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JP2008542479A - アミン官能化重合体と粒状充填剤間での相互作用の増強 - Google Patents

アミン官能化重合体と粒状充填剤間での相互作用の増強 Download PDF

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Abstract

粒状充填剤と官能化重合体との間に相互作用を付与する方法は、少なくとも三つの成分、(1)第一級又は第二級アミン官能基の酸性陽イオンを含む官能基を有する重合体と、(2)該酸性陽イオンと反応することが可能な官能基を有する物質と、(3)粒状充填剤とを含む組成物を必要とする。(1)のアミン官能基は、(2)の酸と反応しうる官能基の作用により中和した後、(3)と相互作用することが可能になる。該方法は、加硫ゴムや該加硫ゴムで作製される製品の成形に有用である。

Description

本発明は、充填剤と相互作用することができる官能化重合体の製造及び使用に関するものである。
タイヤトレッド等のゴム製品は、例えば、粒状カーボンブラック及び粒状シリカ等の一種以上の補強材を含有するエラストマー組成物でしばしば作製される。例えば、「バンダービルトラバーハンドブック」第13版(1990),pp.603-04を参照。
一般に、牽引性、耐摩耗性、ヒステリシス等の性能特性の許容される妥協又はバランスを具えるゴム製品を作製することが可能な組成物を提供するため、一つ又は複数の充填剤、一つ又は複数のエラストマー材料及び複数の添加剤が選択される。一つ又は複数のエラストマー材料の至る所に、一つ又は複数の補強充填剤を十分に分散させることを確保することは、加工性を高め、そして、物理的特性を改良するために作用する。充填剤の分散は、一つ又は複数のエラストマーと充填剤の相互作用を増大させることにより、改善することができる。このタイプの試みの例としては、選択的反応性促進剤の存在下での高温混合、配合材料の表面酸化、表面グラフト、及び重合体の末端への化学修飾が挙げられる。
重合体がアニオン重合技術により製造される場合、リビング重合体等のカルバニオンが、例えば、第一級及び第二級アミン基に存在する等の活性水素原子により停止されるという事実によって、特定の官能基の結合は困難である。しかしながら、アミン官能基は、粒状充填剤、特にカーボンブラックとの望ましい相互作用を与えるので、末端アミン官能基を有する重合体や、更にはリビング重合体の商業的に有用な提供方法が依然として望まれている。充填剤との相互作用は、アミノ窒素に結合した水素の数が増加するにつれて増大する傾向があるため、第二級及び第一級アミン官能化重合体の提供が特に望ましい。
アミン官能基をアニオンで開始した重合体に与える一の手段は、ウエダら著,「アミノ末端基を有する重合体の合成−3.保護されたアミノ官能基を有するα-ハロ-ω-アミノアルカンとアニオン性リビング重合体の反応」,Macromolecules,1990,23,939-45に記載されている。アニオン性リビングポリスチレンがα-ハロ-ω-アミノアルカンと反応し、次いでトリアルキルシリルで保護されたアミノ官能基を脱保護し、第一級アミノ官能化ポリスチレンを提供する。しかしながら、記載された手段の実用性は、使用した学術研究所の条件に制限される。記載された手段の実用性に関する制限の影響は、他の学術的な出版物において認識されている。例えば、R.カークら著,「3-ジメチルアミノプロピルクロリドを用いた重合有機リチウムの官能化によるω-ジメチルアミノ官能化重合体のアニオン性の合成」,Polym. Int.,1999,48,99-108を参照。
官能化重合体を一種以上の粒状充填剤と共にブレンドした後、得られる組成物は、一般にゴムストックと称されるが、多くの場合、該組成物から製品を製造するために使用する前にしばらくの間貯蔵しなければならない。その製造時から使用までの間、特定の状況下でゴムストックの一部の特性を低下させる場合がある。従って、ゴムストックの使用前の有用な寿命を高めるための方法を開発することも望まれている。
「バンダービルトラバーハンドブック(The Vanderbilt Rubber Handbook)」第13版(1990),pp.603-04 ウエダら著,「アミノ末端基を有する重合体の合成−3.保護されたアミノ官能基を有するα-ハロ-ω-アミノアルカンとアニオン性リビング重合体の反応(Synthesis of Polymers with Amino End Group-3. Reactions of Anionic Living Polymers with α-Halo-ω-aminoalkanes with a Protected Amino Functionality)」,Macromolecules,1990,23,939-45 R.カーク(Quirk)ら著,「3-ジメチルアミノプロピルクロリドを用いた重合有機リチウムの官能化によるω-ジメチルアミノ官能化重合体のアニオン性の合成(Anionic Synthesis of ω-Dimethylamino-Functionalized Polymers by Functionalization of Polymeric Organolithiums with 3-Dimethylaminopropyl Chloride)」,Polym. Int.,1999,48,99-108
特許請求の範囲は、第一級又は第二級アミノ官能基を有する重合体を用いた、充填剤入りゴム組成物の安定性を維持又は向上させるための方法を示す。
一の態様においては、充填剤入り組成物における官能化重合体と粒状充填剤との間に相互作用を付与する方法が提供される。該方法は、粒状充填剤と、酸と反応しうる官能基を有する物質と、第一級又は第二級アミン官能基の酸性陽イオンを含む少なくとも一つの官能基を有する重合体とを含む組成物を用いることができる。酸と反応しうる官能基を有する物質は、第一級又は第二級アミン官能基を有する官能化重合体を提供するために、酸性陽イオンと反応することができる。その酸性陽イオンを中和すると、遊離アミン官能基が利用できるようになり、重合体と充填剤との間の相互作用を可能にしたり、強化する。
有利には、酸性陽イオンで保護されたアミン官能基を有する重合体を含むゴムストックが優れた貯蔵安定性を示す。加えて、かかるゴムストックを、例えば硬化剤、酸化防止剤又はオゾン亀裂防止剤等の酸と反応しうる官能基を有する物質と配合すると、得られる第一級又は第二級アミン官能基は、例えばカーボンブラック等の粒状充填剤との配合時の相互作用に都合良く利用できる。それらのゴム配合物は、有利にはタイヤ部材の成形を含めて、種々の目的に有用である。
本発明の他の態様は、下記に示す詳細な説明から明らかになる。
下記に示す本発明の様々な実施態様についての説明の理解を助けるために、確かな定義を真下に提供する。これらは、周囲の文章が反対の意図を明確に示さない限り、明細書中に亘って適用するよう意図されている。
「重合体」は、一つ以上の単量体の重合生成物を意味し、単独重合体、共重合体、三元共重合体、四元共重合体等を含めたものであり、
「単量体単位」は、単一の反応体分子から誘導される重合体の部分を意味しており(例えば、エチレンの単量体単位は一般式-CH2CH2-を有する)、
「共重合体」は、二つの単量体から誘導される単量体単位を含む重合体を意味し、ランダム、ブロック、セグメント化、グラフト等の共重合体を含めたものであり、
「インターポリマー」は、少なくとも二つの単量体から誘導される単量体単位を含む重合体を意味し、共重合体、三元共重合体、四元共重合体等を含めたものであり、
「ポリエン」は、分子の最も長い部分又は鎖に位置した少なくとも二つの二重結合を有する分子を意味し、特にジエン、トリエン等が挙げられ、
「ランタニド化合物」は、La,Nd,Ce,Pr,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu及びジジム(モナズ砂から得ることができる希土類元素の混合物)の内の少なくとも一種の原子を含む化合物を意味しており、
「有機アルミニウム化合物」は、少なくとも一つのAl−C結合を含有する化合物を意味しており、
「有機マグネシウム化合物」は、少なくとも一つのMg−C結合を含有する化合物を意味しており、
「末端」は、重合体鎖の末端を意味しており、
「末端」は、形容詞として用いる場合、分子又は重合体鎖の末端に位置した基又は部分を意味しており(例えば、末端アミノ基は、末端に位置したアミノ基ということになる)、
「保護されたアミノ基」は、水素以外の原子に結合しているが、第一級又は第二級アミノ基に転化することが可能なアミノ窒素原子を有するアミノ基を意味し、但し、該基はリビング重合体等のカルバニオンを停止させず(即ち、直接に反応せず)、
「ドロップ温度」は、充填剤入りゴム組成物(加硫ゴム)を混合装置(例えば、バンバリーミキサー)からシートに加工するためのミルへ排出するのに規定された上限温度であり、
「ヒステリシス」は、エラストマー配合物で製造した製品を変形させるのに当てたエネルギーと、その製品が最初の未変形の状態に戻るときに放出されるエネルギーとの差を意味している。
上記官能化重合体は、少なくとも一つの末端アミノ官能基を有する重合体鎖を含む。該アミノ官能基は、そのアミノ窒素原子に結合した少なくとも一つの水素原子を含んでおり、即ち、アミンは第一級又は第二級である。製品の製造に使用する前の重合体を配合するまでは、アミノ官能基は有利に酸性陽イオンの形態で存在している。
上記重合体鎖は、エラストマーである場合があり、ポリエン、特にジエン及びトリエン(例えば、ミルセン)から誘導される等の不飽和を含有する単量体単位を含むことができる。ポリエンの例としては、C4〜C12ジエン、特に制限されないが1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン及び1,3-ヘキサジエン、2,4-ヘキサジエン等の共役ジエンが挙げられる。ポリエンから誘導された単量体単位だけを含む単独重合体及びインターポリマーは、一の例示的なタイプのエラストマーを構成する。
また、対象とする最終用途によって、重合体鎖は、ビニル芳香族、特に、例えばスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン類、ビニルナフタレン類等のC8〜C20ビニル芳香族から誘導される単量体単位の組み込みにより提供され得る等の芳香族側基を含むことができる。一種以上のポリエンと共に使用する場合、芳香族側基を有する単量体単位は、重合体鎖の約1〜約50重量%、約10〜約45重量%又は約20〜約35重量%を構成することができ、かかるインターポリマーは、典型的な種類の重合体を構成する。このようなインターポリマーのミクロ構造は、ランダムである場合があり、即ち、それぞれの種類の構成単量体から誘導される単量体単位がブロックを形成せず、代わりに繰り返しのない、実質的に同時に組み込まれる。ランダムのミクロ構造は、例えば、タイヤトレッドの製造に用いるゴム組成物等の特定の最終用途に特別な利点を与えることができる。
例示的なエラストマーとしては、ポリ(ブタジエン)、ポリ(イソプレン)(天然又は合成)及び、例えばSBRとしても知られるコポリ(スチレン/ブタジエン)等のブタジエンとスチレンのインターポリマーが挙げられる。
ポリエンは、二つ以上の方法で重合体鎖に組み込むことができる。特にタイヤトレッドの用途では、重合体への組み込みの形態(即ち、重合体の1,2-ミクロ構造)を制御することが望ましい場合がある。全体のポリエン含有量に基づき、約10〜約80%、任意に約25〜65%の全体の1,2-ミクロ構造を有する重合体鎖が、特定の最終用途に望ましい場合がある。他の最終用途では、1,2-結合の含有率を約7%未満、5%未満、2%未満又は1%未満に抑えることが望ましい場合がある。
上記重合体の数平均分子量(Mn)は、失活した試料が約2〜約150、より通常には2.5〜約50のゴムのムーニー粘度(ML4/100℃)を示すようなものが一般的である。例示的なMn値は、約5000〜約200,000、通常には約25,000〜約150,000、主として約50,000〜約125,000の範囲に及ぶ。
上述の重合体は、乳化重合又は溶液重合により製造でき、後者は、ランダム性、ミクロ構造等の特性に関して高度な制御を与える。溶液重合は、20世紀半ば頃から実施されており、その一般的な態様が当業者に知られるが、参照の便宜上、特定の態様をここに提供する。
所望の重合体の性質によって、溶液重合の特定の条件を大きく変えることができる。下記に示す議論では、最初にリビング重合について説明し、次いで擬似リビング重合について説明する。それらの説明の後に、そのように製造された重合体の官能化と加工について議論する。
溶液重合は、一般に開始剤を必要とする。例示的な開始剤としては、有機リチウム化合物、特にアルキルリチウム化合物が挙げられる。有機リチウム開始剤の例としては、N-リチオ-ヘキサメチレンイミン;n-ブチルリチウム;トリブチルスズリチウム;ジメチルアミノリチウム、ジエチルアミノリチウム、ジプロピルアミノリチウム、ジブチルアミノリチウム等のジアルキルアミノリチウム化合物;ジエチルアミノプロピルリチウム等のジアルキルアミノアルキルリチウム化合物;及びC1〜C12アルキル基、好ましくはC1〜C4アルキル基を含むそれらのトリアルキルスタニルリチウム化合物が挙げられる。
多官能開始剤、即ち二つ以上のリビング末端を有する重合体を形成可能な開始剤を用いることもできる。多官能開始剤の例としては、制限されるものではないが、1,4-ジリチオブタン、1,10-ジリチオデカン、1,20-ジリチオエイコサン、1,4-ジリチオベンゼン、1,4-ジリチオナフタレン、1,10-ジリチオアントラセン、1,2-ジリチオ-1,2-ジフェニルエタン、1,3,5-トリリチオペンタン、1,5,15-トリリチオエイコサン、1,3,5-トリリチオシクロヘキサン、1,3,5,8-テトラリチオデカン、1,5,10,20-テトラリチオエイコサン、1,2,4,6-テトラリチオシクロヘキサン及び4,4'-ジリチオビフェニルが挙げられる。
また、有機リチウム開始剤に加えて、重合体鎖に組み込まれることになり、そのようにして鎖の開始末端に官能基を付与する、いわゆる官能化開始剤が有用である。かかる物質の例としては、有機リチウム化合物の反応生成物、例えば、任意にジイソプロペニルベンゼン等の化合物と予備反応したN-含有有機化合物(例えば、置換したアルジミン、ケチミン、第二級アミン等)が挙げられる。それら物質のより詳細な記載は、例えば、米国特許第5,153,159号及び第5,567,815号で見ることができる。
一般的な溶液重合の溶媒としては、種々のC5〜C12環式及び非環式アルカン、並びにそれらのアルキル化誘導体、特定の液状芳香族化合物、並びにそれらの混合物が挙げられる。重合を失活することが可能な溶媒を避ける。
溶液重合では、重合成分中に調整剤、通常では極性化合物を含むことにより、単量体単位のランダム化及びビニル含有量(即ち、1,2-ミクロ構造)の両方を増大させることができる。開始剤1当量当たり90当量以上までの調整剤を使用することができ、その量は、例えば、所望のビニル含有量、使用される非ポリエン単量体のレベル、反応温度及び使用される特定の調整剤の性質によって決まる。有用な調整剤としては、非結合電子対を有するヘテロ原子(例えば、O又はN)を含む有機化合物が挙げられる。例としては、モノ及びオリゴアルキレングリコールのジアルキルエーテル;クラウンエーテル;テトラメチルエチレンジアミン等の第三級アミン;THF;THFオリゴマー;2,2'-ジ(テトラヒドロフリル)プロパン等の線状及び環式のオリゴメリックオキソラニルアルカン、ジピペリジルエタン、ヘキサメチルホスホラミド、N,N'-ジメチルピペラジン、ジアザビシクロオクタン、ジエチルエーテル、トリブチルアミン等が挙げられる。線状及び環式のオリゴメリックオキソラニル調整剤の詳細は、米国特許第4,429,091号で見ることができ、かかる物質の製造及び使用に関する教示を参照することにより組み込む。
当業者は、溶液重合に典型的に使用される条件の種類を理解するが、読者の利便性のために代表的な説明を提供する。下記に示すものは、バッチ法に基づくものであるが、この記載を、例えば、半バッチ法又は連続法にまで拡張することは、当業者の能力の範囲内である。
重合は、一般に、適した反応容器に一つ又は複数の単量体と溶媒のブレンドを装填し、次いで溶液又はブレンドの一環としてしばしば添加される調整剤(使用する場合)や開始剤を添加することにより開始し;或いは、一つ又は複数の単量体と調整剤を開始剤に添加してもよい。一般に、無水で嫌気の条件を用いる。反応体を約150℃まで加熱して、攪拌することができる。望ましい程度の転化が達成された後に熱源(使用する場合)を除去することができる。反応容器が単に重合のために用意されたものである場合には、その反応混合物を官能化及び/又は失活用の重合後の容器に移動することができる。
特定の最終用途は、先に記載したようなアニオン重合又はリビング重合を経由して達成することが困難又は非効率的となり得る特性を有する重合体を求める。例えば、一部の用途では、高いシス-1,4-結合含有量を有する共役ジエン重合体が望ましい場合がある。かかるポリジエンは、ランタニド系触媒(リビング重合で用いる開始剤に対立するもの)を用いる方法により調製することができ、擬似リビング特性を見せることができる。
一以上の実施態様では、触媒組成物が、ランタニド化合物、アルキル化剤、及び不安定なハロゲン原子を含む化合物を含むことができる。ランタニド化合物及び/又はアルキル化剤が不安定なハロゲン原子を含む場合、触媒は、別のハロゲン源を含む必要がなく、即ち、該触媒は、単にハロゲン化ランタニド化合物及びアルキル化剤を含んでいればよい。特定の実施態様では、アルキル化剤は、アルミノキサン及びアルキルアルミニウム化合物の両方を含んでもよい。他の実施態様では、非配位性アニオン又は非配位性アニオン先駆体をハロゲン源の代わりに用いることができる。アルキル化剤がヒドリド化合物を含む場合、ハロゲン源として米国公開公報第2005/0038215号に記載のハロゲン化スズを挙げることができる。また、これらの実施態様又は他の実施態様においては、他の有機金属化合物(例えば、米国特許第6,699,813号に記載されたニッケル含有化合物)又はルイス塩基を用いてもよい。
各種ランタニド化合物又はそれらの混合物を用いることができる。それらの化合物は、リビング重合について先に論じたもの等の炭化水素に可溶であってもよい。また、重合媒質中で懸濁し、触媒活性種を形成することができる炭化水素に不溶性のランタニド化合物を使用することもできる。
ランタニド化合物中のランタニド原子は、様々な酸化状態、例えば0、+2、+3、+4の酸化状態で存在することができる。例示的なランタニド化合物としては、ランタニドカルボン酸塩、ランタニド有機リン酸塩、ランタニド有機ホスホン酸塩、ランタニド有機ホスフィン酸塩、ランタニドカルバミン酸塩、ランタニドジチオカルバミン酸塩、ランタニドキサントゲン酸塩、ランタニドβ-ジケトナート、ランタニドアルコキシド又はランタニドアリールオキシド、ランタニドハロゲン化物、ランタニド擬似ハロゲン化物、ランタニドオキシハライド、及び有機ランタニド化合物が挙げられる。(簡潔さのため、この議論の残りはNd化合物に焦点を合わせるが、当業者は他のランタニド金属に基づく類似化合物を選択することが可能である。)
ネオジムカルボン酸塩としては、ネオジム蟻酸塩、ネオジム酢酸塩、ネオジムアクリル酸塩、ネオジムメタクリル酸塩、ネオジム吉草酸塩、ネオジムグルコン酸塩、ネオジムクエン酸塩、ネオジムフマル酸塩、ネオジム乳酸塩、ネオジムマレイン酸塩、ネオジムシュウ酸塩、ネオジム2-エチルへキサン酸塩、ネオジムネオデカン酸塩、ネオジムナフテン酸塩、ネオジムステアリン酸塩、ネオジムオレイン酸塩、ネオジム安息香酸塩、及びネオジムピコリン酸塩が挙げられる。
ネオジム有機リン酸塩としては、ネオジムジブチルリン酸塩、ネオジムジペンチルリン酸塩、ネオジムジヘキシルリン酸塩、ネオジムジヘプチルリン酸塩、ネオジムジオクチルリン酸塩、ネオジムビス(1-メチルヘプチル)リン酸塩、ネオジムビス(2-エチルヘキシル)リン酸塩、ネオジムジデシルリン酸塩、ネオジムジドデシルリン酸塩、ネオジムジオクタデシルリン酸塩、ネオジムジオレイルリン酸塩、ネオジムジフェニルリン酸塩、ネオジムビス(p-ノニルフェニル)リン酸塩、ネオジムブチル(2-エチルヘキシル)リン酸塩、ネオジム(1-メチルヘプチル)(2-エチルヘキシル)リン酸塩、及びネオジム(2-エチルヘキシル)(p-ノニルフェニル)リン酸塩が挙げられる。
ネオジム有機ホスホン酸塩としては、ネオジムブチルホスホン酸塩、ネオジムペンチルホスホン酸塩、ネオジムヘキシルホスホン酸塩、ネオジムヘプチルホスホン酸塩、ネオジムオクチルホスホン酸塩、ネオジム(1-メチルヘプチル)ホスホン酸塩、ネオジム(2-エチルヘキシル)ホスホン酸塩、ネオジムデシルホスホン酸塩、ネオジムドデシルホスホン酸塩、ネオジムオクタデシルホスホン酸塩、ネオジムオレイルホスホン酸塩、ネオジムフェニルホスホン酸塩、ネオジム(p-ノニルフェニル)ホスホン酸塩、ネオジムブチルブチルホスホン酸塩、ネオジムペンチルペンチルホスホン酸塩、ネオジムヘキシルヘキシルホスホン酸塩、ネオジムヘプチルヘプチルホスホン酸塩、ネオジムオクチルオクチルホスホン酸塩、ネオジム(1-メチルヘプチル)(1-メチルヘプチル)ホスホン酸塩、ネオジム(2-エチルヘキシル)(2-エチルヘキシル)ホスホン酸塩、ネオジムデシルデシルホスホン酸塩、ネオジムドデシルドデシルホスホン酸塩、ネオジムオクタデシルオクタデシルホスホン酸塩、ネオジムオレイルオレイルホスホン酸塩、ネオジムフェニルフェニルホスホン酸塩、ネオジム(p-ノニルフェニル)(p-ノニルフェニル)ホスホン酸塩、ネオジムブチル(2-エチルヘキシル)ホスホン酸塩、ネオジム(2-エチルヘキシル)ブチルホスホン酸塩、ネオジム(1-メチルヘプチル)(2-エチルヘキシル)ホスホン酸塩、ネオジム(2-エチルヘキシル)(1-メチルヘプチル)ホスホン酸塩、ネオジム(2-エチルヘキシル)(p-ノニルフェニル)ホスホン酸塩、及びネオジム(p-ノニルフェニル)(2-エチルヘキシル)ホスホン酸塩が挙げられる。
ネオジム有機ホスフィン酸塩としては、種々のネオジムアルキルホスフィン酸塩、ネオジムフェニルホスフィン酸塩、ネオジム(p-ノニルフェニル)ホスフィン酸塩、ネオジムジアルキルホスフィン酸塩、ネオジムジフェニルホスフィン酸塩、ネオジムビス(p-ノニルフェニル)ホスフィン酸塩、ネオジムブチル(2-エチルヘキシル)ホスフィン酸塩、ネオジム(1-メチルヘプチル)(2-エチルヘキシル)ホスフィン酸塩、及びネオジム(2-エチルヘキシル)(p-ノニルフェニル)ホスフィン酸塩が挙げられる。
ネオジムカルバミン酸塩としては、ネオジムジメチルカルバミン酸塩、ネオジムジエチルカルバミン酸塩、ネオジムジイソプロピルカルバミン酸塩、ネオジムジブチルカルバミン酸塩、及びネオジムジベンジルカルバミン酸塩が挙げられる。
ネオジムジチオカルバミン酸塩としては、ネオジムジメチルジチオカルバミン酸塩、ネオジムジエチルジチオカルバミン酸塩、ネオジムジイソプロピルジチオカルバミン酸塩、ネオジムジブチルジチオカルバミン酸塩、及びネオジムジベンジルジチオカルバミン酸塩が挙げられる。
ネオジムキサントゲン酸塩としては、ネオジムメチルキサントゲン酸塩、ネオジムエチルキサントゲン酸塩、ネオジムイソプロピルキサントゲン酸塩等やネオジムベンジルキサントゲン酸塩が挙げられる。
ネオジムβ-ジケトナートとしては、ネオジムアセチルアセトナート、ネオジムトリフルオロアセチルアセトナート、ネオジムヘキサフルオロアセチルアセトナート、ネオジムベンゾイルアセトナート、及びネオジム2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナートが挙げられる。
ネオジムアルコキシド又はネオジムアリールオキシドとしては、ネオジムメトキシド、ネオジムエトキシド、ネオジムイソプロポキシド、ネオジム2-エチルヘキソキシド、ネオジムフェノキシド、ネオジムノニルフェノキシド、及びネオジムナフトキシドが挙げられる。
ネオジムハロゲン化物としては、NdF3、NdCl3、NdBr3及びNdI3が挙げられる。適切なネオジム擬似ハロゲン化物としては、Nd(CN)3、Nd(OCN)3、ネオジムチオシアン酸塩、ネオジムアジド、及びネオジムフェロシアン酸塩が挙げられる。適切なネオジムオキシハライドとしては、NdOF、NdOCl及びNdOBrが挙げられる。ネオジムハロゲン化物、ネオジムオキシハライド又は不安定なハロゲン原子を含む他の化合物を使用する場合、Nd-含有化合物は、ランタニド化合物とハロゲン含有化合物として機能することができる。この分類のネオジム化合物を不活性な有機溶媒中で可溶化するための助剤として、THF等のルイス塩基を使用してもよい。
各種アルキル化剤又はそれらの混合物を使用することができる。ヒドロカルビル化剤とも称されるアルキル化剤は、ヒドロカルビル基を他の金属に転移できる有機金属化合物を包含する。一般に、それらの試薬は、1族、2族、3族の金属(IA族、IIA族及びIIIA族)等の陽性金属の有機金属化合物を含む。通常のアルキル化剤としては、有機アルミニウム化合物及び有機マグネシウム化合物が挙げられ、これらの中には、上述した種類の炭化水素溶媒中で可溶性なものもある。アルキル化剤が不安定なハロゲン原子を含む場合、該アルキル化剤は、ハロゲン含有化合物としても機能することができる。
有機アルミニウム化合物としては、式AlRn3-n[式中、Rはそれぞれ独立してC原子を介してAl原子に結合する一価の有機基であり、Xはそれぞれ独立してH原子、ハロゲン原子、カルボキシレート基、アルコキシド基又はアリールオキシド基であり、nは1〜3の整数である]で表されるものが挙げられる。各Rは、限定されないが、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリール基、アリル基、アルキニル基等のヒドロカルビル基とすることができ、ここで、それぞれの基は、1個の炭素原子又は該基を形成するのに適切な最少数の炭素原子から約20個の炭素原子までを含有することができる。それらヒドロカルビル基は、制限されないが、N、O、B、Si、S及びP等のヘテロ原子を含有してもよい。
有機アルミニウム化合物としては、トリヒドロカルビルアルミニウム化合物;ジヒドロカルビルアルミニウムヒドリド化合物、ジヒドロカルビルアルミニウムカルボキシレート化合物、ジヒドロカルビルアルミニウムアリールオキシド化合物、ジヒドロカルビルアルミニウムアルコキシド化合物及びジヒドロカルビルアルミニウムハライド化合物;並びにヒドロカルビルアルミニウムジヒドリド化合物、ヒドロカルビルアルミニウムビス(カルボキシレート)化合物、ヒドロカルビルアルミニウムジアリールオキシド化合物、ヒドロカルビルアルミニウムジアルコキシド化合物及びヒドロカルビルアルミニウムジハライド化合物が挙げられる。
トリヒドロカルビルアルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-t-ブチルアルミニウム、トリ-n-ペンチルアルミニウム、トリネオペンチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、トリス(2-エチルヘキシル)アルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリス(1-メチルシクロペンチル)アルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、トリス(2,6-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジエチルフェニルアルミニウム、ジエチル-p-トリルアルミニウム、ジエチルベンジルアルミニウム、エチルジフェニルアルミニウム、エチルジ-p-トリルアルミニウム及びエチルジベンジルアルミニウムが挙げられる。
ジヒドロカルビルアルミニウムヒドリド化合物としては、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジ-n-プロピルアルミニウムヒドリド、ジイソプロピルアルミニウムヒドリド、ジ-n-ブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジ-n-オクチルアルミニウムヒドリド、ジフェニルアルミニウムヒドリド、ジ-p-トリルアルミニウムヒドリド、ジベンジルアルミニウムヒドリド、フェニルエチルアルミニウムヒドリド、フェニル-n-プロピルアルミニウムヒドリド、フェニルイソプロピルアルミニウムヒドリド、フェニル-n-ブチルアルミニウムヒドリド、フェニルイソブチルアルミニウムヒドリド、フェニル-n-オクチルアルミニウムヒドリド、p-トリルエチルアルミニウムヒドリド、p-トリル-n-プロピルアルミニウムヒドリド、p-トリルイソプロピルアルミニウムヒドリド、p-トリル-n-ブチルアルミニウムヒドリド、p-トリルイソブチルアルミニウムヒドリド、p-トリル-n-オクチルアルミニウムヒドリド、ベンジルエチルアルミニウムヒドリド、ベンジル-n-プロピルアルミニウムヒドリド、ベンジルイソプロピルアルミニウムヒドリド、ベンジル-n-ブチルアルミニウムヒドリド、ベンジルイソブチルアルミニウムヒドリド及びベンジル-n-オクチルアルミニウムヒドリドが挙げられる。
ヒドロカルビルアルミニウムジヒドリドとしては、エチルアルミニウムジヒドリド、n-プロピルアルミニウムジヒドリド、イソプロピルアルミニウムジヒドリド、n-ブチルアルミニウムジヒドリド、イソブチルアルミニウムジヒドリド及びn-オクチルアルミニウムジヒドリドが挙げられる。
ジヒドロカルビルアルミニウムクロリド化合物としては、ジエチルアルミニウムクロリド、ジ-n-プロピルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジ-n-ブチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジ-n-オクチルアルミニウムクロリド、ジフェニルアルミニウムクロリド、ジ-p-トリルアルミニウムクロリド、ジベンジルアルミニウムクロリド、フェニルエチルアルミニウムクロリド、フェニル-n-プロピルアルミニウムクロリド、フェニルイソプロピルアルミニウムクロリド、フェニル-n-ブチルアルミニウムクロリド、フェニルイソブチルアルミニウムクロリド、フェニル-n-オクチルアルミニウムクロリド、p-トリルエチルアルミニウムクロリド、p-トリル-n-プロピルアルミニウムクロリド、p-トリルイソプロピルアルミニウムクロリド、p-トリル-n-ブチルアルミニウムクロリド、p-トリルイソブチルアルミニウムクロリド、p-トリル-n-オクチルアルミニウムクロリド、ベンジルエチルアルミニウムクロリド、ベンジル-n-プロピルアルミニウムクロリド、ベンジルイソプロピルアルミニウムクロリド、ベンジル-n-ブチルアルミニウムクロリド、ベンジルイソブチルアルミニウムクロリド及びベンジル-n-オクチルアルミニウムクロリドが挙げられる。
ヒドロカルビルアルミニウムジクロリドとしては、エチルアルミニウムジクロリド、n-プロピルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、n-ブチルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド及びn-オクチルアルミニウムジクロリドが挙げられる。
他の有機アルミニウム化合物としては、ジメチルアルミニウムヘキサノアート、ジエチルアルミニウムオクトアート、ジイソブチルアルミニウム2-エチルヘキサノアート、ジメチルアルミニウムネオデカノアート、ジエチルアルミニウムステアラート、ジイソブチルアルミニウムオレアート、メチルアルミニウムビス(ヘキサノアート)、エチルアルミニウムビス(オクトアート)、イソブチルアルミニウムビス(2-エチルヘキサノアート)、メチルアルミニウムビス(ネオデカノアート)、エチルアルミニウムビス(ステアラート)、イソブチルアルミニウムビス(オレアート)、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジイソブチルアルミニウムフェノキシド、メチルアルミニウムジメトキシド、エチルアルミニウムジメトキシド、イソブチルアルミニウムジメトキシド、メチルアルミニウムジエトキシド、エチルアルミニウムジエトキシド、イソブチルアルミニウムジエトキシド、メチルアルミニウムジフェノキシド、エチルアルミニウムジフェノキシド、イソブチルアルミニウムジフェノキシド等、及びこれらの混合物が挙げられる。
また、一般式:
Figure 2008542479
[式中、Xは1〜約100又は約10〜約50の整数とすることができ;yは2〜約100又は約3〜約20の整数であればよく;R1はそれぞれ独立してC原子を介してAl原子に結合する一価の有機基であればよい]によりそれぞれ表されるオリゴメリック線状アルミノキサン類とオリゴメリック環状アルミノキサン類を含むアルミノキサン類が有用である。各Rは、制限されないが、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリール基、アリル基、アルキニル基等のヒドロカルビル基とすることができ、ここで、それぞれの基は、1個の炭素原子又は該基を形成するのに適切な最少数の炭素原子から約20個の炭素原子までを含有することができる。それらヒドロカルビル基は、上述のヘテロ原子等のヘテロ原子を含むことができる。(本願で使用するアルミノキサンのモル数は、オリゴメリックアルミノキサン分子のモル数というよりもアルミニウム原子のモル数を指す。)
アルミノキサン類は、トリヒドロカルビルアルミニウム化合物に水を反応させることによって調製できる。該反応は(1)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を有機溶媒に溶解し、その後に水と接触させる方法、(2)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を、例えば金属塩中に含まれる結晶水、又は無機化合物もしくは有機化合物に吸着した水と反応させる方法、(3)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を、重合させるモノマー又はモノマー溶液の存在下で水と反応させる方法、等の公知の方法に従って実行できる。
アルミノキサン化合物としては、メチルアルミノキサン(MAO)、変性メチルアルミノキサン(MMAO、MAOのメチル基の約20〜80%をC2〜C12ヒドロカルビル基、好ましくはイソブチル基で置換することによって形成することができる)、エチルアルミノキサン、n-プロピルアルミノキサン、イソプロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、n-ペンチルアルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサン、n-ヘキシルアルミノキサン、n-オクチルアルミノキサン、2-エチルヘキシルアルミノキサン、シクロヘキシルアルミノキサン、1-メチルシクロペンチルアルミノキサン、フェニルアルミノキサン、2,6-ジメチルフェニルアルミノキサン等、及びこれらの混合物が挙げられる。イソブチルアルミノキサンが、その入手可能性と脂肪族炭化水素溶媒及び脂環式炭化水素溶媒中での溶解度のため、特に有用である。
有用な有機マグネシウム化合物の一の分類は、式MgR2 2[式中、R2はそれぞれ独立してC原子を介してMg原子に結合する一価の有機基である]により表すことができる。各R2は、制限されないが、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリール基、及びアルキニル基等のヒドロカルビル基とすることができ、ここで、それぞれの基は、1個の炭素原子又は該基を形成するのに適切な最少数の炭素原子から約20個の炭素原子までを含有することができる。それらヒドロカルビル基は、上述のヘテロ原子等のヘテロ原子を含むことができる。適切なジヒドロカルビルマグネシウム化合物の例としては、ジエチルマグネシウム、ジ-n-プロピルマグネシウム、ジイソプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジベンジルマグネシウム、及びそれらの混合物が挙げられる。ジブチルマグネシウムが、容易に入手でき、また、脂肪族炭化水素溶媒及び脂環式炭化水素溶媒中で溶解することができる。
他の分類の利用できる有機マグネシウム化合物としては、式R3MgX[式中、R3はC原子を介してMg原子に結合する一価の有機基であり、Xは水素原子、ハロゲン原子、カルボキシレート基、アルコキシド基又はアリールオキシド基である]で表される化合物が挙げられる。一以上の実施態様において、R3は、制限されないが、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリール基、及びアルキニル基等のヒドロカルビル基とすることができ、ここで、それぞれの基は、1個の炭素原子又は該基を形成するのに適切な最少数の炭素原子から約20個の炭素原子までを含有することができる。それらヒドロカルビル基は、上述のヘテロ原子等のヘテロ原子を含むことができる。一以上の実施態様において、XはC1〜C20のカルボキシレート基、アルコキシド基又はアリールオキシド基である。式R3MgXで表される有機マグネシウム化合物としては、制限されるものではなく、ヒドロカルビルマグネシウム水素化物、ヒドロカルビルマグネシウムハロゲン化物、ヒドロカルビルマグネシウムカルボン酸塩、ヒドロカルビルマグネシウムアルコキシド、ヒドロカルビルマグネシウムアリールオキシド、及びそれらの混合物、並びに各種アリールマグネシウム水素化物、アリールマグネシウムハロゲン化物、アリールマグネシウムカルボン酸塩、アリールマグネシウムアルコキシド、アリールマグネシウムアリールオキシド、及びそれらの混合物が挙げられる。
一つ以上の不安定なハロゲン原子を含む各種化合物又はそれらの混合物をハロゲン源として使用することができる。それらの化合物は、単にハロゲン含有化合物と称される場合がある。また、二種以上のハロゲン原子の組み合わせを利用することができる。一以上の実施態様において、ハロゲン含有化合物は炭化水素溶媒中に可溶性であってもよい。他の実施態様においては、炭化水素に不溶性のハロゲン含有化合物が、オリゴマー化媒質中で懸濁し、触媒活性種を形成することができ、有用である場合がある。
ハロゲン含有化合物の種類としては、制限されるものではないが、元素のハロゲン、混合ハロゲン(例えば、ICl、IBr、ICl5及びIF5)、ハロゲン化水素(例えば、HF、HCl、HBr等)、有機ハロゲン化物、無機ハロゲン化物、金属ハロゲン化物、有機金属ハロゲン化物及びそれらの混合物が挙げられる。
有機ハロゲン化物としては、t-ブチルクロリド、t-ブチルブロミド、アリルクロリド、アリルブロミド、ベンジルクロリド、ベンジルブロミド、クロロ-ジ-フェニルメタン、ブロモ-ジ-フェニルメタン、トリフェニルメチルクロリド、トリフェニルメチルブロミド、ベンジリデンクロリド、ベンジリデンブロミド、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ベンゾイルクロリド、ベンゾイルブロミド、プロピオニルクロリド、プロピオニルブロミド、メチルクロロホルマート及びメチルブロモホルマートが挙げられる。
無機ハロゲン化物としては、PCl3、PBr3、PCl5、オキシ塩化リン、オキシ臭化リン、BF3、BCl3、BBr3、SiF4、SiCl4、SiBr4、SiI4、AsCl3、AsBr3、AsI3、SeCl4、SeBr4、TeCl4、TeBr4及びTeI4が挙げられる。
金属ハロゲン化物としては、SnCl4、SnBr4、AlCl3、AlBr3、SbCl3、SbCl5、SbBr3、AlI3、AlF3、GaCl3、GaBr3、GaI3、GaF3、InCl3、InBr3、InI3、InF3、TiCl4、TiBr4、TiI4、ZnCl2、ZnBr2、ZnI2及びZnF2が挙げられる。
有機金属ハロゲン化物としては、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジメチルアルミニウムフルオリド、ジエチルアルミニウムフルオリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムジブロミド、エチルアルミニウムジブロミド、メチルアルミニウムジフルオリド、エチルアルミニウムジフルオリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソブチルアルミニウムセスキクロリド、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムヨージド、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムブロミド、ベンジルマグネシウムクロリド、トリメチルスズクロリド、トリメチルスズブロミド、トリエチルスズクロリド、トリエチルスズブロミド、ジ-t-ブチルスズジクロリド、ジ-t-ブチルスズジブロミド、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジブロミド、トリブチルスズクロリド及びトリブチルスズブロミドが挙げられる。
非配位性アニオンは、例えば、立体障害のために触媒系の活性中心と配位結合を形成しない嵩高いアニオンを含む。非配位性アニオンとしては、テトラアリールボラートアニオン(任意にフッ素化できる)が挙げられる。非配位性アニオンを含むイオン化合物は、当技術分野で知られており、カルボニウムカチオン(例えば、トリアリールカルボニウムカチオン)、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等の対カチオンも含む。例示的な物質は、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートである。
非配位性アニオン先駆体としては、反応条件下で非配位性アニオンを形成することができる物質が挙げられる。非配位性アニオン先駆体としては、トリアルキルボラン化合物,BR4 3[式中、R4はペンタフルオロフェニル基等の強い電子求引性基である]が挙げられる。
上述の触媒組成物は、広範囲の触媒濃度及び触媒成分比に亘って共役ジエンを立体特異性のポリジエンに重合する高い触媒活性を有し得る。触媒成分は相互作用して触媒活性種を形成することができ、また、任意の一触媒成分についての最適濃度は、他の触媒成分の濃度に依存し得る。
アルキル化剤のランタニド化合物に対するモル比(アルキル化剤/Ln)は、約1:1〜約1000:1、約2:1〜約500:1又は約5:1〜約200:1の範囲とすることができる。アルキルアルミニウム化合物とアルミノキサンの両方をアルキル化剤として使用する場合、アルキルアルミニウムのランタノイド化合物に対するモル比(Al/Ln)は、約1:1〜約200:1、約2:1〜約150:1又は約5:1〜約100:1の範囲とすることができ、また、アルミノキサンのランタノイド化合物に対するモル比(アルミノキサン/Ln)は、5:1〜約1000:1、約10:1〜約700:1又は約20:1〜約500:1の範囲とすることができる。
非配位性アニオン又は非配位性アニオン先駆体のランタニド化合物に対するモル比(An/Ln)は、約1:2〜約20:1、約3:4〜約10:1又は約1:1〜約6:1の範囲とすることができる。
触媒組成物は、触媒成分を組み合わせて形成することができる。活性な触媒種はこの組み合わせに起因すると思われるが、各種成分又は要素間での相互作用又は反応の程度についてはあまり知られていない。それゆえ、「触媒組成物」という用語は、成分の単なる混合物、物理的又は化学的な引力により生じる各種成分の複合体、成分の化学反応生成物、又はこれらの組み合わせを包含するために使用されている。
本発明の触媒組成物は、様々な方法によって形成できる。例えば、触媒組成物は、インサイチューで触媒成分をモノマー及び溶媒を含む溶液又は単にバルクモノマーに、段階的に又は同時に加えることによって形成することができる。一の実施態様においては、最初にアルキル化剤を加え、次いでランタニド化合物を加え、その後、ハロゲン含有化合物、又は必要であれば非配位性アニオン若しくは非配位性アニオン先駆体を加えることができる。
或いは、重合系外で約-20℃〜約80℃の温度にて触媒成分を混合してもよく、そして、得られた触媒組成物をモノマー溶液に加える前に数分から数日の間熟成させてもよい。
また、少なくとも一種の共役ジエン単量体の存在下で触媒組成物を形成してもよい。即ち、約-20℃〜約80℃の温度で少量の共役ジエン単量体の存在下、触媒成分を予備混合してもよい。使用できる共役ジエン単量体の量は、ランタニド化合物1モル当り約1〜約500モル、約5〜約250モル又は約10〜100モルの範囲とすることができる。得られる触媒組成物を共役ジエン単量体の残余に加える前に数分から数日の間熟成させてもよい。
或いは、多段階手段を用いることで触媒組成物を形成してもよい。第一段階は、共役ジエン単量体の不在下で又は少量の共役ジエン単量体の存在下で約-20℃〜約80℃の温度にてアルキル化剤をランタニド化合物と混合することを含むことができる。前述の反応混合物及びハロゲン含有化合物、非配位性アニオン又は非配位性アニオン先駆体を段階的に又は同時に共役ジエン単量体の残余に投入することができる。
触媒組成物又は一つ以上の触媒成分の溶液を重合系外で調製する場合、有機溶媒又はキャリヤーを使用してもよい。有機溶媒は、触媒組成物又は成分を溶解するために機能してもよいし、該有機溶媒は、単に触媒組成物又は成分を懸濁し得るキャリヤーとして機能してもよい。有機溶媒は、触媒組成物に不活性とすることができる。有用な溶媒としては、前述したものが挙げられる。
重合体の製造は、触媒的に効果的な量の前記触媒組成物の存在下、一つ又は複数の共役ジエンを重合することにより達成できる。重合の主要部で用いる全触媒濃度は、成分の純度、重合温度、所望の重合速度及び転化率、所望の分子量等の様々な要因の相互作用に依存し得る。従って、それぞれの触媒成分を触媒的に効果的な量使用できるという以外、具体的な全触媒濃度を明確に説明することができない。使用するランタニド化合物の量を、共役ジエン単量体100g当り約0.01〜約2mmol、約0.02〜約1mmol又は約0.05〜0.5mmolの範囲で変えることができる。
重合は、希釈剤としての有機溶媒中で行うことができる。重合させる単量体と形成される重合体の両方が重合媒質に溶解できる。或いは、形成される重合体が不溶である溶媒を選択することにより、沈殿重合系を使用することができる。いずれにしても、重合させる単量体は凝縮相に存在することができる。また、触媒成分を有機溶媒に可溶化又は懸濁させてもよく、ここでの実施態様や他の実施態様においては、触媒成分又は要素を触媒担体に担持させないか、又は含浸させない。他の実施態様においては、触媒成分又は要素を担持してもよい。
これらの重合を行うには、触媒組成物の調製に使用する有機溶媒の量に加えて、一定量の有機溶媒を重合系に加えてもよい。追加の有機溶媒は、触媒組成物の調製に用いる有機溶媒と同じでも異なってもよい。重合を触媒するために用いる触媒組成物に対して不活性な有機溶媒を選択することができる。例示的な炭化水素溶媒は、先に説明されている。溶媒を用いる場合、重合させる単量体の濃度は特定の範囲に制限されない。しかしながら、一以上の実施態様において、重合初期に重合媒質中に存在する単量体の濃度は、約3〜約80重量%、約5〜約50重量%又は約10〜約30重量%の範囲とすることができる。
また、共役ジエンの重合は、凝縮した液相又は気相中で、実質的に溶媒を使用しない重合環境を指す塊状重合により行うことができる。更に、共役ジエンの重合は、回分法、連続法又は半連続法として行うことができる。
ランタニド系触媒組成物を用いることにより調製する重合体は、重合を停止又は失活する前に反応性の鎖末端を含むことができる。
いずれの種類の重合方法を用いるかにかかわらず、この時点で、反応混合物は、重合体の比較的高い濃度から、通常「ポリマーセメント」と称され、一般には背景技術のセクションで議論した実験室規模の重合のタイプで見かける濃度の少なくとも二倍になる。
上記重合体は、失活される前にアミノ官能基が与えられる。この官能化は、ポリマーセメントに少なくとも一つの保護されたアミノ基を有する化合物を導入することにより達成できる。当業者は、かかる化合物の多くを想定することができるが、説明のため、以下に二つの広義のカテゴリーについて議論する。
一般には、リビング重合体に作用する官能化が擬似リビング重合体の場合に作用するか否かを予測することはできない。しかしながら、本方法では、以下に議論した物質が両方のタイプの系で作用すると思われる。
かかる物質の一つは、保護されたアミノ基に加えて、少なくとも一つの求電子性の官能基を含んでおり、それらの物質は以下においてカテゴリーAの反応体と称される。好都合な求電子性基はハロゲン原子(好ましくはCl、Br又はI)であり、例えば、リビングアニオン性重合体の対カチオン、一般にはLi等のアルカリ金属イオンと容易に反応することができる。かかる物質において、保護されたアミノ基の窒素原子は、一般にリビングアニオン性重合体に対して反応性のない基に結合することができ、更にかかる重合体を分解しない条件下において選択的で且つ完全に除去することができる。かかる物質の例としては、アザ-ジシラ-シクロアルカンとして知られる物質の種類が挙げられ、特に環状構造が5又は6個の原子を含むものや、各Si原子が二置換されたものが挙げられる。具体例としては、1-(3-ハロプロピル)-2,2,5,5-テトラメチル-1-アザ-2,5-ジシラシクロペンタン、1-(3-ハロプロピル)-2,2,5,5-テトラエチル-1-アザ-2,5-ジシラシクロペンタン、1-(3-ハロプロピル)-2,2,6,6-テトラメチル-1-アザ-2,6-ジシラシクロペンタン、1-(3-ハロプロピル)-2,2,6,6-テトラエチル-1-アザ-2,6-ジシラシクロヘキサン、1-(2-ハロエチル)-2,2,5,5-テトラメチル-1-アザ-2,5-ジシラシクロペンタン等が挙げられる。ハロゲン原子は、C2〜C3アルキル鎖によりアミノ窒素から距離をおくことができ、Si原子に結合したアルキル基は(独立して)C1〜C2アルキル基とすることができる。費用と商業的入手性を含めた理由で、好適なカテゴリーAの反応体は、1-(3-ブロモプロピル)-2,2,5,5-テトラメチル-1-アザ-2,5-ジシラシクロペンタンである。リビング重合体のハロゲン原子等の求電子性部分との反応性のために、このタイプの物質のリビング重合体との反応は、比較的温和な条件(例えば、約25℃〜75℃で大気圧又はわずかに高い圧力)により急速(例えば約15〜60分)に行うことができる。
また、保護されたアミノ官能基を有する重合体は、リビング重合体又は擬似リビング重合体を少なくとも一つの−NR'−C(Z)−部分を含む化合物、例えば、環状構造の中に一つ以上の−NR'−C(Z)−単位を含む複素環式化合物と反応させることにより提供することができ、ここで、ZはS又はOとすることができ、R'はアルキル基又はアリール基である。これらの物質は、以下においてカテゴリーBの反応体と称される。環状構造の大きさが重要であるとは思われていないが、一般に5〜8員環を有する化合物が最も容易に入手できる。これらの化合物において、置換された窒素原子とカルボニル基の間の結合は、リビング重合体等のカルバニオンの存在下で容易に開裂する傾向があり、これは、保護されたアミノ官能基をリビング重合体に導入するための好都合な機構を提供する。カテゴリーBの反応体の具体例としては、N-メチル-β-プロピオラクタム、N-tert-ブチル-β-プロピオラクタム、N-フェニル-β-プロピオラクタム、N-ナフチル-β-プロピオラクタム、N-メチル-ε-カプロラクタム、N-フェニル-ε-カプロラクタム、N-ビニル-ε-カプロラクタム、N-ベンジル-ε-カプロラクタム、N-ナフチル-ε-カプロラクタム、N-メチル-ω-ラウリロラクタム、N-フェニル-ω-ラウリロラクタム、N-tert-ブチル-ω-ラウリロラクタム、N-ビニル-ω-ラウリロラクタム、N-ベンジル-ω-ラウリロラクタム、N-メチル-オクタラクタム等のN-置換ラクタム;N-メチル-2-ピロリドン、N-tert-ブチル-2-ピロリドン、N-フェニル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ベンジル-2-ピロリドン、N-ナフチル-2-ピロリドン、N-メチル-5-メチル-2-ピロリドン、N-tert-ブチル-5-メチル-2-ピロリドン、N-フェニル-5-メチル-2-ピロリドン等のピロリジノン(しばしばピロリドンと称される);例えば1,3-ジアルキル-2-イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン;N-メチル-2-ピペリドン、N-tert-ブチル-2-ピペリドン、N-フェニル-2-ピペリドン、N-メトキシフェニル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ベンジル-2-ピペリドン、N-ナフチル-2-ピペリドン等のピペリドン;例えば1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン等のピリミジノンが挙げられる。(前述の例はそれぞれZとしてOを用いるが、対応するZがSの化合物も例示的な物質として言及できる。)
カテゴリーA及び/又はカテゴリーBの反応体物質をポリマーセメントに添加する場合、それらは重合体の反応性鎖末端で反応させることができる。カルバニオン性リビング重合体に添加すると、それらは陰イオンの位置で、一般には最も長い重合体鎖の末端で反応する。多官能開始剤を重合時に用いると、前述のタイプの化合物との反応を重合体の各末端で起こすことができる。
商業的な方法に通常用いられるタイプの混合であれば、重合体と保護されたアミノ官能基を与える一つ又は複数の化合物との間でのほぼ化学量論的な反応を確実にするのに十分である。
有利には、保護されたアミノ官能基を、典型的には酸の導入により達成される加水分解によって都合よく脱保護することができる。カテゴリーAの反応体については、例えば、極性有機溶媒中に、強い無機プロトン酸を供給することができる。比較的強いプロトン酸の使用は、一般に広範な、しばしば完全な脱保護を確実にする。言い換えれば、前述のカテゴリーAの反応体の二置換窒素原子(通常重合体の末端に位置する)は、酸性陽イオン、即ち−NH3 基を生じて、(リビング重合における)カルバニオンは第一級アミン官能基の酸性陽イオンを含む重合体となる。
カテゴリーBの反応体については、酸性の加水分解により酸性陽イオン、即ち−NRH2 基を生じて、(リビング重合における)カルバニオンは第二級アミン官能基の酸性陽イオンを含む重合体となる。
アミン塩(即ち、第一級又は第二級アミン官能基の酸性陽イオン)は、対応する第一級又は第二級の(遊離型)アミンと比べて、粒状充填剤との低い相互作用を示すことができる。従って、中和(即ち、脱プロトン化)が望ましい場合がある。しかしながら、以下に詳細に議論するように、中和はポリマーセメントで行う必要がなく、代わりに、重合体は該重合体の一つ又は複数のアミン塩の中和に先立ち追加の処理を受ける場合がある。この追加の処理は、任意に失活及び/又は脱溶媒化で始めることができる。
失活は、典型的に約30℃〜150℃の温度で約120分までの間、重合体と活性水素含有化合物(例えば、アルコール)とを攪拌することにより行うことができる。溶媒は、ドラム乾燥、押出機乾燥、真空乾燥等の通常の技術により除去することができ、水、アルコール又は蒸気、熱脱溶媒和等での凝固と組み合わせてもよい。凝固を行う場合、オーブン乾燥が望ましい場合がある。ドラム乾燥は、アミン官能基の酸性陽イオンを保護するのに役立つことができ、そして凝固を利用する場合は、中性の条件又は極僅かに酸性の条件を維持することが好ましい場合がある。
脱溶媒化後、結果として生じる重合体をしばしばブロック又はスラブの形態で貯蔵する。重合体のアミン官能基を上述の酸性陽イオンの形態のまま残存させることにより、アミン官能基は、酸化により生じる望ましくないカップリング、即ち二量化から保護される。言い換えれば、アミン塩の形態におけるN原子は、酸化や、その結果としてしばしば起こるカップリングの影響を受け難い。
官能化重合体をトレッドストック配合物に利用することができ、或いは、天然ゴム及び/又は、例えば、一種以上のポリ(イソプレン)、SBR、ポリ(ブタジエン)、ブチルゴム、ネオプレン、エチレン/プロピレンゴム(EPR)、エチレン/プロピレン/ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル/ブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム、フルオロエラストマー、エチレン/アクリルゴム、エチレン/酢酸ビニルインターポリマー(EVA)、エピクロロヒドリンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、水素化ニトリルゴム、テトラフルオロエチレン/プロピレンゴム等の非官能化合成ゴムを含む、通常使用されるトレッドストックゴムのいずれともブレンドすることができる。一つ又は複数の官能化重合体を一つ又は複数の通常のゴムとブレンドする場合、その量は、ゴム全体の約5〜約99重量%の範囲で変えることができ、一つ又は複数の通常のゴムは、ゴム全体のバランスを補っている。最小限の量は、所望のヒステリシス低減の程度に大きく依存する。
非晶質シリカ(SiO2)を充填剤として利用することができる。シリカは、水中での化学反応により製造し、超微細球状粒子として沈殿させることから、一般に湿式法ケイ酸として分類される。これらの一次粒子は、塊の中でそれほど強くなく順に結合する凝集体の中で強く会合する。「高分散性シリカ」は、解凝集し且つエラストマーマトリクスに分散するのに非常に十分な能力を有する任意のシリカであり、薄形材鏡検法により観測することができる。
表面積は、異なるシリカの補強特性について信頼できる測度を与え、ブルナウアー(Brunauer)、エメット(Emmet)及びテラー(Teller)(「BET」)法(J. Am. Chem. Soc., vol.60, p.309以下参照に記載)が表面積を決定するのに認められた方法である。シリカのBET表面積は、一般に450m2/g未満であり、表面積の有用な範囲には、約32〜約400m2/g、約100〜約250m2/g及び約150〜約220m2/gが含まれる。
シリカ充填剤のpHは、一般に約5〜約7であるか、又はわずかに超えており、好ましくは約5.5〜約6.8である。
使用することができる市販のシリカの一部としては、Hi−SilTM215、Hi−SilTM233及びHi−SilTM190(PPGインダストリーズ社;ピッツバーグ,ペンシルバニア州)が挙げられる。市販のシリカの他の供給者としては、グレースダビソン社(ボルティモア,メリーランド州)、デグサ社(パーシッパニー,ニュージャージー州)、ロディアシリカシステムズ社(クランバリー,ニュージャージー州)、J.M.フーバー社(エジソン,ニュージャージー州)が挙げられる。
シリカを、重合体100部当たり(phr)約1〜約100重量部(pbw)の量で用いることができ、約5〜約80phrの量であることが好ましい。有用な範囲の上限は、かかる充填剤により付与される高い粘度によって制限される。
他の有用な充填剤としては、制限されないが、ファーネスブラック、チャンネルブラック及びランプブラックを含めた、全ての形態のカーボンブラックが挙げられる。更に具体的には、カーボンブラックの例として、超耐摩性ファーネスブラック、高耐摩性ファーネスブラック、高速押出性ファーネスブラック、微粒子ファーネスブラック、準超耐摩性ファーネスブラック、半補強性ファーネスブラック、中級作業性チャンネルブラック、難作業性チャンネルブラック、導電性チャンネルブラック、及びアセチレンブラックが挙げられ;それらの内の二種以上の混合物を用いてもよい。少なくとも20m2/g、好ましくは少なくとも約35〜約200m2/g又はそれより高い表面積(EMSA)を有するカーボンブラックが好適であり、表面積の値は、ASTM D-1765によりセチルトリメチル-アンモニウムブロミド(CTAB)技術を用いて決定することができる。カーボンブラックは、ペレット化した形態でもよいし、ペレット化されていない綿状の塊でもよい。
カーボンブラックの量は、約50phrまでとすることができ、約5〜約40phrが一般的である。カーボンブラックをシリカと共に使用する場合、シリカの量を約1phrぐらいまで低く低減することができ、シリカの量が減少するにつれて、少量の加工助剤や、場合によってはさらにシランを使用することができる。
エラストマー配合物は、一般にある体積分率まで充填されており、該体積分率は、エラストマーストックの全体積で除した一つ又は複数の添加した充填剤の全体積であって、約25%である。従って、補強充填剤、即ち、シリカ及びカーボンブラックの一般的な(総合)量は、約30〜100phrの範囲である。
シリカを補強充填剤として使用する場合、一つ又は複数のエラストマー内での優れた混合及び該エラストマーとの優れた相互作用を確保するために、シラン等のカップリング剤の添加が通例である。一般に、添加されるシランの量は、エラストマー配合物中に存在するシリカ充填剤の重量に基づき、約4〜20重量%の範囲である。
カップリング剤は、一般式:Q−T−X[式中、Qはシリカ充填剤の表面上の基(例えば、表面シラノール基)と物理的及び/又は化学的に結合可能な官能基を表し、Tは炭化水素基の結合を表し、Xは(例えば、硫黄含有結合を介し)エラストマーと結合可能な官能基を表す]を有することができる。かかるカップリング剤としては、オルガノシラン、特に多硫化アルコキシシラン(例えば、米国特許第3,873,489号、第3,978,103号、第3,997,581号、第4,002,594号、第5,580,919号、第5,583,245号、第5,663,396号、第5,684,171号、第5,684,172号、第5,696,197号等を参照)又は上述のX及びQの官能基を有しているポリオルガノシロキサンが挙げられる。一の好適なカップリング剤は、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィドである。
加工助剤の添加により、使用するシランの量を低減することができる。加工助剤として使用した、糖の脂肪酸エステルの記載については、例えば米国特許第6,525,118号を参照。加工助剤として有用な追加の充填剤としては、制限されるものでないが、クレー(含水ケイ酸アルミニウム)、タルク(含水ケイ酸マグネシウム)及びマイカ等の無機充填剤、並びに尿素及び硫酸ナトリウム等の非無機充填剤が挙げられる。好ましいマイカは、他の変異体も有用であるが、以下に記載の通り、主としてアルミナ、シリカ及びカリを含む。追加の充填剤を、約40phrまで、好ましくは約20phrまでの量で利用することができる。
また、他の通常のゴム添加剤を添加することもできる。例えば、プロセスオイル、可塑剤、酸化防止剤及びオゾン亀裂防止剤等の劣化防止剤、硬化剤等が挙げられる。
全ての構成成分を、例えばバンバリーミキサー又はブラベンダーミキサー等の標準的な装置を用いて混合することができる。典型的には、初期混合(即ち、直ちに加硫を優先することを意図しない混合)が約140℃〜160℃の温度で行われ、しばしば145℃〜155℃の温度で行われる。
有利には、特に(必ずしも制限されないが)特定の加硫剤や劣化防止剤を含めた、前述の添加剤の一部が、例えばNH含有部分を有する官能基(例えば、アミン及びアミド)の存在のために本来塩基性である。例えば、表1a及び表1bと併せて以下に詳細に説明するように、典型的な酸化防止剤として、例えばN-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニルジアミン等のアミン類が挙げられ、また、典型的な促進剤(即ち、硬化剤)として、例えばベンゾチアジル-2-シクロヘキシルスルフェンアミド、ジ(フェニルチオ)アセトアミド等のアミド類や、例えばN,N'-ジフェニルグアニジン等のアミジン類が挙げられる。
一つ又は複数の官能化重合体と混合した後、かかる種類の塩基性添加剤は、アミン塩と接触し、実質的には、アミノの酸性陽イオンを中和し、それによって、遊離のアミン官能基を生じる。この中和は、一般に追加の試み又は処理工程を必要とせず、即ち、形態(例えばスラブ、ウィッグワッグ(wigwag)等)にかかわらず、上述の混合や得られるゴムストックの貯蔵時に自然に行うことができる。
必要に応じて、混合成分中に強い無機塩基、ピリジン/NaOH等の混合塩基系、又はテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド(例えば(CH3)4NOH)等の非常に強い有機塩基を含むことができる。しかしながら、このような追加の塩基の使用が、ほとんどの環境下で必要であるとは見出されていない。
中和は、任意に重合体の末端に位置した、第一級又は第二級アミノ官能基を有する重合体をもたらす。該官能基は、両方とも粒状充填剤との有意な相互作用を与えることが見出されたが、第一級アミノ官能基の効果は特に高いように思われる。
補強されたゴム配合物は、通常、例えば、硫黄又は過酸化物に基づく硬化系等の一つ以上の既知の加硫剤を約0.2〜約5phr用いて硬化される。加硫剤の一般的な開示について関心がある読者には、カーク・オスマー,Encyclopedia of Chem. Tech.,第3版,(ワイリーインターサイエンス,ニューヨーク州,1982年),20巻,pp.365-468において提供されたもの等の概説を教示する。加硫は、一般的に約170℃で行われ、従って、硬化成分は、一般に、上述の初期混合に用いる温度と比べて約10〜20℃高い温度で混合される。
酸性陽イオンで保護されたアミン官能基の存在は、積極的に混合に影響する場合がある。少なくとも一部の状況では、酸性陽イオンで保護されたアミン官能基を有する重合体の存在は、初期混合(即ち、マスターバッチ段階)時に必要とされる温度を低くし、そして、遊離のアミン官能基を有する重合体を提供するための酸性陽イオンの部分的又は完全な中和に関し、最終混合時のドロップ温度を上昇させることが分かった。一般に、これらの効果は両方とも望ましく、特に、より低いエネルギー(熱)は初期混合に必要であり(明白な費用や環境への影響の利点に加えて、重合体物質を分解し又は早期に加硫する機会を低減する)、また、より高いドロップ温度は、一般に速い硬化時間、混合装置(劣化が起こり得る)内での短い時間、及び増大した生産速度を意味する。
下記に示す制限されない実施例は、読者に本発明の実施に有用となり得る詳細な条件及び材料を提供する。
下記に示す例では、陽性N2のパージを受け、抽出したセプタムライナー及び有孔クラウンキャップで前もって密封した乾燥ガラス容器を、全ての調製に使用した。ブタジエン、スチレン(ヘキサン中33重量%)、ヘキサン、n-ブチルリチウム、オリゴメリックオキソラニルプロパン(ヘキサン中1.6M、CaH2で貯蔵)、及びブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)へキサン溶液を使用した。
下記に示す市販の試薬及び出発物質は、全てをシグマアルドリッチ社(セントルイス,ミズーリ州)から入手し、特に断りのない限り、更に精製することなく用いた。1-(3-ブロモプロピル)-2,2,5,5-テトラメチル-1-アザ-2,5-ジシラシクロペンタン(純度97%)、メチルトリエトキシシラン(純度99%)及びピリジン(純度99%)。
例における試験データは、表1a及び表1bに示す配合処方に従い作製された充填剤入り組成物で実施された。ここで、N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニルジアミンは、酸化防止剤として作用しており、一方、ベンゾチアジル-2-シクロヘキシルスルフェンアミド、N,N'-ジフェニルグアニジン及びジ(フェニルチオ)アセトアミドは、促進剤として作用している。それらの物質はそれぞれアミンであり、上記した通り、アミン官能基の酸性陽イオンを中和するために作用することができる。
Figure 2008542479
Figure 2008542479
「50℃ダイナスタット(Dynastat)tanδ」に対応するデータは、1Hz、静的質量2kg及び動荷重1.25kg、円筒型(直径9.5mm×高さ16mm)加硫ゴムサンプル及び50℃の条件で、DynastatTM質量分析計(ダイナスタティクス インスツルメンツ社;アルバニー,ニューヨーク州)を用いて行った試験から得られた。
「バウンドラバー」に対応するデータは、J.J.ブレナンら,Rubber Chem. and Tech.,40,817(1967)に記載された手順を用いて決定された。
例1〜6
攪拌機を備え、N2でパージした反応装置に、ヘキサン1.37kg、スチレン0.41kg及びブタジエン2.71kg(ヘキサン中20.1重量%)を加えた。その反応装置にn-BuLi3.68mL(ヘキサン中1.54M)を投入し、次いで(ヘキサンに溶解した)OOPs1.08mLを投入した。反応装置のジャケットを50℃に加熱し、約25分後、バッチ温度は約62℃でピークに達した。更に15分後、ポリマーセメントを反応装置から乾燥ガラス容器に移した。
三つの試料は、それぞれメチルトリエトキシシラン(試料2)、1-(3-ブロモプロピル)-2,2,5,5-テトラメチル-1-アザ-2,5-ジシラシクロペンタン(試料3)、及びメチルトリエトキシシランと1-(3-ブロモプロピル)-2,2,5,5-テトラメチル-1-アザ-2,5-ジシラシクロペンタンの1:1ブレンド(試料4)を用いて、50℃の浴槽中30分間停止反応を行った。他の試料は、まずヘキサメチルシクロトリシロキサンと反応させ、2,2,5,5-テトラメチル-1-アザ-2,5-ジシラシクロペンタン(試料5)を用いて停止反応を行った。これらの試料や非官能化重合体(試料1)をBHTを含むイソプロパノール中で凝固し、ドラム乾燥した。
保護された末端アミノ官能基を有する重合体(試料3)の一部をTHF中1%HClで加水分解し(室温で1時間)、次に、ピリジンとNaOHのブレンドを用いて室温で数分に亘って中和し、保護されていない第一級アミノ官能基を末端基とする重合体を得た(以下で試料6とみなされる)。
表1a及び表1bに示す配合処方を用いて、補強充填剤を含む加硫可能なエラストマー配合物を試料1〜6から調製した。それら配合物の物理試験の結果を下記の表2に示す。二つのデータ点を含むそれらの列については、上側が表1aの配合処方についてのものであり、下側が表1bの配合処方についてのものである。
Figure 2008542479
表2の50℃歪みスイープのデータから、保護された末端アミノ官能基を有するスチレン/ブタジエンインターポリマー(例3)は、対照重合体に比べて、カーボンブラックを充填した配合処方で用いた場合、約45%のtanδの低減を提供でき、一方、保護されていない(即ち、第一級の)アミノ官能基を有する重合体(例6)は、対照重合体に比べて、同様な配合処方で約55%のtanδの低減を提供できることが理解できる。
表2(カーボンブラックのみの配合処方)の0℃でのtanδのデータから、保護されていない末端アミノ官能基を有する重合体を含む組成物(例6)が、一般に良好な湿潤牽引性に対応する最高値を与えることが理解できる。
先のデータは、脱保護後に速やかに中和された充填剤入り組成物に由来するものであるが、そのデータは、遊離の第一級アミン官能基が、例えばヒステリシスの低減等の特性に有意な利点を提供できることを示す。
例7〜10
例1〜6について記載した手順を実質的な部分で繰り返し行った。下記に示す物質を停止剤として用いた。
7 − イソプロパノール(対照)
8 − テトラエトキシシラン(比較)
9&10 − 1-(3-ブロモプロピル)-2,2,5,5-テトラメチル-1-アザ-2,5-ジシラシクロペンタン
試料10は、例1〜6において上述した加水分解−中和のスキームにより脱保護された。
上記の表1a及び表1bに示す配合処方を用いて、補強充填剤を含む加硫可能なエラストマー配合物を試料7〜10から調製した。それら配合物の物理試験の結果を下記の表3に示す。
Figure 2008542479
表3(カーボンブラックのみの配合処方)の50℃歪みスイープのデータから、保護された末端アミノ官能基を有するスチレン/ブタジエンインターポリマー(例9)は、同様に対照重合体と比べてほぼ50%のtanδの低減を提供でき、一方、保護されていない(即ち、第一級の)アミノ官能基を有する重合体(例10)は、同様に対照重合体と比べてほぼ55%のtanδの低減を提供できることが理解できる。50℃歪みスイープのデータ(カーボンブラック+シリカの配合処方)は、同一の末端アミノ官能基を有する重合体(例9及び例10)が両方とも類似のTEOSを末端基とする重合体より15%を超えるtanδの低減を示すことが分かる。
例11〜15
攪拌機を備え、N2でパージした反応装置に、ヘキサン1.64kg、スチレン0.41kg及びブタジエン2.43kg(ヘキサン中22.4重量%)を加えた。その反応装置にn-BuLi3.56mL(ヘキサン中1.60M)を投入し、次いで(ヘキサンに溶解した)OOPs1.05mLを投入した。反応装置のジャケットを50℃に加熱し、約28分後、バッチ温度は約64℃でピークに達した。更に25分後、ポリマーセメントを反応装置から乾燥ガラス容器に移した。
それぞれ二つの試料は、それぞれ1-メチル-2-ピロリジノン(試料12〜13)及び1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(試料14〜15)で停止反応を行った。また、各試料の一方(試料13及び試料15)をTHF中1%HClで処理した(室温で約30分)。これらの試料と非官能化重合体(試料11)をBHTを含むイソプロパノール中で凝固し、ドラム乾燥した。
表1aに示す配合処方を用いて、補強充填剤を含む加硫可能なエラストマー配合物を試料11〜15から調製した。試験に先立って、該配合物を室温(約23℃)で15日間貯蔵した。物理試験の結果を下記の表4に示す。
Figure 2008542479
上述したように、アミン塩(即ち、第一級又は第二級アミン官能基の酸性陽イオン)が対応する第一級又は第二級(遊離型)アミンと比較して、粒状充填剤との低減した相互作用を示すことが知られている。しかしながら、表4の50℃歪みスイープのデータでは、試料12と試料13間のヒステリシス低減の差(N-メチルピロリドン)、及び試料14と試料15間のヒステリシス低減の差(N,N-ジメチルイミダゾリン)は無視できるものであり、重合体に結合する官能基間で類似性を示す。これは、酸と反応しうる官能基が、例えば劣化防止剤及び/又は促進剤中に含まれ、試料13及び試料15の酸性陽イオンを中和し、試料12及び試料14に既に存在している官能基と類似した遊離のアミン官能基を生じることを示しているように思われる。

Claims (15)

  1. (1)第一級又は第二級アミン官能基の酸性陽イオンを含む少なくとも一つの官能基を有する重合体と、(2)酸と反応しうる官能基を有する物質と、(3)粒状充填剤とを含む充填剤入り組成物において官能化重合体と粒状充填剤との間に相互作用を付与する方法であって、
    a)第一級又は第二級アミン官能基を有する官能化重合体を提供するために前記物質を前記酸性陽イオンと反応させることと、
    b)前記官能化重合体のアミン官能基を前記充填剤と相互作用させることと、
    を具える方法。
  2. 前記重合体がエラストマーであって、前記エラストマーが、任意に不飽和を含む部分及び側鎖に芳香族官能基を有する部分の内の少なくとも一種を含む請求項1に記載の方法。
  3. 前記重合体が末端官能基を有する請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記末端官能基が前記重合体の最も長い鎖の末端に位置している請求項3に記載の方法。
  5. 前記重合体が、少なくとも一つの保護されたアミノ基を含む官能基の加水分解生成物を含む請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記官能基が、アザ-ジシラシクロアルカンラジカルを含む請求項5に記載の方法。
  7. 前記アザ-ジシラシクロアルカンが、五員環又は六員環と、二置換のケイ素原子とを含む請求項6に記載の方法。
  8. 前記重合体が、第一級又は第二級アミン官能基を有する請求項5に記載の方法。
  9. 前記官能基が、環状構造の中に−NR'−C(Z)−セグメント[式中、ZはS又はOであり、R'はアルキル基又はアリール基である]を有する複素環式化合物のラジカルを含む請求項5に記載の方法。
  10. 前記官能基が、イミダゾリジノンラジカル又はピロリジノンラジカルを含む請求項9に記載の方法。
  11. 酸と反応しうる物質が塩基性官能基を有し、前記反応が酸性陽イオンの脱プロトン化をもたらす請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 塩基性物質が、前記組成物用の硬化剤、酸化防止剤及びオゾン亀裂防止剤の内の少なくとも一種として作用することが可能である請求項11に記載の方法。
  13. 前記酸と反応しうる物質がアミン官能基を有する請求項11又は12に記載の方法。
  14. 更に、前記充填剤入り組成物を混合し、加硫ゴムを形成することを具える請求項1に記載の方法。
  15. 更に、前記加硫ゴムからタイヤ部材を成形する請求項14に記載の方法。
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