JP2008221341A - 鉛フリーはんだ合金 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のSn主成分の鉛フリーはんだは、トランスやモーターのコイル部品端部に予備メッキを行うと、溶融はんだに形成される酸化屑がメッキ部に付着し、更に、廃棄される酸化屑が多いものであった。本発明は、400℃近傍でのはんだの酸化進行を抑制した鉛フリーはんだを提供することにある。。
【解決手段】Cu3〜8質量%、Gaが0.005〜0.1質量%、Pおよび/またはGeの合計が0.001〜0.2質量%残部Snで液相線温度420℃以下である鉛フリーはんだ合金。さらにこれらにNi、Coのような銅食われ抑制元素を添加したり、Agのような濡れ性改善合金を添加したりする。
【選択図】 なし
【解決手段】Cu3〜8質量%、Gaが0.005〜0.1質量%、Pおよび/またはGeの合計が0.001〜0.2質量%残部Snで液相線温度420℃以下である鉛フリーはんだ合金。さらにこれらにNi、Coのような銅食われ抑制元素を添加したり、Agのような濡れ性改善合金を添加したりする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、鉛フリーはんだ合金、特にコイルの端部のはんだ付けや予備メッキするのに適したSn主成分の鉛フリーはんだ合金に関する。
電子機器にはトランスのようにリード部分に銅細線が巻かれたコイル部品が使われ、またコンピューターのディスクドライブや冷却ファン等のモーターにはやはりコイルを巻いた部品が使われている。これらのコイルは導通をとるため、端部が電子機器やモーターの端子とはんだ付けされる。
一般にコイル部品の銅線は、表面にエナメルが塗装され、さらにその上にポリウレタン樹脂が被覆されているため、このままではコイル端部と端子とは、はんだ付けができない。そこではんだ付けするときには、コイル端部のエナメルやポリウレタン樹脂(以下、被覆材という)を除去しなければならない。この被覆材の除去は、機械的に刃物で剥がすことも考えられるが、機械的除去は手間がかかって生産性が悪い。そこでコイル端部の被覆材の除去は、被覆材を熱で溶かして除去する方法が採られている。被覆材を熱で除去する方法とは、溶融はんだ中にコイル端部を浸漬することにより、溶融はんだの熱で被覆材を溶かして除去するものである。
ところでコイル端部を端子にはんだ付けするときは、良好なはんだ付け部を得るために、コイル端部に予め予備メッキを施しておく。一般にコイル端部の予備メッキは、溶融はんだ中にコイル端部を浸漬することにより行うが、前述の被覆材の除去でもコイル端部を溶融はんだに浸漬することから、この溶融はんだへのコイル端部の浸漬は、被覆材の除去と同時に予備メッキを行うという合理的な作業ができることになる。
コイル端部の被覆材の除去と予備メッキは、コイル端部にフラックスを塗布し、その後、該端部を溶融はんだ中に浸漬する。すると溶融はんだの熱により被覆材が溶け、またコイル端部に塗布したフラックスが浸漬したコイル端部の周囲に浮く。従って、被覆材が除去され、銅線が露出したところにフラックスが作用して、溶融はんだが銅線に金属的に接合する。
コイル端部の予備メッキとして、従来はPb-Snはんだを使用していたが、Pb-SnはんだはPb公害のため使用が規制されるようになってきたことから、近時はPbを含まない鉛フリーはんだを使用するようになってきた。コイル端部のはんだ付けの場合、被覆材を溶解、除去するため溶融はんだの温度を400℃近傍としなければならない。鉛フリーはんだにおいて溶融はんだの温度を高くすると、溶融はんだ表面の酸化が進行して大量の酸化物が発生する。該酸化物の大量発生は、はんだ付け部に付着する量も多くなって製品の外観特性を低下させるとともに、高価な鉛フリーはんだが酸化して廃棄されるため経済的にも好ましいものではない。
鉛フリー合金の酸化物抑制対策としては、P、Geの添加が250℃近傍において有効であることが報告されている(例えば文献1参照)。またSn-Cu系鉛フリーはんだ合金にやはり酸化物抑制策としてGeを入れたもの(例えば文献2)やGaを入れたもの(例えば文献3)がある。
ところで、溶融はんだ表面の酸化が進行する要因は、はんだ表面に形成される酸化物の主成分がSnであり、該Snが大気中の酸素で容易に酸化して、それが進行するためと考えられる。P、Ge、Gaを単独で添加した従来の酸化抑制鉛フリーはんだでは、250℃近傍において酸化は抑制されるが、400℃近傍では酸化の抑制効果は得られない。本発明は、400℃近傍で酸化抑制効果を示す鉛フリーはんだ合金を提供することにある。
本発明者は、Sn主成分に対して、P、Ge、Gaは250℃近傍において単独の添加で酸化抑制効果があるが、Gaを添加したものに、さらにPおよび/またはGeを添加すると、Gaとの相乗作用で400℃近傍でも耐酸化抑制効果があることを知り、本発明を完成させた。
請求項1は、銅線の端部を予備めっきするはんだ合金において、Cuが3〜8質量%、Niおよび/またはCoが合計で0.01〜3質量%、Gaが0.005〜0.1質量%、PまたはGeのうちの少なくとも1種以上が0.001〜0.2質量%、残部がSnからなることを特徴とする予備めっき用はんだ合金である。
以上説明したように、本発明の鉛フリーはんだ合金は酸化が容易に進行するSn主成分であるにもかかわらず、酸化の進行が抑制され、メッキ表面への酸化屑のの付着を防ぎ、さらに廃棄処分される酸化屑を減少できるばかりでなく、生産コストを抑制できるという従来のSn-Cu系鉛フリーはんだ合金にない優れた効果を奏するものである。
コイルの被覆材であるエナメルやポリウレタン樹脂の被覆材を除去する場合、400℃近傍まで加熱しなければならない。溶融はんだに物品を浸漬してはんだ付けする場合の温度は、部品の熱容量にもよるが、液相線温度+20〜50℃で行うのが一般的である。しかしながら、はんだ付け温度が470℃以上になると、コイル端部を溶融はんだに浸漬したときに被覆材が瞬時に炭化してコイル端部に付着し、これがはんだの金属的接合を妨げるようになる。そこでコイル端部の予備メッキに使用するはんだ合金は、はんだ付け温度が470℃以下となるように、はんだ液相線温度420℃以下のはんだ合金が望ましい。またはんだ付け温度が470℃以上になると、銅食われが激しくなってしまう。
本発明の鉛フリーはんだ合金では、銅食われ防止効果のあるCuが3質量%よりも少ないと銅食われ防止の効果が現れず、しかるにCuを8質量%よりも多く添加すると、液相線温度が420℃以上となり、銅食われが激しくなるとともに、はんだ付け性が悪くなる。
本発明の鉛フリーはんだ合金はSn-Cu系合金に対してGaを添加するとともにPおよび/またはGeを添加することで従来のSn-Cuはんだ合金よりも耐酸化性を改善したものである。Gaは0.005質量%より少ない添加では酸化抑制効果が現れず、しかるに0.1質量%よりも多くなると、はんだ付け性を阻害するようになる。
Gaを添加したSn-Cu系合金にP、Geを1種以上同時に添加すると高温時における酸化抑制効果が現れる。ここでのP、Geの添加量は、それぞれ単独,或いは同時の添加でも添加量が0.001質量%より少ないと高温での酸化抑制効果が現れず、0.2質量%を超えて添加されるとGa同様はんだ付け性を阻害するようになる
Sn-Cu系合金では400℃近傍における銅食われが激しいため、銅食われ防止効果のあるCoやNiを1種以上添加しておくこともできる。NiとCoは添加量が各々/または合計で0.01質量%よりも少ない添加では、その効果が現れず、しかるにNi、Coの添加量が各々/または合計で3質量%を超えて添加すると液相線温度が本発明が目的とする420℃を超えてしまう。
溶融はんだにコイル端部を浸漬したときに、溶融はんだはコイル端部の浸漬した部分まで十分に濡れなければならないが、Sn-Cu-Ga-P/Ge系鉛フリーはんだは濡れ性が十分でなく、溶融はんだに浸漬した部分まで濡れなかったり、未はんだが発生したりすることがある。このような場合、濡れ性改善元素を添加してもよい。濡れ性改善元素としてはAgがある。Agの添加が0.05質量%よりも少ないと濡れ性向上効果が現れず、しかるに2質量%より多く添加しても、それ以上の効果は期待できないばかりでなく、高価なAgの大量の添加は経済的に好ましいものではない。
本発明の実施例と比較例を表1に示す。
表1の説明
酸化物発生量:はんだ槽の中ではんだを440℃の温度で溶融状態にしておく。次に、30秒毎にはんだ表面に形成された酸化被膜を7回掻き取りその重量の合計を測定する。
酸化物発生量:はんだ槽の中ではんだを440℃の温度で溶融状態にしておく。次に、30秒毎にはんだ表面に形成された酸化被膜を7回掻き取りその重量の合計を測定する。
実験結果からも明らかなように、本発明の鉛フリーはんだ合金は、従来のP、Ge、Gaを単独に添加したSn-Cu系鉛フリーはんだ合金よりも400℃近傍での酸化物の発生量が少なく酸化が抑制されていることが分かる。
Claims (2)
- Cuが3〜8質量%、Niおよび/またはCoが合計で0.01〜3質量%、Gaが0.005〜0.1質量%、PまたはGeのうちの少なくとも1種以上が0.001〜0.2質量%、残部がSnからなることを特徴とする鉛フリーはんだ合金。
- 前記、はんだ合金においてさらに、Agが0.005〜2質量%添加されていることを特徴とする請求項1に記載の鉛フリーはんだ合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008137643A JP2008221341A (ja) | 2008-05-27 | 2008-05-27 | 鉛フリーはんだ合金 |
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JP2008137643A JP2008221341A (ja) | 2008-05-27 | 2008-05-27 | 鉛フリーはんだ合金 |
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JP2008137643A Pending JP2008221341A (ja) | 2008-05-27 | 2008-05-27 | 鉛フリーはんだ合金 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014523064A (ja) * | 2011-06-17 | 2014-09-08 | エルジー・ケム・リミテッド | ソルダリングコネクター、これを含むバッテリーモジュール、及びバッテリーパック |
EP3189929A4 (en) * | 2014-09-04 | 2017-12-06 | Senju Metal Industry Co., Ltd. | Lead-free solder alloy for use in terminal preplating, and electronic component |
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2008
- 2008-05-27 JP JP2008137643A patent/JP2008221341A/ja active Pending
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