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JP2008251679A - ダイオード - Google Patents

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JP2008251679A JP2007088716A JP2007088716A JP2008251679A JP 2008251679 A JP2008251679 A JP 2008251679A JP 2007088716 A JP2007088716 A JP 2007088716A JP 2007088716 A JP2007088716 A JP 2007088716A JP 2008251679 A JP2008251679 A JP 2008251679A
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Kazuhiro Koyama
和博 小山
Mutsuhiro Mori
森  睦宏
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  • Metal-Oxide And Bipolar Metal-Oxide Semiconductor Integrated Circuits (AREA)

Abstract

【課題】リカバリ時における跳ね上がり電圧を抑制し、記跳ね上がり電圧に基づくノイズあるいは振動を低減する。
【解決手段】第1電極と、該第1の電極上に積層した第1導電型の第1半導体層1と、該第1半導体層上に積層した第1導電型の第2半導体層2と、該第2半導体層上に積層した第1導電型の第3半導体層3と、該第3半導体層上に積層した第2導電型の第4半導体層4と、該第4半導体層上に積層した第2電極を備え、前記第2半導体層の層厚は30μm以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ダイオードに係り、特に、リカバリ時における跳ね上がり電圧を抑制することのできるダイオードに関する。
図16は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いて、インダクタンス成分を含む負荷をスイッチング駆動する回路の例を示す図である。ここで図16(a)はIGBTがオフしたときにダイオードおよび負荷Ldに流れる電流を示す。また、図16(b)はIGBTがオンしたときに流れる電流を示す。
IGBTのオフ時には負荷インダクタンスLdとダイオードの順方向に電流が流れる。ここでIGBTがオンすると、IGBTにはLdに流れる電流とダイオードのリカバリ電流が重畳された電流が流れる。
図19は、リカバリ電流とダイオードの逆方向電圧を示す図である。リカバリ電流をiとするとダイオードにかかる跳ね上がり電圧(ダイオードのターンオフ時にかかる逆電圧)はLs×di/dtで表される。この電流変化率di/dtが大きくなると跳ね上がり電圧が高くなる。この跳ね上がり電圧がトリガとなり、図16(b)に示されるダイオードの寄生容量と浮遊インダクタンスLsによるLC共振による振動が起こる。更にdi/dtが大きくなると、跳ね上がり電圧がダイオードの素子耐圧を超えてダイオードが破壊される。このリカバリ電流は、ダイオードの順方向に電流が流れることにより蓄積された過剰キャリアに起因している。このため過剰キャリアがなくなると急激に電流が減少する。このため、電流変化率di/dtが大きくなる。
図17は、特許文献1に示されるダイオードの断面図を示す図である。n+層と第1のn−層n−(1)の間にn+より不純物濃度が低く、且つ第1のn−層より不純物濃度が高く、且つ少数キャリアライフタイムが第一のn−層とほぼ同等の第2のn−層n−(2)を設けたものである。
第1のn−層は不純物濃度が低いため空乏層が伸びやすく、電界が緩和されるため耐圧が低下しない。一方、第2のn−層は不純物濃度が高いため、空乏層は第2のn−層で止まる。第2のn−層のライフタイムは第1のn−層とほぼ同じであるため、キャリアが急激に減少することがない。このため、電流変化率が小さくなり、跳ね上がり電圧または共振による電流電圧の振動ノイズを抑制できることが示されている。
図18は、特許文献2に示されるダイオードの断面構造および不純物濃度分布を示す図である。P層14とN+層13の間にP層に向かって不純物濃度の低くなるN−層11aとN層12aを備え、N−層とN層の境界の不純物濃度を等しくすると共に、N−層の濃度勾配をN層の濃度勾配以上としたものである。また、N−層の厚みが逆耐圧により空乏層が伸びる距離以上としたものである。
逆回復時において、時間の経過と共にN−層中を空乏層が伸びるにつれて、その先端部の不純物濃度が徐々に高くなるため、空乏層の伸びる速度が徐々に遅くなり、逆回復電流ピーク後の逆回復電流はなかなか零にならず、電流変化率が小さいソフトリカバリー波形となり、その結果サージ電圧の発生が抑制される。更に、逆回復動作時に逆電圧の変動によって空乏層の伸びる距離が増加しても、この逆耐圧による空乏層は、N層の不純物濃度が徐々に高くなるためN+層には達せずN層の途中で止まり、それにより、N層の空乏層の達していない残りの領域に蓄積されていた過剰キャリアがゆっくり消滅し、ソフトリカバリーとなることが示されている。
特開2000−228404公報 特開平8−316500公報
ダイオードの導通損失低減のためには、n−層、N−層、N層などのドリフト層の厚さを薄くするのがよい。しかし、ドリフト層を薄くすると耐圧が下がる。
前記図17に示すような従来のダイオードでは、第1のn−層と第2のn−層のトータル厚さを薄くして損失を低減する。このとき、耐圧を低下させずに、跳ね上がり電圧またはノイズを抑制し、且つこの厚さを最も薄くするには、次のようにすると最も効果的である。
まず、第1のn−層の不純物濃度を低くし、第1のn−層を耐圧を低下させないように最も薄くする。
次に、第2のn−層を可能な限り薄くする。そのためには、逆電圧時に空乏層が第2のn−層に進入しないような不純物濃度にするとよい。また、この濃度はキャリアライフタイムが短くならないような濃度にすることが肝要である。
前記特許文献1,2には、空乏層がn+層に達していなければ、蓄積されていた過剰キャリアがゆっくり減少し、電流変化率が小さくなり、ソフトリカバリーとなると述べられている。
しかしながら、発明者らは、第2のn−層を可能な限り薄くしてゆくと、空乏層がn+層に達していないにもかかわらず、電流変化率が大きくなり、素子を破壊するほどの高い跳ね上がり電圧やノイズが発生する問題があることを発見した。
また、図18に示されるような従来のダイオードでは、N−層にはP層から離れるに従って濃度が高くなる濃度勾配があり、N−層中のカソード側の電界強度が弱くなる。従って、図17のダイオードと同じ素子耐圧を得るために必要なN−層の厚さは、図17の第1のn−層よりも厚くなる。すなわち導通損失が増加するなどの問題がある。また、異なる二つの濃度勾配を作るための製作プロセスが複雑になる。
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたもので、リカバリ時における跳ね上がり電圧を抑制することのできるダイオードを提供するものである。
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
第1電極と、該第1の電極上に積層した第1導電型の第1半導体層と、該第1半導体層上に積層した第1導電型の第2半導体層と、該第2半導体層上に積層した第1導電型の第3半導体層と、該第3半導体層上に積層した第2導電型の第4半導体層と、該第4半導体層上に積層した第2電極を備え、前記第2半導体層の層厚は30μm以上である
本発明は、以上の構成を備えるため、リカバリ時における跳ね上がり電圧を抑制することのできるダイオードを提供することができる。また、また、前記跳ね上がり電圧に基づくノイズあるいは振動を低減することができる。
図1は、本実施形態にかかるダイオードにおける不純物濃度を示す図である。カソード側にはn+層1が形成されている。n+層1に接してn層2が形成され、n層2に接してn−層3が形成されている。n−層3に接してp層4が形成され、p層4にはアノード側に形成されている。n層2の幅Cは30μm以上である。
図2は、リカバリ時のダイオードの不純物濃度、電界強度分布、キャリア分布を示す図である。キャリア分布は上に凸の分布をする。すなわち、n層2のアノード側には逆電圧を保持するための電界があり、カソード側にはn層とn+層境界の拡散電位に起因する電界があるためである。このキャリア分布の勾配により、キャリアは拡散し、ダイオード外に吐き出される。このように、キャリアはアノードとカソードの2方向に拡散するため、再結合による減少に比べて、キャリアは急激に減少する。これが、空乏層がn+層に達していないにもかかわらず、di/dtが急変し大きくなる理由である。
図3(a)は、n層2の幅(厚み)Cが30μm以上のダイオードのリカバリ電流、電圧の波形を示す。この例では、リカバリ電流の変化率di/dtが小さいため、振動はほとんど発生しない。また、跳ね上がり電圧は耐圧の600V以下である。
図3(b)は、幅Cが30μm未満のダイオードのリカバリ電流、電圧の波形を示す。空乏層がn+層に達していないにもかかわらず、電流が最大になった後の約50ns後に、di/dtが急変し大きくなっている。この急変により、跳ね上がり電圧が高くなり、振動が発生する。跳ね上がり電圧が耐圧より高いとダイオードが破壊することがある。
次に、ドリフト層を薄くできる実用的なデバイスパラメータにおいて、このdi/dtの急変が、n層2の幅Cのみに依存し、且つCは30μmに臨界点があることを説明する。
図4は、前記幅Cとリカバリ電流変化率di/dtとの関係を示す図である。ダイオードは600Vの耐圧を持つ。図16に示す回路を用い、浮遊インダクタンスLsの評価条件を実用的な範囲に振って計算(シミュレーション)した。Cを狭くしてゆくとdi/dtが緩やかに減少し、更に狭くすると30μmを境に急激に大きくなる。すなわち、Lsの値に依存せず30μmに臨界点が存在し、ゆえに高い跳ね上がり電圧や振動を抑制するにはCを30μm以上にする必要がある。ここで、Lsの実用的な範囲とは1Aあたりに換算すると3μH〜45μHであり、この範囲で前記の臨界性が成立する。例えば、このLsを200Aのモジュールに換算した場合は、3μH/200A≦Ls≦45μH/200A、すなわち、15nH≦Ls≦225nHで前記の臨界性が見られる。
図5は、前記幅Cとリカバリ電流変化率di/dtとの関係を示す図である。ダイオードは600Vの耐圧を持つ。図16に示す回路を用い、温度の評価条件を実用的な範囲に振って計算した。Cを狭くしてゆくとdi/dtが緩やかに減少し、更に狭くすると30μmを境に急激に大きくなる。すなわち、30μmに臨界点が存在し、ゆえに高い跳ね上がり電圧や振動を抑制するにはCを30μm以上にする必要がある。ここで、実用的な温度範囲とは−40℃〜175℃であり、この範囲にて上記の臨界性が成立する。
図6は、前記幅Cとリカバリ電流変化率di/dtとの関係を示す図である。ダイオードは600V耐圧を持つ。図16に示す回路を用い、ドリフト層のキャリアライフタイムのデバイスパラメータを実用的な範囲に振って計算した。Cを狭くしてゆくとdi/dtが緩やかに減少し、更に狭くすると30μmを境に急激に大きくなる。すなわち、ドリフト層のキャリアライフタイムに依存せず30μmに臨界点が存在し、ゆえに高い跳ね上がり電圧や振動を抑制するにはCを30μm以上にする必要がある。ここで、実用的なキャリアライフタイムの範囲とは50ns〜25μsであり、この範囲にて上記の臨界性が成立する。
図7は、前記幅Cとリカバリ電流変化率di/dtとの関係を示す図である。ダイオードは600Vの耐圧を持つ。図16に示す回路を用い、導通時の電流値を振って計算した。Cを狭くしてゆくとdi/dtが緩やかに減少し、更に狭くすると30μmを境に急激に大きくなる。すなわち、導通時の電流に依存せず30μmに臨界点が存在し、ゆえに高い跳ね上がり電圧や振動を抑制するにはCを30μm以上にする必要がある。ここで、電流の範囲とは10〜400A/cmであり、この範囲にて上記の臨界性が成立する。
図8は、前記幅Cとリカバリ電流変化率di/dtとの関係を示す図である。ダイオードは600Vの耐圧を持つ。図16に示す回路を用い、IGBTのゲート抵抗(ダイオードにかかる逆電圧のdV/dt)の評価条件を振って計算した。Cを狭くしてゆくとdi/dtが緩やかに減少し、更に狭くすると30μmを境に急激に大きくなる。すなわち、ダイオードにかかる逆電圧のdV/dtに依存せず30μmに臨界点が存在し、ゆえに高い跳ね上がり電圧や振動を抑制するにはCを30μm以上にする必要がある。これはIGBTのゲート抵抗値を調整してカソード・アノード間電圧の電源電圧に到達する時間が、ドリフト層のキャリアライフタイムよりも短くした場合に上記の臨界性が成立する。
計算に用いた600Vダイオードのデバイスパラメータは実用的な値であり、図1におけるn−層3の抵抗率は25〜100Ωcm、厚さは30μm〜50μmである。n層2の抵抗率はキャリアライフタイムを短くしないために、2Ωcmのより大きくしなければならない。これらのパラメータを使用した場合に、リカバリ電流変化率di/dtを小さくして、高い跳ね上がり電圧や振動を抑制するためには、Cを30μm以上にする必要がある。
図9は、前記幅Cとリカバリ電流変化率di/dtとの関係を示す図である。ダイオードは1200Vの耐圧を持つ。ここでも、Cを狭くしてゆくとdi/dtは緩やかに上昇するが、更に狭くすると30μmを境に急激に大きくなる。すなわち、30μmに臨界点が存在し、ゆえに高い跳ね上がり電圧や振動を抑制するにはCを30μm以上にする必要がある。
ここでも以下の条件、すなわち、カソード・アノード間電圧の電源電圧に到達する時間がドリフト層のキャリアライフタイムよりも短い場合において、3.4μH≦Ls≦40μH(1Aあたり換算)、−40℃≦温度≦175℃、50ns≦キャリアライフタイム≦40μs、10A/cm≦導通時の電流≦250A/cmの範囲の値を実用的な評価条件とする。デバイスパラメータに依存せず、30μmに臨界点が存在し、ゆえに高い跳ね上がり電圧や振動を抑制するにはCを30μm以上にする必要があることは、600Vのダイオードと同じである。
計算に用いた1200Vダイオードのデバイスパラメータは実用的な値であり、図1におけるn−層3の抵抗率は45〜200Ωcm、厚さは60μm〜110μmである。n層2の抵抗率はキャリアライフタイムを短くしないために、2Ωcmより大きくしなければならない。これらのパラメータを使用した場合に、リカバリ電流変化率di/dtを小さくして、高い跳ね上がり電圧や振動を抑制するためには、Cを30μm以上にする必要がある。
図10は、前記幅Cとリカバリ電流変化率di/dtとの関係を示す図である。ダイオードは3300Vの耐圧を持つ。ここでも、Cを狭くしてゆくとdi/dtが緩やかに上昇するが、更に狭くすると30μmを境に急激に大きくなる。すなわち、30μmに臨界点が存在し、ゆえに高い跳ね上がり電圧や振動を抑制するにはCを30μm以上にする必要がある。
ここでも以下の条件、すなわち、カソード・アノード間電圧の電源電圧に到達する時間がドリフト層のキャリアライフタイムよりも短い場合において、48μH≦Ls≦300μH(1Aあたり換算)、−40℃≦温度≦175℃、500ns≦キャリアライフタイム≦2000μs、5A/cm2≦導通時の電流≦100A/cm2の範囲の値を実用的な評価条件とする。デバイスパラメータに依存せず、30μmに臨界点が存在し、ゆえに高い跳ね上がり電圧や振動を抑制するにはCを30μm以上にする必要があることは、600V,1200Vのダイオードと同じである。
計算に用いた3300Vダイオードのデバイスパラメータは実用的な値であり、図1におけるn−層3の抵抗率は200〜600Ωcm、厚さは280μm〜370μmである。n層2の抵抗率はキャリアライフタイムを短くしないために、2Ωcmのより大きくしなければならない。これらのパラメータを使用した場合に、リカバリ電流変化率di/dt を小さくして、高い跳ね上がり電圧や振動を抑制するためには、Cを30μm以上にする必要がある。
図11は、前記幅Cとリカバリ電流変化率di/dtとの関係を示す図である。ダイオードは6500のV耐圧を持つ。ここでも、Cを狭くしてゆくとdi/dtが緩やかに上昇するが、更に狭くすると30μmを境に急激に大きくなる。すなわち、30μmに臨界点が存在し、ゆえに高い跳ね上がり電圧や振動を抑制するにはCを30μm以上にする必要がある。ここでも以下の条件、すなわち、カソード・アノード間電圧の電源電圧に到達する時間がドリフト層のキャリアライフタイムよりも短い場合において、27μH≦Ls≦210μH(1Aあたり換算)、−40℃≦温度≦175℃、1μs≦キャリアライフタイム≦3000μs、5A/cm≦導通時の電流≦80A/cmの範囲の値を実用的な評価条件とする。デバイスパラメータに依存せず、30μmに臨界点が存在し、ゆえに高い跳ね上がり電圧や振動を抑制するにはCを30μm以上にする必要があることは、600V,1200V,3300Vのダイオードと同じである。
計算に用いた6500Vダイオードのデバイスパラメータは実用的な値であり、図1におけるn−層3の抵抗率は400〜1000Ωcm、厚さは550μm〜760μmである。n層2の抵抗率はキャリアライフタイムを短くしないために、2Ωcmのより大きくしなければならない。これらのパラメータを使用した場合に、リカバリ電流変化率di/dt を小さくして、高い跳ね上がり電圧や振動を抑制するためには、Cを30μm以上にする必要がある。
以上のようにドリフト層を薄く出来る実用的なデバイスパラメータと評価条件において、このdi/dtの急変が、前記幅Cのみに依存し、且つCが30μmに臨界点があることは、発明者らが見出した新規の事項である。
次に、図1を用いて、本実施形態におけるダイオードの不純物濃度について説明する。前述のように、ダイオードのカソード側にはn+層1が形成されている。n+層1に接してn層2が形成され、n層2に接してn−層3が形成されている。N−層3に接してp層4が形成され、p層4にはアノード側に形成されている。n層2のn層2の幅(厚み)Cは30μm以上である。
600V前後の耐圧をもつダイオードのn−層3の抵抗率は25〜100Ωcm、厚さは30μm〜50μmであり、n層2の厚さは30μm以上である必要がある。
1200V前後の耐圧をもつダイオードのn−層3の抵抗率は45〜200Ωcm、厚さは60μm〜110μmであり、n層2の厚さは30μm以上である必要がある。
1700V前後の耐圧をもつダイオードのn−層3の抵抗率は100〜300Ωcm、厚さは150μm〜280μmであり、n層2の厚さは30μm以上である必要がある。 2500V前後の耐圧をもつダイオードのn−層3の抵抗率は180〜500Ωcm、厚さは250μm〜350μmであり、n層2の厚さは30μm以上である必要がある。 3300V前後の耐圧をもつダイオードのn−層3の抵抗率は200〜600Ωcm、厚さは280μm〜370μmであり、n層2の厚さは30μm以上である必要がある。 4500V前後の耐圧をもつダイオードのn−層3の抵抗率は300〜800Ωcm、厚さは400μm〜590μmであり、n層2の厚さは30μm以上である必要がある。 6500V前後の耐圧をもつダイオードのn−層3の抵抗率は400〜1000Ωcm、厚さは550μm〜760μmであり、n層2の厚さは30μm以上である必要がある。 それぞれのダイオードのn層2の抵抗率はn−層3の抵抗率より小さく、且つ2Ωcmのより大きい必要がある。2Ωcmよりも抵抗率が小さくなるとキャリアライフタイムが短くなり、リカバリ時の電流変化率di/dtが大きくなるからである。
図12は、本実施形態のダイオードの断面図である。
図12(a)では、カソード電極10に接してn+層1が形成されている。n+層1に接してn層2が形成され、n層2に接してn−層3が形成されている。N−層3に接してp層4が形成され、p層4に接してアノード電極11が形成されている。n層2の前記幅Cは30μm以上である。これは従来からのPiNダイオードに本発明の構造を適用したものであり、従来のPiNダイオードよりも低損失でリカバリの跳ね上がり電圧や振動を抑制したダイオードができる。
図12(b)では、図12(a)のn−層3の中にp層4が形成され、n−層3とp層4の両方にアノード電極11が接している。p層4は島状に形成しても良いし、図に対して奥行き方向にストライプ状に形成しても良い。こうすることで表面のホールの注入効率を下げることが出来る。リカバリ電流を小さくすることが出来るため、従来のPiNダイオードよりも低損失でリカバリの跳ね上がり電圧や振動を抑制したダイオードができる。特に前記図12(a)の例よりもリカバリ損失が低減できる。
図12(c)では、図12(b)の例に示すアノード電極11に接して、p層4よりも不純物濃度の低いp層5がp層4よりも浅く形成されている。n−層3の表面に結晶欠陥が存在するときに、阻止状態において、この不純物濃度の低いp層5が空乏層の表面への伸長を抑制し、結晶欠陥への到達を防ぐ。そのために、阻止状態における漏れ電流を低減することができる。
図12(d)では、図12(b)に示すアノード電極11に接して、p層4よりも不純物濃度の低いp層5がp層4よりも深く形成されている。これは結晶欠陥がp層4よりも深い場合において、漏れ電流を低減するのに有効である。
それぞれの構造のp層4の厚さは、電子の拡散長以下であることが好ましい。電子の拡散長以下にする場合は厚さを0.3μm〜7μmの間にすると良い。そうすることで、導通時にp層4またはp層5とn−層の接合近傍のキャリア密度が低くなり、リカバリ時の最大電流値が小さくなるからである。これは電流変化率di/dtを低減するために有効である。
また、p層4、p層5とn−層の接合近傍のキャリアライフタイムを、n−層3とn層4よりも短くしても良い。そうすることで、導通時にp層4またはp層5とn−層の接合近傍のキャリア密度が低くなり、リカバリ時の最大電流値が小さくなる。これも電流変化率di/dtを低減するために有効である。
図13は、不純物濃度の他の例を示す図である。カソード側にはn+層1が形成されている。n+層1に接してn層2が形成され、n層2に接してn−層3が形成されている。n−層3に接してp層4が形成され、p層4にはアノード側に形成されている。本実施例の特徴はn層2の不純物濃度がカソードからアノードに向かって低くなる分布をしていることである。ここでも、n層2の前記幅Cは30μm以上にする。こうすることで、空亡層がカソードに伸長するにつれて、その伸長速度が遅くなる。キャリアが緩やかに吐き出されることになるために電流変化率の急激な上昇が抑制されるため、高い跳ね上がり電圧や振動を抑制し、より低ノイズ化か可能になる。
図14は、上述した本発明のダイオードを用いて作成したパワー半導体モジュールの例を説明する図である。
図14(a)は、本発明のダイオードのカソードにIGBTのコレクタを接続し、ダイオードのアノードにエミッタを接続している。本発明のダイオードをモジュールに採用すれば、低損失でリカバリ時の跳ね上がり電圧や振動を抑制したパワーモジュールを作成することができる。
図14(b)は、本発明のダイオードを用いて2素子一体型のパワー半導体モジュールを構成した例を示す。本発明のダイオードのカソードにIGBTのコレクタを接続し、ダイオードのアノードにエミッタを接続し、一つのユニットを構成している。一つのユニットのコレクタにもう一つのユニットのエミッタを接続し、一つのモジュールを構成している。本発明のダイオードをモジュールに採用すれば、低損失でリカバリ時の跳ね上がり電圧や振動を抑制したパワーモジュールを作成することができる。
図14(c)は、本発明のダイオードを用いて6素子一体型のパワー半導体モジュールを構成した例を示す。本発明のダイオードのカソードにIGBTのコレクタを接続し、ダイオードのアノードにエミッタを接続し、一つのユニットを構成している。一つのユニットのコレクタにもう一つのユニットのエミッタを接続し、一つの相を構成している。3つの相のそれぞれのコレクタ同士を接続し、3つの相のそれぞれのエミッタ同士を接続してモジュールを構成している。本発明のダイオードをモジュールに採用すれば、低損失でリカバリ時の跳ね上がり電圧や振動を抑制したパワーモジュールを作成することができる。
図15は、本発明のダイオードを搭載した半導体パワーモジュールを電力変換装置の一つであるインバータ装置に適用した例を示す図である。前記半導体パワーモジュールを用いることにより、低損失でリカバリ時の跳ね上がり電圧や振動を抑制したインバータ装置が実現できる。このように本発明の電力変換装置を使用することにより、たとえば電力を動力源として駆動する車両の低ノイズ化を図ることができる。
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、実用的なデバイスパラメータをもつダイオードにおいて、ダイオードを低損失化しながら、実用的な評価条件において、電流変化率の急激な上昇を抑制することができる。このため、跳ね上がり電圧や振動を抑制し、低ノイズ化を図ることができる。
本発明の実施形態にかかるダイオードの不純物濃度を示す図である。 リカバリ時におけるダイオードの不純物濃度、電界強度分布、キャリア分布を示す図である。 n層2の幅(厚み)Cとダイオードのリカバリ電流、電圧波形との関連を示す図である。 n層2の幅(厚み)Cとリカバリ電流変化率di/dtとの関係を示す図である。 n層2の幅(厚み)Cとリカバリ電流変化率di/dtとの関係を示す図である。 n層2の幅(厚み)Cとリカバリ電流変化率di/dtとの関係を示す図である。 n層2の幅(厚み)Cとリカバリ電流変化率di/dtとの関係を示す図である。 n層2の幅(厚み)Cとリカバリ電流変化率di/dtとの関係を示す図である。 n層2の幅(厚み)Cとリカバリ電流変化率di/dtとの関係を示す図である。 n層2の幅(厚み)Cとリカバリ電流変化率di/dtとの関係を示す図である。 n層2の幅(厚み)Cとリカバリ電流変化率di/dtとの関係を示す図である。 本実施形態のダイオードの断面図である。 不純物濃度の他の例を示す図である。 本発明のダイオードを用いて作成したパワー半導体モジュールの例を説明する図である。 本発明のダイオードを搭載した半導体パワーモジュールをインバータ装置に適用した例を示す図である。 IGBTを用いて、インダクタンス成分を含む負荷を駆動する回路の例を示す図である。 従来のダイオードの断面図を示す図である。 従来のダイオードの断面構造および不純物濃度分布を示す図である。 リカバリ電流とダイオードの逆方向電圧を示す図である。
符号の説明
1 n+層
2 n層
3 n−層
4 p層
5 p層
10 カソード電極
11 アノード電極
11a N−層
12a N層
13 N+層
14 p層
15 アノード電極
16 カソード電極

Claims (14)

  1. 第1電極と、該第1の電極上に積層した第1導電型の第1半導体層と、該第1半導体層上に積層した第1導電型の第2半導体層と、該第2半導体層上に積層した第1導電型の第3半導体層と、該第3半導体層上に積層した第2導電型の第4半導体層と、該第4半導体層上に積層した第2電極を備え、前記第2半導体層の層厚は30μm以上であることを特徴とするダイオード。
  2. 第1電極と、該第1の電極上に積層した第1導電型の第1半導体層と、該第1半導体層上に積層した第1導電型の第2半導体層と、該第2半導体層上に積層した第1導電型の第3半導体層と、該第3半導体層上に積層した第2導電型の第4半導体層と、該第4半導体層上に積層した第2電極を備え、前記第3半導体層の抵抗率は25ないし100Ωcm、層厚は30ないし50μmであり、前記第2半導体層の抵抗率は2Ωcmより大きく且つ前記第3半導体層の抵抗率より小さく、層厚は30μm以上であることを特徴とする特徴とするダイオード。
  3. 請求項1記載のダイオードにおいて、
    前記第3半導体層の抵抗率は25ないし100Ωcm、層厚は30μmないし50μmであり、前記第2半導体層の抵抗率は2Ωcmより大きく且つ前記第3半導体層の抵抗率より小さく、厚さが30ないし50μmの範囲であることを特徴とするダイオード。
  4. 請求項1記載のダイオードにおいて、
    前記第3半導体層の抵抗率は45ないし200Ωcm、層厚は60μmないし110μmであり、前記第2半導体層の抵抗率は2Ωcmより大きく且つ前記第3半導体層の抵抗率より小さく、層厚は30ないし60μmであることを特徴とするダイオード。
  5. 請求項1記載のダイオードにおいて、
    前記第3半導体層の抵抗率は100ないし300Ωcm、層厚は150μmないし280μmであり、前記第2半導体層の抵抗率は2Ωcmより大きく且つ前記第3半導体層の抵抗率より小さく、層厚は30ないし60μmであることを特徴とするダイオード。
  6. 請求項1記載のダイオードにおいて、
    前記第3半導体層の抵抗率は180ないし500Ωcm、層厚は250μmないし350μmであり、前記第2半導体層の抵抗率は2Ωcmより大きく且つ前記第3半導体層の抵抗率より小さく、層厚は30ないし60μmであることを特徴とするダイオード。
  7. 請求項1記載のダイオードにおいて、
    前記第3半導体層の抵抗率は200ないし600Ωcm、層厚は280μmないし370μmであり、前記第2半導体層の抵抗率は2Ωcmより大きく且つ前記第3半導体層の抵抗率より小さく、層厚は30ないし60μmであることを特徴とするダイオード。
  8. 請求項1記載のダイオードにおいて、
    前記第3半導体層の抵抗率は300ないし800Ωcm、層厚は400μmないし590μmであり、前記第2半導体層の抵抗率は2Ωcmより大きく且つ前記第3半導体層の抵抗率より小さく、層厚は30ないし60μmであることを特徴とするダイオード。
  9. 請求項1記載のダイオードにおいて、
    前記第3半導体層の抵抗率は400ないし1000Ωcm、層厚は550μmないし760μmであり、前記第2半導体層の抵抗率は2Ωcmより大きく且つ前記第3半導体層の抵抗率より小さく、層厚は30ないし60μmであることを特徴とするダイオード。
  10. 請求項1記載のダイオードにおいて、
    前記第4半導体層の層厚は電子の拡散長以下であることを特徴とするダイオード。
  11. 請求項1記載のダイオードにおいて、
    前記第4半導体層の層厚は0.3μmないし7μmであることを特徴とするダイオード。
  12. 請求項1記載のダイオードにおいて、
    前記第4半導体層と前記第3半導体層との接合部近傍のキャリアライフタイムを、前記第2半導体層よりも短くすることを特徴とするダイオード。
  13. 請求項1記載のダイオードにおいて、
    前記第2半導体層の不純物濃度はカソードからアノードに向かって低くなる分布をしていることを特徴とするダイオード。
  14. 第1電極と、該第1の電極上に積層した第1導電型の第1半導体層と、該第1半導体層上に積層した第1導電型の第2半導体層と、該第2半導体層上に積層した第1導電型の第3半導体層と、該第3半導体層上に積層した第2導電型の第4半導体層と、該第4半導体層上に積層した第2電極を有し、前記第3半導体の層厚は30μm以上であるダイオードを備えたことを特徴とするパワーモジュール。
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