JP2008259309A - スイッチング電源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化が要求されるスイッチング電源装置において、スイッチング素子や平滑用コンデンサを変更することなく、使用可能温度範囲を拡大できるようにする。
【解決手段】温度検出回路40にて電源IC10の温度を検出し、電源IC10が常温よりも高い高温状態にある場合には、スイッチング周波数調整回路50が、スイッチング素子TR0のスイッチング周波数を変更することで、スイッチング素子TR0の発熱を抑え、電源IC10が常温よりも低い低温状態にある場合には、スイッチング周波数を変更することで、アルミ電解コンデンサからなる平滑用コンデンサC1の等価直列抵抗の増加に伴い出力電圧のリップルが許容範囲を超えるのを防止する。また、電源IC10の温度が過熱保護温度を超えると、駆動回路30によるスイッチング素子TR0の駆動を停止させる。
【選択図】図1
【解決手段】温度検出回路40にて電源IC10の温度を検出し、電源IC10が常温よりも高い高温状態にある場合には、スイッチング周波数調整回路50が、スイッチング素子TR0のスイッチング周波数を変更することで、スイッチング素子TR0の発熱を抑え、電源IC10が常温よりも低い低温状態にある場合には、スイッチング周波数を変更することで、アルミ電解コンデンサからなる平滑用コンデンサC1の等価直列抵抗の増加に伴い出力電圧のリップルが許容範囲を超えるのを防止する。また、電源IC10の温度が過熱保護温度を超えると、駆動回路30によるスイッチング素子TR0の駆動を停止させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、直流電源から電源供給対象へ至る電源供給経路に設けられたスイッチング素子をオン・オフさせて、電源供給対象へ一定の電源電圧を供給するスイッチング電源装置に関する。
スイッチング電源装置は、シリーズ電源装置に比べて変換効率が高く、放熱用のフィンや体格の大きなトランジスタを使用する必要がないため、車載電子機器のような小型化が要求される電子機器にて広く使用されている。
またスイッチング電源装置は、その動作によってスイッチングノイズを発生し、このスイッチングノイズが各種受信機器に影響を与えることがあるので、ノイズ低減のためにスイッチング周波数を分散させることが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
また、スイッチング電源装置においては、低負荷時にスイッチング素子のオン時間が短くなると、スイッチング素子の応答速度の影響を受けて、変換効率が低下することがあるので、低負荷時にはスイッチング周波数を低下させて、スイッチング素子のオン時間を長くする、といったことも提案されている(例えば、特許文献2、3等参照)。
特開平7−67323号公報
特開2001−320876号公報
特開平11−308861号公報
このように、スイッチング電源装置においては、スイッチング周波数を変化させることでノイズの発生を抑制したり、低負荷時の変換効率を改善することは提案されているものの、スイッチング周波数等の駆動条件は、温度変化に対して固定されていたため、使用可能温度範囲は、スイッチング素子やその放熱特性、或いは、出力電圧を平滑化する回路素子の特性で決定されてしまうという問題があった。
つまり、スイッチング電源装置は、例えば、図9(a)に示すように、電源ラインから外部負荷に至る電源供給経路を導通/遮断するMOSFETからなるスイッチング素子TR0と、このスイッチング素子TR0からの出力を平滑化する平滑回路80と、この平滑回路80にて平滑化された出力電圧と予め設定された目標電圧との差を検出する誤差増幅回路82と、誤差増幅回路82からの出力に基づき、出力電圧と目標電圧との差が零となるよう(換言すれば出力電圧が目標電圧となるよう)スイッチング素子TR0をデューティ駆動する制御回路84と、から構成されている。
そして、スイッチング電源装置を小型化する際には、スイッチング周波数が高く設定されるが、スイッチング周波数が高くなると、図9(b)に示すように、スイッチング素子TR0の駆動一周期内にスイッチング素子をオン/オフするのに要するターンオン期間及びターンオン期間の割合が増加する。
そして、このターンオン期間及びターンオフ期間の間は、スイッチング素子TR0のドレイン−ソース間電圧(DS間電圧)が変化し、スイッチング素子TR0には、オン時に生じる導通損失よりも大きいスイッチング損失(SW損失)が生じることから、スイッチング電源装置の小型化のためにスイッチング周波数を高くすると、スイッチング素子TR0の発熱量が多くなり、スイッチング電源装置を使用可能な上限温度が低下してしまう。
また、図9(a)に例示するように、平滑回路80は、電源供給経路に直列に設けられたコイルL1と、コイルL1のスイッチング素子TR0とは反対側に接続されると共に一端がグランドラインに接地された平滑用のコンデンサC1と、カソードがコイルL1のスイッチング素子TR0側に接続され、アノードがグランドラインに接地されて、スイッチング素子TR0のターンオフ後にコイルL1に電流を流し続けるダイオードD1とから構成される。
そして、高い信頼性が要求されるスイッチング電源装置では、多少の傷ができても電解液による自己修復機能により回復することができる電解コンデンサ(一般にアルミ電解コンデンサ)が使用される。
しかし、電解コンデンサは、図10(a)に示すように、電解液が0℃以下の低温で凝固が始まり、電解液の温度が低下する程、等価直列抵抗(ESR)が増大して、容量が減少する。
このため、平滑用コンデンサC1として電解コンデンサを使用したスイッチング電源装置では、図10(b)に示すように、低温時には、常温時に比べて、出力電圧の電圧変動(リップル)が大きくなり、温度が更に低下すると(低温限界)、誤差増幅回路82から制御回路84に出力される誤差信号の変動により、制御回路84にて、スイッチング周波数に対応したスイッチング周期毎にデューティ比を制御した制御信号にてスイッチング素子TR0をオン/オフさせることができなくなり、スイッチング素子TR0のスイッチングに抜け(SW抜け)が生じてしまう。
従って、信頼性を高めるために平滑用コンデンサC1として電解コンデンサを使用したスイッチング電源装置は、出力電圧の電圧変動(リップル)が許容範囲内になるよう、使用可能な下限温度を設定する必要がある。
そして、従来では、スイッチング周波数等の駆動条件は、温度変化に対して固定されていたため、スイッチング電源装置を大型化することなく、その使用可能温度範囲を拡大するには、スイッチング素子や平滑用コンデンサ等をより温度特性の優れたものに変更するしかなく、使用可能温度範囲を簡単に拡大することができなかった。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、小型化が要求されるスイッチング電源装置において、スイッチング素子や平滑用コンデンサを変更することなく、使用可能温度範囲を拡大できるようにすることを目的とする。
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載のスイッチング電源装置においては、温度検出手段が当該装置の温度を検出し、スイッチング周波数制御手段が、その検出温度に応じて、駆動制御手段がスイッチング素子をデューティ駆動する際のスイッチング状態を調整する。
このため、本発明のスイッチング電源装置によれば、当該装置の高温使用時に、スイッチング周波数を低くして、単位時間当たりにスイッチング素子がオン・オフされる頻度を減らし、スイッチング素子の発熱量(換言すればスイッチング素子の温度上昇)を抑えるとか、或いは、当該装置の低温使用時にスイッチング周波数を高くして、出力電圧の変動を抑える、といったことができる。また、当該装置の低温使用時にスイッチング周波数を高くすることにより、スイッチング素子を加熱して、スイッチング素子を適正温度まで温度上昇させることもできる。
従って、本発明のスイッチング電源装置によれば、スイッチング素子や平滑回路を変更することなく、使用可能温度範囲を拡大することができ、自動車などの温度変化の大きい環境下で安定して動作するスイッチング電源装置を低コストで提供することが可能となる。
ここで、スイッチング状態調整手段は、当該装置の温度に応じてスイッチング状態を連続的に変化させるようにしてもよいが、当該装置の使用温度範囲の上限温度が高く、高温使用時にスイッチング素子が過熱状態になるのを防止するためには、請求項2に記載のように、温度検出手段にて検出された検出温度が高いときに、スイッチング周波数を低くするように構成すればよい。
また、この場合、より好ましくは、スイッチング状態調整手段を、請求項3に記載のように構成するとよい。つまり、請求項3に記載の装置において、スイッチング状態調整手段は、温度検出手段による検出温度が予め設定された第1判定温度を超えたか否かを判定し、検出温度が第1判定温度を超えている場合に、スイッチング周波数を常温時の基準周波数よりも低い周波数に変更する。
このため、請求項3に記載の装置によれば、スイッチング素子が過熱状態になって劣化又は焼損するのを防止しつつ、当該装置の使用可能温度範囲の上限温度を、より高温側に上昇させることができる。
但し、当該装置の周囲温度がより高温になると、スイッチング周波数を低下させても、スイッチング素子を過熱状態から保護することができず、最終的に、スイッチング素子が焼損することも考えられる。
そこで、請求項3に記載のスイッチング電源装置においては、更に請求項4に記載のように、過熱保護手段を設け、温度検出手段による検出温度が第1判定温度よりも高い第2判定温度を超えたときには、この過熱保護手段によって、駆動制御手段によるスイッチング素子の駆動制御を禁止し、スイッチング素子をオフ状態に保持させるようにしてもよい。そして、このようにすれば、当該装置の高温使用時にスイッチング素子が劣化又は焼損するのをより確実に防止することができる。
一方、スイッチング電源装置の使用温度範囲の下限温度が低く、平滑用コンデンサとして電解コンデンサが使用されているために、低温使用時に出力電圧の変動が大きくなったり、スイッチングの抜け(SW抜け)が発生するのを防止するには、請求項5に記載のように、スイッチング状態調整手段を、温度検出手段にて検出された検出温度が低いときに、スイッチング周波数を高くするように構成するとよい。
また、この場合、より好ましくは、スイッチング状態調整手段を請求項6に記載のように構成するとよい。つまり、請求項6に記載の装置において、スイッチング状態調整手段は、温度検出手段による検出温度が出力変動判定温度よりも低い場合に、スイッチング周波数を常温時の基準周波数よりも高い出力変動防止周波数に変更する。そして、出力変動判定温度は、電解コンデンサの等価直列抵抗の増大に伴い出力電圧変動が許容範囲を超えるときの温度に設定されている。
このため、請求項6に記載のスイッチング電源装置によれば、当該装置の低温使用時に、電解コンデンサの等価直列抵抗が増大しても、出力電圧変動が許容範囲内となるよう、スイッチング周波数を高周波側に変更して、当該装置の使用可能温度範囲の下限温度を、より低温側に低下させることができる。
次に、スイッチング状態調整手段は、駆動制御手段がスイッチング素子をデューティ駆動する際のスイッチング周波数を変化させることができればよいが、一般にこのスイッチング周波数は、発振回路から出力される発振信号にて設定されることから、スイッチング状態調整手段を実際に構成する際には、請求項7又は請求項8に記載のように構成するとよい。
すなわち、請求項7に記載のスイッチング電源装置において、スイッチング状態調整手段は、一つの発振回路と、その発振回路からの出力を分周若しくは逓倍することにより周波数が異なる複数の発振信号を生成する発振信号生成回路と、この発振信号生成回路にて生成された複数の発振信号の一つを検出温度に応じて選択して駆動制御手段に出力する発振信号選択手段と、から構成される。従って、この装置によれば、発振周波数を制御可能な電圧制御型可変発振器(所謂VCO)やその周波数制御回路等を用いることなく、スイッチング状態調整手段を、発振周波数が固定された発振回路や分周(若しくは逓倍)回路を用いて、安価に実現することができる。
また、請求項8に記載のスイッチング電源装置において、スイッチング状態調整手段は、発振回路と、この発振回路の発振周波数を決定する共振コンデンサに並列接続可能な1又は複数の調整用コンデンサと、検出温度に応じて共振コンデンサへの調整用コンデンサの接続状態を切り換え、発振回路の発振周波数を変化させる発振周波数切換手段と、から構成される。従って、この装置においても、スイッチング状態調整手段を、発振周波数を制御可能な電圧制御型可変発振器(所謂VCO)やその周波数制御回路等を用いることなく、安価に実現することができる。
次に、請求項9に記載のスイッチング電源装置においては、請求項6に記載の装置と同様、平滑回路に、平滑用コンデンサとして、電解コンデンサが設けられている。また、駆動制御手段は、この平滑回路にて平滑化された出力電圧と予め定められた目標電圧との差を誤差増幅回路にて増幅し、その誤差増幅回路からの出力に基づき、出力電圧が目標電圧となるようスイッチング素子をデューティ駆動する。そして、この装置においては、誤差増幅利得調整手段が、温度検出手段にて検出された検出温度に応じて、誤差増幅回路の増幅利得を調整する。
従って、請求項9に記載のスイッチング電源装置によれば、低温使用時に、電解コンデンサの等価直列抵抗が増大して、出力電圧変動が許容範囲を超えるような場合に、誤差増幅回路の増幅利得を低下させることで、駆動制御手段による出力電圧の制御ゲイン(延いては感度)を低下させて、出力電圧の電圧変動(リップル)を抑制する、といったことができるようになる。
なお、この請求項9に記載の装置において、誤差増幅利得調整手段は、請求項10に記載のように構成するとよい。つまり、請求項10に記載の装置において、誤差増幅利得調整手段は、温度検出手段にて検出された当該装置の温度(検出温度)が出力変動判定温度よりも低い場合に、誤差増幅回路の増幅利得を常温時の基準利得よりも小さい利得に変更するよう構成され、しかも、出力変動判定温度は、請求項6に記載のものと同様、電解コンデンサの等価直列抵抗の増大に伴い出力電圧変動が許容範囲を超えるときの温度に設定される。
従って、請求項10に記載のスイッチング電源装置によれば、請求項6に記載の装置と同様、低温使用時に、電解コンデンサの等価直列抵抗が増大して、出力電圧変動が許容範囲を超えるような場合には、出力電圧の制御ゲインを低下させて、出力電圧の電圧変動(リップル)を抑制することができるようになり、当該装置の使用可能温度範囲の下限温度をより低温側に低下させることが可能となる。
ところで、本発明(請求項1〜10)のスイッチング電源装置において、電源供給経路の通電・非通電を切り換えるスイッチング素子としては、一般にトランジスタが用いられるが、このトランジスタとしては、MOSFETであっても、バイポーラトランジスタであってもよい。しかし、このうち、MOSFETは、バイポーラトランジスタに比べて、オン抵抗が小さく、通電時(オン時)の導通損失を低減することができる。
従って、電源供給用のスイッチング素子は、請求項11に記載のように、MOSFETにて構成することが望ましい。そして、このようにすれば、スイッチング素子にバイポーラトランジスタを使用した場合に比べて、安定した出力電圧をより効率よく生成することができるようになり、また電源供給対象へ供給可能な電力も増大できる。
また次に、本発明(請求項1〜11)において、温度検出手段としては、一般的な温度センサを使用してもよいが、請求項12に記載のように、温度検出手段を、ダイオードと、ダイオードの通電時に生じる順方向電圧と温度判定用のしきい値電圧とを比較する1又は複数のコンパレータとから構成し、コンパレータの判定結果を、当該装置の温度を表す検出信号として出力するようにしてもよい。
つまり、ダイオードの順方向電圧(所謂Vf)は、温度に応じて変化することから、このダイオードの順方向電圧(Vf)を利用して、当該装置の温度を検出するのである。そして、このようにすれば、一般的な温度センサを用いることなく温度を検出することができることから、本発明(請求項1〜8)のスイッチング電源装置を、低コストで実現できることになる。
また、本発明(請求項1〜12)のスイッチング電源装置において、平滑回路を除く各構成要素は、請求項13に記載のように、半導体集積回路として半導体基板に形成するようにすれば、当該装置の耐ノイズ性を向上することができると共に、装置の低コスト化及び小型化を図ることができる。
以下に本発明の一実施形態について説明する。
[実施形態]
図1は、本発明が適用された実施形態のスイッチング電源装置全体の構成を表す電気回路図である。
[実施形態]
図1は、本発明が適用された実施形態のスイッチング電源装置全体の構成を表す電気回路図である。
本実施形態のスイッチング電源装置は、自動車に搭載されて温度変化の大きい環境下で使用される車載電子機器(例えばエンジン制御装置など)に組み込まれ、車載バッテリから電源ラインを介して供給される電源電圧を、車載電子機器駆動用の一定電圧(目標電圧)に変換して出力するものであり、電源ラインから電源電圧を取り込むための入力フィルタ2、この入力フィルタ2から電源供給対象である車載電子機器に至る電源供給経路上に設けられたMOSFETからなるスイッチング素子TR0、及び、このスイッチング素子TR0よりも車載電子機器側の電源供給経路上に設けられて、スイッチング素子TR0からの入力電圧を平滑化して車載電子機器の駆動電圧(出力電圧)として出力する平滑回路4、が備えられている。
なお、平滑回路4は、図9に示した従来装置の平滑回路80と同様、コイルL1と、アルミ電解コンデンサからなる平滑用コンデンサC1と、ダイオードD1とから構成されており、入力フィルタ2は、コイルL0とコンデンサC0とからなるローパスフィルタにて構成されている。
また、本実施形態のスイッチング電源装置には、平滑回路4を通過した出力電圧を取り込み、出力電圧を目標電圧にするための制御信号を出力する制御信号出力回路20、この制御信号出力回路20からの制御信号に基づき、出力電圧が目標電圧となるようにスイッチング素子TR0をデューティ駆動する駆動回路30、スイッチング電源装置(詳しくは後述の電源IC10)の温度を検出する温度検出回路40、及び、この温度検出回路40による検出温度に応じて、駆動回路30がスイッチング素子TR0をデューティ駆動する際の周期を決定するスイッチング周波数を調整するスイッチング周波数調整回路50、も設けられている。
そして、これら各回路20、30、40、50は、スイッチング素子TR0と共に半導体基板に形成されることにより、IC化された一つの電源回路(電源IC)10として構成されている。
ここで、制御信号出力回路20は、目標電圧に対する出力電圧の誤差を検出して増幅する誤差増幅回路22と、この誤差増幅回路22から出力される誤差信号を、駆動回路30にてスイッチング素子TR0の駆動信号を生成するのに必要な信号レベルとなるようにレベルシフトするレベルシフト回路24とから構成されている。
また、駆動回路30は、このレベルシフト回路24にてレベルシフトされた誤差信号を制御信号として取り込み、この制御信号と、三角波生成回路32にて所定のスイッチング周波数に対応した周期で生成された三角波と比較することで、制御信号に対応したデューティ比を有する駆動信号を生成するコンパレータ34と、コンパレータ34にて生成された駆動信号に従いスイッチング素子TR0をオン/オフさせるプリドライバ回路36とから構成されている。
この結果、スイッチング素子TR0は、三角波生成回路32で生成された三角波の一周期に一回の割でオン/オフされ、平滑回路4からは、駆動信号のデューティ比に応じて電圧値が変化する出力電圧が出力されることになる。なお、制御信号出力回路20及び駆動回路30は、本発明の駆動制御手段に相当する。
次に、温度検出回路40は、本発明の温度検出手段に相当するものであり、温度検出用のダイオードDtを備え、このダイオードDtに抵抗等を介して順方向に電流を流すようにされている。
つまり、ダイオードDtに順方向電流を流したときに生じる順方向電圧Vfは、図2に示すように、温度に応じて変化することから、本実施形態では、このダイオードDtの順方向電圧Vfを利用して、電源IC10の温度を検出するようにされている。
そして、温度検出回路40には、このダイオードDtの通電時に生じる順方向電圧Vfと予め設定された3つの判定電圧Vref1、Vref2、Vref3(但し、Vref1<Vref2<Vref3)とを各々比較し、順方向電圧Vfが各判定電圧Vref1、Vref2、Vref3よりも小さい場合に、ハイレベルの判定信号を出力するコンパレータ41、42、43が備えられている。
このため、順方向電圧Vfが最も小さい第1判定電圧Vref1よりも低い場合には、各コンパレータ41〜43の出力が全てハイレベルとなり、順方向電圧Vfが第1判定電圧Vref1以上で第2判定電圧Vref2よりも低い場合には、第1コンパレータ41からの出力のみがローレベルとなり、順方向電圧Vfが第2判定電圧Vref2以上で第3判定電圧Vref3よりも低い場合には、第1コンパレータ41と第2コンパレータ42から出力がローレベルとなり、順方向電圧Vfが第3判定電圧Vref3以上になると、各コンパレータ41〜43の出力が全てローレベルとなる。
なお、図2に示すように、第2判定電圧Vref2は、ダイオードDtの順方向電圧Vfから、電源IC10の温度が素子の発熱を抑制すべき高温(第1判定温度:150°Cよりも若干低い温度)に達したか否かを判定するための電圧値であり、第1判定電圧Vref1は、ダイオードDtの順方向電圧Vfから、電源IC10の温度がスイッチング素子TR0の通電を停止すべき過熱保護温度(第2判定温度:150°Cよりも高い温度)に達したか否かを判定するための電圧値である。
また、第3判定電圧Vref3は、ダイオードDtの順方向電圧Vfから、電源IC10の温度が、平滑用コンデンサC1の等価直列抵抗が増大して、出力電圧変動(リップル)が許容範囲を超える低温(出力変動判定温度:0°Cよりも低い温度)まで低下したか否かを判定するための電圧値である。
そして、温度検出回路40には、更に、第1コンパレータ41からの出力を反転する反転回路44と、この反転回路44からの出力と第2コンパレータ42からの出力を取り込み、これら各出力が共にハイレベルであるとき、電源IC10が常温よりも高く過熱保護温度よりも低い高温状態にあることを表す高温判定信号をスイッチング周波数調整回路50に出力するAND回路47と、第2コンパレータ42からの出力を反転する反転回路45と、この反転回路45からの出力と第3コンパレータ43からの出力を取り込み、これら各出力が共にハイレベルであるとき、電源IC10が適正温度範囲内(つまり常温状態)にあることを表す常温判定信号をスイッチング周波数調整回路50に出力するAND回路48と、第3コンパレータ43からの出力を反転することで、第3コンパレータ43が電源IC10の低温状態を判定したときに、ハイレベルの低温判定信号をスイッチング周波数調整回路50に出力する反転回路46とが設けられている。
なお、温度検出回路40からスイッチング周波数調整回路50には、電源IC10が過熱保護温度に達したと判断されたときに第1コンパレータ41から出力されるハイレベルの信号(過熱保護温度判定信号)も出力される。
次に、スイッチング周波数調整回路50は、本発明のスイッチング状態調整手段に相当するものであり、一定周波数(本実施形態では1MHz)で発振する発振回路51と、この発振回路51からの発振信号を1/2分周する分周回路52と、この分周回路52で分周された発振信号を更に1/2分周する分周回路53とを備える。
そして、分周回路53からの発振信号(周波数:250kHz)は、温度検出回路40内の高温判定用のAND回路47からの出力と一緒にAND回路55に入力され、分周回路52からの発振信号(周波数:500kHz)は、温度検出回路40内の常温判定用のAND回路48からの出力と一緒にAND回路56に入力され、発振回路51からの発振信号(周波数:1MHz)は、温度検出回路40内の低温判定用の反転回路46からの出力と共にAND回路57に入力される。
また、スイッチング周波数調整回路50には、温度検出回路40内の第1コンパレータ41から出力される過熱保護温度判定信号を反転する反転回路54も設けられており、この反転回路54の出力は、AND回路55、56、57の出力と一緒に、プルアップ抵抗Rtを介して電源ラインにプルアップされると共に、駆動回路30内の三角波生成回路32に接続されている。
このため、温度検出回路40からスイッチング周波数調整回路50に常温判定信号(ハイレベル)が入力されているときには、AND回路56の出力のみが分周回路52からの発振信号(周波数:500kHz)に応じて変化し、他のAND回路55、57からの出力がローレベルに保持され、反転回路54の出力がハイレベルに保持される。
よって、電源IC10が常温状態にあれば、駆動回路30内の三角波生成回路32には、分周回路52からの発振信号(周波数:500kHz)が入力され、駆動回路30は、この発振信号の周波数をスイッチング周波数として、スイッチング素子TR0をデューティ駆動することになる。
また、温度検出回路40からスイッチング周波数調整回路50に高温判定信号(ハイレベル)が入力されているときには、AND回路55の出力のみが分周回路53からの発振信号(周波数:250kHz)に応じて変化し、他のAND回路56、57からの出力がローレベルに保持され、反転回路54の出力がハイレベルに保持される。
よって、電源IC10が高温状態にあれば、駆動回路30内の三角波生成回路32には、分周回路53からの発振信号(周波数:250kHz)が入力され、駆動回路30は、この発振信号の周波数をスイッチング周波数として、スイッチング素子TR0をデューティ駆動することになる。
また更に、温度検出回路40からスイッチング周波数調整回路50に低温判定信号(ハイレベル)が入力されているときには、AND回路57の出力のみが発振回路51からの発振信号(周波数:1MHz)に応じて変化し、他のAND回路55、56からの出力がローレベルに保持され、反転回路54の出力がハイレベルに保持される。
よって、電源IC10が低温状態にあれば、駆動回路30内の三角波生成回路32には、発振回路51からの発振信号(周波数:1MHz)が入力され、駆動回路30は、この発振信号の周波数をスイッチング周波数として、スイッチング素子TR0をデューティ駆動することになる。
また次に、温度検出回路40からスイッチング周波数調整回路50に過熱保護温度判定信号(ハイレベル)が入力されているときには、反転回路54及びAND回路55〜57の出力が全てローレベルとなる。このため、電源IC10が過熱保護温度に達していれば、その後、電源IC10が過熱保護温度よりも低くなるまで、三角波生成回路32には発振信号が入力されなくなって、三角波生成回路32では三角波が生成されず、スイッチング素子TR0の駆動が停止されることになる。なお、本実施形態では、反転回路54が、本発明の過熱保護手段に相当する。
以上説明したように、本実施形態のスイッチング電源装置においては、温度検出回路40にて電源IC10の温度を検出し、電源IC10が第1判定温度よりも高い高温状態にある場合には、スイッチング周波数調整回路50が、駆動回路30がスイッチング素子TR0をデューティ駆動するのに使用する発振信号の周波数(スイッチング周波数)を、常温時の1/2の周波数に変更する。
このため、図3に示すように、当該電源装置の周囲温度が高く、電源IC10が高温状態にあるときには、スイッチング素子TR0の駆動周期を通常時の周期T0の2倍(2×T0)にして、スイッチング損失(SW損失)の発生頻度、延いては、スイッチング素子TR0の発熱量、を抑えることができる。
また、スイッチング周波数調整回路50は、温度検出回路40により、電源IC10が出力変動判定温度よりも低い低温状態にあると判定された際には、駆動回路30がスイッチング素子TR0をデューティ駆動する際のスイッチング周波数を、常温時の2倍の周波数に変更する。
このため、図4に示すように、当該電源装置の周囲温度が低く、電源IC10が低温状態にあるときには、平滑用コンデンサC1の等価直列抵抗が増加して、出力電圧変動(リップル)が許容範囲を超えるのを防止することができる。
よって、本実施形態のスイッチング電源装置によれば、使用可能な上限温度をより高温側に変化させ、使用可能な下限温度をより低温側に変化させて、使用可能温度範囲を従来装置よりも拡大することができる。
また更に、本実施形態では、電源IC10が第1判定温度よりも高い第2判定温度を超えると、駆動回路30によるスイッチング素子TR0の駆動を停止させて、スイッチング素子TR0をオフ状態に保持する。この結果、電源IC10が第2判定温度を超えて、スイッチング素子TR0が過熱により著しく劣化(若しくは焼損)するのを防止することができる。
また本実施形態では、スイッチング周波数調整回路50において、一つの発振回路である発振回路51と、この発振回路51からの出力を分周する2つの分周回路52、53とを用いて、周波数の異なる3種類の発振信号を生成し、その生成した発振信号の何れかを、発振信号選択手段としてのAND回路55〜57により選択することで、スイッチング素子TR0のスイッチング周波数を切り換えるようにしている。
従って、このスイッチング周波数を調整するのに、発振周波数を制御可能な電圧制御型可変発振器(所謂VCO)やその周波数制御回路等を用いて構成する必要がなく、スイッチング周波数調整回路50(延いてはスイッチング電源装置)を安価に実現することができる。
また、本実施形態では、スイッチング素子TR0を、MOSFETにて構成していることから、スイッチング素子TR0にバイポーラトランジスタを使用するようにした場合二比べて、安定した出力電圧を効率よく生成することができるようになり、また電源供給対象である車載電子機器に対して供給可能な電力も増大できる。
また、本実施形態では、電源IC10の温度を検出するセンサ素子として、ダイオードDtを使用していることから、一般的な温度センサを用いた場合に比べて、温度検出回路40(延いてはスイッチング電源装置)を低コストで実現することができる。
また、本実施形態では、スイッチング素子TR0、制御信号出力回路20、駆動回路30、温度検出回路40、及び、スイッチング周波数調整回路50は、電源IC10として半導体基板に一体形成されているため、スイッチング電源装置の耐ノイズ性を向上することができ、しかも、装置の低コスト化及び小型化を図ることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて、種々の態様をとることができる。
[変形例1]
例えば、上記実施形態では、温度検出回路40はコンパレータ41〜43、反転回路44〜46、及びAND回路47、48にて構成され、スイッチング周波数調整回路50は、発振回路51、分周回路52、53、反転回路54、及びAND回路55〜57にて構成されるものとして説明したが、これら各部は、マイクロコンピュータ等のデジタル信号処理回路にて構成することもできる。
[変形例1]
例えば、上記実施形態では、温度検出回路40はコンパレータ41〜43、反転回路44〜46、及びAND回路47、48にて構成され、スイッチング周波数調整回路50は、発振回路51、分周回路52、53、反転回路54、及びAND回路55〜57にて構成されるものとして説明したが、これら各部は、マイクロコンピュータ等のデジタル信号処理回路にて構成することもできる。
そして、この場合には、ダイオードDt若しくは温度センサ等を用いてスイッチング電源装置の温度を検出するようにし、デジタル信号処理回路では、図5に示す手順でスイッチング周波数制御処理(SW周波数制御処理)を実行するようにすればよい。
すなわち、図5のSW周波数制御処理においては、S110(Sはステップを表す)にて、温度センサから検出温度を取り込み、S120にて、その取り込んだ検出温度が出力変動判定温度よりも低いか否かを判断することにより、電源装置が低温状態であるか否かを判断する。そして、電源装置が低温状態であれば、S130にて、駆動回路30のスイッチング周波数を標準値(例えば500kHz)よりも高い所定周波数(例えば1MHz)に設定して、S110に移行する。
また、S120にて、電源装置が低温状態ではないと判断されると、S140に移行して、検出温度が第1判定温度よりも低いか否かを判断することにより、電源装置が常温状態であるか否かを判断する。そして、電源装置が常温状態であれば、S150にて、駆動回路30のスイッチング周波数を標準値(例えば500kHz)に設定して、S110に移行する。
また、S140にて、電源装置が常温状態ではないと判断されると、S160に移行して、検出温度が第2判定温度よりも低いか否かを判断することにより、電源装置が高温状態であるか否かを判断する。そして、電源装置が高温状態であれば、S170にて、駆動回路30のスイッチング周波数を標準値(例えば500kHz)よりも低い所定周波数(例えば250kHz)に設定して、S110に移行する。
また、S160にて、電源装置が高温状態でないと判断された場合には、検出温度が第2判定温度以上になっているので、S180に移行して、駆動回路30に対して、過熱保護のためにスイッチング素子TR0の駆動を停止させる。
そして、続くS190では、温度センサから検出温度を取り込み、S200にて、その検出温度が第1判定温度よりも低くなったか否か、換言すれば、電源装置が常温状態にまで温度低下したか否かを判断し、温度低下していなければ、再度S190に移行する、といった手順で、電源装置が温度低下するのを待つ。
そして、S200にて、電源装置が常温状態まで温度低下したと判断されると、S210にて、駆動回路30によるスイッチング素子TR0の駆動を再開させて、S110以降の処理を再度実行する。
このように、温度検出回路40及びスイッチング周波数調整回路50をマイクロコンピュータ等のデジタル信号処理回路にて構成して、デジタル信号処理回路にて、図5のSW周波数制御処理を実行するようにしても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、この場合、温度センサを用いて電源装置の温度を検出するS110の処理が、本発明の温度検出手段に相当し、その検出温度に応じてスイッチング周波数を設定するS120〜S170の処理が、本発明のスイッチング状態調整手段に相当し、S180の処理が、本発明の過熱保護手段に相当する。
[変形例2]
次に、上記実施形態では、駆動回路30の三角波生成回路32に出力する発振信号の周波数(スイッチング周波数)を電源IC10の温度に応じて変更できるようにするために、スイッチング周波数調整回路50には、発振回路51と2つの分周回路52、53を設けるものとして説明したが、上記実施形態と同様に、スイッチング周波数を3段階に切り換えるためには、スイッチング周波数調整回路50を、図6(a)に示すように構成してもよい。
[変形例2]
次に、上記実施形態では、駆動回路30の三角波生成回路32に出力する発振信号の周波数(スイッチング周波数)を電源IC10の温度に応じて変更できるようにするために、スイッチング周波数調整回路50には、発振回路51と2つの分周回路52、53を設けるものとして説明したが、上記実施形態と同様に、スイッチング周波数を3段階に切り換えるためには、スイッチング周波数調整回路50を、図6(a)に示すように構成してもよい。
すなわち、図6(a)に示すスイッチング周波数調整回路50は、発振回路51と、この発振回路51の発振周波数を決定する共振コンデンサCaに対し、トランジスタTr1、Tr2を介して並列接続可能な2つの調整用コンデンサCb、Ccとから構成されている。
そして、トランジスタTr1は、温度検出回路40から常温判定信号(ハイレベル)が入力されているときと、高温判定信号(ハイレベル)が入力されているときに、オン状態となって、共振コンデンサCaに調整用コンデンサCbを並列接続し、トランジスタTr2は、温度検出回路40から高温判定信号(ハイレベル)が入力されているときに、オン状態となって、共振コンデンサCaに調整用コンデンサCcを並列接続するようにされている。
この結果、発振回路51の発振周波数は、図6(b)に示すように、温度検出回路40にて電源装置の低温状態が判定されているときには、共振コンデンサCaの容量で決まる高周波となり、温度検出回路40にて電源装置の常温状態が判定されているときには、共振コンデンサCaと調整用コンデンサCbの容量(Ca+Cb)で決まる中周波となり、温度検出回路40にて電源装置の高温状態が判定されているときには、共振コンデンサCaと調整用コンデンサCb、Ccの容量(Ca+Cb+Cc)で決まる低周波となる。
よって、スイッチング周波数調整回路50を、図6(a)に示すように構成しても、上記実施形態と同様に、駆動回路30がスイッチング素子TR0を駆動する際のスイッチング周波数を、電源装置の温度に応じて変更することができるようになる。
そして、この場合、高・中・低の各発振周波数は、コンデンサCa〜Ccの容量によって適宜設定することができるため、上記実施形態に比べて、スイッチング周波数をより細かく設定することが可能となる。
なお、図6(a)に示すスイッチング周波数調整回路50において、トランジスタTr1、Tr2は、本発明の発振周波数切換手段に相当する。
[変形例3]
次に、上記実施形態では、電源装置の低温時にアルミ電解コンデンサからなる平滑用コンデンサC1の等価直列抵抗が増加することによって、出力電圧の電圧変動(リップル)が大きくなるのを防止するために、電源装置の低温時には、常温時よりもスイッチング周波数を高くするものとして説明したが、電源装置の低温時に生じる出力電圧変動を抑制するには、必ずしも、スイッチング周波数を高くする必要はなく、制御信号出力回路20内の誤差増幅回路22の利得を常温時よりも下げて、誤差信号の変動幅を小さくするようにしてもよい。
[変形例3]
次に、上記実施形態では、電源装置の低温時にアルミ電解コンデンサからなる平滑用コンデンサC1の等価直列抵抗が増加することによって、出力電圧の電圧変動(リップル)が大きくなるのを防止するために、電源装置の低温時には、常温時よりもスイッチング周波数を高くするものとして説明したが、電源装置の低温時に生じる出力電圧変動を抑制するには、必ずしも、スイッチング周波数を高くする必要はなく、制御信号出力回路20内の誤差増幅回路22の利得を常温時よりも下げて、誤差信号の変動幅を小さくするようにしてもよい。
具体的には、図7に例示するように、誤差増幅回路22を、出力電圧を分圧抵抗R1、R2にて分圧して取り込み、その取り込んだ出力電圧と目標電圧との差を検出するオペアンプOP1(換言すれば差動増幅回路)からなる誤差検出部22aと、誤差検出部22aからの誤差信号を増幅する増幅部22bとから構成し、この増幅部22bを、入力抵抗R3と帰還用の可変抵抗VR1とオペアンプOP2とを用いて、利得調整可能な反転増幅回路として構成する。そして、この増幅部22bの帰還用の可変抵抗VR1の抵抗値を、温度検出回路40から出力される低温判定信号にて、常温時よりも小さくすることで、増幅部22bの増幅利得(G=VR1/R3)を低下させる。
そして、このようにすれば、図8に示すように、低温時に、誤差増幅回路22へ入力される出力電圧(図7のA点の波形参照)の目標電圧に対する変動幅が、常温時よりも増大しても、誤差増幅回路22からレベルシフト回路24に出力される誤差信号(図7のB点の波形参照)の目標電圧に対する変動幅を抑制することができる。
このため、誤差増幅回路22を図7に示すように構成して、低温時に、増幅部22bの増幅利得を小さくするようにしても、出力電圧の電圧変動(リップル)を抑制して、スイッチング電源装置の使用可能温度範囲の下限温度をより低温側に拡大することができるようになる。
なお、図7は、温度検出回路40からの低温判定信号によって、誤差増幅回路22の増幅利得を低下させるようにした場合のスイッチング電源装置全体の構成を表しているが、図7において、図1に示した実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付与していることから、詳細な説明は省略する。
また、図7のスイッチング電源装置において、三角波生成回路32には、上記実施形態と同様、温度検出回路40から常温判定信号が出力されているときと、高温判定信号が出力されているときとで、異なる周波数(スイッチング周波数)の発振信号を入力するようにすれば、スイッチング電源装置の使用可能温度範囲の上限温度をより高温側に拡大できる。
TR0…スイッチング素子(MOSFET)、2…入力フィルタ、L0…コイル、C0…コンデンサ、4…平滑回路、L1…コイル、C1…平滑用コンデンサ、D1…ダイオード、10…電源回路(IC)、20…制御信号出力回路、22…誤差増幅回路、22a…誤差検出部、OP1…オペアンプ、R1,R2…分圧抵抗、22b…増幅部、OP2…オペアンプ、R3…入力抵抗、VR1…可変抵抗。24…レベルシフト回路、30…駆動回路、32…三角波生成回路、34…コンパレータ、36…プリドライバ回路、40…温度検出回路、Dt…ダイオード(温度検出用)、41…第1コンパレータ、42…第2コンパレータ、43…第3コンパレータ、44〜46…反転回路、47,48…AND回路、50…スイッチング周波数調整回路、51…発振回路、52,53…分周回路、54…反転回路、55〜57…AND回路、Rt…プルアップ抵抗、Ca…共振コンデンサ、Cb,Cc…調整用コンデンサ、Tr1,Tr2…トランジスタ、80…平滑回路、82…誤差増幅回路、84…制御回路。
Claims (13)
- 直流電源から電源供給対象へ至る電源供給経路に直列に設けられたスイッチング素子と、
該スイッチング素子と電源供給対象との間の電源供給経路に設けられ、前記スイッチング素子からの出力電圧を平滑化して前記電源供給対象へ供給する平滑回路と、
該平滑回路にて平滑化された出力電圧が予め定められた目標電圧となるよう、前記スイッチング素子をデューティ駆動する駆動制御手段と、
を備えたスイッチング電源装置において、
当該装置の温度を検出する温度検出手段と、
該温度検出手段にて検出された検出温度に応じて、前記駆動制御手段が前記スイッチング素子をデューティ駆動する際のスイッチング状態を調整するスイッチング状態調整手段と、
を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。 - 前記スイッチング状態調整手段は、前記温度検出手段にて検出された検出温度が高い時には、周波数を低くすることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
- 前記スイッチング状態調整手段は、前記検出温度が予め設定された第1判定温度を超えたか否かを判定し、前記検出温度が第1判定温度を超えている場合に、前記スイッチング周波数を常温時の基準周波数よりも低い周波数に変更することを特徴とする請求項2に記載のスイッチング電源装置。
- 前記温度検出手段にて検出された検出温度が、前記第1判定温度よりも高い第2判定温度を超えたか否かを判定し、前記検出温度が第2判定温度を超えている場合に、駆動制御手段によるスイッチング素子の駆動制御を禁止して、前記スイッチング素子をオフ状態に保持させる保護手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載のスイッチング電源装置。
- 前記スイッチング状態調整手段は、前記温度検出手段にて検出された検出温度が低い時には、周波数を高くすることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
- 前記平滑回路は、平滑用コンデンサとして電解コンデンサを備え、
前記スイッチング状態調整手段は、前記検出温度が、前記電解コンデンサの等価直列抵抗の増大に伴い出力電圧変動が許容範囲を超える出力変動判定温度よりも低いか否かを判定し、前記検出温度が出力変動判定温度よりも低い場合に、前記スイッチング周波数を常温時の基準周波数よりも高い出力変動防止周波数に変更することを特徴とする請求項5に記載のスイッチング電源装置。 - 前記スイッチング状態調整手段は、
一定周波数で発振する発振回路と、
該発振回路からの出力を分周若しくは逓倍することにより周波数が異なる複数の発振信号を生成する発振信号生成回路と、
該発振信号生成回路にて生成された複数の発振信号の一つを、前記検出温度に応じて選択して、前記駆動制御手段に出力することにより、前記駆動制御手段が前記スイッチング素子をデューティ駆動する際のスイッチング周波数を変化させる発振信号選択手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載のスイッチング電源装置。 - 前記スイッチング状態調整手段は、
前記駆動制御手段が前記スイッチング素子をデューティ駆動する際のスイッチング周波数を決定する発振信号を発生する発振回路と、
該発振回路の発振周波数を決定する共振コンデンサに並列接続可能な1又は複数の調整用コンデンサと、
前記検出温度に応じて、前記共振コンデンサへの前記調整用コンデンサの接続状態を切り換えることにより、前記発振回路の発振周波数を変化させる発振周波数切換手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載のスイッチング電源装置。 - 直流電源から電源供給対象へ至る電源供給経路に直列に設けられたスイッチング素子と、
該スイッチング素子と電源供給対象との間の電源供給経路に設けられ、前記スイッチング素子からの出力電圧を電解コンデンサからなる平滑用コンデンサにて平滑化して前記電源供給対象へ供給する平滑回路と、
該平滑回路にて平滑化された出力電圧と予め定められた目標電圧との差を増幅する誤差増幅回路を備え、該誤差増幅回路からの出力に基づき、前記出力電圧が前記目標電圧となるよう前記スイッチング素子をデューティ駆動する駆動制御手段と、
を備えたスイッチング電源装置において、
当該装置の温度を検出する温度検出手段と、
該温度検出手段にて検出された検出温度に応じて、前記誤差増幅回路の増幅利得を調整する誤差増幅利得調整手段と、
を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。 - 前記誤差増幅利得調整手段は、前記温度検出手段にて検出された検出温度が、前記電解コンデンサの等価直列抵抗の増大に伴い出力電圧変動が許容範囲を超える出力変動判定温度よりも低いか否かを判定し、前記検出温度が出力変動判定温度よりも低い場合に、前記誤差増幅回路の増幅利得を常温時の基準利得よりも小さい利得に変更することを特徴とする請求項9に記載のスイッチング電源装置。
- 前記電源供給用のスイッチング素子は、MOSFETからなることを特徴とする請求項1〜請求項10の何れかに記載のスイッチング電源装置。
- 前記温度検出手段は、ダイオードと、該ダイオードの通電時に生じる順方向電圧と温度判定用のしきい値電圧とを比較する1又は複数のコンパレータとを備え、該コンパレータの判定結果を、当該装置の温度を表す検出信号として出力することを特徴とする請求項1〜請求項11の何れかに記載のスイッチング電源装置。
- 前記平滑回路を除く前記各構成要素は、半導体集積回路として半導体基板に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項12の何れかに記載のスイッチング電源装置。
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