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JP2008122821A - クリーニングブレードおよび画像形成装置 - Google Patents

クリーニングブレードおよび画像形成装置 Download PDF

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JP2008122821A JP2006308716A JP2006308716A JP2008122821A JP 2008122821 A JP2008122821 A JP 2008122821A JP 2006308716 A JP2006308716 A JP 2006308716A JP 2006308716 A JP2006308716 A JP 2006308716A JP 2008122821 A JP2008122821 A JP 2008122821A
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Abstract

【課題】電子写真方式の画像形成装置における像担持体表面から残留トナーを除去するのにあたり、良好なクリーニング性能を実現しつつ、その場合であっても摩擦自励振動を抑えることを可能にする。
【解決手段】金属板2の一面に弾性層3が形成されてなるクリーニングブレード1において、前記弾性層3を、クリーニング対象に当接するクリーニング層3aと当該クリーニング層3a以外のバックアップ層3bとからなる多層構造とする。そして、前記バックアップ層3bのヤング率または硬度の少なくとも一方を、前記クリーニング層3aより大きく構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、クリーニング対象の表面に当接させて当該表面のクリーニングを行うクリーニングブレードおよびこれを用いた画像形成装置に関する。
一般に、電子写真方式の画像形成装置では、像担持体上に形成したトナー像を記録媒体へ転写することで画像出力を行うが、そのトナー像の転写後に像担持体の表面にトナーが残留するため、その像担持体の表面にクリーニングブレードの先端を当接させて、これにより残留トナーを掻き取って除去するようになっている。ただし、クリーニングブレードは、像担持体の表面への当接によって残留トナーを掻き取るので、優れたクリーニング性能を実現するためには、その先端部分が適度の硬度を有し、永久歪みが生じてしまうことなく、像担持体の表面に対して必要な面圧が十分に得られるものでなければならない。
このことから、従来、画像形成装置に用いられるクリーニングブレードとしては、金属板の一面に弾性層が形成されてなる一体構造型のものが広く知られている(例えば、特許文献1、2参照)。具体的には、図5に示すように、クリーニングブレード11が金属板12上にウレタンゴム等からなる弾性層13を設けた積層体によって構成されるとともに、弾性層13が図示せぬ像担持体表面に所定角度を持って当接するようにホルダ14が当該クリーニングブレード11を支持するものがある。このような構成により、クリーニングブレード11は、弾性層13が適度な硬度を有したものであっても、十分な強度が金属板12によって確保されるので、永久歪みの発生を抑えることができるのである。
特開平5−224542号公報 特開平11−219082号公報
ところで、例えば球形トナーを利用した画像形成装置などでは、上述した従来構成のクリーニングブレード11において、像担持体表面に対するクリーニング性能、すなわち当該表面からの残留トナーの掻き取り能力を向上させるためには、当該表面への弾性層13の当接力(面圧)を大きくすることが考えられる。
しかしながら、従来構成のクリーニングブレード11では、弾性層13の当接力を大きくすると、高周波の振動が発生し、鳴きやクリーニング不良等が起きることが、実験等を通じて明らかになっている。これは、金属板12は減衰が小さいため、像担持体表面と弾性層13との当接および摩擦によって生じる振動エネルギーを減衰することができず、その摩擦によって自励振動が発生したことが要因であると考えられる。
この摩擦自励振動については、弾性層13の厚さを減少させて対応することも可能である。厚さを減少させれば、弾性層13は振動し難くなるため、結果として振動低減効果が得られるからである。ところが、弾性層13は、金属板12と積層体を構成していることから、ある一定の厚さ以下にしてしまうと、その金属板12上への配設にあたって、うねりが大きくなってしまい、位置決め精度も悪化してしまうおそれがある。すなわち、弾性層13の厚さを減少させることには限界がある。したがって、弾性層13の厚さ減少では、摩擦自励振動の発生を完全に抑えられるとは言えない。
そこで、本発明は、良好なクリーニング性能を実現しつつ、その場合であっても、摩擦自励振動を抑えることを可能にして騒音発生を防止し、さらにはそのために層厚減少を要することもなく積層体構成の容易化や高精度化等を図ることのできる、クリーニングブレードおよびこれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出されたクリーニングブレードおよび画像形成装置である。
請求項1に係る発明は、金属板の一面に弾性層が形成されてなるクリーニングブレードであって、前記弾性層は、クリーニング対象に当接するクリーニング層と当該クリーニング層以外のバックアップ層とからなる多層構造で、かつ、前記バックアップ層のヤング率または硬度の少なくとも一方が前記クリーニング層より大きく構成されていることを特徴とするクリーニングブレードである。
請求項2に係る発明は、前記バックアップ層のヤング率が前記クリーニング層より大きく構成されているとともに、当該ヤング率は25%歪みにおける値であることを特徴とする請求項1記載のクリーニングブレードである。
請求項3に係る発明は、前記バックアップ層の反発弾性の大きさが前記クリーニング層の反発弾性の大きさ以下に構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のクリーニングブレードである。
請求項4に係る発明は、前記クリーニング層および前記バックアップ層は、それぞれの厚さが、前記弾性層の総厚と前記クリーニング層および前記バックアップ層の厚さ比との間の所定関係に基づいて形成されていることを特徴とする請求項1、2または3記載のクリーニングブレードである。
請求項5に係る発明は、金属板の一面に弾性層が形成されてなるクリーニングブレードを像担持体の表面に当接させて当該表面から残留トナーを除去する画像形成装置において、前記クリーニングブレードの前記弾性層は、クリーニング対象に当接するクリーニング層と当該クリーニング層以外のバックアップ層とからなる多層構造で、かつ、前記バックアップ層のヤング率または硬度の少なくとも一方が前記クリーニング層より大きく構成されていることを特徴とする画像形成装置である。
請求項1、5に係る発明によれば、クリーニング対象に当接するクリーニング層は適度な硬さを確保しつつ、バックアップ層についてはクリーニング層より硬くすることで振動し難くなるので、これにより振動低減効果を得て摩擦自励振動を抑えることが実現可能となり、結果としてクリーニングによる鳴きやクリーニング不良等が起きるのを回避することができる。しかも、これを互いに硬さの異なる多層構造によって実現するため、弾性層の総厚を減少させる必要がない。つまり、請求項1、5に係る発明では、良好なクリーニング性能を実現しつつ、摩擦自励振動を抑えることを可能にして騒音発生を防止することができ、さらにはそのために層厚減少を要することもなく積層体構成の容易化や高精度化等を図ることができる。
請求項2に係る発明によれば、25%歪みにおけるヤング率をクリーニング層およびバックアップ層の硬さの指標としているので、その特定を明確に行うことができ、互いに硬さの異なる多層構造の弾性層を確実に実現することが可能となる。
請求項3に係る発明によれば、バックアップ層を低反発弾性に構成することで、そのバックアップ層がエネルギー吸収効果を発揮するので、より一層の振動低減効果を得て摩擦自励振動を抑えることが実現可能となる。
請求項4に係る発明によれば、クリーニング層およびバックアップ層の厚さが、これらの総厚とそれぞれの厚さ比との間の所定関係に基づいて形成されている。ここで、当該所定関係としては、例えば、総厚が厚くなるほど、弾性層が振動し易くなるため、振動低減効果を発揮するバックアップ層の厚さの割合を大きくする、といったものが挙げられる。したがって、弾性層の総厚がどのような厚さであっても、当該所定関係に基づいてクリーニング層およびバックアップ層の各厚さが形成されることで、摩擦自励振動を確実に抑えることが実現可能となる。
以下、図面に基づき本発明に係るクリーニングブレードおよび画像形成装置について説明する。
はじめに、画像形成装置について簡単に説明する。本実施形態で説明する画像形成装置は、周知の電子写真方式による画像形成を行うもので、具体的には複写機、プリンタ装置、FAX装置、これらの機能を統合した複合機等が該当する。このような画像形成装置では、感光体ドラムや転写ベルト等といった像担持体上にトナー像を形成し、そのトナー像を紙等の記録媒体へ転写することで、可視画像の出力を行うようになっている。ただし、トナー像の転写後には、像担持体の表面にトナーが残留する。そのため、画像形成装置は、像担持体の表面の残留トナーを掻き取って除去するために、その像担持体の表面に当接するように配設されるクリーニングブレードを備えている。
図1は、本発明に係るクリーニングブレードの概略構成例を示す説明図である。図例のように、本実施形態で説明するクリーニングブレード1は、金属板2の一面に弾性層3が形成されてなる一体構造型のものである。そして、弾性層3が図示せぬ像担持体表面に所定角度を持って当接するように、金属板2がホルダ4に装着されている。すなわち、従来におけるクリーニングブレードと同様に、ホルダ4に支持されている状態で、弾性層3の先端部分が像担持体表面に当接し、これにより像担持体表面上の残留トナーを掻き取るように構成されている。
ただし、本実施形態で説明するクリーニングブレード1は、弾性層3が、クリーニング対象である像担持体表面に当接するクリーニング層3aと、そのクリーニング層3a以外のバックアップ層3bと、からなる多層構造を有している。そして、これらクリーニング層3aおよびバックアップ層3bは、いずれも、ウレタンゴムやフッ素ゴム等のゴム材によって形成されたものであるが、ヤング率または硬度の少なくとも一方が互いに相違している。
ヤング率(縦弾性係数)および硬度は、いずれも、部材の硬さの指標となるものである。ヤング率については、ゴム材が非線形に変形することから、JIS−K−6254やJIS−K−6262等の規格に準拠して、25%歪みにおけるものを用いることが考えられる。硬度については、JIS−K−6253の規格に準拠したものを用いることが考えられる。
つまり、クリーニング層3aおよびバックアップ層3bは、それぞれの硬さが互いに相違しているのである。具体的には、バックアップ層3bの硬さ(ヤング率または硬度の少なくとも一方)が、クリーニング層3aより大きくなるように、それぞれの硬さが相違しているものとする。
また、クリーニング層3aおよびバックアップ層3bについては、それぞれの硬さのみならず、それぞれの反発弾性の大きさについても、互いに相違していることが望ましい。反発弾性とは、例えばJIS−K−6255の規格に準拠して特定されるものをいう。具体的には、バックアップ層3bの反発弾性の大きさが、クリーニング層3aの反発弾性の大きさ以下となるように、それぞれを構成することが考えられる。
このような多層構造の弾性層3は、例えば遠心成型を利用して積層形成することが考えられるが、これに限定されるものではなく、他の公知技術を利用して形成しても構わない。
次に、以上のような構成のクリーニングブレード1が奏する作用について、従来構成のクリーニングブレードと比較しつつ説明する。
図2は、比較のための従来構成のクリーニングブレードの一例を示す説明図である。図2(a)に示すクリーニングブレード11は、実験において鳴きが激しく発生した従来における一体構造型のもので、厚さ80μm、幅8mmのステンレス材からなる金属板12と、厚さ1.0mm、幅5mm、ヤング率9MPa、反発弾性40%のゴム材からなる弾性層13と、を備えて構成されたものである。そして、自励振動が発生しない場合の作動時当接力が0.08N/mmになるように弾性層13のクリーニング対象への食い込みを調節した状態でホルダ14に支持されている。なお、クリーニング対象への当接力を大きくしてあるため、耐磨耗性の向上を図るべく、弾性層13は、一般的なブレードに用いられるゴム材(ヤング率:4MPa〜8MPa程度)より硬めのもの(ヤング率:9MPa)によって形成されている。
このような従来構成のクリーニングブレード11について、鳴き発生のメカニズム究明を行ったところ、弾性層13のある固有振動モードが摩擦力の存在によって不安定になり、これにより自励振動に至ることが判明した。このことは、図2(b)に示すように、弾性層13と感光体との間の摩擦係数が(プロセススピード付近で)滑り速度に対して負の傾きを持つと仮定した場合に、安定性解析を行ったところ、実験とほぼ同じ周波数(約6.4KHz)で不安定モードが現われ、モード減衰率が約−0.006となることからも確認される。なお、振動理論では、モード減衰が負となれば、不安定モードとなり、自励振動が発生する。そして、負になればなるほど、不安定度が高い。これらのことから、鳴き発生の要因となる振動は、ブレード−クリーニング対象間の摩擦特性による自励振動であると言える。
その一方で、図1に示した本実施形態におけるクリーニングブレード1については、上述した従来構成のクリーニングブレード11に対応して、以下に述べるような構成とする。すなわち、金属板2を厚さ80μm、幅8mmのステンレス材によって形成するとともに、弾性層3を厚さ1.0mm、幅5mmのゴム材によって形成する。ただし、弾性層3は、クリーニング層3aおよびバックアップ層3bからなる多層構造なので、クリーニング層3aを厚さ0.5mm、ヤング率9MPa、反発弾性40%のゴム材によって形成し、バックアップ層3bについては厚さ0.5mm、ヤング率50MPa、反発弾性40%のゴム材によって形成する。つまり、弾性層3が多層構造である点以外は、従来構成のクリーニングブレード11と同様に構成する。なお、クリーニング層3aは、クリーニング性や耐久性等の観点から、従来構成の弾性層13と同じ材料にしている。
このような構成の本実施形態におけるクリーニングブレード1について、上述した従来構成の場合と同一の接触面間摩擦特性を仮定し、安定性解析を行ったところ、モード減衰率は+0.005までに向上することができ、その結果自励振動を無くし得ることが判明した。これは、クリーニング層3aは適度な硬さを確保しつつ、バックアップ層3bについてはクリーニング層3aより硬い材料によって形成することで、弾性層3全体が振動し難くなるからである。
ここで、弾性層3が多層構造のクリーニングブレード1について、バックアップ層3bのヤング率以外のパラメータは変化させることなく同一としつつ、バックアップ層3bのヤング率を振りながら、モード減衰率の変化を考察した結果の具体例について説明する。図3は、モード減衰率の変化を考察した結果の具体例を示す説明図である。図例によれば、バックアップ層3bのヤング率を大きくして、そのバックアップ層3bを硬くしたほうが、振動抑制に効果があることが明らかになっている。さらに、図例から、バックアップ層3bのヤング率が約37MPaを超えると系が安定となり、またバックアップ層3bのヤング率が高くなるほど(不安定領域での)不安定度が減少し、(安定領域での)安定度が増加することが分かる。つまり、バックアップ層3bのヤング率を大きくすることで、弾性層3全体の振動抑制効果が高くなることが分かる。
このように、本実施形態におけるクリーニングブレード1およびこれを用いた画像形成装置では、クリーニング対象に当接するクリーニング層3aが適度な硬さを確保しつつ、バックアップ層3bについてはクリーニング層3aより硬くすることで振動し難くなるので、これにより振動低減効果を得て摩擦自励振動を抑えることが実現可能となり、結果としてクリーニングによる鳴きやクリーニング不良等が起きるのを回避することができる。しかも、これを互いに硬さの異なる多層構造によって実現するため、弾性層3の総厚を減少させる必要がない。
なお、以上の各数値例では、界面間の摩擦特性をいずれの場合も同じように仮定しているが、同じ構成のクリーニングブレードであっても、モード減衰率の具体的な数値は摩擦特性に依存する。具体的には、摩擦係数の滑り速度に対する負の傾きが大きければ減衰率は負の方になり、系はより不安定になる。摩擦特性が変わる要因として、トナー等の界面に介在する粒子の量の変化が挙げられる。ただし、例えば、トナーの量が変化し摩擦特性が変わっても、前述した相対的な結果(多層構成の振動抑制効果およびパラメータの要因効果)は変わらないと考えられる。
以上に説明した実施形態では、クリーニング層3aおよびバックアップ層3bがそれぞれ単層であり、これらからなる弾性層3が二層構造である場合を例に挙げたが、弾性層3が三層以上の多層構造である場合についても、バックアップ層3bのヤング率をクリーニング層3aよりも大きくすれば、同様の作用が得られるようになる。例えば、バックアップ層3bが二層からなる場合であっても、クリーニング層3aの側の層の厚さを0.3mm、ヤング率を50MPaとし、金属板2の側の層の厚さを0.2mm、ヤング率を100MPaとすれば、モード減衰率を約+0.01までに向上させることができ、その結果自励振動を無くすことができる。また、バックアップ層3bが複数層からなる場合、すべての層においてヤング率がクリーニング層3aより大きくなくても、バックアップ層3bを構成する複数層を一層とみなしたときのヤング率がクリーニング層3aより大きければ、振動抑制効果が得られる。
また、クリーニング層3aおよびバックアップ層3bのヤング率については、これらがゴム材からなるものであるため、一般的に歪みの大きさによって変わることが知られている。本実施形態では、その特定の明確化を図るべく、ヤング率が25%歪みにおける値である場合を説明したが、これに限定されないことは勿論である。さらには、クリーニング層3aおよびバックアップ層3bの硬さの指標として、ヤング率ではなく、あるいはヤング率と併せて、硬度を用いてもよく、その場合であってもバックアップ層3bをクリーニング層3aより硬くすることで振動抑制効果が得られる。
また、クリーニング層3aおよびバックアップ層3bの反発弾性の大きさについては、それぞれが同一であってもよいが、バックアップ層3bの反発弾性をクリーニング層3a以下にすれば、振動エネルギーをより減衰することができ、振動抑制効果がさらに向上できると考えられる。なお、バックアップ層3bが複数層からなる場合には、全ての層において反発弾性がクリーニング層3a以下でなくても、バックアップ層3b全体のエネルギー減衰効果がクリーニング層3aより高ければ、同じように振動抑制効果を向上させることが可能である。
ところで、弾性層3を構成するゴム材は、既に説明したように、その厚さを減少させれば、振動し難くなることが知られている。すなわち、厚くなるほど、クリーニング対象との当接側が不安定で振動し易くなる。ただし、金属板2上への配設時のうねり発生や位置決め精度も悪化等を考慮すると、その厚さを減少させることにも限界があり、ある一定の厚さ以下にすべきではない。
これらのことを考慮して、上述した実施形態では、振動抑制効果が得られ、かつ、配設時のうねり発生や位置決め精度悪化等を回避し得るものとして、クリーニング層3aの厚さが0.5mm、バックアップ層の厚さが0.5mmで、弾性層3の総厚が1.0mmであるクリーニングブレード1を、一具体例として挙げている。
ところが、一般に、クリーニングブレード1における弾性層3の総厚は、クリーニングサブシステムの各構成要素に応じて適切に設定されて形成される。すなわち、クリーニングブレード1が搭載される画像形成装置の機種によっては、弾性層3の総厚が異なることも考えられる。その場合に、例えば弾性層3の総厚が厚くなるのに伴って、クリーニング層3aも厚く形成すると、クリーニング層3aが振動し易くなってしまい、結果として多層構造による振動抑制効果を十分に発揮し得なくなるおそれがある。
したがって、クリーニング層3aおよびバックアップ層3bについては、それぞれの厚さが、弾性層3の総厚とクリーニング層3aおよびバックアップ層3bの厚さ比との間の所定関係に基づいて形成されていることが望ましい。所定関係としては、例えば、弾性層3の総厚が厚くなるほど、振動し易くなるため、振動低減効果を発揮するバックアップ層3bの厚さの割合をクリーニング層3aよりも大きくする、といったものが挙げられる。これは、弾性層3がクリーニング層3aとバックアップ層3bとからなる場合、それぞれの厚さについて、クリーニング対象との当接側の動き易さを考慮すると、弾性層3の総厚に対して、バックアップ層3bの割合の大きいほうが、振動抑制についての改善効果が期待できるからである。
図4は、総厚と各層の厚さ比との間の所定関係の一具体例を示す説明図である。図例では、同じゴム材からなるクリーニング層3aおよびバックアップ層3bが弾性層3を構成する場合に、その弾性層3の総厚とクリーニング層3aの厚さとの組み合わせについて、同等の振動安定性を持つ三つの態様をプロットして示している。この図例によれば、クリーニング対象との当接側における振動安定性を保つためには、弾性層3の総厚の増加に対して、クリーニング層3aの厚さを線形に減少させればよいことが分かる。
以上の点を考慮すると、弾性層3の総厚がクリーニングサブシステムの各構成要素に応じて適切に設定される場合に、クリーニング層3aおよびバックアップ層3bに関しては、以下に述べるプロセスを経て、当該設定を行うことが考えられる。すなわち、先ず、クリーニング対象となる像担持体の表面や除去すべき残留トナー等の特性に基づき、一般的なゴムブレード設計の場合と同じように、クリーニング性や耐磨耗性等の観点から、クリーニング層3aの形成材質を決定する。そして、摩擦特性の最悪条件やブレード加工性等を見込んだ上で、バックアップ層3bのヤング率および各層の厚さを決定する。
例えば、球形トナーを除去する場合のように像担持体表面に対して高い当接力が必要な場合、それぞれの設定値の範囲は、以下の通りである。クリーニング層3aについては、クリーニング対象への当接力を大きくしつつ、耐磨耗性の向上を図るべく、一般的なブレードに用いられるゴム材より硬めの、ヤング率が6MPa〜15MPaの範囲、より好ましくは8MPa〜12MPaの範囲のものを用いる。そして、バックアップ層3bについては、振動抑制効果を十分に発揮し得るようにすべく、ヤング率が20MPa〜600MPaの範囲、より好ましくは50MPa〜200MPaの範囲のものを用いる。また、このようなクリーニング層3aおよびバックアップ層3bからなる弾性層3は、振動抑制のために厚さを抑え、かつ、配設容易化のためにある一定以上の厚さとすべく、その総厚を1.0mm〜2.0mmの範囲とする。その場合に、クリーニング層3aの厚さは、0.05mm〜0.7mm、より好ましくは0.1mm〜0.5mmの範囲となるのに対し、バックアップ層3bの厚さは、1.95mm〜0.3mm、より好ましくは1.9mm〜0.5mmの範囲となる。
このように、総厚と各層の厚さ比との間の所定関係を実験等の経験則を通じて予め特定しておき、その所定関係を基にしつつ、例えば弾性層3の総厚が大きいものに対してクリーニング層3aの厚みをより好ましい範囲内で小さくするといったように、各層の設定を行い、その設定に従いクリーニング層3aおよびバックアップ層3bからなる弾性層3を形成すれば、弾性層3の総厚がどのような厚さであっても、当該所定関係に基づいてクリーニング層3aおよびバックアップ層3bが形成されることで、摩擦自励振動を確実に抑えることが実現可能となる。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の好適な実施具体例であるが、本発明はその内容に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。特に、本実施形態で挙げた数値等は、本発明の一具体例に過ぎず、これに限定されるものではない。
本発明に係るクリーニングブレードの概略構成例を示す説明図である。 比較のための従来構成のクリーニングブレードの一例を示す説明図である。 モード減衰率の変化を考察した結果の具体例を示す説明図である。 弾性層の総厚とその構成層の厚さ比との間の所定関係の一具体例を示す説明図である。 従来のクリーニングブレードの概略構成例を示す説明図である。
符号の説明
1…クリーニングブレード、2…金属板、3…弾性層、3a…クリーニング層、3b…バックアップ層、4…ホルダ

Claims (5)

  1. 金属板の一面に弾性層が形成されてなるクリーニングブレードであって、
    前記弾性層は、クリーニング対象に当接するクリーニング層と当該クリーニング層以外のバックアップ層とからなる多層構造で、かつ、前記バックアップ層のヤング率または硬度の少なくとも一方が前記クリーニング層より大きく構成されている
    ことを特徴とするクリーニングブレード。
  2. 前記バックアップ層のヤング率が前記クリーニング層より大きく構成されているとともに、当該ヤング率は25%歪みにおける値である
    ことを特徴とする請求項1記載のクリーニングブレード。
  3. 前記バックアップ層の反発弾性の大きさが前記クリーニング層の反発弾性の大きさ以下に構成されている
    ことを特徴とする請求項1または2記載のクリーニングブレード。
  4. 前記クリーニング層および前記バックアップ層は、それぞれの厚さが、前記弾性層の総厚と前記クリーニング層および前記バックアップ層の厚さ比との間の所定関係に基づいて形成されている
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載のクリーニングブレード。
  5. 金属板の一面に弾性層が形成されてなるクリーニングブレードを像担持体の表面に当接させて当該表面から残留トナーを除去する画像形成装置において、
    前記クリーニングブレードの前記弾性層は、クリーニング対象に当接するクリーニング層と当該クリーニング層以外のバックアップ層とからなる多層構造で、かつ、前記バックアップ層のヤング率または硬度の少なくとも一方が前記クリーニング層より大きく構成されている
    ことを特徴とする画像形成装置。
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