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JP2008198747A - プリント基板及びプリント基板の製造方法 - Google Patents

プリント基板及びプリント基板の製造方法 Download PDF

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JP2008198747A JP2007031348A JP2007031348A JP2008198747A JP 2008198747 A JP2008198747 A JP 2008198747A JP 2007031348 A JP2007031348 A JP 2007031348A JP 2007031348 A JP2007031348 A JP 2007031348A JP 2008198747 A JP2008198747 A JP 2008198747A
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Hajime Nagai
始 永井
Haruki Nitta
春樹 新田
Masaru Iwasaki
大 岩崎
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Abstract

【課題】電子部品を高効率に冷却できる上に、スルーホールの穿設位置不良や破損などの不良品の発生が抑制されたプリント基板およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】配線パターン層を両面に有する絶縁材部の内部には、カーボンを主体に構成される少なくとも1層のカーボン層部が積層状に配設されているので、通電により電子部品から発熱した熱がカーボン層部へ伝えられ、その結果として、実装される電子部品の冷却を高効率に行うことができる。また、絶縁材部の内部に配設されるカーボン層部は、両面に形成された電気絶縁性材料の被覆層の少なくとも一方の表面に、金属から構成される位置決めパターンが形成されており、かかる位置決めパターンをX線によって読み取らせることによって孔の正確な位置決めを可能にする。
【選択図】図9

Description

本発明はプリント基板及びプリント基板の製造方法に関し、特に、電子機器の大型化を抑制しつつ、実装された電子部品を高効率に冷却することができるプリント基板及びそのようなプリント基板の製造方法に関するものである。
プリント基板に実装されたトランジスタやIC等の電子部品は通電によって高熱を発するため、電子機器(例えば、自動車用エンジンコントロールユニット「ECU」)の分野においては、これら電子部品の発熱に対する冷却方法が重要な技術の一つとなっている。電子部品の冷却方法としては、通常、熱伝導性に優れる材料からなる放熱板(ヒートシンク)を電子部品の発熱面に取り付ける方法が一般的である(特許文献1)。更に、放熱フィンを冷却ファンにて空冷する方法もある。
放熱板を用いて電子部品の冷却を行う場合、放熱板の大きさと放熱効率とは比例するので、電子部品の適切な冷却には、ある程度の放熱板の大きさが必要となる。即ち、放熱板が小さすぎると電子部品を適切に冷却することができないので、電子部品を適切に冷却するためには、ある程度以上に大きい放熱板を用いる必要がある。
しかし、電子部品を冷却するに十分な大きさの放熱板を用いた場合には、放熱板を大きくした分だけ、電子機器全体としての大型化を招くことになる。これは、近年における電子機器の小型・軽量化の傾向によって、プリント基板に対する小型化や薄形化、および高密度実装化の要求に反する。
そこで、プリント基板に対する薄形化および高密度実装化の要求を満たすべく、カーボンを主体に構成され熱伝導に優れるカーボンシートを内層又は外層に配設し、かかるカーボンシートによる熱拡散を利用して、放熱板の不在下であっても電子部品を適切に冷却できるプリント基板が提案されている(特許文献2)。
特開平7−235781号公報(図2など) 特開2005−136179号公報(図2など)
しかしながら、カーボンシートを内層又は外層に配設したプリント基板は、カーボンシートの性質に起因する問題点があった。
例えば、カーボンは導電性を有するので、内層に配設されたカーボンシートが、異なる配線パターン層を層間接続するスルーホールに接触することがあった場合、スルーホールを通過する電流がカーボンシートへ流出してしまうので、カーボンシートにおけるスルーホール穿孔位置には、該スルーホールの径より大きな孔を予め穿設しておく必要がある。そのため、スルーホール穿孔時には、カーボンシートに予め穿設されている孔にスルーホールが接触しないように正確な位置決めが要求されることになるにもかかわらず、プリント基板が両面基板である場合には、通常ではX線による読み取り可能な導体パターンが基板内部に存在しないので、高精度な位置決めが困難であるという問題点があった。
また、プリント基板は、一般的に、パネルの状態に製品を面付した上で、ルータ加工又はプレス加工(パンチプレス加工)によってパネルから製品を切り離すことによって、各製品を得る。ここで、カーボンシートはパネル全域に配設されているため、切り離しによって得られた製品の端面(断面)はカーボンシートが露出した状態となる。カーボンシートは、カーボン間の結合力の弱さに起因する脆弱性を有するため、製品、特に、製品の端面に衝撃が加わった場合に、カーボンシートからのカーボンの脱落によって製品に剥がれが発生するという問題点があった。この問題点は、プリント基板のサイズが小さくなるほど大きくなり、プリント基板の小型化に対する阻害要因となる。
本発明の目的は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、電子部品を高効率に冷却できる上に、スルーホールの穿設位置不良や破損などの不良品の発生が抑制されたプリント基板およびそのようなプリント基板を製造する方法を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載のプリント基板は、電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の両面に形成される配線パターン層とを備え、1又は複数の電子部品が実装されるものであって、カーボンを主体として構成される少なくとも1層のカーボン層部を備え、そのカーボン層部が前記絶縁材部の内部に積層状に配設されており、前記絶縁材部の内部に積層状に配設される前記カーボン層部は、前記カーボン層部の両面に、前記電気絶縁性材料から形成された被覆層が予め形成された被覆層形成カーボン層部を、前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって形成されたものであり、前記被覆カーボン層部の一部又は全部は、少なくとも片方の表面における所定の位置に、金属から構成される位置決めパターンが形成されている。
請求項2記載のプリント基板は、請求項1記載のプリント基板において、前記被覆層形成カーボン層部は、前記カーボン層部の両面に、前記電気絶縁性材料を積層すると共に、その電気絶縁性材料の外側にエッチング除去可能な金属から構成される金属板を積層して圧着した後、エッチングにより前記金属板における前記所定の位置に位置決めパターンを形成することによって得られたものである。
請求項3記載のプリント基板は、電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の両面に形成される配線パターン層とを備え、1又は複数の電子部品が実装されるものであって、前記絶縁材部の内部に積層状に配設された、カーボンを主体として構成される少なくとも1層のカーボン層部を備え、前記電気絶縁性材料から構成されるコア層とそのコア層の片面に前記配線パターン層を形成するための導体層とを有する外層用コア材を1つ又は2つ用い、前記外層用コア材の導体層を最外層に配し、前記外層用コア材における前記導体層とは反対側の面と前記カーボン層部との間に、前記絶縁材部を形成する電気絶縁性材料を介在させて圧着して形成されたプリント基板用積層板から得られたものであり、前記外層用コア材の少なくとも1つは、前記導体層とは反対側の面における所定の位置に金属から構成される位置決めパターンが形成されている。
請求項4記載のプリント基板は、請求項3記載のプリント基板において、前記位置決めパターンが形成されている外層用コア材は、エッチング除去可能な金属から構成される金属板が前記コア層の両面に積層された材料における片面の金属板の所定の位置にエッチングによって前記位置決めパターンを形成して得られたものである。
請求項5記載のプリント基板は、請求項3又は4に記載のプリント基板において、前記絶縁材部の内部に積層状に配設される前記カーボン層部は、その両面に、前記電気絶縁性材料から形成される被覆層を予め被覆した後、その被覆層形成カーボン層部を前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって形成されたものである。
請求項6記載のプリント基板は、請求項1から5のいずれかに記載のプリント基板において、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁された前記配線パターン層を電気的に接続するための電気的接続用の貫通孔を備え、前記位置決めパターンは、前記電気的接続用の貫通孔を穿設する際の基準とする位置に形成されている。
請求項7記載のプリント基板は、請求項1から6のいずれかに記載のプリント基板において、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁された前記配線パターン層を電気的に接続するための電気的接続用の貫通孔を備え、前記カーボン層部又は前記被覆層形成カーボン層部には、前記電気的接続用の貫通孔に対応する位置に、その電気的接続用の貫通孔の外周より大きい外周の孔が、前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着される前に予め形成されている。
請求項8記載のプリント基板は、請求項1から7のいずれかに記載のプリント基板において、前記カーボン層部又は前記被覆層形成カーボン層部には、所定の製品外形に切り離す際の分離線上に、複数の孔が、前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着される前に予め形成されている。
請求項9記載のプリント基板は、電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の少なくとも一方の表面、又は、その絶縁材部の少なくとも一方の表面及び内部に形成される配線パターン層とを備え、1又は複数の電子部品が実装されるものであって、カーボンを主体として構成される少なくとも1層のカーボン層部を備え、そのカーボン層部が前記絶縁材部の内部又は表面に積層状に配設されており、前記絶縁材部の内部に積層状に配設される前記カーボン層部は、前記カーボン層部、又は、前記電気絶縁性材料から形成された被覆層が前記カーボン層部の両面に予め形成された被覆層形成カーボン層部を、前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって形成されたものであり、前記カーボン層部又は前記被覆層形成カーボン層部には、所定の製品外形に切り離す際の分離線上に、複数の孔が、前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着される前に予め形成されている。
請求項10記載のプリント基板は、請求項8又は9に記載のプリント基板において、前記分離線が多角形を描く場合には、前記複数の孔は、少なくとも、前記多角形の角部に配置されている。
請求項11記載のプリント基板の製造方法は、電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の両面に形成される配線パターン層と、カーボンを主体として構成され、前記絶縁材部を介することにより前記配線パターン層と離間されて積層状に配設される少なくとも1層の板状のカーボン含有部材とを備えたプリント基板を製造するための方法であって、前記電気絶縁性材料により予め被覆された前記板状のカーボン含有部材である被覆カーボン含有部材と、前記配線パターン層を形成するための導体層との間に、前記電気絶縁性材料を介在させて圧着してプリント基板用積層板を形成するプリント基板用積層板形成工程を備え、前記プリント基板用積層板形成工程で使用する前記被覆カーボン含有部材の一部又は全部は、少なくとも片方の表面における所定の位置に、金属から構成される位置決めパターンが形成されている。
請求項12記載のプリント基板の製造方法は、請求項11記載のプリント基板の製造方法において、前記プリント基板用積層板形成工程に先立って、前記電気絶縁性材料を前記板状のカーボン含有部材の両面に圧着することにより、前記被覆カーボン含有部材を形成する被覆カーボン含有部材形成工程を備え、前記被覆カーボン含有部材形成工程は、前記板状のカーボン含有部材の両面に、前記電気絶縁性材料を積層すると共に、その電気絶縁性材料の外側にエッチング除去可能な金属から構成される金属板を積層する積層工程と、その積層工程により積層された前記カーボン含有部材と前記電気絶縁性材料と前記金属板とを圧着して積層体を得る圧着工程と、その圧着工程による圧着により得られた積層板における片面の金属板の所定の位置にエッチングによって前記位置決めパターンを形成する位置決めパターン形成工程とを含む。
請求項13記載のプリント基板の製造方法は、電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の両面に配設される配線パターン層と、カーボンを主体として構成され、前記絶縁材部を介することにより前記配線パターン層と離間されて積層状に配設される少なくとも1層の板状のカーボン含有部材とを備えたプリント基板を製造するための方法であって、前記電気絶縁性材料から構成されるコア層とそのコア層の片面に前記配線パターン層を形成するための導体層とを有する外層用コア材を1つ又は2つ用い、前記外層用コア材の導体層を最外層に配し、前記外層用コア材における前記導体層とは反対側の面と前記カーボン含有部材との間に、前記電気絶縁性材料を介在させて圧着してプリント基板用積層板を形成するプリント基板用積層板形成工程とを備え、前記外層用コア材の少なくとも1つは、前記導体層とは反対側の面における所定の位置に、金属から構成される位置決めパターンが形成されている。
請求項14記載のプリント基板の製造方法は、請求項13記載のプリント基板の製造方法において、エッチング除去可能な金属から構成される金属板が前記コア層の両面に積層された材料における片面の金属板の所定の位置にエッチングによって前記位置決めパターンを形成し、前記位置決めパターンが形成されている外層用コア材を得る位置決めパターン含有外層用コア材作成工程を備えている。
請求項15記載のプリント基板の製造方法は、請求項13又は14に記載のプリント基板の製造方法において、前記プリント基板用積層板形成工程では、前記板状のカーボン部材として、その両面に前記電気絶縁性材料が予め被覆された被覆カーボン含有部材が使用され、前記プリント基板用積層板形成工程に先立って、前記被覆カーボン含有部材を形成する被覆カーボン含有部材形成工程を備え、前記被覆カーボン含有部材形成工程は、前記板状のカーボン含有部材の両面に、前記電気絶縁性材料を積層すると共に、その電気絶縁性材料の外側にエッチング除去可能な金属から構成される金属板を積層する積層工程と、その積層工程により積層された前記カーボン含有部材と前記電気絶縁性材料と前記金属板とを圧着して積層体を得る圧着工程と、その圧着工程による圧着により得られた積層板における両面の金属板をエッチングにより除去し、前記被覆カーボン含有部材を得る金属板除去工程とを含む。
請求項16記載のプリント基板の製造方法は、請求項11から15のいずれかに記載のプリント基板の製造方法において、前記プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板に貫通孔を穿設する穿孔工程を備え、前記位置決めパターンは、前記穿孔工程により穿設される前記貫通孔の位置の基準とする位置に形成される。
請求項17記載のプリント基板の製造方法は、請求項16記載のプリント基板の製造方法において、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された前記配線パターン層を電気的に接続するための電気的接続用の貫通孔が、前記穿設工程により前記プリント基板用積層板に穿設される場合には、前記プリント基板用積層板形成工程に先立って、前記電気的接続用の貫通孔に対応する位置に、その電気的接続用の貫通孔の外周より大きい外周の孔を、前記カーボン含有部材、又は、前記被覆カーボン含有部材形成工程により得られた被覆カーボン含有部材に穿設する第1のカーボン含有部材穿孔工程を備えている。
請求項18記載のプリント基板の製造方法は、請求項11から17のいずれかに記載のプリント基板の製造方法において、前記カーボン含有部材、又は、前記電気絶縁性材料により予め被覆された前記板状のカーボン含有部材である被覆カーボン含有部材に、所定の製品外形に切り離す際の分離線上に配置される複数の孔を穿設する第2のカーボン含有部材穿孔工程とを備えている。
請求項19記載のプリント基板の製造方法は、電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の少なくとも一方の表面に配設される配線パターン層、又は、その絶縁材部の少なくとも一方の表面および内部に配設される配線パターン層と、カーボンを主体として構成され、前記絶縁材部を介することにより前記配線パターン層と離間されて積層状に配設される少なくとも1層の板状のカーボン含有部材とを備えたプリント基板を製造する方法であって、前記カーボン含有部材、又は、前記電気絶縁性材料により予め被覆された前記板状のカーボン含有部材である被覆カーボン含有部材に、所定の製品外形に切り離す際の分離線上に配置される複数の孔を穿設するカーボン含有部材穿孔工程と、そのカーボン含有部材穿孔工程により複数の孔が穿設された前記カーボン含有部材又は前記被覆カーボン含有部材と、前記配線パターン層、又は、配線パターン層を形成するための導体層との間に、前記電気絶縁性材料を介在させて圧着してプリント基板用積層板を形成するプリント基板用積層板形成工程とを備えている。
請求項20記載のプリント基板の製造方法は、請求項18又は19に記載のプリント基板の製造方法において、前記分離線が多角形を描く場合には、前記第2のカーボン含有部材穿孔工程又は前記カーボン含有部材穿孔工程は、該多角形の角部に少なくとも孔を穿設する。
請求項1記載のプリント基板によれば、配線パターン層が両面に形成された絶縁材部の内部には、カーボンを主体に構成され熱伝導性に優れる少なくとも1層のカーボン層部が積層状に配設されているので、通電により電子部品から発熱した熱は、カーボン層部へ伝えられ、そのカーボン層部を拡散した後、外部へ放熱される。その結果、電子部品が冷却される。よって、電子部品が通電により発熱した場合には、カーボン層部への熱伝導およびカーボン層部での熱拡散によって、電子部品の放熱を確実に行うことができ、かかる電子部品の冷却を高効率に行うことができるという効果がある。
また、絶縁材部の内部に積層状に配設されるカーボン層部は、電気絶縁性材料から形成された被覆層がカーボン層部の両面に予め形成された被覆層形成カーボン層部を、電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって形成されたものである。よって、カーボン間の結合力が弱いために、縁端部からカーボン片が脱落し易いとされるカーボン層部の両面に予め被覆層を設けることにより、プリント基板の製造時におけるカーボン層部の縁端部からのカーボン片の脱落が防止されるので、その結果として、カーボン片の脱落に起因する配線不良の発生率を低くできるという効果がある。
ここで、被覆層形成カーボン層部の一部又は全部は、少なくとも片方の表面(片方の被覆層におけるカーボン層部とは反対側の表面)における所定の位置に、金属から構成される位置決めパターンが形成されているので、かかる位置決めパターンをX線によって読み取らせることができ、正確な位置決めを可能にするという効果がある。よって、位置決めパターンを、スルーホールなどの貫通孔の穿孔位置の基準とする位置に設けることにより、この位置決めパターンに基づいて、穿孔すべき位置に正確に貫通孔を穿孔することが可能となる。
請求項2記載のプリント基板によれば、請求項1記載のプリント基板の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。位置決めパターンは、カーボン層部の両面に電気絶縁性材料を積層するために使用されるエッチング除去可能な金属から構成される金属板を利用して形成されるものであるので、製造工程を複雑化することなく容易に形成することができるという効果がある。
請求項3記載のプリント基板によれば、配線パターン層が両面に形成された絶縁材部の内部には、カーボンを主体に構成され熱伝導性に優れる少なくとも1層のカーボン層部が積層状に配設されているので、通電により電子部品から発熱した熱は、カーボン層部へ伝えられ、そのカーボン層部を拡散した後、外部へ放熱される。その結果、電子部品が冷却される。よって、電子部品が通電により発熱した場合には、カーボン層部への熱伝導およびカーボン層部での熱拡散によって、電子部品の放熱を確実に行うことができ、かかる電子部品の冷却を高効率に行うことができるという効果がある。
また、配線パターン層を形成するために最外層に配置される導体層を有する1つ又は2つの外層用コア材のうち、少なくとも1つの外層用コア材には、導体層とは反対側の面における所定の位置に金属から構成される位置決めパターンが形成されているので、かかる位置決めパターンをX線によって読み取らせることができ、正確な位置決めを可能にするという効果がある。この位置決めパターンを、スルーホールなどの貫通孔の穿孔位置の基準とする位置に設けることにより、この位置決めパターンに基づいて、穿孔すべき位置に正確に貫通孔を穿孔することが可能となる。
請求項4記載のプリント基板によれば、請求項3記載のプリント基板の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。外層用コア材に形成される位置決めパターンは、エッチング除去可能な金属から構成される金属板がコア層の両面に積層された材料を利用して形成されるものであるので、製造工程を複雑化することなく容易に形成することができるという効果がある。
請求項5記載のプリント基板によれば、請求項3又は4に記載のプリント基板の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。絶縁材部の内部に積層状に配設されるカーボン層部は、電気絶縁性材料から形成された被覆層がカーボン層部の両面に予め形成された被覆層形成カーボン層部を、電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって形成されたものである。よって、カーボン間の結合力が弱いために、縁端部からカーボン片が脱落し易いとされるカーボン層部の両面に予め被覆層を設けることにより、プリント基板の製造時におけるカーボン層部の縁端部からのカーボン片の脱落が防止されるので、その結果として、カーボン片の脱落に起因する配線不良の発生率を低くできるという効果がある。
請求項6記載のプリント基板によれば、請求項1から5のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。被覆層形成カーボン層部又は外層用コア材に形成された位置決めパターンは、絶縁材部の介在によって互いに絶縁された配線パターン層(即ち、プリント基板の両面の配線パターン層)を電気的に接続するための電気的接続用の貫通孔を穿設する際の基準とする位置に形成されているので、電気的接続用の貫通孔を穿設すべき位置に正確に穿設できるという効果がある。よって、カーボン層部に電気的接続用の貫通孔の外周より大きい外周の孔が予め形成されている場合においても、電気的接続用の貫通孔をカーボン層部の孔との接触を避けつつ穿設することができる。
請求項7記載のプリント基板によれば、請求項1から6のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。カーボン層部又は被覆層形成カーボン層部には、絶縁材部の介在によって互いに絶縁された配線パターン層を電気的に接続するための電気的接続用の貫通孔に対応する位置に、その電気的接続用の貫通孔の外周より大きい外周の孔が、電気絶縁性材料の間に介在させて圧着される前に予め形成されているので、両面の配線パターン層を電気的に接続する電気的接続用の貫通孔と、カーボン層部との接触が回避されるので、プリント基板において電気的接続に無関係であるカーボン層部への電流の流出を防止できるという効果がある。
請求項8記載のプリント基板によれば、請求項1から7のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。カーボン層部又は被覆層形成カーボン層部には、所定の製品外形に切り離す際の分離線上に、複数の孔が、電気絶縁性材料の間に介在させて圧着される前に予め形成されている。これらの複数の孔には、圧着によって電気絶縁性材料が充填されるので、プリント基板における分離線での断面に露出するカーボン層部は、一様な線状(又は帯状)に露出せず、孔に充填された電気絶縁性材料から形成された絶縁材部によって分断された点線状に露出する。よって、かかる分離線での切り離しによって生じた断面に露出するカーボン層部の量が少なくなるので、衝撃によるカーボンが脱落を抑制することができ、その結果、衝撃によるプリント基板の破損を抑制できるという効果がある。
請求項9記載のプリント基板によれば、配線パターン層が、少なくとも一方の表面、又は、少なくとも一方の表面及び内部に形成された絶縁材部の内部又は表面には、カーボンを主体に構成され熱伝導性に優れる少なくとも1層のカーボン層部が積層状に配設されているので、通電により電子部品から発熱した熱は、カーボン層部へ伝えられ、そのカーボン層部を拡散した後、外部へ放熱される。その結果、電子部品が冷却される。よって、電子部品が通電により発熱した場合には、カーボン層部への熱伝導およびカーボン層部での熱拡散によって、電子部品の放熱を確実に行うことができ、かかる電子部品の冷却を高効率に行うことができるという効果がある。
また、カーボン層部、又は、絶縁性材料から形成された被覆層がカーボン層部の両面に予め形成された被覆層形成カーボン層部には、所定の製品外形に切り離す際の分離線上に、複数の孔が、電気絶縁性材料の間に介在させて圧着される前に予め形成されている。これらの複数の孔には、圧着によって電気絶縁性材料が充填されるので、プリント基板における分離線での断面に露出するカーボン層部は、一様な線状(又は帯状)に露出せず、孔に充填された電気絶縁性材料から形成された絶縁材部によって分断された点線状に露出する。よって、かかる分離線での切り離しによって生じた断面に露出するカーボン層部の量が少なくなるので、衝撃によるカーボンが脱落を抑制することができる、その結果、衝撃によるプリント基板の破損を抑制できる。
請求項10記載のプリント基板によれば、請求項8又は9に記載のプリント基板の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。分離線が多角形を描く場合には、複数の孔が、少なくとも、多角形の角部に配置されるので、角部の断面には、必ず、絶縁材部が露出する。一般的に、カーボン層部の脱落はプリント基板の角部において生じやすいので、かかる角部の断面にカーボン層を露出させず絶縁材部を露出させることによって、衝撃によるカーボンが脱落を有効に抑制することができるという効果がある。
請求項11記載のプリント基板の製造方法によれば、絶縁材部を介することにより、その絶縁材部の両面に形成される配線パターン層と離間されて積層状に配設されるカーボンを主体として構成される少なくとも1層のカーボン含有部材を備えたプリント基板を製造する場合に、電気絶縁性材料により予め被覆された板状のカーボン含有部材である被覆カーボン含有部材が使用される。この被覆カーボン含有部材と配線パターンを形成するための導体層とが、プリント基板用積層板形成工程により、電気絶縁性材料を介して圧着され、それによって、プリント基板用積層板が形成される。
一般的に、カーボン含有部材は、カーボン間の結合力が弱いために、縁端部からカーボン片が脱落し易い。プリント基板におけるスルーホールとの接触を回避するための開口部がカーボン含有部材に多数穿設されている場合には、特に、カーボン片が脱落し易い状況が生じる。プリント基板の製造過程において、積層されるカーボン含有部材からカーボン片が脱落すると、そのカーボン片がプリント基板における銅箔部分や内層コア材の配線パターン部分に付着し、その結果として、配線不良のプリント基板が製造されてしまうという問題が生じる。
よって、請求項11記載のプリント基板の製造方法によれば、被覆カーボン含有部材、即ち、電気絶縁性材料によって予め被覆されているカーボン含有部材(被覆カーボン含有部材)が使用されるので、プリント基板用積層板形成工程の際に、カーボン片がカーボン含有部材から脱落することを防止できる。その結果として、製造されたプリント基板における配線不良の発生率を低減できるという効果がある。
また、プリント基板用積層板形成工程で使用する被覆カーボン含有部材の一部又は全部は、少なくとも片方の表面(片方の被覆された表面)における所定の位置に、金属から構成される位置決めパターンが形成されているので、かかる位置決めパターンをX線によって読み取らせることができ、正確な位置決めを可能にするという効果がある。よって、位置決めパターンを、スルーホールなどの貫通孔の穿孔位置の基準とする位置に設けることにより、この位置決めパターンに基づいて、穿孔すべき位置に正確に貫通孔を穿孔することが可能となる。
請求項12記載のプリント基板の製造方法によれば、請求項11記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。プリント基板用積層板形成工程に先立って行われる被覆カーボン含有部材形成工程により、電気絶縁性材料が、板状のカーボン含有部材の両面に圧着され、それによって、電気絶縁性材料によって被覆されているカーボン含有部材(被覆カーボン含有部材)が形成される。
ここで、この被覆カーボン含有部材形成工程では、まず、積層工程により、板状のカーボン含有部材の両面に、電気絶縁性材料を積層すると共に、その電気絶縁性材料の外側にエッチング除去可能な金属から構成される金属板が積層され、次いで、圧着工程により、積層工程によって積層されたカーボン含有部材と電気絶縁性材料と金属板とが圧着されて、積層体が得られる。そして、位置決めパターン形成工程により、得られた積層板における片面の金属板の所定の位置にエッチングによって位置決めパターンが形成される。
よって、位置決めパターンは、板状のカーボン含有部材の両面に電気絶縁性材料を被覆するために使用されるエッチング除去可能な金属から構成される金属板を利用して形成されるので、製造工程を複雑化することなく容易に形成することができるという効果がある。
請求項13記載のプリント基板の製造方法によれば、絶縁材部を介することにより、その絶縁材部の両面に形成される配線パターン層と離間されて積層状に配設されるカーボンを主体として構成される少なくとも1層のカーボン含有部材を備えたプリント基板を製造する場合に、電気絶縁性材料から構成されるコア層とそのコア層の片面に配線パターン層を形成するための導体層とを有する外層用コア材が1つ又は2つ使用される。プリント基板用積層板形成工程により、外層用コア材の導体層を最外層に配すると共に、外層用コア材における導体層とは反対側の面とカーボン含有部材との間に、電気絶縁性材料を介在させ、それらを圧着することによって、プリント基板用積層板が形成される。
ここで、配線パターン層を形成するために最外層に配置される導体層を有する1つ又は2つの外層用コア材のうち、少なくとも1つの外層用コア材には、導体層とは反対側の面における所定の位置に金属から構成される位置決めパターンが形成されているので、かかる位置決めパターンをX線によって読み取らせることができ、正確な位置決めを可能にするという効果がある。この位置決めパターンを、スルーホールなどの貫通孔の穿孔位置の基準とする位置に設けることにより、この位置決めパターンに基づいて、穿孔すべき位置に正確に貫通孔を穿孔することが可能となる。
請求項14記載のプリント基板の製造方法によれば、請求項13記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。外層用コア材に形成される位置決めパターンは、位置決めパターン含有外層用コア材作成工程により、エッチング除去可能な金属から構成される金属板がコア層の両面に積層された材料における片面の金属板の所定の位置にエッチングによって形成される。よって、エッチング除去可能な金属から構成される金属板がコア層の両面に積層された材料を利用して形成されるものであるので、製造工程を複雑化することなく容易に形成することができるという効果がある。
請求項15記載のプリント基板の製造方法によれば、請求項13又は14に記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。プリント基板用積層板形成工程では、板状のカーボン部材として、プリント基板用積層板形成工程に先立って行われる被覆カーボン含有部材形成工程によって得られる被覆カーボン含有部材が使用される。なお、被覆カーボン含有部材は、その両面に電気絶縁性材料が予め被覆されたものである。
よって、被覆カーボン含有部材、即ち、電気絶縁性材料によって予め被覆されているカーボン含有部材(被覆カーボン含有部材)が使用されるので、プリント基板用積層板形成工程の際に、カーボン片がカーボン含有部材から脱落することを防止できる。その結果として、製造されたプリント基板における配線不良の発生率を低減できるという効果がある。
また、この被覆カーボン含有部材形成工程では、まず、積層工程により、板状のカーボン含有部材の両面に、電気絶縁性材料を積層すると共に、その電気絶縁性材料の外側にエッチング除去可能な金属から構成される金属板が積層され、次いで、圧着工程により、積層工程によって積層されたカーボン含有部材と電気絶縁性材料と金属板とが圧着されて、積層体が得られる。そして、金属板除去工程により、得られた積層板における両面の金属板がエッチングによって除去される。よって、エッチングにより除去可能な金属板を用いることによって、被覆カーボン含有部材を容易に作製することができるという効果がある。
請求項16記載のプリント基板の製造方法によれば、請求項11から15のいずれかに記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板には、穿孔工程により、貫通孔が形成される。ここで、かかる貫通孔の位置の基準とする位置に位置決めパターンが形成されているので、別途、位置決めパターンとする導体パターンの形成されたコア材を内層に配設せずとも、位置決めパターンに基づいて、穿孔すべき位置に正確に貫通孔を穿孔できるという効果がある。よって、カーボン層部に電気的接続用の貫通孔の外周より大きい外周の孔が予め形成されている場合においても、電気的接続用の貫通孔をカーボン層部の孔との接触を避けつつ穿設することができる。
請求項17記載のプリント基板の製造方法によれば、請求項16記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された配線パターン層を電気的に接続するための電気的接続用の貫通孔が、穿設工程によりプリント基板用積層板に穿設される場合には、プリント基板用積層板形成工程に先立って行われる第1のカーボン含有部材穿孔工程により、電気的接続用の貫通孔に対応する位置に、その電気的接続用の貫通孔の外周より大きい外周の孔が、カーボン含有部材、又は、被覆カーボン含有部材形成工程により得られた被覆カーボン含有部材に穿設される。よって、両面の配線パターン層を電気的に接続する電気的接続用の貫通孔と、カーボン含有部材との接触を回避させることができるので、プリント基板において電気的接続に無関係であるカーボン含有部材への電流の流出を防止できるという効果がある。
請求項18記載のプリント基板の製造方法によれば、請求項11から17のいずれかに記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。カーボン含有部材、又は、被覆カーボン含有部材形成工程により得られた被覆カーボン含有部材には、所定の製品外形に切り離す際の分離線上に複数の孔が第2のカーボン含有部材穿孔工程によって穿設される。この第2のカーボン含有部材穿孔工程による穿設によって分離線上に配置された複数の孔には、プリント基板用積層板形成工程による圧着によって電気絶縁性材料が充填されるので、プリント基板における分離線での断面に露出するカーボン含有部材は、一様な線状(又は帯状)に露出せず、孔に充填された電気絶縁性材料から形成された絶縁材部によって分断された点線状に露出する。よって、かかる分離線での切り離しによって生じた断面に露出するカーボン含有部材の量が少なくなるので、衝撃によるカーボンが脱落を抑制することができ、その結果、破損し難いプリント基板を得ることができるという効果がある。
請求項19記載のプリント基板の製造方法によれば、絶縁材部を介することにより配線パターン層と離間されて積層状に配設されるカーボンを主体に構成され熱伝導性に優れる少なくとも1層のカーボン含有部材を備えたプリント基板を製造する場合に、まず、カーボン含有部材穿孔工程により、板状のカーボン含有部材、又は、電気絶縁性材料により予め被覆された板状のカーボン含有部材である被覆カーボン含有部材に、所定の製品外形に切り離す際の分離線上に配置される複数の孔が穿設され、次いで、プリント基板用積層板形成工程により、そのように複数の孔が穿設されたカーボン含有部材又は被覆カーボン含有部材と、配線パターン層、又は、配線パターン層を形成するための導体層との間に、電気絶縁性材料を介在させて圧着することによって、プリント基板用積層板が形成される。カーボン含有部材穿孔工程による穿設によって分離線上に配置された複数の孔には、プリント基板用積層板形成工程による圧着によって電気絶縁性材料が充填されるので、プリント基板における分離線での断面に露出するカーボン含有部材は、一様な線状(又は帯状)に露出せず、孔に充填された電気絶縁性材料から形成された絶縁材部によって分断された点線状に露出する。
よって、かかる分離線での切り離しによって生じた断面に露出するカーボン含有部材の量が少なくなるので、衝撃によるカーボンが脱落を抑制することができ、その結果、カーボン含有部材による放熱効果によって電子部品を高効率に冷却できる上に、破損し難いプリント基板を得ることができるという効果がある。
請求項20記載のプリント基板の製造方法によれば、請求項18又は19に記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。分離線が多角形を描く場合には、第2のカーボン含有部材穿孔工程又はカーボン含有部材穿孔工程により穿設される複数の孔が、少なくとも、多角形の角部に穿設されるので、角部の断面には、必ず、絶縁材部が露出する。一般的に、カーボン含有部材の脱落はプリント基板の角部において生じやすいので、かかる角部の断面にカーボン層を露出させず絶縁材部を露出させることによって、衝撃によるカーボンが脱落を有効に抑制することができるという効果がある。
なお、請求項1,3,9,11,13,19における「電気絶縁性材料から構成される絶縁材部」は、1種類の電気絶縁性材料から構成されるものに限定されず、2種類以上の電気絶縁性材料から構成されるものも含むことを意図する。よって、「被覆層形成カーボン層部(請求項1など)」の被覆層を形成する電気絶縁性材料、「被覆カーボン含有部材(請求項11など)」において、カーボン含有部材を被覆するために用いた電気絶縁性材料、「外層用コア材(請求項3,13など)」のコア層を構成する電気絶縁性材料、及び圧着する際に用いる電気絶縁性材料は、同じ電気絶縁性材料であっても、異なる電気絶縁性材料であってもよいことを意図している。
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態におけるプリント基板1の上面図であり、図2は、図1のII−II線におけるプリント基板1の側断面図である。なお、図1では、プリント基板1の一部が省略して図示されている。また、図1では、電子部品2の図示が省略されると共に、その電子部品2の仮想的な外形が2点鎖線を用いて図示されている。
プリント基板1は、例えば、エンジンコントロールユニット(ECU)などの電子機器を構成する基板であり、その上面側(図1紙面手前側、図2上側)に実装される複数の電子部品2と、それら各電子部品2を電気的に接続する導電パターン3と、その導電パターン3が少なくとも一方の表面(絶縁板4における図2上側に相当する面)に形成される絶縁板4と、その絶縁板4の内部に積層状に配設されるカーボンシート5と、そのカーボンシート5を挟んで積層状に配設される2層の内層コア材Caとを主に備えている。
なお、電子部品2としては、例えば、抵抗器やコンデンサ、トランジスタ、ICなどが例示されるが、これらに特に限定されるものではなく、広くプリント基板に実装される他の電子部品も含まれる。
導電パターン3は、絶縁板4の両面に、電子部品2の間を電気的に接続する電気配線回路(特許請求の範囲における「配線パターン層」に相当する)として形成されており、銅箔層3aとその銅箔層3aの上面に積層されるめっき層3bとから構成されるものである。導電パターン3(銅箔層3a及びめっき層3b)の表面には、導電パターン3が短絡されることを防止するために、レジスト層12が被覆されている。
図2に示すように、プリント基板1が、導電パターン3が絶縁板4の両面に設けられている両面基板である場合には、両層の導電パターン3を電気的に接続するために、かかる電気的接続をすべき位置にスルーホールTHを設け、このスルーホールTHの表面に設けられためっき層11を介して、両層の導電パターン3を接続する。
絶縁板4は、電気絶縁性を有する略平板状体であり、その四隅部に穿設されたねじ穴4aを利用して電子機器の筺体(非図示)に螺合固定されるものである。この絶縁板4は、紙、ガラスクロス(織布又は不織布)などに含浸させた電気絶縁性樹脂(本実施形態ではエポキシ樹脂)を硬化させたものである。なお、後述する被覆カーボンシートAの表層を構成する被覆層15もまた、絶縁板4の一部として構成される。
この絶縁板4には、図1及び図2に示すように、断面略円形の受熱孔部6及び放熱孔部7が板厚方向(図2上下方向)に複数穿設されており、これら受熱孔部6及び放熱孔部7の端部は、後述するカーボンシート5に接続されている。受熱孔部6は、電子部品2が通電により発熱した場合に、その熱を後述するカーボンシート5へ伝えるための部材であり、放熱孔部7は、カーボンシート5の熱を外部へ放熱するための部材である。
受熱孔部6の内部には、カーボンを主体として構成され熱伝導性に優れるカーボンペースト8が充填されているので、通電により電子部品2が発熱した場合には、このカーボンペースト8を介して、電子部品2の熱を後述するカーボンシート5へ確実かつ高効率に伝達できる。更に、受熱孔部6の開口部(図1紙面手前側、図2上側)は、図1及び図2に示すように、電子部品2の裏面側(図2下側)側に臨む位置に配設されているので、電子部品2の熱を確実かつ高効率にカーボンシート5へ伝えることができる。
同様に、放熱孔部7の内部にもカーボンペースト8が充填されているので、電子部品2からカーボンシート5へ伝えられた熱を、このカーボンペースト8を介して、外部へ確実かつ高効率に放熱することができる。更に、放熱孔部7の開口部(図1紙面奥側、図2下側)は、電子部品2の裏面側に臨まないように配設されているので、その放熱孔部7(カーボンペースト8)から放熱された熱により電子部品2が影響を受ける(発熱する)ことを抑制することができる。
ここで、受熱孔部6に充填されたカーボンペースト8は、図2に示すように、その頂部(図2上側)が絶縁板4の表面から盛り上げられており、その分、カーボンペースト8と電子部品2の裏面側(図2下側)との間隙が小さくされているので、電子部品2からカーボンペースト8への熱伝導を確実かつ高効率に行うことができ、電子部品2の冷却効率のより一層の向上を図ることができる。
また、受熱孔部6の開口部近傍、即ち、電子部品2の裏面に対応する範囲には、図1及び図2に示すように、受熱パターン9が形成されている。受熱パターン9は、電子部品2からの熱を受熱して、受熱孔部6のカーボンペースト8へ伝えるためのものであり、図1に示すように、上面視において各受熱孔部6に充填された複数のカーボンペースト8を含む広い範囲にわたって面状に形成されている。各カーボンペースト8は、この受熱パターン9により互いに接続されている。
よって、この受熱パターン9の面積分だけ電子部品2に対する受熱面積を拡大することができ、また、その受熱パターン9で受熱された熱は、その受熱パターン9内で拡散され、各カーボンペースト8へ伝えられるので、電子部品2から各カーボンペースト8への熱伝導をより確実かつ高効率に行うことができ、その結果、電子部品2の冷却効率のより一層の向上を図ることができる。
更に、受熱パターン9は、上述した導電パターン3と同様に、銅箔層9a、めっき層およびレジスト層12から構成されているので、その形成を導電パターン3の形成と同じ工程で行うことができる。即ち、かかる受熱パターン9を形成するための工程を別途行う必要がないので、その分、製造コストの低減を図ることができる。
なお、受熱孔部6に充填されたカーボンペースト8の頂部を絶縁板4の表面から更に盛り上げて、電子部品2の裏面(図2下側)に接触させても良い。これにより、電子部品2からカーボンペースト8への熱伝導をより確実かつ高効率に行うことができる。この場合、カーボンペースト8は、電子部品2の裏面に直接接触していても良く、或いは、受熱パターン9を介して間接的に接触していても良い。
ここで、カーボンペースト8は、メタノールにカーボン粉末およびバインダーとしてのフェノール樹脂を混合しペースト状にした後、各孔部6,7に充填して硬化させたものである。この場合、カーボン粉末は、20μm以下の粒径のものを用いることが好ましい。なお、フェノール樹脂およびメタノールに代えて、他の樹脂や溶剤を使用することは当然可能である。
カーボンシート5は、カーボンを主体として構成された熱伝導性に優れるシート状体であり、図1及び図2に示すように、絶縁板4の内部に積層状に配設されると共に、その絶縁板4のほぼ全面にわたる範囲に広がって配設されている。そのため、電子部品2が通電により発熱した場合には、その熱は、上述した受熱孔部6(カーボンペースト8)を介してカーボンシート5へ伝わり、そのカーボンシート5における熱拡散によって、プリント基板1の全域へ拡散される。
その結果、プリント基板1における熱の分布は、従来のプリント基板のように電子部品2近傍のみが極端に高温となることがなく、カーボンシート5による熱拡散によって電子部品2近傍の熱を四方へ移動させることにより、プリント基板1全体としてよりなだらかな熱の分布とすることができるので、その分、電子部品2近傍における熱のピーク(絶対値)を抑制することができる。
また、カーボンシート5は、その端部が絶縁板4の周端縁(図2右側)から露出して構成されているので、上述した放熱孔部7(カーボンペースト8)からだけでなく、かかる露出部からも熱を外部に高効率に放熱することができる。
その結果、電子部品2を適切に冷却することができるので、従来のプリント基板のように電子部品2を冷却するための放熱板を別途設けることを不要とすることができる。よって、その分、プリント基板上の限られたスペースにおける電子部品2の実装密度を高めることができ、電子機器全体としての小型化を図ることができると共に、部品点数を低減して、部品コストや組み立てコストを抑制することができる。
更に、カーボンシート5を絶縁板4の内部(内層)のほぼ全域にわたる広い範囲に積層状に配設することにより、いわゆるシールド効果を得ることができるので、電子部品2から発生する電磁波が外部へ放出されたり、或いは、外来のノイズにより電子部品2が影響を受けたりすることを抑制することができる。
ここで、プリント基板1には、グランドパターン10が形成されており、このグランドパターン10には、カーボンシート5が電気的に接続されている。よって、その分、グランドパターン10(グランド)の容量(面積)を拡大することができるので、グランドの電位を安定させることができ、その結果、ノイズによる影響を抑制して、電子部品2の動作を安定させることができる。なお、グランドパターン10は、ねじ穴4aに螺合されるねじを介してグランドに接続される。
また、カーボンシート5が電気的に孤立した状態となると、コンデンサとして作用してしまい、電子部品2に悪影響を及ぼすおそれがある。特に、上述のように、シールド効果を得るべくカーボンシート5の面積を大きくした場合には、その問題が顕著となる。そこで、かかるカーボンシート5をグランドパターン10(グランド)へ電気的に接続することにより、カーボンシート5がコンデンサとして作用することが回避して、電機部品2へ悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
更に、このグランドパターン10とカーボンシート5との接続は、図1及び図2に示すように、放熱孔部7に充填されたカーボンペースト8によって行われる。即ち、このカーボンペースト8は、放熱用の熱伝導経路と電気的な接続経路とを兼ねているので、カーボンシート5の熱を外部へ確実かつ高効率に放熱することができるだけでなく、カーボンシート5とグランドパターン10とを電気的に接続するための接続経路を別途設ける必要がなく、その分、加工コストや材料コストなどを抑制することができる。
カーボンシート5は、カーボン単体により構成されるシートであり、例えば、天然黒鉛を酸処理後膨張させ圧延加工でシートにした膨張カーボンシートや樹脂シートを2000℃以上の高温で炭化処理したグラファイトシートなどを使用できる。
このカーボンシート5は、カーボン間の結合が弱いために、縁端部(外周縁部や開口部5aの縁端部)からカーボン片が脱落しやすい。そこで、後述するように、この第1実施形態のプリント基板1を製造する場合には、カーボンシート5は、絶縁板4を構成する電気絶縁性樹脂を含有する材料(電気絶縁性材料)から形成される被覆層15を表面に被覆した被覆カーボンシートAの状態で他の材料と共に圧着される。被覆層15により被覆されたカーボンシート5を用いることによって、縁端部からのカーボン片の脱落を防止することができ、その結果として、脱落したカーボン片に起因してプリント基板1に生じる配線不良を防止することができる。
また、カーボンシート5には、図1及び図2に示すように、上面視略円形の開口部5aが開口形成されており、スルーホールTHの表面に設けられためっき層11との接触が回避されており、めっき層11を介して通電される電流が、カーボンシート5へ流出しないように構成されている。
内層コア材Caは、電気絶縁性樹脂を含有する材料(電気絶縁性材料)から構成されるコア層21と、その両面に形成された位置決めパターン22とから構成される。この位置決めパターン22は、金属(本実施形態では、銅)から構成されるパターンであり、スルーホールTHを穿設する際の基準とする位置に形成されている。
上述のように、カーボンシート5には、スルーホールTHの表面に設けられためっき層11との接触を回避すべく開口部5aが形成されている。そのため、スルーホールTHの穿設時には、スルーホールTHが開口部5aに接触しないように正確な位置決めが要求される。よって、スルーホールTHの穿孔時には、X線を用いて位置決めパターン22を基準マークとして読み取ることにより、基準穴の位置を正確に決めることができ、その結果として、スルーホールTHを穿孔すべき位置に正確に穿孔することができる。
次に、図3〜図5を参照して、上記の構成を有するプリント基板1の製造方法を説明する。図3は、プリント基板1の製造方法を示すフローチャートである。また、図4は、被覆カーボンシートAを形成する工程における各工程を説明する模式図であり、具体的には、図4(a)は、レイアップ工程(S1a)を説明する模式図であり、図4(b)は、積層プレス工程(S1b)を説明する模式図であり、図4(c)は、銅箔除去工程(S1c)を説明する模式図であり、図4(d)は、孔開け工程(S3)を説明する模式図である。また、図5は、積層板(銅張り積層積層板)を形成する工程における各工程を説明する模式図であり、具体的には、図5(a)は、レイアップ工程(S4a)を説明する模式図であり、図5(b)は、積層プレス工程(S4b)を説明する模式図である。また、図6は、孔開け工程(S5)を説明する模式図である。
図3に示すように、プリント基板1の製造方法では、まず、被覆カーボンシート形成工程(S1)により、被覆カーボンシートAを形成する。具体的には、被覆カーボンシート形成工程(S1)では、まず、レイアップ工程を行う(S1a)。このレイアップ工程(S1a)は、カーボンシート5の両面に、それぞれ、エポキシ樹脂をガラスクロスに含浸させて半硬化状態とさせたプリプレグPと銅箔層Cuとを積層する工程である(図4(a)参照)。
レイアップ工程(S1a)の後、積層プレス工程を行う(S1b)。積層プレス工程(S1b)は、レイアップ工程(S1a)により積層されたカーボンシート5、プリプレグP、銅箔層Cuを、真空状態で加熱圧着する工程である。加熱圧着により、プリプレグPが硬化し、カーボンシート5を被覆する被覆層15となる(図4(b)参照)。また、積層プレス工程(S1b)によりプリプレグPが硬化した結果として、レイアップ工程(S1a)により積層された各層が一体化された一枚の板状体が得られる。
積層プレス工程(S1b)の後、銅箔層除去工程を行う(S1c)。銅箔層除去工程(S1c)は、積層プレス工程(S1b)により得られた板状体(図4(b)参照)から、銅箔層Cuをエッチングにより除去する工程であり、その結果として、カーボンシート5が被覆層15により被覆された被覆カーボンシートAが得られる(図4(c)参照)。
上述のように、カーボンシート5はカーボン単体により構成されるために、カーボン間の結合が弱く、縁端部(外周縁部や開口部5aの縁端部)からカーボン片が脱落しやすい。しかし、被覆カーボンシートAは、カーボンシート5が被覆層15により被覆されているので、カーボンシート5の縁端部が補強されており、その結果として、カーボン片の脱落を防止することができるのである。
また、この被覆カーボンシート形成工程(S1)では、取り扱いが容易であり、エッチングにより容易に除去可能な銅箔層Cuを用いるので、被覆カーボンシートAを容易に作製することができる。
被覆カーボンシート形成工程(S1)(銅箔層除去工程(S1c))の後、孔開け工程を行う(S3)。この孔開け工程(S3)では、被覆カーボンシート形成工程(S1)により得られた被覆カーボンシートAに、プリント基板1に設けられるスルーホールTHの位置に応じて、そのスルーホールTHの外周より大きな外周の孔(開口部5a)を穿設する工程である(図4(d)参照)。
この孔開け工程(S3)により、被覆カーボンシートA(カーボンシート5)にスルーホールTHの外周より大きな外周を有する孔が穿設されることによって、めっき層11からカーボンシート5への電流の流出が防止されたプリント基板1を得ることができる。
また、本実施形態におけるプリント基板1の製造方法では、上述のような被覆カーボンシート形成工程(S1)により被覆カーボンシートAを形成する一方で、両面に位置決めパターン22が形成された内層コア材を形成する内層コア材形成工程を行う(S2)。
この内層コア材形成工程(S2)では、コア層21の両面に銅箔層が形成された材料(図示せず)を準備し、エッチングにより、両面の銅箔層からスルーホールTHを穿設する際の基準とする位置に位置決めパターン22を形成することによって、内層コア材Caが得られる。なお、内層コア材形成工程(S2)で使用される材料としては、プリプレグPと同様のプリプレグを両側から銅箔で挟み、真空下で加熱圧着してプリプレグを硬化させた内層コア材用の銅張り基板を使用することができる。
次に、孔開け工程(S3)により開口部5aが穿設された被覆カーボンシートAと、内層コア材形成工程(S2)により形成された内層コア材Caとを用い、積層板形成工程(S4)により、銅張り積層板(特許請求の範囲における「プリント基板用積層板」に相当する)を形成する。
この積層板形成工程(S4)では、まず、レイアップ工程を行う(S4a)。このレイアップ工程(S4a)では、孔開け工程(S3)により開口部5aが穿設された被覆カーボンシートAと、内層コア材形成工程(S2)により形成された内層コア材Caと、プリプレグPと、銅箔層3aとを、図5(a)に示す順序で配置する。
レイアップ工程(S4a)の後、積層プレス工程を行う(S4b)。この積層プレス工程(S4b)では、レイアップ工程(S4a)により配置された被覆カーボンシートA、内層コア材Ca、プリプレグP、銅箔層3aを、真空状態で加熱圧着する工程である。加熱圧着によりプリプレグPが硬化し、その結果、各層が一体化して一枚の銅張り積層板が形成される(図5(b)参照)。なお、レイアップ工程(S4a)において配置されたプリプレグPと、被覆カーボンシートAの被覆層15と、内層コア材Caのコア層21とから、絶縁板4が形成される。
積層板形成工程(S4)の後、孔開け工程が行われる(S5)。この孔開け工程(S5)では、積層板形成工程(S4)により形成された銅張り積層板の所定位置に、後述する外層回路形成工程(S8)によりプリント基板1の両面に形成される導電パターン3を電気的に接続するためのスルーホールTHを所定の位置に穿設する(図6参照)。また、この孔開け工程(S5)では、スルーホールTHだけでなく、受熱孔部6及び放熱孔部7を所定の位置に穿設する。
この孔開け工程(S5)では、X線を用いて、内層コア材Caの両面に設けられている位置決めパターン22を基準マークとして読み取り、基準穴の位置を決定し、この基準穴を用いて各孔(スルーホールTH、受熱孔部6、放熱孔部7など)の穿設を行う。上述したように、位置決めパターン22は、スルーホールTHを穿設する際の基準とする位置に形成されているので、基準穴の位置を正確に決めることができ、その結果として、スルーホールTHを穿孔すべき位置に正確に穿孔することができる。
孔開け工程(S5)の後、カーボンペースト充填工程(S6)を行い、受熱孔部6及び放熱孔部7にカーボンペースト8を充填して硬化させる。これによって、受熱孔部6及び放熱孔部7とカーボンシート5とが、カーボンペースト8により連結される。このカーボンペースト充填工程(S6)により、受熱孔部6及び放熱孔部7がカーボンペースト8により連結されたことによって、電子部品2から発生される熱がカーボンシート5へ効率的に伝えられるので、放熱性に優れたプリント基板1を得ることができる。
次いで、めっき工程(S7)を行い、銅箔層3a及びスルーホールTHに、それぞれ、めっき層3b及びめっき層11を形成する。めっき工程(S6)の後、エッチングにより、銅箔層3a及びめっき層3bから外層の導電パターン3を形成する外層回路形成工程(S8)を行う。
外層回路形成工程(S8)の後、レジストインク塗布工程(S9)を行う。レジストインク塗布工程(S9)は、外層回路形成工程(S8)により形成された外層の導電パターン3上にレジストインクを塗布することにより、少なくとも導電パターン3(銅箔層3a及びめっき層3b)の表面にレジスト層12を被覆する工程である。
本実施形態では、プリント基板1は、複数のプリント基板1が面付されたパネル(図示せず)の状態で製造されるため、レジストインク塗布工程(S9)の後、ルータ加工又はプレス加工(パンチプレス加工)によってパネルから各プリント基板1を切り離す外形加工工程(S10)を行い、製品としてのプリント基板1を得る。
以上説明したように、第1実施形態のプリント基板1によれば、内層に配設されたカーボンシート5の存在により、上述した通り、優れた放熱性を有するので、実装される電子部品2を高効率に冷却することができるので、従来のプリント基板のように電子部品2を冷却するための放熱板を別途設けずとも、電子部品2を適切に冷却することができる。
また、第1実施形態のプリント基板1によれば、被覆層15によってカーボンシート5の両面が予め被覆された被覆カーボンシートAを用いて製造されるので、製造時におけるカーボンシート5の縁端部からのカーボン片の脱落が防止され、その結果として、カーボン片の脱落に起因する配線不良の発生率が低い。
また、第1実施形態のプリント基板1によれば、スルーホールTHを穿設する際の基準とする位置に位置決めパターン22が形成された内層コア材Caが配設されているので、スルーホールTHの穿孔時には、X線を用いて位置決めパターン22を基準マークとして読み取ることにより、基準穴の位置を正確に決めることができ、その結果として、スルーホールTHを穿孔すべき位置に正確に穿孔することができる。
次に、図7から図9を参照して、第2実施形態のプリント基板(図示せず)について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
上述した第1実施形態のプリント基板1は、X線による読み取り可能な位置決めパターン22が形成された内層コア材Caを用いる構成としたが、この第2実施形態のプリント基板は、内層コア材Caに換えて、同様の位置決めパターン220が形成された被覆カーボンシートA1を用いる。
図7は、第2実施形態のプリント基板の製造方法を示すフローチャートである。また、図8(a)は、内層パターン形成工程(S1d)を説明する模式図であり、図8(b)は、レイアップ工程(S4a)を説明する模式図であり、図8(c)は、及び積層プレス工程(S4b)を説明する模式図である。また、図9は、孔開け工程(S5)を説明する模式図である。
図7に示すように、第2実施形態のプリント基板の製造方法では、まず、被覆カーボンシート形成工程(S1’)により、被覆カーボンシートA1を形成する。具体的には、被覆カーボンシート形成工程(S1’)では、第1実施形態のプリント基板1の製造方法と同様にレイアップ工程(S1a)及び積層プレス工程(S1b)を行った後、内層パターン形成工程を行う(S1d)。
内層パターン形成工程(S1d)は、積層プレス工程(S1b)により得られた板状体(図4(b)参照)の両面に配設された銅箔層Cuから、スルーホールTHを穿設する際の基準とする位置に位置決めパターン220をエッチングによって形成する工程であり、その結果として、カーボンシート5が被覆層15により被覆された被覆カーボンシートA1が得られる(図5(a)参照)。
被覆カーボンシート形成工程(S1’)(内層パターン形成工程(S1d))の後、第1実施形態のプリント基板1の製造方法と同様に孔開け工程を行い(S3)、第2実施形態のプリント基板に設けられるスルーホールTH(図9参照)の位置に応じて、そのスルーホールTHの外周より大きな外周の孔(開口部5a)の穿設を行う。
孔開け工程(S3)の後、被覆カーボンシートA1を用い、第1実施形態のプリント基板1の製造方法と同様の積層板形成工程を行い(S4)、銅張り積層板(特許請求の範囲における「プリント基板用積層板」に相当する)を形成する。
第2実施形態の積層板形成工程(S4)において、レイアップ工程(S4a)では、孔開け工程(S3)により開口部5aが穿設された被覆カーボンシートA1と、プリプレグPと、銅箔層3aとを、図8(b)に示す順序で配置する。次いで、積層プレス工程(S4b)を行うと、図8(b)に示す銅張り積層板が得られる。なお、この第2実施形態では、レイアップ工程(S4a)において配置されたプリプレグPと、被覆カーボンシートA1の被覆層15とから、絶縁板4が形成される。
積層板形成工程(S4)の後、第1実施形態のプリント基板1の製造方法と同様に孔開け工程を行い(S5)、積層板形成工程(S4)により形成された銅張り積層板の所定位置にスルーホールTHを所定の位置に穿設する(図9参照)と共に、受熱孔部6及び放熱孔部7を所定の位置に穿設する。
この第2実施形態では、孔開け工程(S5)において、被覆カーボンシートA1の両面に設けられている位置決めパターン220がX線によって基準マークとして読み取られ、この基準マーク(位置決めパターン220)に基づいて、基準穴の位置を決定し、この基準穴を用いて各孔(スルーホールTH、受熱孔部6、放熱孔部7など)の穿設を行う。
上述したように、位置決めパターン220は、スルーホールTHを穿設する際の基準とする位置に形成されているので、基準穴の位置を正確に決めることができ、その結果として、スルーホールTHを穿孔すべき位置に正確に穿孔することができる。
このように、第2実施形態のプリント基板では、X線による読み取り可能な位置決めパターン220が被覆カーボンシートA1の表面に形成されているので、第1実施形態のプリント基板1において必須とされた内層コア材Ca(図2参照)を不要とすることができる。
よって、例えば、図9に示す本実施形態の孔開け工程(S5)の状態と図6に示す第1実施形態の孔開け工程(S5)の状態との比較から明らかなように、第2実施形態のプリント基板は、内層コア材Caを配設しない分だけ、第1実施形態のプリント基板1に比べてより薄く構成することができる。
孔開け工程(S5)の後、第1実施形態のプリント基板1の製造方法と同様にカーボンペースト充填工程(S6)、めっき工程(S7)、外層回路形成工程(S8)、レジストインク塗布工程(S9)、及び外形加工工程(S10)を行い、第2実施形態のプリント基板を製品として得る。
以上説明したように、第2実施形態のプリント基板によれば、被覆層15によってカーボンシート5の両面が予め被覆された被覆カーボンシートA1を用いて製造されるので、内層に配設されるカーボンシート5の存在によって薄型であるにも関わらず電子部品2を適切に冷却することができる上に、製造時におけるカーボンシート5の縁端部からのカーボン片の脱落が防止され、その結果として、カーボン片の脱落に起因する配線不良の発生率が低い。
また、被覆カーボンシートA1には、スルーホールTHを穿設する際の基準とする位置に位置決めパターン220が形成されているので、スルーホールTHの穿孔時には、X線を用いて位置決めパターン220を基準マークとして読み取ることにより、基準穴の位置を正確に決めることができ、その結果として、スルーホールTHを穿孔すべき位置に正確に穿孔することができる。
ここで、第2実施形態のプリント基板によれば、位置決めパターン220を被覆カーボンシートA1上に形成したことにより、第1実施形態のプリント基板1において使用された内層コア材Ca(図2参照)を省略することができ、その分だけ、より一層の薄型化を図ることができる。
また、位置決めパターン220は、被覆カーボンシートA1を得るための工程において配設された銅箔層Cuからエッチングによって形成されるので、製造工程を複雑化することなく容易に形成することができる。また、内層コア材Caを使用しないことにより第1実施形態のプリント基板1に比べ材料コストを低減できる上に、第1実施形態のプリント基板1の製造工程の1つであった内層コア材形成工程(S2,図3参照)を省略でき、製造コストも抑制される。
次に、図10及び図11を参照して、第3実施形態のプリント基板(図示せず)について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
上述した第1実施形態のプリント基板1は、X線による読み取り可能な位置決めパターン22が形成された内層コア材Caを用いる構成としたが、この第2実施形態のプリント基板は、内層コア材Caに換えて、同様の位置決めパターン30bが形成されたコア材Cbを用いる。
図10は、第3実施形態のプリント基板の製造方法を示すフローチャートである。また、図11(a)は、コア材形成工程(S20)を説明する模式図であり、図11(b)は、レイアップ工程(S4a)を説明する模式図であり、図11(c)は、孔開け工程(S5)を説明する模式図である。
図10に示すように、第3実施形態のプリント基板の製造方法では、第1実施形態のプリント基板1の製造方法と同様に被覆カーボンシート形成工程(S1(S1a〜S1c))及び孔開け工程(S3)を行う一方で、片面に位置決めパターン30bが形成されたコア材Cbを形成するコア材形成工程を行う(S20)。
このコア材形成工程(S20)では、電気絶縁性樹脂を含有する材料(電気絶縁性材料)から構成されるコア層31の両面に銅箔層が形成された材料(図示せず)を準備し、エッチングにより、片面の銅箔層からスルーホールTHを穿設する際の基準とする位置に位置決めパターン30bを形成することによって、コア材Cbが得られる(図11(a)参照)。なお、コア材Cbにおける位置決めパターン30bが形成されていない方の面は、材料の銅箔層(銅箔層30a)がそのまま残されている。このコア材形成工程(S20)で使用される材料としては、プリプレグPと同様のプリプレグを両側から銅箔で挟み、真空下で加熱圧着してプリプレグを硬化させたコア材用の銅張り基板を使用することができる。
次に、孔開け工程(S3)により開口部5aが穿設された被覆カーボンシートAと、コア材形成工程(S20)により形成されたコア材Cbとを用い、第1実施形態のプリント基板1の製造方法と同様の積層板形成工程を行い(S4)、銅張り積層板(特許請求の範囲における「プリント基板用積層板」に相当する)を形成する。
第3実施形態の積層板形成工程(S4)において、レイアップ工程(S4a)では、コア材形成工程(S20)により形成されたコア材Cbを、銅箔層30aが最外層となるように2つ配置し、この2つのコア材Cbの間に、孔開け工程(S3)により開口部5aが穿設された被覆カーボンシートAと、プリプレグPとを、図11(b)に示す順序で配置する。次いで、積層プレス工程(S4b)を行うと、各層が一体化した一枚の銅張り積層板が得られる。なお、この第3実施形態では、レイアップ工程(S4a)において配置されたプリプレグPと、被覆カーボンシートAの被覆層15と、コア材Cbのコア層31とから、絶縁板4が形成される。
積層板形成工程(S4)の後、第1実施形態のプリント基板1の製造方法と同様に孔開け工程を行い(S5)、積層板形成工程(S4)により形成された銅張り積層板の所定位置にスルーホールTHを所定の位置に穿設する(図11(c)参照)と共に、受熱孔部6及び放熱孔部7を所定の位置に穿設する。
この第3実施形態では、孔開け工程(S5)において、コア材Cbの片面に設けられている位置決めパターン30bがX線によって基準マークとして読み取られ、この基準マーク(位置決めパターン30b)に基づいて、基準穴の位置を決定し、この基準穴を用いて各孔(スルーホールTH、受熱孔部6、放熱孔部7など)の穿設を行う。
上述したように、位置決めパターン30bは、スルーホールTHを穿設する際の基準とする位置に形成されているので、基準穴の位置を正確に決めることができ、その結果として、スルーホールTHを穿孔すべき位置に正確に穿孔することができる。
このように、第3実施形態のプリント基板では、X線による読み取り可能な位置決めパターン30bがコア材Cbに形成されているので、第1実施形態のプリント基板1において必須とされた内層コア材Ca(図2参照)を不要とすることができる。
よって、例えば、図11(c)に示す本実施形態の孔開け工程(S5)の状態と図6に示す第1実施形態の孔開け工程(S5)の状態との比較から明らかなように、第3実施形態のプリント基板は、内層コア材Caを配設しない分だけ、第1実施形態のプリント基板1に比べてより薄く構成することができる。
つまり、第3実施形態のプリント基板は、コア層31の片面に銅箔層3a(図6参照)に相当する銅箔層30aが形成され、他方の面に位置決めパターン30bが形成されている外層用コア材Cbを使用しているので、少なくとも、第1実施形態のプリント基板1における銅箔層3aと内層コア材Caとの圧着に使用されるプリプレグPによる厚み分だけ薄く構成できるのである。
孔開け工程(S5)の後、第1実施形態のプリント基板1の製造方法と同様にカーボンペースト充填工程(S6)及びめっき工程(S7)を行う。めっき工程(S7)の後、第1実施形態のプリント基板1の製造方法と同様に外層回路形成工程(S8)を行い、銅箔層30b及びめっき工程(S7)に銅箔層30bに形成されためっき層3bから、外層の導電パターン3を形成する。外層回路形成工程(S8)の後、第1実施形態のプリント基板1の製造方法と同様に、レジストインク塗布工程(S9)及び外形加工工程(S10)を行い、第3実施形態のプリント基板を製品として得る。
以上説明したように、第3実施形態のプリント基板によれば、被覆層15によってカーボンシート5の両面が予め被覆された被覆カーボンシートAを用いて製造されるので、内層に配設されるカーボンシート5の存在によって薄型であるにも関わらず電子部品2を適切に冷却することができる上に、製造時におけるカーボンシート5の縁端部からのカーボン片の脱落が防止され、その結果として、カーボン片の脱落に起因する配線不良の発生率が低い。
また、第3実施形態のプリント基板によれば、スルーホールTHを穿設する際の基準とする位置に位置決めパターン30bが形成されたコア材Cbが配設されているので、スルーホールTHの穿孔時には、X線を用いて位置決めパターン30bを基準マークとして読み取ることにより、基準穴の位置を正確に決めることができ、その結果として、スルーホールTHを穿孔すべき位置に正確に穿孔することができる。
ここで、第3実施形態のプリント基板によれば、コア材Cbは、コア層31の片面に位置決めパターン30bが形成され、他方の面に(位置決めパターン30bとは反対側の面)には、最外層に配されて最終的に導電パターン3とされる銅箔層30aが形成されているので、内層コア材Caを配設する第1実施形態のプリント基板1に比べてより薄く構成することができる。
次に、図12及び図13を参照して、第4実施形態のプリント基板100について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
この第4実施形態のプリント基板100は、被覆カーボンシートAに後述する孔45が形成されている以外は、第1実施形態のプリント基板1と同様に構成されており、第1実施形態のプリント基板1の製造方法(図3参照)と同様に製造される。
図12(a)は、第4実施形態のプリント基板100が面付された被覆カーボンシートAを示す模式図である。図12(a)には、1枚の被覆カーボンシートA、即ち、この被覆カーボンシートAを用いて最終的に形成される1枚のパネルには、8枚のプリント基板100が面付けされた状態が図示されている。
なお、図12(a)では、各プリント基板100の仮想的な製品外形を2点鎖線で図示している。外形加工工程(S10)によりパネルから各プリント基板100を切り離す際には、この2点鎖線がカット線(分離線)となり、各プリント基板100が切り離される。
図12(b)は、孔開け工程(S3)後の図12(a)におけるD部の拡大図である。なお、図12(b)では、理解を容易にする目的で、孔開け工程(S3)により被覆カーボンシートAに穿設された開口部5aの図示を省略している。
図12(b)に示すように、第4実施形態の孔開け工程(S3)では、スルーホールTHの外周より大きな外周の孔(開口部5a)に加え、プリント基板100の製品外形(2点鎖線)に沿った位置に複数の孔45を穿設する。例えば、口径(直径)が約0.6mm程度の孔45を、約1.0mmの孔間ピッチ(隣接する孔の中心間の距離)で穿設する。なお、複数の孔45を穿設する際の孔間ピッチは、パネル内にて隣接するプリント基板100の間隔が狭いほど小さくすることが好ましい。
また、孔開け工程(S3)において複数の孔45を穿設する場合には、図12(b)に示すように、略矩形の製品外形における4つの角部に孔45を穿設することが好ましい。
図13(a)は、図12(b)におけるXIIIa−XIIIa線における被覆カーボンシートAの模式的な側断面図であり、図13(b)は、外形加工工程(S10)によりパネルから切り離された第4実施形態のプリント基板100の断面(端面)の模式的な側断面図である。
図13(a)及び図13(b)に示すように、孔開け工程(S3)によってプリント基板100の製品外形(2点鎖線)に沿った位置に穿設された孔45には、その後に行われる積層プレス工程(S4b)の結果として、プリプレグPが充填され、その硬化によって絶縁板4の一部となる。
よって、図13(b)に示すように、外形加工工程(S10)による切り離しによって製品として得られた第4実施形態のプリント基板100の端面に露出するカーボンシート5は、孔45に充填されたプリプレグPから形成された絶縁板4によって分断された点線状(又は、絶縁板4によって分断された帯状)となる。
このように、孔開け工程(S3)により被覆カーボンシートAに穿設された複数の孔45によって、外形加工工程(S10)による切り離し後のプリント基板100の端面に露出するカーボンシート5の量を、かかる孔45を穿設せず製品端面から一様な線状(又は帯状)にカーボンシート5が露出する場合に比べ、少なくすることができる。その結果として、プリント基板100の端面に衝撃を受けた場合に、端面に露出するカーボンシート5が脱落することを抑制することができ、剥がれなどの破損が抑制される。
なお、一般的に、端面に露出するカーボンシート5の脱落は、略矩形に構成されたプリント基板100の角部において生じ易い。よって、図12(b)に示すように、略矩形の製品外形における4つの角部に孔45を穿設した場合には、プリント基板100の角部にはカーボンシート5ではなく絶縁板4を必ず露出させることができるので、特に有効である。
以上説明したように、第4実施形態のプリント基板100によれば、被覆カーボンシートAに穿設された複数の孔45によって、プリント基板100の端面に露出するカーボンシート5の量を少なくすることができるので、端面に露出するカーボンシート5が衝撃によって脱落することが抑制され、剥がれなどの破損が抑制される。
また、複数の孔45の穿設は、被覆カーボンシートAに開口部5aの穿設と同じ工程(孔開け工程(S3))で行うので、製造コストの増加を伴うことなく、剥がれなどの破損が抑制されたプリント基板100を得ることができる。
次に、図14を参照して、第5実施形態のプリント基板(図示せず)について説明する。図14は、第5実施形態のプリント基板に使用するカーボンシート50を示す模式図である。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
上述したように、第1実施形態のプリント基板1では、カーボンシート5として、カーボン単体により構成されるシートを用いた。これに対し、第5実施形態のプリント基板では、カーボンシート5に換えて、後述するカーボンシート50を用いる。
なお、この第5実施形態のプリント基板は、カーボンシート5に換えてカーボンシート50が使用されている以外は、第1実施形態のプリント基板1と同様に構成されており、第1実施形態のプリント基板1の製造方法(図3参照)と同様に製造される。
カーボンシート50は、図14に示すように、銅線50bをメリヤス編みによって編成した網状体(銅ニット)の空隙に、カーボン含有材料50aを充填して圧延加工して得られたものである。
このカーボンシート50は、カーボン間の結合の弱さが銅線50bによって補強されているために、カーボン単体から構成されるカーボンシート5に比べてカーボン片の脱落をより効果的に防止できる。よって、そのようなカーボンシート50を用いることにより、カーボンシート50の表面に被覆層15を被覆して得られた被覆カーボンシートからのカーボン片の脱落はより効果的に抑制されることになる。
その結果、積層板形成工程(S4)において、カーボンシート50からカーボン片が脱落することがより効果的に防止されるので、配線不良を有するプリント基板1の発生をより効果的に防止することができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記第1〜3実施形態のプリント基板では、カーボンシート5が、絶縁板4の内部に1層だけ配設される場合について説明したが、カーボンシート5の配設位置はこれに限定されるものではなく、カーボンシート5が、絶縁板4の内部に少なくとも1層(2層以上)の積層状に配設されていればよい。
ここで、絶縁板4の内部に2層以上のカーボンシート5が積層状に配設されている場合の一例を、図15に例示する。図15は、カーボンシート5が、絶縁板4の内部に積層状に2層配設された銅張り積層板を例示した模式図であり、図15(a)は、第1実施形態のプリント基板1を得るための銅張り積層板を示す模式図であり、図15(b)は、第2実施形態のプリント基板を得るための銅張り積層板を示す模式図である。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
ここで、図15(a)と図15(b)との比較から明らかなように、このように絶縁板4の内部に2層以上のカーボンシート5が積層状に配設されている場合においても、第2実施形態のプリント基板(図15(b))は、内層コア材Caを配設しない分だけ、第1実施形態のプリント基板1(図15(a))に比べてより薄く構成することができる。
なお、絶縁板4の内部に2層以上のカーボンシート5を積層状に配設することに換えて、絶縁板4の内部に2層以上のカーボンシート50を積層状に配設するとしてもよい。また、絶縁板4の内部にカーボンシート5とカーボンシート50とを適宜組み合わせて2層以上配設するように構成してもよい。
また、上記各実施形態のプリント基板は、いずれも両面基板であったが、カーボンシート5(又はカーボンシート50)を絶縁板4の内部に積層状に配設したプリント基板は、多層基板にも適用可能であることは容易に推察可能である。このように多層基板を製造する場合において、上記各実施形態のプリント基板の製造方法を適用可能であることもまた容易に推測可能である。
また、絶縁板4の内部に2層以上のカーボンシート5を積層状に配設する場合には、被覆カーボンシートAのみを用いて得るように構成しても、被覆カーボンシートA1のみを用いて得るように構成しても、被覆カーボンシートAと被覆カーボンシートA1との両方を用いて得るように構成してもよい。
また、上記第2実施形態のプリント基板では、両面に位置決めパターン220が形成された被覆カーボンシートA1を用いる構成としたが、かかる位置決めパターン220が片面にのみ形成された被覆カーボンシートを用いる構成としてもよい。
ここで、上記第2実施形態のプリント基板において、絶縁板4の内部に2層以上のカーボンシート5を積層状に配設する場合に、両面に位置決めパターン220が形成された被覆カーボンシートA1と位置決めパターン220が片面にのみ形成された被覆カーボンシート(及び/又は被覆層15を有さないカーボンシート5(又はカーボンシート50)単体)とを併用するように構成してもよい。なお、絶縁板4の内部に2層以上のカーボンシート5を積層状に配設する場合には、各被覆カーボンシートA1の位置決めパターン220が互いに対応する位置に形成されていることに限定されず、全ての位置決めパターン220から穿孔すべき貫通孔の位置を正確に決定できるように構成されていればよい。
また、上記第3実施形態のプリント基板では、片面に位置決めパターン30bが形成されているコア材Cbを2枚使用する構成であったが、2枚のコア材Cbのうちの1枚を、コア層31の片面に銅箔層30aを有するが他方の面に位置決めパターン30bが形成されていないコア材とする構成であってもよい。なお、2枚のコア材Cbを使用する場合に、各コア材Cbの位置決めパターン30bが互いに対応する位置に形成されていることに限定されず、両方のコア材Cbに形成された位置決めパターン30bによって穿孔すべき貫通孔の位置を正確に決定できるように構成されていればよい。
また、上記第3実施形態のプリント基板では、積層板形成工程において、2枚のコア材Cbを用い、そのコア材Cbの片面に配設されている銅箔層30aが最外層となるようにして銅張り積層板を得るように構成したが、使用するコア材Cbを1枚とし、コア材Cbの銅箔層30aと第1実施形態のプリント基板1において使用した銅箔層3aとが銅張り積層板の最外層となるように銅張り積層板を得るように構成してもよい。
また、上記第3実施形態のプリント基板において、第2実施形態のプリント基板にて使用された位置決めパターン220を有する被覆カーボンシートA1を用いる構成としてもよい。
また、上記第3実施形態のプリント基板Aは、被覆カーボンシートAを用いて製造される構成であったが、被覆層15を有さないカーボンシート5(又はカーボンシート50)単体を用いて製造する構成であってもよい。被覆層15を有さないカーボンシート5(又はカーボンシート50)単体を用いて製造することによってより一層の薄型化を図ることが可能となる。
また、上記第4実施形態のプリント基板100は、第1実施形態のプリント基板1における被覆カーボンシートAに孔45を穿孔したものとして説明したが、第2実施形態のプリント基板や、第3実施形態のプリント基板や、少なくとも1層のカーボンシートが絶縁板の内部に積層状に配設された両面又は多層プリント基板や、絶縁板の内部及び/又は一方の表面に少なくとも1層のカーボンシートが積層状に配設された片面プリント基板など、カーボンシートを内部に有する他の形態のプリント基板に対して適用可能であり、かかる他の形態のプリント基板孔45に相当する孔を穿孔することによって第4実施形態のプリント基板100と同様の効果が得られることもまた容易に推測可能である。
なお、上記第4実施形態のプリント基板100の製品外形を略矩形に構成したが、製品外形は矩形に限定されず、製品外形を種々の形状に構成することができる。ここで、製品外形が角部を有する多角形である場合(即ち、パネルから分離される際の分離線が多角形を描く場合)には、角部に絶縁板4が露出されるように、少なくとも各角部に孔45を穿孔することが好ましい。
また、上記第1実施形態のプリント基板1では、図2に示すように、受熱孔部6と放熱孔部7とが互いに連通された一本の貫通孔として構成される場合を説明した。これは、これら両孔部6,7を例えばドリルによる一度の加工で同時に形成することができため、両孔部6,7をそれぞれ別々に加工する必要がなく、加工工程が簡素化されるので、その分、加工コストを低減することができるからである。
但し、必ずしもこれに限られるわけではなく、受熱孔部6及び放熱孔部7をカーボンシート5までの深さの孔部としてそれぞれ異なる位置に独立に凹設することは当然可能である。例えば、絶縁板4の上側表面(図2上側面)に凹設される受熱孔部6の凹設数に対し、絶縁板4の下側表面(図2下側面)に凹設される放熱孔部7の凹設数がより多くなるように構成しても良い。これにより、カーボンシート5から外部への熱の放熱をより高効率に行うことができる。なお、この場合には、放熱孔部7を受熱孔部6と同じ側の面(図2上側面)に凹設しても良い。
また、上記第1実施形態のプリント基板1では、カーボンシート5の端部の一部が絶縁板4の周端縁(図2右側)から露出して構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるわけではなく、カーボンシート5の端部全域が絶縁板4の周端縁から露出されないように構成することは当然可能である。これにより、例えば、絶縁板4の周端縁に端面端子(導電パターン)を形成する場合に、カーボンシート5との接触(導通)を考慮する必要がなくなり、好適である。
また、上記第1実施形態のプリント基板1では、絶縁板4の電子部品2が実装される側と反対側の表面(図2下側)に放熱孔部7を設ける場合を説明したが、かかる実装面と反対側の表面に放熱孔部7を設けないようにしても良い。即ち、放熱孔部7を設けないか、或いは、放熱孔部7を電子部品2が実装される側と同じ側の表面(図2上側面)のみに設けるのである。これにより、かかる実装面と反対側の表面(図2下側面)が筺体などにより囲まれている場合には、放熱孔部7から放熱された熱が筺体との対向面間にこもってしまうことを防止することができる。
また、上記第1実施形態のプリント基板1では、いずれも受熱孔部6及び放熱孔部7を備えて構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるわけではなく、これら受熱孔部6及び放熱孔部7のいずれか一方又は両方を省略して構成することは当然可能である。
また、上記第1実施形態のプリント基板1では、受熱孔部6及び放熱孔部7にカーボンペースト8が充填される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるわけではなく、カーボンペースト8に代えて金属ペーストを充填することは当然可能である。なお、金属ペーストとしては、例えば、銅や銀などを用いたペーストが例示される。
ここで、1枚のプリント基板1に受熱孔部6又は放熱孔部7が複数ある場合には、それらすべての孔部6,7に同じ種類のペースト(金属ペースト又はカーボンペースト8)を充填する必要は必ずしもなく、1枚のプリント基板1に金属ペーストとカーボンペースト8との両ペーストを使用することは当然可能である。
また、上記第1実施形態において、プリプレグPに含まれる電気絶縁性樹脂としてエポキシ樹脂を用いたが、これは電気絶縁性樹脂がエポキシ樹脂に限定されることを意味するものではない。即ち、エポキシ樹脂に換えて、フェノール樹脂や変形ポリイミドやポリイミドなどの電気絶縁性樹脂を使用してプリプレグPを構成することは当然可能である。
また、上記第1実施形態では、被覆カーボンシート形成工程(S1)及び積層板形成工程(S4)においても、エポキシ樹脂を含むプリプレグPを使用したが、被覆層15を形成するためのプリプレグPに含まれる電気絶縁性樹脂と、積層板を形成するためのプリプレグPに含まれる電気絶縁性樹脂とが異なる樹脂であってもよい。
また、上記第1実施形態では、カーボンシート5としてカーボン単体により構成されるシートを用いたが、必ずしもカーボン単体のみから構成されるシートに限定されるものではなく、他の材料を混合させて構成されたシートを用いることは当然推察可能である。即ち、カーボンシート5は、少なくともカーボンを含むものであればよい。
同様に、上記第5実施形態において使用したカーボンシート50において、銅線50bから編成される網状体を充填するカーボン含有材料50aは、カーボン単体により構成されるものであってもよいし、カーボンと他の材料との混合物であってもよい。
また、上記第5実施形態において使用したカーボンシート50では、銅線50bから編成された網状体にカーボン含有材料50aを充填するように構成したが、網状体を形成する部材は、銅線50bに限定されるものではなく、熱伝導性を有する材料であれば置換し得ることは当然推察可能である。例えば、銅線50bに換えて、銀線などの金属線を用いてもよい。また、網状体の網目の形状は、図14に示したようなメリヤス編み形状に限定されるものではなく、他の網目形状とすることは当然推測可能である。
以下に、本発明のプリント基板、プリント基板の製造方法、及びそれらの変形例を示す。電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の両面に形成される配線パターン層とを備え、1又は複数の電子部品が実装されるプリント基板において、カーボンを主体として構成される少なくとも1層のカーボン層部を備え、そのカーボン層部が前記絶縁材部の内部に積層状に配設されており、前記絶縁材部の内部に積層状に配設される前記カーボン層部は、前記カーボン層部の両面に、前記電気絶縁性材料から形成された被覆層が予め形成された被覆層形成カーボン層部を、前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって形成されたものであり、前記被覆カーボン層部の一部又は全部は、少なくとも片方の表面における所定の位置に、金属から構成される位置決めパターンが形成されていることを特徴とするプリント基板1。
プリント基板1において、前記被覆層形成カーボン層部は、前記カーボン層部の両面に、前記電気絶縁性材料を積層すると共に、その電気絶縁性材料の外側にエッチング除去可能な金属から構成される金属板を積層して圧着した後、エッチングにより前記金属板における前記所定の位置に位置決めパターンを形成することによって得られたものであることを特徴とするプリント基板2。
電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の両面に形成される配線パターン層とを備え、1又は複数の電子部品が実装されるプリント基板において、前記絶縁材部の内部に積層状に配設された、カーボンを主体として構成される少なくとも1層のカーボン層部を備え、前記電気絶縁性材料から構成されるコア層とそのコア層の片面に前記配線パターン層を形成するための導体層とを有する外層用コア材を1つ又は2つ用い、前記外層用コア材の導体層を最外層に配し、前記外層用コア材における前記導体層とは反対側の面と前記カーボン層部との間に、前記絶縁材部を形成する電気絶縁性材料を介在させて圧着して形成されたプリント基板用積層板から得られたものであり、前記外層用コア材の少なくとも1つは、前記導体層とは反対側の面における所定の位置に金属から構成される位置決めパターンが形成されていることを特徴とするプリント基板3。
プリント基板3において、前記位置決めパターンが形成されている外層用コア材は、エッチング除去可能な金属から構成される金属板が前記コア層の両面に積層された材料における片面の金属板の所定の位置にエッチングによって前記位置決めパターンを形成して得られたものであることを特徴とするプリント基板4。
プリント基板3又は4において、前記絶縁材部の内部に積層状に配設される前記カーボン層部は、その両面に、前記電気絶縁性材料から形成される被覆層を予め被覆した後、その被覆層形成カーボン層部を前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって形成されたものであることを特徴とするプリント基板5。
プリント基板1から5のいずれかにおいて、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁された前記配線パターン層を電気的に接続するための電気的接続用の貫通孔を備え、前記位置決めパターンは、前記電気的接続用の貫通孔を穿設する際の基準とする位置に形成されていること特徴とするプリント基板6。
プリント基板1から8のいずれかにおいて、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁された前記配線パターン層を電気的に接続するための電気的接続用の貫通孔を備え、前記カーボン層部又は前記被覆層形成カーボン層部には、前記電気的接続用の貫通孔に対応する位置に、その電気的接続用の貫通孔の外周より大きい外周の孔が、前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着される前に予め形成されていることを特徴とするプリント基板7。
プリント基板1から7のいずれかにおいて、前記カーボン層部又は前記被覆層形成カーボン層部には、所定の製品外形に切り離す際の分離線上に、複数の孔が、前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着される前に予め形成されていることを特徴とするプリント基板8。
電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の少なくとも一方の表面、又は、その絶縁材部の少なくとも一方の表面及び内部に形成される配線パターン層とを備え、1又は複数の電子部品が実装されるプリント基板において、カーボンを主体として構成される少なくとも1層のカーボン層部を備え、そのカーボン層部が前記絶縁材部の内部又は表面に積層状に配設されており、前記絶縁材部の内部に積層状に配設される前記カーボン層部は、前記カーボン層部、又は、前記電気絶縁性材料から形成された被覆層が前記カーボン層部の両面に予め形成された被覆層形成カーボン層部を、前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって形成されたものであり、前記カーボン層部又は前記被覆層形成カーボン層部には、所定の製品外形に切り離す際の分離線上に、複数の孔が、前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着される前に予め形成されていることを特徴とするプリント基板9。
プリント基板9において、前記カーボン部層は、前記絶縁材部の内部に前記配線パターン層が形成される場合にはその配線パターン層の近傍を除き、前記絶縁材部の内部又は表面のほぼ全域にわたる範囲に積層状に配設されていることを特徴とするプリント基板10。
プリント基板10によれば、絶縁材部には、カーボンを主体として構成されるカーボン層部がその絶縁材部の内部または表面のほぼ全域にわたる範囲に積層状に配設されているので、かかるカーボン層部によっていわゆるシールド効果を得ることができ、電子部品から発生する電磁波が外部へ放出されたり、或いは、外来のノイズにより電子部品が影響を受けたりすることを抑制することができるという効果がある。
プリント基板8から10のいずれかにおいて、前記分離線が多角形を描く場合には、前記複数の孔は、少なくとも、前記多角形の角部に配置されていることを特徴とするプリント基板11。
プリント基板1から11のいずれかにおいて、前記カーボン層部は、熱伝導性材料から編成された網状体の空隙にカーボンを主体とする材料を充填したものであることを特徴とするプリント基板12。
プリント基板12によれば、カーボン層部は、熱伝導性材料から編成された網状体の空隙にカーボンを主体とする材料を充填したものであるので、網状体によって、カーボン間の結合の弱さが補強される。よって、プリント基板の製造時におけるカーボン層部の縁端部からのカーボン片の脱落が防止されるので、その結果として、カーボン片の脱落に起因する配線不良の発生率を低くできるという効果がある。
プリント基板1から12のいずれかにおいて、前記カーボン層部は、カーボンを主体とする材料から圧延加工によって得られたシート状の形態であることを特徴とするプリント基板13。
プリント基板13によれば、カーボン層部は、カーボンを主体とする材料から圧延加工によって得られたシート状の形態を有しているので、プリント基板全体の薄型化を図ることができるという効果がある。
プリント基板1から13のいずれかにおいて、前記絶縁材部の厚み方向へ凹設または穿設され、その絶縁材部の内部または表面に積層状に配設された前記カーボン層部に接続される受熱孔部を備えており、その受熱孔部は、その開口部が前記電子部品の裏面側に臨むように構成されると共に、その受熱孔部の内部には、金属ペースト又はカーボンペーストが充填されていることを特徴とするプリント基板14。
プリント基板14によれば、カーボン層部へ接続される受熱孔部を備えると共に、その受熱孔部には熱伝導性に優れる金属ペースト又はカーボンペーストが充填されているので、通電により電子部品から発熱した熱は、主に、受熱孔部内に充填された金属ペースト又はカーボンペーストを介してカーボン層部へ伝えられる。よって、その金属ペースト又はカーボンペーストを介して、電子部品から発熱した熱をカーボン層部へ確実かつ高効率に伝えられるという効果があり、その結果、電子部品の冷却を高効率に行うことができる。
更に、受熱孔部の開口部は、電子部品の裏面側に臨むように構成されているので、その電子部品からの熱を受熱孔部(金属ペースト又はカーボンペースト)で受熱して、電子部品からカーボン層部への熱伝導を確実かつ高効率に行うことができ、その分、電子部品の冷却効率のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
プリント基板1から14のいずれかにおいて、前記絶縁材部の厚み方向へ凹設または穿設され、その絶縁材部の内部または表面に積層状に配設された前記カーボン層部に接続される放熱孔部を備えており、その放熱孔部は、その開口部を前記電子部品の実装面と反対側の表面に配設するか又は前記電子部品の実装面と同じ側の表面であって上面視において電子部品と重ならない位置に配設することにより、その開口部が前記電子部品の裏面側に臨まないように構成されると共に、その放熱孔部の内部には、金属ペースト又はカーボンペーストが充填されていることを特徴とするプリント基板15。
プリント基板15によれば、カーボン層部へ接続される放熱孔部を備えると共に、その放熱孔部には熱伝導性に優れる金属ペースト又はカーボンペーストが充填されているので、電子部品からカーボン層部へ伝えられた熱の少なくとも一部は、放熱孔部内に充填された金属ペースト又はカーボンペーストを介して外部に放熱される。よって、電子部品からカーボン層部へ伝えられた熱を、放熱孔部の金属ペースト又はカーボンペーストを介して、カーボン層部から外部へ確実かつ高効率に放熱することができるという効果があり、その結果、電子部品の冷却を高効率に行うことができる。
更に、放熱孔部の開口部は、電子部品の実装面と反対側の表面に配設されるか又は電子部品の実装面と同じ側の表面であって上面視において電子部品と重ならない位置に配設されているので、かかる放熱孔部の開口部が電子部品の裏面側に臨まないように構成することができ、その結果、放熱孔部(金属ペースト又はカーボンペースト)からの放熱により電子部品が発熱することを抑制して、電子部品の冷却効率のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
プリント基板15において、前記カーボン層部が前記絶縁材部の内部に積層状に配設されている場合には、そのカーボン層部に接続される前記受熱孔部と放熱孔部とが、互いに連通された一本の貫通孔として構成されていることを特徴とするプリント基板16。
プリント基板16によれば、受熱孔部と放熱孔部とは、互いに連通された一本の貫通孔として構成されているので、これら両孔部を例えばドリルによる一度の加工で同時に形成することができる。よって、それぞれの孔部を別々に加工する必要がなく、加工工程が簡素化されるので、その分、加工コストを低減することができるという効果がある。
プリント基板15から16のいずれかにおいて、前記受熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストは、その頂部が前記絶縁材部の表面から盛り上げられており、前記電子部品の裏面側との間隙が小さくされていることを特徴とするプリント基板17。
プリント基板17によれば、受熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストの頂部が絶縁材部の表面から盛り上げられており、かかる金属ペースト又はカーボンペーストと電子部品の裏面側との間隙が小さくされている。よって、電子部品から受熱孔部(金属ペースト又はカーボンペースト)への熱伝導を確実かつ高効率に行うことができ、その分、電子部品の冷却効率のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
プリント基板14から17のいずれかにおいて、前記受熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストは、その頂部が前記配線パターン層と略同等の高さ又は若干高くなるように前記絶縁材部の表面から盛り上げられており、前記電子部品の裏面側に直接または間接的に接触可能とされていることを特徴とするプリント基板18。
プリント基板18によれば、受熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストは、その頂部が配線パターン層と略同等の高さ又は若干高くなるように絶縁材部の表面から盛り上げられており、電子部品の裏面側に直接または間接的に接触可能とされている。よって、電子部品から受熱孔部(金属ペースト又はカーボンペースト)への熱伝導を確実かつ高効率に行うことができ、その分、電子部品の冷却効率のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
プリント基板14から18のいずれかにおいて、前記絶縁材部の表面において前記電子部品の裏面側に臨むように形成され、前記受熱孔部に充填された複数の金属ペースト又はカーボンペーストに接続される受熱パターンを備え、その受熱パターンは、上面視において前記複数の各金属ペースト又はカーボンペーストを含む範囲にわたって略面状に形成されていることを特徴とするプリント基板19。
プリント基板19によれば、絶縁材部の表面には、電子部品の裏面側に臨むと共に、複数の金属ペースト又はカーボンペーストに接続される受熱パターンが形成されており、その受熱パターンは、上面視において複数の各金属ペースト又はカーボンペーストを含む範囲にわたって略面状に形成されている。そのため、電子部品から受熱孔部(カーボンペースト)への熱伝導は、受熱パターンを介して行われる。よって、その受熱パターンの面積分だけ電子部品からの受熱面積を広くすることができるので、電子部品から金属ペースト又はカーボンペーストへの熱伝導をより確実かつ高効率に行うことができるという効果があり、その結果、電子部品の冷却効率のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
プリント基板1から19のいずれかにおいて、前記絶縁材部の内部に積層状に配設された前記カーボン層部は、少なくともその一部が前記絶縁材部の周端縁から露出して構成されていることを特徴とするプリント基板20。
プリント基板20によれば、絶縁材部の内部に積層状に配設されたカーボン層部は、少なくともその一部が絶縁材部の周端縁から露出して構成されているので、電子部品からカーボン層部へ伝えられた熱の少なくとも一部は、絶縁板部の周端縁から露出したカーボン層部の露出部を介して外部に放熱される。よって、電子部品からカーボン層部へ伝えられた熱を、絶縁材部の周端縁から露出するカーボン層部の露出部を介して、外部へ確実かつ高効率に放熱することができるという効果があり、その結果、電子部品の冷却を高効率に行うことができる。
プリント基板1から20のいずれかにおいて、前記配線パターン層は、グランドに接続されるグランドパターンを備えており、そのグランドパターンと前記カーボン層部とが互いに電気的に接続されていることを特徴とするプリント基板21。
プリント基板21によれば、グランドに接続されるグランドパターンを備えると共に、そのグランドパターンとカーボン層部とが互いに電気的に接続されているので、グランドの面積を大きくして、グランドの電位を安定させることができるという効果があり、その結果、ノイズによる影響を抑制して、電子部品の動作を安定させることができるという効果がある。
プリント基板21において、前記放熱孔部の一部又は全部は、前記グランドパターンを貫通しつつ前記絶縁材部の厚み方向へ凹設または穿設されており、その放熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストによって前記グランドパターンとカーボン層部とが互いに電気的に接続されていることを特徴とするプリント基板22。
プリント基板22によれば、放熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストによって、カーボン層部から外部へ確実かつ高効率に放熱することができるだけでなく、この金属ペースト又はカーボンペーストがグランドパターンとカーボン層部との電気的な接続経路を兼ねているので、グランドパターンとカーボン層部とを電気的に接続するための接続経路を別途設ける必要がなく、その分、加工コストや材料コストなどを抑制することができるという効果がある。
また、カーボン層部が電気的に孤立した状態におかれるとコンデンサとして作用して電子部品に悪影響を及ぼすおそれがあり、特に、カーボン層部の面積を大きくした場合には、この問題が顕著となる。そこで、上述のように、カーボン層部をグランドパターン(グランド)に接続することにより、カーボン層部がコンデンサとして作用することを回避して、電子部品へ影響を及ぼすことを抑制することができるという効果がある。
電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の両面に形成される配線パターン層と、カーボンを主体として構成され、前記絶縁材部を介することにより前記配線パターン層と離間されて積層状に配設される少なくとも1層の板状のカーボン含有部材とを備えたプリント基板の製造方法において、前記電気絶縁性材料により予め被覆された前記板状のカーボン含有部材である被覆カーボン含有部材と、前記配線パターン層を形成するための導体層との間に、前記電気絶縁性材料を介在させて圧着してプリント基板用積層板を形成するプリント基板用積層板形成工程を備え、前記プリント基板用積層板形成工程で使用する前記被覆カーボン含有部材の一部又は全部は、少なくとも片方の表面における所定の位置に、金属から構成される位置決めパターンが形成されていることを特徴とするプリント基板の製造方法1。
プリント基板の製造方法1において、前記プリント基板用積層板形成工程に先立って、前記電気絶縁性材料を前記板状のカーボン含有部材の両面に圧着することにより、前記被覆カーボン含有部材を形成する被覆カーボン含有部材形成工程を備え、前記被覆カーボン含有部材形成工程は、前記板状のカーボン含有部材の両面に、前記電気絶縁性材料を積層すると共に、その電気絶縁性材料の外側にエッチング除去可能な金属から構成される金属板を積層する積層工程と、その積層工程により積層された前記カーボン含有部材と前記電気絶縁性材料と前記金属板とを圧着して積層体を得る圧着工程と、その圧着工程による圧着により得られた積層板における片面の金属板の所定の位置にエッチングによって前記位置決めパターンを形成する位置決めパターン形成工程とを含むことを特徴とするプリント基板の製造方法2。
電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の両面に配設される配線パターン層と、カーボンを主体として構成され、前記絶縁材部を介することにより前記配線パターン層と離間されて積層状に配設される少なくとも1層の板状のカーボン含有部材とを備えたプリント基板の製造方法において、前記電気絶縁性材料から構成されるコア層とそのコア層の片面に前記配線パターン層を形成するための導体層とを有する外層用コア材を1つ又は2つ用い、前記外層用コア材の導体層を最外層に配し、前記外層用コア材における前記導体層とは反対側の面と前記カーボン含有部材との間に、前記電気絶縁性材料を介在させて圧着してプリント基板用積層板を形成するプリント基板用積層板形成工程とを備え、前記外層用コア材の少なくとも1つは、前記導体層とは反対側の面における所定の位置に、金属から構成される位置決めパターンが形成されていることを特徴とするプリント基板の製造方法3。
プリント基板の製造方法3において、エッチング除去可能な金属から構成される金属板が前記コア層の両面に積層された材料における片面の金属板の所定の位置にエッチングによって前記位置決めパターンを形成し、前記位置決めパターンが形成されている外層用コア材を得る位置決めパターン含有外層用コア材作成工程を備えていることを特徴とするプリント基板の製造方法4。
プリント基板の製造方法3又は4において、前記プリント基板用積層板形成工程では、前記板状のカーボン部材として、その両面に前記電気絶縁性材料が予め被覆された被覆カーボン含有部材が使用され、前記プリント基板用積層板形成工程に先立って、前記被覆カーボン含有部材を形成する被覆カーボン含有部材形成工程を備え、前記被覆カーボン含有部材形成工程は、前記板状のカーボン含有部材の両面に、前記電気絶縁性材料を積層すると共に、その電気絶縁性材料の外側にエッチング除去可能な金属から構成される金属板を積層する積層工程と、その積層工程により積層された前記カーボン含有部材と前記電気絶縁性材料と前記金属板とを圧着して積層体を得る圧着工程と、その圧着工程による圧着により得られた積層板における両面の金属板をエッチングにより除去し、前記被覆カーボン含有部材を得る金属板除去工程とを含むことを特徴とするプリント基板の製造方法5。
プリント基板の製造方法1から5のいずれかにおいて、前記プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板に貫通孔を穿設する穿孔工程を備え、前記位置決めパターンは、前記穿孔工程により穿設される前記貫通孔の位置の基準とする位置に形成されることを特徴とするプリント基板の製造方法6。
プリント基板の製造方法6において、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された前記配線パターン層を電気的に接続するための電気的接続用の貫通孔が、前記穿設工程により前記プリント基板用積層板に穿設される場合には、前記プリント基板用積層板形成工程に先立って、前記電気的接続用の貫通孔に対応する位置に、その電気的接続用の貫通孔の外周より大きい外周の孔を、前記カーボン含有部材、又は、前記被覆カーボン含有部材形成工程により得られた被覆カーボン含有部材に穿設する第1のカーボン含有部材穿孔工程を備えていることを特徴とするプリント基板の製造方法7。
プリント基板の製造方法1から7のいずれかにおいて、前記カーボン含有部材、又は、前記電気絶縁性材料により予め被覆された前記板状のカーボン含有部材である被覆カーボン含有部材に、所定の製品外形に切り離す際の分離線上に配置される複数の孔を穿設する第2のカーボン含有部材穿孔工程とを備えていることを特徴とするプリント基板の製造方法8。
電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の少なくとも一方の表面に配設される配線パターン層、又は、その絶縁材部の少なくとも一方の表面および内部に配設される配線パターン層と、カーボンを主体として構成され、前記絶縁材部を介することにより前記配線パターン層と離間されて積層状に配設される少なくとも1層の板状のカーボン含有部材とを備えたプリント基板の製造方法において、前記カーボン含有部材、又は、前記電気絶縁性材料により予め被覆された前記板状のカーボン含有部材である被覆カーボン含有部材に、所定の製品外形に切り離す際の分離線上に配置される複数の孔を穿設するカーボン含有部材穿孔工程と、そのカーボン含有部材穿孔工程により複数の孔が穿設された前記カーボン含有部材又は前記被覆カーボン含有部材と、前記配線パターン層、又は、配線パターン層を形成するための導体層との間に、前記電気絶縁性材料を介在させて圧着してプリント基板用積層板を形成するプリント基板用積層板形成工程とを備えていることを特徴とするプリント基板の製造方法9。
プリント基板の製造方法8又は9において、前記分離線が多角形を描く場合には、前記第2のカーボン含有部材穿孔工程又は前記カーボン含有部材穿孔工程は、該多角形の角部に少なくとも孔を穿設することを特徴とするプリント基板の製造方法10。
プリント基板の製造方法8から10のいずれかにおいて、前記プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板又はそのプリント基板用積層板を用いて作製された製品を前記分離線に沿って、所定の製品外形に切り離す外形加工工程を備えていることを特徴とするプリント基板の製造方法11。
プリント基板の製造方法11によれば、プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板又はそのプリント基板用積層板を用いて作製された製品は、外形加工工程により、分離線に沿って所定の製品外形に切り離される。カーボン含有部材穿孔工程によって穿設された複数の孔に充填された電気絶縁性材料から形成された絶縁材部によって分断された点線状に露出されているので、切り離しの際の衝撃による破損が抑制されると共に、破損し難いプリント基板を得ることができるという効果がある。
プリント基板の製造方法1から11のいずれかにおいて、前記板状のカーボン含有部材は、熱伝導性材料から編成された網状体の空隙にカーボンを主体とする材料を充填したものであることを特徴とするプリント基板の製造方法12。
プリント基板の製造方法12によれば、板状のカーボン含有部材は、熱伝導性材料から編成された網状体の空隙にカーボンを主体とする材料を充填したものであるので、網状体によって、カーボン間の結合の弱さが補強される。よって、プリント基板の製造時におけるカーボン含有部材の縁端部からのカーボン片の脱落が防止されるので、その結果として、カーボン片の脱落に起因する配線不良の発生率を低くできるという効果がある。
プリント基板の製造方法1から12のいずれかにおいて、前記板状のカーボン含有部材は、カーボンを主体とする材料から圧延加工によって得られたシート状の形態であることを特徴とするプリント基板の製造方法13。
プリント基板の製造方法13によれば、板状のカーボン含有部材は、カーボンを主体とする材料から圧延加工によって得られたシート状の形態を有しているので、プリント基板全体の薄型化を図ることができるという効果がある。
プリント基板の製造方法1から13のいずれかにおいて、前記プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板における前記絶縁材部の表面に設けられた前記導体層から配線パターン層を形成する外層配線パターン形成工程と、その外層配線パターン形成工程により形成された配線パターン層上にソルダレジスト膜を形成して前記プリント基板を得るソルダレジスト膜形成工程とを備えていることを特徴とするプリント基板の製造方法14。
プリント基板の製造方法14によれば、外層配線パターン形成工程により、プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板における絶縁材部の表面に設けられた導体層は、その導体層から配線パターン層が形成される。次いで、ソルダレジスト膜形成工程により、配線パターン層の上にソルダレジスト膜が形成されると、プリント基板が得られる。このプリント基板は内層にカーボン含有部材を有するものであるので、放熱性に優れたプリント基板を得ることができるという効果がある。
プリント基板の製造方法1から14のいずれかにおいて、前記プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板に貫通孔を穿設する穿孔工程と、その穿孔工程により穿設される貫通孔が、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された前記配線パターン層を電気的に接続するための電気的接続用の貫通孔である場合に、前記電気的接続用の貫通孔に、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁された前記配線パターン層を電気的に接続するめっきを施す貫通孔めっき工程とを備えていることを特徴とするプリント基板の製造方法15。
プリント基板の製造方法15によれば、穿孔工程によってプリント基板用積層板に穿設される貫通孔が、絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された配線パターン層を電気的に接続するための電気的接続用の孔を備えている場合には貫通孔めっき工程において、穿設された貫通孔にめっきが施されることにより、絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された配線パターン層が電気的に接続される。よって、カーボン含有部材を内層に有することにより放熱性に優れた多層プリント基板を得ることができるという効果がある。
プリント基板の製造方法1から15のいずれかにおいて、前記プリント基板は、前記絶縁材部の表面に設けられ、その上に1又は複数の電子部品が実装される前記配線パターン層と、前記カーボン含有部材とを連結するための放熱用孔を備えており、前記プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板に、前記放熱用孔を穿設する放熱用孔穿孔工程と、その放熱用孔穿孔工程により穿設された放熱用孔に放熱性材料を充填する放熱性材料充填工程とを備えていることを特徴とするプリント基板の製造方法16。
プリント基板の製造方法16によれば、プリント基板が、絶縁材部の表面に設けられ、その上に1又は複数の電子部品が実装される配線パターン層と、カーボン含有部材とを連結するための放熱用孔を備えている場合には、放熱用孔穿孔工程において、プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板に放熱用孔が穿設される。次いで、放熱性材料充填工程において、放熱用孔穿孔工程により穿設された放熱用孔に放熱性材料が充填される。よって、この製造方法により製造されたプリント基板は、電子部品を熱源として発生される熱をカーボン含有部材に効率的に伝達できる。即ち、電子部品から発せられる熱を高効率で放熱し、電子部品の冷却を高効率に行い得るプリント基板を得ることができるという効果がある。
本発明の第1実施形態におけるプリント基板の上面図である。 図1のII−II線におけるプリント基板の側断面図である。 第1実施形態のプリント基板の製造方法を示すフローチャートである。 (a)は、被覆カーボンシート形成工程におけるレイアップ工程を説明する模式図であり、(b)は、被覆カーボンシート形成工程における積層プレス工程を説明する模式図であり、(c)は、被覆カーボンシート形成工程における銅箔除去工程を説明する模式図であり、(d)は、被覆カーボンシート形成工程の後に行う孔開け工程を説明する模式図である。 (a)は、積層板形成工程におけるレイアップ工程を説明する模式図であり、(b)は、積層板形成工程における積層プレス工程を説明する模式図である。 積層板形成工程の後に行う孔開け工程を説明する模式図である。 第2実施形態のプリント基板の製造方法を示すフローチャートである。 (a)は、被覆カーボンシート形成工程における内層パターン形成工程を説明する模式図であり、(b)は、積層板形成工程におけるレイアップ工程を説明する模式図であり、(c)は、積層板形成工程における積層プレス工程を説明する模式図である。 積層板形成工程の後に行う孔開け工程を説明する模式図である。 第3実施形態のプリント基板の製造方法を示すフローチャートである。 (a)は、コア材形成工程を説明する模式図であり、(b)は、積層板形成工程におけるレイアップ工程を説明する模式図であり、(c)は、積層板形成工程の後に行う孔開け工程を説明する模式図である。 (a)は、第4実施形態のプリント基板が面付された被覆カーボンシートを示す模式図であり、(b)は、(a)におけるD部の拡大図である。 (a)は、図12(b)におけるXIIIa−XIIIa線における被覆カーボンシートの模式的な側断面図であり、(b)は、第4実施形態のプリント基板の断面(端面)の模式的な側断面図である。 第5実施形態のプリント基板に使用するカーボンシートを示す模式図である。 カーボンシートが、絶縁板の内部に積層状に2層配設された銅張り積層板を例示した模式図であり、(a)は、第1実施形態のプリント基板を得るための銅張り積層板を示す模式図であり、(b)は、第2実施形態のプリント基板を得るための銅張り積層板を示す模式図である。
符号の説明
1,100 プリント基板
2 電子部品
3 導電パターン(配線パターン層)
3a,30a 銅箔層(配線パターン層,導体層)
3b めっき層(配線パターン層)
4 絶縁板(絶縁材部)
5,50 カーボンシート(カーボン層,カーボン含有部材)
5a 開口部(孔)
6 受熱孔部(受熱孔部,放熱用孔)
7 放熱孔部(放熱孔部,放熱用孔)
8 カーボンペースト(放熱性材料)
9 受熱パターン
10 グランドパターン
11 めっき層
12 レジスト層(ソルダレジスト膜)
15 被覆層(絶縁材部の一部)
220,30b 位置決めパターン
31 コア層(絶縁材部の一部)
45 孔
50a カーボン含有材料(カーボンを主体とする材料)
50b 銅線(熱伝導性材料)
A,A1 被覆カーボンシート(被覆カーボン含有部材)
Cb コア材(外層用コア材)
Cu 銅箔層(金属板)
P プリプレグ(電気絶縁性材料)
TH スルーホール(電気的接続用の貫通孔)
S1 被覆カーボンシート形成工程(被覆カーボン含有部材形成工程)
S1’ 被覆カーボンシート形成工程(被覆カーボン含有部材形成工程)
S1a レイアップ工程(積層工程)
S1b 積層プレス工程(圧着工程)
S1c 銅箔層除去工程(金属板除去工程)
S1d 内層パターン形成工程(位置決めパターン形成工程)
S3 孔開け工程(第1のカーボン含有部材穿孔工程,第2のカーボン含有部材穿孔工程,カーボン含有部材穿孔工程)
S4 積層板形成工程(プリント基板用積層板形成工程)
S5 孔開け工程(穿孔工程,放熱用孔穿孔工程)
S6 カーボンペースト充填工程(放熱性材料充填工程)
S7 めっき工程(貫通孔めっき工程)
S8 外層回路形成工程(外層配線パターン形成工程)
S9 レジストインク塗布工程(ソルダレジスト膜形成工程)
S10 外形加工工程
S20 コア材形成工程(位置決めパターン含有外層用コア材形成工程)

Claims (20)

  1. 電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の両面に形成される配線パターン層とを備え、1又は複数の電子部品が実装されるプリント基板において、
    カーボンを主体として構成される少なくとも1層のカーボン層部を備え、
    そのカーボン層部が前記絶縁材部の内部に積層状に配設されており、
    前記絶縁材部の内部に積層状に配設される前記カーボン層部は、前記カーボン層部の両面に、前記電気絶縁性材料から形成された被覆層が予め形成された被覆層形成カーボン層部を、前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって形成されたものであり、
    前記被覆カーボン層部の一部又は全部は、少なくとも片方の表面における所定の位置に、金属から構成される位置決めパターンが形成されていることを特徴とするプリント基板。
  2. 前記被覆層形成カーボン層部は、前記カーボン層部の両面に、前記電気絶縁性材料を積層すると共に、その電気絶縁性材料の外側にエッチング除去可能な金属から構成される金属板を積層して圧着した後、エッチングにより前記金属板における前記所定の位置に位置決めパターンを形成することによって得られたものであることを特徴とする請求項1記載のプリント基板。
  3. 電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の両面に形成される配線パターン層とを備え、1又は複数の電子部品が実装されるプリント基板において、
    前記絶縁材部の内部に積層状に配設された、カーボンを主体として構成される少なくとも1層のカーボン層部を備え、
    前記電気絶縁性材料から構成されるコア層とそのコア層の片面に前記配線パターン層を形成するための導体層とを有する外層用コア材を1つ又は2つ用い、前記外層用コア材の導体層を最外層に配し、前記外層用コア材における前記導体層とは反対側の面と前記カーボン層部との間に、前記絶縁材部を形成する電気絶縁性材料を介在させて圧着して形成されたプリント基板用積層板から得られたものであり、
    前記外層用コア材の少なくとも1つは、前記導体層とは反対側の面における所定の位置に金属から構成される位置決めパターンが形成されていることを特徴とするプリント基板。
  4. 前記位置決めパターンが形成されている外層用コア材は、エッチング除去可能な金属から構成される金属板が前記コア層の両面に積層された材料における片面の金属板の所定の位置にエッチングによって前記位置決めパターンを形成して得られたものであることを特徴とする請求項3記載のプリント基板。
  5. 前記絶縁材部の内部に積層状に配設される前記カーボン層部は、その両面に、前記電気絶縁性材料から形成される被覆層を予め被覆した後、その被覆層形成カーボン層部を前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって形成されたものであることを特徴とする請求項3又は4に記載のプリント基板。
  6. 前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁された前記配線パターン層を電気的に接続するための電気的接続用の貫通孔を備え、
    前記位置決めパターンは、前記電気的接続用の貫通孔を穿設する際の基準とする位置に形成されていること特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のプリント基板。
  7. 前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁された前記配線パターン層を電気的に接続するための電気的接続用の貫通孔を備え、
    前記カーボン層部又は前記被覆層形成カーボン層部には、前記電気的接続用の貫通孔に対応する位置に、その電気的接続用の貫通孔の外周より大きい外周の孔が、前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着される前に予め形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のプリント基板。
  8. 前記カーボン層部又は前記被覆層形成カーボン層部には、所定の製品外形に切り離す際の分離線上に、複数の孔が、前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着される前に予め形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のプリント基板。
  9. 電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の少なくとも一方の表面、又は、その絶縁材部の少なくとも一方の表面及び内部に形成される配線パターン層とを備え、1又は複数の電子部品が実装されるプリント基板において、
    カーボンを主体として構成される少なくとも1層のカーボン層部を備え、
    そのカーボン層部が前記絶縁材部の内部又は表面に積層状に配設されており、
    前記絶縁材部の内部に積層状に配設される前記カーボン層部は、前記カーボン層部、又は、前記電気絶縁性材料から形成された被覆層が前記カーボン層部の両面に予め形成された被覆層形成カーボン層部を、前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって形成されたものであり、
    前記カーボン層部又は前記被覆層形成カーボン層部には、所定の製品外形に切り離す際の分離線上に、複数の孔が、前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着される前に予め形成されていることを特徴とするプリント基板。
  10. 前記分離線が多角形を描く場合には、前記複数の孔は、少なくとも、前記多角形の角部に配置されていることを特徴とする請求項8又は9に記載のプリント基板。
  11. 電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の両面に形成される配線パターン層と、カーボンを主体として構成され、前記絶縁材部を介することにより前記配線パターン層と離間されて積層状に配設される少なくとも1層の板状のカーボン含有部材とを備えたプリント基板の製造方法において、
    前記電気絶縁性材料により予め被覆された前記板状のカーボン含有部材である被覆カーボン含有部材と、前記配線パターン層を形成するための導体層との間に、前記電気絶縁性材料を介在させて圧着してプリント基板用積層板を形成するプリント基板用積層板形成工程を備え、
    前記プリント基板用積層板形成工程で使用する前記被覆カーボン含有部材の一部又は全部は、少なくとも片方の表面における所定の位置に、金属から構成される位置決めパターンが形成されていることを特徴とするプリント基板の製造方法。
  12. 前記プリント基板用積層板形成工程に先立って、前記電気絶縁性材料を前記板状のカーボン含有部材の両面に圧着することにより、前記被覆カーボン含有部材を形成する被覆カーボン含有部材形成工程を備え、
    前記被覆カーボン含有部材形成工程は、
    前記板状のカーボン含有部材の両面に、前記電気絶縁性材料を積層すると共に、その電気絶縁性材料の外側にエッチング除去可能な金属から構成される金属板を積層する積層工程と、
    その積層工程により積層された前記カーボン含有部材と前記電気絶縁性材料と前記金属板とを圧着して積層体を得る圧着工程と、
    その圧着工程による圧着により得られた積層板における片面の金属板の所定の位置にエッチングによって前記位置決めパターンを形成する位置決めパターン形成工程とを含むことを特徴とする請求項11記載のプリント基板の製造方法。
  13. 電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の両面に配設される配線パターン層と、カーボンを主体として構成され、前記絶縁材部を介することにより前記配線パターン層と離間されて積層状に配設される少なくとも1層の板状のカーボン含有部材とを備えたプリント基板の製造方法において、
    前記電気絶縁性材料から構成されるコア層とそのコア層の片面に前記配線パターン層を形成するための導体層とを有する外層用コア材を1つ又は2つ用い、前記外層用コア材の導体層を最外層に配し、前記外層用コア材における前記導体層とは反対側の面と前記カーボン含有部材との間に、前記電気絶縁性材料を介在させて圧着してプリント基板用積層板を形成するプリント基板用積層板形成工程とを備え、
    前記外層用コア材の少なくとも1つは、前記導体層とは反対側の面における所定の位置に、金属から構成される位置決めパターンが形成されていることを特徴とするプリント基板の製造方法。
  14. エッチング除去可能な金属から構成される金属板が前記コア層の両面に積層された材料における片面の金属板の所定の位置にエッチングによって前記位置決めパターンを形成し、前記位置決めパターンが形成されている外層用コア材を得る位置決めパターン含有外層用コア材作成工程を備えていることを特徴とする請求項13記載のプリント基板の製造方法。
  15. 前記プリント基板用積層板形成工程では、前記板状のカーボン部材として、その両面に前記電気絶縁性材料が予め被覆された被覆カーボン含有部材が使用され、
    前記プリント基板用積層板形成工程に先立って、前記被覆カーボン含有部材を形成する被覆カーボン含有部材形成工程を備え、
    前記被覆カーボン含有部材形成工程は、
    前記板状のカーボン含有部材の両面に、前記電気絶縁性材料を積層すると共に、その電気絶縁性材料の外側にエッチング除去可能な金属から構成される金属板を積層する積層工程と、
    その積層工程により積層された前記カーボン含有部材と前記電気絶縁性材料と前記金属板とを圧着して積層体を得る圧着工程と、
    その圧着工程による圧着により得られた積層板における両面の金属板をエッチングにより除去し、前記被覆カーボン含有部材を得る金属板除去工程とを含むことを特徴とする請求項13又は14に記載のプリント基板の製造方法。
  16. 前記プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板に貫通孔を穿設する穿孔工程を備え、
    前記位置決めパターンは、前記穿孔工程により穿設される前記貫通孔の位置の基準とする位置に形成されることを特徴とする請求項11から15のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
  17. 前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された前記配線パターン層を電気的に接続するための電気的接続用の貫通孔が、前記穿設工程により前記プリント基板用積層板に穿設される場合には、前記プリント基板用積層板形成工程に先立って、前記電気的接続用の貫通孔に対応する位置に、その電気的接続用の貫通孔の外周より大きい外周の孔を、前記カーボン含有部材、又は、前記被覆カーボン含有部材形成工程により得られた被覆カーボン含有部材に穿設する第1のカーボン含有部材穿孔工程を備えていることを特徴とする請求項16記載のプリント基板の製造方法。
  18. 前記カーボン含有部材、又は、前記電気絶縁性材料により予め被覆された前記板状のカーボン含有部材である被覆カーボン含有部材に、所定の製品外形に切り離す際の分離線上に配置される複数の孔を穿設する第2のカーボン含有部材穿孔工程とを備えていることを特徴とする請求項11から17のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
  19. 電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の少なくとも一方の表面に配設される配線パターン層、又は、その絶縁材部の少なくとも一方の表面および内部に配設される配線パターン層と、カーボンを主体として構成され、前記絶縁材部を介することにより前記配線パターン層と離間されて積層状に配設される少なくとも1層の板状のカーボン含有部材とを備えたプリント基板の製造方法において、
    前記カーボン含有部材、又は、前記電気絶縁性材料により予め被覆された前記板状のカーボン含有部材である被覆カーボン含有部材に、所定の製品外形に切り離す際の分離線上に配置される複数の孔を穿設するカーボン含有部材穿孔工程と、
    そのカーボン含有部材穿孔工程により複数の孔が穿設された前記カーボン含有部材又は前記被覆カーボン含有部材と、前記配線パターン層、又は、配線パターン層を形成するための導体層との間に、前記電気絶縁性材料を介在させて圧着してプリント基板用積層板を形成するプリント基板用積層板形成工程とを備えていることを特徴とするプリント基板の製造方法。
  20. 前記分離線が多角形を描く場合には、前記第2のカーボン含有部材穿孔工程又は前記カーボン含有部材穿孔工程は、該多角形の角部に少なくとも孔を穿設することを特徴とする請求項18又は19に記載のプリント基板の製造方法。




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