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JP2008101763A - スラストころ軸受用保持器、スラストころ軸受、およびコンプレッサの回転軸支持構造 - Google Patents

スラストころ軸受用保持器、スラストころ軸受、およびコンプレッサの回転軸支持構造 Download PDF

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JP2008101763A
JP2008101763A JP2006315398A JP2006315398A JP2008101763A JP 2008101763 A JP2008101763 A JP 2008101763A JP 2006315398 A JP2006315398 A JP 2006315398A JP 2006315398 A JP2006315398 A JP 2006315398A JP 2008101763 A JP2008101763 A JP 2008101763A
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真司 大石
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NTN Corp
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Abstract

【課題】剛性を維持しつつ軸方向の厚み寸法を削減したスラストころ軸受用保持器を採用すると共に、潤滑性に優れたスラストころ軸受を提供する。
【解決手段】スラストころ軸受11は、ころと、内周環状部14、外周環状部15、および内周環状部14と外周環状部15との間に放射状に配置される複数の柱部16とを有し、隣接する柱部16の間にころを収容する複数のポケット18が形成されている金属製保持器13とを備える。そして、柱部16には、その厚み方向一方側および他方側のうちの少なくとも一方の壁面に潤滑油を保持する凹部19が設けられている。
【選択図】図5

Description

この発明は、オートマチックトランスミッションやコンプレッサ等に使用されるスラストころ軸受、およびこのようなスラストころ軸受に採用されるスラストころ軸受用保持器に関するものである。
自動車のオートマチックトランスミッションやコンプレッサ等に使用されるスラストころ軸受は、例えば、特開平9−79269号公報(特許文献1)に記載されている。図11を参照して、同公報に記載されているスラストころ軸受101は、針状ころ102(図11では図示省略)と、内周環状部103、外周環状部104、および内周環状部103と外周環状部104との間に放射状に配置される複数の柱部105を有し、隣接する柱部105の間に針状ころ102を収容するポケット106が形成されている保持器107とを備える。
上記構成のスラストころ軸受101は、ころ102と軌道面とが線接触するので、軸受投影面積が小さいわりに高負荷容量と高剛性が得られるという利点がある。
なお、上記構成の保持器107は、生産性および経済性に優れている合成樹脂を射出成型して製造する樹脂製保持器である。また、図12を参照して、柱部105には、一方側の壁面に柱部105の厚みを減じる肉盗み部108と、ポケット106に対面する壁面に針状ころ102の脱落を防止するころ止め部109とが形成されている。
上記公報に記載されているスラストころ軸受101は、保持器107のころ止め部109に隣接する位置に肉盗み部108を設けることにより、ころ止め部109の弾性変形能を高めることができる。その結果、射出成型の型抜き時の抵抗を低減することができると記載されている。
特開平9−79269号公報
近年、オートマチックトランスミッションやコンプレッサ等のコンパクト化が進んでおり、それに伴って、これらの機器に使用されるスラストころ軸受101の軸方向の厚み寸法削減の要望が強くなっている。
ここで、スラストころ軸受101の軸方向の厚み寸法を減じるためには、保持器107の板厚を薄くしなければならない。しかし、合成樹脂で形成されている保持器107は、剛性確保の観点から厚み寸法の削減には限界がある。これは、特に大径のスラストころ軸受101において顕著である。
また、近年では、自動車の低エミッション化に伴って、オートマチックトランスミッションやコンプレッサ等の駆動部分の潤滑油量も削減されている。さらに、低粘度で添加剤を含有する潤滑油が使用されている。このような潤滑油は潤滑性能が低いので、接触部分に油膜切れを生じ、表面損傷や表面起点型の剥離が発生しやすくなっている。その結果、希薄潤滑下で使用可能なスラストころ軸受が求められている。
そこで、この発明の目的は、剛性を維持しつつ軸方向の厚み寸法を削減したスラストころ軸受用保持器を採用すると共に、潤滑性に優れたスラストころ軸受を提供することである。
また、この発明の他の目的は、潤滑性に優れ、信頼性の高いコンプレッサの回転軸支持構造を提供することである。
この発明に係るスラストころ軸受は、ころと、内周環状部、外周環状部、内周環状部と外周環状部との間に放射状に配置される複数の柱部、および柱部の厚み方向一方側および他方側のうちの少なくとも一方の壁面に潤滑油を保持する凹部を有し、隣接する柱部の間にころを収容する複数のポケットが形成されている金属製の保持器とを備える。
上記構成のスラストころ軸受は、保持器の壁面に潤滑油を保持する凹部を設けたので、保油性が向上する。なお、本明細書中「保油性」とは、外部から供給される潤滑油が軸受内部に留まる性質を指すものとする。すなわち、上記構成のスラスト軸受においては、外部から供給された潤滑油が保持器に設けられた油だまりとしての凹部内に留まる。そして、凹部から徐々に流出する潤滑油がころの転動面を潤滑するので、希薄潤滑下でも潤滑性に優れたスラストころ軸受を得ることができる。
ここで、十分な量の潤滑油が供給される環境で使用されるスラストころ軸受には、高い通油性が求められる。すなわち、潤滑油の流入および排出をスムーズにすることにより、軸受内部の塵埃や摩耗粉を除去したり、潤滑油による攪拌抵抗の増大を防止したりすることが重要である。
一方、希薄潤滑下で使用されるスラストころ軸受には、軸受内部に常に潤滑油を保持し、ころの転動面に潤滑油を常時供給できる状態にしておくことが重要になる。つまり、この発明に係るスラストころ軸受は、希薄潤滑環境下での使用に適しているといえる。
また、上記構成のスラストころ軸受に採用される保持器は、鋼等の金属材料で形成された金属製保持器である。これにより、厚み寸法を削減しても保持器に必要な剛性を維持することができる。つまり、この発明に係るスラストころ軸受は、オートマチックトランスミッションやコンプレッサ等のコンパクト化が進む機器での使用に適しているといえる。
一実施形態として、ポケットはころの脱落を防止するころ止め部を有する。そして、凹部ところ止め部とは、保持器の厚み方向の同一壁面側で、かつ保持器の回転軸心を中心とする同一円周上に配置されている。
好ましくは、柱部はそれぞれ複数の前記凹部を有する。これにより、スラストころ軸受の保油量がさらに増加する。
さらに好ましくは、各柱部に設けられた複数の凹部は、保持器の径方向にずれた位置に設けられる。これにより、各ころの転動面に潤滑油をより均等に供給することができる。
この発明に係るスラストころ軸受用保持器は、内周環状部と、外周環状部と、内周環状部および外周環状部の間に放射状に配置される複数の柱部と、柱部の厚み方向一方側および他方側のうちの少なくとも一方の壁面に潤滑油を保持する凹部とを備える。また、このスラストころ軸受用保持器は、金属材料によって形成されている。
この発明に係るコンプレッサの回転軸支持構造は、回転軸と、回転軸の回転により生じたスラスト荷重を支持する上記のスラストころ軸受とを備える。上記のスラストころ軸受を採用することにより、潤滑性に優れ、信頼性の高いコンプレッサの回転軸支持構造を得ることができる。
この発明によれば、保持器の壁面に凹部を設けたことにより、保油性の高いスラストころ軸受用保持器、およびこのような保持器を採用することにより、希薄潤滑下でも潤滑性に優れたスラストころ軸受を得ることができる。
また、保持器を金属材料によって形成することにより、厚み寸法を削減しても剛性を維持することができる。その結果、コンパクト化が進む機器での使用に適したスラストころ軸受を得ることができる。
さらに、この発明によれば、上記のようなスラストころ軸受を採用することにより、潤滑性に優れ、信頼性の高いコンプレッサの回転軸支持構造を得ることができる。
図1〜図5を参照して、この発明の一実施形態に係るスラストころ軸受11およびスラストころ軸受用保持器13を説明する。なお、図1はスラストころ軸受11の表面図、図2はスラストころ軸受11の裏面図、図3は図1のIII−IIIにおける断面図、図4は図2のIV−IVにおける断面図、図5は図1のP部の拡大図である。
この発明の一実施形態に係るスラストころ軸受11は、複数のころ12と、複数のころ12を保持するスラストころ軸受用保持器13(以下、「保持器13」という)とを備えるケージ&ローラタイプの軸受である。
図1および図2を参照して、保持器13は、内周環状部14と、内周環状部14の径方向外側に位置する外周環状部15と、内周環状部14および外周環状部15の間に放射状に配置される柱部16とを有する。また、各柱部16の表面(「厚み方向一方側の壁面」を指す)および裏面(「厚み方向他方側の壁面」を指す)には、それぞれ凹部17a,17b,17c(以下、総称して「凹部17」という)が設けられている。さらに、隣接する柱部16の間には、ころ12を転動自在に保持する複数のポケット18が形成されている。
図1を参照して、保持器13の表面の凹部17a,17bは、各柱部16の2箇所に径方向の位置をずらして設けられている。具体的には、径方向内側に設けられた内周側凹部17aと、径方向外側に設けられた外周凹部17bとを含む。そして、複数の内周側凹部17aおよび外周側凹部17bは、それぞれスラストころ軸受11の回転軸心を中心とする円c,cの円周上に位置する。また、この実施形態においては、凹部17は矩形形状である。
一方、図2を参照して、保持器13の裏面の凹部17cは、各柱部16の径方向中央部に設けられている(「中央凹部17c」という)。また、複数の中央凹部17cは、スラストころ軸受11の回転軸心を中心とする円cの円周上に位置する。
ポケット18は、保持器13の厚み方向に貫通する矩形形状の貫通孔である。そして、長手方向を保持器13の径方向に向けて放射状に配置されている。また、図3および図4を参照して、ポケット18には、ころ12の転動面に対面する壁面から突出する複数のころ止め部19が設けられている。
具体的には、保持器13の厚み方向一方側(表面側)に偏在する第1および第2ころ止め部19a,19b(図3では第1ころ止め部19aのみ図示)と、他方側(裏面側)に偏在する第3ころ止め部19cとを含む。これらのころ止め部19は、ポケット18に収容されたころ12が、それぞれ保持器13の厚み方向一方側および他方側に脱落するのを防止する。
また、各ころ止め部19のころ12と対面する壁面は、角部がころ12を攻撃するのを防止するためにテーパ形状となっている。さらに、保持器13の厚み方向一方側のころ止め部19a,19bと他方側のころ止め部19cとの間の壁面は、ころ12の回転を案内する案内面18aとして機能する。
次に、図5を参照して、内周側凹部17a、外周側凹部17b、および中央凹部17cは、それぞれ径方向のずれた位置に設けられている。同様に、第1ころ止め部19a、第2ころ止め部19b、および第3ころ止め部19cも、それぞれ径方向のずれた位置に設けられている。
また、内周側凹部17aおよび外周側凹部17bと、第1および第2ころ止め部19a,19bとは、保持器13の同一壁面側(表面側)に設けられている。一方、中央凹部17cと第3ころ止め部19cとは、保持器13の同一壁面側(裏面側)に設けられている。
さらに、各ポケット18に設けられた第1ころ止め部19aは円cの円周上に、第2ころ止め部19bは円cの円周上に、第3ころ止め部19cは円cの円周上にそれぞれ配置されている。つまり、内周側凹部17aと第1ころ止め部19a、外周側凹部17bと第2ころ止め部19b、および中央凹部17cと第3ころ止め部19bとは、それぞれ保持器13の厚み方向の同一壁面側でかつ同一円周上に位置する。
上記構成の保持器13は、鋼等の金属材料によって形成される金属製保持器である。また、内周環状部14、外周環状部15、および柱部16の板厚はほぼ均一である。また、ころ止め部19は、保持器13の表面および裏面からは突出していない。したがって、保持器13は全体としてフラットな形状となっている。このような保持器13を製造する方法としては、例えば、1枚の鋼板をプレス加工して上記の構成を得る。具体的には、打ち抜き加工によって保持器13の外形形状を形成すると共に、ポケット18を打ち抜く。
また、上記のように、凹部17ところ止め部19とを保持器13の厚み方向の同一壁面側で、かつ同一円周上に設けた場合には、コイニング加工によって凹部17を形成すると同時に、このとき生じた余肉によって各凹部17に隣接するころ止め部19を形成することができる。
一方、ころ12は、転動面12aを有する円筒形状の転動体である。ころ12は、軸受回転時に自転運動、およびスラストころ軸受11の回転軸心を中心として公転運動する。その際、転動面12aは、軌道面(図示省略)およびポケット18の内壁面(ころ止め部19を含む)に接触する。
したがって、転動面12aと軌道面との間、および転動面12aとポケット18の内壁面との間にそれぞれ潤滑油を供給する必要がある。なお、ケージ&ローラタイプの軸受の場合、軌道面はスラストころ軸受11を組み込む機器側に設けられる。
上記構成のスラストころ軸受11は、外部から供給された潤滑油が保持器13に設けられた油だまりとしての凹部17内に留まる。そして、凹部17から徐々に流出する潤滑油がころ12の転動面を潤滑する。つまり、保持器13に凹部17を設けたことによってスラストころ軸受11の保油性が向上する。その結果、希薄潤滑下でも潤滑性に優れたスラストころ軸受11を得ることができる。
なお、凹部17は底壁を有する不貫通凹部である。また、周囲が側壁で囲まれており、隣接するポケット18に連通する溝とも異なる。このような構成とすることにより、通油性ではなく保油性が向上する。
また、各柱部16に複数の凹部17a,17b,17cを設けたことにより、1箇所の場合と比較して、スラストころ軸受11の保油性がさらに向上する。また、複数の凹部17a,17b,17cを保持器13の径方向にずれた位置に設けることにより、ころ12の転動面に潤滑油を均等に供給することができる。
また、保持器13の厚み方向一方側に設けられる第1および第2ころ止め部19a,19bと、他方側に設けられる第3ころ止め部19cとを保持器13の径方向にずれた位置に設けることにより、ころ12を適切に保持することができる。
さらに、上記構成のスラストころ軸受11に採用される保持器13は金属製保持器である。これにより、厚み寸法を削減しても保持器13に必要な剛性を維持することができる。つまり、このスラストころ軸受11は、オートマチックトランスミッションやコンプレッサ等のコンパクト化が進む機器での使用に適しているといえる。
なお、上記の実施形態においては、各柱部16の表面側に2箇所、裏面側に1箇所の凹部17を設けた例を示したが、これに限ることなく、それぞれ任意の個数の凹部を設けることができる。
また、上記の実施形態においては、凹部17を各柱部16の厚み方向の壁面に設けた例を示したが、スラストころ軸受11の保油性を向上する観点からは、任意の位置、すなわち内周環状部14や外周環状部15に凹部を設けてもよい。しかし、潤滑油をころ12の転動面12aに適切に供給する観点からは、転動面12aに隣接する柱部16に設けるのが望ましい。
また、上記の実施形態における凹部17は矩形形状である例を示したが、これに限ることなく、任意の形状とすることができる。例えば、図6に示すスラストころ軸受用保持器23は、円形状の凹部27a,27bを有する。図7に示すスラストころ軸受用保持器33は、円周方向に延びる長円形状の凹部37a,37bを有する。図8に示すスラストころ軸受用保持器43は、径方向に延びる長円形状の凹部47を有する。なお、図6および図7において、凹部27a,27bおよび凹部37a,37bは、それぞれ径方向のずれた位置に配置されている。
上記の各実施形態におけるスラストころ軸受用保持器13,23,33において、柱部16,26,36の幅寸法は、径方向内側から径方向外側に向かって大きくなっている。そのため、外周側凹部17b,27b,37bの面積は、内周側凹部17a,27a,37aと比較して大きくなっている。
一方、軸受内部の潤滑油は、軸受回転時の遠心力によって径方向外側に偏在する。そのため、内周側凹部17a,27a,37aの保油量を増加して、スラストころ軸受用保持器13,23,33の内周側の保油性を向上するのが望ましい。
そこで、例えば、内周側凹部17a,27a,37aの深さを外周側凹部17b,27b,37bより深くする等して保油量を増加すれば、ころの転動面全域にさらに均等に潤滑油を供給することができる。
なお、上記構成のスラストころ軸受用保持器23,33,43の基本構成は保持器13と共通するので、詳しい説明は省略する。
また、上記の実施形態においては、厚み寸法を削減する観点からころ12と保持器13とで構成されるケージ&ローラタイプのスラストころ軸受11の例を説明したが、これに限ることなく、この発明は軌道輪をさらに有するスラストころ軸受にも適用することができる。
図9を参照して、この発明の他の実施形態に係るスラストころ軸受51を説明する。なお、ころ52および保持器53の構成はスラストころ軸受11と共通するので、共通点の説明は省略し、相違点を中心に説明する。
スラストころ軸受51は、複数のころ52と、保持器53と、保持器53の厚み方向一方側および他方側に配置される第1および第2軌道輪54,55とを備える。第1および第2軌動輪54,55は、中央に穴54a,55aが形成された円板状の部材である。第1軌動輪54は、その内縁部に軸方向に突出する内周鍔部54bを有する。第2軌動輪55は、その外縁部に軸方向に突出する外周鍔部55bを有する。
上記構成のスラストころ軸受52は、ケージ&ローラタイプのスラストころ軸受11と比較して厚み寸法は大きくなる。しかし、スラストころ軸受11は、ころ12と接触する軌道面を機器側に設けなければならないので、研磨工程等の作業工数が増大する。一方、スラストころ軸受51は、軌動輪54,55を設けたことで機器側の研磨工程を省略することができる。また、軌動輪54,55の軌道面は、容易に極めて平滑な面を得ることができるので、希薄潤滑下でもころ52がスムーズに回転することができる。
また、金属製保持器の他の例としては、鋼板を厚み方向に折り曲げて断面形状を略W型としたW型保持器がある。W型保持器は、保持器の厚み寸法に対して鋼板の板厚を薄くしなければならないので、保持器の剛性を維持しつつ厚み寸法を削減するのは困難である。したがって、この発明には、円環形状の平板に凹部17およびポケット18等を形成した平型のスラストころ軸受用保持器13が適しているといえる。
また、この発明は、ころとして針状ころ、棒状ころ、または円筒ころを有するあらゆる形式のスラストころ軸受に適用することができる。ただし、厚み寸法を削減する観点からは、スラスト針状ころ軸受であることが望ましい。
次に、図10を参照して、この発明の一実施形態に係るコンプレッサ61を説明する。コンプレッサ61は、ケーシング62と、回転軸69と、斜板70と、ピストン71と、電磁クラッチ72とを備える。このコンプレッサ61は、自動車用空気調和装置の蒸気圧縮式冷凍機等に組み込まれる。
ケーシング62は、低圧室66および高圧室67を有するヘッドケース63と、ピストン71が往復運動する複数のシリンダ68を有するシリンダケース64と、斜板70を収容する斜板ケース65とをボルト(図示省略)によって固定している。
低圧室66は、ヘッドケース63に設けられた吸入ポート(図示省略)と、各シリンダ68に連通する吸入孔66aと、吸入孔66aから冷媒蒸気の逆流を防止する弁66bとを有する。また、吸入ポートは蒸気圧縮式冷凍機を構成するエバポレータ(図示省略)の出口に連通する。そして、吸入ポートから吸入した冷媒蒸気を吸入孔68aを通じてシリンダ68に供給する。
一方、高圧室67は、ヘッドケース63に設けられた吐出ポート(図示省略)と、シリンダ68に連通する吐出口67aと、吐出口67aから冷媒蒸気の逆流を防止する弁67bとを有する。また、吐出ポートは蒸気圧縮式冷凍機を構成するコンデンサ(図示省略)の入り口に連通する。そして、ピストン71によって圧縮されたシリンダ68内部の冷媒蒸気が吐出口67aを通じて高圧室67に供給される。
回転軸69は、ケーシング62および電磁クラッチ72に連通し、ラジアル針状ころ軸受69aおよびスラスト針状ころ軸受69bによって、シリンダケース64および斜板ケース65の2箇所で回転自在に支持されている。また、斜板ケース65の内部で斜板70を保持している。
斜板70は、回転軸69の回転軸線に直交する平面に対して所定角度傾いた状態で回転軸69に固定連結されている。また、その円周上の複数箇所にはピストン71がスライディングシュー70aによって連結されている。
ピストン71は、斜板70に連結されており、回転軸69の回転に伴って、シリンダ68の内部を軸線方向(図10中の左右方向)に往復運動する。また、シリンダ68とピストン71と囲まれる領域には、冷媒蒸気を圧縮する圧縮室68aが形成されている。
電磁クラッチ72は、プーリ73と、ソレノイド74と、磁性環状板75と、プーリ支持軸受76とを有する。
プーリ73は、外径面に無端ベルト73aを保持する溝73bと、一方側端面にソレノイド74を収容する凹部73cとを有し、プーリ支持軸受76によってケーシング62に回転自在に支持されている。
ソレノイド74は、凹部73cの内部に所定の隙間を設けた状態で配置されており、ケーシング62に固定されている。磁性環状板75は、磁性材料によって形成された円環形状の部材であって、プーリ73を挟んでソレノイド74と対面するように配置されている。また、板ばね75aによって回転軸69に固定されている。この板ばね65aは、磁性環状板75をプーリ73から遠ざける方向に付勢する。
ソレノイド74の非通電時には、プーリ73と磁性環状板75との間には隙間が形成されている。その結果、プーリ73の回転は回転軸69に伝達されない。一方。ソレノイド74の通電時には、ソレノイド74の吸着力によって磁性環状板75が板ばね75aに逆らってプーリ73に当接する。その結果、プーリ73の回転がロータ73を介して回転軸69に伝達される。
回転軸69が回転すると、斜板70に取り付けられたピストン71がシリンダ68の内部を往復運動する。ピストン71が圧縮室68aの容積を大きくする方向(図10中の左方向)に移動すると、弁66bが開放されて冷媒蒸気が低圧室66から吸入孔66aを通って圧縮室68aに移動する。このとき、弁67bは閉鎖されて高圧室67内の冷媒蒸気が圧縮室68aに逆流するのを防止している。
次に、ピストン71が圧縮室68aの容積を小さくする方向(図10中の右方向)に移動すると、ピストン71が圧縮室68a内の冷媒蒸気を圧縮すると共に、弁67bが開放されて圧縮された冷媒蒸気が吐出口67aを通って高圧室67に移動する。このとき、弁66bは閉鎖されて圧縮室68a内の冷媒蒸気が低圧室66に逆流するのを防止している。
上記構成のコンプレッサ61において、回転軸69には、ピストン71の往復運動によるスラスト荷重が負荷される。また、自動車の低エミッション化に伴ってコンプレッサ61の内部に封入される潤滑油量は、従来と比較して削減されている。そこで、回転軸69に生じるスラスト荷重を支持するスラストころ軸受69bとして、この発明の一実施形態に係るスラストころ軸受11,21,31,41,51を採用する。これにより、潤滑性に優れ、信頼性の高いコンプレッサの回転軸支持構造を得ることができる。
なお、上記の実施形態におけるコンプレッサ61は、ピストン71を軸方向の一方側にのみ設けた片斜板タイプの例を示したが、この実施例に限定されない。この発明は、ピストンが軸方向の両側に設けられた両斜板タイプ、または、斜板の角度を変更可能な可変容量片斜板タイプのコンプレッサにも適用することができる。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明は、オートマチックトランスミッションやコンプレッサ等に使用されるスラストころ軸受に有利に利用される。
この発明の一実施形態に係るスラストころ軸受の表面図である。 この発明の一実施形態に係るスラストころ軸受の表面図である。 図1のIII−IIIにおける断面図である。 図2のIV−IVにおける断面図である。 図1のP部の拡大図である。 この発明に係るスラストころ軸受用保持器の他の形態を示す図である。 この発明に係るスラストころ軸受用保持器の他の形態を示す図である。 この発明に係るスラストころ軸受用保持器の他の形態を示す図である。 この発明の他の実施形態に係るスラストころ軸受を示す図である。 この発明の一実施形態に係るコンプレッサを示す図である。 従来のスラストころ軸受の正面図である。 図11のスラストころ軸受のポケットを含む断面図である。
符号の説明
11,21,31,41,51,101 スラストころ軸受、12,52,102 ころ、12a 転動面、13,23,33,43,53,107 保持器、14,103 内周環状部、15,104 外周環状部、16,26,36,105 柱部、17,17a,17b,17c,27a,27b,37a,37b,47 凹部、18,106 ポケット、18a 案内面、19,19a,19b,19c,109 ころ止め部、54,55 軌道輪、54a,55a 穴、54b,55b 鍔部、61 コンプレッサ、62 ケーシング、63 ヘッドケース、64 シリンダケース、65 斜板ケース、66 低圧室、66a 吸入孔、66b,67b 弁、67 高圧室、67a 吐出口、68 シリンダ、68a 圧縮室、69 回転軸、69a ラジアル針状ころ軸受、69b スラスト針状ころ軸受、70 斜板、70a スライディングシュー、71 ピストン、72 電磁クラッチ、73 プーリ、73a 無端ベルト、73b 溝、73c 凹部、74 ソレノイド、75 磁性環状板、75a 板ばね、76 プーリ支持軸受、108 肉盗み部。

Claims (6)

  1. ころと、
    内周環状部、外周環状部、前記内周環状部と前記外周環状部との間に放射状に配置される複数の柱部、および前記柱部の厚み方向一方側および他方側のうちの少なくとも一方の壁面に潤滑油を保持する凹部を有し、隣接する前記柱部の間に前記ころを収容する複数のポケットが形成されている金属製の保持器とを備える、スラストころ軸受。
  2. 前記ポケットは、前記ころの脱落を防止するころ止め部を有し、
    前記凹部と前記ころ止め部とは、前記保持器の厚み方向の同一壁面側で、かつ前記保持器の回転軸心を中心とする同一円周上に配置されている、請求項1に記載のスラストころ軸受。
  3. 前記柱部は、それぞれ複数の前記凹部を有する、請求項1または2に記載のスラストころ軸受。
  4. 各柱部に設けられた前記複数の凹部は、前記保持器の径方向にずれた位置に設けられる、請求項3に記載のスラストころ軸受。
  5. 内周環状部と、
    外周環状部と、
    前記内周環状部および前記外周環状部の間に放射状に配置される複数の柱部と、
    前記柱部の厚み方向一方側および他方側のうちの少なくとも一方の壁面に潤滑油を保持する凹部とを備え、
    金属材料によって形成されている、スラストころ軸受用保持器。
  6. 回転軸と、
    前記回転軸の回転により生じたスラスト荷重を支持する請求項1〜4のいずれかに記載のスラストころ軸受とを備える、コンプレッサの回転軸支持構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017170590A1 (ja) * 2016-03-30 2017-10-05 武蔵精密工業株式会社 伝動装置
CN112412985A (zh) * 2019-08-20 2021-02-26 上银科技股份有限公司 保持器及轴承

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