JP2008206437A - カキの養殖法およびカキ - Google Patents
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Abstract
【課題】カキの旨味が多く、養殖に要する労力も軽減できる養殖法と旨味の多いカキを提供する。
【解決手段】カキの精子と卵子を配合して受精させる人工授精工程Iと、受精卵を幼生となるまで水槽内で成長させる受精卵保育工程IIと、幼生をカキ粉に付着させて種ガキを作る種付け工程IIIと、個々の種ガキを水槽内で成体ガキに成長させる1次養殖工程IVと、前記成体ガキを海中の養殖カゴ内でさらに成長させる2次養殖工程Vとからなる。人口受精工程Iと受精卵保育工程IIと種付け工程IIIと1次養殖工程IVとは陸上設備で行えるので、天候異変の影響を受けず労力も軽減できる。2次養殖を行う海中養殖の段階では、貝殻の成長を抑制するので、海中より摂取した栄養分は貝の成長にのみ向けられることから旨味の高いカキが得られる。一つ一つの種から一つのカキを育てていくので、優性種を選ぶことで大きく旨味のあるカキが得られる。
【選択図】図1
【解決手段】カキの精子と卵子を配合して受精させる人工授精工程Iと、受精卵を幼生となるまで水槽内で成長させる受精卵保育工程IIと、幼生をカキ粉に付着させて種ガキを作る種付け工程IIIと、個々の種ガキを水槽内で成体ガキに成長させる1次養殖工程IVと、前記成体ガキを海中の養殖カゴ内でさらに成長させる2次養殖工程Vとからなる。人口受精工程Iと受精卵保育工程IIと種付け工程IIIと1次養殖工程IVとは陸上設備で行えるので、天候異変の影響を受けず労力も軽減できる。2次養殖を行う海中養殖の段階では、貝殻の成長を抑制するので、海中より摂取した栄養分は貝の成長にのみ向けられることから旨味の高いカキが得られる。一つ一つの種から一つのカキを育てていくので、優性種を選ぶことで大きく旨味のあるカキが得られる。
【選択図】図1
Description
本発明は、カキの養殖法およびカキに関する。さらに詳しくは、真カキ、岩カキ、アサリ貝などの二枚貝を一種(タネ)毎に養殖する方法と、その方法により養殖されたカキに関する。
カキは、岩礁に左殻で付着するイタボガキ科の二枚貝の総称であるが、とくに食用とされるマガキを指すことも多い。
これらのカキ類の特性はつぎのとおりである。付着生活のため形は一定せず、貝殻の形状は不規則である。殻は付着する左殻が大きく深くなり、右殻はやや小さくて余り膨らまない。両殻のかみ合わせには黒い靭帯があるが、歯はないか、はなはだ弱い。軟体の中央には大きい後閉殻筋(貝柱)があり、外套膜の中のえらは大きい。雌雄同体であるが雌性の強いものと雄性の強いものとがあり、雌雄性の割合はそのときの条件で決定される。
イタボガキなど卵胎生の種類では、雌雄の卵子と精子が同じ生殖腺内でできるが、マガクなど卵生の種類では卵子と精子が交代して作られる。
産卵は22〜25℃が適温で、水中に産み出された卵はベリジャー幼生となるが、20日前後で付着生活に入る。成長は1年で7cm、重量60gくらい、2年で10cm、140gくらいになるが、その後はあまり大きくならない。
これらのカキ類の特性はつぎのとおりである。付着生活のため形は一定せず、貝殻の形状は不規則である。殻は付着する左殻が大きく深くなり、右殻はやや小さくて余り膨らまない。両殻のかみ合わせには黒い靭帯があるが、歯はないか、はなはだ弱い。軟体の中央には大きい後閉殻筋(貝柱)があり、外套膜の中のえらは大きい。雌雄同体であるが雌性の強いものと雄性の強いものとがあり、雌雄性の割合はそのときの条件で決定される。
イタボガキなど卵胎生の種類では、雌雄の卵子と精子が同じ生殖腺内でできるが、マガクなど卵生の種類では卵子と精子が交代して作られる。
産卵は22〜25℃が適温で、水中に産み出された卵はベリジャー幼生となるが、20日前後で付着生活に入る。成長は1年で7cm、重量60gくらい、2年で10cm、140gくらいになるが、その後はあまり大きくならない。
カキの養殖法は、1920年代からイカダによる垂下養殖法が用いられている。その概要は、つぎのとおりである(非特許文献1)。
内湾の海水温が24〜25℃になる5〜8月が産卵期、海中を遊泳している幼生が0.4mmくらいに成長すると岩などに定着し始める。このときに、カキ殻やホタテ殻を連ねたコレクター(付着器)を海中に入れ稚貝を付着させ採苗する。付着した稚貝の成長は速く4〜5日でゴマ粒くらいになる。これが種ガキである。これをいかだ式垂下養殖するのであるが、この方法では種ガキが常に水中にあって餌を食べるので、干潮時に露出する岩についているものより成長が速い。春に種ガキを垂下すると冬には収穫できる大きさになる。種ガキは宮城県が主産地で、養殖は広島県、有明海、宮城県などで盛んである。
内湾の海水温が24〜25℃になる5〜8月が産卵期、海中を遊泳している幼生が0.4mmくらいに成長すると岩などに定着し始める。このときに、カキ殻やホタテ殻を連ねたコレクター(付着器)を海中に入れ稚貝を付着させ採苗する。付着した稚貝の成長は速く4〜5日でゴマ粒くらいになる。これが種ガキである。これをいかだ式垂下養殖するのであるが、この方法では種ガキが常に水中にあって餌を食べるので、干潮時に露出する岩についているものより成長が速い。春に種ガキを垂下すると冬には収穫できる大きさになる。種ガキは宮城県が主産地で、養殖は広島県、有明海、宮城県などで盛んである。
ところで、上記従来のいかだ式垂下法では、イカダから海中に吊下げたコレクター(数m位の長さのワイヤーなど)に沢山のカキが付着して成長していくことになる。また、養殖の始めから終りまで海中で養殖することになる。
しかるに、この従来例では、カキが連なって成長するので、海中から摂取する栄養分が分散し劣性種のカキに食われて優性種のカキに充分栄養が行き渡らない。また、殻の成長に使われて貝の成長には一部しか使われないので、旨味に限界がある。さらに、養殖には人手による作業も必要であるが、常に海上に出て行うため多大な労力を用し、天候風浪の影響で収穫が減少することもある。
しかるに、この従来例では、カキが連なって成長するので、海中から摂取する栄養分が分散し劣性種のカキに食われて優性種のカキに充分栄養が行き渡らない。また、殻の成長に使われて貝の成長には一部しか使われないので、旨味に限界がある。さらに、養殖には人手による作業も必要であるが、常に海上に出て行うため多大な労力を用し、天候風浪の影響で収穫が減少することもある。
平凡社大百科事典3巻90頁
本発明は上記事情に鑑み、カキの旨味が高く、養殖に要する労力も軽減でき、天候にかかわらず収穫できる養殖法を提供することを目的とする。また、旨味の多いカキを提供することを目的とする。
第1発明のカキの養殖法は、カキの精子と卵子を配合して受精させる人工授精工程と、受精卵を幼生となるまで水槽内で成長させる受精卵保育工程と、幼生をカキ粉に付着させて種ガキを作る種付け工程と、個々の種ガキを水槽内で成体ガキに成長させる1次養殖工程と、前記成体ガキを海中の養殖カゴ内でさらに成長させる2次養殖工程とからなることを特徴とする。
第2発明のカキの養殖法は、第1発明において、前記2次養殖工程において、成体ガキの貝殻の成長を抑制することを特徴とする。
第3発明のカキは、請求項1の養殖法により、個別の種ガキから個別の成体ガキを成長させたことを特徴とする。
第2発明のカキの養殖法は、第1発明において、前記2次養殖工程において、成体ガキの貝殻の成長を抑制することを特徴とする。
第3発明のカキは、請求項1の養殖法により、個別の種ガキから個別の成体ガキを成長させたことを特徴とする。
第1発明によれば、人口受精工程と受精卵保育工程と種付け工程と1次養殖工程とは陸上設備で行えるので、天候異変の影響を受けず労力も軽減できる。
第2発明によれば、2次養殖を行う海中養殖の段階で、貝殻の成長を抑制するので、海中より摂取した栄養分は貝の成長にのみ向けられることから旨味の高いカキが得られる。
第3発明によれば、一つ一つの種から一つのカキを育てていくので、優性種を選ぶことで大きく旨味のあるカキが得られる。
第2発明によれば、2次養殖を行う海中養殖の段階で、貝殻の成長を抑制するので、海中より摂取した栄養分は貝の成長にのみ向けられることから旨味の高いカキが得られる。
第3発明によれば、一つ一つの種から一つのカキを育てていくので、優性種を選ぶことで大きく旨味のあるカキが得られる。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の養殖法の説明図である。
本発明の養殖法は、人口受精工程Iと受精卵保育工程IIと種付け工程IIIと1次養殖工程IVとは陸上設備で行い、2次養殖工程Vは海上で行うことを特徴としている。
以下、その養殖法を工程順に説明する。
図1は本発明の養殖法の説明図である。
本発明の養殖法は、人口受精工程Iと受精卵保育工程IIと種付け工程IIIと1次養殖工程IVとは陸上設備で行い、2次養殖工程Vは海上で行うことを特徴としている。
以下、その養殖法を工程順に説明する。
(人工授精工程I)
カキの精子と卵子を配合して受精させる工程である。
精子と卵子の放出は、雌雄の母貝に水槽中で電気ショックを与えたり、切開することで可能である。
そして、放出された精子と卵子を同一水槽中で配合すると、それらの一部が受精し、卵が生まれる。
カキの精子と卵子を配合して受精させる工程である。
精子と卵子の放出は、雌雄の母貝に水槽中で電気ショックを与えたり、切開することで可能である。
そして、放出された精子と卵子を同一水槽中で配合すると、それらの一部が受精し、卵が生まれる。
(受精卵保育工程II)
前記工程Iで得られた受精卵を幼生となるまで水槽内で成長させる。受精卵のうち、一部が幼生に成長するが、通常数時間を要する。
前記工程Iで得られた受精卵を幼生となるまで水槽内で成長させる。受精卵のうち、一部が幼生に成長するが、通常数時間を要する。
(種付け工程III)
前記工程で得られた幼生をカキ粉に付着させて種ガキを作る工程である。カキ粉は予めカキ貝を砕いて粉にしておいたものを用いる。
前記工程で得られた幼生をカキ粉に付着させて種ガキを作る工程である。カキ粉は予めカキ貝を砕いて粉にしておいたものを用いる。
(1次養殖工程IV)
個々の種ガキを水槽内で成体ガキに成長させる工程である。水槽中の水温を21℃〜27℃に保ち、植物性プランクトン等をエサとして給餌する。通常、数週間程度を要し、この間に種ガキは数mm程度まで成長する。
個々の種ガキを水槽内で成体ガキに成長させる工程である。水槽中の水温を21℃〜27℃に保ち、植物性プランクトン等をエサとして給餌する。通常、数週間程度を要し、この間に種ガキは数mm程度まで成長する。
(2次養殖工程V)
前記工程IVである程度成長した成体ガキを海中の養殖カゴ内でさらに成長させる工程である。海中で自力で栄養摂取するのに適した4〜6mm程度の大きさに成長した後は、海中養殖に移る。この場合、図2に示す養殖カゴ1に入れ、イカダ2等から海中に吊るす。養殖カゴ1は網製であり、この中に数10〜数100の成体ガキ0を入れておくと、海中でカキ0は栄養分を摂取し、成長していく。約10カ月で食用にできるまで成長する。
前記工程IVである程度成長した成体ガキを海中の養殖カゴ内でさらに成長させる工程である。海中で自力で栄養摂取するのに適した4〜6mm程度の大きさに成長した後は、海中養殖に移る。この場合、図2に示す養殖カゴ1に入れ、イカダ2等から海中に吊るす。養殖カゴ1は網製であり、この中に数10〜数100の成体ガキ0を入れておくと、海中でカキ0は栄養分を摂取し、成長していく。約10カ月で食用にできるまで成長する。
図3は成長して食用に供されるカキの外観を示しており、身mは2枚の殻sに包まれている。ところで、海中で養殖中に摂取した栄養分は身mの成長にも使われるが、殻sの成長にも使われる。したがって、海中で自然に養殖するだけであると殻sが割合大きくなって、身mに栄養分が廻らないので、さほど旨味の良いものは期待できない。
そこで、本発明では、前記2次養殖工程Vにおいて貝殻sの成長を抑制することを特徴とする。具体的には、養殖カゴ1を時々海中から引き上げ、太陽光線に当てると共に、イカダ上や陸上で養殖カゴ1をゆすったり振動させたりして、カキ同士の摩擦により殻sを磨滅させる。なお、殻sを磨滅させることができれば、どのような手法をとってもよい。
このように殻sを磨滅させると、栄養分がより多く身mに吸収されることになり、また太陽光線によって栄養分が濃縮され、身mが充分に大きくなり、しかも旨味も増すのである。
そこで、本発明では、前記2次養殖工程Vにおいて貝殻sの成長を抑制することを特徴とする。具体的には、養殖カゴ1を時々海中から引き上げ、太陽光線に当てると共に、イカダ上や陸上で養殖カゴ1をゆすったり振動させたりして、カキ同士の摩擦により殻sを磨滅させる。なお、殻sを磨滅させることができれば、どのような手法をとってもよい。
このように殻sを磨滅させると、栄養分がより多く身mに吸収されることになり、また太陽光線によって栄養分が濃縮され、身mが充分に大きくなり、しかも旨味も増すのである。
以上の養殖法によると、一つの種(タネ)から一つのカキが養殖される。そして、人口受精工程Iと受精卵保育工程IIと種付け工程IIIと1次養殖工程IVとは陸上設備で行えるので、天候異変の影響を受けず労力も軽減できる。
また、海中養殖の段階で、貝殻の成長を抑制するので、海中より摂取した栄養分は貝の成長にのみ向けられることから旨味の高いカキが得られる。
そして、一つの種から一つのカキを育てていく過程で、優性種を選ぶことができ、少性種への栄養の分散がないので大きく旨味のあるカキが得られる。
また、海中養殖の段階で、貝殻の成長を抑制するので、海中より摂取した栄養分は貝の成長にのみ向けられることから旨味の高いカキが得られる。
そして、一つの種から一つのカキを育てていく過程で、優性種を選ぶことができ、少性種への栄養の分散がないので大きく旨味のあるカキが得られる。
1 養殖カゴ
2 イカダ
0 カキ
2 イカダ
0 カキ
Claims (3)
- カキの精子と卵子を配合して受精させる人工授精工程と、
受精卵を幼生となるまで水槽内で成長させる受精卵保育工程と、
幼生をカキ粉に付着させて種ガキを作る種付け工程と、
個々の種ガキを水槽内で成体ガキに成長させる1次養殖工程と、
前記成体ガキを海中の養殖カゴ内でさらに成長させる2次養殖工程とからなる
ことを特徴とするカキの養殖法。 - 前記2次養殖工程において、成体ガキの貝殻の成長を抑制する
ことを特徴とする請求項1記載のカキの養殖法。 - 請求項1の養殖法により、個別の種ガキから個別の成体ガキを成長させた
ことを特徴とするカキ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007045725A JP2008206437A (ja) | 2007-02-26 | 2007-02-26 | カキの養殖法およびカキ |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2008206437A true JP2008206437A (ja) | 2008-09-11 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2007
- 2007-02-26 JP JP2007045725A patent/JP2008206437A/ja active Pending
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