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JP2008238213A - 鍛造用金型装置及びフランジ構造体製造方法 - Google Patents

鍛造用金型装置及びフランジ構造体製造方法 Download PDF

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JP2008238213A
JP2008238213A JP2007082342A JP2007082342A JP2008238213A JP 2008238213 A JP2008238213 A JP 2008238213A JP 2007082342 A JP2007082342 A JP 2007082342A JP 2007082342 A JP2007082342 A JP 2007082342A JP 2008238213 A JP2008238213 A JP 2008238213A
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Hisatsune Saito
久常 斎藤
Hiroshi Kawamura
浩志 河村
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NTN Corp
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NTN Corp
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Abstract

【課題】材料割れの発生を抑えることができ、素材の在庫管理の簡略化を図ることができて、コスト低下を図ることができる鍛造用金型装置及びフランジ構造体製造方法を提供する。
【解決手段】中空の軸部材31と、軸部材31から外径方向へ延びるフランジ32とを備えたフランジ構造体を成形する。フランジ32を成形する成形工程と、素材が投入されて前記成形工程に投入される成形素材を成形する素材成形工程と、成形工程にて成形された成形品に軸心穴を形成する穴明け工程とを備える。素材35を中炭素鋼からなる中実材とする。素材成形用ステージ及び成形工程用ステージにおいて、温間から熱間鍛造領域で加工する。最終工程において、穴明け工程用ステージにて成形品に軸心穴37を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、軸部材と、この軸部材から外径方向へ延びるフランジとを備えたフランジ構造体(例えば、車輪用軸受装置のハブ輪等)を成形する鍛造用金型装置及びフランジ構造体製造方法に関する。
車輪用軸受装置(3世代)は、ハブ輪と、転がり軸受と、等速自在継手とが一体化されてなるものである。
ハブ輪10は、図11に示すように、軸部材1と、この軸部材1の大径部1aの外径面から外径方向へ突出される車輪取付用フランジ2と、車輪取付用フランジ2の根元部に反軸部側に突設されるブレーキパイロット3とを備えている。車輪取付用フランジ2は、軸部材1のアウトボード側端部(自動車への組み付け状態で車幅方向外側の端部:図11の左端部)に設けられる。各車輪取付用フランジ2にはスタッドボルト4が装着されている。
ハブ輪10のインボード側端部(自動車への組み付け状態で車幅方向内側の端部:図11の右端部)には小径段部6が形成されており、この小径段部6には内輪7が嵌め込まれている。内輪7の外周面には内側軌道面9が形成され、また、ハブ輪10の軸方向の中間部外周面には内側軌道面8が形成されている。ハブ輪10のインボード側の先端が径方向外方に加締めて広げられることにより加締部11が形成され、内輪7がハブ輪10に加締め固定されている。
転がり軸受の一部を構成する外方部材(外輪)12は、その内周に2列の外側軌道面13、14が設けられる中空の軸部材としての筒状本体部15と、その筒状本体部15の外周にフランジ(車体取付フランジ)2とを備える。そして、外方部材12の第1外側軌道面13とハブ輪10の第1内側軌道面8とが対向し、外方部材12の第2外側軌道面14と、内輪7の軌道面9とが対向し、これらの間に転動体17が介装される。また、転動体17は、ハブ輪10の軸部材1の外径面と外方部材12の内径面との間に配設される保持器18にて支持されている。
ところで、3世代の車輪用軸受装置におけるハブ輪及び外輪の鍛造技術は、熱間領域での密閉鍛造かバリ出し鍛造が主流である。しかしながら、ハブ輪及び外輪のフランジは据込み加工時に材料が放射状に広がる性質を持つため、異形フランジを密閉鍛造で加工すると充足不良が発生する。そのため、バリ出し鍛造でフランジを成形しトリミングでバリと製品を切り離す方法が一般的である。
また、閉塞鍛造では先に上下型を合わせて内部に閉塞空間を作り、内部金型の上下動にて材料を側方へ移動させるため、バリを出さない異形形状の冷間鍛造で主に用いられる。このため、従来には、全て冷間で3世代の車輪用軸受装置のハブ輪及び外輪を加工するものがある(特許文献1及び特許文献2)。
特許文献1及び特許文献2では、このようなハブ輪10は、中実材や中空材を冷間加工にて成形するものである。すなわち、図12(a)に示すように、中空円筒状の軸部素材20に対して、前方押し出し成形を施すことにより、図12(b)の軸部材20aが成形される。次いで、軸部材20aの頭部を据え込みし、図12(c)に示すような軸部材20bが成形される。さらに、この軸部材20bに、頭部後方押し出し成形を施すことで、図12(d)に示すように、軸部材1及び位置決め用筒部(ブレーキパイロット)3の内周形状となる段付きの窪み部19aを備えた頭部19が成形される。次いで、この図12(d)のように成形された軸部材(成形素材)20cに対して図示省略の成形型(閉塞鍛造成形型)を用いて押し込み方向と直交する側方押し出し成形を施すことにより、図12(e)と図11に示すように、車輪取付用フランジ2とブレーキパイロット(位置決め用筒部)3が一体のハブ輪10が成形される。
このように、前記特許文献1及び特許文献2に記載の製造方法では、製品形状に応じて中実材あるいは中空材を選択し、全ての工程を冷間加工にて成形することになる。このため、加工歪が蓄積されて加工硬度による強度向上を図ることができるとともに、ニアネットシェイプ化によりコスト削減を図ることができる。
特開2006−111070号 特開2006−142983号
しかしながら、軸部材が中空である車輪用軸受装置の駆動側のハブ輪や内径面に軌道面が設けられる転がり軸受の外輪等を成形する場合、素材に中空材を使用することになる。このため、製品の軸心穴の穴径及び肉厚等に応じて、素材種類が多くなり、コスト高となるとともに、在庫管理が複雑化していた。また、全ての工程を冷間加工にて成形しているので、最終成形における閉塞鍛造工程において、図9と図10に示すように、金型と成形品との間の摩擦抵抗が大きいため等起因する材料割れBが発生する。この材料割れBは、車輪取付用フランジ2の付け根部に発生することになる。このように材料割れBが生じれば、強度低下を招き、製品(ハブ輪)として機能することができない不良品となる。材料割れ防止処置として、閉塞鍛造前に球状化焼鈍等の熱処理及びボンデ等の潤滑処理が必要になる。
このように、従来におけるハブ輪及び外輪の成形工程では、素材、前方押出し、ヘディング、側方押出し(閉塞鍛造)等の過程において、側方押出しの前に球状焼鈍等の熱処理・ショットブラスト・ボンデ等の潤滑処理が必要となる。このため、連続成形ができずバッチ処理となるため、コストアップにつながる。
本発明は、上記課題に鑑みて、材料割れの発生を抑えることができ、素材の在庫管理の簡略化を図ることができて、コスト低下を図ることができる鍛造用金型装置及びフランジ構造体製造方法を提供する。
本発明の鍛造用金型装置は、第1ステージから第4ステージまでを備え、中炭素鋼からなる中実材を素材として、軸部材とこの軸部材から外径方向へ延びるフランジとを有するフランジ構造体を成形する鍛造用金型装置であって、第1ステージから第4ステージまでは協動しており、第1ステージから第2ステージにかけて素材に前加工を行い、第3ステージではフランジを成形する成形加工を行い、第4ステージでは第3ステージにて成形された成形品に軸心穴を形成する穴明け加工を行い、第1ステージから第4ステージにかけて、温間から熱間鍛造領域で連続加工するものである。
本発明のフランジ構造体製造方法は、中空の軸部材と、この軸部材から外径方向へ延びるフランジとを備えたフランジ構造体を成形するフランジ構造体製造方法であって、前記フランジを成形する成形工程と、素材が投入されて前記成形工程に投入される成形素材を成形する素材成形工程及び前成形工程と、成形工程にて成形された成形品に軸心穴を形成する穴明け工程とを備え、前記素材を中炭素鋼からなる中実材として、素材成形工程、前成形工程、成形工程、及び穴明け工程において、温間から熱間鍛造領域で連続加工する
ものである。
本発明によれば、全工程で、温間から熱間鍛造領域にて成形するので、加工硬化が進まない上変形抵抗が冷間鍛造に比べ小さいため材料割れの発生がなく、黒鉛または白色系潤滑剤の使用により連続加工を行うことができる。ところで、車輪用軸受装置のハブ輪や外輪では転走面(転動面)を有し、しかも、この転動面に対して硬化処理が行われる。この硬化処理を行う方法として、材質が中炭素鋼であれば、高周波焼き入れがある。これは、中炭素鋼には、C量が0.4〜0.55%含まれているので、この種の材料を高周波焼入れすると、高い圧縮残留応力が発生して疲労強度が向上するためである。
また、最終工程において、穴明け加工を施すことができるので、中空状のハブ輪(車輪用軸受装置において、等速自在継手の外側継手部材の軸部が嵌入する駆動側のハブ輪)及び外輪(車輪用軸受装置の転がり軸受の外方部材)を成形することができる。このため、中実体の中炭素鋼から、中空の軸部材を有するフランジ構造体を成形でき、従来のような中空材を用いる必要がない。
第4ステージの穴明け用パンチ部材の駆動に、油圧機構の油圧力を用いることができる。
本発明では、材料割れ等を防止するための素材への潤滑処理(例えば、ボンデ処理等)を行う必要がなくなって、バッチ処理のない連続加工が可能となり、コスト低減が可能となる。しかも、ブランク材が中炭素鋼からなるので、成形品に形成される転走面(ボール等の転動体が転動する転動面)に対して行う硬化処理の方法として高周波焼入れがある。高周波焼入れを行う場合、転走面の表面に必要な硬さと深さの硬化層を安定して形成することができ、高品質の製品を提供することができる。特に、従来のような中空材を用いる必要がなく、種々の製品の穴径及び肉厚に合わせた素材を揃える必要がなくなることで、コストの低減を図ることができるとともに、在庫管理の簡素化を図ることができる。
このため、車輪用軸受装置のハブ輪や転がり軸受の外輪を安定して低コストに成形することができる利点がある。第4ステージの穴明け工程において、油圧機構の油圧力を用いることによって、安定した穴明け作業を行うことができる。
一つの鍛造用金型装置(ダイセット)にて、素材から製品までを成形でき、生産性の向上を図るとともに、イニシャルコスト及びランニングコストの低減を図ることができる。
以下本発明の実施の形態を図1〜図8に基づいて説明する。
図1に本発明にかかる鍛造用金型装置を示し、この鍛造用金型装置は、図2(e)と図3に示すようなフランジ構造体であるハブ輪39を成形するものである。この場合のハブ輪39は、外周に軸受軌道面34が形成される軸部材31と、この軸部材31の大径部31aの外径面から外径方向へ突出される車輪取付用フランジ32と、車輪取付用フランジ32の根元部に反軸部側に突設されるブレーキパイロット33とを備えた駆動側のハブ輪である。このハブ輪39は、車輪取付用フランジ32が図3に示すように周方向に沿って90°ピッチに4個が配設されたハブ輪である。
この鍛造用金型装置を用いた本発明に係るフランジ構造体製造方法は、前記フランジ32を成形する成形工程と、素材35が投入されて前記成形工程に投入される成形素材36を成形する素材成形工程及び前成形工程と、成形工程用にて成形された成形品38に軸心穴37を形成する穴明け工程とを備える。素材35を例えばS53C等の中炭素鋼からなる中実材として、素材成形工程、前成形工程、成形工程、及び穴明け工程において、温間から熱間鍛造領域で連続加工するものである。
本発明に係るフランジ構造体製造方法は、具体的には、まず、図2(a)の中実状の丸棒素材(ブランク材)35に前方押し出し工程(軸出し工程)を施すことにより、図2(b)の軸状部材35aを成形する。次いで、軸状部材35aの頭部をヘディングしてブレーキパイロット3の外径とほぼ同径まで漬す据込み工程を行うことで、図2(c)に示す素材36を成形する。ここで、押し出し成形(押出し加工)とは、ビレット(素材)に圧縮力を加えて金型に設けられた穴や、金型間の隙間から素材を絞り出して長さを延ばす加工法のことである。加圧方向と素材の流出方向との組合わせにより前方押出し、後方押出し及び側方押出し等に分類される。また、据込み成形(据込み 加工)とは金型により素材に軸方向の圧縮力を加えて軸方向の寸法を短くし、軸直角方向の寸法を長くする加工法である。
成形工程では、この軸部素材(成形素材)36に対して押し込み方向と直交する側方押し出し成形を施すことにより、図2(d)に示すように、車輪取付用フランジ2とブレーキパイロット(位置決め用筒部)3を成形して成形品Sを形成した後、図2(e)に示すように、軸心穴37を形成する穴明けを行うことによって、ハブ輪39を成形することができる。
本発明に係る鍛造用金型装置は、図1に示す第2ユニット(下型ユニット)60と第1ユニット(上型ユニット)61とを備え、下型ユニット60と上型ユニット61とで協働して、前方押し加工を行う前方押し工程用ステージ(第1ステージ)62と、密閉鍛造を行う前成形工程用ステージ(第2ステージ)63と、閉塞鍛造を行う成形工程用ステージ(第3ステージ)64と、穴明け加工を行う穴明け工程用ステージ(第4ステージ)65とを構成することができる。第1ステージから第4ステージまでは協動しており、第1ステージから第2ステージにかけて素材に前加工を行い、第3ステージでフランジを成形する成形加工を行い、第4ステージでは第3ステージにて成形された成形品に軸心穴を形成する穴明け加工を行うことになる。
下型ユニット60は、前方押し工程用ステージ62の下ステージ62Aと、前成形工程用ステージ63の下ステージ63Aと、成形工程用ステージ64の下ステージ64Aと、穴明け工程用ステージ65の下ステージ65Aとが形成される基盤66を備える。上型ユニット61は、前方押し工程用ステージ62の上ステージ62Bと、据込み工程用ステージ63の上ステージ63Bと、成形工程用ステージ64の上ステージ64Bと、穴明け工程用ステージ65の上ステージ65Bとを備える。
すなわち、下ステージ62A,63A,64A,65Aにおいては、基盤66に設けられた凹部67a、67b、67c、67dに嵌挿された下プレート68a、68b、68c、68dと、この下プレート68a、68b、68c、68d上に配置される下保持体69a、69b、69c、69dと、この下保持体69a、69b、69c、69dに挿入されるエジェクター70a、70b、70c、70dと、下保持体69a、69b、69c、69d上に配設される金型71a、71b、71c、71dと、金型保持体72a、72b、72c等を備える。
そして、下ステージ62A,63A,64A,65Aの下保持体69a、69b、69c、69dは、保持ブロック体93を介して基盤66上に立設保持される。また、金型保持体72a、72b、72c、及び金型71dの外周側にはガイドリング80a、80b、80c、80dが配置されている。各プレート68a、68b、68c、68dには貫通穴が設けられ、各貫通穴に基盤66に貫穴66a、66b、66c、66dを介してノックアウトピン82a、82b、82c、82dが挿入されている。
上型ユニット61は、図示省略の昇降手段(例えば、シリンダ機構)にて上下動するものであって、基盤102と、この基盤102の下面に付設される保持ブロック103とを備え、保持ブロック103に、下型ユニット60の各ステージ62A、63A、64A、65Aに対抗した上ステージ62B、63B、64B、65Bが設けられる。
各上ステージ62B、63B、64B、65Bは、保持ブロック103に設けられた穴部108a、108b、108c、108dに配置される上プレート109a、109b、109c、109dと、この上プレート109a、109b、109c、109dの下方位置に配置される上保持体110a、110b、110c、110dと、この上保持体110a、110b、110c、110dに挿入されるパンチ111a、111b、111c、111dとを備える。
また、基盤102には成形工程用ステージ64の金型71c、73cの開閉を行う開閉機構112が付設されている。開閉機構112は、円盤状のピストン本体113aとピストンロッド113bとからなるピストン113を備え、ピストン本体113aが基盤102に設けられたシリンダ室114内を摺動する。そして、ピストンロッド113bが、上金型73cを保持している上金型保持体86を押し閉塞力を与える。
ピストン113には、油供給排出用ブロック片115が連設されている。このブロック片115は、軸部115aと、この軸部115aに連設される鍔部115bとからなり、軸部115aがピストン113に基部穴部に嵌入されている。また、軸部115aには、貫通穴116が設けられている。鍔部115bには貫穴117が設けられ、この貫穴117が基盤102に設けられた貫穴118を介してシリンダ室114に連通している。シリンダ室114の開口部には蓋部材119が配設されている。なお、成形工程用ステージ64の上ステージ64A上のパンチ111cには、成形品38に穴部37aを成形するためのピン121が付設されている。また、上金型保持体86と保持ブロック103との間に、上金型保持体86の上下動を案内するガイドロッド120が配置されている。
穴明けステージ65の上ステージ65Bには、ピストン122が連設された押え型123が配置されている。押え型123は、筒部123bとフランジ部123aとからなり、フランジ部123aにピストン122が連設されている。ピストン122は、円盤部122aと、この円盤部122aから延びるピストンロッド122bとからなり、基盤102に設けられたシリンダ室124にこの円盤部122aが摺動可能に収容されている。そして、穴明け工程用ステージ65上のパンチホルダー111dには、成形品に軸心穴37を成形するパンチ125が付設されている。また、押え型123と保持ブロック103との間に、押え型123の上下動を案内するガイドロッド126が配置されている。
穴明け工程用ステージ65の下ステージ65Aにおいて、エジェクター70d、下保持体69d、及び下プレート68d等には、軸心穴37を成形した際に生じるポンチカス(打ち抜きカス)を外部へ排出する排出路127が形成されている。
貫通穴116及び貫穴117等には油圧回路130が接続されている。油圧回路130は、油圧ポンプ131と、第1切換弁132と、第2切換弁133と、リリーフ弁134とを備える。ポンプ131と第1切換弁132とは第1連結管135を介して連結され、第1切換弁132と第2切換弁133とは、逆止弁136が介設された第2連結管137を介して連結されている。第2連結管137にリリーフ弁134が接続管138を介して接続される。この場合、接続管138は、逆止弁136と第2切換弁132との間で接続される。
貫穴117と第2切換弁133とが第3連結管139を介して連結され、貫通穴116及びシリンダ室124の穴部124aが第4連結管140を介して第2切換弁133に連結されている。
図1に示す鍛造用金型装置を使用した鍛造方法を説明する。まず、前方押し工程用ステージ62において、下金型71aに素材35を投入し、前成形工程用ステージ63において、下金型71bに素材35aを投入し、成形工程用ステージ64において、素材36を下金型71cに投入し、穴明け工程用ステージ65において、成形品38を下金型71dに投入する。なお、前方押し工程用ステージ62と前成形工程用ステージ63とをまとめて素材成形工程用ステージと呼ぶ。
成形工程用ステージ64は閉塞鍛造型Mを構成することになる。このため、成形工程用ステージ64においては、下金型71cに素材35aを挿入した後に、ピストン113を下降させて上下金型71c、73cを閉状態とする。
その後、上型ユニット61を下降させて、前方押し工程用ステージ62において素材35aを成形し、前成形工程用ステージ63において素材36を成形し、成形工程用ステージ64において成形品38を成形し、穴明け工程用ステージ65において成形品38に軸心穴37を成形して製品39を成形することになる。すなわち、前方押し工程用ステージ62、前成形工程用ステージ63においては、パンチ111a、111b、111cにて素材35、36aを押圧することになる。成形工程用ステージ65においては、パンチ111bにて素材36を押圧してフランジ32を成形するともに、ピン121にて穴部37aを成形することができる。穴明けステージ66では、パンチ125にて穴部37を成形することができる。
ところで、切換弁132、133を切換えて、油圧ポンプ131からのオイルを第4連結管140に供給することによって、貫通穴116を介して、ピストン113の穴部113cにオイルが流入するとともに、シリンダ室124の穴部124aにオイルが流入する。これによって、各ピストン113、122が基盤102から下方へ押し下げられる。
このため、上型ユニット61を上昇させる際に、各ピストン113、122を基盤102から下方へ押し下げることにより、成形工程用ステージ64においては、パンチ111c及びピン121が上昇しつつ、成形品38がその位置に止まってパンチ111c及びピン121が成形品38から抜けていく。このように、ブロック片115、ピストン113等のシリンダ機構145にて、成形品38を下型ユニット60側に残した状態での上型ユニット61の上昇を可能とする成形品押え手段146を構成している。
また、穴明け工程ステージ65においては、パンチ125が上昇しつつ、押え型123にて製品39が押えられてその位置に止まってパンチ125が製品39から抜けていく。このように、押え型123と、ピストン122等を備えたシリンダ機構147にて、製品を下型ユニット60側に残した状態での上型ユニット61の上昇を可能とする押え手段148を構成している。
なお、この鍛造用金型装置においては、最初は、前方押し工程用ステージ62において、下金型71aに素材35を投入して、前成形工程用ステージ63に投入する素材35aを成形し、前成形工程用ステージ63にて成形された素材36を成形工程用ステージ64に投入して、成形工程用ステージ64にて成形品38が成形され、この成形品38を穴明け工程用ステージ65を投入することになる。
このように、前記図2に示す金型装置を使用すれば、筒状の軸部材31と、この軸部材31から外径方向へ延びるフランジ32とを備えたハブ輪39(車輪用軸受装置において、等速自在継手の外側継手部材の軸部が嵌入するハブ輪)を成形することができる。
本発明では、全工程で、温間〜熱間鍛造領域にて成形するので、加工硬化が進まない上変形抵抗が冷間鍛造に比べ小さいため材料割れの発生がなく、黒鉛または白色系潤滑剤の使用により連続加工を行うことができ、バッチ処理のない連続加工が可能となり、コスト低減が可能となる。
しかも、ブランク材35が中炭素鋼からなるので、成形品38に形成される転走面(ボール等の転動体が転動する転動面)に対して行う硬化処理方法として高周波焼入れがある。高周波焼入れを行う場合、転走面の表面に必要な硬さと深さの硬化層を安定して形成することができ、高品質の製品を提供することができる。
さらに、従来のような中空材を用いる必要がないので、種々の製品の穴径及び肉厚に合わせた素材を揃える必要がなくなることで、コストの低減を図ることができるとともに、在庫管理の簡素化を図ることができる。
ステージ65の穴明け工程において、油圧機構の油圧力を用いることができ、これによって、安定した穴明けを行うことができる。特に、押え型123と、ピストン122等を備えたシリンダ機構147にて、製品を下型ユニット60側に残した状態での上型ユニット61の上昇を可能とする押え手段148を構成している。このため、製品39の搬出作業が安定して、搬出時等において製品39を損傷させることがない。
しかも、一つの鍛造用金型装置(ダイセット)にて、素材35から製品39までを成形でき、生産性の向上を図るとともに、イニシャルコスト及びランニングコストの低減を図ることができる。
次に図4は他の実施形態を示し、この鍛造用金型装置を用いたフランジ構造体製造方法は、車輪用軸受装置の外輪を製造することになる。外方部材(外輪)52は、図5(e)と図8に示すように、軸部材としての本体筒部40と、この本体筒部40から外径方向へ延びるフランジ41とを備えたものであり、本体筒部40の内径面に軌道面42、43が成形される。
このフランジ構造体製造方法は、据込み工程と、この据込み工程にて成形された素材に対して両端面に凹窪部49,50を成形する前成形を行う前成形工程とを備え、これらの工程を密閉鍛造にて行い、その後の成形工程では、閉塞鍛造型による成形された成形品に対する穴明け工程を行うものである。この場合も、全工程において、温間から熱間領域で行う。
すなわち、図5(a)の軸部素材45に対して据込み工程を行って図(b)に示すような円盤状部材45aを成形する。次に、円盤状部材45aに対して、前成形工程を行って、図5(c)と図6に示すように両面に凹窪部49、50が形成された成形素材46を成形する。その後、この成形素材46に対して閉塞鍛造成形型M(図4参照)を用いて押し込み方向と直交する側方押し出し成形を施すことにより、図5(d)と図7に示すように、取付用フランジ41を備えた成形品47を成形する。その後は、この成形品47に穴開け工程を行うことによって、仕切部48を除去して図5(e)と図8に示すように、外輪52を成形する。フランジ構造体製造方法であっても、素材35を中炭素鋼からなる中実材として、素材成形工程、前成形工程、成形工程、及び穴明け工程において、温間から熱間鍛造領域で連続加工するものである。
図4に示す鍛造用金型装置は、下型ユニット163と上型ユニット164とを備え、下型ユニット163と上型ユニット164とで協働して、据込み工程を行う据込み工程用ステージ(第1ステージ)165と、前成形工程を行う前成形工程用ステージ(第2ステージ)166と、成形工程を行う成形工程用ステージ(第3ステージ)167と、穴明け工程を行う穴明け工程用ステージ(第4ステージ)168とを構成する。
下型ユニット163は、据込み工程用ステージ165の下ステージ165Aと、前成形工程用ステージ166の下ステージ166Aと、成形工程用ステージ167の下ステージ167Aと、穴明け工程用ステージ168の下ステージ168Aとが形成される基盤169を備える。上型ユニット164は、据込み工程用ステージ165の上ステージ165Bと、前成形工程用ステージ166の上ステージ166Bと、成形工程用ステージ167の上ステージ167Bと、穴明け工程用ステージ168の上ステージ168Bとが形成される基盤102を備える。なお、据込み工程用ステージ165と前成形工程用ステージ166とを合わせて素材成形工程用ステージと呼ぶ。
すなわち、各ステージ165A、166A、167A、168Aにおいては、基盤169に設けられた凹部170a、170b、170c、170dに嵌挿された下プレート171a、171b、171c、171dと、この下プレート171a、171b、171c、171d上に配置される下保持体172a、172b、172c、172dと、中間保持体173a、173b、173c、173dと、この中間保持体173a、173b、173c、173d上に配設される金型174a、174b、174c、174dと、金型保持体175a、175b、175cと、下保持体172a、172b、172c、172d等に挿入されるエジェクター176a、176b、176c、176d等を備える。
そして、各ステージの下保持体172a、172b、172c、172dは、保持ブロック体177を介して基盤169上に立設保持される。また、中間保持体173a、173b、173c、173dの外周側にはガイドリング178a、178b、178c、178dが配置されている。また、各プレート171a、171b、171c、171dには貫通穴が設けられ、各貫通穴に基盤169に貫穴169a、169b、169c、169dを介してピン180a、180b、180c、180dが嵌入されている。
上型ユニット164は、成形工程用ステージ167及び穴明け工程用ステージ168において、ピン121、125を有さない点を省いて前記図1に示す上型ユニットと同様の構成であるので、同一の構成については同一符号を付してそれらの説明を省略する。また、上型ユニット164に付設される油圧回路も、前記図1に示す油圧回路と同様の構成であるので、同一の構成については同一符号を付してそれらの説明を省略する。
この図4に示す鍛造用金型装置にて外輪52を成形するには、据込み工程用ステージ165において、下金型174aに素材45を投入し、前成形工程用ステージ166において、下金型174bに素材45aを投入し、成形工程用ステージ167において、素材46を下金型174cに投入し、穴明け工程用ステージ68において、成形品47を下金型174dに投入する。
その後、上型ユニット164を下降させて、据込み工程用ステージ165において素材45aを成形し、前成形工程用ステージ166において素材46を成形し、成形工程用ステージ167において素材47を成形し、穴明け工程用ステージ168において仕切部48を除去する。なお、除去された仕切部48は搬出路127を介して外部へ搬出される。
このように、図4に示す金型装置を用いて、車輪用軸受装置の外輪52を製造するこができる。この際、前記図1に示す金型装置を用いる場合と同様の作用効果を奏することができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、フランジ2が前記実施形態のように複数個が周方向に沿って配設されるものである場合、そのフランジ数の増減は任意である。また、車輪用軸受装置の外方部材(外輪)であっても、そのフランジ数の増減は任意である。
本発明の実施形態を示す鍛造用金型装置の断面図である。 前記鍛造用金型装置の各成形工程における断面図である。 前記フランジ構造体製造方法にて成形されたハブ輪の平面図である。 本発明の他の実施形態を示す鍛造用金型装置の断面図である。 前記図4に示す鍛造用金型装置の各成形工程における断面図である。 素材の平面図である。 素材の平面図である。 成形された外輪の平面図である。 従来の方法にて製造されたハブ輪の断面図である。 従来の方法にて製造されたハブ輪の平面図である。 車輪用軸受装置の断面図である。 従来のハブ輪の製造方法の工程図である。
符号の説明
31 軸部材
32 フランジ
35 素材
36 素材
37 軸心穴
S 成形品

Claims (3)

  1. 第1ステージから第4ステージまでを備え、中炭素鋼からなる中実材を素材として、軸部材とこの軸部材から外径方向へ延びるフランジとを有するフランジ構造体を成形する鍛造用金型装置であって、
    第1ステージから第4ステージまでは協動しており、第1ステージから第2ステージにかけて素材に前加工を行い、第3ステージではフランジを成形する成形加工を行い、第4ステージでは第3ステージにて成形された成形品に軸心穴を形成する穴明け加工を行い、第1ステージから第4ステージにかけて、温間から熱間鍛造領域で連続加工することを特徴とする鍛造用金型装置。
  2. 第4ステージにおける穴明け工程において、油圧機構の油圧力を用いることを特徴とする請求項2の鍛造用金型装置。
  3. 中空の軸部材と、この軸部材から外径方向へ延びるフランジとを備えたフランジ構造体を成形するフランジ構造体製造方法であって、
    前記フランジを成形する成形工程と、素材が投入されて前記成形工程に投入される成形素材を成形する素材成形工程及び前成形工程と、成形工程にて成形された成形品に軸心穴を形成する穴明け工程とを備え、前記素材を中炭素鋼からなる中実材として、素材成形工程、前成形工程、成形工程、及び穴明け工程において、温間から熱間鍛造領域で連続加工することを特徴とするフランジ構造体製造方法。
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