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JP2008500834A - Hifプロリルヒドロキシラーゼ活性アッセイ - Google Patents

Hifプロリルヒドロキシラーゼ活性アッセイ Download PDF

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Abstract

本発明は、EGLN活性を測定する方法を提供する。本発明はまた、前記方法での使用、およびEGLN活性をモジュレートする薬剤を特定する方法の使用のための、新規ペプチドを提供する。
【選択図】なし

Description

本出願は、2004年5月28日出願の米国仮出願第60/575,324号(その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)に基づく利益を要求する。
発明の分野
本発明は、EGLN活性を測定する方法、該方法で使用するための新規なペプチド基質、およびEGLN活性をモジュレートする薬剤を特定する方法の使用を提供する。
背景
2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素は、環境変化およびストレスに対する正常な細胞維持および細胞応答に関連する種々の生理学的過程に関与する。2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼは、種々の基質をヒドロキシル化などにより修飾する非ヘムFe(II)依存性オキシゲナーゼである。鉄のほかに、2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼは、その活性を得るために、酸素、2−オキソグルタレート、およびアスコルビン酸を必要とする。最もよく研究されたファミリーメンバーのいくつかの例としては、コラーゲン修飾酵素であるリジンヒドロキシラーゼ(EC1.14.11.4)、プロリル3−ヒドロキシラーゼ(EC1.14.11.7)、およびプロリル4−ヒドロキシラーゼ(P4H;EC1.14.11.2)のαサブユニットが挙げられる(例えば、Majamaaら (1985) Biochem J 229:127-133; Myllyharju and Kivirikko (1997) EMBO J 16:1173-1180を参照されたい)。
2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素はすべて、酵素結合鉄への2−オキソグルタレートおよび二酸素の配位を含む共通の触媒メカニズムを利用する。酸素は、後続的に切断され、1個の酸素原子が2−オキソグルタレートに転移されて二酸化炭素およびスクシネートを生成する。その際、残りのFe結合酸素原子は、第2の基質を修飾し、P4Hの場合、コラーゲンの特定のアミノ酸配列骨格中に存在するプロリン残基をヒドロキシプロリンに酸化する。このように、このファミリーの酵素は鉄を必要とし、基質として2−オキソグルタレートおよび二酸素を使用し、産物としてスクシネートおよび二酸化炭素を生成する。それぞれの酵素により利用される追加の基質はファミリーメンバーごとに異なり、それによりファミリーの種々のメンバーが区別され、触媒されるそれぞれの反応に特有な状況がもたらされる。該酵素はまた、酵素の不活性化を防止するために補因子としてアスコルビン酸を必要とする。
Egl−9は、2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼの新たに報告されたグループの創成メンバーである(Aravind and Koonin (2001) Genome Biol 2: RESEARCH0007; Taylor (Taylor (2001) Gene 275:125-132)。Egl−9は、もともとはCaenorhabditis elegans(線虫)において産卵に必要とされる遺伝子産物として同定されたが、さらに、線虫において緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)により引き起こされる筋肉麻痺にも必要とされることが明らかにされた。このほかに、筋肉(平滑筋、骨格筋、および心筋)ならびに神経に由来する組織および細胞で発現されるラットホモログであるSM−20が同定された(Darbyら (1999) Proc Natl Acad Sci USA 96:15202-15207;さらに、Waxら (1994) J Biol Chem 269(17):13041-13047; Waxら (1996) Lab Invest 74(4):797-808も参照されたい)。興味深いことに、Egl−9ホモログはまた、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)やコレラ菌(Vibrio cholera)などの細菌において、さらにはショウジョウバエ(Drosophila)においても同定されていることから、Egl−9酵素グループの進化的保存が示唆される(例えば、Aravind and Koonin, 上掲を参照されたい)。Egl−9ファミリーは、EGLN1、EGLN2、およびEGLN3として同定されたヒトおよびマウスのホモログを含めてさらに範囲が拡大されている(Taylor, 上掲)。
EGLNファミリーの基質はわかっていなかったが、これらの酵素は、種々の要因に応答しての細胞の生存および増殖のレギュレーションに関連付けられてきた(例えば、Lipscombら (1999) J Neurochem 73:429-432; Moschellaら (1999) Gene Expr 8:59-66;およびLipscombら (2001) J Biol Chem 276:5085-5092を参照されたい)。EGLN基質が低酸素誘導性因子のαサブユニット(HIFα)であることが明らかになったことから、この酵素ファミリーは、酸素レベルに対する細胞応答に関連付けられている(Epsteinら (2001) Cell 107:43-54; Bruick and McKnight (2001) Science 294:1337-1340)。低酸素の条件下で遺伝子転写が活発になる転写因子HIFは、単一のβ(HIFβ/ARNT)サブユニットおよび一群のHIFαサブユニットで構成されるヘテロダイマーである。すべての細胞は、HIF−1αおよびHIF−βを構成的に発現するようであるが、常酸素条件下では、HIFαサブユニットはEGLNによりヒドロキシル化され、続いて、ユビキチンリガーゼ系により分解される。低酸素条件下では、HIFαサブユニットは安定であり、細胞内に蓄積可能であり、これが細胞内でHIFβと二量体化し、核に移行し、そして遺伝子転写を開始させる。HIF転写因子により転写される特定の遺伝子は、低酸素イベント時に細胞生存と代謝回復の両方を促進する代償的な局所性および全身性の応答をもたらす。
いくつかの出版物には、酸素感受性に不可欠であるHIFα基質中のペプチド骨格に関する研究が報告されている。研究は、当初はpVHLとの相互作用に必要なHIFα中のドメインに焦点をあてたものであった(例えば、Huangら (1998) Proc Natl Acad Sci USA 95:7987-7992;Tanimotoら (2000) EMBO J 19:4298-4309;およびPoellingerら, 国際公開第WO 02/12326号を参照されたい)。これらの研究からpVHLによるHIFαの認識に必要な基本モチーフが特定されたが、HIFαとEGLNとの相互作用のための、アミノ酸配列についての必要条件は決定されなかった。より最近では、研究は、EGLNによるヒドロキシル化に必要なHIFα中のドメインに焦点をあてたものになってきている(例えば、Hirsilaら (2003) J Biol Chem 278:30772-30780;およびHuangら (2002) J Biol Chem 277:39792-39800を参照されたい)。このドメインはpVHL相互作用ドメインと重複するが、特異的なアミノ酸骨格は異なる構造的必要条件を示すようである。
国際公開第WO 02/12326号 Majamaaら (1985) Biochem J 229:127-133 Myllyharju and Kivirikko (1997) EMBO J 16:1173-1180 Aravind and Koonin (2001) Genome Biol 2: RESEARCH0007 Taylor (2001) Gene 275:125-132 Darbyら (1999) Proc Natl Acad Sci USA 96:15202-15207 Waxら (1994) J Biol Chem 269(17):13041-13047 Waxら (1996) Lab Invest 74(4):797-808 Lipscombら (1999) J Neurochem 73:429-432 Moschellaら (1999) Gene Expr 8:59-66 Lipscombら (2001) J Biol Chem 276:5085-5092 Epsteinら (2001) Cell 107:43-54 Bruick and McKnight (2001) Science 294:1337-1340 Huangら (1998) Proc Natl Acad Sci USA 95:7987-7992 Tanimotoら (2000) EMBO J 19:4298-4309 Hirsilaら (2003) J Biol Chem 278:30772-30780 Huangら (2002) J Biol Chem 277:39792-39800
EGLN活性を測定する方法、特に、ハイスループット形式で測定する方法は、酵素反応速度論ならびに酵素インヒビターのスクリーニングおよび設計に関する研究に有利であろう。このほか、1つのEGLNファミリーメンバーに対して他のファミリーメンバーに対するよりも優先性を示す基質認識モチーフが特定されれば、個々のファミリーメンバーを標的とするインヒビター設計の見通しが得られるであろう。本発明は、そのような方法を提供し、種々のEGLNファミリーメンバーとの相互作用において選択性を示す基質を決定する。本発明はまた、EGLN酵素の活性をモジュレートする薬剤を特定する方法の使用を提供する。
発明の概要
本発明は、EGLN酵素活性の測定方法を提供する。一態様において、本発明は、EGLN酵素活性の測定方法を提供し、該方法は、EGLN酵素を、2−オキソグルタレートおよび1種のペプチドと、EGLN酵素活性に適した条件下で混合するステップ、および該酵素の活性を測定するステップを含む。種々の実施形態では、前記方法での使用のためのペプチドは、配列X−X−X−X−X−Z−Xを含み、該配列中、X、X、およびXは独立に、任意のアミノ酸より選択され、Xは、イソロイシン、バリン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、トレオニン、リジン、トリプトファン、システイン、アスパラギン、ヒスチジン、セリン、アラニン、グリシン、グルタミン酸、グルタミン、またはロイシンより選択され、Xは、トレオニン、セリン、リジン、グルタミン、メチオニン、イソロイシン、アルギニン、ヒスチジン、グルタミン酸、フェニルアラニン、システイン、ロイシン、またはアラニンより選択され、Xは、フェニルアラニンまたはチロシンより選択され、かつ、Zは、プロリン、アゼチジン−2−カルボキシレート、3,4−デヒドロプロリン、またはb−チオプロリンより選択され、ただし、Zがプロリンである場合、XおよびXは、両方がロイシンであることはないか、またはXはロイシンでなく、Xはアラニンでなく、かつXはチロシンでない。種々の実施形態では、2−オキソグルタレートは、約0.1〜100μM、例えば10〜100μMの範囲内で提供され、塩などをはじめとする任意の好適な形態で供給可能である。
他の態様において、本発明は、EGLN酵素活性をモジュレートする薬剤の特定方法を提供し、該方法は、EGLN酵素を、試験薬剤、2−オキソグルタレート、および1種のペプチドと、薬剤の非存在下ではEGLN酵素活性に適した条件下で混合するステップ、該酵素の活性を測定するステップ、および該薬剤の存在下での該酵素の活性を、該薬剤の非存在下での該酵素の活性と比較するステップを含み、ここで、該薬剤の非存在下での該酵素の活性と比較しての該薬剤の存在下での該酵素の活性の変化が、該薬剤がEGLN活性をモジュレートする薬剤であることを示すものである。種々の実施形態では、前記方法での使用のためのペプチドは、配列X−X−X−X−X−Z−Xを含み、該配列中、X、X、およびXは独立に、任意のアミノ酸より選択され、Xは、イソロイシン、バリン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、トレオニン、リジン、トリプトファン、システイン、アスパラギン、ヒスチジン、セリン、アラニン、グリシン、グルタミン酸、グルタミン、またはロイシンより選択され、Xは、トレオニン、セリン、リジン、グルタミン、メチオニン、イソロイシン、アルギニン、ヒスチジン、グルタミン酸、フェニルアラニン、システイン、ロイシン、またはアラニンより選択され、Xは、フェニルアラニンまたはチロシンより選択され、かつ、Zは、プロリン、アゼチジン−2−カルボキシレート、3,4−デヒドロプロリン、またはb−チオプロリンより選択され、ただし、Zがプロリンである場合、XおよびXは、両方がロイシンであることはないか、またはXはロイシンでなく、Xはアラニンでなく、かつXはチロシンでない。種々の実施形態では、2−オキソグルタレートは、約0.1〜100μM、例えば10〜100μMの範囲内で提供され、塩などをはじめとする任意の好適な形態で供給可能である。
種々の実施形態では、本発明に係る方法で使用されるEGLN酵素は、配列番号1の配列を含む。他の実施形態では、EGLN酵素は、配列番号3の配列を含む。特定の実施形態では、EGLN酵素は、配列番号2の配列をさらに含む。種々の態様において、EGLN酵素は、EGLN1、EGLN2、EGLN3、ならびにEGLN1、EGLN2、およびEGLN3の活性断片からなる群より選択される。これらの実施形態および態様にかかる酵素は、任意の生物種から取得可能であり、またはEGLN酵素をコードする組換えポリヌクレオチドから発現されるEGLN酵素もしくはその機能性断片を用いて作製可能である。
種々の態様において、本発明に係る方法で使用されるペプチドは、少なくとも約10アミノ酸長、とりわけ少なくとも約15アミノ酸長、さらにとりわけ少なくとも約20アミノ酸長である。種々の実施形態では、前記ペプチドは、配列番号8〜92からなる群より選択される配列を含む。特定の実施形態では、該ペプチドは20アミノ酸長であり、かつ配列番号8〜10および12〜92からなる群より選択される。種々の態様において、ペプチドは、L−異性体とD−異性体の両方を含むアミノ酸で構成される。他の態様において、該ペプチドは、L−アミノ酸異性体で構成される。いくつかの実施形態では、Zはプロリンであり、L−異性体またはD−異性体より選択される。特定の実施形態では、ZはL−プロリンである。他の実施形態では、Zは、アゼチジン−2−カルボキシレート、3,4−デヒドロプロリン、およびb−チオプロリンのL−異性体およびD−異性体からなる群より選択される。特定の実施形態では、Zは、L−異性体であるアゼチジン−2−カルボキシレート、3,4−デヒドロプロリン、およびb−チオプロリンより選択される。
一実施形態では、本発明に係る方法は、EGLN1、EGLN1の活性断片、EGLN2、およびEGLN2の活性断片からなる群より選択される酵素を、2−オキソグルタレートおよびペプチドと、酵素活性に適した条件下で混合するステップ、および酵素の活性を測定するステップを含む。それに包含される種々の実施形態では、前記方法での使用のためのペプチドは、配列X−X−X−X−X−Z−Xを含み、該配列中、Xは、チロシン、トリプトファン、メチオニン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、アラニン、グルタミン酸、システイン、プロリン、グリシン、およびロイシンより選択され、XおよびXは独立に、任意のアミノ酸より選択され、Xは、イソロイシン、バリン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、トレオニン、リジン、トリプトファン、システイン、アスパラギン、ヒスチジン、セリン、アラニン、グリシン、グルタミン酸、グルタミン、またはロイシンより選択され、Xは、トレオニン、セリン、リジン、グルタミン、メチオニン、またはアラニンより選択され、Xは、フェニルアラニンまたはチロシンより選択され、かつ、Zは、プロリン、アゼチジン−2−カルボキシレート、3,4−デヒドロプロリン、またはb−チオプロリンより選択され、ただし、Zがプロリンである場合、XおよびXは、両方がロイシンであることはないか、またはXはロイシンでなく、Xはアラニンでなく、かつXはチロシンでない。種々の実施形態では、2−オキソグルタレートは、約0.1〜100μM、例えば10〜100μMの範囲内で提供され、塩などをはじめとする任意の好適な形態で供給可能である。特定の実施形態では、前記ペプチドは、配列番号8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、29、31、62、63、および79からなる群より選択される配列を含む。特定の実施形態では、該ペプチドは、配列番号8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、29、31、62、63、および79からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、試験薬剤をアッセイに組み入れて、前記酵素の活性をモジュレートする試験薬剤の能力を測定する。
他の実施形態では、本発明に係る方法は、EGLN3またはEGLN3の活性断片より選択される酵素を、2−オキソグルタレートおよびペプチドと、酵素活性に適した条件下で混合するステップ、および酵素の活性を測定するステップを含む。種々の実施形態では、2−オキソグルタレートは、約0.1〜100μM、例えば10〜100μMの範囲内で提供され、塩などをはじめとする任意の好適な形態で供給可能である。特定の実施形態では、前記ペプチドは、配列番号8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、29、30、31、32、36、41、44、45、47、50、56、62、63、69、72、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、91、および92からなる群より選択される配列を含む。特定の実施形態では、該ペプチドは、配列番号8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、29、30、31、32、36、41、44、45、47、50、56、62、63、69、72、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、91、および92からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、試験薬剤をアッセイに組み入れて、酵素の活性をモジュレートする試験薬剤の能力を測定する。
種々の実施形態では、本発明に係る方法は、還元剤をさらに含みうる。ここで、該還元剤は、限定されるものではないが、アスコルベートおよびフェロシアン化カリウムからなる群より選択可能である。これらの実施形態では、還元剤は、約0.1〜10mM、例えば0.5〜5mMの範囲内で提供可能であり、アスコルビン酸ナトリウム、フェロシアン化カリウムなどのような塩などをはじめとする任意の好適な形態で供給可能である。本方法はまた、塩化第一鉄、硫酸第一鉄などとして提供される第一鉄イオンなどの鉄をも含みうる。種々の実施形態では、第一鉄イオンは、約0〜500μM、例えば25〜250μM、特に50〜200μMの範囲内で提供される。
いくつかの実施形態では、Zはアゼチジン−2−カルボキシレートである。それに包含される特定の実施形態では、前記ペプチドは、配列番号63、64、65、66、67、68、69、70、71、73、74、75,76、77、および78からなる群より選択される配列を含む。特定の実施形態では、該ペプチドは、配列番号63、64、65、66、67、68、69、70、71、73、74、75、76、77、および78からなる群より選択される。他の実施形態では、Zは3,4−デヒドロプロリンである。それに包含される特定の実施形態では、ペプチドは配列番号62の配列を含む。特定の実施形態では、ペプチドは配列番号62である。さらに他の実施形態では、Zはb−チオプロリンである。それに包含される特定の実施形態では、ペプチドは配列番号72の配列を含む。特定の実施形態では、ペプチドは配列番号72である。
本発明の種々の実施形態では、EGLN活性の測定ステップは、2−オキソグルタレート基質に対するEGLN酵素の反応により生じた二酸化炭素を測定することを含み、生じた二酸化炭素の量は、EGLN酵素の活性に正比例する。他の実施形態では、EGLN活性の測定ステップは、反応の間での還元剤のその酸化形態への変換を測定することを含み、酸化された還元剤の量は、EGLN酵素の活性に正比例する。
本明細書中の開示内容に照らせば、本発明のこれらのおよび他の実施形態は、当業者には自明であろう。また、そのような実施形態はすべて、明確に意図される。
図面の簡単な説明
図1(1A、1B、1C、1D、1E、および1F)は、種々の生物種に由来するHIFαサブユニットのアライメントを示している。アライメントは、CLUSTALWプログラム(version 1.81; Thompsonら (1994) Nucleic Acids Res 22:4673-4680)を用いて作成されたものである。
図2は、種々のEGLNファミリーメンバーの活性ドメインのアライメントを示している。アライメントは、CLUSTALWプログラム(v.1.81; Thompsonら, 上掲)を用いて作成されたものである。図中、PF03171は、PFAMデータベース(version 13.0; Batemanら (2002) Nucleic Acids Research 30(1):276-280)により作成したときの多重配列アライメントおよび隠れマルコフモデル(HMM)分析により同定された2−オキソグルタレートFe(II)オキシゲナーゼスーパーファミリーモチーフを表し、CDD13071は、保存ドメインデータベース(CDD, version 2.00; Marchler-Bauerら (2003) Nucleic Acids Res 31:383-387)により作成したときの多重配列アライメントにより同定されたEgl−9プロリンヒドロキシラーゼドメインを表している。
図3は、EGLN1に関して順序付けられた、対照ペプチドを基準にした基質ペプチドの活性のプロットを示している。図中の傾向線は、EGLN1(実線)およびEGLN2(破線)に対する活性を示している。
図4は、EGLN3に関して順序付けられた、対照ペプチドを基準にした基質ペプチドの活性のプロットを示している。図中の傾向線は、EGLN3に対する活性を示している。
図5は、酵素活性を保持しつつ行いうる基本基質構造の種々の修飾を示している。上側のパネルは、EGLN1およびEGLN2の好適な活性を保持するプロリン残基(1)および追加のアミノ酸(2〜10)の修飾を示している。下側のパネルは、EGLN3の好適な活性を保持するプロリン残基(1)および追加のアミノ酸(2〜10)の修飾を示している。それぞれのペプチド配列の一部分だけが図に示されている。
図6(6Aおよび6B)は、種々の濃度のフェロシアン化カリウムに対する2−オキソグルタレートのターンオーバー(%)を示している。図6Aは、改変型反応(II)に基づくアゼチジン含有ペプチドの存在下におけるEGLN1の活性を示している。各データ点は、3回の実験の平均を表している。図6Bは、DLD19ペプチドの存在下におけるEGLN2の活性を示している。対照として、1mMアスコルベートの存在下における反応を行った。各データ点は、3回の実験の平均を表している。
図7Aは、2種類の異なる濃度のEGLN1を用いたフェロシアン化カリウム濃度に対する2−オキソグルタレートのターンオーバー(%)を示している。図7Bは、改変型反応(II)における当初のフェロシアン化物密度に対するフェリシアン化物産物の生成速度を示している。405nmの波長におけるFe3+の光学密度をモニターすることにより、フェリシアン化物の生成をモニターした。産物の非酵素的生成を補正するために、酵素を用いた反応のODから酵素を用いない反応の光学密度を差し引いた。
発明の詳細な説明
本方法について説明する前に、本発明は記載の特定の試薬に限定されるものではないことを理解しなければならない。なぜなら、これらは変更可能であるからである。また、本明細書中で使用される用語は、本発明の特定の実施形態を説明することを意図したものであり、添付の請求の範囲に示される本発明の範囲を限定することをなんら意図したものではないことも理解しなければならない。
本明細書および添付の請求の範囲で使用する場合、文脈上明らかに異なる場合を除いて、単数形の「a」、「an」、および「the」は、複数の指示対象を包含することに留意しなければならない。従って、例えば、「ペプチド」(a peptide)の指示対象は、複数の該ペプチドおよび当業者に公知のその等価物などを包含しうる。
特に定義がない限り、本明細書中で使用される科学技術用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されるものと同一の意味を有する。本発明を実施または試験する際、本明細書中に記載のものと類似するかまたは等価な任意の方法および材料を使用しうるが、好ましい方法、装置、および材料を以下に記載する。本明細書中で引用される出版物はすべて、本発明に関連して使用しうる出版物中に報告された方法、試薬、および器具を説明し、かつ開示することを目的として、その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする。ここに記載の内容は、先行発明に基づいてそのような開示に先行する権利が本発明に与えられないことを容認するものと解釈すべきものではない。
本発明を実施する場合、特に指示がない限り、当該技術の範囲内にある化学、生化学、分子生物学、細胞生物学、遺伝学などの従来法を利用するものとする。そのような技術については、文献中に十分に説明されている。
発明
本発明は、EGLNアイソフォームに対して様々な特異性および多様性を示す、これまで知られていなかった基質と、新規な反応パラメーターとを利用して、種々のEGLN酵素の活性を測定する方法を提供する。本明細書中に開示される基質はHIFαポリペプチドといくぶんかの類似性を共有するが、それらは、基質構造の実質的かつ自明でない変更を含み、特有なアッセイ条件、酵素反応動態、およびアッセイ結果(readout)を提供する。該アッセイは、基質−酵素特異性のより十分な特性付けならびにそれぞれの基質と相互作用する特定のEGLN酵素の能力を改変する薬剤のスクリーニングおよび特定に有用である。
一態様において、本発明は、EGLN酵素、該酵素に対して所望の特異性および選択性を有するペプチド、および2−オキソグルタレートなどの2−オキソ酸を、EGLN酵素活性に適した条件下で混合するステップ、および酵素の活性を測定するステップを含むアッセイを提供する。EGLN酵素活性に適した条件は、一般的には、酸素の存在を含み、場合により、還元剤および/または追加の鉄を含みうる。いくつかの実施形態では、還元剤はアスコルビン酸であるが、他の実施形態では、還元剤はフェロシアン化カリウムである。特定の態様において、ペプチド基質は、種々のEGLN酵素に対して類似の特異性を示す。他の態様において、ペプチド基質は、1つのEGLN酵素に対して他のEGLNファミリーメンバーに対するよりも高い特異性を示す。特定の実施形態では、ペプチド基質は、EGLN1およびEGLN2に対してEGLN3に対するよりも高い特異性を示す。あるいはまた、他の特定の実施形態では、ペプチド基質は、EGLN3に対してEGLN1およびEGLN2に対するよりも高い特異性を示す。さらに他の実施形態では、本発明は、EGLN1などに対してEGLN2に対するよりも、またはEGLN2に対してEGLN1に対するよりも、高い親和性を示すペプチド基質を考慮する。
他の態様において、本発明は、EGLN酵素活性をモジュレートする薬剤の特定方法を提供し、該方法は、EGLN酵素を、試験薬剤、2−オキソグルタレート、および1種のペプチドと、薬剤の非存在下ではEGLN酵素活性に適した条件下で混合するステップ、該酵素の活性を測定するステップ、および該薬剤の存在下での該酵素の活性を、該薬剤の非存在下での該酵素の活性と比較するステップを含み、ここで、該薬剤の非存在下での該酵素の活性と比較しての該薬剤の存在下での酵素の活性の変化が、該薬剤がEGLN活性をモジュレートする薬剤であることを示すものである。
EGLN
EGLNとは2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素であり、他にも可能性のある基質はあるが、特に、HIFαタンパク質中の特定のプロリン残基をヒドロキシル化することが知られている。EGLNによりヒドロキシル化されるプロリン残基としては、ヒトHIF−1α天然配列の残基402(P402)および564(P564)に存在するプロリン残基、ならびに例えば図1に示されたような他の生物種から取得されたHIFαサブユニット中の対応するプロリン残基が挙げられる。好ましい実施形態では、アッセイで利用されるEGLNは、Taylor(上掲)により報告されて、AravindおよびKoonin(上掲)、Epsteinら(上掲)、ならびにBruickおよびMcKnight(上掲)により特性付けられたEgl−9酵素ファミリーのメンバーから選択される。本発明のいくつかの実施形態では、EGLN酵素は、EGLN1、EGLN2、および/またはEGLN3のアイソフォームから選択可能である。EGLN1アイソフォームは、限定されるものではないが、ヒトEGLN1(hEGLN1、GenBank登録番号AAG33965;Dupuyら (2000) Genomics 69:348-54)、マウスEGLN1(GenBank登録番号CAC42515)、およびラットEGLN1(GenBank登録番号P59722)を含む群から選択可能であり、EGLN2アイソフォームは、限定されるものではないが、ヒトEGLN2アイソフォーム1(GenBank登録番号CAC42510;Taylor, 上掲)、ヒトEGLN2アイソフォーム3(GenBank登録番号NP_542770)、マウスEGLN2(GenBank登録番号CAC42516)、およびラットEGLN2(GenBank登録番号AAO46039)を含む群から選択可能であり、EGLN3アイソフォームは、限定されるものではないが、ヒトEGLN3(GenBank登録番号CAC42511;Taylor, 上掲)、マウスEGLN3(GenBank登録番号CAC42517)、およびラットEGLN3(SM−20)(GenBank登録番号AAA19321)を含む群から選択可能である。本発明の他の実施形態では、EGLNは、線虫(Caenorhabditis elegans)EGL−9(GenBank登録番号AAD56365)およびショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)CG1114遺伝子産物(GenBank登録番号AAF52050)を包含しうる。
他の実施形態では、本発明のアッセイで利用されるEGLNは、上記の、または当業者に公知であるいずれかのEGLN酵素ファミリーメンバーの活性断片を含みうる。活性断片は、好ましくは、配列
H−X−D−[X]−H
を含有するドメインを含むであろう。上記式中、Xは、任意のアミノ酸であり、nは、約40〜80、好ましくは約50〜65、最も好ましくは約58である(例えば、図2を参照されたい)。例えば、アッセイで利用されるHIF PHの活性断片は、タンパク質ファミリー(PFAM)データベース登録番号3171により定義されるコンセンサス配列(配列番号1)、Entrez保存ドメインデータベース(CDD)登録番号21489により定義されるコンセンサス配列(配列番号2)、または図2に示されるコンセンサス配列(配列番号3)を含みうる(Batemanら (2004) Nucleic Acids Res 32(1):D138-141; Marchler-Bauerら (2003) Nucleic Acids Res 31:383-387)。
本発明で使用される酵素は、細胞により内因的に産生可能であり、ここでいう細胞とは、単細胞または多細胞の真核生物のような天然源から元々取得されるものである。例えば、酵素は、Caenorhabditis elegansなどの線虫もしくはDrosophila melanogaster(ショウジョウバエ)などの昆虫のような生体全体の消化により取得するか、マウスもしくはラットの腎臓、肺、肝臓、脳などから得られるものなどの単離された器官もしくは組織の消化により取得するか、または樹立細胞株のようなクローン細胞集団の溶解により、取得することが可能である。あるいはまた、組換えDNA技術を用いて酵素を産生させることが可能である。例えば、酵素をコードする遺伝子または転写産物のポリヌクレオチドを宿主細胞または生物に導入することが可能であり、該宿主は、構成的に、または特定の条件下で、外来性ポリヌクレオチド配列によりコードされたタンパク質を発現しうる。
酵素が内因性もしくは外来性のいずれのポリヌクレオチドから産生されるかにかかわらず、インタクトな宿主細胞内または細胞から生成された細胞溶解物内に含有された状態で酵素を本発明のアッセイで使用することが可能である。例えば、Hep3B細胞などの肝細胞、ヒト微小血管内皮細胞(HMVEC)のような内皮細胞、ヒト包皮繊維芽細胞のような繊維芽細胞などのような、内因的に酵素を産生する細胞を好適な密度まで培養下で増殖させることが可能であり、次に、当業者により知られる標準的技術を用いて細胞溶解物を調製することが可能である。特定のEGLNの内因的発現により細胞を選択することが可能である。例えば、EGLN1の特異的発現は、動脈内皮細胞において常酸素条件下で最近報告された(例えば、Takahashiら (2004) Biochem Biophys Res Comm 317:84-91を参照されたい)。あるいはまた、例えば、低酸素(hypoxic)、すなわち低い酸素の条件下で好適な時間をかけて細胞を増殖させることにより、EGLNの発現を誘導することが可能である。そのような条件については、当業者に広く知られている。
場合により、例えば、酵素を含有する溶解物を分画することにより、酵素を部分的に精製または濃縮することが可能である。あるいはまた、当業者により知られる任意の方法を用いて、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)またはアフィニティークロマトグラフィーにより、酵素を溶解物中の他の成分から精製することが可能である。また、例えば、自動化432Aペプチド合成機(Applied Biosystems, Inc., Foster City CA)などを用いて行われるFMOC化学または当業者に公知の他の技術を利用して、酵素、特に酵素の活性断片を化学合成することが可能である。
ペプチド
本発明は、EGLNアイソフォームに対して様々な特異性および多様性を示す新規なペプチドを提供する。これらのペプチドはHIFαポリペプチドといくぶんかの類似性を共有するが、それらは、基質構造の実質的かつ自明でない変更を含有し、特有なアッセイ条件および酵素反応動態を提供する。
本明細書中で使用する場合、「HIFα」という用語は、低酸素誘導性因子タンパク質のαサブユニットを意味する。HIFαは、HIF−1α、HIF−2α、およびHIF−3αの3つの一般的形態で存在する。さらに、それぞれの一般的形態は、異なるアイソフォームで生物内に存在しうる。例えば、HIF−1αとしては、ヒトHIF−1αアイソフォーム1(GenBank登録番号Q16665;HIF1A_HUMAN)およびアイソフォーム2(GenBank登録番号NP_851397;HIF1v_HUMAN)、ネズミHIF−1α(GenBank登録番号Q61221;HIF1A_MOUSE)、ラットHIF−1α(GenBank登録番号CAA70701;HIF1A_RAT)、ならびにウシHIF−1α(GenBank登録番号BAA78675;HIF1A_BOVINE)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。同様に、HIF−2αとしては、ヒトHIF−2α(GenBank登録番号AAB41495;HIF2A_HUMAN)、マウスHIF−2α(GenBank登録番号BAA20130およびAAB41496;HIF2A_MOUSE)、ラットHIF−2α(GenBank登録番号CAB96612;HIF2A_RAT)、およびウシHIF−2α(GenBank登録番号BAA78676;HIF2A_BOVINE)が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、HIF−3αとしては、ヒトHIF−3α(GenBank登録番号AAD22668;HIF3A_HUMAN)、マウスHIF−3α(GenBank登録番号AAC72734)、およびラットHIF−3α(GenBank登録番号CAB96611;HIF3A_RAT)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。種々の非哺乳動物HIFαタンパク質もまた報告されており、例としては、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)HIF−1α(GenBank登録番号CAB96628;HIF1A_XENLA)、ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)HIF−1α(GenBank登録番号JC4851)、ニジマス(Oncorhynchus mykiss)HIF−1α(GenBank登録番号Q98SW2;HIF1A_ONCMY)、およびニワトリHIF−1α(GenBank登録番号BAA34234;HIF1A_CHICK)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
HIFαサブユニットのアライメントは、図1に示されるように、種々のファミリーメンバー間で保存された領域を示す。該保存領域は、酸素により調節される分解に対するそれらの感受性のような、HIFαサブユニットにより共有される機能特性に関して最初に分析された。欠失研究から、HIF−1αアミノ酸残基401〜603により規定されるHIFαの一部分中の酸素分解ドメインが特定された(Huangら, 上掲)。その後、酸素感受性領域は、HIF−1αのアミノ酸556〜575に、より具体的には、HIF−1α(556〜575)中のM561LAPYIPMに対応する高度に保存された同一線上の配列に、位置が特定された(Jiangら (1997) J Biol Chem 272:19253-19260; Tanimotoら (2000) EMBO J 19:4298-4309; Srinivasら (1999) Biochem Biophys Res Commun 260:557-561;およびIvanら (2001) Science 292:464-468)。この配列中において、LXXLAPモチーフに関連して起こるプロリン残基のヒドロキシル化(例えば、HIF−1α天然配列のL397TLLAPおよびL559EMLAPならびにHIF−2αおよびHIF−3αの対応する部分で起こる)は、HIF−1αの常酸素分解に必要であることが見いだされた(Ivan and Kaelin (2001) Science 292:464-468; Jaakkolaら (2001) Science 292:468-472を参照されたい)。例えば、HIF−1α、HIF−2α、およびHIF−3αのC末端酸素分解ドメイン(C−ODD)に対応する領域を、以下に示す。
Figure 2008500834
従って、これらの配列は、HIF−PH酵素に対する内因性基質を代表する。さらに、太字で示されている残基は、種々のHIFαアイソフォーム間で保存されているので、EGLNヒドロキシル化に対するコンセンサス配列を規定しうる。
本発明は、EGLN酵素ファミリーの基質要件のさらなる特徴付けを提供する。一態様において、本発明は、配列X−X−X−X−X−Z−Xを含むペプチドを提供する。該配列中、X、X、およびXは独立に、任意のアミノ酸から選択され、Xは、イソロイシン、バリン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、トレオニン、リジン、トリプトファン、システイン、アスパラギン、ヒスチジン、セリン、アラニン、グリシン、グルタミン酸、グルタミン、またはロイシンより選択され、Xは、トレオニン、セリン、リジン、グルタミン、メチオニン、イソロイシン、アルギニン、ヒスチジン、グルタミン酸、フェニルアラニン、システイン、ロイシン、またはアラニンより選択され、Xは、フェニルアラニンまたはチロシンより選択され、かつ、Zはプロリンであり、ただし、XおよびXは、両方がロイシンであることはないか、またはX−X−Z−Xは、LAPYでない。任意の長さのペプチドを使用しうるが、ペプチドは、好ましくは少なくとも約10ヌクレオチド長、特に少なくとも約15、とりわけ少なくとも約20ヌクレオチド長である。表1は、本発明に係る方法で使用するためのペプチドの種々の例を示している。それぞれのペプチド中の小文字のpは、反応中にヒドロキシル化されうるプロリンを表す。
Figure 2008500834
Figure 2008500834
Figure 2008500834
これらの配列の1つを含む任意のポリペプチドまたは表1に示される任意のペプチドを本明細書中に開示される方法で使用することが可能である。これらのペプチドは、以下に記載されるように、共基質(co-substrate)である2−オキソグルタレート、EGLN酵素、および酸素をさらに必要とする反応で使用される。該反応は、Fe2+をさらに含みうる。該反応は、2−オキソグルタレート基質がスクシネートおよび二酸化炭素に変換されかつ非ヒドロキシル化ペプチド基質がヒドロキシル化される標準的反応(I)に従って進行する。
本発明はさらに、ペプチドが種々のEGLN酵素に対して異なる特異性を示すことを実証する。従って、本発明は、特定の実施形態では、本明細書中で実証されるように種々のペプチドに対して類似の特異性を示すEGLN1およびEGLN2に対して最適化されたペプチドを提供する。酵素がEGLN1もしくはEGLN2であるかまたはペプチドがEGLN1および/もしくはEGLN2に対して少なくとも等しい特異性を示すことが望まれるアッセイで使用するために、図3に示されるペプチドを選択することが可能である。例えば、表1および図3からわかるように、ペプチドDTDLDLEARApYIPADDDFQ(配列番号15)は、EGLN1およびEGLN2に対してEGLN3に対するよりも高い特異性を示す。
さらにまた、本発明は、特定の実施形態では、EGLN3に対して最適化されたペプチドを提供する。酵素がEGLN3であるかまたはペプチドがEGLN3に対して少なくとも等しい特異性を示すことが望まれるアッセイで使用するために、図4に示されるペプチドを選択することが可能である。例えば、表1および図4からわかるように、ペプチドDTDLDMEALApYIPADDDFQ(配列番号13)、DTDLDFEALApYIPADDDFQ(配列番号19)、およびDTDLDIEALApYIPADDDFQ(配列番号24)は、EGLN3に対してEGLN1およびEGLN2に対するよりも高い特異性を示す。
このほかに、本発明は、特定の実施形態では、EGLN1、EGLN2、およびEGLN3による活性が本質的に等価であるペプチドを提供する。EGLN1、EGLN2、およびEGLN3の直接的な比較が望まれるかまたはペプチドがEGLN1、EGLN2、およびEGLN3に対して実質的に等しい特異性を示すことが望まれるアッセイで使用するために、表1に示されるペプチドを選択することが可能である。例えば、表1からわかるように、ペプチドDTDLDLEAFApYIPADDDFQ(配列番号14)は、EGLN1、EGLN2、およびEGLN3に対して似通った特異性を示す。
本発明はまた、表2に示されるアミノ酸アナログを含有するペプチドを提供する。これらのアナログは、プロリン、具体的には、標準的反応(I)においてヒドロキシル化により修飾されるプロリン残基の代わりに使用される。一態様において、本発明は、配列X−X−X−X−X−Z−Xを含むペプチドを提供する。該配列中、X、X、およびXは独立に、任意のアミノ酸より選択される。
は、イソロイシン、バリン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、トレオニン、リジン、トリプトファン、システイン、アスパラギン、ヒスチジン、セリン、アラニン、グリシン、グルタミン酸、グルタミン、またはロイシンより選択され、Xは、トレオニン、セリン、リジン、グルタミン、メチオニン、イソロイシン、アルギニン、ヒスチジン、グルタミン酸、フェニルアラニン、システイン、ロイシン、またはアラニンより選択され、Xは、フェニルアラニンまたはチロシンより選択され、Zは、アゼチジン−2−カルボキシレート、3,4−デヒドロプロリン、b−チオプロリン、trans−4−ヒドロキシプロリン、またはアゼチジン−3−カルボン酸より選択される。任意の長さのペプチドを使用しうるが、ペプチドは、好ましくは少なくとも約10ヌクレオチド長、特に少なくとも約15ヌクレオチド長、とりわけ少なくとも約20ヌクレオチド長である。本発明は、HIF−PHによるヒドロキシル化を受けにくいこれらのアナログが継続してスクシネートおよび二酸化炭素への共基質2−オキソグルタレートのターンオーバーを可能にすることを実証する。
Figure 2008500834
さらに、異なるEGLN酵素は、プロリンアナログを含有するペプチドに対して異なる親和性を示す。従って、本発明は、特定の実施形態では、表3に示されるように、EGLN1およびEGLN2に対して最適化されたプロリンアナログ含有ペプチドを提供する。
Figure 2008500834
本アッセイにおいて測定可能な活性を保持する表3に示されるペプチドは、本明細書中に開示されるアッセイで使用することが特に意図される。これらのペプチドは、以下に記載されるように、共基質2−オキソグルタレートおよび還元剤(例えばアスコルベート)、EGLN酵素、ならびに酸素をさらに必要とする反応で使用される。該反応は、Fe2+をも含みうる。該反応は、2−オキソグルタレートがスクシネートおよび二酸化炭素に変換されかつ還元剤が続いて酸化される(例えば、アスコルベートがデヒドロアスコルベートに酸化される)改変型反応(II)に従って進行する。該反応は前記ペプチドの存在を必要とするが、該ペプチドは、該反応中に修飾されず、酵素補因子として作用する。
酵素がEGLN1もしくはEGLN2であるかまたはペプチドがEGLN1および/もしくはEGLN2に対して特異的な親和性を示すことが望まれるアッセイで使用するためのペプチドとして、表3に示されるペプチドを選択することが可能である(図3も参照されたい)。例えば、表3および図3からわかるように、ヒドロキシル化されるプロリンがプロリンアナログである3,4−デヒドロプロリンで置き換えられているペプチドDTDLDLEALA4YIPADDDFQ(配列番号62)は、EGLN1およびEGLN2に対してEGLN3に対するよりも高い特異性を示す。
本発明はさらに、特定の実施形態では、表4に示されるように、EGLN3に対して最適化されたプロリンアナログ含有ペプチドを提供する。
Figure 2008500834
本アッセイにおいて測定可能な活性を保持する表4に示されるペプチドは、本明細書中に開示されるアッセイで使用することが特に意図される。これらのペプチドは、以下に記載されるように、2−オキソグルタレートおよび還元剤(例えばアスコルベート)、EGLN酵素、ならびに酸素をさらに必要とする反応で使用される。該反応は、Fe2+をも含みうる。該反応は、2−オキソグルタレートがスクシネートおよび二酸化炭素に変換されかつ還元剤が続いて酸化される(例えば、アスコルベートがデヒドロアスコルベートに酸化される)改変型反応(II)に従って進行する。該反応は前記ペプチド基質の存在を必要とするが、該ペプチドは、該反応中に修飾されず、酵素補因子として作用する。
酵素がEGLN3であるかまたはペプチドがEGLN3に対してより大きい特異性を示すことが望まれるアッセイで使用するために、図4に示されるペプチドを選択することが可能である(図4も参照されたい)。例えば、表4および図4からわかるように、ヒドロキシル化されるプロリンがプロリンアナログであるL−アゼチジン−2−カルボキシレートで置き換えられているペプチドDTDLDLEALA8YIPADDDFQ(配列番号63)は、EGLN3に対してEGLN1およびEGLN2に対するよりも高い特異性を示す。
従って、以下のアッセイで使用するためのペプチドとしては、以上のペプチド基質のいずれも、特に表1〜4に示されているものが挙げられる。本アッセイで使用されることが意図されるペプチドはまた、表1〜4に示されているペプチド中に例示された置換の種々の組合せを含みうる。例えば、図5に示される置換の組合せは、改変型反応(II)で使用するためのEGLNに対して特異性を有する一連の考えられるペプチドを示している。図5の上側のパネルは、EGLN1および/またはEGLN2に対する特異性を保持または増強するように行いうる種々の修飾を示し、一方、図5の下側のパネルは、EGLN3に対する特異性を保持または増強するように行いうる種々の修飾を示している。当業者であれば、以上および図5に提供される情報から、本明細書中に具体的に開示されていないが本質的に本発明の範囲内に包含される広範にわたる新規なペプチドを即座に思い描くことが可能である。例えば、ペプチドDTDLDYEMIApYIPADDDFQ(配列番号89)、DTDLDWEMVSpYIPADDDFQ(配列番号90)、DTDLDWEAVSpYIPADDDFQ(配列番号91)、およびDTDLDWEMVApYIPADDDFQ(配列番号92)は、EGLN1およびEGLN3の両者により容易にヒドロキシル化されるので、特に本発明により考慮される。
標準的反応(I)または改変型反応(II)におけるペプチドの使用は、主に、HIF−PHによりヒドロキシル化されるプロリン残基に代わるプロリンアナログの非存在または存在によりそれぞれ決定される。
自動化432Aペプチド合成機(Applied Biosystems)などを用いて行われるFMOC化学または当業者に公知の他の技術を利用して、上述のペプチドのいずれを化学合成することも可能である。
アッセイ
本発明は、EGLN酵素の活性を測定する方法を提供する。一態様において、前記方法は、上記で提供されたようなEGLN酵素、2−オキソ酸基質、およびペプチド基質を、EGLN酵素活性に適した条件下で混合するステップ、および該酵素の活性を測定するステップを含むアッセイである。特定の実施形態では、2−オキソグルタレートをスクシネートおよび二酸化炭素に変換し、併行して非ヒドロキシル化ペプチドをヒドロキシル化ペプチドに変換する標準的反応(I)で、酵素活性を測定する。標準的アッセイは、反応(I):
Figure 2008500834
を含む。ここで、−A−A−A−P−A−A−A−は、基質ペプチドを表し、−A−A−A−POH−A−A−Aは、ヒドロキシル化ペプチドを表す。非ヒドロキシル化プロリン残基はPとして表され、ヒドロキシル化プロリンは、POHとして表されている。基質中の使用される特定のプロリンは、好ましくは、天然に存在するL−プロリン(p)であるが、一部の場合には、D−プロリン異性体(d)を使用することも可能である。本アッセイで特に使用される基質としては、前掲の表1に提供される基質ならびに本明細書内で明確に想定されるこれらの基質の組合せ、例えば、配列番号11および84〜86が挙げられる。種々の実施形態では、酵素活性を維持するのに好適な条件下で共基質を酵素と混合し、次に、酵素の活性を測定する。該アッセイは、追加の成分の非存在下または存在下で使用しうる。例えば、酵素活性を増大または減少させる可能性があると推測される薬剤を該反応に追加することが可能であり、標準的アッセイのそのような使用は、明らかに本発明に包含される。
他の実施形態では、2−オキソグルタレートをスクシネートおよび二酸化炭素に変換し、併行してアスコルベートなどの還元剤(RA)をデヒドロアスコルベートなどのその酸化形態に変換する改変型反応(II)で、酵素活性を測定する。改変型アッセイは、反応(II):
Figure 2008500834
を含む。ここで、−A−A−A−p−A−A−A−は、ペプチドを表し、プロリンアナログはpとして表されている。この反応では、該ペプチドは、実際の基質としてではなく酵素補因子として作用する。好ましいペプチドアナログとしては、アゼチジン−2−カルボキシレート、3,4−デヒドロプロリン、およびb−チオプロリンのL異性体およびD異性体の両方、好ましくはL異性体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このほかに、基質中の使用されるプロリンアナログとしては、例えば、2,3−デヒドロプロリンのL異性体およびD異性体の両方、好ましくはL異性体が挙げられうる。本アッセイで特に使用されるペプチドとしては、前掲の表3および4に提供されるペプチドならびに本明細書内で明確に想定されるこれらの基質の組合せが挙げられる(例えば、図5を参照されたい)。種々の実施形態では、酵素活性を維持するのに好適な条件下で共基質と補因子とを混合し、次に、酵素の活性を測定する。該アッセイは、追加の成分の非存在下または存在下で使用しうる。例えば、酵素活性を増大または減少させる可能性があると推測される薬剤を該反応に追加することが可能であり、改変型アッセイのそのような使用は、明らかに本発明に包含される。
アッセイは、鉄を含むこともできる。一般的には、第一鉄イオンは、約0〜500μM、例えば25〜250μM、特に50〜200μMの範囲内で提供される。第一鉄イオンは、塩化第一鉄、硫酸第一鉄などのような任意の好適な形態で供給可能である。2−オキソグルタレートは、約0.1〜100μM、例えば10〜100μMの範囲内で提供され、塩などをはじめとする任意の好適な形態で供給可能である。一般的には、および特に標準的反応(I)では、アスコルベートは、約0.1〜10mM、例えば0.5〜5mMのの範囲内で提供され、アスコルビン酸ナトリウムなどの塩などをはじめとする任意の好適な形態で供給可能である。アスコルベートは、標準的反応(I)において、またはより好ましくは改変型反応(II)において、フェロシアン化カリウムなどの他の還元剤で置き換えることが可能である。
酵素活性は、1種以上の反応基質の消費または1種以上の反応産物の蓄積をモニターすることにより測定可能である。例えば、標準的反応(I)または改変型反応(II)のいずれにおいても、酵素活性は、2−オキソ[1−14C]グルタル酸の脱カルボキシル化に基づくKivirikkoおよびMyllylaにより報告された方法(1982, Methods Enzymol 82:245-304)の改変型を用いて測定可能である。この方法では、反応中に生成された放射性14COを塩基含浸濾紙上に捕捉し、捕捉された放射活性を液体シンチレーション計数により測定する。特定の実施形態では、実施例2(後掲)に記載されているように標準的反応(I)における酵素活性を測定した。
他の実施形態では、標準的反応(I)内の酵素活性は、ヒドロキシル化ペプチドの生成により測定可能である。そのような測定では、ヒドロキシプロリンに特異的に結合する抗体を利用することが可能であり、修飾アミノ酸を特異的に認識するが未修飾アミノ酸を認識しない抗体は、当技術分野で公知である(例えば、trans-ヒドロキシプロリンポリクローナル抗体, QED Bioscience Inc., San Diego CAを参照されたい)。このほか、抗体は、ヒドロキシプロリンに関連するペプチドの領域を認識してそれに結合するが未修飾プロリンに関連するペプチドの同一領域に対してはそのような作用を示さないものであってもよい(例えば、Chanら (2002) J Biol Chem 277:40112-40117を参照されたい)。あるいはまた、ヒドロキシル化ペプチドに付随し非ヒドロキシル化ペプチドに付随しない活性を用いて、ペプチドヒドロキシル化を測定することが可能である。例えば、ヒドロキシル化ペプチドは、von Hippel Lindauタンパク質(pVHL)には結合するが未修飾ペプチドには結合しないことが知られている(例えば、Ivan and Kaelin, 上掲; Jaakkolaら, 上掲を参照されたい)。従って、ペプチドヒドロキシル化のアッセイでは、pVHLとペプチドとの相互作用を比較することが可能である(例えば、国際公開第WO/69908号を参照されたい)。
さらに他の実施形態では、改変型反応(II)内の酵素活性は、還元剤の還元形の消失または還元剤の酸化形の出現により測定可能である。任意の好適な還元剤を改変型反応(II)で使用することが可能であり、本発明により使用されることが特に意図される還元剤は、アスコルベートおよびフェロシアン化物から選択可能である。例えば、改変型反応(II)でアスコルベートを使用する場合、HPLCなどを用いてアスコルベートの消失および/またはデヒドロアスコルベートの出現を測定することが可能である。特定の実施形態では、アスコルベートを限定した量で改変型反応(II)に追加することが可能であり、DilibertoおよびAllen(1981, J Biol Chem 256:3385-3393)により報告された方法に変更を加えてNADHからNADへの併行する酸化によりアスコルベートを反応中に再生する。このほか、該反応は、例えば、セミデヒドロ−アスコルベートからアスコルベートへのNADH依存性還元を触媒するセミデヒドロアスコルベートレダクターゼを含む。HIF−PH活性は、340nmの波長における吸光度の減少を引き起こすNADHの消費により、間接的に測定される。フェロシアン化カリウムを用いて改変型反応(II)を行う場合、分光測光法を用いて還元剤の酸化形(フェリシアン化カリウム)への変換を直接測定することが可能である。特定の実施形態では、実施例3(後掲)に記載されるように改変型反応(II)における酵素活性を測定した。
試験薬剤
EGLN酵素活性のモジュレーターを特定する方法で使用するための薬剤としては、天然もしくは合成の化学化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。そのような化合物または薬剤は、植物、微生物、もしくは他の生物から得られるいくつかの特性付けられたかまたは特性付けされていない成分を含有する抽出物として取得可能であり、またはポリペプチドもしくは小分子(例えば、市販のコンビナトリアルライブラリーに由来する分子)の複合ライブラリーでありうる。化合物または薬剤はまた、候補分子のフォーカスト(focused)化学ライブラリーとして取得することも可能であり、例えば、キナーゼインヒビターに特異的なフォーカストライブラリーが報告されている(例えば、Grayら (1998) Science 281:533-538; およびChangら (1999) Chem Biol 6:361-375を参照されたい)。
本明細書中の開示内容に照らせば、本発明のこれらのおよび他の実施形態は、当業者には自明であろう。
実施例
単に本発明の代表例であることが意図されたものであるが、以下の実施例を参照すれば、本発明についてさらなる理解が得られるであろう。これらの実施例は、単に、特許請求された本発明を説明するために提供されているにすぎない。本発明は、例示された実施形態によりその範囲が限定されるものではなく、これらは、単に本発明の個別の態様の具体例であることが意図されるにすぎない。機能的に等価な方法はいずれも、本発明の範囲内にある。本明細書中に記載されている態様以外の本発明の種々の変更態様は、以上の説明および添付の図面から当業者に自明なものとなろう。そのような変更態様は、添付の特許請求の範囲内に包含されるものとみなされる。
実施例1:ペプチド
本発明で使用されるペプチドは、Mimotopes (San Diego CA)およびSynPep Corporation (Dublin CA)により合成されたものである。活性は、対照ペプチドDTD20:
DTDLDLELAPYIPDDDFQ (DTD20)
を基準にして測定されたものである。
DTD20は、HIF−1α C−ODDドメインに最も類似しているが、この領域内には、すべてのHIFαファミリーメンバー間でかなりの相同性が存在する。本明細書中に提供されるいくつかのアッセイでは、ペプチドDLD19:
DLDLELAPYIPDDDFQL (DLD19)
の存在下で活性を測定した。
DLD19では、アッセイ反応中にメチオニンが酸化される可能性があるため、メチオニン(M)残基をアラニン()残基に変更した。アッセイで使用されるペプチドは、N末端アセチル基、C末端アミド基などのようなN末端および/またはC末端ブロック基をさらに含有しうる。基質ペプチドの存在下における酵素活性は、対照ペプチドDTD20の存在下における酵素活性を基準にした酵素活性パーセントとして上記に提供されている。
実施例2:標準的反応(I)
すべての実験において、基質ターンオーバーなどにより測定された酵素活性パーセントは30%未満であり、得られたデータがすべて直線範囲内にあることが保証された。EGLN酵素調製物(10〜400μL)、0.05μモルのヒドロキシル化可能なペプチド基質、0.1μモルの2−オキソ[1−14C]グルタル酸(160,000dpm)、1μモルのアスコルビン酸、60μgのカタラーゼ、および50μモルのHEPES緩衝剤を含有する1mLの反応体積中(25℃でpH7.4に調整されている)で、標準的反応(I)における酵素活性を測定した。場合により、0.04μモルのFeSOも反応混合物に添加した。反応を37℃で20分間行った。種々の反応において、アスコルベートを0.1〜15mMのフェロシアン化カリウムにより置き換えた。結果を表1(前掲)ならびに図3および4に提供する。
実施例3:改変型反応(II)
ヒドロキシル化不可能なペプチドを使用したことおよび還元剤を反応に追加したこと以外は実施例2(前掲)に記載されるように、改変型反応(II)における酵素活性を測定した。種々の改変型反応(II)において、0.1〜5.0mMのフェロシアン化カリウムを還元剤として使用し、反応混合物をインキュベートした後、反応溶液の105μLアリコートを透明なプレートに移し、405nmの波長で光学密度を測定した(図6参照)。アスコルベートを還元剤として使用する場合、HPLCを用いてアスコルベートの消失および/またはデヒドロアスコルベートの出現を測定する。
本明細書に提示および説明されている態様以外の本発明の種々の変更態様は、以上の説明から当業者に自明なものとなろう。そのような変更態様は、添付の特許請求の範囲内に包含されるものとみなされる。
本明細書に引用されている参考文献はすべて、その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする。
種々の生物種に由来するHIFαサブユニットのアライメントを示す。 種々の生物種に由来するHIFαサブユニットのアライメントを示す。 種々の生物種に由来するHIFαサブユニットのアライメントを示す。 種々の生物種に由来するHIFαサブユニットのアライメントを示す。 種々の生物種に由来するHIFαサブユニットのアライメントを示す。 種々の生物種に由来するHIFαサブユニットのアライメントを示す。 種々のEGLNファミリーメンバーの活性ドメインのアライメントを示す。 EGLN1に関して順序付けられた、対照ペプチドを基準にした基質ペプチドの活性のプロットを示す。 EGLN3に関して順序付けられた、対照ペプチドを基準にした基質ペプチドの活性のプロットを示す。 酵素活性を保持しつつ行いうる基本基質構造の種々の修飾を示す。 種々の濃度のフェロシアン化カリウムに対する2−オキソグルタレートのターンオーバー(%)を示す。 2種類の異なる濃度のEGLN1を用いたフェロシアン化カリウム濃度に対する2−オキソグルタレートのターンオーバー(%)、および改変型反応(II)における当初のフェロシアン化物濃度に対するフェリシアン化物産物の生成速度を示す。

Claims (21)

  1. EGLN酵素活性の測定方法であって、以下のステップ:
    (a) EGLN酵素を、2−オキソグルタレートおよび1種のペプチドと、EGLN酵素活性に適した条件下で混合するステップ、および
    (b) 該酵素の活性を測定するステップ
    を含み、ここで該ペプチドは、配列X−X−X−X−X−Z−Xを含み、該配列中、
    、XおよびXは独立に、任意のアミノ酸より選択され、
    は、イソロイシン、バリン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、トレオニン、リジン、トリプトファン、システイン、アルパラギン、ヒスチジン、セリン、アラニン、グリシン、グルタミン酸、グルタミン、またはロイシンより選択され、
    は、トレオニン、セリン、リジン、グルタミン、メチオニン、イソロイシン、アルギニン、ヒスチジン、グルタミン酸、フェニルアラニン、システイン、ロイシン、またはアラニンより選択され、
    は、フェニルアラニンまたはチロシンより選択され、かつ
    Zは、プロリン、アゼチジン−2−カルボキシレート、3,4−デヒドロプロリン、またはb−チオプロリンより選択されるが、
    ただし、Zがプロリンである場合、XおよびXのいずれもがロイシンであることはない、上記方法。
  2. EGLN酵素活性をモジュレートする薬剤の特定方法であって、以下のステップ:
    (a) EGLN酵素を、試験薬剤、2−オキソグルタレートおよび1種のペプチドと、薬剤の非存在下ではEGLN酵素活性に適した条件下で混合するステップ、
    ここで該ペプチドは、配列X−X−X−X−X−Z−Xを含み、該配列中、
    、XおよびXは独立に、任意のアミノ酸より選択され、
    は、イソロイシン、バリン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、トレオニン、リジン、トリプトファン、システイン、アルパラギン、ヒスチジン、セリン、アラニン、グリシン、グルタミン酸、グルタミン、またはロイシンより選択され、
    は、トレオニン、セリン、リジン、グルタミン、メチオニン、イソロイシン、アルギニン、ヒスチジン、グルタミン酸、フェニルアラニン、システイン、ロイシン、またはアラニンより選択され、
    は、フェニルアラニンまたはチロシンより選択され、かつ
    Zは、プロリン、アゼチジン−2−カルボキシレート、3,4−デヒドロプロリン、またはb−チオプロリンより選択されるが、
    ただし、Zがプロリンである場合、XおよびXのいずれもがロイシンであることはない、
    (b) 該酵素の活性を測定するステップ、および
    (c) 該薬剤の存在下での該酵素の活性を、該薬剤の非存在下での該酵素の活性と比較するステップ
    を含み、ここで、該薬物の非存在下での該酵素の活性と比較しての該薬剤の存在下での該酵素の活性の変化が、EGLN活性をモジュレートする薬剤であることを示すものである、上記方法。
  3. 前記混合ステップで、アスコルベートおよびフェロシアン化カリウムからなる群より選択される還元剤がさらに含まれる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記混合ステップで、鉄がさらに含まれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. EGLN酵素が配列番号3の配列を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. EGLN酵素が配列番号2の配列を含む、請求項5に記載の方法。
  7. EGLN酵素が、EGLN1、EGLN2、EGLN3、ならびにEGLN1、EGLIN2およびEGLN3の活性断片からなる群より選択される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記ペプチドが、配列番号8〜10および12〜92からなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  9. EGLN酵素が、EGLN1、EGLN1の活性断片、EGLN2、およびEGLN2の活性断片からなる群より選択され、かつ前記ペプチドが配列X−X−X−X−X−Z−Xを含み、該配列中、
    は、チロシン、トリプトファン、メチオニン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、アラニン、グルタミン酸、システイン、プロリン、グリシン、およびロイシンより選択され、
    およびXは独立に、任意のアミノ酸より選択され、
    は、イソロイシン、バリン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、トレオニン、リジン、トリプトファン、システイン、アルパラギン、ヒスチジン、セリン、アラニン、グリシン、グルタミン酸、グルタミン、またはロイシンより選択され、
    は、トレオニン、セリン、リジン、グルタミン、メチオニン、またはアラニンより選択され、
    は、フェニルアラニンまたはチロシンより選択され、かつ
    Zは、プロリン、アゼチジン−2−カルボキシレート、3,4−デヒドロプロリン、またはb−チオプロリンより選択されるが、
    ただし、Zがプロリンである場合、XおよびXのいずれもがロイシンであることはない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記ペプチドが、配列番号8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、29、31、62、63および79からなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
  11. EGLN酵素が、EGLN3またはEGLN3の活性断片である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記ペプチドが、配列番号8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、29、30、31、32、36、41、44、45、47、50、56、62、63、69、72、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、91および92からなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
  13. Zがアゼチジン−2−カルボキシレートである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記ペプチドが、配列番号63、64、65、66、67、68、69、70、71、73、74、75、76,77、および78からなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
  15. Zが3,4−デヒドロプロリンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記ペプチドが配列番号62である、請求項15に記載の方法。
  17. Zがb−チオプロリンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記ペプチドが配列番号72である、請求項17に記載の方法。
  19. EGLN活性の測定ステップが、反応により生じた二酸化炭素を測定することを含み、ここで、生じた二酸化炭素の量がEGLN酵素の活性に正比例するものである、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. EGLN活性の測定ステップが、反応の間での前記還元剤のその酸化形態への変換を測定することを含み、ここで、酸化される還元剤の量がEGLN酵素の活性に正比例するものである、請求項1〜7および13〜18のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記ペプチドが、少なくとも約20アミノ酸長である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
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