JP2008239108A - 自動車の側部車体構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両側面衝突時の衝撃荷重をインパクトビームから車体構成部材に確実に伝達できる自動車の側部車体構造を提供する。
【解決手段】インパクトビーム20とシートフレーム(車体構成部材)18との間に、鋼板材を折り曲げ加工することにより形成された荷重伝達部材22を配置し、該荷重伝達部材22は、車両側面衝突時に、上記インパクトビーム20に係合して該インパクトビーム20を抱え込むように車内側に変形する変形部22aと、該変形部22aに続いて上記インパクトビーム20からの衝突荷重を上記シートフレーム18に伝達する荷重伝達部22bとから構成されている。
【選択図】 図3
【解決手段】インパクトビーム20とシートフレーム(車体構成部材)18との間に、鋼板材を折り曲げ加工することにより形成された荷重伝達部材22を配置し、該荷重伝達部材22は、車両側面衝突時に、上記インパクトビーム20に係合して該インパクトビーム20を抱え込むように車内側に変形する変形部22aと、該変形部22aに続いて上記インパクトビーム20からの衝突荷重を上記シートフレーム18に伝達する荷重伝達部22bとから構成されている。
【選択図】 図3
Description
本発明は、車両側面衝突時の衝撃荷重をドア内に配設されたインパクトビームを介して車体構成部材に伝達するようにした自動車の側部車体構造に関する。
自動車においては、車両側面衝突時にドアが変形して車室内に入り込むのを抑制するために、例えば、特許文献1では、ドア内に配置されたインパクトビームとフロア部材との間に荷重を伝達するブラケットを配置し、側突時の衝撃荷重をインパクトビームからブラケットを介してフロア部材に伝達させるようにしている。
特開平10−95231号公報
ところで、上記従来の側部車体構造では、衝撃荷重をインパクトビームからブラケットに伝達させる際に、ドアの変形如何によっては、インパクトビームとブラケットとが上下方向にずれるおそれがあり、衝撃荷重をフロア部材に確実に伝達できないという懸念がある。
本発明は、上記従来の状況に鑑みてなされたもので、車両側面衝突時の衝撃荷重をインパクトビームから車体構成部材に確実に伝達できる自動車の側部車体構造を提供することを課題としている。
請求項1の発明は、車体側部に形成されたドア開口にドアを配設し、該ドア内に車両前後方向に延びるインパクトビームを配設し、上記ドアの車幅方向内側に、車両側面衝突時に上記インパクトビームからの衝撃荷重を受け止める車体構成部材を配設した自動車の側部車体構造であって、上記インパクトビームと車体構成部材との間に、鋼板材を折り曲げ加工することにより形成された荷重伝達部材を配置し、該荷重伝達部材は、車両側面衝突時に、上記インパクトビームに係合して該インパクトビームを抱え込むように車内側に変形する変形部と、該変形部に続いて上記インパクトビームからの衝突荷重を上記車体構成部材に伝達する荷重伝達部とから構成されていることを特徴としている。
ここで、上記車体構成部材には、ロッカ部材,ピラー部材,フロア部材,サイドメンバ,クロスメンバ,シートのシートフレーム等が含まれる。
請求項2の発明は、請求項1において、上記インパクトビームは、横断面形状が略円形の棒状部材であり、上記変形部は、上記インパクトビームの外周面に略沿うように車内側に凹んだ形状の受け面を有し、上記荷重伝達部は、上記インパクトビームの長手方向に略直交して延びる複数の縦壁を有し、該縦壁と上記変形部との間には、該変形部の変形を許容する隙間が設けられていることを特徴としている。
本発明に係る側部車体構造によれば、車両側面衝突時に、インパクトビームに係合して該インパクトビームを抱え込むように車内側に変形する変形部と、該変形部に続いて上記インパクトビームからの衝突荷重を車体構成部材に伝達する荷重伝達部とを有する荷重伝達部材を配置したので、変形部がインパクトビームを抱え込むように変形することから、インパクトビームが荷重伝達部材からずれたり,外れたりするを防止できる。これにより、衝撃荷重をインパクトビームから荷重伝達部を介して車体構成部材に確実に伝達することができ、インパクトビームの車室側への進入を抑制できる。
本発明では、上記荷重伝達部材を、鋼板材を折り曲げ加工することにより形成したので、荷重伝達部材を、例えば絞り成型により形成する場合に比べて製造コストを低減できる。
請求項2の発明では、変形部にインパクトビームの外周面に略沿う凹み形状の受け面を形成し、荷重伝達部にインパクトビームの長手方向に略直交する複数の縦壁を形成するとともに、該縦壁と変形部との間に該変形部の変形を許容する隙間を設けたので、上記受け面がインパクトビームを抱え込むガイドとして機能することとなり、かつ上記隙間の分だけ変形部が変形し易くなり、変形部とインパクトビームとの係合をより確実に行うことができる。また上記縦壁により、インパクトビームからの荷重を車体構成部材に効率よく伝達することができる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図5は、本発明の一実施形態による自動車の側部車体構造を説明するための図であり、図1は自動車の側面図、図2はリヤドアに配置されたインパクトビームの側面図、図3はリヤドアの断面背面図(図2のIII-III 線断面図)、図4は荷重伝達部材の斜視図、図5(a)は荷重伝達部材の断面図(図5(b)のVa-Va 線断面図) 、図5(b)は荷重伝達部材の側面図である。
図において、1は自動車の車体を示しており、該車体1は、左,右のサイドパネル(車体側部)2,2と、該左,右のサイドパネルの上端間に接続したルーフパネル3と、下端間に接続されたフロアパネル4とで車室5を形成した構造を有している。
上記車室5内のフロアパネル4の前部にフロントシート(不図示)が、後部にリヤシート6が搭載されている。該リヤシート6は、シートクッション6aとシートバック6bとを有し、該シートクッション6aはシートフレーム(車体構成部材)18により支持されている。
上記シートフレーム18は、上記フロアパネル4上に固定され、シートクッション6aを前後にスライド可能に支持するシートレール部材18aと、該シートレール部材18aに接続されたフレーム部材18bとを有している。
上記左,右のサイドパネル2は、概ね上下方向に延びるフロントピラー7,センタピラー8,クォータピラー9の上端部同士及び下端部同士を前後方向に延びる左,右のルーフレール10,10及びロッカパネル11,11により連結した概略構造を有している。
上記左,右のルーフレール10にルーフパネル3の左,右縁部(不図示)が接続され、左,右のロッカパネル11に上記フロアパネル4の左,右縁部4aが接続されている(図3参照)。
このようにして上記サイドパネル2には、フロントドア開口2a及びリヤドア開口2bが形成されており、該フロントドア開口2aにフロントドア12が、リヤドア開口2bにリヤドア13が配設されている。
このリヤドア13は、上記センタピラー8に上下一対のドアヒンジ14,14を介して回動可能に支持されている。
上記リヤドア13は、アウタパネル15aとインナパネル15bとの外周縁部同士を結合してなるドア本体15と、該ドア本体15に形成されたウインドフレーム16とを有しており、該ドア本体15内には上記ウインドフレーム16の開口を開閉するウインドガラス16aが昇降可能に配設されている(図1,図3参照)。なお、19は、インナパネル15bの車室5側に取り付けられた樹脂製のドアトリムである。
上記リヤドア13のドア本体15内には、車両前後方向に前斜め上向きに傾斜して延びるインパクトビーム20が配設されている。このインパクトビーム20は、軸直角方向横断面形状が円形の棒状パイプ部材からなり、車両側方から見ると、上記シートクッション6aのシートフレーム18に車幅方向に重なるよう配置されている。
上記インパクトビーム20は、車両側方から見て、前端部20aがセンタピラー8に重なり、かつ下ドアヒンジ14に近接するよう配置され、後端部20bがロッカパネル11の後端部に重なるよう配置されている。
車両側面衝突時に、上記インパクトビーム20がセンタピラー8とロッカパネル11との間で突っ張ることにより、リヤドア13の車室5側への変形を抑制している。
上記インパクトビーム20とシートフレーム18との間には、荷重伝達部材22が配置されている。該荷重伝達部材22は、上記リヤドア13のドア本体15内に配置され、インパクトビーム20に若干の隙間をあけて対向するようインナパネル15bに固定されている。換言すれば、上記荷重伝達部材22は、上記インパクトビーム20と略同じ高さに位置し、かつ上記フレーム部材18bに車幅方向に対向するよう配置されている。
上記荷重伝達部材22は、プレスにより打ち抜き成形された平板状の鋼板材を折り曲げ加工することにより一体に形成されたものである。
上記荷重伝達部材22は、車両側面衝突時に、上記インパクトビーム20に係合して該インパクトビーム20を抱え込むように車内側に変形する変形部22aと、該変形部22aに続いて上記インパクトビーム20からの衝突荷重を上記シートフレーム18に伝達する荷重伝達部22bとから構成されており、詳細には、以下の構造を有している。
上記荷重伝達部22bは、車外側にいくほど断面積が小さくなるよう形成された略四角筒形状を有している。
具体的には、荷重伝達部材22は、上記変形部22aの上縁に続いて車内側に折り曲げ形成された上壁22cと、該上壁22cの前,後縁に続いて下側に折り曲げ形成された前,後の上側縦壁22d,22eと、上記上壁22cの内縁に続いて上側に折り曲げ形成された上フランジ部22fとを有しており、さらに上記変形部22aの下縁に続いて車内側に折り曲げ形成された下壁22gと、該下壁22gの前,後縁に続いて上側に折り曲げ形成された前,後の下側縦壁22h,22iと、上記下壁22gの内縁に続いて下側に折り曲げ形成された下フランジ部22jとを有している。
上記前,後の上側縦壁22d,22eと、前,後の下側縦壁22h,22iとは重ね合わされてスポット溶接により結合されている。この前,後の上側縦壁22d,22e及び下側縦壁22h,22iは、インパクトビーム20の軸線(長手方向)に直交しており、かつ上側縦壁22d,22e及び下側縦壁22h,22iの重ね合わせ部は、インパクトビーム20と略一致した高さに配置されている。
上記上壁22c及び下壁22gには、車幅方向(入力方向)に延びる2条のビード22c′,22g′が形成されており、これにより側突時の衝撃荷重に対する耐力を高めている。
また上記上,下フランジ部22f,22jは上記インナパネル15bに溶接より結合されている。
上記変形部22aは、上記インパクトビーム20の外周面に略沿うように形成された車内側に凹む半円形状の受け面22kを有しており、該受け面22kの中心部には孔22mが形成されている。
そして上記変形部22aと上側縦壁22d,22e及び下側縦壁22h,22iとの間には、該変形部22aの車内側への変形を許容する隙間t,tが設けられている。この両隙間tは、上記前,後の上側縦壁22d,22e及び下側縦壁22h,22iの折り曲げ加工を行うために予め設定されたものであり、該隙間tの分だけ変形部22aが変形する(図5(a)参照)。
本実施形態によれば、インパクトビーム20と車体構成部材としてのシートフレーム18との間に荷重伝達部材22を配置し、該荷重伝達部材22を、車両側面衝突時に、インパクトビーム20に係合して該インパクトビーム20を抱え込むように車内側に変形する変形部22aと、該変形部22aに続いて上記インパクトビーム20からの衝突荷重を上記シートフレーム18に伝達する四角筒状の荷重伝達部22bとから構成したので、変形部22aがインパクトビーム20を抱え込むように変形することから、該インパクトビーム20が荷重伝達部材22からずれたり,外れたりするを防止できる。これにより、衝撃荷重をインパクトビーム20から荷重伝達部22bを介してシートフレーム18に確実に伝達することができ、インパクトビーム20,ひいてはリヤドア13の車室5側への進入を抑制できる。
本実施形態では、上記荷重伝達部材22を、鋼板材を折り曲げ加工することにより形成したので、荷重伝達部材22を、例えば絞り成型により形成する場合に比べて製造コストを低減できる。
本実施形態では、上記変形部22aにインパクトビーム20の外周面に略沿うように形成された半円形状の受け面22kを形成し、上記荷重伝達部20bにインパクトビーム20の長手方向に直交する前,後の上側縦壁22d,22e及び下側縦壁22h,22iを形成するとともに、該上側縦壁22d,22e及び下側縦壁22h,22iと変形部22aとの間に該変形部22aの変形を許容する隙間tを設けたので、上記受け面22kがインパクトビーム20を抱え込むガイドとして機能することとなり、変形部22aとインパクトビーム20との係合をより確実に行うことができる。
また上記変形部22aが上記隙間tの分だけ変形し易くなり、インパクトビーム20との係合がより一層確実となる。該隙間tは、前,後の上側縦壁22d,22e及び下側縦壁22h,22iの折り曲げ加工を行うために予め設定されたものであり、別途設ける必要はない。
さらに前,後の上側縦壁22d,22e及び下側縦壁22h,22iにより、インパクトビーム20からの衝突荷重をシートフレーム18により確実に伝達することができる。
上記前,後の上側縦壁22d,22e及び下側縦壁22h,22iの重ね合わせ部を、インパクトビーム20と略一致する高さに配置したので、2枚の板の重ね合わせ部で衝撃荷重を受けることができ、荷重伝達部20bの座屈変形を防止でき、衝撃荷重をシートフレーム18に効率よく伝達することができる。
なお、上記実施形態では、荷重伝達部材22を、リヤドア13に配置したが、本発明の荷重伝達部材は、フロントドア12に配置してもよい。
また上記荷重伝達部材22を、折り曲げ加工により一体に形成したが、本発明では、2つ以上の鋼板材により構成してもよい。
さらに上記実施形態では、車体構成部材としてシートフレーム18を例に説明したが、本発明は、ロッカ部材,ピラー部材,フロア部材,サイドメンバ,クロスメンバ等の車体構成部材であってもよい。
上記実施形態では、変形部22aの受け面22kを、半円形状のものとしたが、本発明では、図6に示すように、変形部22aの受け面22k′を、車内側に段落ち状に凹ませて形成してもよく、この場合にも受け面22k′がインパクトビーム20を抱え込むガイドとして機能する。
2 サイドパネル(車体側部)
2b ドア開口
13 リヤドア
18 シートフレーム(車体構成部材)
20 インパクトビーム
22 荷重伝達部材
22a 変形部
22b 荷重伝達部
22d,22e 上側縦壁
22h,22i 下側縦壁
22k,22k′ 受け面
t 隙間
2b ドア開口
13 リヤドア
18 シートフレーム(車体構成部材)
20 インパクトビーム
22 荷重伝達部材
22a 変形部
22b 荷重伝達部
22d,22e 上側縦壁
22h,22i 下側縦壁
22k,22k′ 受け面
t 隙間
Claims (2)
- 車体側部に形成されたドア開口にドアを配設し、該ドア内に車両前後方向に延びるインパクトビームを配設し、上記ドアの車幅方向内側に、車両側面衝突時に上記インパクトビームからの衝撃荷重を受け止める車体構成部材を配設した自動車の側部車体構造であって、
上記インパクトビームと車体構成部材との間に、鋼板材を折り曲げ加工することにより形成された荷重伝達部材を配置し、
該荷重伝達部材は、車両側面衝突時に、上記インパクトビームに係合して該インパクトビームを抱え込むように車内側に変形する変形部と、該変形部に続いて上記インパクトビームからの衝突荷重を上記車体構成部材に伝達する荷重伝達部とから構成されていることを特徴とする自動車の側部車体構造。 - 請求項1において、上記インパクトビームは、横断面形状が略円形の棒状部材であり、上記変形部は、上記インパクトビームの外周面に略沿うように車内側に凹んだ形状の受け面を有し、上記荷重伝達部は、上記インパクトビームの長手方向に略直交して延びる複数の縦壁を有し、該縦壁と上記変形部との間には、該変形部の変形を許容する隙間が設けられていることを特徴とする自動車の側部車体構造。
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2007
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