JP2008171640A - 放電灯点灯回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】放電灯の点灯起動時から定常点灯時に亘って点灯安定性を十分に向上させること。
【解決手段】この放電灯点灯回路1は、直流電源Bの出力を交流電力に変換するハーフブリッジインバータ5と、ハーフブリッジインバータ5を駆動するためのブリッジドライバ6とを有する電力供給部2と、ブリッジドライバ6の駆動周波数Fを制御するための制御信号S1を生成する制御部3とを備え、制御部3は、乱数信号を発生させる乱数発生回路21を有し、N/F(Nは1以上の整数)の時間間隔で、該乱数信号に従った変化量だけ駆動周波数Fを変化させる。
【選択図】図1
【解決手段】この放電灯点灯回路1は、直流電源Bの出力を交流電力に変換するハーフブリッジインバータ5と、ハーフブリッジインバータ5を駆動するためのブリッジドライバ6とを有する電力供給部2と、ブリッジドライバ6の駆動周波数Fを制御するための制御信号S1を生成する制御部3とを備え、制御部3は、乱数信号を発生させる乱数発生回路21を有し、N/F(Nは1以上の整数)の時間間隔で、該乱数信号に従った変化量だけ駆動周波数Fを変化させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、放電灯点灯回路に関するものである。
車両の前照灯などに用いられるメタルハライドランプ等の放電灯を点灯させるためには、電力を安定的に供給するための点灯回路(バラスト)が必要となる。例えば、特許文献1に開示された放電灯点灯回路は、ハーフブリッジインバータを含む直流−交流変換回路を備えており、この直流−交流変換回路から放電灯へ交流電力が供給される。そして、供給電力の大きさは、ハーフブリッジインバータの駆動周波数を変化させることにより制御される。
また、放電灯を高周波で点灯する場合においては、放電管の形状や放電管内の音速等によって決まる周波数で放電管内の気圧と点灯周波数が共鳴する現象(以下、音響共鳴現象という)が発生し、その際に放電灯の配光が乱れたり、立ち消えを起こしたりする場合がある。自動車用前照灯における上記従来の放電灯点灯回路では、放電灯を正弦波状の高周波で駆動する場合に、放電灯の音響共鳴を回避するためにその駆動周波数をメガヘルツオーダに規定することが行われている。
特開2006−72817号公報
しかしながら、放電灯において音響共鳴現象の発生する周波数(以下、音響共鳴周波数という)は、放電灯の点灯起動直後から定常点灯に移行するまでの間で変動するために、駆動周波数の周波数範囲を規定することによっては安定したアーク放電が得られない場合がある。具体的には、放電灯の起動直後は放電管内の気圧が低いために音響共鳴周波数は高周波側にシフトし、定常点灯時には音響共鳴現象の発生しない周波数でも起動直後においては音響共鳴現象が生じてしまう可能性がある。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、放電灯の点灯起動時から定常点灯時に亘って点灯安定性を十分に向上させることが可能な放電灯点灯回路を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の放電灯点灯回路は、放電灯を点灯するための交流電力を該放電灯へ供給する放電灯点灯回路であって、直流電源の出力を交流電力に変換するインバータ回路と、インバータ回路を駆動するための駆動回路とを有する電力供給部と、駆動回路の駆動周波数Fを制御するための制御信号を生成する制御部とを備え、制御部は、乱数信号を発生させる乱数発生回路を有し、N/F(Nは1以上の整数)の時間間隔で、該乱数信号に従った変化量だけ駆動周波数Fを変化させる。
このような放電灯点灯回路によれば、電力供給部のインバータ回路が駆動周波数Fで駆動されることによって、直流電力が交流電力に変換されて放電灯に供給される。このとき、制御部によって生成される制御信号によって駆動周波数Fが制御され、その駆動周波数Fは、制御部によってN/Fの時間間隔で発生された規則性の少ない乱数信号に従った変化量で変化する。これにより、インバータ回路の駆動周波数を、放電灯の放電管内で生じる粗密波の間で異なる周波数に設定することができるので、放電灯の点灯起動時から定常点灯時に亘って音響共鳴現象を確実に低減することができる。その結果、放電灯における点灯起動時の立ち消えや配光の乱れを十分に防止することができる。
制御部は、駆動周波数Fの変化の周期である時間間隔よりも長く、且つ、放電灯の音響共鳴周波数の逆数よりも長い周期で周期性を有するように乱数信号を発生させることが好ましい。
この場合、乱数信号の発生周期の間の放電灯への投入電力の平均を求めることで任意の時点での投入電力が特定されるので、放電灯への投入電力を容易に制御することができる。併せて、乱数信号の発生周期を音響共鳴周波数の逆数よりも長くすることで放電灯における音響共鳴現象をより確実に防止することができる。
また、乱数発生回路は、シフトレジスタと排他的論理和ゲートとを含み、乱数信号としてシフトレジスタの桁数によって決まる周期性を有するM系列を生成することが好ましい。
かかる構成を採れば、シフトレジスタ及び排他的論理和ゲートを含む比較的小規模な回路で駆動周波数の制御を実現することができる。
さらに、制御部は、放電灯の点灯起動時の所定時間帯において、乱数信号に従った変化量だけ駆動周波数Fを変化させることも好ましい。
放電灯の点灯始動直後は放電灯内の気圧が低く放電が不安定であり、メガヘルツオーダの点灯周波数でも音響共鳴現象を引き起こし易いが、点灯起動時の所定時間帯において駆動周波数の変化制御を行うことで、安定してアーク放電に移行させることができる。
また、制御部は、放電灯への供給電力と目標電力との差分に応じた第1の電流を生成する第1の電流源と、乱数発生回路に接続されて、乱数信号に対応した大きさの第2の電流を生成する第2の電流源と、第1の電流源及び第2の電流源の出力に接続され、第1及び第2の電流に応じて充電する容量素子と、容量素子の充電電圧が入力され、充電電圧に基づいて生成した比較信号を制御信号として出力するヒステリシスコンパレータと、容量素子の両端に接続され、ヒステリシスコンパレータの出力に応じてオン−オフするスイッチ素子とを更に有することが好ましい。
かかる構成においては、容量素子が、目標電力と放電灯への供給電力との差分によって決まる第1の電流、及び乱数信号によって決まる第2の電流によって充電され、ヒステリシスコンパレータ及びスイッチ素子によって、その容量素子の充電速度に対応する周波数の矩形波がインバータ回路の駆動用の制御信号として出力される。このように、比較的簡易な回路構成で放電灯の点灯起動時から定常点灯時に亘って音響共鳴現象を確実に低減することができる。
本発明によれば、放電灯の点灯起動時から定常点灯時に亘って点灯安定性を十分に向上させることができる。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る放電灯点灯回路の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の好適な一実施形態にかかる放電灯点灯回路1の構成を示すブロック図である。同図に示す放電灯点灯回路1は、放電灯Lを点灯させるための交流電力を放電灯Lへ供給する回路であって、直流電源Bからの直流電圧を交流電圧に変換して放電灯Lに供給する。放電灯点灯回路1は、主に車輌用の、特に前照灯などの灯具に用いられる。なお、放電灯Lとしては、例えば水銀フリーのメタルハライドランプが好適に用いられるが、他の種類の放電灯であってもよい。
放電灯点灯回路1は、直流電源Bから電源供給を受けて交流電力を放電灯Lに供給する電力供給部2と、放電灯Lへの供給電力の大きさを制御する制御部3とを備える。
電力供給部2は、制御部3からの制御信号S1に基づいた駆動周波数で直流電力を交流電力に変換し、その交流電力を放電灯Lへ供給する。この電力供給部2は、直流バッテリー等の直流電源Bに接続されており、直流電源Bから出力された直流電圧を受けて交流変換及び昇圧を行う。本実施形態の電力供給部2は、点灯開始時に放電灯Lに高圧パルスを印加して点灯を促す起動部4と、スイッチング素子である2つのトランジスタ5a及び5bが直列接続されたハーフブリッジインバータ(インバータ回路)5と、トランジスタ5a及び5bを交互に切り替えることによってハーフブリッジインバータ5を駆動するブリッジドライバ(駆動回路)6とを有する。トランジスタ5a,5bとしては、例えば図1に示すようにNチャネルMOSFETが好適に用いられるが、他のFETやバイポーラトランジスタでもよい。本実施形態では、トランジスタ5aのドレイン端子は直流電源Bのプラス側端子に点灯動作の開始を操作するためのスイッチSWを介して接続されており、トランジスタ5aのソース端子はトランジスタ5bのドレイン端子に接続されており、トランジスタ5aのゲート端子はブリッジドライバ6に接続されている。また、トランジスタ5bのソース端子は接地電位線(すなわち直流電源Bのマイナス側端子)に接続されており、トランジスタ5bのゲート端子はブリッジドライバ6に接続されている。ブリッジドライバ6は、PFM信号である制御信号S1に基づいて互いに逆相となる駆動信号をトランジスタ5a、5bのゲート端子へ供給することにより、トランジスタ5a、5bを交互に導通させる。これにより、ハーフブリッジインバータ5は、制御信号S1の周波数に一致する駆動周波数で直流電力を交流電力に変換するように動作する。
また、電力供給部2は、トランス7、コンデンサ8、及びインダクタ9を更に有する。トランス7は、放電灯Lへ高圧パルスを印加し、また、ハーフブリッジインバータ5で発生した交流電力を伝えると共に該電力を昇圧するために設けられる。また、トランス7、コンデンサ8、及びインダクタ9は、直列共振回路を構成している。すなわち、トランス7の一次巻線7aと、インダクタ9と、コンデンサ8とが互いに直列に接続されている。そして、その直列回路の一端はトランジスタ5aのソース端子及びトランジスタ5bのドレイン端子に接続されており、他端は接地電位線に接続されている。この構成においては、トランス7の一次巻線7aのリーケージ(漏れ)インダクタンス、及びインダクタ9のインダクタンスからなる合成リアクタンスと、コンデンサ8の容量とによって共振周波数が決定される。なお、一次巻線7a及びコンデンサ8のみによって直列共振回路を構成し、インダクタ9を省略してもよい。また、一次巻線7aのインダクタンスをインダクタ9と較べて極めて小さく設定し、共振周波数が、インダクタ9とコンデンサ8の容量とによってほぼ決定されるようにしてもよい。
上記の電力供給部2においては、ハーフブリッジインバータ5からトランス7の一次巻線7aに交流電力が伝達される。この交流電力は、トランス7の二次巻線7bへ昇圧されて伝達され、二次巻線7bの両端に接続された放電灯Lへ供給される。なお、トランジスタ5a,5bを駆動するブリッジドライバ6は、トランジスタ5a,5bが共に導通状態とならないように相反的に各トランジスタ5a,5bを駆動する。ここで、放電灯Lに供給される電力は、ハーフブリッジインバータ5の駆動周波数によって左右される。具体的には、放電灯Lに供給される電力の大きさは、駆動周波数が直列共振回路の共振周波数と等しいときに最大値となり、駆動周波数が変更されることで増減する。これは、直列共振回路のインピーダンスが、ブリッジドライバ6によるトランジスタ5a,5bの駆動周波数によって変化するためである。従って、放電灯Lに供給される交流電力の大きさを、制御部3によって駆動周波数を変化させることにより制御できる。
起動部4は、放電灯Lに起動用の高圧パルスを印加するための回路であり、トリガー電圧及び電流(高圧パルス)をトランス7の一次巻線7aに印加することによって、トランス7の二次巻線7bにおいて生成される交流電圧に高圧パルスを畳重させる。具体的には、起動部4は、高圧パルスを生成するための電力を蓄える起動用コンデンサ、及びスパークギャップやガスアレスタ等の自己降伏型スイッチング素子(図示せず)等を含んでいる。この起動部4は、点灯起動時に起動用コンデンサを充電することによって両端電圧が放電開始電圧に達した際に、自己降伏型スイッチング素子を瞬間的に導通状態にすることによってトリガー電圧及び電流を出力する。また、起動部4は、トリガー電圧及び電流が発生した瞬間にパルス検出信号Spを生成し、このパルス検出信号Spを後述する制御部3へ送出する。
このような電力供給部2によって放電灯Lが点灯される際には、駆動周波数で放電灯Lの放電管内気体の粗密波が共振する現象である音響共鳴現象が発生する場合がある。この音響共鳴現象を引き起こす音響共鳴周波数は、放電管の形状、気圧等によって左右される。図2は、放電灯Lの駆動周波数と音響共鳴現象の度合いとの関係の一例を示すグラフである。同図に示すように、本実施形態の放電灯Lは、駆動周波数が約20kHz〜約1.4MHzの周波数帯(連続共鳴帯)において音響共鳴現象が連続的に発生する。また、約1.4MHz〜約4MHzの間においては音響共鳴現象が複数の狭い周波数帯で断続的に発生し、櫛形の特性を有している。この櫛形特性は、放電灯Lの放電管の放電特性の個体差に起因するものである。従って、放電灯Lにおいて安定した放電アークを得るためには、連続共鳴帯を外すことが想定される。
なお、図2で示した特性は、放電灯Lが定常点灯している場合の特性である。これに対して、高圧パルスの印加による放電灯Lの点灯起動直後においては、放電管内の気圧が比較的低くなっているので、音響共鳴周波数を右にシフトしたような特性を持つ。これは、放電灯Lはコールドスタートでの起動後、水銀やメタルハライド(金属ヨウ化物)が徐々に蒸発していくので、定常点灯時に比べて起動直後のほうが放電管内の気圧がはるかに低くなるためである。このことから、定常点灯時の連続共鳴帯よりも大きな周波数(例えば、2MHz程度)で放電灯Lを駆動した場合でも、起動直後においては連続共鳴帯に入っていて音響共鳴現象を生じる可能性がある。その結果、安定した放電アークが得られないだけでなく、放電アークの乱れによって立ち消えを起こす虞もある。
上述した音響共鳴現象を回避するために、放電灯点灯回路1においては、以下のような構成の制御部3によって駆動周波数が制御されている。
すなわち、図1に示すように、制御部3は、ブリッジドライバ6の駆動周波数を制御する回路であり、誤差検出部10とV−F(電圧−周波数)変換部11とから構成されている。
この誤差検出部10は、演算回路12と誤差増幅器13とを備えている。演算回路12は、トランス7の二次巻線7bに接続されて、放電灯Lの入力電流及び入力電圧を検出して放電灯Lに供給されている供給電力を演算する。誤差増幅器13は、演算回路12によって演算された供給電力に相当する電圧信号と基準電圧とが入力されて、供給電力と基準電圧によって規定される目標電力との差に相当する誤差信号Sdを生成する。
V−F変換部11は、誤差検出部10から出力された誤差信号Sdに基づいて供給電力が目標電力に近づくように駆動周波数を変更して制御信号S1を生成する。詳細には、V−F変換部11は、電流源(第1の電流源)14、コンデンサ(容量素子)15、電流生成回路(第2の電流源)16、ヒステリシスコンパレータ17、トグルフリップフロップ18、スイッチ素子19、分周器20、及び乱数発生回路21を備える。
電流源14は、誤差増幅器13の出力に接続され、誤差信号Sdに基づいて電流量が調整された電流(第1の電流)を生成する。すなわち、電流源14は、放電灯Lへの供給電力と目標電力との差分が小さくなるように電流量を変更する。コンデンサ15は、一端が電流源14の出力に接続されると共に他端が接地されており、電流源14からの電流によって電荷を蓄積(充電)する。また、このコンデンサ15の一端にはヒステリシスコンパレータ17の入力が接続されている。ヒステリシスコンパレータ17は、閾値電圧にヒステリシスを有するコンパレータであり、コンデンサ15の充電電圧を2つの異なる閾値電圧VTHL,VTHHと比較して比較信号S2として生成する。また、ヒステリシスコンパレータ17の出力は、トグルフリップフロップ18のT入力、スイッチ素子19の制御端子、及び分周器20の入力に接続されている。このスイッチ素子19は、コンデンサ15の両端に接続され、ヒステリシスコンパレータ17の出力に応じてオン−オフすることにより、コンデンサ15の充放電を切り替える。これにより、ヒステリシスコンパレータ17の比較信号S2は、電流源14における電流量に応じた周波数のパルス信号となる。比較信号S2は、トグルフリップフロップ18によって一定のパルス幅を有する制御信号S1に整形されて、トグルフリップフロップ18のQ出力からブリッジドライバ6に送られる。
さらに、コンデンサ15の一端には、電流生成回路16の出力が併せて接続されている。電流生成回路16は、電流源22a,22b,22cとスイッチ素子23a,23b,23cとを含んでいる。それぞれの電流源22a,22b,22cとスイッチ素子23a,23b,23cとが整流素子を挟んだ直列回路を成し、それぞれの直列回路の出力がコンデンサ15の一端に接続されている。スイッチ素子23a,23b,23cの制御端子は、乱数発生回路21の出力に接続され、乱数発生回路21によって発生された乱数信号のうちの3ビット分の信号に応じてオン−オフする(詳細は、後述する)。これにより、電流生成回路16は、乱数信号に対応した量の電流(第2の電流)を生成してコンデンサ15に供給する。その結果、コンデンサ15は、電流源14からの電流と電流生成回路16からの電流に応じて充電されるので、制御信号S1は、電流源14及び電流生成回路16の合計の電流量に応じた周波数のパルス信号となる。ここで、発生された乱数信号を基にしてブリッジドライバ6の駆動周波数の不規則性を保つためには、電流源22a,22b,22cの電流値は、それぞれ異なる値に設定されることが好ましい。この場合、第2の電流を乱数信号に従って8種類の電流値で発生させることができる。なお、電流生成回路16の電流源22a,22b,22cは抵抗素子で代用することも可能である。
分周器20は、比較信号S2の周波数を1/N倍(Nは1以上の整数)してクロック信号S3として乱数発生回路21に入力する。この分周器20の分周比は、固定であってもよいし、放電灯Lの点灯始動前後の時間帯において可変値となるように制御されてもよい。本実施形態においては、分周比は例えば1/2に設定されている。
ここで、図3は、制御部3において生成される各種信号の時間変化を示すグラフであり、(a)はコンデンサ15の充電電圧、(b)は比較信号S2、(c)は制御信号S1、(d)は分周器20の出力信号S3を示す。このように、制御信号S1は、電流源14の電流量と電流生成回路16の電流量の合計値に応じた周波数のPFM信号(パルス信号)として生成され、分周器20の出力信号S3は、制御信号S1の周波数が1/2にされたパルス信号として生成されることが理解される。
次に、図4を参照して、乱数発生回路21の回路構成について詳細に説明する。
同図に示すように、乱数発生回路21は、10個のDフリップフロップ24a〜24jが直列に接続されてなる10ビットのシフトレジスタ24と、排他的論理和(ExOR)ゲート25とから構成されている。それぞれのDフリップフロップ24a〜24iのD入力には前段のDフリップフロップ24b〜24jのQ出力がそれぞれ接続され、Dフリップフロップ24jのD入力にはDフリップフロップ24aのQ出力が接続されている。また、それぞれのDフリップフロップ24a〜24jのクロック入力には、分周器20からクロック信号S3が入力され、Dフリップフロップ24a〜24jのクリア入力には、放電灯Lの起動時等の所定時刻に初期化信号SRが入力される。この初期化信号SRは起動部4からのパルス検出信号Spに基づいて生成される。排他的論理和ゲート25の入力には、Dフリップフロップ24a及びDフリップフロップ24dのQ出力が接続され、排他的論理和ゲート25の出力は、Dフリップフロップ24jのD入力に接続されている。なお、排他的論理和ゲート25の入力は、M系列を生成するための原始多項式に従って別のDフリップフロップに接続されても良い。そして、Dフリップフロップ24h,24i,24jのQ出力が、それぞれ、スイッチ素子23a,23b,23cの制御端子に接続されている。
上記構成の乱数発生回路21は、シフトレジスタ24の桁数によって決まる周期性を有する乱数であるM系列を生成する。具体的には、10桁のシフトレジスタ24を備える乱数発生回路21は、クロック信号S3のクロック周期毎に、そのクロック周期の1023(=210―1)倍の周期性を有する10ビットの乱数を生成し、シフトレジスタ24内にQ出力に保持する。従って、乱数発生回路21は、現在のブリッジドライバ6の駆動周波数をFとし、分周器20の分周比を1/Nとすると、N/Fの時間間隔で10ビットの乱数を生成する。そして、シフトレジスタ24によって保持される乱数のうちの3ビット分が乱数信号としてスイッチ素子23a,23b,23cへ出力されることで、その乱数信号に応じてスイッチ素子23a,23b,23cがオン−オフされる。これにより、電流生成回路16によって生成される電流の大きさが、乱数信号に従った変化量で変化する結果、ブリッジドライバ6の駆動周波数Fも乱数信号に従った変化量で変化することになる。また、この変化量の周期は、乱数信号と同じ周期1023×N/Fとなる。
なお、乱数発生回路21において生成される乱数信号の発生周期は、クロック信号S3のクロック周期の1023倍にされているが、シフトレジスタ24の桁数を変更することで、処理負荷や回路規模等を考慮して様々な周期に設定することが可能である。その一方で、この乱数信号の発生周期は、乱数信号による駆動周波数Fの制御の時間間隔N/Fに比較して十分長い時間に設定されることが好適である。この場合は、乱数信号の発生周期の間の放電灯への投入電力の平均を求めることで任意の時点での投入電力が特定されるので、制御部3において放電灯への投入電力を容易に制御することができる。また、乱数の発生周期は、駆動周波数Fが放電灯Lの音響共鳴周波数に一致しないように、放電灯Lの音響共鳴周波数の逆数よりも長くするこが好適である。
また、乱数発生回路21は、放電灯の点灯起動時の所定時間帯において乱数信号を発生させるようにして、駆動周波数Fの変更制御を行うことが好適である。例えば、電源のスイッチSW投入時から一定時間後の所定時間帯に変更制御を行うように制御しても良いし、起動部4からのパルス検出信号Spを検出後の数十秒間に変更制御を行うように制御しても良いし、放電灯Lの入力電流又は入力電圧の波形から変更制御のタイミングを検出してもよい。放電灯Lの点灯始動直後は放電灯L内の気圧が低く放電が不安定であり、メガヘルツオーダの点灯周波数でも音響共鳴現象を引き起こし易いが、このようにすれば、点灯起動時の所定時間帯において駆動周波数Fの変更制御を行うことで、安定してアーク放電に移行させることができる。
以下、放電灯点灯回路1の作用効果について説明する。
放電灯点灯回路1によれば、電力供給部2のハーフブリッジインバータ5が駆動周波数Fで駆動されることによって、直流電力が交流電力に変換されて放電灯Lに供給される。従来の点灯回路では、駆動周波数の値によっては放電灯においては音響共鳴現象が発生する場合があることを考慮して、連続共鳴帯から外れた約2MHz程度を基本周波数として設定し、駆動周波数を周波数変調して変動させることが行われていた。しかしながら、これでは放電灯の点灯起動直後から定常点灯に至までの間で音響共鳴周波数の特性が変化するために、起動直後に駆動周波数が連続共鳴帯に入ってしまい、安定した放電アークが得られないことがあった。これに対して、本実施形態では、制御部3によって生成される制御信号S1によって駆動周波数Fが制御され、その駆動周波数Fは、制御部3によってN/Fの時間間隔で発生された規則性の少ない乱数信号に従った変化量で変化する。これにより、ハーフブリッジインバータ5の駆動周波数を、放電灯Lの放電管内で生じる粗密波の間で異なる周波数に設定することで、定在波ができる前に周波数を変化させることができる。その結果、放電灯Lの点灯起動時から定常点灯時に亘って音響共鳴現象を確実に低減することができ、放電灯Lにおける点灯起動時の立ち消えや配光の乱れを十分に防止することが可能になる。
また、制御部3ではシフトレジスタ24及び排他的論理和ゲート25によって乱数生成手段が構成されているので、比較的小規模な回路で駆動周波数の制御を実現することができる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、制御部3は、電流源22a,22b,22cの電流値を一定にすることで、駆動周波数の変動幅を一定にしていたが、放電灯Lの起動直後は変動幅を大きくする等によりその変動幅を可変にしても良い。このような駆動周波数の変動幅の可変制御は、電流源22a,22b,22cの電流値を可変にすることで可能にされる。
また、制御部3は、分周器20の分周比1/Nを変更することで駆動周波数の変更制御の時間間隔N/Fを適宜設定することが可能である。図5(a)には、変更制御の時間間隔が1/Fの場合の放電灯Lの入力電流の波形、図5(b)には、変更制御の時間間隔が2/Fの場合の放電灯Lの入力電流の波形を示す。このように、変更制御の時間間隔が1/Fの場合は、入力電流の1周期毎の周期が、1/(f0+Δf1),…,1/(f0+Δf1024)と変更される。一方、変更制御の時間間隔が2/Fの場合は、入力電流の2周期毎の周期が、1/(f0+Δf1),1/(f0+Δf2),…と変更される。直列共振型の放電灯点灯回路では、共振回路の特性上ハーフブリッジインバータ5の周波数が急激に変化しても、点灯周波数が大きく変化しない(=放電灯Lの入力電流の周波数が変化しない)場合がある。そのような場合でも、変更制御の時間間隔を調整することで共振回路の周波数変化に対応できる速さの変更制御を実現できる。
また、制御部3は、分周器20の分周比1/Nを乱数発生回路21と独立な乱数に基づいて変更することで、駆動周波数の変更制御の時間間隔N/Fがランダムに選択されるようにしてもよい。図5(c)には、このような場合の放電灯Lの入力電流の波形を示す。この例では、入力電流のN1周期分の周期が1/(f0+Δf1)に設定され、その後のN2周期分の周期が1/(f0+Δf2)に設定されている。このように、変更制御の時間間隔N/Fが乱数によって決定されている。こうすれば、放電灯Lの特性が変動しても音響共鳴現象をより確実に回避することができる。
1…放電灯点灯回路、2…電力供給部、3…制御部、5…ハーフブリッジインバータ(インバータ回路)、6…ブリッジドライバ(駆動回路)、14…電流源(第1の電流源)、15…コンデンサ(容量素子)、16…電流生成回路(第2の電流源)、17…ヒステリシスコンパレータ、19…スイッチ素子、21…乱数発生回路、24…シフトレジスタ、25…排他的論理和ゲート、B…直流電源、L…放電灯、S1…制御信号、S2…比較信号。
Claims (5)
- 放電灯を点灯するための交流電力を該放電灯へ供給する放電灯点灯回路であって、
直流電源の出力を前記交流電力に変換するインバータ回路と、前記インバータ回路を駆動するための駆動回路とを有する電力供給部と、
前記駆動回路の駆動周波数Fを制御するための制御信号を生成する制御部とを備え、
前記制御部は、乱数信号を発生させる乱数発生回路を有し、N/F(Nは1以上の整数)の時間間隔で、該乱数信号に従った変化量だけ前記駆動周波数Fを変化させる、
ことを特徴とする放電灯点灯回路。 - 前記制御部は、前記駆動周波数Fの変化の周期である前記時間間隔よりも長く、且つ、前記放電灯の音響共鳴周波数の逆数よりも長い周期で周期性を有するように前記乱数信号を発生させる、
ことを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯回路。 - 前記乱数発生回路は、シフトレジスタと排他的論理和ゲートとを含み、前記乱数信号として前記シフトレジスタの桁数によって決まる周期性を有するM系列を生成する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の放電灯点灯回路。 - 前記制御部は、前記放電灯の点灯起動時の所定時間帯において、前記乱数信号に従った変化量だけ前記駆動周波数Fを変化させる、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の放電灯点灯回路。 - 前記制御部は、
前記放電灯への供給電力と目標電力との差分に応じた第1の電流を生成する第1の電流源と、
前記乱数発生回路に接続されて、前記乱数信号に対応した大きさの第2の電流を生成する第2の電流源と、
前記第1の電流源及び前記第2の電流源の出力に接続され、前記第1及び第2の電流に応じて充電する容量素子と、
前記容量素子の充電電圧が入力され、前記充電電圧に基づいて生成した比較信号を前記制御信号として出力するヒステリシスコンパレータと、
前記容量素子の両端に接続され、ヒステリシスコンパレータの出力に応じてオン−オフするスイッチ素子とを更に有する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の放電灯点灯回路。
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