JP2008176304A - 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子および光学部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジアミン成分に3,5−ジアミノベンジル=シンナメートの如きジアミンを用いて得られたポリアミック酸またはそのイミド化重合体を含有する液晶配向剤。
【選択図】なし
Description
このような液晶セルにおける液晶を配向させる手段としては、基板表面に有機膜を形成し、次いでその有機膜表面をレーヨンなどの布材で一方向にこするラビング処理を施すことにより液晶配向能を付与する方法、基板表面に酸化珪素を斜方蒸着する方法またはラングミュア・ブロジェット法(LB法)を用いて長鎖アルキル基を有する単分子膜を形成する方法などがある。このうち、基板サイズ、液晶の配向均一性、処理時間および処理コストの観点からラビング処理によるのが一般的である。
液晶セルにおける液晶を配向させる別の手段として、基板表面に形成したポリビニルシンナメート、ポリ(4’−メタクリロイロキシカルコン)などの感光性薄膜に偏光または非偏光の放射線を照射することにより、液晶配向能を付与する光配向技術が知られている。この方法によれば、静電気やほこりを発生することなく、均一な液晶配向を実現できる(特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10および特許文献11参照)。
このような光学部材の製造方法としては、従来、延伸配向した樹脂フィルムを用いる方法など、多くの方法が知られている。しかし、このような方法により製造した光学部材は、その全面にわたって同一の光学特性を有するものであり、面内の異なる領域に異なる光学特性を有するものを得ることはできなかった。
このように、前記光配向技術により製造した液晶配向膜は、液晶表示素子及び光学部材に有効に適用されうるものである。しかしながら、ポリビニルシンナメートなどの光架橋性材料を利用する従来の光配向技術には、安定な液晶配向能を得るのに必要な放射線照射量が多いという問題があった。すなわち、このような液晶配向膜においては、放射線照射により生じる架橋構造によって液晶配向膜の異方性が保持されているので、放射線照射量が十分大きくない場合には、その液晶配向能が不安定になる。
下記式(I)および(II):
のそれぞれで表される単位よりなる群から選ばれる少なくとも1つの単位を有する重合体を含有することを特徴とする液晶配向剤によって達成される。
本発明の液晶配向剤からなる薄膜に、偏光または非偏光の放射線を照射して液晶配向能を付与することを特徴とする液晶配向膜の製造方法によって達成される。
本発明の上記製造方法により製造された液晶配向膜によって達成される。
本発明の液晶配向膜を有する液晶表示素子によって達成される。
本発明の液晶配向膜を用いてなる光学部材によって達成される。
本発明の液晶配向剤は、上記式(I)および(II)のそれぞれで表される単位よりなる群から選ばれる少なくとも1つの単位を有する重合体(以下、「特定重合体」とも言う)を含有する。
上記式(I)中のT1および上記式(II)中のT2は、4価の有機基である。
上記式(I)中のZ1および上記式(II)中のZ2は、上記式(III)で表される有機基または上記式(IV)で表される有機基(以下、「光反応部位」とも言う)であり、液晶配向膜に偏光または非偏光の放射線を照射したとき、方位選択的に光反応し、液晶配向能を発現する特性を有する。本発明で用いられる特定重合体においては、前記の光反応部位が、ポリアミック酸または剛直なポリイミド主鎖に強固に結合されているため、光反応により生じた構造の配向安定性が高い。このことの結果として、本発明の液晶配向膜は、少ない放射線照射量でも、安定した液晶配向性を発現する。
上記式(III)におけるS3および上記式(IV)におけるS4は、互いに独立に、炭素数0〜1の結合基または単結合である。S3で表される結合基としては、好ましくは、メチレン基を挙げることができる。また、S4で表される結合基としては、好ましくは、メチレン基、カルボニル基、エステル結合、ウレタン結合、尿素結合、カーボネート結合、エーテル結合、−CH2O−で表される基、−OCH2−で表される基、および、−SO2−で表される基、を挙げることができる。S3およびS4としては、これらのうち、単結合およびメチレン基が好ましい。
上記式(III)におけるQ3は、1価の芳香族基である。より具体的には、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基の如き炭素数6〜12の1価の芳香族基及び、これらの基中の1つまたは2つ以上の水素原子が、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数1〜6のハロアルコキシル基又はシアノ基で置換された基を挙げることができる。これらの1価の芳香族基の好ましいものとして、例えばフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ペンチルフェニル基、4−フルオロフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ペンチルフェニル基、3−フルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、ビフェニル基、4−フルオロビフェニル基、3,4−ジフルオロビフェニル基、3,4,5−トリフルオロビフェニル基、1−ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、2−ナフチル基および6−メトキシ−2−ナフチル基を挙げることができる。
また、上記式(IV)におけるX4は、1価の有機基であり、好ましくは置換基で置換されていてもよい炭素数1〜11の1価の有機基である。かかる有機基としては、例えば、置換基により適宜置換されていてもよい、炭素数1〜11のアルキル基、炭素数1〜11のハロアルキル基およびフェニル基を挙げることができる。
また、上記式(III)および(IV)におけるR1、R2、R3およびR4は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、好ましくは、水素原子またはメチル基であり、より好ましくは、水素原子である。
本発明の液晶配向剤に含有される特定重合体は、上記式(I)および(II)のそれぞれで表される単位から選ばれる少なくとも1つの単位を有する、ポリアミック酸およびイミド化重合体である。特定重合体であるポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物と、下記式(V)
で表されるジアミン化合物とを反応させることにより得られる。また、特定重合体であるイミド化重合体は、上記ポリアミック酸を脱水閉環することにより得られる。
特定重合体の合成に用いられる、上記式(V)で表されるジアミン化合物としては、具体的には、3,5−ジアミノベンジル=シンナメート、3,5−ジアミノベンジル=4−メトキシシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=4−ペンチルシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=4−フルオロシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=4−トリフルオロメチルシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=3−メトキシシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=3−ペンチルシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=3−フルオロシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=3−トリフルオロメチルシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=3,4−ジフルオロシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=3,4,5−トリフルオロシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=シンナメート、2,4−ジアミノベンジル=4−メトキシシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=4−ペンチルシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=4−フルオロシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=4−トリフルオロメチルシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=3−メトキシシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=3−ペンチルシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=3−フルオロシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=3−トリフルオロメチルシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=3,4−ジフルオロシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=3,4,5−トリフルオロシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=シンナメート、2,4−ジアミノフェニル=4−メトキシシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=4−ペンチルシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=4−フルオロシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=4−トリフルオロメチルシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=3−メトキシシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=3−ペンチルシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=3−フルオロシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=3−トリフルオロメチルシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=3,4−ジフルオロシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=3,4,5−トリフルオロシンナメート、メチル=4’−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)シンナメート、エチル=4’−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)シンナメート、ペンチル=4’−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)シンナメート、フェニル=4’−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)シンナメート、メチル=4’−(3,5−ジアミノベンジルオキシ)シンナメート、エチル=4’−(3,5−ジアミノベンジルオキシ)シンナメート、ペンチル=4’−(3,5−ジアミノベンジルオキシ)シンナメート、フェニル=4’−(3,5−ジアミノベンジルオキシ)シンナメート、メチル=4’−(2,4−ジアミノベンジルオキシ)シンナメート、エチル=4’−(2,4−ジアミノベンジルオキシ)シンナメート、ペンチル=4’−(2,4−ジアミノベンジルオキシ)シンナメート、フェニル=4’−(2,4−ジアミノベンジルオキシ)シンナメート、メチル=4’−(2,4−ジアミノフェノキシ)シンナメート、エチル=4’−(2,4−ジアミノフェノキシ)シンナメート、ペンチル=4’−(2,4−ジアミノフェノキシ)シンナメートおよびフェニル=4’−(2,4−ジアミノフェノキシ)シンナメートを挙げることができる。これらのうち、3,5−ジアミノベンジル=シンナメート、3,5−ジアミノベンジル=4−メトキシシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=4−トリフルオロメチルシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=シンナメート、2,4−ジアミノベンジル=4−メトキシシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=4−トリフルオロメチルシンナメート、メチル=4’−(2,4−ジアミノベンジルオキシ)シンナメート、エチル=4’−(2,4−ジアミノベンジルオキシ)シンナメートおよびペンチル=4’−(2,4−ジアミノベンジルオキシ)シンナメートが好ましい。これらのジアミン化合物は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
特定重合体であるポリアミック酸の合成においては、その性状を改善し、さらに、プレチルト角発現または垂直配向性などの機能を付与するために、上記式(V)で表されるジアミン化合物とともに、他のジアミン化合物を併用することができる。
特定重合体の合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、特開2004−163646の段落[0039]〜[0042]において「他のテトラカルボン酸二無水物」および「特定疎水基を有するテトラカルボン酸二無水物」として例示した化合物を挙げることができる。特開2004−163646の段落[0039]〜[0042]の記載は本明細書に合体される。又、それらのうち、好ましいものとして、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−8−メチル−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物および下記式(3)〜(6)のそれぞれで表される化合物を挙げることができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
特定重合体であるポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の使用割合は、ジアミン化合物に含まれるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.5〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中において、好ましくは−20〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。ここで、有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙げることができる。また、有機溶媒の使用量(a)は、好ましくはテトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるイミド化重合体および未反応のポリアミック酸の分子量が低下することがある。
イミド化重合体を室温で減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解させ、テトラメチルシランを基準物質として室温で1H−NMRを測定し、下記式(i)で示される式により求めることができる。
イミド化率(%)=(1−A1/A2×α)×100 −−−−−−(i)
A1:NH基のプロトン由来のピーク面積(10ppm)
A2:その他のプロトン由来のピーク面積
α :重合体の前駆体(ポリアミック酸)における、NH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合
上記ポリアミック酸およびイミド化重合体は、分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。このような末端修飾型のものは、ポリアミック酸を合成する際に、酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを反応系に添加することにより合成することができる。ここで、酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。また、モノアミン化合物としては、例えば、アニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。また、モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
特定重合体は、10重量%の溶液としたときに、20〜800mPa・sの粘度を持つものであることが好ましく、30〜500mPa・sの粘度を持つものであることがより好ましい。
なお、重合体の溶液粘度(mPa・s)は、所定の溶媒を用い、固形分濃度10重量%に希釈した溶液についてE型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
本発明の液晶配向剤は、特定重合体を含有する溶液からなる。この際用いられる溶剤としては、該重合体を溶解し得る有機溶剤であれば特に制限はない。このような溶媒としては、例えば、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。また、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した貧溶媒を併用することもできる。好ましい溶媒組成は、前記の溶媒を組み合わせて得られる組成であって、配向剤中で重合体が析出せず、かつ、配向剤の表面張力が25〜40mN/mの範囲となるような組成である。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度は、粘性、揮発性などを考慮して選択される。好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、基板表面に塗布され、液晶配向膜となる塗膜を形成するが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得難い。固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得難く、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣り易くなる。
また、本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは0℃〜200℃、より好ましくは20℃〜60℃である。
本発明の液晶配向剤は、溶液特性および電気特性の改善のため、特定重合体とともに、他の重合体を含有することができる。かかる他の重合体としては、例えば、特定重合体以外のポリアミック酸やポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらのうち、耐熱性および電気特性の点から、ポリアミック酸が好ましい。また、液晶配向剤に含有される全重合体に対する、特定重合体の比率は、1〜100重量%が好ましく、10〜90重量%がより好ましく、10〜70重量%が特に好ましい。
さらに、前述の多官能エポキシ含有化合物を使用する際、架橋反応を効率良く起こす目的で、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールなどの塩基触媒を添加することができる。
本発明の液晶配向剤を用いて液晶配向膜を形成する方法としては、例えば次の方法が挙げられる。まず、透明導電膜が設けられた基板の透明導電膜側に、本発明の液晶配向剤を、例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法等により塗布し、次いで、加熱して塗膜を形成させる。
前記基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスの如きガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィンの如きプラスチックフィルムからなる透明基板を用いることができる。
前記透明導電膜としては、SnO2からなるNESA膜、In2O3−SnO2からなるITO膜等を用いることができる。これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法、予めマスクを用いる方法等が用いられる。
前記光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマーレーザー、半導体レーザー、発光ダイオード等が使用できる。また、前記の好ましい波長領域の紫外線は、フィルター、回折格子等を前記光源と併用する手段等により得ることができる。
なお、本発明における「プレチルト角」とは、基板面と平行な方向からの液晶分子の傾きの角度を表わしている。
本発明の液晶配向剤を用いて形成される液晶表示素子は、次のようにして製造される。前記液晶配向膜が形成された基板を準備し、その2枚を液晶配向膜を照射した直線偏光放射線の偏光方向が所定の角度となるように対向させ、基板の間の周辺部をシール剤でシールし、液晶を充填し、充填孔を封止して液晶セルを構成する。次いで、液晶セルを、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで冷却して、注入時の流動配向を除去することが望ましい。
そして、その両面に偏光板の偏光方向がそれぞれ基板の液晶配向膜の配向容易軸と所定の角度を成すように偏光板を張り合わせることにより、液晶表示素子とする。液晶配向膜が形成された2枚の基板における、照射した直線偏光放射線の偏光方向の成す角度および、それぞれの基板と偏光板との角度を調整することにより、TN型またはSTN型液晶セルを有する液晶表示素子を任意に得ることができる。
前記シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有したエポキシ樹脂等を用いることができる。
液晶セルの外側に使用される偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と呼ばれる偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、またはH膜そのものからなる偏光板等を挙げることができる。
本発明の光学部材は、例えば、特開2004−20658号公報に記載されている種々の方法により製造することができる。それらのうち、特に好ましい方法は、本発明の液晶配向膜上に重合性液晶材料を塗布し、配向させたのち、これを放射線照射により重合させることにより固化させる方法である。
イミド化重合体を室温で減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解させ、テトラメチルシランを基準物質として室温で1H−NMRを測定し、下記式(i)で示される式により求めた。
イミド化率(%)=(1−A1/A2×α)×100 −−−−−−(i)
A1:NH基のプロトン由来のピーク面積(10ppm)
A2:その他のプロトン由来のピーク面積
α :重合体の前駆体(ポリアミック酸)における、NH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合
重合体の溶液粘度(mPa・s)は、所定の溶媒を用い、固形分濃度10%に希釈した溶液について、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
ポリアミック酸の重合
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物 0.1モル(22g)と3,5−ジアミノベンジル=シンナメート 0.1モル(27g)をN−メチル−2−ピロリドン300gに溶解させ、60℃で6時間反応させて、固形分濃度10重量%での溶液粘度50mPa・sのポリアミック酸溶液(以下、「重合体1a」という)約340gを得た。
175gの重合体1aに、N−メチル−2−ピロリドン210g、ピリジン7.9gおよび無水酢酸10.2gを添加し、120℃で4時間脱水閉環させた。イミド化反応後、系内の溶剤を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶剤置換し(本操作にてイミド化反応に使用したピリジン、無水酢酸を系外に除去した)、固形分濃度約10重量%、固形分濃度10重量%時(N−メチル−2−ピロリドン溶液)の溶液粘度約55mPa・s、イミド化率約50%のイミド化重合体溶液(以下、「重合体1b」という)約220gを得た。
ポリアミック酸の重合
3,5−ジアミノベンジル=シンナメート 0.1モル(27g)に替えて、2,4−ジアミノフェニル=シンナメート 0.1モル(25g)を用いたほかは合成例1と同様にして、固形分濃度10重量%での溶液粘度45mPa・sのポリアミック酸溶液(以下、「重合体2a」という)約340gを得た。
175gの重合体1aに替えて、176gの重合体2aを用いたほかは合成例1と同様にして、固形分濃度約10重量%、固形分濃度10重量%時(N−メチル−2−ピロリドン溶液)の溶液粘度約50mPa・s、イミド化率約47%のイミド化重合体溶液(以下、「重合体2b」という)約210gを得た。
ポリアミック酸の重合
3,5−ジアミノベンジル=シンナメート 0.1モル(27g)に替えて、メチル=4’−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)シンナメート 0.1モル(31g)を用いたほかは合成例1と同様にして、固形分濃度10重量%での溶液粘度37mPa・sのポリアミック酸溶液(以下、「重合体3a」という)約350gを得た。
175gの重合体1aに替えて、179gの重合体3aを用いたほかは合成例1と同様にして、固形分濃度約10重量%、固形分濃度10重量%時(N−メチル−2−ピロリドン溶液)の溶液粘度約45mPa・s、イミド化率約43%のイミド化重合体溶液(以下、「重合体3b」という)約240gを得た。
ポリアミック酸の重合
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物0.1モル(22g)とp−フェニレンジアミン0.1モル(11g)をN−メチル−2−ピロリドン300gに溶解させ、60℃で6時間反応させて、固形分濃度10重量%、溶液粘度78mPa・sのポリアミック酸溶液(以下、「重合体Aa」という)約330gを得た。
200gの重合体Aaに、N−メチル−2−ピロリドン90g、ピリジン9.5gおよび無水酢酸12.3gを添加し、120℃で4時間脱水閉環させた。イミド化反応後、系内の溶剤を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶剤置換し(本操作にてイミド化反応に使用したピリジン、無水酢酸を系外に除去した)、固形分濃度約10重量%、固形分濃度10重量%時(N−メチル−2−ピロリドン溶液)の溶液粘度約85mPa・s、イミド化率約50%のイミド化重合体溶液(以下、「重合体Ab」という)約150gを得た。
比較合成例1で得られた重合体Abをγ−ブチロラクトン/ブチルセロソルブ(1/1)の比率の混合溶媒により希釈して固形分濃度2.5重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過して、液晶配向剤(以下、「液晶配向剤P」という。)を調製した。この溶液をITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面上に、膜厚が0.1μmになるようにスピンナーを用いて塗布し、180℃で1時間乾燥させて薄膜を形成した。この薄膜に、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用いて、ロールの回転数500rpm、ステージの移動速度1cm/秒でラビング処理を行った。次に、前記ラビング処理を行った一対の基板について、液晶配向膜を形成した面に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷塗布した後、ラビング方向が直交するように基板を重ね合わせて圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマティック型液晶(メルク社製MLC−6221)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で加熱してから室温まで徐冷した後、偏光板を、その偏光方向が各基板の液晶配向膜のラビング方向と一致するように、基板の外側両面に貼り合わせて液晶表示素子を作製したところ、液晶の配向性は良好であった。電圧5Vを印加すると、印加した電圧のON−OFFに応答して液晶表示素子の明暗の変化が観察された。
参考例1と同様にして、液晶配向剤Pをガラス基板上に膜厚が0.1μmになるようにスピンナーを用いて塗布し、180℃で1時間乾燥させて薄膜を形成した。この薄膜に、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用いて、ロールの回転数500rpm、ステージの移動速度1cm/秒でラビング処理を行った。
4−(4−n−ブチルシクロヘキシル)シクロヘキシルアクリレート 50重量部、4−(4−n−プロピルシクロヘキシル)フェニルアクリレート 50重量部、光重合開始剤IRGACURE907(登録商標)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン)1重量部、および溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 100重量部を混合し、重合性液晶を調製した。
ラビング処理された配向膜上に、スピンナーを用いてこの重合性液晶を塗布して配向させた。次に、塗布された重合性液晶を重合、固化させるため、窒素雰囲気下、高圧水銀灯を用いて100mW/cm2で1分間紫外線を照射した。重合性液晶中の溶媒は、紫外線照射による昇温により揮発、除去された。
このようにして、無色透明であり、面内で均一な遅行軸方位およびリターデーションを有する位相差板を得た。
重合体Abに替えて、合成例1で得られた重合体1aを用いたほかは参考例1と同様にして、液晶配向剤(以下、「液晶配向剤1a」という。)を調製した。この液晶配向剤を用いて、参考例1と同様に基板上に薄膜を形成し、この薄膜表面にランテクニカルサービス社製紫外線偏光露光装置LPU−2000Sを用いて、直線偏光した紫外線50mJ/cm2(313nm)を照射した。次に、液晶配向膜を重ね合わせる向きをラビング方向の代わりに紫外線の偏光方向に従った以外は、参考例1と同様の方法で液晶表示素子を作製したところ、液晶の配向性は良好であった。参考例1と同様の条件で電圧を印加すると、印加した電圧のON−OFFに応答して、液晶表示素子の明暗の変化が観察された。
重合体Abに替えて、合成例2〜3で得られた重合体2a〜3aを用いたほかは参考例1と同様にして、液晶配向剤(以下、各々、「液晶配向剤2a〜3a」という。)を調製した。
液晶配向剤1aに替えて、液晶配向剤2a〜3aを用いたほかは、実施例1と同様にして液晶表示素子を作製したところ、液晶の配向性は良好であった。参考例1と同様の条件で電圧を印加すると、印加した電圧のON−OFFに応答して、液晶表示素子の明暗の変化が観察された。
重合体Abに替えて、合成例1〜3で得られた重合体1b〜3bを用いたほかは参考例1と同様にして、液晶配向剤(以下、各々、「液晶配向剤1b〜3b」という。)を調製した。
液晶配向剤1aに替えて、液晶配向剤1b〜3bを用いたほかは、実施例1と同様にして液晶表示素子を作製したところ、液晶の配向性は良好であった。参考例1と同様の条件で電圧を印加すると、印加した電圧のON−OFFに応答して、液晶表示素子の明暗の変化が観察された。
液晶配向剤1aを用いて、参考例2と同様に基板上に薄膜を形成し、この薄膜表面にランテクニカルサービス社製紫外線偏光露光装置LPU−2000Sを用いて、直線偏光した紫外線50mJ/cm2(313nm)を照射した。次に、参考例2と同様にして、重合性液晶を塗布し、さらに重合、固化させて、位相差板を作成した。
このようにして、無色透明であり、面内で均一な遅行軸方位およびリターデーションを有する位相差板を得た。
液晶配向剤1aに替えて、液晶配向剤2a〜3aを用いたほかは、実施例7と同様にして、位相差板を作成した。
このようにして、無色透明であり、面内で均一な遅行軸方位およびリターデーションを有する位相差板を得た。
液晶配向剤1aに替えて、液晶配向剤1b〜3bを用いたほかは、実施例7と同様にして、位相差板を作成した。
このようにして、無色透明であり、面内で均一な遅行軸方位およびリターデーションを有する位相差板を得た。
液晶配向剤Pを用いた以外は、実施例1と同様に液晶表示素子を作製したところ、液晶配向は認められなかった。
液晶配向剤Pを用いた以外は、実施例2と同様にして位相差板を作製した。得られた位相差板は白濁しており、また、リタデーションを持たなかった。
Claims (5)
- 下記式(I)および(II):
(IV)で表される有機基である。
のそれぞれで表される単位よりなる群から選ばれる少なくとも1つの単位を有する重合体を含有することを特徴とする液晶配向剤。 - 請求項1に記載の液晶配向剤からなる薄膜に、偏光または非偏光の放射線を照射して液晶配向能を付与することを特徴とする液晶配向膜の製造方法。
- 請求項2に記載の方法により製造された液晶配向膜。
- 請求項3に記載の液晶配向膜を有することを特徴とする液晶表示素子。
- 請求項3に記載の液晶配向膜上で液晶物質を配向させそして配向状態を固定してなる光学部材。
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