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JP2008263140A - 窒化物半導体素子 - Google Patents

窒化物半導体素子 Download PDF

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JP2008263140A
JP2008263140A JP2007106309A JP2007106309A JP2008263140A JP 2008263140 A JP2008263140 A JP 2008263140A JP 2007106309 A JP2007106309 A JP 2007106309A JP 2007106309 A JP2007106309 A JP 2007106309A JP 2008263140 A JP2008263140 A JP 2008263140A
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Wataru Saito
渉 齋藤
Hidetoshi Fujimoto
英俊 藤本
Takao Noda
隆夫 野田
Yasunobu Saito
泰伸 斉藤
Tomohiro Nitta
智洋 新田
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Abstract

【課題】安定した高耐圧を有し、信頼性が高い窒化物半導体素子を提供する。
【解決手段】GaN−HFETにおいて、アンドープのGaN層1上にアンドープ又はn型のAlGaN層2を設け、その上に、それぞれAlGaN層2に接続されたソース電極3及びドレイン電極4を設け、その間にゲート電極5を設ける。また、GaN層1の上層部及びAlGaN層2におけるソース電極3の直下域の一部及びゲート電極5の直下域の一部を含む領域に、ソース電極3及びゲート電極5に接続されるように、p層6を形成する。更に、ゲート電極5を覆うようにフィールド絶縁膜7を設け、フィールド絶縁膜7上におけるゲート電極5の直上域を含む領域にソース電極3に接続されたソースFP電極8を設ける。そして、ソースFP電極8とドレイン電極4との間の距離を、p層6とドレイン電極4との間の距離よりも長くする。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物半導体素子に関し、特に、横形の電力用窒化物半導体素子に関する。
窒化ガリウム(GaN)はシリコン(Si)に比べてバンドギャップが大きいため、GaNを用いた半導体素子はSiを用いた半導体素子よりも臨界電界が高く、小型で高耐圧な素子を実現しやすい。このため、GaNを用いて電力制御用の半導体素子を作製すれば、オン抵抗が低く、損失が小さい素子を実現できる。特に、AlGaN/GaNヘテロ構造を用いた電界効果トランジスタ(HFET:Heterostructure Field-Effect Transistor)は、単純な素子構造で良好な特性を期待できる。このようなHFETにおいては、GaN層上にAlGaN層が形成され、その上にソース電極、ゲート電極及びドレイン電極が設けられている。そして、GaN層内におけるAlGaN層との界面付近に発生した二次元電子ガス(2DEG)をキャリアとして、ドレイン電極とソース電極との間に電流を流すことができる。
このような横形の電力制御用半導体素子においては、ゲート電極の端部における電界の集中を防止するために、ゲート電極を覆うようにフィールド絶縁膜を設け、このフィールド絶縁膜の内部又は上方に、ソース電極又はゲート電極に接続されたフィールドプレート電極を設けることがある(例えば、特許文献1参照。)。これにより、電界の集中点をゲート電極の端部とフィールドプレート電極の端部とに分散させることができる。このとき、ゲート電極の端部に集中する電界は、半導体層、すなわち、AlGaN層及びGaN層に印加される。一方、フィールドプレート電極の端部に集中する電界は、フィールド絶縁膜に印加される。
しかしながら、従来のHFETには以下に示すような問題点がある。GaNの臨界電界はSiの臨界電界の10倍以上と高く、絶縁膜の破壊電界と同程度ある。このため、半導体層と絶縁膜には同程度の電界を印加することが可能となるが、そうすると、素子の耐圧がフィールド絶縁膜の破壊電界によって決まってしまう。そして、絶縁膜の破壊電界は成膜方法によって異なり、単結晶半導体の臨界電界に比べてばらつき易い。このため、素子耐圧がフィールド絶縁膜の破壊電界のばらつきに起因してばらついてしまい、耐圧の安定性が低い。
また、フィールド絶縁膜に印加される電界強度が破壊電界の強度未満であったとしても、長期間印加され続けることにより、絶縁膜が劣化し、次第にリーク電流が増大してしまう。そして、場合によっては、最終的に絶縁膜が破壊されてしまう。このため、フィールドプレート電極の端部に電界が強く集中すると、素子の長期的な信頼性を損う虞がある。
特開2005−93864号公報
本発明の目的は、安定した高耐圧を有し、信頼性が高い窒化物半導体素子を提供することである。
本発明の一態様によれば、アンドープAlGa1−xN(0≦x<1)からなる第1の半導体層と、前記第1の半導体層上に設けられ、アンドープ又はn型AlGa1−yN(0<y≦1、x<y)からなる第2の半導体層と、少なくとも前記第2の半導体層の上面に選択的に形成されたp型の第3の半導体層と、前記第2の半導体層及び前記第3の半導体層に接続されたソース電極と、前記第2の半導体層に接続されたドレイン電極と、前記第2の半導体層上に設けられたゲート電極と、前記第2の半導体層上に設けられ、前記ゲート電極を覆うフィールド絶縁膜と、前記フィールド絶縁膜上における前記ゲート電極の直上域を含む領域に設けられ、前記ソース電極に接続されたフィールドプレート電極と、を備え、前記フィールドプレート電極と前記ドレイン電極との間の距離は、前記第3の半導体層と前記ドレイン電極との間の距離よりも長いことを特徴とする窒化物半導体素子が提供される。
本発明によれば、安定した高耐圧を有し、信頼性が高い窒化物半導体素子を実現することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面中の同一又は対応する部分には、同一の符号を付している。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体素子の構成を模式的に例示する断面図、及び横軸にこの素子における電流方向の位置をとり縦軸に電界の強度をとって素子内の電界分布を例示するグラフ図である。
本実施形態に係る窒化物半導体素子は、AlGaN/GaNへテロ構造を利用した横形のHFET(以下、「GaN−HFET」という)であり、例えば、高電圧電流の出力制御に用いられるものである。
図1に示すように、本実施形態に係るGaN−HFETにおいては、基板(図示せず)上に、第1の半導体層として、アンドープのAlGa1−xN(0≦x<1)、例えば、GaNからなるGaN層1が設けられている。また、このGaN層1上には、第2の半導体層として、アンドープ又はn型のAlGa1−yN(0<y≦1、x<y)、例えば、アンドープのAlGaNからなるAlGaN層2が設けられている。更に、AlGaN層2上には、ソース電極3及びドレイン電極4が相互に離隔して設けられており、ソース電極3とドレイン電極4との間には、ゲート電極5が設けられている。
GaN層1におけるAlGaN層2との界面近傍(以下、「AlGaN/GaNへテロ界面」ともいう)には、二次元電子ガス(2DEG)が発生するが、ソース電極3及びドレイン電極4は、この2DEGにオーミック接続されている。また、ゲート電極5は、AlGaN層2との間でショットキー接合を形成している。一例では、ソース電極3及びドレイン電極4は、2DEGに対するコンタクト抵抗率が低いチタン(Ti)によって形成されており、ゲート電極5はショットキー接合におけるバリア高さが高いニッケル(Ni)により形成されている。
また、GaN層1の上層部及びAlGaN層2には、第3の半導体層として、p型のp層6が選択的に形成されている。p層6は、例えば、GaN層1の上層部及びAlGaN層2に対して、p型不純物、例えば、フッ素(F)又はマグネシウム(Mg)を選択的にドープすることによって形成されている。p層6は、ソース電極3の直下域の一部及びゲート電極5の直下域の一部を含む領域に形成されており、これにより、ソース電極3及びゲート電極5に接続されている。すなわち、ソース電極3は、AlGaN層2及びp層6に接続されている。なお、p層6は必ずしもGaN層1内に形成されている必要はなく、少なくともAlGaN層2の上面に形成されていればよい。
更に、AlGaN層2上にゲート電極5を覆うようにフィールド絶縁膜7が設けられており、このフィールド絶縁膜7上には、ソース電極3に接続されたソースフィールドプレート電極(以下、「ソースFP電極」という)8が設けられている。ソースFP電極8は、フィールド絶縁膜7上において、ソース電極3の直上域から、ゲート電極5の直上域を越えて、ドレイン電極4の直上域の近傍まで張り出している。すなわち、ソースFP電極8は、フィールド絶縁膜7上におけるゲート電極5の直上域を含む領域に設けられている。
そして、本実施形態に係るGaN−HFETにおいては、ソースFP電極8とドレイン電極4との間の距離は、p層6とドレイン電極4の間の距離よりも長い。例えば、上方、すなわち、AlGaN層2の上面に対して垂直な方向から見て(以下、「平面視で」という)、p層6は、ソースFP電極8よりもドレイン電極4側まで張り出している。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態に係るGaN−HFETにおいては、ソース電極3とドレイン電極4との間(以下、「ソース・ドレイン間」ともいう)に電圧を印加することにより、AlGaN/GaNへテロ界面に発生した2DEGをキャリアとして、ソース電極3とドレイン電極4との間に電流を流すことができる。また、ゲート電極5に負電位を印加することにより、AlGaN/GaNへテロ界面におけるゲート電極5の直下域に空乏層を形成し、電流を遮断することができる。
このとき、ソース電極3とドレイン電極4との間に高電圧を印加すると、ゲート電極5のドレイン電極4側の端部において電界が集中する。そして、この電界の強度が限界を超えると、アバランシェ降伏が起こる。このアバランシェ降伏が起こる電圧が、素子(GaN−HFET)の耐圧である。従って、素子の耐圧を高めるためには、ゲート電極5の端部における電界の集中を抑制することが必要である。
このため、このGaN−HFETにおいては、ゲート電極5の直上域を含む領域に、ソースFP電極8を設けている。これにより、ゲート電極5の端部における電界の集中を緩和して、素子の耐圧を向上させることができる。また、ゲート電極5の端部における電界集中を緩和することにより、ソース・ドレイン間に高電圧を印加したときに2DEGが電界加速されることを抑制することができる。これにより、電界加速された電子がフィールド絶縁膜7とAlGaN層2との界面及びGaN層1中の結晶欠陥などにトラップされることを抑制することができ、トラップされた電子により2DEGの濃度が低減することを抑制することができ、2DEGの濃度低減によるオン抵抗の増加を抑制することができる。この結果、耐圧が高くオン抵抗が低いGaN−HFETを実現することが可能となる。
しかしながら、ソースFP電極8を設けることにより、ゲート電極5の端部の電界、すなわち、AlGaN層2内及びGaN層1内の電界は低減されるものの、ソースFP電極8のドレイン電極4側の端部の電界、すなわち、フィールド絶縁膜7内の電界は増加してしまう。すなわち、図1のグラフ図に破線で示すように、p層6を形成していない比較例においては、電界は、ソースFP電極8のドレイン電極4側の端部に集中してしまう。これにより、フィールド絶縁膜7に強い電界が印加されてしまう。
GaNの臨界電界は約3.3MV/cmであり、この大きさは、従来のパワー素子に用いられていたSiの臨界電界の10倍以上であるが、絶縁膜の破壊電界と同程度である。すなわち、絶縁膜の破壊電界は、GaNの臨界電界と比較して著しく高いわけではない。このため、GaN中の電界を弱めても、絶縁膜中の電界が高くなれば、絶縁破壊が発生し、素子が破壊されてしまう。すなわち、素子の耐圧がフィールド絶縁膜の破壊電界によって決まってしまう。
そして、フィールド絶縁膜の破壊電界の大きさは成膜方法及び成膜条件に依存し、単結晶半導体の臨界電界に比べてばらつきが大きい。従って、素子の耐圧がフィールド絶縁膜の破壊電界によって決定されるようになると、素子の耐圧が不安定になる。また、長期間にわたってフィールド絶縁膜に強い電界が印加されることにより、フィールド絶縁膜が劣化し、素子の信頼性が低下する。
そこで、本実施形態に係るGaN−HFETにおいては、ソースFP電極8よりもドレイン電極4に近い位置までp層6を形成している。これにより、ソースFP電極8の端部における電界集中を緩和し、フィールド絶縁膜7の絶縁破壊を防ぐことができる。具体的には、ソース・ドレイン間に高電圧が印加されると、空乏層がp層6全体に広がる。この結果、図1のグラフ図に実線で示すように、p層6のドレイン電極4側の端部における電界強度が増加し、ソースFP電極8のドレイン電極4側の端部における電界強度が低下する。これにより、フィールド絶縁膜7の絶縁破壊を防止することができる。
また、p層6はソース電極3に接続されているため、ゲート電極5に電圧を印加してGaN−HFETのスイッチングを行ったときに、p層6に対して速やかにホールを充放電することができる。これにより、GaN−HFETの動作速度を高速化することができる。
このように、本実施形態によれば、少なくともAlGaN層2の上面にソース電極3に接続されたp層6を形成し、このp層6をフィールド絶縁膜7内で電界が最も強くなる部分であるフィールドプレート電極の端部よりもドレイン電極4側の位置まで延出させている。これにより、フィールド絶縁膜7内の電界集中を緩和し、素子耐圧が絶縁膜の破壊電界ではなく、半導体の臨界電界で決まるようにすることができる。この結果、素子の耐圧を高く且つ安定させることができる。また、フィールド絶縁膜内の電界が低減されることにより、電界の印加による絶縁膜の劣化を防ぐことができ、高い信頼性を得ることができる。すなわち、本実施形態によれば、安定した高耐圧を有し、信頼性が高い窒化物半導体素子を実現することができる。
以下、本実施形態におけるp層6の構成をより具体的に説明する。
先ず、p層6の不純物濃度について説明する。
図2は、本実施形態に係るGaN−HFETの構成を模式的に例示する断面図、及び横軸にこの素子における電流方向の位置をとり縦軸に電界の強度をとってp層のシート不純物濃度が素子内の電界分布に及ぼす影響を例示するグラフ図である。
なお、図2のグラフ図には、p層6のシート不純物濃度Nが2DEGのシート濃度N2DEGよりも低いときの電界分布を実線で示し、両濃度が等しいときの電界分布を破線で示し、濃度Nが濃度N2DEGよりも高いときの電界分布を一点鎖線で示している。
図2に示すように、素子内の電界分布は、p層6のシート不純物濃度Nと2DEGのシート濃度N2DEGとの関係に依存する。なお、ここでいうシート不純物濃度とは、活性化した不純物のシート濃度である。図2に実線で示すように、p層6のシート不純物濃度Nが2DEGのシート濃度N2DEGよりも低いと、ソースFP電極8の端部における電界強度はp層6の端部における電界強度よりも高くなる。これに対して、図2に破線で示すように、濃度Nが濃度N2DEGと等しいと、ソースFP電極8の端部における電界強度はp層6の端部における電界強度とほぼ等しくなる。また、図2に一点鎖線で示すように、濃度Nが濃度N2DEGよりも高いと、ソースFP電極8の端部における電界強度はp層6の端部における電界強度よりも低くなる。従って、ソースFP電極8の端部における電界を抑制するためには、p層6のシート不純物濃度Nは2DEGのシート濃度N2DEG以下であることが望ましく、2DEGのシート濃度N2DEGよりも低いことがより望ましい。なお、AlGaN層2をn型ドープとした場合でも、アンドープの場合と同様に、p層6のシート不純物濃度は2DEGのシート濃度よりも低くすることが望ましい。この場合、n型ドープにより発生した2DEGと分極により発生した2DEGとを合わせた2DEGシート濃度よりも、p層6のシート不純物濃度を低くすればよい。
次に、p層6の平面形状について説明する。
図3(a)は本実施形態に係るGaN−HFETを例示する平面図であり、(b)は(a)に示すA−A’線による断面図であり、(c)は(a)に示すB−B’線による断面図である。
なお、図3(b)の内容は図1の断面図の内容と同じである。また、図3(a)においては、ゲート電極5は二点鎖線で描かれており、フィールド絶縁膜7及びソースFP電極8は図示を省略されている。更に、図3に示す構成要素のうち、図1に示す構成要素と同一又は対応する構成要素には図1と同じ符号を付し、その詳しい説明は省略する。後述する他の図についても同様である。
図3(a)乃至(c)に示すように、平面視で、p層6の形状は、ソース電極3からドレイン電極4に向かう方向に延び、この方向に対して直交する方向に沿って断続的に配列されたストライプパターンである。例えば、p層6は、その配列方向に沿って周期的に形成されている。また、ソース電極3、ドレイン電極4及びゲート電極5は、p層6の配列方向に沿ってストライプ状に延びている。従って、平面視で、p層6とゲート電極5とは交差しており、ゲート電極5の直下域には、p層6が存在している部分と存在していない部分とが交互に配置されている。
このように、p層6をストライプ状に形成することにより、ソース電極3とドレイン電極4との間の領域における2DEGが消滅する領域の割合を減らし、オン抵抗を低減することができる。これに対して、p層6をソース・ドレイン間の領域の全体に形成すると、この領域の2DEGが全て消滅してしまい、オン抵抗が大きくなってしまう。なお、p層6をストライプ状に形成しても、高電圧印加時には空乏層はp層6のドレイン電極4側の端部まで伸びるため、ソースFP電極8の端部における電界を低減することは可能である。
(第1の実施形態の第1の変形例)
図4(a)は第1の実施形態の第1の変形例に係るGaN−HFETを例示する平面図であり、(b)は(a)に示すA−A’線による断面図であり、(c)は(a)に示すB−B’線による断面図である。
なお、図4(a)においては、ゲート電極5は二点鎖線で描かれており、フィールド絶縁膜7及びソースFP電極8は図示を省略されている。
図4(a)乃至(c)に示すように、本変形例に係るGaN−HFETにおいては、平面視で、ゲート電極5におけるドレイン電極4側の端縁からp層6のドレイン電極4側の端縁までの距離をaとし、p層6の配列周期をbとするとき、配列周期bは距離aよりも短くなっている。すなわち、a>bとなっている。
前述の第1の実施形態に係るGaN−HFETにおいては、p層6の配列密度を低くするほど、ソース・ドレイン間における2DEGが消滅する領域の割合は低下するため、オン抵抗は低くなるが、その反面、ソースFP電極8端部の電界集中を抑制する効果も小さくなってしまう。そこで、本変形例においては、p層6を周期的に形成し、且つ、この周期を短くしている。これにより、ソース・ドレイン間の領域におけるp層6が形成されていない領域の割合をある程度確保することで、オン抵抗の増加を抑制しつつ、隣り合うp層6間の距離を短くし、隣り合うp層6から伸びる空乏層同士をつながり易くすることで、ソースFP電極8端部の電界を低減することができる。この効果を確実に得るためには、p層6の配列周期bは、距離aよりも短いことが望ましい。本変形例における上記以外の構成及び作用効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
(第1の実施形態の第2の変形例)
図5は、第1の実施形態の第2の変形例に係るGaN−HFETを例示する平面図である。
図5に示すように、本変形例に係るGaN−HFETにおいては、平面視で、p層6のドレイン電極4側の端部がp層6の配列方向両側に張り出しており、全体としてT字形状をなしている。これにより、隣り合うp層6から伸びる空乏層同士が、ソースFP電極8の直下域の近傍においてよりつながり易くなる。本変形例における上記以外の構成及び作用効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係るGaN−HFETの構造を模式的に例示する断面図である。
図6に示すように、本実施形態に係るGaN−HFETにおいては、前述の第1の実施形態に係るGaN−HFET(図1参照)の構成に加えて、ゲート電極5に接続されたゲートFP電極9が設けられている。ゲートFP電極9はフィールド絶縁膜7内に埋め込まれており、フィールド絶縁膜7によってソースFP電極8から絶縁されている。また、ゲートFP電極9はゲート電極5の直上域からドレイン電極4の直上域に向けて張り出している。
本実施形態においては、ソースFP電極8に加えてゲートFP電極9が設けられているため、ソースFP電極8のみを設ける場合と比較して、ゲート電極5の端部における電界集中をより効果的に抑制することができる。これにより、2DEGが電界加速され界面及び結晶欠陥などにトラップされてオン抵抗を増加させる現象を、より効果的に抑制することができる。本実施形態における上記以外の構成及び作用効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係るGaN−HFETの構造を模式的に例示する断面図である。
図7に示すように、本実施形態に係るGaN−HFETにおいては、前述の第2の実施形態に係るGaN−HFET(図6参照)の構成に加えて、GaN層1の上層部及びAlGaN層2におけるゲート電極5の直下域に、第4の半導体層として、p型のp層10が形成されている。p層10は、例えば、ゲート電極5の直下域の全長にわたってストライプ状に形成されており、その深さはp層6の深さよりも深い。また、p層10におけるp型不純物のシート濃度は、p層6のp型不純物のシート濃度よりも高く、例えば、2DEGのシート濃度よりも高い。p層10は、GaN層1の上層部及びAlGaN層2に対して、p型不純物を選択的にドープすることにより、形成することができる。
本実施形態においては、ゲート電極5の直下域のみに選択的にp層10が形成されているため、2DEGを完全に無効化し、ゲートしきい値電圧をプラス側にシフトさせることができる。特に、p層10のp型不純物のシート濃度を2DEGシート濃度よりも高くすれば、しきい値電圧は0V以上となる。つまり、ノーマリーオフ動作を実現することが可能となる。本実施形態における上記以外の構成及び作用効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
(第3の実施形態の変形例)
図8は、第3の実施形態の変形例に係るGaN−HFETの構造を模式的に例示する断面図である。
図8に示すように、本変形例に係るGaN−HFETにおいては、前述の第3の実施形態に係るGaN−HFET(図7参照)の構成に加えて、p層10とゲート電極5との間、例えば、AlGaN層2上におけるソース電極3とドレイン電極4との間の領域全体に、ゲート絶縁膜11が設けられている。
本変形例によれば、ゲート絶縁膜11を設けることにより、ゲートリーク電流を低減することができる。これにより、ゲート電極5に大きなプラス電圧を印加することが可能となり、チャネル抵抗を低減することができる。この結果、素子のオン抵抗を低減することが可能となる。本変形例における上記以外の構成及び作用効果は、前述の第3の実施形態と同様である。
(第4の実施形態)
図9は、本発明の第4の実施形態に係るGaN−HFETの構造を模式的に例示する断面図である。
図9に示すように、本実施形態に係るGaN−HFETにおいては、前述の第1の実施形態に係るGaN−HFET(図1参照)の構成に加えて、GaN層1の上層部及びAlGaN層2におけるソース電極3の直下域の一部に、p型のpコンタクト層12が形成されている。pコンタクト層12は、例えば、ソース電極3の直下域におけるp層6と接する領域のみに形成されており、これにより、p層6及びソース電極3の双方に接続されている。また、pコンタクト層12のp型不純物のシート濃度はp層6のp型不純物のシート濃度よりも高い。pコンタクト層12は、例えば、GaN層1の上層部及びAlGaN層2に対してp型不純物を選択的にドープすることにより、形成することができる。
第1の実施形態において説明したように、素子内の電界分布を均一にするためには、p層6のシート不純物濃度は2DEGのシート濃度よりも低いことが好ましいが、その反面、p層6のシート不純物濃度を低くすると、p層6とソース電極3との間のコンタクト抵抗率が高くなり、p層6に対して速やかにホールを充放電することが困難になる。そこで、本実施形態においては、pコンタクト層12を形成することにより、p層6のシート不純物濃度を低く保ったまま、p層6とソース電極3との間の抵抗を低減し、p層6に対する速やかなホールの充放電を可能としている。これにより、素子の高速化を図ることが可能となる。本実施形態における上記以外の構成及び作用効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
(第4の実施形態の変形例)
図10は、第4の実施形態の変形例に係るGaN−HFETの構造を模式的に例示する断面図である。
図10に示すように、本変形例に係るGaN−HFETは、前述の第4の実施形態に係るGaN−HFET(図9参照)と比較して、ソース電極3がnコンタクト用部分3aとpコンタクト用部分3bとから構成されている点が異なっている。すなわち、ソース電極3のうち、ドレイン電極4から遠い側の部分はnコンタクト用部分3aとなっており、ドレイン電極4に近い側の部分はpコンタクト用部分3bとなっている。
nコンタクト用部分3aは、AlGaN層2の上面におけるp層6又はpコンタクト層12が形成されていない部分、すなわち、n型又はアンドープの半導体部分に接触している。そして、nコンタクト用部分3aは、n型の半導体に対するコンタクト抵抗率が低い金属によって形成されており、例えば、チタン(Ti)によって形成されている。一方、pコンタクト用部分3bは、p層6及びpコンタクト層12、すなわち、p型の半導体部分に接触している。そして、pコンタクト用部分3bは、p型の半導体に対するコンタクト抵抗率が低い金属によって形成されており、例えば、白金(Pt)によって形成されている。
本変形例によれば、ソース電極3にnコンタクト用部分3a及びpコンタクト用部分3bを設け、それぞれをn型半導体及びp型半導体に対するコンタクト抵抗率が低い材料によって形成することにより、ソース電極3を2DEG及びp層6の双方に対して低い抵抗で接続することができる。なお、p層6の配列方向に沿って、ソース電極3におけるp層6と接触する位置のみにpコンタクト用部分3bを周期的に設け、それ以外の部分をnコンタクト用部分3aによって形成してもよい。本変形例における上記以外の構成及び作用効果は、前述の第4の実施形態と同様である。
以上、本発明を第1乃至第4の実施形態及びそれらの変形例により説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、例えば、前述の各実施形態及び変形例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。また、前述の各実施形態及び変形例は、相互に組み合わせて実施することもできる。例えば、前述の第2乃至第4の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、p層6はストライプ状に形成することが望ましい。
また、前述の各実施形態及び変形例においては、GaN層1がアンドープのGaNにより形成されている例を示したが、GaN層1はアンドープのAlGaNにより形成されていてもよい。また、前述の各実施形態及び変形例においては、AlGaN層2がアンドープのAlGaNにより形成されている例を示したが、AlGaN層2はn型のAlGaNにより形成されていてもよい。又は、AlGaN層2はAlNにより形成されていてもよい。すなわち、前述の各実施形態及び変形例においては、AlGaN/GaNへテロ構造が形成されている例を示したが、本発明はこれに限定されず、AlN/AlGaNへテロ構造など、各層のAlとGaとの組成比を任意に設定したヘテロ構造を形成してもよい。
更に、本発明は、GaN層1及びAlGaN層2を形成するための支持基板の材料によって限定されることはなく、支持基板には、SiC基板、サファイア基板、Si基板又はGaN基板などを用いることができる。また、これらの支持基板とGaN層1との間にはバッファー層を設けてもよい。このバッファー層の構造及び材料も特に限定されず、例えば、AlN層、AlGaN層、又はAlN層とGaN層との積層構造などを用いることができる。
更にまた、前述の各実施形態及び変形例においては、ゲート部分をプレナーショットキーゲート構造とする例を示したが、本発明はこれに限定されず、リセスゲート構造又はGaNキャップ層が形成された構造など、他のゲート構造でも実施可能である。更にまた、本発明の効果は、ゲート絶縁膜及びフィールド絶縁膜などの絶縁膜の材料によっても限定されない。これらの絶縁膜の材料は、例えば、SiN、SiO、Al又はHfOなど、半導体プロセスにおいて使用可能な絶縁材料であればよい。
更にまた、前述の各実施形態及び変形例で示したHFETのゲート・ドレイン間はヘテロ構造ショットキーバリアダイオード(HSBD)であることから、ゲート電極をアノード電極に置き換え、ドレイン電極をカソード電極に置き換えることにより、耐圧が高くオン電圧が低いHSBDを実現することができる。
本発明の第1の実施形態に係るGaN−HFETを例示する断面図、及び横軸にこの素子における電流方向の位置をとり縦軸に電界の強度をとって素子内の電界分布を例示するグラフ図である。 本実施形態に係るGaN−HFETを例示する断面図、及び横軸にこの素子における電流方向の位置をとり縦軸に電界の強度をとってp層のシート不純物濃度が素子内の電界分布に及ぼす影響を例示するグラフ図である。 (a)は本実施形態に係るGaN−HFETを例示する平面図であり、(b)は(a)に示すA−A’線による断面図であり、(c)は(a)に示すB−B’線による断面図である。 (a)は第1の実施形態の第1の変形例に係るGaN−HFETを例示する平面図であり、(b)は(a)に示すA−A’線による断面図であり、(c)は(a)に示すB−B’線による断面図である。 第1の実施形態の第2の変形例に係るGaN−HFETを例示する平面図である。 本発明の第2の実施形態に係るGaN−HFETを例示する断面図である。 本発明の第3の実施形態に係るGaN−HFETを例示する断面図である。 第3の実施形態の変形例に係るGaN−HFETを例示する断面図である。 本発明の第4の実施形態に係るGaN−HFETを例示する断面図である。 第4の実施形態の変形例に係るGaN−HFETを例示する断面図である。
符号の説明
1 GaN層、2 AlGaN層、3 ソース電極、3a nコンタクト用部分、3b pコンタクト用部分、4 ドレイン電極、5 ゲート電極、6 p層、7 フィールド絶縁膜、8 ソースFP電極、9 ゲートFP電極、10 p層、11 ゲート絶縁膜、12 pコンタクト層

Claims (5)

  1. アンドープAlGa1−xN(0≦x<1)からなる第1の半導体層と、
    前記第1の半導体層上に設けられ、アンドープ又はn型AlGa1−yN(0<y≦1、x<y)からなる第2の半導体層と、
    少なくとも前記第2の半導体層の上面に選択的に形成されたp型の第3の半導体層と、
    前記第2の半導体層及び前記第3の半導体層に接続されたソース電極と、
    前記第2の半導体層に接続されたドレイン電極と、
    前記第2の半導体層上に設けられたゲート電極と、
    前記第2の半導体層上に設けられ、前記ゲート電極を覆うフィールド絶縁膜と、
    前記フィールド絶縁膜上における前記ゲート電極の直上域を含む領域に設けられ、前記ソース電極に接続されたフィールドプレート電極と、
    を備え、
    前記フィールドプレート電極と前記ドレイン電極との間の距離は、前記第3の半導体層と前記ドレイン電極との間の距離よりも長いことを特徴とする窒化物半導体素子。
  2. 前記第2半導体層の上面に対して垂直な方向から見て、前記第3の半導体層の形状は、前記ソース電極から前記ドレイン電極に向かう方向に延び、前記ドレイン電極に向かう方向に対して直交する方向に沿って断続的に配列されたストライプパターンであることを特徴とする請求項1記載の窒化物半導体素子。
  3. 前記第3の半導体層は周期的に配列されており、
    前記第3の半導体層における前記ゲート電極の直下域に相当する部分と前記ドレイン電極側の端部との間の距離は、前記第3の半導体層の配列周期よりも長いことを特徴とする請求項2記載の窒化物半導体素子。
  4. 前記ゲート電極に接続された他のフィールドプレート電極をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の窒化物半導体素子。
  5. 前記第3半導体層の上面における前記ゲート電極の直下域に選択的に形成されたp型の第4の半導体層と、
    前記第4の半導体層と前記ゲート電極との間に設けられたゲート絶縁膜と、
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の窒化物半導体素子。
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