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JP2008256769A - 感光性平版印刷版材料および平版印刷版の製版方法 - Google Patents

感光性平版印刷版材料および平版印刷版の製版方法 Download PDF

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JP2008256769A
JP2008256769A JP2007096182A JP2007096182A JP2008256769A JP 2008256769 A JP2008256769 A JP 2008256769A JP 2007096182 A JP2007096182 A JP 2007096182A JP 2007096182 A JP2007096182 A JP 2007096182A JP 2008256769 A JP2008256769 A JP 2008256769A
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Taro Konuma
太朗 小沼
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Konica Minolta Medical and Graphic Inc
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Abstract

【課題】高感度、かつ保存性が良好であり、かつ耐刷性に優れた平版印刷版を製版することができる、感光性平版印刷版材料およびそれを用いた製版方法を提供する。
【解決手段】親水性表面を有する支持体上にa)アルカリ可溶性高分子結合剤、b)エチレン性不飽和二重結合を有する単量体、c)ヘキサアリールビイミダゾール誘導体、d)分光増感剤、e)メルカプト化合物を含む感光性組成物を有してなる感光層およびポリビニルアルコールを主成分とする酸素遮断層を順次塗設した感光性平版印刷版材料において、前記感光層の感光層塗布液中に下記一般式(1)で表される窒素原子を2つ以上含有するポリアミン化合物を0.2〜4.0質量%の範囲含有することを特徴とする感光性平版印刷版材料。
Figure 2008256769

【選択図】なし

Description

本発明は、コンピュータートゥプレートシステム(以下CTPという)に用いられる感光性平版印刷版材料、それに用いられる感光性組成物および平版印刷版材料の製版方法に関し、特に波長370〜420nmのレーザー光での露光に適した感光性平版印刷版材料に関する。
近年、オフセット印刷用の印刷版の作製技術において、画像のデジタルデータをレーザー光源で直接感光性平版印刷版に記録するCTPが開発され、実用化が進んでいる。
これらのうち、比較的高い耐刷力を要求される印刷の分野においては、例えば、特開平1−105238号公報、特開平2−127404号公報に記載された印刷版材料のように重合可能な化合物を含む重合型の感光層を有するネガ型の感光性平版印刷版材料を用いることが知られている。
さらに、印刷版の取り扱い性の面からセーフライト性を高めた、波長390nm〜430nmのレーザーで画像露光可能な印刷版材料が知られている。
そして、高出力かつ小型の波長390〜430nmの青紫色レーザーが容易に入手できるようになり、このレーザー波長に適した感光性平版印刷版を開発することにより明室化がはかられてきている(特許文献1、2及び3参照。)。
また、黄色灯下でのセーフライト性を改良した、例えば特開2001−194782号公報に記載のような感光層にビイミダゾールを含む印刷版材料が知られており、さらに、高感度で、低昇華性の光重合性組成物として、例えば、特開2004−137152号公報に記載のようなアルキル基などの置換基を有するアリール基を含むヘキサアリールビイミダゾール化合物を含む光重合性組成物が知られている。
一方、発光波長が350nmから450nmの範囲にあるレーザー光での露光に対応する重合型の感光層に用いられる増感色素として例えばクマリン誘導体を用いる方法などが知られている(特許文献4参照)。
しかしながら、これらの印刷版材料においては、感度が不十分な場合があった。また、平版印刷版材料を長期に保存した場合、感度が低下する場合があった。
一方、光重合系感光性平版印刷版材料で酸素遮断層を有さない系において、25℃におけるpKbが7以下であるアミンを含有することで保存安定性が改善されるとの技術の開示があるが(特許文献5参照)、しかしながら、酸素遮断層を有さないために実用レベルの感度に達していなかった。
又、一方、トリハロアルキル化合物含有の光重合系感光性組成物にヒンダードアミン系化合物を含有させることで、高感度、高耐刷、保存安定性を達成するとの技術の開示があるが(特許文献6参照)、実用レベルの感度に達していない。
特開2000−35673号公報 特開2000−98605号公報 特開2001−264978号公報 特開2002−214784号公報 特開2001−337447号公報 特開2004−205622号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、高感度、かつ保存性が良好であり、かつ耐刷性に優れた平版印刷版を製版することができる、感光性平版印刷版材料;および該感光性平版印刷版材料を用いた平版印刷版の製版方法;を提供することにある。
発明者は、上記本発明の目的を達成するべく鋭意検討の結果、
本発明に係る一般式(1)で表される窒素原子を2つ以上含有するポリアミン化合物(一般式(1)で表されるポリアミン化合物ともいう。)を添加することで保存性(保存安定性)を改善すると共に、該一般式(1)で表されるポリアミン化合物の窒素原子とアルカリ可溶性高分子結合剤の親水性基(カルボン酸、スルホン酸、水酸基)の水素原子との水素結合による弱い架橋によって、塗設後の膜強度が著しく向上し、耐傷性が向上すること、
また、本発明に係る一般式(1)で表されるポリアミン化合物は、窒素原子、飽和炭化水素基、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基から成っており、(複素)芳香族環およびカルボニル基を有さないため、ラジカル重合の阻害を最小限に抑制し、さらに塗膜強度が向上しているために高感度、高耐刷を実現し得ること、
を見出し、本発明に到達した。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
1.親水性表面を有する支持体上に(a)アルカリ可溶性高分子結合剤、(b)エチレン性不飽和二重結合を有する単量体、(c)ヘキサアリールビイミダゾール誘導体、(d)分光増感剤、(e)メルカプト化合物を含む感光性組成物を有してなる感光層およびポリビニルアルコールを主成分とする酸素遮断層を順次塗設した感光性平版印刷版材料において、前記感光層の感光層塗布液中に下記一般式(1)で表される窒素原子を2つ以上含有するポリアミン化合物を0.2〜4.0質量%の範囲含有することを特徴とする感光性平版印刷版材料。
Figure 2008256769
(式中、Ra〜Reは各々独立に、炭素数2〜20のアルキル基または−(A)a−(B)b−Hを表し、AおよびBは各々独立に、−CH2CH2O−または−CH2CH(CH3)O−を表し、AおよびBは互いに異なる基であって、a、bは各々0以上の整数を表す。nは0以上の整数を表す。)
2.前記一般式(1)で表される窒素原子を2つ以上含有するポリアミン化合物が、該化合物全体の質量平均分子量が350〜1500となるような値であることを特徴とする1に記載の感光性平版印刷版材料。
3.前記一般式(1)において、nが0または1であることを特徴とする1または2に記載の感光性平版印刷版材料。
4.前記一般式(1)で表される窒素原子を2つ以上含有するポリアミン化合物が、感光性組成物中に0.3〜3.0質量%含有されることを特徴とする1〜3のいずれか1項に記載の感光性平版印刷版材料。
5.前記(d)分光増感剤の吸収極大波長が360〜400nmの範囲内にあることを特徴とする1〜4のいずれか1項に記載の感光性平版印刷版材料。
6.1〜5のいずれか1項に記載の感光性平版印刷版材料を発振波長350〜410nmの範囲のレーザー光で画像露光し、90〜150℃に加熱した後にアルカリ性水溶液で現像処理する平版印刷版の製版方法において、
芳香族基とポリオキシエチレン基を有するアニオン界面活性剤を含んでなるpH11.0〜12.5のアルカリ性水溶液で現像処理することを特徴とする平版印刷版の製版方法。
本発明によれば、高感度、かつ保存性が良好であり、かつ耐刷性に優れた平版印刷版を製版することができる、感光性平版印刷版材料;および該感光性平版印刷版材料を用いた平版印刷版の製版方法;を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本発明の感光性平版印刷版材料は、親水性表面を有する支持体上に(a)アルカリ可溶性高分子結合剤、(b)エチレン性不飽和二重結合を有する単量体、(c)ヘキサアリールビイミダゾール誘導体、(d)分光増感剤、(e)チオール化合物を含む感光性組成物を有してなる感光層およびポリビニルアルコールを主成分とする酸素遮断層を順次塗設した感光性平版印刷版材料において、前記感光層の感光層塗布液中に下記一般式(1)で表される窒素原子を2つ以上含有するポリアミン化合物を0.2〜4.0質量%の範囲含有することを特徴とする。
(一般式(1)で表される窒素原子を2つ以上含有するポリアミン化合物)
本発明に係る一般式(1)で表される窒素原子を2つ以上含有するポリアミン化合物(一般式(1)で表されるポリアミン化合物ともいう。)について説明する。
前記一般式(1)において、Ra〜Reは各々独立に、炭素数2〜20のアルキル基または−(A)a−(B)b−Hを表し、AおよびBは各々独立に、−CH2CH2O−または−CH2CH(CH3)O−を表し、AおよびBは互いに異なる基であって、a、bは各々0以上の整数を表す。nは0以上の整数を表す。
本発明に係る一般式(1)で表されるポリアミン化合物は、化合物全体の質量平均分子量が350〜1500となるような値であることが好ましい。
該質量平均分子量が350以上であるとブリードアウト耐性の点で好ましいことにより保存性の点で好ましい。また、分子量が1500以下であると感度の点で好ましい。
Ra〜Reで表される炭素数2〜20のアルキル基は、炭素数6〜16のアルキル基であることが好ましい。
nは0または1であることが好ましい。
Ra〜Reで表される−(A)a−(B)b−Hの、AおよびBの共重合鎖はブロック構造でもランダム構造でもよいが、一般式(1)においてエチレンオキシドとプロピレンオキシドの付加モル数比率は100:0〜30:70の範囲であることがより好ましい。
一般式(1)で表されるの化合物の分子量やエチレンオキシドとプロピレンオキシドの比率は、例えば水酸基価およびアミン価の測定、NMR測定などにより決定することができる。
以下に、本発明に係る一般式(1)で表される窒素原子を2つ以上含有するポリアミン化合物の具体的化合物を挙げるが、本発明は下記化合物に限定されるものではない。
Figure 2008256769
Figure 2008256769
Figure 2008256769
上記化合物の感光層塗布液中への添加量は0.3〜3質量%が好ましく、より好ましくは0.3〜1.5質量%である。
((c)ヘキサアリールビイミダゾール誘導体:重合開始剤)
本発明においては、重合開始剤として好ましく用いられるビイミダゾール化合物として、本発明に係るヘキサアリールビイミダゾール(HABI、トリアリール−イミダゾールの二量体)化合物を好ましく用いることができる。
HABI類の製造工程はDE1,470,154に記載されておりそして光重合可能な組成物中でのそれらの使用はEP24,629、EP107,792、US4,410,621、EP215,453およびDE3,211,312に記述されている。
好ましい誘導体は例えば、2,4,5,2′,4′,5′−ヘキサフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−ブロモフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラキス(3−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,5,2′,5′−テトラキス(2−クロロフェニル)−4,4′−ビス(3,4−ジメトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,6−ジクロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−ニトロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ジ−o−トリル−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−エトキシフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾールおよび2,2′−ビス(2,6−ジフルオロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾールであり、これらの化合物は市販品として入手することができる。
ビイミダゾール化合物の含有量は、感光層に対して0.05質量%〜20.0質量%が好ましく、1.0質量%〜10.0質量%が特に好ましい。
((b)エチレン性不飽和二重結合を有する単量体)
エチレン性不飽和二重結合を有する単量体は、重合可能な、エチレン性二重結合含有化合物であり、一般的なラジカル重合性のモノマー類、紫外線硬化樹脂に一般的に用いられる分子内に付加重合可能なエチレン性二重結合を複数有する多官能モノマー類や、多官能オリゴマー類をさらに併用して用いることができる。
これらの化合物に限定は無いが、好ましいものとして、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物のアクリレート、1,3−ジオキソランアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ハイドロキノンジアクリレート、レゾルシンジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート等の2官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン付加物、ピロガロールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ヒドロキシピバリルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリル酸エステル酸、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル等を挙げることができる。
また、プレポリマーも上記同様に使用することができる。プレポリマーとしては、後述する様な化合物等を挙げることができ、また、適当な分子量のオリゴマーにアクリル酸、又はメタクリル酸を導入し、光重合性を付与したプレポリマーも好適に使用できる。これらプレポリマーは、1種又は2種以上を併用してもよいし、上述のモノマー及び/又はオリゴマーと混合して用いてもよい。
プレポリマーとしては、例えばアジピン酸、トリメリット酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ハイミック酸、マロン酸、こはく酸、グルタール酸、イタコン酸、ピロメリット酸、フマル酸、グルタール酸、ピメリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングルコール、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価のアルコールの結合で得られるポリエステルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステルアクリレート類、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸、フェノールノボラック・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸のようにエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したエポキシアクリレート類、例えば、エチレングリコール・アジピン酸・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルフタリルメタクリレート・キシレンジイソシアネート、1,2−ポリブタジエングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパン・プロピレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレートのように、ウレタン樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したウレタンアクリレート、例えば、ポリシロキサンアクリレート、ポリシロキサン・ジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート等のシリコーン樹脂アクリレート類、その他、油変性アルキッド樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入したアルキッド変性アクリレート類、スピラン樹脂アクリレート類等のプレポリマーが挙げられる。
本発明に係る感光層には、ホスファゼンモノマー、トリエチレングリコール、イソシアヌール酸EO(エチレンオキシド)変性ジアクリレート、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、アルキレングリコールタイプアクリル酸変性、ウレタン変性アクリレート等の単量体及び該単量体から形成される構成単位を有する付加重合性のオリゴマー及びプレポリマーを含有することができる。
更に、本発明に併用可能なエチレン性単量体として、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を含有するリン酸エステル化合物が挙げられる。該化合物は、リン酸の水酸基の少なくとも一部がエステル化された化合物であり、しかも、(メタ)アクリロイル基を有する限り特に限定はされない。
その他に、特開昭58−212994号公報、同61−6649号公報、同62−46688号公報、同62−48589号公報、同62−173295号公報、同62−187092号公報、同63−67189号公報、特開平1−244891号公報等に記載の化合物などを挙げることができ、更に「11290の化学商品」化学工業日報社、p.286〜p.294に記載の化合物、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」高分子刊行会、p.11〜65に記載の化合物なども本発明においては好適に用いることができる。これらの中で、分子内に2以上のアクリル基又はメタクリル基を有する化合物が本発明においては好ましく、更に分子量が10,000以下、より好ましくは5,000以下のものが好ましい。
この他にも、特開平1−105238号公報、特開平2−127404号公報に記載の、アクリレート又はアルキルアクリレートを用いることが出来る。
本発明に係る(B)重合可能な、エチレン性二重結合含有化合物の感光層中における含有量は、感光層に対して、0.5質量%〜15.0質量%が好ましく、特に1.0〜8.0質量%が好ましい。
((a)アルカリ可溶性高分子結合材)
本発明に係るアルカリ可溶性高分子結合材(以下、単に高分子結合材とも言う。)は、感光層に含まれる成分を支持体上に担持し得るものであり、高分子結合材としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、その他の天然樹脂等が使用出来る。また、これらを2種以上併用してもかまわない。
好ましくはアクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。さらに、高分子結合材の共重合組成として、(a)カルボキシル基含有モノマー、(b)メタクリル酸アルキルエステル、またはアクリル酸アルキルエステルの共重合体であることが好ましい。
カルボキシル基含有モノマーの具体例としては、α,β−不飽和カルボン酸類、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。その他、フタル酸と2−ヒドロキシメタクリレートのハーフエステル等のカルボン酸も好ましい。
メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等の無置換アルキルエステルの他、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル等の環状アルキルエステルや、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等の置換アルキルエステルも挙げられる。
さらに、高分子結合材は、共重合モノマーとして、下記(1)〜(14)に記載のモノマー等を用いる事が出来る。
1)芳香族水酸基を有するモノマー、例えばo−(又はp−,m−)ヒドロキシスチレン、o−(又はp−,m−)ヒドロキシフェニルアクリレート等。
2)脂肪族水酸基を有するモノマー、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルビニルエーテル等。
3)アミノスルホニル基を有するモノマー、例えばm−(又はp−)アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−(又はp−)アミノスルホニルフェニルアクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等。
4)スルホンアミド基を有するモノマー、例えばN−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド等。
5)アクリルアミド又はメタクリルアミド類、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ニトロフェニル)アクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド等。
6)弗化アルキル基を含有するモノマー、例えばトリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、N−ブチル−N−(2−アクリロキシエチル)ヘプタデカフルオロオクチルスルホンアミド等。
7)ビニルエーテル類、例えば、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等。
8)ビニルエステル類、例えばビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等。
9)スチレン類、例えばスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等。
10)ビニルケトン類、例えばメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等。
11)オレフィン類、例えばエチレン、プロピレン、i−ブチレン、ブタジエン、イソプレン等。
12)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン等。
13)シアノ基を有するモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−3−ブテンニトリル、2−シアノエチルアクリレート、o−(又はm−,p−)シアノスチレン等。
14)アミノ基を有するモノマー、例えばN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリブタジエンウレタンアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−i−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等。
さらにこれらのモノマーと共重合し得る他のモノマーを共重合してもよい。
さらに、高分子結合材は、側鎖にカルボキシル基および重合性二重結合を有するビニル系重合体であることが好ましい。例えば、上記ビニル系共重合体の分子内に存在するカルボキシル基に、分子内に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物を付加反応させる事によって得られる、不飽和結合含有ビニル系共重合体も高分子結合材として好ましい。
分子内に不飽和結合とエポキシ基を共に含有する化合物としては、具体的にはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、特開平11−271969号に記載のあるエポキシ基含有不飽和化合物等が挙げられる。また、上記ビニル系重合体の分子内に存在する水酸基に、分子内に(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基を有する化合物を付加反応させる事によって得られる、不飽和結合含有ビニル系共重合体も高分子結合材として好ましい。分子内に不飽和結合とイソシアネート基を共に有する化合物としては、ビニルイソシアネート、(メタ)アクリルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−またはp−イソプロペニル−α,α′−ジメチルベンジルイソシアネートが好ましく、(メタ)アクリルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
側鎖にカルボキシル基および重合性二重結合を有するビニル系重合体は、全高分子結合剤において、50〜100質量%であることが好ましく、100質量%であることがより好ましい。
感光層中における高分子結合材の含有量は、10〜90質量%の範囲が好ましく、15〜70質量%の範囲が更に好ましく、20〜50質量%の範囲で使用することが感度の面から特に好ましい。
((d)分光増感剤)
光源にレーザー光を用いる場合、好ましくは感光層に増感色素を添加する。光源の波長付近に吸収極大波長を有する色素を用いることが好ましい。
光源のレーザー光として、380nmから430nmの範囲に発光波長を有する半導体レーザー、いわゆるバイオレットレーザーを用いた記録を行う場合は、360nmから410nmの間に吸収極大有する色素を含有せしめることが望ましい。360nmから410nmの間に吸収極大有する色素としては、構造上特に制約は無いが、シアニン、フタロシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、クマリン誘導体、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、スチルベン類、ジスチリルベンゼン類、ジスチリルビフェニル類、ジビニルスチルベン類、トリアジニルアミノスチルベン類、スチルベニルトリアゾール類、スチルベニルナフトトリアゾール類、ビス−トリアゾールスチルベン類、ベンゾキサゾール類、ビスフェニルベンゾキサゾール類、スチルベニルベンゾキサゾール類、ビス−ベンゾキサゾール類、フラン類、ベンゾフラン類、ビス−ベンズイミダゾール類、ジフェニルピラゾリン類、ジフェニルオキサジアゾール類、ナフタルイミド類、キサンテン類、カルボスチリル類、ピレン類および1,3,5−トリアジニル−誘導体、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等、ケトアルコールボレート錯体等の色素群は、吸収極大がその要件を充たす限り、いずれも使用可能である。具体的には、特開2002−296764号、特開2002−268239号、特開2002−268238号、特開2002−268204号、特開2002−221790号、特開2002−202598号、特開2001−042524号、特開2000−309724号、特開2000−258910号、特開2000−206690号、特開2000−147763号、特開2000−098605号、特開2003−295426号等に記載のある色素を用いることが出来るが、これに限定されない。特にクマリン誘導体、アクリドン誘導体、スチルベン誘導体が特に好ましく、360〜400nmに吸収極大を有する色素が特に好ましく、感度とセーフライト性を両立する。
((e)メルカプト化合物)
本発明に係る感光層は、メルカプト化合物を含有することが、本発明感度、感動変動防止の面から好ましい。
メルカプト化合物は、メルカプト基を有する化合物であり、例えば、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−4−メチル−5−アセチルチアゾール、2−メルカプト−4−メチルチアゾール、1−メチル−2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−4,5−ジメチルチアゾール、2−メルカプト−5−アセチルチアゾール、1−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−メチル−2−メルカプト−4−メチル−5−アセチルイミダゾール、2−メルカプトオキサゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプト−2−イミダゾリンが挙げられる。
メルカプト化合物の含有量としては、感光層に対して、0.01〜5質量%が好ましく、特に0.1〜1質量%が好ましい。
また、着色剤も使用することができ、着色剤としては、市販のものを含め従来公知のものが好適に使用できる。例えば、改訂新版「顔料便覧」,日本顔料技術協会編(誠文堂新光社)、カラーインデックス便覧等に述べられているものが挙げられる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、赤色顔料、褐色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料等が挙げられる。具体的には、無機顔料(二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、プルシアンブルー、硫化カドミウム、酸化鉄、ならびに鉛、亜鉛、バリウム及びカルシウムのクロム酸塩等)及び有機顔料(アゾ系、チオインジゴ系、アントラキノン系、アントアンスロン系、トリフェンジオキサジン系の顔料、バット染料顔料、フタロシアニン顔料及びその誘導体、キナクリドン顔料等)が挙げられる。
これらの中でも、使用する露光レーザーに対応した分光増感色素の吸収波長域に実質的に吸収を持たない顔料を選択して使用することが好ましく、この場合、使用するレーザー波長での積分球を用いた顔料の反射吸収が0.05以下であることが好ましい。又、顔料の添加量としては、上記組成物の固形分に対し0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%である。
上記の感光波長領域での顔料吸収及び現像後の可視画性の観点から、紫色顔料、青色顔料を用いるのが好ましい。このようなものとしては、例えばコバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、フォナトーンブルー6G、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルーフアーストスカイブルー、インダンスレンブルー、インジコ、ジオキサンバイオレット、イソビオランスロンバイオレット、インダンスロンブルー、インダンスロンBC等を挙げることができる。これらの中で、より好ましくはフタロシアニンブルー、ジオキサンバイオレットである。
また、感光層は、本発明の性能を損わない範囲で、界面活性剤を塗布性改良剤として含有することが出来る。その中でも好ましいのはフッ素系界面活性剤である。
また、硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。これらの添加量は全固形分の10%以下が好ましい。
また、本発明に係る感光層は、感光層に含まれる成分を含有した感光層塗布液を支持体上に塗布、乾燥して設けることができる。感光層塗布液を調製する際に使用する溶剤としては、例えば、アルコール:多価アルコールの誘導体類では、sec−ブタノール、イソブタノール、n−ヘキサノール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、又エーテル類:プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、又ケトン類、アルデヒド類:ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、又エステル類:乳酸エチル、乳酸ブチル、シュウ酸ジエチル、安息香酸メチル等が好ましく挙げられる。
本発明に係る感光層の支持体上の付き量としては、0.1g/m2〜10g/m2が好ましく特に0.5g/m2〜5g/m2であることが、感度、保存性の面から好ましい。
(酸素遮断層)
本発明に係る感光層の上側には、必要に応じ酸素遮断層を設けることが出来る。
この酸素遮断層は、後述の現像液(一般にはアルカリ水溶液)への溶解性が高いことが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンを挙げることができる。ポリビニルアルコールは酸素の透過を抑制する効果を有し、また、ポリビニルピロリドンは隣接する感光層との接着性を確保する効果を有する。
上記2種のポリマーの他に、必要に応じ、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、膠、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉、アラビアゴム、サクローズオクタアセテート、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアミン、ポリエチレンオキシド、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、水溶性ポリアミド等の水溶性ポリマーを併用することもできる。
本発明の感光性平版印刷版材料に酸素遮断層を設ける場合、感光層と酸素遮断層間の剥離力が35mN/mm以上であることが好ましく、より好ましくは50mN/mm以上、更に好ましくは75mN/mm以上である。好ましい酸素遮断層の組成としては特願平8−161645号に記載されるものが挙げられる。
剥離力は、酸素遮断層上に十分大きい粘着力を有する所定幅の粘着テープを貼り、それを感光性平版印刷版材料の平面に対して90度の角度で酸素遮断層と共に剥離する時の力を測定することにより求めることができる。
酸素遮断層には、更に必要に応じて界面活性剤、マット剤等を含有することができる。上記酸素遮断層組成物を適当な溶剤に溶解し感光層上に塗布・乾燥して酸素遮断層を形成する。塗布溶剤の主成分は水、あるいはメタノール、エタノール、i−プロパノール等のアルコール類であることが特に好ましい。
酸素遮断層を設ける場合その厚みは0.1〜5.0μmが好ましく、特に好ましくは0.5〜3.0μmである。
(支持体)
本発明に係る支持体は感光層を担持可能な板状体またはフィルム体であり、感光層が設けられる側に親水性表面を有するのが好ましい。親水性表面とは、感光層が除去された部分(非画像部)が、印刷時水受容性、印刷インキ反撥性となり得る面であり、基材上に親水性層を設ける方法、基材表面を親水化処理する方法などにより得られる。
本発明に係る支持体として、例えばアルミニウム、ステンレス、クロム、ニッケル等の金属板、また、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムに前述の金属薄膜をラミネートまたは蒸着したもの等が挙げられる。
また、ポリエステルフィルム、塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム等の表面に親水化処理を施したもの等が使用できるが、アルミニウム支持体が好ましく使用される。
アルミニウム支持体の場合、純アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられる。
支持体のアルミニウム合金としては、種々のものが使用でき、例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。又アルミニウム支持体は、保水性付与のため、表面を粗面化したものが用いられる。
アルミニウム支持体を用いる場合、粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。又、脱脂処理には、苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、支持体の表面にはスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、或いはそれらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。粗面化の方法としては、例えば、機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。
用いられる機械的粗面化法は特に限定されるものではないが、ブラシ研磨法、ホーニング研磨法が好ましい。
電気化学的粗面化法も特に限定されるものではないが、酸性電解液中で電気化学的に粗面化を行う方法が好ましい。
電気化学的粗面化処理としては、塩酸を含有する電解液中での交流電解粗面化処理が好ましく用いられる。
粗面化された表面の算術平均粗さ(Ra)としては、0.2μm以上、0.8μm以下であることが好ましい。
即ち、支持体としては、塩酸を含有する水溶液中で電気化学的処理を含む工程により、粗面を形成したものであって、この粗面の算術平均粗さ(Ra)が0.2μm以上、0.8μm以下である支持体が特に好ましい。
本発明でいう算術平均粗さ(Ra)は、ISO4287により定義されたものである。
すなわち、算術平均粗さ(Ra)は、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さlrの部分を抜き取り、この抜き取り部分の方向にX軸、縦倍率の方向にY軸をy=Z(x)で表した時に、下記式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
Figure 2008256769
Raの値は、例えば、SE1700α(小坂研究所(株)製)などの市販の接触式粗さ計を用いて測定することができる。
塩酸を含有する電解液中での交流電解粗面化処理の塩酸濃度濃度としては、0.03〜3質量%が好ましく用いられる。
上記の電気化学的粗面化法で粗面化した後、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。
表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。又、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
機械的粗面化処理法、電気化学的粗面化法はそれぞれ単独で用いて粗面化してもよいし、又、機械的粗面化処理法に次いで電気化学的粗面化法を行って粗面化してもよい。
粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行うことができる。本発明において用いることができる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、支持体上には酸化皮膜が形成される。
陽極酸化処理された支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行うことができる。
更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えばホウ酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。更に、特開平5−304358号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起し得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
(塗布)
上記の感光層塗布液を従来公知の方法で支持体上に塗布し、乾燥し、感光性平版印刷版材料を作製することが出来る。
塗布液の塗布方法としては、例えばエアドクタコータ法、ブレードコータ法、ワイヤーバー法、ナイフコータ法、ディップコータ法、リバースロールコータ法、グラビヤコータ法、キャストコーティング法、カーテンコータ法及び押し出しコータ法等を挙げることが出来る。
感光層の乾燥温度は60〜160℃の範囲が好ましく、より好ましくは80〜140℃、特に好ましくは、90〜120℃の範囲で乾燥することが好ましい。
(画像露光)
本発明の感光性平版印刷版材料に画像記録する光源としては、発光波長が370〜440nmのレーザー光の使用が好ましい。
本発明の感光性平版印刷版を露光する光源としては、例えば、He−Cdレーザー(441nm)、固体レーザーとしてCr:LiSAFとSHG結晶の組合わせ(430nm)、半導体レーザー系として、KNbO3、リング共振器(430nm)、AlGaInN(350nm〜450nm)、AlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー400〜410nm)等を挙げることができる。
レーザー露光の場合には、光をビーム状に絞り画像データに応じた走査露光が可能なので、マスク材料を使用せず、直接書込みを行うのに適している。
又、レーザーを光源として用いる場合には、露光面積を微小サイズに絞ることが容易であり、高解像度の画像形成が可能となる。
レーザーの走査方法としては、円筒外面走査、円筒内面走査、平面走査などがある。円筒外面走査では、記録材料を外面に巻き付けたドラムを回転させながらレーザー露光を行い、ドラムの回転を主走査としレーザー光の移動を副走査とする。円筒内面走査では、ドラムの内面に記録材料を固定し、レーザービームを内側から照射し、光学系の一部又は全部を回転させることにより円周方向に主走査を行い、光学系の一部又は全部をドラムの軸に平行に直線移動させることにより軸方向に副走査を行う。平面走査では、ポリゴンミラーやガルバノミラーとfθレンズ等を組み合わせてレーザー光の主走査を行い、記録媒体の移動により副走査を行う。円筒外面走査及び円筒内面走査の方が光学系の精度を高め易く、高密度記録には適している。
版面の露光エネルギー測定には例えばOphirOptronics社製のレーザーパワーメーターPDGDO−3Wを用いることができる。
(現像液)
画像露光した感光層は露光部が硬化する。これをアルカリ性現像液で現像処理することにより、未露光部を除去して画像形成することが好ましい。
この様な現像液としては、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えばケイ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;第二燐酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;重炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;ホウ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム及び同リチウム等の無機アルカリ剤を使用するアルカリ現像液が挙げられる。
また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−i−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、トリ−i−プロピルアミン、ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ−i−プロパノールアミン、ジ−i−プロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いることができる。
これらのアルカリ剤は、単独又は2種以上組合せて用いられる。また、この現像液には、必要に応じてアニオン性界面活性剤、両性活性剤やアルコール等の有機溶媒を加えることができる。
アルカリ性現像液は、顆粒状、錠剤等の現像液濃縮物から調製することもできる。
現像液濃縮物は、一旦、現像液にしてから蒸発乾固してもよいが、好ましくは複数の素材を混ぜ合わせる際に水を加えず、又は少量の水を加える方法で素材を混ぜ合わせることで濃縮状態とする方法が好ましい。又、この現像液濃縮物は、特開昭51−61837号、特開平2−109042号、同2−109043号、同3−39735号、同5−142786号、同6−266062号、同7−13341号等に記載される従来よく知られた方法にて、顆粒状、錠剤とすることができる。又、現像液の濃縮物は、素材種や素材配合比等の異なる複数のパートに分けてもよい。
アルカリ性現像液及びその補充液には、更に必要に応じて防腐剤、着色剤、増粘剤、消泡剤及び硬水軟化剤などを含有させることもできる。
(自動現像機)
本発明の製版方法では、自動現像機を用いて感光性平版印刷版材料を現像処理する方法が、本発明の効果が有効であり、好ましい態様である。
自動現像機は、好ましくは現像浴に自動的に補充液を必要量補充する機構が付与されており、好ましくは一定量を超える現像液は、排出する機構が付与されており、好ましくは現像浴に自動的に水を必要量補充する機構が付与されており、好ましくは、通版を検知する機構が付与されており、好ましくは通版の検知をもとに版の処理面積を推定する機構が付与されており、好ましくは通版の検知および/または処理面積の推定をもとに補充しようとする補充液および/または水の補充量および/または補充タイミングを制御する機構が付与されており、好ましくは現像液の温度を制御する機構が付与されており、好ましくは現像液のpHおよび/または電導度を検知する機構が付与されており、好ましくは現像液のpHおよび/または電導度をもとに補充しようとする補充液および/または水の補充量および/または補充タイミングを制御する機構が付与されている。
自動現像機は、現像工程の前に前処理液に版を浸漬させる前処理部を有してもよい。この前処理部は、好ましくは版面に前処理液をスプレーする機構が付与されており、好ましくは前処理液の温度を25℃〜55℃の任意の温度に制御する機構が付与されており、好ましくは版面をローラー状のブラシにより擦る機構が付与されている。またこの前処理液としては、水などが用いられる。
(後処理)
現像処理された版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を主成分とするフィニッシャーや保護ガム液で後処理を施された後、印刷に供せられる。
これらの後処理は、一般に現像部と後処理部とからなる自動現像機を用いて行われる。
後処理液は、スプレーノズルから吹き付ける方法、処理液が満たされた処理槽中を浸漬搬送する方法が用いられる。また、現像後一定量の少量の水洗水を版面に供給して水洗し、その廃液を現像液原液の希釈水として再利用する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じてそれぞれの補充液を補充しながら処理することができる。また、実質的に未使用の後処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。このような処理によって得られた平版印刷版は、オフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
本発明の製版方法においては、オーバーコート層を有する感光性平版印刷版材料の場合には、現像前水洗水で処理する工程を含む製版方法が好ましい態様である。
(印刷)
感光性平版印刷版材料は、本発明の製版方法により処理された後、印刷に供せられる。
印刷は、一般的な平版印刷機を用いて行うことができる。
近年印刷業界においても環境保全の面から、印刷インキにおいては石油系の揮発性有機化合物(VOC)を使用しないインキが開発されその普及が進みつつあるが、本発明の効果はこのような環境対応の印刷インキを使用した場合に特に顕著である。
環境対応の印刷インキとしては大日本インキ化学工業社製の大豆油インキ“ナチュラリス100”、東洋インキ社製のVOCゼロインキ“TKハイエコーNV”、東京インキ社製のプロセスインキ“ソイセルボ”等があげられる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。尚、特に断りない限り、実施例中の「部」は「質量部」を示す。
実施例1
(アクリル系共重合体1の合成)
窒素気流下の三ツ口フラスコに、メタクリル酸30部、メタクリル酸メチル50部、メタクリル酸エチル20部、イソプロピルアルコール500部及びα、α′−アゾビスイソブチロニトリル3部を入れ、窒素気流中80℃のオイルバスで6時間反応させた。その後、イソプロピルアルコールの沸点で1時間還流を行った後、トリエチルアンモニウムクロライド3部及びグリシジルメタクリレート25部を加えて3時間反応させ、アクリル系共重合体1を得た。GPCを用いて測定した重量平均分子量は約35,000、DSC(示差熱分析法)を用いて測定したガラス転移温度(Tg)は約85℃であった。(固形分20%溶液)
(支持体の作製)
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質1050,調質H16)を65℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、1分間の脱脂処理を行った後、水洗した。この脱脂アルミニウム板を、25℃に保たれた10%塩酸水溶液中に1分間浸漬して中和した後、水洗した。次いで、このアルミニウム板を、0.3質量%の硝酸水溶液中で、25℃、電流密度100A/dm2の条件下に交流電流により60秒間、電解粗面化を行った後、60℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液中で10秒間のデスマット処理を行った。デスマット処理を行った粗面化アルミニウム板を、15%硫酸溶液中で、25℃、電流密度10A/dm2、電圧15Vの条件下に1分間陽極酸化処理を行い、更に3質量%ポリビニルホスホン酸で75℃で親水化処理を行って支持体を作製した。
この時、表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.55μmであった。
(感光性平版印刷版材料1の作製)
上記支持体上に、感光層の感光層塗布液として下記光重合感光層塗工液1を乾燥時1.6g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、90℃で2分間乾燥し、次いで、感光層上に下記組成の酸素遮断層塗工液を乾燥時1.8g/m2になるようになるようアプリケーターで塗布し、75℃で1.5分間乾燥して、感光層上に酸素遮断層を有する感光性平版印刷版材料1(表1に記載)を作製した。
(光重合感光層塗工液1)
本発明に係る一般式(1)で表されるポリアミン化合物(例示化合物1−a)
1.0部
(A) 上記アクリル共重合体1(固形分20%のイソプロピルアルコールとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート混合溶液) 160部
(B)−1 下記化合物M−1(固形分50%のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液) 72部
(B)−2 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 10部
(B)−3 テトラエチレングリコールジメタクリレート 5部
(C) 2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビスイミダゾール 4部
(D) 下記化合物D−1 4部
(E) 2−メルカプトベンゾチアゾール 0.3部
顔料分散物:銅フタロシアニン顔料(MHI#454(固形分35%のメチルエチルケトン分散液):三国色素(株)製) 14部
界面活性剤:エダプランLA411:MUNZING CHEMIE GMBH社製
0.1部
溶剤1 メチルエチルケトン 200部
溶剤2 プロピレングリコールモノメチルエーテル 530部
M−1:2−ヒドロキシエチルピペリジン1.0mol、ヒドロキシエチルメタクリレート2.0mol、ヘキサメチレンジイソシアネート2.0molの共重合体
D−1:極大吸収波長:396nm(アセトニトリル溶液)
Figure 2008256769
上記光重合感光性塗布試料上に、下記組成の酸素遮断層塗工液を乾燥時1.8g/m2になるようになるようアプリケーターで塗布し、75℃で1.5分間乾燥して、感光層上に酸素遮断層を有する感光性平版印刷版材料1を作製した。
(酸素遮断層塗工液)
ポリビニルアルコール(AL−06:日本合成化学社製) 70部
ポリビニルピロリドン(K−30:BAFS社製) 30部
界面活性剤(サーフィノール465:日信化学工業社製) 0.5部
水 900部
(感光性平版印刷版材料2〜17の作製)
感光性平版印刷版材料2〜17は、感光性平版印刷版材料1の一般式(1)で表されるポリアミン化合物1−aを、それぞれ一般式(1)で表される1−b〜1−o、添加無し、トリエタノールアミン(モノアミン化合物(比較の化合物))、に変更して光重合性感光層塗工液2〜17を調製した他は、感光性平版印刷版材料1と同様の方法で、感光性平版印刷版材料2〜17(表1に記載)をそれぞれ作製した。
(平版印刷版材料の評価)
(感度)
感光性平版印刷版材料に、405nm、60mWの光源を備えたプレートセッター(NewsCTP:ECRM社製)を用いて、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)で露光を行った。
露光パターンは、100%画像部、50%網点画像部、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1%の、原稿画像データを使用した。
次いで、105℃に設定されたプレヒート部、酸素遮断層を除去するためのプレ水洗部、下記組成の現像液を充填し、24℃に温度調節された現像部、版面に付着した現像液を取り除く水洗部、画線部保護のためのガム液(GW−3:三菱化学社製を2倍希釈したもの)処理部を備えたCTP自動現像機(RaptorPolymer85:Glunz&Jensen社製)で現像処理を行い、平版印刷版を得た。
(現像液組成(下記添加剤を含有する水溶液))
ニューコールB−13SN:日本乳化剤(株)製 3.0部
水 89.0部
苛性カリ pH=12.0となる添加量
平版印刷版の版面に記録された100%画像部において、非画像部の砂目表面を基準とした反射濃度が、現像前の感光層の反射濃度に比べて95%以上の場合の露光エネルギーを記録エネルギーとし、感度の指標とした。反射濃度計はグレタグマクベス社製D−196を使用した。記録エネルギーが小さい程高感度であることを表す。
Figure 2008256769
(保存性の評価)
長期の保存性の加速試験として、得られた感光性平版印刷版材料を遮光防湿紙で包装した感光性平版印刷版材料を40℃環境下に3日、7日静置保管し、ドットメーター(iCPlate II(X−rite社製))で、50%網点の網点面積率(%)を測定し、保存による網点面積率(%)の減少が少ないものの方が、長期の保存性が良好と判断した。
(耐刷力の評価)
上記方法で現像処理し、作製された平版印刷版を、印刷機(三菱重工業(株)製DAIYA1F−1)で、コート紙、印刷インキ(大日本インキ化学工業社製の、大豆油インキ“ナチュラリス100”)及び湿し水(東京インキ(株)製H液SG−51濃度1.5%)を用いて印刷を行い、1000枚連続印刷後、クリーナーで版面をふき、ハイライト部の点細りの発生する印刷枚数を耐刷力の指標とした。耐刷性1回は1000枚連続印刷後クリーナーでふく作業を指す。多いほど好ましい。クリーナーは、ウルトラプレートクリーナー(発売元:大日精化)を使用。
以上の結果を、表2に示す。
Figure 2008256769
Figure 2008256769
表2から明らかなように、ポリアミン化合物を添加することで高感度、耐刷力に優れ、かつ保存性の良好な感光性平版印刷版材料を得ることができることがわかる。
(感光性平版印刷版材料18〜23の作製)
感光性平版印刷版材料18〜23は、感光性平版印刷版材料1の一般式(1)で表されるポリアミン化合物1−aの添加量を下記表3に示す量に変えて光重合感光層塗工液を調製した他は、感光性平版印刷版材料1と同様にして、感光性平版印刷版材料18〜23(表3に記載)を作製した。
感光性平版印刷版材料1についての場合と同様にして評価した結果を、表4に示す。
Figure 2008256769
Figure 2008256769
表4から明らかなように、添加量依存性が認められ、0.1〜4.0%の範囲では高感度、耐刷力に優れ、かつ保存性が良好であることがわかる。特に0.3〜3.0%の範囲では顕著であることがわかる。

Claims (6)

  1. 親水性表面を有する支持体上に(a)アルカリ可溶性高分子結合剤、(b)エチレン性不飽和二重結合を有する単量体、(c)ヘキサアリールビイミダゾール誘導体、(d)分光増感剤、(e)メルカプト化合物を含む感光性組成物を有してなる感光層およびポリビニルアルコールを主成分とする酸素遮断層を順次塗設した感光性平版印刷版材料において、前記感光層の感光層塗布液中に下記一般式(1)で表される窒素原子を2つ以上含有するポリアミン化合物を0.2〜4.0質量%の範囲含有することを特徴とする感光性平版印刷版材料。
    Figure 2008256769
    (式中、Ra〜Reは各々独立に、炭素数2〜20のアルキル基または−(A)a−(B)b−Hを表し、AおよびBは各々独立に、−CH2CH2O−または−CH2CH(CH3)O−を表し、AおよびBは互いに異なる基であって、a、bは各々0以上の整数を表す。nは0以上の整数を表す。)
  2. 前記一般式(1)で表される窒素原子を2つ以上含有するポリアミン化合物が、該化合物全体の質量平均分子量が350〜1500となるような値であることを特徴とする請求項1に記載の感光性平版印刷版材料。
  3. 前記一般式(1)において、nが0または1であることを特徴とする請求項1または2に記載の感光性平版印刷版材料。
  4. 前記一般式(1)で表される窒素原子を2つ以上含有するポリアミン化合物が、感光性組成物中に0.3〜3.0質量%含有されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性平版印刷版材料。
  5. 前記(d)分光増感剤の吸収極大波長が360〜400nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性平版印刷版材料。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性平版印刷版材料を発振波長350〜410nmの範囲のレーザー光で画像露光し、90〜150℃に加熱した後にアルカリ性水溶液で現像処理する平版印刷版の製版方法において、
    芳香族基とポリオキシエチレン基を有するアニオン界面活性剤を含んでなるpH11.0〜12.5のアルカリ性水溶液で現像処理することを特徴とする平版印刷版の製版方法。
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