキュベートしたバルク予備調製物に相当する。各検出形態の最後、すなわち第4のカラムは、バスで解凍した後、29℃にて15時間インキュベートした予備調製物に相当する。図2は表11を表したものである。 2F/T後のバルクサンプル200mlについてのSE−HPLC結果。図3は実施例1bの2F/Tサイクル後の29℃での実験室規模熱解離の結果を示す図である。Y軸は面積率%を表す。X軸は、r−h IFN−β 1aの検出形態、すなわち、凝集体、二量体または単量体を表す。各検出形態の第1のカラムは対照であり、RTにて7時間解凍した後、−4℃にて保存したバルク予備調製物に相当する。各検出形態の第2のカラムは、RTにて7時間解凍した後、29℃にて15時間インキュベートしたバルク−予備調製物に相当する。図3は表12を表したものである。 実験室規模F/T×1での熱解離速度。経過時間に対する単量体の割合%。図4は29℃にてインキュベートしたときの、1F/Tサイクル後の、経過時間に対するr−h IFN−β 1a中の単量体の割合%を示す図である。Y軸は面積率%を表す。X軸は経過時間(時間)を表す。図4の結果を、表14に示す。 実験室規模F/T×1での熱解離速度。経過時間に対する二量体の割合%。図5は29℃にてインキュベートしたときの、1F/Tサイクル後の、経過時間に対するr−h IFN−β 1a中の二量体の割合%を示す図である。Y軸は面積率%を表す。X軸は経過時間(時間)を表す。図5の結果を、表14に示す。 実験室規模F/T×1での熱解離速度。経過時間に対する凝集体の割合%。図6は29℃にてインキュベートしたときの、1F/Tサイクル後の、経過時間に対するr−h IFN−β 1a中の凝集体の割合%を示す図である。Y軸は面積率%を表す。X軸は経過時間(時間)を表す。図6の結果を、表14に示す。 実施例2の予備調製研究のスキーム。図7は実施例2の研究のスキームを示す図であり、この実施例2では、安定化バルクインターフェロン−βを提供するために、SEC−EL画分から最終剤形(FDF)の保存までの製造段階でのr−h IFN−β 1aのオリゴマー化を最小限にとどめることに着目している。このスキームについては、実施例2の第6.2節でも記載している。 図7−1に続く実施例2の予備調製研究のスキーム。 実施例3の予備調製研究のスキーム。図8は実施例3の研究のスキームを示す図であり、実施例3では、r−h IFN−β 1aのオリゴマー化を最小限にとどめることを目的とし、バルクIFN−βの安定化後のr−h IFN−β 1a単量体のレベルを測定するために2つの異なる方法、速度超遠心分離法とSE−HPLC法とを用いている。このスキームについては、実施例3の第6.1節と第6.2節でも記載している。 図8−1に続く実施例3の予備調製研究のスキーム。

Claims (44)

  1. 単量体タンパク質の安定化バルク溶液を調製する方法であって、前記方法が、
    a)バッファー溶液中に単量体タンパク質のバルクを供給するステップと、
    b)前記バルクに
    i)静菌剤、
    ii)界面活性剤、
    iii)等張化剤、
    iv)アミノ酸、
    v)抗酸化剤、
    vi)等張化剤および抗酸化剤、
    vii)等張化剤、抗酸化剤およびアミノ酸、
    viii)アミノ酸および抗酸化剤、
    ix)アミノ酸、抗酸化剤および界面活性剤、
    x)静菌剤および抗酸化剤、ならびに
    xi)静菌剤、抗酸化剤および界面活性剤
    からなる群から選択される賦形剤を加えるステップを含む方法。
  2. 単量体タンパク質がインターフェロンである、請求項1に記載の方法。
  3. インターフェロンがIFN−βである、請求項2に記載の方法。
  4. IFN−βが組換えヒトIFN−βである、請求項3に記載の方法。
  5. タンパク質が凝集に対して安定化される、請求項1に記載の方法。
  6. タンパク質がオリゴマー化に対して安定化される、請求項1に記載の方法。
  7. 静菌剤がベンジルアルコールである、請求項1に記載の方法。
  8. 界面活性剤がTween 20である、請求項1に記載の方法。
  9. 等張化剤がマンニトールである、請求項1に記載の方法。
  10. アミノ酸がリジンまたはアルギニンである、請求項1に記載の方法。
  11. 抗酸化剤がメチオニンである、請求項1に記載の方法。
  12. 等張化剤がマンニトールであり、かつ抗酸化剤がメチオニンである、請求項1に記載の方法。
  13. 等張化剤がマンニトールであり、抗酸化剤がメチオニンであり、かつアミノ酸がリジンである、請求項1に記載の方法。
  14. アミノ酸がリジンと抗酸化剤メチオニンである、請求項1に記載の方法。
  15. アミノ酸がリジンと抗酸化剤メチオニンであり、かつ界面活性剤がTween 20である、請求項1に記載の方法。
  16. 静菌剤がベンジルアルコールであり、かつ抗酸化剤がメチオニンである、請求項1に記載の方法。
  17. 静菌剤がベンジルアルコールであり、抗酸化剤がメチオニンであり、かつ界面活性剤がTween 20である、請求項1に記載の方法。
  18. 前記バルクタンパク質を27℃〜31℃の温度範囲でインキュベートするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  19. 前記温度が29℃である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記インキュベーションを請求項1に記載の予備調製段階前後に実施する、請求項18または19に記載の方法。
  21. 前記インキュベーションを少なくとも3時間行う、請求項18、19または20のいずれかに記載の方法。
  22. 前記インキュベーションを6時間〜40時間の範囲の間行う、請求項18、19または20のいずれかに記載の方法。
  23. 前記インキュベーションを15時間〜30時間の範囲の間行う、請求項18、19または20のいずれかに記載の方法。
  24. 前記インキュベーションを10時間、16時間、18.5時間または24時間の間行う、請求項18、19または20に記載の方法。
  25. 前記インキュベーションを24時間の間行う、請求項18、19または20に記載の方法。
  26. 前記IFNが3.0〜6.0のpH範囲で維持される、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
  27. 前記pHが4.7である、請求項26に記載の方法。
  28. 前記IFNが約10μg/ml〜約2000μg/mlの濃度で存在する、請求項1〜27のいずれかに記載の方法。
  29. 前記IFNが約500μg/mlまたは約810μg/mlの濃度で存在する、請求項1〜28のいずれかに記載の方法。
  30. 前記バッファーが約5mM〜約500mMの濃度で存在する、請求項1〜29のいずれかに記載の方法。
  31. 前記バッファーが約10mMまたは約50mMの濃度で存在する、請求項1〜30のいずれかに記載の方法。
  32. 前記等張化剤が約0.5mg/ml〜約500mg/mlの濃度で存在する、請求項1〜31のいずれかに記載の方法。
  33. 前記等張化剤が約55mg/mlまたは約150mMまたは約300mMまたは約600mMの濃度で存在する、請求項1〜32のいずれかに記載の方法。
  34. 前記Tween 20が約0.01mg/ml〜約10mg/mlの濃度で存在する、請求項1〜33のいずれかに記載の方法。
  35. 前記Tween 20が約0.5mg/mlの濃度で存在する、請求項1〜34のいずれかに記載の方法。
  36. 前記抗酸化剤が約0.01mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度で存在する、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 前記抗酸化剤が約0.12mg/mlまたは約0.24mg/mlの濃度で存在する、請求項1〜36のいずれかに記載の方法。
  38. 前記アミノ酸が約20mg/ml〜約200mg/mlの濃度で存在する、請求項1〜37のいずれかに記載の方法。
  39. 前記リジンが約27mg/mlまたは約55mg/mlまたは約82mg/mlまたは約164mg/mlの濃度で存在する、請求項1〜38のいずれかに記載の方法。
  40. 前記アルギニンが約32mg/mlまたは約63mg/mlの濃度で存在する、請求項1〜39のいずれかに記載の方法。
  41. 前記静菌剤が約0.01mg/ml〜約200mg/mlの濃度で存在する、請求項1〜40のいずれかに記載の方法。
  42. 前記静菌剤が約5mg/mlまたは約10mg/mlの濃度で存在する、請求項1〜41のいずれかに記載の方法。
  43. 請求項1〜42のいずれかの方法によって得られる、予備調製されたバルクタンパク質。
  44. 請求項1〜42のいずれかの前記タンパク質のバルクの予備調製方法を含む、単量体タンパク質の安定性を増大および/または維持する方法。
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