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JP2008240350A - プレキャストコンクリート建築物の構築方法 - Google Patents

プレキャストコンクリート建築物の構築方法 Download PDF

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JP2008240350A
JP2008240350A JP2007082158A JP2007082158A JP2008240350A JP 2008240350 A JP2008240350 A JP 2008240350A JP 2007082158 A JP2007082158 A JP 2007082158A JP 2007082158 A JP2007082158 A JP 2007082158A JP 2008240350 A JP2008240350 A JP 2008240350A
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Kenji Kurihara
謙治 栗原
Akihito Yoshioka
聡人 吉岡
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Abstract

【課題】PCa構造において、構築される複数階を有する建物を、平面的に複数工区に分けて、前工区の複数階の建物を構築した後に、この建物に次工区の複数階の建物を連設して構築できるようにして、狭小敷地においての作業性の向上を図る。
【解決手段】PCa製の下階壁板1の上面におけるその板厚方向の一方の側に、PCa製の一方の床板3の端部を載置するとともに、前記下階壁板1の上面に、前記一方の床板3の板厚と略同一の高さを有し、かつ、前記下階壁板1の長手方向の長さよりも短い長さの支持部材2を複数個、下階壁板1の長手方向に適宜間隔を有して配置し、次で、前記支持部材2上にPCa製の上階壁板1Aを載置し、次で、PCa製の他方の床板4の端部を、前記下階壁板1の板厚方向の他方の側において、前記一方の床板と同一の高さの位置に配置することを特徴とするプレキャストコンクリート建築物の構築方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、プレキャストコンクリート建築物の構築方法に関する。
従来、プレキャストコンクリート(以下、PCaという)製の板を組立てて建物を構築するPCa工法として、例えば、図18に示すように、隣接する部屋間のPCa壁板部において、下階のPCa壁板101の上端面に、左右のPCa床板102、103の端部を載置し、その後、両PCa床板102、103のコッタ105、106に突設した鉄筋107、108をやとい筋109で連結し、その後、コッタ105、106にコンクリートを充填して、その後、上階のPCa壁板104を、前記左右のPCa床板102、103の端部に跨るように載置するとともに上下のPCa壁板101、104相互の鉄筋を連結して各板相互を連結する方法が一般的である。
このような建て方においては、上階のPCa壁板104を直接PCa床板102、103及び充填コンクリートで支持することから、下階の全室のPCa壁板と、このPCa壁板の上面間に架設する全PCa床板を構築した後に上階の部屋を構築しなければならない。
ところで、都市部においては、細長い狭小敷地に多層建物を構築する場合がある。例えば、図19に示すような道路201に接する間口Dが狭く、奥行きLが長い狭小敷地202において、奥行きL方向に多数のPCa壁101で多数の部屋を構築するとともに、図20に示すように、多数の階を有する建物を構築する場合がある。
このような場合、前記従来のPCa壁の連結構造では、図19、20の実線で示すように、間口Dと奥行Lにわたる範囲(D×L)を1工区とし全1階部分F1を構成するPCa壁板101とPCa壁板102を構築し、次に、全1階部分の上に、前記D×Lを1工区として全2階部分F2を構築し、同様に上階部分F3、F4、F5を順次構築する必要がある。
しかし、前記の工法(建て方)によると、空地がなく敷地一杯に建物を構築する場合、組立て部材等を吊り上げるクレーン車(重機)301は、全1階部分F1を構築した後においては、図19及び図20に示すように、奥行L方向の奥端から遠く離れた位置、すなわち、奥部の部屋R1から遠く離れた位置において作業をすることになる。
そのため、例えば、図20において5階部分F5の奥部R5を構築する際には、クレーン車301のアーム302が届かないか、或いは、アーム302の長い大型のクレーン車301を用いる必要があり、工費が嵩むとともに作業も困難になる問題がある。また、このようなことから、建物の形状が制限される場合も生じる問題がある。
更に、1階部分を構築した後の2階以上の構築中には、クレーン車を図19に示すように道路201に配置しなければならず、道路を占有する期間が長くかかり、都会の狭い道路では周囲に不便を起こすこともある。
そこで、本発明は、前記の課題を解決するPCa建築物の構築方法を提供することを目的とするものである。
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、プレキャストコンクリート製の下階壁板の上面におけるその板厚方向の一方の側に、プレキャストコンクリート製の一方の床板の端部を載置するとともに、前記下階壁板の上面に、前記一方の床板の板厚と略同一の高さを有し、かつ、前記下階壁板の長手方向の長さよりも短い長さの支持部材を複数個、下階壁板の長手方向に適宜間隔を有して配置し、次で、前記支持部材上にプレキャストコンクリート製の上階壁板を載置し、次で、前記下階壁板の板厚方向の他方の側において、プレキャストコンクリート製の他方の床板を、前記一方の床板と同一の高さの位置に配置することを特徴とするプレキャストコンクリート建築物の構築方法である。
請求項2記載の発明は、プレキャストコンクリート製の下階壁板の上面におけるその板厚方向の一方の側に、プレキャストコンクリート製の一方の床板の端部を載置するとともに、前記下階壁板の上面に、前記一方の床板の板厚と略同一の高さを有し、かつ、前記下階壁板の長手方向の長さよりも短い長さの支持部材を複数個、下階壁板の長手方向に適宜間隔を有して配置し、次で、前記支持部材上にプレキャストコンクリート製の上階壁板を載置し、次で、前記下階壁板の板厚方向の他方の側において、プレキャストコンクリート製の他方の床板を、その端部を、前記下階壁板の板厚方向の他方の側から前記下階壁板と上階壁板間に差し込んで配置することを特徴とするプレキャストコンクリート建築物の構築方法である。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記支持部材をH型鋼で形成したことを特徴とするプレキャストコンクリート建築物の構築方法である。
請求項4記載の発明は、請求項1又は2又は3記載の発明において、前記支持部材に、コンクリート充填用の孔を形成したことを特徴とするプレキャストコンクリート建築物の構築方法である。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発明において、前記支持部材の端面を上階壁板の配置用のガイドラインとすることを特徴とするプレキャストコンクリート建築物の構築方法である。
請求項1記載の発明によれば、下階壁板上に、一方の床板を載置できるとともに、支持部材を介して上階壁板も支持できるため、この構造によって複数階の建物を前工区として、一時的に構築することができる。
そして、この構築後、隣接する次工区の建物における各階の床板の端部を、前記前工区の下階壁板との接合部の位置に配置し、複数階の建物を次工区として構築することができる。
したがって、狭小敷地に建物を敷地一杯に建設する場合に、その建物を平面的に複数の工区に区分して、その敷地の奥部の工区から、その工区毎に全階を建設することができる。
そのため、大型のクレーン車を用いることなく、狭小敷地に建物を最大限に建設できる効果を発揮できる。更に、クレーン車による道路の占有が短期間で済む。
請求項2記載の発明によれば、他方の床板の端部を、下階壁板と上階壁板間に差し込むことにより、上階壁板と下階壁板間にコンクリートを充填した際に、該コンクリートが、下階壁板と他方の床板との間から漏出することを抑制できる。
請求項3記載の発明によれば、既成のH型鋼を使用して、強固で安価な支持部材を得ることができる。
請求項4記載の発明によれば、支持部材に開けられた孔によってコンクリートを支持部材の裏面にも容易に充填することができる。
請求項5記載の発明によれば、上階壁板を、支持部材をガイドラインとして組立てることができ、上階壁板を所定位置に設置する作業が容易になる。
図1乃至図3は本発明のPCa建築物の構築方法を示すもので、図1は前工区Aを一時的に構築した状態を示す縦断面図、図2は前工区A側の下階壁板と上階壁板との接合部Fに次工区B側の床板の端部を配置した状態を示す縦断面図、図3は図2の接合状態を示す断面斜視図である。
図1において、PCa板からなる下階壁板1は所定の壁厚T1を有し、紙面の表裏方向に所定の長さを有し、更に、上下方向は所定の長さを有するもので、通常の大きさのPCa壁板である。
前記下階壁板1上には支持部材2が載置され、該支持部材2として、図1乃至図4に示すような、所定の高さH1を有するウェブプレート2aと、所定の幅W1を有するフランジ2bとからなるH型鋼を用い、このH型鋼を長手方向に所定の長さL1に切断したH型鋼2Aを用いている。また、ウェブプレート2aの高さH1は、後述する一方の床板3の板厚T2と略同一に設定され、また、幅W1は下階壁板1の板厚T1より短く設定されている。
また、前記ウェブプレート2aにはコンクリート流通孔2cが形成されている。
そして、該H型鋼2Aは、図1に示すように、そのウェブプレート2aが縦方向におかれ、かつ、そのウェブプレート2aの側面が下階壁板1の壁面に平行するように下階壁板1上に載置される。更に、前記H型鋼2Aはそのウェブプレート2aの軸芯X1が、下階壁板1の軸芯X2より次工区側Bに偏位するように載置され、そのH型鋼2Aのフランジ2bの前工区A側の端面2dが下階壁板1の前工区A側の側面1aより奥側に位置し、次工区B側の端面2eが下階壁板1の次工区側の側面1bと同一位置又は若干、例えば5mm程、側面1bより奥側に位置して、側面1bに沿うように配置され、下階壁板1の上端面における前工区A側に、前工区A側のPCa板からなる一方の床板3の端部を載置する載置面1cが形成されるようになっている。
更に、前記H型鋼2Aからなる支持部材2の長さL1は、図8に示すように、下階壁板1の長手方向の長さより短く設定され、下階壁板1の長手方向において2個又は3個以上、すなわち、複数個、適宜間隔を有して配置できるようになっている。
なお、前記支持部材2は、前記のH型鋼2Aに限るものではなく、前記のような所定の高さH1、幅W1及び所定の長さL1を有するものであればよく、例えば、図5及び図6に示すようなものを使用しても良い。
図5に示す支持部材2は、フランジ2a、2a間の幅がW1のH型鋼を軸方向において前記のH1の寸法で切断したH型鋼2Bを用いたものである。該H型鋼2Bのウェブプレート2aには、前記のH型鋼2Aと同様のコンクリート流通孔2cが形成されている。
このH型鋼2Bの支持部材2によれば、寸法W1に近い寸法の既成のH型鋼を、H1の寸法で切断すればよく、支持部材2の形成が容易で安価になる。
すなわち、PCa板からなる一方の床板3の板厚T2は一般に規定されているため、前記H1の寸法は板厚T2と同寸法が要求されるのに対し、前記W1は前記載置面1cが形成できる寸法でよく、また、前記L1も所望寸法でよいため、その寸法W1及びL1は厳密な寸法を要求されない。
したがって、前記図4に示す支持部材2においては、フランジ2b、2b間がH1の寸法を有するH型鋼が要求されるのに対し、前記図5に示す支持部材2においては、フランジ2b、2b間がW1に近い既成のH型鋼を選択してH1の寸法に切断すればよく、支持部材2を容易、かつ、安価に形成できる。
図6に示す支持部材2は、前記H1とW1とL1の寸法で形成したコンクリートブロック2Cで形成したものである。
前工区A側の一方の床板3は、所定の板厚T2を有し、その端面(小口面)3aの長手方向の長さは、図7に示すように、下階壁板1の上面の長手方向より長く形成されている。
次に、前記H型鋼2Aの支持部材2を用いる場合の、次工区B側に配置する他方の床板4について説明する。
該他方の床板4はPCa板で形成され、その板厚T2は、前記前工区A側の一方の床板3の板厚T2と同一に形成され、端面(小口面)4aの長手方向の長さは、図11に示すように、一方の床板3の端面3aの長手方向と同一長に形成されている。
該他方の床板4の端面4aには、構築時に、前記支持部材2と対向する部分に位置して、欠き込み部6が形成されている。該欠き込み部6は、上面側と端面(小口面)4a側が開口し、底部に底板4bが一体成形されている。該底板4bの前端面4cは、前記端面4aと同一位置に形成されている。
そして、図2に示すように他方の床板4の端面4aを下階壁板1の次工区側の側面1bに近接させた場合に、前記欠き込み部6が、上部にコンクリート充填口8aを開口したコンクリート充填空間8となるようになっている。
なお、前記H型鋼2Aからなる支持部材2は、図8に示すように、下階壁板1上に、4個等間隔に配設され、他方の床板4には、図10に示すように、欠き込み部6が前記両側の支持部材2に対応するように両側部と、中間の2個の支持部材2、2に対応するように、中間部に1個形成されている。これにより、前記欠き込み部6、6間には、突部(非欠き込み部)4dが形成されている。なお、この支持部材2、2と欠き込み部6の数は図の実施例の数に限るものではない。
更に、前記前工区A側の一方の床板3の端面3a側には、図8に示すように、前記支持部材2の載置部以外の部分に位置して欠き込み状のコッタ3bが形成され、前記次工区B側の他方の床板4の前記突部4dには、前記コッタ3bに対向する位置にコッタ4eが形成されている。該両コッタ3b、4eには連結用の鉄筋が突設されているが、図ではコッタ3b側の接続鉄筋8のみ示している。
次に、前記図4に示す支持部材2を用いた構築工程について、図1乃至図3及び図7乃至図11により説明する。
先ず、第1工程として、図1及び図7に示すように、前工区A側の下階壁板1を配置した後、前工区A側の一方の床板3の端部を下階壁板1の片側の載置面1c上に載置する。
また、該一方の床板3の両側は、図11に示すように、予め下階壁板1と直交する方向に配置された両下階壁板19、19上に載置される。なお、下階壁板1の上面中央部には連結用の鉄筋10が突設している。
次に、第2工程として、前記図4に示す支持部材2であるH型鋼2Aを、複数個下階壁板1上に、図1及び図8に示すように、その軸芯X1を軸芯X2より偏芯させて配置する。なお、この支持部材2は、そのフランジ2bを単に下階壁板1上に載置するのみでもよいが、下階壁板1に図7に示すように、鉄筋11を突設し、支持部材2のフランジ2bに鉄筋挿通穴を形成し、該鉄筋挿通穴に鉄筋11を挿通して、支持部材2の位置決めをしてもよい。
また、支持部材2(2A)の端面2eを、図1、図8に示すように、下階壁板1における次工区側の側面1bの端縁に沿って配置することにより、壁厚方向における支持部材2の位置決めができる。
次に、第3工程として、図1及び図9に示すように、前工区A側のPCa板からなる上階壁板1Aを、その次工区B側の側面1eにおける下端縁が支持部材2(2A)の上側端面2fに沿うようにして複数の支持部材2上にわたって載置し、上階壁板1Aを支持部材2により一時的に支持する。このとき、支持部材2(2A)の上側端面2fが上階壁板1Aのガイドラインとなり、上階壁板1Aの所定位置への載置作業が容易になる。この載置により、下階壁板1の軸芯X2と上階壁板1Aの軸芯X2とが一致する。また、鉄筋10を上階壁板1Aに挿通し、グラウトモルタルの注入によって固定する。
前記の各工程を前工区A側における次工区Bとの全接合部において行い、前工区A側の複数階の建物を図12、図13に示すように構築する。
この前工区の複数階の建物を構築した後に、第4工程として、図2、図3、図10、図11に示すように、次工区B側の他方の床板4を、前記一方の床板3と同一高さの位置、すなわち、上下の壁板1、1Aの接合部Fの位置に配置するとともに、その端面4aの下端を、前記下階壁板1における次工区B側の側面1bの上端に近接させて配置する。
この他方の床板4は、図10、図11に示すように、その両端部4f、4f、すなわち、下階壁板1の長手方向における両端部を、下階壁板1と直交する方向に予め配置された両下階壁板20、20の上面に載置して、この両下階壁板20、20で支承されるようになっている。
なお、この第4工程における両床板3、4の関係及び床板4の支承状態を分りやすくするため、上階壁板1Aを省略した図を図11で示す。
また、他方の床板4の端面4a、4c側は、図2に示すように、その端面4a、4cが、下階壁板1の次工区B側の側面と同一位置になるように配置してもよく、また、端面4a、4cを下階壁板1の側面1b
より奥側に差し込んで、他方の床板4の端面4a、4c側の端部が下階壁板1上に支承されるようにしてもよい。この差し込み量としては、例えば5mm程の若干量とする。
次に、第5工程として、先ず、先工区A側の床板3と次工区B側の床板4の鉄筋15同士を溶接によって固定し、次に、他方の床板4の下面と下階壁板1の側面1bとの間に、図2に示すように、コンクリート止め用のテープ40を貼り、次工区B側の他方の床板4に形成したコンクリート充填空間8のコンクリート充填口8aより、生コンクリートを流入して上下の壁板1、1A間に充填する。このとき、流入されたコンクリートは、支持部材2のコンクリート流通孔2cを流通して、支持部材2と前工区A側の一方の床板3との空間内にも充填される。
また、前記のように、他方の床板4の端部を下階壁板1の上面に差し込む場合には、前記の充填コンクリートが下階壁板1側から漏れることを抑制できる。
以上により、支持部材2は埋設され、両壁板1、1Aと両床板3、4が相互に強固に連結される。
前記第4工程と第5工程を、次工区B側における前工区Aとの全接合部において行い、次工区B側の複数個の建物を図14及び図15に示すように構築する。
次に、前記の次工区Bに更に、図16及び図17に示すように、第3工区Cの複数階の建物を構築する場合には、前記次工区Bにおける前工区Aと反対の側の両壁板と床板の構造を、前記前工区Aの構造と同様にし、第3工区Cの次工区Bとの壁板と床板の構造を前記次工区Bと同様の構造とし、前記と同様に第3工区Cの建物を構築する。
次に、前記構築方法によって、狭小敷地でのPCa板による構築方法を、図14乃至図17により説明する。
図12に示すような、道路201に接する間口Dが狭く、奥行Lが長い狭小敷地202において、図16に示すように、略一杯に構築される建物を、クレーン車(重機)の作業半径を超えないように平面的に分割する。例えば、図16、17に示すように、奥行L方向において3工区A、B、Cに分割する。
そして、先ず、奥行L方向の最奥部の工区を前工区Aとして、この工区Aを前記図7乃至図9に示す第1工程乃至第3工程によって、図12及び図13に示すように、1階部分F1から最上階、例えば5階F5まで塔状に構築する。
このとき、5階F5部に組立部材等を吊り上げる際には、クレーン車30を図12及び図13に示すように第1工区Aの近傍に配置してそのアーム31を伸ばすことができる。
したがって、前記図20に示すように、全1階部分を構築した後に順次上階を構築する場合において、最奥部の5階部に組立部材を吊り上げる場合に比べて、クレーン車30のアームが短くてよく、大型クレーン車を用意する必要がなく、かつ、吊り上げ作業も容易に行える。
次に、前記の前工区Aにおける建物を最上階まで構築した後に、図14及び図15に示す第2工区Bを、その前記第1工区A側においては、前記図10、11に示す第4工程により、また、第3工程C側においては前記図7乃至図9に示す第1工程乃至第3工程によって最上階、例えば、5階F5まで塔状に構築する。
この場合も、クレーン車30を第2工区Bの近傍に配置させて前記第1工区Aと同様に作業することができる。
次に、前記の第2工区Bにおける建物を最上階まで構築した後に、図16及び図17に示す第3工区Cを、前記第2工区Bと同様の作業によって最上階、例えば、5階F5まで塔状に構築する。
この場合も、クレーン車30を第3工区Cの近傍に停止させて前記第1工区Aと同様に作業することができる。
以上の構築方法(建て方)により、空地がなく狭小敷地一杯に建物を構築する場合に、前記従来のような大型クレーン車を用いることなく敷地一杯に高い建物を容易に建設できる。更に、図12乃至図15に示すように、前記第1工区及び第2工区Bの構築時においてはクレーン車30を敷地内に配置することができるため、クレーン車による道路の占有期間を短くでき、周囲に不便を起こすことも少なくなる。更に、他の運搬車40を敷地の間口部に停車させることができ、この運搬車40への荷物の乗せ降ろし作業が容易になる。
なお、支持部材2として、前記図5又は図6に示すものを使用しても、前記のように構築することができる。
また、前記他方の床板4の端面4a側のコッタ4eを次のように形成しても良い。すなわち、図10、図11に示す前記突部4dをなくして、前記欠き込み部6を床板4の端面(小口面)4aの長手方向の全長にわたって形成し、前記実施例と同様なコッタ4eを、前記コッタ3bと対向する位置において、前記欠き込み部6側が開口するようにして床板4に形成しても良い。
本発明の構築方法における前工区を構築した状態を示す縦断面図。 本発明の構築方法における次工区を構築した状態を示す縦断面図。 図2の接合状態を示す断面斜視図。 本発明の支持部材を示す斜視図。 本発明の支持部材の他の例を示す斜視図。 本発明の支持部材の更に他の例を示す斜視図。 本発明の第1工程を示す斜視図。 本発明の第2工程を示す斜視図。 本発明の第3工程を示す斜視図。 本発明の第4工程を示す斜視図。 本発明の第4工程における上階壁板を除いた斜視図。 本発明の構築方法によって狭小敷地に建物を構築する場合のA工区の構築を説明する平面図。 図12の立面図。 同B工区の構築を説明する平面図。 図14の立面図。 同C工区の構築を説明する平面図。 図16の立面図。 従来の構築構造を示す縦断面図。 狭小敷地に建物を構築する従来工法を示す平面図。 図19の立面図。
符号の説明
1 下階壁板
1A 上階壁板
2 支持部材
2c コンクリート充填用の孔
3 一方の床板
4 他方の床板
4a 端面
4b 底板
4c 前端面
6 欠き込み部

Claims (5)

  1. プレキャストコンクリート製の下階壁板の上面におけるその板厚方向の一方の側に、プレキャストコンクリート製の一方の床板の端部を載置するとともに、前記下階壁板の上面に、前記一方の床板の板厚と略同一の高さを有し、かつ、前記下階壁板の長手方向の長さよりも短い長さの支持部材を複数個、下階壁板の長手方向に適宜間隔を有して配置し、次で、前記支持部材上にプレキャストコンクリート製の上階壁板を載置し、次で、前記下階壁板の板厚方向の他方の側において、プレキャストコンクリート製の他方の床板を、前記一方の床板と同一の高さの位置に配置することを特徴とするプレキャストコンクリート建築物の構築方法。
  2. プレキャストコンクリート製の下階壁板の上面におけるその板厚方向の一方の側に、プレキャストコンクリート製の一方の床板の端部を載置するとともに、前記下階壁板の上面に、前記一方の床板の板厚と略同一の高さを有し、かつ、前記下階壁板の長手方向の長さよりも短い長さの支持部材を複数個、下階壁板の長手方向に適宜間隔を有して配置し、次で、前記支持部材上にプレキャストコンクリート製の上階壁板を載置し、次で、前記下階壁板の板厚方向の他方の側において、プレキャストコンクリート製の他方の床板を、その端部を、前記下階壁板の板厚方向の他方の側から前記下階壁板と上階壁板間に差し込んで配置することを特徴とするプレキャストコンクリート建築物の構築方法。
  3. 前記支持部材をH型鋼で形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のプレキャストコンクリート建築物の構築方法。
  4. 前記支持部材に、コンクリート充填用の孔を形成したことを特徴とする請求項1又は2又は3記載のプレキャストコンクリート建築物の構築方法。
  5. 前記支持部材の端面を上階壁板の配置用のガイドラインとすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプレキャストコンクリート建築物の構築方法。
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