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JP2008170694A - 転写搬送ベルト - Google Patents

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JP2008170694A
JP2008170694A JP2007003482A JP2007003482A JP2008170694A JP 2008170694 A JP2008170694 A JP 2008170694A JP 2007003482 A JP2007003482 A JP 2007003482A JP 2007003482 A JP2007003482 A JP 2007003482A JP 2008170694 A JP2008170694 A JP 2008170694A
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Kenichi Tagawa
憲一 田河
Toshihiko Tomita
俊彦 富田
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Nitto Denko Corp
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Abstract

【課題】本発明は、電気特性、機械特性及び耐熱性に優れ、クリーニング性を向上させた転写搬送ベルトを提供する。
【解決手段】導電性フィラーを含有するポリイミド樹脂管状内層と、フッ素樹脂管状外層とを有する転写搬送ベルトであって、前記内層の体積抵抗率の常用対数値が、500Vの印加電圧において7〜15[logΩ・cm]であり、前記外層の厚みが1〜50μmであり、前記ベルトの体積抵抗率の常用対数値が、500Vの印加電圧において9〜15[logΩ・cm]であることを特徴とする転写搬送ベルト。
【選択図】なし

Description

本発明は、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリなどの電子写真記録装置に使用できる転写搬送ベルト、に関する。
複写機、レーザープリンタ、ビデオプリンタ、ファクシミリ及びそれらの複合機では、装置寿命の向上などを目的に、感光ドラム等の像担持体にトナー等の記録剤を介し形成された像を印刷シート上に直接定着させる方式を回避して、像担持体上の像を中間転写ベルトに一旦転写し、それを印刷シート上に定着させる中間転写方式が検討されている。また、装置の小型化等を目的に、転写搬送ベルトを使用して転写ベルトに印刷シートの搬送も兼ねさせる方式も検討されている。
前記転写搬送ベルトとしては、機械特性、電気絶縁性及び耐熱性に優れたポリイミド樹脂に導電性フィラーを配合したものが知られている(特許文献1)。
また、基体としてポリイミド樹脂層及び最表面層の弾性層としてフッ素ゴムを含む転写搬送ベルトが開示されている(特許文献2)。
しかしながら、特許文献1記載の転写搬送ベルトは、ベルト表面に付着するトナーのクリーニングが容易ではないため、画質の安定性、信頼性、再現性について課題を有していた。
また、特許文献2記載の転写搬送ベルトでは、弾性層の厚みが大きく、転写のために必要な電界が大きくなり、ベルトに電圧を印加する電源の負担が大きくなる傾向がある。
特開2004−198723号公報 特開2006−84982号公報
そこで、上記実情に鑑み、本発明は、電気特性、機械特性及び耐熱性に優れ、クリーニング性を向上させた転写搬送ベルトを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、以下に示す転写搬送ベルトにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、導電性フィラーを含有するポリイミド樹脂管状内層と、フッ素樹脂管状外層とを有する転写搬送ベルトであって、
前記内層の体積抵抗率の常用対数値が、500Vの印加電圧において7〜15[logΩ・cm]であり、前記外層の厚みが1〜50μmであり、前記ベルトの体積抵抗率の常用対数値が、500Vの印加電圧において9〜15[logΩ・cm]であることを特徴とする転写搬送ベルト、に関する。
本発明によると、電気特性、機械特性及び耐熱性に優れ、クリーニング性を向上させた転写搬送ベルトを得ることができる。
本発明の転写搬送ベルトに用いられるフッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)であることが好ましい。本発明によると、クリーニング性を向上させた転写搬送ベルトを得ることができる。
本発明の転写搬送ベルトは、電子写真記録装置に使用されることが好ましい。転写搬送ベルトとして電子写真記録装置に用いられると、ベルト表面へのトナーの付着を防止することができ、画質に優れた電子写真記録装置を得ることができる。
以下、本発明の実施形態にについて詳細に説明する。
本発明の転写搬送ベルトは、導電性フィラーを含有するポリイミド樹脂管状内層と、フッ素樹脂管状外層とを有する転写搬送ベルトであって、
前記内層の体積抵抗率の常用対数値が、500Vの印加電圧において7〜15[logΩ・cm]であり、前記外層の厚みが1〜50μmであり、前記ベルトの体積抵抗率の常用対数値が、500Vの印加電圧において9〜15[logΩ・cm]であることを特徴とする。
本発明において、導電性フィラーを含有するポリイミド樹脂管状内層の体積抵抗率の常用対数値は、500Vの印加電圧において7〜15[logΩ・cm]であり、好ましくは8〜14[logΩ・cm]である。内層の体積抵抗率の常用対数値が前記範囲内であれば、トナー画像を良好に転写することができる。また、前記内層はポリイミド樹脂を使用しているため、電気特性、機械特性及び耐熱性に優れた転写搬送ベルトを得ることができ、有効である。
本発明の転写搬送ベルトの体積抵抗率の常用対数値は、500Vの印加電圧において9〜15[logΩ・cm]であり、好ましくは10〜13[logΩ・cm]である。前記ベルトの体積抵抗率の常用対数値が前記範囲内であれば、トナー画像を良好に転写することができる。なお、前記ベルトの体積抵抗率の常用対数値が9未満であると、ノイズの大きい画像が形成される場合がある。一方、15を超える場合には、ベルトが帯電してしまうため、除電機構が必要となる場合がある。
前記外層の厚みは1〜50μmであり、好ましくは1〜30μmである。膜厚が薄いとフッ素樹脂由来の滑り性、耐久性が得られず、フッ素樹脂コーティングの効果が得ることができない。また膜厚が厚すぎるとフッ素に由来して高抵抗となり、転写画質の安定性が欠ける問題が生じる。
前記内層の厚みは、用いられる装置の設計により適宜選択されるが、通常、管状内層は20〜100μmが好ましく、より好ましくは40〜90μmである。
本発明の転写搬送ベルトは、導電性フィラーを含有するポリイミド樹脂管状内層を有する。具体的な前記ポリイミド樹脂管状内層の製造方法としては、まず、導電性フィラーを分散させた分散液を調製する。次いで、調製した分散液にテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体(テトラカルボン酸成分)とジアミン成分を溶解、重合させて導電性フィラー分散ポリアミド酸溶液を調製することが必要である。更に、前記ポリアミド酸溶液を用いて、ポリイミド樹脂管状内層を調製する。
<導電性フィラー分散液の調製>
以下に導電性フィラーを分散させた分散液について、説明する。
本発明は、半導電性を得るためにポリイミド樹脂中に導電性フィラーを使用する。具体的には、カーボンブラック、アルミニウム、ニッケル、酸化錫、チタン酸カリウム等の無機化合物やポリアニリンやポリピロールなどに代表される導電性高分子を用いることができる。特に、抵抗制御や抵抗低下の観点から、カーボンブラックを用いることが好ましい。
上記カーボンブラックとしては、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
これらのカーボンブラックの種類は、目的とする導電性により適宜選択することができ、中間転写ベルトや転写搬送ベルト等の中抵抗から高抵抗域(表面抵抗率10〜1015[Ω/□]、体積抵抗率10〜1015[Ω・cm])に制電する場合、特にチャンネルブラックやファーネスブラックが好適に用いられ、その用途によっては酸化処理、グラフト処理等の酸化劣化を防止したものや溶媒への分散性を向上させたものを用いると好ましい。
前記ファーネスブラックとしては、デグサ社製のSpecial Black 550、Special Black 350、Special Black 250、Special Black 100、Printex 35、Printex 25、三菱化学社製のMA 7、MA 77、MA 8、MA 11、MA 100、MA100R、MA220、MA230、キャボット社製、MONARCH1300、MONARCH 1100、MONARCH 1000、MONARCH 900、MONARCH 880、MONARCH 800、MONARCH 700、MOGUL L、REGAL 400R、ULCAN XC−72R等が挙げられる。また、チャンネルブラックとして、デグサ社製のColor Black FW200、Color B1ack FW2、Color Black FW2V、Color Black FW1、Color Black FW18、Special Black 6、Color Black S170、Color Black S160、Special Black5、Special Black 4、Special Black 4A、Printex 150T、Printex U、Printex V、Printex 140U、Printex 140V等が挙げられる。
また、カーボンブラックはその用途によって、酸化処理、グラフト処理等の酸化劣化を防止したものや、溶剤への分散性を向上させたものを用いることが好ましく、特に、酸化処理されたカーボンブラックを用いることが好ましい。
前記酸化処理カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、表面に酸素含有官能基(例えば、カルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等)を付与して得ることができるものである。
前記酸化処理は、高温雰囲気下で、空気と接触・反応させる空気酸化法、常温で窒素酸化物やオゾン等と反応させる方法、及び高温での空気酸化後、低温でオゾン酸化する方法等により行うことができる。上記方法により得られる酸化処理カーボンブラックは、一部に過剰な電流が流れ、繰り返しの電圧印加による酸化の影響を受けにくい。また、その表面に付着する酸素含有官能基の効果で、ポリイミド中への分散性が高く、抵抗のバラツキを小さくすることができ、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中が起き難くなる。その結果、転写電圧による電気抵抗の低下を防止し、電気抵抗の均一性を改善し、電界依存性や環境による抵抗の変化が少なく、用紙走行部が白く抜ける等の画質欠陥の発生を抑制することができるため、高画質を得ることができる。
本発明において導電性フィラーとしてカーボンブラックを使用する場合、カーボンブラックの含有量は、その目的に応じ、添加するカーボンブラックの種類により適宜決定されるが、電子写真記録装置などに用いられる中間転写ベルトや転写搬送ベルト等としては、その機械的強度等から、ポリイミド樹脂固形分に対し3〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜30重量%である。カーボンブラックの含有量が3重量%未満であると、抵抗値のコントロールが困難となり、また、ベルト内のバラツキが大きくなりやすい。一方、40重量%を越えると、ベルトの機械的強度が低下しやすくなる。
本発明に用いる溶媒としては、特に制限されないが、溶解性等の点より極性溶媒が好適に挙げられる。特に、カーボンブラックなどの導電性フィラーの分散用と重合反応の溶媒用とを兼用できるものが好ましい。極性溶媒としては、N,N−ジアルキルアミド類が好ましく、具体的には、例えば、これの低分子量のものであるN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられる。これらは単数または複数併用することができる。
カーボンブラックの分散液中の含有量であるが、3〜25重量%が好ましく、より好ましくは5〜22重量%である。カーボンブラック含有量が高いほど、分散が困難となり、また、カーボンブラックの凝集・沈殿が発生しやすく保存安定性が著しく低下する。一方、含有量が低い場合は、半導電特性の効果を発揮することができない。
カーボンブラックの分散方法には、公知の分散方法を適用することができる。例えば、溶媒にカーボンブラックを添加した後、ナノマイザー、ボールミル、サンドミル、バスケットミル、三本ロールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル、ホモジナイザー、超音波などの方法を適宜選択して、分散作業を行うことができる。
カーボンブラックの分散性や親和性の向上を狙って、カーボンブラックを分散剤の存在下で前記ポリアミド酸溶液に分散することができる。分散剤としては、本発明の目的にかなうものであれば、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤、界面活性剤、無機塩等の分散安定化剤を用いることができる。
前記高分子分散剤としては、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピペリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)等が挙げられ、単独または複数の高分子分散剤を添加することができる。
前記界面活性剤としては、カルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型の陰イオン界面活性剤、第4級アンモニウム型、脂肪族アミン型、イミダゾリニウム型の陽イオン界面活性剤、エーテルアミンオキシド型、グリシン型、べタイン型の両性界面活性剤、エーテル型、エステル型、アミノエーテル型、エーテルエステル型、アルカノールアミド型の非イオン界面活性剤が挙げられ、エーテル型非イオン界面活性剤が、カーボンブラック分散安定性の点で好ましい。
前記無機塩等の分散安定化剤としては、炭酸塩、ケイ酸塩、重炭酸塩等が挙げられる。
本発明の転写搬送ベルトは、前記分散液にテトラカルボン酸成分とジアミン成分を溶解、重合させて導電性フィラー分散ポリアミド酸溶液を調製する。
<導電性フィラー分散ポリアミド酸溶液の調製>
以下に導電性フィラー分散ポリアミド酸溶液について、説明する。
前記テトラカルボン酸成分としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用することができる。
前記ジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン(PDA)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルへプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5 −メチルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用することができる。
前記分散液にテトラカルボン酸成分とジアミン成分を溶解、重合させる。ここで、前記ポリアミド酸(ポリイミドベルト前駆体)は、テトラカルボン酸成分とジアミン成分との略等モルを有機溶媒中で反応させて得ることができる。重合反応の際のモノマー濃度(溶媒中におけるテトラカルボン酸成分とジアミン成分の濃度)は、種々の条件に応じて設定される。通常は、5〜30重量%程度が好ましい。また反応温度は80℃以下が好ましく、特に好ましくは5〜50℃である。反応時間は0.5〜10時間が好ましい。反応時間が
0.5時間未満であると反応が不十分となり、10時間を超えてもそれ以上の効果が得られない。
上記の反応により得られた導電性フィラー分散アミド酸溶液の粘度は上昇するが、そのまま加熱を行うと、ポリアミド酸溶液の粘度が低下する。この現象を利用して、前記導電性フィラー分散アミド酸溶液を所定の粘度に調整することができる。このときの加熱温度は50〜90℃が好ましい。
<転写搬送ベルトの調製>
上記導電性フィラー分散ポリアミド酸溶液を用いて、本発明の転写搬送ベルトは、以下に示す方法により調製される。
まず、円筒金型内に上記導電性フィラー分散ポリアミド酸溶液を供給し、回転遠心成形法により金型内周面に遠心力により均一に展開する。このとき前記溶液の粘度は、B型粘度計で1〜5000Pa・s(25℃)が好ましい。これ以外の場合は、遠心成形の際、均一に展開することが困難であり、ポリイミドベルトの厚みバラツキの原因となる。製膜後、80〜180℃にて加熱を行い、溶媒を除去する。
次いで、300〜450℃の高温で加熱することにより、閉環イミド化反応(イミド転化)を進行させた後、金型から取り出す。この溶媒除去及びイミド化反応時の加熱は均等に行う必要がある。不均等であると、溶剤蒸発時において、導電性フィラーの凝集バラツキが発生し、ポリイミドベルトの抵抗値にバラツキが生じる。均等に加熱する方法としては、金型を回転させながら過熱する、熱風の循環を改善する等の方法や、低温で投入し、昇温速度を小さくする等の方法がある。
なお、イミド化反応は上記高温加熱する方法もしくは、ポリアミド酸溶液に触媒単独あるいは触媒と脱水剤を併用して添加し、低温加熱する方法いずれを用いてもよく、本発明の目的にかなうものであれば特に限定されない。
前記触媒としては、例えばイミダゾール類、第2級アミン、第3級アミン等が挙げられ、具体的には例えば、2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、イミダゾール、イソキノリン等が挙げられる。これらのうちでも2−フェニルイミダゾールが機械強度を向上させる点で好ましい。触媒の添加量としては、ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸1モル当量に対して0.01〜2モル当量添加することが好ましく、より好ましくは0.05〜1モル当量である。また、これら触媒は脱水剤を使用しない加熱イミド化においても、低温でのイミド化促進剤として有効である。
前記脱水剤については、有機カルボン酸無水物、N,N’−ジアルキルカルボジイミド類、低級脂肪酸ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物、及びチオニルハロゲン化物等が挙げられ、これらの中でも特に有機カルボン酸無水物が好ましい。
有機カルボン酸無水物としては、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、吉草酸無水物、及びこれらの分子間無水物、有機カルボン酸無水物の混合物を含む。また、芳香族モノカルボン酸例えば安息香酸、ナフトエ酸等の無水物、これらの混合物及び有機カルボン酸無水物の混合物、及び炭酸、蟻酸及び脂肪族ケテン類の無水物、これらの混合物及び有機カルボン酸無水物などが挙げられるが、中でも無水酢酸が好ましい。
本発明において、フッ素樹脂管状外層を形成するフッ素樹脂は、滑り性を付与できるものであれば、本発明の目的にかなうものであれば特に限定されない。具体的には、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエトレン(PTFE)、又はテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を併用して用いてもよい。特に、トナー汚れに対して効果的であるPFAが好ましい。
上記ポリイミド樹脂管状内層の外周面に、フッ素樹脂を主成分とする外層を成形する方法として、溶融押出により得たチューブ状管状体を内層外周面に被着する方法、溶液状(ディスパージョンを含む)を内層外周面に被覆する方法等により形成される。
溶液状のフッ素樹脂溶液を被覆する方法としては、例えば、スプレーコート、ロールコート、刷毛塗り等の方法が挙げられる。塗布と加熱の手順としては、外層のボイド発生を防ぐため、フッ素樹脂溶液をポリイミド樹脂管状内層の外周面に塗布した後、フッ素樹脂溶液中の溶媒を除去する。その後、フッ素樹脂の融点以上に昇温して、フッ素樹脂製の外層を形成する。なお、この外層の形成前にプライマーを塗布してもよく、本発明の目的にかなうものであれば特に限定されない。また、外層形成時に内層のイミド化反応を同時に行ってもよい。
前記フッ素樹脂として、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)から外層を形成する場合、このPFAは380℃における溶融粘度が1×10Pa・s以上が好ましく、上限は限定される訳ではないが、通常1×10Pa・s程度である。より好ましくは3×10〜7×10Pa・sである。
本発明において得られた転写搬送ベルトは、外層にフッ素樹脂管状外層を有するため、電子写真記録装置の転写搬送ベルトとして使用すると、ベルト表面へのトナーの付着がなく、画質の劣化も生じないため、非常に優れた特性を有する。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
<評価方法>
体積抵抗率:三菱化学社製 Hiresta−UP MCP−HT450に接続したリングプローブをベルト表面に押し当てて、印加電圧500Vの10秒後の体積抵抗率(Ω・cm)を測定し、その体積抵抗率の常用対数値にて示した。
(実施例1)
<導電性フィラー分散液の調製>
4000gのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に、乾燥した1000gのカーボンブラック(デグサ(株)製Special Black4)を添加した。次に、この溶液をビーズミルで室温にて6時間撹拌・混合を行い、20重量%のカーボンブラック分散液を得た。
<導電性フィラー分散ポリアミド溶液の調製>
上記分散液1090gにNMP3790gを添加し、次いで124gのp−フェニレンジアミン(PDA)、230gの4,4’−ジアミノジフェニルメタン、680gの3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を窒素雰囲気中で室温にて投入し、溶解した。続いて、重合反応により増粘後、70℃で24時間加熱を続け、1000Pa・sのカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(カーボンブラック18重量%、固形分20重量%)を得た。
<転写搬送ベルトの調製>
上記ポリアミド酸溶液を、内径60mm、長さ850mmのドラム金型内周面に、ディスペンサにて最終の厚さが75μmとなるよう塗布し、2000rpmで3分間回転させて、均一な展開層を得た。その後、熱風を均等に循環させた130℃の乾燥炉内にて30rpmでドラム金型を回転させながら、20分間加熱し、溶剤を除去した。更に、6℃/分の速度で340℃まで昇温させ、そのまま10分加熱を続け、イミド化を進行させた。室温まで冷却した後、金型内面より剥離し、75μmの転写搬送ベルトを得た。このベルトの体積抵抗率を評価したところ、印加電圧500Vにおいて10.30 [logΩ・cm]であった。
上記転写搬送ベルトの外周面に、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)をスプレーコートによって塗布した。その後、400℃で5分間焼成し、最終厚みが6μmのフッ素コートされた半導電ポリイミドベルトを得た。このベルトの体積抵抗率を評価したところ、印加電圧500Vにおいて13.96 [logΩ・cm]であった。画出し装置に組み画質を確認したところ、画質の劣化は認められなかった。
<比較例1>
実施例1と同様にポリイミドベルトを得た。このベルトの体積抵抗率を評価したところ、印加電圧500Vにおいて10.66 [logΩ・cm]であった。
このポリイミドベルトの外周面にフッ素コート処理せずに、画出し装置に組み画質を確認したところ、ベルト表面にトナーの付着が認められ、画質の劣化が確認された。
<表1>評価結果
Figure 2008170694

Claims (3)

  1. 導電性フィラーを含有するポリイミド樹脂管状内層と、フッ素樹脂管状外層とを有する転写搬送ベルトであって、
    前記内層の体積抵抗率の常用対数値が、500Vの印加電圧において7〜15[logΩ・cm]であり、前記外層の厚みが1〜50μmであり、前記ベルトの体積抵抗率の常用対数値が、500Vの印加電圧において9〜15[logΩ・cm]であることを特徴とする転写搬送ベルト。
  2. 前記フッ素樹脂がテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)であることを特徴とする請求項1記載の転写搬送ベルト。
  3. 請求項1又は2記載の転写搬送ベルトを備えることを特徴とする電子写真記録装置。
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