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JP2008246755A - インクジェット記録媒体の製造方法 - Google Patents

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JP2008246755A JP2007089032A JP2007089032A JP2008246755A JP 2008246755 A JP2008246755 A JP 2008246755A JP 2007089032 A JP2007089032 A JP 2007089032A JP 2007089032 A JP2007089032 A JP 2007089032A JP 2008246755 A JP2008246755 A JP 2008246755A
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Abstract

【課題】高濃度で光沢感の高い画像の記録が可能なインクジェット記録媒体を得る。
【解決手段】擬ベーマイト状アルミナ水和物を高圧分散機により水系溶媒中に分散し、pH4〜5の(A)アルミナ分散液を準備する分散液準備工程と、(A)アルミナ分散液、(B)バインダー水溶液、及び(C)架橋剤水溶液をそれぞれ50℃以上に保温しながら混合し、塗布液を調製する塗布液調製工程と、前記塗布液を50℃以上の温度にして耐水性支持体に塗布し、膜面温度が30℃未満になる条件で乾燥させてインク受容層を形成する層形成工程とを含み、前記塗布液の30℃における粘度を100mPa・s以下とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、高画質な画像記録に適したインクジェット記録媒体を得るためのインクジェット記録媒体の製造方法に関する。
近年の情報技術産業の急速な発展に伴ない、種々の情報処理システムが開発されると共に、各々の情報処理システムに適した記録方法及び記録装置も実用化されている。これらの中でも、インクジェット記録方法は、多種の被記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価でコンパクトであること、静粛性に優れること等の利点から広く利用されるようになっている。そして、インクジェット記録方法を利用した記録では、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきている。
インクジェット記録用の記録材料は一般に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこと)、(2)ドット径が適正で均一であること(滲みのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)画像部の耐水性や耐光性、耐オゾン性が良好なこと、(8)白色度が高いこと、(9)保存安定性が高いこと(長期保存で黄変着色や画像の滲みのないこと)、(10)変形しにくく寸法安定性が良好であること(低カールであること)、(11)ハード走行性が良好なこと等の特性を持つことが求められている。
上記に鑑み、近年ではインクを受容する層が多孔質構造を有する記録材料が実用化されている。これによれば、速乾性に優れ、高い光沢が得られるとされている。ところが、記録画像に対する品質は常に高いものが求められる傾向にあり、例えば、画像のコントラストや濃淡のメリハリ等の点では高濃度域が濃色であること、見た目の光沢が高く写真ライクな質感を有していることが重要である。
上記に関連して、アルミナ水和物(擬ベーマイト構造を含む)、及び脂肪族ジアルデヒドと重合度2000以上、ケン化度が88%以上100%未満のポリビニルアルコールとの反応物を含有するインク受容層を有するインクジェット用被記録材料や、特定の擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物と重合度2000以上、ケン化度が88%以上100%未満のポリビニルアルコールを含有するインク受容層を有するインクジェット用被記録材料が開示されている(例えば、特許文献1〜2参照)。これら文献では、アルミナ水和物とバインダーを混合すると粘度の経時変化が回避され、重合度2000以上、ケン化度88%以上100%未満のポリビニルアルコールが塗液粘度の調整に好ましいとされている。
特開平11−334197号公報 特開平10−193777号公報
しかしながら、上記の文献ではいずれも、アルミナ水和物を分散する際に二次凝集物ができやすく、粘度も高くなるばかりか、気相法シリカ等に対して濃度が高くて見た目の光沢感の良好な写真ライクな画像までは得ることはできない。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、気相法シリカ等に対して圧倒的に高濃度で光沢感の高い画像の記録が可能なインクジェット記録媒体を得ることができるインクジェット記録媒体の製造方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 擬ベーマイト状アルミナ水和物が高圧分散機により水系溶媒中に分散され、pH(30℃)が4〜5である(A)アルミナ分散液を準備する工程と、前記(A)アルミナ分散液、(B)水溶性バインダーを含む水溶液、及び(C)架橋剤水溶液をそれぞれ50℃以上に保温しながら混合し、塗布液を調製する工程と、前記塗布液を50℃以上の温度にして耐水性支持体上に塗布し、膜面温度が30℃未満になる条件で乾燥させてインク受容層を形成する工程と、を含み、前記塗布液の30℃における粘度が100mPa・s以下であるインクジェット記録媒体の製造方法である。
<2> 前記水溶性バインダーが、ケン化度75〜90%、平均重合度3000以上のポリビニルアルコールであることを特徴とする前記<1>に記載のインクジェット記録媒体の製造方法である。
<3> 前記架橋剤水溶液の混合をインライン混合により行なうことを特徴とする前記<1>又は<2>に記載のインクジェット記録媒体の製造方法である。
<4> 前記架橋剤が、ホウ酸及びその塩の少なくとも1種を含むことを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録媒体の製造方法である。
<5> 前記擬ベーマイト状アルミナ水和物(al)とポリビニルアルコール(PVA)との質量比率(al/PVA)が、al/PVA>8を満たすことを特徴とする前記<2>〜<4>のいずれか1つに記載のインクジェット記録媒体の製造方法である。
本発明によれば、高濃度で光沢感の高い画像の記録が可能なインクジェット記録媒体を得ることができるインクジェット記録媒体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明のインクジェット記録媒体の製造方法について詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、擬ベーマイト状アルミナ水和物が高圧分散機により水系溶媒中に分散され、pH(30℃)が4〜5である(A)アルミナ分散液を準備する工程(以下、「分散液準備工程」ということがある。)と、得られた(A)アルミナ分散液、(B)水溶性バインダーを含む水溶液、及び(C)架橋剤水溶液をそれぞれ50℃以上に保温しながら混合し、塗布液を調製する工程(以下、「塗布液調製工程」ということがある。)と、調製した塗布液を50℃以上の温度にして耐水性支持体上に塗布し、膜面温度が30℃未満になる条件で乾燥させてインク受容層を形成する工程(以下、「層形成工程」ということがある。)とを設け、塗布に用いる塗布液の30℃における粘度を100mPa・s以下として構成したものである。
本発明においては、擬ベーマイト状アルミナ水和物を用いてインク受容層を形成する場合に、50℃以上の比較的高い温度領域にして混合、塗布し、逆に30℃未満の低温域を用いた乾燥過程を設けると共にこの低温域近傍での粘度を100mPa・s以下に調整することで、成膜性と塗布液の増粘やその経時増粘の抑制効果が大きく、それに伴なって生じる塗布ムラ、乾燥ムラを効果的に防止できるので、画像濃度及び光沢感の高い写真ライクな画像を得ることができる。
本発明において、「光沢感」とは、インク画像が形成されたインク受容層の表面を蛍光灯下で観察したときに光の反射で表面に映る光(蛍光灯)のシャープさの程度を示すものであり、目視で光(蛍光灯)のぼけ、ゆがみがなく、シャープにハッキリと映って見えるか否かで判定される。
以下、本発明のインクジェット記録媒体の製造方法について工程毎に詳述する。
(分散液準備工程)
分散液準備工程は、擬ベーマイト状アルミナ水和物が高圧分散機により水系溶媒中に分散され、pH4〜5の(A)アルミナ分散液を準備する。擬ベーマイト状アルミナ水和物の分散に高圧分散機を用いることで、より微粒化されるので、インク溶媒が浸透した後(つまり記録後)もヘイズが低く透明性を維持し、非常に高濃度で光沢感のある写真ライクな画像を得ることができる。
本工程では、アルミナ分散液を調製してもよいし、予め調製されている例えば市販のアルミナ分散液を入手して用いてもよい。
(A)アルミナ分散液の調製は、擬ベーマイト状アルミナ水和物を水系溶媒(例えばイオン交換水)と共に混合して高圧分散機により分散して得られる。好ましくは、まず擬ベーマイト状アルミナ水和物を水(例えばイオン交換水)と共に混合し、攪拌機で撹拌して粗分散液を調製し、これを更に高圧分散機で微分散させることにより、アルミナ分散液を得る。
前記攪拌機としては、例えば、ディゾルバー、吸引分散機等を使用できる。撹拌条件としては、温度は10〜50℃が好ましく、撹拌時間は粘度の点から1〜30minが好ましい。
前記高圧分散機としては、例えば、加圧したスラリー状の原料同士を超高速で対向衝突させて微粒化するアルティマイザー(例えばスギノマシン社製のHJP25005)、ゴーリンホモジナイザーなどの高圧ホモジナイザー、キャビテーションを利用した超音波分散機などを使用できる。
微分散後の分散粒径としては、印画濃度の点から、微分散直後の粒径で0.10〜0.14μmが好ましく、0.10〜0.12μmがより好ましい。
擬ベーマイト状アルミナ水和物の(A)アルミナ分散液中における濃度としては、後工程で調製される塗布液に必要とされる所望量により選択できるが、塗布液粘度の観点からは、全質量に対して、20〜40質量%が好ましい。
本発明においては、微分散後のアルミナ分散液のpH(30℃)を4〜5の範囲とする。微分散後のpHは、4未満であると後述の塗布液調製工程で調製する塗布液のゲル化が足りず、成膜性が悪く、成膜できても空隙容量の小さい多孔質構造しか得られない。また、pHが5を超えると、記録画像の画像濃度が低くなり、光沢感も低下する。
pHを4〜5の範囲に調整するには、例えば、アンモニア等の塩基類や、硝酸、塩酸、酢酸、蟻酸等の酸類を用いる方法などが挙げられる。pHは、pHメータ(例えば東亜DKK(株)製のHM−25G)を用いて塗布液を30℃に保持して測定した値である。
−水系溶媒−
水系溶媒としては、純粋やイオン交換水等の水のほか、水と該水に可溶性の有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。水に可溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、 プロパノール、ブタノール等を目的等に合わせて選択することができる。
−擬ベーマイト状アルミナ水和物−
本発明においては、擬ベーマイト状アルミナ水和物の少なくとも一種を用いる。インク受容層がアルミナ水和物を用いて構成されることにより、層の透明性が向上し、高濃度の画像を記録できる。また、インク吸収性及びその吸収速度を向上させることができる。
本発明における擬ベーマイト状アルミナ水和物は、Al・nHO(1<n<3)の構成式で表され、nが1より大きく3未満であるときのアルミナ水和物をさす。
アルミナ水和物の平均細孔半径としては、インク受容層のインク吸収速度を良好にする点で、1〜10nmであることが好ましく、特に2〜7nmであることが好ましい。平均細孔半径が前記範囲内であると、インク吸収性が良好であり、インク中の染料の定着が良好で画像滲みの発生も回避できる。
アルミナ水和物の細孔容積としては、インク受容層のインク吸収容量を良好にする点で、0.1〜0.8ml/gの範囲が好ましく、特に0.4〜0.6ml/gの範囲が好ましい。インク受容層の細孔容積が前記範囲内であると、インク受容層でのクラックや粉落ちの発生を回避でき、インクの吸収が良好になる。また、細孔半径2nm〜10nmにおける細孔容積は0.1ml/g以上であるのが望ましい。この範囲内であると、インク中の染料の吸着が良好になる。さらに、インク受容層の単位面積当たりの溶媒吸収量としては、5ml/m以上が好ましく、特に好ましくは10ml/m以上である。単位面積当たりの溶媒吸収量が前記範囲内であると、特に多色印字を行なった場合のインク溢れを防止できる。
アルミナ水和物がインク中の染料を充分に吸収し、定着するためには、アルミナ水和物のBET比表面積が70〜300m/gの範囲であることが好ましい。BET比表面積が前記範囲内であると、アルミナ水和物の分散を良好に行なえると共に、細孔径分布が片寄らずにインク中の染料の定着効率が良好になり、画像滲みも回避できる。
アルミナ水和物の分散液の濃度を上げるためには、アルミナ水和物の表面水酸基の数は1020個/g以上であることが好ましい。表面水酸基の数が少ないと、アルミナ水和物が凝集しやすくなり、分散液の濃度を上げるのが困難になる。
また、アルミナ水和物の分散液を安定化させるために、通常は種々の酸類が分散液に添加される。このような酸類としては、硝酸、塩酸、臭化水素酸、酢酸、蟻酸、塩化第二鉄、塩化アルミニウム等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、アルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積、表面水酸基の数等は、析出温度、熟成時間、液pH、液濃度、共存塩類等によって制御することができる。
例えば、特開昭57−88074号、同62−56321号、特開平4−275917号、同6−64918号、同7−10535号、同7−267633号公報、米国特許第2,656,321号明細書、Am.Ceramic Soc.Bull.,54,289(1975)等にアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法が開示されている。これらのアルミニウムアルコキシドとしてはイソプロポキシド、プロポキシド、2−ブトキシド等が挙げられる。この方法では非常に純度の高いアルミナ水和物を得ることができる。
その他、アルミナ水和物を得る方法としては、特開昭54−116398号、同55−23034号、同55−27824号、同56−120508号等の各公報に例示されているように、アルミニウムの無機塩又はその水和物を原料として得る方法が一般的である。これらの無機塩としては、例えば、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、アンモニウムミョウバン、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、水酸化アルミニウム等の無機塩等、及びこれら無機塩の水和物等を挙げることができる。
具体的には、例えば、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の酸性のアルミニウム塩水溶液と、アルミン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア水等の塩基性水溶液との中和反応によって、アルミナ水和物を製造することができる。この場合、液中に生成するアルミナ水和物の量が5質量%を超えない範囲で混合し、pHは6〜10、温度20〜100℃の条件下で反応させることが一般的である。また、特開昭56−120508号公報に記載の、pHを酸側及び塩基側に交互に変動させてアルミナ水和物の結晶を成長させる方法、特公平4−33728号公報に記載の、アルミニウムの無機塩から得られるアルミナ水和物とバイヤー法で得られるアルミナとを混合し、アルミナを再水和する方法、等によっても製造することができる。
アルミナ水和物の一次粒子の平均粒径(平均一次粒子径)は、5〜50nmが好ましい。より高い光沢を得るためには、平均一次粒子径が5〜20nmであって、かつ平均アスペクト比(平均厚さに対する平均粒径の比)が2以上の平板状の粒子を用いるのが好ましい。
アルミナ水和物の平均一次粒子径は、市販品メーカー公称値を用いればよい。
作製した記録媒体から平均一次粒子径を測定する場合は、インク受容層を削りだした後、熱水により樹脂成分を除く処理を行なった後、遠心分離により粒子のみを回収する等の処理を行ない、得られた粒子をTEM(透過型電子顕微鏡)による観察により求めることができる。このとき、例えば、基準サンプルとしてインク受容層用塗布液のみを塗布したサンプルについて同様の処理を行ない、その測定値(平均値)を使用したアルミナ水和物粒子の既知の粒子径(nm)と対比し、対比により得た値の差分から、作製した記録媒体における測定値(平均値)を比例計算して換算することにより、作製した記録媒体における平均一次粒子径を求めることができる。なお、平均一次粒子径を求めるためには、測定粒子数として100〜3000個程度は必要である。
擬ベーマイト状アルミナ水和物の含有量としては、後工程で調製される塗布液(又はインク受容層)中において、10〜20質量%である範囲が好ましく、12〜18質量%である範囲がより好ましい。擬ベーマイト状アルミナ水和物の含有量を前記範囲内にすることにより、層の透明性が高くなり、印画後の透明性も向上して高濃度が得られる。
(塗布液調製工程)
塗布液調製工程は、前記分散液準備工程で得られた(A)アルミナ分散液、(B)水溶性バインダーを含む水溶液(以下、バインダー水溶液ともいう。)、及び(C)架橋剤水溶液をそれぞれ50℃以上に保温しながら混合し、塗布液を調製する。混合を50℃以上に保温しながら行なうことで、二次凝集が抑えられるので、液の粘度上昇が抑制するのを防止できる。
混合を(A)アルミナ分散液、(B)バインダー水溶液、及び(C)架橋剤水溶液をそれぞれ50℃以上に保温せず、50℃未満の温度で行なうと、液が増粘ゲル化が起こり塗布ができない。本発明においては、混合時の温度は、増粘及びゲル化の抑制と塗布筋等の塗布故障の発生防止の観点から、50〜70℃が好ましく、より好ましくは55〜65℃である。
例えば、擬ベーマイト状アルミナ水和物とPVA等とを混合する場合、経時により増粘したり、ゲル化する傾向がある。塗布液の温度を前記範囲に制御することにより、塗布液の粘度の経時変化を回避できる。これより、塗布安定性が向上し、塗膜面の膜質を良好に保てる。
本工程での混合方法には、特に制限はなく、任意の順序で混合して例えばディゾルバー等を用いて撹拌する方法が挙げられる。撹拌温度は、増粘防止の点で、50℃以上に保たれていることが望ましく、更には55〜65℃に保って行なうのが好ましい。
また、塗布液の経時粘度安定性アップ、光沢感及びインクの溶媒浸透後(記録後)のヘイズをより下げて高い印画濃度が得られる観点から、架橋剤水溶液の混合をインライン混合により行なうことが好ましい。例えば、(A)アルミナ分散液及び(B)バインダー水溶液の混合液に架橋剤水溶液をインライン混合してもよい。
本発明においては、本工程で調製する塗布液を、30℃における粘度(η30)が100mPa・s以下となるように調製する。粘度η30が100mPa・s以下とした場合に画像濃度及び光沢感の向上効果が顕著であり、100mPa・sを超える温度域では、 画像濃度はほとんど変化しないが、光沢感が低下する。
(A)アルミナ分散液
本発明におけるアルミナ分散液は、上記の分散液準備工程で準備されたものであり、塗布液の調製には、塗布液中に含まれる擬ベーマイト状アルミナ水和物の量が既述の範囲となる量を用いることができる。
(B)水溶性バインダーを含む水溶液
本発明における水溶性バインダーを含む水溶液(バインダー水溶液)は、1種もしくは2種以上の水溶性バインダーを水系溶媒に溶解することにより調製できる。水系溶媒としては、既述の分散液準備工程で使用可能な水系溶媒と同様のものを用いることができる。
水溶性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、澱粉及びその変性物、ゼラチン及びそれらの変性物、カゼイン、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、アルブミン等の天然高分子樹脂又はこれらの誘導体、カチオン変性、シラノール変性等のポリビニルアルコールの変性物、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のラテックス類、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、無水マレイン酸又はその共重合体等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記のうち、ポリビニルアルコール(PVA)が好ましく、前記アルミナ水和物との混合性、塗液粘度の調整、及び成膜性、および印画濃度向上の点で、特に平均重合度3000以上、ケン化度75〜90%のポリビニルアルコールが好ましい。
平均重合度が3000以上であると、塗膜強度が得られ、クラックを防止でき、印画後のヘイズも上昇が抑えられ、印画濃度が上がる傾向にある。
また、ケン化度は、75%以上にすることにより塗膜強度が得られ、クラックを防止でき、90%以下にすることによりアルミナ水和物との反応性が抑えられ、塗布液のゲル化を抑制でき、かつ印画後の受像層のヘイズ上昇が抑えられ、印画濃度が高くなりやすい。
また、本発明においては、水溶性バインダーとしてポリビニルアルコールを用い、前記擬ベーマイト状アルミナ水和物(al)とポリビニルアルコール(PVA)との質量比率(al/PVA)をal/PVA>8を満たす範囲とするのが好ましい。質量比率al/PVAを前記範囲とすることにより、ヘイズを抑え、高い画像濃度及び光沢感が得られる。
質量比率al/PVAは、ヘイズを抑え、高い画像濃度及び光沢感を得つつ、アルミナ水和物との混合性、塗液粘度の調整、及び成膜性を維持する点で、8〜15の範囲がより好ましい。
ケン化度は、PVA中の残存酢酸基を既知量の水酸化ナトリウムにより反応させ、その水酸化ナトリウムの消費量からPVAにおけるケン化割合を求めることにより得られる。また、PVAの平均重合度としては、印画濃度、膜強度を上げる点で、3000〜5000が好ましい。平均重合度とモノマーの式量との積から分子量を求められる。
水溶性バインダーは、一種単独で用いるほか、二種以上を併用してもよい。例えば、ポリビニルアルコールと他の水溶性バインダーの1種もしくは2種以上とを組みあわせて用いることができる。
水溶性バインダー(例えばPVA、あるいはPVA及び他の水溶性バインダー)の塗布液中における総含有量としては、擬ベーマイト状アルミナ水和物に対して、5〜20質量%の範囲内が好ましく、8〜15質量%の範囲内がより好ましい。水溶性バインダーの量が前記範囲内であると、塗布による成膜が容易であり、塗布膜のクラックや粉落ちを回避できると共に、インクの吸収性が良好になる。
水溶性バインダー(例えばPVA、あるいはPVA及び他の水溶性バインダー)の(B)バインダー水溶液中における濃度としては、塗布液を必要とされる所望量に応じて選択できるが、バインダー水溶液のハンドリングの観点からは、全質量に対して、3〜10質量%が好ましい。
また、塗布液の調製には、バインダー水溶液は塗布液中に含まれる水溶性バインダーの量が前記範囲内となるように用いることができる。
(C)架橋剤水溶液
本発明における架橋剤水溶液は、1種もしくは2種以上の架橋剤を水系溶媒に溶解することにより調製できる。架橋剤を用いることで、成膜性及び耐水性を向上できる。水系溶媒としては、既述の分散液準備工程で使用可能な水系溶媒と同様のものを用いることができる。
架橋剤としては、インク受容層に含まれる水溶性バインダーとの関係で好適なものを適宜選択すればよい。中でも、架橋反応が迅速である点で、ホウ酸及び/又はその塩が好ましく、ホウ酸には例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸等を使用できる。ホウ酸塩はこれらの可溶性塩が好ましく、具体的には、Na・10HO、NaBO・4H0、K・5HO、NHHB・3HO、NHBO等が挙げられる。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
水溶性バインダーとしてゼラチンを用いる場合などには、ホウ酸及びその塩以外の下記化合物も架橋剤として用いることができる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許第3017280号明細書、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許第3100704号明細書に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。架橋剤は、1種単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよい。
架橋剤は、本工程で調製するインク受容層形成用の塗布液(インク受容層用塗布液)に含有すると共に、更に、インク受容層の隣接層を形成するための塗布液中に添加してもよく、あるいは予め架橋剤を含む塗布液を塗布した支持体上に、インク受容層用塗布液を塗布する、又は架橋剤非含有のインク受容層用塗布液を塗布し乾燥後に架橋剤溶液をオーバーコートする等してインク受容層に架橋剤を供給してもよい。
(C)架橋剤水溶液を、(A)アルミナ分散液又は(B)バインダー水溶液、あるいは(A)アルミナ分散液及び(B)バインダー水溶液の混合液と混合する場合、塗布液を加温すると塗布液がより安定化するため、(C)架橋剤水溶液を50℃以上に保温して(好ましくは50℃以上に保温された)(A)アルミナ分散液又は(B)バインダー水溶液、あるいは(A)アルミナ分散液及び(B)バインダー水溶液の混合液と混合することが好ましい。
架橋剤(好ましくはホウ酸及び/又はその塩)は、一種単独で用いるほか、二種以上を併用してもよい。
架橋剤の塗布液中における総含有量としては、水溶性バインダー100質量部に対して、5〜40質量部が好ましく、15〜35質量部がより好ましい。架橋剤の含有量が前記範囲であると、水溶性バインダーを効果的に架橋してひび割れ等を防止することができる。
前記水溶性バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)を用いる場合は、ホウ酸及び/又はその塩を組み合わせるのが好ましい。この場合、ホウ酸及び/又はその塩の総量は、HBO換算でPVAに対して10〜40質量%が好ましく、より好ましくは20〜35質量%である。総量を前記範囲内にすることにより、調製する塗布液の粘度上昇を抑えつつ、成膜性及び耐水性を向上できる。
架橋剤の(C)架橋剤水溶液中における濃度としては、塗布液を必要とされる所望量に応じて選択できるが、全質量に対して、0.4〜5質量%が好ましい。
また、塗布液の調製には、バインダー水溶液は塗布液中に含まれる水溶性バインダーの量が前記範囲内となるように用いることができる。
(D)他の成分
上記のように調製される塗布液は、上記の各成分のほか、さらに下記の他の成分を用いて構成することができる。
−−無機微粒子−−
インク受容層用塗布液(又はインク受容層)には、既述の擬ベーマイト状アルミナ水和物以外の無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子の種類は特に限定されないが、光沢、インク吸収性の点で、気相法シリカ、アルミナが好ましい。無機微粒子は、単独で用いても組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、擬ベーマイト状アルミナ水和物を含有するインク受容層以外に、擬ベーマイト状アルミナ水和物を含まず、他の無機微粒子を含むインク受容層が設けられてもよい。また、既述の分散液準備工程、塗布液調製工程、及び層形成工程により形成されるインク受容層は、画像濃度及び光沢感を損なわない範囲で擬ベーマイト状アルミナ水和物以外の無機微粒子を含んでもよい。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には、四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。
気相法シリカは、日本アエロジル(株)製のアエロジルシリーズ、トクヤマ(株)製のQSタイプ等が市販されており、容易に入手が可能である。気相法シリカの平均一次粒子径は、5〜50nmが好ましく、より高い光沢を得るためには5〜20nmでかつBET法による比表面積が90〜400m/gのものが好ましい。BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、すなわち比表面積を求める方法である。吸着気体としては通常、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧又は容積の変化から測定する方法が最も多く用いられる。多分子吸着の等温線を表すもので最も著名なものとして、Brunauer Emmett Tellerの式(BET式)があり、表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
前記アルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でも、δグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは、一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で50〜300nm程度まで粉砕したものが好ましく用いられる。
−−カチオン性化合物−−
本発明におけるインク受容層用塗布液(又はインク受容層)は、無機微粒子として気相法シリカを含有する場合はカチオン性化合物を併用することが好ましい。カチオン性化合物を併用することによって、インク受容層のひび割れの防止及び耐水性の向上が図れる。
この場合、カチオン性化合物を含有するインク受容層の上に、コロイダルシリカとカチオン性化合物を含有する層(例えば最上層)を設けることによって、耐傷性、耐水性、インク吸収性を更に向上でき、加えて2つの層の界面における凝集が防止され、結果として塗布ムラや光沢ムラを解消することができる。
なお、既述の上層及び下層のように、インク受容層にアルミナ水和物を含有する場合にはカチオン性化合物を必ずしも併用する必要はなく、併用しなくとも良好なひび割れ耐性及び耐水性が得られる。
前記カチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーあるいは水溶性の多価金属化合物が好ましく用いられる。これらのカチオン性化合物及び水溶性の多価金属化合物は、一種単独で、あるいは二種以上を併用することができる。
前記カチオン性ポリマーとしては、例えば、4級アンモニウム基、ホスホニウム基、1〜3級アミンの酸付加物を有する水溶性カチオン性ポリマーが挙げられる。例えば、ポリエチレンイミン、ポリジアルキルジアリルアミン、ポリアリルアミン、アリキルアミンエピクロルヒドリン重縮合物、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号の各公報に記載のカチオン性ポリマーが挙げられる。
カチオン性ポリマーの重量平均分子量は、10万以下が好ましく、より好ましくは5万以下であり、下限は2,000程度である。また、カチオン性ポリマーの使用量は、気相法シリカに対して、1〜10質量%の範囲が好ましい。
前記水溶性の多価金属化合物における多価金属としては、例えば、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、チタン、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンが挙げられ、これらの金属の水溶性塩として用いることができる。水溶性の多価金属化合物の具体例としては、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム八水和物、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、塩化チタン、硫酸チタン、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。これらの中でも特に、アルミニウムあるいは周期表IVa族元素(ジルコニウム、チタン)の水溶性塩が好ましい。
ここで、「水溶性」とは、常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを意味する。
上記以外の水溶性アルミニウム化合物として、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましく用いられる。この化合物は、主成分が下記の式1、式2又は式3で表され、例えば、[Al(OH)153+、[Al(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+等の、塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含む水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al(OH)Cl6−n ・・・式1
[Al(OH)AlCl ・・・式2
Al(OH)Cl(3n−m)〔0<m<3n〕 ・・・式3
これらは、多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名称で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名称で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名称で、また、他のメーカーからも同様の目的で市販されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明では、これらの市販品をそのまま使用してもよい。これらの塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物は、特公平3−24907号公報、同3−42591号公報にも記載されている。
水溶性の多価金属化合物を含有する場合、インク受容層用塗布液(又はインク受容層)中における含有量は、0.1〜10g/mが好ましく、より好ましくは0.2〜5g/mである。
−−界面活性剤−−
本発明におけるインク受容層用塗布液(又はインク受容層)は、界面活性剤を用いて構成できる。界面活性剤を含有すると、塗布形成される塗膜への塗布スジ等の塗布故障を抑制できる。
前記界面活性剤としては、ノニオン性のものが好ましい。ノニオン性以外にも必要に応じて、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、ベタイン系のいずれのタイプも選択して用いることができる。また、低分子のものでも高分子のものでもよく、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤のインク受容層用塗布液(又はインク受容層)中における含有量は、擬ベーマイト状アルミナ水和物100質量部に対して、0.001〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜3質量部である。
−−油滴−−
インク受容層の膜としての脆弱性を改善する目的で、各種油滴を含有することもできる。油滴としては、室温における水に対する溶解性が0.01質量%以下の疎水性高沸点有機溶媒(例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等)や、重合体粒子(例えば、スチレン、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合性モノマーの一種以上を重合させた粒子)が挙げられる。油滴の使用量は、好ましくは親水性バインダーに対して10〜50質量%の範囲である。
本発明におけるインク受容層用塗布液(又はインク受容層)には、上記のほか、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
また、インク受容層用塗布液は、pHが3.3〜6.0の範囲であることが好ましく、特に3.5〜5.5の範囲が好ましい。このインク受容層用塗布液のpHと、最上層がコロイダルシリカを含有する場合の最上層形成用の塗布液のpH(=3.3〜6)とを組み合わせることによって、より良好なインク吸収性、光沢性、及び均一な塗布面が得られる。
また、画像の解像性を向上させるために、アルミナ水和物の分散液と混合した際に、凝集等を生じることがなければ、インク受容層にフッ素樹脂系、シリコーン樹脂系、又はアルキルケテンダイマー系の撥水剤又はサイズ剤を含有することにより、印字ドット径をコントロールして画像の解像性を向上させることができる。これらの撥水剤又はサイズ剤としては、一般に市販されているものを使用することができる。また、これらは、溶液もしくは水系エマルジョンのいずれも使用可能である。印字ドット径をコントロールは、インク受容層への添加量により行なえる。その添加量は各成分や濃度および希望する印字ドット径によって異なるが、有効固形成分として、通常はインク受容層の全固形分に対して0.05〜10質量%であり、好ましくは0.1〜5質量%である。
塗布液の塗布性をより改善する観点、あるいはインクがインク受容層に付着したときのドット径を調整する観点からは、インク受容層用塗布液には、界面活性剤が添加されていることが好ましい。界面活性剤の詳細については既述の通りである。
(層形成工程)
層形成工程は、塗布液調製工程で調製された塗布液を50℃以上の温度にして耐水性支持体に塗布し、膜面温度が30℃未満になる条件で乾燥させてインク受容層を形成する。
本工程における塗布は、塗布液を50℃以上の温度に保って行なわれる。塗布時の塗布液温度が50℃未満であると、塗布液が経時増粘しやすくなり、均一な塗布面状が得られない。塗布液温度は、上記同様の理由から、50〜70℃が好ましく、より好ましくは50〜60℃である。塗布液温度を70℃以下にすることにより、乾燥過程で塗布膜の膜面温度を下げやすくなり、均一な塗布面状を得ることができる。
塗布は、塗工装置を用いて行なえる。塗布方法としては、例えば、スライドホッパー方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式など、公知の塗工方法が用いられる。
インク受容層は、耐水性支持体の少なくとも一方の側に設けられるが、カールを防止する等の目的で、耐水性支持体の両側に設けてもよい。
インク受容層用塗布液の塗布量としては、固形分換算で3〜50g/mが好ましく、より好ましくは20〜45g/mである。塗布量が前記範囲内であると、塗布膜の乾燥性が良好であり、クラックの発生も回避できる。
本工程における乾燥は、塗布膜の膜面温度が30℃未満になる場合を含む条件で行なう。すなわち、乾燥過程において、膜面温度が30℃未満となる乾燥段階が含まれていればよく、乾燥初期に膜面温度が30℃以下になるようにしてもよいし、乾燥開始から所定時間経過した後あるいは乾燥後期に膜面温度が30℃以下まで下がるように乾燥させるようにしてもよい。中でも、均一塗布面状、空隙容量の観点から、膜面温度が30℃未満となる乾燥段階を乾燥初期、特には乾燥開始直後に行なうことが好ましい。乾燥初期(特に乾燥開始直後)に膜面温度が30℃未満になるように乾燥を行なうことにより、塗布液が低粘度でも乾燥ムラを回避でき、光沢感を高めることができる。乾燥初期を高温で乾燥させると、特に塗布液の粘度が低い場合など、乾燥ムラが生じて光沢感は低下する。
前記膜面温度が30℃未満となる乾燥段階を設けないと、塗布液の増粘が足りず、均一な塗布面状が得られない。また、膜面温度としては、0〜30℃が好ましく、5〜20℃が更に好ましい。膜面温度を0℃以上とすることにより、塗布液の増粘が進みすぎるのを抑え、塗布膜表面の凹凸形成を防止して光沢感を得ることができる。
ここで、膜面温度は、乾燥時の塗布膜表面の温度であり、放射温度計により測定できる。
本発明では、上記のように膜面温度が30℃未満となる乾燥段階が含まれるように乾燥を行なうが、この乾燥段階の膜面温度(30℃)もしくは該膜面温度に近い温度での粘度が重要であり、本発明では30℃での粘度η30を100mPa・s以下とする。粘度η30が100mPa・sを超える範囲では、光沢感が得られない。中でも、粘度η30は30〜100mPa・sが好ましく、40〜80mPa・sが更に好ましい。粘度η30は、30mPa・s以上にすることにより、適度の粘度が保て、塗布をより均一に行なえ、100mPa・s以下にすることにより塗布膜面の凹凸を抑え、光沢感をより向上させることができる。
乾燥温度は、耐水性支持体の耐熱性にもよるが、60〜200℃が好ましく、より好ましくは70〜150℃である。乾燥温度が前記範囲内であると、インク受容層を充分に乾燥させて支持体に悪影響を与えない範囲で熱処理を行なった場合のインク吸収性をより向上でき、更にインク受容層の耐水性も向上できる。ここでの熱処理の温度は、耐水性支持体の耐熱性によるが、100〜200℃が好ましく、より好ましくは120〜150℃である。
なお、上記以外に、インク受容層用塗布液の塗工条件(塗工装置、塗工液温度、粘度等)及び乾燥条件(乾燥温度、乾燥時間、温度勾配、風量、風の当て方、湿度等)を適宜選択することによって、形成するインク受容層の物性を制御することができる。
−耐水性支持体−
本発明のインクジェット記録媒体を構成する耐水性支持体(以下、単に支持体ともいう。)としては、例えば、熱可塑性フィルム、樹脂被覆紙、コーテッド紙、ガラス、アルミニウム箔、蒸着紙、蒸着フィルム、布地等インク受容層を設けることができる支持体等から目的等に応じて適宜選択することができる。
熱可塑性フィルムとしては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリカーボネート等を用いることができる。
耐水性支持体には、インク受容層と支持体との接着性向上等の目的でアンカー層を設けてもよい。アンカー層にはゼラチン等の親水性バインダー、ポリビニルブチラール等の溶剤可溶性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤等を適宜組み合わせて含有させることができる。
本発明における支持体には、帯電防止性、搬送性、カール防止性、筆記性、糊付け性等のために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には、無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、滑剤、界面活性剤等を適宜組み合わせて含有させることができる。
本発明は、OHPフィルムとしても使用可能な、透明性の高いインクジェット記録媒体にも適用できるものでもあるが、OHPフィルム等の透光性を要求される被記録材料においても、インク受容層の組成だけでなく、支持体の特性も重要である。OHPフィルムとして使用する際の光透過性は、全光線透過率よりも、ヘイズ(曇価)の方が、人の感覚に近く、JIS−K−7105によるヘイズ(曇価)が3.0以下の透明支持体であることが特に好ましい。
また、OHPフィルムとして使用する際のインクジェット記録媒体のヘイズは、支持体上にインク受容層を設けたインクジェット記録媒体において、このインクジェット記録媒体のJIS−K−7105によるヘイズ(曇価)が10.0以下であることが特に好ましい。
OHPフィルムなど、透光性が要求されるインクジェット記録媒体では、支持体の厚さには特に制限はなく、ハンドリング性とプリンタの通紙適性の点から、50〜200μm程度のものが好ましい。
また、写真の印画紙調の光沢感、風合いを有するインクジェット記録媒体を得るためには、インク受容層の組成だけでなく、支持体の特性も重要である。写真の印画紙調の光沢感、風合いを得るためには、ポリエステルフィルム又は樹脂被覆紙を用いることが好ましく、また、支持体のJIS−P−8123により測定されたハンター白色度が65%以上であることが特に好ましく、インク受容層側のJIS−Z−8741により測定された60度鏡面光沢が30%以上であることが好ましい。
ポリエステルフィルムの白色度を高める方法としては、硫酸バリウム、二酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化珪素、酸化アルミニウム、カオリン、タルク等の無機微粒子をポリエステルフィルム内部に含有させる方法や白色塗料を表面に塗布する方法等がある。
また、クッション性や隠蔽性を付与するために、フィルム内部に多数の空洞を含有する空洞含有フィルム、例えば発泡ポリエステルフィルム等も用いることができる。
耐水性支持体として、ポリエステルフィルムを用いる場合は、厚さには特に制限はなく、ハンドリング性とプリンタの通紙適性の点から、10〜200μm程度のものが好ましい。
支持体として樹脂被覆紙を用いる場合も、厚さには特に制限はなく、ハンドリング性とプリンタの通紙適性の点から、50〜300μm程度であることが好ましい。また、写真の印画紙の風合いを得るためには、200〜300μm程度のものが好ましい。
樹脂被覆紙用の原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できる。好ましくは、例えば、写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。
原紙を構成するパルプとしては、天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いることができる。原紙には一般に、製紙に用いられるサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤を配合することができる。更に、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
また、原紙は、抄造中又は抄造後、カレンダー等にて圧力を印加して圧縮された表面平滑性の高いものが好ましく、JIS−P−8119により測定されたベックの平滑度が200秒以上のものが特に好ましい。また、その坪量は、30〜250g/mの範囲が好ましい。
原紙の白色度は、JIS−P−8123により測定されたハンター白色度が65%以上であると白色度が高く、高級感のある被記録材料が得られるが、目的により求める白色度は異なり、天然パルプとして未晒しパルプを併用した茶褐色の原紙を用いてもよい。また、染料等の着色剤を用いて着色した原紙を用いてもよい。
樹脂被覆紙用の被覆樹脂としては、ポリオレフィン樹脂が好ましく、特にポリエチレン樹脂が好ましい。また、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン又はこれらの混合物が使用できる。ここで、低密度ポリエチレンとは、密度が0.915〜0.930g/cmのポリエチレンであり、通常は高圧法で製造されるものである。一方、高密度ポリエチレンとは、密度が0.950g/cm以上のポリエチレンであり、通常は低圧法あるいは中圧法で製造されるものである。
これらのポリエチレン樹脂は、各種の密度及びメルトフローレートを有するものを単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
耐水性支持体として用いられる樹脂被覆紙は、走行する原紙上に、加熱溶融したポリオレフィン樹脂を流延する、いわゆる押出コーティング法により製造できる。また、樹脂と原紙との接着性を向上させるために、樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理等の活性化処理を施すことが好ましい。支持体のインク受容層が塗布される面(オモテ面)は、その用途に応じて光沢面、マット面等を有し、特に光沢面に構成されるのが好ましい。必ずしも裏面に樹脂を被覆する必要はないが、カール防止の点から樹脂被覆した方が好ましい。裏面は通常、無光沢面であり、表面あるいは必要に応じて表裏両面にコロナ放電処理、火炎処理等の活性処理を施すことができる。
樹脂被覆紙の樹脂層の構成は、単層、2層以上の多層のいずれであってもよい。この場合にも、上記のポリオレフィン樹脂を単独に又は2種以上を混合して用いることができる。また、多層の各層を互いに異なる組成とすることも同一の組成とすることもできる。多層からなる樹脂層を形成する方法としては、共押出コーティング法と逐次コーティング法のいずれを採用してもよい。
一方、樹脂被覆紙の樹脂層は、膜形成能のあるラテックスをコーティングすることによって形成することもできる。例えば、最低成膜温度(MFT)の低いラテックスを、樹脂被覆紙用の原紙にコーティングした後、最低成膜温度以上の温度に加熱することによっても形成することができる。
樹脂被覆紙の被覆樹脂層の厚みとしては、特に制限はなく、一般に5〜50μmが好ましく、該範囲の厚みで表面のみ又は表裏両面にコーティングされる。
樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム等の白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、トリフェニルホスファイト等の酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルー等のブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫等のマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤等の各種の添加剤を適宜組み合わせて加えることができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。また、本実施例では、インクジェット記録媒体の一例としてインクジェット記録用シートを作製する場合を中心に示す。
(実施例1)
−アルミナ白色透明分散液の調製−
イオン交換水2042gをディゾルバーで攪拌しながら、これにカタロイドAP−5(触媒化成工業(株)製;擬ベーマイト状アルミナ水和物)708gを添加し、アルミナの白色粗分散液を得た。このときのディゾルバーの回転数は、3000r.p.m.,回転時間は10分間とした。
続いて、このアルミナ粗分散液を、高圧分散機(アルティマイザーHJP25005、スギノマシン社製)にて微分散し、固形分濃度25%の白色透明なアルミナ分散液(アルミナ白色透明分散液)を得た。このときの圧力は100MPaとし、吐出量は600g/minとした。
得られたアルミナ白色透明分散液について、液温30℃に調整し、LA−920((株)堀場製作所製)で測定した透過率が80%になるようにイオン交換水で薄めた状態で、LA−920((株)堀場製作所製)により、分散粒子の粒子径を測定した。測定の結果、粒子径は0.1043μmであった。また、アルミナ白色透明分散液のpHをpHメータを用いて液温30℃で測定したところ、pH4.62であった。アルミナ白色透明分散液の粘度も下記同様に測定した。
−インク受容層用塗布液の調製−
上記より得たアルミナ白色透明分散液100部、PVA−245(ケン化度88%、平均重合度3500のポリビニルアルコール、(株)クラレ製)の7%水溶液(バインダー水溶液)34.6部、7.5%ホウ酸水溶液(架橋剤水溶液)9.7部、10%界面活性剤水溶液(エマルゲン109P、花王(株)製、HLB13.6;界面活性剤)1.32部、及びイオン交換水40.5部を、混合前に予め60℃に保温し、保温後の各液を60℃で保温しながらよく混合し、インク受容層用塗布液を調液した。
得られたインク受容層用塗布液のB型粘度計を用いて測定した30℃での粘度は、56mPa・sであった。ここで、アルミナ水和物とPVAとの質量比率(al/PVA)は10である。
−インク受容層の形成−
そして、このインク受容層用塗布液を50℃に冷却した後、超音波脱泡処理を50℃に保ったまま10分間行なった。超音波脱泡処理後すぐに、このインク受容層用塗布液を透明ポリエステルフィルム(商品名:ルミラー125T(JIS−K−7105によるヘイズ(曇価)=2.19、表面易接着処理済み)、東レ(株)製;耐水性支持体)の上に、擬ベーマイトアルミナの乾燥固形分が40g/mになるように塗布した。塗布後、膜面温度が20℃になるように2分間セット乾燥を行ない、その後80℃で10分間乾燥させて、インク受容層を形成した。膜面温度の測定は、水分が200g/mの状態で放射温度計により行なった。
以上のようにして、本発明のインクジェット記録用シートを作製した。
(実施例2)
実施例1において、アルミナ白色透明分散液、PVA−245の7%水溶液、10%界面活性剤水溶液、及びイオン交換水を混合した後、塗布の30秒前に、7.5%ホウ酸水溶液(架橋剤水溶液)をインライン混合するようにしたこと以外、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製した。また、実施例1と同様にして、アルミナ白色透明分散液の粒子径及びpH並びにインク受容層用塗布液の粘度を測定した。
(実施例3〜4)
実施例1において、インク受容層用塗布液の調製に用いたPVA−245の量(10部)を下記表2に示すように8部、15部にそれぞれに変更したこと以外、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製した。また、実施例1と同様にして、アルミナ白色透明分散液の粒子径及びpH並びにインク受容層用塗布液の粘度を測定した。
(実施例5〜7)
実施例1において、インク受容層用塗布液の調製に用いたPVA−245を、PVA−235(ケン化度88%、平均重合度3500、(株)クラレ製)、PVA−220(ケン化度88%、平均重合度2000、(株)クラレ製)、PVA−145(ケン化度99%、平均重合度4500、(株)クラレ製)にそれぞれ代えた(但し、実施例6はホウ酸の固形分量を2.5部とした。)こと以外、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製した。また、実施例1と同様にして、アルミナ白色透明分散液の粒子径及びpH並びにインク受容層用塗布液の粘度を測定した。
(比較例1)
実施例1のアルミナ白色透明分散液の調製において、高圧分散機による微分散を行なわなかったこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製した。また、実施例1と同様にして、アルミナ白色透明分散液の粒子径及びpH並びにインク受容層用塗布液の粘度を測定した。
(比較例2)
実施例1のアルミナ白色透明分散液の調製において、高圧分散機による微分散に代え、ビーズミル分散機(ダイノミルKD−20B、Zr製)を用いてビーズ径0.65mm,充填率70%、流量5L/minの条件で分散(高圧分散でない)を行なったこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製した。また、実施例1と同様にして、アルミナ白色透明分散液の粒子径及びpH並びにインク受容層用塗布液の粘度を測定した。
(比較例3〜4)
実施例1のアルミナ白色透明分散液の調製において、アンモニア又は硝酸を用いてpHをそれぞれ5.4、3.6に調整したこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製した。また、実施例1と同様にして、アルミナ白色透明分散液の粒子径及びpH並びにインク受容層用塗布液の粘度を測定した。
(比較例5)
実施例1において、インク受容層用塗布液の調製に用いたPVA−245の量(10部)を20部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製した。また、実施例1と同様にして、アルミナ白色透明分散液の粒子径及びpH並びにインク受容層用塗布液の粘度を測定した。
(比較例6)
実施例1のインク受容層用塗布液の調製において、各液の保温温度を40℃とし、保温後の混合を40℃で行なったこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製した。また、実施例1と同様にして、アルミナ白色透明分散液の粒子径及びpH並びにインク受容層用塗布液の粘度を測定した。
(比較例7)
実施例1において、塗布後の乾燥時における膜面温度を20℃から40℃に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製した。また、実施例1と同様にして、アルミナ白色透明分散液の粒子径及びpH並びにインク受容層用塗布液の粘度を測定した。
(比較例8)
実施例1において、インク受容層用塗布液の調液に7.5%ホウ酸水溶液を用いなかったこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製した。また、実施例1と同様にして、アルミナ白色透明分散液の粒子径及びpH並びにインク受容層用塗布液の粘度を測定した。
(評価)
上記の実施例及び比較例で得た各インクジェット記録媒体について、下記の測定、評価を行なった。測定、評価の結果は下記表2に示す。
1)印画濃度
インクジェットプリンタPM−G800(セイコーエプソン(株)製)を使用して、ブラック(Bk)のベタ印字を行なった。このベタ印字部の画像濃度をグレタグ スペクトロリノSPM−50(グレタグ社製)を用いて、視野角2°、光源D50、フィルターなしの条件にて計測した。
2)光沢度
各インクジェット記録用シートのインク受容層の表面をデジタル変角光沢計UGV−5D(測定孔8mm、スガ試験機(株)製)を用いて、入射角60°、受光角60°にて光沢度の測定を行なった。
3)光沢感
前記1)印画濃度と同様にしてベタ印字したベタ印字部を蛍光灯下で観察し、下記の評価基準にしたがって、ベタ印字部の光沢感を評価した。
〈評価基準〉
○:蛍光灯がはっきりとぼけ、ゆがみがなくシャープに映って見えた。
△:蛍光灯がややぼやけて見えた。
×:蛍光灯があまり映らなかった。
4)ヘイズ
インクジェットプリンタPM−G800(セイコーエプソン(株)製)を準備し、空のインクタンクに各色のインク溶媒を装填して黒色でベタ印字した。ベタ印字後、23℃、50%の環境下で3時間放置した後、ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機(株)製)によりヘイズを計測した。
なお、各色のインク溶媒の詳細は下記表1の通りである。
Figure 2008246755
Figure 2008246755
前記表2に示すように、実施例では、高濃度で光沢感の高い画像を得ることができた。また、ヘイズも良好であり、特にインク溶媒が浸透した後(つまり記録後)のヘイズが低く抑えられ、透明性で濃度の高い画像記録が可能であった。架橋剤をインライン混合した実施例2では、光沢度、印字濃度、及びヘイズについて向上効果がみられた。また、実施例1、3、4から明らかなように、擬ベーマイト状アルミナ水和物とPVAの質量比率(al/PVA)を8より大きくすることにより、光沢度、印字濃度、及びヘイズがより良化した。
これに対し、比較例では、光沢感が低下し、印字濃度及びヘイズも劣っていた。

Claims (5)

  1. 擬ベーマイト状アルミナ水和物が高圧分散機により水系溶媒中に分散され、pH(30℃)が4〜5である(A)アルミナ分散液を準備する工程と、
    前記(A)アルミナ分散液、(B)水溶性バインダーを含む水溶液、及び(C)架橋剤水溶液をそれぞれ50℃以上に保温しながら混合し、塗布液を調製する工程と、
    前記塗布液を50℃以上の温度にして耐水性支持体上に塗布し、膜面温度が30℃未満になる条件で乾燥させてインク受容層を形成する工程と、
    を含み、前記塗布液の30℃における粘度が100mPa・s以下であるインクジェット記録媒体の製造方法。
  2. 前記水溶性バインダーが、ケン化度75〜90%、平均重合度3000以上のポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  3. 前記架橋剤水溶液の混合をインライン混合により行なうことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  4. 前記架橋剤が、ホウ酸及びその塩の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  5. 前記擬ベーマイト状アルミナ水和物(al)とポリビニルアルコール(PVA)との質量比率(al/PVA)が、al/PVA>8を満たすことを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
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